説明

手用空気圧マッサージ機

【課題】手部及び下腕部を容易に収納して、手部や下腕部に対する効果的な空気圧マッサージと手部局部に指圧を行える手用空気圧マッサージ機を提供する。
【解決手段】椅子本体の肘掛部5の上面適所に設置される手部や下腕部が出入自在な収納体12を、外面部の非弾性カバー部材121と内面部の弾性カバー部材122を有し、これら両カバー部材121・122間の周腹部の上部側に内装した袋体111と、下部側に内装した中空状形成されて伸縮可能な複数個の中空突起体112・・とからなる挟持可能な膨縮機構11で構成する。膨縮機構11と圧縮空気給排装置3にホース13を介して連通させ、収納体内の手先から下腕部に適度な空気圧マッサージと手部局部への指圧を行えるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮空気の給排に応じて膨脹・収縮する膨縮機構によって、使用者の手部に断続的に圧迫を加えてマッサージを行なう機構を備えた手用空気圧マッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の椅子式マッサージ機は、例えば、空気圧利用式のものにおいては、リクライニング可能な背凭れ部に、人体の腰部や背部や頸部をマッサージする為に、空気圧変化によって膨脹・収縮する袋体を内装し、また、座部に、臀部や大腿部をマッサージする為の前記同様の袋体を、内装して構成したものが一般的に知られている。
【0003】
また、近年においては、前記のような構成に加えて、脚部をマッサージする為の上記同様の袋体を内装した出没可能な脚載せ部を設けて構成した椅子式空気圧マッサージ機も周知のものとなっている。
【0004】
上記のような椅子式空気圧マッサージ機においては、上記人体各部位に対応するように配設された各々の袋体に空気の給排気を行わせるよう、これにホースを介して圧縮空気給排装置を連通させる必要がある。
【0005】
またこの圧縮空気給排装置は、例えば座部の下などに内装されるよう設置されるのであるが、該給排装置から給排気される圧縮空気は、前記ホースを介して袋体を膨脹及び収縮させ、上記人体各部位を断続的に圧迫してマッサージを行なうことができ、揉み玉やローラー等によるマッサージに比較して、摩擦の少ないマッサージができるようにしている。
【0006】
また、上記椅子式空気圧マッサージ機を採用した椅子の、背凭れ部にリクライニング機構を設け、脚載せ部に出没機構を設けることにより、使用者の身体を略水平な状態にでき、この状態で空気圧マッサージを行えるため、比較的快適な状態でのマッサージを行うことができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この種従来の椅子式空気圧マッサージ機においては、空気圧変化によって膨脹及び収縮する袋体を背凭れ部や座部の他、他部位に亙って配設させることができ、これら各袋体に空気を給排気させて、それぞれ、人体の、腰部や背部の他、頸部や臀部或は大腿部や脚部に適度な空気圧マッサージを施すことができるのであるが、人体の局部における、特に手部に対する空気圧マッサージと、使用者の手部局部に圧縮空気による指圧を行わせることができず、またこのような手部を専門的にマッサージできるような局部専用マッサージ機も開発されていないのが現状である。
【0008】
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、手部及び下腕部を容易に収納して、手部や下腕部に対する効果的な空気圧マッサージと手部局部に指圧を行える手用空気圧マッサージ機を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明の手用空気圧マッサージ機は、椅子本体の肘掛部の上面適所に、外面部の非弾性カバー部材と内面部の弾性カバー部材とを有し、且つ、これら両カバー部材間の周腹部に各々上下に内装される袋体を有する膨縮機構を介設した収納体が人体手部や下腕部を出入自在に設けられており、該膨縮機構の各袋体にホースを介して連通された圧縮空気給排装置からの圧縮空気の給排気により前記収納体内部の各袋体を弾性カバー部材方向へ各々膨縮させるようにして人体手部や下腕部を挟持させるようにした手用空気圧マッサージ機であって、前記膨縮機構が、少なくとも下部側に内装される袋体を軟性樹脂等で中空状に形成された伸縮可能な複数個の中空突起体に構成した膨縮機構であることを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明の手用空気圧マッサージ機は、例えば、面ファスナーやファスナー等の係止部材を介して、収納体を椅子本体の肘掛部の上面適所の任意の位置で着脱自在に設けられる構成にしたことを特徴とするものである。
