説明

手書き筆跡入力装置

【目的】 超音波受信部に異物が進入し超音波受信部に傷や汚れ、ほこりがつくことで受信状態が悪化し、精度の劣化が起こり最悪の場合データの受信が不能となる問題の解消。
【構成】 記入用紙と超音波発信器と赤外線発信器とを備えた電子ペンと、該電子ペンの位置を電子ペンより発信された超音波信号と赤外線信号とを連続的に受け取り、その位置を測量し、手書きデータを生成し、該生成した手書きデータを蓄積保存する受信装置とからなる手書き筆跡入力装置であって、前記受信装置の超音波受信部にごみや異物の進入を防ぐために、超音波受信部を覆うカバーを装着した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は超音波発信装置を組み込んだ電子ペンと超音波受信機を用い、超音波と赤外線により電子ペンのペン先の位置を測定し、電子ペンでの筆記情報を取得する方式の手書き筆跡入力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、超音波をまったく阻害することなく透過する保護壁の形成が困難なことから、超音波を阻害することなく取り込む受信口が必要となっていた。この受信口は超音波受信部を覆うことなく設けられており、ゴミやチリ等の異物が進入したときに、超音波受信部に傷や汚れが付着することがあった。
【特許文献1】特願2004−019107号。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の超音波方式電子ペンでは、パーソナルコンピューターの周辺機器として使用される為、使用場所が室内に限定しているものが多く、超音波受信部にほこりやその他の異物等が入ることが少なかった。現在、データを取得する際にパーソナルコンピューターを必要としない記憶手段を内蔵した装置を単独で使用するものが知られている。これを単独で携帯し、使用するものでは保護ケースなどに入れていない場合には、超音波受信部に異物が進入し超音波受信部に傷や汚れ、ほこりがつくことで受信状態が悪化し、精度の劣化が起こり最悪の場合データの受信が不能となる問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、記入用紙と超音波発信器と赤外線発信器とを備えた電子ペンと、該電子ペンの位置を、前記電子ペンより発信された超音波信号と赤外線信号とを連続的に受け取り、その位置を測量し、手書きデータを生成し、該生成した手書きデータを蓄積保存する手段を有する受信装置とからなる手書き筆跡入力装置であって、前記受信装置の超音波受信部にごみや異物の進入を防ぐために、超音波受信部を覆うカバーを装着した手書き筆跡入力装置を提案するものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、超音波受信部を覆うカバーを設けている為、ほこり、異物の進入を最小限に抑えられる。これにより収集したデータの精度劣化や受信不能が起こる可能性を低下することが出来る。また、スライド式のスイッチと超音波受信部を覆うカバーの動きを連動させることにより電源入時のみカバーが開く為、連動していない構造に比べ異物の進入の可能性を更に低下することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明は、超音波受信部の受信口の全面を覆う様に設けたスライド式、または回転式のカバーにて非使用時の超音波受信部へのほこり等の異物の進入を防ぐ構造で、更にそのカバーをスライド式電源スイッチの操作に連動させる事で、使用時以外は超音波受信部が保護カバーにて異物の進入を防ぐ様にし、異物の進入の可能性を更に低下させる保護カバー構造を提案するものである。
【実施例】
【0007】
以下本発明について、実施例を説明するが、本発明は以下の実施例に限るものではない。
まず、超音波と赤外線によりペンの位置を測定し、筆記情報を取得するペンの概略について説明する。
図1は電子ペン1と超音波・赤外線受信機2との間での超音波と赤外線を送受信する場合の概略図である。
本発明の対象である超音波発信装置を組み込んだ電子ペン1と超音波・赤外線受信機2とは以下の様なものである。
電子ペン1より発信された超音波3を、超音波・赤外線受信機2内の受信装置4及び5にて受信し、同時に電子ペン1より発信された赤外線6を超音波・赤外線受信機2の任意の位置で受信する。
この時、超音波3の音速と赤外線6の光速との速度差によりA−B間、B−C間の距離を確定し、電子ペン1の位置を検出する方式である。
この様な方式の電子ペンにおいて、赤外線6については透過材料がある為、超音波・赤外線受信機2に受光口を設ける必要がなく超音波受信機の受信装置4,5を保護できるが、超音波においては、電子ペン1より発信される超音波をまったく阻害することなく透過する保護壁の形成が、困難なことから超音波を取り込む受信口7,8が必要となる。
本発明はこの受信口部分における保護シャッター全般についての示したものである。
【0008】
次に超音波を取り込む受信口7,8の開口範囲について図2を用いて説明する。
図2の様に筆記エリア(筆記用紙の大きさ)の端9、及び10に電子ペン1がある場合、超音波の入射角度が最も深くなる為、超音波を取り込む受信口7,8は超音波受信部分4、5に対して角度Aの範囲で開口していなければならない。
この角度A以上の範囲が、超音波受信時には開口していなければならないが非使用時は開口している必要はない。そこでこの部分に異物進入防止用の保護シャッターを設ける。
【0009】
次に図3で一例としてスライド式の保護シャッターの構造について説明する。
溝11に嵌っていて、左右にのみ動く保護シャッター12をばね13にて保護シャッター12が閉じる方向に常に引っ張る。この状態で他に保護シャッター12に作用する力が働かない場合は、シャッターは閉じている状態となる。
