説明

投写型映像表示装置

【課題】複数のプロジェクタを組み合わせて使用する場合に、各プロジェクタの設定を容易に調節する技術を提供する
【解決手段】投写部10は、投影面200にフォーカスレンズ16を介して、所定の画像を投写する。画像生成部20は、投写部10から投写すべき所定の画像を生成する。コード生成部22は、撮像機能を備えた他のプロジェクタ100に通知すべき情報が含まれた通知用の画像を生成する。投写部10は、コード生成部22において生成した通知用の画像を投写することによって、他のプロジェクタ100に通知用の画像を撮像させ、他のプロジェクタ100へ情報を通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投写型映像表示技術に関し、特に、撮像機能を搭載した投写型映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像をスクリーン上に拡大して映し出す投射型の画像表示装置として、投写型映像表示装置(以下、「プロジェクタ」ということもある)が使用されている。大画面の投射画像を実現するために、複数のプロジェクタが組み合わされて使用される。その際、複数のプロジェクタのそれぞれに対応した複数のスクリーンが縦横に配列されて大画面が構成されたり、複数のプロジェクタを用いて1枚のスクリーン上に各プロジェクタの画像を並べて投影し大画面が構成されたりしている。前者の場合では、各スクリーンには枠が設けられており、各スクリーン間の境界部分が目立ってしまうが、後者の場合では、そのような状況が発生しない。
【0003】
複数のプロジェクタを組み合わせて使用する場合、スクリーンが平面でなくなる可能性が大きくなるので、幾何歪み,色むらおよびシェーディングに対して補正することが必要になる。これに対応するために、例えば、スクリーン上に表示された画像をひとつのカメラで撮像し、撮像した画像データを各プロジェクタに対応して分割した後に、分割された画像データのそれぞれに対して、補正を実行することがなされる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−72359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
プロジェクタは、複数組み合わされなくても、単体で使用される。その際、使用状況に応じて、投写用の色調や輝度が設定されている。そのため、単体で使用されたプロジェクタ同士を組合せ使用する場合、プロジェクタごとに設定が異なることがある。ユーザには、各プロジェクタの設定を共通にする操作が要求される。これを簡易にするために、各プロジェクタをケーブルで接続し、設定内容に関する情報(以下、「設定プロファイル」という)を交換することが可能であるが、プロジェクタ数の増加にともなって、ケーブル数も増加して、煩雑になる。
【0006】
本発明はこうした状況に鑑みなされたものであり、その目的は、複数のプロジェクタを組み合わせて使用する場合に、各プロジェクタの設定を容易に調節する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の投写型映像表示装置は、投写型映像表示装置であって、投影面にレンズを介して、所定の画像を投写する投写部と、投写部から投写すべき所定の画像を生成する生成部とを備える。生成部は、撮像機能を備えた他の投写型映像表示装置に通知すべき情報が含まれた通知用の画像を生成し、投写部は、生成部において生成した通知用の画像を投写することによって、他の投写型映像表示装置に通知用の画像を撮像させ、他の投写型映像表示装置へ情報を通知する。
【0008】
本発明の別の態様もまた、投写型映像表示装置である。この装置は、投影面にレンズを介して、所定の画像を投写する投写型映像表示装置であって、他の投写型映像表示装置によって投写された通知用の画像であって、他の投写型映像表示装置から本投写型映像表示装置へ通知すべき情報が含まれた通知用の画像を撮像する撮像部と、撮像部において撮像した通知用の画像が含んだ情報に応じて、処理を実行する制御部と、を備える。
【0009】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数のプロジェクタを組み合わせて使用する場合に、各プロジェクタの設定を容易に調節できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例に係るプロジェクタシステムの構成を示す図である。
【図2】図1に示したプロジェクタの構成を示す図である。
【図3】図1に示したプロジェクタシステムによる表示手順を示すシーケンス図である。
