説明

手動操作装置とその信号処理方法

【課題】片手で6軸入力ができ、並進入力のみを回転入力から完全に分離でき、意図に反した手振れ等による並進入力を抑制して回転入力することでき、かつ意図的に並進入力と回転入力を同時にできる手動操作装置とその信号処理方法を提供する。
【解決手段】片手操作で、直交3軸の並進入力x,y,zと3軸まわりの回転入力θx,θy,θzを入力でき、各並進入力と各回転入力をそれぞれ検出する入力デバイス10と、入力デバイスで検出された各並進入力と各回転入力をそれぞれ信号処理してロボット制御部30にそれぞれ出力する信号処理装置20とを備える。信号処理装置20は、回転入力の絶対値が所定の第1閾値以上でありかつ並進入力の絶対値が所定の第2閾値未満である場合に、並進入力に対する感度を低減する感度調節部26と入力判定部29を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット等を用いた手動操作装置とその信号処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の自動生産システムでは、重量物や長尺物のワークの組立等、複数の作業員を必要とする作業が多数存在する。そこで、このような複数の作業員を必要とする作業の省人化のため、ハンドガイド装置を持つロボットやアクチュエータを有するパワーアシスト装置を用いる研究・開発が進められている(例えば特許文献1〜4、非特許文献1,2)。
【0003】
図1は従来のハンドガイドシステムの模式図である。この図に示すように、従来のハンドガイドシステムは、ロボット1(又はアクチュエータ)の手先に、グリッパ・加工機等のエンドエフェクタ2と、人が操作する操作装置3とを備え、作業員4が操作装置3を用いて、ロボット1及びエンドエフェクタ2を操作するようになっている。なお、この図において、1aはロボット制御装置、5はワーク、6は組付対象である。
【0004】
図2は、従来の操作装置の模式図、図3は従来のハンドガイド用入力デバイスの模式図である。図2に示すように、従来の操作装置3は、通常、入力デバイス7、イネーブルスイッチ8、表示灯・スイッチ9、等を備える。
【0005】
組立等の作業では、ワーク5は規定された方向からでないと組み付けられないため、ワーク5の進路を修正しつつ、決められた位置および方向で組み付けなくてはならない。入力デバイス7に必要な軸数は作業内容や装置構成に依存するが、特別な限定や制約がない場合は空間6自由度の位置と方向を決定できる6軸入力デバイスが望ましい。また作業性の観点から、限定された軸入力を持つデバイスを複数用意して持ち変えて作業するのに対し、入力デバイス7は、1デバイスかつ1通りの持ち方で6軸入力が可能なデバイスであることが望ましい。更にハンドガイドシステムのような、人とロボットが協働するシステムでは、安全上の観点から、片手は安全を担保するためのイネーブルスイッチ8の操作に利用するため、片手のみで操作可能であることが望ましい。そこで、図2、図3に示すように、従来から入力デバイス7として、6軸の力覚センサ7aにグリップ7bを設けたデバイスが用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許3504507号公報、「適切反力付与型作業補助装置」
【特許文献2】特許4255321号公報、「アシスト搬送方法及びその装置」
【特許文献3】特開2009−034758号公報、「パワーアシスト装置及びその制御方法」
【特許文献4】特願2009−124212号、「ロボット制御装置およびその制御方法」、未公開
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】鴻巣仁司,荒木勇,山田陽滋、「自動車組立作業支援装置スキルアシストの実用化」日本ロボット学会誌Vol.22 No.4,pp.508〜514, 2004
【非特許文献2】武居直行,村山英之,藤本英雄、「操作力方向に依存して可変する手ぶれ補正アシスト」第26回日本ロボット学会学術講演会予稿集,RSJ2008AC3C3−04
