説明

打撃工具

【課題】 工具ビットの長軸方向に関する工具本体の長さが短縮された打撃工具を提供する。
【解決手段】 工具ビット119が少なくとも長軸方向に直線動作することで被加工材に所定の加工作業を遂行する打撃工具であって、工具ビット119を長軸方向に相対移動可能に保持するツールホルダ137と、工具ビット119の長軸方向に直線動作して当該工具ビット119に打撃力を付与する打撃子143と、ツールホルダ137に連接されて打撃子143を相対移動可能に収容するとともに、当該打撃子143に圧縮空気を作用させる空気室141aを備えた打撃用シリンダ141とを有し、ツールホルダ137及び打撃用シリンダ141は、共に工具ビット119の長軸方向に延在されており、工具ビット119の長軸方向に関する工具本体の長さ寸法が、ツールホルダ137と打撃用シリンダ141とによって規定される構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工具ビットが少なくとも長軸方向に直線動作することにより被加工材に所定の加工作業を遂行する打撃工具に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許明細書第4751970号は、ハンマドリルの先端に装着され、ハンマドリル本体部側の回転運動及び直線運動を、アタッチメントの出力で異なる方向に配向されている工具ビットに伝えることができる角度アタッチメントを開示している。角度アタッチメントは、ハンマドリル本体の出力部分に対して工具ビットの出力部分が90度の角度で交差するように設定される。このため、例えば、排水溝としてのU字溝(コンクリート製)の溝内壁面に穴明け作業を行う場合において、通常のハンマドリルではビット長軸方向のハンマドリル本体の全長が溝の内法寸法より長すぎてU字溝の内側にハンマドリルを入れることができない場合に、当該角度アタッチメントを用いてU字溝の溝内壁面への穴明け作業を可能とする。
【0003】
上記の従来技術は、ハンマドリルの出力部分に角度アタッチメントを取付けることで工具ビットの長軸方向長さを縮小する構成であり、回転運動及び直線運動の工具ビットへの伝達が効率的ではなく、また工具ビット長軸方向に関する工具本体長さの小型化を実現したものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許明細書第4751970号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、工具ビットの長軸方向に関する工具本体長さが短縮された打撃工具を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するべく、本発明の好ましい形態によれば、工具ビットが少なくとも長軸方向に直線動作することにより被加工材に所定の加工作業を遂行する打撃工具が構成される。打撃工具は、工具ビットを長軸方向に相対移動可能に保持するツールホルダと、工具ビットの長軸方向に直線動作して当該工具ビットに打撃力を付与する打撃子と、ツールホルダに連接され、駆動子を相対移動可能に収容するとともに、当該打撃子に圧縮力を作用する空気室を備えた打撃用シリンダと、ツールホルダ及び打撃用シリンダを収容する工具本体とを有する。そして、ツールホルダ及び打撃用シリンダは、共に工具ビットの長軸方向に延在されており、工具ビットの長軸方向に関する工具本体の長さ寸法が、ツールホルダと打撃用シリンダとによって規定されている。
【0007】
本発明に係る打撃工具の好ましい形態によれば、工具ビットの長軸方向に関する工具本体の長さ寸法が、ツールホルダと打撃用シリンダとによって規定される構成としている。このことにより、工具本体の工具ビット長軸方向の長さ寸法が、ツールホルダと打撃用シリンダのみならず、空気室の圧力を変動させる機構によって規定される従来の打撃工具に比べ、短縮することができ、限られたスペースでの加工作業に好適に用いることが可能となる。また、従来の角度アタッチメントとは異なり、打撃子の打撃力を工具ビットに直線的に伝達できるため、動力伝達を無駄なく行うことができる。
【0008】
本発明に係る打撃工具の更なる形態によれば、シリンダの空気室に圧縮空気を供給するための圧縮空気送給シリンダを更に有する。そして圧縮空気送給シリンダは、打撃用シリンダの延在方向と異なる方向に延在されている。なお、ここで「異なる方向に延在」とは、圧縮空気送給シリンダが、打撃用シリンダの延在方向に対して直角に交差する方向、または角度を付けた方向に延在する態様がこれに該当する。
【0009】
打撃工具の場合、工具ビットの長軸方向には、工具ビットを保持するツールホルダ、工具ビットに打撃力を付与する打撃子を収容するとともに、当該打撃子に圧縮空気を作用させる空気室を備えた打撃用シリンダ、及び空気室に圧縮空気を生成させるピストンとその駆動機構が工具ビット長軸方向に直列状に配置されるのが一般的である。この形態によれば、打撃用シリンダの空気室に圧縮空気を供給する圧縮空気送給シリンダにつき、当該打撃用シリンダの延在方向と異なる方向に延在する構成としたことで、工具ビットの長軸方向に関する打撃工具の長さ寸法を短縮することができる。
【0010】
本発明に係る打撃工具の更なる形態によれば、工具本体に連接され、打撃工具を操作するべく作業者が握るハンドグリップを有し、当該ハンドグリップの幅方向が打撃用シリンダの延在方向となるように設定されている。なお、ここで「ハンドグリップの幅方向」とは、例えば、手指で握られるグリップ部分が直線状に延在する領域を有するハンドグリップの場合であれば、当該グリップ部分の延在方向と交差する方向がこれに該当する。
