投写型映像表示装置
【課題】光源ランプの寿命に関する情報について継続的なOSD表示を実行し易くした投写型映像表示装置を提供すること目的とする。
【解決手段】本発明の投写型映像表示装置は、入力された映像信号が映像信号処理され、映像信号処理された映像信号に基づいて光源ランプからの照明光が変調処理されて主映像が表示される。また、操作部において光源ランプの寿命に関する情報の報知のためのOSD表示データが入力され、入力されたOSD表示データに基づき光源ランプの寿命に関する情報が副映像としてOSD表示される。さらに、前記副映像は、継続的に表示可能に構成されるとともに、背景にある主映像を視認できるように透過表示される。
【解決手段】本発明の投写型映像表示装置は、入力された映像信号が映像信号処理され、映像信号処理された映像信号に基づいて光源ランプからの照明光が変調処理されて主映像が表示される。また、操作部において光源ランプの寿命に関する情報の報知のためのOSD表示データが入力され、入力されたOSD表示データに基づき光源ランプの寿命に関する情報が副映像としてOSD表示される。さらに、前記副映像は、継続的に表示可能に構成されるとともに、背景にある主映像を視認できるように透過表示される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投写型映像表示装置に係り、特に、光源ランプの寿命に関する情報を画面に表示するようにした投写型映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、スクリーンに画像を投写する投写型映像表示装置(プロジェクタ)は、光源ランプからの光を液晶パネルのような光変調装置により変調し、変調された光をスクリーンに投写することにより映像を表示している。ところで、このような投写型映像表示装置において、光源に利用される光源ランプの寿命は、光源ランプの点灯積算時間に支配されている。また、光源ランプの点灯積算時間が光源ランプの寿命に近づくか光源ランプの寿命を超えると、ランプ特性の劣化や故障により光源ランプが使用不可能となる可能性が高くなり、光源ランプの信頼性が低下する。このため、光源ランプは、光源ランプの寿命に達した場合には交換する必要がある。また、投写型映像表示装置においては、光源ランプの寿命に関する情報を報知する報知手段が開発されている。
【0003】
このような報知手段としては、音声による報知手段、筐体等に設けられたLED等の表示素子による報知手段、オンスクリーンディスプレイ(以下OSD表示という)による報知手段などが存在している。音声による報知手段としては、例えば、特許文献1及び2に記載のものがある。また、LED等の表示素子による報知手段としては、例えば、特許文献3及び4に記載のものがある。また、OSD表示による報知手段としては、例えば、特許文献5及び6に記載のものがある。なお、OSD表示は、一般に、本来的に表示しようとする主映像の一部にテロップ、字幕、設定メニューなどの副映像を重畳して表示する技術である。また、このようなOSD表示に関し、特許文献7及び8のように副映像を透過表示させる技術も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−292857号公報
【特許文献2】特開2007−65403号公報
【特許文献3】特開2005−85629号公報
【特許文献4】特開2007−79089号公報
【特許文献5】特開平10−191192号公報
【特許文献6】特開2002−287243号公報
【特許文献7】特開2004−7238号公報
【特許文献8】特開2007−132984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このような報知手段では次のような問題があった。
音声による報知手段は、継続的に音声出力を行うと雑音となリ不快感を与えることになるため、一時的な音声出力とせざるを得ない。しかしながら、一時的な音声出力ではデジタルサイネージのような応用分野においては、管理者や保守担当者が常時看視しているわけではないので、光源ランプ交換の時期を逸してしまう懸念がある。
【0006】
また、LED等の表示素子による報知手段は、筐体に取り付けられた表示部を目視する必要がある。しかし、デジタルサイネージの分野では、投写型映像表示装置が装飾用筐体内に収納されることがあり、展示中は筐体を開いて表示素子を確認することができないので、このような報知手段の場合も光源ランプ交換の時期を逸してしまう懸念がある。
【0007】
また、OSD表示による報知手段は、主映像に対し重ねるように副映像として表示されるため、視聴者の目に付き易いという利点がある。しかし、OSD表示による報知手段は、1個の光源ランプを使用している場合には、光源ランプが切れてしまうと表示できなくなるという問題がある。このため、早い段階からOSD表示機能を働かせるとともに、継続的かつ長期的に光源ランプの寿命に関する情報を流す必要があると考えられる。しかしながら、従来のOSD表示による報知手段は、主映像の視聴をできるだけ妨げないようにすることについて配慮が不足していた。例えば、OSD表示が重ねられる部分の主映像を見ることができないため、継続的、かつ長期的な表示を行うと視聴者に不快感を与える恐れがあった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑み、光源ランプの寿命に関する情報について継続的なOSD表示を実行し易くした投写型映像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る投写型映像表示装置は、入力された映像信号が映像信号処理され、映像信号処理された映像信号に基づいて光源ランプからの照明光が変調処理されて主映像が表示されるとともに、操作部において光源ランプの寿命に関する情報の報知のためのOSD表示データが入力され、入力されたOSD表示データに基づき光源ランプの寿命に関する情報が副映像としてOSD表示される投写型映像表示装置であって、前記副映像は、継続的に表示可能に構成されるとともに、背景にある主映像を視認できるように透過表示されることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、光源ランプの寿命に関する情報が副映像として継続的にOSD表示されるので、光源ランプの寿命が来る前に予め視聴者又は管理者に対し光源ランプの寿命情報を継続的に、かつ長期的に報知することができる。したがって、視聴者又は管理者が光源ランプの寿命に関する情報を見逃すことを防止することができる。また、光源ランプの寿命に関する情報についての副映像が透過表示されるので、長時間にわたる副映像の表示と主映像の表示とを両立させることができる。
【0011】
また、前記OSD表示データには、副映像の透過度を0から100の間で段階的又は無段階に設定する項目が含まれているようにすることが好ましい。このように構成すれば、視聴者の希望に応じた透過率とすることができるので、副映像と主映像の表示を両立させることが容易になる。
【0012】
また、前記OSD表示データには、副映像の表示をON,OFFする項目が含まれていることが好ましい。このようにすれば、光源ランプが寿命に近づいた頃とか、光源ランプの寿命がどうなっているかが気掛かりになったときとかなどの、使用者の希望時期に副映像を表示させることができる。
【0013】
また、前記OSD表示データには、光源ランプの交換の要否を報知する内容が含まれており、このランプ交換要否の報知は、予め記憶部に入力されている光源ランプの寿命及びランプ点灯積算時間から判断されることが好ましい。光源ランプの寿命に関する表示項目としては種々のものが考えられるが、光源ランプの交換の要否が最も必要とされるものである。
【0014】
また、前記副映像は、文字により光源ランプの状態を示す表示を含むことができる。このようにすると、光源ランプの寿命に関する情報を分かり易く表現して報知することができる。
【0015】
また、前記副映像は、記号により光源ランプの状態を示す表示を含むようにすることができる。このようにすると、光源ランプの寿命に関する情報を狭いスペースを使用して容易に報知することができるので、主映像との両立を行い易くなる。
【0016】
また、前記副映像は、光源ランプの交換が必要な場合に主映像の周囲を曇らせて額縁のような状態とする表示を含むようにすることができる。このようにすると、主映像の視聴を阻害しないシンプルな形態で光源ランプの寿命に関する情報を報知することができる。
【0017】
また、前記副映像は、光源ランプの寿命までの残時間を示す表示を含むようにすることができる。このようにすると、光源ランプの交換時期を予告することになるので、使用者に早めの準備を促すことができる。
【0018】
前記光源ランプは1個であり、前記OSD表示データ及び前記副映像はこの1個の光源ランプに関するものであるようにすることができる。このようにすることにより、1個の光源ランプを使用する投写型映像表示装置に本発明を適用することができる。
【0019】
前記光源ランプは複数個であり、前記OSD表示データ及び前記副映像はこの複数個の光源ランプに関するものであるようにすることができる。このようにすることにより、複数個の光源ランプを使用する投写型映像表示装置に本発明を適用することができる。
【0020】
前記OSD表示データには、前記複数個の光源ランプに関する副映像を、光源ランプ毎に順次OSD表示するスクロール表示を行うか、スクロール表示を行わずに全ての光源ランプについて一括表示するかを選択する項目が含まれていることが好ましい。このように構成すれば、全ての光源ランプについて一括表示すると、全ての光源ランプの寿命に関する情報を一度に見ることができるが、副映像の表示スペースが大きくなり主映像の視聴を阻害することになるので主映像と副映像の両立が難しくなる。これに対し、スクロール表示を選択した場合は、副映像の表示スペースが小さくなるので、主映像と副映像の両立が容易になる。
【0021】
また、前記スクロール表示は、寿命に達していなくて正常に点灯することができる光源ランプについての表示を省略することが好ましい。このようにすることにより副映像の表示が簡素化される。
【0022】
また、前記OSD表示データには、前記スクロール表示におけるスクロール周期が含まれていることが好ましい。このようにすると、使用者の希望に応じた周期でスクロ−ル表示することができるので、スクロール表示が見易くなる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る投写型映像表示装置によれば、光源ランプの寿命に関する情報が副映像として継続的にOSD表示されるので、光源ランプの寿命が来る前にOSD表示機能を働かせることにより、視聴者又は管理者に対し光源ランプの寿命情報を継続的に、かつ長期的に報知することができる。したがって、視聴者又は管理者が光源ランプの寿命に関する情報を見逃すことを防止することができる。また、副映像は透過表示されるので、長時間にわたる副映像の表示と主映像の表示とを両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態1に係る投写型映像表示装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
【図2】同投写型映像表示装置におけるOSD表示のためのユーザメニューを説明する図である。
【図3】同投写型映像表示装置におけるOSD表示データ入力画面を示す図である。
【図4】同投写型映像表示装置において記憶部に記憶されるOSD表示データを説明する図である。
【図5】同投写型映像表示装置において記憶部に記憶される光源ランプの寿命に関する情報を説明する図である。
【図6】同投写型映像表示装置におけるOSD表示に関するフローチャートである。
【図7】同投写型映像表示装置におけるOSD表示画面の例を説明する図である。
【図8】同投写型映像表示装置における他のOSD表示画面の例を説明する図である。
【図9】本発明の実施の形態2に係る投写型映像表示装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
【図10】同投写型映像表示装置におけるOSD表示のためのユーザメニューを説明する図である。
