説明

手術台の患者ベッド用パッド要素

【課題】手術台の患者ベッド用パッド要素を提供する。
【解決手段】ベースプレート12と、ベースプレート12の2つの互いに対向する縁部に沿って配置されている、寸法安定性のある発泡体からなる2つの細長いサイドパーツ14と、少なくとも部分的に柔らかい発泡体からなり、かつ細長いサイドパーツ14間に適合して、少なくとも外側32で少なくとも部分的にそれぞれの隣接するサイドパーツ14を支えるパッド部品16とを備え、少なくとも1つのサイドパーツ14上には、少なくとも1つの突起部分28が形成されかつ配置されていて、パッド部品16がサイドパーツ14間に配置される時、前記突起部分はパッド部品16の外側32上の関連する凹部34に係合する、手術台のベッド用パッド要素10が示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば手術台のベッド用の、患者ベッド用パッド要素に関する。手術台は、一般に互いに対して調節可能である複数のセグメントからなるベッドを有する。患者が支持されるパッド要素は、様々なセグメントに固定される。従来、パッド要素は寸法安定性のある一体型発泡体からなり、それにより適切な形状および構造を簡単に作り出せる。しかしながら、一体型発泡体には、比較的硬く、それゆえ患者がこの種のパッド要素に長時間支持されると圧痕がつくかもしれない、という欠点がある。
【背景技術】
【0002】
原則として、一体型発泡体パッドに加えて、バンドまたはタッチアンドクローズ締結具(touch−and−close fastening)によって一体型発泡体パッドに固定される柔らかいパッドを使用してもよい。しかしながら、この種の固定手段、例えばストラップ、バンド、タッチアンドクローズ接続具(touch−and−close connection)等は、簡単に洗浄できず、それゆえ衛生上の問題が生じる。さらに、追加の柔らかいパッドの固定・解放が複雑で、それゆえ時間がかかる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、容易に取り扱いと洗浄ができ、同時に患者が柔らかい支持を得られる、導入部で述べた種類のパッド要素を特定することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、ベースプレートと、ベースプレートの2つの互いに対向する縁部に沿って配置されている寸法安定性のある発泡体からなる2つの細長いサイドパーツと、少なくとも部分的に柔らかい発泡体からなり、かつ少なくとも部分的に柔らかい発泡体からなり、かつ細長いサイドパーツ間に嵌め込まれて、各隣接するサイドパーツにより、外側にて、少なくとも部分的に支持されたパッド部品とを含み、少なくとも1つのサイドパーツ上には、少なくとも1つの突起部分が形成されかつ配置されていて、パッド部品がサイドパーツ間に配置される時、前記突起部分はパッド部品の外側上の関連する凹部に係合する、パッド要素によって達成される。
【0005】
それゆえ、本発明によるパッド要素において、少なくとも部分的に柔らかい発泡体からなり、それゆえ患者が柔らかい支持を得られ、それにより圧点を避けることができるパッド部品が提供される。柔らかいパッド部品を寸法安定性のあるサイドパーツ間に置くことができ、該パッド部品は、その寸法安定性のあるサイドパーツによって側方からの支えを得る。同時に、少なくとも1つの突起部分の、その関連する凹部への係合の結果、パッド部品は、追加の固定手段、例えばタッチアンドクローズ接続具、バンド、またはストラップ等を必要とすることなく、この位置に保持される。その結果、パッド要素を容易に完全に洗浄でき、簡単な方法で取り扱うことができる。
【0006】
好ましくは、サイドパーツは、一体型発泡体、特にPUR一体型発泡体からなる。
【0007】
好ましい実施形態において、突起部分は、各サイドパーツの内側面から突出している凸状の、特に部分球形状のボスで形成されている。この実施形態において、パッド部品の各外側に沿ってボスを滑らせて(この場合パッド部品は突出ボスで多少圧縮される)、ボスを関連する凹部に係合させるまで、2つのサイドパーツ間に上からパッド部品を容易に押し込むことができる。パッド部品は元の形状を取り戻し、ボスによって適所に保持される。
【0008】
パッド部品は、好ましくは不透水性シースに覆われており、それゆえ洗い流せる。パッド部品は好ましくはEPDMの下層と、柔らかい発泡体の上層とを含む。柔らかい発泡体の上層により患者は柔らかい支持を得られる。多少硬いEPDMからなる下層は、サイドパーツの突起部分の下に係合でき、その結果パッド部品は使用中よりしっかりと保たれる。
【0009】
ベースプレートは、好ましくはX線透過性の材料、特にプラスチックからなるので、患者は、手術台に横になっているときにX線検査を受けられる。
【0010】
パッド要素は、好ましくは、ベッドの他のセグメントに連結式に接続されている、手術台のベッドのセグメントに配置されるのに適している。この場合、サイドパーツの少なくとも1つの、長手方向先端部の少なくとも1つには、成形部分が形成されていて、前記成形部分は、2つのセグメント間の継手部を少なくとも部分的に覆っている。これにより、パッド要素を使用して支持されている患者の、継手部との接触を回避する。このような成形部分は、様々な位置の継手部に必要なため複雑な構造となる。しかしながら、この種の複雑な構造を、一体型発泡体によって非常に良品に作製することができる。