【0011】
更に本発明の手用空気圧マッサージ機は、前記収納体を、人体の指先から肘までの手部を被覆収納し得るよう帯状形成すると共に、該帯状部材端に係止部材を止着して構成することを特徴とするものである。
【0012】
更にまた、本発明の手用空気圧マッサージ機は、膨縮機構への圧縮空気の給排気の周期管理プログラム等を内蔵したマイコン装置で構成し、圧縮空気給排装置を駆動する給排気制御装置によって制御するよう構成することを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の手用空気圧マッサージ機は、膨縮機構の複数個の中空突起体は、それぞれ大きさの異なる中空突起体であり、各中空突起体を人体手部や下腕部の押圧施療に適した位置に対応させて配設させたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
よって、本発明の手用空気圧マッサージ機においては、椅子本体の肘掛部の上面適所に配置される手部や下腕部を収納する収納体を配設すると共に膨縮機構をこれに内装し、該膨縮機構にホースを介して給排気制御装置を有する圧縮空気給排装置を連通して、圧縮空気を給排気して膨縮させるように構成しているため、椅子に座した安定な座姿勢の状態で該収納体に手部を装入させて、手部や下腕部に適度な空気圧マッサージを行うことができる。
【0015】
また、本発明の手用空気圧マッサージ機は、上記収納体を、椅子本体肘掛部上面適所に係止部材を介して着脱自在に設けることができるように構成しているため、本発明の要否に応じて任意に着脱でき、しかもこれを外した状態で本発明を他の局部にも使用できるため、使用目的を広範囲に拡大させることができる。
【0016】
また、本発明の手用空気圧マッサージ機は、垂直方向に伸縮可能な中空突起体の複数個を配設した膨縮機構が設けられた構成にしているため、手部に押圧施療に適した指圧マッサージや集中マッサージが行える。
【0017】
更に、本発明の手用空気圧マッサージ機は、上記膨縮機構を伸縮可能な蛇腹部を有する中空突起体が複数個を配設された構成しているため、人体手部又は下腕部に集中的な押圧施療を行なうこともできる。
【0018】
更にまた、本発明の手用空気圧マッサージ機は、前記収納体は、人体の指先から肘までの手部を被覆収納し得るよう帯状形成すると共に、該帯状部材端に面ファスナー等の係止部材を止着して構成しているため、人体手部又は下腕部の大きさや太さの個人差異に対応し、また、使用者の好みの押圧感覚に適応させて、各個人の好みに応じた密接度で捲覆収納することができ、好みに応じた適度なマッサージを任意に行い得る。
【0019】
また、本発明の手用空気圧マッサージ機においては、上記膨縮機構への給排気の制御や、背部や腰部等に対する空気圧マッサージ用膨縮袋体への給排気の制御を行い得る給排気制御装置を設けているため、手部及び下腕部と、背部、腰部等の各部位との様々な部位の組合せの設定も可能であり、各設定に応じた空気圧マッサージを施すことができる。
【0020】
更に、本発明の手用空気圧マッサージ機は、上記圧縮空気給排装置及び給排気制御装置を、操作スイッチ等を備えた単独のユニットに内装して構成することもでき、肘掛部を有するあらゆる椅子であれば、どのような椅子にも配設することができ、また、椅子に配設しない場合でも、仰臥等の随意の体位で、手部及び下腕部に対する空気圧マッサージを施すことができる小型マッサージとしても利用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
手部及び下腕部を容易に収納して、手部や下腕部に対する効果的な空気圧マッサージと手部局部に指圧を行える手用空気圧マッサージ機を提供するという目的を、膨縮機構の上下に内装される袋体の下部側に内装される袋体を軟性樹脂等で中空状に形成された伸縮可能な複数個の中空突起体にすることのみにより実現した。
