説明

手摺笠木、および手摺用笠木材

【課題】歩く際に使いやすくすることが可能になる上に、その施工作業性をも高めることができる手摺笠木の提供を目的とする。また、以上の手摺笠木を構成可能な手摺用笠木材の提供を目的とする。
【解決手段】熱可塑性合成樹脂からなる笠木材1を芯材2に外嵌して形成される手摺笠木であって、
前記笠木材1は、略多角筒状に形成され、芯材2に形成された角支持部3を覆う角部4を備えるとともに、前記角部4には、該角部4の内壁4aよりも厚さ方向外壁4b寄りの位置に加熱用の高温の流体5を外部から導入可能な流体流路6を形成して手摺笠木を構成する。
また、
熱可塑性合成樹脂を押し出し成形して略多角筒状に形成され、角部4の内壁4aよりも厚さ方向外壁4b寄りの位置に加熱用の高温の流体5を導入可能な流体流路6を長手通しに形成して手摺用笠木材を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は手摺笠木、および手摺用笠木材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
笠木材を芯材に装着して形成される手摺笠木としては、従来、特許文献1に記載されたものが知られている。この従来例において、手摺笠木は、塩化ビニール、ポリプロピレン等の樹脂で形成された樹脂カバーと、金属リテイナとからなる。上記樹脂カバーは、横断面において一箇所が開口状の略円筒形状に形成され、両端縁に係止端縁部が形成される。また、上記金属リテイナは、樹脂カバーの内周面に接触して該樹脂カバーを支持するための複数個の弯曲支持部、および係止部が形成されてなる。
【0003】
以上の手摺笠木は、金属リテイナを樹脂カバーで被覆し、金属リテイナの係止部に樹脂カバーの係止端縁部を係合して形成される。樹脂カバーの金属リテイナへの嵌込みは、湯等で樹脂カバーを柔らかくした後、嵌込治具を用いてなされる。この嵌込治具は、略半円形状の第1部材と第2部材とを蝶番を介して連結し、第2部材の外周上にレバーを取付けて形成され、金属リテイナに係止端縁部の一方が係止した状態にある樹脂カバーの上記係止端縁部側に第1部材を覆着させた後、レバーを移動することで、第2部材により樹脂カバーの他方の係止端縁部を金属リテイナに強制的に係止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭62-124133号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した従来例は、笠木材が略円筒形状、すなわちその外周が円形であるために、その全周をしっかりと把持しやすくなる反面、手摺に沿って歩く場合には使いづらくなることもある。すなわち、歩く場合には、歩幅に合わせた各位置で手摺の全周をしっかりと把持するよりも、その上面に手を滑らせるようにすると歩行がしやすいが、このとき手摺の外周が円形であると、その上面で手を安定して滑らせることがややしづらくなる。また、このように手摺の上面に手を滑らせて歩行している際に、つまづくなどして手摺の上面にある手によって咄嗟に身体を上方に向かって支えたいようなとき、手摺の外周が円形であると、その曲面に沿って手が滑ってしまうおそれがあり、支えづらいという欠点がある。
【0006】
このような欠点は、手摺を略多角筒状などにし、その上面をある程度平滑にすれば改善することができるが、この場合には以下の施工作業上の問題が新たに生じてしまう。
【0007】
すなわち、従来例におけるように、そもそも笠木材を略円筒形状に形成すると、施工時において湯等に浸漬すればその全体をほぼ均一に加熱しやすい上に、係止端縁部間に拡開方向の力を加えれば全体がなだらかに変形しやすく、さらに、笠木材の内周面に沿ってやや均質、規則的な外周形状に形成される芯材の外周を滑るようにして芯材に被せることも不可能ではないため、笠木材の芯材に対する装着作業がそれほど困難なものにはなりにくい。
【0008】
この点、上述したように笠木材を略多角筒状などの角のある断面形状に形成した場合には、湯等に浸漬しても角部分が他の部分に比べて加熱されづらく、拡開方向に力を加えた際には角部分によって不規則に変形してしまい、さらに、芯材の外周にも合わせて角部分が生じやすいために、その外周を滑らせて装着させることもややしずらくなってしまう。
【0009】
