説明

投影装置

【課題】空間に映像や光が浮んでいるように投影すること。投影する光源の利用効率を高くすることも課題である。
【解決手段】視覚的にちらつきを感じない周期で透明状態と不透明(散乱)状態を切り替えしかも不透明(散乱)状態の時間幅を前記周期に比べ十分短くなるように制御した1つもしくは複数のパネルを用いそのパネルの不透明(散乱)状態にタイミングを合わせて発光する1つもしくは複数の光源又は前記光源を用いたプロジェクターの光を投影するようにした投影装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空間に映像や光が浮んでいるように投影する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
空間を視覚的に遮ることなく、空中に映像や光の表示を行なう事は例えば炎や空中に浮かんでいる明るい物体、水中に浮かんでいる生物などを映すことで奥行き方向が見えることから3次元の広がりを感じさせる演出効果が得られる。
【0003】
従来はハーフミラーを用いることで実現してきたが、図8に示すように構造上装置が大型化するだけでなく演出効果の得られる範囲が狭くなる、投影画像のハーフミラーでの反射率が大きくできないことによる光量の損失が多いなどの欠点がある。
【0004】
またホログラム技術を用いたパネルに投影することで実現できるが、パネルの視野範囲が広く取りにくい、投影光の反射効率が低い、プロジェクターとパネルの位置関係が固定されるなどの欠点がある。
【0005】
特許文献1に示すように透明、不透明(散乱)を切り替えることの出来るパネルを用いしかもパネルに映像を投影し、パネル透明状態のタイミングにパネルを透過した映像を取り込むシステムが存在するが、パネルに映像を映すという点において同様の手段を用いているものの、パネルは視覚的には不透明となるようも制御しパネルの後ろにあるビデオカメラを見えなくしているという点で本案の目的と根本的に異なる。
【特許文献1】特開平2−228893号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
視覚的に遮る物が無い空間に効率良く映像や光を投影し表示することが課題である。そのために用いる映像や光を投影するパネルの透明度を上げ目立たなくしながら投影する光源からの光の利用効率を高め何もないように見える空間から光あるいは映像が現れしかも広い範囲から見ることができるようにする事も課題である。
【0007】
又パネルに対して投影する光源あるいはプロジェクターの角度を自由に設定できるようにすることも課題である。
【0008】
更に複数のパネルを観察者から見て重なり合うように配置し異なった奥行きの位置に複数の光や、映像を表示し柔軟な表現ができるようにすることも課題である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は電気信号によって透明状態と不透明(散乱)状態を制御できるパネル(スクリーン)を用い透明状態と不透明(散乱)状態の繰り返し周期が視覚的にちらつかないように短く設定し、しかも不透明(散乱)状態の時間幅を繰り返し周期に比べ十分に短く設定した上で不透明(散乱)状態にタイミングを合わせて発光する光源もしくはその光源を用いたプロジェクターからの出射光をパネルに投影させる。
【0010】
パネルが不透明(散乱)となる時間幅を透明となる時間幅に比べたとえば1/4程度以下とすることで観察者から見て視覚的にはパネルがほぼ透明と認識される。光源の発光タイミングをパネルが不透明(散乱)となる時間内でしかもその間隔以下となるようにパルス発光させることで光源からの光エネルギーがパネルによって拡散され、光源からの光の利用効率を最大化できる。
【0011】
また同一光源に対して複数のパネル用いしかもパネル面が重なるように配置する事で奥行きの異なった位置に光もしくは画像を投影する事ができる。この場合にはそれぞれのパネルが不透明(散乱)となるタイミングが重ならないように制御し光源の発光タイミングはそれぞれのパネルが不透明(散乱)となるタイミングに一致させてパルス発光させる。
【0012】
さらに複数のパネルが重なり合って光源もしくはプロジェクターからの距離が異なることによって引き起こされる問題を回避するためにパネルごとに光源もしくはプロジェクターを用いそれぞれのパネルが不透明(拡散)状態となるタイミングにあわせて対応する光源もしくはプロジェクターの発光が行なわれその組み合わせごとの不透明となるタイミングが重ならないように制御する。
【発明の効果】
【0013】
空間に光もしくは映像を映し出すことができる。しかも光源の光エネルギーを無駄なく利用できる。
【0014】
奥行き方向に対して異なった空間へ光もしくは映像を効率よく映し出す事ができる。
【0015】
奥行き方向に対して異なった空間へ投影する光もしくは映像をパネルの配置毎に最適化出来る。
【0016】
空間に映像や光が浮かんだように表示を行なう事が出来、しかも複数の表示を異なった奥行きの面に映し出すことによる幻想的な表現あるいは3次元図形を浮かんだように表示できるなどによって例えば炎や水中や空中に浮かんでいるような映像、光の演出効果が得られる。さらに人体内部の断層映像を奥行き方向の異なったパネルに表示することで観察者が全体像の把握を容易にするなど、映し出す映像次第で様々な演出効果が得られる。
【実施例1】
【0017】
本発明実施形態の説明を図面を参照しておこなう。
