説明

投写型映像表示装置

【課題】ファンによるセット外部からの吸気による塵埃の装置内部への侵入を防止し、塵埃がセット内部に潜入しても映像表示素子や光学部品に付着せず、良好な性能が維持する投写型映像表示装置を提供する。
【解決手段】空気の取り入れ側から順に電気的に集塵電極とほぼ同電位に保ったプレフィルタを振動付与部で振動させ付着した塵埃をふるい落とす構成とし、次いで放電電極と対向電極で構成された塵埃帯電部と前記塵埃帯電部により帯電した塵埃を集塵する高圧電極と集塵電極を有する集塵部を設け、前記集塵部を通過した空気を機械的に吸塵する帯電したメインフィルタを配置し、吸い込んだ空気を送風する送風ファン備え、前記送風ファンにより前記照明光学系を構成する部材の一部及び映像表示素子を冷却する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像表示素子と照明光学系を具備し、該照明光学系により得られた光束を映像表示素子により変調しスクリーン上に映像を投影する投写型映像表示装置、例えば、液晶プロジェクタ装置や、反射式映像表示プロジェクタ装置に関し、特に、照明光学系と映像表示素子を冷却するための空気取り込み口に電気的集塵装置と機械式塵埃除去フィルタ或いは機械式塵埃除去フィルタと静電塵埃除去フィルタ併設した投写型映像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
投写型映像表示装置は、光源から出射した光束を照明光学系により映像表示素子である液晶パネル又は反射型液晶パネル、反射型映像表示素子で変調することで得られた映像を投写レンズにより拡大投影する構成であるため、高輝度な光源を必要とする。更に前述の映像表示素子及び照明光学系を構成する所謂光学部品は小型であるため入射光束の面パワー密度が大きくなる。このために、例えば映像表示素子を液晶パネルとした場合には液晶パネルと偏光板あるいは光学部品へ光が吸収され発熱する。
【0003】
更に、光源で発生する熱についてもセット外部に取り出す必要があった。このため従来から特許文献1に記載されているようにモータによってファンを回転させて外気をセット内部に吸気し、前述した光学部品の発熱や光源の熱をセット外部に放出していた。この時、セット外の空気を吸気してセット内部に送風する場合、セット外の塵埃が装置に入り込んでします恐れがあり通常は塵埃除去フィルタを設け構成していた。
【0004】
更にファンによる吸気で塵埃が入り込むのを防止しつつ気流に対する抵抗を生じさせない集塵送風装置及びこれを備えた投写型映像表示装置として特許文献2に記載された構成のものも提案されている。
【0005】
【特許文献1】特開2001−222065号公報
【特許文献2】特開2005−95828号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら特許文献1に記載された塵埃除去フィルタの捕捉効率を向上させるためにはフィルタの開口部分の幅を液晶パネルの画素サイズ(7〜13μm)の半分程度にする必要があるが、空気の流れに対して抵抗(圧損が大きくなる)となり放熱効率が低下すると言う問題点がある。
【0007】
更に特許文献2に記載された集塵送風装置では塵埃除去フィルタの代わりに電気的な集塵手段を設けることで圧損を低減した構成の送風装置を提案している。この電気集塵手段を設けた送風装置では一方側電極によりイオン化された塵埃はメッシュ状の他方電極でクーロン力により吸引され吸着するが、補足率を向上するため電極間隔,形状や印加電圧をパラメータとして最適化されるが、大きさや成分が異なる塵埃を100%捕捉することは極めて困難である。
【0008】
さらに、体積抵抗率が106(Ωcm)以下の低抵抗で小型軽量な塵埃が前記電気集塵器の一方側電極からメッシュ状の他方第一メッシュ電極及び第二メッシュ電極の間に発生するクーロン力で他方前記両電極に吸着される場合に粉塵が数珠状に成長して前記電極間を短絡しリーク電流が発生し電気集塵器の集塵効率が著しく低下することが明らかになった。この結果、電気集塵手段を設けた送風装置を通過しセット内部に侵入した塵埃は前述した電気集塵装置の作用によりイオン化され、映像表示素子や光学部品に活性化した状態で付着するため投影映像の明るさの低下、明るさ及び色斑等が発生し性能上大きな問題となることが実験の結果明らかになった。