【図11】同投写型映像表示装置において記憶部に記憶されるOSD表示データを説明する図である。
【図12】同投写型映像表示装置において記憶部に記憶される光源ランプの寿命に関する情報を説明する図である。
【図13】同投写型映像表示装置におけるOSD表示に関するフローチャートである。
【図14】同投写型映像表示装置におけるスクロール表示の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(実施の形態1)
先ず、本発明の実施の形態に係る投写型映像表示装置である3板式液晶投写型映像表示装置について図1に基づき概略構成を説明する。
【0026】
この投写型映像表示装置は、映像を生成するための要素として、映像信号入力部11、映像信号処理部12、OSD処理部13、液晶パネル駆動部14、液晶パネル15、ランプ電源部16及び光源ランプ17を備えている。また、光源ランプの寿命に関する情報をOSD表示するために操作部21、時間計測部22及び記憶部23を備えている。さらに、この投写型映像表示装置は、装置全体の動作を行なうための制御部24及び電源部25を備えている。
【0027】
映像信号入力部11は、入力端子11aを介し各種映像再生機器からの主映像信号が入力される。また、映像信号入力部11には、アナログPC、デジタルPC、ビデオ、テレビなどの各種映像再生機器からの各種映像信号に対応し得るようにアナログI/F、デジタルI/F、ビデオI/Fなどの入力インターフェースが備えられている。そして、映像信号入力部11に入力された主映像信号は、A/D変換、デコード等の適宜の処理が施されてデジタル信号に変換されて映像信号処理部12へ出力される。
【0028】
映像信号処理部12は、入力された主映像信号に対しスケーリング処理、ガンマ補正、輝度補正などの一般的な映像処理が行われ、このような処理が行われた主映像信号がOSD処理部13へ出力される。
【0029】
OSD処理部13は、後述する制御部24から送信される「ランプ交換フラグ」が1の場合には、制御部24から出力されるOSD表示データに基づき副映像信号を生成するとともに、映像信号処理部12から入力された主映像信号に対しこの副映像を透過表示するように合成する。そして、この合成映像信号は液晶パネル駆動部14へ出力される。なお、後述する制御部24から送信される「ランプ交換フラグ」が0の場合には、ランプ交換の必要がなく副映像信号は生成されず、主映像信号のみが液晶パネル駆動部14へ出力される。
【0030】
液晶パネル駆動部14において、OSD処理部13から入力された合成映像信号が緑色光用、赤色光用及び青色光用の各液晶パネルから成る液晶パネル15を駆動することができる信号形態に変換される。また、この液晶パネル駆動部14において、緑色光用、赤色光用及び青色光用の各液晶パネル15を駆動のための駆動パルスが同時に生成される。
【0031】
液晶パネル15は、入力された映像信号に応じた回転角を持ち、分離光学系(図示せず)からの光を透過させることにより映像を作り出す。その表示映像は、投写光学系(図示せず)により所定距離離れた場所にあるスクリーンなどに結像される。
【0032】
ランプ電源部16は、電源部25からの電力供給を受け、光源ランプ17を点灯させるために高電圧を発生して放電回路を形成するイグナイタ回路と、点灯後の安定した点灯状態を維持するためのバラスト回路とを含んで構成されている。また、このランプ電源部16においては、光源ランプ17の点灯状態と消灯状態とが検出され、制御部24に伝達されている。
【0033】
光源ランプ17は、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプなどの放電型ランプが発光体として使用されるととともに、発光体からの照射光がリフレクタによって平行光となって、発光体の軸方向に出射されるように構成されている。また、この実施の形態においては、光源ランプ17の使用個数は1個である。
【0034】
その項目に関してさらに説明すると、「OSD表示の継続」は、継続的なOSD表示を希望するか否かを設定するものであり、希望するときはONに設定され、希望しないときにはOFFに設定される。また、「ON」が設定されたときは、その下に続く「透過率」及び「表示形式」の設定項目の選択が可能になる。
【0035】
「透過率」は、副映像の透過率を設定する。透過率が高くなるほど、副映像が透けて見え副映像の下に重ね合わされた主映像が見えるようになる。すなわち、透過率が100%のときは、主映像を表示するための光線は全て透過され、スクリーン上には主映像が通常に表示される。そして、透過率が減少するに従い、主映像を表示するための光線の透過量が減少し、透過率が0%になると、主映像を表示するための光線は透過しなくなり、副映像のみが表示されるようになる。この実施の形態においては、この「透過率」は、0〜100%の数値を段階的又は無段階に選択可能に構成されている。
【0036】
また、「表示形式」は、表示する副映像を文字か、記号か、主映像の演出効果を最大限に妨げない表示と考えられる額縁映像とするかを選択する。文字を選択すれば、誰でもが容易にランプ交換の要否などの状態を判別することができる。また、学校などの教育分野では、交換の必要性などのランプの状態を明確に表現することのほうが好ましいと考えられる。メンテナンスを専門業者に委託していない学校では、メンテナンスへの気配りが行き届かない場合も考えられるので、明確な表示が有効と考えられる。文字による表示例は、ランプ交換の必要性がある場合に「LAMP REPLACE」と表示する。また、記号表示を選択すると表現スペースを小さくすることができるので主映像との両立性を取ることが容易になりやすいが、どのような状態を表現するかを取扱説明書などにより学習しておく必要がある。記号の表示例は、ランプ交換の必要性がある場合に画像の角部に「○」、「□」などの適宜のマークを表示する。
【0037】
図3は、操作部21における上記設定項目についての入力画面の一例を示している。選択された部分がハイライトされるように構成されている。この図では、「OSD表示の継続」の項目における[ON]及び「表現形式」における「文字」がハイライトされている。また、このような入力画面で入力された入力データは、OSD表示データとして制御部24へ送られる。
【0038】
時間計測部22は、光源ランプ17の点灯時間を計測しこれを積算する。この時間計測部22で測定された光源ランプ17のランプ点灯積算時間は制御部24に送信される。
記憶部23は、RAM型メモリーにより構成されており、操作部21から制御部24に送信された入力データをOSD表示データとして記憶する。図4は、OSD表示データとして記憶部に記憶される一例を示すものである。すなわち、この例によれば、「OSD表示の継続」は「ON」であり、「透過率」は「30%」であり、「表示形式」は「文字」である。
【0039】
また、記憶部23は、予め格納された光源ランプの寿命を記憶するとともに、時間計測部22で測定された「ランプ点灯積算時間」、「光源ランプの寿命」及びこれらを基に制御部24において判断される「ランプ交換フラグ」を記憶している。図5は、その内容を例示するものである。この例によれば、「光源ランプの寿命」として、2000時間が予め入力されて記憶されている。また、「ランプ点灯積算時間」として、時間計測部22で計測されたランプ点灯積算時間である2010時間が記憶されている。さらに、制御部24において判断された「ランプ交換フラグ」として「1」が記憶されている。「ランプ交換フラグ」が「0」の場合はランプ交換が不要であり、「ランプ交換フラグ」が「1」の場合はランプ交換が必要であることを意味する。ここでは、後述する制御部24における判断に基づき「1」が記憶されている。
【0040】
制御部24は、各部との信号のやり取りを行い、投写型映像表示装置全体の動作が支障なく行われるように各部を制御する。さらに、副映像信号処理に関して、操作部21において入力された入力データを受け付け記憶部23に格納する。また、時間計測部22で測定されたランプ点灯積算時間を記憶部23に格納する。また、制御部24は、記憶部23に記憶されている光源ランプの寿命と時間計測部22で測定されたランプ点灯積算時間を対比して「ランプ交換フラグ」を生成して記憶部23に格納する。「ランプ交換フラグ」は、前述のようにランプ交換が不要の場合「0」であり、ランプ交換が必要の場合は「1」とされるが、ランプ交換の要否は、ランプ点灯積算時間(この例では2010時間)と光源ランプの寿命(この例では2000時間)との比較により行われる。例えば、ランプ点灯積算時間が2000時間未満ではランプ交換不要とされ、「ランプ交換フラグ」が「0」とされる。また、ランプ点灯積算時間が2000時間以上の場合はランプ交換必要と判断され、「ランプ交換フラグ」が「1」とされる。したがって、上記例の場合、「ランプ交換フラグ」は「1」となる。
【0041】
そして、制御部24は、操作部21においてユーザメニュー「OSD表示の継続」について「ON」が選択された場合に、記憶部23に記憶されたOSD表示データ及び光源ランプの寿命に関する情報を読み出し、これらをOSD処理部13へ送信する。そして、「ランプ交換フラグ」が「1」の場合に、OSD処理部13において副映像が生成されるように制御している。
【0042】
電源部25は、外部電源25aからの交流電力をプラグから導き、内蔵するAC/DC変換部にて変圧、整流及び平滑などの処理を施して安定化させた直流電圧を各部に供給するように構成されている。
【0043】
以上のように構成された投写型映像表示装置は、図6に示すフローチャートのように制御されて光源ランプの寿命に関する情報が副映像として表示制御される。これについて詳細に説明する。
【0044】
この投写型映像表示装置では、操作部21から入力されたOSD表示データは、停止時のデータが次の起動時に引き継がれるように構成されている。そこで、先の停止時においてユーザメニュー「OSD表示の継続」について「ON」が選択されている場合には、電源が投入されて待機状態から光源ランプ17の点灯状態へ遷移すると、光源ランプの寿命に関する情報を副映像として表示するOSD表示機能が開始される。また、待機状態から光源ランプ17の点灯状態への遷移は、起動画面の終了により確認されるので、電源が投入されると先ず起動画面が終了したか否かが監視される(ステップS1)。なお、先の停止時において、ユーザメニュー「OSD表示の継続」について「OFF」が選択されている場合には、このシステムは起動しない。ただし、投写型映像表示装置の起動後に随時操作部21を操作してOSD表示データを変更することができるように構成されている。したがって、投写型映像表示装置の起動後にユーザメニュー「OSD表示の継続」について「ON」を選択することができる。そして、投写型映像表示装置の起動後にユーザメニュー「OSD表示の継続」について「ON」が選択された場合には、上記と同様にOSD表示機能が開始され、ステップ1の判断が行われる。一方、これとは逆に、投写型映像表示装置の起動後にユーザメニュー「OSD表示の継続」について「OFF」が選択された場合には、OSD表示機能が停止される。以下は、ユーザメニュー「OSD表示の継続」について「ON」が選択されている場合についての説明である。
【0045】
ステップ1において起動画面の終了が確認されると、ステップ2に進む。ステップ2においては、記憶部23に記憶されているOSD表示データ及び光源ランプの寿命に関する情報が読み出されて制御部24からOSD処理部13へ送信される。ここで、「ランプ交換フラグ」が「1」の場合は、OSD処理部13において副映像が生成されるとともに、主映像に対し副映像が透過表示されるように合成される(ステップS2)。また、「ランプ交換フラグ」が「0」の場合は、ランプ交換の必要がないため副映像信号は生成されない。なお、記憶部23に記憶されているOSD表示データは図4に記載のものであり、光源ランプの寿命に関する情報は図5に記載のものである。
【0046】
そして、この合成映像信号が液晶パネル駆動部14に出力され、この合成映像信号に従って液晶パネル15が制御され光変調された合成映像光が投写されてOSD表示される(ステップS3)。なお、図4及び図5の記憶データに基づきOSD表示される副映像は、図7に例示されるようなものであって、光源ランプの寿命に関する情報である。すなわち副映像が文字「LANP REPLACE」により表示されるとともに、主映像に対し透過表示されている。視聴者はこの文字より光源ランプ17の交換の必要性を容易に認識することができる。
