説明

打ち抜き・絞り加工用表面保護粘着シート

【課題】 表面保護粘着シートが貼付された金属板などを打ち抜き、絞り加工等を行う際に、表面保護粘着シートの裂け及びしごき破れの発生を著しく低減させる打ち抜き、絞り加工用表面保護粘着シートの提供。
【解決手段】 支持層とその一方の面に存在する粘着層とを有する粘着シートにおいて、支持層が少なくとも2層からなり、前記支持層の各層は無延伸のプラスチックフィルムであり、前記2層が、ポリアミドフィルム層及びポリオレフィンフィルム層であることを特徴とする、打ち抜き・絞り加工用表面保護粘着シート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表面保護用粘着シートに関するものであり、更に詳しくは、打ち抜き、絞り加工の成形時における成形品の傷を防止する表面保護粘着シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、運搬、保管又は成形加工時等におけるステンレス板、アルミ板、鋼鈑、プラスチック板、化粧合板等の表面の傷つき、汚れを防止する為に表面保護粘着シートが用いられてきた。このような表面保護粘着シートとしては、特許文献1(特公昭59-49953)、特許文献2(特開昭56-55252)、特許文献3(特公昭50-14667)、特許文献4(特開昭50-52141)等に記載されたものが知られている。
【0003】
一般に、金属板の曲げ加工、打ち抜き加工又は絞り加工用の表面保護粘着シートは、成形加工時等に被着体から剥れたりしないこと(仮着性)と作業後に手間をかけずに簡単に剥離できること(再剥離性)が要求される。また、打ち抜き加工にあっては、パンチプレスを用いた場合、打ち抜き後のパンチプレス用下金型内の打ち抜きカスがパンチプレス用上金型の上昇に伴い、同様に上昇し、その抜きカスが金属板表面に乗り上げ、又は加工材と下金型の間に入り込み、その後の打ち抜き加工時に抜きカスごと上金型で押さえつけることにより、金属板表面(上面又は下面或いはその両方)に傷等の損傷を与える場合があるため、上記の要求に加えて、打ち抜き後のカスを発生させないことも要求される。
【0004】
上記の要求に答えるため、特許文献5(特開昭62-201985)、特許文献6(特公昭57-11343)、特許文献7(特開平6-108023)が提案されている。しかし、これらの表面保護粘着シートは、仮着性、再剥離性が不十分であり、また、打ち抜き時にカスも認められ、実用的に問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公昭59-49953号公報
【特許文献2】特開昭56-55252号公報
【特許文献3】特公昭50-14667号公報
【特許文献4】特開昭50-52141号公報
【特許文献5】特開昭62-201985号公報
【特許文献6】特公昭57-11343号公報
【特許文献7】特開平6-108023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、表面保護粘着シートが貼付された金属板などを打ち抜き、絞り加工等を行う際に、表面保護粘着シートの裂け及びしごき破れの発生を著しく低減させる打ち抜き、絞り加工用表面保護粘着シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記提案とは異なる観点から絞り加工用の表面保護テープ或いは表面保護シートについて鋭意検討を重ねる中で、本発明に辿り着いたものである。
【0008】
即ち、本発明(1)は、支持層とその一方の面に存在する粘着層とを有する粘着シートにおいて、
支持層が少なくとも2層からなり、
前記支持層の各層は無延伸のプラスチックフィルムであり、
前記2層が、ポリアミドフィルム層及びポリオレフィンフィルム層であることを特徴とする、打ち抜き・絞り加工用表面保護粘着シートである。
【0009】
本発明(2)は、前記ポリアミドフィルム層が脂肪族系のポリアミド樹脂からなる、前記発明(1)に記載の打ち抜き・絞り加工用表面保護粘着シートである。
【0010】
本発明(3)は、前記ポリオレフィンフィルム層がポリプロピレン系樹脂からなる、前記発明(1)又は(2)の打ち抜き・絞り加工用表面保護粘着シートである。
