説明

投射型表示装置及びその制御方法

【課題】起動時にシャッターの異常を確認し、異常に対応する処理を実行可能な投射型表示装置およびその制御方法を提供する。
【解決手段】装置本体の起動時、画像投射部の駆動を開始する前に、排気口シャッターの開閉状態が異常か否かを判定し(ステップS2A,S4A)、異常と判定した場合は、排気口シャッターを動作させるリトライ制御を行い(ステップS5A,S3A)、排気口シャッターが動作しなければ、エラー処理を行うようにした(ステップS8A)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通気用の開口部を開閉するシャッターを有する投射型表示装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
投射型表示装置(プロジェクター)には、排気口(通気用の開口部)を開閉する開閉機構(シャッター)を有し、この開閉機構の駆動源に駆動モーターを使用するものが提案されている(例えば、特許文献1,2,3参照)。この種の開閉機構は、電源オンや電源オフのスイッチ操作に応じて駆動するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4023490号公報
【特許文献2】特許第3827644号公報
【特許文献3】特許第3453775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献には、開閉機構の異常状態における動作の記載がない。仮に異常状態を検出可能に構成し、異常時にエラー状態にしたとすると、エラーとなって投射型表示装置を起動できなくなり、使用できなくなってしまう。
一方、異常時でも投射型表示装置を使用できるようにすると、ユーザーが異常に気づかずに投射型表示装置を使用してしまう事態が生じ、開閉機構が開かない場合には、投射型表示装置の温度が高くなってしまうおそれが生じてしまう。
【0005】
本発明は、上述した事情を鑑みてなされたものであり、起動時にシャッターの異常を確認し、異常に対応する処理を実行可能な投射型表示装置およびその制御方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、投射型表示装置において、画像を投射する画像投射部を備える装置本体と、前記装置本体が有する通気用の開口部を開閉するシャッターと、前記シャッターを駆動するシャッター駆動部と、前記シャッターの開閉状態を検出する開閉検出部と、前記装置本体の起動時、前記画像投射部の駆動を開始する前に、前記開閉検出部により検出される前記シャッターの開閉状態が異常か否かを判定し、異常と判定した場合は、前記シャッター駆動部により前記シャッターを動作させる制御を行い、前記シャッターが動作しなければ、エラー処理を行う制御部とを備えることを特徴とする。
この構成によれば、起動時にシャッターの異常を確認し、リトライしてもシャッター異常が復旧できない場合にだけエラー処理を実行でき、復旧できる場合にまでエラー処理を実行する事態を回避でき、異常に対応する処理を適切に実行することができる。
【0007】
上記構成において、前記装置本体は、前記開口部に通気させるファンを有し、前記制御部は、前記装置本体の起動時、前記画像投射部及び前記ファンの駆動を開始する前に、前記開閉検出部により検出される前記シャッターの開閉状態が異常か否かを判定するようにしてもよい。この構成によれば、発熱や冷却に関わる部分の駆動を開始する前にシャッター異常が否かを判定でき、内部温度が高くなってしまう事態や、シャッターが閉じた状態でファン駆動してしまう事態を回避できる。
また、上記構成において、前記制御部は、前記シャッターが閉まっていない場合に前記シャッターを閉じる制御をリトライし、リトライしても前記シャッターが閉じない場合にエラー処理を行うようにしてもよい。この構成によれば、塵や虫が侵入し易い状態を放置する事態を回避できる。
【0008】
また、上記構成において、前記制御部は、前記画像投射部の駆動を開始する前に、前記シャッターを開ける制御を行い、前記シャッターが開かなければ、前記シャッターを開ける制御をリトライし、リトライしても前記シャッターが開かない場合にエラー処理を行うようにしてもよい。この構成によれば、シャッターが開いていない状態で画像投射部を駆動する事態を回避でき、内部温度が高くなってしまう事態を確実に回避できる。また、起動時に、シャッターの閉動作の確認と、シャッターの開動作の確認とを行うので、シャッターの開閉動作の両方を確認することが可能である。
また、上記構成において、前記装置本体は、防塵フィルターが設けられる吸気口と、防塵フィルターが設けられることなく開口して前記通気用の開口部となる排気口とを有し、前記装置本体の電源オフ時に前記シャッターを閉じ、前記防塵フィルターと前記排気口を開閉する前記シャッターとによって、前記装置本体を防塵可能に構成されているようにしてもよい。この構成によれば、吸気口からの塵や虫の侵入は防塵フィルターによって防止され、シャッターで排気口を閉じることによって、投射型表示装置の通気口が閉じ、塵や虫の侵入を確実に防止することができる。
【0009】
また、本発明は、投射型表示装置において、画像を投射する画像投射部を備える装置本体と、装置本体が有する通気用の開口部を開閉するシャッターと、前記シャッターを駆動するシャッター駆動部と、前記シャッターの開閉状態を検出する開閉検出部と、前記装置本体の起動後、前記開閉検出部により前記シャッターが開いているか否かを監視し、前記シャッターが開いていない場合にエラー処理を行う制御部とを備えることを特徴とする。
この構成によれば、起動後に、シャッターが何らかの不具合により閉じて内部温度が上昇し易い状態を放置する事態を回避することができる。
この場合、前記シャッターは、ソレノイドの駆動で開閉するシャッター機構であり、当該シャッターを閉側に付勢する付勢部材を有し、前記シャッター駆動部は、前記ソレノイドの保持力を開放して前記付勢部材の付勢力によって前記シャッターを閉じるので、モーター駆動で閉駆動する場合に比して短時間でシャッターを閉じることができると共に、ソレノイドに不具合が発生しても付勢部材により排気口シャッターを閉じやすくすることができる。