【0047】
次のステップ4では、記憶部23に記憶されたOSD表示データ及び光源ランプの寿命に関する情報が更新されないか監視している。記憶データが更新された場合には、更新された記憶データが読み出され(ステップS5)、制御部24からOSD処理部13へ送信される。ここで、「ランプ交換フラグ」が「1」の場合は、OSD処理部13において副映像が更新される(ステップS6)。そして、更新された副映像でOSD表示が継続される。なお、記憶データが更新されない限り、従前の副映像がそのまま継続してOSD表示される。
【0048】
次に、ステップ7では機器停止命令によるランプ消灯制御の完了が監視され、ランプ消灯制御が完了していない場合にはステップS4,S5、S6の処理を繰り返し、光源ランプ17の消灯制御が完了した場合には、副映像としてのOSD表示を終了し(ステップS8)この表示システムを終了する。
【0049】
なお、この実施の形態においては、光源ランプ17が光源ランプの寿命に達しない場合には、OSD表示機能は動作しているが、何らの表示も行われないように構成されている。光源ランプの寿命は、点灯しなくなる時間より早めの時間設定となっているので、通常は寿命に達したことを報知するOSD表示を見てから光源ランプ17を交換するように対応してもよい。
【0050】
上記の光源ランプの寿命に関する副映像により、ランプを交換した場合は、ランプ点灯積算時間が初期化されるとともに、「ランプ交換フラグ」が更新されるものとする。
実施の形態1に係る投写型映像表示装置は、以上のように構成されているので、次の効果を奏することができる。
【0051】
(1)本実施の形態に係る投写型映像表示装置は、光源ランプ17が1個の場合において、光源ランプの寿命に関する情報を副映像としてOSD表示することができる。
(2)光源ランプの寿命に関する情報が副映像として継続的にOSD表示されるので、光源ランプ17が点灯しなくなる前に視聴者又は管理者に対し光源ランプの寿命に関する情報を継続的に報知することができる。したがって、視聴者又は管理者が光源ランプの寿命に関する情報を見逃すことを防止することができる。
【0052】
(3)また、光源ランプの寿命に関する情報が副映像として透過表示されるので、継続的、かつ長期的に副映像の表示と主映像の表示とを両立させることができる。
(4)また、副映像の透過度は、0から100の間で段階的又は無段階に設定することができるので、視聴者の希望に応じた透過率とすることができ、副映像と主映像の表示を両立させることが容易になる。
【0053】
(5)OSD表示データには、副映像の表示をON,OFFする項目が含まれているので、光源ランプ17が寿命に近づいた頃とか、光源ランプ17の寿命がどうなっているかが気掛かりとなったときなどに、使用者の希望に従い副映像をOSD表示することができる。
【0054】
(6)OSD表示データには、光源ランプ17の交換の要否を報知する内容が含まれており、このランプ交換要否の報知は、予め記憶部に入力されている「光源ランプの寿命」及び「ランプ点灯積算時間」から判断された結果により報知される。光源ランプの寿命に関する表示項目としては種々のものが考えられるが、上記のようなランプ交換要否の報知が最も必要とされる。
【0055】
(7)前記副映像は、文字により光源ランプ17の状態を示す表示を含むことができる。このように文字により表示すると、誰でもが明確に光源ランプ17の交換の必要性を知ることができる。
【0056】
(8)前記副映像は、記号により光源ランプ17の状態を示す表示を含むことができる。このように記号により表示すると、光源ランプの寿命に関する情報を狭いスペースを使用して容易に報知することができるので、この副映像と主映像との両立を行い易くなる。
【0057】
(9)前記副映像は、光源ランプ17の交換が必要な場合に主映像の周囲を曇らせて額縁のような状態とする表示を含むことができる。このような額縁の状態により表示すると、主映像の視聴を阻害しないシンプルな形態でランプ交換の要否を報知することができる。なお、図8は、上記額縁による報知の一例であり、透過率30%の場合である。
【0058】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2に係る投写型映像表示装置について、図9〜図14に基づいて説明する。なお、以下の説明において実施の形態1と共通する要素には同一の符合を付し、その説明を簡略化する。
【0059】
実施の形態2は、光源ランプ17を4個とするとともに、光源ランプの寿命に関する情報を光源ランプ17毎に表示可能としたものであって、光源ランプ17の個数が増加することにより光源ランプの寿命に関する情報が多くなった点において実施の形態1と相違するものである。
【0060】
図9は、実施の形態2に係る投写型映像表示装置の概略構成を示す機能ブロック図であるが、実施の形態1に関する図1と比較すると、光源ランプ17とランプ電源部16とがそれぞれ対を成し、4組で構成されている点で相違する。なお、図9においては、4個の光源ランプ17に1〜4の識別番号を付し、「光源ランプ1」、「光源ランプ2」、「光源ランプ3」及び「光源ランプ4」と表している。
【0061】
各部の基本的な機能は、それぞれ実施の形態1の場合と同一であるが、光源ランプ17の個数が増加したことによる相違点を中心に以下説明する。
この構成において、映像信号入力部11及び映像信号処理部12は実施の形態1のものと同一である。
【0062】
OSD処理部13は、制御部24から送信される「ランプ交換フラグ」が「1」の光源ランプ17について、制御部24から出力されるOSD表示データに基づき副映像信号を生成するとともに、映像信号処理部12から入力された主映像信号に対しこの副映像を透過表示するように合成する。液晶パネル駆動部14、液晶パネル15、各ランプ電源部16、各光源ランプ17及び電源部25は、実施の形態1の場合と同様である。ただし、前述のように、光源ランプ17を4個備えるとともに、光源ランプ17毎にランプ電源部16が設けられている。
【0063】
操作部21は、入力されるユーザメニュー項目が実施の形態1の場合と相違する。この場合のユーザメニュー項目及び設定されるOSD表示データの設定内容は、図10に記載されたものとなっている。具体的には、「OSD表示の継続」及び[透過率」の項目は、実施の形態1の場合と同様である。「表示形式」は、文字、記号又は文字・記号を選択できるようになっている。「スクロール機能」は、実施の形態1にはないものであって、表示する副情報を周期的に切り換えて繰り返し提示する機能であり、ON又はOFFを選択することができるように構成されている。また、「スクロール周期」は前記メッセージの切換周期のことをいい、5〜8秒の範囲において秒刻みで選択できるように構成されている。なお、この実施の形態における上記設定項目についての入力画面の例示は省略する。
【0064】
図11は、操作部21における上記設定項目についての入力データの一例を示している。すなわち、この例によれば、「OSD表示の継続」は「ON」、「透過率」は「30%」、「表示形式」は「文字&記号」、「スクロール機能」は[ON]、そして、「スクロール周期」は「5sec」である。また、操作部21で入力された入力データは、実施の形態1の場合と同様にOSD表示データとして制御部24へ送られ、記憶部23に格納される。
【0065】
時間計測部22は、4個の光源ランプ17それぞれについての点灯時間を計測し、それぞれの光源ランプ17について点灯時間を積算する。そして、時間計測部22で測定された各光源ランプ17についての各ランプ点灯積算時間を制御部24に送信する。なお、光源ランプ17が点灯状態にあるか消灯状態にあるかについてはランプ電源部16において検出されており、制御部24に伝達されている。
【0066】
記憶部23は、基本的には実施の形態1のものと同様であってRAM型メモリーにより構成されており、操作部21から制御部24に送信された入力データ、並びに、時間計測部22で測定された「ランプ点灯積算時間」、「光源ランプの寿命」及びこれらを基に制御部24において判断される「ランプ交換フラグ」を記憶している。ただし、ランプ交換の必要な場合としては、光源ランプの寿命が超過していることと、故障等によりランプが動作不良になり点灯しない場合とが考えられる。実施の形態1の場合には、光源ランプ17を1個しか備えていないため、光源ランプ17が点灯しなくなるとOSD表示そのものができなくなるので、光源ランプの動作不良についての表示はできなかったが、この実施の形態のように複数の光源ランプ17を備えている場合には、一部の光源ランプ17が動作不良の場合にもOSD表示が可能である。
【0067】
そこで、この実施の形態においては、「ランプ交換フラグ」として「ランプ寿命超過フラグ」と「ランプ動作不良フラグ」とを備えるように構成している。この場合における「ランプ寿命超過フラグ」は、ランプ積算時間が光源ランプの寿命に達したかどうかを表すものであって、ランプ積算時間が光源ランプの寿命を超過した場合に「1」であり、それ未満の場合に「0」となる。したがって、「ランプ寿命超過フラグ」は、実施の形態1における「ランプ交換フラグ」と実質的に同様である。また、「ランプ動作不良フラグ」は、光源ランプ17が正常に点灯しているか否かを示すものであって、前述のようにランプ電源部16において検出されている点灯又は消灯状態と運転状態と、この投写型映像表示装置の動作態様とから判別されている。なお、光源ランプ17が正常に点灯しない場合とは、投写型映像表示装置の動作をOFFしていないのに突然消灯した場合や、故障により点灯不可となった場合のように、光源ランプ17が種々の要因により正常に点灯しないような場合をいう。そして、「ランプ動作不良フラグ」は、光源ランプ17が点灯しない場合が「1」であり、点灯している場合は動作不良でなく「0」である。
【0068】
図12は、記憶部における記憶データの内容を例示するものである。この例によれば、「光源ランプの寿命」として、2000時間が予め入力されて記憶されている。また、「ランプ点灯積算時間」として、「光源ランプ1」は2010時間、「光源ランプ2」は2030時間、「光源ランプ3」は2030時間、「光源ランプ4」は1950時間が記憶されている。したがって、「ランプ寿命超過フラグ」として、「光源ランプ1」〜「光源ランプ3」については「1」が記憶され、「光源ランプ4」については「0」が記憶されている。また、「ランプ動作不良フラグ」として、「光源ランプ1」及び「光源ランプ4」が点灯しないことがランプ電源部16において検出され、その結果としてそれぞれ「1」が記憶され、「光源ランプ2」及び「光源ランプ3」については、正常に点灯していることがランプ電源部16において確認された結果として「0」が記憶されている。
【0069】
制御部24は、実施の形態1の場合と基本的に同様のものである。すなわち、制御部24は、各部との信号のやり取りを行い、投写型映像表示装置全体の動作が支障なく行われるように各部を制御する。さらに、副映像信号処理に関して、操作部21において入力された入力データを受け付け、記憶部23に格納する。また、制御部24は、時間計測部22で測定されたランプ点灯積算時間を記憶部23に格納するとともに、このランプ点灯積算時間及び光源ランプ17の点灯状態についての情報を基に「ランプ交換フラグ」を生成して記憶部23に格納する。なお、実施の形態2における「ランプ交換フラグ」は、前述した通り「ランプ寿命超過フラグ」及び「ランプ動作不良フラグ」から構成されている。
【0070】
また、制御部24は、操作部21においてユーザメニュー「OSD表示の継続」について「ON」が選択された場合に、実施の形態1の場合と同様に、記憶部23に記憶されたOSD表示データ及び光源ランプの寿命に関する情報を読み出し、これらをOSD処理部13へ送信している。そして、「ランプ寿命超過フラグ」又は「ランプ動作不良フラグ」が「1」の場合に、OSD処理部13において当該光源ランプ17についての光源ランプの寿命に関する情報についての副映像が生成されるように制御している。
【0071】
以上のように構成された投写型映像表示装置は、図13に示すフローチャートのように制御されて光源ランプの寿命に関する情報が副映像として表示制御される。
