説明

手持ち式作業機

【課題】出力調整機構の操作性を向上させることで、作業効率を向上させることのできる手持ち式作業機を提供する。
【解決手段】出力調整機構140の調整操作部材141を第1スロットルレバー120と把持部111との間に設け、調整操作部材141のツマミ141aを所定範囲内で移動自在に設け、所定範囲内の一端から他端まで移動させる操作によってエンジン3の出力をアイドル運転の状態から最大出力の状態まで調整可能である。これにより、調整操作部材141のツマミ141aの一度の操作でエンジン3の出力を任意に調整することができるので、出力調整機構140の操作を短時間で行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば刈払機、チェーンソー、パワーブロワ等の手持ち式の作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の手持ち式作業機としては、例えば、作業時におけるエンジンの出力を調整するためのスロットルレバーが任意の位置に固定可能な固定式の出力調整手段を備えたものが知られている。固定式の出力調整手段を備えた手持ち式作業機では、スロットルレバーが任意の位置で固定されるため、一定の出力を保持しながら作業を行うことができるという利点がある。しかし、固定式の出力調整手段では、作業中に手持ち式作業機から手を離しても、エンジンをアイドル運転の状態に戻すスロットルレバーの操作を行わない限り、一定の出力でエンジンの運転が継続されるため、安全性の確保が不十分となるおそれがある。
【0003】
一方、前記手持ち式作業機とは別の種類の出力調整手段として、使用者がスロットルレバーを操作している間のみエンジンの出力が調整され、スロットルレバーから使用者が手を離すと、エンジンがアイドル運転の状態となるトリガ式の出力調整手段が知られている。トリガ式の出力調整手段では、使用者がスロットルレバーから手を離すと、エンジンがアイドル運転の状態となることから安全性が高い。しかし、トリガ式の出力調整手段では、アイドル運転の状態と最大出力の運転との間の所謂ハーフスロットルでエンジンを運転したい場合に、スロットルレバーが固定されないため、エンジンの出力を一定に保持することが困難である。このため、トリガ式の出力調整手段を備えた手持ち式作業機では、使用者が最大出力でエンジンの運転を行うことになり、必要以上に騒音や振動が発生し、燃料の消費量が増加するという問題点がある。
【0004】
そこで、前記問題点を解消可能な出力調整手段として、使用者が使用時に把持する把持部と、一端側が把持部に回動自在に支持され、把持部を把持した手の指で他端側を把持部側に移動させる操作を行うことでエンジンの出力を調整可能な第1スロットルレバーと、把持部と前記第1スロットルレバーとの間において一端側が把持部に回動自在に支持され、把持部を把持した手の指で他端側をグリップ側に移動させる操作を行うことでエンジンの出力を調整可能な第2スロットルレバーと、第2スロットルレバーを把持部側に最大限移動させた状態におけるエンジンの出力を調整する出力調整機構と、を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この出力調整手段では、使用者が、第2スロットルレバーを把持部側に最大限移動させる操作を継続することによっても、エンジンを最大出力で運転させることなく、エンジンを最大出力より小さい所定の出力を保持しながら作業を行うことができる。これにより、この出力調整手段を備えた手持ち式作業機では、必要以上の騒音や振動の発生を防止し、燃料の消費量の低減を図ることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−226477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記問題点を解消可能な手持ち式作業機では、出力調整機構によって第1スロットルレバーに対する第2スロットルレバーの位置を調整することにより、第2スロットルレバーを把持部側に最大限移動させた状態におけるエンジンの出力を調整している。この出力調整手段では、第1スロットルレバーと第2スロットルレバーとを連結するネジ状の調整ツマミが設けられている。この場合、手持ち式作業機を把持した使用者が第2スロットルレバーの操作によるエンジンの出力を大きく変更する調整を行うためには、複数回に分けて繰り返し調整ツマミを操作しなければならず操作性が悪いため、作業効率の向上を図ることができていない。
【0007】
