説明

扉付構造物

【課題】不正解錠を適切に抑制できる扉付構造物を提供する。
【解決手段】扉付構造物であるトイレブースは、扉受け体12と、開口部10を開閉する扉体13とを備える。扉体13には、開口部10の閉鎖時に扉受け体12および扉体13間に位置する手挟み防止用の間隙15を保持する間隙保持体21を設ける。扉受け体12には、扉体13の開方向への回動を規制する規制状態および扉体13の開方向への回動を許容する許容状態に切り換え可能な規制部36を有する施錠手段31を設ける。施錠手段31は、開口部10の閉鎖時に規制状態の規制部36を覆うように位置する不正解錠抑制部46を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不正解錠を適切に抑制できる扉付構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載されたトイレブース等の扉付構造物が知られている。
【0003】
この従来の扉付構造物は、扉受け体と、扉受け体から離れる開方向に向って回動して開口部を開口させ扉受け体に接近する閉方向に向って回動して開口部を閉鎖する扉体と、開口部の閉鎖時に扉受け体および扉体間の間隙を保持する戸当り等の間隙保持体とを備えている。このため、その間隙保持体にて保持される間隙によって、扉受け体と扉体とでの間でトイレ使用者、特に子供等が手を挟まないようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3082163号公報(図2等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そして、この種の扉付構造物に関し、施錠手段を設けた場合に、開口部の閉鎖時において、扉受け体および扉体間の間隙から、施錠手段が不正に解錠されない扉付構造物が求められていた。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、不正解錠を適切に抑制できる扉付構造物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の扉付構造物は、扉受け体と、この扉受け体から離れる開方向に向って回動して開口部を開口させ、前記扉受け体に接近する閉方向に向って回動して前記開口部を閉鎖する扉体と、前記開口部の閉鎖時に前記扉受け体および前記扉体間の間隙を保持する間隙保持体と、前記開口部の閉鎖時に前記扉体の開方向への回動を規制する規制状態および前記開口部の閉鎖時に前記扉体の開方向への回動を許容する許容状態に切り換えられる規制部を有する施錠手段とを備え、前記開口部の閉鎖時に前記間隙を利用して前記規制部を規制状態から許容状態に切り換える不正解錠を抑制可能な構成となっているものである。
【0008】
請求項2記載の扉付構造物は、請求項1記載の扉付構造物において、施錠手段は、規制部が回動可能に設けられた本体部と、この本体部に設けられ、開口部の閉鎖時に規制状態の規制部を覆うように位置する不正解錠抑制部とを有するものである。
【0009】
請求項3記載の扉付構造物は、請求項2記載の扉付構造物において、不正解錠抑制部は、開口部の閉鎖時に扉受け体および扉体間の間隙の一部であって規制状態の規制部と対応する位置に位置する部分を覆うように位置するものである。
【0010】
請求項4記載の扉付構造物は、請求項3記載の扉付構造物において、不正解錠抑制部の前後方向長さ寸法が、扉受け体および扉体間の間隙の前後方向長さ寸法と略同じであるものである。
【0011】
請求項5記載の扉付構造物は、請求項1ないし4のいずれか一記載の扉付構造物において、便器が配設されるトイレ空間部を備えるトイレブースであるものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、開口部の閉鎖時に間隙を利用して規制部を規制状態から許容状態に切り換える不正解錠を抑制可能な構成となっているため、不正解錠を適切に抑制できる。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、施錠手段は、規制部が回動可能に設けられた本体部と、この本体部に設けられ開口部の閉鎖時に規制状態の規制部を覆うように位置する不正解錠抑制部とを有するため、不正解錠抑制部にて不正解錠を適切に抑制できる。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、不正解錠抑制部は、開口部の閉鎖時に扉受け体および扉体間の間隙の一部であって規制状態の規制部と対応する位置に位置する部分を覆うように位置するため、不正解錠抑制部にて不正解錠をより適切に抑制できる。