この形態によれば、ハンドグリップの幅方向を打撃用シリンダの延在方向となるように設定したことにより、手指でハンドグリップを握った際に、腕(前腕)の延在方向が打撃用シリンダの延在方向、すなわち工具ビットの長軸方向と交差する方向になる。つまり、腕の向きが工具ビットの長軸方向と交差するため、例えば排水溝としてのU字溝(コンクリート製)の内側壁面に加工作業をする際に腕が邪魔にならない形でハンドグリップを握って加工作業を遂行することができる。
【0011】
本発明に係る打撃工具の更なる形態によれば、工具ビットの長軸方向と圧縮空気送給シリンダの延在方向とハンドグリップの延在方向が全て交差するように設定されている。
この形態によれば、上記の構成とすることで、全体的にコンパクトな配置が実現された打撃工具を提供できる。
【0012】
本発明に係る打撃工具の更なる形態によれば、回転運動を直線運動に変換することで打撃用シリンダの空気室に圧縮空気を発生させる運動変換機構を更に有する。そして運動変換機構の回転軸は、打撃用シリンダの延在方向上の所定領域において、当該打撃用シリンダと並列状に配置されている。この場合において、運動変換機構の回転軸は、打撃用シリンダの延在方向と交差していることが好ましい。
この形態によれば、空気室に圧縮空気を発生させる運動変換機構が、打撃用シリンダに対して並列状に配置される。このため、工具ビットの長軸方向において、運動変換機構が打撃用シリンダの長軸方向領域から外れた位置に配置されている従来に比べ、工具ビットの長軸方向に関する打撃工具の長さ寸法を短縮することができる。
【0013】
本発明に係る打撃工具の更なる形態によれば、打撃工具を操作するべく作業者が握るハンドグリップを有し、打撃用シリンダの延在方向とハンドグリップの延在方向が互いに平行に設定されている。
この形態によれば、ハンドグリップの延在方向を打撃用シリンダの延在方向に合わせているので、手指でハンドグリップを握った際に、腕(前腕)の延在方向が打撃用シリンダの延在方向、すなわち工具ビットの長軸方向と交差する方向になる。つまり、腕の向きが工具ビットの長軸方向と交差するため、例えばU字溝の内側壁面に加工作業をする際に腕が邪魔にならない形でハンドグリップを握って加工作業を遂行することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、工具ビットの長軸方向に関する工具本体長さが短縮された打撃工具が提供されることとなった。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るハンマドリルの全体構成を示す平断面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】図2のB−B線断面図である。
【図4】ギア配置に関する変形例を示す断面図である。
【図5】圧縮空気の送給に関する変形例を示す断面図である。
【図6】図5のC−C線断面図である。
【図7】圧縮空気の送給に関する更なる変形例を示す断面図である。
【図8】図7のD−D線断面図である。
【図9】圧縮空気の送給に関する更なる変形例を示す断面図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係るハンマドリルの全体構成を示す断面図である。
【図11】運動変換機構を示す拡大断面図であり、ピストンが後方へ移動された状態を示す。
【図12】運動変換機構を側方から見た図である。
【図13】図12のF−F線で切断される打撃用シリンダの断面形状を示す断面図である。
【図14】第2の実施形態の変形例を示す断面図である。
【図15】同変形例の運動変換機構を示す拡大断面図であり、ピストンが後方へ移動された状態を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(本発明の第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態につき、図1〜図3を参照しつつ詳細に説明する。本実施形態は、作業工具の一例として電動式のハンマドリルを用いて説明する。図1及び図2に示すように、本実施の形態に係るハンマドリル101は、概括的に見て、ハンマドリル101の外郭を構成する本体部103と、本体部103の長軸方向(図1の左右方向)の一端側(先端領域)にツールホルダ137を介して取外し自在に取付けられるハンマビット119と、本体部103におけるハンマビット119の反対側に形成されたメインハンドルとしてのハンドグリップ109とを主体として構成されている。
【0017】
ハンマビット119は、その長軸方向が本体部103の長軸方向(図1の左右方向)と交差する方向として定められ、工具保持部材としての中空状のツールホルダ137によってその長軸方向への相対的な直線動作可能に保持されている。したがって、ツールホルダ137は、本体部103の長軸方向と交差する方向、すなわち本体部103の幅方向に延在されている。本体部は、本発明における「工具本体」に対応し、ハンマビット119は、本発明における「工具ビット」に対応する。
【0018】
本体部103は、駆動モータ111を収容するモータハウジングを含むアウタハウジング105と、運動変換機構113、圧縮装置114、打撃要素115及び動力伝達機構117を収容するとともに、アウタハウジング105によって大部分を覆われるインナハウジングとしてのギアハウジング107とを主体として構成されている。
【0019】
