投写型映像表示装置
【課題】 投写面と投写型映像表示装置との距離が非常に近い状態であっても、投写面上に投写される映像を補正することを可能とする投写型映像表示装置を提供する。
【解決手段】 投写型映像表示装置100は、投写型映像表示装置100から離れた側において、投写枠410の少なくとも一部を撮像するように構成された撮像装置300と、撮像装置300によって撮像された画像に基づいて、投写枠410及び撮像装置300の撮像範囲310の重複領域500を抽出するように構成された抽出部550と、重複領域500上にテストパターン画像を表示するようにDMD60を制御するように構成された素子制御部560とを備える。
【解決手段】 投写型映像表示装置100は、投写型映像表示装置100から離れた側において、投写枠410の少なくとも一部を撮像するように構成された撮像装置300と、撮像装置300によって撮像された画像に基づいて、投写枠410及び撮像装置300の撮像範囲310の重複領域500を抽出するように構成された抽出部550と、重複領域500上にテストパターン画像を表示するようにDMD60を制御するように構成された素子制御部560とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源から出射される光を変調するように構成された光変調素子と、光変調素子から出射される光を投写面上に投写するように構成された投写ユニットとを有する投写型映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源から出射される光を変調する光変調素子と、光変調素子から出射される光を投写面上に投写する投写ユニットとを備える投写型映像表示装置が知られている。
【0003】
これに対して、以下の手順で映像を補正する方法が知られている。第1に、投写型映像表示装置は、長方形形状のテストパターン画像を投写面上に投写する。第2に、投写型映像表示装置は、投写面上に投写されたテストパターン画像を撮像して、投写面におけるテストパターン画像の4隅の座標を特定する。第3に、投写型映像表示装置は、投写面におけるテストパターン画像の4隅の座標に基づいて、投写型映像表示装置と投写面との位置関係を特定して、投写面上に投写される映像を補正する。
【0004】
例えば、投写面上に投写されたテストパターン画像は、投写型映像表示装置に設けられる撮像装置によって撮像される(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−62842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年、投写面と投写型映像表示装置との距離が非常に近い状態で、投写面上に映像を投写する投写型映像表示装置が知られている。このような投写型映像表示装置では、投写型映像表示装置に設けられた撮像装置によって、投写面上に投写される映像(投写枠)の全体を撮像することができない。すなわち、投写面上に投写される映像を十分に補正することができない。
【0007】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、投写面と投写型映像表示装置との距離が非常に近い状態であっても、投写面上に投写される映像を補正することを可能とする投写型映像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の特徴に係る投写型映像表示装置は、光源(光源10)から出射される光を変調するように構成された光変調素子(DMD60)と、前記光変調素子から出射される光を投写面上に投写するように構成された投写ユニット(投写ユニット110)とを有する。投写型映像表示装置は、前記投写型映像表示装置から離れた側において、前記投写面に設けられる投写枠(投写枠410)の少なくとも一部を撮像するように構成された撮像装置(撮像装置300)と、前記撮像装置によって撮像された画像に基づいて、前記投写枠及び前記撮像装置の撮像範囲の重複領域(重複領域500)を抽出するように構成された抽出部(抽出部550)と、前記重複領域上にテストパターン画像を表示するように前記光変調素子を制御するように構成された素子制御部(素子制御部560)とを備える。
【0009】
第1の特徴において、前記撮像装置は、前記投写型映像表示装置から離れた側において、前記投写枠の2隅を少なくとも撮像するように構成される。前記抽出部は、前記撮像装置によって撮像された画像に含まれる前記投写枠の2隅に基づいて、前記投写枠の残りの2隅を特定する。前記素子制御部は、前記投写枠内に映像が収まるように前記光変調素子を制御する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、投写面と投写型映像表示装置との距離が非常に近い状態であっても、投写面上に投写される映像を補正することを可能とする投写型映像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1実施形態に係る投写型映像表示装置100を示す図である。
【図2】第1実施形態に係る投写型映像表示装置100を示す図である。
【図3】第1実施形態に係る投写型映像表示装置100の概略を示す図である。
【図4】第1実施形態に係る制御ユニット500を示すブロック図である。
【図5】第1実施形態に係る記憶テストパターン画像の一例を示す図である。
【図6】第1実施形態に係る記憶テストパターン画像の一例を示す図である。
【図7】第1実施形態に係る記憶テストパターン画像の一例を示す図である。
【図8】第1実施形態に係る記憶テストパターン画像の一例を示す図である。
【図9】第1実施形態に係る撮像テストパターン画像の一例を示す図である。
【図10】第1実施形態に係る撮像テストパターン画像の一例を示す図である。
【図11】第1実施形態に係る投写テストパターン画像における交点を算出する方法を説明するための図である。
【図12】第1実施形態に係る投写型映像表示装置100の動作を示すフロー図である。
【図13】変更例1に係る投写型映像表示装置100の概略を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下において、本発明の実施形態に係る投写型映像表示装置について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。
【0013】
ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0014】
[実施形態の概要]
実施形態に係る投写型映像表示装置は、光源から出射される光を変調するように構成された光変調素子と、光変調素子から出射される光を投写面上に投写するように構成された投写ユニットとを有する。投写型映像表示装置は、投写型映像表示装置から離れた側において、投写面に設けられる投写枠の少なくとも一部を撮像するように構成された撮像装置と、撮像装置によって撮像された画像に基づいて、投写枠及び撮像装置の撮像範囲の重複領域を抽出するように構成された抽出部と、重複領域上にテストパターン画像を表示するように光変調素子を制御するように構成された素子制御部とを備える。
【0015】
実施形態では、素子制御部は、投写枠及び撮像装置の撮像範囲の重複領域上にテストパターン画像を表示するように光変調素子を制御する。従って、投写面と投写型映像表示装置との距離が非常に近い状態であっても、テストパターン画像の撮像画像を取得することができる。従って、投写面上に投写される映像を補正することができる。
【0016】
なお、投写面上に投写される映像の補正は、(1)映像の台形補正、(2)フォーカス補正、(3)ズーム補正(レンズシフト補正或いは光学補正)、(4)映像の局所歪み補正、(5)スクリーンフィッティング補正などを含む。
【0017】
[第1実施形態]
(投写型映像表示装置の構成)
以下において、第1実施形態に係る投写型映像表示装置の構成について、図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る投写型映像表示装置100(床面投写)を示す図である。図2は、第1実施形態に係る投写型映像表示装置100(壁面投写)を示す図である。
【0018】
図1及び図2に示すように、投写型映像表示装置100は、筐体200を有しており、投写面(不図示)に映像を投写する。投写面は、図1に示すように、床面に設けられていてもよく、図2に示すように、壁面に設けられてもよい。
【0019】
具体的には、投写型映像表示装置100は、光源10と、ロッドインテグレータ20と、レンズ群30と、ミラー40と、ミラー50と、DMD60と、投写ユニット110とを有する。これらの光学素子は、筐体200内に収容される。
【0020】
光源10は、複数色の色成分光を個別に出射するように構成される。例えば、光源10は、光源10R、光源10G及び光源10Bによって構成される。