実施の形態2に係る投写型映像表示装置は、実施の形態1の場合と同様に、停止時のデータが次の起動時に引き継がれるように構成されている。すなわち、先の停止時においてユーザメニュー「OSD表示の継続」について「ON」が選択されている場合には、電源が投入されて待機状態から光源ランプ17の点灯状態へ遷移すると、光源ランプの寿命に関する情報を副映像として表示するOSD表示機能が開始される。また、電源が投入されると先ず起動画面が終了したか否かが監視される(ステップS11)。なお、先の停止時において、ユーザメニュー「OSD表示の継続」について「OFF」が選択されている場合には、このシステムは起動しない。但し、実施の形態1の場合と同様に、投写型映像表示装置の起動後に随時操作部を操作してOSD表示データを変更することができるように構成されている。したがって、投写型映像表示装置の起動後にユーザメニュー「OSD表示の継続」について「ON」が選択された場合には、OSD表示機能が開始され、「OFF」が選択された場合にOSD表示機能が停止される。
【0072】
そして、ステップ11において起動画面の終了が確認されると、実施の形態1の場合と同様に、記憶部23の記憶データが読み出されてOSD処理部13へ送信される。ここで、何れかの光源ランプ17に関し「ランプ寿命超過フラグ」又は「ランプ動作不良フラグ」が「1」の場合は、OSD処理部13において当該光源ランプ17についての副映像が生成されるとともに、主映像に対し副映像が透過表示され、さらに、当該光源ランプ17毎に副映像がスクロール表示されるように合成される(ステップS12)。ここで、ユーザメニュー項目に関する記憶データとして図11の内容が記憶部23に記憶されるとともに、光源ランプの寿命に関する記憶データとして図12に記載の内容が記憶部23に記憶されている。
【0073】
そして、この合成映像信号が液晶パネル駆動部14に出力され、この合成映像信号に従って液晶パネルが制御され光変調された合成映像光が投写されてOSD表示される(ステップS13)。この実施の形態においては、ユーザメニュー項目に関し前述のように、「表示形式」について「文字&記号」が選択され「スクロール機能」について「ON」が選択されているので、例えば、図14に示すように、実線矢印の順にスクロールされ、各光源ランプ17についての光源ランプの寿命に関する情報が順次表示される。なお、図11及び図12の記憶データに基づくOSD表示画面例については省略する。
【0074】
光源ランプの寿命に関する情報は、図14に示すように、光源ランプ17の識別番号の数字を囲む記号及びその右側に記載されている文字により示されている。「○」印は動作不良であることを示し、「□」は光源ランプの寿命に達したことを示す。「LAMP REPLACE」の文字は光源ランプの交換が必要であることを示し、「(LIFE LIMIT)」の文字は光源ランプが寿命に達したことを示し、「(FAIL)」の文字は光源ランプが動作不良であることを示す。また、表示は、「スクロール周期」として「5sec」が選択されているので、この周期で当該光源ランプ17の状態が順次表示される。
【0075】
なお、この実施の形態においては、複数個の光源ランプ17のうち動作不良のもの、又は光源ランプの寿命に達したものについてのみOSD表示されるように構成されており、光源ランプの寿命に達しないで正常に点灯するものについては何らの表示も行われない。したがって、上記スクロール動作においては、光源ランプの寿命に達しないで正常に点灯する光源ランプ17については、時間をおかずにパスされて次の光源ランプ17についての寿命に関する情報が表示されるように形成されている。
【0076】
次のステップ14では、記憶部23に記憶されたユーザメニュー項目に関する記憶データ及び光源ランプの寿命に関する記憶データが更新されないか監視している。記憶データが更新された場合には、更新された記憶データを記憶部23から読み出し(ステップS15)、これを制御部24からOSD処理部13に伝達される。ここで、「ランプ寿命超過フラグ」又は「ランプ動作不良フラグ」が「1」の場合には、OSD処理部13において当該光源ランプ17についての副映像が更新される(ステップS16)。そして、更新された副映像でOSD表示が継続される。なお、記憶データが更新されない場合は、従前の副映像がそのまま継続してOSD表示される。
【0077】
次に、ステップ17で機器停止命令によるランプ消灯制御の完了が監視され、完了していない場合にはステップS4,S5、S6の処理を繰り返し、光源ランプ17の消灯制御が完了した場合には、副映像としてのOSD表示を終了し(ステップS8)この表示システムを終了する。なお、ランプ消灯制御は光源ランプ17を切り換える場合にも実行されることがある。この場合は、光源ランプ17の消灯は、機器の停止を意図したものではなく、動作中の過渡的なランプ消灯状態である。このように光源ランプ17が複数個の場合は、このランプ消灯制御の完了の監視は必要不可欠となる。
【0078】
上記の光源ランプの寿命に関する副映像により、ランプを交換した場合は、交換した光源ランプ17についてのランプ点灯積算時間が初期化されるとともに、「ランプ交換フラグ」としての「ランプ寿命超過フラグ」及び「ランプ動作不良フラグ」が更新されるものとする。なお、光源ランプ17にICが付加されており、光源ランプ17についての識別及び管理がシリアル番号などにより行われている場合には、光源ランプ17の交換と同時にこのデータをも初期化するように構成される。
【0079】
実施の形態2に係る投写型映像表示装置は、以上のように構成されているので、前記実施の形態1における(2)〜(9)の効果を奏するとともに、次の(10)〜(13)の効果を奏することができる。
【0080】
(10)本実施の形態に係る投写型映像表示装置は、光源ランプ17が複数個の場合において、複数個の光源ランプの寿命に関する情報を副映像としてOSD表示することができる。
【0081】
(11)OSD表示データには、前記複数個の光源ランプ17に関する副映像を、光源ランプ17毎に順次OSD表示するスクロール表示を行うか、スクロール表示を行わずに全ての光源ランプ17について一括表示するかの選択する項目が含まれている。この場合、全ての光源ランプ17について一括表示すると、全ての光源ランプ17について、光源ランプの寿命に関する情報を一度に見ることができる。ただし、副映像の表示スペースが大きくなり主映像の視聴を阻害することになるので主映像と副映像の両立が難しくなる。これに対し、スクロール表示を選択した場合は、副映像の表示スペースが小さくなるので、主映像と副映像の両立が容易になる。
【0082】
(12)スクロール表示は、光源ランプの寿命に達していなくて正常に点灯する光源ランプ17についての表示が省略されるので、副映像の表示が簡素化され、必要な情報に注意が向けられるようになるので、見逃しの恐れをよりなくすことができる。
【0083】
(13)前記OSD表示データには、前記スクロール表示におけるスクロール周期が含まれているので、使用者の希望に応じた周期でスクロ−ル表示することができるので、スクロール表示が見易くなる。
【0084】
(変形例)
本発明は、上記実施の形態において以下のように変更することもできる。
・実施の形態1及び実施の形態2において、操作部21を操作してユーザメニュー項目にOSD設定情報を入力する際に、OSD表示を画面上にデモンストレーションされるようにしておくと、どのような表示になるかを確認しながら設定することができるので、設定の意思決定が容易になるとともにOSD表示される副情報を容易に理解することができる。
【0085】
・実施の形態2において、操作部21から入力されるユーザメニュー項目の「表示形式」においては、実施の形態1の場合のように額縁を個別に又は記号又は/及び文字と併用の形式で選択できるようにしてもよい。額縁のみとした場合は、提示できる情報量が少なくなるので、単に光源ランプ17の中に交換を必要とするものがある旨を表示する程度となる。その代わりこの場合は、実施の形態1において述べたようにシンプルな表現形式となり主映像の視聴の妨げになることも非常に少なくなる。一方、記号又は/及び文字と併用した場合は、額縁により注意喚起するとともに、記号又は文字により具体的な状態を表示することができる。
【0086】
・実施の形態1及び実施の形態2において、操作部21から入力されるユーザメニュー項目の「表示形式」において、文字や記号の大きさ、色、位置などを選択できるようにしてもよい。このようにすれば、表示形式が多様化されるので、使用者の希望に応じた表示形式としての選択範囲が広がる。
【0087】
・実施の形態1及び実施の形態2において、副映像とする光源ランプの寿命に関する情報として、光源ランプの寿命までの残存時間を表示するようにしてもよい。残存時間は、予め記憶部23に記憶されている光源ランプの寿命とランプ点灯積算時間との差から算出することができる。このようにすれば、ランプ手配から入手までの時間を考慮して早めの報知を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明に係る投写型映像表示装置は、3板式液晶投写型映像表示装置等各種の投写型映像表示装置に幅広く用いることができる。
【符号の説明】
【0089】
17…光源ランプ、21…操作部、23…記憶部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、投写型映像表示装置に係り、特に、光源ランプの寿命に関する情報を画面に表示するようにした投写型映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、スクリーンに画像を投写する投写型映像表示装置(プロジェクタ)は、光源ランプからの光を液晶パネルのような光変調装置により変調し、変調された光をスクリーンに投写することにより映像を表示している。ところで、このような投写型映像表示装置において、光源に利用される光源ランプの寿命は、光源ランプの点灯積算時間に支配されている。また、光源ランプの点灯積算時間が光源ランプの寿命に近づくか光源ランプの寿命を超えると、ランプ特性の劣化や故障により光源ランプが使用不可能となる可能性が高くなり、光源ランプの信頼性が低下する。このため、光源ランプは、光源ランプの寿命に達した場合には交換する必要がある。また、投写型映像表示装置においては、光源ランプの寿命に関する情報を報知する報知手段が開発されている。
【0003】
このような報知手段としては、音声による報知手段、筐体等に設けられたLED等の表示素子による報知手段、オンスクリーンディスプレイ(以下OSD表示という)による報知手段などが存在している。音声による報知手段としては、例えば、特許文献1及び2に記載のものがある。また、LED等の表示素子による報知手段としては、例えば、特許文献3及び4に記載のものがある。また、OSD表示による報知手段としては、例えば、特許文献5及び6に記載のものがある。なお、OSD表示は、一般に、本来的に表示しようとする主映像の一部にテロップ、字幕、設定メニューなどの副映像を重畳して表示する技術である。また、このようなOSD表示に関し、特許文献7及び8のように副映像を透過表示させる技術も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−292857号公報
【特許文献2】特開2007−65403号公報
【特許文献3】特開2005−85629号公報
【特許文献4】特開2007−79089号公報
【特許文献5】特開平10−191192号公報
【特許文献6】特開2002−287243号公報
【特許文献7】特開2004−7238号公報
【特許文献8】特開2007−132984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このような報知手段では次のような問題があった。
音声による報知手段は、継続的に音声出力を行うと雑音となリ不快感を与えることになるため、一時的な音声出力とせざるを得ない。しかしながら、一時的な音声出力ではデジタルサイネージのような応用分野においては、管理者や保守担当者が常時看視しているわけではないので、光源ランプ交換の時期を逸してしまう懸念がある。
【0006】
