説明

投影露光装置

【課題】 分割露光において、クーポン等の情報を周囲に露光することが可能な投影露光装置を提供する。
【解決手段】 フォトマスク1にはプリント配線基板2に露光すべき全てのパターンが描かれ、独立した回路パターンであるピース10と、プリント配線基板2の周囲に露光されるクーポン12が描かれる。露光領域を区分する区分線19により、6つの領域に区分して露光を行う。フォトマスク1はフォトマスクステージ5に装着され、フォトマスク移動装置50により露光領域を照射エリア70に移動し、アライメントマーク15と基板マーク(図示せず)を用いて、位置合せ装置(図示せず)により位置合せを行う。
そして、マスキング装置3により露光領域周囲をマスキングした上で、露光を実行する。
以上の動作を、順次各領域について行い、プリント配線基板2全体の露光を終了する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、プリント配線基板を作成するための投影露光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトレジストなどの感光材料を塗布した基板表面に所定のパターンを露光装置により感光焼き付けし、その後エッチング工程により基板上にパターンを形成するフォトリソグラフィ法が種々の分野で広く応用されており、プリント配線基板等も近年露光装置を用いて製造されている。
また、近年機器の小型化に伴ってプリント配線基板も小型化しており、製造工程の効率化のために大判の基板に複数の回路を露光し、後工程で基板を切断して用いることも行われている。
このような大判の基板の場合、その大きさが露光光源の照射範囲より大きくなり、一括で露光することができないため、プリント配線基板を載置したステージを逐次移動させながら露光する逐次露光方法(ステッパ)が提案されている。
【0003】
【特許文献1】特開2000−250227号公報
【特許文献2】特開2000−292942号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記した従来のステッパ方法では、フォトマスクのパターンを繰り返し基板上に露光するだけのものであるため、同じパターンを基板上に複数露光できるだけである。
実際のプリント配線基板には、回路パターン以外に、クーポンと呼ばれる種々の情報を周囲に露光する必要がある場合があり、このようなクーポンの露光は従来できなかった。
また、基板上の異なる領域に異なるパターンを露光することも不可能であり、これを実現するためにはフォトマスクを交換する必要があり、現実的ではない問題があった。
本発明は上記従来技術の問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の投影露光装置は、露光光を照射する光源と、露光対象である基板に露光すべきパターン全体を描いたフォトマスクと、前記フォトマスクと基板との間に介在し、フォトマスクのパターンを所定の倍率で拡大/縮小して基板上に露光する投影光学系と、前記フォトマスクの所定の領域を前記光源からの露光光の照射領域に位置あわせするフォトマスク移動手段と、露光対象である基板の所定領域を、前記フォトマスクと投影光学系を介して照射される露光領域に位置あわせする基板移動手段と、を備えたことを特徴とする。
以上の構成において、フォトマスクには基板に露光すべきパターン全体が描かれ、該フォトマスクの部分的な領域を基板の部分的な領域に露光可能である。そのため、クーポンなどの付加的な情報の露光も可能であり、更に異なるパターンを露光することも可能である。
なお、前記フォトマスクの非照射領域をマスキングする手段を更に設けることが望ましい。また、フォトマスクには前記したようにクーポンや或いはパターンのフォトマスク上の位置に関する情報を描くことも可能である。後者はフォトマスクに、独立した複数のパターンを描く場合に有効である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の投影露光装置によれば、露光照射範囲よりも大きな基板の露光において、クーポン等の種々の情報を周囲に露光することが可能になる。また、基板上の異なる領域に異なるパターンを露光することも、フォトマスクを交換することなく可能である、等の効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1はプリント配線基板を製造するための投影露光装置であり、フォトレジストを施されたプリント配線基板2は基板ステージ6上に載置され、基板移動装置60によりXYZ及びθ方向に移動可能になっている。
【0008】
回路パターン等が描かれたフォトマスク1は、フォトマスクステージ5に装着され、プリント配線基板2に対向して設けられており、光源7からの紫外線などの露光光により回路パターン等をプリント配線基板2に焼き付けるようなっている。
フォトマスクステージ5はフォトマスク移動装置50によりXY方向移動可能である。
【0009】
光源7とフォトマスク1の間にはマスキング装置3が設けられており、フォトマスク1の所定部分をマスキングして、意図しない部分が露光されないようになっている。該マスキング装置3はマスキング駆動装置30により駆動される。
【0010】
なお、CCDカメラ等を備えた位置合せ装置(図示せず)が設けられており、プリント配線基板2上に設けられた基板アライメントマークとフォトマスク1上のアライメントマーク15により、基板移動装置60とフォトマスク移動装置50により基板ステージ6とフォトマスクステージ5とをXY方向に移動させてフォトマスク1の露光領域とプリント配線基板2の露光領域とを位置合せするように構成されている。
【0011】
前記マスキング駆動装置30、フォトマスク移動装置50、基板移動装置60、光源7及び位置合せ装置等は制御装置9により制御されている。
【0012】