【0021】
光源10Rは、赤成分光Rを出射する光源であり、例えば、赤LED(Light Emitting Diode)や赤LD(Laser Diode)である。光源10Gは、緑成分光Gを出射する光源であり、例えば、緑LEDや緑LDである。光源10Bは、青成分光Bを出射する光源であり、例えば、青LEDや青LDである。
【0022】
ロッドインテグレータ20は、光入射面と、光出射面と、光入射面の外周から光出射面の外周に亘って設けられる光反射側面とを有する。ロッドインテグレータ20は、光源10から出射された色成分光を均一化する。詳細には、ロッドインテグレータ20は、光反射側面で色成分光を反射することによって、色成分光を均一化する。なお、ロッドインテグレータ20は、ガラスなどによって構成される中実ロッドであってもよく、ミラー面によって内面が構成される中空ロッドであってもよい。
【0023】
レンズ群30は、光源10から出射された色成分光の拡大を抑制しながら、色成分光をDMD60上に略結像するリレーレンズである。レンズ群30は、例えば、複数のレンズ(レンズ31、レンズ32及びレンズ33)によって構成される。
【0024】
ミラー40は、レンズ群30から出射された色成分光をミラー50側に反射する。具体的には、ミラー40は、投写ユニット110の光軸Cに対して垂直方向に色成分光を反射する。ミラー50は、ミラー40で反射された色成分光をDMD60側に反射する。
【0025】
DMD60は、複数の微小ミラーによって構成されており、複数の微小ミラーは可動式である。各微小ミラーは、基本的に1画素に相当する。DMD60は、各微小ミラーの角度を変更することによって、色成分光が有効光として投写ユニット110側に導かれるように色成分光を反射するか否かを切り替える。
【0026】
なお、DMD60の中心は、投写ユニット110の光軸Cからシフトしていることに留意すべきである。具体的には、DMD60の中心は、投写ユニット110の光軸Cよりも、投写面側にシフトしている。
【0027】
ここで、光源10、ロッドインテグレータ20、レンズ群30、ミラー40及びミラー50は、照明ユニットを構成することに留意すべきである。
【0028】
投写ユニット110は、DMD60で反射された色成分光(映像光)を投写面に投写する。具体的には、投写ユニット110は、第1投写レンズ群111と、第2投写レンズ群112と、反射ミラー113とを有する。
【0029】
第1投写レンズ群111は、DMD60で反射された色成分光(映像光)を第2投写レンズ群112側に出射する。第1投写レンズ群111は、投写ユニット110の光軸Cを中心とする略円形形状を有する。
【0030】
第2投写レンズ群112は、第1投写レンズ群111から出射された色成分光(映像光)を反射ミラー113側に出射する。ここで、第2投写レンズ群112は、投写ユニット110の光軸Cを中心とする略円形形状の一部分によって構成される形状(例えば、下半分の半円形状)を有する。なお、第2投写レンズ群112の径は、第1投写レンズ群111の径よりも大きいことに留意すべきである。
【0031】
反射ミラー113は、第1投写レンズ群111から出射された色成分光(映像光)を反射する。反射ミラー113は、映像光を集光した上で、映像光を広角化する。例えば、反射ミラー113は、第1投写レンズ群111側に凹面を有する非球面ミラーである。ここで、反射ミラー113は、投写ユニット110の光軸Cを中心とする略円形形状の一部分によって構成される形状(例えば、下半分の半円形状)を有する。
【0032】
反射ミラー113で集光された映像光は、筐体200の傾斜面210に設けられた透過領域211を透過する。傾斜面210に設けられた透過領域211は、反射ミラー113によって映像光が集光される位置近傍に設けられることが好ましい。
【0033】
なお、投写ユニット110の光軸C方向における筐体200のサイズは、DMD60と反射ミラー113との配置(距離)によって規定されることに留意すべきである。
【0034】
(投写型映像表示装置の概略)
以下において、第1実施形態に係る投写型映像表示装置の概略について、図面を参照しながら説明する。図3は、第1実施形態に係る投写型映像表示装置100の詳細について説明するための図である。
【0035】
図3に示すように、投写型映像表示装置100には、撮像装置300が設けられる。また、投写型映像表示装置100は、投写面400上に映像光を投写する。
【0036】
撮像装置300は、投写面400を撮像するように構成される。具体的には、撮像装置300は、投写型映像表示装置100から離れた側(far side)において、投写面400上に設けられる投写枠410の少なくとも一部を撮像する。すなわち、撮像装置300の撮像範囲310は、投写枠410の一部と重複する。
【0037】
ここで、投写型映像表示装置100は、投写面400に非常に近接して配置されるため、撮像装置300は、投写枠410の全体を撮像することが難しいことに留意すべきである。
【0038】
なお、撮像装置300は、投写型映像表示装置100に内蔵されていてもよく、投写型映像表示装置100と併設されていてもよい。
【0039】
投写面400上には、スクリーン枠などの投写枠410が設けられる。なお、スクリーン枠などを特定することができない場合には、投写枠410は、投写型映像表示装置100が映像光を投写可能な範囲(以下、投写可能範囲)と考えてもよい。
【0040】
なお、投写可能範囲は、投写枠410内に収まることが好ましい。但し、初期状態において、投写可能範囲が投写枠410内に収まらないケースも考えられることに留意すべきである。
【0041】
ここで、投写型映像表示装置100は、投写枠410及び撮像範囲310の重複領域500上に、後述するテストパターン画像を表示する。すなわち、テストパターン画像は、撮像装置300によって撮像される。
【0042】
なお、第1実施形態では、投写型映像表示装置100の光軸Nが投写面400の法線Mと一致しないケースについて例示する。例えば、光軸Nと法線Mとが角度θを構成するケースについて例示する。
【0043】
すなわち、第1実施形態では、光軸Nが法線Mと一致しないため、投写枠410(投写面400上に表示される映像)が歪んでしまう。第1実施形態では、このような投写枠410の歪みを補正する方法について主として説明する。
【0044】
(制御ユニットの構成)
以下において、第1実施形態に係る制御ユニットについて、図面を参照しながら説明する。図4は、第1実施形態に係る制御ユニット500を示すブロック図である。制御ユニット500は、投写型映像表示装置100に設けられており、投写型映像表示装置100を制御する。
【0045】
なお、制御ユニット500は、映像入力信号を映像出力信号に変換する。映像入力信号は、赤入力信号Rin、緑入力信号Gin及び青入力信号Binによって構成される。映像出力信号は、赤出力信号Rout、緑出力信号Gout及び青出力信号Boutによって構成される。映像入力信号及び映像出力信号は、1フレームを構成する複数の画素毎に入力される信号である。
【0046】
図4に示すように、制御ユニット500は、映像信号受付部510と、記憶部520と、取得部530と、算出部540と、抽出部550と、素子制御部560とを有する。
【0047】
映像信号受付部510は、DVDやTVチューナなどの外部装置(不図示)から映像入力信号を受付ける。
【0048】
記憶部520は、各種情報を記憶する。具体的には、記憶部520は、3つ以上の交点を構成する3つ以上の線分のそれぞれの少なくとも一部分を構成するテストパターン画像を記憶する。また、3つ以上の線分は、所定読み出し方向に対して傾きを有する。
【0049】
なお、所定読み出し方向は、テストパターン画像を構成する所定ラインの向き(例えば、水平方向)である。後述するように、取得部530は、撮像装置300によって撮像された撮像画像のうち、テストパターン画像を構成する所定ライン毎に、所定ラインに対応する撮像画像データを取得する。
【0050】
以下において、テストパターン画像の一例について、図5〜図8を参照しながら説明する。図5〜図8に示すように、テストパターン画像は、4つの交点(Ps1〜Ps4)を構成する4つの線分(Ls1〜Ls4)の少なくとも一部分を構成する画像である。第1実施形態では、4つの線分(Ls1〜Ls4)は、濃淡或いは明暗の差(エッジ)によって表される。
【0051】
詳細には、図5に示すように、テストパターン画像は、黒の背景及び白抜きの菱形であってもよい。ここで、白抜きの菱形の4辺は、4つの線分(Ls1〜Ls4)の少なくとも一部分を構成する。なお、4つの線分(Ls1〜Ls4)は、所定読み出し方向(水平方向)に対して傾きを有する。
【0052】
或いは、図6に示すように、テストパターン画像は、黒の背景及び白抜きの線分であってもよい。白抜きの線分は、図5に示す白抜きの菱形の4辺の一部分を構成する。ここで、白抜きの線分は、4つの線分(Ls1〜Ls4)の少なくとも一部分を構成する。なお、4つの線分(Ls1〜Ls4)は、所定読み出し方向(水平方向)に対して傾きを有する。