本発明は以上の点に着目してなされたもので、歩く際に使いやすくすることが可能になる上に、その施工作業性をも高めることができる手摺笠木の提供を目的とする。また、本発明の他の目的は、以上の手摺笠木を構成可能な手摺用笠木材の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、上述した目的は、
熱可塑性合成樹脂からなる笠木材1を芯材2に外嵌して形成される手摺笠木であって、
前記笠木材1は、略多角筒状に形成され、芯材2に形成された角支持部3を覆う角部4を備えるとともに、前記角部4には、該角部4の内壁4aよりも厚さ方向外壁4b寄りの位置に加熱用の高温の流体5を外部から導入可能な流体流路6が形成される手摺笠木を提供することにより達成される。
【0011】
本発明によれば、手摺笠木は、熱可塑性樹脂により形成される笠木材1を芯材2に外嵌して形成され、笠木材1を加熱して柔軟にすることによって芯材2への装着作業性を高めることが可能にされる。この笠木材1は略多角筒状に形成され、これにより上述したように、上面で手を安定して滑らせることが可能になる上に、このように上面に乗せた手によってそのまま咄嗟に身体を上方に向かって支えることも比較的容易になる。
【0012】
また、上記笠木材1には、角部4の内壁4aよりも厚さ方向外壁4b寄りの位置に加熱用の高温の流体5を導入可能な流体流路6が形成され、これにより角部4を施工時に良好に加熱することができ、柔軟にすることができる。笠木材1の加熱は、上述したように湯等に沈めたり、あるいは例えば、芯材2を収容する部分などにブロアによって温風を送ってすることが可能で、このような場合にはそれぞれ高温の液体あるいは気体が加熱用の流体5として機能する。さらに、内壁4aよりも厚さ方向外壁4b寄りの位置に流体流路6が位置することにより、その空隙を利用して角部4が変形しやすくなり、全体としてよりなだらかに変形することが可能になる。また、これにより芯材2の角支持部3にあまり引っかかることなく芯材2周りに笠木材1を滑らて被せやすくもなる。
【0013】
加えて、角部4は、衝突による怪我等を良好に防ぐためにクッション性を高める必要があることから、平坦な一般部に比べるとその厚さが厚くなりやすいが、上述した流体流路6によって厚さに比して加熱を容易にすることもできるし、さらには、流体流路6自体をクッションとして利用することも可能になる。
【0014】
上述した流体流路6は、例えば、笠木材1の角部4の内壁4aに溝状に形成することもできるが、角部4の内部に中空状に形成すれば、角部4における笠木材1の合成樹脂の実効的な厚さ寸法に比してクッション性をより良好に保つことができる。
【0015】
また、笠木材1の芯材2への外嵌は、例えば笠木材1を一側方に開放する多角筒状に形成し、開放端縁部に係止部7を形成して実現することができる。この場合、笠木材1を例えば三角筒状にすれば、上面の平坦な部分の幅を広くすることができ、かつ、全体としてコンパクトな断面形状にすることができる。また、上述したように角部4が柔軟になることで、係止部7の芯材2への係止作業を容易にすることができる。
【0016】
上述した笠木材1は、
熱可塑性合成樹脂を押し出し成形して略多角筒状に形成され、角部4の内壁4aよりも厚さ方向外壁4b寄りの位置に加熱用の高温の流体5を導入可能な流体流路6を長手通しに形成して構成することができる。
【0017】
この発明において、熱可塑性合成樹脂からなることで非加熱状態において硬質の笠木材1は、押し出し成形により長手方向に等断面形状に形成され、長手通しに形成される流体流路6により角部4を全長に渡って良好に加熱して柔軟にすることができる。また、このように長手通しの均質な幅寸法を利用することにより、芯材2を挟持するようにして取り付けることも可能になる。押し出し成形によって長尺に形成される手摺用笠木材1は、手摺の施工長さに応じて切断すればよく、流体流路6が長手通しに形成されることによって、流体流路6を個々の切断片において良好に確保することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、歩く際に手摺笠木を使いやすくすることが可能になる上に、手摺笠木の施工作業性をも高めることができるために、安全な歩行環境を広く提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る手摺笠木を示す図で、(a)は斜視図、(b)は手摺笠木の設置状態を示す斜視図である。
