説明

手すり等の物品取付方法および取付装置

【課題】躯体の躯体壁面と内側壁部材との間の間隔が狭いときに、装着できない。
【解決手段】内側壁部材1に壁挿入孔10及び複数の螺子挿入孔12を形成し、前記壁挿入孔10より前記螺子挿入孔12と同数の板形状補強片7を変形させることなく内側壁部材1の裏側に平行状態になるように順次挿入し、前記補強片7の螺子筒15を前記螺子挿入孔12に前記内側壁部材1の裏側から嵌合させ、前記螺子筒15に螺子11を前記内側壁部材1の表側から仮螺合させ、前記螺子11にベースプレート30の係合孔31を係合させ後、螺子11を締付固定し、前記ベースプレート30の中央のナット37に、前記内側壁部材1に取付ける物品本体35の止着用ネジ36を螺合させる手すり等の物品取付方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タオル掛け、手すり、握り棒などの壁に取付ける等の物品の取付方法および取付装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、壁部材の任意位置に所定の大きさの壁挿入孔を形成し、壁挿入孔から折り畳自在の平板状の補強部材と紐状部材と止着用ネジを挿入し、この時、止着用ネジは補強部材の裏側に位置するように挿入した後、折り畳んだ補強部材を壁部材裏で広げ、次ぎに止着用ネジの先端に設けた紐状部材を手前に引きつつ、止着用ネジの先端を補強部材より突出させ、この止着用ネジの先端を壁挿入孔より更に手前に突出させて、この螺子軸部を紐状部材で引き出した状態で壁側固定部材を螺合させ、壁側固定部材に物品本体を取付ける手すり等の物品取付方法は、公知である(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−311005号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記公知例は、折り畳んだ補強部材を内側壁部材の裏側に一旦差し込んでから、広げるため、内側壁部材の裏側に補強部材を広げられる大きな間隔(スペース)がないと、装着不能であるという課題がある。
近年、内側壁部材と躯体の躯体壁面との間隔は狭くなる傾向があり、補強部材を裏側に入れてから変形させる手法は、採用できないのである。
即ち、内側壁部材と躯体の躯体壁面との間隔はデッドスペースであり、可及的に狭くしたいが、手すり、握り棒等の物品を取付けるため、止むを得ず広くしている事情があり、内側壁部材の裏側の間隔が狭いために、物品の取付を断念することになるのである。
また、公知例は、折り畳んだ補強部材を壁挿入孔より挿入し、紐状部材を引くと、補強部材が開くとしているが、内側壁部材の裏側の補強部材を変形させる作業は非常に困難であり、面倒である。
また、壁部材の裏側で止着用ネジを補強部材の裏側に位置させたままで補強部材を広げることは殆ど神業といえる。
更に、紐状部材を引いた状態の止着用ネジに壁側固定部材を螺合させることも、作業が面倒である。
本願は、内側壁部材の厚みと同等あるいはそれ以下の内側壁部材と躯体の躯体壁面との間隔であっても、取付け可能な手すり等の物品取付方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、内側壁部材1の任意位置に所定の大きさの壁挿入孔10を形成し、該壁挿入孔10の周辺には壁挿入孔10を中心とする同芯円上に複数の螺子挿入孔12を穿孔し、前記壁挿入孔10より小さい面積で板形状の補強片7を別途用意した工具により補強片7のつまみ部17を摘みながら壁挿入孔10に挿入し、該補強片7は変形させることなく内側壁部材1の裏面と平行方向に移動させて内側壁部材1の裏側に入れ、前記螺子挿入孔12と同数の補強片7の螺子筒15を、前記螺子挿入孔12に前記内側壁部材1の裏側から嵌合させ、各補強片7の螺子筒15に螺子11を前記内側壁部材1の表側から螺合させ、前記螺子11に、ベースプレート30の係合孔31を係合させ、螺子11を締付固定し、次に、前記ベースプレート30の中央のナット37に、前記内側壁部材1に取付ける物品本体35の止着用ネジ36を螺合させる手すり等の物品取付方法としたものである。