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図4は、従来の入力デバイス7の問題点を示す説明図である。
多軸同時入力は、単軸入力(ボタン・レバー操作等)に比べて、操作できる自由度が多い反面、操作者の意図と違う方向にも入力が受け付けられることがある。図3のようなデバイスで入力する場合に、例えば、図4のように操作者がx並進のみを意図して、入力Finを加えても、入力/検出点位置が異なるため、デバイス側ではF(x軸並進)とTθy(y軸回り回転)を検出する(入力が干渉する)。
この場合、入力/検出点距離Lが固定ならば補正により入力点での入力を導出できるが、Lは操作者の手の大きさ、力を込める位置(指先、掌底等)等の個人差・時間毎に変化するため、完全に補正することは困難となる。更に実際には操作入力を加えた後、エンドエフェクタ2が動き、入力デバイス7も動くため、その動特性や遅れ等と、人がグリップを握ることで構成される閉リンク系により、更にそれらの悪影響が増幅して現れることも懸念される。
【0009】
このような問題点に対しては特許文献4(未公開)では一連の作業を複数の作業工程に分割し、工程毎に自由度に制限または非制限を設定・制御することで対処している。しかしながら例えば工程分割の結果、干渉が多い軸同士(説明図の例ではxとθyのような軸)であるが、同時に動かした方が本来、作業効率が良好である場合でも、干渉を避けるために作業工程を分ける必要がある1つ工程が増え、結果として作業時間が掛かる・作業効率が落ちるといった場合が考えられる。
【0010】
本発明は上述した要望を満たすために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、片手で6軸入力ができ、並進入力のみを回転入力から完全に分離でき、意図に反した手振れ等による並進入力を抑制して回転入力することでき、かつ意図的に並進入力と回転入力を同時にできる手動操作装置とその信号処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、片手操作で、直交3軸の並進入力x,y,zと該3軸まわりの回転入力θx,θy,θzを入力でき、該各並進入力と各回転入力をそれぞれ検出する入力デバイスと、
該入力デバイスで検出された各並進入力と各回転入力をそれぞれ信号処理してロボット制御部にそれぞれ出力する信号処理装置とを備え、
該信号処理装置は、回転入力の絶対値が所定の第1閾値以上でありかつ並進入力の絶対値が所定の第2閾値未満である場合に、並進入力に対する感度を低減する感度調節部を有する、ことを特徴とする手動操作装置が提供される。
【0012】
本発明の実施形態によれば、前記入力デバイスは、手で握る棒状のグリップと、該グリップの下端に設置され手による操作量を並進3軸に変換して取得する並進3軸用の入力検出手段と、前記グリップの頂部に設置され指による操作量を回転3軸に変換して取得する回転3軸用の入力検出手段とを有する。
【0013】
前記並進3軸用の入力検出手段は、直交3軸の並進入力x,y,zを検出する3軸力覚センサであり、
前記回転3軸用の入力検出手段は、前記グリップの頂部上面に前記片手の親指で操作するように取付けられ2軸まわりの回転入力を検出する2軸ポインティングデバイスと、前記グリップの頂部前面に前記片手の親指以外の指で操作するように取付けられ1軸まわりの回転入力を検出する1軸ポインティングデバイスとを有する。
【0014】
また本発明によれば、片手操作で、直交3軸の並進入力x,y,zと該3軸まわりの回転入力θx,θy,θzを入力でき、該各並進入力と各回転入力をそれぞれ検出する入力デバイスと、
該入力デバイスで検出された各並進入力と各回転入力をそれぞれ信号処理してロボット制御部にそれぞれ出力する信号処理装置とを備え、
該信号処理装置により、回転入力の絶対値が所定の第1閾値以上でありかつ並進入力の絶対値が所定の第2閾値未満である場合に、並進入力に対する感度を低減する、ことを特徴とする手動操作装置の信号処理方法が提供される。
【発明の効果】
【0015】
