説明

投影装置

【課題】光源部内で減衰する光量を極力低減し、発光素子の光を効率よく画像表示素子に導いて明るい光像を形成させる。
【解決手段】緑色光励起用青色LD61、赤色LED80、青色LED81と、これらから入射される光に対し、透過部、反射部、及び当該光の波長に応じて透過または反射させるダイクロイックミラー部のうち少なくとも2つを周面に形成したダイクロイックホイール65,72とその回転駆動部70,79とを含み、LD61、LED80,81の時分割発光駆動に伴って波長が異なる複数種の光を順次出射する光源部15-2と、画像信号を入力する入力部(11)と、上記入力部(11)で入力される画像信号に応じた画像を表示するマイクロミラー素子(14)に光源部15-2からの光を反射または透過させて光像を形成し、形成した光像を投影対象に向けて出射する投影処理部(13)及び投影レンズ部(17)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体発光素子を用いたDLP(Digital Light Processing)(登録商標)方式のプロジェクタ装置に好適な投影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光源に発光波長の異なる複数種の半導体発光素子を用い、単板式の表示素子に時分割で各色光を照射してカラーの光像を形成してカラー画像を投影する、色順次方式の投影装置が考えられ、商品化されている。(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−013320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献に記載された技術も含めて、上述したように発光波長の異なる複数種の半導体発光素子を用いる光源では、通過光路中で光の波長帯域に応じて透過と反射を切り替えるダイクロイックミラーを複数箇所に配置した構成をとっている。このダイクロイックミラーは、透過する光量の概ね1割程度を減衰させる。そのため、例えば光源からの光路が途中の2箇所でダイクロイックミラーを介してマイクロミラー素子などのような表示素子に至るような構成では、光源の光量が光源部のダイクロイックミラーで減衰する率が2割弱となるなど、光源の光量を低下させる大きな要因となっていた。
【0005】
本発明は上記のような実情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、光源部内の光路中で減衰する光量を極力低減し、発光素子で発した光を効率よく画像表示素子に導いて明るい光像を形成させることが可能な投影装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、発光する波長が異なる複数種の光源と、当該複数種の光源から入射される光に対し、当該光の波長に関係なく透過させる透過部、当該光の波長に関係なく反射させる反射部、及び当該光の波長に応じて透過または反射させるダイクロイックミラー部のうち少なくとも2つを周面に形成したダイクロイックホイールと、当該ダイクロイックホイールを上記複数種の光源の時分割発光駆動に同期するように回転させる回転駆動部とを含み、上記複数種の光源の上記時分割発光駆動に伴って波長が異なる複数種の光を順次出射する光源部と、画像信号を入力する入力部と、上記入力部で入力される画像信号に応じた画像を表示する表示素子に上記光源部からの光を反射または透過させて光像を形成し、形成した光像を投影対象に向けて出射する投影部とを具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、光源部内の光路中で減衰する光量を極力低減し、発光素子で発した光を効率よく画像表示素子に導いて明るい光像を形成させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態に係るデータプロジェクタ装置の概略的な機能構成を示すブロック図。
【図2】同実施形態に係る光源部の第1の構成例を示す図。
【図3】同実施形態に係る光源部の第1の構成例における動作を示すタイミングチャート。
【図4】同実施形態に係る光源部の第2の構成例を示す図。
【図5】同実施形態に係る光源部の第2の構成例における動作を示すタイミングチャート。
【図6】同実施形態に係る各光源色の投影期間に対応した第1のダイクロイックホイールと第2のダイクロイックホイールの周面の組合せ構成例を示す図。
【図7】同実施形態に係るスポーク期間を考慮した第1及び第2のダイクロイックホイールの構成を示す図と、その動作タイミングを例示するタイミングチャート。
【図8】同実施形態に係る光源部の第2の構成の変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下本発明をDLP(登録商標)方式のデータプロジェクタ装置に適用した場合の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、本実施形態に係るデータプロジェクタ装置10の概略機能構成を示す図である。なお、以下の説明で「ミラー」により光を「反射」する、として説明した場合、原則的に当該ミラーは入射された光を全反射するものとする。
入力部11は、例えばピンジャック(RCA)タイプのビデオ入力端子、D−sub15タイプのRGB入力端子などにより構成される。入力部11に入力された各種規格のアナログ画像信号は、入力部11でデジタル化された後に、システムバスSBを介して画像変換部12に送られる。
【0011】
画像変換部12は、スケーラとも称され、入力される画像データを投影に適した所定のフォーマットの画像データに統一して投影処理部13へ送る。
【0012】
この際、OSD(On Screen Display)用の各種動作状態を示すシンボル等のデータも必要に応じて画像変換部12により画像データに重畳加工され、加工後の画像データを投影処理部13へ送る。
【0013】
投影処理部13は、送られてきた画像データに応じて、所定のフォーマットに従ったフレームレート、例えば60[フレーム/秒]と色成分の分割数、及び表示階調数を乗算した、より高速な時分割駆動により、空間的光変調素子であるマイクロミラー素子14を表示するべく駆動する。
【0014】
このマイクロミラー素子14は、アレイ状に配列された複数、例えばWXGA(Wide eXtended Graphic Array)(横1280画素×縦800画素)分の微小ミラーの各傾斜角度を個々に高速でオン/オフ動作して画像を表示することで、その反射光により光像を形成する。
【0015】
一方で、光源部15から時分割でR,G,Bの原色光を含む複数色の光が循環的に時分割で順次出射される。この光源部15からの光が、ミラー16で全反射して上記マイクロミラー素子14に照射される。
【0016】
