説明

抗アレルギー剤

【課題】柑橘類果実を有効利用した優れた抗アレルギー剤およびアレルギー性疾患の予防・改善用食品を提供すること。
【解決手段】柑橘類果実を破砕する工程、該破砕物を水処理する工程、その水層を除去する工程を含む方法により得られる水不溶物を含有する、抗アレルギー剤およびアレルギー性疾患の予防・改善用食品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柑橘類果実より得られる抗アレルギー剤およびその製造方法に関する。より詳細には、本発明は柑橘類果実を水処理して得られる水不溶物を含有する抗アレルギー剤およびアレルギー疾患の予防・改善用食品、ならびにそれらの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
日本におけるアレルギー患者の数は年々増加の一途を辿っている。なかでも、IgEを介するI型アレルギー(即時型アレルギー)反応に分類されるアトピー性皮膚炎や気管支喘息、花粉症などは今や深刻な社会問題となっている。
そこで、アレルギー患者を治療するために様々な化学療法が用いられているが、従来の化学療法では副作用を伴う場合が多く、また化学物質の関与がアレルギーの一因として考えられているため、アレルギー治療の一助として、天然物由来のアレルギー抑制物質の検索が行われている。
【0003】
柑橘類は古来より生薬の原料として多岐にわたり用いられてきた。例えば、未熟な柑橘類果実に多く含有されるヘスペリジン、ネオヘスペリジン、ナリンギンなどは抗アレルギー効果を有することが知られており、柑橘類果実からヘスペリジンを抽出する方法、およびヘスペリジン、ネオヘスペリジン、ナリンギンなどを含有する抗アレルギー剤などがすでに報告されている(特許文献1〜3)。しかしながら、これらはいずれもエタノールなどのアルコールを用いて柑橘類果実から有効成分を抽出したものであり、水処理によって得られる柑橘類果実の水不溶物については何ら記載されていない。
【0004】
また、柑橘類の搾汁残渣を水で洗浄し、急速冷凍し、その後解凍して乾燥させ粉末にする、未熟柑橘類の粉末の製造方法も報告されているが(特許文献4)、水処理によって得られる柑橘類の水不溶性の成分がアレルギーの治療に有効であることについては、今まで知られていなかった。
【0005】
【特許文献1】特開平8−188593号公報
【特許文献2】特開2005−132791号公報
【特許文献3】特開2005−170804号公報
【特許文献4】特開2005−229836号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、古来より生薬の原料として用いられてきた柑橘類果実を、有効利用した優れた抗アレルギー剤およびアレルギー性疾患の予防・改善用食品を提供することである。また、本発明のさらなる課題は、前記抗アレルギー剤または該食品を製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題に鑑み、柑橘類果実、特に温州ミカン(Citrus unshiu)およびシークワサー(Citrus depressa)等の果実から得た水不溶物の生理活性に注目し、該水不溶物が、脱顆粒抑制、浮腫抑制およびアナフィラキシー抑制効果を有するという知見を得て、抗アレルギー剤として有用であることを見出し本発明を完成した。
【0008】
即ち、本発明は下記の通りである。
(1)柑橘類果実の水不溶物を含有する抗アレルギー剤。
(2)柑橘類果実のアルコール可溶性の水不溶物を含有する抗アレルギー剤。
(3)水不溶物が、柑橘類果実を破砕する工程、該破砕物を水処理する工程、水層を除去する工程を含む方法により得られるものである、(1)または(2)記載の抗アレルギー剤。
(4)該破砕物1重量部に対して1〜10重量部の水で水処理する、(3)に記載の抗アレルギー剤。
(5)水処理の温度が0〜85℃、時間が5分〜48時間である(3)または(4)記載の抗アレルギー剤。
(6)アルコールで抽出する工程を含む(3)〜(5)のいずれか1項に記載の抗アレルギー剤。
(7)アルコールがメタノールまたはエタノールである(6)記載の抗アレルギー剤。
(8)柑橘類が、温州ミカン(Citrus unshiu)またはシークワサー(Citrus depressa)である、(1)〜(7)のいずれか1項に記載の抗アレルギー剤。
(9)柑橘類果実が、直径1〜4cmの柑橘類果実である、(8)に記載の抗アレルギー剤。
(10)柑橘類果実の水不溶物を含有する抗アレルギー剤の製造方法であって、柑橘類果実を破砕する工程、該破砕物を水処理する工程、水層を除去し水不溶物を得る工程を含む製造方法。
(11)破砕物1重量部に対して1〜10重量部の水で水処理する、(10)記載の製造方法。