本発明の目的とするところは、出力調整機構の操作性を向上させることで、作業効率を向上させることのできる手持ち式作業機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記目的を達成するために、作業部と、前記作業部を駆動する駆動源と、使用者が使用時に把持する把持部と、前記駆動源の出力を調整する出力調整手段を有する手持ち式作業機において、前記出力調整手段は、一端側が前記把持部側の部材に回動自在に支持されるとともに、他端側が前記把持部から離れる回動方向に付勢され、前記把持部を把持した手で他端側を前記把持部側に移動させる操作を行うことで駆動源の出力を任意に調整可能な第1レバーと、前記把持部と前記第1レバーとの間に配置され、一端側が前記把持部側の部材に回動自在に支持されるとともに、他端側が前記把持部から離れる回動方向に付勢され、前記把持部を把持した手で他端側を前記把持部側に移動させる操作を行うことで駆動源の出力を調整可能な第2レバーと、前記把持部と前記第1レバーとの間に出力調整操作部が設けられ、前記第2レバーを前記把持部側に最大限移動させた状態における駆動源の出力を、前記出力調整操作部の操作によって任意に調整する出力調整機構と、を備え、前記出力調整操作部は、前記把持部を把持した手の往復動操作によって駆動源を最小出力から最大出力まで調整可能としている。
【0009】
これにより、出力調整操作部が把持部を把持した手の一度の往復動操作によって駆動源の出力が調整可能範囲の最小出力から最大出力まで調整できることから、出力調整操作部の一度の操作で駆動源の出力が任意に調整可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、出力調整操作部の一度の操作で駆動源の出力を任意に調整することができるので、出力調整機構の操作を短時間で行うことができ、作業機による作業効率を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態を示す出力調整装置を備えた刈払機の斜視図である。
【図2】出力調整装置の側面図である。
【図3】出力調整装置の正面図である。
【図4】出力調整装置の背面図である。
【図5】第2スロットルレバーの操作によるエンジンの出力を調整する方法を示す出力調整装置の側面断面図である。
【図6】第1スロットルレバーの操作によるエンジンの出力を調整する方法を示す出力調整装置の断面図である。
【図7】第1スロットルレバーおよび第2スロットルレバーをそれぞれ最大限に操作した状態を示す出力調整装置の断面図である。
【図8】(a)出力調整機構の操作を示す出力調整装置の要部斜視図、(b)操作部の操作による出力調整機構の動作を示す出力調整装置の要部斜視図である。
【図9】(a)出力調整機構の操作を示す出力調整装置の要部斜視図、(b)操作部の操作による出力調整機構の動作を示す出力調整装置の要部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1乃至図9は、本発明の一実施形態を示すものである。
本実施形態では、本発明の手持ち式作業機の一例として、エンジン駆動の刈払機について説明する。
【0013】
この刈払機1は、図1に示すように、前後方向に延びる操作杆2と、操作杆2の後端側に接続された駆動源としてのエンジン3と、操作杆2の前端側にギヤヘッド4を介して回動自在に取り付けられた円板状の刈刃5と、を備えている。
【0014】
操作杆2は、内部にドライブシャフト(図示せず)が回動自在に設けられている。ドライブシャフトの後端側には、エンジン3が連結されている。また、ドライブシャフトの前端側には、ギヤヘッド4が連結されている。
【0015】
また、操作杆2の中央部のやや後端側には、使用者が刈払機1を保持して操作するためのハンドル6が設けられている。ハンドル6は、管状の部材からなり、操作杆2から幅方向両側に延びるとともに、両端部が上方に向くように湾曲形成されている。ハンドル6の両端部には、使用者が左右それぞれの手で把持されるグリップ7L,7Rが設けられている。また、右側のグリップ7Rには、使用者が把持しながらエンジン3の出力を調整するための出力調整手段としての出力調整装置100が設けられている。エンジン3は、エンジン3に設けられたスロットルバルブ(図示せず)の弁開度を調整することによって出力が調整される。
【0016】
出力調整装置100は、図2乃至図4に示すように、使用者が右手で把持する装置本体110と、エンジン3の出力を最大とする操作が可能な第1レバーとしての第1スロットルレバー120と、装置本体110と第1スロットルレバー120との間に設けられ、エンジン3の出力を最大より小さい所定の出力とする操作が可能な第2レバーとしての第2スロットルレバー130と、エンジン3の第2スロットルレバー130の操作による最大出力を調整するための出力調整機構140と、を備えている。
【0017】
装置本体110は、ハンドル6の端部に沿って上下方向に延びる中空略円筒状に形成されるとともに、上部側が前方に張り出している。装置本体110の下部側には、グリップ7Rとして使用者の右手で把持される把持部111が設けられている。把持部111の上部には、周方向に沿って径方向外側に延びる鍔部111aが、前記把持部111を把持した手の親指が隣接する部分を除いて設けられている。また、把持部111を把持した手の親指が隣接する部分には、把持部111を把持した状態の使用者の手の親指が把持部111の上部側を移動可能なように、切欠き面111bが設けられている。また、装置本体110の上部側には、第1スロットルレバー120および第2スロットルレバー130が支持されるとともに、ストップスイッチ150およびハーフロック機構160が配置されている。また、装置本体110には、スロットルバルブの弁開度を調整するためのスロットルワイヤ8が接続されている。スロットルワイヤ8は、図5に示すように、装置本体110の下端側から装置本体110内に通されており、アウタ8aの端部が把持部111の内側に固定され、インナ8bの端部が第1スロットルレバー120に接続されている。