そして、マイクロミラー素子14での反射光で光像が形成され、形成された光像が投影レンズ部17を介して、投影対象となる図示しないスクリーンに投影表示される。
【0017】
上記各回路の動作すべてをCPU18が制御する。このCPU18は、メインメモリ19及びプログラムメモリ20と直接接続される。メインメモリ19は、例えばSRAMで構成され、CPU18のワークメモリとして機能する。プログラムメモリ20は、電気的に書換可能な不揮発性メモリで構成され、CPU18が実行する動作プログラムや各種定型データ等を記憶する。CPU18は、上記メインメモリ19及びプログラムメモリ20を用いて、このデータプロジェクタ装置10内の制御動作を実行する。
【0018】
上記CPU18は、操作部21からのキー操作信号に応じて各種投影動作を実行する。
この操作部21は、データプロジェクタ装置10の本体に設けられるキー操作部と、このデータプロジェクタ装置10専用の図示しないリモートコントローラからの赤外光を受光する赤外線受光部とを含み、ユーザが本体のキー操作部またはリモートコントローラで操作したキーに基づくキー操作信号をCPU18へ直接出力する。
【0019】
上記CPU18はさらに、上記システムバスSBを介して音声処理部22とも接続される。音声処理部22は、PCM音源等の音源回路を備え、投影動作時に与えられる音声データをアナログ化し、スピーカ部23を駆動して拡声放音させ、あるいは必要によりビープ音等を発生させる。
【0020】
[光源部の第1の構成例]
図2により上記光源部15を2つの発光素子を用いて構成した場合の光学系の構成について説明する。
【0021】
光源部15−1は、青色のレーザ光を発する半導体発光素子であるLD(レーザダイオード、半導体レーザ)31を光源として有する。
このLD31は、例えば8×4(図面鉛直方向)の計32個がアレイ状に配列される。このLD31が発する青色のレーザ光は、LD31と対向するべく階段状に配列されたミラー32で90°の角度で反射され、レンズ33,34で集光されて平行な光束とされた後、第1のダイクロイックホイール35を透過し、レンズ36,37を介して光源の一部としての蛍光ホイール38の周面に照射される。
【0022】
蛍光ホイール38は、回転駆動部であるモータ(M)39の駆動により回転するもので、周面に透過用の拡散板と蛍光体層とを領域を分割して配置している。この蛍光ホイール38の回転同期は、図示しない周面に形成したマーカの回転を上記投影処理部13が検出して制御する。蛍光ホイール38の蛍光体層がある周面位置には、LD31からのレーザ光が照射される面に蛍光体が塗布されて蛍光層を形成すると共に、蛍光体層が形成されている面の裏面には反射板が蛍光体層と重なるように設けられている。LD31からのレーザ光の光路上に上記蛍光ホイール38の蛍光体層がある場合、当該蛍光体層は青色のレーザ光の照射により励起され、緑色の光を発する。
【0023】
蛍光ホイール38から発した緑色光は、蛍光ホイール38の裏面側に形成された上記反射板により一様に上記レンズ36,37側に導かれ、上記第1のダイクロイックホイール35で反射される。上記第1のダイクロイックホイール35は、モータ(M)40により回転され、周面に形成した図示しないマーカの回転を上記投影処理部13が検出して回転同期を制御する。
【0024】
第1のダイクロイックホイール35で反射された緑色光は、レンズ41を介して第2のダイクロイックホイール42で反射された後、レンズ43を介してインテグレータ44を通って輝度分布が均一な光束とされる。インテグレータ44を出射した緑色光は、さらにレンズ45を介してミラー46で反射され、レンズ47を介して上記ミラー16で反射された後にレンズ48を介して上記マイクロミラー素子14に照射される。
【0025】
そして、このマイクロミラー素子14からの上記投影レンズ部17方向への反射光で光像が形成されるもので、当該光像は上記レンズ48を介して上記投影レンズ部17により投影対象の図示しないスクリーン等に照射される。上記第2のダイクロイックホイール42は、モータ(M)49により回転され、周面に形成した図示しないマーカの回転を上記投影処理部13が検出して回転同期を制御する。
【0026】
また、上記LD31からのレーザ光の光路上に上記蛍光ホイール38の拡散板がある場合、当該拡散板を介して拡散しつつ透過した青色光は、レンズ50を介してミラー51で反射され、レンズ52を介してさらにミラー53で反射された後に、上記第2のダイクロイックホイール42を透過し、レンズ43を介してインテグレータ44を通って輝度分布が均一な光束とされる。インテグレータ44を出射した青色光は、さらにレンズ45を介してミラー46で反射され、レンズ47を介して上記ミラー16に至る。
【0027】
さらに光源部15−1は、赤色光を発する半導体発光素子であるLED(発光ダイオード)55を光源として有する。
LED55が発する赤色光は、レンズ56,57を介して、上記第1のダイクロイックホイール35を透過し、上記レンズ41を介して上記第2のダイクロイックホイール42で反射された後、レンズ43を介してインテグレータ44を通って輝度分布が均一な光束とされる。インテグレータ44を出射した赤色光は、さらにレンズ45を介してミラー46で反射され、レンズ47を介して上記ミラー16に至る。
【0028】
なお、上記第1のダイクロイックホイール35を回転するモータ40、及び上記第2のダイクロイックホイール42を回転するモータ49は、他の光学部材に対し、図面と垂直となる方向に沿った上部側に位置するものとして、図示するように破線で示している。すなわちモータ40及びモータ49は、各光源部から照射される光の各光路に重ならないように配置される。
【0029】
一方で、上記蛍光ホイール38を回転するモータ39は、LD31からの青色光が照射される蛍光ホイール38の周面上の位置を含めて他の光学部材と同一の平面に配置されるものとして、図示する如く実線で示している。
【0030】
[光源部の第1の構成例における動作]
図3により上記図2に示した光源部15−1での動作について説明する。なお、この光源部15−1での動作はCPU18の制御の下に投影処理部13が実行するものであり、光源素子である青色発光用のLD31と、赤色発光用のLED55の発光タイミング、上記発光タイミングに同期した蛍光ホイール38、第1のダイクロイックホイール35、及び第2のダイクロイックホイール42の回転タイミングはいずれも投影処理部13により制御される。
【0031】
図3は、画像投影期間1フレーム間の動作タイミングを示す。同図(A)で示すように当該1フレームは、Rフィールド、Gフィールド、Bフィールド、M(マゼンタ)フィールド、及びY(イエロー)フィールドの計5フィールドで構成されるものとする。説明を容易にするために各フィールド期間の長さは等しいものとして図示している。
【0032】