本発明は、躯体2の躯体壁面3に対して所定間隔Sを有して内側壁部材1を設置し、該内側壁部材1は前記間隔Sと同じかそれ以上の厚さTを有して形成し、該内側壁部材1の任意位置に所定の大きさの壁挿入孔10を形成し、該壁挿入孔10の周辺には壁挿入孔10を中心とする同芯円上に複数螺子挿入孔12を穿孔し、前記壁挿入孔10より小さい面積で且つ前記間隔Sより薄い前記螺子挿入孔12と同数の補強片7を、補強片7の端部のつまみ部17を別途用意した工具により摘みながら挿入し、挿入した補強片7のつまみ部17以外の部分を内側壁部材1の裏側に移動させ、次に、補強片7の螺子筒15を螺子挿入孔12に内側壁部材1の裏側から嵌合させ、これを反復して複数の各螺子挿入孔12に補強片7の螺子筒15を嵌合させ、各補強片7のつまみ部17は壁挿入孔10の内周に係合させ、次に各補強片7の螺子筒15に螺子11を螺合させて仮止めし、前記内側壁部材1の表に位置する各螺子11の頭部に、中心にナット37を有するベースプレート30の係合孔31を係合させ、各螺子11を締付固定し、前記ナット37に、内側壁部材1に取付ける物品本体35の止着用ネジ36を螺合させる手すり等の物品取付方法としたものである。
本発明は、前記各補強片7のつまみ部17の先端には透孔25を形成し、該透孔25には紐状部材26の一端を係止し、紐状部材26の他端を前記壁挿入孔10近傍の内側壁部材1の表面側に接着テープ27により貼着係止し、この状態で、各補強片7の螺子筒15を螺子挿入孔12に嵌合させ、次に各補強片7の螺子筒15に螺子11を螺合させる手すり等の物品取付方法としたものである。
本発明は、前記補強片7の螺子筒15は、前記内側壁部材1と躯体2の躯体壁面3との間の間隔Sより短い長さとし、前記つまみ部17は間隔Sより長く形成し、補強片7のつまみ部17を別途用意した工具により摘み、補強片7全体を内側壁部材1の壁挿入孔10に挿入し、つまみ部17を壁挿入孔10内を移動させることにより、螺子筒15を内側壁部材1の螺子挿入孔12の位置に合致させて、次に、つまみ部17を手前に引き、螺子筒15を螺子挿入孔12に裏側から嵌合させる手すり等の物品取付方法としたものである。
本発明は、前記内側壁部材1の厚さTと、前記内側壁部材1と躯体2の躯体壁面3との間の間隔Sとは、相対的に略同等となるように構成した手すり等の物品取付方法としたものである。
本発明は、躯体2の躯体壁面3に対して所定間隔Sを有して内側壁部材1を設置し、該内側壁部材1は前記間隔Sと同じかそれ以上の厚さTを有して形成し、該内側壁部材1の任意位置に所定の大きさの壁挿入孔10を形成し、該壁挿入孔10の径より小さく壁挿入孔10内に挿入可能な面積であって前記間隔Sより薄い板部材の補強片7に、前記壁挿入孔10の軸心方向と並行の螺子筒15およびつまみ部17とを固定し、前記螺子筒15は間隔Sより短く形成した手すり等の物品取付装置としたものである。
本発明は、前記螺子筒15は、前記壁挿入孔10の周辺に該壁挿入孔10を中心とする同芯円上に複数形成した螺子挿入孔12に内側壁部材1の裏側から嵌合し、前記つまみ部17は壁挿入孔10の内周に係合するように構成した手すり等の物品取付装置としたものである。
本発明は、前記つまみ部17の先端には透孔25を形成し、透孔25には所定長さの紐状部材26の一端を係止した手すり等の物品取付装置としたものである。
本発明は、前記補強片7は前記内側壁部材1の螺子挿入孔12と同数の補強片7により裏側補強具6を構成し、各補強片7の螺子筒15には螺子11を螺合させ、該螺子11により内側壁部材1の表側に、内側壁部材1に取付ける物品本体35の止着用ネジ36を螺合させるナット37を有するベースプレート30を固定した手すり等の物品取付装置としたものである。
本発明は、前記螺子筒15の周辺の補強片7の外周は円弧状の円弧部20に形成し、つまみ部17の周辺の補強片7の外周は傾斜直線部21に形成した手すり等の物品取付装置としたものである。
【発明の効果】
【0005】
