説明

手ぶれ補正機能付き撮像装置

【課題】1次電池及び2次電池を搭載し、かつ手ぶれ補正機能を備えている場合でも、最適な撮影可能枚数を確保することが可能な撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像素子と、撮影光学系と、装置本体に加えられた振動を検出する手ぶれ検出手段と、手ぶれ検出手段からの検出信号に基づいて前記撮像素子の位置を調整するボイスコイルモータとを備えた手ぶれ補正機能付き撮像装置であって、装置本体内には1次電池及び2次電池が設けられている一方、2次電池の容量を検出する容量検出手段と、1次電池と2次電池のどちらが接続されているのかを判別する電池判別手段と、容量検出手段で検出された検出情報及び電池判別手段での判別情報に基づいて、ボイスコイルモータの動作速度テーブルの設定及びその動作速度テーブルの切替を行う切替制御手段とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手ぶれ補正機能を備えた撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、デジタルカメラなどの光学撮像素子を搭載した撮像装置として、撮影者の手ぶれを防止する手ぶれ防止機構を搭載した撮像装置が知られている。このような撮像装置においては、乾電池等から成る1次電池と、充電可能で繰り返し使用できるリチウム2次電池とを搭載している。この場合、入力がリチウム2次電池の場合のボイスコイル動作範囲許可範囲と、1次電池の場合のボイスコイルの動作許可範囲とを変えて、1次電池のような容量が少ない電池でも撮影枚数を確保できるようにした撮像装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の撮像装置では、2次電池など瞬間的な突入電流や電力増加に強い電力源で手ぶれ防止機構を動作させる場合は、撮影可能枚数に対する影響は少ないが、1次電池で動作させる場合は、瞬間的な突入電流や電力増加に弱いため手ぶれが大きい画像を連続して撮影するときなどには、撮影可能枚数が少なくなり、撮影枚数の設定値によってはハードリセットとなってしまうという問題がある。
【0004】
本発明の課題は、1次電池及び2次電池を搭載し、かつ手ぶれ補正機能を備えている場合でも、最適な撮影可能枚数を確保することが可能な手ぶれ補正機能付き撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために、被写体像を撮像する撮像素子と、該撮像素子上に被写体像を結像させる撮影光学系と、装置本体に加えられた振動を検出する手ぶれ検出手段と、該手ぶれ検出手段からの検出信号に基づいて前記撮像素子の位置を調整するボイスコイルモータと、を備えた手ぶれ補正機能付き撮像装置であって、前記装置本体内には1次電池及び2次電池が設けられている一方、前記2次電池の容量を検出する容量検出手段と、前記1次電池と前記2次電池のどちらが接続されているのかを判別する電池判別手段と、前記容量検出手段で検出された検出情報及び前記電池判別手段での判別情報に基づいて、前記ボイスコイルモータの動作速度テーブルの設定及びその動作速度テーブルの切替を行う切替制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、1次電池及び2次電池を搭載し、かつ手ぶれ補正機能を備えている場合でも、最適な撮影可能枚数を確保することが可能な撮像装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明に係る手ぶれ補正機能付き撮像装置のブロック図である。
【図2】手ぶれ補正機構を示しており、(A)はその分解斜視図、(B)は要部を拡大した部分斜視図である。
【図3】手ぶれ補正機構の制御系のブロック図である。
【図4】ジャイロセンサの出力波形を示すグラフである。
【図5】角度換算値を示すグラフである。
【図6】手ぶれ補正を行う際のCCDの目標位置を示すグラフである。
【図7】CCD位置情報としてのホール素子の出力を示すグラフである。
【図8】電池の種別及び動作モードにより手ぶれ動作テーブルの設定を行う際のフローチャートである。
