投影装置
【課題】投影された画像の視認性を著しく低下させることなく、投影面の色や模様に対する入力画像の補正を行うことができる投影装置を提供する。
【解決手段】投影面の反射率分布を検出し、検出された反射率分布を入力画像に基づいて補正し、補正された反射率分布を平滑化し、検出された反射率分布および平滑化された反射率分布に基づいて入力画像を補正し、補正された入力画像を投射ユニット110を使用して投影面に投影させる画像処理部101Aを備える。
【解決手段】投影面の反射率分布を検出し、検出された反射率分布を入力画像に基づいて補正し、補正された反射率分布を平滑化し、検出された反射率分布および平滑化された反射率分布に基づいて入力画像を補正し、補正された入力画像を投射ユニット110を使用して投影面に投影させる画像処理部101Aを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
投影機器の小型化によって投影機器の持ち運びが便利になり、部屋の壁など、スクリーン以外の投影面に画像を投影する機会が多くなる。しかし、スクリーン以外の投影面には色や模様がついている場合、その投影面に画像を投影すると、投影面の色や模様の影響で投影された画像の視認性が悪くなる。そこで、投影面の反射率分布に応じて補正した画像を投影して、画像が投影された投影面に投影面の色や模様を見えないようにする技術が従来技術として知られている(たとえば、特許文献1,2)。
【特許文献1】特開2008−67080号公報
【特許文献2】特開2007−322671号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1や特許文献2に記載されているような従来技術で入力画像を補正すると、黒線や黒点などの反射率の極めて低い箇所が投影面に存在する場合、投影面に投影された画像の輝度が著しく低下することがある。このため、投影された画像の視認性が入力画像の補正により却って悪くなる場合があるという問題点がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1の発明の投影装置は、投影面の反射率分布を検出する反射率分布検出手段と、入力画像を入力する画像入力手段と、反射率分布検出手段によって検出された反射率分布を入力画像に基づいて補正する反射率分布補正手段と、反射率分布補正手段によって補正された反射率分布を平滑化する反射率分布平滑化手段と、反射率分布平滑化手段によって平滑化された反射率分布に基づいて、入力画像を補正する入力画像補正手段と、入力画像補正手段によって補正された入力画像を投影面に投影する投影手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、投影された画像の視認性を著しく低下させることなく、投影面の色や模様に対する入力画像の補正を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、図面を参照して本発明を実施するための一実施形態について説明する。本発明による投影装置は、投影された画像の見栄えや視認性を向上させるため、投影面の状態に応じて入力画像を補正する。
【0007】
図1は、本発明の実施形態による投影装置1を前方から見た図である。図1に示すように、投影装置1の正面には、投影光学系111(図2参照)を構成する投影レンズ111Aと、撮像光学系121(図2参照)を構成する撮影レンズ121Aとが設けられている。投影装置1は、机上などに載置された状態で前方のスクリーンなどに向けて、内蔵する投射ユニット110(図2参照)から画像などを投影する。
【0008】
図2は、投影装置1の構成を説明するブロック図である。図2において投影装置1は、投射ユニット110と、撮像ユニット120と、制御回路101と、メモリ102と、操作部103と、外部インターフェイス(I/F)回路104と、メモリカードインターフェイス(I/F)105とを備え、メモリカードインターフェイス105にはメモリカード150が接続される。
【0009】
制御回路101は、マイクロプロセッサおよびその周辺回路からなる。制御回路101は、制御プログラムに基づいて、投影装置内各部から入力される信号を用いて所定の演算を行う。そして、制御回路101は、演算結果を制御信号として投影装置内各部に出力し、投影装置1の投影動作および撮像動作を制御する。なお、制御プログラムは制御回路101内の不図示のROMに格納される。
【0010】
制御回路101は画像処理部101Aを有する。画像処理部101Aでは、外部インターフェイス104を介して取得した画像データまたはメモリカード150より取得した画像データに対して画像処理を行う。画像処理部101Aで行う画像処理の詳細については後述する。
【0011】
メモリ102は制御回路101の作業用メモリとして使用される。操作部103はボタンやスイッチなどで構成され、操作されたボタンやスイッチに対応する操作信号を制御回路101へ出力する。メモリカード150は、制御回路101の指示によりデータの書き込み、保存および読み出しが可能である。
【0012】
投射ユニット110は、投影光学系111、液晶パネル112、LED光源113、および投射制御回路114を含む。LED光源113は、供給電流に応じた明るさで液晶パネル112を照明する。液晶パネル112は、投射制御回路114からの駆動信号に応じて光像を生成する。投影光学系111は、液晶パネル112から射出される光像を投射する。投射制御回路114は、制御回路101からの指示により、LED光源113および液晶パネル112へ制御信号を出力する。
【0013】
投射ユニット110は制御回路101から指示された画像を投影する。投射ユニット110は、メモリカード150内に保存されている画像データの他、外部インターフェイス回路104を介して外部機器から供給される画像データによる画像を投影することができる。メモリカード150内に保存されている画像データの画像、または、外部インターフェイス回路104を介して外部機器から供給される画像データの画像を、以下、入力画像と呼ぶ。
【0014】
撮像ユニット120は、撮像光学系121、撮像素子122および撮像制御回路123を有し、制御回路101からの指示に応じて投影面を撮像する。撮像光学系121は、撮像素子122の撮像面上に被写体像を結像させる。撮像素子122は被写体像を電気信号に変換する。撮像素子122としては、CCDやCMOS撮像素子などが用いられる。撮像制御回路123は、制御回路101からの指示により撮像素子122を駆動制御するとともに、撮像素子122から出力される電気信号に対して所定の信号処理を行う。
【0015】
次に、制御回路101の画像処理部101Aで行われる画像処理を説明する。本発明の実施形態の画像処理では、入力画像を投影面に投射したときに投影面の模様や汚れが目立たなくなるように、撮像ユニット120により撮影した投影面の画像に基づいて、入力画像の補正を行う。
【0016】
図3のフローチャートを参照して、画像処理部101Aで行う画像処理について説明する。図3の処理は、投影装置1が、投影を開始するための処理を開始するとスタートするプログラムにより画像処理部101Aにおいて実行される。
【0017】
ステップS1では、投影面の反射率を表す画像を算出する。ステップS2では、入力画像の画像データを、外部インターフェイス回路104を介して、またはメモリカード150から読み込み、メモリ102に記憶する。ステップS3では、補正不可分布を算出する。補正不可分布とは、入力画像の補正により見えないようにすることが困難である投影面の反射率の低い部分の分布である。反射率の低い部分は、投影する画像の輝度を大きく下げることなく、投影された画像を通して見えないようにすることは困難である。