請求項1の発明では、複数の補強片7を内側壁部材1の裏側に移動させて入れることにより、躯体壁面3と内側壁部材1との間の間隔が広いときは勿論のこと狭い間隔でも補強片7を変形させることなく装着でき、装着作業を頗る容易に全て内側壁部材1の表面側から作業ができ、この補強片7とベースプレート30により内側壁部材1を挟持するので、物品本体35を強固に固定できる。
請求項2の発明では、螺子挿入孔12に、補強片7の端部のつまみ部17を摘みながら螺子筒15を内側壁部材1の裏側から嵌合させるから、簡単確実に取付け作業ができる。
請求項3の発明では、紐状部材26により補強片7を仮止めでき、紐状部材26と離れた螺子筒15に螺子11を螺合させるので、補強片7の取付が頗る容易にできる。
請求項4の発明では、補強片7を内側壁部材1の裏側に位置させる作業を頗る容易にできる。
請求項5の発明では、所定厚さに形成した内側壁部材1を、内側壁部材1の厚さTと略同等の間隔となるように、躯体2の躯体壁面3に対して設置すれば、手すり等の物品を取付けることができる。
請求項6の発明では、補強片7に螺子筒15およびつまみ部17を固定すればよいので、簡単・安価に製造でき、取付け作業も容易にできる。
請求項7の発明では、内側壁部材1に壁挿入孔10を螺子挿入孔12を開ければよく、特殊な工具を要することなく取付け作業ができる。
請求項8の発明では、紐状部材26を補強片7に簡単に装着できる。
請求項9の発明では、複数の補強片7をベースプレート30に螺子11により一体状に固定するので、裏側補強具6の支持強度を向上させることができる。
請求項10の発明では、補強片7の円弧部20および傾斜直線部21により、壁挿入孔10への挿入作業および回転作業を容易にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の方法を実施しうる装置の一実施例を図により説明すると、1は内側壁部材であり、躯体2の躯体壁面3に対して所定間隔Sを有して設置され、内側壁部材1の所定位置には、手すり、タオル掛け、タオル載置棚、あるいは握り棒等の物品本体35を支持する壁側取付用器具5を取付ける。
内側壁部材1は、既存の内側壁部材1の場合は、内側壁部材1の厚さTが間隔Sより同じかそれ以上であれば、前記壁側取付用器具5の装着が可能であり、一方、新規に内側壁部材1を設置するときは、内側壁部材1の厚さTを壁側取付用器具5を支持しうる強度となるように設定し、この厚さTを基準に間隔Sが厚さTと同じかそれ以下となるように、内側壁部材1を設置する。
【0007】
前記内側壁部材1の所定位置には、壁側取付用器具5の一部を構成する裏側補強具6の補強片7を挿入する壁挿入孔10を形成する。壁挿入孔10は所定の大きさを有し、壁挿入孔10の周辺には、壁挿入孔10を中心とする同芯円上に複数(3個以上)の螺子11を挿入する螺子挿入孔12を設ける。
裏側補強具6は、前記螺子挿入孔12に内側壁部材1の裏側から挿入する螺子筒15を固定した補強片7を螺子挿入孔12と同数有して構成する。補強片7は壁挿入孔10の軸心方向に対する交差方向で前記間隔Sより薄い板部材により形成する。螺子筒15は壁挿入孔10の軸心方向と平行で内側壁部材1の表側に向けて突き出るように各補強片7に固定し、補強片7の所定位置には前記螺子筒15と並行のつまみ部17を設ける。
【0008】
補強片7は、螺子筒15の周辺の外周を円弧状の円弧部20に形成し、つまみ部17の周辺の外周は壁挿入孔10内への挿入を容易にする傾斜直線部21に形成すると共に、壁挿入孔10の内径より小さ面積で、且つ、壁挿入孔10より内側壁部材1の裏側に挿入させうる範囲で可及的に大きく形成すると、内側壁部材1の裏面との接触面積を大きくでき、支持強度が向上して、好適である。
また、螺子筒15は、内側壁部材1と躯体壁面3との間の間隔Sより短い長さとなるように形成する。
【0009】
前記つまみ部17の先端には、透孔25を形成し、透孔25には落下防止用の紐状部材26を挿通する。
裏側補強具6は、紐状部材26の端部を内側壁部材1の外面に接着テープ27により貼着し、各補強片7のつまみ部17をペンチ等の工具により摘み、内側壁部材1の壁挿入孔10に挿入し、つまみ部17ごと工具により補強片7を回転させて螺子筒15を螺子挿入孔12に裏側に位置させ、次に、つまみ部17を引いて螺子筒15を螺子挿入孔12に裏側から嵌合させ、次に、つまみ部17を壁挿入孔10の内周に係合させ、この補強片7の挿入作業を反復して、各螺子挿入孔12に各補強片7の螺子筒15を装着する。