また、LED等の表示素子による報知手段は、筐体に取り付けられた表示部を目視する必要がある。しかし、デジタルサイネージの分野では、投写型映像表示装置が装飾用筐体内に収納されることがあり、展示中は筐体を開いて表示素子を確認することができないので、このような報知手段の場合も光源ランプ交換の時期を逸してしまう懸念がある。
【0007】
また、OSD表示による報知手段は、主映像に対し重ねるように副映像として表示されるため、視聴者の目に付き易いという利点がある。しかし、OSD表示による報知手段は、1個の光源ランプを使用している場合には、光源ランプが切れてしまうと表示できなくなるという問題がある。このため、早い段階からOSD表示機能を働かせるとともに、継続的かつ長期的に光源ランプの寿命に関する情報を流す必要があると考えられる。しかしながら、従来のOSD表示による報知手段は、主映像の視聴をできるだけ妨げないようにすることについて配慮が不足していた。例えば、OSD表示が重ねられる部分の主映像を見ることができないため、継続的、かつ長期的な表示を行うと視聴者に不快感を与える恐れがあった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑み、光源ランプの寿命に関する情報について継続的なOSD表示を実行し易くした投写型映像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る投写型映像表示装置は、入力された映像信号が映像信号処理され、映像信号処理された映像信号に基づいて光源ランプからの照明光が変調処理されて主映像が表示されるとともに、操作部において光源ランプの寿命に関する情報の報知のためのOSD表示データが入力され、入力されたOSD表示データに基づき光源ランプの寿命に関する情報が副映像としてOSD表示される投写型映像表示装置であって、前記副映像は、継続的に表示可能に構成されるとともに、背景にある主映像を視認できるように透過表示されることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、光源ランプの寿命に関する情報が副映像として継続的にOSD表示されるので、光源ランプの寿命が来る前に予め視聴者又は管理者に対し光源ランプの寿命情報を継続的に、かつ長期的に報知することができる。したがって、視聴者又は管理者が光源ランプの寿命に関する情報を見逃すことを防止することができる。また、光源ランプの寿命に関する情報についての副映像が透過表示されるので、長時間にわたる副映像の表示と主映像の表示とを両立させることができる。
【0011】
また、前記OSD表示データには、副映像の透過度を0から100の間で段階的又は無段階に設定する項目が含まれているようにすることが好ましい。このように構成すれば、視聴者の希望に応じた透過率とすることができるので、副映像と主映像の表示を両立させることが容易になる。
【0012】
また、前記OSD表示データには、副映像の表示をON,OFFする項目が含まれていることが好ましい。このようにすれば、光源ランプが寿命に近づいた頃とか、光源ランプの寿命がどうなっているかが気掛かりになったときとかなどの、使用者の希望時期に副映像を表示させることができる。
【0013】
また、前記OSD表示データには、光源ランプの交換の要否を報知する内容が含まれており、このランプ交換要否の報知は、予め記憶部に入力されている光源ランプの寿命及びランプ点灯積算時間から判断されることが好ましい。光源ランプの寿命に関する表示項目としては種々のものが考えられるが、光源ランプの交換の要否が最も必要とされるものである。
【0014】
また、前記副映像は、文字により光源ランプの状態を示す表示を含むことができる。このようにすると、光源ランプの寿命に関する情報を分かり易く表現して報知することができる。
【0015】
また、前記副映像は、記号により光源ランプの状態を示す表示を含むようにすることができる。このようにすると、光源ランプの寿命に関する情報を狭いスペースを使用して容易に報知することができるので、主映像との両立を行い易くなる。
【0016】
また、前記副映像は、光源ランプの交換が必要な場合に主映像の周囲を曇らせて額縁のような状態とする表示を含むようにすることができる。このようにすると、主映像の視聴を阻害しないシンプルな形態で光源ランプの寿命に関する情報を報知することができる。
【0017】
また、前記副映像は、光源ランプの寿命までの残時間を示す表示を含むようにすることができる。このようにすると、光源ランプの交換時期を予告することになるので、使用者に早めの準備を促すことができる。
【0018】
前記光源ランプは1個であり、前記OSD表示データ及び前記副映像はこの1個の光源ランプに関するものであるようにすることができる。このようにすることにより、1個の光源ランプを使用する投写型映像表示装置に本発明を適用することができる。
【0019】
前記光源ランプは複数個であり、前記OSD表示データ及び前記副映像はこの複数個の光源ランプに関するものであるようにすることができる。このようにすることにより、複数個の光源ランプを使用する投写型映像表示装置に本発明を適用することができる。
【0020】
前記OSD表示データには、前記複数個の光源ランプに関する副映像を、光源ランプ毎に順次OSD表示するスクロール表示を行うか、スクロール表示を行わずに全ての光源ランプについて一括表示するかを選択する項目が含まれていることが好ましい。このように構成すれば、全ての光源ランプについて一括表示すると、全ての光源ランプの寿命に関する情報を一度に見ることができるが、副映像の表示スペースが大きくなり主映像の視聴を阻害することになるので主映像と副映像の両立が難しくなる。これに対し、スクロール表示を選択した場合は、副映像の表示スペースが小さくなるので、主映像と副映像の両立が容易になる。
【0021】
また、前記スクロール表示は、寿命に達していなくて正常に点灯することができる光源ランプについての表示を省略することが好ましい。このようにすることにより副映像の表示が簡素化される。
【0022】
また、前記OSD表示データには、前記スクロール表示におけるスクロール周期が含まれていることが好ましい。このようにすると、使用者の希望に応じた周期でスクロ−ル表示することができるので、スクロール表示が見易くなる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る投写型映像表示装置によれば、光源ランプの寿命に関する情報が副映像として継続的にOSD表示されるので、光源ランプの寿命が来る前にOSD表示機能を働かせることにより、視聴者又は管理者に対し光源ランプの寿命情報を継続的に、かつ長期的に報知することができる。したがって、視聴者又は管理者が光源ランプの寿命に関する情報を見逃すことを防止することができる。また、副映像は透過表示されるので、長時間にわたる副映像の表示と主映像の表示とを両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態1に係る投写型映像表示装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
【図2】同投写型映像表示装置におけるOSD表示のためのユーザメニューを説明する図である。
【図3】同投写型映像表示装置におけるOSD表示データ入力画面を示す図である。
【図4】同投写型映像表示装置において記憶部に記憶されるOSD表示データを説明する図である。
【図5】同投写型映像表示装置において記憶部に記憶される光源ランプの寿命に関する情報を説明する図である。
【図6】同投写型映像表示装置におけるOSD表示に関するフローチャートである。
【図7】同投写型映像表示装置におけるOSD表示画面の例を説明する図である。
【図8】同投写型映像表示装置における他のOSD表示画面の例を説明する図である。
【図9】本発明の実施の形態2に係る投写型映像表示装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
【図10】同投写型映像表示装置におけるOSD表示のためのユーザメニューを説明する図である。
【図11】同投写型映像表示装置において記憶部に記憶されるOSD表示データを説明する図である。
【図12】同投写型映像表示装置において記憶部に記憶される光源ランプの寿命に関する情報を説明する図である。
【図13】同投写型映像表示装置におけるOSD表示に関するフローチャートである。
【図14】同投写型映像表示装置におけるスクロール表示の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(実施の形態1)
先ず、本発明の実施の形態に係る投写型映像表示装置である3板式液晶投写型映像表示装置について図1に基づき概略構成を説明する。
【0026】
この投写型映像表示装置は、映像を生成するための要素として、映像信号入力部11、映像信号処理部12、OSD処理部13、液晶パネル駆動部14、液晶パネル15、ランプ電源部16及び光源ランプ17を備えている。また、光源ランプの寿命に関する情報をOSD表示するために操作部21、時間計測部22及び記憶部23を備えている。さらに、この投写型映像表示装置は、装置全体の動作を行なうための制御部24及び電源部25を備えている。
【0027】
映像信号入力部11は、入力端子11aを介し各種映像再生機器からの主映像信号が入力される。また、映像信号入力部11には、アナログPC、デジタルPC、ビデオ、テレビなどの各種映像再生機器からの各種映像信号に対応し得るようにアナログI/F、デジタルI/F、ビデオI/Fなどの入力インターフェースが備えられている。そして、映像信号入力部11に入力された主映像信号は、A/D変換、デコード等の適宜の処理が施されてデジタル信号に変換されて映像信号処理部12へ出力される。
【0028】
映像信号処理部12は、入力された主映像信号に対しスケーリング処理、ガンマ補正、輝度補正などの一般的な映像処理が行われ、このような処理が行われた主映像信号がOSD処理部13へ出力される。
【0029】
OSD処理部13は、後述する制御部24から送信される「ランプ交換フラグ」が1の場合には、制御部24から出力されるOSD表示データに基づき副映像信号を生成するとともに、映像信号処理部12から入力された主映像信号に対しこの副映像を透過表示するように合成する。そして、この合成映像信号は液晶パネル駆動部14へ出力される。なお、後述する制御部24から送信される「ランプ交換フラグ」が0の場合には、ランプ交換の必要がなく副映像信号は生成されず、主映像信号のみが液晶パネル駆動部14へ出力される。
【0030】
液晶パネル駆動部14において、OSD処理部13から入力された合成映像信号が緑色光用、赤色光用及び青色光用の各液晶パネルから成る液晶パネル15を駆動することができる信号形態に変換される。また、この液晶パネル駆動部14において、緑色光用、赤色光用及び青色光用の各液晶パネル15を駆動のための駆動パルスが同時に生成される。
【0031】
液晶パネル15は、入力された映像信号に応じた回転角を持ち、分離光学系(図示せず)からの光を透過させることにより映像を作り出す。その表示映像は、投写光学系(図示せず)により所定距離離れた場所にあるスクリーンなどに結像される。
【0032】
ランプ電源部16は、電源部25からの電力供給を受け、光源ランプ17を点灯させるために高電圧を発生して放電回路を形成するイグナイタ回路と、点灯後の安定した点灯状態を維持するためのバラスト回路とを含んで構成されている。また、このランプ電源部16においては、光源ランプ17の点灯状態と消灯状態とが検出され、制御部24に伝達されている。
【0033】
光源ランプ17は、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプなどの放電型ランプが発光体として使用されるととともに、発光体からの照射光がリフレクタによって平行光となって、発光体の軸方向に出射されるように構成されている。また、この実施の形態においては、光源ランプ17の使用個数は1個である。
【0034】
その項目に関してさらに説明すると、「OSD表示の継続」は、継続的なOSD表示を希望するか否かを設定するものであり、希望するときはONに設定され、希望しないときにはOFFに設定される。また、「ON」が設定されたときは、その下に続く「透過率」及び「表示形式」の設定項目の選択が可能になる。
【0035】
