説明

扉用ロックハンドル装置

【課題】ラッチ板とロッドとを枢支する枢軸の加工、装着に手間がかからず、かつこれを確実に固定できるロックハンドル装置を提供する。
【解決手段】扉用ロックハンドル装置は、筐体の扉の前面側に配置されるハンドルと、このハンドルの操作により扉の表面と平行に正逆回転するように扉の背面側に配置されるラッチ板6と、このラッチ板6の回転により軸方向に進退自在のロッド22とを具備する。ロッド22は、基端が枢軸23によりラッチ板6に枢支され、軸方向進退により先端側が直接又は間接に筐体に係合離脱自在である。枢軸23の本体は、大径の頭部24と、これより小径でラッチ板6とロッド22とを貫通する軸部25とを有する。抜け止め部材26を軸部25に固定する。軸部25には、軸線方向に並んだ複数の係合溝25aを形成する。抜け止め部材26は、軸部の係合溝25aに選択的に係合可能な係合爪26aを有するプッシュナットで構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、配電盤ボックスの扉等に使用されるロックハンドル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、配電盤ボックスの扉等に使用されるロックハンドル装置は、扉の前面側に配置されるハンドルと、このハンドルの操作により、扉の表面と平行に正逆回転するように扉の背面側に配置されるラッチ板と、このラッチ板の回転により軸方向に進退自在となるように基端がラッチ板に枢支されるロッドとを具備する。ハンドルの起立回転または起立後の回転操作により、ラッチ板が回転し、これに伴いロッドが軸方向に進退し、その先端側が直接または間接に筐体に係合離脱自在に構成される(例えば特許文献1参照)。この種のロックハンドル装置においては、ラッチ板にロッドを枢支するための部材が、リベットをかしめ止めして構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−317253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のロックハンドル装置おけるラッチ板とロッドの枢支部材は、かしめ加工に手間がかかる難点がある。
したがって、この出願に係る発明は、ラッチ板とロッドとを枢支する枢支部材の加工に手間がかからず、かつこれを確実に固定することができるロックハンドル装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するこの出願に係る発明の扉用ロックハンドル装置は、筐体に開閉自在に設けられる扉31の前面側に配置されるハンドル10と、このハンドル10の操作により扉31の表面と平行に正逆回転するように扉の背面側に配置されるラッチ板6と、このラッチ板6の回転により軸方向に進退自在となるように基端が枢軸23によりラッチ板6に枢支され、軸方向進退により先端側が直接または間接に筐体に係合離脱自在のロッド22とを具備する。枢軸23は、大径の頭部24と、これより小径でラッチ板6とロッド6とを貫通する軸部25とを有する本体と、この軸部25に固定される抜け止め部材26とを具備する。枢軸の軸部25には、軸線方向に並んだ複数の環状係合溝25aが形成される。枢軸の抜け止め部材26は、軸部25の係合溝25aに選択的に係合可能な係合爪36aを有するプッシュナットで構成される。
【発明の効果】
【0006】
この出願に係る発明の扉用ロックハンドル装置によれば、ラッチ板6とロッド22とを枢支する枢軸23の加工、装着に手間がかからず、かつこれを確実に固定することができ、したがって、相対的に低コストで製作できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】ロックハンドル装置の断面図である。
【図2】図1のロックハンドル装置の正面図である。
【図3】図1のロックハンドル装置のハンドルが起立した状態の断面図である。
【図4】図1のロックハンドル装置におけるラッチ板とロッドの枢支部の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面を参照してこの発明の実施の形態を説明する。
ベース1は、扉31の取付孔31aに扉31の前面側から嵌め込まれ、扉31の背面側から嵌め合わされてねじ止めされる座金板2によって、扉31に締め付け固着される。ベース1の周縁部と扉31の前面との間にはパッキング部材3が挿入される。
【0009】
ベース1の上部背面には、扉31の前面と直角に軸受筒部4が突出しており、軸受筒部4には施錠軸5が嵌挿されている。施錠軸5は、軸方向への移動を制止されており、施錠軸5の後端である基端の角軸部には、ラッチ板6が相対回転不能に嵌められ、ボルト7によって施錠軸5に締め付け固着される。ラッチ板6の左右両側には、ロッド22の基端が、枢軸23で枢支される。ロッド22は、ラッチ板6の回転により軸方向に進退自在であり、軸方向進退により、図示しない先端側が直接または間接に筐体に係合離脱自在である。
【0010】
