説明

打抜装置及びこれに用いる打抜型

【課題】シート製品が型穴から材料シート上に落下するのを防止し、円滑な打抜作業が行えるようにする。
【解決手段】水平方向に搬送される長尺状の材料シート1から、打抜型20で多数のシート製品90を打抜く打抜ステーションAと、打抜型で打ち抜かれたシート製品を取り出す取出しステーションBとを具備し、打抜型は、上下に貫通した型穴28の先端周縁の刃部202aを材料シートに圧接させることにより、材料シートからシート製品を順次打ち抜いて、型穴内に積層状態に収容する構成とし、取出ステーションには、積層状態に収容されたシート製品群を型穴から取出部に押し出す為の押出プッシャ3が設けられている打抜装置に於いて、打抜型を、材料シートの搬送域の下方に配設した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート類を円滑に打抜くことができる打抜装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
即席カップ麺の容器の蓋や、インスタントコーヒの包装用瓶を密封するキャップシール等のシート類を打抜く装置として、図9,図10に示す構造のものが知られている。
図9に示すように、打抜型(20)とテーブル(10)は上下に対向しており、駆動ローラ(11)と従動ローラ(12)に掛けられた無端ベルト(13)は、テーブル(10)の上面に沿って走行するように構成されている。
前記打抜型(20)はベースブロック(21)と、これから下向きに突出する筒状刃物(202)から成り、ベースブロック(21)は昇降プレート(23)の下面に並設された一対のサイドレール(24)(24)に沿って無端ベルト(13)の幅方向に往復移動する構成である。又、前記昇降プレート(23)は複数のガイドポスト(22)に案内される構成である。尚、上下に対向する打抜型(20)とテーブル(10)の配設部は後述する打抜ステーション(A)である。
【0003】
図10は、材用シート(1)から打抜型(20)の筒状刃物(202)内に打ち抜かれた積層状態のシート製品(90)群を、打抜型(20)から上方に押し出す為の取出ステーション(B)の近傍の説明図である。
取出ステーション(B)は、打抜ステーション(A)から無端ベルト(13)の幅方向(図9の紙面に直角な方向)にずれた部分に設けられており、打抜型(20)はベースブロック(21)を支持するサイドレール(24)(24)に案内されて取出ステーション(B)と打抜ステーション(A)との間を往復するように構成されている。取出ステーション(B)の下方には押出プッシャ(3)が設けられており、その先端のロッド(3a)は、筒状刃物(202)内に下方から押込まれるようになっている。又、取出ステーション(B)には、ロッド(3a)で筒状刃物(202)内からベースブロック(21)上に押し出された積層状態のシート製品(90)群を製品製品取出コンベヤ(26)上に移し替える移替プッシャ(32)が設けられている。
【0004】
次に、前記従来の打抜装置の動作を説明する。
図9に示すように、打抜ステーション(A)の上流側(同図の右側)に於いて材料シート(1)を無端ベルト(13)上に載置し、その後に打抜動作を開始させると、無端ベルト(13)が間欠走行し、これに載置された材料シート(1)が打抜ステーション(A)に間欠的に送り込まれる。そして、無端ベルト(13)の停止時に昇降プレート(23)が打抜型(20)と共に降下し、筒状刃物(202)とテーブル(10)で材料シート(1)が挟圧される。これにより、材料シート(1)から打ち抜かれたシート製品(90)が筒状刃物(202)内に収容される。そして、この打抜動作が繰り返されると、打抜回数と同数のシート製品(90)が筒状刃物(202)内に積層状態で収容保持された状態になる。
【0005】
次に、打抜型(20)がサイドレール(24)(24)に沿って取出ステーション(B)まで移動される。その後、押出プッシャ(3)の先端のロッド(3a)が筒状刃物(202)内に押込まれると、筒状刃物(202)内に収容された積層状態のシート製品(90)群が前記ロッド(3a)でベースブロック(21)上まで持ち上げられる。次に、移替プッシャ(32)が作動し、シート製品(90)群が製品取出コンベヤ(26)上に移し替えられて次工程へ搬送される。
このものでは、一定枚数のシート製品(90)が積層状態で筒状刃物(202)から取り出せるから、一枚単位で打抜いたシート製品(90)を梱包単位毎に数える特別な計数作業が不要であるうえに、一枚単位で打抜いたシート製品(90)を積層する作業が不要であるから、作業効率が良い。
【特許文献1】特開平2−232195号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来のものでは、筒状刃物(202)内に収容された最下層のシート製品(90)が、筒状刃物(202)の下方に落下し易く、円滑な打抜作業が阻害されるという問題があった。
上記問題について、更に詳述する。
上記従来のものでは、材料シート(1)は打抜型(20)で上方から単純に打抜かれる。従って、筒状刃物(202)内に積層状態で収容された最下層のシート製品(90)は、筒状刃物(202)の下端開口内に密に嵌入することにより落下防止が図られている。即ち、最下層のシート製品(90)は筒状刃物(202)の下端開口とほぼ面一の状態にあり、これが下方に脱落し易い状態にある。
従って、打抜動作時の衝撃や振動が筒状刃物(202)内のシート製品(90)群に作用すると、最下層のシート製品(90)が筒状刃物(202)から落下し、然も、落下したシート製品(90)が材料シート(1)の上面(打抜対象面)に散乱するから打抜作業が円滑に進行しないのである。
特に、薄くて柔軟なシート製品(90)は、外周縁がカールして全体が収縮する傾向にあるから、筒状刃物(202)内に保持されにくく、これが下方に落下して前記円滑な打抜作業が阻害され易い。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みて成されたもので、
『水平方向に搬送される長尺状の材料シート(1)から、打抜型(20)で多数のシート製品(90)を打抜く打抜ステーション(A)と、
