説明

手摺りの取付装置

【課題】手摺支柱の左右側面に手摺りガラス嵌合枠を取り付ける必要がなく、手摺りガラスの取付作業が容易に行える手摺りの取付装置を提供する。
【解決手段】前後側壁8a,8aと左右側壁8b,8bとからなる中空角筒状支柱本体8における左右側壁8b,8bの少なくとも片方の側壁8bに手摺りガラス嵌合溝9を凹設した手摺支柱2を設けると共に、手摺支柱2を嵌合させるホルダー部10とこのホルダー部10の下端から突出する棒状アンカー部材11とからなる支柱取付用アンカーKを設け、支柱取付用アンカーKの棒状アンカー部材11の下端部を堰壁1に固着し、手摺支柱2を支柱取付用アンカーKのホルダー部10に嵌合固定し、隣り合う手摺支柱2,2間に配置した手摺りガラス5の左右側端部を支柱本体8の手摺りガラス嵌合溝9に嵌合するようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、隣り合う手摺支柱と両手摺支柱をつなぐ上下枠との間に手摺りガラスを嵌装してなる手摺りをベランダ等の堰壁に取り付ける手摺りの取付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
手摺りガラスを備えた手摺支柱をベランダ等の堰壁に立設するのに、従来では、例えば下記特許文献1に記載されているように、内部にボルトねじ込み筒を軸方向に一体形成した角筒状手摺支柱の前記ボルトねじ込み筒にアンカーボルトの上端部側をねじ込んで固定して、このアンカーボルトの下端部側を手摺支柱の下端から突出させ、この手摺支柱下端から突出したアンカーボルトの下端部側を堰壁に穿設したアンカーボルト埋設用凹孔に接着剤を介して挿入することにより、手摺支柱を堰壁上に立設し、また隣り合う手摺支柱を上下枠によって連結している。そして、隣り合う手摺支柱間に亘って手摺りガラスを取り付けるにあたって、各手摺支柱の左右側面に、下記特許文献1には記載されていないが、手摺りガラスの左右端部を嵌合するための手摺りガラス嵌合枠を取り付け、しかして対向する手摺支柱に夫々取り付けてある手摺りガラス嵌合枠に手摺りガラスの左右端部を嵌合するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−226376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来の手摺りの取付装置によれば、手摺支柱の下端部にアンカーボルトを直接固定し、このアンカーボルトの下端部を堰壁に固着していることから、アンカーボルトを堰壁に埋設固定した後で、角筒状手摺支柱の高さを微調整する必要が生じたときに、アンカーボルトが堰壁に固定されているため、アンカーボルトに対して角筒状手摺支柱を回転させると、手摺支柱の前後左右の向きが変わるためにその高さ調整ができなくなる。また、各手摺支柱の左右側面に手摺りガラスの左右端部を嵌合するための手摺りガラス嵌合枠を取り付けるようにするため、手摺りガラスの取付作業に非常に手間がかかるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑み、アンカーを堰壁に埋設固定した後でも手摺支柱の高さ調整が簡単容易に行え、また手摺支柱の左右側面に手摺りガラス嵌合枠を取り付ける必要がなく、手摺りガラスの取付作業が容易に行える手摺りの取付装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための手段を、後述する実施形態の参照符号を付して説明すると、請求項1に係る発明は、左右に隣り合う手摺支柱2,2と両手摺支柱2,2をつなぐ上下枠3,4との間に手摺りガラス5を嵌装してなる手摺りTをベランダ等の堰壁1に取り付けるにあたり、前後側壁8a,8aと左右側壁8b,8bとからなる中空角筒状支柱本体8における前記左右側壁8b,8bの少なくとも片方の側壁8bに手摺りガラス嵌合溝9を凹設した手摺支柱2を設けると共に、手摺支柱2の支柱本体8を嵌合させるホルダー部10とこのホルダー部10の下端から突出する棒状アンカー部材11とからなる支柱取付用アンカーKを設け、この支柱取付用アンカーKの棒状アンカー部材11の下端部を堰壁1に固着し、前記支柱本体8を前記支柱取付用アンカーKのホルダー部10に嵌合固定し、隣り合う手摺支柱2,2間に配置した手摺りガラス5の左右側端部を支柱本体8の手摺りガラス嵌合溝9に嵌合するようにしてなることを特徴とする。