枢軸23は、大径の頭部24と、これより小径でラッチ板6とロッド22とを貫通する軸部25とを有する本体と、この軸部25に固定される抜け止め部材26とを具備する。軸部25には、軸線方向に並んだ複数の環状の係合溝25aが形成される。この係合溝は、好適には、例えば0.4〜0.6mmのピッチで形成することができる。抜け止め部材26は、軸部25の係合溝25aに選択的に係合可能な係合爪26aを有するプッシュナットで構成される。したがって、抜け止め部材26は、ラッチ板6とロッド22とを貫通した軸部25に、先端側から挿入して、ラッチ板6に当接する位置まで押し込むだけで、係合爪26aが対応位置の係合溝25aに係合することで、容易に適正位置に固定される。
【0011】
ベース1の下部背面には、扉31の前面と直角に錠受筒部8が突出している。錠受筒部8には、ハンドル10をベース1に拘束するためのシリンダ錠9が嵌合固定される。
【0012】
ハンドル10の基端部である上端部の背面側には、一対の軸受け部11が突設される。一対の軸受け部11の間には、施錠軸5の先端部が挿入される。ハンドル10は、扉31の前面と平行な横断軸12によって施錠軸5の先端部に枢着され、図1に示すように、ベース1に対して倒伏した位置と、図3に示すように、ベース1に対して斜めに起立した位置との間で起伏回転する。
【0013】
ハンドル10の先端側には、シリンダ錠9を操作するための図示しないキーを挿入する挿入窓20と、シリンダ錠9の施錠、解錠の状態を目視確認するための目視窓21とが、合わせてだるま型孔として形成される。
【0014】
図1に示すように、ハンドル10がベース1に対して倒伏したとき、ハンドル10の主体部分はベース1の正面側凹部13に没入する。この倒伏状態において、ラッチ板6が筐体の固定枠体32の受金部33に係合すると共に、ロッド22の先端側が直接または間接に、固定枠体32に係合して、扉31が拘束される。また、この状態で、シリンダ錠9によりハンドル10をベース1に錠止することができる。シリンダ錠9の操作は、ハンドルの倒伏状態において、挿入窓20からキーを挿入して行われる。ハンドルの倒伏状態において、シリンダ錠9の前面に形成された施錠または解錠を示す2つの標識9a,9bのいずれかが、その状態に応じて目視窓21から前面側へ露出する。
【0015】
ハンドル10は起立状態においてばね19で保持される。この起立状態において、使用者がハンドル10を握って施錠軸5を中心に回転操作すると、ラッチ板6が筐体の固定枠体32に固定された受金部33から離脱すると共に、ロッド22の図示しない先端側が、直接または間接に固定枠体32から離脱する。固定枠体32に対する扉31の施錠が解除される。扉31はハンドル10をそのまま手前に引くことによって開放され、筐体内に装置されている機器を点検修理したり使用したりすることができる。扉31を閉じて、ハンドル10を反対方向へ回転操作することによって,再びラッチ板6が受金部33に係合し、ロッド22の先端側が、直接または間接に固定枠体32に係合する。ハンドル10を倒伏させて、図示しないキーによりシリンダ錠9で施錠する。
【0016】
なお、ハンドルの起立回転に連動して、ラッチ板が回転し、これに伴いロッドが軸方向に進退し、その先端側が直接または間接に筐体に係合離脱自在に構成されるロックハンドル装置にも本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0017】
1 ベース
2 座金板
3 パッキング
4 軸受け筒部
5 施錠軸
6 ラッチ板
7 ボルト
8 錠受け筒部
9 シリンダ錠
9a 標識
9b 標識
10 ハンドル
11 軸受け部
12 横断軸
13 凹部
19 ばね
20 挿入窓
21 目視窓
22 ロッド
23 枢軸
24 頭部
25 軸部
25a 係合溝
26 抜け止め部材(プッシュナット)
26a 係合爪
31 扉
31a 孔
32 筐体
33 受金

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体に開閉自在に設けられる扉の前面側に配置されるハンドルと、このハンドルの操作により扉の表面と平行に正逆回転するように扉の背面側に配置されるラッチ板と、このラッチ板の回転により軸方向に進退自在となるように基端が枢軸によりラッチ板に枢支され軸方向進退により先端側が直接または間接に筐体に係合離脱自在のロッドとを具備し、
前記枢軸は、大径の頭部と、これより小径で前記ラッチ板とロッドとを貫通する軸部とを有する本体と、この軸部に固定される抜け止め部材とを具備し、
前記枢軸の軸部には、軸線方向に並んだ複数の環状の係合溝が形成され、
前記枢軸の抜け止め部材は、前記軸部の係合溝に選択的に係合可能な係合爪を有するプッシュナットで構成されることを特徴とする扉用ロックハンドル装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−180542(P2010−180542A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−22452(P2009−22452)
【出願日】平成21年2月3日(2009.2.3)
【出願人】(000108708)タキゲン製造株式会社 (256)
【Fターム(参考)】