前記打抜型(20)で打ち抜かれたシート製品(90)を取り出す取出ステーション(B)とを具備し、
前記打抜型(20)は、上下に貫通した型穴(28)の先端周縁の刃部(202a)を前記材料シート(1)に圧接させることにより、該材料シート(1)からシート製品(90)を順次打抜いて前記型穴(28)内に積層状態に収容する構成であり、
前記取出ステーション(B)には、前記積層状態に収容されたシート製品(90)群を前記型穴(28)から取出部に押し出す為の押出プッシャ(3)が設けられている打抜装置』に於いて、シート製品(90)が型穴(28)から材料シート(1)上に落下するのを防止し、これにより、円滑な打抜作業が行なえるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[請求項1に係る発明]
上記課題を解決するための請求項1に係る発明の技術的手段は、
『前記打抜型(20)は、前記材料シート(1)の搬送域の下方に配設されている』ことである。
上記技術的手段によれば、打抜型(20)が材料シート(1)の搬送域の下方に配設されているから、新たに打ち抜かれたシート製品(90)は型穴(28)の上端開口近傍に保持され、その下方の型穴(28)内にシート製品(90)群が積層状態に収容される。従って、既述従来のように、新たに打ち抜かれたシート製品(90)が型穴(28)の下端開口部に保持されることがなく、打抜時の振動等が作用してもシート製品(90)が材料シート(1)上に落下する心配が少ない。
【0009】
[請求項2に係る発明]
請求項1に係る発明に於いて、
『前記打抜ステーション(A)に於いて前記打抜型(20)に上方から対向する位置には、打ち抜かれたシート製品(90)を前記型穴(28)内に押込む為の押込プッシャ(27)が設けられている』ものでは、打ち抜かれたシート製品(90)を押込プッシャ(27)で型穴(28)内に押込むことができる。従って、最上層のシート製品(90)が型穴(28)の上端開口から外部に脱出する不都合を確実に防止することができる。
【0010】
[請求項3に係る発明]
請求項1又は請求項2に係る発明に於いて、
『前記打抜型(20)は、駆動手段により上下に駆動される』ものでは、シート製品(90)を打抜いた後の打抜型(20)は下方に降下する。従って、抜きカスに形成されたシート製品(90)の打抜穴(シート製品(90)の打ち抜きによって形成される穴)の周縁が打抜型(20)の刃部(202a)に引っ掛かる心配がなく、該抜きカスの円滑な搬送が担保できる。
【0011】
[請求項4に係る発明]
請求項1〜3に係る発明に於いて、
『前記打抜ステーション(A)で打ち抜かれた長尺状の抜きカスに対して搬送方向の下流側へ向けてテンションを付与するエアダンサ機構と、該エアダンサ機構の下流側にて前記抜きカスを巻き取るカス取りステーション(D)が設けられ、
前記エアダンサ機構は、前記長尺状の抜きカスの一部が下方に垂れ下がることにより形成されたU字状湾曲域を収容する上方開放の鉛直ダクトと、前記前記U字状湾曲域の上面に接触し且つ前記抜きカスに残存するシート製品(90)の打抜穴を覆う大きさの被覆部材と、前記鉛直ダクト内を下方に吸引する吸引ファンを備えている』ものでは、抜きカスに残存するシート製品(90)の打抜穴(シート製品(90)の打ち抜きによって形成される穴)を介して、吸引ファンの吸引力が被覆部材に作用する。従って、シート製品(90)の打抜穴が抜きカスに形成されている故に吸引ファンによる吸引力が作用しにくい場合でも、該抜きカスが被覆部材を介して確実に下方へ引っ張られるから、抜きカスへの張力付与が確実に行なえる。
【0012】
[請求項5に係る発明]
請求項5に係る発明は、請求項1の打抜装置に用いられる打抜型に関するものである。
請求項5に係る発明の技術的手段は、
『上下に貫通した型穴(28)の上端周縁の刃部(202a)を材料シート(1)に圧接させることにより、該材料シート(1)からシート製品(90)を前記型穴(28)内に打抜く打抜型に於いて、
前記刃部(202a)の内周は、上方に向かって拡大するテーパ面状に形成されている』ことである。
上記技術的手段によれば、打ち抜かれたシート製品(90)の周縁は上方に向かって拡大するテーパ面状に形成された刃部(202a)の内周に案内されて型穴(28)内に強制的に圧入される。従って、シート製品(90)の周縁が型穴(28)の内周に圧接されて摩擦力が高くなり、シート製品(90)群が型穴(28)内に一層安定的に収容保持される。
【0013】
[請求項6に係る発明]
請求項6に係る発明の技術的手段は、
『上下に貫通した型穴(28)の上端周縁の刃部(202a)を材料シート(1)に圧接させることにより、該材料シート(1)からシート製品(90)を前記型穴(28)内に打抜く打抜型に於いて、
前記型穴(28)の内周壁には、前記シート製品(90)の周縁に下方から係合する複数の弾性突子が周方向に間隔をおいて配設されている』ことである。
このものでは、打ち抜かれたシート製品(90)の周縁に弾性突子が下方から係合するから、シート製品(90)群が型穴(28)内に一層安定的に収容保持される。
【0014】
[請求項7に係る発明]
請求項7に係る発明の技術的手段は、
『上下に貫通した型穴(28)の上端周縁の刃部(202a)を材料シート(1)に圧接させることにより、該材料シート(1)からシート製品(90)を前記型穴(28)内に打抜く打抜型に於いて、
前記型穴(28)の内周壁には、前記シート製品(90)の周縁に下方から係合する複数の弾性突子が上下方向に間隔をおいて配設されている』ことである。
このものでも、打ち抜かれたシート製品(90)の周縁に弾性突子が下方から係合するから、シート製品(90)群が型穴(28)内に一層安定的に収容保持される。
【0015】
[請求項8に係る発明]
請求項8に係る発明の技術的手段は、
『上下に貫通した型穴(28)の上端周縁の刃部(202a)を材料シート(1)に圧接させることにより、該材料シート(1)からシート製品(90)を前記型穴(28)内に打抜く打抜型に於いて、
前記型穴(28)の内周壁には、前記シート製品(90)の周縁に下方から係合する複数の弾性突子が周方向及び上下方向に間隔をおいて配設されている』ことである。