【0018】
ステップS4では、補正不可分布を平滑化する。ステップS5では、平滑化された補正不可分布および投影面の反射率を表す画像に基づいて、ステップS2で読み込んだ入力画像を補正する。ステップS6では、ステップS5で補正した入力画像をアナログ変換して、補正した入力画像を投影する。ステップS7では、次に投影する入力画像があるか否かを判定する。次に投影する入力画像がある場合はステップS7が肯定判定され、ステップS2に戻る。次に投影する入力画像がない場合はステップS7が否定判定され、画像処理を終了する。
【0019】
次に、図3のフローチャートのステップS1、S3、S4,S5を詳細に説明する。
【0020】
−投影面の反射率を表す画像の算出−
図4のフローチャートを参照して、ステップS1における投影面の反射率を表す画像の算出処理を説明する。i番目の画素値が(R,G,B)iで与えられる入力画像を投射ユニット110で投影したとき、投影面の撮影画像における、i番目の画素値に対応する画素値を(RP,GP,BP)iとする。
【0021】
ステップS11では、黒画像((R,G,B)i=(0,0,0)i)を投影面に投影する。ステップS12では、黒画像を投影した投影面を撮影する。このときの撮影画像A01の画素値を(RP,GP,BP)i=(RA01,GA01,BA01)iとする。
【0022】
ステップS13では、白画像((R,G,B)i=(255,255,255)i)を投影面に投影する。ステップS14では、白画像を投影した投影面を撮影する。このときの撮影画像A02の画素値を(RP,GP,BP)i=(RA02,GA02,BA02)iとする。
【0023】
ステップS15では、撮影画像A02と撮影画像A01との差分から投影面の反射率を表す画像A03を算出する。具体的には、(RA03,GA03,BA03)i=(RA02−RA01,GA02−GA01,BA02−BA01)iの画像を算出する。
【0024】
−補正不可分布算出−
図5のフローチャートを参照して、図3のステップS3で行う補正不可分布の算出処理について説明する。
【0025】
ステップS21では、入力画像の画素値を規格化する。8ビットの画像データの場合、画素値を255で割り算する。つまり、入力画像のi番目の規格化された画素値は、(RB01,GB01,BB01)i=(R/255,G/255,B/255)iとなる。ステップS22では、投影面の反射率を表す画像の画素値を規格化する。画像A03における画素値RA03、GA03、BA03の最大値をRMAX、GMAX、BMAXとすると、投影面の反射率を表す画像A03のi番目の規格化された画素値は、(RB02,GB02,BB02)i=(R/RMAX,G/GMAX,B/BMAX)iとなる。
【0026】
ステップS23では、入力画像の規格化された画素値が、投影面の反射率を表す画像A03の規格化された画素値より大きいか否かを判定する。入力画像の規格化された画素値が、投影面の反射率を表す画像A03の規格化された画素値より大きい場合は、ステップS23が肯定判定され、ステップS24へ進む。入力画像の規格化された画素値が、投影面の反射率を表す画像A03の規格化された画素値以下の場合は、ステップS23が否定判定され、ステップS25へ進む。
【0027】
ステップS24では、補正不可分布B03(RB03,GB03,BB03)iの補正不可分布値RB03,GB03,BB03を、投影面の反射率を表す画像A03の規格化された画素値RB02,B02,BB02とする。ステップS25では、補正不可分布B03(RB03,GB03,BB03)iの補正不可分布値RB03,GB03,BB03を1とする。たとえば、入力画像のi番目の規格化された画素値が、RB01>RB02、GB01<GB02、BB01>BB02の場合、補正不可分布B03(RB03,GB03,BB03)iは、(RB02,1,BB02)iとなる。
【0028】
ステップS26では、入力画像の全ての画素についてステップS23の比較が終了したか否かを判定する。入力画像の全ての画素についてステップS23の比較が終了した場合はステップS26が肯定判定され、補正不可分布の算出処理を終了する。入力画像の全ての画素の中にステップS23の比較が終了していないものがある場合はステップS26が否定判定され、ステップS23に戻る。
【0029】
図6を参照して、補正不可分布B03の算出処理を具体的に説明する。図6(a)は、入力画像を示す図である。図6(b)は、投影面の反射率分布を示す図である。図6(a)に示す入力画像を規格化した画像B01と、図6(b)に示す反射率分布を表す画像A03を規格化した画像B02とを比較して補正不可分布B03を算出すると、図6(c)に示す補正不可分布B03となる。
【0030】
−補正不可分布平滑化処理−
図7のフローチャートを参照して、図3のステップS4の補正不可分布平滑化処理を説明する。
【0031】
ステップS31では、補正不可分布B03にローパスフィルタ(平滑化フィルタ)を適用して、補正不可分布の平滑化を行う。図8を参照して、3×3のカーネル(重み平均計算に用いられる局所領域)で行う補正不可分布の平滑化を例に上げて説明する。3×3の画素の中心の画素が注目画素であり、注目画素における補正不可分布値は0.3である。注目画素に隣接する画素の補正不可分布値は、1.0、0.8、1.0、0.6、0.5、0.5、0.7および0.9である。注目画素の補正不可分布値および注目画素に隣接する画素の補正不可分布値について重み平均計算を行うと、つまり、注目画素の補正不可分布値および注目画素に隣接する画素の補正不可分布値に1/9の重み付けをして足し算すると、平滑化後の注目画素の補正不可分布値は算出され、その値は0.7となる。
【0032】
なお、カーネル(重み平均計算に用いられる局所領域)の大きさは、補正した入力画像を投影したときの見え方によって、適宜選択することができる。たとえば、9×9でもよいし、13×13でもよい。また、平滑化の処理をローパスフィルタで行う代わりに、メディアンフィルタで行うようにしてもよい。
【0033】
ステップS32では、平滑化した補正不可分布のブロック化を行う。以下、平滑化した補正不可分布を平滑補正不可分布と呼ぶ。平滑補正不可分布のブロック化とは、平滑補正不可分布を所定の領域で区分けし、1つの区分けした領域(1つのブロック)に含まれる画素の補正不可分布値の中で、値が最も小さい補正不可分布値をその領域に含まれる画素の補正不可分布値とする処理である。図9を参照して、6×6の画素を1つのブロックとした場合のブロック化の処理を説明する。図9(a)に示すように、6×6の画素の中で、つまり、1つのブロックの中で値が最も小さい補正不可分布値は0.5である。したがって、ブロック化の処理を行うと、図9(b)に示すように、1つのブロックに含まれる画素の補正不可分布値は、全て0.5となる。
【0034】
ステップS33では、ブロック化した平滑補正不可分布にローパスフィルタを適用して、平滑補正不可分布の平滑化を行う。この平滑化の処理におけるカーネルの大きさは、ステップS31の平滑化の処理のときのカーネルの大きさに比べて大きくする。たとえば、101×101〜201×201とする。以下、ブロック化した平滑補正不可分布をさらに平滑化したものを輝度値低下倍率分布と呼ぶ。
【0035】
