打継ぎ冶具、地中壁の打継ぎ部施工方法
【課題】波形鉄板のような接合金物を保持する打継ぎ冶具を用いて地中連続壁を構築する際に打継ぎ冶具の側方及び背面側へのコンクリートの廻りこみを防止する。
【解決手段】波形鉄板20の形状に対応した形状を有する溝150が形成され、側部に袋状のパッカー160を備えた打継ぎ冶具100の溝150に波形鉄板20を嵌合させ、波形鉄板20を先打ちパネル側表面より突出するように掘削孔内に配置し、パッカー160内に流体を充填して、パッカー160を側方に向かって進出させ、波形鉄板20の一端が埋設されるように先打ちパネルを構築する。
【解決手段】波形鉄板20の形状に対応した形状を有する溝150が形成され、側部に袋状のパッカー160を備えた打継ぎ冶具100の溝150に波形鉄板20を嵌合させ、波形鉄板20を先打ちパネル側表面より突出するように掘削孔内に配置し、パッカー160内に流体を充填して、パッカー160を側方に向かって進出させ、波形鉄板20の一端が埋設されるように先打ちパネルを構築する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
複数の鉄筋コンクリート造のパネルが打ち継がれてなる地中連続壁におけるパネルの打継ぎ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、鉄筋コンクリート造の先打ちパネルに連続して後打ちパネルを構築することにより地中連続壁を構築することが行われている。このような工法により構築した地中連続壁では、パネルの打継ぎ部分におけるせん断耐力が、一体に構築したコンクリートに比べて低下してしまう。このため、先打ちパネル及び後打ちパネル夫々に両端が埋設されるように波形鉄板を埋設することにより、打継ぎ部におけるせん断耐力を向上する方法が用いられている。
【0003】
このように先打ちパネル及び後打ちパネルに波形鉄板を埋設するための打継ぎ冶具として、例えば、特許文献1には、波形鉄板の後打ちパネル側の部分を収容可能な溝が形成された打継ぎ冶具が開示されている。かかる打継ぎ冶具を用いることで、以下のようにして地中連続壁を構築できる。
【0004】
ステップ1:地盤の先打ちパネルに相当する部分を掘削して、掘削孔を形成する。
ステップ2:打継ぎ冶具の溝に波形鉄板を取り付ける。
ステップ3:掘削孔の後打ちパネル側の端部に、波形鉄板が取り付けられた面が先打ちパネル側を向くように打継ぎ冶具を配置する。
ステップ4:先打ちパネルを構築する。
ステップ5:地盤の後打ちパネルに相当する部分を掘削して、掘削孔を形成する。
ステップ6:波形鉄板が先打ちパネルに埋入された状態で残置されるように、打継ぎ冶具を先打ちパネルから剥離させる。
ステップ7:波形鉄板の先打ちパネルから突出した部分が埋入されるように後打ちパネルを構築する。
【0005】
なお、ステップ6における打継ぎ冶具の剥離作業は、図17に示すようなコの字型のフレーム221の屈曲部の下部に爪部220Aが取り付けられてなる剥離部材220を、図18に示すように、掘削装置210の側部に取り付け、剥離部材220の爪部220Aを打継ぎ冶具と先打ちパネルの間に差し込むことにより行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003―342950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、通常、掘削孔の壁面には凹凸があるため、打継ぎ冶具をスムーズに掘削孔に挿入できるようにするべく、掘削孔を打継ぎ冶具の幅よりも幅広く形成する。このため、打継ぎ冶具を配置した状態で先打ちパネルを構成するコンクリートを打設すると、打継ぎ冶具の側方の隙間から背面側へコンクリートが廻り込んでしまう。このようにコンクリートが廻りこんでしまうと、上記の剥離部材の爪部を打継ぎ冶具と先打ちパネルとの間に差し込むことができず、打継ぎ冶具を剥離させる作業の障害となってしまう。
【0008】
本発明は上記の問題に鑑みなされたものであり、その目的は、波形鉄板のような接合金物を保持する打継ぎ冶具を用いて地中連続壁を構築する際に打継ぎ冶具の側方から背面側へのコンクリートの廻りこみを防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の打継ぎ冶具は、先打ちパネルに後打ちパネルが打ち継がれてなる地中壁における前記先打ちパネルの前記後打ちパネル側の打ち継ぎ面を形成するための打継ぎ冶具であって、当該打継ぎ冶具の側部の少なくとも一部に側方に向かって膨出可能な膨出部材が設けられていることを特徴とする。
上記の打継ぎ冶具において、前記地中壁は、前記先打ちパネル及び後打ちパネルに、それらの接合面を通るように埋設される接合金物を備え、当該打継ぎ冶具は、前記接合金物の形状に対応した形状を有する、前記接合金物の前記後打ちパネル側の端部を収容可能である収容溝が形成されていてもよい。
【0010】
また、前記膨出部材は、打継ぎ冶具に沿うように取り付けられた長尺の袋体からなり、当該袋体内に流体が充填されることで側方に向かって膨出してもよい。
また、前記膨出部材は、打継ぎ冶具に沿うように取り付けられた長尺の袋体からなり、当該袋体内に流体が充填されることで側方に向かって膨出してもよく、前記吸水膨張性材料は、前記掘削孔の断面形状が幅広な高さ位置に取り付けられていてもよい。
【0011】
また、本発明の打継ぎ部の施工方法は、先打ちパネルに後打ちパネルが打ち継がれてなる地中壁の打継ぎ部の施工方法であって、側部の少なくとも一部に側方に向かって膨出可能な膨出部材を備えた打継ぎ冶具を収容孔内に配置する第1ステップと、前記膨出部材を側方に向かって膨出させる第2ステップと、前記先打ちパネルを構築する第3ステップと、前記打継ぎ部形成具を前記先打ちパネルから剥離する第4ステップと、前記後打ちパネルを構築する第5ステップと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、打継ぎ冶具の膨出部材を進出させることで、打継ぎ冶具と掘削孔との間の隙間が閉鎖されるため、打継ぎ冶具の側方及び背面側へのコンクリートの廻りこみを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1実施形態の打継ぎ部の施工方法により構築された地中連続壁の打継ぎ構造の構成を示す図であり、(A)は、内部の構造を示すべく、一部を除去して示す正面図、(B)は、(A)におけるI―I´断面図、(C)は、(B)におけるII部の拡大図である。
【図2】波形鉄板を示す鉛直断面図である。
【図3】第1実施形態の打継ぎ冶具を示す図であり、(A)は正面図、(B)は(A)におけるI―I´断面図、(C)は(A)におけるII部の拡大図である。
【図4】打継ぎ冶具を用いた地中連続壁の打継ぎ部の施工方法を説明するための図(その1)であり、(A)は地中連続壁の面内方向の断面図、(B)は面外方向の断面図である。
【図5】打継ぎ冶具を用いた地中連続壁の打継ぎ部の施工方法を説明するための図(その2)であり、(A)は地中連続壁の面内方向の断面図、(B)は(A)におけるI―I´断面図である。
【図6】打継ぎ冶具を用いた地中連続壁の打継ぎ部の施工方法を説明するための図(その3)であり、(A)は地中連続壁の面内方向の断面図、(B)は(A)におけるI―I´断面図である。
