説明

投影システム

【課題】映像を投影するスクリーンには映像情報とは別に付加する付加情報を表示することなくスクリーンに投影された映像や映像に関連する付加情報を取得し、取得した付加情報に基づいて受光装置が作動する投影システムを提供すること
【解決手段】パネル6に表示された映像情報をスクリーン3に投影する投影装置1と、スクリーン3からの反射光を受光する受光装置2とを備えた投影システムAであって、上記投影装置1はLED7を光源とし、上記パネル6に表示された映像情報を上記スクリーン3に投影するとともに、投影する映像情報に付加する付加情報を上記LED7の点滅に変換して出力し、上記受光装置2は上記スクリーン3の反射光から上記LED7の点滅パターンを読み取り、読み取った点滅パターンに基づいて付加情報を取得し、取得した付加情報に基づいて内装した作動装置Bを作動させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投影システム、詳しくは投影装置と、該投影装置が映像を投影するスクリーンからの反射光を受光する受光装置とから構成された投影システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、投影装置は映像情報をスクリーンに投影するもので様々な投影装置が提案され実用に供されているが、単に映像情報を投影するだけではなくスクリーンに投影した映像を利用する投影装置が提案されている(例えば、特許文献1)。この投影装置は、焦点調節を行なうための基準パターンをスクリーンに投影し、スクリーンに投影された基準パターンを有する画像を一対の受光手段で受光し、一対の受光手段からの出力に基づいてレンズ部材を駆動して焦点調節を行うものである。
【特許文献1】特開2004−93890号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする問題点は、焦点調節を行なうために基準パターンをスクリーンに投影しているが、映像情報とは全く異なる情報(基準パターン)を投影するため、映像情報を投影する前に基準パターンを投影する必要があり、映像情報を投影しながら異なる情報を投影するとその異なる情報が視覚に入り目障りになる恐れがあり、投影面に映像以外の情報が投影されることは問題があった。
【0004】
本発明は、上記問題点を解決し、映像を投影するスクリーンには映像情報とは別に付加する付加情報を表示することなくスクリーンに投影された映像や映像に関連する付加情報を取得し、取得した付加情報に基づいて受光装置が作動する投影システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために本発明に係る投影システムは、パネルに表示された映像情報をスクリーンに投影する投影装置と、スクリーンからの反射光を受光する受光装置とを備えた、以下の要件を備えることを特徴とする。
(イ)上記投影装置はLEDを光源とし、上記パネルに表示された映像情報を上記スクリーンに投影すること
(ロ)上記投影装置は投影する映像情報に付加する付加情報を上記LEDの点滅に変換して出力すること
(ハ)上記受光装置は上記スクリーンの反射光から上記LEDの点滅パターンを読み取り、読み取った点滅パターンに基づいて、映像情報に付加する付加情報を取得し、取得した付加情報に基づいて内装した作動装置を作動させること
【0006】
なお、前記映像情報と付加情報とは記憶媒体に記憶させ、前記投影装置に装着可能にするとともに、前記受光装置は前記映像情報に関連した形態又は作動する作動装置の何れか一方又は両方を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、映像情報と映像情報に付加した付加情報とをスクリーンに投影する際、同時に表示することができるとともに、投影装置と受光装置とを物理的に接続することなく、しかも映像情報に重ねて付加情報を表示することがないので視覚的に影響のない投影システムを構築することができる。
【0008】
請求項2の発明によれば、スクリーンに投影された映像に関連する形状の受光装置が作動するので、記憶媒体と受光装置とをセットにしてユーザーに提供することができ、ユーザーの好みの映像情報に対応して作動する受光装置を映像とともに楽しむことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は、本発明に係る投影システムAの一例を示し、この投影システムAはスクリーン3に映像を投影する投影装置1と、スクリーン3から反射する反射光を受光する受光装置2とで構成されている。