「透過率」は、副映像の透過率を設定する。透過率が高くなるほど、副映像が透けて見え副映像の下に重ね合わされた主映像が見えるようになる。すなわち、透過率が100%のときは、主映像を表示するための光線は全て透過され、スクリーン上には主映像が通常に表示される。そして、透過率が減少するに従い、主映像を表示するための光線の透過量が減少し、透過率が0%になると、主映像を表示するための光線は透過しなくなり、副映像のみが表示されるようになる。この実施の形態においては、この「透過率」は、0〜100%の数値を段階的又は無段階に選択可能に構成されている。
【0036】
また、「表示形式」は、表示する副映像を文字か、記号か、主映像の演出効果を最大限に妨げない表示と考えられる額縁映像とするかを選択する。文字を選択すれば、誰でもが容易にランプ交換の要否などの状態を判別することができる。また、学校などの教育分野では、交換の必要性などのランプの状態を明確に表現することのほうが好ましいと考えられる。メンテナンスを専門業者に委託していない学校では、メンテナンスへの気配りが行き届かない場合も考えられるので、明確な表示が有効と考えられる。文字による表示例は、ランプ交換の必要性がある場合に「LAMP REPLACE」と表示する。また、記号表示を選択すると表現スペースを小さくすることができるので主映像との両立性を取ることが容易になりやすいが、どのような状態を表現するかを取扱説明書などにより学習しておく必要がある。記号の表示例は、ランプ交換の必要性がある場合に画像の角部に「○」、「□」などの適宜のマークを表示する。
【0037】
図3は、操作部21における上記設定項目についての入力画面の一例を示している。選択された部分がハイライトされるように構成されている。この図では、「OSD表示の継続」の項目における[ON]及び「表現形式」における「文字」がハイライトされている。また、このような入力画面で入力された入力データは、OSD表示データとして制御部24へ送られる。
【0038】
時間計測部22は、光源ランプ17の点灯時間を計測しこれを積算する。この時間計測部22で測定された光源ランプ17のランプ点灯積算時間は制御部24に送信される。
記憶部23は、RAM型メモリーにより構成されており、操作部21から制御部24に送信された入力データをOSD表示データとして記憶する。図4は、OSD表示データとして記憶部に記憶される一例を示すものである。すなわち、この例によれば、「OSD表示の継続」は「ON」であり、「透過率」は「30%」であり、「表示形式」は「文字」である。
【0039】
また、記憶部23は、予め格納された光源ランプの寿命を記憶するとともに、時間計測部22で測定された「ランプ点灯積算時間」、「光源ランプの寿命」及びこれらを基に制御部24において判断される「ランプ交換フラグ」を記憶している。図5は、その内容を例示するものである。この例によれば、「光源ランプの寿命」として、2000時間が予め入力されて記憶されている。また、「ランプ点灯積算時間」として、時間計測部22で計測されたランプ点灯積算時間である2010時間が記憶されている。さらに、制御部24において判断された「ランプ交換フラグ」として「1」が記憶されている。「ランプ交換フラグ」が「0」の場合はランプ交換が不要であり、「ランプ交換フラグ」が「1」の場合はランプ交換が必要であることを意味する。ここでは、後述する制御部24における判断に基づき「1」が記憶されている。
【0040】
制御部24は、各部との信号のやり取りを行い、投写型映像表示装置全体の動作が支障なく行われるように各部を制御する。さらに、副映像信号処理に関して、操作部21において入力された入力データを受け付け記憶部23に格納する。また、時間計測部22で測定されたランプ点灯積算時間を記憶部23に格納する。また、制御部24は、記憶部23に記憶されている光源ランプの寿命と時間計測部22で測定されたランプ点灯積算時間を対比して「ランプ交換フラグ」を生成して記憶部23に格納する。「ランプ交換フラグ」は、前述のようにランプ交換が不要の場合「0」であり、ランプ交換が必要の場合は「1」とされるが、ランプ交換の要否は、ランプ点灯積算時間(この例では2010時間)と光源ランプの寿命(この例では2000時間)との比較により行われる。例えば、ランプ点灯積算時間が2000時間未満ではランプ交換不要とされ、「ランプ交換フラグ」が「0」とされる。また、ランプ点灯積算時間が2000時間以上の場合はランプ交換必要と判断され、「ランプ交換フラグ」が「1」とされる。したがって、上記例の場合、「ランプ交換フラグ」は「1」となる。
【0041】
そして、制御部24は、操作部21においてユーザメニュー「OSD表示の継続」について「ON」が選択された場合に、記憶部23に記憶されたOSD表示データ及び光源ランプの寿命に関する情報を読み出し、これらをOSD処理部13へ送信する。そして、「ランプ交換フラグ」が「1」の場合に、OSD処理部13において副映像が生成されるように制御している。
【0042】
電源部25は、外部電源25aからの交流電力をプラグから導き、内蔵するAC/DC変換部にて変圧、整流及び平滑などの処理を施して安定化させた直流電圧を各部に供給するように構成されている。
【0043】
以上のように構成された投写型映像表示装置は、図6に示すフローチャートのように制御されて光源ランプの寿命に関する情報が副映像として表示制御される。これについて詳細に説明する。
【0044】
この投写型映像表示装置では、操作部21から入力されたOSD表示データは、停止時のデータが次の起動時に引き継がれるように構成されている。そこで、先の停止時においてユーザメニュー「OSD表示の継続」について「ON」が選択されている場合には、電源が投入されて待機状態から光源ランプ17の点灯状態へ遷移すると、光源ランプの寿命に関する情報を副映像として表示するOSD表示機能が開始される。また、待機状態から光源ランプ17の点灯状態への遷移は、起動画面の終了により確認されるので、電源が投入されると先ず起動画面が終了したか否かが監視される(ステップS1)。なお、先の停止時において、ユーザメニュー「OSD表示の継続」について「OFF」が選択されている場合には、このシステムは起動しない。ただし、投写型映像表示装置の起動後に随時操作部21を操作してOSD表示データを変更することができるように構成されている。したがって、投写型映像表示装置の起動後にユーザメニュー「OSD表示の継続」について「ON」を選択することができる。そして、投写型映像表示装置の起動後にユーザメニュー「OSD表示の継続」について「ON」が選択された場合には、上記と同様にOSD表示機能が開始され、ステップ1の判断が行われる。一方、これとは逆に、投写型映像表示装置の起動後にユーザメニュー「OSD表示の継続」について「OFF」が選択された場合には、OSD表示機能が停止される。以下は、ユーザメニュー「OSD表示の継続」について「ON」が選択されている場合についての説明である。
【0045】
ステップ1において起動画面の終了が確認されると、ステップ2に進む。ステップ2においては、記憶部23に記憶されているOSD表示データ及び光源ランプの寿命に関する情報が読み出されて制御部24からOSD処理部13へ送信される。ここで、「ランプ交換フラグ」が「1」の場合は、OSD処理部13において副映像が生成されるとともに、主映像に対し副映像が透過表示されるように合成される(ステップS2)。また、「ランプ交換フラグ」が「0」の場合は、ランプ交換の必要がないため副映像信号は生成されない。なお、記憶部23に記憶されているOSD表示データは図4に記載のものであり、光源ランプの寿命に関する情報は図5に記載のものである。
【0046】
そして、この合成映像信号が液晶パネル駆動部14に出力され、この合成映像信号に従って液晶パネル15が制御され光変調された合成映像光が投写されてOSD表示される(ステップS3)。なお、図4及び図5の記憶データに基づきOSD表示される副映像は、図7に例示されるようなものであって、光源ランプの寿命に関する情報である。すなわち副映像が文字「LANP REPLACE」により表示されるとともに、主映像に対し透過表示されている。視聴者はこの文字より光源ランプ17の交換の必要性を容易に認識することができる。
【0047】
次のステップ4では、記憶部23に記憶されたOSD表示データ及び光源ランプの寿命に関する情報が更新されないか監視している。記憶データが更新された場合には、更新された記憶データが読み出され(ステップS5)、制御部24からOSD処理部13へ送信される。ここで、「ランプ交換フラグ」が「1」の場合は、OSD処理部13において副映像が更新される(ステップS6)。そして、更新された副映像でOSD表示が継続される。なお、記憶データが更新されない限り、従前の副映像がそのまま継続してOSD表示される。
【0048】
次に、ステップ7では機器停止命令によるランプ消灯制御の完了が監視され、ランプ消灯制御が完了していない場合にはステップS4,S5、S6の処理を繰り返し、光源ランプ17の消灯制御が完了した場合には、副映像としてのOSD表示を終了し(ステップS8)この表示システムを終了する。
【0049】
なお、この実施の形態においては、光源ランプ17が光源ランプの寿命に達しない場合には、OSD表示機能は動作しているが、何らの表示も行われないように構成されている。光源ランプの寿命は、点灯しなくなる時間より早めの時間設定となっているので、通常は寿命に達したことを報知するOSD表示を見てから光源ランプ17を交換するように対応してもよい。
【0050】
上記の光源ランプの寿命に関する副映像により、ランプを交換した場合は、ランプ点灯積算時間が初期化されるとともに、「ランプ交換フラグ」が更新されるものとする。
実施の形態1に係る投写型映像表示装置は、以上のように構成されているので、次の効果を奏することができる。
【0051】
(1)本実施の形態に係る投写型映像表示装置は、光源ランプ17が1個の場合において、光源ランプの寿命に関する情報を副映像としてOSD表示することができる。
(2)光源ランプの寿命に関する情報が副映像として継続的にOSD表示されるので、光源ランプ17が点灯しなくなる前に視聴者又は管理者に対し光源ランプの寿命に関する情報を継続的に報知することができる。したがって、視聴者又は管理者が光源ランプの寿命に関する情報を見逃すことを防止することができる。
【0052】
(3)また、光源ランプの寿命に関する情報が副映像として透過表示されるので、継続的、かつ長期的に副映像の表示と主映像の表示とを両立させることができる。
(4)また、副映像の透過度は、0から100の間で段階的又は無段階に設定することができるので、視聴者の希望に応じた透過率とすることができ、副映像と主映像の表示を両立させることが容易になる。
【0053】
(5)OSD表示データには、副映像の表示をON,OFFする項目が含まれているので、光源ランプ17が寿命に近づいた頃とか、光源ランプ17の寿命がどうなっているかが気掛かりとなったときなどに、使用者の希望に従い副映像をOSD表示することができる。
【0054】
(6)OSD表示データには、光源ランプ17の交換の要否を報知する内容が含まれており、このランプ交換要否の報知は、予め記憶部に入力されている「光源ランプの寿命」及び「ランプ点灯積算時間」から判断された結果により報知される。光源ランプの寿命に関する表示項目としては種々のものが考えられるが、上記のようなランプ交換要否の報知が最も必要とされる。
【0055】
(7)前記副映像は、文字により光源ランプ17の状態を示す表示を含むことができる。このように文字により表示すると、誰でもが明確に光源ランプ17の交換の必要性を知ることができる。
【0056】
(8)前記副映像は、記号により光源ランプ17の状態を示す表示を含むことができる。このように記号により表示すると、光源ランプの寿命に関する情報を狭いスペースを使用して容易に報知することができるので、この副映像と主映像との両立を行い易くなる。
【0057】
(9)前記副映像は、光源ランプ17の交換が必要な場合に主映像の周囲を曇らせて額縁のような状態とする表示を含むことができる。このような額縁の状態により表示すると、主映像の視聴を阻害しないシンプルな形態でランプ交換の要否を報知することができる。なお、図8は、上記額縁による報知の一例であり、透過率30%の場合である。