【図9】撮像素子の補正範囲と突入電流との関係について説明した図である。
【図10】PMWのDUTYを変えても、瞬間的な電力量は変わらないことを説明した図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施例を図面に従って説明する。
【実施例】
【0009】
図1は、本発明に係る手ぶれ補正機能付き撮像装置のブロック図である。図1において、104はデジタルスチルカメラプロセッサ(以下、プロセッサという)である。このプロセッサ104は、CCD1信号処理ブロック104-1、CCD2信号処理ブロック104-2、CPUブロック104-3、LocalSRAM104-4、USBブロック104-5、シリアルブロック104-6、JPEG・CODECブロック(JPEG圧縮・伸長を行うブロック)104-7、RESIZEブロック(画像データのサイズを補間処理により拡大・縮小するブロック)104-8、TV信号表示ブロック(画像データを液晶モニタ・TVなどの外部表示機器に表示させるためのビデオ信号に変換するブロック)104-9、メモリカードコントローラブロック(撮影画像データを記録するメモリカードの制御を行うブロック)104-10を有している。これらの各ブロックは相互にバスラインで接続されている。
【0010】
また、プロセッサ104の外部にはRAW-RGB画像データ(ホワイトバランス設定、γ設定が行われた状態の画像データ)、YUV画像データ(輝度データ、色差データ変換が行われた状態の画像データ)、JPEG画像データ(JPEG圧縮された状態の画像データ)を保存するSDRAM103が配置されている。このSDRAM103は、メモリコントローラ(図示せず)、バスラインを介してプロセッサ104に接続されている。
【0011】
プロセッサ104の外部には、さらに、RAM107、内蔵メモリ(メモリカードスロットにメモリカードが装着されていない場合でも撮影画像データを記憶するためのメモリ)120、制御プログラム、パラメータなどが格納されたROM108が設けられている。これらもバスラインによってプロセッサ104に接続されている。
【0012】
ROM108に格納する制御プログラムは、デジタルカメラの電源スイッチ(例えば、後述する操作KeyユニットのSW13)をオンすると、プロセッサ104のメインメモリ(図示省略)にロードされる。プロセッサ104は、その制御プログラムに従って各部の動作制御を行うとともに、制御データ、パラメータ等をRAM107等に一時的に保存させる。
【0013】
鏡胴ユニット7は、ズーム(ZOOM)レンズ7-1aを有するズーム光学系7-1、フォーカス(FOCUS)レンズ7-2aを有するフォーカス光学系7-2、絞り7-3aを有する絞りユニット7-3、メカシャッタ(メカニカルシャッタ)7-4aを有するメカシャッタユニット7-4からなるレンズ鏡筒を備えている。なお、ズームレンズ7-1a、フォーカスレンズ7-2a、絞り7-3a、及びメカシャッタ7-4aは撮影光学系を構成している。また、撮影光学系の光軸をZ軸とするとともに、このZ軸に直交する平面をX-Y平面とする。
【0014】
ズーム光学系7-1、フォーカス光学系7-2、絞りユニット7-3、メカシャッタユニット7-4は、ズームモータ7-1b、フォーカスモータ7-2b、絞りモータ7-3b、メカシャッタモータ7-4bによってそれぞれ駆動されるようになっている。
【0015】
この鏡胴ユニット7の各モータはモータドライバ7-6によって駆動される。モータドライバ7-6は、プロセッサ104のCPUブロック104-3によって制御される。
【0016】
また、鏡胴ユニット7の各レンズ系により、撮像素子であるCCD101上に被写体像が結像される。CCD101は、被写体像を画像信号に変換してF/E-IC102に画像信号を出力する。
【0017】
F/E-IC102は、画像ノイズ除去用のため相関二重サンプリングを行うCDS102-1、利得調整用のADC102-2、アナログデジタル変換を行うA/D変換部102-3から構成されている。
【0018】
すなわち、F/E-IC102はその画像信号に所定の処理を施し、アナログ画像信号をデジタル信号に変換してプロセッサ104のCCD1信号処理ブロック104-1に向けて、このデジタル信号を出力する。