【0010】
図2(a)は、投影装置1のブロック図を示し、制御部5はパネル(液晶パネル)6に映像を表示させ、LED7を点灯させることにより、LED7の光は集光レンズ8で集光されて液晶パネル6を透過し、液晶パネル6に表示されている映像は、投影レンズ9を通してスクリーン3に投影されるようになっている、
なお、制御部5にはソケット10を介してデータカセット11が接続されるようになっており、このデータカセット11には映像情報と音声情報と映像情報に関連して受光装置2の作動を制御するための付加情報とを記憶した記憶媒体12が収容されている。
【0011】
データカセット11をソケット10にセットすると、制御部5は記憶媒体12に記憶されている映像情報と、付加情報とを読み出し、映像情報に基づいて液晶パネル6に映像を表示するとともに、付加情報に基づいてLED7の点滅を行い液晶パネル6に表示された映像をスクリーン3に投影するようになっている。
【0012】
スクリーン3に投影する映像情報と付加情報とは、図3(a)に示すように、映像情報がパネルに表示されると同時に、図3(b)に示すように、LED7が点灯し、パネルに表示された映像情報はLED7の光でスクリーン3に投影される。映像情報の表示されている時間の中で、付加情報を表示させたい時間帯T(受光装置2を作動させたい時間帯)になるとLED7を付加情報に基づいて点滅(輝度変調)させる。
【0013】
なお、このLED7の点滅で映像は点滅することになるが、この点滅は人間の視覚では認識できないような短いサイクルの点滅であればよい。
【0014】
なお、図2(a)において、符号13は制御プログラムや制御データを記憶した内部メモリ、符号14は効果音を出力するスピーカを示し、記憶媒体12に記憶されている音声データを再生することにより映像に関連した効果音を出力するようになっている。
【0015】
一方、受光装置2は、図2(b)に示すように、スクリーン3からの反射光を受光する受光部(受光センサ)20と、受光部20で受光した反射光の変化をデジタル信号(2値化データ)にするAD変換回路21と、変換したデジタル信号に基づいて付加情報を認識し、認識した付加情報に基づいて作動装置Bを作動させる制御部22とが配置されている。
【0016】
受光装置2は人形、動物、植物などの任意の形状の形象玩具で構成されていればよく、その形象に応じて音声を出力したり、動作をしたり、発光したり適宜の作動をおこなうように作動装置が収容され、制御部22が作動装置Bの制御を行うようになっていればよい。例えば、作動装置Bがスピーカ23とモータ24で構成され、形象が動物であれば、スピーカ23から鳴声を出力したり、モータ24を作動させて体を動かすようにすればよい。また、形象が植物であればモータ24を作動させてファンを動かしアロマを発散させたりすればよい。
【0017】
スクリーン3に映像情報が投影されると、スクリーン3で反射した反射光は受光装置2の受光センサ20で検出され、図3(c)に示すように、LED7の点灯状態に同期して反射光が検出され、輝度変調したときには、その輝度変調が付加情報として認識されるようになっている。付加情報が認識されると制御部22はその付加情報に対応した動作データをメモリ25から読み出し、その動作データに基づいて作動装置Bを所定時間作動させるようになっている(図3(d)参照)。
【0018】
上記構成の投影装置によれば、ユーザーが見たい映像情報が記憶媒体12に記憶されているカセット11と、このカセット11とセットになっており映像情報に関連する形状、動作を行う受光装置2とを選択し、選択したカセット11を投影装置1のソケット10にセットし、電源をONすれば映像情報と付加情報とが記憶媒体12から読み出され、映像情報は液晶パネル6に表示されるとともに所定のタイミングでLED7が付加情報に基づいて点滅する。このLED7の点滅は人間の視覚では感じないような早い点滅で行なわれLED7は継続して点灯している状態としか認識できないようになっている。
【0019】
投影装置1の電源ONに対応して受光装置2の電源をONすれば、受光部20は、スクリーン3から反射する反射光を受光センサ20で受光し、受光した反射光の点滅はAD変換回路21でデジタル信号に変換され、制御部22に入力される。制御部22は、入力されたデジタル信号から付加情報を認識し、認識した付加情報に関連する動作データをメモリ25から読み出し、その動作データ(音声データ、モータ駆動データ)を制御信号に変換して出力し、作動装置B(モータ24、スピーカ25)を作動させる。