【0053】
或いは、図7に示すように、テストパターン画像は、黒の背景及び1対の白抜きの三角形であってもよい。ここで、1対の白抜きの三角形の2辺は、4つの線分(Ls1〜Ls4)の少なくとも一部分を構成する。なお、4つの線分(Ls1〜Ls4)は、所定読み出し方向(水平方向)に対して傾きを有する。
【0054】
或いは、図8に示すように、テストパターン画像は、黒の背景及び白抜きの線分であってもよい。ここで、白抜きの線分は、4つの線分(Ls1〜Ls4)の少なくとも一部分を構成する。図8に示すように、4つの線分(Ls1〜Ls4)によって構成される4つの交点(Ps1〜Ps4)は、投写可能範囲の外側に設けられてもよい。なお、4つの線分(Ls1〜Ls4)は、取得部530(水平方向)に対して傾きを有する。
【0055】
取得部530は、撮像装置300から撮像画像を取得する。具体的には、取得部530は、撮像装置300から、テストパターン画像における所定読み出し方向に沿ってテストパターン画像の撮像画像データを順に取得する。言い換えると、取得部530は、ラインバッファを有しており、撮像装置300によって撮像された撮像画像のうち、テストパターン画像を構成する所定ライン毎に、所定ラインに対応する撮像画像データをラインバッファに格納する。すなわち、取得部530は、フレームバッファを必要としないことに留意すべきである。
【0056】
取得部530は、所定読み出し方向に沿って順にラインバッファから撮像画像データを読み出し、読み出された撮像画像データに基づいて、撮像画像における3つ以上の交点を取得する。
【0057】
具体的には、取得部530は、以下の手順によって、撮像画像における3つ以上の交点を取得する。ここでは、テストパターン画像が図5に示す画像(白抜きの菱形)であるケースについて例示する。
【0058】
第1に、取得部530は、図9に示すように、ラインバッファから読み出された撮像画像に基づいて、濃淡或いは明暗の差(エッジ)を有する点群Pedgeを取得する。すなわち、取得部530は、テストパターン画像の白抜きの菱形の4辺に対応する点群Pedgeを取得する。
【0059】
第2に、取得部530は、図10に示すように、点群Pedgeに基づいて、撮像画像における4つの線分(Lt1〜Lt4)を取得する。すなわち、取得部530は、テストパターン画像における4つの線分(Ls1〜Ls4)に対応する4つの線分(Lt1〜Lt4)を取得する。
【0060】
第3に、取得部530は、図10に示すように、4つの線分(Lt1〜Lt4)に基づいて、撮像画像における4つの交点(Pt1〜Pt4)を取得する。すなわち、取得部530は、テストパターン画像における4つの交点(Ps1〜Ps4)に対応する4つの交点(Pt1〜Pt4)を取得する。
【0061】
算出部540は、テストパターン画像における3つ以上の交点(例えば、Ps1〜Ps4)及び撮像画像における3つの交点(例えば、Pt1〜Pt4)に基づいて、投写型映像表示装置100と投写面400との位置関係を算出する。具体的には、算出部540は、投写型映像表示装置100(投写ユニット110)の光軸Nと投写面400の法線Mとのずれ量を算出する。
【0062】
なお、以下においては、記憶部520に記憶されたテストパターン画像を記憶テストパターン画像と称する。撮像画像に含まれるテストパターン画像を撮像テストパターン画像と称する。投写面400に投写されたテストパターン画像を投写テストパターン画像と称する。
【0063】
第1に、算出部540は、投写テストパターン画像における4つの交点(Pu1〜Pu4)の座標を算出する。ここでは、記憶テストパターン画像の交点Ps1、撮像テストパターン画像の交点Pt1、投写テストパターン画像の交点Pu1を例に挙げて説明する。交点Ps1、交点Pt1及び交点Pu1は、互いに対応する交点である。
【0064】
以下において、交点Pu1の座標(Xu1,Yu1,Zu1)の算出方法について、図10を参照しながら説明する。交点Pu1の座標(Xu1,Yu1,Zu1)は、投写型映像表示装置100の焦点Osを原点とする3次元空間における座標であることに留意すべきである。
【0065】
(1)算出部540は、記憶テストパターン画像の2次元平面における交点Ps1の座標(xs1,ys1)について、投写型映像表示装置100の焦点Osを原点とする3次元空間における交点Ps1の座標(Xs1,Ys1,Zs1)に変換する。具体的には、交点Ps1の座標(Xs1,Ys1,Zs1)は、以下の式によって表される。
【数1】
【0066】
なお、Asは、3×3の変換行列であり、キャリブレーション等の前処理によって予め取得することが可能である。すなわち、Asは、既知のパラメータである。
【0067】
ここでは、投写型映像表示装置100の光軸方向に垂直な面がXs軸及びYs軸で表されており、投写型映像表示装置100の光軸方向がZs軸で表されている。
【0068】
同様に、算出部540は、撮像テストパターン画像の2次元平面における交点Pt1の座標(xt1,yt1)について、撮像装置300の焦点Otを原点とする3次元空間における交点Pt1の座標(Xt1,Yt1,Zt1)に変換する。
【数2】
【0069】
なお、Atは、3×3の変換行列であり、キャリブレーション等の前処理によって予め取得することが可能である。すなわち、Atは、既知のパラメータである。
【0070】
ここでは、撮像装置300の光軸方向に垂直な面がXt軸及びYt軸で表されており、撮像装置300の向き(撮像方向)がZt軸で表されている。このような座標空間において、撮像装置300の向き(撮像方向)の傾き(ベクトル)は既知であることに留意すべきである。
【0071】
(2)算出部540は、交点Ps1と交点Pu1とを結ぶ直線Lvの式を算出する。同様に、算出部540は、交点Pt1と交点Pu1とを結ぶ直線Lwの式を算出する。なお、直線Lv及び直線Lwの式は、以下のように表される。
【数3】
【0072】
(3)算出部540は、投写型映像表示装置100の焦点Osを原点とする3次元空間における直線Lw’に直線Lwを変換する。直線Lw’は、以下の式によって表される。
【数4】
【0073】
なお、投写型映像表示装置100の光軸及び撮像装置300の向き(撮像方向)は既知であるため、回転成分を示すパラメータRは既知である。同様に、投写型映像表示装置100及び撮像装置300の相対位置が既知であるため、並進成分を示すパラメータTも既知である。
【0074】
(4)算出部540は、式(3)及び式(5)に基づいて、直線Lv及び直線Lw’の交点(すなわち、交点Pu1)における媒介変数Ks及びKtを算出する。続いて、算出部540は、交点Ps1の座標(Xs1,Ys1,Zs1)及びKsに基づいて、交点Pu1の座標(Xu1,Yu1,Zu1)を算出する。或いは、算出部540は、交点Pt1の座標(Xt1,Yt1,Zt1)及びKtに基づいて、交点Pu1の座標(Xu1,Yu1,Zu1)を算出する。
【0075】
これによって、算出部540は、交点Pu1の座標(Xu1,Yu1,Zu1)を算出する。同様に、算出部540は、交点Pu2の座標(Xu2,Yu2,Zu2)、交点Pu3の座標(Xu3,Yu3,Zu3)、交点Pu4の座標(Xu4,Yu4,Zu4)を算出する。
【0076】
第2に、算出部540は、投写面400の法線Mのベクトルを算出する。具体的には、算出部540は、交点Pu1〜交点Pu4のうち、少なくとも3つの交点の座標を用いて、投写面400の法線Mのベクトルを算出する。投写面400の式は、以下の式によって表され、パラメータk1、k2、k3は、投写面400の法線Mのベクトルを表している。
【数5】
【0077】
これによって、算出部540は、投写型映像表示装置100の光軸Nと投写面400の法線Mとのずれ量を算出することができる。すなわち、算出部540は、投写型映像表示装置100と投写面400との位置関係を算出することができる。
【0078】
図4に戻って、抽出部550は、取得部530によって取得される撮像画像に基づいて、撮像範囲310及び投写枠410の重複領域500を抽出する。ここで、重複領域500を抽出する際には、投写枠410を特定できるように、白色映像が投写面400に投写されることが好ましい。
【0079】
素子制御部560は、映像入力信号を映像出力信号に変換して、映像出力信号に基づいて、DMD60を制御する。また、素子制御部560は、以下に示す機能を有する。
【0080】
第1に、素子制御部560は、抽出部550によって抽出された重複領域500上にテストパターン画像を表示するようにDMD60を制御する。
【0081】
第2に、素子制御部560は、投写型映像表示装置100と投写面400との位置関係に基づいて、投写面400上に投写された映像の形状の自動補正を行う機能を有する。すなわち、素子制御部560は、投写型映像表示装置100と投写面400との位置関係に基づいて、自動的に台形補正を行う機能を有する。