【0009】
本発明は、上記の従来技術に鑑み、ファンによるセット外部からの吸気により塵埃が装置内部に入り込むことを防止しつつ、万が一セット内部に塵埃が潜入しても映像表示素子や光学部品に塵埃が付着することなく良好な性能が維持できる投写型映像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明の投写型映像表示装置は、空気の取り入れ側から順に機械的に大粒な塵埃の進入を遮蔽する塵埃除去フィルタと少なくとも一対の正の高圧側電極と負極側電極もしくはアース電極から形成される塵埃荷電部と前記塵埃荷電部により荷電した塵埃を集塵する集塵電極を有する集塵部を配置し、前記集塵部を通過した空気を吸い込んで送風する遠心式送風機とを備え前記遠心式送風機により発生した風により前記照明光学系を構成する部材の一部及び映像表示素子を冷却し、前記塵埃除去フィルタの近傍には該塵埃除去フィルタに振動を与える振動付与部を設ける。
【0011】
また、前述の構成の別表現にて以下に説明する。
【0012】
光源と、前記光源から出射された光束を映像表示素子に入射させる照明光学系と、前記映像表示素子で変調されて得られる映像を投影する投写レンズとを備えた投写型映像表示装置において、少なくとも一対の正極の高電圧側電極と負極側電極もしくはアース電極を備えて塵埃を荷電する塵埃荷電部と、前記塵埃荷電部からの荷電された塵埃を集塵する集塵電極を備えた集塵部と、前記塵埃荷電部の前段の位置で塵埃を除去するフィルタであって、導電性部材を有する塵埃荷電部前段フィルタと、前記集塵部からの空気を送風する送風機とを設け、前記送風機からの空気によって前記照明光学系の部材の一部、または映像表示素子を冷却し、前記塵埃荷電部前段フィルタと前記塵埃荷電部の負極側電極もしくはアース電極をほぼ同電位とするようにする。
【0013】
また、前記集塵部の後段の位置に、塵埃を除去するフィルタである集塵部後段フィルタがるようにする。
【0014】
また、前記塵埃荷電部前段フィルタの近傍に該塵埃荷電部前段フィルタを振動させる振動付与部をるようにする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、冷却用のファンによる吸気で塵埃がセット内部に侵入しにくくするとともにたとえ進入しても光学性能に影響を与えることのない投写型映像表示装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の最良の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、各図において、共通な機能を有する要素には同一な符号を付して示し、一度説明したものについてはその説明を省略する。
【0017】
図1、図3本実施形態の原理を判り易くによる説明するための原理図である。同一の作用を有する部品には同一番号を付して示している。図1に示したようにセット本体に設けた導電性部材により構成された塵埃除去フィルタ1(プレフィルタ)は帯電部6−1に設けた負極(アース)側電極2−1とほぼ同電位になるように電気的に連結されている。
【0018】
前述の構成とすることによって、図1に示すように、帯電部6−1に設けた高圧電源8の正極(高圧)側電極3とその負極(アース)側電極2−1の間で発生するコロナ放電の一部電気力線が、前記機械式の塵埃除去フィルタ1(プレフィルタ)に対して、広がり、接近する現象の生ずることを発見した。
【0019】
当該電気力線の広がり、分布する現象、特性があることによって、図3に示すように塵埃除去フィルタ1(プレフィルタ)に空気中に浮遊する塵埃aの一部が付着することも発見した。従って、図1に示すような構成として、発生させた電気力線の働き、現象、特性を積極的に用いることによって、塵埃などの浮遊物を塵埃除去フィルタ1(プレフィルタ)に付着させて、除去、取り除くようにする。
【0020】
言い換えると、前述の電気力線の特性を利用することで、塵埃などの浮遊物を塵埃除去フィルタ1に付着させ除去するような構成とするのである。
【0021】
また、前述した電気集塵器の集塵効率を著しく低下させる体積抵抗率が106(Ωcm)以下の低抵抗で小型軽量な塵埃が、セット内部に侵入するのを前記塵埃除去フィルタは抑える働きをする。
【0022】