ハンドグリップ109は、作業者が握るグリップ部109aが本体部103の長軸方向と交差する上下方向に延在されるとともに、当該グリップ部109aの上下の各端部がアウタハウジング105に連接されたD形ハンドルとして構成されている。ハンマビット119は、その長軸方向が本体部103の長軸方向及びハンドグリップ109の延在方向に対してそれぞれ交差する水平方向に延在されている。
【0020】
また、ハンマドリル101は、図1に示すように、上記ハンドグリップ109とは、別にサブハンドルとしてのサイドグリップ110を備えている。サイドグリップ110は、ハンマビット119の長軸方向と交差する方向に延在する棒状部材であり、その長軸方向の一端が、ツールホルダ137を収容する略円筒形状のバレル部107aの外側に取外し自在に、かつハンマビット119の長軸周りの周方向に関する固定位置が調整可能に取付けられている。バレル部107aは、ギアハウジング107のうちアウタハウジング105の側面を貫通して外部に露出される領域として備えられる。
【0021】
駆動モータ111は、図2に示すように、回転軸線が本体部103の長軸方向と概ね直交する縦方向(図2において上下方向)となるように配置される。駆動モータ111の回転動力は、運動変換機構113を介して直線運動に変換された上で圧縮装置114を駆動する。当該圧縮装置114により生成された圧縮空気は、打撃用シリンダ141へと供給されて打撃要素115を駆動し、当該打撃要素115を介してハンマビット119の長軸方向(図1における上下方向)への衝撃力を発生する。
【0022】
また、駆動モータ111の回転出力は、動力伝達機構117によって回転速度が減速された上でツールホルダ137を介してハンマビット119に伝達され、当該ハンマビット119が周方向に回転動作される。なお、駆動モータ111は、ハンドグリップ109に配置された操作部材としてのトリガ147の引き操作によって通電駆動され、またトリガ147に近接した配置された正逆転切替スイッチ149のスライド操作によって回転方向が切替え可能とされている。なお、正逆転切替スイッチ149のスライド操作方向については、任意に設定することが可能である。
【0023】
運動変換機構113は、図2に示すように、駆動モータ111のモータ軸111aに形成され、水平面内にて回転駆動される駆動ギア121、当該駆動ギア121に噛み合い係合する被動ギア123、当該被動ギア123と一体回転するクランク軸125、当該クランク軸125に偏心して設けられたクランクピン126、クランクピン126に遊嵌状に連接されたクランクアーム127、当該クランクアーム127に連結軸128を介して取り付けられた駆動子としてのピストン129を主体として構成される。モータ軸111aとクランク軸125は、互いに平行にかつ横並びに配置される。上記のクランク軸125、クランクピン126、クランクアーム127、ピストン129によってクランク機構が構成される。
【0024】
ピストン129は、空気圧縮用シリンダ131のボア内壁に摺動自在に配置され、当該ピストン129と空気圧縮用シリンダ131とにより圧縮装置114が構成されている。空気圧縮用シリンダ131は、本発明における「圧縮空気送給シリンダ」に対応する。空気圧縮用シリンダ131は、ギアハウジング107とピストン129によって仕切られる圧縮室131aを有する。ピストン129は、圧縮室131aの容積を減少(縮小)することで圧縮空気を生成し、当該生成された圧縮空気をギアハウジング107に形成された空気通路133を通して打撃用シリンダ141の空気室141aに供給する。空気圧縮用シリンダ131は、本体部103の長軸方向と同方向に延在され、ハンマビット119の長軸方向及びハンドグリップ109の延在方向に対してはそれぞれ交差している。すなわち、ハンマビット119の長軸方向と、空気圧縮用シリンダ131の延在方向と、ハンドグリップ109の延在方向が全て交差するように設定されている。
【0025】
打撃要素115は、打撃用シリンダ141のボア内壁に摺動自在に配置された打撃子としてのストライカ143と、ツールホルダ137に摺動自在に配置されるとともに、ストライカ143の運動エネルギをハンマビット119に伝達する中間子としてのインパクトボルト145とを主体として構成される。打撃用シリンダ141は、ハンマビット119の長軸方向に延在され、ストライカ143とギアハウジング107の当該ストライカ143と対向する内壁面107bとによって仕切られる空気室141aを有する。そして、ピストン129が圧縮室131aの容積を減少する方向(図1及び図2において左側)へ移動することによって生成された圧縮空気が打撃用シリンダ141の空気室141aへと供給された場合、ストライカ143は、当該圧縮空気によって前方へ移動されてインパクトボルト145に衝突(打撃)し、当該インパクトボルト145を介してハンマビット119に打撃力を伝達する。
【0026】
ピストン129が圧縮室131aの容積を増大する方向に移動された場合、打撃用シリンダ141の空気室141a内が負圧化し、当該負圧によってストライカ143が吸引され、内壁面107b側へと移動されて後退位置に復帰する。この復帰動作時にストライカ143が当該ストライカ143と対向する内壁面107bに衝突することを回避するとともに、ストライカ143と内壁面107bとの間に所定の隙間を確保するべく、当該内壁面107bには、緩衝ばね144が装着されている。
【0027】