図10を参照して、補正不可分布平滑化処理を具体的に説明する。図10(a)は、図6(c)の補正不可分布を平滑した平滑補正不可分布を示す図である。平滑化するときのカーネルの大きさは9×9である。図10(b)は、図10(a)の平滑補正不可分布をブロック化したもの示す図である。1つのブロックは、20×30の画素から構成される。図10(c)は、図10(b)のブロック化した平滑補正不可分布をさらに平滑化した輝度値低下倍率分布を示す図である。
【0036】
−入力画像の補正−
図11のフローチャートを参照して、図3のステップS5の入力画像の補正処理について説明する。
【0037】
ステップS41では、入力画像に輝度値低下倍率分布を乗算する。たとえば、入力画像のi番目の画素値が(R,G,B)iであり、輝度値低下倍率分布のi番目の画素における補正不可分布値が(α,β,γ)iである場合、入力画像に輝度値低下倍率分布を乗算した画像のi番目の画素における値は、(Rα,Gβ,Bγ)iとなる。
【0038】
ステップS42では、入力画像に輝度値低下倍率分布を乗算した画像を、さらに投影面の反射率を表す画像で割り算する。たとえば、入力画像に輝度値低下倍率分布を乗算した画像のi番目の画素における値が(Rα,Gβ,Bγ)iであり、投影面の反射率を表す画像のi番目の画素における画素値が(RA03,GA03,BA03)iである場合、入力画像に輝度値低下倍率分布を乗算した画像を、投影面の反射率を表す画像の画素値で割り算した2つの画像の比は、(Rα/RA03,Gβ/GA03,Bγ/BA03)iとなる。この2つの画像の比を量子化して作成した画像が、入力画像を補正した画像となる。この画像が撮像装置1から投影される。
【0039】
図12を参照して、入力画像の補正処理を具体的に説明する。図12(a)は、入力画像(図6(a)参照)に輝度値低下倍率分布(図10(c)参照)を乗算した画像を示す図である。図12(b)は、図12(a)の画像を投影面の反射率を表す画像(図6(b)参照)で割り算したものを表した画像である。この画像が撮像装置1から投影される。図12(c)は、図12(b)の画像を図6(b)の投影面に投影したときにユーザによって観察される観察画像である。図12(c)の観察画像では、画像のダイナミックレンジが広く、また、投影面の模様や色が目立たない。
【0040】
参考のために、入力画像を補正しないで投影した場合の観察画像を図13に示す。図13(a)は、入力画像を示す図であり、入力画像は、「空」を背景に撮影された山頂の画像である。図13(b)は投影面の画像である。図13(c)は、図13(a)の画像を図13(b)の投影面に投影したときにユーザによって観察される観察画像である。13(c)の観察画像では、投影面の模様が投影された画像の「空」の領域でよく見える。
【0041】
次に、図14および図15を参照して、補正された入力画像を投影面に投影したときに投影面で観察される観察画像と、補正不可分布を平滑化するときのカーネルの大きさとの関係を説明する。図14(a)は、平滑化をしない場合(カーネルの大きさがゼロの場合)の観察画像である。図14(b)は、カーネルの大きさを3×3にした場合の観察画像であり、図14(c)は、カーネルの大きさを5×5にした場合の観察画像である。図15(a)は、カーネルの大きさを9×9にした場合の観察画像であり、図15(b)は、カーネルの大きさを13×13にした場合の観察画像である。図15(c)は、カーネルの大きさを25×25にした場合の観察画像である。
【0042】
図14(a)に示すように、補正不可分布を平滑化しないと観察画像のダイナミックレンジが非常に狭くなり、観察画像の視認性が非常に悪くなる。図14(b)、図14(c)、図15(a)、図15(b)に示すように、補正不可分布を平滑化するときのカーネルの大きさが大きくなるにしたがって、観察画像のダイナミックレンジは広がり、観察画像の視認性が良好になる。しかし、図15(c)に示すように、カーネルの大きさが大きくなりすぎると、投影面の模様などが少し目立つようになる。
【0043】
以上説明した実施形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)投影面の反射率分布を検出し、入力画像を入力し、検出された反射率分布を入力画像に基づいて補正し、補正された反射率分布を平滑化し、平滑化された反射率分布に基づいて入力画像を補正し、補正された入力画像を投影面に投影するようにした。これにより、投影された画像の視認性を著しく低下させることなく、投影面の色や模様に対する入力画像の補正を行うことができる。
【0044】
(2)検出された反射率分布に基づいて、さらに入力画像を補正するようにしたので、投影面の色や模様に対する入力画像の補正を適切に行うことができる。
【0045】
(3)反射率分布補正手段によって補正された反射率分布を平滑化し、平滑化された反射率分布の中で反射率の低い領域を拡張し、反射率の低い領域が拡張された反射率分布をさらに平滑化することによって、反射率分布の平滑化を行うようにした。これにより、入力画像を補正するときに使用する、平滑化された反射率分布を適切に算出することができる。
【0046】
(4)反射率分布の平滑化の処理の際の低反射率領域の拡張で、平滑化された反射率分布を区分けし、区分けした領域内の反射率分布の中で低い反射率をその区分けした領域の反射率とすることにより、平滑化された反射率分布の中で反射率の低い領域を拡張するようにした。これにより、入力画像を適切に補正できるように、平滑化された反射率分布の中で反射率の低い領域を拡張することができる。
【0047】
(5)ブロック化した平滑反射率分布の平滑化(2回目の平滑化)における重み平均計算に用いられる局所領域は、平滑反射率分布の平滑化(1回目の平滑化)における重み平均計算に用いられる局所領域に比べて大きくするようにした。これにより、入力画像を補正して入力画像のダイナミックレンジを部分的に狭くした場合、その部分を目立たないようにすることができる。
【0048】
(6)入力画像の規格化した画素値と、投影面の規格化した反射率とを比較して補正不可分布を算出するようにしたので、投影面の中から、投影された画像の視認性が悪くならないように補正することが困難である、反射率の低い部分を適切に抽出することができる。また、入力画像の規格化した画素値と、投影面の反射率を表す画像の規格化された画素値とを比較することによって、入力画像の規格化した画素値と、投影面の規格化した反射率との比較するようにしたので、両者の比較を簡単に行うことができる。
【0049】
以上の実施の形態を次のように変形することができる。
(1)投影面の反射率分布を表す画像を算出することによって投影面の反射率分布を検出したが、投影面の反射率分布を検出できれば、実施形態に限定されない。たとえば、投射ユニット110から投射された光の強度と、撮像ユニット120によって検出された投影面の反射光の強度とに基づいて反射率分布を検出するようにしてもよい。
【0050】
(2)投影面に投影された画像のダイナミックレンジが非常に狭くならなければ、投影面の反射率分布の平滑化は、実施形態に限定されない。たとえば、ローパスフィルタを適用して投影面の反射率分布を平滑化し、その後のブロック化の処理や2度目の平滑化の処理を行わないようにしてもよい。
【0051】
(3)平滑化された反射率分布の中で反射率の低い領域を拡張する方法は、入力画像の補正を適切に行えるように反射率の低い領域を拡張できれば、平滑された補正不可分布のブロック化に限定されない。また、入力画像の補正を適切に行えれば、平滑化された反射率分布の中で拡張する領域の反射率も実施形態に限定されない。
【0052】