【0082】
(投写型映像表示装置の動作)
以下において、第1実施形態に係る投写型映像表示装置(制御ユニット)の動作について、図面を参照しながら説明する。図11は、第1実施形態に係る投写型映像表示装置100(制御ユニット500)の動作を示すフロー図である。
【0083】
図12に示すように、ステップ10において、投写型映像表示装置100は、準備画像を表示する。すなわち、投写型映像表示装置100は、DMD60の制御などによって、投写面400上に準備画像を投写する。
【0084】
なお、準備画像は、例えば、ブルーバックの画像であってもよく、ブラックバックの画像であってもよい。
【0085】
ステップ20において、撮像装置300は、投写面400を撮像する。具体的には、撮像装置300は、投写面400に設けられた投写枠410の少なくとも一部を撮像する。
【0086】
なお、ステップ20では、投写型映像表示装置100は、投写枠410を特定できるように、投写面400上に白色映像を表示することが好ましい。
【0087】
ステップ30において、投写型映像表示装置100は、撮像装置300によって撮像された撮像画像に基づいて、撮像範囲310及び投写枠410の重複領域500を抽出する。
【0088】
ステップ40において、投写型映像表示装置100は、重複領域500上にテストパターン画像を表示する。すなわち、投写型映像表示装置100は、DMD60の制御などによって、重複領域500上にテストパターン画像を投写する。
【0089】
ステップ50において、撮像装置300は、投写面400を撮像する。すなわち、撮像装置300は、重複領域500上に投写されたテストパターン画像を撮像する。
【0090】
ステップ60において、投写型映像表示装置100は、準備画像を再表示する。すなわち、投写型映像表示装置100は、DMD60の制御などによって、投写面400上に準備画像を投写する。
【0091】
ステップ70において、投写型映像表示装置100は、撮像画像を構成する所定ライン毎に取得された撮像画像データに基づいて、テストパターン画像における3つ以上の交点を取得する。
【0092】
ステップ80において、投写型映像表示装置100は、撮像装置300によって撮像された撮像画像のうち、テストパターン画像の撮像画像に基づいて、投写型映像表示装置100と投写面400との位置関係を算出する。具体的には、投写型映像表示装置100は、テストパターン画像における4つの交点(Ps1〜Ps4)及び撮像画像における4つの交点(Pt1〜Pt4)に基づいて、投写型映像表示装置100と投写面400との位置関係を算出する。
【0093】
ステップ90において、投写型映像表示装置100は、投写面400上に投写される映像を補正する。投写面400上に投写される映像の補正は、(1)映像の台形補正、(2)フォーカス補正、(3)ズーム補正(レンズシフト補正或いは光学補正)、(4)映像の局所歪み補正などである。
【0094】
(作用及び効果)
第1実施形態では、素子制御部560は、投写枠410及び撮像装置300の撮像範囲310の重複領域500上にテストパターン画像を表示するようにDMD60を制御する。従って、投写面400と投写型映像表示装置100との距離が非常に近い状態であっても、テストパターン画像の撮像画像を取得することができる。従って、投写面400上に投写される映像を補正することができる。
【0095】
[変更例1]
以下において、第1実施形態の変更例1について、図面を参照しながら説明する。以下においては、第1実施形態との相違点について主として説明する。具体的には、変更例1では、スクリーンフィッティング補正について説明する。
【0096】
(投写型映像表示装置の概略)
以下において、変更例1に係る投写型映像表示装置の概略について、図面を参照しながら説明する。図13は、変更例1に係る投写型映像表示装置100の詳細について説明するための図である。
【0097】
図13に示すように、投写型映像表示装置100から離れた側(far side)において、投写枠410の4隅のうち、少なくとも2隅は、撮像装置300の撮像範囲310に含まれる。すなわち、撮像装置300は、投写型映像表示装置100から離れた側(far side)において、投写枠410の4隅のうち、少なくとも2隅(A,B)を撮像する。
【0098】
ここで、上述した抽出部550は、撮像装置300に含まれる撮像画像に含まれる投写枠410の2隅(A,B)に基づいて、投写枠410の残りの2隅(C,D)を特定する。具体的には、投写枠410のアスペクト比が既知であることを前提として、抽出部550は、投写枠410の残りの2隅(C,D)を特定する。
【0099】
上述した素子制御部560は、抽出部550によって特定された投写枠410内に映像が収まるようにDMD60を制御する(スクリーンフィッティング補正)。
【0100】
(作用及び効果)
変更例1では、抽出部550は、撮像装置300に含まれる撮像画像に含まれる投写枠410の2隅(A,B)に基づいて、投写枠410の残りの2隅(C,D)を特定する。従って、投写面400と投写型映像表示装置100との距離が非常に近い状態であっても、スクリーンフィッティング補正を行うことができる。
【0101】
[変更例2]
以下において、第1実施形態の変更例2について説明する。以下においては、第1実施形態との相違点について主として説明する。
【0102】
具体的には、第1実施形態では、撮像装置300が設けられる位置について触れていないが、変更例2では、撮像装置300が設けられる位置が最適化される。
【0103】
例えば、撮像装置300は、投写ユニット110の近傍に配置される。また、撮像装置300の向き(撮像方向)は、投写ユニット110の向き(光出射方向)と揃っている。これによって、撮像装置300の焦点Otを原点とする3次元空間を投写型映像表示装置100の焦点Osを原点とする3次元空間に変換する必要がない。従って、演算処理が軽減される。
【0104】
或いは、撮像装置300は、可能な範囲で投写面400から離れた位置に配置される。これによって、撮像装置300の撮像範囲310が最大化する。
【0105】
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0106】
実施形態では、光変調素子として、DMD(Digital Micromirror Device)を例示したに過ぎない。光変調素子は、反射型の液晶パネルであってもよい。
【0107】
実施形態では、光源として、LED(Light Emitting Diode)やLD(Laser Diode)を例示した。しかしながら、光源は、白色光源であってもよい。
【0108】
上述した実施形態では、図5〜図8に示すテストパターン画像について例示した。しかしながら、テストパターン画像は、これに限定されるものではない。また、取得部530がラインメモリを有しているケースについて例示した。しかしながら、取得部530は、フレームメモリを有していてもよい。
【0109】
上述した実施形態では、素子制御部560は、投写型映像表示装置100と投写面400との位置関係に基づいて、自動的に台形補正を行う機能を有することについて説明した。しかしながら、実施形態は、これに限定されるものではない。例えば、素子制御部560は、投写型映像表示装置100と投写面400との位置関係に基づいて、フォーカス位置の調整やズーム倍率の調整を行ってもよい。
【符号の説明】
【0110】
10…光源、20…ロッドインテグレータ、30…レンズ群、40…ミラー、50…ミラー、60…DMD、100…投写型映像表示装置、110…投写ユニット、111…第1投写レンズ群、112…第2投写レンズ群、113…反射ミラー、200…筐体、210…傾斜面、211…透過領域、300…撮像装置、400…投写面、410…投写枠、500…制御ユニット、510…映像信号受付部、520…記憶部、530…取得部、540…算出部、550…抽出部、560…素子制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源から出射される光を変調するように構成された光変調素子と、光変調素子から出射される光を投写面上に投写するように構成された投写ユニットとを有する投写型映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源から出射される光を変調する光変調素子と、光変調素子から出射される光を投写面上に投写する投写ユニットとを備える投写型映像表示装置が知られている。
【0003】
これに対して、以下の手順で映像を補正する方法が知られている。第1に、投写型映像表示装置は、長方形形状のテストパターン画像を投写面上に投写する。第2に、投写型映像表示装置は、投写面上に投写されたテストパターン画像を撮像して、投写面におけるテストパターン画像の4隅の座標を特定する。第3に、投写型映像表示装置は、投写面におけるテストパターン画像の4隅の座標に基づいて、投写型映像表示装置と投写面との位置関係を特定して、投写面上に投写される映像を補正する。