【0010】
次に、各螺子挿入孔12に装着した補強片7の紐状部材26を貼着させた状態で、螺子11の先端を螺子挿入孔12内の螺子筒15に螺合させ、これを反復して、各螺子挿入孔12の補強片7の全ての螺子筒15に螺子11を螺合させ、裏側補強具6を内側壁部材1に取付ける。
この各螺子11に、壁側取付用器具5の一部を構成するベースプレート30の係合孔31を係合させる。係合孔31は、螺子11の螺子頭部11Aの通る円形部32と、螺子軸部11Bの通る係合溝部33に形成し、各係合孔31の円形部32を螺子11の螺子頭部11Aに嵌合させ、次に、ベースプレート30を回転させて係合孔31の係合溝部33を螺子軸部11Bに係合させ、この状態で螺子11を締め込んで、ベースプレート30を内側壁部材1に固定する。
【0011】
この場合、内側壁部材1が薄く、螺子筒15の先端が螺子挿入孔12より内側壁部材1の表側に突出するときには、ベースプレート30の厚さを厚くしてもよく、前記内側壁部材1の厚さTは、ベースプレート30の厚さを足した場合でも、前記壁側取付用器具5の装着が可能となる。
【0012】
しかして、ベースプレート30の中央裏面には、物品本体35の止着用ネジ36が螺合するナット37を固定する。
この場合、円形部32は係合溝部33に対して時計回転側に設けると、止着用ネジ36をドライバーで締め込んだときベースプレート30の回転を停止させて、緩み発生を防止でき、作業が容易になって、好適である。
38は壁側取付用器具5の一部を構成するパッキンシール部材、39はパッキンシール部材38の透孔、40はカバーである。
【0013】
前記物品本体35は手すり、タオル掛け、タオル載置棚、あるいは握り棒等の物品であればよく、この名称に限定されるものではない。また、物品本体35の形状は、任意であり、内側壁部材1に向けて突出る中空筒形状の突出部43を有していればよく、この突出部43に止着用ネジ36を設ければよい。
前記止着用ネジ36を物品本体35に設ける物品側取付具45の構成の一例を示すと、物品側取付具45は物品本体側取付部材46と物品本体側取付部材46に取付ける壁側固定部材47により構成する。
【0014】
物品側取付具45は、壁側固定部材47の取付孔48から止着用ネジ36を挿入して、前記ベースプレート30の中央裏面のナット37に螺合させて、壁側固定部材47を、壁側取付用器具5に固定する。
一方、物品本体側取付部材46は物品本体35の突出部43に回転自在および軸心方向に移動自在に装着し、物品本体側取付部材46の内周に設けた螺子溝49を、予め、前記内側壁部材1に取付けた壁側固定部材47の外周に設けた螺子溝50に螺合させて取付けて固定する。51は物品本体側取付部材46の抜け止め、52はカバー、53はカバー52を螺合させる螺子溝である。
【0015】
(実施例の作用)
内側壁部材1の所定位置に壁挿入孔10を形成し、壁挿入孔10の周辺には、壁挿入孔10を中心とする同芯円上に3個以上の螺子挿入孔12を形成する。
紐状部材26の端部を内側壁部材1の外面に接着テープ27により貼着し、裏側補強具6の補強片7のつまみ部17をペンチ等の工具により摘み、補強片7を内側壁部材1の壁挿入孔10に挿入し、補強片7の螺子筒15を内側壁部材1の裏側の間隔S内を内側壁部材1の裏面に沿って移動させて、螺子筒15が内側壁部材1の螺子挿入孔12の位置に合致したとき、つまみ部17を手前に引き、螺子筒15を螺子挿入孔12に裏側から嵌合させる。
【0016】
この螺子筒15が螺子挿入孔12に嵌合させた状態で、つまみ部17を壁挿入孔10の内周に係合させ、この作業を反復して、各螺子挿入孔12に裏側補強具6の螺子筒15を装着する。
即ち、図8のように、補強片7を壁挿入孔10に挿入し(ペンチ等の工具省略)、図8において下方に移動させ、次に、補強片7を壁挿入孔10に挿入し(図9)、左側の螺子挿入孔12に螺子筒15を嵌合させ、この作業を反復して、図10では最後の補強片7を壁挿入孔10に挿入して装着している。