(4)入力画像の画素値を規格化するとき、入力画像の画素値の最大値で各画素の画素値を割り算することによって規格化するようにしてもよい。
【0053】
(5)入力画像の規格化した画素値と、投影面の規格化した反射率との比較を、入力画像の規格化した画素値と、投影面の反射率を表す画像の規格化された画素値とを比較することによって行ったが、入力画像の規格化した画素値と、検出した投影面の反射率を規格化したものとを比較するようにしてもよい。
【0054】
(6)検出された反射率分布と、平滑化された反射率分布とに基づいて、入力画像を補正したが、入力画像に基づいて補正された反射率分布と、平滑化された反射分布とに基づいて入力画像を補正するようにしてもよい。この場合、入力画像の輝度の低い部分はあまり補正されないが、入力画像の輝度の低い部分における投影面の色や模様は目立たないので、投影された画像の視認性に問題はない。また、平滑化された反射率分布で入力画像を補正し、その補正した入力画像を、投影面の模様などの影響を抑制する従来の補正方法で補正するようにしてもよい。さらに、投影面の模様などの影響を抑制する従来の補正方法の各画素に対する補正値に、平滑化された反射率分布に基づいて重み付けを行い、その重み付けを行った補正値で入力画像を補正するようにしてもよい。
【0055】
(7)投影面に照射された周辺光の影響を抑制するように入力画像を補正する場合も本発明を適用することができる。この場合の適用例の概略を図16のフローチャートを参照して説明する。図16の処理は、投影装置1が、投影を開始するための処理を開始するとスタートするプログラムにより画像処理部101Aにおいて実行される。図3の処理と同様なステップについては同じ符号を付し、図3の処理と異なる部分を主に説明する。
【0056】
ステップS1Aでは、黒画像((R,G,B)i=(0,0,0)i)を投影した投影面を撮影して、投影面における周辺光の明るさ分布を検出する。ステップS2の次はステップS3Aに進み、ステップS3Aでは、入力画像と比較して、周辺光の明るさ分布の中で、入力画像の補正によって影響を小さくすることが困難である明るさ分布を算出する。以下、この算出した明るさ分布を補正不可分布と呼ぶ。たとえば、入力画像の画素値が、黒画像を投影した投影面を撮影した画像の画素値の所定倍以上である場合、補正不可分布値を0とする。また、入力画像の画素値が、黒画像を投影した投影面を撮影した画像の画素値の所定倍以上でない場合、補正不可分布値を、黒画像を投影した投影面を撮影した画像の画素値とする。入力画像の中で輝度の高い部分は周辺光の影響が小さく、輝度の低い部分は周辺光の影響が大きくなるからである。
【0057】
ステップS4Aでは、図3のステップS4と同様にして補正不可分布を平滑化する。ステップS5Aでは、平滑化した補正不可分布と、周辺光の明るさ分布とに基づいて入力画像を補正する。たとえば、平滑化した補正不可分布に応じて入力画像を補正した後、周辺光の明るさ分布に応じて入力画像を補正する。1番目の補正では、平滑化した補正不可分布の中で明るい部分に対応する入力画像の輝度を高くし、平滑化した補正不可分布の中で暗い部分に対応する入力画像の輝度を低くする。2番目の補正では、周辺光の明るさ分布の中で暗い部分に対応する入力画像の輝度値を高くし、周辺光の明るさ分布の中で明るい部分に対応する入力画像の輝度を低くする。そして、ステップS6に進む。
【0058】
実施形態と変形例の一つ、もしくは複数を組み合わせることも可能である。変形例同士をどのように組み合わせることも可能である。
【0059】
以上の説明はあくまで一例であり、本発明は上記実施形態の構成に何ら限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の一実施の形態による投影装置の外観図である。
【図2】本発明の実施形態における投影装置の構成を説明するブロック図である。
【図3】画像処理部で行う画像処理を説明するためのフローチャートである。
【図4】投影面の反射率を表す画像の算出処理を説明するためのフローチャートである。
【図5】補正不可分布の算出処理を説明するためのフローチャートである。
【図6】補正不可分布の算出処理を説明するための図である。
【図7】補正不可分布平滑化処理を説明するためのフローチャートである。
【図8】補正不可分布の平滑化を説明するための図である。
【図9】平滑化した補正不可分布のブロック化を説明するための図である。
【図10】補正不可分布平滑化処理を説明するための図である。
【図11】入力画像の補正処理を説明するためのフローチャートである。
【図12】入力画像の補正処理を説明するための図である。
【図13】入力画像を補正しないで投影した場合の観察画像を説明するための図である。
【図14】カーネルの大きさを変更した場合の観察画像を説明するための図である。
【図15】カーネルの大きさを変更した場合の観察画像を説明するための図である。
【図16】投影面に照射された周辺光の影響を抑制するように入力画像を補正する場合の画像処理を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0061】
1 投影装置
101 制御回路
101A 画像処理部
104 外部インターフェイス
105 メモリカードインターフェイス
110 投射ユニット
111A 投影レンズ
120 撮像ユニット
121A 撮影レンズ
【技術分野】
【0001】
本発明は、投影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
投影機器の小型化によって投影機器の持ち運びが便利になり、部屋の壁など、スクリーン以外の投影面に画像を投影する機会が多くなる。しかし、スクリーン以外の投影面には色や模様がついている場合、その投影面に画像を投影すると、投影面の色や模様の影響で投影された画像の視認性が悪くなる。そこで、投影面の反射率分布に応じて補正した画像を投影して、画像が投影された投影面に投影面の色や模様を見えないようにする技術が従来技術として知られている(たとえば、特許文献1,2)。
【特許文献1】特開2008−67080号公報
【特許文献2】特開2007−322671号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1や特許文献2に記載されているような従来技術で入力画像を補正すると、黒線や黒点などの反射率の極めて低い箇所が投影面に存在する場合、投影面に投影された画像の輝度が著しく低下することがある。このため、投影された画像の視認性が入力画像の補正により却って悪くなる場合があるという問題点がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1の発明の投影装置は、投影面の反射率分布を検出する反射率分布検出手段と、入力画像を入力する画像入力手段と、反射率分布検出手段によって検出された反射率分布を入力画像に基づいて補正する反射率分布補正手段と、反射率分布補正手段によって補正された反射率分布を平滑化する反射率分布平滑化手段と、反射率分布平滑化手段によって平滑化された反射率分布に基づいて、入力画像を補正する入力画像補正手段と、入力画像補正手段によって補正された入力画像を投影面に投影する投影手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、投影された画像の視認性を著しく低下させることなく、投影面の色や模様に対する入力画像の補正を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、図面を参照して本発明を実施するための一実施形態について説明する。本発明による投影装置は、投影された画像の見栄えや視認性を向上させるため、投影面の状態に応じて入力画像を補正する。