【0020】
例えば、図4に示すように、受光装置2がウサギを模した動物玩具で、スクリーン3に投影された映像が途中から怪獣に代わった時(時間帯T)、LED7を怪獣を定義する付加情報に基づいて点滅させると、受光装置2がLED7の点滅パターンを認識し、このパターンに基づいて付加情報を認識し、この付加情報に対応した動作データをメモリ25から読み出して制御信号に変換して出力すると、受光装置(ウサギ)2は「キャー」という音声をスピーカ23から出力するとともに、モータ24を所定時間回転させ、図示しないバイブレーション機構を作動させて体を所定時間震わせるようにすればよい。
【0021】
また、図5に示すように、スクリーン3に投影する映像情報が南国の島であれば、受光装置2を花を模した形象物で構成し、LED7を南国の島を定義する付加情報のパターンで点滅させた場合、受光装置2がLED7の点滅(輝度変調)を付加情報として認識し、この付加情報に基づいて、形象物はアロマを発散させながら揺動し、ハワイアンのメロディを出力して室内を南国の気分になるようにしてもよい。
【0022】
上記構成の投影システムによれば、受光装置2とセットになっているカセット11を投影装置1のソケット10にセットし、電源をONすれば映像情報は記憶媒体12から読み出され、液晶パネル6に表示されるとともに、付加情報が記憶媒体12から読み出され、制御部5はこの付加情報に基づいてLED7を点滅制御する。
【0023】
LED7の光は集光レンズ8、液晶パネル6を透過し、液晶パネル6に表示されている映像は投影レンズ9でスクリーン3に投影される。このスクリーン3に投影された映像はスクリーン3で反射し、この反射光は受光装置2の受光部20で受光される。
【0024】
スクリーン3で反射された反射光を受光部20が受光すると、受光した光はAD変換部21でデジタル信号に変換され制御部5に入力されるので制御部5は入力されたデジタル信号からスクリーンに投影された映像に関連する付加情報を認識し、付加情報に関連する動作データをメモリ25から読み出し、その動作データに基づいて作動装置Bを作動させる。
【0025】
この作動装置Bは、モータで構成されている場合はモータの動作を制御して玩具を動作させ、スピーカで構成されている場合は音声データを出力し、液晶パネルで構成されている場合は文字情報で表示するなど、作動装置に応じた制御を行なえばよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る投影システムの構成図
【図2】(a)(b)は投影装置と受光装置のブロック図
【図3】映像情報と付加情報を説明するタイムチャート図
【図4】上記投影システムの一例を説明する斜視図
【図5】上記投影システムの他の例を説明する斜視図
【符号の説明】
【0027】
1 投影装置
2 受光装置
3 スクリーン
5 制御部
6 パネル(液晶パネル)
7 LED
A 投影システム
B 作動装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネルに表示された映像情報をスクリーンに投影する投影装置と、スクリーンからの反射光を受光する受光装置とを備えた、以下の要件を備えることを特徴とする投影システム。
(イ)上記投影装置はLEDを光源とし、上記パネルに表示された映像情報を上記スクリーンに投影すること
(ロ)上記投影装置は投影する映像情報に付加する付加情報を上記LEDの点滅に変換して出力すること
(ハ)上記受光装置は上記スクリーンの反射光から上記LEDの点滅パターンを読み取り、読み取った点滅パターンに基づいて、映像情報に付加する付加情報を取得し、取得した付加情報に基づいて内装した作動装置を作動させること
【請求項2】
前記映像情報と付加情報とは記憶媒体に記憶させ、前記投影装置に装着可能にするとともに、前記受光装置は前記映像情報に関連した形状又は作動する作動装置の何れか一方又は両方を備えた、請求項1記載の投影システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−25994(P2010−25994A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−183988(P2008−183988)
【出願日】平成20年7月15日(2008.7.15)
【出願人】(000003584)株式会社タカラトミー (248)
【Fターム(参考)】