説明

手の消毒用デバイス

本発明は、本体内で電気分解された活性溶液の噴霧による、手洗い及び手の消毒のためのデバイスに関する。分配された溶液は、オゾン又は過酸化物が任意的に付加された活性塩素を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人間の衛生の使用に適した溶液を生成および解放するためのシステムに関し、特に、手を洗い消毒するのに適した溶液の生産及び解放のための電気化学システムの使用時点に関する。
【背景技術】
【0002】
手を洗うのに適した溶液又はジェルの解放のためのデバイスは、家庭環境に加えて、いくつかの公共の場所で存在し、大衆又は通行が多い公共の場所(空港や鉄道駅、高速道路のサービスステーション、劇場、映画館、スポーツイベント用会場)で改善された保護を得るために、例えば、殺菌特性を有する消毒物質を含む製品で一般の液体ソープディスペンサーを満たすためにことがますます共通の実施である。代替的に、消毒用液は、続いて放出される必要がある消費物を含む不便さを有する使い捨ての浸したティッシュで提供される。便利ではあるが、一般の使用のジェル及び溶液は、幅広いスペクトルの保護を提供せず、当該分野で公知の幅広いスペクトルの殺菌剤は、実際には、過度のコストによって、または不十分あるいはほとんどない再生性の貯蔵寿命によって特徴付けられる。多くの場合、通常の抗菌製品が提供する保護は、受け入れ可能と考えられるが、広いスペクトルの保護が公衆衛生を維持するために非常に望まれる他の環境がある。例えば、これは、高価な特定の製品が一般的に使用されている病院や診療所の場合や食品が処理される場所(例えば、公共のレストラン、肉屋、パン屋、菓子店の台所)あるいは分配される場所(例えば、食堂やレストラン)である。
【0003】
従って、環境の広い範囲で手の消毒のための効率的かつ安価なシステムを提供する必要性が確認される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の様々な実施形態は、添付の特許請求の範囲に記載される。一実施形態では、本発明は、消毒特性を有する酸化剤溶液を生成及び噴霧するのに適当なデバイスで構成され、手を挿入するための凹部と、予め決められた時間の間、水性電解質媒体の電気分解によって酸化剤溶液を生成するのに適当な、タイマーを有する電気化学セルと、手を挿入するための凹部内にある酸化剤溶液を噴霧するための手段と、凹部内の手の挿入を検知するのに適当な少なくとも一つのプローブと、電気化学セル内の水電気分解媒体の予め決められた量のアップロードと、電気分解の時限実行とを命令するのに適当なアクチュエータと、を有する剛体を備え、プローブ及び噴霧するための手段は、プローブの検知に基づいた酸化剤溶液の噴霧を命令する電気制御盤に接続される。本発明のデバイスは、例えば、それらの濃度が短い時間でさえ保証されることを許容するために鋭い時間減衰を有し、製造時に高い抗菌作用によって特徴づけられた、活性塩素、オゾン又は過酸化物などの種を含む酸化溶液を、効率的で費用対効果の高い方法で生成するのに使用される。例えば、活性塩素は、有利には、好ましくは20乃至300ppm、20ppm以下の濃度で、平衡状態で次亜塩素酸塩又は次亜塩素酸の混合物の形態で使用され、抗菌作用は実際には効率的でないが、あまりにも高い濃度で、積極的な作用が人間の皮膚に対して過剰に生じる。300ppmの活性塩素を含む溶液は、それにもかかわらず、人間の皮膚への適用には適さない濃度での苛性ソーダで安定化されるか、より毒性があり非常に高価である塩素のゆっくりとしたリリースによって特徴づけられる有機種の形で提供されない限り、ディスペンサーの詰め替え用製品として保管され供給されるのに不十分な安定性を有する。活性塩素を含む酸化剤溶液の製品の本体内の使用時点は、安定化を必要としないで使用に適当な濃度で直接的に得られる利点がある。アルカリ塩化物の塩水、例えば、塩化ナトリウムの電気分解によって生成される活性塩素を含む酸化剤溶液は、その後すぐに分解される少量の活性酸素、例えば、微量なオゾン又は過酸化物を含むことができる。これは、生成溶液の抗菌または殺菌作用の効率をさらに高めるという利点を有することができる。
【0005】