(12)水処理の温度が0〜85℃、時間が5分〜48時間である(10)または(11)記載の製造方法。
(13)さらにアルコールで抽出する工程を含む(10)〜(12)のいずれか1項に記載の製造方法。
(14)アルコールがメタノールまたはエタノールである(13)記載の製造方法。
(15)柑橘類果実の水不溶物を含有する、アレルギー性疾患の予防・改善作用を有するものであることを特徴とし、アレルギー性疾患の予防・改善のために用いられる旨の表示を付した食品。
(16)柑橘類果実のアルコール可溶性の水不溶物を含有する、アレルギー性疾患の予防・改善作用を有するものであることを特徴とし、アレルギー性疾患の予防・改善のために用いられる旨の表示を付した食品。
(17)水不溶物が、柑橘類果実を破砕する工程、該破砕物を水処理する工程、水層を除去する工程を含む方法により得られるものである、(15)または(16)に記載の食品。
(18)破砕物1重量部に対して1〜10重量部の水で水処理する、(17)に記載の食品。
(19)水処理の温度が0〜85℃、時間が5分〜48時間である(17)または(18)に記載の食品。
(20)アルコールで抽出する工程を含む(17)〜(19)のいずれか1項に記載の食品。
(21)アルコールがメタノールまたはエタノールである(20)に記載の食品。
(22)柑橘類が、温州ミカン(Citrus unshiu)またはシークワサー(Citrus depressa)である、(15)〜(21)のいずれか1項に記載の食品。
(23)柑橘類果実が、直径1〜4cmの柑橘類果実である、(22)に記載の食品。
(24)柑橘類果実の水不溶物を含有するアレルギー性疾患の予防・改善用食品の製造方法であって、柑橘類果実を破砕する工程、該破砕物を水処理する工程、水層を除去し水不溶物を得る工程を含む製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明の、柑橘類果実の水不溶物を含む抗アレルギー剤は、柑橘類果実のアルコール抽出物を含むものよりはるかに優れた抗アレルギー効果を有する。さらに、本発明の抗アレルギー剤は、柑橘類という天然物由来であるため副作用もなく、従来の薬物療法などは適用できなかった患者にも安全に使用することができる。また、その製造方法も水を用いた水処理によるものであるため、煩雑な工程も経る必要がなく、環境的にもコスト的にも有意である。したがって、本発明の抗アレルギー剤、アレルギー性疾患の予防・改善用食品およびそれらの製造方法は、社会問題であるアレルギー治療を向上・改善させる上で極めて有益である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0011】
本発明の抗アレルギー剤は、柑橘類果実の水不溶物を有効成分とする。本発明における水不溶物とは、柑橘類果実の破砕物を水抽出した際の残渣で、乾燥重量の約75%を占めるものである。通常は、少なくとも破砕物の重量の3倍量の、4℃以上の水で、10分以上水に浸漬または振とうした場合に水に溶けないものをいう。
【0012】
本発明の抗アレルギー剤は、柑橘類果実のアルコール可溶性の水不溶物を有効成分とする。アルコール可溶性とは、室温で、10倍量アルコールで最低1時間の振とうによる抽出を5回行った際抽出されるもので、乾燥重量の約50%を占めるものであり、アルコール可溶性の水不溶物とは、アルコール可溶性物をさらに水抽出した際の残渣または上記水不溶物をアルコール抽出したもので、アルコール可溶性物乾燥重量の約50%を占めるものである。
【0013】
本発明の水不溶物は、柑橘類果実を水処理して、その水を除去した残渣を意味する。具体的には、柑橘類果実を破砕する工程、該破砕物を水処理する工程、水層を除去する工程を含む方法により得られるものである。
【0014】
本発明において、柑橘類果実を破砕する工程とは、柑橘類果実を採取後、外力を加えて、原料よりも小さな固体を大量に作り出す工程である。柑橘類果実は、0.1mm〜30mmに砕くのが抽出の効率が良くなる観点から好ましく、さらに好ましくは1mm〜10mmである。破砕する方法としては、特に限定されないが、例えば、フードプロセッサー、ミキサーなどの機器を用いて行う。
【0015】
本発明において、該破砕物を水処理する工程とは、該破砕物から水可溶性成分を除去するために水を加えて水可溶性成分を水層に抽出する工程である。通常、上記破砕物を水に浸漬させ、好ましくは振とう下に放置することによって行われる。
【0016】
水処理する工程において加える水の量は、高い抗アレルギー活性が得られ、作業効率が優れている点で、通常該破砕物1重量部に対して水1〜10重量部であり、好ましくは2〜5重量部であり、さらに好ましくは3〜5重量部である。
【0017】
水処理の温度は、高い抗アレルギー活性が得られ、作業効率が優れている点で通常は0〜85℃であり、好ましくは0〜65℃であり、より好ましくは0〜30℃である。