【0007】
請求項2は、請求項1に記載の手摺りの取付装置において、前記支柱取付用アンカーKのホルダー部10は、一対の太軸部20,20と両太軸部20,20をつなぐ板状部21とで形成され、各太軸部20には前記棒状アンカー部材11を圧入的に螺嵌するための圧入螺嵌溝22が全長に亘って形成されると共に、ホルダー部10の左右側面には両太軸部20,20と板状部21とによって支柱本体8の手摺りガラス嵌合溝9に対応する凹条部32が形成され、このホルダー部10の前後側面10a,10aが支柱本体8の前後側壁8a,8a内面に当接支持されるようになっていることを特徴とする。
【0008】
請求項3は、請求項1又は2に記載の手摺りの取付装置において、手摺支柱2は、中空角筒状支柱本体8と、支柱本体8の中空部に形成される支柱取付用アンカー嵌合部15と、手摺りガラス嵌合溝9と、手摺りガラス5に水密当接するシール材16a,16bを嵌合するシール材嵌合溝17,17と、支柱本体8を上枠3にビス18止めするためのビスホール19とによって構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上記解決手段による発明の効果を、後述する実施形態の参照符号を付して説明すると、請求項1に係る発明によれば、手摺支柱2の支柱本体8を嵌合させるホルダー部10とこのホルダー部10の下端から突出する棒状アンカー部材11とからなる支柱取付用アンカーKを設け、このアンカーKの棒状アンカー部材11の下端部を堰壁1に固着し、支柱本体8を支柱取付用アンカーKのホルダー部10に嵌合固定するようにしたから、支柱取付用アンカーKを堰壁1に固着した後であっても、支柱本体8をホルダー部10に対し適宜上下動させて固定することにより、手摺支柱2の高さ調整が可能となる。
【0010】
また手摺支柱2は、前後側壁8a,8aと左右側壁8b,8bとからなる中空角筒状の支柱本体8からなるもので、この支柱本体8の左右側壁8b,8bの少なくとも片方の側壁8bに手摺りガラス嵌合溝9を凹設しているため、手摺りガラス5を隣り合う手摺支柱2,2と上下枠3,4との間に嵌装するにあたって、従来のように手摺支柱の左右側面に手摺りガラス嵌合枠を取り付ける必要がなく、手摺りガラス5の左右両端部は、隣り合う支柱本体8,8の手摺りガラス嵌合溝9,9にそのまま嵌合させればよいから、手摺りガラス5の取付作業を迅速容易に行うことができる。
【0011】
請求項2に係る発明によれば、支柱取付用アンカーKのホルダー部10は、一対の太軸部20,20と両太軸部20,20をつなぐ板状部21とで形成され、ホルダー部10の左右側面には両太軸部20,20と板状部21とによって支柱本体8の手摺りガラス嵌合溝9に対応する凹条部32が形成されていて、この凹条部32が手摺り本体7の手摺りガラス嵌合溝9に対し裏側から係合し、そしてホルダー部10の前後側面10a,10aが支柱本体8の前後側壁8a,8a内面に当接支持されるようになっているから、支柱本体8をホルダー部10に嵌合固定させる時に支柱本体8がホルダー部10に対してガタつくようなことなく、的確に安定良く嵌合固定させることができる。また、各太軸部20にはボルトからなる棒状アンカー部材11を圧入的に螺嵌するための圧入螺嵌溝22が全長に亘って形成されているから、棒状アンカー部材11をホルダー部10に圧入螺嵌させることによって、棒状アンカー部材11をホルダー部10に対して強固に一体的に固定させることができると共に、ホルダー部10の下端から棒状アンカー部材11を必要な長さだけ突出させることができ、またその突出長さを変更調整することができる。