このものでは、弾性突子が型穴(28)の周方向及び上下方向の両方向に間隔を置いて配設されているから、シート製品(90)群が型穴(28)内に一層安定的に収容保持される。
【0016】
[請求項9に係る発明]
請求項8に係る発明に於いて、
『前記軸方向に間隔をおいて配設された弾性突子は、前記型穴(28)の内周壁に形成された上下方向に延びる嵌入溝に嵌め込まれるベースブロック(70)に上下に間隔をおいて配設されている』ものでは、ベースブロック(70)と弾性突子の集合体を樹脂等で一体成形することができるから、目的に適した材料選択が可能になる。
【0017】
[請求項10に係る発明]
請求項5〜9に於いて、
『内周が前記型穴(28)である筒状刃物(202)と、前記筒状刃物(202)を保持する刃物ホルダ(201)を備え、
前記刃物ホルダ(201)には、前記筒状刃物(202)の上端の刃部(202)が外部に露出する態様で該筒状刃物(202)に密に外嵌させる大径穴(203)と該大径穴(203)と同軸の小径穴(204)から成る貫通穴が形成されており、
前記筒状刃物(202)に前記大径穴(203)を外嵌した状態では、前記筒状刃物(202)の下端が前記大径穴(203)から小径穴(204)に内径が変化する境界の段部に当接する』ものとすることができる。
このものでは、筒状刃物(202)を硬度の高い金属材料で製作することにより、耐久性の良好な筒状刃物(202)を得ることができる。一方、加工容易なアルミニウム合金等の低硬度の材料を用いて刃物ホルダ(201)を加工することができるから、打抜型の製造効率が向上する。
【0018】
[請求項11に係る発明]
請求項10に係る発明に於いて、
『前記筒状刃物(202)は、トムソン中空刃である』ものでは、帯板状刃物を筒状に曲げ加工するだけで筒状刃物(202)が製作できる。従って、筒状刃物(202)として彫刻中空刃を採用する場合と相違し、刃先部をエンドミル等で切削する必要がなく、製作が容易である。
【0019】
[請求項12に係る発明]
前記請求項5〜11に係る発明に於いて、
『前記打抜型の前記刃部(202a)は、弾性環状の刃物受け(206)と協働して前記材料シート(1)を挟圧するものであり、前記刃物受け(206)は固定壁に着脱自在に設けられている』ものでは、弾性環状の刃物受け(206)は材料シート(1)の打抜に必要な領域にのみ設けられるから、この刃物受け(206)を少ない材料で製造できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は次の特有の効果を有する。
請求項1に係る発明では、新たに打ち抜かれたシート製品(90)は型穴(28)の上端開口近傍に保持されるから、既述従来のように、新たに打ち抜かれたシート製品(90)が型穴(28)の下端開口部に保持されることがなく、打抜時の振動等が作用してもシート製品(90)群が材料シート(1)上に落下する心配が少ない。
請求項2に係る発明では、既述したように、打ち抜かれたシート製品(90)を型穴(28)内に確実に押込むことができるから、最上層のシート製品(90)が型穴(28)の上端開口から外部に脱出する不都合を確実に防止することができる。
【0021】
請求項3に係る発明では、抜きカスに形成されたシート製品(90)の打抜穴の周縁が打抜型(20)の刃部(202a)に引っ掛かる心配がなく、該抜きカスの円滑な搬送が担保できる。
請求項4に係る発明では、シート製品(90)の打抜穴が抜きカスに形成されている故に吸引ファンによる吸引力が作用しにくい場合でも、該抜きカスが被覆部材を介して確実に下方へ引っ張られるから、抜きカスへの張力付与が確実に行なえる。
【0022】
請求項5〜8に係る発明では、請求項1に係る発明に適用できる打抜型を提供できると共に、打ち抜かれたシート製品(90)の周縁と弾性突子が係合するから、前記シート製品(90)群が型穴(28)内に安定的に収容保持される。
請求項9に係る発明では、ベースブロック(70)と弾性突子の集合体を樹脂等で一体成形することができるから、目的に適した材料選択が可能になる。
【0023】
請求項10に係る発明では、耐久性の良好な刃物を得ることが出来る上に、加工容易な低硬度の材料で刃物ホルダ(201)を製作することができるから、打抜型の製造効率が向上する。
請求項11に係る発明では、既述したように、筒状刃物(202)として彫刻中空刃を採用する場合と相違し、刃先部をエンドミル等で切削する必要がなく、製作が容易である。
請求項12に係る発明では、既述したように、刃物受け(206)を少ない材料で製造できる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について添付図面を参照しながら説明する。
[全体構成]
図1に示すように、本実施の形態に係る打抜装置は、ロール状に巻き取られた材料シート(1)を繰り出す材料供給ステーション(C)と、材料シート(1)からシート製品(90)を打抜く打抜ステーション(A)と、打ち抜かれたシート製品(90)を前記打抜ステーション(A)の側方にて取り出す取出ステーション(B)(図2参照)と、シート製品(90)が打ち抜かれた抜きカスを巻き取る為のカス取りステーション(D)と、を備えている。そして、前記打抜ステーション(A)と材料供給ステーション(C)及びカス取りステーション(D)の間には、材料シート(1)のテンションを一定に調整するエアダンサ機構(E)(F)が設けられている。
【0025】
以下、各部の詳細を説明する。
[材料供給ステーション(C)]
材料供給ステーション(C)は、図1,図3(図3は、材料シート(1)の中間部は省略して図示している)に示すように構成されており、ロール状に巻き取られた材料シート(1)を回転自在に軸支するロール支持機構(40)と、シート押え機構(41)を備えている。尚、ロール状に巻き取られた材料シート(1)には、図4に示すように、シート製品(90)(90)となる図柄や文字等が印刷された打抜領域(90a)(90a)が多数形成されており、本実施の形態では、前記印刷の面が下側となる姿勢で材料シート(1)が打抜ステーション(A)に供給される。
【0026】
*ロール支持機構(40)