一実施形態では、デバイスのアクチュエータは、電解質の水性媒体、例えば、ナトリウム又はカリウムの塩化物などのアルカリ金属塩化物の塩水の予め決められた量を電気化学セルにアップロードすることを許容し、それを電気分解にさらし、一実施形態では、電解液の予め決められた量は、1乃至20mlで構成される。一実施形態では、電解質媒体の電気分解は、例えば、任意的な微量なオゾン又は過酸化物を有する20乃至300ppmの活性塩素である酸化種の適切な濃度が達成されるまで1乃至5秒の間実施される。一実施形態では、アクチュエータの動作及び電気分解の完了後の凹部への手の挿入は、適当なプローブによって検知され、プローブは、一実施形態では、光電池からなり、手の挿入が検知されたときに、電気制御盤は、プローブの信号を受け取り、例えば、それを通じて電解的に生成された酸化剤溶液が手に噴霧される噴霧器からなる噴霧手段の動作を命令する。
【0006】
一実施形態では、適当な凹部への対応する手の挿入が検知されないでアクチュエータが予め決められた回数、例えば、2乃至5回に対して作動されるときに、電気制御盤は、とにかく、生成された酸化剤溶液の噴霧を命令する。これは、電解質媒体の電気分解を命令するアクチュエータを繰り返し動作する際に、酸化剤溶液の過度の蓄積が起こるあるいはその濃度が過度の量まで増加することを避ける利点を有することができる。例えば、生成物の排出が行われる前の最初の電解液のアップロード後に溶液の追加量をアップロードする可能性がない状態で100ppmの活性塩素の濃度を有する酸化剤溶液を生成するように設定されたセルでは、最適なインターバルの上限と考えられる300ppmを超える酸化剤溶液の活性塩素の濃度を防止するために、連続した3回以上に対してアクチュエータが迅速なシーケンスで動作されることを避けられる。
【0007】
一実施形態では、本発明は、消毒特性を有する酸化剤溶液を生成及び噴霧するのに適当なデバイスで構成され、手を挿入するための凹部と、予め決められた時間の間、水性電解質媒体の電気分解によって酸化剤溶液を生成するのに適当な、タイマーを有する電気化学セルと、手を挿入するための凹部内にある酸化剤溶液を噴霧するための手段と、凹部内の手の挿入を検知するのに適当な少なくとも一つのプローブと、電気分解の時間実行を命令するのに適当なアクチュエータとを有する剛体を備え、電気化学セル、プローブ及び噴霧するための手段は、電気化学セル内の水性電解質媒体の予め決められた量のアップロード、続いて行われる電気化学セル内の電気分解の時限実行、及び、任意的に光電池からなるプローブの検知に基づいた生成物の酸化剤溶液の続いて行われる噴霧の命令をするのに適当な電気制御盤に接続される。この場合では、デバイスは、前記機能が手の挿入を検知するのに適当なプローブによって実行されるので、更にアクチュエータを備える必要がない。また、この場合では、電解液の予め決められた量は、1乃至20mlで構成され、電解質媒体の電気分解は、例えば、任意的な微量なオゾン又は過酸化物を有する20乃至300ppmの活性塩素である酸化種の適切な濃度が達成されるまで1乃至5秒の間実施される。
【0008】
生成酸化剤溶液の構成物は、水性電解質媒体の構成物及び電極の性質、特に当業者に明らかである電解セルに取り付けられたアノードの性質に作用することによって変更されることができる。例えば、次亜塩素酸塩又は次亜塩素酸の生成は、次亜塩素酸種に向かって平衡をシフトするように任意的に酸味を帯びた希薄塩化ナトリウム塩水、及び、ルテニウム、イリジウム、パラジウム、チタン、ジルコニウムまたはタンタルなどの遷移金属の酸化物をベースとする触媒で活性化されたチタンアノードを使用することによって得られることができる。同様に、(例えば、錫及びアンチモンの混合酸化物に基づいたアノードを有する水道水、あるいはホウ素ドープダイヤモンドアノードを有する脱イオン水から始まる)オゾン、(例えば、エア供給されたガス拡散電極が提供されたセルの酸性またはアルカリ性電解液からの)過酸化物、又は、活性塩素及び(過炭酸ナトリウム及びホウ素ドープダイヤモンドアノードが任意的に付加された水道水を有する)過炭酸塩や硫酸塩などの混合過酸化物を含む溶液を生成することができる。
【0009】
生成溶液中の酸化種の濃度は、電極の活性表面、電流密度、電気分解の量及び電解期間で決定することによって調整されることができ、当業者は、適切な組成範囲内の酸化剤溶液の調製のための最も有利なパラメータを容易に決定することができる。任意的な微量な活性酸素を有する、主に次亜塩素酸塩の形態の活性塩素を含む酸化剤溶液の生成は、小型電解セル用の、減少した電解時間を有する非常に安価で便利な電解質媒体から始まる最適な殺菌特性を持つ生成物を提供する利点を有することができ、例えば、1−10g/lの単純な塩化ナトリウム溶液の6mlのロードは、1乃至2kA/mの電流密度で6乃至21cmの合計アノード領域で1乃至2秒の時間範囲で20−300ppmの活性塩素を生成することができる。塩化ナトリウム溶液は、剛体の内側に収容された又はそれに外部的に配置された、例えばデバイスの上にセルと流体連通して配置された、飲料水配給のために一般的に使用されるようなディスペンサーボトルによってデバイスにアップロードされることができる。代替的な実施形態では、塩化ナトリウム溶液は、使い捨てのカートリッジを介して供給されることができる。一実施形態では、塩化ナトリウムの塩水は、例えば、予め決められた水の量に任意的に粉末又は錠剤として予め投与された塩化ナトリウムの量を溶解することによって、使用時に準備されることができる。