【0018】
水処理の時間は、高い抗アレルギー活性が得られ、作業効率が優れている点で通常5分〜48時間であり、好ましくは10分〜12時間であり、さらに好ましくは1〜3時間である。
【0019】
本発明において水層を除去する工程とは、上記水処理した破砕物を含む混合物から、水層を分離して水可溶物を除去する工程である。水層は、水および水可溶性成分を含む。除去の方法としては、ろ過、遠心分離などが挙げられるが、これに限定されない。
除去は、数回行うのが好ましい。すなわち完全に水溶性成分を除去するためには、水処理の工程および除去の工程を2〜5回繰り返すことが好ましい。
【0020】
本発明においては、上記の工程にアルコールで抽出する工程をさらに含んでいてもよい。アルコールで抽出する工程は、上述した柑橘類果実の破砕工程の後であればいずれで行ってもよい。
具体的には、柑橘類果実の破砕物1重量部に対して1〜20重量部のアルコールで抽出して濃縮乾固したものを水処理および水層を除去して水不溶物を得る、または上述の3工程で得られた水不溶物1重量部に対して1〜20重量部のアルコールで抽出して濃縮乾固させて水不溶物を得ることができる。
このようにアルコールで抽出する工程を加えることで有効成分の濃縮効果が得られる。
【0021】
アルコールは、抽出効率、価格および安全性の点でメタノール、エタノールが好ましい。より好ましくは、メタノールが挙げられる。
【0022】
本発明で用いる柑橘類は特に限定されないが、高い抗アレルギー効果が得られるという点で、温州ミカン(Citrus unshiu)、シークワサー(Citrus depressa)、じゃばら(Citrus jabara)、ゆず(Citrus junos)、はっさく(Citrus hassaku)、いよかん(Citrus iyo)、すだち(Citrus sudachi)、れもん(Citrus limon)が好ましく、温州ミカンおよびシークワサーがより好ましい。
【0023】
本発明において、柑橘類は、未熟な柑橘類果実が好ましい。未熟な柑橘類果実とは、果実の生長過程において、果皮が黄変する前の段階の十分に熟していない果実のことであり、温州ミカンの場合は、直径1cm〜4cmのものが高い抗アレルギー活性が得られるという点で好ましい。より好ましくは2cm〜3cmである。柑橘類は、生のものでも冷凍したものでもよくこれに限定されない。
【0024】
本発明における抗アレルギー剤は、抗原抗体反応に基づく生体の過剰な免疫反応やそれによって惹起される組織または細胞傷害に対して有効である。好ましくは、I型アレルギーに対して有効である。I型アレルギーとは即時型またはアナフィラキシー型ともいわれ、細胞膜表面にIgE抗体受容体をもつ肥満細胞や好塩基球に結合したIgE抗体に抗原が結合するとIgE抗体受容体が架橋されてその刺激によって種々のchemical mediatorsが遊離して、毛細血管透過性亢進、粘膜浮腫、粘膜分泌亢進、平滑筋れん縮、局所への好酸球、好中球の集積をおこす。本発明の抗アレルギー剤は、脱顆粒抑制、浮腫抑制およびアナフィラキシー抑制作用を有することから、I型アレルギー反応の抑制に有効であり、気管支喘息、鼻アレルギー、アトピー性皮膚炎、花粉症、アレルギー性結膜炎、じんま疹等に有効である。
【0025】
本発明における抗アレルギー剤の投与対象としてはアレルギー性疾患を罹患した個体(例えば、ヒトをはじめウシ、ウマ、イヌ、マウス、ラット等の哺乳動物)、アレルギー性疾患を罹患する可能性のある個体などが挙げられる。
【0026】
本発明における抗アレルギー剤は、上記のようにして得られた水不溶物またはアルコール可溶性水不溶物を、そのままで、もしくは乾燥させた粉末状で含有する。本発明の抗アレルギー剤の投与方法は、経口投与、または経直腸投与(坐薬)、注射投与(経静脈投与)、点眼等の非経口投与でも良く、特に限定しないが、有効成分が柑橘類果実由来であることから経口投与であることが好ましい。
【0027】
本発明における抗アレルギー剤を経口投与する場合の有効成分である水不溶物の投与量は、投与する患者の性別、症状、年齢、投与方法によって異なるが、通常、成人(体重60kg)1日あたりの投与量が全量で、0.2g〜30gである。好ましくは成人1日あたりの投与量が全量で、1〜3gである。上記1日あたりの量を一度にもしくは数回に分けて投与することができる。食前、食後、食間を問わない。また投与期間は特に限定されない。なおアルコール抽出工程を含む方法で調製された水不溶物の場合、上記の投与量の2〜3分の1程度を投与することができる。
【0028】
一方、注射投与(経静脈投与)、経直腸投与(坐薬)または点眼等、非経口投与することも可能であり、その場合の投与量については、前記経口投与についての好ましい投与量範囲の10〜20分の1程度を投与することができる。