ロール支持機構(40)は、装置本体(5)の基台(51)の両側部から起立する一対の側壁部(52)(52)から水平に突出する支持腕(401)(401)を備えており、この支持腕(401)(401)から対向突出するロール支持軸(402)(402)の円錐状頭部(402a)(402a)がロール状の材料シート(1)の中心穴に両側から圧入されている。又、一方のロール支持軸(402)は送りモータ(403)で回転駆動されるようになっており、これにより、材料シート(1)が繰り出される。
【0027】
*シート押え機構(41)
シート押え機構(41)は、前記側壁部(52)(52)に支軸(410)(410)で上下回動自在に支持された揺動アーム(411)(411)の揺動先端に架設された回転自在な押圧ロール(412)を備えている。揺動アーム(411)(411)の基端部を相互に連結する連結板(413)は、エアシリンダ(42)のピストンロッド(421)の先端に連結棒(422)を介して連結されており、これらピストンロッド(421)と連結棒(422)は結合ピン(423)で回動自在に連結されている。又、エアシリンダ(42)の下端は、シリンダ支持体(424)に対してアンカーピン(425)で回動自在に結合されている。このエアシリンダ(42)は、ロール状に巻き取った材料シート(1)をロール支持機構(40)に装着する際に収縮して揺動アーム(411)の先端の押圧ロール(412)を持ち上げる為に設けられている。
【0028】
[エアダンサ機構(E)]
前記材料供給ステーション(C)に対して材料シート(1)の搬送方向の下流側には、側壁部(52)(52)に架設されたガイドローラ(53)(53)(53)と、更にその下流側のエアダンサ機構(E)が設けられており、エアダンサ機構(E)は、矩形筒状の鉛直ダクト(45)と、その内部空気を下方へ吸引する吸引ファン(47)を備えている。
鉛直ダクト(45)は、上下が開放していると共に、その平面形状は、材料シート(1)の幅方向に長い長方形に形成されている。
吸引ファン(47)は鉛直ダクト(45)の下部に配設されていると共に、装置本体(5)の基台(51)には吸引ファン(47)に対向する通気穴(510)が開設されている。
【0029】
[撮影ステーション(G)]
エアダンサ機構(E)に対して材料シート(1)の搬送方向の下流側に配設された撮影ステーション(G)には、CCDカメラ等のカメラ(55)が配設されている。
カメラ(55)は、材料シート(1)に印刷された打抜領域(90a)(90a)の近傍に表示された「トンボ」と称される基準マークを撮影する機能を有し、搬送制御装置(図示せず)は、カメラ(55)が「トンボ」を検出する毎に、材料シート(1)の搬送・停止が繰り返されるように後述の送りローラ(17)(18)等を制御する。材料シート(1)の搬送が停止された状態では、図4に示す材料シート(1)中の打抜領域(90a)(90a)(シート製品(90)(90)として打抜かれる領域)が、後述の打抜ステーション(A)にて打抜型(20)の筒状刃物(202)(202)に上方から対向する。
【0030】
[打抜ステーション(A)]
撮影ステーション(G)に対して材料シート(1)の搬送方向の下流側に位置する打抜ステーション(A)は、図1〜3に示すよな構成である。
*全体構成
打抜ステーション(A)は、請求項3の発明特定事項たる駆動手段に対応するクランク機構(61)で上下駆動される昇降プレート(60)と、昇降プレート(60)にセットされる打抜型(20)と、その上方の型受(29)を保持する固定プレート(25)に設けられた押込プッシャ(27)を備えている。押込プッシャ(27)は打ち抜かれたシート製品(90)を打抜型(20)の筒状刃物(202)内に押込むものである。
【0031】
*クランク機構(61)
図1,図2に示すように、昇降プレート(60)を上下駆動するクランク機構(61)は、打抜モータ(63)の回転(モータ軸(630)の回転)を減速させる減速機(62)の回転軸(64)に偏心状に外嵌する入力側副軸(65)と、入力側副軸(65)に回転自在に外嵌する下端ボス(66a)を備えたコネクティングロッド(66)と、を備えている。コネクティングロッド(66)の上端ボス(66b)は出力側副軸(67)に回転自在に外嵌し、出力側副軸(67)には、昇降プレート(60)の垂下壁(600)(600)に回転自在に貫通する刃高調整軸(68)が偏心状に貫通している。
従って、打抜モータ(63)の作動によるモータ軸(630)の回転は、減速機(62)→回転軸(64)→入力側副軸(65)→コネクティングロッド(66)→出力側副軸(67)→刃高調整軸(68)→昇降プレート(60)の経路で伝達され、昇降プレート(60)に配設された打抜型(20)が昇降する。
【0032】
刃高調整軸(68)の一端には、図示しない刃高調整モータで回転されるウォーム(69a)に噛み合うウォームホイール(69b)が設けられており、刃高調整モータの回転はウォーム(69a)→ウォームホイール(69b)→刃高調整軸(68)の経路で伝達され、これにより、刃高調整軸(68)と出力側副軸(67)及びコネクティングロッド(66)の嵌合関係によって昇降プレート(60)の高さが微調整される。
図1,3,5に示すように、昇降プレート(60)は、装置本体(5)の基台(51)に設けられたクランク機構(61)の下部を包囲する包囲壁(58)に立設された四本のガイドポスト(35)(35)で案内されて上下に移動する。このため、包囲壁(58)に立設されたガイドポスト(35)(35)は、直動軸受(59)(59)を介して昇降プレート(60)を貫通し、その上端には打抜型(20)の上方の型受(29)を取り付ける為の固定プレート(25)が固定されている。
【0033】
*打抜型(20)
材料シート(1)の搬送域の下方に配設された打抜型(20)は、昇降プレート(60)の上面に対して材料シート(1)の幅方向にスライド自在に取り付けられている。
このため、昇降プレート(60)の上面には、前記幅方向に平行なアリ溝(601)(601)が形成されている。一方のアリ溝(601)は、昇降プレート(60)から取出ステーション(B)側に突出する長方形の延長腕(602)の先端まで形成されている。又、アリ溝(601)(601)には、打抜型(20)の下面に突設されたアリ(200)(200)が摺動自在に嵌入されている。