【0011】
本発明(4)は、前記支持層の弾性率が、500〜800MPaであり、前記支持層の破断強度が、50〜90N/20mmであり、前記支持層の引裂強度が5〜10Nである、前記発明(1)〜(3)のいずれか一つの打ち抜き・絞り加工用表面保護シートである。
【0012】
本発明(5)は、前記支持層の粘着層側が、ポリオレフィンフィルム層であり、前記粘着剤層と反対側の表層側が、ポリアミドフィルム層である、前記発明(1)〜(4)のいずれか一つの打ち抜き・絞り加工用表面保護粘着シートである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の表面保護粘着シートは、当該粘着シートが貼付された金属板などを打ち抜き、絞り加工等を行う際に、表面保護シートの裂け及びしごき破れの発生を著しく改善することができる。また、これらの裂け及びしごき破れの発生の防止により、シートカスの発生を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0015】
1.支持層
本発明の支持層は少なくとも2層で構成される。前記支持層の各層は無延伸のプラスチックフィルムであり、前記2層がポリアミドフィルム層及びポリオレフィンフィルム層である。このような構成にすることで、同じ厚みであっても1層の場合に比較して、打ち抜き加工及び絞り加工の際の破れを著しく改善できる。また、一方の層の欠点を他の層が補い、全体として良好な物性とすることも可能となる。すなわち、強度の高いポリアミドフィルムと、追従性の高いポリオレフィンフィルムとの組合せに係る相乗効果によって、絞り加工時において、シートの裂けや、しごき破れの発生が抑制されると考えられる。これによって、シートカスの発生を防止することができるので、成形加工品の表面を傷付けにくくする。
【0016】
支持層の各層は無延伸のプラスチックフィルムから構成される。各層のプラスチックフィルムは、絞り加工の際に金属板と共に粘着テープも一体で伸ばされるので、支持層は伸張性がよく、塑性変形する無延伸のものが好ましく使用される。支持層の最外層のうち一層は、ポリアミドフィルムである。当該フィルムは強度、伸び共に高い値を示し、好ましい。また、支持層の最外層のうち、もう一層は、無延伸のポリオレフィンフィルムである。当該フィルムは追従性、コスト及び入手性の観点から好ましい。このように、無延伸のプラスチックフィルムを使用することにより、裂けを防止することができる。
【0017】
ポリアミドフィルムは、ポリアミド系樹脂を含有する。ポリアミドフィルムを構成するポリアミド系樹脂は脂肪族系ポリアミド樹脂が好ましく、20重量部以内で、脂環族系ポリアミド樹脂、芳香族系ポリアミド樹脂などその他ポリアミド系樹脂を含んでいてもよい。脂肪族系ポリアミド樹脂としてはナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6,6、ナイロン6,10などが挙げられ、特に、物性、汎用性及びコスト等の面から、ナイロン6を使用することが好ましい。
【0018】
ポリオレフィンフィルムは、ポリオレフィン系樹脂を含有する。ポリオレフィンフィルムに使用するポリオレフィン系樹脂としては、エチレン、プロピレン、1−ブテンなど炭素数2〜12のα−オレフィンの単独重合体もしくはビニル化合物との共重合体を挙げることができるが、上記化合物に限定されるものではない。更に詳しく例示すると、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−へキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、エチレン・メタクリル酸エステル共重合体等のエチレン系重合体、ポリプロピレン、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体などのプロピレン系重合体、ポリ1−ブテン、ポリ1−ヘキセン、ポリ4−メチル−1−ペンテン等が挙げられ、これらのポリオレフィン系樹脂を、1種単独又は2種以上の組み合わせで用いてもよい。ポリオレフィン系樹脂はポリエチレン、ポリプロピレンが好ましく使用できる。特に、伸度・引裂強度の面からポリプロピレンが好ましく使用できる。
【0019】
