説明

手動利器における刃物部材と柄部材の固定構造

【課題】手動利器における刃物部材と柄部材を、強固に接続・固定でき、替え刃への交換が容易で、部品点数が増えず、自動機による作業も可能で、生産性の向上とコストダウンを図れるようにする。
【解決手段】刃物部材1は、後半部3の側面に固定ボルト用の雌ネジ孔4を形成し、柄部材2は、固定ボルト5の螺合でタッピング可能な硬度と弾性を有する材質とし、その前端から刃物部材の後半部を差し入れ可能な縦長孔6を形成し、該縦長孔へ差し入れた刃物部材の雌ネジ孔と対応する位置に、側部から固定ボルト用の丸孔7を形成して、該丸孔の奥方で縦長孔を経た奥側の孔部8の内径dを、固定ボルト5の外径Dよりも小径で、該ボルトに対応したネジ下穴の径よりやや大きめに形成し、固定ボルトを丸孔から刃物部材1の雌ネジ孔4へ螺合させて、先部寄りを上記奥側の孔部へタッピングさせながら螺装する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば園芸用の剪断鋏その他の手動利器において、刃物部材を柄部材(把手部分・握り部分)に接続して固定する構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば園芸用の剪断鋏等の手動利器で、刃物部材と柄部材が金属製の一体物の場合もあるが(例えば特開平10−136783号公報参照)、近時は軽量化やコストダウン上から、金属製の刃物部材を樹脂又は金属製の柄部材に接続したものが多くなっている。その場合に、刃物部材を柄部材へ接続・固定する手段として、大別すれば従来次のようなことが行われてきた。
【0003】
a)刃物部材と柄部材が共に鉄(鋼)製のものでは、刃物部材の後半部を柄部材の縦長溝に嵌合して、両者をスポット溶接で接続するもの。
【特許文献1】実用新案登録第3121120号公報
【0004】
b)使用時に余り強い力が加わらぬものでは、刃物部材を柄部材に接続するのに、例えば刃物部材の後半部に接着剤を塗布して柄部材の縦孔に差し入れて固定するもの。
【特許文献2】実開平6−61035号公報
【0005】
c)使用時に強い力が加わるものや、刃物部材を替刃へ交換を予定するものでは、上記a)やb)のタイプのものでは対応できない。そのため、刃物部材の後半部に側面から横孔を形成すると共に、それに対応して柄部材にも側方から丸孔を形成しておき、刃物部材の後半部を柄部材の縦長孔(溝)へ差し入れた状態で、両丸孔間に固定ボルトを螺装して固定するもの。
【特許文献3】実開昭62−70747号公報
【特許文献4】特開2004−81135号公報
【特許文献5】実用新案登録第3071089号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記c)の如く刃物部材を柄部材にボルトで接続して固定する構造は、接着剤で固定するものと異なり接続の固定強度が増大するし、スポット溶接するものとも異なり刃物部材を新しいものに交換可能となる。しかし、固定ボルトの回り止め(緩み止め)のためにボルトに接着剤を塗布して螺装したり、ボルトの他端部にナットを螺合する必要が生じるから、次のような問題点が生じる。
【0007】
イ)固定ボルトの回り止めに接着剤を用いるものは、接続・固定作業の生産性が低くなる。即ち、接続・固定作業を自動機で行おうとすると、ボルトに塗布する接着剤の選択が難しいし、接着剤のためにボルトを自動機へ自動的に供給することが困難となる。そのため、この作業を手作業によらざるを得ず、生産性が低くなっている。
【0008】
ロ)固定ボルトの回り止めにナットを用いるものは、部品点数の増加とコストアップにつながる。即ち、ボルトの他にナットが必要となるから、部品点数が増加して製品のコストアップに繋がるし、ナットの回り止めのために接着剤を用いると、上記の如く作業性が低くなる。さらに、固定ボルトを螺合する際に、ナットが空回りせぬように保持する治具も必要となり、単にボルトをねじ込むだけの場合に比べてやはり作業性が低くなる。