【図7】打継ぎ冶具を用いた地中連続壁の打継ぎ部の施工方法を説明するための図(その4)であり、(A)は地中連続壁の面内方向の断面図、(B)は(A)におけるI―I´断面図である。
【図8】打継ぎ冶具を用いた地中連続壁の打継ぎ部の施工方法を説明するための図(その5)であり、(A)は地中連続壁の面内方向の断面図、(B)は面外方向の断面図、(C)は(A)におけるI―I´断面図である。
【図9】打継ぎ冶具を用いた地中連続壁の打継ぎ部の施工方法を説明するための図(その6)であり、(A)は地中連続壁の面内方向の断面図、(B)は(A)におけるI―I´断面図、(C)は(B)におけるII部の拡大図である。
【図10】打継ぎ冶具を用いた地中連続壁の打継ぎ部の施工方法を説明するための図(その7)であり、(A)は地中連続壁の面内方向の断面図、(B)は(A)におけるI―I´断面図である。
【図11】打継ぎ冶具を用いた地中連続壁の打継ぎ部の施工方法を説明するための図(その8)であり、(A)は地中連続壁の面内方向の断面図、(B)は(A)におけるI―I´断面図である。
【図12】打継ぎ冶具を用いた地中連続壁の打継ぎ部の施工方法を説明するための図(その9)であり、(A)は地中連続壁の面内方向の断面図、(B)は(A)におけるI―I´断面図である。
【図13】波形鉄板が取り付けられた状態の打継ぎ冶具を示す図である。
【図14】(A)は打継ぎ冶具を掘削孔内に配置した状態を示す図であり、(B)はパッカー内に流体を充填した状態を示す図である。
【図15】打継ぎ冶具を剥離する様子を説明するための図である。
【図16】第2実施形態の打継ぎ冶具を示す図であり、(A)は正面図、(B)は(A)におけるI―I´断面図、(C)は(A)におけるII部の拡大図である。
【図17】剥離部材を示す図である。
【図18】剥離部材を掘削機に取り付けた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1実施形態>
以下、本発明の打継ぎ冶具の第1実施形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施形態の打継ぎ部の施工方法により構築された地中連続壁2の打継ぎ構造10の構成を示す図であり、(A)は、内部の構造を示すべく、一部を除去して示す正面図、(B)は、(A)におけるI―I´断面図、(C)は、(B)におけるII部の拡大図である。同図に示すように、地中連続壁2は、コンクリート4A,4B内に鉄筋かご5A,5Bが埋設されてなる先打ちパネル3A及び後打ちパネル3Bが連続して構築されることにより構成されている。打継ぎ構造10は、地中連続壁2の幅方向中央に打継ぎ面Fを縦断するように設けられ、先打ちパネル3A及び後打ちパネル3Bに両端が埋設された波形鉄板20を備える。なお、本実施形態では、本発明をRC造の地中壁に適用した場合について説明するが、これに限らず、SC造の地中壁やソイルセメント壁にも適用することができる。また、本実施形態では、先打ちパネル3A及び後打ちパネル3Bに波形鉄板20を埋設しているが、これに限らず、波形鉄板20を省略してもよく、また、止水材を埋設してもよい。
【0015】
図2は、波形鉄板20を示す鉛直断面図である。同図に示すように、波形鉄板20は、縦方向に台形状の凹凸20Aが連続して形成された鋼板であり、地中連続壁2の深さ方向全長に亘るような長さを有する。先打ちパネル3A及び後打ちパネル3Bを構成するコンクリート4A,4Bは、波形鉄板20の表裏面の凹凸20Aに入り込んだ状態で硬化している。上記のように、波形鉄板20が先打ちパネル3A及び後打ちパネル3Bを構成するコンクリート4A,4Bの打継ぎ面Fを跨ぐように埋設されていることにより、打継ぎ面Fを通るような水平方向のせん断力が作用しても、波形鉄板20を介して先打ちパネル3A及び後打ちパネル3Bとの間で応力が伝達され、このようなせん断力に抵抗することが可能となる。さらに、地中連続壁2に水平方向にせん断力が作用した場合には、凹凸20Aが台形状に形成されているため、凹凸20Aにおいて支圧効果が生じ、より効率よく先打ちパネル3Aと後打ちパネル3Bとの間でせん断力の伝達が行われるため、打継ぎ面Fのせん断耐力が向上される。
【0016】
図3は、本実施形態の打継ぎ冶具100を示す図であり、(A)は正面図、(B)は(A)におけるI―I´断面図、(C)は(A)におけるII部の拡大図である。同図に示すように、本実施形態の打継ぎ冶具100は、構築すべき地中連続壁2の断面形状に合わせて形成された鋼製の帯状のベース板110と、ベース板110の両側部に上下方向に延びるように取り付けられた一対の第1の条材120と、両側部が屈曲した鋼材からなり一方の端部が第1の条材120に、他方の端部がベース板110に取り付けられた一対の第2の条材130と、一対の第2の条材130の間に上下方向に延びるように取り付けられた第3の条材140と、第1の条材120に収容されたパッカー160とにより構成される。
【0017】
第1の条材120は、断面が二重のコの字型に形成された鋼材からなり、両端がベース板110に取り付けられている。また、第1の条材120の側部の凹部(収容溝120A)にパッカー160が収容されている。なお、パッカー160の取付構造は、これに限らず、打継ぎ冶具100の側部に取り付け可能であれば、その構成は問わない。
【0018】
パッカー160はゴムなどの可撓性を有する材料からなる、一端に開口を有する細長い袋状の部材であり、打継ぎ冶具100の全長と略等しい長さを有している。このパッカー160は、その開口が上方に位置するような状態で側部が第1の条材120の収容溝120A内に固定されている。なお、パッカー160は必ずしも打継ぎ冶具100の全長に亘って取り付けなくてもよく、掘削孔の形状に合わせて一部のみに取り付けることとしてもよい。
【0019】
第2の条材130の打継ぎ冶具100の中央側の側面には、波形鉄板20の凹凸20Aに合わせた台形状の凹凸130Aが形成されている。また、第3の条材140は、コの字型断面に形成された鋼材からなり、その両側部には第2の条材130の側面に設けられた凹凸130Aと対応するような凹凸140Aが形成されている。これにより、第2の条材130と第3の条材140との間には、正面視において波形鉄板の凹凸に対応するような波形状の溝150が形成される。
【0020】
以下、上記の打継ぎ冶具100を用いた地中連続壁2の打継ぎ部の施工方法を図4〜図12を参照しながら説明する。なお、図4において、(A)は地中連続壁の面内方向の断面図、(B)は面外方向の断面図である。また、図5〜図7、図10〜図12において(A)は地中連続壁の面内方向の断面図、(B)は(A)におけるI―I´断面図である。また、図8において、(A)は地中連続壁の面内方向の断面図、(B)は面外方向の断面図、(C)は(A)におけるI―I´断面図である。また、図9において、(A)は地中連続壁の面内方向の断面図、(B)は(A)におけるI―I´断面図、(C)は(B)におけるII部の拡大図である。
【0021】
まず、図4に示すように、先打ちパネル3Aを形成するにあたり、揚重機300により揚重した掘削装置210により、先打ちパネル3Aにあたる部分の地盤を掘削するとともに掘削した部分に安定液を充填しながら、掘削孔6Aを形成する。