上記本発明の装置と方法によれば、信号処理装置が感度調節部を有し、回転入力の絶対値が所定の第1閾値以上でありかつ並進入力の絶対値が所定の第2閾値未満である場合に、並進入力に対する感度を低減する。
従って、回転操作の際、操作者の意図に反して、手振れ等により並進入力が発生する場合でも、回転入力の絶対値が所定の第1閾値以上であれば、並進入力に対する感度を低減して、並進入力を抑制しながら、回転入力ができる。
また、回転操作の際、並進入力の絶対値が所定の第2閾値以上である場合は、操作者が意図的に並進入力をしたと判断できるので、並進入力に対する感度低減を実施しない(感度低減演算を停止する)ことで、操作者の意図通りに並進入力と回転入力ができる。
【0016】
また、前記入力デバイスが、3軸力覚センサに取付けられた棒状のグリップを有し、2軸ポインティングデバイスがグリップの頂部上面に取付けられ、1軸ポインティングデバイスがグリップの頂部前面に取付けられているので、片手で6軸入力を可能とし、かつ並進操作のみを行う際は、指を離すことで完全に回転を分離した入力を受け付けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】従来のハンドガイドシステムの模式図である。
【図2】従来の操作装置の模式図である。
【図3】従来のハンドガイド用入力デバイスの模式図である。
【図4】従来の入力デバイスの問題点を示す説明図である。
【図5】本発明による手動操作装置の全体構成図である。
【図6】本発明による手動操作装置の信号処理装置の第1実施形態図である。
【図7】並進入力特性の変更例を示す図である。
【図8】本発明による手動操作装置の信号処理装置の第2実施形態図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施例を図面を参照して説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0019】
図5は、本発明による手動操作装置の全体構成図である。この図において、本発明の手動操作装置は、入力デバイス10と信号処理装置20を備える。
本発明による手動操作装置は、この例ではハンドガイド装置であるが、これに限定されず、マニプレータなど用の遠隔操作装置であってもよい。
【0020】
入力デバイス10は、3軸力覚センサ12、棒状のグリップ14、2軸ポインティングデバイス16、および1軸ポインティングデバイス18を備える。
3軸力覚センサ12は、直交3軸の並進入力x,y,zを検出する。
棒状のグリップ14は、3軸力覚センサ12に下端が取付けられ上方に延び片手で握るようになっている。
2軸ポインティングデバイス16は、グリップ14の頂部上面に片手の親指で操作するように取付けられ、2軸(x,y軸)まわりの回転入力θx,θyを検出する。
1軸ポインティングデバイス18は、グリップ14の頂部前面に片手の親指以外の指(例えば人指し指、中指)で操作するように取付けられ、1軸(z軸)まわりの回転入力θzを検出する。
【0021】
なお、本出願における「ポインティングデバイス」には、指での方向操作に適した「ポンティングスティック」とレバーによる方向入力が行える「ジョイスティック」を含むものとする。
【0022】
上述した入力デバイス10により、操作員の片手操作で、直交3軸の並進入力x,y,zと該3軸まわりの回転入力θx,θy,θzを入力でき、かつ各並進入力と各回転入力をそれぞれ検出することができる。
【0023】
図5の入力デバイス10では、直交3軸の並進入力x,y,zを検出するセンサとして3軸力覚センサ12をロボット1(もしくはエンドエフェクタ)上に設置し、このセンサ上にグリップ14を設置している。このグリップ14を片手で握り、手・腕により並進3軸の入力操作を行う。
またこの例では、グリップ14の頂部に更に回転指令するセンサとして、エンドエフェクタに設定するツール座標と感覚的に合う配置として、親指等で操作しやすいグリップ頂部上面に小型の2軸ポインティングデバイス16を設置し、人差し指等で操作しやすいグリップ頂部前面に、小型の1軸ポインティングデバイス18を配置している。