【図4】図1に示したプロジェクタシステムによる別の表示手順を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を具体的に説明する前に、概要を述べる。本発明の実施例は、複数のプロジェクタが含まれたプロジェクタシステムに関する。プロジェクタシステムは、複数のプロジェクタのそれぞれによって投写された画像を組み合わせることによって、ひとつの画像をスクリーン上に表示させる。前述のごとく、各プロジェクタは単体でも使用されているので、プロジェクタには、使用環境に適した設定がなされている。そのようなプロジェクタを複数組み合わせて使用すると、各プロジェクタによって投写された画像の色調や輝度等が異なるので、プロジェクタシステムによって表示される画像の品質が悪化する。そのため、プロジェクタシステムとして使用する際、各プロジェクタの設定が統一されていることが望ましい。このような設定を簡易に実行するために、本実施例に係るプロジェクタシステムは、次の処理を実行する。
【0013】
ひとつのプロジェクタは、設定プロファイルの内容が示された画像(以下、「コード画像」という)を生成する。コード画像の一例は、QRコード(登録商標)である。プロジェクタは、コード画像を投写することによって、スクリーン上にコード画像を表示する。他のプロジェクタは、撮像部を備えており、スクリーン上に表示されたコード画像を撮像する。他のプロジェクタは、コード画像から設定プロファイルを抽出し、設定プロファイルをもとに表示の設定を実行する。設定後、他のプロジェクタは、画像を投写することによって、スクリーン上に画像(以下、「投影画像」ということもある)を表示させる。なお、プロジェクタの数が多く、最初に表示されたコード画像を撮像できない他のプロジェクタが存在する場合、上記の処理を繰り返し実行する。つまり、設定プロファイルをもとに表示の設定を実行したプロジェクタは、コード画像を投写することによって、スクリーン上にコード画像をさらに表示する。
【0014】
図1は、本発明の実施例に係るプロジェクタシステム300の構成を示す。プロジェクタシステム300は、プロジェクタ100と総称される第1プロジェクタ100a、第2プロジェクタ100b、第3プロジェクタ100cを含む。第1プロジェクタ100aは、第1撮像部30aを含み、第2プロジェクタ100bは、第2撮像部30bを含み、第3プロジェクタ100cは、第3撮像部30cを含む。ここで、第1撮像部30a、第2撮像部30b、第3撮像部30cは、撮像部30と総称される。第1プロジェクタ100aは、第1投影画像70a、第1コード画像72aを投写し、第2プロジェクタ100bは、第2投影画像70b、第2コード画像72bを投写し、第3プロジェクタ100cは、第3投影画像70c、第3投影画像70cを投写する。ここで、第1投影画像70a、第2投影画像70b、第3投影画像70cは、投影画像70と総称され、第1コード画像72a、第2コード画像72b、第3コード画像72cは、コード画像72と総称される。
【0015】
第1プロジェクタ100aから第3プロジェクタ100cは、単体でも動作可能な投写型映像表示装置である。ここでは、プロジェクタ100の数を「3」としているが、これに限定されない。例えば、第1プロジェクタ100aは、第1投影画像70aを投写する。第1プロジェクタ100aからの投写の範囲は点線にて示される。第2プロジェクタ100b、第3プロジェクタ100cも同様に動作する。そのため、第1プロジェクタ100aから第3プロジェクタ100cのそれぞれには、独立した設定がなされている。前述のごとく、設定の一例は、色彩や輝度である。ここでは、第2プロジェクタ100bが主であり、第1プロジェクタ100aおよび第2プロジェクタ100bが従であるとする。
【0016】
第2プロジェクタ100bは、設定プロファイルをもとに第2コード画像72bを生成する。第2プロジェクタ100bは、第2コード画像72bを投写する。第1撮像部30aが撮像可能な範囲は実線にて示される。第1撮像部30aは、表示された第2コード画像72bを撮像する。第1プロジェクタ100aは、撮像した第2コード画像72bから設定プロファイルを抽出する。第1プロジェクタ100aは、設定プロファイルの内容をもとに、設定を実行する。その結果、第2プロジェクタ100bの設定と第1プロジェクタ100aとの設定が統一される。第3プロジェクタ100cも、同様に動作する。
【0017】
これまでの説明では、主から従へ情報が伝達される場合を想定している。しかしながら、従から主へ情報を伝達する場合には、第1プロジェクタ100aが、伝達すべき情報をもとに第1コード画像72aを生成し、第1コード画像72aを投写してもよい。第2撮像部30bは、第1コード画像72aを撮像し、第2プロジェクタ100bは、第1コード画像72aに応じた情報を取得する。なお、第3撮像部30cは、第1コード画像72aを撮像できない。そのため、第1コード画像72aに応じた情報を第3プロジェクタ100cへ伝達する必要がある場合、第2プロジェクタ100bは、第1コード画像72aに応じた情報をもとに第2コード画像72bを生成し、第2コード画像72bを投写する。第3撮像部30cが第2コード画像72bを撮像することによって、第3プロジェクタ100cは、もとの情報を取得する。つまり、第2プロジェクタ100bは、第1プロジェクタ100aから第3プロジェクタ100cへ情報を伝達するために、中継処理を実行する。