【0022】
次に、地上において、打継ぎ冶具100の溝150に波形鉄板20を嵌め込み、打継ぎ冶具100に波形鉄板20を取り付ける。図13は、波形鉄板20が取り付けられた状態の打継ぎ冶具100を示す図である。同図に示すように、波形鉄板20は、その幅方向の一方の端部から略中央付近までが溝150に嵌め込まれることで保持されている。上記のように、溝150は波形鉄板20の形状に合わせて形成されているため、波形鉄板20を嵌め込むことにより、打継ぎ冶具100に保持させることが可能となる。
【0023】
そして、図5に示すように、揚重機300を用いて、掘削孔6A内の両端部に波形鉄板20を取り付けた打継ぎ冶具100を、波形鉄板20が先打ちパネルの側に突出するように配置する。なお、掘削孔6Aは、打継ぎ冶具100よりも幅広く形成されているため、図14(A)に示すように、打継ぎ冶具100の側部と掘削孔6Aとの間には隙間が生じている。
次に、図6に示すように、揚重機300により先打ちパネル3Aに埋設される鉄筋かご5Aを揚重し、掘削孔6A内に鉄筋かご5Aを挿入する。なお、鉄筋かご5Aの建て込み作業は、打継ぎ冶具100の建て込み作業の前に行ってもよい。
【0024】
次に、パッカー160の上端からパッカー160の内部に流体を送り込むことで、図14(B)に示すように、パッカー160を膨らませる。流体としては、空気などの気体でもよいが、パッカー160の内部の圧力と掘削孔6Aの内部の安定液の圧力とが等しくなるため、水などの液体が適している。このようにパッカー160が膨張することで、収容溝120Aから打継ぎ冶具100の側方に進出する。そして、パッカー160が掘削孔6Aの内面に合わせて変形した状態で当接することで、打継ぎ冶具100の側面と掘削孔6Aの内壁との隙間が塞がれ、掘削孔6A内の空間が打継ぎ冶具100の前方と後方とに仕切られることとなる。
【0025】
次に、図7に示すように、掘削孔6Aにコンクリート4Aを打設する。この際、上記のようにパッカー160が打継ぎ冶具100の側部と掘削孔6Aの内壁との間を塞ぐため、打継ぎ冶具100の後方へコンクリートが廻り込むのを防止できる。そして、打設したコンクリートが硬化することにより、波形鉄板20の一端が埋設された状態で先打ちパネル3Aの構築が完了する。
【0026】
次に、パッカー160内の流体をポンプで吸引する。これにより、パッカー160が収縮して、打継ぎ冶具100の収容溝120A内に収容される。
次に、図8に示すように、先打ちパネル3Aの掘削孔6Aを形成した場合と同様にして、揚重機300により掘削装置210を揚重して、後打ちパネル3Bにあたる部分の地盤を掘削し、掘削孔6Bを形成する。
【0027】
次に、図9に示すように、波形鉄板20を打継ぎ冶具100より離脱させながら打継ぎ冶具100を先打ちパネル3Aから剥離し、揚重機300により掘削孔6Bから撤去する。打継ぎ冶具100を先打ちパネル3Aより剥離する手段としては、従来技術の欄において説明した特許文献1に記載された掘削装置の側部に取り付け可能な剥離部材を用いて行う。
【0028】
打継ぎ冶具100を先打ちパネル3Aから剥離して撤去する場合には、図15(A)に示すように、剥離部材220の爪部220Aが打継ぎ冶具100のベース板110と先打ちパネル3Aを構成するコンクリート4Aとの間に入り込むように、剥離部材220が取り付けられた掘削装置210を揚重機300により移動する。
【0029】
そして、図15(B)に示すように、掘削装置210の重量により、爪部220Aがくさびを打つようにして、打継ぎ冶具100と先打ちパネル3Aとの間に貫入されることにより、打継ぎ冶具100が先打ちパネル3Aを構成するコンクリート4Aから剥離される。この際、上記のように、打継ぎ冶具100の側方及び裏側へのコンクリートの回り込みが防止されているため、容易に爪部220Aを先打ちパネル3Aと打継ぎ冶具100との間に貫入させることができる。また、万一、コンクリートの廻り込みが生じている場合であっても、廻り込みコンクリートの量が少ないため、容易に剥離作業を行うことができる。
【0030】
上記のように打継ぎ冶具100を先打ちパネル3Aから剥離すると、打継ぎ冶具100が固着していた側の面には、後打ちパネル3Bの側に向けて波形鉄板20の他端が突出することとなる。なお、先打ちパネル3Aより剥離された打継ぎ冶具100は、後に連続して地中連続壁を構築していく際に、再利用することができる。
【0031】
次に、図10に示すように、揚重機300により、後打ちパネル3Bの端部にあたる位置に波形鉄板20を取り付けた打継ぎ冶具100を設置する。次に、図11に示すように、後打ちパネル3Bにあたる位置に形成された掘削孔6B内に鉄筋かご5Bを建て込む。
そして、後打ちパネル3Bを構成するコンクリート4Bを掘削孔6B内に打設する。この打設したコンクリート4Bが硬化することにより、図12に示すように、後打ちパネル3Bが完成するとともに、波形鉄板20の他端は後打ちパネル3B内に埋設されることとなり、先打ちパネル3Aと後打ちパネル3Bの打継ぎ構造10が形成される。
【0032】
上記の工程を繰り返し行うことにより、連続してパネルを構築していくことができ、これにより所望の長さの地中連続壁2を構築することができる。
【0033】
本実施形態によれば、打継ぎ冶具100を掘削孔3A内に配置した後、打継ぎ冶具100に取り付けられたパッカー160により打継ぎ冶具100の側部と掘削孔3Aとの間を塞ぐこととしたため、打継ぎ冶具100の側方及び後方へのコンクリートの回り込みを防止できる。これにより、打継ぎ冶具100を先打ちパネル3Aから剥離する際に、剥離部材220の爪部220Aを先打ちパネル3Aと打継ぎ冶具100との間に差し込むことができ、スムーズに打継ぎ冶具100の剥離作業を行うことができる。
【0034】
なお、本実施形態では、パッカー160を収容溝120A内に収容するものとしたが、これに限らず、直接、打継ぎ冶具100の側部に取り付ける構成としてもよい。
また、本実施形態では、パッカー160を袋体を用いて構成したが、これに限らず、シート状の部材を折り曲げ、側部及び底部を閉鎖することとしてもよい。
【0035】
<第2実施形態>
以下、本発明の打継ぎ冶具の第2実施形態を図面を参照しながら説明する。なお、第1実施形態と同様の構成の部位については、同じ符号を付して説明を省略する。
図16は、本実施形態の打継ぎ冶具200の構成を示す図である。同図に示すように、本実施形態の打継ぎ冶具200は、ベース板110と、第1の条材120と、第2の条材130と、第3の条材140と、ベース板110の側部に取り付けられた膨張材260とにより構成される。
【0036】
膨張材260は、吸水膨張性を有する材料が、伸縮性を有する袋体に充填されてなり、後述するように、掘削孔の幅が大きいような高さ位置に取り付けられている。なお、膨張材260は、例えば、番線などによりベース板110に固定すればよい。
【0037】
以下、上記の打継ぎ冶具200を用いた地中連続壁の打継ぎ部の施工方法を説明する。
まず、第1実施形態において図4を参照して説明したのと同様に、先打ちパネル3Aに相当する部分の地盤を掘削しながら安定液を供給して掘削孔6Aを形成する。
【0038】