【0015】
請求項4に係る発明によれば、不正解錠抑制部の前後方向長さ寸法が扉受け体および扉体間の間隙の前後方向長さ寸法と略同じであるため、不正解錠抑制部にて不正解錠を適切かつ効果的に抑制できる。
【0016】
請求項5に係る発明によれば、便器が配設されるトイレ空間部の外側から間隙を利用して施錠手段の規制部を規制状態から許容状態に切り換える不正解錠を適切に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施の形態に係るトイレブースの部分平面図である。
【図2】同上トイレブースの施錠時の部分正面図である。
【図3】同上トイレブースの施錠時の部分平面図である。
【図4】同上トイレブースの施錠時の部分側面図である。
【図5】同上トイレブースの解錠時の部分正面図である。
【図6】同上トイレブースの解錠時の部分平面図である。
【図7】同上トイレブースの概略平面図である。
【図8】本発明の他の実施の形態に係るトイレブースの部分平面図である。
【図9】本発明のさらに他の実施の形態に係るトイレブースの部分平面図である。
【図10】本発明のさらに他の実施の形態に係るトイレブースの部分平面図である。
【図11】本発明のさらに他の実施の形態に係るトイレブースの部分平面図である。
【図12】本発明のさらに他の実施の形態に係るトイレブースの部分平面図である。
【図13】本発明のさらに他の実施の形態に係るトイレブースの部分平面図である。
【図14】本発明のさらに他の実施の形態に係るトイレブースの部分平面図である。
【図15】本発明のさらに他の実施の形態に係るトイレブースの部分平面図である。
【図16】本発明のさらに他の実施の形態に係るトイレブースの概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一実施の形態に係る扉付構造物を図1ないし図7を参照して説明する。
【0019】
図7において、1は扉付構造物であるトイレブースで、このトイレブース1は、例えば扉内開き式のもので、トイレ空間部2を備え、このトイレ空間部2に便器3が配設されている。
【0020】
トイレブース1は、図7に示されるように、トイレ空間部2を介して互いに離間対向する略矩形板状で鉛直状の左右1対の側板、つまり左側板6および右側板7を備え、これら両側板6,7の後端部が被固定部である壁部8に固定されている。
【0021】
左側板6の前端部には、トイレ空間部2の左側の前面を覆う略矩形板状で鉛直状の袖パネル等の扉被取付体11が左側板6に対して直交状に固設されている。つまり、扉被取付体11の左端部が左側板6の前端部に固定されている。
【0022】
右側板7の前端部には、トイレ空間部2の右側の前面を覆う略矩形板状で鉛直状の袖パネル等の扉受け体12が右側板7に対して直交状に固設されている。つまり、扉受け体12の右端部が右側板7の前端部に固定されている。
【0023】
そして、互いに離間対向する左右1対の前板、つまり扉被取付体11および扉受け体12間には、トイレ空間部2に対する出入口である略矩形状の開口部10が位置している。
【0024】
また、扉被取付体11の右端部には、扉受け体12から離れる開方向(図7では、反時計回り)である後方に向って上下方向の軸線aを中心として回動して開口部10を開口させかつ扉受け体12に接近する閉方向(図7では、時計回り)である前方に向って上下方向の軸線aを中心として回動して開口部10を閉鎖する略矩形板状で鉛直状の内開き式の扉体13がヒンジ14を介して前後方向に回動可能に設けられている。つまり、扉体13の一端部としての戸尻側端部である左端部が扉被取付体11の右端部にヒンジ14を介して回動可能に取り付けられている。
【0025】
扉体13の幅寸法は開口部10の幅寸法(左右方向長さ寸法)より大きく、開口部10の閉鎖時には扉体13の他端部としての戸先側端部である右端部が扉受け体12の左端部と正面視で重なり合う。すなわち、開口部10の閉鎖時には、扉体13の右端部である重なり部13aが、所定の大きさの手挟み防止用の間隙15を介して、扉受け体12の左端部である重なり部12aと離間対向する。