【0017】
しかして、各螺子挿入孔12に補強片7の螺子筒15を装着すると、紐状部材26を引いた状態で、螺子11の先端を螺子挿入孔12内の螺子筒15に螺合させ、これを反復して、全ての補強片7の螺子筒15に螺子11を螺合させる。
したがって、各補強片7は螺子筒15に螺子11が螺合しているので、仮止め状態となって、間隔S内に落下することはない。
【0018】
しかして、ベースプレート30の係合孔31とパッキンシール部材38の透孔39を合わせて、ベースプレート30の係合孔31に螺子11を合わせて内側壁部材1の表面に当接させ、次に、ベースプレート30を回転させて係合孔31の係合溝部33を螺子11の螺子軸部11Bに係合させ、この状態で螺子11を締め込んで、ベースプレート30を内側壁部材1に固定する。
【0019】
この場合、円形部32は係合溝部33に対して時計回転側に設けると、螺子11をドライバーで締め込むときのベースプレート30の回転を停止させることができ、作業が容易になって、好適である。
次に、ベースプレート30の表面側にカバー40を取付け、カバー40に物品側取付具45の壁側固定部材47を当接させ、次に、壁側固定部材47の取付孔48から止着用ネジ36を挿入し、止着用ネジ36は内側壁部材1の表側からベースプレート30のナット37に螺合させる。
【0020】
止着用ネジ36がベースプレート30のナット37に螺合すると、物品側取付具45の壁側固定部材47が予め内側壁部材1に固定され、この壁側固定部材47に物品本体側取付部材46を介して物品本体35を取付ける。
したがって、別途、工具等は要せずに、壁側取付用器具5に壁側固定部材47を表側から取付けられる。
【0021】
しかして、壁側取付用器具5は、裏側補強具6とベースプレート30により構成し、裏側補強具6は、複数の補強片7により形成し、補強片7には螺子筒15とつまみ部17を設けているから、壁挿入孔10内につまみ部17を留めた状態で内側壁部材1と躯体壁面3との間の間隔S内で補強片7を回転移動作業させることができる。
【0022】
即ち、補強片7は間隔Sより薄い板部材とし、螺子筒15は内側壁部材1と躯体壁面3との間の間隔Sより短い長さとし、つまみ部17は間隔Sより短い長さに形成しているので、つまみ部17により補強片7を壁挿入孔10に挿入してから壁挿入孔10の放射方向への移動が可能になり、螺子筒15を螺子挿入孔12に裏側から嵌合させられる。
【0023】
換言すると、既存の内側壁部材1の場合は、内側壁部材1の厚さTが間隔Sより同じかそれ以上であれば、前記壁側取付用器具5の装着が可能であり、一方、新規に内側壁部材1を設置するときは、内側壁部材1の厚さTを壁側取付用器具5を支持しうる強度となるように設定し、この厚さTを基準に間隔Sが厚さTと同じかそれ以下となるように、内側壁部材1を設置すると、建物の空間を有効利用できる。
【0024】
しかして、一つの補強片7は、つまみ部17が壁挿入孔10内に位置するだけで、補強片7の他の部分は内側壁部材1の裏側に位置するので、次の補強片7を壁挿入孔10内に挿入する作業の妨げにはならない。
したがって、内側壁部材1の奥側に躯体壁面3があって、内側壁部材1と躯体壁面3の間の間隔Sが狭くても、壁側取付用器具5の裏側補強具6の補強片7は、変形させることなく壁挿入孔10に挿入してから放射方向に移動できるので、躯体壁面3に邪魔されずに内側壁部材1の裏側に挿入できる。
【0025】
しかも、間隔Sより長さの短い螺子筒15と該螺子筒15の軸心の交差方向で壁挿入孔10の面積より小さい補強片7により形成した裏側補強具6を複数内側壁部材1の裏側に装着することで、強固に支持しうる裏側補強具6となる。
この場合、各補強片7は、つまみ部17が壁挿入孔10の内周に係合するので、螺子筒15とつまみ部17の二箇所で支持されるから、脱落を防止する。
【0026】
しかして、紐状部材26の端部を内側壁部材1の外面に接着テープ27により貼着した状態で、螺子筒15を螺子挿入孔12に嵌合させるように、つまみ部17を壁挿入孔10の内周に係合させる作業を行うので、一層、補強片7の脱落を防止し、組み付け作業を容易にする。