【0018】
図2は、プロジェクタ100の構成を示す。プロジェクタ100は、投写部10、画像生成部20、撮像部30、制御部40、入力部50を含み、投写部10は、光源12、光変調部14、フォーカスレンズ16を含み、画像生成部20は、コード生成部22を含み、撮像部30は、固体撮像素子32、信号処理回路34を含む。また、プロジェクタ100は、図1の投影画像70、コード画像72を投影面200に投写する。
【0019】
入力部50は、図示しないPCやネットワークに接続されており、PCやネットワークから、投写すべき画像データを入力する。画像データは、図1の投影画像70のもとになる画像である。図1に示したように、複数の投影画像70によってひとつの画像が形成されている。入力部50に入力される画像データは、本プロジェクタ100によって投写される投影画像70のもとになる画像に対応していてもよく、プロジェクタシステム300によって投写されるひとつの画像のもとになる画像に対応していてもよい。前者の場合、入力部50は、入力した画像データを画像生成部20へ出力する。後者の場合、入力部50は、入力した画像データから、本プロジェクタ100が投写すべき部分を抽出し、抽出した画像データ(以下、これも「画像データ」という)を画像生成部20へ出力する。なお、抽出すべき部分に関する指示は、制御部40から受けつけている。
【0020】
画像生成部20は、入力部50から画像データを受けつける。画像生成部20は、受けつけた画像データの形式を、投写部10から投写すべき画像データの形式へ変換する。画像データの形式の変換には、公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。画像生成部20は、変換した画像データ(以下、「画像信号」という)を投写部10へ出力する。
【0021】
投写部10は、スクリーンなどの投影面200に投影画像70を投写する。また、投写部10は、投影画像70とは別にコード画像72を投写する。なお、投写部10は、投影画像70に重複させてコード画像72を投写してもよい。光源12には、フィラメント型の電極構造を有するハロゲンランプ、アーク放電を発生させる電極構造を有するメタルハライドランプ、キセノンショートアークランプ、高圧型の水銀ランプ、LEDランプなどが使用される。
【0022】
光変調部14は、画像生成部20からの画像信号に応じて、光源12から入射される光を変調する。例えば、光変調部14にはDMD(Digital Micromirror Device)が使用される。DMDは、画素数に対応した複数のマイクロミラーを備え、各マイクロミラーの向きが各画素信号に応じて制御されることにより、所望の画像を形成する。
【0023】
フォーカスレンズ16は、光変調部14から入射される光の焦点位置を調整する。調整のために、フォーカスレンズ16では、レンズ位置が光軸上で移動される。なお、光の焦点位置の調整には、公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。このように、投写部10は、投影面200にフォーカスレンズ16を介して、投影画像70やコード画像72を投写する。
【0024】
制御部40は、プロジェクタ100全体の動作を制御する。制御部40は、前述のごとく、設定内容を設定プロファイルとして管理し、設定プロファイルに応じた色調や輝度になるように、投写部10を制御する。また、制御部40は、画像データのうち、抽出すべき部分を入力部50に指示する。設定プロファイルは、例えば、ユーザによって予め生成されていればよい。プロジェクタ100が、例えば、図1の第2プロジェクタ100bである場合、制御部40は、設定プロファイルをコード生成部22へ出力する。
【0025】
コード生成部22は、制御部40から設定プロファイルを受けつける。コード生成部22は、設定プロファイルをもとに、コード画像72のもとになる画像信号(以下、「コード信号」という)を生成する。そのため、コード信号には、撮像機能を備えた他のプロジェクタ100に通知すべき情報が含まれているといえる。情報は、設定プロファイルであり、他のプロジェクタ100によって投写される投影画像70の設定に関する情報ともいえる。前述のごとく、コード画像72の一例は、QRコードであり、コード信号の生成には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。コード生成部22は、コード信号を投写部10へ出力する。
【0026】
投写部10は、コード生成部22からのコード信号を受けつける。投写部10は、画像信号を受けつけた場合と同様の処理を実行し、コード画像72を投写する。コード画像72を投写することによって、投写部10は、他のプロジェクタ100にコード画像72を撮像させ、他のプロジェクタ100へ情報を通知する。具体的に説明すると、投写部10は、コード画像72に含まれた情報に応じて、他のプロジェクタ100に画像の設定を実行させるために、コード画像72を投写する。