【0026】
ここで、図1ないし図6に示すように、扉体13の重なり部13aの前面、つまり扉受け体12の重なり部12aとの対向面における上下方向中間部である上下方向略中央部には、戸当り等の間隙保持体21が前方に向って突出状に固設されている。
【0027】
間隙保持体21は、開口部10の閉鎖時に、扉受け体12の被当接部20との当接により固定側の扉受け体12および可動側の扉体13間に手挟み防止用の間隙15を形成し、この形成した間隔15を保持する。つまり、開口部10の閉鎖時には、扉体13の重なり部13aが間隙保持体21を介して扉受け体12の重なり部12aに当接し、これら両重なり部12a,13a間に間隙15が形成される。
【0028】
間隙保持体21は、例えば縦断面が略楕円状をなすブロック状のもので、上下面が略円弧面状に形成されている。間隙保持体21は、開口部10の閉鎖時に扉受け体12の被当接部20と面状に当接するゴム製の当接部22を前部に有している。
【0029】
なお、間隙保持体21にて保持される間隙15の前後方向長さ寸法Aは、指を挟まない大きさで、例えば20mm以上、好ましくは25mm〜40mm、さらに好ましくは26mmである。扉受け体12の重なり部12aの左右方向長さ寸法(ラップ部分の幅寸法)Bは、例えば20mm〜100mm、好ましくは30mm〜80mm、さらに好ましくは50mmである。扉体13の厚さ寸法および扉受け体12の厚さ寸法は、それぞれ例えば13mmである。
【0030】
また、扉体13の重なり部13aの後面における上下方向中間部である上下方向略中央部には、規制部受け体26が後方に向って突出状に固設されている。
【0031】
規制部受け体26は、間隙保持体21と同様、例えば縦断面が略楕円状をなすブロック状のもので、上下面が略円弧面状に形成されている。規制部受け体26は、ゴム製の被当接部27を上部に有している。なお、間隙保持体21および規制部受け体26は、図示しない共通の固定手段、すなわち例えばボルト等によって扉体13の重なり部13aに同時に固定され、その重なり部13aを挟持した状態で互いに同一高さ位置に位置している。
【0032】
さらに、扉受け体12の左端部近傍における上下方向中間部である上下方向略中央部には、開口部10の閉鎖時に扉体13の開方向への回動を解除可能に規制するロック装置である施錠手段31が設けられている。
【0033】
施錠手段31は、扉受け体12の左端部近傍の上下方向略中央部に固定的に取り付けられた本体部32を有している。本体部32は、扉受け体12の前面から突出する高さの低い略円錐状の一方側突出部分である前側突出部分33と、扉受け体12の後面から突出する略円柱状の他方側突出部分である後側突出部分34とを有している。なお、間隙15の大きさに応じて本体部32の前後方向長さ寸法が調整可能となっている。
【0034】
本体部32の後側突出部分34の後端には、開口部10の閉鎖時に扉体13の重なり部13aとの係合により扉体13の開方向への回動を規制する規制状態および開口部10の閉鎖時に扉体13の重なり部13aとは係合せず扉体13の開方向への回動を許容する許容状態に選択的に切り換えられる規制部36が水平な前後方向の軸線bを中心として上下方向に回動可能に設けられている。
【0035】
規制部36は、下方回動により規制部受け体26の被当接部27と当接し、扉体13の重なり部13aと係合可能な規制状態となる。また、規制部36は、上方回動により規制部受け体26の被当接部27から上方に離れ、扉体13の重なり部13aと係合不可能な許容状態となる。つまり、規制部36は、トイレ使用者の回動操作に基づく略90度の下方回動によって水平姿勢の規制状態に切り換えられ、トイレ使用者の回動操作に基づく略90度の上方回動によって鉛直姿勢の規制状態に切り換えられる。
【0036】
規制部36は、本体部32に対して回動可能な略円板状の回動部分37と、この回動部分37に軸線bに対して直交する方向に向って突設された鉛直板状のアーム部分38と、このアーム部分38の先端部に設けられ規制部36の規制状態時に規制部受け体26の被当接部27と当接する鉛直板状の当接部分39と、この当接部分39の後面から後方に向って突出しトイレ使用者が手で摘む水平板状の操作部分である摘み部分40とを有している。