【0012】
請求項3に係る発明によれば、手摺支柱2は、中空角筒状支柱本体8と、支柱本体8の中空部に形成される支柱取付用アンカー嵌合部15と、手摺りガラス嵌合溝9と、手摺りガラス5に水密当接するシール材16a,16bを嵌合するシール材嵌合溝17,17と、支柱本体8を手摺り笠木6(上枠)にビス18止めするためのビスホール19とからなるもので、手摺りガラス5の取付けにあたって、シール材嵌合溝17,17に室外側及び室内側のシール材16a,16bを嵌合しておけば、あとは手摺りガラス嵌合溝9に手摺りガラス5の左右端部を挿入すればよいから、手摺りガラス5の取付作業が容易となり、また支柱本体8に手摺り笠木6(上枠)を取り付ける場合には、その手摺り笠木6側からビス18を支柱本体8のビスホール19にねじ込めばよく、手摺り笠木6の取付けが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】(a) はベランダに設置された手摺りを屋外側から見た正面図、(b) は(a) の矢印A−A線拡大断面図である。
【図2】図1の(a) の矢印B−B線拡大断面図である。
【図3】手摺支柱側からホルダー部にビスをねじ込んだ状態を示す断面図である。
【図4】(a) は堰壁笠木の一部を示す平面図、(b) は堰壁笠木の横断面図である。
【図5】(a) は支柱本体の正面図、(b) は支柱本体の横断面図、(c) はホルダー部及びこれに取り付けられる棒状アンカー部材を示す正面図、(d) はホルダー部の横断面図である。
【図6】手摺りの取付方法の最初の段階を示す説明図である。
【図7】手摺りの取付方法の次の段階を示す説明図である。
【図8】手摺りの取付方法の最終段階を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の好適な一実施形態を図面に基づいて説明すると、図1の(a) に示される手摺りTは、建物のベランダの外縁部に沿って突設されたコンクリート製の堰壁1に手摺支柱2を一定間隔おきに立設し、左右に隣り合う手摺支柱2,2と両手摺支柱2,2どうしをつなぐ上枠3及び下枠4との間に手摺りガラス5を嵌装してなるもので、手摺支柱2の頂部は手摺り笠木6によって連結され、また上下枠3,4間には中枠7が介装されている。尚、この実施形態では、隣り合う手摺支柱2,2と、手摺り笠木6の下側に配設された上枠3及び堰壁1に近い下方の下枠4との間に手摺りガラス5を嵌装しているが、上枠3を省いて、手摺り笠木6を上枠として、この手摺り笠木6(上枠)及び下枠4と、隣り合う手摺支柱2,2との間に手摺りガラス5を嵌装する場合もある。また中枠7を省く場合もある。
【0015】
手摺りTの取付装置は、前後側壁8a、8aと左右側壁8b,8bとからなる中空角筒状支柱本体8における前記左右側壁8b,8bの少なくとも片方の側壁8bに手摺りガラス嵌合溝9を凹設した手摺支柱2を設けると共に、この手摺支柱2を嵌合させるホルダー部10とこのホルダー部10の下端から突出する棒状アンカー部材11とからなる支柱取付用アンカーKを設け、この支柱取付用アンカーKの棒状アンカー部材11の下端部を、堰壁1に穿設したアンカー挿入穴12に挿入して、接着剤13により棒状アンカー部材11をアンカー挿入穴12に固着し、そうして手摺支柱2を支柱取付用アンカーKのホルダー部10に嵌合して、手摺支柱2からホルダー部10にねじ込んだビス14により手摺支柱2のホルダー部10に固定し、隣り合う手摺支柱2,2間に配置した手摺りガラス5の左右端部を支柱本体8の手摺りガラス嵌合溝9に嵌合するようにしたものである。
