説明

抗アレルゲン性セルロース繊維及びその製造方法

【課題】 本発明は、アレルゲンが特異抗体と反応するのを効果的に抑制し、アレルギー症状の軽減或いはその発現の予防をすることができる抗アレルゲン性セルロース繊維を提供する。
【解決手段】 本発明の抗アレルゲン性セルロース繊維は、セルロースを溶解させた液に抗アレルゲン性を有する水溶性化合物を添加してなる紡糸原液を再生浴に押出して繊維状に凝固再生させてなることを特徴とするので、優れた抗アレルゲン性を有していると共に、抗アレルゲン性を有する水溶性化合物が確実に保持されており、洗濯などによって水に流されてしまうことはなく、長期間に亘って優れた抗アレルゲン性を発揮する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スギなどの草木の花粉やダニ、室内の塵などのアレルゲンが特異抗体と反応するのを抑制することができる抗アレルゲン性セルロース繊維及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、アレルギー性鼻炎などの多くのアレルギー疾患が問題となってきている。このアレルギー疾患の主な原因としては、住居内に生息するダニ類、特に、室内塵中に多く存在するヒョウヒダニのアレルゲン(Der1、Der2)や、主に春季に多量に空気中に浮遊するスギ花粉アレルゲン(Cry j1、Cry j2)などのアレルゲンが生活空間内に増加してきているためである。
【0003】
ヒョウヒダニのアレルゲンは、ヒョウヒダニそのものではなく、ヒョウヒダニの死骸や糞がアレルゲンとなるために、ヒョウヒダニを駆除しても、アレルギー疾患の根本的な解決にはならない。
【0004】
又、スギ花粉アレルゲンであるCry j1やCry j2は、各々分子量が約40kDaの糖タンパク質、分子量が約37kDaの糖タンパク質であり、これらのスギ花粉アレルゲンは、鼻粘膜などに付着すると生体外異物として認識されて炎症反応を引き起こす。
【0005】
従って、アレルギー疾患の症状を軽減し或いは新たなアレルギー症状を防止するためには、生活空間からアレルゲンを完全に取り除くか、アレルゲンを変性させるなどして不活性化させることが必要とされている。そこで、アレルゲンに作用してアレルゲンを変性し或いは吸着し、アレルゲンの特異抗体に対する反応性を抑制する効果(抗アレルゲン性)を有する製品が望まれている。
【0006】
アレルゲンは蛋白質であるので、アレルゲンを熱、強酸又は強アルカリなどで変性させると、アレルゲンはアレルゲン性を失うと考えられる。しかしながら、アレルゲンは非常に安定性が高く、家庭で安全に使用できる酸化剤、還元剤、熱、アルカリ、酸などでは容易に変性されない(非特許文献1参照)。
【0007】
又、アレルゲンに汚染された対象物に存在するアレルゲンを変性させようとすると、アレルゲンの汚染場所である対象物、例えば、畳、絨毯、床、家具(ソファー、布ばり椅子、テーブル)、寝具(ベッド、布団、シーツ)、車輛内用品(シート、チャイルドシート)、車輛内装材(天井材など)、キッチン用品、ベビー用品、カーテン、壁紙、タオル、衣類、ぬいぐるみ、その他の繊維製品、空気清浄機(本体及びフィルター)などが条件によっては破損してしまう可能性があった。
【0008】
このため、アレルゲンの分子表面を比較的温和な条件で化学的に変性する方法が考えられている。例えば、特許文献1では、生皮のなめしなどに用いられているタンニン酸を用いてアレルゲンを抑制する方法などが提案され、抗アレルゲン性も確認されているが、タンニン酸溶液そのものが濃褐色に着色しており、上記対象物をそのまま処理した場合、対象物に茶褐色のシミがついてしまうといった問題点や、水溶性であるため洗濯すると洗い流され抗アレルゲン性はなくなるが、シミだけが残るといった問題点があった。
【0009】
このように抗アレルゲン性を有する水溶性化合物を不織布、繊維、繊維製品、プラスチック製品、木質材料に加工した場合、洗濯を行ったときや水が噴霧されたとき、抗アレルゲン性を有する水溶性化合物が水で流されてしまい、抗アレルゲン性が持続しないという問題がある。
【0010】