【0009】
本発明は、園芸用の剪断鋏等の手動利器において、刃物部材と柄部材との接続固定を強固に行えると共に、刃部が損耗した場合に新しい替え刃への交換が容易で、また部品点数が増えずかつ自動機による作業が可能で生産性を向上でき、コストダウンも図ることができる、手動利器における刃物部材と柄部材との固定構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
A 本発明に係る手動利器における刃物部材と柄部材の固定構造の第1は、
金属製刃物部材1とそれに接続・固定する柄部材2とからなる手動利器において、
上記刃物部材1の後半部3の側面に固定ボルト用の雌ネジ孔4を形成し、
上記柄部材2は、後記固定ボルト5の螺合でタッピング可能な硬度と弾性を有する材質として、その前端から後端部に向けて上記刃物部材1の後半部3を差し入れ可能な縦長孔6を形成し、
該縦長孔6へ差し入れた刃物部材1の雌ネジ孔4と対応する位置に、側面から固定ボルト用の丸孔7を形成するとともに、該丸孔7の奥方で縦長孔6を経た奥側の孔部8の内径dを、各固定ボルト5の外径Dよりも小径であって、該ボルト5に応じたネジ下穴の径よりもやや大きめに形成し、
上記固定ボルト5を、丸孔7から刃物部材1の雌ネジ孔4へ螺合させ、該固定ボルト5の先部寄りを柄部材2の奥側の孔部8へタッピングしながら螺装させることにより、刃物部材1と柄部材2を接続・固定するようにしたものである。
【0011】
B 本発明に係る手動利器における刃物部材と柄部材の固定構造の第2は、
金属製刃物部材1とそれに接続・固定する柄部材2とからなる一対の鋏構成部材を、交差状にしてその交差部で支軸9にて開閉可能に枢着した手動利器において、
上記各刃物部材1の後半部3の側面の2か所に固定ボルト用の雌ネジ孔4を形成し、
上記各柄部材2は、後記固定ボルト5の螺合でタッピング可能な硬度と弾性を有する合成樹脂または金属製として、その前端から後端部に向けて上記各刃物部材1の後半部3を差し入れ可能な縦長孔6を形成し、
該縦長孔6へ差し入れた各刃物部材1の雌ネジ孔4と対応する位置に、側面から固定ボルト用の丸孔7を形成すると共に、該丸孔7の奥方で縦長孔6を経た奥側の孔部8の内径dを、各固定ボルト5の外径Dよりも小径であって、該ボルト5に応じたネジ下穴の径よりもやや大きめに形成し、
上記各固定ボルト5を、各丸孔7から刃物部材1の各雌ネジ孔4へ螺合させ、該各固定ボルト5の先部寄りを、各柄部材2の奥側の孔部8へタッピングしながら螺装させることにより、各刃物部材1と各柄部材2を接続・固定するようにしたものである。
【発明の効果】
【0012】
1)本発明では、手動利器の刃物部材と柄部材の接続・固定を強固に行えるし、新しい替え刃への交換も容易に行える。
即ち、本発明に係る構成では、刃物部材と柄部材との間を、上記の如く固定ボルトを用いて固定するので、刃物部材と柄部材の固定力・保持力が強固になるし、また刃部の損耗時に新しい替え刃に交換することを容易に行える。また手動利器が鋏である場合は、一対の鋏構成部材で、各々の刃物部材と柄部材とが側部から固定ボルトで締め付け固定されるので、刃物部材と柄部材の固定力・保持力は一層強固になる。
【0013】
2)本発明では、刃物部材と柄部材の接続・固定作業を自動化・機械化でき、作業性を向上できる。
即ち、従来の固定ボルトを用いるものは、固定ボルトの回り止めにボルトに接着剤を塗布して螺装していたが、その接着剤のために、固定ボルトを自動的に自動機へ供給して作業を自動化することが難しく、その工程は作業者の手作業によらざるを得なかった。
【0014】