【0007】
図1は、本発明の実施形態による投影装置1を前方から見た図である。図1に示すように、投影装置1の正面には、投影光学系111(図2参照)を構成する投影レンズ111Aと、撮像光学系121(図2参照)を構成する撮影レンズ121Aとが設けられている。投影装置1は、机上などに載置された状態で前方のスクリーンなどに向けて、内蔵する投射ユニット110(図2参照)から画像などを投影する。
【0008】
図2は、投影装置1の構成を説明するブロック図である。図2において投影装置1は、投射ユニット110と、撮像ユニット120と、制御回路101と、メモリ102と、操作部103と、外部インターフェイス(I/F)回路104と、メモリカードインターフェイス(I/F)105とを備え、メモリカードインターフェイス105にはメモリカード150が接続される。
【0009】
制御回路101は、マイクロプロセッサおよびその周辺回路からなる。制御回路101は、制御プログラムに基づいて、投影装置内各部から入力される信号を用いて所定の演算を行う。そして、制御回路101は、演算結果を制御信号として投影装置内各部に出力し、投影装置1の投影動作および撮像動作を制御する。なお、制御プログラムは制御回路101内の不図示のROMに格納される。
【0010】
制御回路101は画像処理部101Aを有する。画像処理部101Aでは、外部インターフェイス104を介して取得した画像データまたはメモリカード150より取得した画像データに対して画像処理を行う。画像処理部101Aで行う画像処理の詳細については後述する。
【0011】
メモリ102は制御回路101の作業用メモリとして使用される。操作部103はボタンやスイッチなどで構成され、操作されたボタンやスイッチに対応する操作信号を制御回路101へ出力する。メモリカード150は、制御回路101の指示によりデータの書き込み、保存および読み出しが可能である。
【0012】
投射ユニット110は、投影光学系111、液晶パネル112、LED光源113、および投射制御回路114を含む。LED光源113は、供給電流に応じた明るさで液晶パネル112を照明する。液晶パネル112は、投射制御回路114からの駆動信号に応じて光像を生成する。投影光学系111は、液晶パネル112から射出される光像を投射する。投射制御回路114は、制御回路101からの指示により、LED光源113および液晶パネル112へ制御信号を出力する。
【0013】
投射ユニット110は制御回路101から指示された画像を投影する。投射ユニット110は、メモリカード150内に保存されている画像データの他、外部インターフェイス回路104を介して外部機器から供給される画像データによる画像を投影することができる。メモリカード150内に保存されている画像データの画像、または、外部インターフェイス回路104を介して外部機器から供給される画像データの画像を、以下、入力画像と呼ぶ。
【0014】
撮像ユニット120は、撮像光学系121、撮像素子122および撮像制御回路123を有し、制御回路101からの指示に応じて投影面を撮像する。撮像光学系121は、撮像素子122の撮像面上に被写体像を結像させる。撮像素子122は被写体像を電気信号に変換する。撮像素子122としては、CCDやCMOS撮像素子などが用いられる。撮像制御回路123は、制御回路101からの指示により撮像素子122を駆動制御するとともに、撮像素子122から出力される電気信号に対して所定の信号処理を行う。
【0015】
次に、制御回路101の画像処理部101Aで行われる画像処理を説明する。本発明の実施形態の画像処理では、入力画像を投影面に投射したときに投影面の模様や汚れが目立たなくなるように、撮像ユニット120により撮影した投影面の画像に基づいて、入力画像の補正を行う。
【0016】
図3のフローチャートを参照して、画像処理部101Aで行う画像処理について説明する。図3の処理は、投影装置1が、投影を開始するための処理を開始するとスタートするプログラムにより画像処理部101Aにおいて実行される。
【0017】
ステップS1では、投影面の反射率を表す画像を算出する。ステップS2では、入力画像の画像データを、外部インターフェイス回路104を介して、またはメモリカード150から読み込み、メモリ102に記憶する。ステップS3では、補正不可分布を算出する。補正不可分布とは、入力画像の補正により見えないようにすることが困難である投影面の反射率の低い部分の分布である。反射率の低い部分は、投影する画像の輝度を大きく下げることなく、投影された画像を通して見えないようにすることは困難である。
【0018】
ステップS4では、補正不可分布を平滑化する。ステップS5では、平滑化された補正不可分布および投影面の反射率を表す画像に基づいて、ステップS2で読み込んだ入力画像を補正する。ステップS6では、ステップS5で補正した入力画像をアナログ変換して、補正した入力画像を投影する。ステップS7では、次に投影する入力画像があるか否かを判定する。次に投影する入力画像がある場合はステップS7が肯定判定され、ステップS2に戻る。次に投影する入力画像がない場合はステップS7が否定判定され、画像処理を終了する。
【0019】
次に、図3のフローチャートのステップS1、S3、S4,S5を詳細に説明する。
【0020】
−投影面の反射率を表す画像の算出−
図4のフローチャートを参照して、ステップS1における投影面の反射率を表す画像の算出処理を説明する。i番目の画素値が(R,G,B)iで与えられる入力画像を投射ユニット110で投影したとき、投影面の撮影画像における、i番目の画素値に対応する画素値を(RP,GP,BP)iとする。
【0021】
ステップS11では、黒画像((R,G,B)i=(0,0,0)i)を投影面に投影する。ステップS12では、黒画像を投影した投影面を撮影する。このときの撮影画像A01の画素値を(RP,GP,BP)i=(RA01,GA01,BA01)iとする。
【0022】
ステップS13では、白画像((R,G,B)i=(255,255,255)i)を投影面に投影する。ステップS14では、白画像を投影した投影面を撮影する。このときの撮影画像A02の画素値を(RP,GP,BP)i=(RA02,GA02,BA02)iとする。
【0023】
ステップS15では、撮影画像A02と撮影画像A01との差分から投影面の反射率を表す画像A03を算出する。具体的には、(RA03,GA03,BA03)i=(RA02−RA01,GA02−GA01,BA02−BA01)iの画像を算出する。
【0024】
−補正不可分布算出−
図5のフローチャートを参照して、図3のステップS3で行う補正不可分布の算出処理について説明する。
【0025】
ステップS21では、入力画像の画素値を規格化する。8ビットの画像データの場合、画素値を255で割り算する。つまり、入力画像のi番目の規格化された画素値は、(RB01,GB01,BB01)i=(R/255,G/255,B/255)iとなる。ステップS22では、投影面の反射率を表す画像の画素値を規格化する。画像A03における画素値RA03、GA03、BA03の最大値をRMAX、GMAX、BMAXとすると、投影面の反射率を表す画像A03のi番目の規格化された画素値は、(RB02,GB02,BB02)i=(R/RMAX,G/GMAX,B/BMAX)iとなる。