次に、超音波測定器により掘削孔6Aの後打ちパネル3B側の端部の幅方向の断面形状を測定する。そして、測定した断面形状に基づき、打継ぎ冶具200を掘削孔6A内に配置した場合に、ベース板110の側部と掘削孔3Aの内面との間に隙間が生じるような高さ位置に膨張材260を取り付ける。
【0039】
次に、図13を参照して説明したのと同様に、打継ぎ冶具200の溝150に波形鉄板20を嵌め込む。
そして、図5を参照して説明したように、揚重機300を用いて、波形鉄板20を取り付けた打継ぎ冶具200を、掘削孔6A内の後打ちパネル3B側の端部に波形鉄板20が先打ちパネル3Aの側に突出するように配置する。打継ぎ冶具200を掘削孔3A内に建て込むと、打継ぎ冶具200に取り付けられた膨張材260が掘削孔3A内に満たされた安定液の水分を吸収して膨張する。この際、膨張材260が掘削孔3Aの内面に沿うように膨張するため、打継ぎ冶具200のベース板110と掘削孔3Aの内面との間の隙間を塞ぐことができる。
次に、図6を参照して説明したように、掘削孔6A内に鉄筋かご5Aを挿入する。
【0040】
次に、図7を参照して説明したのと同様に、掘削孔3Aにコンクリート4Aを打設する。この際、膨張材260がベース板110の側部と掘削孔3Aの内壁との間を塞ぐため、打継ぎ冶具100の後方へコンクリート4Aが廻り込むのを防止できる。そして、打設したコンクリート4Aが硬化することにより、波形鉄板20の一端が埋設された状態で先打ちパネル3Aの構築が完了する。
【0041】
次に、図8を参照して説明したのと同様に、揚重機300により掘削装置210を揚重して、後打ちパネル3Bにあたる部分の地盤を掘削し、掘削孔6Bを形成する。この際、打継ぎ冶具200から掘削孔6B内に膨張材260が落下してしまったとしても、掘削装置210により掘削した土砂とともに落下した膨張材260を掘削孔6B内から除去できる。
【0042】
次に、図9を参照して説明したのと同様に、剥離部材220を用いて波形鉄板20を打継ぎ冶具200より離脱させながら打継ぎ冶具200を先打ちパネル3Aから剥離し、揚重機300により掘削孔6Bから撤去する。この際、打継ぎ冶具の側方及び裏側へのコンクリートの回り込みが防止されているため、爪部220Aを先打ちパネルと打継ぎ冶具との間に貫入させることができる。
【0043】
次に、再び、超音波測定器により掘削孔6Bの端部の幅方向の断面形状を測定し、打継ぎ冶具200の側部に膨張材260を取り付ける。そして、図10を参照して説明したように、揚重機300を用いて、波形鉄板20を取り付けた打継ぎ冶具200を、掘削孔6A内の後打ちパネル3B側の端部に波形鉄板20が先打ちパネル3Aの側に突出するように配置する。
【0044】
次に、図11を参照して説明したのと同様に、後打ちパネル3Bにあたる位置に形成された掘削孔6B内に鉄筋かご5Bを建て込む。そして、後打ちパネル3Bを構成するコンクリート4Bを掘削孔6B内に打設する。後打ちパネル3Bが完成するとともに、波形鉄板20の端部が後打ちパネル3B内に埋設されることとなり、先打ちパネル3Aと後打ちパネル3Bの打継ぎ構造が形成される。
上記の工程を繰り返し行うことにより、連続してパネルを構築していくことができ、これにより所望の長さの地中連続壁2を構築することができる。
【0045】
本実施形態によっても、打継ぎ冶具200に取り付けられた膨張材260が、掘削孔3A内の安定液の水分を吸収して膨張することで、打継ぎ冶具200の側部と掘削孔3Aとの間を塞ぐため、打継ぎ冶具200の側方及び後方へのコンクリート4Aの回り込みを防止できる。これにより、打継ぎ冶具200を先打ちパネル3Aから剥離する際に、剥離部材220の爪部220Aを先打ちパネル3Aと打継ぎ冶具200との間に差し込むことができ、スムーズに打継ぎ冶具200の剥離作業を行うことができる。
【0046】
また、超音波測定器により掘削孔3Aの断面形状を測定することで、必要な部位にのみ膨張材260を取り付けることができるため、膨張材260の使用量を削減できる。
【0047】
なお、本実施形態では、打継ぎ冶具200の必要な部位にのみ膨張材260を取り付けることとしたが、これに限らず、打継ぎ冶具200の全長に亘って膨張材を取り付けることとしてもよい。この場合、超音波測定器による掘削孔3Aの断面形状の測定を省略できる。
【0048】
また、上記の各実施形態では、打継ぎ冶具100、200を剥離部材220を用いて剥離する場合について説明したが、これ以外の方法で取り外してもよい。かかる場合であっても、コンクリートの廻り込みが抑えられることで、スムーズに剥離作業を行える。
【0049】
また、上記の各実施形態では、波形鉄板20を先打ちパネル3A及び後打ちパネル3Bに埋設する場合について説明したが、これに限らず、板状の鋼板等の接合金物を埋設する場合であっても、本発明を適用できる。この場合、打継ぎ冶具の溝は接合金物に対応した形状に形成する必要がある。
【符号の説明】
【0050】
2 地中連続壁 3A 先打ちパネル
3B 後打ちパネル 4A,4B コンクリート
5A、5B 鉄筋かご 6A,6B 掘削孔
10 打継ぎ構造 20 波形鉄板
20A 凹凸 100、200 打継ぎ冶具
110 ベース板 120 第1の条材
120A 収容溝 130 第2の条材
130A、140A 凹凸 150 溝
160 パッカー 210 掘削装置
220 剥離部材 220A 爪部
260 膨張材 300 揚重機
【技術分野】
【0001】
複数の鉄筋コンクリート造のパネルが打ち継がれてなる地中連続壁におけるパネルの打継ぎ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、鉄筋コンクリート造の先打ちパネルに連続して後打ちパネルを構築することにより地中連続壁を構築することが行われている。このような工法により構築した地中連続壁では、パネルの打継ぎ部分におけるせん断耐力が、一体に構築したコンクリートに比べて低下してしまう。このため、先打ちパネル及び後打ちパネル夫々に両端が埋設されるように波形鉄板を埋設することにより、打継ぎ部におけるせん断耐力を向上する方法が用いられている。
【0003】
このように先打ちパネル及び後打ちパネルに波形鉄板を埋設するための打継ぎ冶具として、例えば、特許文献1には、波形鉄板の後打ちパネル側の部分を収容可能な溝が形成された打継ぎ冶具が開示されている。かかる打継ぎ冶具を用いることで、以下のようにして地中連続壁を構築できる。
【0004】
ステップ1:地盤の先打ちパネルに相当する部分を掘削して、掘削孔を形成する。
ステップ2:打継ぎ冶具の溝に波形鉄板を取り付ける。
ステップ3:掘削孔の後打ちパネル側の端部に、波形鉄板が取り付けられた面が先打ちパネル側を向くように打継ぎ冶具を配置する。
ステップ4:先打ちパネルを構築する。
ステップ5:地盤の後打ちパネルに相当する部分を掘削して、掘削孔を形成する。
ステップ6:波形鉄板が先打ちパネルに埋入された状態で残置されるように、打継ぎ冶具を先打ちパネルから剥離させる。
ステップ7:波形鉄板の先打ちパネルから突出した部分が埋入されるように後打ちパネルを構築する。
【0005】