【0027】
第2プロジェクタ100b以外のプロジェクタ100において、撮像部30は、投影面200に投影された投影画像70を撮像する。また、撮像部30は、コード画像72も撮像する。つまり、撮像部30は、他のプロジェクタ100によって投写されたコード画像72であって、他のプロジェクタ100から本プロジェクタ100へ通知すべき情報が含まれたコード画像72を撮像する。前述のごとく、撮像部30において撮像したコード画像72に含まれた情報は、所定の画像を投写する際の画像の設定に関する情報である。
【0028】
固体撮像素子32には、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどが使用される。また、固体撮像素子32として、グローバルシャッタ方式など、走査ライン単位でシャッタタイミングを制御可能な撮像素子が使用されてもよい。信号処理回路34は、固体撮像素子32から出力される信号に対して、A/D変換などの各種信号処理を施し、その結果の画像(以下、これも「投影画像70」や「コード画像72」という)を制御部40へ出力する。
【0029】
制御部40は、信号処理回路34から、投影画像70やコード画像72を受けつける。ここでは、コード画像72を受けつけた場合の処理を説明する。制御部40は、コード画像72を解読することによって、設定プロファイルを抽出する。コード画像72の解読には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。制御部40は、設定プロファイルの内容に応じた処理を実行する。具体的には、制御部40は、投写すべき画像の設定を実行する。例えば、制御部40は、設定プロファイルに示された色調や輝度を投写部10に設定する。制御部40による設定は、これに限定されない。
【0030】
さらに、制御部40は、設定プロファイルをコード生成部22へ出力してもよい。その際、コード生成部22は、前述のごとく、設定プロファイルをもとに、コード信号を生成してもよい。このようなコード信号は、撮像部30において撮像したコード画像72に含まれた情報のうち、さらに他のプロジェクタ100に通知すべき情報が含まれた画像であるといえる。つまり、設定プロファイルの内容を中継するための画像である。
【0031】
この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0032】
以上の構成によるプロジェクタシステム300の動作概要を説明する。図3は、プロジェクタシステム300による表示手順を示すシーケンス図である。第2プロジェクタ100bは、コード信号をもとにコード画像72を生成し(S10)、コード画像72を表示する(S12)。第1プロジェクタ100aおよび第3プロジェクタ100cは、コード画像72を撮像する(S14、S16)。第1プロジェクタ100aおよび第3プロジェクタ100cは、投影画像70の表示設定を制御する(S18、S20)。第1プロジェクタ100a、第2プロジェクタ100b、第3プロジェクタ100cは、投影画像70を表示する(S22、S24、S26)。
【0033】
これまで、ひとつのプロジェクタ100が設定プロファイルをもとにコード画像72を生成し、他のプロジェクタ100は、コード画像72に応じた設定プロファイルをもとに、表示を制御している。つまり、主となるプロジェクタ100から従となるプロジェクタ100へ、絶対的な設定内容が通知されている。これとは異なり、主となるプロジェクタ100から従となるプロジェクタ100へ、相対的な設定内容が通知されてもよい。相対的な設定内容とは、現在の設定を基準にして、設定の変化の程度が示されることに相当する。例えば、輝度を現在よりも「1」高くすることである。
【0034】
このような処理は、主となるプロジェクタ100の種類と従となるプロジェクタ100との種類が異なる場合に有利である。つまり、従となるプロジェクタ100は、主となるプロジェクタ100へ、現在の設定プロファイルと、従となるプロジェクタ100の種類を識別するための情報(以下、「識別情報」という)とを通知する。これらの通知にも、コード画像72が使用される。主となるプロジェクタ100の撮像部30は、撮像によってコード画像72を取得する。主となるプロジェクタ100の制御部40は、主となるプロジェクタ100での設定内容と、従となるプロジェクタ100での設定内容との対応関係を予め記憶する。なお、このような対応関係は、プロジェクタ100の機種ごとに記憶されている。
【0035】