【0004】
例えば、投写面上に投写されたテストパターン画像は、投写型映像表示装置に設けられる撮像装置によって撮像される(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−62842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年、投写面と投写型映像表示装置との距離が非常に近い状態で、投写面上に映像を投写する投写型映像表示装置が知られている。このような投写型映像表示装置では、投写型映像表示装置に設けられた撮像装置によって、投写面上に投写される映像(投写枠)の全体を撮像することができない。すなわち、投写面上に投写される映像を十分に補正することができない。
【0007】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、投写面と投写型映像表示装置との距離が非常に近い状態であっても、投写面上に投写される映像を補正することを可能とする投写型映像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の特徴に係る投写型映像表示装置は、光源(光源10)から出射される光を変調するように構成された光変調素子(DMD60)と、前記光変調素子から出射される光を投写面上に投写するように構成された投写ユニット(投写ユニット110)とを有する。投写型映像表示装置は、前記投写型映像表示装置から離れた側において、前記投写面に設けられる投写枠(投写枠410)の少なくとも一部を撮像するように構成された撮像装置(撮像装置300)と、前記撮像装置によって撮像された画像に基づいて、前記投写枠及び前記撮像装置の撮像範囲の重複領域(重複領域500)を抽出するように構成された抽出部(抽出部550)と、前記重複領域上にテストパターン画像を表示するように前記光変調素子を制御するように構成された素子制御部(素子制御部560)とを備える。
【0009】
第1の特徴において、前記撮像装置は、前記投写型映像表示装置から離れた側において、前記投写枠の2隅を少なくとも撮像するように構成される。前記抽出部は、前記撮像装置によって撮像された画像に含まれる前記投写枠の2隅に基づいて、前記投写枠の残りの2隅を特定する。前記素子制御部は、前記投写枠内に映像が収まるように前記光変調素子を制御する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、投写面と投写型映像表示装置との距離が非常に近い状態であっても、投写面上に投写される映像を補正することを可能とする投写型映像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1実施形態に係る投写型映像表示装置100を示す図である。
【図2】第1実施形態に係る投写型映像表示装置100を示す図である。
【図3】第1実施形態に係る投写型映像表示装置100の概略を示す図である。
【図4】第1実施形態に係る制御ユニット500を示すブロック図である。
【図5】第1実施形態に係る記憶テストパターン画像の一例を示す図である。
【図6】第1実施形態に係る記憶テストパターン画像の一例を示す図である。
【図7】第1実施形態に係る記憶テストパターン画像の一例を示す図である。
【図8】第1実施形態に係る記憶テストパターン画像の一例を示す図である。
【図9】第1実施形態に係る撮像テストパターン画像の一例を示す図である。
【図10】第1実施形態に係る撮像テストパターン画像の一例を示す図である。
【図11】第1実施形態に係る投写テストパターン画像における交点を算出する方法を説明するための図である。
【図12】第1実施形態に係る投写型映像表示装置100の動作を示すフロー図である。
【図13】変更例1に係る投写型映像表示装置100の概略を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下において、本発明の実施形態に係る投写型映像表示装置について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。
【0013】
ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0014】
[実施形態の概要]
実施形態に係る投写型映像表示装置は、光源から出射される光を変調するように構成された光変調素子と、光変調素子から出射される光を投写面上に投写するように構成された投写ユニットとを有する。投写型映像表示装置は、投写型映像表示装置から離れた側において、投写面に設けられる投写枠の少なくとも一部を撮像するように構成された撮像装置と、撮像装置によって撮像された画像に基づいて、投写枠及び撮像装置の撮像範囲の重複領域を抽出するように構成された抽出部と、重複領域上にテストパターン画像を表示するように光変調素子を制御するように構成された素子制御部とを備える。
【0015】
実施形態では、素子制御部は、投写枠及び撮像装置の撮像範囲の重複領域上にテストパターン画像を表示するように光変調素子を制御する。従って、投写面と投写型映像表示装置との距離が非常に近い状態であっても、テストパターン画像の撮像画像を取得することができる。従って、投写面上に投写される映像を補正することができる。
【0016】
なお、投写面上に投写される映像の補正は、(1)映像の台形補正、(2)フォーカス補正、(3)ズーム補正(レンズシフト補正或いは光学補正)、(4)映像の局所歪み補正、(5)スクリーンフィッティング補正などを含む。
【0017】
[第1実施形態]
(投写型映像表示装置の構成)
以下において、第1実施形態に係る投写型映像表示装置の構成について、図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る投写型映像表示装置100(床面投写)を示す図である。図2は、第1実施形態に係る投写型映像表示装置100(壁面投写)を示す図である。
【0018】
図1及び図2に示すように、投写型映像表示装置100は、筐体200を有しており、投写面(不図示)に映像を投写する。投写面は、図1に示すように、床面に設けられていてもよく、図2に示すように、壁面に設けられてもよい。
【0019】
具体的には、投写型映像表示装置100は、光源10と、ロッドインテグレータ20と、レンズ群30と、ミラー40と、ミラー50と、DMD60と、投写ユニット110とを有する。これらの光学素子は、筐体200内に収容される。
【0020】
光源10は、複数色の色成分光を個別に出射するように構成される。例えば、光源10は、光源10R、光源10G及び光源10Bによって構成される。
【0021】
光源10Rは、赤成分光Rを出射する光源であり、例えば、赤LED(Light Emitting Diode)や赤LD(Laser Diode)である。光源10Gは、緑成分光Gを出射する光源であり、例えば、緑LEDや緑LDである。光源10Bは、青成分光Bを出射する光源であり、例えば、青LEDや青LDである。
【0022】
ロッドインテグレータ20は、光入射面と、光出射面と、光入射面の外周から光出射面の外周に亘って設けられる光反射側面とを有する。ロッドインテグレータ20は、光源10から出射された色成分光を均一化する。詳細には、ロッドインテグレータ20は、光反射側面で色成分光を反射することによって、色成分光を均一化する。なお、ロッドインテグレータ20は、ガラスなどによって構成される中実ロッドであってもよく、ミラー面によって内面が構成される中空ロッドであってもよい。
【0023】
レンズ群30は、光源10から出射された色成分光の拡大を抑制しながら、色成分光をDMD60上に略結像するリレーレンズである。レンズ群30は、例えば、複数のレンズ(レンズ31、レンズ32及びレンズ33)によって構成される。
【0024】
ミラー40は、レンズ群30から出射された色成分光をミラー50側に反射する。具体的には、ミラー40は、投写ユニット110の光軸Cに対して垂直方向に色成分光を反射する。ミラー50は、ミラー40で反射された色成分光をDMD60側に反射する。
【0025】
DMD60は、複数の微小ミラーによって構成されており、複数の微小ミラーは可動式である。各微小ミラーは、基本的に1画素に相当する。DMD60は、各微小ミラーの角度を変更することによって、色成分光が有効光として投写ユニット110側に導かれるように色成分光を反射するか否かを切り替える。
【0026】
なお、DMD60の中心は、投写ユニット110の光軸Cからシフトしていることに留意すべきである。具体的には、DMD60の中心は、投写ユニット110の光軸Cよりも、投写面側にシフトしている。
【0027】