したがって、裏側補強具6は内側壁部材1の裏側に位置するから、表側から螺子11を螺子筒15に簡単に螺合させることができ、裏側補強具6の組立作業を頗る容易にする。
【0027】
しかして、壁側取付用器具5は、内側壁部材1に形成した壁挿入孔10の径より小なる面積の補強片7を有して構成し、複数個の補強片7を夫々壁挿入孔10と同芯の円周上に配置し、裏側補強具6の螺子筒15に螺子11を螺合させているので、この螺子11にベースプレート30の係合孔31を係合させることにより、ベースプレート30に物品本体35の止着用ネジ36を螺合させるナット37を設けることができる。
【0028】
この場合、壁挿入孔10から挿入した補強片7が、変形して大きくなることがなくても、壁挿入孔10の軸心方向に対して放射方向に移動するから、従来の軸棒部材の裏側補強具では装着不可能な狭い間隔Sでも装着可能となる。
また、複数の補強片7が、壁挿入孔10の径より遥かに大きい面積で、内側壁部材1の裏面に当接するから、内側壁部材1と躯体壁面3の間の間隔Sの間隔が狭くても、裏側補強具6は、物品本体35の荷重を支持する大きさとなって、壁側取付用器具5の取付が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】壁側取付用器具の組立ておよび物品本体の取付状態概略説明図。
【図2】壁側取付用器具の裏側補強具の補強片の装着状態斜視図。
【図3】補強片の装着状態斜視図。
【図4】補強片の螺子筒に螺子を螺合させた状態斜視図。
【図5】ベースプレートとパッキンシール部材の斜視図。
【図6】補強片の装着状態正面図。
【図7】壁側取付用器具の取付状態断面図。
【図8】補強片の装着状態正面図。
【図9】補強片の装着状態正面図。
【図10】補強片の装着状態正面図。
【符号の説明】
【0030】
1…内側壁部材、2…躯体、3…躯体壁面、5…壁側取付用器具、6…裏側補強具、10…壁挿入孔、11…螺子、12…螺子挿入孔、15…螺子筒、16…補強片、17…つまみ部、20…円弧部、21…傾斜直線部、25…透孔、26…紐状部材、27…接着テープ、30…ベースプレート、31…係合孔、32…円形部、33…係合溝部、35…物品本体、36…止着用ネジ、37…ナット、38…パッキンシール部材、39…透孔、40…カバー、43…突出部、45…物品側取付具、46…物品本体側取付部材、47…壁側固定部材、48…取付孔、49…螺子溝、50…螺子溝、51…抜け止め、52…カバー、53…螺子溝。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側壁部材1の任意位置に所定の大きさの壁挿入孔10を形成し、該壁挿入孔10の周辺には壁挿入孔10を中心とする同芯円上に複数の螺子挿入孔12を穿孔し、前記壁挿入孔10より小さい面積で板形状の補強片7を別途用意した工具により補強片7のつまみ部17を摘みながら壁挿入孔10に挿入し、該補強片7は変形させることなく内側壁部材1の裏面と平行方向に移動させて内側壁部材1の裏側に入れ、前記螺子挿入孔12と同数の補強片7の螺子筒15を、前記螺子挿入孔12に前記内側壁部材1の裏側から嵌合させ、各補強片7の螺子筒15に螺子11を前記内側壁部材1の表側から螺合させ、前記螺子11に、ベースプレート30の係合孔31を係合させ、螺子11を締付固定し、次に、前記ベースプレート30の中央のナット37に、前記内側壁部材1に取付ける物品本体35の止着用ネジ36を螺合させる手すり等の物品取付方法。
【請求項2】