なお、ステップ6における打継ぎ冶具の剥離作業は、図17に示すようなコの字型のフレーム221の屈曲部の下部に爪部220Aが取り付けられてなる剥離部材220を、図18に示すように、掘削装置210の側部に取り付け、剥離部材220の爪部220Aを打継ぎ冶具と先打ちパネルの間に差し込むことにより行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003―342950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、通常、掘削孔の壁面には凹凸があるため、打継ぎ冶具をスムーズに掘削孔に挿入できるようにするべく、掘削孔を打継ぎ冶具の幅よりも幅広く形成する。このため、打継ぎ冶具を配置した状態で先打ちパネルを構成するコンクリートを打設すると、打継ぎ冶具の側方の隙間から背面側へコンクリートが廻り込んでしまう。このようにコンクリートが廻りこんでしまうと、上記の剥離部材の爪部を打継ぎ冶具と先打ちパネルとの間に差し込むことができず、打継ぎ冶具を剥離させる作業の障害となってしまう。
【0008】
本発明は上記の問題に鑑みなされたものであり、その目的は、波形鉄板のような接合金物を保持する打継ぎ冶具を用いて地中連続壁を構築する際に打継ぎ冶具の側方から背面側へのコンクリートの廻りこみを防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の打継ぎ冶具は、先打ちパネルに後打ちパネルが打ち継がれてなる地中壁における前記先打ちパネルの前記後打ちパネル側の打ち継ぎ面を形成するための打継ぎ冶具であって、当該打継ぎ冶具の側部の少なくとも一部に側方に向かって膨出可能な膨出部材が設けられていることを特徴とする。
上記の打継ぎ冶具において、前記地中壁は、前記先打ちパネル及び後打ちパネルに、それらの接合面を通るように埋設される接合金物を備え、当該打継ぎ冶具は、前記接合金物の形状に対応した形状を有する、前記接合金物の前記後打ちパネル側の端部を収容可能である収容溝が形成されていてもよい。
【0010】
また、前記膨出部材は、打継ぎ冶具に沿うように取り付けられた長尺の袋体からなり、当該袋体内に流体が充填されることで側方に向かって膨出してもよい。
また、前記膨出部材は、打継ぎ冶具に沿うように取り付けられた長尺の袋体からなり、当該袋体内に流体が充填されることで側方に向かって膨出してもよく、前記吸水膨張性材料は、前記掘削孔の断面形状が幅広な高さ位置に取り付けられていてもよい。
【0011】
また、本発明の打継ぎ部の施工方法は、先打ちパネルに後打ちパネルが打ち継がれてなる地中壁の打継ぎ部の施工方法であって、側部の少なくとも一部に側方に向かって膨出可能な膨出部材を備えた打継ぎ冶具を収容孔内に配置する第1ステップと、前記膨出部材を側方に向かって膨出させる第2ステップと、前記先打ちパネルを構築する第3ステップと、前記打継ぎ部形成具を前記先打ちパネルから剥離する第4ステップと、前記後打ちパネルを構築する第5ステップと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、打継ぎ冶具の膨出部材を進出させることで、打継ぎ冶具と掘削孔との間の隙間が閉鎖されるため、打継ぎ冶具の側方及び背面側へのコンクリートの廻りこみを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1実施形態の打継ぎ部の施工方法により構築された地中連続壁の打継ぎ構造の構成を示す図であり、(A)は、内部の構造を示すべく、一部を除去して示す正面図、(B)は、(A)におけるI―I´断面図、(C)は、(B)におけるII部の拡大図である。
【図2】波形鉄板を示す鉛直断面図である。
【図3】第1実施形態の打継ぎ冶具を示す図であり、(A)は正面図、(B)は(A)におけるI―I´断面図、(C)は(A)におけるII部の拡大図である。
【図4】打継ぎ冶具を用いた地中連続壁の打継ぎ部の施工方法を説明するための図(その1)であり、(A)は地中連続壁の面内方向の断面図、(B)は面外方向の断面図である。
【図5】打継ぎ冶具を用いた地中連続壁の打継ぎ部の施工方法を説明するための図(その2)であり、(A)は地中連続壁の面内方向の断面図、(B)は(A)におけるI―I´断面図である。
【図6】打継ぎ冶具を用いた地中連続壁の打継ぎ部の施工方法を説明するための図(その3)であり、(A)は地中連続壁の面内方向の断面図、(B)は(A)におけるI―I´断面図である。
【図7】打継ぎ冶具を用いた地中連続壁の打継ぎ部の施工方法を説明するための図(その4)であり、(A)は地中連続壁の面内方向の断面図、(B)は(A)におけるI―I´断面図である。
【図8】打継ぎ冶具を用いた地中連続壁の打継ぎ部の施工方法を説明するための図(その5)であり、(A)は地中連続壁の面内方向の断面図、(B)は面外方向の断面図、(C)は(A)におけるI―I´断面図である。
【図9】打継ぎ冶具を用いた地中連続壁の打継ぎ部の施工方法を説明するための図(その6)であり、(A)は地中連続壁の面内方向の断面図、(B)は(A)におけるI―I´断面図、(C)は(B)におけるII部の拡大図である。
【図10】打継ぎ冶具を用いた地中連続壁の打継ぎ部の施工方法を説明するための図(その7)であり、(A)は地中連続壁の面内方向の断面図、(B)は(A)におけるI―I´断面図である。
【図11】打継ぎ冶具を用いた地中連続壁の打継ぎ部の施工方法を説明するための図(その8)であり、(A)は地中連続壁の面内方向の断面図、(B)は(A)におけるI―I´断面図である。
【図12】打継ぎ冶具を用いた地中連続壁の打継ぎ部の施工方法を説明するための図(その9)であり、(A)は地中連続壁の面内方向の断面図、(B)は(A)におけるI―I´断面図である。
【図13】波形鉄板が取り付けられた状態の打継ぎ冶具を示す図である。
【図14】(A)は打継ぎ冶具を掘削孔内に配置した状態を示す図であり、(B)はパッカー内に流体を充填した状態を示す図である。
【図15】打継ぎ冶具を剥離する様子を説明するための図である。
【図16】第2実施形態の打継ぎ冶具を示す図であり、(A)は正面図、(B)は(A)におけるI―I´断面図、(C)は(A)におけるII部の拡大図である。
【図17】剥離部材を示す図である。
【図18】剥離部材を掘削機に取り付けた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1実施形態>
以下、本発明の打継ぎ冶具の第1実施形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施形態の打継ぎ部の施工方法により構築された地中連続壁2の打継ぎ構造10の構成を示す図であり、(A)は、内部の構造を示すべく、一部を除去して示す正面図、(B)は、(A)におけるI―I´断面図、(C)は、(B)におけるII部の拡大図である。同図に示すように、地中連続壁2は、コンクリート4A,4B内に鉄筋かご5A,5Bが埋設されてなる先打ちパネル3A及び後打ちパネル3Bが連続して構築されることにより構成されている。打継ぎ構造10は、地中連続壁2の幅方向中央に打継ぎ面Fを縦断するように設けられ、先打ちパネル3A及び後打ちパネル3Bに両端が埋設された波形鉄板20を備える。なお、本実施形態では、本発明をRC造の地中壁に適用した場合について説明するが、これに限らず、SC造の地中壁やソイルセメント壁にも適用することができる。また、本実施形態では、先打ちパネル3A及び後打ちパネル3Bに波形鉄板20を埋設しているが、これに限らず、波形鉄板20を省略してもよく、また、止水材を埋設してもよい。