なお、本実施の形態においては、空気通路133は、一端が空気圧縮用シリンダ131の圧縮室131aの底部に開口され、他端が打撃用リンダ141の空気室141aのヘッド部(ストライカ143と対向する部位)に開口され、圧縮空気が打撃用シリンダ141の長軸方向に送給される。また、本実施の形態では、ツールホルダ137の長軸方向の延長部分により打撃用シリンダ141を形成した一体構造としている。しかし、ツールホルダ137と打撃用シリンダ141は、それぞれ別体で形成した上で結合する構成に変更しても構わない。
【0028】
打撃用シリンダ141、したがってツールホルダ137は、駆動モータ111から動力伝達機構117を介して回転される。動力伝達機構117は、図2に示すように、駆動モータ111によって駆動される駆動ギア121と噛み合い係合する第1中間ギア151、第1中間ギア151と噛み合い係合する第2中間ギア153、第2中間ギア153と一体回転する小ベベルギア155、及び当該小ベベルギア155と噛み合い係合する大ベベルギア157を主体して構成される。第1中間ギア151が設けられた第1中間軸152、第2中間ギア153及び小べベルギア155が設けられた第2中間軸154は、それぞれが駆動モータ111のモータ軸111aと平行に配置され、ギアハウジング107に回転自在に支持される。小べベルギア155と回転軸線が直交する大べベルギア157は、打撃用シリンダ141の外周に相対回転自在に取付けられ、トルクリミッタ159(図1参照)を介して打撃用シリンダ141と連結されている。
【0029】
トルクリミッタ159は、大べベルギア157のクラッチ歯157aと噛み合うクラッチ歯159aを有し、常時に付勢ばね(圧縮コイルばね)161にて両クラッチ歯157a,159aが互いに噛み合い係合する方向に付勢されている。そして、トルクリミッタ159は、ハンマビット119に作用する反抗トルクが設定値に達した場合に、付勢ばね161の付勢力に抗して大べベルギア157から離間する方向に移動し、両クラッチ歯157a,159aの噛み合い係合を解除して当該大べベルギア157から打撃用シリンダ141への回転伝達を遮断するように構成される。なお、モータ軸111a、クランク軸125、第1及び第2中間軸152,154は、図3に示すように、本体部103の長軸方向の同一直線P上に配置されている。
【0030】
本実施の形態に係るハンマドリルは、上記のように構成されている。したがって、トリガ147を引き操作して駆動モータ111を通電駆動すると、運動変換機構113が駆動される。このため、ピストン129が空気圧縮用シリンダ131内を直線状に摺動動作され、圧縮室131a内の空気を圧縮するとともに、当該圧縮された空気を空気通路133を経て打撃用シリンダ141の空気室141aに供給する。これによりストライカ143が打撃用シリンダ141内を前方へと移動し、インパクトボルト145に衝突することで、その運動エネルギをハンマビット119に伝達する。
【0031】
一方、駆動モータ111の回転出力は、動力伝達機構117を介して打撃用シリンダ141に伝達される。このため、当該打撃用シリンダ141、ツールホルダ137及び当該ツールホルダ137にて保持されるハンマビット119が一体状に回転される。かくして、ハンマビット119が軸方向の直線動作と周方向の回転動作を行い、被加工材に対する穴開け作業を遂行する。
【0032】
さて、本実施の形態においては、打撃用シリンダ141の空気室141a内の圧縮空気によってストライカ143を駆動させる構成のハンマドリル101において、打撃用シリンダ141とは別途に空気圧縮用シリンダ131を設け、この空気圧縮用シリンダ131の圧縮室131aに生成された圧縮空気を打撃用シリンダ141の空気室141aに供給することでストライカ143を駆動する構成としている。そして、空気圧縮用シリンダ131については、打撃用シリンダ141の延在方向と交差する方向に延在するように配置している。このことにより、ハンマビット119の長軸方向長さに関する工具本体103の打撃方向長さが、ハンマビット119を保持するツールホルダ137と、ハンマビット119に打撃力を付与するストライカ143を収容するとともに、当該ストライカ143に圧縮空気を作用させる空気室141aを備えた打撃用シリンダ141の延在長さで規定される。
【0033】
したがって、本実施の形態によれば、打撃用シリンダ141内において、ピストン129が直線動作することによる空気室131aの圧力変動によってストライカ143を駆動する構成の従来のハンマドリルに比べ、ハンマビット119の打撃方向に関する工具本体103の長さを短縮することができる。このため、例えば、排水溝としてのU字溝(コンクリート製)の内側壁面に穴明け作業を行うような場合において、ハンマビット119の長軸方向が溝幅方向となるように工具本体101をU字溝内に挿入して当該穴明け作業を遂行することができる。
【0034】
また、本実施の形態に係るハンマドリル101は、ストライカ143の打撃力がハンマビット119に直線的に伝達される構成である。このため、ハンマドリルの先端に角度アタッチメントを取付けてストライカの打撃力をハンマビットに伝達する構成に比べ、ストライカ143の打撃力をハンマビット119にロスなく伝達することができる。
【0035】
穴明け作業時において、作業者はメインハンドルとしてのハンドグリップ109と、サブハンドルとしてのサイドグリップ110とを握ってハンマドリル101を操作する。本実施の形態では、ハンドグリップ109の幅方向、すなわちグリップ部109aの延在方向と交差する方向が打撃用シリンダ141の延在方向となるように設定されている。このため、手指でハンドグリップ109のグリップ部109aを握った際に、腕(前腕)の延在方向が打撃用シリンダ141の延在方向と交差する方向になり、例えばU字溝の内側壁面に加工作業をする際に腕が邪魔にならない形でハンドグリップ109を握って加工作業を遂行することができる。