しかしながら、前記塵埃除去フィルタに塵埃などが付着すると、当該塵埃除去フィルタを通る空気などの雰囲気が流れを妨げたりすることが生ずることがある。若しくは、前記塵埃除去フィルタの所謂目詰まりなどの起こる原因ともなりかねない。
【0023】
従って、前記塵埃除去フィルタに付着した塵埃などを取り除き、目詰まりなどが生じ難くして、当該塵埃除去フィルタを通る空気などの雰囲気の流れを良好な状態とすることが好ましい。
【0024】
よって、前記塵埃除去フィルタ1(プレフィルタ)の近傍には塵埃除去フィルタを振動させる振動付与部(図示せず)として、例えば振動モータを配置し、投写型映像表示装置の起動・稼動前後いずれか一方もしくは両方ないしは稼動中に電気集塵器の動作を停止させ、これにほぼ同期させて前記振動モータを振動させることで塵埃除去フィルタ1を振動させ、表面に付着した塵埃を振動により、ふるい落とす構成とする。
【0025】
更に説明すると、当該投写型映像表示装置の起動開始、稼動開始の前、または、当該投写型映像表示装置の停止処理の後のいずれか一方もしくは両方ないしは稼動中に前記集塵部の動作を停止させ、これにほぼ同期させて前記振動付与部を振動させることとし、塵埃除去フィルタ1を振動させ、表面に付着した塵埃を振動により、ふるい落とす構成とする。
【0026】
この結果、塵埃除去フィルタ1の表面は投写型映像表示装置が起動・稼動するたびに表面に付着した粉塵は浄化され、この部分では集塵効率の低下が改善されるという効果が得られる。
【0027】
次に、図3に示したように帯電部6−1に設けた高圧電源8の正極(高電圧)側電極3とその負極(アース)側電極2−1の間でコロナ放電を発生させ、塵埃bを正に荷電させ、コレクタ(集塵)部6−2には高圧電源9の正極(高電圧)側電極4とコレクタ(集塵)電極2−2を設けた構成とする。前述の帯電部6−1を通過することで正に荷電した塵埃bは、高圧電極4に反発するとともに正電荷によるクーロン力によりコレクタ電極2−2に吸着する。
【0028】
更に、最終段に備えた機械式の塵埃除去フィルタ5(メインフィルタ)により吸引した空気の塵埃を除去し、遠心式送風機により照明光学系を構成する部材の一部及び映像表示素子を冷却する構成とする。
【0029】
この時、機械式塵埃除去フィルタ5には、静電型のフィルタを用いる事で更に集塵効率を向上させることができることは言うまでも無い。図4は本願発明の実施例である集塵装置(電気式集塵装置と機械式塵埃除去フィルタの組み合わせ)10の全体構成を示す配置図である。同図に示すようにセット内部に外部電源回路11を併設している。
【0030】
また、前記塵埃除去フィルタ1(プレフィルタ)の設け方は、前述のようにセット本体に設けることも出来るが、これに限定されるものではなく、例えば、前記集塵装置10と組合せるような構成であってもよい。但し、塵埃を荷電させる塵埃荷電部の前記帯電部6−1よりも前段に設けるようにする。従って、前記塵埃除去フィルタ1(プレフィルタ)のことを、例えば、塵埃荷電部前段フィルタと呼ぶものとしても良い。
【0031】
また、塵埃除去フィルタ5(メインフィルタ)を図4では、集塵装置10の内部に配置するように例示しているが、これに限定されるものではなく、例えば、集塵装置10の外部に設けるような構成であっても良い。但し、荷電された塵埃を集塵する集塵電極2−2を有する集塵部6−2よりも後段に設けるようにする。従って、前記塵埃除去フィルタ5(メインフィルタ)のことを、例えば、集塵部後段フィルタと呼ぶものとしても良い。
【0032】
図2、図5及び図6は従来技術としての集塵装置(電気式集塵装置と機械式塵埃除去フィルタの組み合わせ)10の全体構成を示す配置図である。図6に示すようにセット内部に外部電源回路11を併設している。塵埃除去フィルタ1’は本願発明と異なり帯電部6−1に設けた負極(アース)側電極2−1と電気的に連結されていないので高圧電源8の正極(高圧)側電極3とその負極(アース)側電極2−1の間で発生するコロナ放電の一部電気力線が広がることがない。このため塵埃除去フィルタ1は目付け数により捕捉する塵埃の寸法が異なる単なる機械式としての機能を有する。
【0033】
図6は従来技術としての集塵装置(電気式集塵装置と機械式塵埃除去フィルタの組み合わせ)10の全体構成を示す配置図である。本願発明の集塵装置との違いは塵埃除去フィルタ1が電気的に浮いた状態となっている点である。