この時、電源スイッチ14と連動し、溝11に嵌っていて左右にだけ動くラック15を右端に動かすとラック15が連動して、スライドスイッチがONとなり電源が入る。そしてラック15が動かされる事で、ピニオンギヤ16が回転し、同じシャフト17にて接続されているピニオンギヤ16も同様に回転する。
ピニオンギヤ16が回転することにより、ラック18も右にスライドし、そのラック18の突起部分に左シャッターLの突起部分が引っかかり左シャッターLは開方向に押される。
【0010】
またピニオンギヤ16を介してラック19をラック18とは逆方向の左方向に動かし、そのラック18の突起部分に右シャッターRの突起部分が引っかかり右シャッターRは開方向に押される。
仮にピニオンギヤ20とピニオンギヤ16のモジュールを同じとした場合、ピニオンギヤ20の歯数をピニオンギヤ16より小さくするとラック18とラック19の移動距離が電源スイッチ14を移動した距離より歯数の比の分、多くの移動距離が得られる。
電源スイッチ14と連動したシャッター構造を構築する場合、上記の様な方式に類似する移動距離の比率を変える構造をとる事がスイッチの操作性の向上に繋がる。
図4は、超音波を取り込む受信口7,8部分に、複数のスリットによる回転式保護シャッター21,22を設けたものである。このスリットを構成する材料としては、鉄やアルミ等の金属材料や、樹脂等でも、本実施例と同様のものが構成することが、出来るものである。また、本実施例では、複数のスリットを組み合わせて回転式保護シャッターにしたものであるが、金属や樹脂等の材料でメッシュ構造を構成しても良いものである。
【0011】
次に図5を使用して回転式保護シャッターについて詳述する。
スライド式の回転式保護シャッター21,22を超音波・赤外線受信機2に設けた場合、広い筆記エリアに対応した広い超音波の入射角度を得にくい。
スライド式の回転式保護シャッター21,22は、シャッター範囲を超音波受信機2に内蔵されている受信装置4,5の外周を覆い、回転式保護シャッター21,22が開いた時、広い入射角度が得られる構造となっている。
【0012】
図6に開示されている超音波・赤外線受信機2内に設けられている複数の平歯車はそれぞれシャフトにて保持され回転するようになっている。
平歯車23の真下には、超音波受信機の受信装置4,5があり、更に平歯車23には超音波受信機の受信装置4,5を半周程度(入音角度による)覆う回転式保護シャッター21,22が取り付けられている。ラック18が左端(電源OFF時)に位置している場合には、回転式保護シャッター21,22は閉まっている状態である。
ここでラック18を右端に動かした時、連動してスライド式スイッチがONして電源が入る。この時、平歯車24が右回りに回転し、さらに平歯車25が左回りに回転する。さらに平歯車23は右回りに回転する。
この超音波・赤外線受信機4,5を半周覆う回転式保護シャッター21,22は平歯車23が回転する場合、同様に回転するのでラック18を移動し電源を入れた場合、回転式保護シャッター21,22が回転し、超音波を取り込む受信口7,8が開く構造となっている。
尚、平歯車24,25はラックのストロークを確保する為ラックの位置をオフセットする為のもので位置や使用する歯車の種類や数はこの限りではない。
本発明は、超音波受信部を覆うカバーを設けている為、ほこり、異物の進入を最小限に抑えられる。これにより精度の劣化や受信不能が起こる可能性を低下することが出来る。また、スライド式のスイッチと連動することにより電源入時のみカバーが開く為、連動していない構造に比べ異物の進入の可能性を更に低下することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】電子ペンと超音波・赤外線受信機との間での赤外線を送受信する場合の概略図
【図2】超音波と入射角度の説明図
【図3】回転式保護シャッターの説明図
【図4】本実施例の説明図
【図5】本実施例の説明図
【図6】本実施例の説明図
【符号の説明】
【0014】
1 電子ペン
2 超音波・赤外線受信機
3 超音波
4 超音波受信機の受信装置
5 超音波受信機の受信装置
6 赤外線
7 超音波を取り込む受信口
8 超音波を取り込む受信口
9 筆記エリアの端
10 筆記エリアの端
11 溝
12 保護シャッター
13 ばね
14 電源スイッチ
15 ラック
16 ピニオンギア
17 シャフト
18 ラック
19 ラック
20 ピニオンギア
21 回転式保護シャッター
22 回転式保護シャッター
23 平歯車
24 平歯車


【特許請求の範囲】
【請求項1】
記入用紙と超音波発信器と赤外線発信器とを備えた電子ペンと、該電子ペンの位置を前記電子ペンより発信された超音波信号と赤外線信号とを連続的に受け取り、その位置を測量し、手書きデータを生成し、該生成した手書きデータを蓄積保存する受信装置とからなる手書き筆跡入力装置であって、前記受信装置の超音波受信部にごみや異物の進入を防ぐために、超音波受信部を保護するカバーを装着したことを特徴とする手書き筆跡入力装置。
【請求項2】
前記超音波受信部を保護するカバーは、受信装置に設けられたスライド式電源スイッチの操作に連動して、超音波受信部の受信用窓の全面を覆うことを特徴とする請求項1記載の手書き筆跡入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−309474(P2006−309474A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−130672(P2005−130672)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(000005511)ぺんてる株式会社 (899)
【Fターム(参考)】