ここで、光源10、ロッドインテグレータ20、レンズ群30、ミラー40及びミラー50は、照明ユニットを構成することに留意すべきである。
【0028】
投写ユニット110は、DMD60で反射された色成分光(映像光)を投写面に投写する。具体的には、投写ユニット110は、第1投写レンズ群111と、第2投写レンズ群112と、反射ミラー113とを有する。
【0029】
第1投写レンズ群111は、DMD60で反射された色成分光(映像光)を第2投写レンズ群112側に出射する。第1投写レンズ群111は、投写ユニット110の光軸Cを中心とする略円形形状を有する。
【0030】
第2投写レンズ群112は、第1投写レンズ群111から出射された色成分光(映像光)を反射ミラー113側に出射する。ここで、第2投写レンズ群112は、投写ユニット110の光軸Cを中心とする略円形形状の一部分によって構成される形状(例えば、下半分の半円形状)を有する。なお、第2投写レンズ群112の径は、第1投写レンズ群111の径よりも大きいことに留意すべきである。
【0031】
反射ミラー113は、第1投写レンズ群111から出射された色成分光(映像光)を反射する。反射ミラー113は、映像光を集光した上で、映像光を広角化する。例えば、反射ミラー113は、第1投写レンズ群111側に凹面を有する非球面ミラーである。ここで、反射ミラー113は、投写ユニット110の光軸Cを中心とする略円形形状の一部分によって構成される形状(例えば、下半分の半円形状)を有する。
【0032】
反射ミラー113で集光された映像光は、筐体200の傾斜面210に設けられた透過領域211を透過する。傾斜面210に設けられた透過領域211は、反射ミラー113によって映像光が集光される位置近傍に設けられることが好ましい。
【0033】
なお、投写ユニット110の光軸C方向における筐体200のサイズは、DMD60と反射ミラー113との配置(距離)によって規定されることに留意すべきである。
【0034】
(投写型映像表示装置の概略)
以下において、第1実施形態に係る投写型映像表示装置の概略について、図面を参照しながら説明する。図3は、第1実施形態に係る投写型映像表示装置100の詳細について説明するための図である。
【0035】
図3に示すように、投写型映像表示装置100には、撮像装置300が設けられる。また、投写型映像表示装置100は、投写面400上に映像光を投写する。
【0036】
撮像装置300は、投写面400を撮像するように構成される。具体的には、撮像装置300は、投写型映像表示装置100から離れた側(far side)において、投写面400上に設けられる投写枠410の少なくとも一部を撮像する。すなわち、撮像装置300の撮像範囲310は、投写枠410の一部と重複する。
【0037】
ここで、投写型映像表示装置100は、投写面400に非常に近接して配置されるため、撮像装置300は、投写枠410の全体を撮像することが難しいことに留意すべきである。
【0038】
なお、撮像装置300は、投写型映像表示装置100に内蔵されていてもよく、投写型映像表示装置100と併設されていてもよい。
【0039】
投写面400上には、スクリーン枠などの投写枠410が設けられる。なお、スクリーン枠などを特定することができない場合には、投写枠410は、投写型映像表示装置100が映像光を投写可能な範囲(以下、投写可能範囲)と考えてもよい。
【0040】
なお、投写可能範囲は、投写枠410内に収まることが好ましい。但し、初期状態において、投写可能範囲が投写枠410内に収まらないケースも考えられることに留意すべきである。
【0041】
ここで、投写型映像表示装置100は、投写枠410及び撮像範囲310の重複領域500上に、後述するテストパターン画像を表示する。すなわち、テストパターン画像は、撮像装置300によって撮像される。
【0042】
なお、第1実施形態では、投写型映像表示装置100の光軸Nが投写面400の法線Mと一致しないケースについて例示する。例えば、光軸Nと法線Mとが角度θを構成するケースについて例示する。
【0043】
すなわち、第1実施形態では、光軸Nが法線Mと一致しないため、投写枠410(投写面400上に表示される映像)が歪んでしまう。第1実施形態では、このような投写枠410の歪みを補正する方法について主として説明する。
【0044】
(制御ユニットの構成)
以下において、第1実施形態に係る制御ユニットについて、図面を参照しながら説明する。図4は、第1実施形態に係る制御ユニット500を示すブロック図である。制御ユニット500は、投写型映像表示装置100に設けられており、投写型映像表示装置100を制御する。
【0045】
なお、制御ユニット500は、映像入力信号を映像出力信号に変換する。映像入力信号は、赤入力信号Rin、緑入力信号Gin及び青入力信号Binによって構成される。映像出力信号は、赤出力信号Rout、緑出力信号Gout及び青出力信号Boutによって構成される。映像入力信号及び映像出力信号は、1フレームを構成する複数の画素毎に入力される信号である。
【0046】
図4に示すように、制御ユニット500は、映像信号受付部510と、記憶部520と、取得部530と、算出部540と、抽出部550と、素子制御部560とを有する。
【0047】
映像信号受付部510は、DVDやTVチューナなどの外部装置(不図示)から映像入力信号を受付ける。
【0048】
記憶部520は、各種情報を記憶する。具体的には、記憶部520は、3つ以上の交点を構成する3つ以上の線分のそれぞれの少なくとも一部分を構成するテストパターン画像を記憶する。また、3つ以上の線分は、所定読み出し方向に対して傾きを有する。
【0049】
なお、所定読み出し方向は、テストパターン画像を構成する所定ラインの向き(例えば、水平方向)である。後述するように、取得部530は、撮像装置300によって撮像された撮像画像のうち、テストパターン画像を構成する所定ライン毎に、所定ラインに対応する撮像画像データを取得する。
【0050】
以下において、テストパターン画像の一例について、図5〜図8を参照しながら説明する。図5〜図8に示すように、テストパターン画像は、4つの交点(Ps1〜Ps4)を構成する4つの線分(Ls1〜Ls4)の少なくとも一部分を構成する画像である。第1実施形態では、4つの線分(Ls1〜Ls4)は、濃淡或いは明暗の差(エッジ)によって表される。
【0051】
詳細には、図5に示すように、テストパターン画像は、黒の背景及び白抜きの菱形であってもよい。ここで、白抜きの菱形の4辺は、4つの線分(Ls1〜Ls4)の少なくとも一部分を構成する。なお、4つの線分(Ls1〜Ls4)は、所定読み出し方向(水平方向)に対して傾きを有する。
【0052】
或いは、図6に示すように、テストパターン画像は、黒の背景及び白抜きの線分であってもよい。白抜きの線分は、図5に示す白抜きの菱形の4辺の一部分を構成する。ここで、白抜きの線分は、4つの線分(Ls1〜Ls4)の少なくとも一部分を構成する。なお、4つの線分(Ls1〜Ls4)は、所定読み出し方向(水平方向)に対して傾きを有する。
【0053】
或いは、図7に示すように、テストパターン画像は、黒の背景及び1対の白抜きの三角形であってもよい。ここで、1対の白抜きの三角形の2辺は、4つの線分(Ls1〜Ls4)の少なくとも一部分を構成する。なお、4つの線分(Ls1〜Ls4)は、所定読み出し方向(水平方向)に対して傾きを有する。
【0054】
或いは、図8に示すように、テストパターン画像は、黒の背景及び白抜きの線分であってもよい。ここで、白抜きの線分は、4つの線分(Ls1〜Ls4)の少なくとも一部分を構成する。図8に示すように、4つの線分(Ls1〜Ls4)によって構成される4つの交点(Ps1〜Ps4)は、投写可能範囲の外側に設けられてもよい。なお、4つの線分(Ls1〜Ls4)は、取得部530(水平方向)に対して傾きを有する。
【0055】
取得部530は、撮像装置300から撮像画像を取得する。具体的には、取得部530は、撮像装置300から、テストパターン画像における所定読み出し方向に沿ってテストパターン画像の撮像画像データを順に取得する。言い換えると、取得部530は、ラインバッファを有しており、撮像装置300によって撮像された撮像画像のうち、テストパターン画像を構成する所定ライン毎に、所定ラインに対応する撮像画像データをラインバッファに格納する。すなわち、取得部530は、フレームバッファを必要としないことに留意すべきである。
【0056】
取得部530は、所定読み出し方向に沿って順にラインバッファから撮像画像データを読み出し、読み出された撮像画像データに基づいて、撮像画像における3つ以上の交点を取得する。
【0057】
具体的には、取得部530は、以下の手順によって、撮像画像における3つ以上の交点を取得する。ここでは、テストパターン画像が図5に示す画像(白抜きの菱形)であるケースについて例示する。
【0058】