図3(B)に示すように赤色発光用のLED55は、Rフィールド、Mフィールド、及びYフィールドの各期間で発光するように投影処理部13により駆動される。
図3(C)に示すように青色を発光するLD31は、Rフィールドを除く他のGフィールド、Bフィールド、Mフィールド、及びYフィールドの各期間で発光するように投影処理部13により駆動される。
Rフィールドにおいて、上述した如く発光素子としてはLED55のみが発光される。このLED55の発光期間に合わせて第1のダイクロイックホイール35の周面は例えば中心角72°の扇形の切欠きとされ、さらに回転体としての第1のダイクロイックホイール35の重量バランスが崩れるのを防ぐため、すなわち第1のダイクロイックホイール65の回転重量バランスをとるために最外周位置に図3(H)に示すように円弧状のフレーム35F1(外枠)を設けている。
【0033】
同図(H)中、35mはこの第1のダイクロイックホイール35の回転同期を検出するためのマーカである。すなわち、この部分が光を透過させる透過部となり、この透過部は第1のダイクロイックホイール35の周面の一部に設けられた切欠きと、切欠きの外周に配置された円弧状のフレーム35F1とからなる。
【0034】
LED55を出射した赤色光は、素通しとなっている第1のダイクロイックホイール35の周面を透過し、レンズ41を介して第2のダイクロイックホイール42の周面に照射される。このとき第2のダイクロイックホイール42の周面は、図3(F),(I)に示すように続くGフィールドの期間位置までミラーとされている。同図(I)中、42mはこの第2のダイクロイックホイール42の回転時を検出するためのマーカである。
【0035】
したがって、第2のダイクロイックホイール42のミラーで反射された赤色光は、レンズ43を介してインテグレータ44で輝度密度が平均化された後に、レンズ45を介してミラー46で反射され、さらにレンズ47を介してミラー16で反射され、レンズ48を介して上記マイクロミラー素子14に赤色の光源光として照射される。
【0036】
このRフィールド中にマイクロミラー素子14では、投影処理部13により赤色成分の画像が表示され、その反射光で光像が形成されて投影レンズ部17により投影対象に向けて投射される。
【0037】
続くGフィールドにおいて、上述した如く発光素子としてはLD31のみが発光される。このLD31の発光期間に合わせて第1のダイクロイックホイール35の周面は例えば中心角72°の扇形のダイクロイックミラー(DM)とされ、青色光を透過する一方で、緑色光を反射する。
【0038】
LD31で発振された青色光は、レンズ33,34を介した後にダイクロイックミラーが配置された第1のダイクロイックホイール35の周面を透過し、レンズ36,37を介して蛍光ホイール38の周面に照射される。
【0039】
蛍光ホイール38の周面は、図3(D),(G)に示すようにこのGフィールドまで裏面側に反射板を設けて蛍光体層が形成されており、上記青色光の照射によって緑色光を励起する。図3(G)中、38mはこの蛍光ホイール38の回転同期をとるためのマーカである。蛍光ホイール38で励起した緑色光は、反射光のように上記レンズ37,36側に出射し、これらレンズ37,36を介して上記第1のダイクロイックホイール35の周面のダイクロイックミラーで反射されて、レンズ41を介して第2のダイクロイックホイール42の周面に照射される。
【0040】
第2のダイクロイックホイール42の周面は、図3(F),(I)に示すようにこのGフィールドまでミラーが形成されており、照射された緑色光を反射し、レンズ43を介してインテグレータ44で輝度密度が平均化された後に、レンズ45を介してミラー46で反射され、さらにレンズ47を介してミラー16で反射され、レンズ48を介して上記マイクロミラー素子14に緑色の光源光として照射される。
【0041】
このGフィールド中にマイクロミラー素子14では、投影処理部13により緑色成分の画像が表示され、その反射光で光像が形成されて投影レンズ部17により投影対象に向けて投射される。
【0042】
次のBフィールドにおいて、上述した如く発光素子としてはLD31のみが発光される。このLD31の発光期間に合わせて第1のダイクロイックホイール35の周面は、例えば都合中心角144°の扇形の切欠きとされ、さらに回転体としての第1のダイクロイックホイール35の重量バランスが崩れるのを防ぐため、すなわち第1のダイクロイックホイール65の回転重量バランスをとるために最外周位置に図3(H)に示すように円弧状のフレーム35F2(外枠)を設けている。すなわち、この部分が光を透過させる透過部となり、この透過部は第1のダイクロイックホイール35の周面の一部に設けられた切欠きと、切欠きの外周に配置された円弧状のフレーム35F2とからなる。
【0043】
LD31で発振された青色光は、レンズ33,34を介した後に第1のダイクロイックホイール35の切欠きとされた周面を透過し、レンズ36,37を介して蛍光ホイール38の周面に照射される。
【0044】
蛍光ホイール38の周面は、図3(D),(G)に示すようにこのGフィールドまで裏面側に反射板を設けて蛍光体層が形成されており、上記青色光の照射によって励起され、緑色光を発する。図3(G)中、38mはこの蛍光ホイール38の回転同期をとるためのマーカである。蛍光ホイール38で発した緑色光は、蛍光ホイール38の裏面側に形成された反射板によって反射され、上記レンズ37,36側に出射し、これらレンズ37,36を介して上記第1のダイクロイックホイール35の周面のダイクロイックミラーで反射されて、レンズ41を介して第2のダイクロイックホイール42の周面に照射される。
【0045】
第2のダイクロイックホイール42の周面は、図3(I)に示すようにこのBフィールド部分のみ中心角72°の扇形の切欠きとされ、さらに回転体としての第2のダイクロイックホイール42の重量バランスが崩れるのを防ぐため、即ち第2のダイクロイックホイール42の回転重量バランスをとるために最外周位置に円弧状のフレーム42F1(外枠)を設けている。すなわち、この部分が光を透過させる透過部となり、第2のダイクロイックホイール42の周面の一部に設けられた切欠きと、切欠きの外周に配置された円弧状のフレーム42F1とからなる。
【0046】
したがって、この第2のダイクロイックホイール42の切欠き部分を透過した青色光は、レンズ43を介してインテグレータ44で輝度密度が平均化された後に、レンズ45を介してミラー46で反射され、さらにレンズ47を介してミラー16で反射され、レンズ48を介して上記マイクロミラー素子14に青色の光源光として照射される。
【0047】
このBフィールド中にマイクロミラー素子14では、投影処理部13により青色成分の画像が表示され、その反射光で光像が形成されて投影レンズ部17により投影対象に向けて投射される。
【0048】
続くMフィールドにおいては、上述した如く発光素子としてはLD31とLED55の双方が同時に発光される。