このような場合、抗アレルゲン性を有する水溶性化合物が水で流されてしまうのを紡糸するためにバインダーとしてアクリルエマルジョンなどの樹脂エマルジョンが用いられているが、バインダー量が多いと、抗アレルゲン性を有する水溶性化合物がバインダーで被覆されてしまって抗アレルゲン性が発揮されない。一方、バインダー量が少ないと、抗アレルゲン性を有する水溶性化合物が水で流されるのを防止する効果を維持することができない。
【0011】
又、ビスコースレーヨンに機能性を付与する方法として種々の方法が開示されている。例えば、特許文献2には、ポリスチレンスルホン酸塩やポリスチレンカルボン酸塩を混合紡糸してカチオン染色性を改良する方法が開示されている。特許文献3には、スチレンスルホン酸化合物とスチレン化合物および架橋剤とからなる重合体微粒子を混合してカチオン染色性を改良するする方法が開示されている。特許文献4には、陰イオンを有する重合体を用いて第4級アンモニウム塩化合物を保持させて抗菌性を付与する方法が開示されている。しかしながら、引用文献2〜4には、ビスコースレーヨンに抗アレルゲン性を付与することについて一切の記載はない。
【0012】
銅アンモニアレーヨンに機能性を付与する方法として、例えば、特許文献5には、トルマリン微粒子を混合紡糸して活性電子を大幅に放出して、生体細胞に賦活効果を付与する方法が開示されており、特許文献6には、グルコース処理トルマリン微粒子を混合紡糸して活性電子を大幅に放出して、生体細胞に賦活効果を付与する方法が開示されているが、特許文献5、6には、銅アンモニアレーヨンに抗アレルゲン性を付与することについて一切の記載はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開昭61−44821号公報
【特許文献2】特開昭61−146810号公報
【特許文献3】特開2001−49519号公報
【特許文献4】特開平7−173711号公報
【特許文献5】特開平10−121322号公報
【特許文献6】特開2000−64174号公報
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】The Journal of Immunology Vol.144:1353-1360
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、アレルゲンが特異抗体と反応するのを効果的に抑制し、アレルギー症状の軽減或いはその発現の予防をすることができる抗アレルゲン性セルロース繊維及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の抗アレルゲン性セルロース繊維は、セルロースを溶解させた液に抗アレルゲン性を有する水溶性化合物を添加してなる紡糸原液を再生浴に押出して繊維状に凝固再生させてなることを特徴とする。
【0017】
セルロースを溶解させた液としては、例えば、ビスコースや、セルロースを銅アンモニア液に溶解させてなる液などが挙げられる。ビスコースは、例えば、下記の要領で製造される。針葉樹又は広葉樹材から亜硫酸法又は硫酸塩法で製造したレーヨン用溶解パルプ(α−セルロースを92〜93重量%含有する)をセルロース原料とし、このセルロース原料を水酸化ナトリウム水溶液と反応させてアルカリセルロースを製造する。次に、アルカリセルロースを25〜35℃にて24〜72時間放置して老成し、セルロースが紡糸に適した粘度となるように、セルロースの重合度を低下させる。しかる後、アルカリセルロースに二硫化炭素を加えてセルロースキサントゲン酸ナトリウムにすることによってビスコースを製造することができる。
【0018】
又、セルロースを銅アンモニア液に溶解させてなる液は、例えば、下記の要領で製造される。セルロース原料として精製コットンリンター又は精製木材パルプを用い、特に、α−セルロース99重量%以上のリンターが好ましい。一方、硫酸銅溶液にアンモニア水を常温で反応させ、塩基性硫酸銅とし、次に、水酸化ナトリウムを加えて銅アンモニア液を作製する。この銅アンモニア液にセルロース原料を加えて、セルロースを銅アンモニア液に溶解させてなる液を作製することができる。