図1に第1の実施形態を示す。図1はプロジェクターを用いた実施例である。図において10はプロジェクター、11はプロジェクターからの映像を映すパネル(スクリーン)である。観察者はパネルをはさんでどちら側でもかまわない。間欠発光するプロジェクター光源のタイミングと前記パネルの透明、不透明(散乱)を制御する信号はタイミング発生回路によって制御され、図3にそのタイミング制御の一例を示す。図3に示されるパネル透明度を制御するためにパネル駆動波形示された電圧をパネルに加える。光源発光タイミングをパネルが拡散状態となるタイミングと一致させている。実施例では前期信号の繰り返し周期は20msecである。実際のパネルに加える電位は不透明(拡散)時にはゼロ(ショート状態)で透明時には前記周期に比べ十分周期の短いプラスマイナスのパルスが交互に加わるようにしている。
【実施例2】
【0018】
図2に第2の実施例を示す。本実施例は図1に示した第1の実施例の構成と基本的には同様であるが図1にあるプロジェクターの代わりとして光源そのものを用いている。図1がプロジェクターとして投影される映像がパネルに映し出されるが、本実施例では光源より出射される光の強度分布そのものがパネルに映し出される。
【実施例3】
【0019】
図4に第3の実施例を示す。本実施例は2枚のパネルを観察者から見て異なった距離に重なるように配置してある。プロジェクターからスクリーンまでの距離が異なることによる焦点位置のずれを許容したうえでプロジェクターからの画像がパネルへ投影される。観察者はパネルのどちら側でも画像を見ることができる。2枚のパネルそれぞれに投影される映像は図5に示すタイミングに従って切り替えられプロジェクターに入力される。それぞれのパネルが不透明(拡散)状態になるタイミングとプロジェクター光源の発光タイミングと一致するように制御する。
本実施例ではパネルが2枚の場合で説明したが、更に多くのパネルを重ねることも可能である。
【実施例4】
【0020】
図6に第4の実施例を示す。本実施例は2枚のパネルを観察者から見て異なった距離に重なるように配置してある。2つの光源を用いそれぞれから出射された光線がが重なるように2枚のパネル投影される。それぞれの光源のオンオフとパネルの透明、不透明(拡散)を制御するための駆動信号を図7に示す。図7に示した駆動信号によってパネル1が不透明状態になるタイミングに光源1が光を発し、パネル2が不透明になるタイミングに光源2が光を発するように制御してある。
【0021】
本例では光源を直接用いる例を示したが光源に変え同様のタイミングで制御される光源を用いたプロジェクターであってもかまわない。更に必要に応じてパネルの枚数を増やしたり光源あるいはプロジェクターの数を増やしたり、光源とプロジェクターを混在させることも可能である。
【0022】
上述した実施例の試作において用いたパネル11,12a,12bには液晶シートを透明樹脂で挟んだ構造を持つパネル(日本板硝子社製、商品名UMU(ウム))を用いた。実施例では言及していないがパネルの形状は平面だけでなく曲面状であってもかまわない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す模式図である。
【図2】本発明の第2の実施形態を示す模式図である。
【図3】本発明の第1、第2の実施例におけるパネル駆動信号、光源発光タイミングのタイムチャートである。
【図4】本発明の第3の実施形態を示す模式図である。
【図5】本発明の第3の実施例におけるパネル駆動信号、光源発光タイミングのタイムチャートである。
【図6】本発明の第4の実施形態を示す模式図である。
【図7】本発明の第4の実施例におけるパネル駆動信号、光源発光タイミングのタイムチャートである。
【図8】従来例の模式図である。
【符号の説明】
【0024】
10 プロジェクター本体 11 パネル(スクリーン)
12a パネル1(スクリーン) 12b パネル2(スクリーン)
13 パネル駆動信号 14a パネル1駆動信号
14b パネル2駆動信号 15 光源
16a 光源1 16b 光源2
17 光源発光タイミング 17a 光源1発光タイミング
17b 光源2発光タイミング 18 プロジェクター 基板
19 光拡散パネル(スクリーン) 20 ハーフミラー
21 仮想投影面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気信号により視覚的にちらつきを感じない周期で透明状態と不透明(散乱)状態を切り替えしかも不透明(散乱)状態の時間幅を前記周期に比べ十分短くなるように制御した1つもしくは複数のパネル(スクリーン)を用い、そのパネルの不透明(散乱)状態にタイミングを合わせて発光する1つもしくは複数の光源又は前記光源を用いた1つもしくは複数のプロジェクターの光を投影するようにした投影装置。
【請求項2】
請求項1の装置において複数のパネル(スクリーン)を用いしかも観察者から見て複数のパネルが重なるように配置し、それぞれのパネルが不透明(散乱)状態になるタイミングが一致しないように制御しそれぞれのパネルの不透明(散乱)にタイミングを合わせて発光する1つもしくは複数の光源又は前記光源を用いたプロジェクターの光を投影するようにした投影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−96691(P2008−96691A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−278265(P2006−278265)
【出願日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【出願人】(304050233)
【Fターム(参考)】