【0019】
これらの信号制御処理は、プロセッサ104のCCD1信号処理ブロック104-1から出力されるVD(垂直同期)-HD(水平同期)信号によりTG102-4を介して行われる。そのTG102-4はそのVD-HD信号に基づき駆動タイミング信号を生成する。
【0020】
プロセッサ104のCPUブロック104-3は、音声記録回路115-1による音声記録動作を制御するようになっている。音声記録回路115-1は、マイクAMP(アンプリファイア)115-2に接続されている。マイクAMP115-2にはマイクロフォン(以下、マイクという)115-3が接続されている。
【0021】
マイクAMP115-2はマイク115-3により変換された音声信号を増幅し、音声記録回路115-1は、その増幅信号をCPUブロック104-3の指令に応じて記録する。
【0022】
CPUブロック104-3は、音声再生回路116-1の動作も制御する。音声再生回路116-1は、指令により適宜メモリに記憶されている音声信号を再生してオーディオAMP116-2に出力する。これにより、スピーカ116-3から音声が発せられる。
【0023】
CPUブロック104-3は、さらに、ストロボ回路114を制御する。これにより、ストロボ発光部3が発光制御される。これに加えて、CPUブロック104-3は、測距ユニット5も制御する。
【0024】
CPUブロック104-3は、プロセッサ104のSUB-CPU109に接続されている。SUB-CPU109はLCDドライバ111を介してサブLCD1の表示制御を行う。
【0025】
SUB-CPU109は、さらに、AFLED8、ストロボLED9、リモートコントロール(リモコン)受光部6、操作KeyユニットSW1〜13、ブザー113に接続されている。
【0026】
USBブロック104-5はUSBコネクタ122に接続されている。このUSBコネクタ122には、ACアダプタ129又はパーソナルコンピュータのUSB BUS130が接続可能である。また、USBブロック104-5とUSBコネクタ122間には、USBデータライン検出回路131が接続可能となっている。
【0027】
シリアルブロック104-6はシリアルドライバ回路123-1を介してRS-232Cコネクタ123-2に接続されている。
【0028】
TV信号表示ブロック104-9は、LCDドライバ117を介してLCDモニタ10に接続されるとともに、ビデオAMP118を介してビデオジャック119に接続されている。メモリカードコントローラブロック104-10はメモリカードスロットル121のカード接点に接続されている。
【0029】
なお、ビデオAMP118 とは、TV信号表示ブロック104-9から出力されたビデオ信号を75Ωインピーダンスに変換するためのAMP(アンプリファイア)をいう。また、ビデオジャック119とは、カメラをTVなどの外部表示機器に接続するためのジャックをいう。
【0030】
LCDドライバ117はLCDモニタ10を駆動するとともに、TV信号表示ブロック104-9から出力されたビデオ信号をLCDモニタ10に表示させる信号に変換する役割を果たす。
【0031】
LCDモニタ10は、撮影前の被写体の状態監視するため、撮影画像を確認するため、メモリカードまたは内蔵メモリ120に記録された画像データを表示するために用いられる。
【0032】
デジタルカメラの本体には、鏡胴ユニット7の一部を構成する固定筒が設けられている。この固定筒にはCCD101がX-Y方向に移動可能に設けられている。CCD101は、手ぶれ補正機構の一部を構成するボイスコイルモータ7-5bによってX-Y方向への移動が調整される。ボイスコイルモータ7-5bは、その駆動がモータドライバ7-6によって制御される。CCD101をX-Y方向へ移動させるための詳細な構成については後述する。
【0033】
デジタルカメラ本体には、手ぶれを検出するためのジャイロセンサ134が、ピッチ(Pitch)方向とヨー(Yaw)方向との回転を検出可能に設けられている。ジャイロセンサ134は、CCD101の目標位置を検出する目標値算出部として機能する。ジャイロセンサ134の検出出力はCPUブロック104-3に入力される。
【0034】