2軸ポインティングデバイス16と1軸ポインティングデバイス18は、コンピュータ等で使用されるカーソル移動用のデバイス(ジョイスティック等)であり、力や変位を検出する。この構成により、グリップ14を片手で握りながら、親指と人差し指等により回転3軸の入力操作を行う。従ってこの構成により、片手(腕)で6軸入力が可能となる。
【0024】
なお、本出願において、入力デバイスは上述した例に限定されず、手で握る棒状のグリップと、該グリップの下端に設置され手による操作量を並進3軸に変換して取得する並進3軸用の入力検出手段と、前記グリップの頂部に設置され指による操作量を回転3軸に変換して取得する回転3軸用の入力検出手段とを有するものであればよい。
【0025】
例えば、下段の並進3軸の場合、3軸力覚センサを使わずとも、1番下にz軸入力を検出する1軸ロードセル(力覚検出器)、その上にシリアルに所謂、x,yを動かすようなジョイスティック(変位検出手段)の組合せ等を設置して、並進3軸を取得するなどでも実現できる。またもちろん3軸とも変位を検出することでもできる。上段の回転3軸に関しても、例えば上1軸・2軸ポインティングデバイスの配置を入れ替えて親指では1軸操作、その他(人差し指等)で2軸操作でもよく、3軸全て親指範囲内に配置して、1指で操作する、親指1軸、人差し指1軸、中指1軸など3軸を全て別指に負担させるような構成もありうる。またポインティングデバイスでなくとも、例えば小型ジョイスティック、モーメンタリ(自動復帰型)スイッチ(押している間のみ動くなど)、小型(3軸)力覚センサ(指を引っ掛けるような構造が必要となる)、2軸力覚センサ+1軸ロードセルなど、各種形態が考えられる。
【0026】
図6は、本発明による手動操作装置の信号処理装置の第1実施形態図である。この図は回転操作入力の有無により、並進の各々正規化・特性変換・不感帯・入力制限のブロックに対して、入力に対する感度を低減するような設定値変更する場合のブロック図を示している。
【0027】
この図において、本発明による信号処理装置20は、回転入力θx,θy,θzにそれぞれ対応する回転指令演算部22X,22Y,22Zと、並進入力x,y,zにそれぞれ対応する並進指令演算部24X,24Y,24Zとを有し、それぞれ信号処理してロボット制御部30(ロボットの制御装置)にそれぞれ出力するようになっている。
すなわち信号処理装置20は、入力デバイス10により取得された力や変位信号を処理することで、ロボットに対する位置や速度指令を生成する。
【0028】
この例において、回転指令演算部22X,22Y,22Zおよび並進指令演算部24X,24Y,24Zは、それぞれ、正規化部23a、特性変換部23b、物理変換部23c、不感帯部23d、および入力制限部23eを有する。また、並進指令演算部24X,24Y,24Zは、さらに変化率制限部25を有する。
信号処理装置20は、センサ12,16,18から信号を各軸(x,y,x,θ,θ,θ)毎に、正規化部23aによりダイナミックレンジを調整する。また同様に、特性変換部23bにより操作しやすい適切な入出力特性を付与する。例えばout=inとすることで、低域でより低速化し、高域で高い速度変化率を与える等の特性を付与する。また、不感帯部23dによりノイズ・誤動作防止等のためのゼロ入力近傍での不感帯を設定する。さらに、入力制限部23eにより上・下限値を設定し、物理変換部23cにより物理量を変換する。さらに、変化率制限部25により入力データの変化率を制限する。
上述した構成により、回転入力θx,θy,θzと並進入力x,y,zに対し、それぞれロボット制御部30に適合するデータに信号処理し、ロボット制御装置30に指令する構成となっている。
【0029】
図6において、本発明による信号処理装置20は、さらに感度調節部26を有する。
この例において、感度調節部26は、回転入力θx,θy,θzの少なくとも1つが0でない場合に、設定値変更信号26aを並進指令演算部24X,24Y,24Zの正規化部23a、特性変換部23b、不感帯部23d、および入力制限部23eに出力し、並進入力x,y,zに対する感度を低減するようになっている。