【0049】
LD31の発光期間に合わせて第1のダイクロイックホイール35の周面は前のBフィールドから続いて切欠きとされている。したがって、LD31で発振された青色光は、レンズ33,34を介した後に第1のダイクロイックホイール35の切欠きとされた周面を透過し、レンズ36,37を介して蛍光ホイール38の周面に照射される。
【0050】
蛍光ホイール38の周面は、図3(D),(G)に示すように前のBフィールドから続いて拡散板が形成されており、上記青色光が拡散しながら透過する。透過した青色光は、蛍光ホイール38の裏面側に位置するレンズ50を介してミラー51で反射され、さらにレンズ52を介してミラー53で反射された後に、レンズ54を介して第2のダイクロイックホイール42の周面に照射される。
【0051】
第2のダイクロイックホイール42の周面は、図3(I)に示すようにこのMフィールド部分のみダイクロイックミラーとされており、青色光を透過する一方で、赤色光を反射する。
【0052】
したがって、第2のダイクロイックホイール42の周面に照射された青色光は、この第2のダイクロイックホイール42を透過する。
【0053】
一方、LED55を出射した赤色光は、素通しとなっている第1のダイクロイックホイール35の周面の切欠きを透過し、レンズ41を介して第2のダイクロイックホイール42の周面に照射される。このとき第2のダイクロイックホイール42の周面は、上述した如くダイクロイックミラーとされている。
【0054】
したがって、第2のダイクロイックホイール42のダイクロイックミラーで反射された赤色光は、上記第2のダイクロイックホイール42の同ダイクロイックミラーを透過した青色光と共に、混色によりマゼンタ色光となり、レンズ43を介してインテグレータ44で輝度密度が平均化された後に、レンズ45を介してミラー46で反射され、さらにレンズ47を介してミラー16で反射され、レンズ48を介して上記マイクロミラー素子14にマゼンタ色の光源光として照射される。
【0055】
このMフィールド中にマイクロミラー素子14では、投影処理部13によりマゼンタ色成分の画像が表示され、その反射光で光像が形成されて投影レンズ部17により投影対象に向けて投射される。
【0056】
次のYフィールドにおいては、上述した如く発光素子としてはLD31とLED55の双方が同時に発光される。
【0057】
LD31の発光期間に合わせて第1のダイクロイックホイール35の周面はダイクロイックミラーとされている。したがって、LD31で発振された青色光は、レンズ33,34を介した後に第1のダイクロイックホイール35のダイクロイックミラーを透過し、レンズ36,37を介して蛍光ホイール38の周面に照射される。
【0058】
蛍光ホイール38の周面は、図3(D),(G)に示すように蛍光体層が形成されており、上記青色光の照射によって励起され、緑色光を発する。発した緑色光は、蛍光ホイール38の裏面側に形成された反射板によって反射され、上記レンズ37,36側に出射し、これらレンズ37,36を介して上記第1のダイクロイックホイール35の周面のダイクロイックミラーで反射される。
【0059】
一方、LED55を出射した赤色光は、ダイクロイックミラーとなっている第1のダイクロイックホイール35の周面を透過する。
【0060】
したがって、この第1のダイクロイックホイール35を透過した赤色光は、上記第1のダイクロイックホイール35で反射された緑色光と共に、混色により黄色色光となり、レンズ41を介して第2のダイクロイックホイール42の周面に照射される。このとき第2のダイクロイックホイール42の周面はミラーとされている。
【0061】
したがって、第2のダイクロイックホイール42のミラーで反射された黄色光は、レンズ43を介してインテグレータ44で輝度密度が平均化された後に、レンズ45を介してミラー46で反射され、さらにレンズ47を介してミラー16で反射され、レンズ48を介して上記マイクロミラー素子14にイエロー色の光源光として照射される。
【0062】
このYフィールド中にマイクロミラー素子14では、投影処理部13により黄色成分の画像が表示され、その反射光で光像が形成されて投影レンズ部17により投影対象に向けて投射される。
【0063】
以上詳述した如く上記光源部15を2つの発光素子を用いて構成した場合、いずれのフィールドにおいても第1のダイクロイックホイール35と第2のダイクロイックホイール42とが共に揃ってダイクロイックミラーで構成されることはなく、1つの波長の光のみでよいフィールドでは透過は切欠きによる素通しで、反射はミラーで対処するものとしている。
【0064】
そのため、光源部15−1内の光路中で減衰する光量を極力低減し、青色発光用のLD31と赤色発光用のLED55で発した光をそれぞれ効率よく画像表示素子であるマイクロミラー素子14に導いて、明るい光像を形成させることが可能となる。
【0065】
[光源部の第2の構成例]
図4により上記光源部15を3つの発光素子を用いて構成した場合の光学系の構成について説明する。
【0066】
光源部15−2は、青色のレーザ光を発する半導体発光素子であるLD61を有する。
このLD61は、例えば8×4(図面鉛直方向)の計32個がアレイ状に配列される。このLD61が発する青色のレーザ光は、LD61と対向するべく階段状に配列されたミラー62で90°の角度で反射され、レンズ63,64で集光されて平行な光束とされた後、第1のダイクロイックホイール65を透過し、レンズ66,67を介して光源の一部としての蛍光ホイール68の周面に照射される。
【0067】
蛍光ホイール68は、回転駆動部であるモータ(M)69の駆動により回転するもので、周面全面に蛍光体層を形成している。蛍光ホイール38の蛍光体層がある周面全面は、蛍光体が塗布されて蛍光層を形成すると共に、その裏面には反射板が蛍光体層と重なるように設けられている。LD61からのレーザ光が照射される場合、当該蛍光体層は青色のレーザ光の照射により励起されて緑色の光を発する。
【0068】
蛍光ホイール68から発した緑色光は、蛍光ホイール68の裏面側に形成された上記反射板により一様に上記レンズ66,67側に導かれ、上記第1のダイクロイックホイール65で反射される。第1のダイクロイックホイール65は、モータ(M)70により回転され、周面に形成した図示しないマーカの回転を上記投影処理部13が検出して回転同期を制御する。
【0069】
第1のダイクロイックホイール65で反射された緑色光は、レンズ71を介して第2のダイクロイックホイール72で反射された後、レンズ73を介してインテグレータ74を通って輝度分布が均一な光束とされる。インテグレータ74を出射した緑色光は、さらにレンズ75を介してミラー76で反射され、レンズ77を介して上記ミラー16で反射された後にレンズ78を介して上記マイクロミラー素子14に照射される。
【0070】