【実施例1】
【0022】
以下、本発明の手用空気圧マッサージ機を、図面に示す一実施例に基づいて説明する。
図1は、本発明の手用空気圧マッサージ機1の一実施例を示す説明図であり、該手用空気圧マッサージ機1は、椅子本体の肘掛部5の上面適所に、人体手部や下腕部を出入自在にした収納体12が固定されたものを示しており、該収納体12の上下周腹部に内装された袋体111を有する膨縮機構11が介設されて、該膨縮機構11の各袋体111にホース13を介して圧縮空気給排装置3に連通するように構成している。
【0023】
前記膨縮機構11は、ホース13を介して圧縮空気給排装置3に連通されて、該圧縮空気給排装置3から給排気される圧縮空気によって、前記収納体12内部を膨脹及び収縮させるようにしたものであり、例えば、図1に示したように、収納体12の周復部の上下に袋体111を各々内装し、各袋体111にホース13の至部を連通状に接続すると共に、該ホース13の基部を圧縮空気給排気装置3に連通状に接続することで、圧縮空気給排気装置3から給排気される圧縮空気をホース13を介して各袋体111に連繋させ、各袋体111を内装した収納体12内部に膨縮を行わせるようにしているのである。
【0024】
尚、前記袋体111は、弾性を有する素材で構成されるものであり、例えば、内層の素材に空気漏れ防止に有効なポリウレタン等の合成繊維を使用し、また、外層の素材に膨らみ過ぎ防止に有効な6ーナイロン等の合成繊維を用いて、内外二層を有する袋体として構成する。
【0025】
また、上記膨縮機構11は、図2及び図3に示したような、中空突起体112で構成してもよく、該中空突起体112は、例えば、軟性樹脂等で中空状に形成すると共に外周側に蛇腹部113を形成した中空尖頭突起状に構成されており、該中空突起体112にはホース13を介して圧縮空気給排装置3に連通されている。
【0026】
従って、前記中空突起体112は、圧縮空気給排装置3から給排気される圧縮空気をホース13を介してこれに給排気され、前記蛇腹部113の形成により中空突起体12は垂直方向に伸縮して膨縮させることができ、使用者の手部局部に圧縮空気による指圧を行わせることができるのである。
【0027】
尚、前記中空突起体112は、一定形状に統一する必要はなく、図2及び図3に示したように、大きさの異なる中空突起体112を、人体手部や下腕部の押圧施療に適した位置に対応するよう適宜に配設させて、これら中空突起体112と圧縮空気給排装置3間にホース13を連通状に介設して構成することで、指圧感の異なる快適な指圧マッサージを行い得るのである。
【0028】
前記収納体12は、手先から肘までの手部を出入自在に収納し得るよう袋状形成されており、該収納体12は、図1及び図2に示したように、合成繊維等で袋状に形成された外面部の非弾性カバー部材121と、合成ゴム等の弾性材で前記非弾性カバー部材121と略同形の袋状に形成した内面部の弾性カバー部材122とからなり、これら両カバー部材121・122間に前記膨縮機構11の袋体111を介設し、膨縮機構11の袋体111を挟持させるよう構成している。
【0029】
これにより、前記膨縮機構11の袋体111が膨脹している際には、前記非弾性カバー部材121は変化せず、前記弾性カバー部材122は、該膨縮機構11の袋体111の膨脹に応じて伸張し、前記収納体12に収納された人体手部及び下腕部に対して空気圧を加えて適度な空気圧マッサージを行うことができるのである。
【0030】
前記収納体12は、椅子本体の肘掛け部5の上面適所に配設されるのであるが、この配設は、椅子本体に固定してもよいが、例えば、図1及び図4に示したように、面ファスナー等の係止部材14を張設することで任意の位置で着脱自在に構成することができ、収納体12の位置を使用者に合わせて調節できるようにすることができる。
【0031】
次に、圧縮空気給排装置3及び給排気制御装置4について説明する。
前記圧縮空気給排装置3は、図示しないが、例えば、電動エアーコンプレッサ等の空気圧縮機構を内蔵した装置であり、ホース13を介して上記膨縮機構11へ圧縮空気を給排気するものである。
【0032】
