説明

手摺

【課題】美的効果が得られるとともに、手摺本体が冷えるのを防止することができる手摺を提供すること。
【解決手段】手摺1は、建築物に設置されるものである。この手摺1は、長尺状をなす手摺本体2と、手摺本体2を支持する8本の支持柱3と、手摺本体2および3本の支持柱3に設置され、発光するとともに発熱する少なくとも1つのLED光源を有する照明装置9a、9b、9cおよび9dとを備えている。各照明装置9a、9b、9cおよび9dは、それぞれ、LED光源が発する光により照明を行なうとともに、LED光源が発する熱により手摺本体2を加温するよう構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物に設置される手摺に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅等の建築物の階段には、例えば、特許文献1に記載された手摺(階段用手摺り)が設置されている。
【0003】
しかしながら、この従来の手摺は、階段を昇降する際に把持して、その昇降を補助する機能、すなわち、手摺としての機能しか有していなかった。
【0004】
【特許文献1】特開2003−105946号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、美的効果が得られるとともに、手摺本体が冷えるのを防止することができる手摺を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的は、下記(1)〜(9)の本発明により達成される。
(1) 建築物に設置される手摺であって、
長尺状をなす手摺本体と、
前記手摺本体を支持する支持部材と、
前記手摺本体および/または前記支持部材に設置され、発光するとともに発熱する少なくとも1つのLED光源を有する照明装置とを備え、
前記照明装置は、前記LED光源が発する光により照明を行なうとともに、前記LED光源が発する熱により前記手摺本体を加温するよう構成されていることを特徴とする手摺。
【0007】
(2) 前記照明装置は、前記LED光源を複数有し、該複数のLED光源が前記手摺本体にその長手方向に沿って連設されている上記(1)に記載の手摺。
【0008】
(3) 前記照明装置は、前記LED光源を複数有し、該複数のLED光源が前記支持部材に沿って連設されている上記(1)または(2)に記載の手摺。
【0009】
(4) 前記支持部材は、前記手摺本体の長手方向に沿って複数設置された支持柱であり、
前記照明装置は、前記複数の支持柱に対し、少なくとも1本おきに設置されている上記(3)に記載の手摺。
【0010】
(5) 前記照明装置は、前記各LED光源のそれぞれに対して印加する電圧の大小により、照明の程度と加温の程度とを設定し得るよう構成されている上記(2)ないし(4)のいずれかに記載の手摺。
【0011】
(6) 前記照明装置は、前記各LED光源のそれぞれに対する通電/切電を選択し得るよう構成されている上記(2)ないし(5)のいずれかに記載の手摺。
【0012】
(7) 前記LED光源は、前記照明装置が作動中か否かを示すパイロットランプとしての機能を有する上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の手摺。
【0013】
(8) 前記LED光源の近傍には、該LED光源の熱を蓄熱する蓄熱部が設けられており、
前記LED光源の熱が、前記蓄熱部に蓄熱され、該蓄熱部から放熱される上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の手摺。
【0014】
(9) 前記照明装置は、前記LED光源を支持する光源支持部を有し、
前記LED光源の熱が、前記光源支持部に蓄熱され、該光源支持部から放熱されるよう構成されている上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の手摺。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、LED光源が発光することにより照明を行い、よって、美的効果や癒し効果(リラクゼーション効果)が得られる。
【0016】
また、LED光源が発熱することにより、その熱が手摺本体に伝わり、よって、当該手摺本体が加温されて冷えるのを防止することができる。これにより、例えば冬季に手摺本体を触れたときに当該手摺本体が冷たく感じる、すなわち、不快感が生じるのが解消され、よって、建築物において快適に活動することができる。
【0017】