【0010】
また、本発明は、画像を投射する画像投射部を備える装置本体と、前記装置本体が有する通気用の開口部を開閉するシャッターと、前記シャッターを駆動するシャッター駆動部と、前記シャッターの開閉状態を検出する開閉検出部とを備える投射型表示装置の制御方法において、前記装置本体の起動時、前記画像投射部の駆動を開始する前に、前記開閉検出部により検出される前記シャッターの開閉状態が異常か否かを判定し、異常と判定した場合は、前記シャッター駆動部により前記シャッターを動作させる制御を行い、前記シャッターが動作しなければ、エラー処理を行うことを特徴とする。
この構成によれば、起動時にシャッターの異常を確認し、リトライしてもシャッター異常が復旧できない場合にだけエラー処理を実行でき、異常に対応する処理を適切に実行することができる。
【0011】
上記構成において、前記装置本体の起動時、前記画像投射部及び前記開口部に通気させるファンの駆動を開始する前に、前記開閉検出部により検出される前記シャッターの開閉状態が異常か否かを判定するようにしてもよい。また、前記シャッターが閉まっていない場合に前記シャッターを閉じる制御をリトライし、リトライしても前記シャッターが閉じない場合にエラー処理を行うようにしてもよい。また、前記画像投射部の駆動を開始する前に、前記シャッターを開ける制御を行い、前記シャッターが開かなければ、前記シャッターを開ける制御をリトライし、リトライしても前記シャッターが開かない場合にエラー処理を行うようにしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、起動時にシャッターの異常を確認し、異常に対応する処理を適切に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係るプロジェクターの内部構造を示す図である。
【図2】プロジェクターの機能構成を示すブロック図である。
【図3】排気口シャッターの開状態を示す斜視図である。
【図4】排気口シャッターの分解斜視図である。
【図5】排気口シャッターの閉状態を示す図である。
【図6】ソレノイドを周辺構成と共に示す図である。
【図7】起動時シャッター制御を示すフローチャートである。
【図8】起動後のシャッター監視処理を示すフローチャートである。
【図9】動作停止時シャッター制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るプロジェクター(投射型表示装置)10の内部構造を示す図であり、図2は、このプロジェクター10の機能構成を示すブロック図である。
図1に示すように、このプロジェクター10は、画像を表す画像光を投射する画像投射部21を備え、この画像投射部21により投射面となるスクリーン(不図示)に画像(投射画像)を表示させる装置であり、筐体11内に画像投射部21などのプロジェクター構成部品を配設した装置本体12と、装置本体12を覆う外装カバー(不図示)とを備えている。
筐体11は、平面視で略長方形形状を有し、この筐体11の左右側面(短辺)11L、11Rの一方側に吸気口15が設けられ、他方側に排気口16が設けられる。ここで、図1では、筐体11の前面(画像投射部21の投射レンズ53が露出する面)を符号11Aを付して示し、筐体11の背面を符号11Bを付して示しており、筐体11を前面11Aからみて左側の面を左側面11Lと表記し、右側の面を右側面11Rと表記している。
【0015】
この筐体11内には、吸気口15側に冷却ファン31が配置され、排気口16側に排気口シャッター32が配置され、この冷却ファン31と排気口シャッター32との間の領域に、画像投射部21と電源部22とが配置される。また、筐体11内には、図2に示す制御部44などを有する回路基板33も配設される。外装カバーは、吸気口15及び排気口16を除いて筐体11を覆う。これによって、冷却ファン31によって、吸気口15から外気が筐体11内に導入され、この冷却風によって画像投射部21などの各部が冷却された後に、排気口16から排出される。
【0016】
本構成のプロジェクター10では、図1に示すように、通気用の開口部の一方側である吸気口15に、防塵フィルター34が配置され、通気用の開口部の他方側である排気口16に、この排気口16を開閉する排気口シャッター32が配置されるので、いずれの開口部15,16からも塵や虫などの侵入を防止可能である。すなわち、このプロジェクター10は、多塵地域での使用に適した防塵プロジェクターに構成されている。
また、本構成のプロジェクター10は、画像投射部21などの各部の動作時には冷却ファン31による冷却を行うが、各部の材料の改良などで各部を動作停止させると直ちに冷却ファン31による冷却を不要にできるように構成されている。
【0017】
電源部22は、図示せぬプラグを介して屋内などに設置されたコンセントに接続されることにより、電力会社から送られる商用電源である外部電源の電力供給を受け、プロジェクター10の各部へ電力供給する。すなわち、このプロジェクター10は、外部電源を動作電力として駆動する。
上記回路基板33は、信号処理部41、投射系駆動部42、記憶部43、制御部44、音声駆動部45、ファン駆動部46、ランプ駆動部47、端子駆動部48、及び、排気口シャッター駆動部49を有している(図2参照)。
図2に示すように、信号処理部41は、ケーブル接続された外部機器(パーソナルコンピューターやDVDプレーヤーなど)18から映像信号SA(本構成では、画像のみの信号、或いは、画像と音声の両方を含む信号)を入力し、この信号SAに対応する画像データに対して画像処理する画像処理系と、信号SAに対応する音声データに対して音声処理する音声処理系とを備えている。
ここで、画像処理系は、画像データのフォーマットをインターレース方式からプログレッシブ方式に変換するIP変換や、IP変換された画像データに対してサイズを拡大または縮小する解像度変換処理や、明度や彩度の調整といった種々の色調補正などを行う。
【0018】