そして、このマイクロミラー素子14からの上記投影レンズ部17方向への反射光で光像が形成されるもので、当該光像は上記レンズ78を介して上記投影レンズ部17により投影対象の図示しないスクリーン等に照射される。上記第2のダイクロイックホイール72は、モータ(M)79により回転され、周面に形成した図示しないマーカの回転を上記投影処理部13が検出して回転同期を制御する。
【0071】
さらに光源部15−2は、赤色光を発するLED80、青色光を発するLED81を光源の一部として有する。
LED80が発する赤色光は、レンズ82,83を介して、上記第1のダイクロイックホイール65を透過し、上記レンズ71を介して上記第2のダイクロイックホイール72で反射された後、レンズ73を介してインテグレータ74を通って輝度分布が均一な光束とされる。インテグレータ74を出射した赤色光は、さらにレンズ75を介してミラー76で反射され、レンズ77を介して上記ミラー16に至る。
【0072】
またLED81が発する青色光は、レンズ84〜86を介して上記第2のダイクロイックホイール72の周面に照射される。第2のダイクロイックホイール72の周面に照射された青色光は、第2のダイクロイックホイール72を透過し、レンズ73を介してインテグレータ74を通って輝度分布が均一な光束とされる。インテグレータ74を出射した青色光は、さらにレンズ75を介してミラー76で反射され、レンズ77を介して上記ミラー16に至る。
【0073】
なお、上記第1のダイクロイックホイール65を回転するモータ70、及び上記第2のダイクロイックホイール72を回転するモータ79は、他の光学部材に対し、図面と垂直となる方向に沿った上部側に位置するものとして、図示するように破線で示している。すなわち、モータ70及びモータ79は各光源部から照射される光の各光路に重ならないように配置される。
【0074】
一方で、上記蛍光ホイール68を回転するモータ69は、LD61からの青色光が照射される蛍光ホイール68の周面上の位置を含めて他の光学部材と同一の平面に配置されるものとして、図示する如く実線で示している。
【0075】
[光源部の第2の構成例における動作]
図5により上記図4に示した光源部15−2での動作について説明する。なお、この光源部15−2での動作はCPU18の制御の下に投影処理部13が実行するものであり、光源素子である緑色励起青色発光用のLD61、赤色発光用のLED80、及び青色発光用のLED81の各発光タイミング、上記発光タイミングに同期した蛍光ホイール68、第1のダイクロイックホイール65、及び第2のダイクロイックホイール72の回転タイミングはいずれも投影処理部13により制御される。
【0076】
図5は、画像投影期間1フレーム間の動作タイミングを示す。同図(A)で示すように当該1フレームは、Rフィールド、Gフィールド、W(ホワイト)フィールド、及びBフィールドの計4フィールドで構成されるものとする。説明を容易にするために各フィールド期間の長さは等しいものとして図示している。
【0077】
図5(B)に示すように赤色発光用のLED80は、Rフィールド、及びWフィールドの各期間で発光するように投影処理部13により駆動される。
図5(C)に示す如く緑色励起用に青色を発光するLD61は、Gフィールド、及びWフィールドの各期間で発光するように投影処理部13により駆動される。
図5(D)に示す如く青色を発光するLED81は、Wフィールド、及びBフィールドの各期間で発光するように投影処理部13により駆動される。
Rフィールドにおいて、上述した如く発光素子としてはLED80のみが発光される。このLED80の発光期間に合わせて第1のダイクロイックホイール65の周面は例えば中心角90°の扇形の切欠きとされ、さらに回転体としての第1のダイクロイックホイール65の重量バランスが崩れるのを防ぐため、すなわち第1のダイクロイックホイール65の回転重量バランスをとるために最外周位置に図5(G)に示すように円弧状のフレーム65F(外枠)を設けている。同図(G)中、65mはこの第1のダイクロイックホイール65の回転同期を検出するためのマーカである。すなわち、この部分が光を透過させる透過部となり、この透過部は第1のダイクロイックホイール65の周面の一部に設けられた切欠きと、切欠きの外周に配置された円弧状のフレーム65Fとからなる。
【0078】
LED80を出射した赤色光は、素通しとなっている第1のダイクロイックホイール65の周面を透過し、レンズ71を介して第2のダイクロイックホイール72の周面に照射される。このとき第2のダイクロイックホイール72の周面は、図5(F),(H)に示すように続くGフィールドの期間位置までミラーとされている。同図(H)中、72mはこの第2のダイクロイックホイール72の回転同期を検出するためのマーカである。
【0079】
したがって、第2のダイクロイックホイール72のミラーで反射された赤色光は、レンズ73を介してインテグレータ74で輝度密度が平均化された後に、レンズ75を介してミラー76で反射され、さらにレンズ77を介してミラー76で反射されて、レンズ78を介して上記マイクロミラー素子14に赤色の光源光として照射される。
【0080】
このRフィールド中にマイクロミラー素子14では、投影処理部13により赤色成分の画像が表示され、その反射光で光像が形成されて投影レンズ部17により投影対象に向けて投射される。
【0081】
続くGフィールドにおいて、上述した如く発光素子としてはLD61のみが発光される。このLD61の発光期間に合わせて第1のダイクロイックホイール65の周面は赤色光と青色光を透過するダイクロイックミラー(図では「GRM」と称する)とされ、青色光を透過する一方で、緑色光を反射する。
【0082】
LD31で発振された青色光は、レンズ63,64を介した後に上記ダイクロイックミラーが配置された第1のダイクロイックホイール65の周面を透過し、レンズ66,67を介して蛍光ホイール68の周面に照射される。
【0083】
蛍光ホイール38の周面はその全面に、裏面側に反射板を設けた蛍光体層が形成されており、上記青色光の照射によって励起され緑色光を発する。発した緑色光は、蛍光ホイール38の裏面側に形成された反射板によって反射され、上記レンズ67,66側に出射し、これらレンズ67,66を介して上記第1のダイクロイックホイール65の周面のダイクロイックミラーで反射されて、レンズ71を介して第2のダイクロイックホイール72の周面に照射される。
【0084】
第2のダイクロイックホイール72の周面は、図5(F),(H)に示すようにこのGフィールドまでミラーが形成されている。したがって、照射された緑色光は、第2のダイクロイックホイール72の周面のミラーで反射され、レンズ73を介してインテグレータ74で輝度密度が平均化された後に、レンズ75を介してミラー76で反射され、さらにレンズ77を介してミラー16で反射され、レンズ48を介して上記マイクロミラー素子14に緑色の光源光として照射される。