図6に示すように、打抜型(20)は、筒状刃物(202)と、筒状刃物(202)に外嵌する刃物カバー(201a)及びその下方のスライドブロック(201b)から成る刃物ホルダ(201)を備えている。
【0034】
筒状刃物(202)は、本実施の形態ではトムソン中空刃で構成されており、上端の刃部(202a)の内周は、上方に向かって拡大するテーパ面(t)状に加工されている。従って、打ち抜かれたシート製品(90)の周縁は、前記テーパ面(t)で内側にガイドされ、これにより、シート製品(90)が筒状刃物(202)内に強制的に圧入される。よって、シート製品(90)の周縁と筒状刃物(202)の内周面との摩擦力が高くなるから、シート製品(90)が下方へ脱落しにくくなる。
刃物カバー(201a)には、図3に示すように、4個の筒状刃物(202)を密に嵌め込むための大径穴(203)が上下に貫通しており、スライドブロック(201b)には、図6に示すように、筒状刃物(202)の内周形状と同一の平面形状を有する小径穴(204)が上下に貫通している。従って、筒状刃物(202)の下端(202b)は前記大径穴(203)から小径穴(204)に内径が変化する境界の段部(205)に当接し、この当接状態では、筒状刃物(202)と小径穴(204)の内周面によって一様な太さの筒状穴が形成され、この筒状穴が材料シート(1)からシート製品(90)を打抜くための型穴(28)になる。尚、スライドブロック(201b)に形成された大径穴(203)の内径は、筒状刃物(202)の内径より若干大きくても良い。
【0035】
又、図6,図8に示すように、刃物カバー(201a)に形成された大径穴(203)の周縁近傍には、ブロック状のアンカーナット(203n)を挿入する為の鉛直穴(203a)が形成されており、鉛直穴(203a)は上下全域に亘るスリット(203b)を介して大径穴(203)内に連通している。そして、図8に示すアンカーナット(203n)の雌ネジ部(203L)(203L)に対し、筒状刃物(202)を貫通させたビス(b)(b)を螺入すると(図6参照)、筒状刃物(202)が刃物ホルダ(201)に安定する。従って、帯板状刃物を筒状に曲げ加工して筒状刃物(202)が形成されている場合でも、帯板状刃物の両端突合せ部が前記段部(205)から脱落するのを確実に防止することができる。
このものでは、上記のように筒状刃物(202)と刃物ホルダ(201)が別体に構成されている。従って、筒状刃物(202)を硬度の高い金属材料で製造することにより、耐久性の良好な刃物とすることができる一方、アルミニウム合金等の加工容易な低硬度の材料を用いて刃物ホルダ(201)を加工することができるから、打抜型(20)の製造効率が向上する。
型穴(28)の内周壁には、下方に開放し且つ上下に延びる嵌入溝(280)が周方向に所定ピッチで形成されており、各嵌入溝(280)には、図7に示すシート保持具(7)が嵌入される。
【0036】
シート保持具(7)は、直方体状のベースブロック(70)に弾性突子としての柔軟な弾性フィン(71)(71)を上下に整列する態様で多数突設させた樹脂製の一体成形品であり、一回の射出成形により形成される。弾性フィン(71)(71)の好ましい突出寸法は、シート製品(90)の大きさによって相違するが、シート製品(90)の周縁が若干係合する程度に設定される。
従って、材料シート(1)から打抜型(20)の筒状刃物(202)内に打抜かれるシート製品(90)の周縁が弾性フィン(71)(71)に係合にして一層下方に落下しにくくなる。
尚、弾性突子は、図7の弾性フィン(71)(71)に限定されるものではなく、微小な球状突起であっても良い。
【0037】
図6に示すように、刃物ホルダ(201)を構成する刃物カバー(201a)にはボルト挿通穴(h)(h)が上下に貫通しており、ボルト挿通穴(h)(h)から挿通した固定ボルト(15)(15)がスライドブロック(201b)に螺合され、これにより、刃物カバー(201a)とスライドブロック(201b)が結合されるようになっている。
図3,6に示すように、刃物ホルダ(201)のスライドブロック(201b)には、送りモータ(38)で回転される送りねじ(37)に螺合したランナー(36)の係合突起(360)が係合している。又、送りねじ(37)の先端は、昇降プレート(60)から突出する延長腕(602)の端部に配設された回転軸受(39)で支持されている。従って、送りねじ(37)が回転すると、打抜型(20)がアリ溝(601)(601)に案内されて移動する。尚、取出ステーション(B)側の終端部まで移動した打抜型(20)は、昇降プレート(60)の延長腕(602)の基端部から材料シート(1)の搬送方向に延びる基端直線域(609)に載っている。
【0038】
*型受(29)
打抜型(20)の上方に配設された型受(29)の下面には、図6に示すように、筒状刃物(202)と協働して材料シート(1)を挟圧する為の弾性環状の刃物受け(206)が着脱自在に設けられている。即ち、既述発明特定事項の固定壁たる型受(29)の下面には、筒状刃物(202)の刃部(202a)に対向する環状溝(207)が形成されており、環状溝(207)にはこれより一回り小さな樹脂製の刃物受け(206)が強制的に拡開された状態で嵌入されている。尚、環状溝(207)より一回り大きな樹脂製の刃物受け(206)を強制的に収縮させた状態で環状溝(207)に嵌入してもよい。このものでは、樹脂製の刃物受け(206)は材料シート(1)の打抜に必要な領域にのみ設けられるから、この刃物受け(206)を少ない材料で製造できる利点がある。
【0039】
又、型受(29)の両端から突出する係合リブ(208)(208)は、型受(29)保持用の固定プレート(25)の下面に固定された保持具(250)の係合溝(250a)(250a)に係合しており、これにより、型受(29)が保持具(250)に保持されている。
図6に示すように、型受(29)と固定プレート(25)に形成された貫通穴(209)(251)には、打抜いたシート製品(90)を筒状刃物(202)内に押込む押込プッシャ(27)(図1,2参照)に連設された昇降軸(270)が昇降自在に挿通されており、その下端にはシート製品(90)を押圧する押圧プレート(271)が固定されている。