【0034】
以上本願発明の集塵装置の構成と従来の集塵装置の構成について比較説明を行った。次に冷却用ファンを含めたセット内部の照明光学系の配置及び作用について図7及び図8を用いて説明する。
【0035】
図7において、光源ユニット101から出射した光束は、UVカットフィルタ102で紫外線をカットされ、インテグレータとしての一対のマルチレンズアレイ103a・103bに入射する。なお、通常、紫外線カットは、他の光学素子でも行うが、赤外線カットも含め、本発明の要点ではないので詳しい記載を省略する。
【0036】
マルチレンズアレイ103a・103bには、凸レンズ(セル)が二次元状に配置されており、マルチレンズアレイ103aに入射した光束は、マルチレンズアレイ103bの各セルに光源像を二次元状に形成する。それぞれ集光した光源像は、偏光変換素子104で自然光は振動方向が一定方向の直線偏光に変換される。
【0037】
これは、後述する映像表示素子122a・122b・122cが、振動方向が一定方向の直線偏光のみしか通過させないからである。マルチレンズアレイ103a・103bで二次元状に分割された光源像は、重畳作用を有する重畳レンズ105により、映像表示素子122a・122b・122cの映像表示面に重畳される。
【0038】
なお、重畳レンズ105と映像表示素子122a・122b・122cの間にある色分解光学系で、赤色・緑色・青色の3色に分解される。
【0039】
重畳レンズ105を通り全反射ミラー106a(図10には存在せず)で光路折り返された偏向方向が一定の光束は、先ず、第1のダイクロイックミラー107aによって、青色の光束が透過し、赤色と緑色が反射される。青色の光束は全反射ミラー106bで反射されコンデンサレンズ108bを経て青色用の映像表示素子122bに照射される。
【0040】
赤色と緑色は、第2のダイクロイックミラー107bによって、緑色の光束が反射し、赤色が透過する。緑色の光束はコンデンサレンズ108aを経て緑色用の映像表示素子122aに照射される。赤色の光束は、全反射ミラー106c・106dで反射されコンデンサレンズ108cを経て赤色用の映像表示素子112cに照射される。なお、赤色の光路はその光路長が青色や緑色より長いので、リレーレンズ109・110を用いてさらに写像されている。
【0041】
青色用の映像表示素子122bと、緑色用の映像表示素子122aと、赤色用の映像表示素子122cに照射された各光束は、クロスプリズム111により色合成され、投射レンズ120に入射する構成となっている。
【0042】
なお、以上の照明光学系の原理説明において、実際の照明光学系に存在する所定の偏光光線以外の光線をカットする偏光板や、各色の偏光光線の振動方向を制御する位相差板についてはここでは説明を省略する。
【0043】
図7は冷却ファン112b(図示せず)をセットに対して縦置きにした場合の構成を示す配置図で、セット本体に取り付けられた塵埃除去フィルタ1の近傍には振動付与部200を設ける。振動付与部200としては例えば携帯電話に使用している着信表示用の振動モータなどが安価で効率が良い。この振動モータをセット使用前後もしくは使用中でも電気集塵器が未稼動な時間に振動させることで前記塵埃除去フィルタ1の表面に付着した塵埃をふるい落とす構成とする。
【0044】
この結果、塵埃除去フィルタ1の表面は投写型映像表示装置が稼動するたびに表面に付着した粉塵は浄化されこの部分では集塵効率の低下が発生しないという本願発明に基づく効果が得られる。
【0045】
上述した塵埃除去フィルタ1と集塵装置(電気式集塵装置と機械式塵埃除去フィルタの組み合わせ)10を通過した空気は冷却ファン112b(図示せず)によりダクト113を通して映像表示素子や偏向板(図示せず)を冷却する。ここでは集塵装置10はセット内部に設けた電源回路から必要な電力を供給されるように図示しているが、集塵装置10と一体の構成としてもよい。
【0046】
次に図8は冷却ファン112aをセットに対して横置きにした場合の構成を示す配置図で、図7に示した実施例と同様にセット本体に取り付けられた機械式の塵埃除去フィルタ1と集塵装置(電気式集塵装置と機械式塵埃除去フィルタの組み合わせ)10を通過した空気は冷却ファン112b(図示せず)によりダクト113を通して映像表示素子や偏向板(図示せず)を冷却する。