本実施例においては、1次電池133と、2次電池としてのバッテリ126とが設けられている。1次電池133及びバッテリ126は、電池判別手段としての電池判別回路132に接続されている。電池判別回路132は、撮像装置の電源として1次電池133及びバッテリ126のどちらに接続されているのかを判別し、その判別結果を電源ユニット125及びCPUブロック104-3へ出力する。
【0035】
また、バッテリ126には、容量検出手段としてバッテリ容量検出回路128が接続され、このバッテリ容量検出回路128によってバッテリ126はその電池容量が検出されている。バッテリ容量検出回路128での検出結果は、プロセッサ104、バッテリ126、及びバッテリ126への充電を行うバッテリ充電回路127へ出力される。
【0036】
バッテリ充電回路127によるバッテリ126への充電は、USBブロック104-5及びUSBデータライン検出回路131によって制御される。また、電源ユニット125から各ユニット電源入力部へ電源の供給が行われるが、この電源供給の制御は、プロセッサ104がUSBコネクタ122を介して行う。
【0037】
次に、CCD101をX-Y方向へ移動させるための手ぶれ補正機構の構成について説明する。
【0038】
図2は、本実施例における手ぶれ補正機構を示しており、(A)はその分解斜視図、(B)は要部を拡大した部分斜視図である。図2(A)及び(B)に示すように、CCD101が実装されたフレキシブルプリント基板(Flexible Printed Circuits、以下「FPC」という)201はY可動枠202に固定されている。Y可動枠202は、X可動枠203に固定されたYガイド軸204に沿ってY方向に移動可能に支持されている。また、X可動枠203は、固定枠205に固定されたXガイド軸206に沿ってX方向に移動可能に支持されている。これにより、FPC201は、X方向及びY方向に移動自在となっている。なお、固定枠205は鏡胴本体に固定されている。
【0039】
さらに、FPC201にはX駆動コイル207とY駆動コイル208が設けられ、X駆動コイル207はX駆動マグネット209に、Y駆動コイル208はY駆動マグネット210にそれぞれ対向配置されている。これらの機構により、CCD101はX方向及びY方向に駆動される。
【0040】
CCD101におけるX方向及びY方向の位置は、それぞれX位置検出センサ(Xホール素子)211、Y位置検出センサ(Yホール素子)212で検出され、制御回路により所定の位置に制御される。
【0041】
X位置検出センサ211及びY位置検出センサ212としては、ホール素子や磁気抵抗素子などの磁気センサが用いられている。そして、FPC201と一体的にX方向及びY方向に移動するY可動枠202に固定されたX位置検出マグネット213及びY位置検出マグネット214による磁界の変化を検知することにより、FPC201の位置(つまりCCD101の位置)を検出することができる。
【0042】
FPC201に接続されたコントロール基板215には、ジャイロセンサ134、制御IC216、温度センサ217及びドライバ218が設けられている。
【0043】
本実施例における撮像装置には、上述したように、ジャイロセンサ134が設けられており、撮像装置の横(Yaw)方向ぶれと、縦(Pitch)方向ぶれを検出する。ジャイロセンサ134から得られる上記ぶれ情報に基づき、CCD101上の像ぶれを打ち消すようにCCD101が移動制御される。なお、ジャイロセンサ134は撮像装置のぶれによる角速度を検出している。
【0044】
図3は、本実施例における手ぶれ補正機構の制御系のブロック図である。図3に示すように、ジャイロセンサ134の出力は、ハイパスフィルタ(HPF)220によって基準電圧Vrefに対するオフセットが除去される。この様子を図4のジャイロセンサ出力波形のグラフに示す。図4において、破線はオフセットを有する場合を、実線はオフセットが除去された場合をそれぞれ示している。
【0045】
オフセットが除去された角速度信号は、図3に示すように、ローパスフィルタ(LPF)221により高周波ノイズが除去され、A/D変換器222によりA/D変換されて、制御IC216に取り込まれる。
【0046】