【0016】
上記取付装置の構造について図1〜図5を参照して詳しく説明すれば、手摺支柱2は、図1の(b) 、図3及び図5の(a) ,(b) から分かるように、前後側壁8a、8aと左右側壁8b,8bとからなる中空角筒状の支柱本体8と、この支柱本体8の中空部に形成される支柱取付用アンカー嵌合部15と、手摺りガラス嵌合溝9と、この手摺りガラス嵌合溝9の入口部の室内外両側で、手摺りガラス5に水密当接する室外側及び室内側シール16a,16bを嵌合する両側一対のシール材嵌合溝17,17と、支柱本体8を手摺り笠木6に対してビス18止めするためのビスホール19とを備えており、そして図1の(b) に示すように、室外側のシール材嵌合溝17に室外側シール材16aが嵌合され、室内側のシール材嵌合溝17に室内側シール材16bが嵌合されている。尚、図1に示すように、手摺りTの端にある手摺支柱2の支柱本体8は、左右側壁8b,8bの内側の側壁8bに手摺りガラス嵌合溝9を設け、内方にある手摺支柱2の支柱本体8は、左右両側壁8b,8bに夫々手摺りガラス嵌合溝9を設けている。
【0017】
支柱取付用アンカーKのホルダー部10は、図3及び図5の(c) ,(d) に示すように、一対の太軸部20,20と両太軸部20,20をつなぐ板状部21とで形成され、各太軸部20には、鋼製のボルトからなる棒状アンカー部材11を圧入的に螺嵌するための圧入螺嵌溝22が全長にわたって形成されると共に、ホルダー部10の左右側面には両太軸部20,20と板状部21とによって支柱本体8の手摺りガラス嵌合溝9に対応する凹条部32が形成され、このホルダー部10の前後側面10a,10aが支柱本体8の前後側壁8a,8a内面に当接支持されるようになっている。
【0018】
支柱取付用アンカーKの棒状アンカー部材11は鋼製のボルトからなるため、このボルトをアルミ押出形材からなるホルダー部10の圧入螺嵌溝22に圧入螺嵌することによって、ホルダー部10に対し簡単に取付け固定することができる。この棒状アンカー部材11としては、ボルト以外に、鉄筋などを用いることができるが、ホルダー部10に対する取付けが面倒であるため、ボルトが好ましい。また、棒状アンカー部材11としてボルトを用いた場合は、アンカー挿入穴12に注入される接着剤の食い付きも良い。
【0019】
図4の(a) は堰壁笠木23の一部を示す平面図、(b) は堰壁笠木23の横断面図である。この堰壁笠木23は、アルミ押出形材によって形成された断面略下向きコ字状に長尺板材からなるもので、外側板部23cを内側板部23bよりも高くして天板部23aの屋内側が低くなるよう緩傾斜させることによって、天板部23aに水切り性をもたせている。この堰壁笠木23の天板部23aには、図4の(a) に示すように、支柱取付用アンカーKのホルダー部10を挿通させるためにホルダー部10の断面形状に対応する形状に開口形成されたホルダー部挿通用開口部28が設けてある。また堰壁笠木23の内側板部23b及び外側板部23cの夫々下端部には内向きに突出する係止部24,25が形成されている。尚、支柱本体8の下端面8oは、堰壁笠木23の天板部23aの水切り傾斜面に対応する傾斜面に形成されている(図2及び図8参照)。
【0020】
堰壁笠木23を堰壁1の頂部に取り付け固定する取付金物26は、図2に示すように、ボルト挿通孔(図示せず)及び棒状アンカー部材挿通穴(図示せず)を設けた水平基片26aと、この水平基片12aの両端部から立ち上がる立上部26b,26cと、両立上部26b,26cから夫々垂下延設された内側及び外側支持片26d,26eとからなる周知構造のもので、ステンレス等により形成される。
【0021】