【0015】
図2は、波形鉄板20を示す鉛直断面図である。同図に示すように、波形鉄板20は、縦方向に台形状の凹凸20Aが連続して形成された鋼板であり、地中連続壁2の深さ方向全長に亘るような長さを有する。先打ちパネル3A及び後打ちパネル3Bを構成するコンクリート4A,4Bは、波形鉄板20の表裏面の凹凸20Aに入り込んだ状態で硬化している。上記のように、波形鉄板20が先打ちパネル3A及び後打ちパネル3Bを構成するコンクリート4A,4Bの打継ぎ面Fを跨ぐように埋設されていることにより、打継ぎ面Fを通るような水平方向のせん断力が作用しても、波形鉄板20を介して先打ちパネル3A及び後打ちパネル3Bとの間で応力が伝達され、このようなせん断力に抵抗することが可能となる。さらに、地中連続壁2に水平方向にせん断力が作用した場合には、凹凸20Aが台形状に形成されているため、凹凸20Aにおいて支圧効果が生じ、より効率よく先打ちパネル3Aと後打ちパネル3Bとの間でせん断力の伝達が行われるため、打継ぎ面Fのせん断耐力が向上される。
【0016】
図3は、本実施形態の打継ぎ冶具100を示す図であり、(A)は正面図、(B)は(A)におけるI―I´断面図、(C)は(A)におけるII部の拡大図である。同図に示すように、本実施形態の打継ぎ冶具100は、構築すべき地中連続壁2の断面形状に合わせて形成された鋼製の帯状のベース板110と、ベース板110の両側部に上下方向に延びるように取り付けられた一対の第1の条材120と、両側部が屈曲した鋼材からなり一方の端部が第1の条材120に、他方の端部がベース板110に取り付けられた一対の第2の条材130と、一対の第2の条材130の間に上下方向に延びるように取り付けられた第3の条材140と、第1の条材120に収容されたパッカー160とにより構成される。
【0017】
第1の条材120は、断面が二重のコの字型に形成された鋼材からなり、両端がベース板110に取り付けられている。また、第1の条材120の側部の凹部(収容溝120A)にパッカー160が収容されている。なお、パッカー160の取付構造は、これに限らず、打継ぎ冶具100の側部に取り付け可能であれば、その構成は問わない。
【0018】
パッカー160はゴムなどの可撓性を有する材料からなる、一端に開口を有する細長い袋状の部材であり、打継ぎ冶具100の全長と略等しい長さを有している。このパッカー160は、その開口が上方に位置するような状態で側部が第1の条材120の収容溝120A内に固定されている。なお、パッカー160は必ずしも打継ぎ冶具100の全長に亘って取り付けなくてもよく、掘削孔の形状に合わせて一部のみに取り付けることとしてもよい。
【0019】
第2の条材130の打継ぎ冶具100の中央側の側面には、波形鉄板20の凹凸20Aに合わせた台形状の凹凸130Aが形成されている。また、第3の条材140は、コの字型断面に形成された鋼材からなり、その両側部には第2の条材130の側面に設けられた凹凸130Aと対応するような凹凸140Aが形成されている。これにより、第2の条材130と第3の条材140との間には、正面視において波形鉄板の凹凸に対応するような波形状の溝150が形成される。
【0020】
以下、上記の打継ぎ冶具100を用いた地中連続壁2の打継ぎ部の施工方法を図4〜図12を参照しながら説明する。なお、図4において、(A)は地中連続壁の面内方向の断面図、(B)は面外方向の断面図である。また、図5〜図7、図10〜図12において(A)は地中連続壁の面内方向の断面図、(B)は(A)におけるI―I´断面図である。また、図8において、(A)は地中連続壁の面内方向の断面図、(B)は面外方向の断面図、(C)は(A)におけるI―I´断面図である。また、図9において、(A)は地中連続壁の面内方向の断面図、(B)は(A)におけるI―I´断面図、(C)は(B)におけるII部の拡大図である。
【0021】
まず、図4に示すように、先打ちパネル3Aを形成するにあたり、揚重機300により揚重した掘削装置210により、先打ちパネル3Aにあたる部分の地盤を掘削するとともに掘削した部分に安定液を充填しながら、掘削孔6Aを形成する。
【0022】
次に、地上において、打継ぎ冶具100の溝150に波形鉄板20を嵌め込み、打継ぎ冶具100に波形鉄板20を取り付ける。図13は、波形鉄板20が取り付けられた状態の打継ぎ冶具100を示す図である。同図に示すように、波形鉄板20は、その幅方向の一方の端部から略中央付近までが溝150に嵌め込まれることで保持されている。上記のように、溝150は波形鉄板20の形状に合わせて形成されているため、波形鉄板20を嵌め込むことにより、打継ぎ冶具100に保持させることが可能となる。
【0023】
そして、図5に示すように、揚重機300を用いて、掘削孔6A内の両端部に波形鉄板20を取り付けた打継ぎ冶具100を、波形鉄板20が先打ちパネルの側に突出するように配置する。なお、掘削孔6Aは、打継ぎ冶具100よりも幅広く形成されているため、図14(A)に示すように、打継ぎ冶具100の側部と掘削孔6Aとの間には隙間が生じている。
次に、図6に示すように、揚重機300により先打ちパネル3Aに埋設される鉄筋かご5Aを揚重し、掘削孔6A内に鉄筋かご5Aを挿入する。なお、鉄筋かご5Aの建て込み作業は、打継ぎ冶具100の建て込み作業の前に行ってもよい。
【0024】
次に、パッカー160の上端からパッカー160の内部に流体を送り込むことで、図14(B)に示すように、パッカー160を膨らませる。流体としては、空気などの気体でもよいが、パッカー160の内部の圧力と掘削孔6Aの内部の安定液の圧力とが等しくなるため、水などの液体が適している。このようにパッカー160が膨張することで、収容溝120Aから打継ぎ冶具100の側方に進出する。そして、パッカー160が掘削孔6Aの内面に合わせて変形した状態で当接することで、打継ぎ冶具100の側面と掘削孔6Aの内壁との隙間が塞がれ、掘削孔6A内の空間が打継ぎ冶具100の前方と後方とに仕切られることとなる。
【0025】
次に、図7に示すように、掘削孔6Aにコンクリート4Aを打設する。この際、上記のようにパッカー160が打継ぎ冶具100の側部と掘削孔6Aの内壁との間を塞ぐため、打継ぎ冶具100の後方へコンクリートが廻り込むのを防止できる。そして、打設したコンクリートが硬化することにより、波形鉄板20の一端が埋設された状態で先打ちパネル3Aの構築が完了する。
【0026】
次に、パッカー160内の流体をポンプで吸引する。これにより、パッカー160が収縮して、打継ぎ冶具100の収容溝120A内に収容される。
次に、図8に示すように、先打ちパネル3Aの掘削孔6Aを形成した場合と同様にして、揚重機300により掘削装置210を揚重して、後打ちパネル3Bにあたる部分の地盤を掘削し、掘削孔6Bを形成する。
【0027】
次に、図9に示すように、波形鉄板20を打継ぎ冶具100より離脱させながら打継ぎ冶具100を先打ちパネル3Aから剥離し、揚重機300により掘削孔6Bから撤去する。打継ぎ冶具100を先打ちパネル3Aより剥離する手段としては、従来技術の欄において説明した特許文献1に記載された掘削装置の側部に取り付け可能な剥離部材を用いて行う。
【0028】