投射系駆動部42は、画像投射部21の液晶パネル52や光源装置51を駆動する液晶パネル駆動部及び光源駆動部として機能するものであり、信号処理部41により画像処理が施された画像データに基づいて液晶パネル52や光源装置51を駆動し、画像を表示させる。
画像投射部21は、図1に示すように、筐体11の長辺の一方である背面11Bに沿って延出すると共に筐体11の短辺である側面11L,11Rに沿って前面11Aに向かって延出する平面視略L字形状を有しており、光源として機能する光源装置51と、液晶パネル(液晶ライトバルブとも言う)52(52R,52G,52B)と、投射レンズ53とを備えている。
光源装置51は、キセノンランプ、超高圧水銀ランプ又はLED(Light Emitting Diode)などを備える。液晶パネル52は、複数の画素をマトリクス状に配置した透過型液晶パネルで構成され、投射系駆動部42の駆動により各画素の光透過率を変化させることにより、光源装置51からの照明光(図1中、符号Lで示す)を画像を表す画像光へと変調し、投射レンズ53から射出する。
【0019】
本実施形態では、このプロジェクター10が3LCD式プロジェクターの場合を示している。この場合には、図1に示すように、R,G,Bの3色に対応する3枚の液晶パネル52R,52G,52B及び光源装置51の光の分離及び集光などを行うための光学部品(レンズ321〜324,341,343,調光装置325,ダイクロイックミラー331,332,反射ミラー333,342,344,偏光板351,353,プリズム354など)が設けられる。
この構成により、光源装置51から出た光をR,G,Bの3色の光に分離し、液晶パネル52R,52G,52Bをそれぞれ透過させ、プリズム354で合成してカラー画像を生成することができる。なお、画像投射部21の構成は、図1に示す構成に限らず、公知の構成を広く適用でき、また、一枚の液晶パネル52を備える公知の構成を適用してもよい。
【0020】
図2に示すように、記憶部43には、制御プログラムなどの各種プログラムや各種データが記憶される。
制御部44は、記憶部43に記憶された制御プログラムを読み出して実行することにより、プロジェクター10の各部を制御するコンピューターとして機能する。
このプロジェクター10には、スピーカーなどからなる音声出力部35、ユーザーにプロジェクター10の動作状態(電源オン、スタンバイ状態、エラー状態など)を報知するためのインジケーターランプ(本実施形態ではLED)36、トリガーアウトや電力信号(USBバスパワー)を出力する出力端子37(不図示の外部機器にトリガーアウトを出力するトリガーアウト端子、USB端子など)、及び、ユーザーが各種指示を行うための各種操作子を有する操作部38などが更に設けられている。
【0021】
音声駆動部45は、制御部44の制御の下、このプロジェクター10の音声出力部35を駆動し、信号処理部41から出力された音声データに対応する音声、操作音、及び、警告音などの各種音声を放音させる。
ランプ駆動部47は、制御部44の制御の下、複数のインジケーターランプ(報知部)36を選択的に駆動/非駆動(点滅も含む)することにより、各インジケーターランプ36を点灯/消灯させ、これによって、電源オン、スタンバイ状態(電源オンよりも省電力の状態。一部の機能を有効にした状態(例えば、本体操作部(操作部38)の操作や不図示のリモコン操作を受け付け、スタンバイモニターアウト機能などを有効にした状態))、エラー状態などをユーザーに報知する。
端子駆動部48は、制御部44の制御の下、このプロジェクター10の電源オンを外部機器(スクリーン装置など)に通知するためのトリガーアウトや、USB接続された外部機器に電力供給するための電力信号を、出力端子37を介して外部に出力させる。
【0022】
排気口シャッター駆動部(シャッター駆動部)49は、制御部44の制御の下、排気口シャッター32を開閉駆動するものであり、操作部38の操作により電源オンされた場合に、排気口シャッター32を開に駆動し、操作部38の操作により電源オフされた場合に、排気口シャッター32を閉に駆動する。
開閉検出部50は、排気口シャッター32の開閉を検出するスイッチ機構である。制御部44は、この開閉検出部50の検出結果を取得することによって、排気口シャッター32の開閉状態を検出することが可能になっている。
【0023】
ここで、図3は、排気口シャッター32の開状態を示す斜視図であり、図4は排気口シャッター32の分解斜視図である。図5は排気口シャッター32の閉状態を示す図である。
図3〜図5に示すように、排気口シャッター32は、矩形枠状の枠フレーム33Aと、枠フレーム33A内の開口(排気口16に連通する開口)を長手方向に間隔をあけて開閉自在に配置される複数枚(本構成では8枚)のルーバー33Bと、枠フレーム33Aにスライド自在に配置されるカムプレート33Cと、カムプレート33Cを作動させるソレノイド33Dとを備えている。
【0024】
図4に示すように、枠フレーム33Aは、上枠の一部を構成する板状部材33Eを別体に備え、この枠フレーム33Aの下枠と板状部材33Eとによって各ルーバー33Bの上下端に突出する回動軸J1を回転自在に支持する。
この板状部材33Eには、カムプレート33Cが摺動自在に支持され、このカムプレート33Cには、各ルーバー33Bの回動軸J1とは距離をあけて上方に突出する突出軸J2が挿通される。
これにより、カムプレート33Cを摺動させると、全てのルーバー33Bが回動軸J1を支点に回動して枠フレーム33Aの開口を開閉する。
ソレノイド33Dは、枠フレーム33Aに固定され、ソレノイド33DのプランジャーPがカムプレート33Cの一端に連結される。なお、図中、符号33Kは、ソレノイド駆動用の回路基板である。
【0025】
この排気口シャッター32には、カムプレート33Cをシャッター閉側に付勢する付勢部材(本実施形態では、引張コイルばね)33Sが設けられ、この付勢部材33Sによって排気口シャッター32を確実に閉じた状態に保持できるようになっている。
ソレノイド33Dは、キープソレノイド型(自己保持形とも言う)のソレノイドであり、排気口シャッター駆動部49により、付勢部材33Sの付勢力に抗してカムプレート33Cがソレノイド33D側に引っ張られることにより、排気口シャッター32が開駆動され(ソレノイドの吸引動作)、内蔵する永久磁石の起磁力により吸着することで、排気口シャッター32を開いた状態に保持される(ソレノイドの吸着動作)。