【0029】
本発明における抗アレルギー剤の経口投与剤としては、顆粒剤、細粒剤、錠剤、散剤、カプセル剤、チュアブル剤、液剤、懸濁剤など、また注射剤としては静脈直接注入用、点滴投与用などの医薬製剤一般の剤型を採用することができる。これらは、常法により製剤化することができ、製剤上の必要に応じて、例えば、乳糖、ブドウ糖、D−マンニトール、でんぷん、結晶セルロース、炭酸カルシウム、カオリン、ゼラチン等の担体や、溶剤、溶解補助剤、等張化剤等の通常の添加剤を適宜配合することができる。
【0030】
本発明における抗アレルギー剤中の水不溶物の含有量は、通常1〜95重量%であり、好ましくは5〜90重量%である。なおアルコール抽出工程を含む方法で調製された水不溶物の場合、通常1〜95重量%であり、好ましくは5〜90重量%である。
【0031】
本発明においては、抗アレルギー剤の製造方法を提供する。該製造方法は、柑橘類果実を破砕する工程、該破砕物を水処理する工程、その水層を除去し水不溶物を得る工程を含む。詳細は上述した通りであり、同様にアルコールで抽出する工程を含んでもよい。
【0032】
本発明においては、柑橘類果実の水不溶物を含有する、アレルギー性疾患の予防・改善作用を有するものであることを特徴とし、アレルギー性疾患の予防・改善のために用いられる旨の表示を付した食品を提供する。
【0033】
本発明における食品は、本発明の水不溶物を含む一般的な食品形態であれば如何なるものでも良い。例えば、適当な風味を加えてドリンク剤、例えば清涼飲料、粉末飲料とすることもできる。具体的には、ジュース、牛乳、菓子、ゼリー等に混ぜて飲食することができる。また、このような食品を保健機能食品として提供することも可能であり、この保健機能食品には、アレルギーの予防および改善などの本発明の用途に用いるものであるという表示を付した飲食品、特に保健機能食品、特定保健用食品、栄養機能食品なども含まれる。
【0034】
さらに、本発明における食品を濃厚流動食や、食品補助剤として利用することも可能である。食品補助剤として使用する場合、例えば錠剤、カプセル、散剤、顆粒、懸濁剤、チュアブル剤、シロップ剤等の形態に調製することができる。本発明における食品補助剤とは、食品として摂取されるもの以外に栄養を補助する目的で摂取されるものをいい、栄養補助剤、サプリメントなどもこれに含まれる。
【0035】
本発明における水不溶物を食品として摂取する場合、成人(体重60kg)1日当たりの水不溶物の摂取量は、通常0.2g〜30g程度、好ましくは1g〜3g程度、より好ましくは2g〜3g程度である。なおアルコール抽出工程を含む方法で調製された水不溶物の場合、上記の投与量の2〜3分の1程度を摂取することができる。
【0036】
本発明における食品中の水不溶物の含有量は、通常1〜95重量%であり、好ましくは5〜90重量%である。なおアルコール抽出工程を含む方法で調製された水不溶物の場合、通常1〜95重量%であり、好ましくは5〜90重量%である。
【実施例】
【0037】
以下、実施例を示して本発明をさらに詳しく説明するが、実施例は本発明の説明のために記載するものであり、本発明を限定するものではない。
【0038】
以下に説明するアレルギー反応の指標となる脱顆粒反応測定に用いるサンプルを次のとおり調製した。
【0039】
みかんメタノール抽出サンプルの調製(比較例1)
凍結保存していた未熟温州ミカン(本実験では、平均26mmのものを使用)の表面を水で洗浄し、フードプロセッサーで破砕した。破砕物を50ml遠心チューブに1g取り、メタノール20mlを加えて懸濁した。室温で12時間振とうした後、3000rpmで20分間遠心分離し、上清を別チューブに移した。上清を採取した残渣に再びメタノール20mlを加え懸濁し、室温で1時間振とう後、3000rpmで20分間遠心分離し、上清を採取するという操作を4回繰り返し行った。
計5回の抽出により得られた上清を合わせ、減圧濃縮乾固した。得られた乾固物を、ジメチルスルホキシド(DMSO)に終濃度50mg/mlになるよう溶解し、メタノール抽出サンプル(比較例1)を得た。
【0040】
水抽出上清、水抽出残渣のメタノール再抽出サンプルの調製(実施例1および2、比較例2および3)
凍結保存していた未熟温州みかん(本実験では、平均26mmのものを使用) の表面を水で洗浄し、フードプロセッサーで破砕した。破砕物を50ml遠心チューブに各10gずつ取り分け、次の条件で水を加え懸濁し、40℃の温浴で1時間振とうすることにより抽出を行った。
[1]水10mlを加え抽出[2]水30mlを加え抽出
抽出後、3000rpmで20分間遠心分離した。別チューブに移した上清は減圧濃縮乾固後、DMSOで50mg/mlになるように溶解し、水抽出上清サンプル(比較例3および4)を得た。