しかし本発明によれば上記の如く、柄部材の材質を、固定ボルトを螺合した際にタッピング可能な硬度と弾性を有する合成樹脂または金属製とし、かつ柄部材のボルト用丸孔の内径dを、縦長孔より奥側の孔部で固定ボルトの外径Dよりも小径であって、該ボルト5に応じたネジ下穴の径よりもやや大きめに形成してある。
【0015】
そのため、固定ボルトを固定ボルト用丸孔から各刃物部材の雌ネジ孔へ螺合させると、その各先部寄りが柄部材の奥側の孔部をガイドにしてタッピングしながら螺合される、換言すれば螺合しながらタッピングしていくことになる。
【0016】
これにより、固定ボルトは刃物部材を柄部材に接続・固定すると同時に、固定ボルトの先部寄りが上記のような材質の柄部材内に食い込むことになるから、該固定ボルトには回り止めの力が加わり、回り止め効果が発揮される。
【0017】
したがって、従来と異なり、固定ボルトの回り止め用に接着剤を塗布する手間も必要なく、自動機へ固定ボルトを自動的に供給させて、接続・固定作業を自動化できるようになり、生産性の向上とコストダウンを図ることができる。
【0018】
3)さらに、本発明によれば、部品点数を少なくするとともに、機械化を容易にし、かつ作業性を向上できる。
即ち、従来の固定ボルトの回り止めにナットを用いるものは、ボルトの他にナットが必要で部品点数が多くなるし、螺合時にナットの空回りを阻止する治具も必要となって、単にボルトを螺合するだけの場合に比べてやはり作業性も低かった。
【0019】
これに対して本発明では、上記の如く固定ボルトは、柄部材の丸孔の奥側の孔部にタッピングしながら螺合して、固定ボルトの先部寄りが柄部材内に食い込むから、回り止めナットを用いずともそれに近い回り止め効果を発揮する。したがって、固定ボルトの他に回り止めナットは不要となり、部品点数が減るし、螺合時にナットを保持する治具も不要で機械化も容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
上記構成において、柄部材は、固定ボルトの螺合時に奥側の孔部をガイドとしてタッピング可能な硬度と、そこへ螺装した際に食い込んで固定ボルトが不用意に緩まぬだけの弾性をも有する材質とし、例えばガラス繊維入りのポリアミド樹脂製やアルミ合金製等とするのがよい。
【0021】
上記で奥側の孔部の内径は、各固定ボルトの外径よりも小径であり、該ボルトに応じたネジ下穴の径よりもやや大きさに形成しておく。このネジ下穴の径はタップの下穴径とも称されるが、JIS B 1004の規格がある。ここで、ネジ下穴の径よりもやや大きめとは、柄部材の材質や固定ボルトの外径等によっても異なるが、一般的な手動利器での固定ボルトでは、ネジ下孔の径よりも通常は約0.2〜0.5mm程度大きめに形成しておけばよい。しかしこの寸法に限定するものではない。
【0022】
固定ボルトは、各柄部材の奥側の孔部へそれをガイドとしてタッピングしながら螺装し得る硬度を有する鋼製のものとするが、柄部材をアルミ合金等の金属製とする場合は、固定ボルトはタッピングネジかそれに近い形状としたものを用いてもよい。
【0023】
なお本発明で手動利器とは例えば剪定挟をさすが、それに限らず広く園芸用はさみ、その他刃物部材と柄部材とをもつ手動利器を指している。
【実施例1】
【0024】
図1ないし図5は、本発明に係る手動利器における刃物部材と柄部材の固定構造を、剪定鋏の実施例として示すものである。
【0025】
全体構成は公知の剪定鋏と同様であり、図1で示す如く、各々刃物部材1,1と柄部材2,2とからなる一対の鋏構成部材を、交差状にしてその交差部で支軸9にて開閉可能に枢着したものである。上記各刃物部材1,1と柄部材2,2とを接続・固定するのに、ここでは各2本の固定ボルト5,5,5,5を用いて締め付けて固定するタイプのものである。
【0026】