【0019】
上述のようにして得られたセルロースを溶解させた液に抗アレルゲン性を有する水溶性化合物を添加して紡糸原液を作製する。抗アレルゲン性を有する水溶性化合物としては、抗アレルゲン性を有しておれば、特に限定されず、例えば、硫酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、塩化アルミニウム、酢酸アルミニウム、カリミョウバンなどのアルミニウム塩、オキシ塩化ジルコニウム、四塩化ジルコニウム、炭酸ジルコニウム、硝酸ジルコニル、酢酸ジルコニルなどのジルコニウム塩、ラウリル硫酸及びその塩、ラウリルベンゼンスルホン酸及びその塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸及びその塩、ドデシルジフェニルオキサイドジスルホン酸ナトリウムやメチルジフェニルエーテルジスルホン酸などのアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸及びその塩、タンニン酸、カテキン、ポリチロシン、芳香族スルホン酸基を有する重合体などが挙げられ、抗アレルゲン性セルロース繊維の耐洗濯性が向上することから、芳香族スルホン酸基を有する重合体が好ましく、ポリスチレンスルホン酸又はその塩がより好ましい。
【0020】
ここで、芳香族スルホン酸基とは、芳香族環にスルホン酸基(−SO3H)が直接結合している構造をいう。但し、スルホン酸基のHが、Na、K、Li,NH4、Ca、Mgなどの塩に置換されていてもよく、又、エチル基などの誘導体となっていてもよい。
【0021】
又、抗アレルゲン性とは、ヒョウヒダニのアレルゲン(Der1、Der2)、空気中に浮遊するスギ花粉アレルゲン(Cryj1、Cryj2)、犬や猫に起因するアレルゲン(Can f1、Fel d1)などのアレルゲンを変性し或いは吸着し、アレルゲンの特異抗体に対する反応性を抑制する効果をいう。このような抗アレルゲン性を確認する方法としては、例えば、ニチニチ製薬社から市販されているELISAキットを用いてELISA法により特異抗体との反応性を有するアレルゲン量を測定する方法、アレルゲン測定具(住化エンビロサイエンス社製 商品名「マイティーチェッカー」)を用いて特異抗体との反応性を有するアレルゲン量を評価する方法などが挙げられる。
【0022】
「水溶性」とは、20℃の蒸留水100gに対して溶解可能なグラム数(以下「溶解度」という)が1以上であることをいう。
【0023】
芳香族スルホン酸基を有する重合体としては、例えば、ポリスチレンをスルホン化してなる重合体、スチレンスルホン酸の単独重合体、スチレンスルホン酸と、このスチレンスルホン酸と共重合可能な単量体との共重合体、スチレンスルホン酸塩やスチレンスルホン酸エチルなどのスチレンスルホン酸誘導体の単独重合体、スチレンスルホン酸誘導体と、このスチレンスルホン酸誘導体と共重合可能な単量体との共重合体、ポリスチレンをスルホン化してベンゼン環にスルホン酸基又はその塩若しくは誘導体を導入した重合体などが挙げられ、スチレンスルホン酸塩の単独重合体、スチレンと、スチレンスルホン酸又はその塩との共重合体が好ましい。
【0024】
スチレンスルホン酸塩としては、例えば、スチレンスルホン酸ナトリウム、スチレンスルホン酸カリウム、スチレンスルホン酸リチウム、スチレンスルホン酸アンモニウムなどが挙げられる。
【0025】
又、スチレンスルホン酸又はこの誘導体と共重合可能な単量体としては、例えば、アクリル酸、ビニルピリジン、ビニルスルホン酸、スチレン、アクリロニトリル、ビニルアルコールが挙げられ、スチレンが好ましい。
【0026】
芳香族スルホン酸基を有する重合体が共重合体である場合は、共重合体中における芳香族スルホン酸基を有する単量体成分の含有量は、少ないと、抗アレルゲン性を有する水溶性化合物が抗アレルゲン性を発現しないことがあるので、5〜99.9重量%が好ましく、10〜99.9重量%がより好ましい。
【0027】