【0026】
ステップS23では、入力画像の規格化された画素値が、投影面の反射率を表す画像A03の規格化された画素値より大きいか否かを判定する。入力画像の規格化された画素値が、投影面の反射率を表す画像A03の規格化された画素値より大きい場合は、ステップS23が肯定判定され、ステップS24へ進む。入力画像の規格化された画素値が、投影面の反射率を表す画像A03の規格化された画素値以下の場合は、ステップS23が否定判定され、ステップS25へ進む。
【0027】
ステップS24では、補正不可分布B03(RB03,GB03,BB03)iの補正不可分布値RB03,GB03,BB03を、投影面の反射率を表す画像A03の規格化された画素値RB02,B02,BB02とする。ステップS25では、補正不可分布B03(RB03,GB03,BB03)iの補正不可分布値RB03,GB03,BB03を1とする。たとえば、入力画像のi番目の規格化された画素値が、RB01>RB02、GB01<GB02、BB01>BB02の場合、補正不可分布B03(RB03,GB03,BB03)iは、(RB02,1,BB02)iとなる。
【0028】
ステップS26では、入力画像の全ての画素についてステップS23の比較が終了したか否かを判定する。入力画像の全ての画素についてステップS23の比較が終了した場合はステップS26が肯定判定され、補正不可分布の算出処理を終了する。入力画像の全ての画素の中にステップS23の比較が終了していないものがある場合はステップS26が否定判定され、ステップS23に戻る。
【0029】
図6を参照して、補正不可分布B03の算出処理を具体的に説明する。図6(a)は、入力画像を示す図である。図6(b)は、投影面の反射率分布を示す図である。図6(a)に示す入力画像を規格化した画像B01と、図6(b)に示す反射率分布を表す画像A03を規格化した画像B02とを比較して補正不可分布B03を算出すると、図6(c)に示す補正不可分布B03となる。
【0030】
−補正不可分布平滑化処理−
図7のフローチャートを参照して、図3のステップS4の補正不可分布平滑化処理を説明する。
【0031】
ステップS31では、補正不可分布B03にローパスフィルタ(平滑化フィルタ)を適用して、補正不可分布の平滑化を行う。図8を参照して、3×3のカーネル(重み平均計算に用いられる局所領域)で行う補正不可分布の平滑化を例に上げて説明する。3×3の画素の中心の画素が注目画素であり、注目画素における補正不可分布値は0.3である。注目画素に隣接する画素の補正不可分布値は、1.0、0.8、1.0、0.6、0.5、0.5、0.7および0.9である。注目画素の補正不可分布値および注目画素に隣接する画素の補正不可分布値について重み平均計算を行うと、つまり、注目画素の補正不可分布値および注目画素に隣接する画素の補正不可分布値に1/9の重み付けをして足し算すると、平滑化後の注目画素の補正不可分布値は算出され、その値は0.7となる。
【0032】
なお、カーネル(重み平均計算に用いられる局所領域)の大きさは、補正した入力画像を投影したときの見え方によって、適宜選択することができる。たとえば、9×9でもよいし、13×13でもよい。また、平滑化の処理をローパスフィルタで行う代わりに、メディアンフィルタで行うようにしてもよい。
【0033】
ステップS32では、平滑化した補正不可分布のブロック化を行う。以下、平滑化した補正不可分布を平滑補正不可分布と呼ぶ。平滑補正不可分布のブロック化とは、平滑補正不可分布を所定の領域で区分けし、1つの区分けした領域(1つのブロック)に含まれる画素の補正不可分布値の中で、値が最も小さい補正不可分布値をその領域に含まれる画素の補正不可分布値とする処理である。図9を参照して、6×6の画素を1つのブロックとした場合のブロック化の処理を説明する。図9(a)に示すように、6×6の画素の中で、つまり、1つのブロックの中で値が最も小さい補正不可分布値は0.5である。したがって、ブロック化の処理を行うと、図9(b)に示すように、1つのブロックに含まれる画素の補正不可分布値は、全て0.5となる。
【0034】
ステップS33では、ブロック化した平滑補正不可分布にローパスフィルタを適用して、平滑補正不可分布の平滑化を行う。この平滑化の処理におけるカーネルの大きさは、ステップS31の平滑化の処理のときのカーネルの大きさに比べて大きくする。たとえば、101×101〜201×201とする。以下、ブロック化した平滑補正不可分布をさらに平滑化したものを輝度値低下倍率分布と呼ぶ。
【0035】
図10を参照して、補正不可分布平滑化処理を具体的に説明する。図10(a)は、図6(c)の補正不可分布を平滑した平滑補正不可分布を示す図である。平滑化するときのカーネルの大きさは9×9である。図10(b)は、図10(a)の平滑補正不可分布をブロック化したもの示す図である。1つのブロックは、20×30の画素から構成される。図10(c)は、図10(b)のブロック化した平滑補正不可分布をさらに平滑化した輝度値低下倍率分布を示す図である。
【0036】
−入力画像の補正−
図11のフローチャートを参照して、図3のステップS5の入力画像の補正処理について説明する。
【0037】
ステップS41では、入力画像に輝度値低下倍率分布を乗算する。たとえば、入力画像のi番目の画素値が(R,G,B)iであり、輝度値低下倍率分布のi番目の画素における補正不可分布値が(α,β,γ)iである場合、入力画像に輝度値低下倍率分布を乗算した画像のi番目の画素における値は、(Rα,Gβ,Bγ)iとなる。
【0038】
ステップS42では、入力画像に輝度値低下倍率分布を乗算した画像を、さらに投影面の反射率を表す画像で割り算する。たとえば、入力画像に輝度値低下倍率分布を乗算した画像のi番目の画素における値が(Rα,Gβ,Bγ)iであり、投影面の反射率を表す画像のi番目の画素における画素値が(RA03,GA03,BA03)iである場合、入力画像に輝度値低下倍率分布を乗算した画像を、投影面の反射率を表す画像の画素値で割り算した2つの画像の比は、(Rα/RA03,Gβ/GA03,Bγ/BA03)iとなる。この2つの画像の比を量子化して作成した画像が、入力画像を補正した画像となる。この画像が撮像装置1から投影される。
【0039】
図12を参照して、入力画像の補正処理を具体的に説明する。図12(a)は、入力画像(図6(a)参照)に輝度値低下倍率分布(図10(c)参照)を乗算した画像を示す図である。図12(b)は、図12(a)の画像を投影面の反射率を表す画像(図6(b)参照)で割り算したものを表した画像である。この画像が撮像装置1から投影される。図12(c)は、図12(b)の画像を図6(b)の投影面に投影したときにユーザによって観察される観察画像である。図12(c)の観察画像では、画像のダイナミックレンジが広く、また、投影面の模様や色が目立たない。
【0040】
参考のために、入力画像を補正しないで投影した場合の観察画像を図13に示す。図13(a)は、入力画像を示す図であり、入力画像は、「空」を背景に撮影された山頂の画像である。図13(b)は投影面の画像である。図13(c)は、図13(a)の画像を図13(b)の投影面に投影したときにユーザによって観察される観察画像である。13(c)の観察画像では、投影面の模様が投影された画像の「空」の領域でよく見える。
【0041】