制御部40は、コード画像72をもとに、従となるプロジェクタ100での設定プロファイルと識別情報とを抽出する。制御部40は、識別情報をもとに、使用すべき対応関係を特定し、当該対応関係を使用して、設定プロファイルを変換する。制御部40は、変換した設定プロファイルを所望の設定プロファイルに変更するための差分を導出する。コード生成部22は、差分をもとにコード信号を生成する。投写部10は、コード信号に対応したコード画像72を投写する。このように主となるプロジェクタ100の制御部40は、対応関係を記憶しており、設定プロファイルを変換してから差分を導出し、差分をもとにコード画像72を生成する。そのため、従となるプロジェクタ100は、主となるプロジェクタ100と機種が一致するかに関係なく、プロジェクタシステム300に使用される。
【0036】
図4は、プロジェクタシステム300による別の表示手順を示すシーケンス図である。図4において、第3プロジェクタ100cが、主となるプロジェクタ100であるとする。第1プロジェクタ100aおよび第5プロジェクタ100eは、設定プロファイルおよび識別情報を反映させたコード画像72を表示する(S40、S42)。第2プロジェクタ100bおよび第4プロジェクタ100dは、コード画像72を撮像する(S44、S46)。第2プロジェクタ100bおよび第4プロジェクタ100dは、コード画像72を表示する(S48、S50)。ここで、第2プロジェクタ100bは、第2プロジェクタ100bの設定プロファイルおよび識別情報に加えて、第1プロジェクタ100aの設定プロファイルおよび識別情報も反映させるように、コード画像72を生成する。第4プロジェクタ100dも同様である。
【0037】
第3プロジェクタ100cは、コード画像72を撮像する(S52)。第3プロジェクタ100cは、各プロジェクタ100に対する差分を反映させてコード画像72を生成する。そのため、コード画像72には、各プロジェクタ100に対する差分が重畳されている。第3プロジェクタ100cは、コード画像72を表示する(S54)。第2プロジェクタ100bおよび第4プロジェクタ100dは、コード画像72を撮像する(S56、S58)。第2プロジェクタ100bおよび第4プロジェクタ100dは、コード画像72に含まれた情報のうち、自装置に関する部分を取得し、コード画像72の表示設定を制御する。第2プロジェクタ100bおよび第4プロジェクタ100dは、コード画像72を表示する(S60、S62)。
【0038】
第1プロジェクタ100aおよび第5プロジェクタ100eは、コード画像72を撮像する(S64、S66)。第1プロジェクタ100aおよび第5プロジェクタ100eは、コード画像72に含まれた情報のうち、自装置に関する部分を取得し、コード画像72の表示設定を制御する。第1プロジェクタ100a、第2プロジェクタ100b、第3プロジェクタ100c、第4プロジェクタ100d、第5プロジェクタ100eは、投影画像70を表示する(S68、S70、S72、S74、S76)。
【0039】
本発明の実施例によれば、他のプロジェクタに通知すべき情報をコード画像に含めて投写するので、他のプロジェクタをケーブルで接続しなくても、情報を他のプロジェクタへ通知できる。また、ケーブルの接続が不要になるので、ユーザの手順を簡易にできる。また、ケーブルの接続が不要になるので、ケーブルによる煩雑さを低減できる。また、情報を伝送するための別個の通信装置が不要になるので、構成を簡易にできる。また、構成が簡易になるので、製造コストを低減できる。また、投影画像の設定に関する情報を伝送するので、設定プロファイルを他のプロジェクタに通知できる。また、設定プロファイルを通知するので、画像の表示の設定を他のプロジェクタに使用させることができる。
【0040】
また、コード画像を撮像し、撮像したコード画像に含まれた設定プロファイルに応じて、投影画像の表示を設定するので、他のプロジェクタでの設定を使用することができる。また、他のプロジェクタでの設定が使用されるので、複数のプロジェクタから投写される投影画像の輝度等を共通にできる。また、複数のプロジェクタから投写される投影画像の輝度等が共通にされるので、複数のプロジェクタを使用する場合であっても、投影画像の表示品質の悪化を抑制できる。また、撮像したコード画像に含まれた情報をもとに、コード画像を生成して投写するので、他のプロジェクタからさらに他のプロジェクタへ情報を転送できる。
【0041】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0042】
本発明の実施例において、投写部10は、コード画像72を投写する。変形例では、例えば、投写部10は、時間の経過とともに、投影面200におけるコード画像72の表示位置が変化するように、コード画像72が投写されてもよい。具体的に説明すると、投写部10は、所定のタイミングにおいて、投影画像70が表示される位置(以下、「表示エリア」という)の左上の部分にコード画像72を投写する。また、次のタイミングにおいて、投写部10は、表示エリアの左下の部分にコード画像72を投写する。さらに、所定の間隔で、投写部10は、表示エリアの右下の部分、右上の部分、左上の部分に切りかえながら表示する。