また、複数のLED光源を手摺本体にその長手方向に沿って連設して設置した場合には、各LED光源が点灯した際に手摺本体を均一かつ確実に加温することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の手摺を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の手摺(第1実施形態)を建築物の階段に設置した状態を示す側面図、図2は、図1に示す手摺の照明装置の断面斜視図、図3は、発明における照明装置のLEDユニットの構成例を示す斜視図、図4は、本発明における照明装置のLED光源の構成例を示す図((A)は平面図、(B)は正面図、(C)は断面図)である。なお、以下では、説明の都合上、図1および図2中の上側を「基端」、下側を「先端」と言う。なお、説明の都合上、図1および図2(図5〜図15も同様)において、上側を「上」、下側を「下」、左側を「左」、右側を「右」として説明する。また、図1および図2(図5〜図15も同様)中の上下方向が鉛直方向、左右方向が水平方向である。
【0019】
図1に示す手摺1は、住宅(建築物)に設置して使用されるものである。本実施形態では、手摺1を住宅の階段20に設置した場合を一例に挙げて説明する。階段20は、図1の構成では、その段数が8段のものである。
【0020】
手摺1は、手摺本体2と、手摺本体2を支持する支持部材としての複数(本実施形態では8本)の支持柱3と、手摺本体2および3本の支持柱3にそれぞれ設置された照明装置9a、9b、9cおよび9dとを備えている。以下、各部の構成について説明する。
【0021】
手摺本体2は、人の手が触れる部分であり、階段20を昇降する際に把持して、その昇降を補助する機能を有する。この手摺本体2は、図2の構成では横断面形状がほぼ「コ」字状をなす長尺体で構成され、その開口部21が通路側(内側)を向くように各支持柱3を介して階段20に設置されている。また、手摺本体2は、階段20の傾斜方向とほぼ同方向に傾斜して設置されている。
【0022】
なお、手摺本体2の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、アルミニウムやアルミニウム系合金、木材等が挙げられる。
【0023】
また、手摺本体2の各角部22は、丸みを帯びているのが好ましい。これにより、手摺本体2が把持され易いものとなる。
【0024】
手摺本体2には、その長手方向(傾斜方向)に沿って、8本の支持柱3が配置されている。各支持柱3は、手摺本体2の下板23と、階段20の各段の踏板201とを連結するものである。
【0025】
このような支持柱3により、手摺本体2を強固かつ確実に階段20に設置することができ、よって、階段20を昇降する際に把持してその昇降を確実に補助することができる。
【0026】
なお、各支持柱3の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、アルミニウムやアルミニウム系合金等が挙げられる。
【0027】
図1に示すように、手摺本体2と、8本の支持柱3のうちの3本の支持柱3には、それぞれ、照明装置9a、9b、9cおよび9dが設置されている。照明装置9aは、手摺本体2に設置されている。照明装置9bは、図1中左側から2本目の支持柱3に設置されている。照明装置9cは、図1中左側から5本目の支持柱3に設置されている。照明装置9dは、図1中左側から8本目(最も右側)の支持柱3に設置されている。
【0028】
各照明装置9a、9b、9cおよび9dの構成は、それぞれ、ほぼ同一であるため、以下、照明装置9aについて代表的に説明する。
【0029】
照明装置9aは、LEDユニット90と、LEDユニット90(LED光源91)を支持する光源支持部99とを有している。
【0030】
図2および図3に示すように、照明装置9aは、複数(本実施形態では8つ)の図4に示すLED(発光ダイオード)光源91を、手摺本体2に沿って連設してなるLEDユニット90を有している。このLEDユニット90としては、図3(A)に示すように、パッケージ化されたもの、図3(B)に示すように、その表面が絶縁された通電用の導線(ケーブル)等で繋がっているもの等、種々の形態のものを用いることができる。なお、本実施形態では、代表的に、図3(A)に示すパッケージ化されたLEDユニット90を用いた場合について説明する。
【0031】
図3に示すように、LED光源91は、発光するとともに発熱するものである。このLED光源91は、矩形板状の基盤92と、基盤92の一方の面(図3(C)において上側の面)上に設けられた反射板93と、LED素子94と、蛍光体95と、レンズ96とを備えている。
【0032】