【0047】
図9は本願発明の集塵装置10と送風ファン112b(図示せず)、112a(図示せず)及びダクト113が照明光学系の主要部品である映像表示素子122c、122b、122a及びクロスプリズム(図示せず)に対してどのように配置されているかを示す具体的な実施例を示す図である。
【0048】
セット外部から塵埃を含んだ空気を集塵装置10により集塵しセット内部に取り込み、送風ファン112a,112b(図示せず)によりダクト113を通して送風し照明光学系の主要部品を冷却する。
【0049】
具体的には、セット本体に設けた機械式の塵埃除去フィルタ1(プレフィルタ)には帯電部6−1に設けた高圧電源8の正極(高圧)側電極3とその負極(アース)側電極2−1の間で発生するコロナ放電の一部電気力線が広がると、図3に示したように塵埃除去フィルタ1(プレフィルタ)に空気中に浮遊する塵埃aの一部が付着し、小型軽量な塵埃がセット内部に侵入するのを抑える働きをする。
【0050】
また前記塵埃除去フィルタ1(プレフィルタ)の近傍には塵埃除去フィルタを振動させる振動付与部200として、例えば振動モータを配置し、投写型映像表示装置の稼動前後いずれか一方もしくは両方ないしは稼動中に電気集塵器の動作を停止させ、これにほぼ同期させて前記振動モータを振動させることで塵埃除去フィルタ1を振動させ、表面に付着した塵埃を振動によりふるい落とす構成とする。
【0051】
このため、塵埃除去フィルタ1の表面は投写型映像表示装置が稼動するたびに表面に付着した粉塵はふるい落とされこの部分では集塵効率の低下が発生しない。
【0052】
ついで集塵装置10の内部では、図1を用いて基本原理を説明したように正極(高圧)側電極3とその負極(アース)側電極2の間でコロナ放電を発生させ塵埃bを正に荷電させ、コレクタ部に設けた正極(高圧)側電極4とコレクタ電極2により正に荷電した塵埃を高圧電極4に反発するとともに正電荷によるクーロン力によりコレクタ電極2に吸着させる。
【0053】
更に静電型の塵埃除去フィルタ5(メインフィルタ)を最終段に配置し吸引した空気の塵埃を除去し、送風ファン112a,112b(図示せず)より照明光学系を構成する部材の一部及び映像表示素子を冷却する構成とした
上記構成の実施例において、前記電気集塵器による塵埃の除去に加えて、前記塵埃除去フィルタ1(プレフィルタ)を振動させ、表面に付着した塵埃を振動によりふるい落とすようにしたことで、塵埃除去フィルタ1の表面は投写型映像表示装置が稼動するたびに表面に付着した粉塵はふるい落とされこの部分では集塵効率の低下が発生しないようにすることが可能となった。
【0054】
なお、電気的・機械的に吸塵する帯電したメインフィルタとして東洋紡 不織布フィルタ(24NH)を用いるほか、超低圧損フィルタである3M製HAF(High Air Flow)フィルタを使用すると電気集塵装置において塵埃が正電荷に帯電しているので、ファンの圧損を損なうことなく集塵効率を飛躍的に向上できることが確認された。
【0055】
また、本願発明の実施例において、電気集塵装置10のコロナ放電発生時に発生するオゾンを分解する触媒フィルタをメインフィルタと併設する事でオゾン臭を低減できる事は言うまでも無い。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、映像表示素子と照明光学系を具備し、該照明光学系により得られた光束を映像表示素子により変調しスクリーン上に映像を投影する投写型映像表示装置、例えば、液晶プロジェクタ装置や、反射式映像表示プロジェクタ装置に関し、特に防塵性に優れた投射型映像表示装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施形態の原理説明図である。
【図2】従来技術の実施形態の原理説明図である。
【図3】本発明の実施例としての集塵装置の全体構成を示す構成図である。
【図4】本発明の実施例としての集塵装置の全体構成を示す構成図である。
【図5】従来技術の実施例としての集塵装置の全体構成を示す構成図である。
【図6】従来技術の実施例としての集塵装置の全体構成を示す構成図である。
【図7】本発明の投写型映像表示装置の実施例の構成を示す構成図である。