【図2】手摺笠木の設置作業を説明する分解図で、(a)は芯材の設置作業を説明する要部断面図、(b)は笠木材の設置作業を説明する要部断面図である。
【図3】笠木材の芯材への組み付け作業を説明する図で、(a)は第1段階を示す要部断面図、(b)は第2段階を示す要部断面図、(c)は組み付け完了状態を示す要部断面図である。
【図4】変形例を示す図で、(a)は笠木材の設置作業を説明する要部断面図、(b)は笠木材の芯材への組み付け作業の第1段階を示す要部断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1ないし図3に本発明の実施の形態を示す。図1(a)等に示すように、手摺笠木Aは、この実施の形態において断面略三角形状に形成される。この手摺笠木Aは、金属からなる芯材2と、熱可塑性合成樹脂からなる笠木材1とを有し、芯材2の外側に笠木材1を被せて形成される。
【0021】
上記芯材2は、この実施の形態においてはアルミニウムを押し出し成形して形成され、図1(b)および図3に示すように、後述するブラケット11を挿入するための開放部12を備えた断面略C字形状、より正確にはC形鋼に近似する形状の主体部13と、この主体部13から笠木材1の内壁4aを支えるために延設される支持部14とを有する。上記主体部13は、ブラケット11の挿入先端に嵌合する嵌合凹部13aと、ブラケット11の挿入後端を挟み付ける一対の挟持片13b、13bとを有し、上記嵌合凹部13aは上述した開放部12に対峙する主体部13の奥側壁面13cの内壁に、また、挟持片13bは開放端縁に配置される。
【0022】
また、上記支持部14は、上述した手摺笠木Aの断面形状である三角の形状に応じて、その頂点(角)の位置を支持する角支持部3と、その辺の位置を支持する辺支持部15とを有する。上述した開放部12が三角の頂点の1つの位置に合わせるようにして配置されることにより、角支持部3は、残余の2つの頂点に対応して2箇所に設けられる。具体的には、角支持部3は、上述した奥側壁面13cの両端に位置する主体部13の隅部から奥側壁面13cに平行に延設される板状をなし、その突出先端が三角形の頂点の位置にほぼ対応する。また、この角支持部3は、頂点近傍の辺の位置も支持することが可能で、具体的には開放部12とは反対側の面が三角形の頂点近傍の辺の位置を支持する。
【0023】
なお、図3に示すように、角支持部3は奥側壁面13cよりもやや開放部12から離れた位置に配置され、これにより生じる奥側壁面13cとの段差により、後述する防縮ピン16を設置するためのピン設置用凹部17が形成される。
【0024】
また、辺支持部15は、上述した2つの頂点と、角支持部3による支持のない開放部12側の頂点とを結ぶ辺を支持するもので、具体的には、主体部13の挟持片13b近傍の両隅部からそれぞれ外側に突出して2箇所に設けられる。なお、辺支持部15の開放部12側には、主体部13との間に生じる段差を利用して、後述する係止部7が係止される被係止部18が形成される。
【0025】
一方、笠木材1は、例えば塩ビ(ポリ塩化ビニール)を押し出し成形して形成され、芯材2の開放部12に対応する頂点部分を開放した略三角筒状をなす。この笠木材1は、開放しない残余の頂点部分に対応する2箇所の角部4、4と、これら角部4、4同士や角部4と開放端との間に形成される辺部19とを有し、また、上述したように筒状に形成されることで空隙となる内部は、芯材収容部20として機能する。
【0026】
上記角部4や辺部19は、上述した芯材収容部20に芯材2を収容した状態で、その内壁4aが角支持部3や辺支持部15に当接する位置に配置される。また、これら角部4や辺部19の内壁4aは、角支持部3や辺支持部15の角部4等との当接面と同じ程度の曲率にされる。なお、芯材収容部20は、芯材2に対し、これら角支持部3や辺支持部15以外では接触しない大きさに形成される。
【0027】
また、笠木材1の開放端部には、芯材収容部20に芯材2を収容した状態において、上述した被係止部18に係止可能な係止部7が形成される。この係止部7は、具体的には、開放端部の内壁から内方に向かって立ち上がる突条として形成される。また、開放端部には、その内部に中空状の肉盗み21が形成される。