また、このソレノイド33Dは、排気口シャッター駆動部49により、内蔵する永久磁石の起磁力を打ち消すコイルによる逆向きの起磁力により復旧することで、排気口シャッター32を閉駆動する(ソレノイドの復旧動作)。
なお、この排気口シャッター32の開閉を検出する開閉検出部50は、排気口シャッター32の板状部材33Eに取り付けられ、上記カムプレート33Cの位置に応じて開閉するスイッチ機構で構成されている。
【0026】
図6は、ソレノイド33Dを周辺構成と共に示す図である。
図6に示すように、ソレノイド33Dには、+制御線LP及び−制御線LNからなる2本の制御線が接続され、制御部44が、各制御線LP,LNへの電圧及び電圧の印可方向を変えることによってソレノイド33Dが作動し、排気口シャッター32が開閉駆動される。
開閉検出部50には、カムプレート33Cに設けられた出っ張り部分33C1(図6参照)が接触することにより、スイッチ機構がオン/オフされる。より具体的には、排気口シャッター32が開いている場合に開閉検出部50がオン状態となり、この開閉検出部50につながる配線の電位がHレベルとなり、排気口シャッター32が完全に閉じると、開閉検出部50がオフ状態となり、配線の電位がLレベルとなる。
制御部44は、この配線の信号を検出信号SKとして入力し、この検出信号SKの信号レベルに応じて排気口シャッター32が開いているか、或いは、閉じているかを検出することができる。
【0027】
ところで、このプロジェクター10は、防塵プロジェクターであるため、プロジェクター10が使用されない間は排気口シャッター32を閉じた状態にしておくことで、放置時や搬送時などに外部から塵や虫などの侵入を確実に防止できる構成である。
しかしながら、排気口シャッター32に不具合が生じた場合、電源オンによる起動時に排気口シャッター32が開かずに閉じたままとなり、十分な冷却ができなくなってしまう事態や、電源オフによる動作停止時に排気口シャッター32が閉じずに開いたままとなってしまう事態が生じるおそれがある。
本構成では、このような排気口シャッター32の不具合発生に対応すべく、起動時に起動時シャッター制御(電源オンシャッター制御とも言う)を行い、起動後にシャッター監視処理を行うと共に、動作停止時に動作停止時シャッター制御(電源オフシャッター制御とも言う)を行うようにしている。
【0028】
図7は、起動時シャッター制御を示すフローチャートである。
この制御を説明する前に、前提として、このプロジェクター10では電源オフ時に排気口シャッター32を閉駆動し、非使用時は排気口シャッター32を閉じるようにしている。なお、この電源オフ時の閉駆動は、後述する動作停止時シャッター制御(電源オフシャッター制御)に記載している。
また、以下の説明において、排気口シャッター駆動部49とそれ以外の駆動部42〜48を特に区別して説明する場合は、それ以外の駆動部42〜48を、まとめて駆動部K1(図2中、一点鎖線で囲って示す)と表記し、この駆動部K1の駆動対象を、まとめて被駆動部K2(図中、二点鎖線で囲って示す)と表記する。
【0029】
この起動時シャッター制御は、操作部38にある「Power」キーがユーザーにより操作されて、制御部44によって起動処理が開始される場合に実行される。より具体的には、制御部44は、「Power」キーが操作されると、排気口シャッター32以外の被駆動部K2の起動処理に先立って、この「起動時シャッター制御」を行う。つまり、光源装置51などにより比較的大きな発熱を伴う画像投射部21などの起動前、かつ、冷却ファン31の駆動開始前に「起動時シャッター制御」が行われる。
図7に示すように、制御部44は、まず、排気口シャッター駆動部49によって+制御線LP及び−制御線LNをLレベルに設定し、ソレノイド33Dを通電しない状態に初期設定する(ステップS1A)。そして、所定の待ち時間(例えば、10msec)が経過した後、制御部44は、開閉検出部50の検出信号SKに基づいて排気口シャッター32が閉じているか否かを判定する(ステップS2A)。
【0030】
ここで、排気口シャッター32が正常に動作していれば、排気口シャッター32が閉じているはずであり、排気口シャッター32が閉じている場合には(ステップS2A:YES)、制御部44は、排気口シャッター駆動部49により排気口シャッター32を開駆動させる(ステップS3A)。
このステップS3Aでは、制御部44は、排気口シャッター駆動部49によって+制御線LPをHレベルにしてソレノイド33Dへ通電開始することによって、ソレノイド33Dの吸引動作を開始させ、所定時間(本構成では200msec)だけ待機した後に、+制御線LPをLレベルに切り換えて通電停止する。
ここで、待ち時間を設けるのは、ソレノイド33Dの吸引動作に十分な時間を確保し、排気口シャッター32の開駆動に十分な時間を稼ぐためである。
【0031】
続いて、制御部44は、開閉検出部50の検出信号SKに基づいて排気口シャッター32が開いているか否かを判定し(ステップS4A)、開いていれば(ステップS4A:YES)、この「起動時シャッター制御」を終了する。つまり、排気口シャッター32が正常に動作して開くと、制御部44は、当該制御を終了する。
この場合、排気口シャッター32が正常に動作しているため、制御部44は、排気口シャッター駆動部49以外の駆動部K1によって被駆動部K2の駆動を開始し、光源装置51などにより比較的大きな発熱を伴う画像投射部21の起動やファン駆動を開始し、通常動作を行う。これによって、ユーザーが外部機器18からの画像をプロジェクター10で鑑賞可能になる。
【0032】
一方、ステップS2Aの判定で、排気口シャッター32が閉じていない場合(ステップS2A:NO)、つまり、シャッター32の開閉状態が正常時と異なる状態(つまり、異常)であった場合、制御部44は、異常と判定し、排気口シャッター32の閉駆動を行い、前回行われているはずのシャッター閉駆動をリトライ処理する(ステップS5A)。