【0040】
図2に示すように、昇降軸(270)の上端は水平部材(272)を介して押込プッシャ(27)(固定プレート(25)の鉛直壁(252)に固定されている。)のピストンロッド(273)に連結されている。従って、押込プッシャ(27)のピストンロッド(273)が進退すると、各筒状刃物(202)(202)に対応する押圧プレート(271)(271)が昇降し、これにより、打ち抜かれたシート製品(90)が筒状刃物(202)内に押込まれる。具体的には、押圧プレート(271)(271)は、シート製品(90)を筒状刃物(202)の刃部(202a)の内周テーパ面(t)の基端部以下の位置まで押し込む。尚、上記押し込み距離は、既述弾性フィン(71)(71)のピッチより小さく設定されている。よって、打抜型(20)が型受(29)から下方に離反するときに型穴(28)内が負圧状態になっても、打抜型(20)内にある最上層のシート製品(90)が上方に吸い出されて型外に脱出することがない。
尚、打抜ステーション(A)の出入り口には、材料シート(1)を表裏から挟圧した状態で搬送する送りローラ(17)(18)が設けられている。又、材料シート(1)は、固定テーブル(19)上を滑動するようになっている。
【0041】
[取出ステーション(B)]
図2,3に示すように、打抜ステーション(A)に対して材料シート(1)の幅方向にずれた位置に設けられた取出ステーション(B)は、製品取出コンベヤ(86)と、打抜型(20)から製品取出コンベヤ(86)にシート製品(90)(90)群を落下させる為の押出プッシャ(3)を備えている。
*押出プッシャ(3)
図2に示すように、製品取出コンベヤ(86)の上方には、押出プッシャ(3)のピストンロッド(30)の先端に連設された昇降軸(31)(31)下端の製品押圧プレート(311)(311)が臨んでおり、前記ピストンロッド(30)の進退に連動して昇降軸(31)(31)が昇降すると、製品押圧プレート(311)(311)が、打抜型(20)の筒状刃物(202)(202)内に収容された積層状態にあるシート製品(90)群を下方の製品取出コンベヤ(86)上に落下させる。
【0042】
*製品取出コンベヤ(86)
製品取出コンベヤ(86)の搬送面は、下死点にある前記昇降プレート(60)と同一高さに設定されている。
製品取出コンベヤ(86)は、昇降シリンダ(87)で昇降される構成である。このため、昇降シリンダ(87)のピストンロッド(88)の先端に取り付けられた支持アーム(89)で支持されている。
従って、打抜型(20)からシート製品(90)群を落下させるときは、昇降シリンダ(87)で製品取出コンベヤ(86)が上昇位置に持ち上げられる一方、シート製品(90)群が押出プッシャ(3)で製品取出コンベヤ(86)上に落下されると、これと同時に、昇降シリンダ(87)で製品取出コンベヤ(86)が降下される。そして、この降下状態で製品取出コンベヤ(86)が走行すると、積層されたシート製品(90)群が次工程へ搬送される。
【0043】
[エアダンサ機構(F)]
打抜ステーション(A)に対して材料シート(1)の搬送方向の下流側に設けられたエアダンサ機構(F)は、矩形筒状の鉛直ダクト(75)と、これに昇降自在に収容された軽量の円筒状の被覆部材(76)と、更に、被覆部材(76)を吸引する吸引ファン(77)を備えている。
鉛直ダクト(75)は、上下が開放していると共に、その平面形状は、抜きカス(79)の幅方向に長い長方形に形成されている。
【0044】
被覆部材(76)は、軽量化を図る為に樹脂で両端開放の中空円筒状に形成されている。被覆部材(76)は、鉛直ダクト(75)内に垂れ下がった抜きカス(79)のU字状湾曲域(U)に載置されと共に、抜きカス(79)に残存するシート製品(90)の打抜穴(打抜領域(90a)を打抜いた孔)を覆う大きさを有している。これにより、吸引ファン(77)で吸引されると抜きカス(79)に適度なテンションが付与される。即ち、シート製品(90)の打抜穴が抜きカス(79)に形成されている故に吸引ファン(77)による吸引力が作用しにくい場合でも、該抜きカス(79)が被覆部材(76)を介して確実に下方へ引っ張られるから、抜きカス(79)への張力付与が確実に行なえる。尚、被覆部材(76)としては、鉛直ダクト(75)の長辺側の内寸とほぼ等しいベルト幅を有する無端ベルト(弾性シートを無端ベルト状に構成したもの)を採用することもできる。被覆部材(76)を不透明な無端ベルトで構成すると、材料シート(1)が透明シートであっても、かす取りステーション(D)で抜きカス(79)を巻き取る作業が円滑に行なえる。即ち、前記透明シート越しに被覆部材(76)に照射した光線の反射光を検出して抜きカス(79)の巻き取りタイミングを設定する場合、前記透明シートの透明度等によって光線の強度や光量を調整する必要がなく、抜きカス(79)の巻き取り作業が円滑に行なえる。
尚、吸引ファン(77)は鉛直ダクト(75)の下部に配設されていると共に、装置本体(5)の基台(51)には吸引ファン(77)に対向する通気穴(512)が開設されている。
尚、鉛直ダクト(75)の長辺側の内寸とほぼ等しい幅(中空筒の場合は軸線方向の長さ)を有する被覆部材(76)を採用すると、材料シート(1)の幅に応じて鉛直ダクト(75)の長辺寸法を合わせる調整作業が不要になる。
【0045】
[カス取りステーション(D)]
エアダンサ機構(F)に対して材料シート(1)の搬送方向の下流側に設けられたカス取りステーション(D)は、既述材料供給ステーション(C)と同一の機能と構造を有している。そのため、支軸(730)を中心に揺動し且つ両端に押圧ロール(73)とエアシリンダ(72)が連設された揺動アーム(731)と、ロール状に巻き取った抜きカス(79)をロール支持軸(782)で回転自在に支持する支持腕(78)を備えたロール支持機構支持腕(78)を具備している。
【0046】
[動作の実際]
次に、上記打抜装置の動作の実際を説明する。
図1に示すように、ロール状に巻き取られた材料シート(1)を材料供給ステーション(C)のロール支持軸(402)(402)部分に装着し、材料シート(1)の端部を引き出し、これを、ガイドローラ(53)(53)→鉛直ダクト(45)内→送りローラ(17)→打抜型(20)と型受(29)の間→鉛直ダクト(75)内の被覆部材(76)の下側→支持腕(78)のロール支持軸(782)の順序で挿通し、これにより、準備作業を終了させる。