【0011】
最後に、本発明はさらに、互いに対して調節可能である複数のセグメントと、セグメントの少なくとも1つに配置されている上述の発展形態の1つによるパッド要素とを含むベッドを備える、手術台に関する。
【0012】
本発明をより明瞭に理解するために、図面に示され、かつ特有の用語を使用して記載される好ましい例示的な実施形態について説明する。しかしながら、本発明の保護範囲はそれにより限定されるべきでないことが指摘されよう。なぜなら、そこで指摘されるような、図示の装置のそのような変形形態とさらなる改良形態、および本発明のそのようなさらなる適用は、当業者の現在の通常知識および将来の専門知識として考慮されるからである。本発明の例示的な実施形態を図面を参照して説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、本発明の実施形態によるパッド要素10の上面図を示し、図2は、パッド要素10の図1の線A−Aに沿った断面を示す。
【0014】
パッド要素10は、手術台のベッドのセグメント(図示せず)に配置されるように意図されている。図1および図2に示されるように、パッド要素10は、寸法安定性のある発泡体からなるサイドパーツ14が長手方向縁部に配置されているベースプレート12を含む。本願明細書において、この場合、長手方向縁部は、パッド要素10が手術台に配置される時に、手術台のベッドの長手方向に配置されるベースプレート12の両端を意味する。
【0015】
ベースプレート12は、X線透過性のプラスチックからなる。それゆえ、パッド要素10に支持された患者のX線写真を、パッド要素10を通して撮ることができる。
【0016】
パッド要素10は、さらに、ベースプレート12上にある細長いサイドパーツ14間に配置されているパッド部品16を含む。パッド部品16は、洗い流せる不透水性シース18で完全に覆われている。パッド部品16は、エチレン−プロピレンターポリマー発泡体(EPDM発泡体)の下層20と、柔らかい発泡体の上層22とからなるコアを含む。シース18は、少なくともその外面が導電性であってもよい。
【0017】
パッド部品16を、図1および2に示されるようにサイドパーツ14間のベースプレート12上に置き、下記で詳細に説明されるように、この位置に保つこともできる。例えば洗浄のために、パッド部品16をこの位置から取り外すこともできる。
【0018】
図3〜5は、パッド部品16が取り外されたパッド要素10を示す。この場合、図3は、ベースプレート12および2つのサイドパーツ14の斜視図を示す。図4は、正面図、すなわち図3の矢印24の方向から見た図を示し、図5は、ベースプレート12およびサイドパーツ14の上面図を示す。
【0019】
上述したように、サイドパーツは寸法安定性のある発泡体からなり、図3〜5に示されるサイドパーツ14の構造化された形状を容易に作ることができる。好ましくは、サイドパーツ14は、構造化発泡体(structured foam)や、固い、非発泡性外皮を有する一体型発泡体、例えばPUR一体型発泡体からなる。図3〜5に示されるように、各サイドパーツ14は、3つの突出ボス28がいずれの場合も形成されている内側面26を有している。ボス28は、凸状の、例えば部分的に球形状の構成である。サイドパーツ14は、導電性塗料で塗られていてもよいので、パッド部品16の導電性シース18と共に、パッド要素10の表面の法定の電気伝導の放電が得られる。
【0020】
サイドパーツ14の長手方向先端部の1つには、それぞれ成形部分30が形成されている。成形部分30は、手術台のベッドの2つの隣接するセグメント(図示せず)間に配置される継手部を部分的に覆うことを意図している。これにより、ベッドに支持される患者が、継手部と接触しないように確実にする。図3〜5に示される、サイドパーツ14の複雑な構造は、一体型発泡体から比較的単純な方法で作製することができる。
【0021】
図1および2に示されるように、ボス28は、パッド要素10がベースプレート12上にあり、サイドパーツ14間に配置される時、パッド要素10を保持するためのものである。この位置において、ボス28は、パッド部品16の外側32に形成されている、パッド部品16の関連する凹部34に係合する(図2参照)。これにより、パッド部品16がベースプレート12およびサイドパーツ14に対する位置から滑り落ちることを回避する。これは、特に、パッド16の下層20によるものである。下層20はEPDM発泡体からなり、それゆえ上層22の粘弾性の柔らかい発泡体より硬く、かつボス28の下で係合している。
【0022】
それゆえ、図1〜5からのパッド要素10には、柔らかいパッド部品16で形成され、患者の身体に圧痕が形成されることなく患者を長時間支持できる中間部分がある。同時に、パッド要素は、硬いサイドパーツ14を有し、それによりパッド部品はその所定位置に保持され、パッド部品16を側方から支える。さらに、サイドパーツ14は、手術台の追加の構成要素(図示せず)、例えばセグメントの長手方向の円材やセグメント間の継手部を覆うために、適切な構造をしている。
【0023】