躯体2の躯体壁面3に対して所定間隔Sを有して内側壁部材1を設置し、該内側壁部材1は前記間隔Sと同じかそれ以上の厚さTを有して形成し、該内側壁部材1の任意位置に所定の大きさの壁挿入孔10を形成し、該壁挿入孔10の周辺には壁挿入孔10を中心とする同芯円上に複数螺子挿入孔12を穿孔し、前記壁挿入孔10より小さい面積で且つ前記間隔Sより薄い前記螺子挿入孔12と同数の補強片7を、補強片7の端部のつまみ部17を別途用意した工具により摘みながら挿入し、挿入した補強片7のつまみ部17以外の部分を内側壁部材1の裏側に移動させ、次に、補強片7の螺子筒15を螺子挿入孔12に内側壁部材1の裏側から嵌合させ、これを反復して複数の各螺子挿入孔12に補強片7の螺子筒15を嵌合させ、各補強片7のつまみ部17は壁挿入孔10の内周に係合させ、次に各補強片7の螺子筒15に螺子11を螺合させて仮止めし、前記内側壁部材1の表に位置する各螺子11の頭部に、中心にナット37を有するベースプレート30の係合孔31を係合させ、各螺子11を締付固定し、前記ナット37に、内側壁部材1に取付ける物品本体35の止着用ネジ36を螺合させる手すり等の物品取付方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記各補強片7のつまみ部17の先端には透孔25を形成し、該透孔25には紐状部材26の一端を係止し、紐状部材26の他端を前記壁挿入孔10近傍の内側壁部材1の表面側に接着テープ27により貼着係止し、この状態で、各補強片7の螺子筒15を螺子挿入孔12に嵌合させ、次に各補強片7の螺子筒15に螺子11を螺合させる手すり等の物品取付方法。
【請求項4】
請求項1または請求項2または請求項3において、前記補強片7の螺子筒15は、前記内側壁部材1と躯体2の躯体壁面3との間の間隔Sより短い長さとし、前記つまみ部17は間隔Sより長く形成し、補強片7のつまみ部17を別途用意した工具により摘み、補強片7全体を内側壁部材1の壁挿入孔10に挿入し、つまみ部17を壁挿入孔10内を移動させることにより、螺子筒15を内側壁部材1の螺子挿入孔12の位置に合致させて、次に、つまみ部17を手前に引き、螺子筒15を螺子挿入孔12に裏側から嵌合させる手すり等の物品取付方法。
【請求項5】
請求項1または請求項2または請求項3または請求項4において、前記内側壁部材1の厚さTと、前記内側壁部材1と躯体2の躯体壁面3との間の間隔Sとは、相対的に略同等となるように構成した手すり等の物品取付方法。
【請求項6】
躯体2の躯体壁面3に対して所定間隔Sを有して内側壁部材1を設置し、該内側壁部材1は前記間隔Sと同じかそれ以上の厚さTを有して形成し、該内側壁部材1の任意位置に所定の大きさの壁挿入孔10を形成し、該壁挿入孔10の径より小さく壁挿入孔10内に挿入可能な面積であって前記間隔Sより薄い板部材の補強片7に、前記壁挿入孔10の軸心方向と並行の螺子筒15およびつまみ部17とを固定し、前記螺子筒15は間隔Sより短く形成した手すり等の物品取付装置。
【請求項7】
請求項6において、前記螺子筒15は、前記壁挿入孔10の周辺に該壁挿入孔10を中心とする同芯円上に複数形成した螺子挿入孔12に内側壁部材1の裏側から嵌合し、前記つまみ部17は壁挿入孔10の内周に係合するように構成した手すり等の物品取付装置。
【請求項8】
請求項6または請求項7において、前記つまみ部17の先端には透孔25を形成し、透孔25には所定長さの紐状部材26の一端を係止した手すり等の物品取付装置。
【請求項9】
請求項6または請求項7または請求項8において、前記補強片7は前記内側壁部材1の螺子挿入孔12と同数の補強片7により裏側補強具6を構成し、各補強片7の螺子筒15には螺子11を螺合させ、該螺子11により内側壁部材1の表側に、内側壁部材1に取付ける物品本体35の止着用ネジ36を螺合させるナット37を有するベースプレート30を固定した手すり等の物品取付装置。
【請求項10】
請求項6または請求項7または請求項8または請求項9において、前記螺子筒15の周辺の補強片7の外周は円弧状の円弧部20に形成し、つまみ部17の周辺の補強片7の外周は傾斜直線部21に形成した手すり等の物品取付装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−154517(P2007−154517A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−351233(P2005−351233)
【出願日】平成17年12月5日(2005.12.5)
【出願人】(390011936)株式会社リラインス (2)
【Fターム(参考)】