このステップS5Aでは、制御部44は、排気口シャッター駆動部49によって−制御線LNをHレベルにすることによって逆特性でソレノイド33Dへ通電開始し、ソレノイド33Dの復旧動作を開始させる。そして、制御部44は、所定時間(本構成では200msec)だけ待機した後に、−制御線LNをLレベルに切り換えて通電停止する。ここで、待ち時間を設けるのは、ソレノイド33Dの復旧動作に十分な時間を確保し、排気口シャッター32の閉駆動に十分な時間を稼ぐためである。
【0033】
続いて、制御部44は、リトライ回数(「起動時シャッター制御」開始後におけるシャッター閉駆動のリトライ回数)が規定回数以下(本実施形態では2回以下)であれば(ステップS6A:NO)、ステップS2Aの処理へ移行する。
このため、リトライによって排気口シャッター32が閉じれば(ステップS2A:YES)、排気口シャッター32の開駆動が行われ(ステップS3A)、排気口シャッター32が開けば(ステップS4A:YES)、排気口シャッター32の正常動作が確認できるため、復旧したと判断でき、制御部44は当該制御を終了し、プロジェクター10を起動させて正常動作させる。
【0034】
これに対し、リトライを行ってもシャッター32が閉じなければ(ステップS2A:NO)、制御部44は、再び、シャッター閉駆動をリトライする(ステップS5A)。
このようにリトライしても、排気口シャッター32が閉じない場合には、リトライ回数が規定回数(2回)を超えると(ステップS6A:NO)、つまり、リトライ回数が3回になると、排気口シャッター32を閉駆動できない状態と判断できるため、制御部44は、直ちにエラー処理を行う(ステップS8A)。
【0035】
この場合、制御部44は、エラー処理として、1)ランプ駆動部47によりインジケーターランプ36を駆動し(本構成では、赤点滅させる)、エラー状態である旨をユーザーに報知する報知処理、2)排気口シャッター32が閉駆動できないエラー状態であることを示すエラー情報を、記憶部43或いは記憶部43以外に設けた不図示のフラッシュROMに書き込み、エラー履歴として残す履歴処理、3)冷却ファン31を駆動していれば直ちに駆動停止し、光源装置51を含む画像投射部21が駆動していれば直ちに駆動停止する処理などを行う。
【0036】
これによって、ユーザーなどは、プロジェクター10がエラー状態であることを知ることができ、また、メンテナンス作業者などがメンテナンス時に記憶部43などからエラー履歴を読み出したり、スクリーン投射させたりすることによって、どのようなエラーが生じたのかを確認することができると共に、排気口シャッター32が閉じたままプロジェクター10の各部を動作させてしまう事態を確実に回避することができる。
【0037】
なお、このプロジェクター10がネットワーク端子を有し、このネットワーク端子を介して外部機器(パーソナルコンピューター)18などにつながっていた場合には、エラー処理として、4)エラー情報を記述して電子メールやエラー信号を、外部機器に通知する通知処理を行うようにしてもよい。また、本実施形態では、被駆動部K2の起動処理に先立って、この「起動時シャッター制御」を行う場合を説明したが、被駆動部K2の起動処理と並行して「起動時シャッター制御」を行ってもよい。並行して行う場合には、排気口シャッター32に異常があれば、エラー処理として、被駆動部K2を直ちに駆動停止させることが望ましい。
【0038】
また、上記シャッター閉駆動によるリトライによって、排気口シャッター32が閉じた場合であっても、ステップS3Aのシャッター開駆動でシャッター32が開かなかった場合には(ステップS4A:NO)、制御部44は、シャッター開駆動のリトライ回数(「起動時シャッター制御」開始後におけるシャッター開駆動のリトライ回数)が規定回数以下(本実施形態では2回以下)であれば(ステップS7A:YES)、ステップS3Aの処理へ移行し、シャッター開駆動をリトライする。
そして、このシャッター開駆動のリトライ回数が規定回数(2回)を超えた場合には(ステップS7A:NO)、つまり、リトライ回数が3回になると、排気口シャッター32を開駆動できない状態と判断できるため、制御部44は、直ちにエラー処理を行う(ステップS8A)。
【0039】
この場合、制御部44は、上記した1)〜4)の各エラー処理を行うことによって、エラーを報知し、かつ、排気口シャッター32が開かないままプロジェクター10の各部を動作させてしまう事態を確実に回避する。
なお、この開駆動できない場合のエラー処理では、排気口シャッター32を開駆動できないエラー状態を示すエラー情報が、エラー履歴として残される。また、この場合のインジケーターランプ36の駆動を、閉駆動できない場合の駆動態様と異なる駆動態様(例えば、赤点滅の点滅間隔を変更する)にしてもよい。
このように、制御部44は、排気口シャッター32を閉駆動できない場合や開駆動できない場合に、シャッター32を動作させるリトライ制御を行い、それでも復旧できない場合に、エラー処理を実行させる。このエラー処理を行った後は、所定時間が経過すると、制御部44がプロジェクター10全体を駆動停止させる。これによって、排気口シャッター32の異常が復旧できない状態で、プロジェクター10が起動する事態を回避することができる。以上が「起動時シャッター制御」である。
【0040】
図8は、起動後のシャッター監視処理を示すフローチャートである。
プロジェクター10が起動すると、図8に示すように、制御部44は、開閉検出部50の検出信号SKに基づいて排気口シャッター32が開いているか否かを判定し(ステップS1B)、開いていれば(ステップS1B:YES)、所定の待ち時間(本実施形態では1秒)だけ待機した後(ステップS2B)、再び、ステップS1Bへと移行し、排気口シャッター32が開いているか否かを判定する。つまり、制御部44は、待ち時間の間隔で排気口シャッター32が開いているか否かを継続的に監視する。
【0041】
そして、制御部44は、排気口シャッター32が開いていないと検出すると(ステップS1B:NO)、その検出回数をエラー回数とし、そのエラー回数(「シャッター監視処理」開始後におけるエラー回数)が規定回数以下(本実施形態では1回以下)か否かを判定する(ステップS3B)。