【0028】
以上の笠木材1は、辺部19の厚さ、すなわち厚さ方向寸法がほぼ一定で、角部4は、この辺部19よりもやや厚く形成される。また、このように辺部19よりも厚さ方向寸法が大きい角部4には、その内部に空隙からなる中空部6(流体流路)が長手通しに形成される。なお、図3(a)において1aは、着色された樹脂による二重押し出し成形のスキン層である。
【0029】
この中空部6は、図3(c)に示すように、三角形にやや近似する断面形状に形成され、笠木材1の外形形状としての三角の頂点位置に近づくに従って容積が漸次狭くなるように形成される。また、中空部6は、角部4の外壁4b面との距離が一定になるように配置される。このように中空部6が形成されることによって、角部4は、図3(c)に示すように、中空部6の内方の厚さ寸法t1と外方の厚さ寸法t2の和が、辺部19の厚さ寸法Tと同じ程度にされ、すなわち実効的な厚さ、肉厚が辺部19と同じ程度にされる。
【0030】
以上の手摺笠木Aは、図1(b)および図2(b)に示すように、この実施の形態においては、上述したブラケット11を介して壁面22に取り付けられる。このブラケット11は、アルミニウムの押し出し成形品であり、側面視クランク近似形状をなし、一端に壁面固定片11a、他端に笠木固定片11bが形成される。
【0031】
上記壁面固定片11aは、壁面22に取り付けられたアンカーボルト23を貫通させてナット24で締め付けることにより壁面22に固定される。なお、図2に示す溝状の25は、後述するブラケットカバー26の支持溝である。また、上記笠木固定片11bは、上述した芯材2の開放部12と同じ程度の幅寸法に形成され、開放部12から主体部13内方に挿入され、主体部13に芯材固定ネジ27で共締めされることにより芯材2、すなわち手摺笠木Aに固定される。さらに、以上の壁面固定片11aと笠木固定片11bとの中間位置には、後述するブラケットカバー26を係止するためのブラケット係止部11cが形成される。
【0032】
また、上述した壁面固定片11aを壁面22に固定するナット24やアンカーボルト23を目隠しするために、ブラケット11には、上述したブラケットカバー26が取り付けられる。このブラケットカバー26は、図1(b)および図2に示すように、外形が2等辺三角柱形状をなし、その長さが等しい2辺の柱状の壁面において外部に開放された中空ブロック状に形成される。また、内部の中空部分には、壁面固定片11aに被せたときに上述した支持溝に挿入される支持片26a、および上述したブラケット係止部11cに係止される係止爪26bが形成され、これら支持片26a、係止爪26bが同時に係合することによってブラケットカバー26がブラケット11に固定される。
【0033】
したがって手摺笠木Aは、図1(b)および図2に示すように、先ず、手摺笠木Aの設置予定の長さ範囲に所定間隔でブラケット11を壁面22に固定した後、このブラケット11に芯材2、およびブラケットカバー26を取り付け、最後に、このようにして壁面22に対して固定された芯材2に対して笠木材1を外嵌して設置される。
【0034】
また、この外嵌に先立って笠木材1は、湯5(流体)に浸漬されて加熱され、柔軟にされる。上述したように角部4に中空部6が形成される笠木材1は、湯5に沈めることにより、外壁4b側および内壁4a側の表面に加え、中空部6にも湯5が浸入することから、角部4が良好に加熱され、柔軟になる。なお、図2(b)において28は湯5を貯めた容器である。
【0035】
図3に加熱後の笠木材1の芯材2への装着作業を示す。装着作業は、上述したように全体が柔軟になった笠木材1を、その開放部分を拡開する方向に変形させ、この状態で芯材収容部20に芯材2を滑り込ませることによりなされる。具体的には、笠木材1の開放部分の両端縁にそれぞれ指を掛けて開放部分を開く方向に力を加えるなどすれば拡開させることができるが、柔軟とはいっても拡開にはそれなりの力を要する上に、手摺笠木Aの長さは一般に短いものではないために装着作業を所定の長さ範囲に小分けして繰り返さなければならず、これによる時間経過に伴う笠木材1の温度低下などもあることから、拡開変形量を抑える代わりに笠木材1の向きを適宜調整するなどして、芯材収容部20に笠木材1の一対の角支持部3、3を順に滑り込ませるようにして行うことが効率的である。また、上述したように角部4に中空部6があることで、角部4の曲率を大きくする、言い換えれば角部4の角度を大きくする変形が容易になることから、開放部分を広げて芯材収容部20に芯材2を滑り込ませる作業がスムーズになる。