【0058】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2に係る投写型映像表示装置について、図9〜図14に基づいて説明する。なお、以下の説明において実施の形態1と共通する要素には同一の符合を付し、その説明を簡略化する。
【0059】
実施の形態2は、光源ランプ17を4個とするとともに、光源ランプの寿命に関する情報を光源ランプ17毎に表示可能としたものであって、光源ランプ17の個数が増加することにより光源ランプの寿命に関する情報が多くなった点において実施の形態1と相違するものである。
【0060】
図9は、実施の形態2に係る投写型映像表示装置の概略構成を示す機能ブロック図であるが、実施の形態1に関する図1と比較すると、光源ランプ17とランプ電源部16とがそれぞれ対を成し、4組で構成されている点で相違する。なお、図9においては、4個の光源ランプ17に1〜4の識別番号を付し、「光源ランプ1」、「光源ランプ2」、「光源ランプ3」及び「光源ランプ4」と表している。
【0061】
各部の基本的な機能は、それぞれ実施の形態1の場合と同一であるが、光源ランプ17の個数が増加したことによる相違点を中心に以下説明する。
この構成において、映像信号入力部11及び映像信号処理部12は実施の形態1のものと同一である。
【0062】
OSD処理部13は、制御部24から送信される「ランプ交換フラグ」が「1」の光源ランプ17について、制御部24から出力されるOSD表示データに基づき副映像信号を生成するとともに、映像信号処理部12から入力された主映像信号に対しこの副映像を透過表示するように合成する。液晶パネル駆動部14、液晶パネル15、各ランプ電源部16、各光源ランプ17及び電源部25は、実施の形態1の場合と同様である。ただし、前述のように、光源ランプ17を4個備えるとともに、光源ランプ17毎にランプ電源部16が設けられている。
【0063】
操作部21は、入力されるユーザメニュー項目が実施の形態1の場合と相違する。この場合のユーザメニュー項目及び設定されるOSD表示データの設定内容は、図10に記載されたものとなっている。具体的には、「OSD表示の継続」及び[透過率」の項目は、実施の形態1の場合と同様である。「表示形式」は、文字、記号又は文字・記号を選択できるようになっている。「スクロール機能」は、実施の形態1にはないものであって、表示する副情報を周期的に切り換えて繰り返し提示する機能であり、ON又はOFFを選択することができるように構成されている。また、「スクロール周期」は前記メッセージの切換周期のことをいい、5〜8秒の範囲において秒刻みで選択できるように構成されている。なお、この実施の形態における上記設定項目についての入力画面の例示は省略する。
【0064】
図11は、操作部21における上記設定項目についての入力データの一例を示している。すなわち、この例によれば、「OSD表示の継続」は「ON」、「透過率」は「30%」、「表示形式」は「文字&記号」、「スクロール機能」は[ON]、そして、「スクロール周期」は「5sec」である。また、操作部21で入力された入力データは、実施の形態1の場合と同様にOSD表示データとして制御部24へ送られ、記憶部23に格納される。
【0065】
時間計測部22は、4個の光源ランプ17それぞれについての点灯時間を計測し、それぞれの光源ランプ17について点灯時間を積算する。そして、時間計測部22で測定された各光源ランプ17についての各ランプ点灯積算時間を制御部24に送信する。なお、光源ランプ17が点灯状態にあるか消灯状態にあるかについてはランプ電源部16において検出されており、制御部24に伝達されている。
【0066】
記憶部23は、基本的には実施の形態1のものと同様であってRAM型メモリーにより構成されており、操作部21から制御部24に送信された入力データ、並びに、時間計測部22で測定された「ランプ点灯積算時間」、「光源ランプの寿命」及びこれらを基に制御部24において判断される「ランプ交換フラグ」を記憶している。ただし、ランプ交換の必要な場合としては、光源ランプの寿命が超過していることと、故障等によりランプが動作不良になり点灯しない場合とが考えられる。実施の形態1の場合には、光源ランプ17を1個しか備えていないため、光源ランプ17が点灯しなくなるとOSD表示そのものができなくなるので、光源ランプの動作不良についての表示はできなかったが、この実施の形態のように複数の光源ランプ17を備えている場合には、一部の光源ランプ17が動作不良の場合にもOSD表示が可能である。
【0067】
そこで、この実施の形態においては、「ランプ交換フラグ」として「ランプ寿命超過フラグ」と「ランプ動作不良フラグ」とを備えるように構成している。この場合における「ランプ寿命超過フラグ」は、ランプ積算時間が光源ランプの寿命に達したかどうかを表すものであって、ランプ積算時間が光源ランプの寿命を超過した場合に「1」であり、それ未満の場合に「0」となる。したがって、「ランプ寿命超過フラグ」は、実施の形態1における「ランプ交換フラグ」と実質的に同様である。また、「ランプ動作不良フラグ」は、光源ランプ17が正常に点灯しているか否かを示すものであって、前述のようにランプ電源部16において検出されている点灯又は消灯状態と運転状態と、この投写型映像表示装置の動作態様とから判別されている。なお、光源ランプ17が正常に点灯しない場合とは、投写型映像表示装置の動作をOFFしていないのに突然消灯した場合や、故障により点灯不可となった場合のように、光源ランプ17が種々の要因により正常に点灯しないような場合をいう。そして、「ランプ動作不良フラグ」は、光源ランプ17が点灯しない場合が「1」であり、点灯している場合は動作不良でなく「0」である。
【0068】
図12は、記憶部における記憶データの内容を例示するものである。この例によれば、「光源ランプの寿命」として、2000時間が予め入力されて記憶されている。また、「ランプ点灯積算時間」として、「光源ランプ1」は2010時間、「光源ランプ2」は2030時間、「光源ランプ3」は2030時間、「光源ランプ4」は1950時間が記憶されている。したがって、「ランプ寿命超過フラグ」として、「光源ランプ1」〜「光源ランプ3」については「1」が記憶され、「光源ランプ4」については「0」が記憶されている。また、「ランプ動作不良フラグ」として、「光源ランプ1」及び「光源ランプ4」が点灯しないことがランプ電源部16において検出され、その結果としてそれぞれ「1」が記憶され、「光源ランプ2」及び「光源ランプ3」については、正常に点灯していることがランプ電源部16において確認された結果として「0」が記憶されている。
【0069】
制御部24は、実施の形態1の場合と基本的に同様のものである。すなわち、制御部24は、各部との信号のやり取りを行い、投写型映像表示装置全体の動作が支障なく行われるように各部を制御する。さらに、副映像信号処理に関して、操作部21において入力された入力データを受け付け、記憶部23に格納する。また、制御部24は、時間計測部22で測定されたランプ点灯積算時間を記憶部23に格納するとともに、このランプ点灯積算時間及び光源ランプ17の点灯状態についての情報を基に「ランプ交換フラグ」を生成して記憶部23に格納する。なお、実施の形態2における「ランプ交換フラグ」は、前述した通り「ランプ寿命超過フラグ」及び「ランプ動作不良フラグ」から構成されている。
【0070】
また、制御部24は、操作部21においてユーザメニュー「OSD表示の継続」について「ON」が選択された場合に、実施の形態1の場合と同様に、記憶部23に記憶されたOSD表示データ及び光源ランプの寿命に関する情報を読み出し、これらをOSD処理部13へ送信している。そして、「ランプ寿命超過フラグ」又は「ランプ動作不良フラグ」が「1」の場合に、OSD処理部13において当該光源ランプ17についての光源ランプの寿命に関する情報についての副映像が生成されるように制御している。
【0071】
以上のように構成された投写型映像表示装置は、図13に示すフローチャートのように制御されて光源ランプの寿命に関する情報が副映像として表示制御される。
実施の形態2に係る投写型映像表示装置は、実施の形態1の場合と同様に、停止時のデータが次の起動時に引き継がれるように構成されている。すなわち、先の停止時においてユーザメニュー「OSD表示の継続」について「ON」が選択されている場合には、電源が投入されて待機状態から光源ランプ17の点灯状態へ遷移すると、光源ランプの寿命に関する情報を副映像として表示するOSD表示機能が開始される。また、電源が投入されると先ず起動画面が終了したか否かが監視される(ステップS11)。なお、先の停止時において、ユーザメニュー「OSD表示の継続」について「OFF」が選択されている場合には、このシステムは起動しない。但し、実施の形態1の場合と同様に、投写型映像表示装置の起動後に随時操作部を操作してOSD表示データを変更することができるように構成されている。したがって、投写型映像表示装置の起動後にユーザメニュー「OSD表示の継続」について「ON」が選択された場合には、OSD表示機能が開始され、「OFF」が選択された場合にOSD表示機能が停止される。
【0072】
そして、ステップ11において起動画面の終了が確認されると、実施の形態1の場合と同様に、記憶部23の記憶データが読み出されてOSD処理部13へ送信される。ここで、何れかの光源ランプ17に関し「ランプ寿命超過フラグ」又は「ランプ動作不良フラグ」が「1」の場合は、OSD処理部13において当該光源ランプ17についての副映像が生成されるとともに、主映像に対し副映像が透過表示され、さらに、当該光源ランプ17毎に副映像がスクロール表示されるように合成される(ステップS12)。ここで、ユーザメニュー項目に関する記憶データとして図11の内容が記憶部23に記憶されるとともに、光源ランプの寿命に関する記憶データとして図12に記載の内容が記憶部23に記憶されている。
【0073】
そして、この合成映像信号が液晶パネル駆動部14に出力され、この合成映像信号に従って液晶パネルが制御され光変調された合成映像光が投写されてOSD表示される(ステップS13)。この実施の形態においては、ユーザメニュー項目に関し前述のように、「表示形式」について「文字&記号」が選択され「スクロール機能」について「ON」が選択されているので、例えば、図14に示すように、実線矢印の順にスクロールされ、各光源ランプ17についての光源ランプの寿命に関する情報が順次表示される。なお、図11及び図12の記憶データに基づくOSD表示画面例については省略する。
【0074】
光源ランプの寿命に関する情報は、図14に示すように、光源ランプ17の識別番号の数字を囲む記号及びその右側に記載されている文字により示されている。「○」印は動作不良であることを示し、「□」は光源ランプの寿命に達したことを示す。「LAMP REPLACE」の文字は光源ランプの交換が必要であることを示し、「(LIFE LIMIT)」の文字は光源ランプが寿命に達したことを示し、「(FAIL)」の文字は光源ランプが動作不良であることを示す。また、表示は、「スクロール周期」として「5sec」が選択されているので、この周期で当該光源ランプ17の状態が順次表示される。
【0075】
なお、この実施の形態においては、複数個の光源ランプ17のうち動作不良のもの、又は光源ランプの寿命に達したものについてのみOSD表示されるように構成されており、光源ランプの寿命に達しないで正常に点灯するものについては何らの表示も行われない。したがって、上記スクロール動作においては、光源ランプの寿命に達しないで正常に点灯する光源ランプ17については、時間をおかずにパスされて次の光源ランプ17についての寿命に関する情報が表示されるように形成されている。
【0076】
次のステップ14では、記憶部23に記憶されたユーザメニュー項目に関する記憶データ及び光源ランプの寿命に関する記憶データが更新されないか監視している。記憶データが更新された場合には、更新された記憶データを記憶部23から読み出し(ステップS15)、これを制御部24からOSD処理部13に伝達される。ここで、「ランプ寿命超過フラグ」又は「ランプ動作不良フラグ」が「1」の場合には、OSD処理部13において当該光源ランプ17についての副映像が更新される(ステップS16)。そして、更新された副映像でOSD表示が継続される。なお、記憶データが更新されない場合は、従前の副映像がそのまま継続してOSD表示される。