このステップS3Bの判定で、制御部44は、規定回数以下であれば(ステップS3B:YES)、ステップS2Bの処理へ移行し、規定回数を超えていれば(エラー回数が2回であれば)、排気口シャッター32に不具合が生じていると判断し、直ちにエラー処理を行い、プロジェクター10の各部を動作停止させる(ステップS4B)。
【0042】
このエラー処理としては、上記ステップS8Aのエラー処理と同様に、1)ランプ駆動部47によりインジケーターランプ36を駆動する報知処理、2)エラー情報をエラー履歴として残す履歴処理、3)冷却ファン31駆動していれば直ちに駆動停止し、光源装置51を含む画像投射部21が駆動していれば直ちに駆動停止する処理、4)ネットワーク端子を有する場合はエラー情報を外部機器に通知する通知処理が行われる。以上が、「シャッター監視処理」である。
【0043】
このため、プロジェクター10の起動後に、排気口シャッター32が不具合で開いていない状態が規定回数を超えると、直ちにエラー処理によりユーザーなどに報知され、かつ、プロジェクター10が動作停止される。これにより、通常動作時のシャッター異常は、直ちにユーザーなどに通知され、かつ、内部温度の上昇を回避することができる。
【0044】
図9は、動作停止時シャッター制御(電源オフシャッター制御)を示すフローチャートである。
この制御は、プロジェクター10の起動後に、操作部38にある「Power」キーがユーザーにより操作されて電源オフが指示される場合に実行される。なお、電源オフとは、ユーザーがプロジェクター10を使用しないときの動作停止状態であり、少なくとも画像投射部21が駆動停止して装置本体12内が殆ど発熱しておらず、冷却が不要な状態である。
制御部44は、電源オフが指示されたか否かを監視し(ステップS1C)、電源オフが指示されると(ステップS1C:YES)、駆動部K1により排気口シャッター32以外の被駆動部K2を駆動停止する(ステップS2C)。つまり、光源装置51や冷却ファン31などの発熱や冷却に関わる部分を駆動停止する。
【0045】
そして、光源装置51や冷却ファン31などが停止した後、制御部44は、排気口シャッター駆動部49によって排気口シャッター32を閉駆動し(ステップS3C)、その後、開閉検出部50の検出信号SKに基づいて排気口シャッター32が閉じているか否かを判定する(ステップS4C)。
ここで、排気口シャッター32が正常に動作していれば、排気口シャッター32は閉じているはずであり、排気口シャッター32が閉じている場合には(ステップS4C:YES)、制御部44は、装置本体12をスタンバイ状態にして当該制御を終了する(ステップS5C)。
このスタンバイ状態とは、装置本体12を起動可能な状態であり、具体的には、操作部38にある「Power」キーがユーザーにより操作されて電源オンが指示された場合に、直ちに起動開始する状態である。なお、スタンバイ状態になるまでは外部からの操作を受け付けない。
【0046】
一方、排気口シャッター32が閉じていない場合(ステップS4C:NO)、制御部44は、排気口シャッター32の閉駆動のリトライ回数(「電源オフシャッター制御」開始後におけるリトライ回数)が規定回数以下(本実施形態では2回以下)か否かを判定し(ステップS6C)、規定回数以下であれば(ステップS6C:YES)、ステップS3Cの処理へ移行し、排気口シャッター32の閉駆動をリトライさせる。
このようにリトライしても、排気口シャッター32が閉じない場合には、リトライ回数が規定回数(2回)を超えると(ステップS6C:NO)、つまり、リトライ回数が3回になると、制御部44は、排気口シャッター32を閉駆動できない状態と判断し、直ちにエラー処理を行う(ステップS7C)。
【0047】
このエラー処理としては、上記ステップS8A,S4Bのエラー処理と同様に、1)ランプ駆動部47によりインジケーターランプ36を駆動する報知処理、2)エラー情報をエラー履歴として残す履歴処理、3)ネットワーク端子を有する場合はエラー情報を外部機器に通知する通知処理が行われる。
これにより、プロジェクター10の駆動停止時に排気口シャッター32が閉じない場合に、ユーザーなどに異常を報知することができる。従って、ユーザーが排気口シャッター32が閉じないことに気づかないままプロジェクター10が放置される事態を回避できる。
【0048】
また、制御部44は、このエラー処理を行った後、所定時間が経過すると、プロジェクター10の各部を駆動停止した後にスタンバイ状態へ移行し(ステップS5C)、当該制御を終了する。これにより、プロジェクター10の駆動停止時に排気口シャッター32が閉じない場合でも、各部の駆動停止を確実に実行することができる。
また、駆動停止後にスタンバイ状態へ移行するので、ユーザーにより電源がオンが指示された場合には、プロジェクター10の起動が開始され、そのときに排気口シャッター32が正常に動作すれば、ユーザーがプロジェクター10を使用することが可能になる。以上が、「動作停止時シャッター制御」である。
ここで、起動時には、上述した「起動時シャッター制御」が実行されるので、起動時に排気口シャッター32が正常に動作しない状態でプロジェクター10の各部を動作させてしまう事態を確実に回避することができる。
【0049】
以上説明したように、制御部44は、プロジェクター10の起動時(装置本体12の起動時)、画像投射部21の駆動を開始する前に、排気口シャッター32が閉まっているか否かを判定し、閉まっていない場合に、排気口シャッター32を閉動作させるリトライ制御を行い、閉まらなければエラー処理を行い、また、閉動作すれば、排気口シャッター32を開駆動し、開かない場合に、排気口シャッター32を開動作させるリトライ制御を行い、開かなければエラー処理を行う。
すなわち、本構成では、起動時に排気口シャッター32の開閉状態が異常か否かを判定し、異常と判定した場合に、リトライ制御を行い、シャッター32が正常側に動作しなければエラー処理を行い、シャッター故障をユーザーなどに報知している。
このため、起動時に排気口シャッター32の異常を確認し、リトライしてもシャッター異常が復旧できない場合にだけエラー処理を実行でき、復旧できる場合にまでエラー処理を実行する事態を回避でき、異常に対応する処理を適切に実行することができる。