打継ぎ冶具100を先打ちパネル3Aから剥離して撤去する場合には、図15(A)に示すように、剥離部材220の爪部220Aが打継ぎ冶具100のベース板110と先打ちパネル3Aを構成するコンクリート4Aとの間に入り込むように、剥離部材220が取り付けられた掘削装置210を揚重機300により移動する。
【0029】
そして、図15(B)に示すように、掘削装置210の重量により、爪部220Aがくさびを打つようにして、打継ぎ冶具100と先打ちパネル3Aとの間に貫入されることにより、打継ぎ冶具100が先打ちパネル3Aを構成するコンクリート4Aから剥離される。この際、上記のように、打継ぎ冶具100の側方及び裏側へのコンクリートの回り込みが防止されているため、容易に爪部220Aを先打ちパネル3Aと打継ぎ冶具100との間に貫入させることができる。また、万一、コンクリートの廻り込みが生じている場合であっても、廻り込みコンクリートの量が少ないため、容易に剥離作業を行うことができる。
【0030】
上記のように打継ぎ冶具100を先打ちパネル3Aから剥離すると、打継ぎ冶具100が固着していた側の面には、後打ちパネル3Bの側に向けて波形鉄板20の他端が突出することとなる。なお、先打ちパネル3Aより剥離された打継ぎ冶具100は、後に連続して地中連続壁を構築していく際に、再利用することができる。
【0031】
次に、図10に示すように、揚重機300により、後打ちパネル3Bの端部にあたる位置に波形鉄板20を取り付けた打継ぎ冶具100を設置する。次に、図11に示すように、後打ちパネル3Bにあたる位置に形成された掘削孔6B内に鉄筋かご5Bを建て込む。
そして、後打ちパネル3Bを構成するコンクリート4Bを掘削孔6B内に打設する。この打設したコンクリート4Bが硬化することにより、図12に示すように、後打ちパネル3Bが完成するとともに、波形鉄板20の他端は後打ちパネル3B内に埋設されることとなり、先打ちパネル3Aと後打ちパネル3Bの打継ぎ構造10が形成される。
【0032】
上記の工程を繰り返し行うことにより、連続してパネルを構築していくことができ、これにより所望の長さの地中連続壁2を構築することができる。
【0033】
本実施形態によれば、打継ぎ冶具100を掘削孔3A内に配置した後、打継ぎ冶具100に取り付けられたパッカー160により打継ぎ冶具100の側部と掘削孔3Aとの間を塞ぐこととしたため、打継ぎ冶具100の側方及び後方へのコンクリートの回り込みを防止できる。これにより、打継ぎ冶具100を先打ちパネル3Aから剥離する際に、剥離部材220の爪部220Aを先打ちパネル3Aと打継ぎ冶具100との間に差し込むことができ、スムーズに打継ぎ冶具100の剥離作業を行うことができる。
【0034】
なお、本実施形態では、パッカー160を収容溝120A内に収容するものとしたが、これに限らず、直接、打継ぎ冶具100の側部に取り付ける構成としてもよい。
また、本実施形態では、パッカー160を袋体を用いて構成したが、これに限らず、シート状の部材を折り曲げ、側部及び底部を閉鎖することとしてもよい。
【0035】
<第2実施形態>
以下、本発明の打継ぎ冶具の第2実施形態を図面を参照しながら説明する。なお、第1実施形態と同様の構成の部位については、同じ符号を付して説明を省略する。
図16は、本実施形態の打継ぎ冶具200の構成を示す図である。同図に示すように、本実施形態の打継ぎ冶具200は、ベース板110と、第1の条材120と、第2の条材130と、第3の条材140と、ベース板110の側部に取り付けられた膨張材260とにより構成される。
【0036】
膨張材260は、吸水膨張性を有する材料が、伸縮性を有する袋体に充填されてなり、後述するように、掘削孔の幅が大きいような高さ位置に取り付けられている。なお、膨張材260は、例えば、番線などによりベース板110に固定すればよい。
【0037】
以下、上記の打継ぎ冶具200を用いた地中連続壁の打継ぎ部の施工方法を説明する。
まず、第1実施形態において図4を参照して説明したのと同様に、先打ちパネル3Aに相当する部分の地盤を掘削しながら安定液を供給して掘削孔6Aを形成する。
【0038】
次に、超音波測定器により掘削孔6Aの後打ちパネル3B側の端部の幅方向の断面形状を測定する。そして、測定した断面形状に基づき、打継ぎ冶具200を掘削孔6A内に配置した場合に、ベース板110の側部と掘削孔3Aの内面との間に隙間が生じるような高さ位置に膨張材260を取り付ける。
【0039】
次に、図13を参照して説明したのと同様に、打継ぎ冶具200の溝150に波形鉄板20を嵌め込む。
そして、図5を参照して説明したように、揚重機300を用いて、波形鉄板20を取り付けた打継ぎ冶具200を、掘削孔6A内の後打ちパネル3B側の端部に波形鉄板20が先打ちパネル3Aの側に突出するように配置する。打継ぎ冶具200を掘削孔3A内に建て込むと、打継ぎ冶具200に取り付けられた膨張材260が掘削孔3A内に満たされた安定液の水分を吸収して膨張する。この際、膨張材260が掘削孔3Aの内面に沿うように膨張するため、打継ぎ冶具200のベース板110と掘削孔3Aの内面との間の隙間を塞ぐことができる。
次に、図6を参照して説明したように、掘削孔6A内に鉄筋かご5Aを挿入する。
【0040】
次に、図7を参照して説明したのと同様に、掘削孔3Aにコンクリート4Aを打設する。この際、膨張材260がベース板110の側部と掘削孔3Aの内壁との間を塞ぐため、打継ぎ冶具100の後方へコンクリート4Aが廻り込むのを防止できる。そして、打設したコンクリート4Aが硬化することにより、波形鉄板20の一端が埋設された状態で先打ちパネル3Aの構築が完了する。
【0041】
次に、図8を参照して説明したのと同様に、揚重機300により掘削装置210を揚重して、後打ちパネル3Bにあたる部分の地盤を掘削し、掘削孔6Bを形成する。この際、打継ぎ冶具200から掘削孔6B内に膨張材260が落下してしまったとしても、掘削装置210により掘削した土砂とともに落下した膨張材260を掘削孔6B内から除去できる。
【0042】
次に、図9を参照して説明したのと同様に、剥離部材220を用いて波形鉄板20を打継ぎ冶具200より離脱させながら打継ぎ冶具200を先打ちパネル3Aから剥離し、揚重機300により掘削孔6Bから撤去する。この際、打継ぎ冶具の側方及び裏側へのコンクリートの回り込みが防止されているため、爪部220Aを先打ちパネルと打継ぎ冶具との間に貫入させることができる。
【0043】
次に、再び、超音波測定器により掘削孔6Bの端部の幅方向の断面形状を測定し、打継ぎ冶具200の側部に膨張材260を取り付ける。そして、図10を参照して説明したように、揚重機300を用いて、波形鉄板20を取り付けた打継ぎ冶具200を、掘削孔6A内の後打ちパネル3B側の端部に波形鉄板20が先打ちパネル3Aの側に突出するように配置する。
【0044】
次に、図11を参照して説明したのと同様に、後打ちパネル3Bにあたる位置に形成された掘削孔6B内に鉄筋かご5Bを建て込む。そして、後打ちパネル3Bを構成するコンクリート4Bを掘削孔6B内に打設する。後打ちパネル3Bが完成するとともに、波形鉄板20の端部が後打ちパネル3B内に埋設されることとなり、先打ちパネル3Aと後打ちパネル3Bの打継ぎ構造が形成される。
上記の工程を繰り返し行うことにより、連続してパネルを構築していくことができ、これにより所望の長さの地中連続壁2を構築することができる。