次に、図14および図15を参照して、補正された入力画像を投影面に投影したときに投影面で観察される観察画像と、補正不可分布を平滑化するときのカーネルの大きさとの関係を説明する。図14(a)は、平滑化をしない場合(カーネルの大きさがゼロの場合)の観察画像である。図14(b)は、カーネルの大きさを3×3にした場合の観察画像であり、図14(c)は、カーネルの大きさを5×5にした場合の観察画像である。図15(a)は、カーネルの大きさを9×9にした場合の観察画像であり、図15(b)は、カーネルの大きさを13×13にした場合の観察画像である。図15(c)は、カーネルの大きさを25×25にした場合の観察画像である。
【0042】
図14(a)に示すように、補正不可分布を平滑化しないと観察画像のダイナミックレンジが非常に狭くなり、観察画像の視認性が非常に悪くなる。図14(b)、図14(c)、図15(a)、図15(b)に示すように、補正不可分布を平滑化するときのカーネルの大きさが大きくなるにしたがって、観察画像のダイナミックレンジは広がり、観察画像の視認性が良好になる。しかし、図15(c)に示すように、カーネルの大きさが大きくなりすぎると、投影面の模様などが少し目立つようになる。
【0043】
以上説明した実施形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)投影面の反射率分布を検出し、入力画像を入力し、検出された反射率分布を入力画像に基づいて補正し、補正された反射率分布を平滑化し、平滑化された反射率分布に基づいて入力画像を補正し、補正された入力画像を投影面に投影するようにした。これにより、投影された画像の視認性を著しく低下させることなく、投影面の色や模様に対する入力画像の補正を行うことができる。
【0044】
(2)検出された反射率分布に基づいて、さらに入力画像を補正するようにしたので、投影面の色や模様に対する入力画像の補正を適切に行うことができる。
【0045】
(3)反射率分布補正手段によって補正された反射率分布を平滑化し、平滑化された反射率分布の中で反射率の低い領域を拡張し、反射率の低い領域が拡張された反射率分布をさらに平滑化することによって、反射率分布の平滑化を行うようにした。これにより、入力画像を補正するときに使用する、平滑化された反射率分布を適切に算出することができる。
【0046】
(4)反射率分布の平滑化の処理の際の低反射率領域の拡張で、平滑化された反射率分布を区分けし、区分けした領域内の反射率分布の中で低い反射率をその区分けした領域の反射率とすることにより、平滑化された反射率分布の中で反射率の低い領域を拡張するようにした。これにより、入力画像を適切に補正できるように、平滑化された反射率分布の中で反射率の低い領域を拡張することができる。
【0047】
(5)ブロック化した平滑反射率分布の平滑化(2回目の平滑化)における重み平均計算に用いられる局所領域は、平滑反射率分布の平滑化(1回目の平滑化)における重み平均計算に用いられる局所領域に比べて大きくするようにした。これにより、入力画像を補正して入力画像のダイナミックレンジを部分的に狭くした場合、その部分を目立たないようにすることができる。
【0048】
(6)入力画像の規格化した画素値と、投影面の規格化した反射率とを比較して補正不可分布を算出するようにしたので、投影面の中から、投影された画像の視認性が悪くならないように補正することが困難である、反射率の低い部分を適切に抽出することができる。また、入力画像の規格化した画素値と、投影面の反射率を表す画像の規格化された画素値とを比較することによって、入力画像の規格化した画素値と、投影面の規格化した反射率との比較するようにしたので、両者の比較を簡単に行うことができる。
【0049】
以上の実施の形態を次のように変形することができる。
(1)投影面の反射率分布を表す画像を算出することによって投影面の反射率分布を検出したが、投影面の反射率分布を検出できれば、実施形態に限定されない。たとえば、投射ユニット110から投射された光の強度と、撮像ユニット120によって検出された投影面の反射光の強度とに基づいて反射率分布を検出するようにしてもよい。
【0050】
(2)投影面に投影された画像のダイナミックレンジが非常に狭くならなければ、投影面の反射率分布の平滑化は、実施形態に限定されない。たとえば、ローパスフィルタを適用して投影面の反射率分布を平滑化し、その後のブロック化の処理や2度目の平滑化の処理を行わないようにしてもよい。
【0051】
(3)平滑化された反射率分布の中で反射率の低い領域を拡張する方法は、入力画像の補正を適切に行えるように反射率の低い領域を拡張できれば、平滑された補正不可分布のブロック化に限定されない。また、入力画像の補正を適切に行えれば、平滑化された反射率分布の中で拡張する領域の反射率も実施形態に限定されない。
【0052】
(4)入力画像の画素値を規格化するとき、入力画像の画素値の最大値で各画素の画素値を割り算することによって規格化するようにしてもよい。
【0053】
(5)入力画像の規格化した画素値と、投影面の規格化した反射率との比較を、入力画像の規格化した画素値と、投影面の反射率を表す画像の規格化された画素値とを比較することによって行ったが、入力画像の規格化した画素値と、検出した投影面の反射率を規格化したものとを比較するようにしてもよい。
【0054】
(6)検出された反射率分布と、平滑化された反射率分布とに基づいて、入力画像を補正したが、入力画像に基づいて補正された反射率分布と、平滑化された反射分布とに基づいて入力画像を補正するようにしてもよい。この場合、入力画像の輝度の低い部分はあまり補正されないが、入力画像の輝度の低い部分における投影面の色や模様は目立たないので、投影された画像の視認性に問題はない。また、平滑化された反射率分布で入力画像を補正し、その補正した入力画像を、投影面の模様などの影響を抑制する従来の補正方法で補正するようにしてもよい。さらに、投影面の模様などの影響を抑制する従来の補正方法の各画素に対する補正値に、平滑化された反射率分布に基づいて重み付けを行い、その重み付けを行った補正値で入力画像を補正するようにしてもよい。
【0055】
(7)投影面に照射された周辺光の影響を抑制するように入力画像を補正する場合も本発明を適用することができる。この場合の適用例の概略を図16のフローチャートを参照して説明する。図16の処理は、投影装置1が、投影を開始するための処理を開始するとスタートするプログラムにより画像処理部101Aにおいて実行される。図3の処理と同様なステップについては同じ符号を付し、図3の処理と異なる部分を主に説明する。
【0056】
ステップS1Aでは、黒画像((R,G,B)i=(0,0,0)i)を投影した投影面を撮影して、投影面における周辺光の明るさ分布を検出する。ステップS2の次はステップS3Aに進み、ステップS3Aでは、入力画像と比較して、周辺光の明るさ分布の中で、入力画像の補正によって影響を小さくすることが困難である明るさ分布を算出する。以下、この算出した明るさ分布を補正不可分布と呼ぶ。たとえば、入力画像の画素値が、黒画像を投影した投影面を撮影した画像の画素値の所定倍以上である場合、補正不可分布値を0とする。また、入力画像の画素値が、黒画像を投影した投影面を撮影した画像の画素値の所定倍以上でない場合、補正不可分布値を、黒画像を投影した投影面を撮影した画像の画素値とする。入力画像の中で輝度の高い部分は周辺光の影響が小さく、輝度の低い部分は周辺光の影響が大きくなるからである。
【0057】