【0050】
上記したように、本構成のプロジェクター10は、吸気口15に防塵フィルター34が設けられているため、吸気口15からの塵や虫の侵入が防塵フィルター34によって防止される。このため、排気口シャッター32で排気口16を閉じることによって、プロジェクター10の通気口が閉じ、プロジェクター10への塵や虫の侵入を確実に防止することができる。
この構成では、排気口シャッター32が閉じない異常は、防塵シャッターとして回避すべき事態であり、本構成では、リトライによってこの異常が解消しない場合にエラー処理を行うので、この異常を放置する事態を回避することができる。
しかも、この構成では、排気口シャッター32が閉じたままで各部が動作すると装置本体12の内部温度が高くなってしまうが、本構成では、画像投射部21の駆動を開始する前に、リトライしても排気口シャッター32が閉じたままの場合は起動停止するので、内部温度が高くなってしまう事態を確実に回避できる。
【0051】
また、制御部44は、装置本体12の起動時、画像投射部21及び冷却ファン31の駆動を開始する前に、排気口シャッター32の開閉状態が異常か否かを判定するので、発熱や冷却に関わる部分の駆動を開始する前にシャッター異常が否かを判定でき、これによっても内部温度が高くなってしまう事態を回避でき、また、排気口シャッター32が閉じた状態でファン駆動してしまう事態を回避できる。
さらに、制御部44は、起動時に排気口シャッター32が閉まっていない場合に排気口シャッター32を閉じる制御をリトライし、リトライしても閉じない場合にエラー処理を行うので、塵や虫が侵入し易い状態を放置する事態を回避できる。
【0052】
また、制御部44は、画像投射部21の駆動を開始する前に排気口シャッター32を開ける制御を行い、排気口シャッター32が開かなければ、排気口シャッター32を開ける制御をリトライし、リトライしても排気口シャッター32が開かない場合にエラー処理を行うので、排気口シャッター32が開いていない状態で画像投射部21を駆動する事態を回避でき、内部温度が高くなってしまう事態を確実に回避できる。
このように、本構成では、起動時に、排気口シャッター32の閉動作の確認と、排気口シャッター32の開動作の確認とを行うので、排気口シャッター32の開閉動作の両方を確認することが可能である。
【0053】
しかも、本構成では、装置本体12の起動後、排気口シャッター32が開いているか否かを監視し、排気口シャッター32が開いていない場合にエラー処理を行うシャッター監視処理(図7参照)を行うので、起動後に、排気口シャッター32が何らかの不具合(例えば、外部からの衝撃の影響)により閉じて内部温度が上昇し易い状態を放置する事態を回避することができる。
また、排気口シャッター32は、ソレノイド33Dの駆動で開閉し、排気口シャッター駆動部49は、ソレノイド33Dに通電して排気口シャッター32を閉駆動するので、モーター駆動で閉駆動する場合に比して短時間で排気口シャッター32を閉じることができ、例えば、動作停止時のリトライに要する時間を短縮できる。
しかも、本構成では、排気口シャッター32を閉側に付勢する付勢部材33Sを備え、ソレノイド33Dの保持力を開放して付勢部材33Sの付勢力によって排気口シャッター32を閉じるので、ソレノイド33Dに不具合が発生しても付勢部材33Sにより排気口シャッター32を閉じやすくすることができる。
【0054】
また、本構成では、制御部44が、プロジェクター10の動作停止時(装置本体12の動作停止時)、排気口シャッター32を閉じる制御を行い、排気口シャッター32が閉じたか否かを検出し、閉じていない場合に、排気口シャッター32を閉じる制御をリトライし、リトライしても閉じない場合に、エラー処理を行い、エラー処理を行った後に起動可能なスタンバイ状態に移行させるので、動作停止時に排気口シャッター32の異常を確認し、リトライしてもシャッター異常が復旧できない場合にだけエラー処理を実行でき、復旧できる場合にまでエラー処理を実行する事態を回避でき、異常に対応する処理を適切に実行することができる。
【0055】
しかも、本構成では、エラー処理を行った後に起動可能なスタンバイ状態に移行するので、排気口シャッター32が閉じないエラーを報知した場合であっても、プロジェクター10を起動させることができる。
上記したように、本構成のプロジェクター10は防塵プロジェクターであるため、不使用時に排気口シャッター32が閉じないという防塵上、不利なエラーを放置することは望ましくない一方で、このエラーは、プロジェクター10の起動や動作には特に悪影響を与えないものである。上記構成により、本願では、排気口シャッター32が閉じないエラーをユーザーなどに確実に報知しながら、プロジェクター10を起動して使用可能にすることができる。
【0056】
なお、本構成では、起動時には、「起動時シャッター制御」が行われるので、起動時に排気口シャッター32の開閉状態の異常が確認され、復旧できた場合にプロジェクター10を起動して使用することが可能となる。従って、プロジェクター10の起動時までに、或いは、起動時点に排気口シャッター32が正常動作すれば、このプロジェクター10を通常使用することが可能になり、起動時も正常動作しなければ、正常動作しない状態でプロジェクター10が動作する事態を回避することができる。
【0057】
また、制御部44は、プロジェクター10の動作停止時、画像投射部21及び冷却ファン31を駆動停止した後に、前記シャッターを閉じる制御を行い、前記シャッターが閉じたか否かを検出するので、発熱や冷却に関わる部分を駆動停止した後にシャッターを閉じることができ、内部温度が高くなってしまう事態を確実に回避できる。
【0058】
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の主旨を逸脱しない範囲で任意に変形及び応用が可能である。
例えば、上述した実施形態では、排気口シャッター32を設ける場合を説明したが、これに限らず、吸気口15にシャッターを設けてもよいし、投射レンズ53にレンズ保護用のシャッター(レンズシャッター)を設けてもよい。要は、起動時や動作停止時に開閉するシャッターの異常検出やエラー処理に本発明を広く適用可能である。