上記のような構成よりなる手摺りTの取付方法について、図6〜図8を中心に他の図面を参照して説明すれば、先ず、図6の(a) に示すように、コンクリート製堰壁1の上面の手摺支柱立設箇所にドリル等によって2つのアンカー挿入穴12,12を穿設し、各アンカー挿入穴12内に残っている砂塵等を排除した後、各アンカー挿入穴12に接着剤13を注入充填する。この接着剤13としては、金属及びコンクリートに有効な普通の接着剤に限らず、例えばエポキシ樹脂のような熱可塑性樹脂を溶融したものでもよい。
【0022】
それから、図6の(b) に示すように、堰壁1上面の、アンカー挿入穴12の設けられていない所要箇所に取付金物26を所定間隔おきにアンカーボルト27によって取り付け、そしてこれらの取付金物26に堰壁笠木23を被嵌し、取付金物26の内外支持片26d,26eの夫々下端部を堰壁笠木23の内外側板部23b,23cの係止部24,25に係止させて固定し、図7に示す状態とする。この時、堰壁笠木23は、ホルダー部挿通用開口部28が堰壁1のアンカー挿入穴12の真上に位置するように取り付ける。
【0023】
しかして、図7及び図8に示すように、支柱取付用アンカーKを堰壁笠木23のホルダー部挿通用開口部28に挿通して、棒状アンカー部材11,11を取付金物26の棒状アンカー部材挿通穴(図示せず)から堰壁1のアンカー挿入穴12,12に挿入すると共に、ホルダー部10の下端面10oを取付金物26の水平基片26a上面に当接支持させる。棒状アンカー部材11は、アンカー挿入穴12に注入充填した接着剤13によって、アンカー挿入穴12に固着し、これによって支柱取付用アンカーKを堰壁1上に鉛直状に立設固定する。
【0024】
上記のように支柱取付用アンカーKを堰壁1上に立設固定した後、図2に示すように、手摺支柱2を、支柱取付用アンカーKーのホルダー部10に嵌合して、支柱本体8の下端面8oを堰壁笠木23の天板部23aの上面に当接支持させる。そして、図1の(b) 及び図3に示すように、支柱本体8の後側壁(屋内側側壁)8aからビス14を支柱取付用アンカーKのホルダー部10の上下複数箇所にねじ込んで、支柱本体8をホルダー部10に固定する。これにより、手摺支柱2を堰壁1上に鉛直状に立設固定し、図2に示すような取付状態とする。この際に、各手摺支柱2の立設高さを一様に揃えるために、必要に応じて支柱本体8の取付高さを調整変更する時は、ビス14を取り外せば、支柱本体8はホルダー部10に対し上下動自在となるため、必要高さ位置で再びビス14を支柱本体8からホルダー部10にねじ込めばよい。
【0025】
こうして手摺支柱2をコンクリート堰壁1上の所定位置に立設したならば、左右に隣り合う手摺支柱2,2間に上枠3及び下枠4を連結し、上下枠3,4に中枠7を介装する。図2に示すように、上枠3は、上枠本体3aとこれに室内側から嵌め込まれる押え枠3bとからなるもので、上枠本体3aの手摺りガラス嵌合溝3oには室外側シール材16aが取り付けられ、押え枠3bには室内側シール材16bが取り付けられる。この上枠3の左右各端部を手摺支柱2の支柱本体8に連結するには、L字形連結板29の一方の板部29aを支柱本体8にビスa止めし、他方の板部29bを上枠3の端部にビスa止めすこることにより連結する。また、下枠4は、下枠本体4aと押え枠4bとからなるもので、下枠本体4aの手摺りガラス嵌合溝4oには室外側シール材16aが取り付けられ、押え枠4bには室内側シール材16bが取り付けられる。この下枠4の左右各端部を手摺支柱2の支柱本体8に連結するには、L字形連結板30の一方の板部30aを支柱本体8にビスa止めし、他方の板部30bを下枠4の端部下面にビスa止めすることにより連結する。
【0026】
また中枠7は、図1の(b) に示すように、左右両側面部に手摺りガラス嵌合溝31,31を有し、各手摺りガラス嵌合溝31の室外側に室外側シール材16aが取り付けられ、その室内側に室内側シール材16bが取り付けられる。そして、この中枠7の上下端部を上下枠3,4に連結するには、図示は省略するが、上枠3の上枠本体3aから中枠7のビスホール33にビスをねじ込み、また下枠4の下枠本体4aから中枠7のビスホール33にビスをねじ込むことにより連結する。