第1に、取得部530は、図9に示すように、ラインバッファから読み出された撮像画像に基づいて、濃淡或いは明暗の差(エッジ)を有する点群Pedgeを取得する。すなわち、取得部530は、テストパターン画像の白抜きの菱形の4辺に対応する点群Pedgeを取得する。
【0059】
第2に、取得部530は、図10に示すように、点群Pedgeに基づいて、撮像画像における4つの線分(Lt1〜Lt4)を取得する。すなわち、取得部530は、テストパターン画像における4つの線分(Ls1〜Ls4)に対応する4つの線分(Lt1〜Lt4)を取得する。
【0060】
第3に、取得部530は、図10に示すように、4つの線分(Lt1〜Lt4)に基づいて、撮像画像における4つの交点(Pt1〜Pt4)を取得する。すなわち、取得部530は、テストパターン画像における4つの交点(Ps1〜Ps4)に対応する4つの交点(Pt1〜Pt4)を取得する。
【0061】
算出部540は、テストパターン画像における3つ以上の交点(例えば、Ps1〜Ps4)及び撮像画像における3つの交点(例えば、Pt1〜Pt4)に基づいて、投写型映像表示装置100と投写面400との位置関係を算出する。具体的には、算出部540は、投写型映像表示装置100(投写ユニット110)の光軸Nと投写面400の法線Mとのずれ量を算出する。
【0062】
なお、以下においては、記憶部520に記憶されたテストパターン画像を記憶テストパターン画像と称する。撮像画像に含まれるテストパターン画像を撮像テストパターン画像と称する。投写面400に投写されたテストパターン画像を投写テストパターン画像と称する。
【0063】
第1に、算出部540は、投写テストパターン画像における4つの交点(Pu1〜Pu4)の座標を算出する。ここでは、記憶テストパターン画像の交点Ps1、撮像テストパターン画像の交点Pt1、投写テストパターン画像の交点Pu1を例に挙げて説明する。交点Ps1、交点Pt1及び交点Pu1は、互いに対応する交点である。
【0064】
以下において、交点Pu1の座標(Xu1,Yu1,Zu1)の算出方法について、図10を参照しながら説明する。交点Pu1の座標(Xu1,Yu1,Zu1)は、投写型映像表示装置100の焦点Osを原点とする3次元空間における座標であることに留意すべきである。
【0065】
(1)算出部540は、記憶テストパターン画像の2次元平面における交点Ps1の座標(xs1,ys1)について、投写型映像表示装置100の焦点Osを原点とする3次元空間における交点Ps1の座標(Xs1,Ys1,Zs1)に変換する。具体的には、交点Ps1の座標(Xs1,Ys1,Zs1)は、以下の式によって表される。
【数1】
【0066】
なお、Asは、3×3の変換行列であり、キャリブレーション等の前処理によって予め取得することが可能である。すなわち、Asは、既知のパラメータである。
【0067】
ここでは、投写型映像表示装置100の光軸方向に垂直な面がXs軸及びYs軸で表されており、投写型映像表示装置100の光軸方向がZs軸で表されている。
【0068】
同様に、算出部540は、撮像テストパターン画像の2次元平面における交点Pt1の座標(xt1,yt1)について、撮像装置300の焦点Otを原点とする3次元空間における交点Pt1の座標(Xt1,Yt1,Zt1)に変換する。
【数2】
【0069】
なお、Atは、3×3の変換行列であり、キャリブレーション等の前処理によって予め取得することが可能である。すなわち、Atは、既知のパラメータである。
【0070】
ここでは、撮像装置300の光軸方向に垂直な面がXt軸及びYt軸で表されており、撮像装置300の向き(撮像方向)がZt軸で表されている。このような座標空間において、撮像装置300の向き(撮像方向)の傾き(ベクトル)は既知であることに留意すべきである。
【0071】
(2)算出部540は、交点Ps1と交点Pu1とを結ぶ直線Lvの式を算出する。同様に、算出部540は、交点Pt1と交点Pu1とを結ぶ直線Lwの式を算出する。なお、直線Lv及び直線Lwの式は、以下のように表される。
【数3】
【0072】
(3)算出部540は、投写型映像表示装置100の焦点Osを原点とする3次元空間における直線Lw’に直線Lwを変換する。直線Lw’は、以下の式によって表される。
【数4】
【0073】
なお、投写型映像表示装置100の光軸及び撮像装置300の向き(撮像方向)は既知であるため、回転成分を示すパラメータRは既知である。同様に、投写型映像表示装置100及び撮像装置300の相対位置が既知であるため、並進成分を示すパラメータTも既知である。
【0074】
(4)算出部540は、式(3)及び式(5)に基づいて、直線Lv及び直線Lw’の交点(すなわち、交点Pu1)における媒介変数Ks及びKtを算出する。続いて、算出部540は、交点Ps1の座標(Xs1,Ys1,Zs1)及びKsに基づいて、交点Pu1の座標(Xu1,Yu1,Zu1)を算出する。或いは、算出部540は、交点Pt1の座標(Xt1,Yt1,Zt1)及びKtに基づいて、交点Pu1の座標(Xu1,Yu1,Zu1)を算出する。
【0075】
これによって、算出部540は、交点Pu1の座標(Xu1,Yu1,Zu1)を算出する。同様に、算出部540は、交点Pu2の座標(Xu2,Yu2,Zu2)、交点Pu3の座標(Xu3,Yu3,Zu3)、交点Pu4の座標(Xu4,Yu4,Zu4)を算出する。
【0076】
第2に、算出部540は、投写面400の法線Mのベクトルを算出する。具体的には、算出部540は、交点Pu1〜交点Pu4のうち、少なくとも3つの交点の座標を用いて、投写面400の法線Mのベクトルを算出する。投写面400の式は、以下の式によって表され、パラメータk1、k2、k3は、投写面400の法線Mのベクトルを表している。
【数5】
【0077】
これによって、算出部540は、投写型映像表示装置100の光軸Nと投写面400の法線Mとのずれ量を算出することができる。すなわち、算出部540は、投写型映像表示装置100と投写面400との位置関係を算出することができる。
【0078】
図4に戻って、抽出部550は、取得部530によって取得される撮像画像に基づいて、撮像範囲310及び投写枠410の重複領域500を抽出する。ここで、重複領域500を抽出する際には、投写枠410を特定できるように、白色映像が投写面400に投写されることが好ましい。
【0079】
素子制御部560は、映像入力信号を映像出力信号に変換して、映像出力信号に基づいて、DMD60を制御する。また、素子制御部560は、以下に示す機能を有する。
【0080】
第1に、素子制御部560は、抽出部550によって抽出された重複領域500上にテストパターン画像を表示するようにDMD60を制御する。
【0081】
第2に、素子制御部560は、投写型映像表示装置100と投写面400との位置関係に基づいて、投写面400上に投写された映像の形状の自動補正を行う機能を有する。すなわち、素子制御部560は、投写型映像表示装置100と投写面400との位置関係に基づいて、自動的に台形補正を行う機能を有する。
【0082】
(投写型映像表示装置の動作)
以下において、第1実施形態に係る投写型映像表示装置(制御ユニット)の動作について、図面を参照しながら説明する。図11は、第1実施形態に係る投写型映像表示装置100(制御ユニット500)の動作を示すフロー図である。
【0083】
図12に示すように、ステップ10において、投写型映像表示装置100は、準備画像を表示する。すなわち、投写型映像表示装置100は、DMD60の制御などによって、投写面400上に準備画像を投写する。
【0084】
なお、準備画像は、例えば、ブルーバックの画像であってもよく、ブラックバックの画像であってもよい。
【0085】
ステップ20において、撮像装置300は、投写面400を撮像する。具体的には、撮像装置300は、投写面400に設けられた投写枠410の少なくとも一部を撮像する。
【0086】
なお、ステップ20では、投写型映像表示装置100は、投写枠410を特定できるように、投写面400上に白色映像を表示することが好ましい。
【0087】
ステップ30において、投写型映像表示装置100は、撮像装置300によって撮像された撮像画像に基づいて、撮像範囲310及び投写枠410の重複領域500を抽出する。
【0088】
ステップ40において、投写型映像表示装置100は、重複領域500上にテストパターン画像を表示する。すなわち、投写型映像表示装置100は、DMD60の制御などによって、重複領域500上にテストパターン画像を投写する。
【0089】
ステップ50において、撮像装置300は、投写面400を撮像する。すなわち、撮像装置300は、重複領域500上に投写されたテストパターン画像を撮像する。
【0090】
ステップ60において、投写型映像表示装置100は、準備画像を再表示する。すなわち、投写型映像表示装置100は、DMD60の制御などによって、投写面400上に準備画像を投写する。
【0091】