【0045】
本実施形態によっても、打継ぎ冶具200に取り付けられた膨張材260が、掘削孔3A内の安定液の水分を吸収して膨張することで、打継ぎ冶具200の側部と掘削孔3Aとの間を塞ぐため、打継ぎ冶具200の側方及び後方へのコンクリート4Aの回り込みを防止できる。これにより、打継ぎ冶具200を先打ちパネル3Aから剥離する際に、剥離部材220の爪部220Aを先打ちパネル3Aと打継ぎ冶具200との間に差し込むことができ、スムーズに打継ぎ冶具200の剥離作業を行うことができる。
【0046】
また、超音波測定器により掘削孔3Aの断面形状を測定することで、必要な部位にのみ膨張材260を取り付けることができるため、膨張材260の使用量を削減できる。
【0047】
なお、本実施形態では、打継ぎ冶具200の必要な部位にのみ膨張材260を取り付けることとしたが、これに限らず、打継ぎ冶具200の全長に亘って膨張材を取り付けることとしてもよい。この場合、超音波測定器による掘削孔3Aの断面形状の測定を省略できる。
【0048】
また、上記の各実施形態では、打継ぎ冶具100、200を剥離部材220を用いて剥離する場合について説明したが、これ以外の方法で取り外してもよい。かかる場合であっても、コンクリートの廻り込みが抑えられることで、スムーズに剥離作業を行える。
【0049】
また、上記の各実施形態では、波形鉄板20を先打ちパネル3A及び後打ちパネル3Bに埋設する場合について説明したが、これに限らず、板状の鋼板等の接合金物を埋設する場合であっても、本発明を適用できる。この場合、打継ぎ冶具の溝は接合金物に対応した形状に形成する必要がある。
【符号の説明】
【0050】
2 地中連続壁 3A 先打ちパネル
3B 後打ちパネル 4A,4B コンクリート
5A、5B 鉄筋かご 6A,6B 掘削孔
10 打継ぎ構造 20 波形鉄板
20A 凹凸 100、200 打継ぎ冶具
110 ベース板 120 第1の条材
120A 収容溝 130 第2の条材
130A、140A 凹凸 150 溝
160 パッカー 210 掘削装置
220 剥離部材 220A 爪部
260 膨張材 300 揚重機
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先打ちパネルに後打ちパネルが打ち継がれてなる地中壁における前記先打ちパネルの前記後打ちパネル側の打ち継ぎ面を形成するための打継ぎ冶具であって、
当該打継ぎ冶具の側部の少なくとも一部に側方に向かって膨出可能な膨出部材が設けられていることを特徴とする打継ぎ冶具。
【請求項2】
請求項1記載の打継ぎ冶具であって、
前記地中壁は、前記先打ちパネル及び後打ちパネルに、それらの接合面を通るように埋設される接合金物を備え、
当該打継ぎ冶具は、前記接合金物の形状に対応した形状を有する、前記接合金物の前記後打ちパネル側の端部を収容可能である収容溝が形成されていることを特徴とする打継ぎ冶具。
【請求項3】
請求項1又は2記載の打継ぎ冶具であって、
前記膨出部材は、打継ぎ冶具に沿うように取り付けられた長尺の袋体からなり、当該袋体内に流体が充填されることで側方に向かって膨出することを特徴とする打継ぎ冶具。
【請求項4】
請求項1又は2記載の打継ぎ冶具であって、
前記膨出部材は、吸水膨張性材料からなり、当該吸水膨張性材料が掘削孔内の安定液に含まれる水分を吸収して膨張することで側方に向かって膨出することを特徴とする打継ぎ冶具。
【請求項5】
請求項4記載の打継ぎ冶具であって、
前記吸水膨張性材料は、前記掘削孔の断面形状が幅広な高さ位置に取り付けられていることを特徴とする打継ぎ冶具。
【請求項6】
先打ちパネルに後打ちパネルが打ち継がれてなる地中壁の打継ぎ部の施工方法であって、
側部の少なくとも一部に側方に向かって膨出可能な膨出部材を備えた打継ぎ冶具を収容孔内に配置する第1ステップと、
前記膨出部材を側方に向かって膨出させる第2ステップと、
前記先打ちパネルを構築する第3ステップと、
前記打継ぎ部形成具を前記先打ちパネルから剥離する第4ステップと、
前記後打ちパネルを構築する第5ステップと、を備えることを特徴とする地中壁の打継ぎ部施工方法。
【請求項1】
先打ちパネルに後打ちパネルが打ち継がれてなる地中壁における前記先打ちパネルの前記後打ちパネル側の打ち継ぎ面を形成するための打継ぎ冶具であって、
当該打継ぎ冶具の側部の少なくとも一部に側方に向かって膨出可能な膨出部材が設けられていることを特徴とする打継ぎ冶具。
【請求項2】
請求項1記載の打継ぎ冶具であって、
前記地中壁は、前記先打ちパネル及び後打ちパネルに、それらの接合面を通るように埋設される接合金物を備え、
当該打継ぎ冶具は、前記接合金物の形状に対応した形状を有する、前記接合金物の前記後打ちパネル側の端部を収容可能である収容溝が形成されていることを特徴とする打継ぎ冶具。
【請求項3】
請求項1又は2記載の打継ぎ冶具であって、
前記膨出部材は、打継ぎ冶具に沿うように取り付けられた長尺の袋体からなり、当該袋体内に流体が充填されることで側方に向かって膨出することを特徴とする打継ぎ冶具。
【請求項4】
請求項1又は2記載の打継ぎ冶具であって、
前記膨出部材は、吸水膨張性材料からなり、当該吸水膨張性材料が掘削孔内の安定液に含まれる水分を吸収して膨張することで側方に向かって膨出することを特徴とする打継ぎ冶具。
【請求項5】
請求項4記載の打継ぎ冶具であって、
前記吸水膨張性材料は、前記掘削孔の断面形状が幅広な高さ位置に取り付けられていることを特徴とする打継ぎ冶具。
【請求項6】
先打ちパネルに後打ちパネルが打ち継がれてなる地中壁の打継ぎ部の施工方法であって、
側部の少なくとも一部に側方に向かって膨出可能な膨出部材を備えた打継ぎ冶具を収容孔内に配置する第1ステップと、
前記膨出部材を側方に向かって膨出させる第2ステップと、
前記先打ちパネルを構築する第3ステップと、
前記打継ぎ部形成具を前記先打ちパネルから剥離する第4ステップと、
前記後打ちパネルを構築する第5ステップと、を備えることを特徴とする地中壁の打継ぎ部施工方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
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【図12】
【図13】
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【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2010−242318(P2010−242318A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−89392(P2009−89392)
【出願日】平成21年4月1日(2009.4.1)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月1日(2009.4.1)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【Fターム(参考)】
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