【0018】
第1スロットルレバー120は、装置本体110の前方を上下方向に延びるように設けられ、図5に示すように、上端側が第2スロットルレバー130の上端側に支軸121を介して所定範囲内で回動自在に支持されている。第1スロットルレバー120は、支軸121にねじりばね122が巻き回されており、第2スロットルレバー130に対して下端側が前方に向かって回動する方向に付勢されている。第1スロットルレバー120は、把持部111を把持した使用者の手の人差し指により下端側を把持部111側に移動させる方向に操作される。第1スロットルレバー120は、上端側の端部にスロットルワイヤ8のインナ8bの端部が接続されている。第1スロットルレバー120は、下端側を最大限に第2スロットルレバー130側に移動させる方向に回動させると第2スロットルレバー130と重ね合わされた状態となる。
【0019】
第2スロットルレバー130は、装置本体110と第1スロットルレバー120との間を上下方向に延びるように設けられ、図5に示すように、上端側の端部が装置本体110に支軸131を介して所定範囲内で回動自在に支持されている。第2スロットルレバー130は、支軸131にねじりばね132が巻き回されており、装置本体110に対して下端側が前方に向かって回動する方向に付勢されている。第2スロットルレバー130は、把持部111を把持する使用者の手の指により下端側を把持部111側に移動させる方向に操作される。第2スロットルレバー130は、下端側を最大限に把持部111側に移動させる方向に回動させた状態で下端側が把持部111に沿って延びるように形成され、把持部111および第2スロットルレバー130をまとめて手で握ることが可能に構成されている。
【0020】
出力調整機構140は、図5に示すように、第1スロットルレバー120と第2スロットルレバー130とを互いの距離を可変に連結するものである。出力調整機構140は、第2スロットルレバー130に対して回動自在に設けられた調整操作部材141と、調整操作部材141の回動操作と連動して第1スロットルレバー120と第2スロットルレバー130の間隔を変更させるためのリンク部材142と、を有している。
【0021】
調整操作部材141は、円心を回転中心として回転自在に設けられた円板状の部材からなり、図2および図3に示すように、外周面に指で操作する際に指を掛ける突起状の出力調整操作部としてのツマミ141aが形成されている。調整操作部材141は、ツマミ141aを含む外周面が第2スロットルレバー130の左側面側に設けられた上下方向に延びる開口部112から露出している。開口部112は、把持部111を把持した手の親指で調整操作部材141を操作可能な位置に設けられている。調整操作部材141は、ツマミ141aが開口部112内を上下方向に移動する範囲内で回転が可能である。
【0022】
リンク部材142は、上下方向に延びる棒状部材である。また、リンク部材142の下端側は、調整操作部材141のツマミ141aと回転中心を挟んで向き合う外周部に連結されている。また、リンク部材142の上端側は、第1スロットルレバー120の上端と支軸121との間に設けられた上下方向に延びる溝123に係合している。溝123の上端には、リンク部材142の上端部が当接する当接面123aが設けられている。
【0023】
リンク部材142は、ツマミ141aが開口部112の最下部に位置するまで調整操作部材141を回転させると、上端が溝123の当接面123aに当接しながら第1スロットルレバー120の上端側を押し上げ、第1スロットルレバー120を把持部側に最大限移動させる。また、リンク部材142は、ツマミ141aが開口部112の最上部に位置するまで調整操作部材141を回転させると、第1スロットルレバー120の上端側を押し上げる状態を解除する。このとき、第1スロットルレバー120は、ねじりばね122の付勢力によって把持部側から最大限離れる位置まで移動する。
【0024】
以上のように構成された手持ち式作業機において、刈払機1による作業を行う際の通常の出力調整装置100の操作方法を説明する。
【0025】
まず、通常の作業では、エンジン3がアイドル運転の状態において、図5の矢印の方向に、第2スロットルレバー130を把持部111側に移動させる操作を行い、第2スロットルレバー130を最大限に把持部111側に移動させる。第2スロットルレバー130を把持部111側に移動させると、出力調整機構140のリンク部材142の上端が第1スロットルレバー120の溝123の当接面123aに当接しながら当接面123aを上方に向かって押すため、第2スロットルレバー130と共に第1スロットルレバー120も把持部111側に移動する。これにより、第1スロットルレバー120の上端側の端部に接続されたスロットルワイヤ8のインナ8bは、アウタ8aに対して上方に引き出される。このとき、スロットルワイヤ8は、第2スロットルレバー130と共に移動する第1スロットルレバー120の操作量に対応した操作量となり、スロットルワイヤ8の操作量に応じたエンジン3の出力となる。