なお、本発明はこの構成に限定されず、感度調節部26により、回転入力θx,θy,θzのいずれかまたはすべてが所定の第1閾値未満である場合に、並進入力x,y,zのいずれかまたはすべてに対する感度を低減するように構成してもよい。
【0030】
図7は、並進入力特性の変更例を示す図である。この図において(A)は不感帯拡大、(B)は小入力部の感度低減、(C)はダイナミックレンジ縮小、(D)は制限値縮小の例であり、それぞれ実線は変更前、破線は変更後である。
これらの措置により、入力が干渉する余地がある回転入力時には、操作者の意図に反した、例えば手振れ等の並進入力を抑制する。
【0031】
上述した信号処理装置20により、図5の入力デバイス10で並進操作のみを行う場合に、指を離すことで完全に回転を分離して入力を受け付けることが可能となる。また回転操作を行う際は、手と指は一体のため、手を固定もしくは意図した方向に力を加えながら、指を動かすことになり、指操作により手も動かしてしまうことが考えられる(例えば手振れ等)。ただし、この手の誤入力は比較的小さいものと考えられることから、感度調節部26により、操作中は回転操作を受け付けたことを検出し、回転操作入力の有無もしくは、レベルによって、並進入力演算のうち、入力に対する感度を低減することができる。
【0032】
図8は、本発明による手動操作装置の信号処理装置の第2実施形態図である。この図において、本発明による信号処理装置20は、さらに並進入力x,y,zにそれぞれ対応する並進指令判定部27X,27Y,27Zを有する。
各並進指令判定部27X,27Y,27Zは、それぞれ上述した正規化部23a、特性変換部23b、物理変換部23c、および不感帯部23dを有する。また、各並進指令判定部27X,27Y,27Zは、さらに、絶対値変換部28aと出力制限部28bとを有する。
絶対値設定部28aは、入力データを絶対値に変換し、出力制限部28bは入力データが所定の設定値より大きい場合のみ信号を出力する。
【0033】
図8において、本発明による信号処理装置20は、さらに入力判定部29を有する。この図は、並進操作入力のレベルにより、入力に対する感度を低減する処理を停止するブロック図である。
この例において、入力判定部29は、回転入力θx,θy,θzの少なくとも1つが0でない場合であっても、並進入力x,y,zの少なくとも1つが所定の設定値より大きい場合に、入力判定信号29aを並進指令演算部24X,24Y,24Zの正規化部23a、特性変換部23b、不感帯部23d、および入力制限部23eに出力し、並進入力x,y,zに対する感度低減を無効にするようになっている。
なお、本発明はこの構成に限定されず、感度調節部26と入力判定部29により、回転入力θx,θy,θzの絶対値のいずれかまたはすべてが所定の第1閾値以上であり、かつ並進入力x,y,zの絶対値のいずれかまたはすべてが所定の第2閾値未満である場合に、並進入力x,y,zのいずれかまたはすべてに対する感度を低減するように構成してもよい。
また、用途によっては第1閾値と第2閾値のいずれかを許容してもよい。
【0034】
図8では、感度調節部26による回転操作入力の有無判定と、入力判定部29による並進操作入力レベルが一定値以上であるかの判定の両判定結果から、並進入力x,y,zに対する感度を低減する処理を有効又は無効にするようになっている。
【0035】
なお図6と図8の例では、どれか1つの回転入力があった場合、すべての並進軸を変更するようになっているが、個別に判定し、干渉影響の高い軸のみ変更してもよい。また、回転操作の有無によって切り替えを行っているが、回転操作入力のレベルによって、並進入力感度の低減を段階的又は連続的に変更してもよい。
また同様に図8の例では、回転入力があり、かつどれか1つ並進入力があった場合、全並進軸の変更を中止するようになっているが、上述のように個別判定に対応した軸のみ変更してもよい。また、回転操作入力のレベルの段階値・連続値及び、並進操作入力のレベルの段階値・連続値の組合せから、並進入力感度の低減を段階的又は連続的に変更してもよい。
【0036】
上述した本発明の装置と方法によれば、信号処理装置20が感度調節部26を有し、回転入力θx,θy,θzの絶対値が所定の第1閾値以上でありかつ並進入力x,y,zの絶対値が所定の第2閾値未満である場合に、並進入力x,y,zに対する感度を低減する。