【図8】本発明の投写型映像表示装置の実施例の構成を示す構成図である。
【図9】本発明の実施例としての集塵装置を含めた主要部の構成を示す構成図である。
【符号の説明】
【0058】
1…塵埃除去フィルタ,2−1…アース側電極,2−2…コレクタ電極,3…正極側電極,4…正極側電極,5…機械式塵埃除去フィルタ,6−1…帯電部,6−2…コレクタ部,8…高圧電源,9…高圧電源,10…集塵装置,11…外部電源,112a…送風ファン,112b…送風ファン,120…投写レンズ、122a,122b,122c…映像表示素子、101…光源ユニット、102…UVカットフィルタ、103a,103b…マルチレンズアレイ、104…偏光変換素子、105…重畳レンズ、106a、106b,106c,106d…全反射ミラー、107a,107b…ダイクロイックミラー、108a,108b,108c…コンデンサレンズ、109、110…リレーレンズ、111…クロスプリズム、113…ダクト、200…振動付与部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源から出射された光束を映像表示素子に入射させる照明光学系と、
前記映像表示素子で変調されて得られる映像を投影する投写レンズと
を備えた投写型映像表示装置において、
少なくとも一対の正極の高電圧側電極と負極側電極もしくはアース電極を備えて塵埃を荷電する塵埃荷電部と、
前記塵埃荷電部からの荷電された塵埃を集塵する集塵電極を備えた集塵部と、
前記塵埃荷電部の前段の位置で塵埃を除去するフィルタであって、導電性部材を有する塵埃荷電部前段フィルタと、
前記集塵部からの空気を送風する送風機と
を設け、
前記送風機からの空気によって前記照明光学系の部材の一部、または映像表示素子を冷却し、
前記塵埃荷電部前段フィルタと前記塵埃荷電部の負極側電極もしくはアース電極をほぼ同電位とした
ことを特徴とする投写型映像表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の投写型映像表示装置において、
前記集塵部の後段の位置に、塵埃を除去するフィルタである集塵部後段フィルタが設けられる
ことを特徴とする投写型映像表示装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の投写型映像表示装置において、
前記塵埃荷電部前段フィルタの近傍に該塵埃荷電部前段フィルタを振動させる振動付与部を設けた
ことを特徴とする投写型映像表示装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載の投写型映像表示装置において、
前記送風機の一部を略接地の電位を有する部位と電気的に接続したことを特徴とする投写型映像表示装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載の投写型映像表示装置において、
前記送風機からの空気を通す通風路を設け、
該通風路に導電性処理を施し、該通風路の一部を略接地の電位を有する部位と電気的に接続したことを特徴とする投写型映像表示装置。
【請求項6】
請求項3乃至5の何れかに記載の投写型映像表示装置において、
前記振動付与部を振動させることで前記塵埃除去フィルタを振動させて、付着した塵埃の少なくとも一部を除去することを特徴とする投写型映像表示装置。
【請求項7】
請求項3乃至6の何れかに記載の投写型映像表示装置において、
前記振動付与部を振動モータで構成したことを特徴とする投写型映像表示装置。
【請求項8】
請求項3乃至7の何れかに記載の投写型映像表示装置において、
当該投写型映像表示装置の起動開始、稼動開始の前、または、当該投写型映像表示装置の停止処理の後のいずれか一方もしくは両方ないしは稼動中に前記集塵部の動作を停止させ、当該停止にほぼ同期させて前記振動付与部を振動させる
ことを特徴とする投写型映像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−128030(P2010−128030A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−300341(P2008−300341)
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】