ディジタル化された角速度信号は、制御IC216において、図5に示すように積分されて角度信号に変換され、ジャイロセンサ134の感度と撮像レンズの焦点距離に応じた係数kが乗ぜられ、位置信号に変換される。この位置信号が手ぶれ補正する際のCCD101の目標位置となる。この目標位置を図7に示す。
【0047】
一方、CCD101の位置を検出する位置センサとしてのホール素子211,212で検出された信号は、ローパスフィルタ(LPF)221で高周波ノイズが除去され、A/D変換器222によりA/D変換されて制御IC216に取り込まれる。この信号が図6に示すCCD101の位置である。
【0048】
図6に示すCCD101の目標位置と、実際のCCD101の位置との差に所定のゲインを乗じ、制御信号としてD/A変換器223によりD/A変換し、駆動回路224を通じて駆動コイル207,208に電力を供給する。このようにしてCCD101が目標位置に追従するようフィードバック制御が行われる。
【0049】
次に、図8は、電池の種別及び動作モードにより手ぶれ動作テーブルの設定を行う際のフローチャートを示している。
【0050】
先ず、接続されている電池がリチウム2次電池か1次電池かを判別し(ステップS1)、2次電池であると判別した場合は、2次電池の電池テーブル[リチウムB]、ボイスコイルモータ動作テーブル[リチウムV]を設定する(ステップS6)。一方、ステップS1において、1次電池であると判別した場合は、電池テーブル[電池B2]、ボイスコイルモータ動作テーブル[電池V2]を設定する(ステップS2)。
【0051】
次に、省エネモードを選択しているか判別し(ステップS3)、選択していると判別した場合は、電池テーブル[電池B3]、ボイスコイルモータ動作テーブル[電池V3]を設定する(ステップS4)。一方、ステップS3において、選択していないと判別した場合は、手ぶれ優先モードを選択しているか判別し(ステップS8)、選択していると判別した場合は、電池テーブル[電池B1]、ボイスコイルモータ動作テーブル[電池V1]を設定する(ステップS9)。
【0052】
ステップS4での処理終了後、又はステップS8において手ぶれ優先モードを選択していないと判別した場合は、電池容量がEND(残量無し)か否か判別し(ステップS5)、ENDの場合はカメラ動作処理を終了させる。ENDでない場合はステップS3に戻る。
【0053】
また、ステップS6での処理終了後の場合も、電池容量がEND(残量無し)か否か判別し(ステップS7)、ENDの場合はカメラ動作処理を終了させる。ENDでない場合はステップS7の処理を繰り返す。
【0054】
図9は、撮像素子の補正範囲と突入電流との関係について説明した図である。図9は、撮像素子がぶれ量を検出した際に動作できる最大範囲を具体的にイメージ化したものである。撮影者が起こす手ぶれにより撮像素子の追従動作する範囲は変わるが、補正動作速度が速くなるほどカメラ動作中の突発的な動作に対応する突入電流が発生してしまう。その突入電流が多いほど1次電池の撮影可能枚数は少なくなる。リチウムイオン2次電池でも終止電圧が低いものは同じように影響を受ける。
【0055】
そこで、1次電池が挿入された場合はまずVCM(ボイスコイルモータ)の最大動作速度テーブルをV2と設定することで、リチウム2次電池で動作する速度よりも小さくする。これにより、突入電流を減らし電圧降下分を小さくし撮影可能枚数を増やすことができる。また、例えば撮影者のモード選択などでより省エネ設定を望む場合は、よりVCMの動作速度を小さくすることで撮影枚数を増加させ、1次電池の容量を最後まで使用可能にする。
【0056】
一方、手ぶれ補正性能を最大限利用したい場合は、手ぶれ優先モードなどを設定して動作可能速度をV1のように速くする。このようにすると、撮影可能枚数は減少する。
【0057】
本実施例では、撮影者に動作モードの選択を求めているが、電池容量によってその動作可能速度を変えることで、電池容量が多いときは最大限速度を速くして、容量が少なくなり始めた際は、補正動作速度を遅くしても撮影機会を増やすことで、撮影者の手ぶれによる撮影失敗をカバーするとともに、ISO感度を上げることで撮影失敗をカバーするようにしている。
【0058】