使用するポリオレフィンフィルムの破断強度は、30〜80MPaが好適であり、40〜70MPaが更に好適である。ポリオレフィンフィルムの伸びは、300〜800%が好適であり400〜600%が更に好適である。ポリオレフィンフィルムの弾性率は、100〜1000MPaが好適であり、500〜700MPaが更に好適である。上記の各物性はJIS K7127規定の測定法による。ポリオレフィンフィルムが上記の物性が各々の好適範囲である場合には、ポリアミドフィルム層との相乗効果を特に発揮し易くなる。
【0020】
支持層は、ポリアミドフィルム層が、ポリオレフィンフィルム層に対して、表層側(粘着剤層の形成面とは反対面側)に位置することが好ましい。このような位置関係の構成とすることで、シートの浮きが格段に減る。
【0021】
支持層は、強度、伸びなどの物性を調整するために、上記記載又はその他無延伸プラスチックフィルムを複数層積層することもできる。各層を積層する際は一般的なドライラミ接着剤を用いることができる。上記のように複層にすることにより無延伸ポリアミド系フィルムの引裂性の悪さが無延伸ポリオレフィン系フィルムの引裂性の強さにカバーされて良好な特性となる。又、無延伸ポリアミド系フィルムは水分を吸湿して皺になりやすいが、無延伸ポリオレフィン系フィルムは吸湿しないため、全体として無延伸ポリアミド系フィルムの欠点をカバーすることができる側面も有する。
【0022】
支持層全体の弾性率は、100〜1000MPaが好適であり、500〜800MPaが更に好適である。当該範囲の弾性率とすることによって、裂け及びしごき破れをより好ましく防止することができる。特に支持層の弾性率が小さくなることによって、深絞り時の加工時の金属に追従し易くなる。一方、弾性率が高い支持層は、深絞りへの追従性が乏しく、破断強度は強くても引裂強度が弱いのでテープが横一線に裂けるように破れやすくなる。支持層全体の破断強度は、40〜200N/20mmが好適であり50〜90N/20mmが更に好適である。当該範囲の破断強度とすることによって、シートのしごき破れをより好ましく防止することができる。支持層全体の引裂強度は、2〜30Nが好適であり5〜10Nが更に好適である。当該範囲の引裂強度とすることによって、シートの裂けをより好ましく防止することができる。ポリアミドフィルム層とポリオレフィンフィルム層を有する支持層である場合であって、当該支持層が、上記範囲の弾性率、破断強度及び引裂強度を有するときには、特に顕著に裂け及びしごき破れを防止することができる。
【0023】
2.処理剤
表面保護粘着シートの粘着層の反対側にある表面は、従来から知られる、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系などの剥離剤を使用することが好適である。
【0024】
3.粘着層
粘着層は、粘着剤により構成される。当該粘着剤の種類は、公知の粘着剤を使用することができるので特に限定されないが、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリエーテル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、フッ素系粘着剤等が挙げられる。また、これらの粘着剤から選択される一種または二種以上の粘着剤の組合せであってもよい。また、本発明に係る粘着剤層は、公知の添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、特に限定されないが、例えば、粘着付与樹脂、軟化剤、酸化防止剤、着色剤、充填剤等が挙げられる。
【0025】
4.プライマー層
本発明は、支持層と粘着層の間に投錨力を改善する目的で、プライマー層を設けることができる。プライマー層は、支持層と粘着層の投錨力を改善し、かつ、粘着層の粘着特性に影響を与えないものならば何でも使用できる。
【0026】
支持層の各層の厚さは任意に設定できるが、支持層及び粘着層まで含めた総厚はなるべく薄く設定することが好ましい。特に、支持層の各層の厚さは15μm〜60μmであることが好適である。当該粘着層の厚みとしては、特に制限はないが、好ましくは1〜15μmの範囲で使用できる。また支持層と粘着層との総厚は、30μm〜100μmであることが好ましく、31μm〜100μmであることがより好ましい。