【0026】
また、第2スロットルレバー130の操作による刈払機1の作業時において、密集した草木を刈払うときなど、刈刃5に加わる負荷が大きくなる場合には、第2スロットルレバー130と把持部111とをまとめて握ったまま、図6の矢印の方向に第1スロットルレバー120を把持部111側に移動させる操作を行う。これにより、第1スロットルレバー120の上端側の端部に接続されたスロットルワイヤ8のインナ8bは、さらにアウタ8aに対して上方に引き出される。第1スロットルレバー120を最大限に把持部111側に移動させると、図7に示すように、スロットルワイヤ8は操作量が最大となり、エンジン3の出力が最大となる。
【0027】
ここで、第2スロットルレバー130を把持部111側に最大限移動させた状態におけるエンジン3の出力を調整する場合には、出力調整機構140の調整操作部材141を回動させる操作を行う。
【0028】
出力調整機構140は、図8(a)に示すように、調整操作部材141のツマミ141aを下方に向かって移動させると、図8(b)に示すように、リンク部材142が上方に向かって移動してリンク部材142の上端が溝123の当接面123aに当接しながら当接面123aを上方に向かって押す。このため、第1スロットルレバー120は、ねじりばね122の付勢力に抗して把持部111側に近接する方向に移動する。これにより、スロットルワイヤ8は、アウタ8aに対してインナ8bが上方に引き出され、エンジン3の出力が大きくなる。
【0029】
また、出力調整機構140は、図9(a)に示すように、調整操作部材141のツマミ141aを上方に向かって移動させると、図9(b)に示すように、リンク部材142が下方に向かって移動する。このため、第1スロットルレバー120は、ねじりばね122の付勢力によって把持部111側から離れる方向に移動する。これにより、スロットルワイヤ8は、アウタ8aに対してインナ8bが下方に戻され、エンジン3の出力が低下する。
【0030】
出力調整機構140の調整操作部材141は、開口部112の下方にツマミ141aを最大限移動させると、第2スロットルレバー130を把持部111側に最大限移動させた状態において、エンジン3の出力が最大となる。また、調整操作部材141は、開口部112の上方にツマミ141aを最大限移動させると、第2スロットルレバー130を把持部111側に最大限移動させた状態において、エンジン3の出力が最小出力としてのアイドル運転の状態となる。また、調整操作部材141は、開口部112の任意の位置にツマミ141aを移動させると、第2スロットルレバー130を把持部111側に最大限移動させた状態において、エンジン3の出力がアイドル運転の状態と最大出力との間の任意の出力となる。
【0031】
また、調整操作部材141は、第1スロットルレバー120と第2スロットルレバー130との間に配置されている。また、調整操作部材141は、把持部111および第2スロットルレバー130をまとめて握った状態で、使用者の手の親指によってツマミ141aを開口部112の上端と下端との間を移動させる操作が可能な位置に配置されている。これにより、調整操作部材141は、使用者が刈払機1から手を離すことなく、さらに、把持部111を把持した手を持ち替えることなく操作できる。
【0032】
このように、本実施形態の手持ち式作業機では、出力調整機構140の調整操作部材141を第1スロットルレバー120と把持部111との間に設け、調整操作部材141のツマミ141aが把持部111を把持した手の一度の往復動操作によってエンジン3の出力をアイドル運転の状態から最大出力の状態まで調整可能である。これにより、調整操作部材141のツマミ141aの一度の操作でエンジン3の出力を任意に調整することができるので、出力調整機構140の操作を短時間で行うことができる。したがって、出力調整機構140の調整が容易となるので、刈払機1による作業の作業効率を向上させることが可能となる。
【0033】
また、調整操作部材141は、第2スロットルレバー130の下端側を把持部111側に最大限移動させた状態で、把持部111把持した手によって操作可能である。これにより、第2スロットルレバー130の操作による作業を行いながら、行う作業に合わせてエンジン3の出力を調整することができ、刈払機1による作業の作業効率を向上させることが可能となる。
【0034】
また、把持部111の上部側に周方向に沿って外側に延びる鍔部111aが、把持部111を把持した手の親指が隣接する部分を除いて設けられ、把持部111を把持した手の親指が隣接する部分には、切欠き面111bが設けられている。これにより、把持部111を把持した状態の手の親指を把持部111の上方に容易に移動させることが可能となるため、把持部111を把持した状態の手の親指による調整操作部材141の操作がより容易となり、出力調整機構140の調整作業がより容易となる。