残渣にメタノール100mlを加え懸濁し、室温で一晩振とうすることにより抽出を行った。翌日、3000rpmで20分間遠心分離し、上清を別チューブに移した。
上清を採取した各残渣に再びメタノール100mlを加え懸濁し、室温で2時間振とう後、3000rpmで20分間遠心分離し、上清を採取するという操作を4回繰り返し行った。
計5回の抽出により得られた上清を合わせ、減圧濃縮乾固した。得られた乾固物をDMSOで50mg/mlになるように溶解し、水抽出残渣メタノール再抽出サンプルを得た(実施例1および2)。比較例として、上記の水を加える代わりに、水を加えずに他は実施例1と同様にしてサンプルを得た(比較例2)。
実施例および比較例は表1の通りである。
【0041】
【表1】

【0042】
メタノール抽出物の水再抽出サンプルの調製
1.時間による違い(実施例3〜7)
凍結保存していた未熟温州みかん(本実験では、平均26mmのものを使用)を水で表面を洗浄し、フードプロセッサーで破砕後、凍結乾燥を行った。
50ml遠心チューブ6本に凍結乾燥物各1gずつ取り分け、メタノール20mlを加え懸濁し、室温で一晩振とうすることにより抽出を行った。翌日、3000rpmで20分間遠心分離し、上清を別チューブに移した。上清を採取した残渣に再びメタノール20mlを加え懸濁し、室温で1時間振とう後、3000rpmで20分間遠心分離し、上清を採取するという操作を4回繰り返し行った。計5回の抽出により得られた上清を合わせ、減圧濃縮乾固した。
上記メタノール抽出により得られた乾固物を50ml遠心チューブに各0.4gずつ取り分け、8mlの水を加え懸濁し、45℃の温浴で次の時間振とうすることにより抽出を行った。
[1]3時間[2]6時間[3]12時間[4]24時間[5]48時間
抽出後、3000rpmで20分間遠心分離した。上清を除去し、沈殿は減圧濃縮乾固後、DMSOで50mg/mlになるように溶解し、メタノール抽出物水再抽出沈殿サンプルを得た。実施例3〜7は表2の通りである。
【0043】
【表2】

【0044】
2.温度による違い(実施例8〜12)
上記メタノール抽出により得られた乾固物を50ml遠心チューブに各0.4gずつ取り分け、8mlの水を加え懸濁し、次の温度で3時間振とうすることにより抽出を行った。
[1]4℃[2]25℃[3]45℃[4]65℃[5]85℃
抽出後、3000rpmで20分間遠心分離した。上清を除去し、沈殿は減圧濃縮乾固後、DMSOで50mg/mlになるように溶解し、メタノール抽出物水再抽出沈殿サンプルを得た。実施例8〜12は表3の通りである。
【0045】
【表3】

【0046】
3.水量による違い(実施例13〜17)
上記メタノール抽出により得られた乾固物を50ml遠心チューブに各0.4gずつ取り分け、次の水量の水を加え懸濁し、4℃で3時間振とうすることにより抽出を行った。
[1]2ml[2]4ml[3]8ml[4]12ml[5]24ml
抽出後、3000rpmで20分間遠心分離した。上清を除去し、沈殿は減圧濃縮乾固後、DMSOで50mg/mlになるように溶解し、メタノール抽出物水再抽出沈殿サンプルを得た。実施例13〜17は表4の通りである。
【0047】
【表4】

【0048】
シークワサーメタノール抽出サンプルの調製(実施例18、比較例5)
シークワサー(本実験では、平均38.6mmのものを使用)を水で表面を洗浄し、フードプロセッサーで破砕後、凍結乾燥を行った。50ml遠心チューブに凍結乾燥物1g取り、メタノール20mlを加え懸濁し、室温で一晩振とうすることにより抽出を行った。翌日、3000rpmで20分間遠心分離し、上清を別チューブに移した。上清を採取した残渣に再びメタノール20mlを加え懸濁し、室温で1時間振とう後、3000rpmで20分間遠心分離し、上清を採取するという操作を4回繰り返し行った。計5回の抽出により得られた上清を合わせ、減圧濃縮乾固した。得られた乾固物を、DMSOに終濃度50mg/mLになるよう溶解し、シークワサーメタノール抽出物を得た(比較例5)。
濃縮した上記シークワサーメタノール抽出物0.4gに8mlの水を加えて懸濁した。4℃で3時間振とうした後、3000rpmで10分間遠心分離し、上清、沈殿をそれぞれ別チューブに取った。沈殿を減圧濃縮乾固し、得られた乾固物を、DMSOに終濃度50mg/mlになるよう溶解し、シークワサーメタノール抽出物の水再抽出サンプルを得た(実施例18)。
【0049】
(試験例1)ラット好塩基性白血病細胞株(RBL−2H3細胞)を用いた脱顆粒反応
実施例1〜17および比較例1〜5の抗アレルギー作用を評価するにあたり、ラット好塩基性白血病細胞株(RBL−2H3細胞)を用いて、抗原刺激に伴うβ−ヘキソサミニダーゼ酵素活性を指標とする脱顆粒反応を行った。
【0050】