芳香族スルホン酸基を有する重合体が、芳香族スルホン酸基を有する単量体の単独重合体、又は、スチレン単独重合体をスルホン化してベンゼン環にスルホン酸基又はその塩若しくは誘導体を導入した重合体のZ平均分子量は、低いと、抗アレルゲン性を有する水溶性化合物の抗アレルゲン性が低下し、或いは、抗アレルゲン性を有する水溶性化合物の洗濯に対する耐久性が低下することがあるので、15万以上が好ましく、20万以上がより好ましく、50万以上が特に好ましいが、高過ぎると、芳香族スルホン酸基を有する重合体の取扱性や抗アレルゲン性セルロース繊維の紡糸性が低下することがあるので、300万以下が好ましい。
【0028】
芳香族スルホン酸基を有する重合体が、スチレンとスチレンスルホン酸との共重合体である場合、共重合体の重量平均分子量は、低いと、共重合体の抗アレルゲン性が低下し或いは抗アレルゲン性を有する水溶性化合物の洗濯に対する耐久性が低下することがあるので、1000以上が好ましく、3000以上がより好ましく、5000以上が特に好ましいが、高過ぎると、芳香族スルホン酸基を有する重合体の取扱性や抗アレルゲン性セルロース繊維の紡糸性が低下することがあるので、200万以下が好ましい。
【0029】
なお、本発明において芳香族スルホン酸基を有する重合体の重量平均分子量及びZ平均分子量は、サイズ排除クロマトグラフィーでポリエチレンオキシドを標準物質として測定したものをいう。重合体の重量平均分子量及びZ平均分子量は、例えば、下記の条件にて測定することができる。
カラム:(東ソー社製 TSKgel GMPWXL 7.8mmI.D.×30cm 2本)
溶離液:(0.2M硫酸ナトリウム水溶液:アセトニトリル=9:1)
流速:1ミリリットル/分
温度:40℃
検出:UV(210nm)
標準ポリエチレンオキシド:(東ソー社製、SE-2,5,8,15,30,70,150の7種類を使用)
【0030】
セルロースを溶解させた液に添加する抗アレルゲン性を有する水溶性化合物の量は、少ないと、抗アレルゲン性セルロース繊維の表面に存在する抗アレルゲン性を有する水溶性化合物の量が少なくなり、抗アレルゲン性セルロース繊維の抗アレルゲン性が低下することがあり、多いと、抗アレルゲン性セルロース繊維の強力が低下し、実用上、問題を生じることがあるので、セルロース100重量部に対して0.1〜40重量部が好ましく、1〜30重量部がより好ましく、1〜25重量部が特に好ましく、1〜20重量部が最も好ましい。
【0031】
次に、上述のようにして得られた紡糸原液を再生浴に押出して繊維状に凝固再生させることによって抗アレルゲン性セルロース繊維を得ることができる。具体的には、セルロースを溶解させた液としてビスコースを用いた場合には、紡糸原液中のビスコースを公知の要領で熟成させた後、紡糸原液を紡糸機に供給して口金から再生浴中に押出して繊維状に凝固再生させて抗アレルゲン性セルロース繊維を得ることができる。なお、再生浴としては、一般的に、硫酸8〜12重量%、硫酸ナトリウム15〜40重量%及び硫酸亜鉛0〜2重量%を含有してなる。
【0032】
又、セルロースを溶解させた液として、セルロースを銅アンモニア液に溶解させてなる液を用いた場合には、紡糸原液を必要に応じてアンモニア水で薄めてセルロース濃度、抗アレルゲン性を有する水溶性化合物濃度、銅濃度及びアンモニア濃度を調整して粘度を調整した上で金網を用いて濾過した上で脱泡する。次に、紡糸原液を用いて緊張紡糸法によって紡糸して抗アレルゲン性セルロース繊維を得ることができる。具体的には、紡糸原液を0.5〜1.0mmの比較的孔の大きい口金から30〜45℃の温水中に押出して紡糸原液を凝固させて得られた糸をろうとに通過させ、ろうとの通過中に水流によって数百倍に引延した後、糸を硫酸浴に通して脱銅すると共にセルロースを再生させて抗アレルゲン性セルロース繊維を得ることができる。
【0033】
このようにして得られた抗アレルゲン性セルロース繊維は、予め紡糸原液中に抗アレルゲン性を有する水溶性化合物を含有させており、この紡糸原液を紡糸して得られた繊維であるので、抗アレルゲン性セルロース繊維中に抗アレルゲン性を有する水溶性化合物を確実に保持させることができると共に、抗アレルゲン性セルロース繊維の表面にも抗アレルゲン性を有する水溶性化合物が露出した状態となっており、抗アレルゲン性セルロース繊維は、優れた抗アレルゲン性を有する。
