説明

手延素麺

【課題】 延ばしが容易に行える塩分の低い即席麺に好適な手延素麺を提供する。
【解決手段】 小麦粉100gに対して塩を2g、小麦タンパクを15%、かん水を0.1%、水を47gの割合で加え、30〜40分間かけて十分に練り合わせる。練り合わせた後は200〜250kgの力で約1時間こねて餅状の軟らかさにし、これを帯状に切断して細紐状に延ばし、防乾用の食用油を塗って一旦4時間ほど熟成させる。熟成させた原料は1時間ほどの熟成期間を適宜挟んで数回に渡ってさらに延ばす。極細に延ばされた麺は所定長さに切断して凍結乾燥させ、乾燥した麺をラッピングして具材と粉末スープとともにカップに収容する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、即席麺製品に好適な低塩分の手延素麺に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、手延素麺は小麦粉に塩水を加えたものを練って生地をつくり、これを細紐状に延ばして製造されている(例えば非特許文献1参照)。加える塩水は濃度11〜13%のものが一般的で、食する際は熱湯に入れて湯がいて塩分を取り除く。塩分は少ない方が身体に好ましいが、塩分を減量すると熟成が早く進行してしまい腰が無くなって延ばしが困難となる問題があった。
【0003】
一方、即席麺は熱湯を注いで湯煮することで短時間に喫食可能に復元でき、手軽であることからラーメンやうどん等が広く普及している。ところで、手延素麺を即席麺製品に適用した場合、熱湯を注いだ後に塩分を取り除く為に湯を一旦捨てる必要があり、調理に手間を要する問題があった。この手間を省略するために塩分を減量すると、前記と同様に熟成が早く進行して製造が難しくなり、即席麺製品には向かないものであった。
【非特許文献1】横田重臣著,「モノづくり解体新書七の巻」,株式会社日刊工業新聞社,1995年3月20日,p.38−41
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、従来のこれらの問題点を解消し、延ばしが容易に行える塩分の低い即席麺に好適な手延素麺を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる課題を解決した本発明の構成は、
1)原料として、小麦粉100重量部に対して塩1.5〜3重量部・小麦タンパク13〜18重量部・かん水0.075〜0.125重量部を含有しているものを用いた、手延素麺
2)1)記載の手延素麺を凍結又は熱風乾燥して具材と粉末スープとともに容器に収容した、即席麺製品
にある。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、原料に小麦タンパクとかん水を有しているから、熟成を遅らせて腰のある延ばし易い麺にでき、従来の素麺と同等の腰の良さを維持しながら塩分を減量できる。したがって、即席麺に適用した場合、注いだ湯をそのままスープにすることができ、短時間に調理して食することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の小麦タンパクは、小麦粉100重量部に対して13〜18重量部の範囲が望ましく、13重量部以下では麺が柔らかくなり食味が悪いという問題があり、18重量部以上では麺が硬くなり食味が悪いという問題がある。かん水は0.075〜0.125重量部の範囲が望ましく、0.075重量部以下では麺が柔らかくなり製造しにくいという問題があり、0.125重量部以上では製造出来なくなるという問題がある。これらを小麦粉に加えることで、塩は1.5〜3重量部の範囲で十分に腰の良さを維持することができる。製造方法については従来の手延素麺に準じる。以下、本発明の実施例を具体的に説明する。
【実施例1】
【0008】
本実施例は本発明の手延素麺を即席カップ麺に適用した例である。まず、小麦粉100gに対して塩を2g、小麦タンパクを15%、かん水を0.1%、水を47gの割合で加え、30〜40分間かけて十分に練り合わせる。この他、必要に応じて発酵調味料等を適量加える。塩の量は気温や湿度に応じて微増減させる。練り合わせた後は200〜250kgの力で20分程こねて餅状の軟らかさにし、これを帯状に切断して細紐状に延ばし、防乾用の食用油を塗って一旦4時間ほど熟成させる。
【0009】
次に、熟成させた原料を1時間ほどの熟成期間を適宜挟んで数回に渡ってさらに延ばす。この延ばしの工程の繰り返しで成分の組織が一定方向に並び、切れにくくなって極めて細く延ばすことができる。このようにして極細に延ばされた麺を所定長さに切断して熱風乾燥させ、乾燥した麺をラッピングして具材(乾燥ねぎ,乾燥椎茸等)と粉末スープとともに電子レンジに対応したカップに収容して包装し、求める即席素麺を得る。
【0010】
この即席素麺を食する際は、開封した麺と具材と粉末スープをカップに入れて沸騰させた熱湯を注ぎ、そのまま電子レンジで2分間加熱させる。蓋はしなくてもよい。出来上がった素麺は高タンパクな為、低塩分ながら麺に腰があり、食感が極めて良好なものであった。また、調理は熱湯を注いで電子レンジで短時間加熱するだけなので極めて容易であり、注いだ熱湯はそのままスープにでき無駄がない。さらに、この麺は塩分が従来の手延素麺と比較して大幅に減量しているから身体にやさしく、この麺を味噌汁などにそのまま入れても塩辛くはならず、美味しく食することができる。
【産業上の利用可能性】
【0011】
本発明の技術は即席麺製品に有用である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料として、小麦粉100重量部に対して塩1.5〜3重量部・小麦タンパク13〜18重量部・かん水0.075〜0.125重量部を含有しているものを用いた、手延素麺。
【請求項2】
請求項1記載の手延素麺を凍結又は熱風乾燥して具材と粉末スープとともに容器に収容した、即席麺製品。