一実施形態では、デバイスは、単独または相互に組み合わされた、グリッド、充電式電池または太陽電池パネルから電力供給される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明にかかる手の消毒のためのデバイスの実施形態の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1に示す実施形態では、手の消毒用デバイスは、適当な寸法の手挿入部2のための凹部が提供された剛体1を備え、剛体の内部では、アクチュエータ6、例えば、中央プロセスユニットに任意的に接続されたスタートボタンは、予め決められた電流密度での電気化学セル4に対する予め決められた電解液、例えば、ディスペンサーボトル7に含まれた塩溶液の量のアップロードを命令すると共に、続いて起こる電気化学セル4内の電気分解プロセスの時限実行を命令する。凹部2の内部では、適当なプローブ、例えば、光電池3が、手の挿入を検知して、信号を電気制御盤8に送信し、電気制御盤8は、例えば、電気化学セル4の出口と連通すると共に、適当な濃度で高い抗菌活性を有する種を含む酸化溶液からなる時限電気分解の製品が供給される、噴霧器5からなる噴霧手段を作動する。
【0012】
本発明によって得られた最も重要な結果のいくつかは、本発明の範囲を制限するものではない以下の例で説明される。

図1で示されたものと同等のデバイスは、0.15mmの距離で対面配置されると共に21cmの全表面によって特徴づけられた、チタン、パラジウム、ルテニウム及びイリジウムの酸化物の混合物で被覆されたチタンアノードを備えた分割されない電解槽を装備された。電解槽は、剛体の上に配置されると共に中央プロセスユニットによって命令されるキャリブレートロードデバイスの手段によってそれに接続されたディスペンサーボトルに収容された4g/lの塩化ナトリウムを含む溶液が供給される。また、電解槽は、剛体の上面に係合されたリリーフバルブに接続された、ガス副産物のための出口が提供される。プロセス中央ユニットは、アノードとカソードとしての仏の電極の一方を交互に操作するように設定され、アクチュエータとして提供されたスタートボタンのあらゆる次の動作で極性を反転する。装置は、6mlの電解液の負荷量を設定することにより実行され、電気分解プロセスの時間と電流密度を変更する。2000A/mの電流密度での2秒の電解時間は、微量な過酸化物と共に、主に次亜塩素酸イオンとしての300ppmの活性塩素を含む酸化剤溶液を生成するのに十分に証明された。この場合、噴霧器を命令する電気制御盤は、光電池によって装置への手の挿入が検知されなかった場合でも、スタートボタンを押した後5秒間生成物溶液を排出するように設定された。中央処理ユニットで設定された電解時間及び電流密度を低減することにより、活性塩素の比例的に低い濃度が得られ、噴霧器を制御する電気制御盤はアイドルサイクルの多い数の後(例えば、100ppmの活性塩素の濃度のためにアクチュエータの3つの連続動作後)、生成酸化剤溶液を排出するように設定されることができる。
【0013】
当業者は、本発明の範囲から逸脱しないで説明された実施形態に対していくつかの変更を容易にすることができ、前に述べたように、電解質組成及び電極の種類によって実行することにより、酸化剤溶液の様々な組成物が必要に応じて容易に得られることができる。また、実施例の分割されないセルに置き換えることができ、電極の各々は、セパレータ(例えば、セラミックセパレータ又はイオン交換膜)が提供されたセルに関し、及び任意的に異なる配合の非互換性のアノードとカソードに関し、交互にアノードとして及びカソードとして機能する。霧状手段の制御電気盤として、電解パラメータを制御する中央プロセスユニットまたは異なる中央プロセスユニットのいずれかを使用することができる。また、未使用の酸化剤溶液を排出するために、制御電気基盤は、手の挿入が検知されない場合でも予め決められた時間後に溶液の噴霧を命令するように提供することができる。
【0014】
前述の説明は、本発明を制限するものとして意図されず、その範囲から逸脱しないで様々な実施形態に従って使用されることができ、その範囲は添付の特許請求の範囲だけによって画定される。