RBL−2H3細胞をRPMI−1640培地(10%ウシ胎児血清、1%ペニシリン−ストレプトマイシンを含む)中に、1×106細胞/mlの濃度で懸濁した。
抗ジニトロフェニル特異的モノクローナル免疫グロブリンE(SIGMA社製)を終濃度0.6μg/mlになるように加え再懸濁後、24穴培養プレートに0.5mlずつ播種し、37℃、5%CO2下で一晩培養した。
培地に別に示す終濃度になるように同培地で希釈したサンプルを10μl加え、37℃、5%CO2下で30分間培養し、前処理を行った。なお、コントロールには培地内濃度が1%になるようにDMSOを10μl加えた。
30分後、培地を取り除き、0.1%ウシ血清アルブミンを含むPIPES生理食塩水(25mMPIPES−NaOH、159mMNaCl、5mMKCl、0.4mMMgCl2、1mMCaCl2、5.6mMグルコース、pH7.2)0.5mlで2回洗浄した後、更に同生理食塩水を0.5ml/穴に加えた。
抗原として、ジニトロフェニル結合ウシ血清アルブミンを5μl/穴(終濃度100ng/ml)加え、37℃、5%CO2下で30分間培養し、脱顆粒反応を誘発した。なお、脱顆粒反応陰性コントロールには上記生理食塩水を5μl/穴加えた。
30分後、氷上で冷却した96穴培養プレートにサンプル別培養上清を各50μlずつ移し、ここに等量の酵素基質液(5mM4−ニトロフェニル−N−アセチル−β−D−グルコサミニド、0.2Mクエン酸−NaOH、pH4.5)を加え、37℃、5%CO2下で酵素反応を行った。
1時間後、反応停止液として1M炭酸ナトリウムバッファー(pH9.5)を100μl/穴加えた。酵素反応により生成したp−ニトロフェノールの発色(405nm)を比色法により測定し、β−ヘキソサミニダーゼ酵素活性とした。
コントロール(DMSOで前処理、抗原刺激あり)測定値から陰性コントロール(DMSOで前処理、抗原刺激なし)の測定値を引いた値を100%とし、各サンプルで処理した細胞の活性を調べた。
【0051】
結果を図1〜7に示す。
図1は、比較例2(水抽出をしていないメタノール抽出サンプル)、比較例3、4(水抽出上清サンプル)並びに、実施例1〜2(水抽出残渣メタノール再抽出サンプル)の脱顆粒反応に対する抑制効果を示した(終濃度500μg/ml)。比較例3および4では脱顆粒抑制効果が認められなかった。一方、比較例2、実施例1〜2では有意な脱顆粒抑制効果が認められた。このことより、水に溶解する成分には脱顆粒抑制効果は認められず、これらを除いた水不溶物に脱顆粒抑制効果があることが明らかになった。また、その抑制効果は水処理工程を加えたもの程強く、加えた水量と相関があることが示された。
【0052】
図2は、脱顆粒反応に及ぼす温州みかんメタノール抽出物の水再抽出時間の検討結果を示した(終濃度500μg/ml)。水再抽出沈殿においては、いずれの抽出時間においても有意な脱顆粒抑制効果が認められた。
【0053】
図3は、脱顆粒反応に及ぼす温州みかんメタノール抽出物の水再抽出温度の検討結果を示した(終濃度500μg/ml)。いずれの抽出温度においても有意な脱顆粒抑制効果が認められた。特に、4℃で抽出を行った沈殿には顕著な脱顆粒抑制効果が認められ、85℃では他の温度と比較し効果が弱かった。
【0054】
図4は、脱顆粒反応に及ぼす温州みかんメタノール抽出物の水再抽出水量の検討結果を示した(終濃度500μg/ml)。水再抽出沈殿においては、いずれの抽出水量においても有意な脱顆粒抑制効果が認められた。水抽出量は8mlで顕著な脱顆粒抑制効果が認められた。
【0055】
図5は、図2〜図4で検討を行った好ましい条件における温州みかんメタノール抽出物の水再抽出サンプル(メタノール抽出物0.4gに対し、水8mlを加え、4℃で3時間抽出を行ったサンプル(実施例15))とメタノール抽出サンプル(比較例1)の脱顆粒反応に対する抑制効果を示した(終濃度500μg/ml)。いずれも、有意な脱顆粒抑制効果が認められたが、メタノール抽出物の水再抽出を行った場合の沈殿には、より強い活性が認められた。
【0056】
図6は、比較例1および実施例15の濃度と脱顆粒反応に対する影響の関係を示した(終濃度31.25μg/ml、62.5μg/ml、125μg/ml、250μg/ml、500μg/ml)。実施例15は、用量依存的に脱顆粒抑制効果を示し、比較例1よりもいずれの濃度においても優れた脱顆粒抑制効果を認めた。
これらの結果より、水処理して得られた温州みかん水不溶物が脱顆粒抑制効果に優れていることが明らかになった。
【0057】
図7は、シークワサーメタノール抽出物の水再抽出沈殿サンプル(実施例18)とメタノール抽出サンプル(比較例5)の脱顆粒反応に対する抑制効果を示した(終濃度500μg/ml)。メタノール抽出サンプル(実施例5)では、有意な脱顆粒抑制効果が認めらなかったが、メタノール抽出物の水再抽出沈殿サンプル(実施例18)には、抑制効果が認められた。