【0047】
次に、図示しない運転スイッチが投入されると、送りモータ(403)が回転すると共に、送りローラ(17)(18)の間欠回転により材料シート(1)が間欠的に搬送される。又、吸引ファン(47)(77)の回転により中空円筒状の被覆部材(76)が吸引され、これにより、材料シート(1)に適度なテンションが付与される。
撮影ステーション(G)に設けられたカメラ(55)が材料シート(1)に印刷された「トンボ」を検出すると、送りローラ(17)(18)が停止し、材料シート(1)中の打抜領域(90a)(90a)(図4参照)が、打抜型(20)の筒状刃物(202)(202)に上方から対向する。次に、打抜モータ(63)の回転によりクランク機構(61)が作動して昇降プレート(60)が上死点に達すると、該昇降プレート(60)に取り付けられた打抜型(20)と型受(29)によって前記打抜領域(90a)(90a)が挟圧され、これにより材料シート(1)からシート製品(90)が打抜かれる。同時に押込プッシャ(27)のピストンロッド(273)が進出し、これに連設された昇降軸(270)の下端の押圧プレート(271)(図6参照)が降下する。これにより、既述したように、打ち抜かれたシート製品(90)が打抜型(20)の筒状刃物(202)内に押込まれる。
【0048】
その後、昇降プレート(60)が降下すると同時に押込プッシャ(27)のピストンロッド(273)が後退し、ピストンロッド(273)に連設された昇降軸(270)の下端の押圧プレート(271)が初期位置まで上昇する。尚、本打抜装置では、材料シート(1)の打抜後に昇降プレート(60)上の打抜型(20)が降下するから、打抜型(20)が昇降しない場合(打抜型(20)が固定で型受(29)が昇降駆動される場合)と相違し、抜きカス(79)(材料シート(1)からシート製品(90)が打ち抜かれたもの)が下方に多少撓んでも、これが打抜型(20)の筒状刃物(202)の上端に引っ掛かる心配がなく、抜きカス(79)を下流側にスムーズに搬送できる。
【0049】
次に、カメラ(55)が後続の「トンボ」を検出するまで材料シート(1)が搬送され、再び前記動作が実行されてシート製品(90)(90)が打抜かれる。
この打抜動作が所定回数(例えば、梱包単位の回数)だけ繰り返されると、打ち抜かれたシート製品(90)群が打抜型(20)の型穴(28)内に積層状態で収容された状態になる。
その後、昇降プレート(60)が下死点に存する状態で、打抜型(20)を取出ステーション(B)側に送り出す為の送りモータ(38)が作動して送りねじ(37)が回転し、これに螺合されたランナー(36)が打抜型(20)を取出ステーション(B)側に牽引する。
【0050】
昇降プレート(60)が下死点にある状態では、該昇降プレート(60)と製品取出コンベヤ(86)の搬送面は面一になる。従って、ランナー(36)で牽引される打抜型(20)は、図3の想像線で示すように、昇降プレート(60)上を走行して製品取出コンベヤ(86)の上方に移動する。
この状態では、筒状刃物(202)(202)には上方から製品押圧プレート(311)(311)(押出プッシャ(3)で駆動される)が臨んでいる。そこで、押出プッシャ(3)を作動させてピストンロッド(30)を進出させると、これに連設された昇降軸(31)(31)の下端の上記製品押圧プレート(311)(311)が打抜型(20)の筒状刃物(202)(202)内に収容された積層状態のシート製品(90)群を製品取出コンベヤ(86)上に押出す。これと同時に昇降シリンダ(87)のピストンロッド(88)が後退し、シート製品(90)群が抜型(20)から下方に取り出される。その後、シート製品群(90)が、製品取出コンベヤ(86)でその下流端(861)側に搬送され、次工程たる梱包工程等に移される。
【0051】
一方、材料シート(1)からシート製品(90)が打ち抜かれた後の抜きカス(79)は、エアダンサ機構(F)を経由してカス取りステーション(D)に巻き取られる。このとき、抜きカス(79)にはシート製品(90)の打抜穴が多数形成されているので、エアダンサ機構(F)の被覆部材(76)を設けない場合は吸引ファン(77)による抜きカス(79)の吸引力が不十分となり、被覆部材(76)に適度のテンションを付与することができない。これに対し、本実施の形態では、吸引ファン(77)により、被覆部材(76)を介して抜きカス(79)を引張るので、該抜きカス(79)に適度のテンションを付与することができる。
【0052】
[その他]
1.上記実施の形態では、打抜型(20)と型受(29)で材料シート(1)を挟圧することにより、シート製品(90)を打抜くようにしたが、雄金型とその下方で昇降する雌金型でシート製品(90)を打抜いてもよい。
2.上記実施の形態では、平面視に於いて筒状刃物(202)を行列状に配設したが、これを千鳥状に配設してもよい。
3.上記実施の形態では、筒状刃物(202)をトムソン刃で構成したが、彫刻中空刃で構成してもよい。
4.打抜型(20)のスライドブロック(201b)の上端面(既述段部(205)に相当する部位)に、小径穴(204)の周縁に沿った環状凹溝を形成し、該環状溝に筒状刃物(202)の下端を挿入してもよい。このようにすると、図6に示す筒状刃物(202)を固定する下方のビス(b)を設けなくても、筒状刃物(202)の下端が前記環状溝内に嵌って安定する。
5.アンカーブロック(203n)を円筒状に形成すると共に、これを挿入する為の円形断面の鉛直穴(203a)を刃物カバー(201a)に形成してもよい。
6.上記実施の形態では、長端開放の中空筒で被覆部材(76)を構成したが、前記中空筒の両端を蓋体で閉塞してもよい。このようにすると、蓋体によって被覆部材(76)の両端が補強され、該被覆部材(76)の変形を確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施の形態に係る打抜装置の概略縦断面図
【図2】本発明の実施の形態に係る打抜装置の打抜ステーション(A)及び取出ステーション(B)部分の縦断面図