【0037】
アーム部分38は、左右方向に沿って位置する第1板41と、この第1板41の端部から左斜め後方に向って突出し第1板41に対して傾斜状に位置する第2板42とを有している。当接部分39の外周部は、例えば略U字状のゴム製の板材39aにて構成されている。
【0038】
また、本体部32の後側突出部分34の前端外周には、開口部10の閉鎖時にトイレ空間部2の外側から間隙15を利用して規制部36を規制状態から許容状態に切り換える不正解錠(不正解錠行為)を抑制する抑制手段である不正解錠抑制部46が固設されている。
【0039】
不正解錠抑制部46は、例えば本体部32の後側突出部分34の一部を構成する略円筒状の樹脂製の間隙調整用のスペーサー47に一体または別体に設けられた略円筒状の樹脂製の錠カバー48にて構成されている。
【0040】
そして、不正解錠抑制部46は、開口部10の閉鎖時に、規制状態の規制部36のアーム部分38の前面略全体を覆うようにそのアーム部分38の前方近傍に位置しかつ手挟み防止用の間隙15の一部であって規制状態の規制部と対応する位置、すなわち例えば同一高さ位置に位置する部分のみを覆うように位置する。
【0041】
図1に示されるように、不正解錠抑制部46の前後方向長さ寸法が間隙15の前後方向長さ寸法(幅寸法)Aと略同じであり、平面視で間隙15の施錠手段31側の開口端面15aが不正解錠抑制部46にて覆われて閉鎖されている。また、図2に示されるように、不正解錠抑制部46によって、規制状態の規制部36のアーム部分38の前面略全体の前方部と、そのアーム部分38の上側(上側近傍部分)および下側(下側近傍部分)の各前方部とが覆われている。
【0042】
不正解錠抑制部46は、軸線bを中心とする略円筒状のもので、扉受け体12の後面に接触してその後面に沿って位置する円形環状板部分51と、この円形環状板部分51の外周端から後方に向って突出する円筒部分52とを有している。円筒部分52の内周面と本体部32の外周面との間には略円形環状の空間部53が位置する。
【0043】
また、不正解錠抑制部46は、開口部10の閉鎖時には、扉体13および被当接部20とは干渉しない位置に位置する。干渉しない不正解錠抑制部46の位置の具体例は、例えば寸法Bよりも施錠手段31側の位置、寸法Aよりも薄い寸法でかつ被当接部20とは干渉しない位置、寸法Aよりも薄い寸法でかつ間隙保持体21よりも施錠手段31側の位置等である。
【0044】
なお、不正解錠抑制部46は、開口部10の閉鎖時に規制状態の規制部36と対応する位置のみを覆うように位置してもよいし、扉受け体12(または図16に示す構成の場合には扉体13)の大部分を覆うように位置してもよく、不正解錠抑制部46の大きさや形状は任意である。
【0045】
また、図2に示されているように、不正解錠抑制部46の少なくとも一部は、開口部10の閉鎖時において、規制状態の規制部36(より具体的にはアーム部分38)の扉体13に近い箇所における下側の真下には存在していることが好ましく、また規制状態の規制部36(より具体的にはアーム部分38)の扉体13に近い箇所における上側の真上にも存在していることがより好ましい。
【0046】
また一方、本体部32の前方突出部分33には、規制部36が規制状態にあるか、許容状態にあるかを示す表示部55が設けられ、この表示部55は略扇形状の窓部56から前方に向って露出している。
【0047】
次に、上記トイレブース1の作用等を説明する。
【0048】
トイレ使用者は、施錠手段31の表示部55を確認してから、扉体13を後方に押して開方向に回動させることにより開口部10を開口させ、トイレ空間部2内に入る。
【0049】
トイレ空間部2内に入ったトイレ使用者は、扉体13を前方に押してまたは自動回動機構を有していれば手を扉体13から離して、閉方向に回動させることによりその扉体13で開口部10を閉鎖するが、扉受け体12および扉体13間に位置した間隙保持体21にて扉受け体12の重なり部12aと扉体13の重なり部13aとの間に手挟み防止用の間隙15が保持されるため、両重なり部12a,13a間で手の指を挟まない。
【0050】
次いで、トイレ使用者は、施錠手段31を規制部36が許容状態にある解錠状態から規制部36が規制状態にある施錠状態に切り換える。つまり、許容状態の規制部36をその当接部分39が規制部受け体26の被当接部27に当接するまで下方回動させて規制状態に切り換える。