基盤92は、矩形の金属板が多層に積層されて形成されている。また、基盤92には、プラス電極97とマイナス電極98とが、その多層の金属板の間に挟まれて取り付けられている。この場合、プラス電極97とマイナス電極98とが短絡(ショート)しないようになっている。また、基盤92の主材料には、LED素子94の熱を逃がし易い材料、すなわち、熱伝導率の高い、例えば、アルミニウムやアルミニウム系合金等の金属材料が用いられる。
【0033】
また、反射板93は、枠状をなし、基盤92の外周部に設置されており、その内面において光を反射する。
【0034】
また、LED素子94は、反射板93の内側、すなわち、基盤92の中央部に設置されている。また、LED素子94は、その下面にプラス電極94aおよびマイナス電極94bを有している。このプラス電極94aおよびマイナス電極94bは、それぞれ、基盤92のプラス電極97およびマイナス電極98に接続されている。LED素子94は、プラス電極94aおよびマイナス電極94bを介して低電圧直流電流が供給されることにより点灯(発光)する。
【0035】
また、蛍光体95は、LED素子94を覆うように形成されており、レンズ96は、反射板93の内面および蛍光体95を覆うように形成されている。
【0036】
LEDユニット90は、図3(A)に示すように、複数のLED光源91が略直線状に連設され、パッケージ化されており、長尺状をなしている。
【0037】
また、LEDユニット90は、それぞれ、導線により電源10に接続されており、その電源10から電流(例えば、低電圧直流電流)が供給されると、駆動し、各LED光源91がそれぞれ点灯(発光)する(図2参照)。
【0038】
また、各LED光源91が発する光(照明光)の色、すなわち、各LED素子94における発光色は、白色であってもよく、また、例えば、赤色、緑色、青色等の種々のカラー色であってもよい。
【0039】
また、LEDユニット90において、各LED素子94における発光色は、同一であってもよく、また、異なっていてもよい(異なる色を任意に組み合わせてもよい)。
【0040】
図2に示すように、このような構成のLEDユニット90(照明装置9a)は、各LED光源91の光軸の方向が、内側(水平方向)を向いている。これにより、各LED光源91が点灯した際、階段20の人が通過する各段を照明することができ、階段20を安全に通過することができる。また、このような照明により、美的効果や癒し効果(リラクゼーション効果)が得られる。
【0041】
LEDユニット90は、光源支持部99を介して手摺本体2に設置されている。この光源支持部99は、手摺本体2と一体的に形成された長尺状をなすものである。
【0042】
各LED光源91で発生した熱の一部は、光源支持部99に蓄熱(吸熱)され、当該光源支持部99から放熱される。これにより、各LED光源91で発生した熱の一部を効率良く放熱することができ、これによって、各LED光源91の温度上昇による発光効率の減少を抑制(または防止)することができ、これにより、効率良く照明することができる。このように光源支持部99は、各LED光源91の熱を蓄熱する蓄熱部ということができる。
【0043】
なお、光源支持部99は、手摺本体2と一体的に形成されたものであるのに限定されず、例えば、手摺本体2と別体で構成し、これを手摺本体2に接合したものであってもよい。光源支持部99が手摺本体2と別体で構成された場合、光源支持部99の構成材料としては、特に限定されず、例えばアルミニウムやアルミニウム系合金等の熱伝導性が比較的高い金属材料が挙げられる。
【0044】
また、各LED光源91と手摺本体2の上板24との間には、間隙(空気層)25が形成されており、各LED光源91と手摺本体2の下板23との間には、間隙(空気層)26が形成されている。各間隙25および26内をそれぞれ、空気が通過することができる。これにより、各LED光源91で発生した熱の一部が各間隙25および26を介して放熱することができ、よって、各LED光源91の温度上昇による発光効率の減少を抑制(または防止)することができる。これにより、効率良く照明することができる。
【0045】
前述した照明装置9aと同様に、照明装置9b〜9dにおいても、複数のLED光源91が支持柱3に沿って連設されている。また、各LED光源91の光源がそれぞれ内側を向いている。
【0046】
また、前述したように、照明装置9bは、図1中左側から2本目の支持柱3に設置され、照明装置9cは、図1中左側から5本目の支持柱3に設置され、照明装置9dは、図1中左側から8本目の支持柱3に設置されている。すなわち、各照明装置9b〜9dは、8本の支持柱3に対し、2本おきに設置されている。
【0047】
このような配置により、階段20全体をほぼ均一に照明することができるとともに、階段20を過剰に照明するのを防止することができる。また、手摺1における消費電力を抑制することができる、すなわち、省エネルギに寄与する。
【0048】