【0036】
また、本実施の形態では、サイドグリップ110が使い辛い場合、あるいはサイドグリップ110を備えていない場合を想定して、アウタハウジング105のうち打撃方向の後方側の端部領域が、掌全体で押圧可能なサブグリップ163(図1参照)として設定されている。これにより、作業者は、一方の手でハンドグリップ109を掴み他方の手でサブグリップ163を打撃方向に押圧しつつ穴明け作業を行うことができる。
【0037】
ところで、駆動モータ111のサイズ(外径)は、アウタハウジング105のうち当該駆動モータ111を覆うモータハウジング部105aの外形寸法を支配する。本実施の形態では、図3に示すように、駆動ギア121、運動変換機構113の被動ギア123、動力伝達機構117の第1中間ギア151が、第2中間ギア153(小べベルギア155)の中心を通って径方向に延びる、アウタハウジング105の打撃方向後方側面105b(ピストン129の長軸方向)と平行な直線P上に直列状に配置される。このようなギアの配置は、駆動モータ111のサイズ(外径)が小さい場合であれば、アウタハウジング105のモータハウジング部105aがアウタハウジング105の打撃方向後方側面105bよりも後方へ出っ張ることを抑えることが可能なため、結果として工具本体103の打撃方向長さの短縮化に支障をきたすことはない。
【0038】
しかしながら、駆動モータ111のサイズ(外径)が大きい場合であれば、駆動モータ111をモータハウジング部105aがアウタハウジング105の打撃方向後方側面105bよりも後方へと出っ張り、工具本体103の打撃方向長さの短縮化に支障をきたすことになる。そこで、駆動モータ111のサイズ(外径)が大きい場合の、モータハウジング部105aの出っ張りを防止するべく、図4に示す変形例を提供する。
【0039】
変形例は、駆動ギア121、運動変換機構113の被動ギア123、動力伝達機構117の第1中間ギア151が、第2中間ギア153(小べベルギア155)の中心を通って径方向に延びる、アウタハウジング105の打撃方向後方側面105bと平行な直線Pに対して打撃方向へ所定量Eだけオフセットされた直線P1上に配置し、これによりモータハウジング部105aがアウタハウジング105の打撃方向後方側面105bよりも後方へと出っ張ることを解消することができる。
【0040】
次に本実施の形態における、圧縮空気の送給通路に関する変形例につき、図5及び図6を参照しつつ説明する。上述した実施の形態では、圧縮空気が打撃用シリンダ141のヘッド側から空気室141aに供給される構成としたが、この変形例では、圧縮空気を供給する空気通路133を打撃用シリンダ141の側壁に開口させ、圧縮空気が打撃用シリンダ141の長軸方向と交差する側方から空気室141aの径方向へと供給される構成としている。このため、ヘッド側から供給する構成に比べ、空気通路133を設定する寸法相当分の、工具本体103の打撃方向長さをより一層短縮することが可能となる。
【0041】
また、この変形例では、打撃用シリンダ141に空気通路133が直接に接続されるため、回転させることができない。このため、打撃用シリンダ141は、ツールホルダ137とは別体で形成され、ギアハウジング107に固定されている。一方、ツールホルダ137は、打撃用シリンダ141に対し相対回転自在に外嵌めされる延長部分137aを有し、当該延長部分137aに大べベルギア157が一体回転するように取付けられている。これにより打撃用シリンダ141を固定した構造でありながら、ハンマビット119を保持するツールホルダ137に対し駆動モータ111の回転出力を伝達することが可能とされる。
【0042】
次に圧縮空気の送給通路に関する更なる変形例につき、図7及び図8を参照しつつ説明する。この変形例では、打撃用シリンダ141の外周に相対回転自在に取付けられるとともに、内周面に周方向に延在する環状溝165aを有するリング状部材165と、空気圧縮用シリンダ131の圧縮室131aとリング状部材165の環状溝165aとを連通させる接続管167とによって空気通路133を構成している。また、環状溝165aは、打撃用シリンダ141の壁部に形成された周方向に複数の通気孔169を介して空気室141aと連通されている。したがって、この変形例によれば、打撃用シリンダ141がツールホルダ137と共に回転する構成(一体構造)において、空気圧縮用シリンダ131の圧縮空気を打撃用シリンダ141の長軸方向と交差する側方から空気室141aに供給することが可能となる。このため、図4に示す変形例と同様、工具本体103の打撃方向長さをより短縮できる。
【0043】
次に圧縮空気の送給通路に関する更なる変形例につき、図9を参照しつつ説明する。この変形例では、空気圧縮用シリンダ131をその長軸方向が本体部103の長軸方向に対して所定の角度で傾斜する傾斜状に配置するとともに、圧縮室131aの底部から突出状に設けられた管状部171の先端をギアハウジング107に接続している。一方、打撃用シリンダ141のヘッド側端部をギアハウジング107の内壁面に対して所定の隙間を置いて対向させることにより空気室141aに通じる内部通路173を形成し、この内部通路173をギアハウジング107に接続された管状部171を介して空気圧縮用シリンダ131の圧縮室131aに連通する構成としている。
【0044】