【0027】
その後、手摺り笠木6を各手摺支柱2の頂部に掛け渡す。この手摺り笠木6は、図2に示すように、取付基枠6bとこれに係嵌して取り付けられる笠木本体6aとからなるもので、取付基枠6bを支柱本体8の頂部に載置して、ビス18を支柱本体8のビスホール19にねじ込むことにより、取付基枠6bを支柱本体8に固定した後、笠木本体6aを取付基枠6bに係嵌して固定する。
【0028】
上記のように、隣り合う手摺支柱2,2間に上枠3の上枠本体3a及び下枠4の下枠本体4aを連結し、上枠本体3aと下枠本体4aとの間に中枠7を取り付け、各手摺支柱2の頂部にわたって手摺り笠木6を掛け渡した後、手摺りガラス5の上下端部を、上枠本体3aの手摺りガラス嵌合溝3oと下枠本体4aの手摺りガラス嵌合溝4oとに対し上下検鈍式に嵌合させると共に、手摺りガラス5の左右両端部を、支柱本体8の手摺りガラス嵌合溝9と中枠7の手摺りガラス嵌合溝31とに対して左右検鈍式に嵌め込む。それから、上枠3の押え枠3bを室内側より上枠本体3aに嵌め込み、下枠4の押え枠4bを下枠本体4aに嵌め込むことによって、手摺りガラス5を固定する。尚、下枠4の手摺りガラス嵌合溝4o内にはセッティングブロック34を配置しておいて、このブロック34上に手摺りガラス5を載置する。
【0029】
上記のように、隣り合う手摺支柱2,2と上下枠3,4と中枠7との間に手摺りガラス5を嵌め込んで固定した後、図1の(b) 及び図2に示すように、手摺りガラス5の室内側周縁部と、支柱本体8側の室内側シール材16b、上下枠3,4側の室内側シール材16b及び中枠7側の室内側シール材16bとの間に夫々ペースト状のシール材16cを装填する。
【0030】
以上説明したような手摺りTの取付構造によれば、手摺支柱2の支柱本体8を嵌合させるホルダー部10とこのホルダー部10の下端から突出する棒状アンカー部材11とからなる支柱取付用アンカーKを設け、このアンカーKの棒状アンカー部材11の下端部を堰壁1に固着し、支柱本体8を支柱取付用アンカーKのホルダー部10に嵌合固定し、隣り合う手摺支柱2,2間に配置した手摺りガラス5の左右側端部を支柱本体8の手摺りガラス嵌合溝9に嵌合するようにしたから、支柱取付用アンカーKを堰壁1に固着した後であっても、支柱本体8をホルダー部10に対し適宜上下動させて固定することにより、手摺支柱2の高さ調整が可能となる。
【0031】
また、手摺支柱2は、前後側壁8a,8aと左右側壁8b,8bとからなる中空角筒状の支柱本体8を有し、この支柱本体8の左右側壁8b,8bの少なくとも片方の側壁8bに手摺りガラス嵌合溝9を凹設しているから、手摺りガラス5を隣り合う手摺支柱2,2と上下枠3,4との間に嵌装するにあたって、従来のように手摺支柱の左右側面に手摺りガラス嵌合枠を取り付ける必要がなく、手摺りガラス5の左右両端部は、隣り合う支柱本体8,8の手摺りガラス嵌合溝9,9にそのまま嵌合させればよいため、手摺りガラス5の取付作業を迅速容易に行うことができる。
【0032】
また、支柱取付用アンカーKのホルダー部10は、図3から分かるように、一対の太軸部20,20と両太軸部20,20をつなぐ板状部21とで形成され、ホルダー部10の左右側面には両太軸部20,20と板状部21とによって支柱本体8の手摺りガラス嵌合溝9に対応する凹条部32が形成され、そしてホルダー部10の前後側面10a,10aが支柱本体8の前後側壁8a,8a内面に当接支持されるようになっているから、支柱本体8をホルダー部10に嵌合固定させる時に支柱本体8がホルダー部10に対しガタつくようなことなく、的確に安定良く嵌合固定することができる。そして、各太軸部20にはボルトからなる棒状アンカー部材11を圧入的に螺嵌するための圧入螺嵌溝22が全長に亘って形成されているから、棒状アンカー部材11をホルダー部10に圧入螺嵌させることにより、棒状アンカー部材11をホルダー部10に対して強固に一体的に固定させることができると共に、ホルダー部10の下端から棒状アンカー部材11を必要な長さだけ突出させることができ、またその突出長さを変更調整することができる。尚、ボルトからなる棒状アンカー部材11を圧入螺嵌溝22に圧入螺嵌するには、圧入ねじ込み機を用いて行う。