従って、回転操作の際、操作者の意図に反して、手振れ等により並進入力が発生する場合でも、回転入力の絶対値が所定の第1閾値以上であれば、並進入力に対する感度を低減して、並進入力を抑制しながら、回転入力ができる。
また、回転操作の際、並進入力が所定の第2閾値以上である場合は、操作者が意図的に並進入力をしたと判断できるので、並進入力に対する感度低減を実施しない(感度低減演算を停止する)ことで、操作者の意図通りに並進入力と回転入力ができる。
【0037】
また、入力デバイス10が、3軸力覚センサ12に取付けられた棒状のグリップ14を有し、2軸ポインティングデバイス16がグリップ14の頂部上面に取付けられ、1軸ポインティングデバイス18がグリップ16の頂部前面に取付けられているので、片手で6軸入力を可能とし、かつ並進操作のみを行う際は、指を離すことで完全に回転を分離した入力を受け付けることが可能となる。
【0038】
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0039】
10 入力デバイス、12 3軸力覚センサ、
14 グリップ、
16 2軸ポインティングデバイス、
18 1軸ポインティングデバイス、
20信号処理装置、
22X,22Y,22Z 回転指令演算部、
23a 正規化部、23b 特性変換部、
23c 物理変換部、23d 不感帯部、
23e 入力制限部、
24X,24Y,24Z 並進指令演算部、
25 変化率制限部、26 感度調節部、
26a 設定値変更信号、
27X,27Y,27Z 並進指令判定部、
28a 絶対値変換部、28b 出力制限部、
29 入力判定部、29a 入力判定信号、
30 ロボット制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
片手操作で、直交3軸の並進入力x,y,zと該3軸まわりの回転入力θx,θy,θzを入力でき、該各並進入力と各回転入力をそれぞれ検出する入力デバイスと、
該入力デバイスで検出された各並進入力と各回転入力をそれぞれ信号処理してロボット制御部にそれぞれ出力する信号処理装置とを備え、
該信号処理装置は、回転入力の絶対値が所定の第1閾値以上でありかつ並進入力の絶対値が所定の第2閾値未満である場合に、並進入力に対する感度を低減する感度調節部を有する、ことを特徴とする手動操作装置。
【請求項2】
前記入力デバイスは、手で握る棒状のグリップと、該グリップの下端に設置され手による操作量を並進3軸に変換して取得する並進3軸用の入力検出手段と、前記グリップの頂部に設置され指による操作量を回転3軸に変換して取得する回転3軸用の入力検出手段とを有する、ことを特徴とする請求項1に記載の手動操作装置。
【請求項3】
前記並進3軸用の入力検出手段は、直交3軸の並進入力x,y,zを検出する3軸力覚センサであり、
前記回転3軸用の入力検出手段は、前記グリップの頂部上面に前記片手の親指で操作するように取付けられ2軸まわりの回転入力を検出する2軸ポインティングデバイスと、前記グリップの頂部前面に前記片手の親指以外の指で操作するように取付けられ1軸まわりの回転入力を検出する1軸ポインティングデバイスとを有する、ことを特徴とする請求項2に記載の手動操作装置。
【請求項4】
片手操作で、直交3軸の並進入力x,y,zと該3軸まわりの回転入力θx,θy,θzを入力でき、該各並進入力と各回転入力をそれぞれ検出する入力デバイスと、
該入力デバイスで検出された各並進入力と各回転入力をそれぞれ信号処理してロボット制御部にそれぞれ出力する信号処理装置とを備え、
該信号処理装置により、回転入力の絶対値が所定の第1閾値以上でありかつ並進入力の絶対値が所定の第2閾値未満である場合に、並進入力に対する感度を低減する、ことを特徴とする手動操作装置の信号処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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