また、図1に示した上記給排気制御装置4は、前記電動エアーコンプレッサ等の空気圧縮機構を内装した圧縮空気給排装置3の作動を制御するためのものであり、該給排気制御装置4は、例えば給排気の周期管理プログラム等を内蔵したマイコン装置等で構成する。
【0033】
前記圧縮空気給排装置3は、上記ホース13を介して、上記膨縮機構11へ連通すると共に、図示しないが、例えば、背部又は腰部等をマッサージするための膨縮袋体に連通し、これらをロータリーバルブ等の給排通路選択手段により切替できるようにすることもでき、該膨縮機構11への圧縮空気の給排気と、背部又は腰部等をマッサージするための膨縮袋体への圧縮空気の給排気とを組み合わせた複数の給排気の中から、使用者が任意に選択して実施できるように構成してもよい。
【0034】
また、前記のような構成にした場合には、上記給排気制御装置4は、図示していないが、前記ロータリーバルブの回転を制御する電子回路等の制御手段を内蔵させて構成している。
【0035】
尚、本発明の手用空気圧マッサージ機1を、背部や腰部等に対する空気圧マッサージ装置と同時に使用せず、単独で椅子に設ける場合は、例えば上記圧縮空気給排装置3及び給排気制御装置4をユニットに内装し、電源スイッチ及び操作スイッチ等がユニットパネル上に配設されるよう構成した方が良い。
【実施例2】
【0036】
次に、本発明の収納体12を図4に示す一実施形態により説明すると、前記収納体12は、帯状形成された帯状部材15と、該帯状部材15端に係止部材14を止着して構成し、人体の手先から肘までの手部を捲覆収納できるようにしてもよく、これにより、使用者の手部の太さの差異に対応できると共に、使用者の好みに適応させることができる。
【0037】
尚、前記係止部材14を設けた収納体12には、前述したものと同様に、膨縮機構11及びホース13の他、圧縮空気給排装置3が連通状に設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の手用空気圧マッサージ機の一実施例を示した説明図である。
【図2】本発明の手用空気圧マッサージ機における他の膨縮機構の実施例を示した説明図である。
【図3】本発明の手用空気圧マッサージ機における他の膨縮機構の実施例を示した説明図である。
【図4】本発明の手用空気圧マッサージ機における他の収納体の実施例を示した説明図である。
【符号の説明】
【0039】
1 手用空気圧マッサージ機
11 膨縮機構
111 袋体
112 中空突起体
113 蛇腹部
12 収納体
13 ホース
15 帯状部材
3 圧縮空気給排装置
4 給排気制御装置
5 肘掛部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
椅子本体の肘掛部の上面適所に、外面部の非弾性カバー部材と内面部の弾性カバー部材とを有し、且つ、これら両カバー部材間の周腹部に各々上下に内装される袋体を有する膨縮機構を介設した収納体が人体手部や下腕部を出入自在に設けられており、該膨縮機構の各袋体にホースを介して連通された圧縮空気給排装置からの圧縮空気の給排気により前記収納体内部の各袋体を弾性カバー部材方向へ各々膨縮させるようにして人体手部や下腕部を挟持させるようにした手用空気圧マッサージ機であって、前記膨縮機構が、少なくとも下部側に内装される袋体を軟性樹脂等で中空状に形成された伸縮可能な複数個の中空突起体に構成した膨縮機構であることを特徴とする手用空気圧マッサージ機。
【請求項2】
前記膨縮機構の複数個の中空突起体は、それぞれ大きさの異なる中空突起体であり、各中空突起体を人体手部や下腕部の押圧施療に適した位置に対応させて配設させたことを特徴とする請求項1記載の手用空気圧マッサージ機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−314821(P2006−314821A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−197683(P2006−197683)
【出願日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【分割の表示】特願平9−69130の分割
【原出願日】平成9年3月5日(1997.3.5)
【出願人】(000136491)株式会社フジ医療器 (137)
【Fターム(参考)】