【0051】
そして、この規制部36が規制状態に切り換えられた状態時において、その規制状態の規制部36のアーム部分38の前方部には錠カバー48からなる不正解錠抑制部46が位置しており、この不正解錠抑制部46にてアーム部分38の前面略全体が覆われている。
【0052】
このため、トイレ空間部2の外側から手挟み防止用の間隙15に指を挿入して規制部36を規制状態から許容状態に切り換えようとする不正解錠が防止される。つまり、誰かがいたずら等で施錠手段31を解錠しようと、施錠手段31付近に位置する間隙15の一部分から指を挿入しても、指は、不正解錠抑制部46に当たるため、規制状態の規制部36のアーム部分38には届かず、規制部36を上方回動させることができない。
【0053】
そして、このようなトイレブース1によれば、施錠手段31が不正解錠抑制部46を有しており、開口部10の閉鎖時に間隙15を利用して規制部36を規制状態から許容状態に切り換える不正解錠を抑制可能な構成となっているため、トイレ空間部2の外側からの不正解錠を適切に抑制できる。
【0054】
なお、上記一実施の形態では、不正解錠抑制部46である錠カバー48がスペーサー47に設けられた構成について説明したが、例えば図8に示すように、錠カバー48を有さず、スペーサー47の外径寸法を図1の場合よりも大きくして、このスペーサー47の外周部を不正解錠抑制部61とした構成等でもよい。
【0055】
図1および図8に示す不正解錠抑制部46,61は、略円筒状のものには限定されず、例えば間隙15の前後方向長さ寸法Aと略同じ厚さ寸法(前後方向長さ寸法)を有する矩形板状のもの等でもよい。また、不正解錠抑制部46,61の前後方向長さ寸法が間隙15の前後方向長さ寸法Aよりも小さくてもよい。
【0056】
また、例えば図9に示すように、施錠手段31が、錠カバー48を有さず、本体部32の後側突出部分34の後端外周に突設され開口部10の閉鎖時に規制状態の規制部36のアーム部分38の前面を覆うように位置する鉛直板状の不正解錠抑制部62を有する構成等でもよい。
【0057】
さらに、例えば図10に示すように、扉受け体12が、間隙15の一部であって規制状態の規制部36と対応する位置(例えば同一高さ位置)に位置する部分のみを覆うように位置する鉛直板状の不正解錠抑制部63を有する構成等でもよい。
【0058】
また、例えば図11に示すように、扉体13が、間隙15の一部であって規制状態の規制部36と対応する位置(例えば同一高さ位置)に位置する部分のみを覆うように位置する鉛直板状の不正解錠抑制部64を有する構成等でもよい。
【0059】
なお、例えば扉受け体12または扉体13が、開口部10の閉鎖時に規制状態の規制部36のアーム部分38の前面を覆うように位置する鉛直板状の不正解錠抑制部を有する構成等でもよい。
【0060】
さらに、例えば図12に示すように、外側から間隙15に挿入した指がアーム部分38に届かないように、規制部36のアーム部分38が左右方向に沿って位置する1枚の平板66のみで構成され、その結果、トイレブース1が開口部10の閉鎖時に間隙15を利用して規制部36を規制状態から許容状態に切り換える不正解錠を抑制可能な構成となっているもの等でもよい。また、例えばアーム部分38の形状を後方に向って凸の湾曲状にした構成等でもよい。
【0061】
また、例えば図13に示すように、規制部36のアーム部分38を構成する平板66の左右方向長さ寸法が図12の場合よりも小さくされ、施錠手段31の本体部32が間隙15の一部であって規制状態の規制部36と対応する位置(例えば同一高さ位置)に位置する部分のみを覆うように位置し、その結果、トイレブース1が開口部10の閉鎖時に間隙15を利用して規制部36を規制状態から許容状態に切り換える不正解錠を抑制可能な構成となっているもの等でもよい。
【0062】
さらに、例えば図14に示すように、外側から間隙15に挿入した指がアーム部分38に届かないように、扉受け体12の重なり部12aの左右方向長さ寸法Bが図1の場合よりも大きくされ、その結果、トイレブース1が開口部10の閉鎖時に間隙15を利用して規制部36を規制状態から許容状態に切り換える不正解錠を抑制可能な構成となっているもの等でもよい。
【0063】