【実施例】
【0027】
以下、実施例を挙げ、本発明を具体的に説明する。なお、本発明はこれら実施例に何ら制約されることはない。
【実施例1】
【0028】
無延伸のポリアミドフィルム(ナイロン6フィルム(NY)、レイファン1401#20(20μm)、東レ)と無延伸のポリオレフィンフィルム(ポリプロピレンフィルム(CPP)、トレファンNo.3501#20(20μm)、東レフィルム加工)を、接着剤(セイカボンドE253、大日精化)でドライラミネートし、本発明の支持層を得た。その後、当該支持層の無延伸のポリオレフィン面に処理剤を塗布し、無延伸のポリアミド面にプライマーとゴム系粘着剤5μmを重ねて塗布し、本発明の表面保護粘着シートを得た。尚、使用したポリオレフィンフィルムの詳細な情報は表1に示した。尚、表1の各物性はJIS K7127規定の測定法による値である。
【実施例2】
【0029】
ポリオレフィンフィルムとして、無延伸のポリオレフィンフィルム(ポリプロピレンフィルム、パイレンP1128、東洋紡)を使用したこと以外は実施例1と同様にして実施例2に係る表面保護粘着テープを得た。尚、使用したポリオレフィンフィルムの詳細な情報は表1に示した。
【実施例3】
【0030】
ポリオレフィンフィルムとして、無延伸のポリオレフィンフィルム(ポリプロピレンフィルム、FHK2、フタムラ化学)を使用した以外は実施例1と同様にして実施例3に係る表面保護粘着テープを得た。尚、使用したポリオレフィンフィルムの詳細な情報は表1に示した。
【実施例4】
【0031】
ポリアミドフィルムの面を表面側にして、ポリオレフィンフィルムの面にゴム系粘着剤5μmを重ねて塗布したこと以外は、実施例3と同様にして実施例4に係る表面保護粘着テープを得た。
【0032】
(比較例1)
ポリエチレンフィルム(PE)からなる支持層の表面に処理剤を塗布し、反対面にアクリル系粘着剤5μmを重ねて塗布し、比較例1に係る表面保護粘着シートを得た。
【0033】
(比較例2)
支持層として、無延伸ポリアミド系フィルム(ナイロン6フィルム、レイファン1401#40(40μm)、東レフィルム加工)の単層を用いた以外は実施例1と同様にして、比較例2に係る表面保護粘着テープを得た。
【0034】
(比較例3)
支持層として、無延伸のポリオレフィンフィルム(ポリプロピレンフィルム、トレファンNo.3501#40(40μm)、東レフィルム加工)の単層を用いた以外は比較例2と同様にして、比較例3に係る表面保護粘着テープを得た。
【0035】
(比較例4)
支持層を構成するポリオレフィンフィルムを、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムとした以外は、実施例1と同様にして、比較例4に係る表面保護粘着テープを得た。
【0036】
(比較例5)
ポリオレフィンフィルムとして、延伸したポリオレフィンフィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例5に係る表面保護粘着テープを得た。
【0037】
(比較例6)
ポリアミドフィルムとして、延伸したポリアミドフィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例6に係る表面保護粘着テープを得た。
【0038】
【表1】

【0039】
(試験例1)
実施例1及び比較例2の表面保護粘着シートをスキージを用いてBASUSにシワなく貼付した後、40℃・75%RHに1週間放置した。その後、表面保護粘着テープの状態を目視にて観察した。結果を表2にまとめた。
【0040】
【表2】

【0041】
(試験例2)
実施例1〜実施例4及び比較例1〜比較例6を用いて深絞り加工を行った。加工材は厚さ1.0mmの金属板で、金属板の材質はBASUS304である。SUS表面に表面保護粘着シートを貼付し、表面保護シートがパンチの反対側になるように設置した後に、深絞り加工を行った。深絞り条件は、パンチ内径40mm R2mmの円筒と、ダイ内径42.5mm R5mmの金型を用いて、直径80mm円のBASUS304を金型で深絞りし、深さ30mmの円筒を得た。これらの結果及びその他の試験結果を表3にまとめて示した。
【0042】