図6に示される改良実施形態において、パッド部品16はT字形断面を有し、そのT字の足部分がサイドパーツ14間にあり、そのT字の横棒部分がサイドパーツ14を覆っているので、上面図に示されるように、パッド要素10の表面は閉鎖されている。体液および他の流体または不純物がサイドパーツ14とパッド部品16との間の隙間に浸透しないので、この解決法には衛生的な利点がある。
【0024】
パッド部品16は、容易に洗浄できないストラップ、タッチアンドクローズ接続具等無しでパッド要素10にしっかりと保たれる。
【0025】
好ましい例示的な実施形態が、詳細に、図面および上記説明において記載されているが、純粋に例示的なものであり、本発明を限定するものではないと考慮されたい。好ましい例示的な実施形態のみが示され、記載され、本発明の保護範囲内にある現在および将来生じる変形形態および改良形態の全てが、保護されるべきであることを指摘する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態によるパッド要素の上面図を示す。
【図2】図1の線A−Aに沿った断面図を示す。
【図3】パッド要素の斜視図を示す。
【図4】パッド部品が取り外された、図1および2のパッド要素の正面図を示す。
【図5】パッド部品が取り外された、図1および2のパッド要素の上面図を示す。
【図6】図2に対応する、本発明によるパッド要素の改良実施形態の断面図を示す。
【符号の説明】
【0027】
10 パッド要素
12 ベースプレート
14 サイドパーツ
16 パッド部品
18 シース
20 下層
22 寸法安定性のある発泡体、上層
24 矢印
26 内側面
28 突起部分、ボス
30 成形部分
32 外側
34 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースプレート(12)と、
そのベースプレート(12)の2つの互いに対向する縁部に沿って配置された寸法安定性のある発泡体からなる2つの細長いサイドパーツ(14)と、
少なくとも部分的に柔らかい発泡体(22)からなり、かつ上記細長いサイドパーツ(14)間に嵌め込まれて、各隣接するサイドパーツ(14)により、外側(32)にて、少なくとも部分的に支持されたパッド部品(16)とを備え、
少なくとも1つのサイドパーツ(14)に、少なくとも1つの突起部分(28)を、上記パッド部品(16)が上記サイドパーツ(14)間に配置されたときに上記部分が上記パッド部品(16)の上記外側(32)の関連する凹部内(34)に係合するように、形成、配置したことを特徴とする患者ベッド用パッド要素(10)。
【請求項2】
上記サイドパーツは、一体型発泡体、特にPUR一体型発泡体からなる請求項1に記載のパッド要素(10)。
【請求項3】
上記突起部分は、凸状の、特に部分球形状の、ボス(28)で形成され、該ボスは、各サイドパーツ(14)の内側面(26)から突出する請求項1または2に記載のパッド要素(10)。
【請求項4】
上記パッド部品(16)が、不透水性シース(18)により覆われた請求項1から3のいずれか一つに記載のパッド要素(10)。
【請求項5】
少なくとも上記シース(18)の外面が、導電性であることを特徴とする請求項4記載のパッド要素(10)。
【請求項6】
上記パッド部品(16)は、EPDM発泡体の下層(20)と、柔らかい発泡体の上層(22)とを備えた請求項1から5のいずれか一つに記載のパッド要素(10)。
【請求項7】
上記パッド部品(16)は、T字状断面を有し、そのT字の足部分が上記サイドパーツ(14)間に位置し、該T字の横棒部分が前記サイドパーツ(14)を覆うことを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載のパッド要素(10)。
【請求項8】
上記ベースプレート(12)は、X線透過性の材料、特にプラスチックからなる請求項1から7のいずれか一つに記載のパッド要素(10)。
【請求項9】
手術台のベッドのセグメントに配置されるのに適したパッド要素であって、上記セグメントが、上記ベッドの他のセグメントに連結式に接続された請求項1から8のいずれか一つに記載のパッド要素(10)。
【請求項10】
少なくとも一つの上記サイドパーツ(14)における長手方向の端部の少なくとも一つに成形部分(30)が形成され、該成形部分は、上記セグメント間の継手部を少なくとも部分的に覆う請求項9記載のパッド要素(10)。
【請求項11】
互いに対して調節可能である複数のセグメントを備えたベッドを有する手術台において、請求項1から10のいずれか一つに記載のパッド要素(10)が、上記セグメントの少なくとも一つに配置されたことを特徴とする手術台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−130475(P2007−130475A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−304006(P2006−304006)
【出願日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(502163557)マケット・ゲゼルシャフトミットベシュレンクターハフトゥング・ウント・コンパニー・コマンディートゲゼルシャフト (27)
【Fターム(参考)】