【0058】
以下に説明する実験動物を使ったアレルギーモデル実験に用いるサンプルを次のとおり調製した。
【0059】
生体での試験用サンプルの調製
凍結保存していた直径25 mm未満の未熟温州みかん2 kgを水で表面を洗浄し、フードプロセッサーで破砕後、凍結乾燥を行った。凍結乾燥物をフードプロセッサーで粉砕し、粉末サンプル(比較例6)を得た。
同量のみかんの表面を水で洗浄し、フードプロセッサーで破砕後、水を溜めた大型ビーカー内で懸濁した。その後、布巾で絞り、脱水後、凍結乾燥を行った。凍結乾燥物をフードプロセッサーで粉砕し、粉末サンプル(実施例19)を得た。
【0060】
(試験例2)ラットを用いた受身皮膚アナフィラキシー反応
上記調製サンプル(比較例6、実施例19)の生体における経口摂取による抗アレルギー作用を評価するにあたり、SDラットを用いて、抗原刺激に伴うアナフィラキシー反応に対する影響を調べた。
【0061】
紀和実験動物研究所より購入した雄のSDラット12匹(4週齢)を溶媒対照群、比較例6投与群、実施例19投与群の3群に各4匹ずつ分けた。
5日間、コンベンショナル動物室(気温23-25℃、湿度50-60 %、明暗周期14時間/10時間)で予備飼育を行い、飼育環境に慣れさせた。
予備飼育開始6日目より、4週間、経口胃ゾンデを用い、下記のとおりラット体重10 gあたり0.1 ml を1日1回強制経口投与した(500 mg/kg投与)。
【0062】
溶媒対照群には0.5%カルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液を投与した。
比較例6投与群(N=3)には、比較例6を上記水溶液に懸濁し投与した。
実施例19投与群(N=3)には、実施例19を上記水溶液に懸濁し投与した。
【0063】
4週間後、背面の毛を剃った。24時間後、抗ジニトロフェニル特異的モノクローナル免疫グロブリンEを0.1 %ウシ血清アルブミンを含むリン酸緩衝液で希釈した溶液を背面の皮内4-5箇所に各100 μl(15 μg/kg)投与した。皮内投与を行った位置に油性赤マジックで目印を付けた。
24時間後、0.1%ウシ血清アルブミンを含むリン酸緩衝液で1%エバンスブルー溶液を調製し、同溶液でジニトロフェニル結合ウシ血清アルブミンを溶解後、0.5ml(30μg/kg)尾静脈内投与した。
【0064】
30分後、安楽死を行い、目印を付けた部分の皮膚を切り取った。切り取った皮膚片を遠心チューブに入れ、1N KOH 1 mlを加え、40 ℃の温浴で一晩静置した。翌日、同チューブに0.6 Nリン酸2.5 mlを加え懸濁、中和後、タンパク質を除くためアセトン7 mlを加えた。よく懸濁し、2000×gで20分間遠心分離を行い、分光光度計で620 nmの上清の吸光度を測定した。
浸出したエバンスブルー色素濃度を指標に未熟温州みかん投与による受身皮膚アナフィラキシー反応抑制効果を評価した。
【0065】
結果は図8に示した。受身皮膚アナフィラキシー反応に対して、比較例6および実施例19投与群のいずれも抑制効果が認められたが、実施例19投与群の方が、比較例6投与群に比べてより強い抑制効果を認めた。以上の結果より、生体において水処理して得られた水不溶物を経口より摂取してもアレルギー抑制効果を示し、水処理して得られた水不溶物の方が、未処理のものに比して、抗アレルギー作用が優れていることが明らかになった。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】図1は、温州みかんの水抽出上清サンプル及び水抽出残渣メタノール再抽出サンプルの脱顆粒反応に対する抑制効果を示す(終濃度500μg/ml)。縦軸は(%コントロール)を表わしている。
【図2】図2は、温州みかんのメタノール抽出物の水再抽出沈殿サンプル(水再抽出時間による違い)の脱顆粒反応に対する抑制効果を示す(終濃度500μg/ml)。縦軸は(%コントロール)を表わしている。
【図3】図3は、温州みかんのメタノール抽出物の水再抽出沈殿サンプル(水再抽出温度による違い)の脱顆粒反応に対する抑制効果を示す(終濃度500μg/ml)。縦軸は(%コントロール)を表わしている。
【図4】図4は、温州みかんのメタノール抽出物の水再抽出沈殿サンプル(水再抽出水量による違い)の脱顆粒反応に対する抑制効果を示す(終濃度500μg/ml)。縦軸は(%コントロール)を表わしている。
【図5】図5は、図2〜図4で検討を行った好ましい条件における温州みかんメタノール抽出物の水再抽出沈殿サンプル(抽出時間:3時間、抽出温度:4℃、抽出水量:8ml)とメタノール抽出サンプルの脱顆粒反応に対する抑制効果を示す(終濃度500μg/ml)。縦軸は(%コントロール)を表わしている。