テープの破れは、深絞り加工によって破れたテープの面積を算出して評価した(◎:5%未満、○:5%以上10%未満、△:10%以上50%未満、×:50%以上)。このとき、同時に、テープの破れ方を観察し、「裂け」と「しごき破れ」に分類した。横一直線に裂けるような破れ方を「裂け」として、テープがしごかれるようにして破れている状態を「しごき破れ」とした。テープの浮き具合をチェックし、浮き面積率を求めた(◎:0%以上15%未満、○:15%以上30%未満、△:30%以上45%未満、×:45%以上)。
【0043】
(破断強度と弾性率の測定)
引張試験は、JIS K 7127に準じて行なった。測定試料はMD方向で、JIS K 7127に記載の試験片タイプ2の形に切断した表面保護シートを用い、チャック間隔50mm、試験片幅20mm、試験速度300mm/minにて行なった。また、測定に使用した試験機は、インストロン型引張試験機(TENSILON RTM‐100:株式会社オリエンテック)を使用した。弾性率および破断強度は、応力−ひずみ曲線から求め、弾性率は初期の傾きから算出し、破断強度は表面保護シートが破断したときの強度とした。
【0044】
(引裂強度の測定)
引裂試験は、JIS K 7128‐2に準じて行った。測定試料はTD方向で、JIS K 7128‐2に記載の図3.長方形試験片に切断した表面保護シートを用い、1枚単位で測定した。また、測定に使用した試験機は、引裂強度測定機器、(エレメンドルフ引裂度試験機:熊谷理機工業株式会社)を使用した。引裂強度は、試験片を16枚重ねてTD方向に試験長43mm引き裂くときの強度とした。
【0045】
【表3】

【0046】
比較例1や、比較例3は、支持層の弾性率が低く追従性が良いので裂けは発生しなかったが、破断強度が弱いので、表面がシゴかれることでしごき破れが発生した。比較例2では、支持層の弾性率が低く、破断強度強く、引裂強度が弱い基材なので、横一線の裂けが発生した。比較例4のポリアミドフィルムとポリエチレンテレフタレートフィルムの組合せでは、裂けが発生した。また、比較例5、比較例6で示すようにポリアミドフィルム、ポリオレフィンフィルムのいずれか一方に延伸フィルムを用いた場合には、裂けが発生した。
【0047】
実施例1〜4では、無延伸のポリアミドフィルムと、無延伸のポリオレフィンフィルムの組合せである支持層を使用したことによって、裂け及びしごき破れを防止することができた。これらの中でも、ポリアミドフィルムを表層側に配置した実施例4が特に好適であり、このような構成とすることによって、テープの破れが著しく抑えられると共に、浮きが顕著に少なくなることがわかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持層とその一方の面に存在する粘着層とを有する粘着シートにおいて、
支持層が少なくとも2層からなり、
前記支持層の各層は無延伸のプラスチックフィルムであり、
前記2層が、ポリアミドフィルム層及びポリオレフィンフィルム層であることを特徴とする、打ち抜き・絞り加工用表面保護粘着シート。
【請求項2】
前記ポリアミドフィルム層が脂肪族系のポリアミド樹脂からなる、請求項1に記載の打ち抜き・絞り加工用表面保護粘着シート。
【請求項3】
前記ポリオレフィンフィルム層がポリプロピレン系樹脂からなる、請求項1又は2に記載の打ち抜き・絞り加工用表面保護粘着シート。
【請求項4】
前記支持層の弾性率が、500〜800MPaであり、前記支持層の破断強度が、50〜90N/20mmであり、前記支持層の引裂強度が5〜10Nである、請求項1〜3のいずれか一項記載の打ち抜き・絞り加工用表面保護シート。
【請求項5】
前記支持層の粘着層側が、ポリオレフィンフィルム層であり、前記粘着剤層と反対側の表層側が、ポリアミドフィルム層である、請求項1〜4のいずれか一項記載の打ち抜き・絞り加工用表面保護粘着シート。

【公開番号】特開2012−77226(P2012−77226A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−225033(P2010−225033)
【出願日】平成22年10月4日(2010.10.4)
【出願人】(000004020)ニチバン株式会社 (80)
【Fターム(参考)】