ステップ70において、投写型映像表示装置100は、撮像画像を構成する所定ライン毎に取得された撮像画像データに基づいて、テストパターン画像における3つ以上の交点を取得する。
【0092】
ステップ80において、投写型映像表示装置100は、撮像装置300によって撮像された撮像画像のうち、テストパターン画像の撮像画像に基づいて、投写型映像表示装置100と投写面400との位置関係を算出する。具体的には、投写型映像表示装置100は、テストパターン画像における4つの交点(Ps1〜Ps4)及び撮像画像における4つの交点(Pt1〜Pt4)に基づいて、投写型映像表示装置100と投写面400との位置関係を算出する。
【0093】
ステップ90において、投写型映像表示装置100は、投写面400上に投写される映像を補正する。投写面400上に投写される映像の補正は、(1)映像の台形補正、(2)フォーカス補正、(3)ズーム補正(レンズシフト補正或いは光学補正)、(4)映像の局所歪み補正などである。
【0094】
(作用及び効果)
第1実施形態では、素子制御部560は、投写枠410及び撮像装置300の撮像範囲310の重複領域500上にテストパターン画像を表示するようにDMD60を制御する。従って、投写面400と投写型映像表示装置100との距離が非常に近い状態であっても、テストパターン画像の撮像画像を取得することができる。従って、投写面400上に投写される映像を補正することができる。
【0095】
[変更例1]
以下において、第1実施形態の変更例1について、図面を参照しながら説明する。以下においては、第1実施形態との相違点について主として説明する。具体的には、変更例1では、スクリーンフィッティング補正について説明する。
【0096】
(投写型映像表示装置の概略)
以下において、変更例1に係る投写型映像表示装置の概略について、図面を参照しながら説明する。図13は、変更例1に係る投写型映像表示装置100の詳細について説明するための図である。
【0097】
図13に示すように、投写型映像表示装置100から離れた側(far side)において、投写枠410の4隅のうち、少なくとも2隅は、撮像装置300の撮像範囲310に含まれる。すなわち、撮像装置300は、投写型映像表示装置100から離れた側(far side)において、投写枠410の4隅のうち、少なくとも2隅(A,B)を撮像する。
【0098】
ここで、上述した抽出部550は、撮像装置300に含まれる撮像画像に含まれる投写枠410の2隅(A,B)に基づいて、投写枠410の残りの2隅(C,D)を特定する。具体的には、投写枠410のアスペクト比が既知であることを前提として、抽出部550は、投写枠410の残りの2隅(C,D)を特定する。
【0099】
上述した素子制御部560は、抽出部550によって特定された投写枠410内に映像が収まるようにDMD60を制御する(スクリーンフィッティング補正)。
【0100】
(作用及び効果)
変更例1では、抽出部550は、撮像装置300に含まれる撮像画像に含まれる投写枠410の2隅(A,B)に基づいて、投写枠410の残りの2隅(C,D)を特定する。従って、投写面400と投写型映像表示装置100との距離が非常に近い状態であっても、スクリーンフィッティング補正を行うことができる。
【0101】
[変更例2]
以下において、第1実施形態の変更例2について説明する。以下においては、第1実施形態との相違点について主として説明する。
【0102】
具体的には、第1実施形態では、撮像装置300が設けられる位置について触れていないが、変更例2では、撮像装置300が設けられる位置が最適化される。
【0103】
例えば、撮像装置300は、投写ユニット110の近傍に配置される。また、撮像装置300の向き(撮像方向)は、投写ユニット110の向き(光出射方向)と揃っている。これによって、撮像装置300の焦点Otを原点とする3次元空間を投写型映像表示装置100の焦点Osを原点とする3次元空間に変換する必要がない。従って、演算処理が軽減される。
【0104】
或いは、撮像装置300は、可能な範囲で投写面400から離れた位置に配置される。これによって、撮像装置300の撮像範囲310が最大化する。
【0105】
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0106】
実施形態では、光変調素子として、DMD(Digital Micromirror Device)を例示したに過ぎない。光変調素子は、反射型の液晶パネルであってもよい。
【0107】
実施形態では、光源として、LED(Light Emitting Diode)やLD(Laser Diode)を例示した。しかしながら、光源は、白色光源であってもよい。
【0108】
上述した実施形態では、図5〜図8に示すテストパターン画像について例示した。しかしながら、テストパターン画像は、これに限定されるものではない。また、取得部530がラインメモリを有しているケースについて例示した。しかしながら、取得部530は、フレームメモリを有していてもよい。
【0109】
上述した実施形態では、素子制御部560は、投写型映像表示装置100と投写面400との位置関係に基づいて、自動的に台形補正を行う機能を有することについて説明した。しかしながら、実施形態は、これに限定されるものではない。例えば、素子制御部560は、投写型映像表示装置100と投写面400との位置関係に基づいて、フォーカス位置の調整やズーム倍率の調整を行ってもよい。
【符号の説明】
【0110】
10…光源、20…ロッドインテグレータ、30…レンズ群、40…ミラー、50…ミラー、60…DMD、100…投写型映像表示装置、110…投写ユニット、111…第1投写レンズ群、112…第2投写レンズ群、113…反射ミラー、200…筐体、210…傾斜面、211…透過領域、300…撮像装置、400…投写面、410…投写枠、500…制御ユニット、510…映像信号受付部、520…記憶部、530…取得部、540…算出部、550…抽出部、560…素子制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から出射される光を変調するように構成された光変調素子と、前記光変調素子から出射される光を投写面上に投写するように構成された投写ユニットとを有する投写型映像表示装置であって、
前記投写型映像表示装置から離れた側において、前記投写面に設けられる投写枠の少なくとも一部を撮像するように構成された撮像装置と、
前記撮像装置によって撮像された画像に基づいて、前記投写枠及び前記撮像装置の撮像範囲の重複領域を抽出するように構成された抽出部と、
前記重複領域上にテストパターン画像を表示するように前記光変調素子を制御するように構成された素子制御部とを備えることを特徴とする投写型映像表示装置。
【請求項2】
前記撮像装置は、前記投写型映像表示装置から離れた側において、前記テストパターン画像の2隅を少なくとも撮像するように構成されており、
前記抽出部は、前記撮像装置によって撮像された画像に含まれる前記投写枠の2隅に基づいて、前記投写枠の残りの2隅を特定し、
前記素子制御部は、前記投写枠内に映像が収まるように前記光変調素子を制御することを特徴とする請求項1に記載の投写型映像表示装置。
【請求項1】
光源から出射される光を変調するように構成された光変調素子と、前記光変調素子から出射される光を投写面上に投写するように構成された投写ユニットとを有する投写型映像表示装置であって、
前記投写型映像表示装置から離れた側において、前記投写面に設けられる投写枠の少なくとも一部を撮像するように構成された撮像装置と、
前記撮像装置によって撮像された画像に基づいて、前記投写枠及び前記撮像装置の撮像範囲の重複領域を抽出するように構成された抽出部と、
前記重複領域上にテストパターン画像を表示するように前記光変調素子を制御するように構成された素子制御部とを備えることを特徴とする投写型映像表示装置。
【請求項2】
前記撮像装置は、前記投写型映像表示装置から離れた側において、前記テストパターン画像の2隅を少なくとも撮像するように構成されており、
前記抽出部は、前記撮像装置によって撮像された画像に含まれる前記投写枠の2隅に基づいて、前記投写枠の残りの2隅を特定し、
前記素子制御部は、前記投写枠内に映像が収まるように前記光変調素子を制御することを特徴とする請求項1に記載の投写型映像表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−160134(P2011−160134A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−19365(P2010−19365)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
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