【0033】
また、手摺支柱2は、図1の(b) 及び図5の(a) ,(b) から分かるように、中空角筒状支柱本体8と、支柱本体8の中空部に形成される支柱取付用アンカー嵌合部15と、手摺りガラス嵌合溝9と、手摺りガラス5に水密当接する室外側及び室内側シール材16a,16bを嵌合するシール材嵌合溝17,17と、支柱本体8を手摺り笠木6(上枠)にビス18止めするためのビスホール19とからなるもので、手摺りガラス5の取付けにあたっては、シール材嵌合溝17,17に室外側及び室内側シール材16a,16bを嵌合しておけば、後は手摺りガラス嵌合溝9に手摺りガラス5の左右端部を挿入すればよいから、手摺りガラス5の取付作業が容易となり、また支柱本体8に手摺り笠木6(上枠)を取り付ける場合には、その手摺り笠木6側からビス18を支柱本体8のビスホール19にねじ込めばよいから、手摺り笠木6の取付けが容易となる。
【符号の説明】
【0034】
T 手摺り
1 堰壁
2 手摺支柱
3 上枠
4 下枠
8 支柱本体
8a 支柱本体の前後側壁
8b 支柱本体の左右側壁
9 手摺りガラス嵌合溝
10 ホルダー部
11 棒状アンカー部材
K 支柱取付用アンカー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右に隣り合う手摺支柱と両手摺支柱をつなぐ上下枠との間に手摺りガラスを嵌装してなる手摺りをベランダ等の堰壁に取り付けるにあたり、前後側壁と左右側壁とからなる中空角筒状支柱本体における前記左右側壁の少なくとも片方の側壁に手摺りガラス嵌合溝を凹設した手摺支柱を設けると共に、手摺支柱の支柱本体を嵌合させるホルダー部とこのホルダー部の下端から突出する棒状アンカー部材とからなる支柱取付用アンカーを設け、この支柱取付用アンカーの棒状アンカー部材の下端部を堰壁に固着し、前記支柱本体を前記支柱取付用アンカーのホルダー部に嵌合固定し、隣り合う手摺支柱間に配置した手摺りガラスの左右側端部を支柱本体の手摺りガラス嵌合溝に嵌合するようにしてなる手摺りの取付装置。
【請求項2】
前記支柱取付用アンカーのホルダー部は、一対の太軸部と両太軸部をつなぐ板状部とで形成され、各太軸部には前記棒状アンカー部材を圧入的に螺嵌するための圧入螺嵌溝が全長に亘って形成されると共に、ホルダー部の左右側面には両太軸部と板状部とによって支柱本体の手摺りガラス嵌合溝に対応する凹条部が形成され、このホルダー部の前後側面が支柱本体の前後側壁内面に当接支持されるようになっている請求項1に記載の手摺りの取付装置。
【請求項3】
手摺支柱は、中空角筒状支柱本体と、支柱本体の中空部に形成される支柱取付用アンカー嵌合部と、手摺りガラス嵌合溝と、手摺りガラスに水密当接するシール材を嵌合するシール材嵌合溝と、支柱本体を上枠にビス止めするためのビスホールとによって構成される請求項1又は2に記載の手摺りの取付装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−190630(P2011−190630A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−58712(P2010−58712)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(000131120)株式会社サンレール (23)
【Fターム(参考)】