【0077】
次に、ステップ17で機器停止命令によるランプ消灯制御の完了が監視され、完了していない場合にはステップS4,S5、S6の処理を繰り返し、光源ランプ17の消灯制御が完了した場合には、副映像としてのOSD表示を終了し(ステップS8)この表示システムを終了する。なお、ランプ消灯制御は光源ランプ17を切り換える場合にも実行されることがある。この場合は、光源ランプ17の消灯は、機器の停止を意図したものではなく、動作中の過渡的なランプ消灯状態である。このように光源ランプ17が複数個の場合は、このランプ消灯制御の完了の監視は必要不可欠となる。
【0078】
上記の光源ランプの寿命に関する副映像により、ランプを交換した場合は、交換した光源ランプ17についてのランプ点灯積算時間が初期化されるとともに、「ランプ交換フラグ」としての「ランプ寿命超過フラグ」及び「ランプ動作不良フラグ」が更新されるものとする。なお、光源ランプ17にICが付加されており、光源ランプ17についての識別及び管理がシリアル番号などにより行われている場合には、光源ランプ17の交換と同時にこのデータをも初期化するように構成される。
【0079】
実施の形態2に係る投写型映像表示装置は、以上のように構成されているので、前記実施の形態1における(2)〜(9)の効果を奏するとともに、次の(10)〜(13)の効果を奏することができる。
【0080】
(10)本実施の形態に係る投写型映像表示装置は、光源ランプ17が複数個の場合において、複数個の光源ランプの寿命に関する情報を副映像としてOSD表示することができる。
【0081】
(11)OSD表示データには、前記複数個の光源ランプ17に関する副映像を、光源ランプ17毎に順次OSD表示するスクロール表示を行うか、スクロール表示を行わずに全ての光源ランプ17について一括表示するかの選択する項目が含まれている。この場合、全ての光源ランプ17について一括表示すると、全ての光源ランプ17について、光源ランプの寿命に関する情報を一度に見ることができる。ただし、副映像の表示スペースが大きくなり主映像の視聴を阻害することになるので主映像と副映像の両立が難しくなる。これに対し、スクロール表示を選択した場合は、副映像の表示スペースが小さくなるので、主映像と副映像の両立が容易になる。
【0082】
(12)スクロール表示は、光源ランプの寿命に達していなくて正常に点灯する光源ランプ17についての表示が省略されるので、副映像の表示が簡素化され、必要な情報に注意が向けられるようになるので、見逃しの恐れをよりなくすことができる。
【0083】
(13)前記OSD表示データには、前記スクロール表示におけるスクロール周期が含まれているので、使用者の希望に応じた周期でスクロ−ル表示することができるので、スクロール表示が見易くなる。
【0084】
(変形例)
本発明は、上記実施の形態において以下のように変更することもできる。
・実施の形態1及び実施の形態2において、操作部21を操作してユーザメニュー項目にOSD設定情報を入力する際に、OSD表示を画面上にデモンストレーションされるようにしておくと、どのような表示になるかを確認しながら設定することができるので、設定の意思決定が容易になるとともにOSD表示される副情報を容易に理解することができる。
【0085】
・実施の形態2において、操作部21から入力されるユーザメニュー項目の「表示形式」においては、実施の形態1の場合のように額縁を個別に又は記号又は/及び文字と併用の形式で選択できるようにしてもよい。額縁のみとした場合は、提示できる情報量が少なくなるので、単に光源ランプ17の中に交換を必要とするものがある旨を表示する程度となる。その代わりこの場合は、実施の形態1において述べたようにシンプルな表現形式となり主映像の視聴の妨げになることも非常に少なくなる。一方、記号又は/及び文字と併用した場合は、額縁により注意喚起するとともに、記号又は文字により具体的な状態を表示することができる。
【0086】
・実施の形態1及び実施の形態2において、操作部21から入力されるユーザメニュー項目の「表示形式」において、文字や記号の大きさ、色、位置などを選択できるようにしてもよい。このようにすれば、表示形式が多様化されるので、使用者の希望に応じた表示形式としての選択範囲が広がる。
【0087】
・実施の形態1及び実施の形態2において、副映像とする光源ランプの寿命に関する情報として、光源ランプの寿命までの残存時間を表示するようにしてもよい。残存時間は、予め記憶部23に記憶されている光源ランプの寿命とランプ点灯積算時間との差から算出することができる。このようにすれば、ランプ手配から入手までの時間を考慮して早めの報知を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明に係る投写型映像表示装置は、3板式液晶投写型映像表示装置等各種の投写型映像表示装置に幅広く用いることができる。
【符号の説明】
【0089】
17…光源ランプ、21…操作部、23…記憶部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された映像信号が映像信号処理され、映像信号処理された映像信号に基づいて光源ランプからの照明光が変調処理されて主映像が表示されるとともに、操作部において光源ランプの寿命に関する情報の報知のためのOSD表示データが入力され、入力されたOSD表示データに基づき光源ランプの寿命に関する情報が副映像としてOSD表示される投写型映像表示装置であって、
前記副映像は、継続的に表示可能に構成されるとともに、背景にある主映像を視認できるように透過表示される
ことを特徴とする投写型映像表示装置。
【請求項2】
前記OSD表示データには、副映像の透過度を0から100の間で段階的又は無段階に設定する項目が含まれていることを特徴とする請求項1記載の投写型映像表示装置。
【請求項3】
前記OSD表示データには、副映像の表示をON,OFFする項目が含まれていることを特徴とする請求項1又は2記載の投写型映像表示装置。
【請求項4】
前記OSD表示データには、光源ランプの交換の要否を報知する内容が含まれており、このランプ交換要否の報知は、予め記憶部に入力されている光源ランプの寿命及びランプ点灯積算時間から判断されることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の投写型映像表示装置。
【請求項5】
前記副映像は、文字により光源ランプの状態を示す表示を含むことを特徴とする請求項4記載の投写型映像表示装置。
【請求項6】
また、前記副映像は、記号により光源ランプの状態を示す表示を含むことを特徴とする請求項4又は5記載の投写型映像表示装置。
【請求項7】
前記副映像は、光源ランプの交換が必要な場合に主映像の周囲を曇らせて額縁のような状態とする表示を含むことを特徴とする請求項4〜6の何れか1項に記載の投写型映像表示装置。
【請求項8】
前記副映像は、光源ランプの寿命までの残時間を示す表示を含むことを特徴とする請求項4項記載の投写型映像表示装置。
【請求項9】
前記光源ランプは1個であり、前記OSD表示データ及び前記副映像はこの1個の光源ランプに関するものであることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の投写型映像表示装置。
【請求項10】
前記光源ランプは複数個であり、前記OSD表示データ及び前記副映像はこの複数個の光源ランプに関するものであることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の投写型映像表示装置。
【請求項11】
前記OSD表示データには、前記複数個の光源ランプに関する副映像を、光源ランプ毎に順次OSD表示するスクロール表示を行うか、スクロール表示を行わずに全ての光源ランプについて一括表示するかの選択する項目が含まれていることを特徴とする請求項10記載の投写型映像表示装置。
【請求項12】
前記スクロール表示は、寿命に達していなくて正常に点灯することができる光源ランプについての表示を省略することを特徴とする請求項11記載の投写型映像表示装置。
【請求項13】
前記OSD表示データには、前記スクロール表示におけるスクロール周期が含まれていることを特徴とする請求項11又は12記載の投写型映像表示装置。
【請求項1】
入力された映像信号が映像信号処理され、映像信号処理された映像信号に基づいて光源ランプからの照明光が変調処理されて主映像が表示されるとともに、操作部において光源ランプの寿命に関する情報の報知のためのOSD表示データが入力され、入力されたOSD表示データに基づき光源ランプの寿命に関する情報が副映像としてOSD表示される投写型映像表示装置であって、
前記副映像は、継続的に表示可能に構成されるとともに、背景にある主映像を視認できるように透過表示される
ことを特徴とする投写型映像表示装置。
【請求項2】
前記OSD表示データには、副映像の透過度を0から100の間で段階的又は無段階に設定する項目が含まれていることを特徴とする請求項1記載の投写型映像表示装置。
【請求項3】
前記OSD表示データには、副映像の表示をON,OFFする項目が含まれていることを特徴とする請求項1又は2記載の投写型映像表示装置。
【請求項4】
前記OSD表示データには、光源ランプの交換の要否を報知する内容が含まれており、このランプ交換要否の報知は、予め記憶部に入力されている光源ランプの寿命及びランプ点灯積算時間から判断されることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の投写型映像表示装置。
【請求項5】
前記副映像は、文字により光源ランプの状態を示す表示を含むことを特徴とする請求項4記載の投写型映像表示装置。
【請求項6】
また、前記副映像は、記号により光源ランプの状態を示す表示を含むことを特徴とする請求項4又は5記載の投写型映像表示装置。
【請求項7】
前記副映像は、光源ランプの交換が必要な場合に主映像の周囲を曇らせて額縁のような状態とする表示を含むことを特徴とする請求項4〜6の何れか1項に記載の投写型映像表示装置。
【請求項8】
前記副映像は、光源ランプの寿命までの残時間を示す表示を含むことを特徴とする請求項4項記載の投写型映像表示装置。
【請求項9】
前記光源ランプは1個であり、前記OSD表示データ及び前記副映像はこの1個の光源ランプに関するものであることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の投写型映像表示装置。
【請求項10】
前記光源ランプは複数個であり、前記OSD表示データ及び前記副映像はこの複数個の光源ランプに関するものであることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の投写型映像表示装置。
【請求項11】
前記OSD表示データには、前記複数個の光源ランプに関する副映像を、光源ランプ毎に順次OSD表示するスクロール表示を行うか、スクロール表示を行わずに全ての光源ランプについて一括表示するかの選択する項目が含まれていることを特徴とする請求項10記載の投写型映像表示装置。
【請求項12】
前記スクロール表示は、寿命に達していなくて正常に点灯することができる光源ランプについての表示を省略することを特徴とする請求項11記載の投写型映像表示装置。
【請求項13】
前記OSD表示データには、前記スクロール表示におけるスクロール周期が含まれていることを特徴とする請求項11又は12記載の投写型映像表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図7】
【図8】
【図2】
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【公開番号】特開2011−101260(P2011−101260A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−255369(P2009−255369)
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
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