この変形例によれば、図7及び図8に示す変形例と同様、打撃用シリンダ141がツールホルダ137と共に回転する構成(一体構造)において、空気圧縮用シリンダ131の圧縮空気を打撃用シリンダ141の長軸方向と交差する側方から空気室141aに供給することを可能となし、工具本体103の打撃方向長さをより短縮できる。
【0045】
(本発明の第2の実施形態)
次に本発明の第2の実施形態につき、図10〜図13を参照しつつ説明する。なお、第2の実施形態については、第1の実施形態との重複説明を避けるべく相違点を中心に説明し、同一の構成部材については同一符号を付して説明する。図示のように、この実施形態では、運動変換機構113を構成する構成部材のうち直線運動を行うピストン129を打撃用シリンダ141のボア内に摺動自在に配置している。したがって、ストライカ143は、ピストン129の摺動動作に伴う空気室141aの圧力変動を介して駆動され、ツールホルダ137に摺動自在に配置されたインパクトボルト145に衝突(打撃)し、当該インパクトボルト145を介してハンマビット119に打撃力を伝達する。すなわち、第1の実施形態における空気圧縮用シリンダを省略した構成である。打撃用シリンダ141は、ツールホルダ137に対して分割された構造であり、当該ツールホルダ137に同軸上で相対回転自在に嵌合されるとともに、ギアハウジング107に対して固定されている。
【0046】
駆動モータ111は、モータ軸111aが本体部103の長軸方向と同方向に延在され、したがってハンマビット119の長軸方向(ツールホルダ137及び打撃用シリンダ141の延在方向)と交差するように配置されている。本実施の形態においては、駆動モータ111の回転出力を直線運動に変換する運動変換機構113は、打撃用シリンダ141の長軸方向上の所定領域において、当該打撃用シリンダ141と並列状に配置されている。換言すれば、運動変換機構113は、打撃用シリンダ141に対してハンマビット119の長軸方向と交差する方向(本体部103の長軸方向)から見て互いに重なるように配置されている。また、クランク軸125は、その回転軸線が打撃用シリンダ141の延在方向と交差されている。クランク軸125は、本発明の請求項5における「回転軸」に対応する。
【0047】
運動変換機構113において、クランクアーム181が略U形部材によって形成されている。打撃用シリンダ141の周壁(側壁)には、クランクアーム181を配置するための逃がし溝183が形成されている。クランクアーム181のU形底部領域181a(図12の二点鎖線参照)が断面円形状に形成されている。そして、クランクアーム181は、底部領域181aを逃がし溝183に貫通状に配置した状態で一端がピストン129の連結軸128に連結され、他端がクランクピン126に連結される。逃がし溝183は、クランクアーム181が連結軸128を支点として搖動運動しつつ打撃用シリンダ141の長軸方向に移動することを許容することが可能な横幅と軸方向長さを有するように設定されている。
【0048】
上記のように、本実施の形態においては、クランクアーム181をU字形に形成するとともに、当該クランクアーム181が打撃用シリンダ141の周壁に形成した逃がし溝183内を移動する構成とすることにより、運動変換機構113を打撃用シリンダ141の延在方向領域(長軸方向領域)内に並列状に配置可能としたものである。これにより、ハンマビット119の長軸方向長さに関する工具本体101の打撃方向長さが、ハンマビット119を保持するツールホルダ137と、ピストン129及びストライカ143が収容される打撃用シリンダ141の延在長さで規定される。このため、工具本体103の打撃方向長さを、運動変換機構113が打撃用シリンダ141の長軸方向領域から外れた後方位置に配置されている従来のハンマドリルに比べ短縮することができる。
【0049】
上記のように構成されたハンマドリル101は、例えば、U字溝の内側壁面に穴明け作業を行うような場合において、第1の実施形態の場合と同様、ハンマビット119の長軸方向が溝幅方向となるように工具本体103をU字溝内に挿入して当該穴明け作業を遂行することができる。その場合、ストライカ143の打撃力がハンマビット119に直線的に伝達される構成であるため、ハンマドリルの先端に角アタッチメントを取付けてストライカの打撃力をハンマビットに伝達する構成に比べ、ストライカ143の打撃力をハンマビット119にロスなく伝達することができる。
【0050】
なお、ハンドグリップ109は、作業者が握るグリップ部109aが本体部103の長軸方向と交差する方向であって、打撃用シリンダ141の延在方向と並行に延在されるとともに、当該グリップ部109aの上下の各端部がアウタハウジング105に連接されたD形ハンドルとして構成されている。このため、当該ハンドグリップ109がハンマドリル101の打撃方向長さの範囲内に収まるように構成することができる。
【0051】
ハンドグリップ109には、駆動モータ111を駆動、停止を操作するトリガ147及び正逆転切替スイッチ149が配置されている。この実施の形態では、これらトリガ147及び正逆転切替スイッチ149がハンドグリップ109の延在方向の、打撃方向前方側(図10の下側)に配置されている。すなわち、この実施の形態では、ハンドグリップ109の形状につき、親指と人差し指が打撃方向前方となる握り形状に設定されている。
【0052】
また、アウタハウジング105のうち打撃方向の後方側の端部領域が、掌全体で押圧可能なサブグリップ163として設定されている。これにより、作業者は、一方の手でハンドグリップ109を掴み、他方の手でサブグリップ163を打撃方向に押圧しつつ穴明け作業を行うことができる。