次に、手摺1の作用について説明する。前述したように、各照明装置9a、9b、9cおよび9dの構成は、それぞれ、ほぼ同一であるため、以下、照明装置9aについて代表的に説明する。
【0049】
照明装置9aの各LED光源91が点灯(発光)すると、各LED光源91から光が発せられる。この光は、手摺本体2の開口部21を介して、照射され、階段20が照明される。すなわち、手摺本体2の開口部21を介して、照明光を見ることができる。この照明により、美的効果や癒し効果(リラクゼーション効果)が得られる。
【0050】
また、各LED光源91は熱を発するため、その熱の一部が、光源支持部99と間隙25および26とを介して、手摺本体2に伝わる。これにより、手摺本体2は、加温されることとなる。これにより、例えば冬季に手摺本体2を触れたときに当該手摺本体2が冷たく感じる、すなわち、不快感が生じるのが解消され、よって、住宅において快適に生活することができる。
【0051】
図2に示すように、照明装置9a(照明装置9b〜9dも同様)では、電源10と各LED光源91との間に、可変抵抗器11が設置されている。これにより、各LED光源91のそれぞれに対して印加する電圧の大小を変えることができる。これにより、例えば、冬季には、可変抵抗器11の抵抗値を最小にして、各LED光源91のそれぞれに対して印加可能な最大電圧を印加して、加温の程度を上げる(高める)ことができる。よって、比較的冷たい(冷却された)手摺本体2を十分に加温することができる。また、冬季より暖かい春季や秋季には、可変抵抗器11の抵抗値を比較的大きく設定して、各LED光源91のそれぞれに対する電圧を最大電圧より小さく設定する。これにより、加温の程度を抑制することができ、よって、手摺本体2を過剰に加温するのを防止することができる。
【0052】
このように、照明装置9aでは、季節に応じて加温の程度を変更するこができ、よって、手摺本体2を過不足なく加温することができる。これにより、住宅においてより快適に生活することができる。
【0053】
また、各LED光源91のそれぞれに対して印加する電圧の大小を変えることにより、照明の程度を適宜設定することができる。例えば、夜間には、可変抵抗器11の抵抗値を最小にして、各LED光源91のそれぞれに対して印加可能な最大電圧を印加して、照明の程度を上げることができる。これにより、階段20を確実に照明することができ、よって、階段20を安全に昇降することができる。また、手摺本体2の位置を確実に把握することができる。また、昼間には、可変抵抗器11の抵抗値を比較的大きく設定して、各LED光源91のそれぞれに対する電圧を最大電圧より小さく設定する。これにより、照明の程度を抑制することができる。
【0054】
図2に示すように、照明装置9a(照明装置9b〜9dも同様)では、電源10と各LED光源91との間に、スイッチ12が設置されている。これにより、各LED光源91のそれぞれに対する通電/切電を選択することができる。例えば、冬季には、全てのスイッチ12をONにして(入れて)、全てのLED光源91を点灯することができる。これにより、加温の程度を上げることができ、よって、比較的冷たい手摺本体2を十分に加温することができる。また、春季や秋季には、例えば4つのスイッチ12をON、残りの4つのスイッチ12をOFFにして、スイッチ12がONの状態の4つのLED光源91のみを点灯してもよい。これにより、加温の程度を抑制することができ、よって、手摺本体2を過剰に加温するのを防止することができる。
【0055】
また、各LED光源91のそれぞれに対する通電/切電を選択することにより、前述した各LED光源91のそれぞれに対して印加する電圧の大小を変えた場合の照明の程度とほぼ同様に、照明の程度も適宜設定することができる。
【0056】
また、照明装置9aが作動しているときは、各LED光源91はそれぞれ点灯し、逆に、照明装置9aが作動していない(例えば、照明装置9aの電源10がOFFされている)ときは、各LED光源91はそれぞれ消灯するよう構成されている。これにより、LEDユニット90(LED光源91)は、照明装置9aが作動中か否かを示すパイロットランプとして機能する。これにより、照明装置9aが作動中か否かを容易かつ確実に把握することができる。
【0057】
また、照明装置9b(照明装置9cおよび9dも同様)では、各LED光源91の熱が支持柱3を介して、手摺本体2に伝わる。これにより、手摺本体2をより確実に加温することができる。
【0058】
以上説明したように、この手摺1によれば、LED光源91の発光(照明)により、美的効果や癒し効果(リラクゼーション効果)が得られるとともに、LED光源91の発熱により、手摺本体に対する加温効果等の前述した種々の効果が得られる。
【0059】