上記各刃物部材1,1は、ここでは炭素刃物工具鋼製で、図3で示す如く、その前半部(図で上半部)に湾曲した刃部を有し、その各後半部3,3(図で下半部)の側面の2か所に、側方から後記固定ボルト5,5,5,5を螺合可能に、雌ネジ孔4,4,4,4を形成してある。この雌ネジ孔4,4,4,4は、ここでは、後記の如く固定ボルト5,5,5,5にM5×0.8のものを用いるので、それを螺合可能な内径とピッチに形成してある。
【0027】
上記各柄部材2,2の材質は、各固定ボルト5,5,5,5を螺合させた際にその先部でタッピングされ得る硬度と、螺合によりネジの山がネジの谷へ食い込んで回り止め力を与える弾性とを有する合成樹脂製とし、ここではガラス繊維入りのポリアミド樹脂製のものとしてある。該各柄部材2,2には、図3で示す如く、その前端(図で上端)から後端部に向けて、上記各刃物部材1,1の後半部3,3を差し入れ可能な縦長孔6,6を有する。
【0028】
また該各柄部材2,2には、その縦長孔6,6へ各刃物部材1,1の後半部3,3を差し入れた際に、各後半部3,3の雌ネジ孔4,4,4,4と対応する位置に、側方から固定ボルト5,5,5,5を螺合可能に、固定ボルト用を挿入可能な丸孔7,7,7,7を形成してある(上記図4参照)。
【0029】
該各丸孔7,7,7,7は、開口部側で固定ボルト5,5,5,5の頭部より大きい内径とし、それに続いて各固定ボルト5,5,5,5の外径よりも大きい約5.2mmの内径を有し、さらに上記縦長孔6,6を経て奥方に達する奥側の孔部8,8,8,8を形成してある。
【0030】
該奥側の各孔部8,8,8,8は、各固定ボルト5,5,5,5の外径よりもやや小径であって、該固定ボルト5,5,5,5に対応したネジ下穴の径よりもやや大きめに形成してある。ここでは、各固定ボルト5,5,5,5として上記の如くM5×0.8のものを用いるので、その際のネジ下穴の径はJIS規格で4.3mmであるから、該各孔部8,8,8,8の内径dはそれよりもやや大きめにし、約4.6mmの内径dに形成してある。なお該孔部8,8,8,8の奥行きはここでは約5mmである。
【0031】
上記各固定ボルト5,5,5,5は、ここでは柄部材2,2が上記の如く樹脂製であるからタッピングネジではなく、クロムモリブデン鋼(SCM)製で、浸炭焼き入れとコバルトメッキを施したものを用いており、ネジ部が上記の如くM5×0.8で、頭部の外径が8.0mmで六角孔付きのものを用いている。
【0032】
上記各刃物部材1,1と柄部材2,2とを接続・固定する工程は、次のようになる。上記各刃物部材1,1の後半部3,3を、図5で示すように、各柄部材2,2の前端からの縦長孔6,6へ差し入れ、その状態で各柄部材2,2の側部の各固定ボルト用丸孔7,7,7,7から各固定ボルト5,5,5,5を挿入させ、六角レンチを用いて各固定ボルト5,5,5,5を回動させる。
【0033】
これで、各固定ボルト5,5,5,5は、各刃物部材2,2の雌ネジ孔4,4,4,4へ螺合するが、さらにその先部寄りが該雌ネジ孔4,4,4,4を経て奥側の各孔部8,8,8,8へタッピングしながら螺合することになる。この各固定ボルト5,5,5,5のタッピングしながらの螺装により、各刃物部材1,1は各柄部材2,2に強固に接続され固定される(図2,図5参照)。
【0034】
同時に、各固定ボルト5,5,5,5の先部寄りが各柄部材2,2の奥側の各孔部8,8,8,8へタッピングしながら螺装されたことにより、各固定ボルト5,5,5,5の雄ネジ部は奥側の各後部8,8,8,8の雌ネジ部の内周部に食い込むことになる(上記図2参照)。そのため、各固定ボルト5,5,5,5に回り止め力が加わることになり、不用意に緩むようなことが無くなる。
【0035】