【0015】
本出願の明細書および特許請求の範囲を通して、用語“備える”及び“備えている”及び“備える”などのその変形は、他の要素、構成要素又は追加のプロセスステップの存在を除外するものではない。
【0016】
文書、実行、材料、装置、物品等の議論は、本発明のためのコンテクストを提供するための目的のためだけに本明細書中に含まれる。
これらの事項のいずれかまたはすべては、従来の基盤の一部を形成するか、このアプリケーションの各クレームの優先日前の本発明に関連する分野に共通の一般的知識であることが示唆されていないあるいは表されていない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
剛体を備える手の消毒のためのデバイスであって、
剛体は、
手を挿入するための凹部と、
予め決められた時間の間、水性電解質媒体の電気分解によって酸化剤溶液を生成するのに適当な、タイマーを有する電気化学セルと、
手を挿入するための凹部内にある酸化剤溶液を噴霧するための手段と、
凹部内の手の挿入を検知するのに適当な少なくとも一つのプローブと、
電気化学セル内の水性電解質媒体の予め決められた量のアップロードと、電気分解の時限実行とを命令するのに適当なアクチュエータと、を有し、
プローブ及び噴霧するための手段は、プローブの検知に基づいた酸化剤溶液の噴霧を命令するのに適当な電気制御盤に接続される、デバイス。
【請求項2】
請求項1記載のデバイスにおいて、
アクチュエータは、電気制御盤に接続されており、アクチュエータがプローブの検知とは関係なく、予め決められた回数に対して連続的に引き起こされるときに酸化剤溶液の噴霧を命令する、デバイス。
【請求項3】
剛体を備える手の消毒のためのデバイスであって、
剛体は、
手を挿入するための凹部と、
予め決められた時間の間、水性電解質媒体の電気分解によって酸化剤溶液を生成するのに適当な、タイマーを有する電気化学セルと、
手を挿入するための凹部内にある酸化剤溶液を噴霧するための手段と、
凹部内の手の挿入を検知するのに適当な少なくとも一つのプローブと、を有し、
プローブ、電気化学セル及び噴霧するための手段は、電気化学セル内の水性電解質媒体の予め決められた量のアップロード、電気分解、及び、プローブの検知に基づいた酸化剤溶液の噴霧の命令をするのに適当な電気制御盤に接続される、デバイス。
【請求項4】
請求項1乃至3のうちのいずれか一つに記載のデバイスにおいて、
酸化剤溶液は、20乃至300ppmの活性塩素と、任意的な微量なオゾン又は過酸化物とを含む、デバイス。
【請求項5】
請求項4記載のデバイスにおいて、
前記予め決められた量は、1乃至20mlである、デバイス。
【請求項6】
請求項4又は5記載のデバイスにおいて、
前記予め決められた時間は、1乃至5秒である、デバイス。
【請求項7】
請求項1乃至6のうちのいずれか一つに記載のデバイスにおいて、
手の挿入を検知するのに適当な少なくとも一つのプローブは、光電池である、デバイス。
【請求項8】
請求項1乃至7のうちのいずれか一つに記載のデバイスにおいて、
水性電解質媒体は、ディスペンサーボトルから電気化学セルに供給されたアルカリ塩化物の塩水である、デバイス。
【請求項9】
請求項1乃至7のうちのいずれか一つに記載のデバイスにおいて、
水性電解質媒体は、使い捨てのカートリッジから電気化学セルに供給されたアルカリ塩化物の塩水である、デバイス。
【請求項10】
グリッド、充電式電池または太陽電池パネルからの電力供給を備えた、請求項1乃至9のうちのいずれか一つに記載のデバイス。
【請求項11】
実質的に図面に関連して前に述べられた手の消毒のためのデバイス。

【図1】
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【公表番号】特表2013−517867(P2013−517867A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−550430(P2012−550430)
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【国際出願番号】PCT/EP2011/051078
【国際公開番号】WO2011/092211
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(507128654)インドゥストリエ・デ・ノラ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ (29)
【Fターム(参考)】