【0036】
さらに、手摺笠木Aが壁面22に近接した位置に設置されるこの実施の形態においては、芯材2の壁面22側に位置する角支持部3を最初に芯材収容部20に滑り込ませることにより、作業のしやすさが高められる。
【0037】
以上のようにして芯材収容部20に一方の角支持部3を滑り込ませたら、そのまま角部4に合わせ、また、係止部7を被係止部18に係止させれば、芯材2への笠木材1の装着が手摺笠木Aの壁面22側のみでは完了したような状態になる。図3(a)に示すように、この状態で笠木材1の壁面22反対側は、芯材2の他方の角支持部3を乗り越えた位置にあるため、次いで、他方の角支持部3を角部4に合わせ、この後、壁面22反対側に位置する係止部7を被係止部18に係止させれば、装着が完了する(図3(c)参照)。
【0038】
笠木材1の芯材2への固定強度を高くしたこの実施の形態において、芯材2の外側に沿った寸法に対する芯材収容部20内側に沿った寸法の余長、すなわち笠木材1の芯材2に対する遊びシロは少なく設定されるが、上述したように角部4に中空部6があることで、図3(b)に示すように、壁面22反対側における被係止部18に対する係止部7の係止作業もスムーズになる。また、上述したように、開放端部の内部にも肉盗み21が形成されるために、係止作業がよりスムーズになる。
【0039】
なお、図2における16が上述した防縮ピンであり、笠木材1を外嵌する前に芯材2のピン設置用凹部17に防縮ピン固定用ネジ29によって取り付けられ、その先端が笠木材1の内壁に刺さることにより、笠木材1の温度変化や経年による長手方向の縮みを防止する。また、上記ピン設置用凹部17には、防縮ピン16を位置決めするために微小な突起が形成される。
【0040】
図4に本発明の変形例を示す。なお、この変形例において、上述した実施の形態と同一の構成要素は図中に同一の符号を付して説明を省略する。この変形例は、上述した実施の形態における中空部6に代えて、笠木材1の角部4に内壁4a側に開放する溝6(流体流路)を形成したものである。
【0041】
この溝6により、角部4は肉厚が辺部19と同じ程度になり、笠木材1を湯5に浸漬した際には、角部4を良好に加熱することができる。また、溝6によって角部4の角度を大きくする変形も容易になる。なお、溝6の底面と角部4の外壁4aとの間の厚さ寸法t3は、辺部19の厚さ寸法Tと同じ程度にされる。
【符号の説明】
【0042】
1 笠木材
2 芯材
3 角支持部
4 角部
4a 内壁
4b 外壁
5 流体
6 流体流路
7 係止部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性合成樹脂からなる笠木材を芯材に外嵌して形成される手摺笠木であって、
前記笠木材は、略多角筒状に形成され、芯材に形成された角支持部を覆う角部を備えるとともに、前記角部には、該角部の内壁よりも厚さ方向外壁寄りの位置に加熱用の高温の流体を外部から導入可能な流体流路が形成される手摺笠木。
【請求項2】
前記流体流路は、角部の内部において笠木材の長手通しに中空状に形成される空隙からなる請求項1記載の手摺笠木。
【請求項3】
前記笠木材は、角の一つが開放した略三角筒状に形成され、開放端縁部に形成される係止部を笠木材に係止させて笠木材に装着される請求項1または2記載の手摺笠木。
【請求項4】
熱可塑性合成樹脂を押し出し成形して略多角筒状に形成され、角部の内壁よりも厚さ方向外壁寄りの位置に加熱用の高温の流体を導入可能な流体流路が長手通しに形成される手摺用笠木材。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−36299(P2013−36299A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−175709(P2011−175709)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(000110479)ナカ工業株式会社 (125)
【Fターム(参考)】