図10は、PMWのDUTYを変えても、瞬間的な電力量は変わらないことを説明している。すなわち、図10において、左側の棒グラフは高さがあるが、幅が狭く、一方、右側の棒グラフは高さが低いが、幅が広く、左右の2つの棒グラフの面積は同じであって、瞬間的電力量に変化はない。
【0059】
本実施例によれば、1次電池及び2次電池を搭載し、かつ手ぶれ補正機能を備えている場合でも、ボイスコイルモータが適正に制御され、最適な撮影可能枚数を確保することができる。
【0060】
また、本実施例によれば、1次電池が接続されている場合に、ボイスコイルモータの動作速度を低減すると、瞬間的な突入電流も低減電圧降下が抑えられ、これにより、撮影可能枚数を増やすことができる。
【0061】
また、本実施例によれば、電池テーブルを変更することにより、より低電圧での動作が許可されることとなり、撮影可能枚数を増やすことができる。
【0062】
また、本実施例によれば、追従速度を低減すると手ぶれ補正性能が若干落ちるが、ISO感度をそれに合わせて上げることで、手ぶれ追従遅れがあった場合にぶれの防止となる。
【0063】
さらに、本実施例によれば、2次電池の場合は内部抵抗が小さいため、2次電池の能力を最大限利用できる手ぶれ追従速度を設定することで、手ぶれの少ない撮影が可能となる。
【0064】
また、本実施例によれば、1次電池の容量残量によって手ぶれ追従速度を可変とすることで、1次電池により設定テーブルを変えることに加えて、1次電池の容量残量の状況により追従速度を調整することができ、より多くの撮影機会と撮影枚数を確保することができる。
【0065】
また、本実施例によれば、2次電池の容量残量によって手ぶれ追従速度を可変とすることで、2次電池により設定テーブルを変えることに加えて、2次電池の容量残量の状況により追従速度を調整することができ、より多くの撮影機会と撮影枚数を確保することができる。
【0066】
また、本実施例によれば、スルー画表示に手ぶれ注意表示を行うことで、手ぶれした撮影とならないよう撮影者に意識させることができる。
【0067】
またさらに、本実施例によれば、電池容量が少ない場合に手ぶれ追従速度は低下するが、撮影枚数を増やすことができ、さらにスルー画面に手ぶれ注意表示を行うことで、2次電池で電池容量が少ない場合でも、手ぶれした撮影とならないよう撮影者に意識させることができる。
【0068】
以上、本発明の実施例を図面により詳述してきたが、上記実施例は本発明の例示にしか過ぎないものであり、本発明は上記実施例の構成にのみ限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、本発明に含まれることは勿論である。
【0069】
例えば、補正機能付き撮像装置の本体内に1次電池133及びバッテリ126が設けられていても良いが、1次電池133及びバッテリ126のうち一方だけが補正機能付き撮像装置の本体内に設けられていても良い。
【0070】
また、上記実施例では、手ぶれ補正機構としてCCD101側をX-Y方向へ移動制御する構成を示したが、本発明は、ズーム(ZOOM)レンズ7-1a及びフォーカス(FOCUS)レンズ7-2a側をX-Y方向へ移動制御する構成の撮像装置にも適用できる。さらに、本発明は、CCD101側と、ズーム(ZOOM)レンズ7-1a及びフォーカス(FOCUS)レンズ7-2a側との双方を相対的にX-Y方向へ移動制御する構成の撮像装置にも適用できる。
【0071】
また、上記実施例において、1次電池133及びバッテリ126のどちらが撮像装置本体に接続されているのかを判別する電池判別回路132は必須の構成であるが、バッテリ126の電池容量を検出するバッテリ容量検出回路128は必ずしも必須の構成ではない。
【符号の説明】
【0072】
7-1a ズーム(ZOOM)レンズ(撮影光学系)
7-2a フォーカス(FOCUS)レンズ(撮影光学系)
7-3a 絞り(撮影光学系)
7-4a メカシャッタ(撮影光学系)
7-5b ボイスコイルモータ
101 CCD(撮像素子)
104 デジタルスチルカメラプロセッサ(切替制御手段)
125 電源ユニット
126 バッテリ(2次電池)
128 バッテリ容量検出回路(容量検出手段)
132 電池判別回路(電池判別手段)
133 1次電池