また、手摺1では、照明装置9aが手摺本体2の長手方向に設置されているため、当該手摺本体2を均一かつ確実に加温することができる。
【0060】
また、照明装置9b(照明装置9cおよび9dも同様)が支持柱3の長手方向に設置されているため、各LED光源91の熱が十分かつ確実に手摺本体2に伝わる。これにより、手摺本体2をより確実に加温することができる。
【0061】
また、手摺1では、各LED光源91の光は、その光軸が階段20の内側に向いて照射されているが、これに限定されず、いずれの方向であってもよい。
【0062】
例えば、各LED光源91の光は、その光軸が階段20の外側に向いて照射されていてもよい。この場合、階段20の外側に壁が設置されていると、各LED光源91の光が前記壁で反射することとなる、すなわち、各LED光源91が間接照明となる。これにより、美的効果や癒し効果(リラクゼーション効果)が得られる。一般的に、間接照明は、美的効果や癒し効果があると言われている。
【0063】
また、各LED光源91の光は、その光軸が鉛直上方または鉛直下方に向いて照射されていてもよい。
【0064】
このように各LED光源91の光の光軸の方向はいずれの方向であってもよいことは、後述する各実施形態においても同様に言うことができる。
【0065】
<第2実施形態>
図5は、本発明の手摺の第2実施形態を示す横断面図である。
【0066】
以下、この図を参照して本発明の手摺の第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0067】
本実施形態は、手摺本体に透光板が設置されていること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0068】
図5に示す手摺1Aの手摺本体2の開口部21には、当該開口部21を覆う透光板4が設置されている。透光板4は、光透過性を有する板状体で構成されたものである。
【0069】
この透光板4を介して、各LED光源91の光を視認することができる。また、透光板4により、各LED光源91が汚れるのを防止することができ、よって、各LED光源91の光が鮮明なものとなる。
【0070】
なお、透光板4は、レンズとしての機能を有していてもよい。これにより、透光板4を介して照射された各LED光源91の光を拡散することができ、よって、美的効果が向上する。
【0071】
また、透光板4の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、各種ガラス材料や各種プラスチック材料を用いることができる。
【0072】
<第3実施形態>
図6は、本発明の手摺の第3実施形態を示す横断面図である。
【0073】
以下、この図を参照して本発明の手摺の第3実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0074】
本実施形態は、LED光源の設置方向(設置形態)が異なること以外は前記第2実施形態と同様である。
【0075】
図6に示す手摺1Bでは、各LED光源91が、その光軸が鉛直上方を向くように設置されている。これにより、各LED光源91の光の一部が手摺本体2の上板24に反射し、当該反射した光(反射光)が透光板4を透過して階段20の内側に向かって照射される。このように、各LED光源91が間接照明となり、よって、美的効果や癒し効果(リラクゼーション効果)が得られる。
【0076】
<第4実施形態>
図7は、本発明の手摺の第4実施形態を示す横断面図である。
【0077】
以下、この図を参照して本発明の手摺の第4実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0078】
本実施形態は、LED光源の設置方向(設置形態)が異なること以外は前記第2実施形態と同様である。
【0079】
図7に示す手摺1Cでは、各LED光源91が、その光軸が鉛直下方を向くように設置されている。これにより、各LED光源91の光の一部が手摺本体2の下板23に反射し、当該反射した光(反射光)が透光板4を透過して階段20の内側に向かって照射される。これにより、前記第3実施形態とほぼ同様の効果を得る。
【0080】
<第5実施形態>
図8は、本発明の手摺の第5実施形態を示す横断面図である。
【0081】
以下、この図を参照して本発明の手摺の第5実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、手摺本体の形状が異なること以外は前記第3実施形態と同様である。
【0082】
図8に示す手摺1Dの手摺本体2Aは、下板23が手摺本体2Aのそれ以外の部位(上板24)より厚くなっている。また、この下板23には、各LED光源91が支持されて(設置されて)いる。
【0083】