【0085】
このGフィールド中にマイクロミラー素子14では、投影処理部13により緑色成分の画像が表示され、その反射光で光像が形成されて投影レンズ部17により投影対象に向けて投射される。
【0086】
次のWフィールドにおいては、上述した如く発光素子としてLD61とLED80,81の3つが同時に発光される。
【0087】
LD61の発光期間に合わせて第1のダイクロイックホイール65の周面は前のGフィールドから続いて赤色光を透過させるダイクロイックミラーとされている。したがって、LD61で発振された青色光は、レンズ63,64を介した後に第1のダイクロイックホイール65のダイクロイックミラーとされた周面を透過し、レンズ66,67を介して蛍光ホイール68の周面に照射される。
【0088】
蛍光ホイール38の周面はその全面に、裏面側に反射板を設けた蛍光体層が形成されており、上記青色光の照射によって励起され緑色光を発する。発した緑色光は蛍光ホイール38の裏面側に形成された反射板によって反射され、上記レンズ67,66側に出射し、これらレンズ67,66を介して上記第1のダイクロイックホイール65の周面に照射される。
【0089】
第2のダイクロイックホイール72の周面は、図5(F),(I)に示すようにこのWフィールド部分のみ赤色光を反射するダイクロイックミラー(図では「BTM」と称する)とされており、青色光と緑色光を透過する一方で、赤色光、緑色光を共に反射する。
【0090】
したがって、第2のダイクロイックホイール42の周面に照射された緑色光は、この第2のダイクロイックホイール42で反射される。
【0091】
一方、LED80を出射した赤色光は、第1のダイクロイックホイール35の周面のダイクロイックミラーを透過し、レンズ71を介して第2のダイクロイックホイール72の周面に照射される。このとき第2のダイクロイックホイール72の周面は、上述した如くダイクロイックミラーとされているため、赤色光は反射される。
【0092】
さらに上記LED81を出射した青色光は、レンズ84〜86を介して第2のダイクロイックホイール72の周面に照射される。第2のダイクロイックホイール72の周面は、上述した如くダイクロイックミラーとされているため、青色光は透過される。
【0093】
しかして、第2のダイクロイックホイール72から出射する緑色光、赤色光、及び瀬色光が、混色により白色光となり、レンズ73を介してインテグレータ74で輝度密度が平均化された後に、レンズ75を介してミラー76で反射され、さらにレンズ77を介してミラー16で反射され、レンズ78を介して上記マイクロミラー素子14に白色の光源光として照射される。
【0094】
このWフィールド中にマイクロミラー素子14では、投影処理部13により輝度信号に応じた画像が表示され、その反射光で光像が形成されて投影レンズ部17により投影対象に向けて投射される。
【0095】
続くBフィールドにおいて、上述した如く発光素子としてはLED81のみが発光される。このLED81の発光期間に合わせて第2のダイクロイックホイール72の周面は、例えば中心角90°の扇形の切欠きとされ、さらに回転体としての第2のダイクロイックホイール72の重量バランスが崩れるのを防ぐため、すなわち第2のダイクロイックホイール72の回転重量バランスをとるために最外周位置に図5(H)に示すように円弧状のフレーム72F(外枠)を設けている。すなわち、この部分が光を透過させる透過部となり、この透過部は第2のダイクロイックホイール72の周面の一部に設けられた切欠きと、切欠きの外周に配置された円弧状のフレーム72Fとからなる。
【0096】
LED81で発振された青色光は、レンズ84〜86を介した後に第2のダイクロイックホイール72の切欠きとされた周面を透過し、レンズ73を介してインテグレータ74で輝度密度が平均化された後に、レンズ75を介してミラー76で反射され、さらにレンズ77を介してミラー16で反射され、レンズ78を介して上記マイクロミラー素子14に青色の光源光として照射される。
【0097】
このBフィールド中にマイクロミラー素子14では、投影処理部13により青色成分の画像が表示され、その反射光で光像が形成されて投影レンズ部17により投影対象に向けて投射される。
【0098】
以上詳述した如く上記光源部15を3つの発光素子を用いて構成した場合、Wフィールドを除く各原色のフィールドにおいて第1のダイクロイックホイール65と第2のダイクロイックホイール72とが共に揃ってダイクロイックミラーで構成されることはない。
【0099】
またWフィールドは、3つの発光素子を同時に発光させ、それらの混色である白色光によって投影する画像の輝度を上げる(明るくする)ためのフィールドとして位置付けるものである。
【0100】
したがって、他の単色光により原色光の光像を投影するフィールドに比して著しく光量が高いため、このWフィールドでは2つのダイクロイックを透過する赤色光、緑色光がRフィールド、Gフィールドの場合に比してより多く減衰するものの、全体として得られるカラーの光像における光量低下の影響は少ないものと考えられる。
【0101】
なお上記第2の構成例では、カラー画像を投影する1フレームが、Rフィールド、Gフィールド、W(ホワイト)フィールド、及びBフィールドの計4フィールドで構成される場合について説明したが、その他に3原色の光源中の2つを同時に発光することで補色の光源として、対応する補色の光像を1フレーム中で合わせて投影するものとしてもよい。
【0102】
図6は、各光源色の投影期間に対応して第1のダイクロイックホイール65と第2のダイクロイックホイール72の周面の組合せ構成例を示す。図示する如く、上記第2の構成例では、3原色の独立した光源を備えているため、上述したRフィールド、Gフィールド、Bフィールド、及びW(ホワイト)フィールドの他に、Y(イエロー)フィールド、M(マゼンタ)フィールド、及びC(シアン)フィールドをさらに設けることができる。
【0103】
Yフィールドでは、緑色励起用の青色光を発するLD61と、赤色光を発するLED80とを同時に駆動することで、その混色光として黄色光が発生する。その場合、第1のダイクロイックホイール65の周面を、赤色光及び青色光を透過する一方で緑色光を反射するダイクロイックミラーで構成し、第2のダイクロイックホイール72の周面をミラーで構成する。
【0104】
M(マゼンタ)フィールドでは、赤色光を発するLED80と、青色光を発するLED81とを同時に駆動することで、その混色光としてマゼンタ(赤紫)色光が発生する。その場合、第1のダイクロイックホイール65の周面を、扇形の切欠き部として構成し、さらに回転体としての第1のダイクロイックホイール65の重量バランスが崩れるのを防ぐために最外周位置に円弧状のフレーム(外枠)が設けられる。すなわち、この部分が光を透過させる透過部となり、この透過部は第1のダイクロイックホイールの周面の一部に設けられた切欠きと、切欠きの外周に配置された円弧状のフレームとからなる。