【0053】
また、本実施の形態において、駆動モータ111の回転出力をハンマビット119に伝達するための動力伝達機構117は、駆動モータ111によって駆動される駆動ギア121と噛み合い係合する中間ギア185の回転が、トルクリミッタ187を介して中間軸186へと伝達される構成とされ、この中間軸186の回転が小ベベルギア188から当該小ベベルギア188と噛み合い係合する大ベベルギア189を介してツールホルダ137に伝達される構成とされる。小ベベルギア188は、中間軸186の軸方向の端部に一体状に設けられている。大ベベルギア189は、ツールホルダ137の外周にスプライン嵌合され、当該ツールホルダ137と一体に回転するよう構成される。すなわち、この実施の形態に係る動力伝達機構117は、中間軸が一本式であり、中間軸が二本式の第1の実施形態の動力伝達機構117に比べて構造が簡素化されている。
【0054】
次に第2の実施形態の変形例につき、図14及び図15を参照しつつ説明する。この変形例では、クランクアーム191が直線状の棒状部材または板状部材によって形成されている。一方、ピストン129の連結軸128は、逃がし溝183を通して打撃用シリンダ141の外側へと延在される延長部128aを有し、当該延長部128aがクランクアーム191に連結されている。したがって、この変形例によれば、第2の実施形態の場合と同様、工具本体101の打撃方向長さを従来のハンマドリルに比べ、短縮することができる。
【0055】
また、この変形例では、駆動モータ111を駆動、停止を操作するトリガ147及び正逆転切替スイッチ149がハンドグリップ109の延在方向の、打撃方向後方側(図示上側)に配置されている。すなわち、この変形例では、ハンドグリップ109の形状につき、親指と人差し指が打撃方向後方となる握り形状に設定されている。
【0056】
なお、上述した実施の形態では、打撃工具としてハンマドリル101を例にとって説明しているが、ハンマビット119が長軸方向に直線運動のみを行うハンマに適用することが可能である。
【0057】
上記発明の趣旨に鑑み、下記のごとき態様が構成可能である。
(態様1)
「工具ビットが少なくとも長軸方向に直線動作することで被加工材に所定の加工作業を遂行する打撃工具であって、
前記工具ビットを長軸方向に相対移動可能に保持するツールホルダと、前記工具ビットの長軸方向に直線動作して当該工具ビットに打撃力を付与する打撃子と、前記ツールホルダに連接されて前記打撃子を相対移動可能に収容するとともに、当該打撃子に圧縮空気を作用させる空気室を備えた打撃用シリンダと、前記ツールホルダ及び前記打撃用シリンダを収容する工具本体とを有し、
前記ツールホルダ及び前記打撃用シリンダは、共に前記工具ビットの長軸方向に延在されており、
前記工具ビットの長軸方向に関する前記打撃工具の長さ寸法が、前記ツールホルダと前記打撃用シリンダとによって規定される構成としたことを特徴とする打撃工具。」
【0058】
(態様2)
「態様1に記載の打撃工具であって、
前記打撃用シリンダの空気室に圧縮空気を供給するための圧縮空気送給シリンダを更に有し、前記圧縮空気送給シリンダは、前記打撃用シリンダの延在方向と異なる方向に延在されていることを特徴とする打撃工具。」
【0059】
(態様3)
「態様1または2に記載の打撃工具であって、
前記工具本体に連接され、前記打撃工具を操作するべく作業者が握るハンドグリップを有し、当該ハンドグリップの幅方向が前記打撃用シリンダの延在方向となるように設定されていることを特徴とする打撃工具。」
【0060】
(態様4)
「態様3に記載の打撃工具であって、
前記工具ビットの長軸方向と前記圧縮空気送給シリンダの延在方向と前記ハンドグリップの延在方向が全て交差するように設定されていることを特徴とする打撃工具。」
【0061】
(態様5)
「態様1に記載の打撃工具であって、
回転運動を直線運動に変換することで前記打撃用シリンダの空気室に圧縮空気を発生させる運動変換機構を更に有し、
前記運動変換機構の回転軸は、前記打撃用シリンダの延在方向上の所定領域において、当該打撃用シリンダと並列状に配置されていることを特徴とする打撃工具。」
【0062】
(態様6)
「態様5に記載の打撃工具であって、
前記回転軸は、前記打撃用シリンダの延在方向と交差していることを特徴とする打撃工具。」
【0063】
(態様7)
「態様5または6に記載の打撃工具であって、
前記工具本体に連接され、前記打撃工具を操作するべく作業者が握るハンドグリップを有し、前記打撃用シリンダの延在方向と前記ハンドグリップの延在方向が互いに平行に設定されていることを特徴とする打撃工具。」
【0064】
(態様8)
「態様2に記載の打撃工具であって、
前記圧縮空気送給シリンダで生成された圧縮空気を前記打撃用シリンダの空気室に供給する空気通路を有し、当該空気通路は、前記打撃用シリンダのヘッド側から前記空気室の長軸方向に圧縮空気を供給するように構成されていることを特徴とする打撃工具。」
【0065】
(態様9)
「態様2に記載の打撃工具であって、
前記圧縮空気送給シリンダで生成された圧縮空気を前記打撃用シリンダの空気室に供給する空気通路を有し、当該空気通路は、前記打撃用シリンダの側方領域から前記空気室の径方向に圧縮空気を供給するように構成されていることを特徴とする打撃工具。」
【0066】
(態様10)
「態様1〜9のいずれかに記載の打撃工具であって、