このような下板23には、各LED光源91で発生した熱の一部が蓄熱(吸熱)され、下板23から放熱される。これにより、各LED光源91で発生した熱の一部を効率良く放熱することができ、よって、各LED光源91の温度上昇による発光効率の減少を抑制(または防止)することができる。
【0084】
このように、下板23は、各LED光源91で発生した熱の一部が蓄熱する蓄熱部としての機能を有する。
【0085】
<第6実施形態>
図9は、本発明の手摺の第6実施形態を示す横断面図である。
【0086】
以下、この図を参照して本発明の手摺の第6実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、手摺本体の形状が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0087】
図9に示す手摺1Eの手摺本体2Bは、上板24と下板23とを連結する連結板27が、手摺本体2Aのそれ以外の部位(上板24および下板23)より厚くなっている。また、この連結板27には、各LED光源91が支持されている。
【0088】
このような連結板27には、各LED光源91で発生した熱の一部が蓄熱(吸熱)され、連結板27から放熱される。これにより、前記第5実施形態の下板23とほぼ同様の効果を得る。
【0089】
<第7実施形態>
図10は、本発明の手摺の第7実施形態を示す横断面図である。
【0090】
以下、この図を参照して本発明の手摺の第7実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、手摺本体の形状が異なること以外は前記第4実施形態と同様である。
【0091】
図10に示す手摺1Fの手摺本体2Cは、上板24が手摺本体2Cのそれ以外の部位(下板23および連結板27)より厚くなっている。また、この上板24には、各LED光源91が支持されている。
【0092】
このような上板24には、各LED光源91で発生した熱の一部が蓄熱(吸熱)され、下板23から放熱される。これにより、前記第5実施形態の下板23とほぼ同様の効果を得る。
【0093】
<第8実施形態>
図11は、本発明の手摺の第8実施形態を示す横断面図である。
【0094】
以下、この図を参照して本発明の手摺の第8実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0095】
本実施形態は、手摺本体の形状と照明装置の構成とが異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0096】
図11に示す手摺1Gの手摺本体2Dは、長尺状をなす中実な部材で構成されている。この手摺本体2Dは、その外周面が丸みを帯びている、すなわち、円弧状をなしている。これにより、手摺本体2Dが把持され易いものとなる。
【0097】
また、手摺本体2Dには、階段20の内側に向かって開口した凹部28が形成されている。この凹部28には、後述する照明装置9eが収納(埋設)される。
【0098】
照明装置9eは、筐体13と、LEDユニット90と、光源支持部99とを有している。LEDユニット90および光源支持部99については、その説明を省略する。
【0099】
筐体13は、横断面形状が「コ」字状をなす長尺な部材で構成されている。筐体13の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、アルミニウムやアルミニウム系合金等が挙げられる。
【0100】
筐体13の下板131には、光源支持部99が一体的に(または連結して)設けられている。
【0101】
また、光源支持部99には、各LED光源91の光軸が鉛直上方を向くように、LEDユニット90が固定的に設置されている。
【0102】
このような構成の照明装置9eは、ユニット化されている。これにより、照明装置9eを手摺本体2Dの凹部28に容易かつ確実に設置することができ、よって、手摺1Gを容易に製造することができる。
【0103】
<第9実施形態>
図12は、本発明の手摺の第9実施形態を示す横断面図である。
【0104】
以下、この図を参照して本発明の手摺の第9実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0105】
本実施形態は、LED光源の設置方向(設置形態)が異なること以外は前記第8実施形態と同様である。
【0106】
図12に示す手摺1Hの照明装置9fでは、各LED光源91が、その光軸が階段20の内側(水平方向)を向くように設置されている。これにより、階段20の内側が確実に照明され、よって、美的効果が得られる。
また、筐体13の開口部132には、透光板4が固定的に設置されている。
【0107】