図2に示すように、フォトマスク1にはプリント配線基板2に露光すべき全てのパターンが描かれている。この実施形態では、独立した回路パターンであるピース10と、プリント配線基板2の周囲に露光される種々の情報を記載したクーポン12が含まれている。
【0013】
この実施形態では、A−1からE−6までのピース10が描かれており、1〜10のクーポン12が描かれている。各ピース10は同一のパターンであっても良いし、異なるパターンであっても良い。
【0014】
各ピース10には、そのピース10のフォトマスク1上の位置を示す位置情報11が描かれている。この実施形態では、A−1、B−1のような位置番号が描かれている。
区分線19は露光領域を区分する線であり、この実施形態では、6つの領域に区分して露光を行うようになっている。
図2から分かるように、左側と右側の露光領域同じ大きさではなく、不均等に分割されている。このような不均等分割露光が可能なことも本発明の特徴の1つである。
【0015】
ここで図4により、従来のステッパ方式の問題点を再度説明しておく。ステッパ方式においては、(A)に示すようにフォトマスク1’には、1回で露光できる範囲の単一のパターンのみが描かれており、このパターンをプリント配線基板2’上に繰り返し露光していくことになる。従って、単一のパターンのみしか露光できない。
しかし、実際には(B)に示すように、回路パターンの周囲にはクーポン等の情報BCDEを露光する必要がある場合も多く、このような露光をステッパ方式では行えない。
また、(C)に示すように、各露光毎に異なるパターンが必要な場合もある。このような要求にはステッパ方式では応えることができない。
【0016】
本発明においては、図2と図3に示すように、プリント配線基板2に露光すべきパターン全体がそのままフォトマスク1描かれている。
大判のプリント配線基板2を用いる場合、光源7の照射エリア70が図3に示すようにフォトマスク1よりも小さくなり、フォトマスク1全体を1回で露光することができないため、露光領域をわけて、領域毎に露光を行う。
【0017】
マスキング装置3はL字形状の1対のマスキングブレード31、31を備えており、マスキングブレード31により露光領域以外の部分をマスキングして露光するようになっている。マスキングブレード31、31はマスキング駆動装置30により駆動され、任意の大きさの露光領域の周囲をマスキングできるように構成されている。
【0018】
この実施形態では、フォトマスク1はプリント配線基板2の半分の大きさであり、投影レンズ8によりほぼ2倍に拡大してパターンを露光するようになっている。
【0019】
以上の構成において、区分線19により区分された領域を順次露光するに際し、露光すべき領域に関して、フォトマスク1とプリント配線基板2の位置合せを行う。プリント配線基板2を載置する基板ステージ6はXYZ及びθ方向に移動可能であり、基板移動装置60によりXY方向に移動させて、露光領域を投影レンズ8の光軸の中心に移動させる。
【0020】
同様にフォトマスクステージ5もフォトマスク移動装置50により露光領域を照射エリア70に移動し、アライメントマーク15と基板マーク(図示せず)を用いて、位置合せ装置(図示せず)により位置合せを行う。
そして、マスキング装置3により露光領域周囲をマスキングした上で、露光を実行する。
【0021】
以上の動作を、順次各領域について行い、プリント配線基板2全体の露光を終了する。
【0022】
以上により、ステッパ方式では露光できないクーポン12等の基板周辺のパターンの露光も可能になる。また、図2の区分線19で示すように領域の大きさの異なる不均等分割による露光も実現できる。
また、この実施形態では各ピース10は同一のパターンを用いているが、異なるパターンとすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態を示す概略図。
【図2】本発明の一実施形態のフォトマスク1の説明図。
【図3】本発明の一実施形態の動作を示す説明図。
【図4】従来の技術の説明図。
【符号の説明】
【0024】
1:フォトマスク、2:プリント配線基板、3:マスキング装置、5:フォトマスクステージ、6:基板ステージ、7:光源、8:投影レンズ、9:制御装置、10:ピース、11:位置情報、12:クーポン、15:アライメントマーク、19:区分線、30:マスキング駆動装置、31:マスキングブレード、50:フォトマスク移動装置、60:基板移動装置、70:照射エリア。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
露光光を照射する光源と、
露光対象である基板に露光すべきパターン全体を描いたフォトマスクと、
前記フォトマスクと基板との間に介在し、フォトマスクのパターンを所定の倍率で拡大/縮小して基板上に露光する投影光学系と、
前記フォトマスクの所定の領域を前記光源からの露光光の照射領域に位置あわせするフォトマスク移動手段と、
露光対象である基板の所定領域を、前記フォトマスクと投影光学系を介して照射される露光領域に位置あわせする基板移動手段と、
を備えたことを特徴とする投影露光装置。
【請求項2】
前記フォトマスクの非照射領域をマスキングする手段を更に設けた、
請求項1に記載の投影露光装置。
【請求項3】
前記フォトマスクの基板に露光すべきパターン全体がクーポンを有する、
請求項1又は2に記載の投影露光装置。
【請求項4】
前記フォトマスクの基板に露光すべきパターン全体が、それぞれ独立した複数のパターンを有し、
該各パターンのフォトマスク上の位置に関する情報を該フォトマスク上に描いた、
請求項1又は2又は3に記載の投影露光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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