【0035】
また、出力調整機構140は、第2スロットルレバー130に設けられた調整操作部材141と第1スロットルレバー120を連結するリンク部材142を有し、調整操作部材141の操作によってリンク部材142を移動させて第1スロットルレバー120に対する第2スロットルレバー130の位置を調整することで、第2スロットルレバー130を把持部111側に最大限移動させた状態におけるエンジン3の出力を調整している。これにより、調整操作部材141に連結されたリンク部材142によってエンジン3の出力をアイドル運転と最大出力運転との間で調整することができる。したがって、簡単な部材の組み合わせによって出力調整機構140を構成することができるので、製造コストの低減を図ることが可能となる。
【0036】
尚、前記実施形態では、手持ち式作業機の一例として刈払機1に本発明を適用したものを示したが、これに限られるものではない。本発明が適用可能なその他の手持ち式作業機としては、チェーンソー、パワーブロワ等の手持ち式作業機に本発明を適用可能である。
【0037】
また、前記実施形態では、出力を調整する駆動源としてエンジン3の出力を調整するものを示したが、これに限られるものではない。第1スロットルレバー120および第2スロットルレバー130によって出力が調整されるものであれば、駆動源が電動モータであっても本発明が適用可能である。
【0038】
また、前記実施形態では、リンク部材142を上下動させるために、第2スロットルレバー130に円板状の調整操作部材141を回転自在に設けたものを示したが、これに限られるものではない。例えば、第2スロットルレバー130に調整操作部材を往復動自在に設け、調整操作部材を往復動させることによりリンク部材142を上下動させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0039】
1…刈払機、3…エンジン、100…出力調整装置、110…装置本体、111…把持部、111a…鍔部、111b…切欠き面、120…第1スロットルレバー、121…支軸、122…ねじりばね、130…第2スロットルレバー、131…支軸、132…ねじりばね、140…出力調整機構、141…調整操作部材、141a…ツマミ、142…リンク部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業部と、前記作業部を駆動する駆動源と、使用者が使用時に把持する把持部と、前記駆動源の出力を調整する出力調整手段を有する手持ち式作業機において、
前記出力調整手段は、
一端側が前記把持部側の部材に回動自在に支持されるとともに、他端側が前記把持部から離れる回動方向に付勢され、前記把持部を把持した手で他端側を前記把持部側に移動させる操作を行うことで駆動源の出力を任意に調整可能な第1レバーと、
前記把持部と前記第1レバーとの間に配置され、一端側が前記把持部側の部材に回動自在に支持されるとともに、他端側が前記把持部から離れる回動方向に付勢され、前記把持部を把持した手で他端側を前記把持部側に移動させる操作を行うことで駆動源の出力を調整可能な第2レバーと、
前記把持部と前記第1レバーとの間に出力調整操作部が設けられ、前記第2レバーを前記把持部側に最大限移動させた状態における駆動源の出力を、前記出力調整操作部の操作によって任意に調整する出力調整機構と、を備え、
前記出力調整操作部は、前記把持部を把持した手の往復動操作によって駆動源を最小出力から最大出力まで調整可能である
ことを特徴とする手持ち式作業機。
【請求項2】
前記出力調整操作部は、前記第2レバーを前記把持部側に最大限移動させた状態で、前記把持部を把持した手によって操作可能である
ことを特徴とする請求項1に記載の手持ち式作業機。
【請求項3】
前記把持部には、前記把持部の周方向に沿って外側に延びる鍔部が、前記把持部を把持した手の親指が隣接する部分を除いて設けられ、
前記親指が隣接する部分には、切欠き面が設けられている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の手持ち式作業機。
【請求項4】
前記出力調整機構は、前記第2レバーに設けられた前記出力調整操作部と前記第1レバーとを連結するリンク部材を有し、前記出力調整操作部の操作によってリンク部材を移動させて前記第1レバーに対する前記第2レバーの位置を調整することで、前記第2レバーを前記把持部側に最大限移動させた状態における駆動源の出力を調整する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の手持ち式作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−66398(P2013−66398A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205973(P2011−205973)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(000137292)株式会社マキタ (1,210)
【Fターム(参考)】