134 ジャイロセンサ(手ぶれ検出手段)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0073】
【特許文献1】特開2010−109904号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体像を撮像する撮像素子と、該撮像素子上に被写体像を結像させる撮影光学系と、装置本体に加えられた振動を検出する手ぶれ検出手段と、該手ぶれ検出手段からの検出信号に基づいて前記撮像素子の位置を調整するボイスコイルモータと、を備えた手ぶれ補正機能付き撮像装置であって、
前記装置本体内には1次電池及び2次電池が設けられている一方、
前記2次電池の容量を検出する容量検出手段と、
前記1次電池と前記2次電池のどちらが接続されているのかを判別する電池判別手段と、
前記容量検出手段で検出された検出情報及び前記電池判別手段での判別情報に基づいて、前記ボイスコイルモータの動作速度テーブルの設定及びその動作速度テーブルの切替を行う切替制御手段と、を備えたことを特徴とする手ぶれ補正機能付き撮像装置。
【請求項2】
被写体像を撮像する撮像素子と、該撮像素子上に被写体像を結像させる撮影光学系と、装置本体に加えられた振動を検出する手ぶれ検出手段と、該手ぶれ検出手段からの検出信号に基づいて前記撮影光学系及び前記撮像素子の少なくとも一方の位置を調整するボイスコイルモータと、1次電池もしくは2次電池を装着可能な手ぶれ補正機能付き撮像装置であって、
前記1次電池と前記2次電池のどちらが接続されているのかを判別する電池判別手段と、
前記電池判別手段での判別情報に基づいて、前記ボイスコイルモータの動作速度テーブルの設定及びその動作速度テーブルの切替を行う切替制御手段と、を備えたことを特徴とする手ぶれ補正機能付き撮像装置。
【請求項3】
前記電池判別手段によって前記1次電池が接続されていると判別された場合、前記切替制御手段は、前記2次電池と異なったボイスコイルモータの動作速度を低減する設定のテーブルをセットすることを特徴とする請求項1又は2に記載の手ぶれ補正機能付き撮像装置。
【請求項4】
前記切替制御手段は、動作速度設定のテーブルをセットすることに加えて、前記1次電池及び2次電池のテーブルも変更する機能を有することを特徴とする請求項3に記載の手ぶれ補正機能付き撮像装置。
【請求項5】
前記切替制御手段は、ボイスコイルの動作速度を低減した際、ISO感度を上げることで、動作速度の手ぶれ追従遅れを補正する機能を有することを特徴とする請求項3に記載の手ぶれ補正機能付き撮像装置。
【請求項6】
前記電池判別手段によって前記2次電池が接続されていると判別された場合、前記切替制御手段は、前記1次電池よりも動作追従速度が速い設定のテーブルをセットすることを特徴とする請求項1又は2に記載の手ぶれ補正機能付き撮像装置。
【請求項7】
前記電池判別手段によって前記1次電池が接続されていると判別された場合、前記切替制御手段は、前記1次電池の容量残量によって手ぶれ追従速度を可変することを特徴とする請求項1又は2に記載の手ぶれ補正機能付き撮像装置。
【請求項8】
前記電池判別手段によって前記2次電池が接続されていると判別された場合、前記切替制御手段は、前記2次電池の容量残量によって手ぶれ追従速度を可変することを特徴とする請求項1又は2に記載の手ぶれ補正機能付き撮像装置。
【請求項9】
前記1次電池が接続されていて追従速度が低下した場合に、スルー画表示に手ぶれ注意表示を行うことを特徴とする請求項3に記載の手ぶれ補正機能付き撮像装置。
【請求項10】
前記2次電池が接続されていて電池容量が低下して、手ぶれ追従速度も低下した場合に、スルー画表示に手ぶれ注意表示を行うことを特徴とする請求項8に記載の手ぶれ補正機能付き撮像装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2013−76993(P2013−76993A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−197298(P2012−197298)
【出願日】平成24年9月7日(2012.9.7)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】