その後において、刃部が損耗して替え刃と交換する必要が生じた場合は、各固定ボルト5,5,5,5を緩めて取り外せば、古い各刃物部材1,1を各縦長孔5,5から抜き出せるから、新しい各刃物部材1,1の後半部3,3を各縦長孔6,6へ差し入れ、各固定ボルト5,5,5,5を六角レンチで回動させれば、上記と同様に刃物部材1,1と柄部材2,2とが接続・固定され、かつ各ボルト5,5,5,5は緩み止めされる。
【0036】
なお、上記実施例は本発明を剪定鋏に適用したものであるが、それに限らぬことは上記のとおりであり、また上記各部で示した具体的な材質・寸法等もそれらに限らぬことは勿論である。奥側の各孔部8,8,8,8の内径dは、各柄部材2,2の材質が上記と異なりアルミ合金のような金属製ならば、上記よりもやや大きくて例えば4.8mm程度にしておけばよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係る手動利器における刃物部材と柄部材の固定構造を、剪定鋏に利用した実施例の側面図である。
【図2】図1で示したものA−A線拡大断面図である。
【図3】刃物部材の一部切欠き拡大正面図である。
【図4】図2で示した部分の柄部材だけを示す断面図である。
【図5】図2で示した部分で固定ボルトを螺合時を示す断面図である。
【符号の説明】
【0038】
1−刃物部材
2−柄部材
3−後半部
4−雌ネジ孔
5−固定ボルト
6−縦長孔
7−丸孔
8−孔部
9−支軸
10−支軸用孔
D−外径
d−内径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製刃物部材1とそれに接続・固定する柄部材2とからなる手動利器において、
上記刃物部材1の後半部3の側面に固定ボルト用の雌ネジ孔4を形成し、
上記柄部材2は、後記固定ボルト5の螺合でタッピング可能な硬度と弾性を有する材質として、その前端から後端部に向けて上記刃物部材1の後半部3を差し入れ可能な縦長孔6を形成し、
該縦長孔6へ差し入れた刃物部材1の雌ネジ孔4と対応する位置に、側面から固定ボルト用の丸孔7を形成するとともに、該丸孔7の奥方で縦長孔6を経た奥側の孔部8の内径dを、固定ボルト5の外径Dよりも小径あって、該ボルト5に応じたネジ下穴の径よりもやや大きめに形成し、
上記固定ボルト5を、丸孔7から刃物部材1の雌ネジ孔4へ螺合させ、該固定ボルト5の先部寄りを柄部材2の奥側の孔部8へタッピングしながら螺装させることにより、刃物部材1と柄部材2を接続・固定するようにした、手動利器における刃物部材と柄部材の固定構造。
【請求項2】
金属製刃物部材1とそれに接続・固定する柄部材2とからなる一対の鋏構成部材を、交差状にしてその交差部で支軸9にて開閉可能に枢着した手動利器において、
上記各刃物部材1の後半部3の側面の2か所に固定ボルト用の雌ネジ孔4を形成し、
上記各柄部材2は、後記固定ボルト5の螺合でタッピング可能な硬度と弾性を有する合成樹脂または金属製として、その前端から後端部に向けて上記各刃物部材1の後半部3を差し入れ可能な縦長孔6を形成し、
該縦長孔6へ差し入れた各刃物部材1の雌ネジ孔4と対応する位置に、側面から固定ボルト用の丸孔7を形成すると共に、該丸孔7の奥方で縦長孔6を経た奥側の孔部8の内径dを、各固定ボルト5の外径Dよりも小径であって、該ボルト5に応じたネジ下穴の径よりもやや大きめに形成し、
上記各固定ボルト5を、各丸孔7から刃物部材1,1の各雌ネジ孔4へ螺合させ、該各固定ボルト5の先部寄りを、各柄部材2の奥側の孔部8へタッピングしながら螺装させることにより、各刃物部材1と各柄部材2を接続・固定するようにした、手動利器における刃物部材と柄部材の固定構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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