【図3】本発明の実施の形態に係る打抜装置の概略横断面図
【図4】材料シート(1)の底面図
【図5】昇降プレート(60)とガイドポスト(35)(35)の関係説明図
【図6】打抜型(20)の配設部の拡大断面図
【図7】シート保持具(7)の斜視図
【図8】アンカーナット(203n)の装填部の斜視図
【図9】従来例の説明図
【図10】従来例の説明図
【符号の説明】
【0054】
(1)・・・材料シート
(3)・・・押出プッシャ
(20)・・・打抜型
(27)・・・押込プッシャ
(28)・・・型穴
(70)・・・ベースブロック
(75)・・・鉛直ダクト
(90)・・・シート製品
(201)・・・刃物ホルダ
(202)・・・筒状刃物
(203)・・・大径穴
(204)・・・小径穴
(206)・・・刃物受け
(202a)・・・刃部
(A)・・・打抜ステーション
(B)・・・取出ステーション
(D)・・・カス取りステーション
(F)・・・エアダンサ機構
(U)・・・U字状湾曲部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に搬送される長尺状の材料シート(1)から、打抜型(20)で多数のシート製品(90)を打抜く打抜ステーション(A)と、
前記打抜型(20)で打ち抜かれたシート製品(90)を取り出す取出ステーション(B)とを具備し、
前記打抜型(20)は、上下に貫通した型穴(28)の先端周縁の刃部(202a)を前記材料シート(1)に圧接させることにより、該材料シート(1)からシート製品(90)を順次打抜いて前記型穴(28)内に積層状態に収容する構成であり、
前記取出ステーション(B)には、前記積層状態に収容されたシート製品(90)群を前記型穴(28)から取出部に押し出す為の押出プッシャ(3)が設けられている打抜装置に於いて、
前記打抜型(20)は、前記材料シート(1)の搬送域の下方に配設されている、打抜装置。
【請求項2】
請求項1に記載の打抜装置に於いて、
前記打抜ステーション(A)に於いて前記打抜型(20)に上方から対向する位置には、打ち抜かれたシート製品(90)を前記型穴(28)内に押込む為の押込プッシャ(27)が設けられている、打抜装置。
【請求項3】
請求項1及び請求項2に記載の打抜装置に於いて、
前記打抜型(20)は、駆動手段により上下に駆動される、打抜装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3の何れかに記載の打抜装置に於いて、
前記打抜ステーション(A)で打ち抜かれた長尺状の抜きカスに対して搬送方向の下流側へ向けてテンションを付与するエアダンサ機構と、該エアダンサ機構の下流側にて前記抜きカスを巻き取るカス取りステーション(D)が設けられ、
前記エアダンサ機構は、前記長尺状の抜きカスの一部が下方に垂れ下がることにより形成されたU字状湾曲域を収容する上方開放の鉛直ダクトと、前記前記U字状湾曲域の上面に接触し且つ前記抜きカスに残存するシート製品(90)の打抜穴を覆う大きさの被覆部材と、前記鉛直ダクト内を下方に吸引する吸引ファンを備えている、打抜装置。
【請求項5】
上下に貫通した型穴(28)の上端周縁の刃部(202a)を材料シート(1)に圧接させることにより、該材料シート(1)からシート製品(90)を前記型穴(28)内に打抜く打抜型に於いて、
前記刃部(202a)の内周は、上方に向かって拡大するテーパ面状に形成されている、打抜型。
【請求項6】
上下に貫通した型穴(28)の上端周縁の刃部(202a)を材料シート(1)に圧接させることにより、該材料シート(1)からシート製品(90)を前記型穴(28)内に打抜く打抜型に於いて、
前記型穴(28)の内周壁には、前記シート製品(90)の周縁に下方から係合する複数の弾性突子が周方向に間隔をおいて配設されている、打抜型。
【請求項7】
上下に貫通した型穴(28)の上端周縁の刃部(202a)を材料シート(1)に圧接させることにより、該材料シート(1)からシート製品(90)を前記型穴(28)内に打抜く打抜型に於いて、
前記型穴(28)の内周壁には、前記シート製品(90)の周縁に下方から係合する複数の弾性突子が上下方向に間隔をおいて配設されている、打抜型。
【請求項8】
上下に貫通した型穴(28)の上端周縁の刃部(202a)を材料シート(1)に圧接させることにより、該材料シート(1)からシート製品(90)を前記型穴(28)内に打抜く打抜型に於いて、
前記型穴(28)の内周壁には、前記シート製品(90)の周縁に下方から係合する複数の弾性突子が周方向及び上下方向に間隔をおいて配設されている、打抜型。
【請求項9】
請求項8に記載の打抜型に於いて、
前記軸方向に間隔をおいて配設された弾性突子は、前記型穴(28)の内周壁に形成された上下方向に延びる嵌入溝に嵌め込まれるベースブロック(70)に上下に間隔をおいて配設されている、打抜型。
【請求項10】
請求項5から請求項9の何れかに記載の打抜型に於いて、
内周が前記型穴(28)である筒状刃物(202)と、前記筒状刃物(202)を保持する刃物ホルダ(201)を備え、
前記刃物ホルダ(201)には、前記筒状刃物(202)の上端の刃部(202)が外部に露出する態様で該筒状刃物(202)に密に外嵌させる大径穴(203)と該大径穴(203)と同軸の小径穴(204)から成る貫通穴が形成されており、
前記筒状刃物(202)に前記大径穴(203)を外嵌した状態では、前記筒状刃物(202)の下端が前記大径穴(203)から小径穴(204)に内径が変化する境界の段部に当接する、打抜型。
【請求項11】
請求項10に記載の打抜型に於いて、
前記筒状刃物(202)は、トムソン中空刃である、打抜型。
【請求項12】
請求項5から請求項11の何れかに記載の打抜型に於いて、
前記打抜型の前記刃部(202a)は、弾性環状の刃物受け(206)と協働して前記材料シート(1)を挟圧するものであり、前記刃物受け(206)は固定壁に着脱自在に設けられている、打抜型。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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