【0105】
そして、第2のダイクロイックホイール72の周面を、赤色光を反射する一方で青色光を透過するダイクロイックミラーで構成する。
【0106】
C(シアン)フィールドでは、緑色励起用の青色光を発するLD61と、青色光を発するLED81とを同時に駆動することで、その混色光としてシアン(青緑)色光が発生する。その場合、第1のダイクロイックホイール65の周面を、青色光を透過する一方で緑色光を反射するダイクロイックミラーで構成し、第2のダイクロイックホイール72の周面を、緑色光を反射する一方で青色光を透過するダイクロイックミラーで構成する。
【0107】
なお上記第2の構成例では、画像1フレームを構成する各フィールドの切り替わりタイミングに同期して各色光源のオン/オフを行なう一方で、第1のダイクロイックホイール65と第2のダイクロイックホイール72の双方で各フィールドに適したダイクロイックミラー等を有する周面となるように構成した場合について説明した。
【0108】
しかしながら、フィールド間の切換えタイミングであらたなフィールド用の光源素子の点灯が開始された時点では、その光源光の、断面が略円形のビームスポットが、ダイクロイックホイール65,72でそれぞれ2つの異なる周面の構成部材(ダイクロイックミラー、ミラー、及び素通し部分のうちの2つ)の境界位置に照射され、光束の略半分が光像形成に使用できなくなる可能性を生じる。
【0109】
したがって、上記各フィールド間の境界部分を例えば「スポーク」期間と称するものとすると、このスポーク期間を考慮したダイクロイックホイール65,72の構成が必要なる。
【0110】
図7は、このようにスポーク期間を考慮した第1のダイクロイックホイール65及び第2のダイクロイックホイール72の構成と、その動作タイミングを例示する図である。同図(A)〜(F)で各フィールドの切換えタイミングを挟んで点線で示す範囲がスポーク期間となり、照射される光源光のスポット径に応じた幅で設定される。同図では、説明のためにフィールド期間に対して非常に大きな幅を持つスポーク期間としている。
【0111】
上記図5に示した場合に比して、第1のダイクロイックホイール65では、Gフィールド乃至Bフィールド用の、緑色光を反射して赤色光及び青色光を透過するダイクロイックミラーが、その前のRフィールドとのスポーク期間、及び次のRフィールドとの各スポーク期間にも対応するべく延在して周面に構成するものとしている。
【0112】
すなわち、第1ダイクロイックホイール65において、第1ダイクロイックホイール65に入射される光のスポット径の大きさに応じた、緑色光を反射して赤色光及び青色光を透過する第1スポーク用ダイクロイックミラー部100が、第1ダイクロイックホイール65のRフィールドに対応した扇形の切欠きの部分とGフィールドに対応したダイクロイックミラーの部分との境界部分、及びBフィールドに対応したダイクロイックミラーの部分とRフィールドに対応した扇型の切欠きの部分との境界部分に配置される。
【0113】
一方で第2のダイクロイックホイール72では、前の1フレーム中のBフィールドから現在の1フレーム先頭のRフィールドに切換えるスポーク期間のみ、赤色光及び緑色光を反射して青色光を透過するダイクロイックミラーを周面に構成するものとしている。
【0114】
また同じく第2のダイクロイックホイール72では、Wフィールド用の同ダイクロイックミラーが、その前のGフィールドとのスポーク期間、及び次のBフィールドとの各スポーク期間にも対応するべく延在して周面に構成するものとしている。
【0115】
すなわち、第2ダイクロイックホイール72において、第2ダイクロイックホイール72に入射される光のスポット径の大きさに応じた、赤色光及び緑色光を反射して青色光を透過する第2スポーク用ダイクロイックミラー部101が、第2ダイクロイックホイール72のRフィールドに対応したミラーの部分とBフィールドに対応した扇形の切欠きの部分との境界部分に配置されている。
【0116】
また、ダイクロイックホイール72にはさらに、第2スポーク用ダイクロイックミラー部101が、Gフィールドに対応したミラーの部分とWフィールドに対応したダイクロイックミラーの部分との境界部分、乃至Bフィールドに対応した扇型の切欠きの部分とWフィールドに対応したダイクロイックミラーの部分との境界部分に配置されている。
【0117】
このように光源光のスポット径に応じたスポーク期間を考慮して第1のダイクロイックホイール65、第2のダイクロイックホイール72の各周面にスポーク用ダイクロイックミラー部を構築することにより、各光源の発する光を損失なく光像の形成に使用できる。
【0118】
また上記光源部の第2の構成例では、光源部15−2内で第1のダイクロイックホイール65を回転するためのモータ70と第2のダイクロイックホイール72を回転するためのモータ79を設けるものとして説明したが、これらモータ70,79を共用して1つで構成してもよい。
【0119】
図8は、上記図4に代わる光源部15−2′の構成を示す。図示する如く第1のダイクロイックホイール65と第2のダイクロイックホイール72とを同軸的に配置してモータ(M)91で回転させる。
【0120】
第1のダイクロイックホイール65と第2のダイクロイックホイール72は回転周期が同一であるため、このようにそれらを駆動するためのモータを共用化できる。
【0121】
このように2つのモータを共用化して1つのモータ91で構成することにより、光源部15−2′の構成をより簡略化できる。
【0122】
なお、上記図8に示した構成では、第1のダイクロイックホイール65及び第2のダイクロイックホイール72を同軸的に配置してモータ91で直接駆動する場合の構成例を示したが、このようなダイレクトドライブ機構、あるいはタイミングベルトやギヤ機構等を用いて蛍光ホイール68を回転するためのモータ69も共用化することも可能である。
【0123】
以上第1の光源部15−1、第2の光源部15−2の構成と動作とを詳述した如く本実施形態によれば、光源部内の光路中で減衰する光量を極力低減し、発光素子で発した光を効率よく画像表示素子に導いて明るい光像を形成させることが可能となる。
【0124】
加えて上記実施形態では、上記ダイクロイックホイールで光を透過させる部分(透過部)を当該ダイクロイックホイールの周面の一部に設けられた切欠きと、当該切欠きの外周に配置された円弧状の外枠とからなるものとしたので、ダイクロイックホイールを光束で安定して回転させることができる。
【0125】
その他、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、上述した実施形態で実行される機能は可能な限り適宜組み合わせて実施しても良い。上述した実施形態には種々の段階が含まれており、開示される複数の構成要件による適宜の組み合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、効果が得られるのであれば、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0126】