このような照明装置9fは、ユニット化されたものであり、よって、前記第8実施形態の照明装置9eとほぼ同様の効果を得る。
【0108】
<第10実施形態>
図13は、本発明の手摺の第10実施形態を示す横断面図である。
【0109】
以下、この図を参照して本発明の手摺の第10実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、筐体の形状が異なること以外は前記第9実施形態と同様である。
【0110】
図13に示す手摺1iの照明装置9gの筐体13aは、その横断面形状が「H」字状(または「エ」字状)をなす部材で構成されている。
【0111】
この筐体13aを有する照明装置9gを手摺本体2Dに設置した際、筐体13aと手摺本体2Dの間に空間133が形成される。
【0112】
このような構成の手摺1iでは、各LED光源91で発生した熱の一部が光源支持部99に蓄熱(吸熱)され、その蓄熱された熱が空間133を介して放熱される。これにより、各LED光源91で発生した熱の一部を効率良く放熱することができ、よって、各LED光源91の温度上昇による発光効率の減少を抑制(または防止)することができる。
【0113】
<第11実施形態>
図14は、本発明の手摺の第11実施形態を示す横断面図である。
【0114】
以下、この図を参照して本発明の手摺の第11実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、手摺本体の形状が異なること以外は前記第9実施形態と同様である。
【0115】
図14に示す手摺1Jの手摺本体2Eは、その横断面形状が「C」字状をなす部材で構成されている。
【0116】
この手摺本体2Eに照明装置9fを設置した際、手摺本体2Eの内周面29と照明装置9fの筐体13の外周面134とで画成された空間30が形成される。
【0117】
このような構成の手摺1Jでは、各LED光源91で発生した熱の一部が光源支持部99に蓄熱(吸熱)され、その蓄熱された熱が空間30を介して放熱される。これにより、前記第10実施形態の手摺1iとほぼ同様の効果を得る。
【0118】
<第12実施形態>
図15は、本発明の手摺の第12実施形態を示す横断面図である。
【0119】
以下、この図を参照して本発明の手摺の第12実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0120】
本実施形態は、LED光源の設置方向(設置形態)が異なること以外は前記第11実施形態と同様である。
【0121】
図15に示す手摺1Kの照明装置9hでは、各LED光源91が、その光軸が鉛直下方を向くように設置されている。これにより、各LED光源91の光の一部が筐体13の下板131に反射し、当該反射した光(反射光)が開口部132を介して階段20の内側に向かって照射される。このように、各LED光源91が間接照明となり、よって、美的効果や癒し効果(リラクゼーション効果)が得られる。
【0122】
また、手摺1Kでは、前記第11実施形態の手摺1Jと同様に、空間30が形成される。これにより、前記第11実施形態の手摺1Jとほぼ同様の効果(放熱による効果)を得る。
【0123】
以上、本発明の手摺を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、手摺を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【0124】
また、本発明の手摺は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【0125】
また、本発明の手摺が設置される建築物としては、住宅に限定されず、例えば、駅やビル等の公共の施設、橋(歩道橋)等が挙げられる。
【0126】
また、本発明の手摺は、階段の手摺として使用されるのに限定されず、例えば、廊下の手摺や窓枠の手摺として使用されていてもよいし、エレベータの手摺として使用されていてもよい。
【0127】
また、手摺本体を支持する支持部材としては、手摺本体の長手方向に沿って配置された複数の支持柱で構成されたものであるに限定されず、例えば、手摺本体の長手方向に沿って設置された板状体で構成されたものであってもよい。
【0128】
また、照明装置は、手摺本体および支持部材(支持柱)にそれぞれ設置されているのに限定されず、例えば、手摺本体および支持部材の一方に設置されていてもよい。
【0129】
また、照明装置は、階段にも設置されていてもよい。これにより、夜間に足元(階段)を照明することができ、よって、階段を安全に昇降することができる。
【0130】