【図6】図6は、図5で示した結果をより詳細に温州みかんメタノール抽出物の水再抽出サンプルの異なる濃度で検討を行った脱顆粒反応に対する抑制効果を示す(終濃度31.25μg/ml、62.5μg/ml、125μg/ml、250μg/ml、500μg/ml)。
【図7】図7は、シークワサーのメタノール抽出物の水再抽出沈殿サンプルとメタノール抽出サンプルの脱顆粒反応に対する抑制効果を示す(終濃度500μg/ml)。縦軸は(%コントロール)を表わしている。
【図8】図8は、ラット受身皮膚アナフィラキシー反応に対する抑制効果を示す。縦軸は(%コントロール)を表わしている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柑橘類果実の水不溶物を含有する抗アレルギー剤。
【請求項2】
柑橘類果実のアルコール可溶性の水不溶物を含有する抗アレルギー剤。
【請求項3】
水不溶物が、柑橘類果実を破砕する工程、該破砕物を水処理する工程、水層を除去する工程を含む方法により得られるものである、請求項1または2に記載の抗アレルギー剤。
【請求項4】
該破砕物1重量部に対して1〜10重量部の水で水処理する、請求項3に記載の抗アレルギー剤。
【請求項5】
水処理の温度が0〜85℃、時間が5分〜48時間である請求項3または4記載の抗アレルギー剤。
【請求項6】
アルコールで抽出する工程を含む請求項3〜5のいずれか1項に記載の抗アレルギー剤。
【請求項7】
アルコールがメタノールまたはエタノールである請求項6記載の抗アレルギー剤。
【請求項8】
柑橘類が、温州ミカン(Citrus unshiu)またはシークワサー(Citrus depressa)である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の抗アレルギー剤。
【請求項9】
柑橘類果実が、直径1〜4cmの柑橘類果実である、請求項8に記載の抗アレルギー剤。
【請求項10】
柑橘類果実の水不溶物を含有する抗アレルギー剤の製造方法であって、柑橘類果実を破砕する工程、該破砕物を水処理する工程、水層を除去し水不溶物を得る工程を含む製造方法。
【請求項11】
破砕物1重量部に対して1〜10重量部の水で水処理する、請求項10記載の製造方法。
【請求項12】
水処理の温度が0〜85℃、時間が5分〜48時間である請求項10または11記載の製造方法。
【請求項13】
さらにアルコールで抽出する工程を含む請求項10〜12のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項14】
アルコールがメタノールまたはエタノールである請求項13記載の製造方法。
【請求項15】
柑橘類果実の水不溶物を含有する、アレルギー性疾患の予防・改善作用を有するものであることを特徴とし、アレルギー性疾患の予防・改善のために用いられる旨の表示を付した食品。
【請求項16】
柑橘類果実のアルコール可溶性の水不溶物を含有する、アレルギー性疾患の予防・改善作用を有するものであることを特徴とし、アレルギー性疾患の予防・改善のために用いられる旨の表示を付した食品。
【請求項17】
水不溶物が、柑橘類果実を破砕する工程、該破砕物を水処理する工程、水層を除去する工程を含む方法により得られるものである、請求項15または16に記載の食品。
【請求項18】
破砕物1重量部に対して1〜10重量部の水で水処理する、請求項17に記載の食品。
【請求項19】
水処理の温度が0〜85℃、時間が5分〜48時間である請求項17または18に記載の食品。
【請求項20】
アルコールで抽出する工程を含む請求項17〜19のいずれか1項に記載の食品。
【請求項21】
アルコールがメタノールまたはエタノールである請求項20に記載の食品。
【請求項22】
柑橘類が、温州ミカン(Citrus unshiu)またはシークワサー(Citrus depressa)である、請求項15〜21のいずれか1項に記載の食品。
【請求項23】
柑橘類果実が、直径1〜4cmの柑橘類果実である、請求項22に記載の食品。
【請求項24】
柑橘類果実の水不溶物を含有するアレルギー性疾患の予防・改善用食品の製造方法であって、柑橘類果実を破砕する工程、該破砕物を水処理する工程、水層を除去し水不溶物を得る工程を含む製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−332117(P2007−332117A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−169333(P2006−169333)
【出願日】平成18年6月19日(2006.6.19)
【出願人】(504015528)南出商事株式会社 (3)
【出願人】(505127721)公立大学法人大阪府立大学 (688)
【Fターム(参考)】