ステップS4Aでは、図3のステップS4と同様にして補正不可分布を平滑化する。ステップS5Aでは、平滑化した補正不可分布と、周辺光の明るさ分布とに基づいて入力画像を補正する。たとえば、平滑化した補正不可分布に応じて入力画像を補正した後、周辺光の明るさ分布に応じて入力画像を補正する。1番目の補正では、平滑化した補正不可分布の中で明るい部分に対応する入力画像の輝度を高くし、平滑化した補正不可分布の中で暗い部分に対応する入力画像の輝度を低くする。2番目の補正では、周辺光の明るさ分布の中で暗い部分に対応する入力画像の輝度値を高くし、周辺光の明るさ分布の中で明るい部分に対応する入力画像の輝度を低くする。そして、ステップS6に進む。
【0058】
実施形態と変形例の一つ、もしくは複数を組み合わせることも可能である。変形例同士をどのように組み合わせることも可能である。
【0059】
以上の説明はあくまで一例であり、本発明は上記実施形態の構成に何ら限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の一実施の形態による投影装置の外観図である。
【図2】本発明の実施形態における投影装置の構成を説明するブロック図である。
【図3】画像処理部で行う画像処理を説明するためのフローチャートである。
【図4】投影面の反射率を表す画像の算出処理を説明するためのフローチャートである。
【図5】補正不可分布の算出処理を説明するためのフローチャートである。
【図6】補正不可分布の算出処理を説明するための図である。
【図7】補正不可分布平滑化処理を説明するためのフローチャートである。
【図8】補正不可分布の平滑化を説明するための図である。
【図9】平滑化した補正不可分布のブロック化を説明するための図である。
【図10】補正不可分布平滑化処理を説明するための図である。
【図11】入力画像の補正処理を説明するためのフローチャートである。
【図12】入力画像の補正処理を説明するための図である。
【図13】入力画像を補正しないで投影した場合の観察画像を説明するための図である。
【図14】カーネルの大きさを変更した場合の観察画像を説明するための図である。
【図15】カーネルの大きさを変更した場合の観察画像を説明するための図である。
【図16】投影面に照射された周辺光の影響を抑制するように入力画像を補正する場合の画像処理を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0061】
1 投影装置
101 制御回路
101A 画像処理部
104 外部インターフェイス
105 メモリカードインターフェイス
110 投射ユニット
111A 投影レンズ
120 撮像ユニット
121A 撮影レンズ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
投影面の反射率分布を検出する反射率分布検出手段と、
入力画像を入力する画像入力手段と、
前記反射率分布検出手段によって検出された反射率分布を前記入力画像に基づいて補正する反射率分布補正手段と、
前記反射率分布補正手段によって補正された反射率分布を平滑化する反射率分布平滑化手段と、
前記反射率分布平滑化手段によって平滑化された反射率分布に基づいて、前記入力画像を補正する入力画像補正手段と、
前記入力画像補正手段によって補正された入力画像を前記投影面に投影する投影手段とを備えることを特徴とする投影装置。
【請求項2】
請求項1に記載の投影装置において、
前記入力画像補正手段は、さらに前記反射率分布検出手段によって検出された反射率分布に基づいて前記入力画像を補正することを特徴とする投影装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の投影装置において、
前記反射率分布平滑化手段は、反射率分布補正手段によって補正された反射率分布を平滑化する第1の反射率分布平滑化手段と、前記第1の反射率分布平滑化手段によって平滑化された反射率分布の中で反射率の低い領域を拡張する低反射率領域拡張手段と、前記低反射率拡張手段によって反射率の低い領域が拡張された反射率分布を平滑化する第2の平滑化手段とを有することを特徴とする投影装置。
【請求項4】
請求項3に記載の投影装置において、
前記低反射率領域拡張手段は、前記第1の反射率分布平滑化手段によって平滑化された反射率分布を区分けし、区分けした領域内の反射率分布の中で低い反射率をその区分けした領域の反射率とすることにより、平滑化された反射率分布の中で反射率の低い領域を拡張することを特徴とする投影装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載の投影装置において、
前記第1の反射率分布平滑化手段および前記第2の反射率分布平滑化手段は、重み平均計算により反射率分布を平滑化し、前記第2の反射率分布平滑化手段における重み平均計算に用いられる局所領域は、前記第1の反射率分布平滑化手段における重み平均計算に用いられる局所領域に比べて大きいことを特徴とする投影装置。
【請求項1】
投影面の反射率分布を検出する反射率分布検出手段と、
入力画像を入力する画像入力手段と、
前記反射率分布検出手段によって検出された反射率分布を前記入力画像に基づいて補正する反射率分布補正手段と、
前記反射率分布補正手段によって補正された反射率分布を平滑化する反射率分布平滑化手段と、
前記反射率分布平滑化手段によって平滑化された反射率分布に基づいて、前記入力画像を補正する入力画像補正手段と、
前記入力画像補正手段によって補正された入力画像を前記投影面に投影する投影手段とを備えることを特徴とする投影装置。
【請求項2】
請求項1に記載の投影装置において、
前記入力画像補正手段は、さらに前記反射率分布検出手段によって検出された反射率分布に基づいて前記入力画像を補正することを特徴とする投影装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の投影装置において、
前記反射率分布平滑化手段は、反射率分布補正手段によって補正された反射率分布を平滑化する第1の反射率分布平滑化手段と、前記第1の反射率分布平滑化手段によって平滑化された反射率分布の中で反射率の低い領域を拡張する低反射率領域拡張手段と、前記低反射率拡張手段によって反射率の低い領域が拡張された反射率分布を平滑化する第2の平滑化手段とを有することを特徴とする投影装置。
【請求項4】
請求項3に記載の投影装置において、
前記低反射率領域拡張手段は、前記第1の反射率分布平滑化手段によって平滑化された反射率分布を区分けし、区分けした領域内の反射率分布の中で低い反射率をその区分けした領域の反射率とすることにより、平滑化された反射率分布の中で反射率の低い領域を拡張することを特徴とする投影装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載の投影装置において、
前記第1の反射率分布平滑化手段および前記第2の反射率分布平滑化手段は、重み平均計算により反射率分布を平滑化し、前記第2の反射率分布平滑化手段における重み平均計算に用いられる局所領域は、前記第1の反射率分布平滑化手段における重み平均計算に用いられる局所領域に比べて大きいことを特徴とする投影装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2010−151912(P2010−151912A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−327346(P2008−327346)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
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