以下に、本願出願の当所の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
請求項1記載の発明は、発光する波長が異なる複数種の光源と、当該複数種の光源から入射される光に対し、当該光の波長に関係なく透過させる透過部、当該光の波長に関係なく反射させる反射部、及び当該光の波長に応じて透過または反射させるダイクロイックミラー部のうち少なくとも2つを周面に形成したダイクロイックホイールと、当該ダイクロイックホイールを上記複数種の光源の時分割発光駆動に同期するように回転させる回転駆動部とを含み、上記複数種の光源の上記時分割発光駆動に伴って波長が異なる複数種の光を順次出射する光源部と、画像信号を入力する入力部と、上記入力部で入力される画像信号に応じた画像を表示する表示素子に上記光源部からの光を反射または透過させて光像を形成し、形成した光像を投影対象に向けて出射する投影部とを具備したことを特徴とする。
【0127】
請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、上記ダイクロイックホイールの透過部は、当該ダイクロイックホイールの周面の一部に設けられた切欠きと、当該切欠きの外周に配置された円弧状の外枠とからなり、上記透過部は、上記光源から入射される光を素通しで透過させることを特徴とする。
【0128】
請求項3記載の発明は、上記請求項1または2記載の発明において、上記ダイクロイックホイールは、当該ダイクロイックホイールに入射される光のスポット径の大きさに応じた、上記透過部と上記反射部と上記ダイクロイックミラー部とのうち隣接する部との境界位置に設けられるスポーク用ダイクロイックミラー部をさらに有することを特徴とする。
【0129】
請求項4記載の発明は、上記請求項1乃至3いずれか記載の発明において、上記光源部は、上記ダイクロイックホイールを複数有し、上記複数のダイクロイックホイールを同軸的に配置して当該複数のダイクロイックホイールの回転駆動部を共用することを特徴とする。
【0130】
請求項5記載の発明は、上記請求項1乃至4いずれか記載の発明において、上記複数種の光源はレーザダイオード及び発光ダイオードの少なくとも一方を含むことを特徴とする。
【0131】
請求項6記載の発明は、上記請求項1乃至5いずれか記載の発明において、上記複数種の光源は、レーザダイオードから照射された光により励起されて発光する蛍光体層が設けられた蛍光ホイールを含むことを特徴とする。
【符号の説明】
【0132】
10…データプロジェクタ装置、11…入力部、12…画像変換部、13…投影処理部、14…マイクロミラー素子、15,15−1,15−2,15−2′…光源部、16…ミラー、17…投影レンズ部、18…CPU、19…メインメモリ、20…プログラムメモリ、21…操作部、22…音声処理部、23…スピーカ部、31…(青色発光用)LD、32…ミラー、33,34…レンズ、35…第1のダイクロイックホイール、36,37…レンズ、38…蛍光ホイール、39,40…モータ(M)、41…レンズ、42…第2のダイクロイックホイール、43…レンズ、44…インテグレータ、45…レンズ、46…ミラー、47,48…レンズ、49…モータ(M)、50…レンズ、51…ミラー、52…レンズ、53…ミラー、54…レンズ、55…(赤色発光用)LED、56,56…レンズ、61…(緑色例起青色発光用)LD、62…ミラー、63,64…レンズ、65…第1のダイクロイックホイール、66,67…レンズ、68…蛍光ホイール、69,70…モータ(M)、71…レンズ、72…第2のダイクロイックホイール、73…レンズ、74…インテグレータ、75…レンズ、76…ミラー、77,78…レンズ、79…モータ(M)、80…(赤色発光用)LED、81…(青色発光用)LED、82〜86…レンズ、91…モータ(M)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光する波長が異なる複数種の光源と、
当該複数種の光源から入射される光に対し、当該光の波長に関係なく透過させる透過部、当該光の波長に関係なく反射させる反射部、及び当該光の波長に応じて透過または反射させるダイクロイックミラー部のうち少なくとも2つを周面に形成したダイクロイックホイールと、
当該ダイクロイックホイールを上記複数種の光源の時分割発光駆動に同期するように回転させる回転駆動部と
を含み、上記複数種の光源の上記時分割発光駆動に伴って波長が異なる複数種の光を順次出射する光源部と、
画像信号を入力する入力部と、
上記入力部で入力される画像信号に応じた画像を表示する表示素子に上記光源部からの光を反射または透過させて光像を形成し、形成した光像を投影対象に向けて出射する投影部と
を具備したことを特徴とする投影装置。
【請求項2】
上記ダイクロイックホイールの透過部は、
当該ダイクロイックホイールの周面の一部に設けられた切欠きと、当該切欠きの外周に配置された円弧状の外枠とからなり、
上記透過部は、上記光源から入射される光を素通しで透過させることを特徴とする請求項1記載の投影装置。
【請求項3】
上記ダイクロイックホイールは、当該ダイクロイックホイールに入射される光のスポット径の大きさに応じた、上記透過部と上記反射部と上記ダイクロイックミラー部とのうち隣接する部との境界位置に設けられるスポーク用ダイクロイックミラー部をさらに有することを特徴とする請求項1または2記載の投影装置。
【請求項4】
上記光源部は、上記ダイクロイックホイールを複数有し、
上記複数のダイクロイックホイールを同軸的に配置して当該複数のダイクロイックホイールの回転駆動部を共用することを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載の投影装置。
【請求項5】
上記複数種の光源はレーザダイオード及び発光ダイオードの少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1乃至4いずれか記載の投影装置。
【請求項6】
上記複数種の光源は、レーザダイオードから照射された光により励起されて発光する蛍光体層が設けられた蛍光ホイールを含むことを特徴とする請求項1乃至5いずれか記載の投影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−203262(P2012−203262A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−68849(P2011−68849)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】