この図14に示す扉受け体12は延長部67を有し、この図14に示す扉受け体12の重なり部12aの左右方向長さ寸法Bは、例えば70mm〜150mm、好ましくは80mm〜130mm、さらに好ましくは100mmである。
【0064】
また、例えば図15に示すように、間隙保持体21の上下方向長さ寸法を図4の場合よりも大きくされ、間隙保持体21の上部が規制状態の規制部36と対応する位置(例えば同一高さ位置)に位置し、その結果、トイレブース1が開口部10の閉鎖時に間隙15を利用して規制部36を規制状態から許容状態に切り換える不正解錠を抑制可能な構成となっているもの等でもよい。
【0065】
さらに、トイレブース1は、図7等に示す扉体13がトイレ空間部2内に回動する扉内開き式のものには限定されず、例えば図16に示すように、扉体13がトイレ空間部2外に回動する扉外開き式のもの等でも、同様の作用効果を奏することができる。
【0066】
この図16に示す構成では、左側板6の前端部に扉受け体12が固設され、右側板7の前端部に扉被取付体11が固設され、この扉被取付体11に扉体13がヒンジ14を介して前後方向に回動可能に設けられている。また、扉体13には規制部36および不正解錠抑制部46,61を有する施錠手段31が設けられ、扉受け体12の重なり部12aには間隙保持体21および規制部受け体26が設けられている。
【0067】
なお、いずれの実施の形態においても、間隙保持体21は、扉受け体12の重なり部12aおよび扉体13の重なり部13aの少なくともいずれか一方に設けられたものであればよい。
【0068】
また、扉付構造物であるトイレブース1は、左右方向に並ぶ複数のトイレ空間部2を有する構成等でもよい。
【0069】
さらに、扉付構造物は、トイレブース1には限定されず、例えば展示会場等のブースや、プレハブ、或いは建物の出入口に設けられる扉装置等でよく、またブースの一部(扉装置)等でもよい。
【符号の説明】
【0070】
1 扉付構造物であるトイレブース
2 トイレ空間部
3 便器
10 開口部
12 扉受け体
13 扉体
15 間隙
21 間隙保持体
31 施錠手段
32 本体部
36 規制部
46,61 不正解錠抑制部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉受け体と、
この扉受け体から離れる開方向に向って回動して開口部を開口させ、前記扉受け体に接近する閉方向に向って回動して前記開口部を閉鎖する扉体と、
前記開口部の閉鎖時に前記扉受け体および前記扉体間の間隙を保持する間隙保持体と、
前記開口部の閉鎖時に前記扉体の開方向への回動を規制する規制状態および前記開口部の閉鎖時に前記扉体の開方向への回動を許容する許容状態に切り換えられる規制部を有する施錠手段とを備え、
前記開口部の閉鎖時に前記間隙を利用して前記規制部を規制状態から許容状態に切り換える不正解錠を抑制可能な構成となっている
ことを特徴とする扉付構造物。
【請求項2】
施錠手段は、
規制部が回動可能に設けられた本体部と、
この本体部に設けられ、開口部の閉鎖時に規制状態の規制部を覆うように位置する不正解錠抑制部とを有する
ことを特徴とする請求項1記載の扉付構造物。
【請求項3】
不正解錠抑制部は、開口部の閉鎖時に扉受け体および扉体間の間隙の一部であって規制状態の規制部と対応する位置に位置する部分を覆うように位置する
ことを特徴とする請求項2記載の扉付構造物。
【請求項4】
不正解錠抑制部の前後方向長さ寸法が、扉受け体および扉体間の間隙の前後方向長さ寸法と略同じである
ことを特徴とする請求項3記載の扉付構造物。
【請求項5】
便器が配設されるトイレ空間部を備えるトイレブースである
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一記載の扉付構造物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−52389(P2011−52389A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−200025(P2009−200025)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(000239714)文化シヤッター株式会社 (657)
【Fターム(参考)】