また、上述したプロジェクター10は、透過型の液晶パネル52を用いて画像をスクリーンに投射するタイプであったが、反射型液晶パネルを用いたプロジェクターであってもよいし、デジタルミラーデバイスを用いたDMD方式のプロジェクターであってもよい。また、3つの液晶パネル52によりカラー画像を投射する3LCD方式のプロジェクターに限らず、1つの液晶ライトバルブを用いてRGBに対応する画像を時分割表示してカラー画像を投射するプロジェクター、カラーホイールを備えた単板DMD方式のプロジェクター、及び、3DMD方式のプロジェクターのいずれにも本発明を適用可能である。要は、シャッターを有する投射型表示装置に本発明を広く適用可能である。
【符号の説明】
【0059】
10…プロジェクター(投射型表示装置)、11…筐体、12…装置本体、21…画像投射部、15…吸気口(開口部)、16…排気口(開口部)、21…画像投射部、22…電源部、31…冷却ファン、32…排気口シャッター(シャッター)、33D…ソレノイド、33S…付勢部材、34…防塵フィルター、35…音声出力部、36…インジケーターランプ(報知部)、37…出力端子、38…操作部、41…信号処理部、42…投射系駆動部、43…記憶部、44…制御部、45…音声駆動部、46…ファン駆動部、47…ランプ駆動部、48…端子駆動部、49…排気口シャッター駆動部(シャッター駆動部)、52,52R,52G,52B…液晶パネル、53…投射レンズ、K1…排気口シャッター駆動部以外の駆動部、K2…排気口シャッター以外の被駆動部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を投射する画像投射部を備える装置本体と、
前記装置本体が有する通気用の開口部を開閉するシャッターと、
前記シャッターを駆動するシャッター駆動部と、
前記シャッターの開閉状態を検出する開閉検出部と、
前記装置本体の起動時、前記画像投射部の駆動を開始する前に、前記開閉検出部により検出される前記シャッターの開閉状態が異常か否かを判定し、異常と判定した場合は、前記シャッター駆動部により前記シャッターを動作させる制御を行い、前記シャッターが動作しなければ、エラー処理を行う制御部と、
を備えることを特徴とする投射型表示装置。
【請求項2】
前記装置本体は、前記開口部に通気させるファンを有し、
前記制御部は、前記装置本体の起動時、前記画像投射部及び前記ファンの駆動を開始する前に、前記開閉検出部により検出される前記シャッターの開閉状態が異常か否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の投射型表示装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記シャッターが閉まっていない場合に前記シャッターを閉じる制御をリトライし、リトライしても前記シャッターが閉じない場合にエラー処理を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の投射型表示装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記画像投射部の駆動を開始する前に、前記シャッターを開ける制御を行い、前記シャッターが開かなければ、前記シャッターを開ける制御をリトライし、リトライしても前記シャッターが開かない場合にエラー処理を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の投射型表示装置。
【請求項5】
前記装置本体は、防塵フィルターが設けられる吸気口と、防塵フィルターが設けられることなく開口して前記通気用の開口部となる排気口とを有し、前記装置本体の電源オフ時に前記シャッターを閉じ、前記防塵フィルターと前記排気口を開閉する前記シャッターとによって、前記装置本体を防塵可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の投射型表示装置。
【請求項6】
画像を投射する画像投射部を備える装置本体と、前記装置本体が有する通気用の開口部を開閉するシャッターと、前記シャッターを駆動するシャッター駆動部と、前記シャッターの開閉状態を検出する開閉検出部とを備える投射型表示装置の制御方法において、
前記装置本体の起動時、前記画像投射部の駆動を開始する前に、前記開閉検出部により検出される前記シャッターの開閉状態が異常か否かを判定し、異常と判定した場合は、前記シャッター駆動部により前記シャッターを動作させる制御を行い、前記シャッターが動作しなければ、エラー処理を行うことを特徴とする投射型表示装置の制御方法。
【請求項7】
前記装置本体の起動時、前記画像投射部及び前記開口部に通気させるファンの駆動を開始する前に、前記開閉検出部により検出される前記シャッターの開閉状態が異常か否かを判定することを特徴とする請求項6に記載の投射型表示装置の制御方法。
【請求項8】
前記シャッターが閉まっていない場合に前記シャッターを閉じる制御をリトライし、リトライしても前記シャッターが閉じない場合にエラー処理を行う請求項6又は7に記載の投射型表示装置の制御方法。
【請求項9】
前記画像投射部の駆動を開始する前に、前記シャッターを開ける制御を行い、前記シャッターが開かなければ、前記シャッターを開ける制御をリトライし、リトライしても前記シャッターが開かない場合にエラー処理を行うことを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載の投射型表示装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−83553(P2012−83553A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−229689(P2010−229689)
【出願日】平成22年10月12日(2010.10.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】