また、支持柱に設置された照明装置は、複数の支持柱3に対し、2本おきに設置されているが、これに限定されず、例えば、1本おきや3本おきに設置されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】本発明の手摺(第1実施形態)を建築物の階段に設置した状態を示す側面図である。
【図2】図1に示す手摺の照明装置の断面斜視図である。
【図3】発明における照明装置のLEDユニットの構成例を示す斜視図である。
【図4】本発明における照明装置のLED光源の構成例を示す図((A)は平面図、(B)は正面図、(C)は断面図)である。
【図5】本発明の手摺の第2実施形態を示す横断面図である。
【図6】本発明の手摺の第3実施形態を示す横断面図である。
【図7】本発明の手摺の第4実施形態を示す横断面図である。
【図8】本発明の手摺の第5実施形態を示す横断面図である。
【図9】本発明の手摺の第6実施形態を示す横断面図である。
【図10】本発明の手摺の第7実施形態を示す横断面図である。
【図11】本発明の手摺の第8実施形態を示す横断面図である。
【図12】本発明の手摺の第9実施形態を示す横断面図である。
【図13】本発明の手摺の第10実施形態を示す横断面図である。
【図14】本発明の手摺の第11実施形態を示す横断面図である。
【図15】本発明の手摺の第12実施形態を示す横断面図である。
【符号の説明】
【0132】
1、1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1H、1i、1J、1K 手摺
2、2A、2B、2C、2D、2E 手摺本体
21 開口部
22 角部
23 下板
24 上板
25、26 間隙(空気層)
27 連結板
28 凹部
29 内周面
3 支持柱
4 透光板
9a、9b、9c、9d、9e、9f、9g、9h 照明装置
90 LEDユニット
91 LED光源
92 基盤
93 反射板
94 LED素子
94a プラス電極
94b マイナス電極
95 蛍光体
96 レンズ
97 プラス電極
98 マイナス電極
99 光源支持部
10 電源
11 可変抵抗器
12 スイッチ
13、13a 筐体
131 下板
132 開口部
133 空間
134 外周面
20 階段
201 踏板
30 空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物に設置される手摺であって、
長尺状をなす手摺本体と、
前記手摺本体を支持する支持部材と、
前記手摺本体および/または前記支持部材に設置され、発光するとともに発熱する少なくとも1つのLED光源を有する照明装置とを備え、
前記照明装置は、前記LED光源が発する光により照明を行なうとともに、前記LED光源が発する熱により前記手摺本体を加温するよう構成されていることを特徴とする手摺。
【請求項2】
前記照明装置は、前記LED光源を複数有し、該複数のLED光源が前記手摺本体にその長手方向に沿って連設されている請求項1に記載の手摺。
【請求項3】
前記照明装置は、前記LED光源を複数有し、該複数のLED光源が前記支持部材に沿って連設されている請求項1または2に記載の手摺。
【請求項4】
前記支持部材は、前記手摺本体の長手方向に沿って複数設置された支持柱であり、
前記照明装置は、前記複数の支持柱に対し、少なくとも1本おきに設置されている請求項3に記載の手摺。
【請求項5】
前記照明装置は、前記各LED光源のそれぞれに対して印加する電圧の大小により、照明の程度と加温の程度とを設定し得るよう構成されている請求項2ないし4のいずれかに記載の手摺。
【請求項6】
前記照明装置は、前記各LED光源のそれぞれに対する通電/切電を選択し得るよう構成されている請求項2ないし5のいずれかに記載の手摺。
【請求項7】
前記LED光源は、前記照明装置が作動中か否かを示すパイロットランプとしての機能を有する請求項1ないし6のいずれかに記載の手摺。
【請求項8】
前記LED光源の近傍には、該LED光源の熱を蓄熱する蓄熱部が設けられており、
前記LED光源の熱が、前記蓄熱部に蓄熱され、該蓄熱部から放熱される請求項1ないし7のいずれかに記載の手摺。
【請求項9】
前記照明装置は、前記LED光源を支持する光源支持部を有し、
前記LED光源の熱が、前記光源支持部に蓄熱され、該光源支持部から放熱されるよう構成されている請求項1ないし8のいずれかに記載の手摺。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−332566(P2007−332566A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−162679(P2006−162679)
【出願日】平成18年6月12日(2006.6.12)
【出願人】(000102326)エアサイクル産業株式会社 (18)
【Fターム(参考)】