工具本体と、前記工具本体に収容されたモータと、前記工具本体に収容され、前記モータの回転出力を前記工具ビットに伝達する中間ギアと、を有し、
前記モータと前記中間ギアは、それぞれの回転軸線が互いには平行にかつ前記工具ビットの長軸方向に対しては交差して配置されており、
前記工具本体部は、前記打撃子の打撃方向後方側面が当該打撃方向と概ね交差状に延在されており、
前記モータは、その回転軸線が、前記中間ギアの中心を通って前記打撃方向後方側面と平行に延在する直線に対して前記打撃子の打撃方向前方側にオフセットされていることを特徴とする打撃工具。」
【0067】
(態様11)
「態様7に記載の打撃工具であって、
前記工具ビットを駆動するモータと、前記ハンドグリップに設けられ、前記モータの駆動・停止を操作する操作部材と、を有し、
前記操作部材は、前記ハンドグリップの延在領域のうち前記打撃子の打撃方向後方側に配置されていることを特徴とする打撃工具。」
【0068】
(態様12)
「態様7に記載の打撃工具であって、
前記工具ビットを駆動するモータと、前記ハンドグリップに設けられ、前記モータの駆動・停止を操作する操作部材と、を有し、
前記操作部材は、前記ハンドグリップの延在領域のうち前記打撃子の打撃方向前方側に配置されていることを特徴とする打撃工具。」
【符号の説明】
【0069】
101 ハンマドリル(打撃工具)
103 本体部
105 アウタハウジング
105a モータハウジング部
105b 打撃方向後方側面
107 ギアハウジング
107a バレル部
107b 内壁面
109 ハンドグリップ
109a グリップ部
110 サイドグリップ
111 駆動モータ
111a モータ軸
113 運動変換機構
114 圧縮装置
115 打撃要素
117 動力伝達機構
119 ハンマビット(工具ビット)
121 駆動ギア
123 被動ギア
125 クランク軸
126 クランクピン
127 クランクアーム
128 連結軸
128a 延長部
129 ピストン
131 空気圧縮用シリンダ
131a 圧縮室
133 空気通路
137 ツールホルダ
137a 延長部分
141 打撃用シリンダ
141a 空気室
143 ストライカ(打撃子)
144 緩衝ばね
145 インパクトボルト
147 トリガ
149 正逆転切替スイッチ
151 第1中間ギア
152 第1中間軸
153 第2中間ギア
154 第2中間軸
155 小ベベルギア
157 大ベベルギア
157a クラッチ歯
159 トルクリミッタ
159a クラッチ歯
161 付勢ばね
163 サブグリップ
165 リング状部材
165a 環状溝
167 接続管
169 通気孔
171 管状部
173 内部通路
181 クランクアーム
181a U形底部領域
183 逃がし溝
185 中間ギア
186 中間軸
187 トルクリミッタ
188 小べベルギア
189 大べベルギア
191 クランクアーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具ビットが少なくとも長軸方向に直線動作することで被加工材に所定の加工作業を遂行する打撃工具であって、
前記工具ビットを長軸方向に相対移動可能に保持するツールホルダと、前記工具ビットの長軸方向に直線動作して当該工具ビットに打撃力を付与する打撃子と、前記ツールホルダに連接されて前記打撃子を相対移動可能に収容するとともに、当該打撃子に圧縮空気を作用させる空気室を備えた打撃用シリンダと、前記ツールホルダ及び前記打撃用シリンダを収容する工具本体とを有し、
前記ツールホルダ及び前記打撃用シリンダは、共に前記工具ビットの長軸方向に延在されており、
前記工具ビットの長軸方向に関する前記工具本体の長さ寸法が、前記ツールホルダと前記打撃用シリンダとによって規定されていることを特徴とする打撃工具。
【請求項2】
請求項1に記載の打撃工具であって、
前記打撃用シリンダの空気室に圧縮空気を供給するための圧縮空気送給シリンダを更に有し、前記圧縮空気送給シリンダは、前記打撃用シリンダの延在方向と異なる方向に延在されていることを特徴とする打撃工具。
【請求項3】
請求項2に記載の打撃工具であって、
前記工具本体に連接され、前記打撃工具を操作するべく作業者が握るハンドグリップを有し、当該ハンドグリップの幅方向が前記打撃用シリンダの延在方向となるように設定されていることを特徴とする打撃工具。
【請求項4】
請求項3に記載の打撃工具であって、
前記工具ビットの長軸方向と前記圧縮空気送給シリンダの延在方向と前記ハンドグリップの延在方向が全て交差するように設定されていることを特徴とする打撃工具。
【請求項5】
請求項1に記載の打撃工具であって、
回転運動を直線運動に変換することで前記打撃用シリンダの空気室に圧縮空気を発生させる運動変換機構を更に有し、
前記運動変換機構の回転軸は、前記打撃用シリンダの延在方向上の所定領域において、当該打撃用シリンダと並列状に配置されていることを特徴とする打撃工具。
【請求項6】
請求項5に記載の打撃工具であって、
前記回転軸は、前記打撃用シリンダの延在方向と交差していることを特徴とする打撃工具。
【請求項7】
請求項5または6に記載の打撃工具であって、
前記工具本体に連接され、前記打撃工具を操作するべく作業者が握るハンドグリップを有し、前記打撃用シリンダの延在方向と前記ハンドグリップの延在方向が互いに平行に設定されていることを特徴とする打撃工具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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