【0043】
一般的に、撮像部30の製造コストを低減するために、撮像可能な範囲の狭いレンズが使用される。そのため、他のプロジェクタ100によって投写されたコード画像72の表示位置によっては、当該コード画像72が撮像されないおそれがある。また、当該コード画像72を撮像するために、プロジェクタ100の設置位置が制限される。その結果、ユーザによる処理が複雑になる。一方、コード画像72の表示位置を変化させることによって、撮像可能な範囲の狭いレンズが使用される場合であっても、いずれかの表示位置において撮像される可能性が高くなる。また、いずれかの表示位置において撮像される可能性が高くなるので、プロジェクタ100の設置位置についての制限を緩和できる。
【0044】
本発明の実施例において、投写部10は、コード生成部22から受けつけたコード信号に対して所定の処理を実行し、コード画像72を投写する。また、コード画像72としてQRコードを例示するとともに、表示エリアの一部の領域にQRコードを投写している。しかしながらこれに限らず例えば、コード画像72が、次のような形態で投写されてもよい。(1)コード画像72が、色つきの画像であってもよい。その際、R、G、Bが各Lビットの情報とされ、R、G、Bの各ビットの組合せと、所定の設定プロファイルとが対応づけられる。本変形例によれば、コード画像72によって伝送可能な情報量を増加できる。(2)コード画像72を時間軸方向に変化させ、時間軸方向の変化に対しても設定プロファイルが対応づけられてもよい。本変形例によれば、コード画像72自体のサイズが小さくても、時間軸を利用することによって、伝送可能な情報量の低減を抑制できる。(3)コード画像72がN×Mドットで表示エリア全体に表示されてもよい。本変形例によれば、他のプロジェクタ100から撮像される可能性を向上できる。
【符号の説明】
【0045】
10 投写部、 12 光源、 14 光変調部、 16 フォーカスレンズ、 20 画像生成部、 22 コード生成部、 30 撮像部、 32 固体撮像素子、 34 信号処理回路、 40 制御部、 50 入力部、 100 プロジェクタ、 200 投影面、 300 プロジェクタシステム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投写型映像表示装置であって、
投影面にレンズを介して、所定の画像を投写する投写部と、
前記投写部から投写すべき所定の画像を生成する生成部とを備え、
前記生成部は、撮像機能を備えた他の投写型映像表示装置に通知すべき情報が含まれた通知用の画像を生成し、
前記投写部は、前記生成部において生成した通知用の画像を投写することによって、前記他の投写型映像表示装置に通知用の画像を撮像させ、前記他の投写型映像表示装置へ情報を通知することを特徴とする投写型映像表示装置。
【請求項2】
前記生成部において生成した通知用の画像に含まれた情報は、前記他の投写型映像表示装置によって投写される画像の設定に関する情報であり、
前記投写部は、前記生成部において生成した通知用の画像に含まれた情報に応じて、前記他の投写型映像表示装置に画像の設定を実行させるために、通知用の画像を投写することを特徴とする請求項1に記載の投写型映像表示装置。
【請求項3】
前記投写部は、時間の経過とともに、投影面における通知用の画像の表示位置が変化するように、通知用の画像を投写することを特徴とする請求項1または2に記載の投写型映像表示装置。
【請求項4】
投影面にレンズを介して、所定の画像を投写する投写型映像表示装置であって、
他の投写型映像表示装置によって投写された通知用の画像であって、前記他の投写型映像表示装置から本投写型映像表示装置へ通知すべき情報が含まれた通知用の画像を撮像する撮像部と、
前記撮像部において撮像した通知用の画像が含んだ情報に応じて、処理を実行する制御部と、
を備えることを特徴とする投写型映像表示装置。
【請求項5】
前記撮像部において撮像した通知用の画像に含まれた情報は、所定の画像を投写する際の画像の設定に関する情報であり、
前記制御部は、前記撮像部において撮像した通知用の画像に含まれた情報に応じて、画像の設定を実行することを特徴とする請求項4に記載の投写型映像表示装置。
【請求項6】
前記撮像部において撮像した通知用の画像に含まれた情報のうち、撮像機能を備えたさらに他の投写型映像表示装置に通知すべき情報が含まれた通知用の画像を生成する生成部をさらに備え、
前記生成部は、通知用の画像を投写させることを特徴とする請求項4または5に記載の投写型映像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−133669(P2011−133669A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−293191(P2009−293191)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】