【0034】
上記抗アレルゲン性セルロース繊維は、他の繊維と併用して用いられてもよく、このような繊維としては、例えば、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、セルロースアセテート繊維、ポリウレタン繊維、アクリル繊維、羊毛、絹などが挙げられる。
【0035】
本発明の抗アレルゲン性セルロース繊維を用いた繊維製品としては、例えば、畳、絨毯、家具(ソファー、布ばり椅子など)、寝具(ベッド、布団、布団の中綿、シーツ、マットレス、クッションなど)、車、飛行機、船などの車輛内装材(シート、チャイルドシート、マットなど)、ベビー用品、衣料(背広やスラックスなどの紳士服、ワンピース、スカートなどの婦人服、インナー、コート、洋装裏地など)、繊維製品(ウェットティッシュなどの不織布、カーテン、タオル、毛布、衣類、ぬいぐるみなど)、壁クロス、フェイスマスク、マスクやフィルターなどが挙げられる。
【0036】
このように抗アレルゲン性セルロース繊維を用いて得られた繊維製品は、抗アレルゲン性を有しており、繊維製品に付着するアレルゲンに対して抗アレルゲン性を発揮する。
【0037】
しかも、抗アレルゲン性セルロース繊維は、抗アレルゲン性を有する水溶性化合物がその製造工程中に添加されて製造されたものであり、繊維表面に単に付着させているものではないので、洗濯などの洗浄を繰返し行っても、繊維中に含まれている抗アレルゲン性を有する水溶性化合物が脱離するようなことはなく、長期間に亘って優れた抗アレルゲン性を持続する。
【発明の効果】
【0038】
本発明の抗アレルゲン性セルロース繊維は、セルロースを溶解させた液に抗アレルゲン性を有する水溶性化合物を添加してなる紡糸原液を再生浴に押出して繊維状に凝固再生させてなるので、優れた抗アレルゲン性を有していると共に、抗アレルゲン性を有する水溶性化合物が確実に保持されており、洗濯などによって水に流されてしまうことはなく、長期間に亘って優れた抗アレルゲン性を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
【0040】
(実施例1)
セルロース含有量8.5重量%及び水酸化ナトリウム5.8重量%を含有し且つセルロース100重量部に対して二硫化炭素32重量部を含有するビスコース(落球粘度:59秒、塩化アンモニウム価:16cm3)を用意した。
【0041】
20℃に保持されたビスコース5000重量部に、スチレン単独重合体をスルホン化してベンゼン環にスルホン酸ナトリウム基(-SO3Na)を導入した重合体12.8重量部(アクゾノーベル社製 商品名「VERSA−TL 502」、重量平均分子量:685000、Z平均分子量:1153000、溶解度:1以上)を添加して20℃にて均一になるまで攪拌して紡糸原液を作製した。なお、ビスコース中に添加したスチレン単独重合体をスルホン化してベンゼン環にスルホン酸ナトリウム基(-SO3Na)を導入した重合体の量は、ビスコース中のセルロース100重量部に対して3重量部であった。スチレン単独重合体をスルホン化してベンゼン環にスルホン酸ナトリウム基(-SO3Na)を導入した重合体において、スルホン酸ナトリウム基(-SO3Na)は全て、ベンゼン環のp−位に結合していた。
【0042】
硫酸110g/リットル、硫酸亜鉛15g/リットル及び硫酸ナトリウム350g/リットルを含有する再生浴を用意した。上記紡糸原液を紡糸機に供給して口金から再生浴中に紡糸速度50m/分、延伸率50%で押出して凝固再生させて紡糸し、繊度1.7デシテックスの抗アレルゲン性ビスコースレーヨンを得た。得られた抗アレルゲン性ビスコースレーヨンを繊維長51mmに切断した上で脱硫、漂白した。
【0043】
(実施例2)
実施例1で用いたビスコースを用意した。20℃に保持されたビスコース7000重量部に、ポリp−スチレンスルホン酸ナトリウム(p−スチレンスルホン酸ナトリウム単独重合体)水溶液(東ソー有機化学社製 商品名「ポリナスPS−50」、ポリp−スチレンスルホン酸ナトリウム:21.3重量%、ポリp−スチレンスルホン酸ナトリウムの重量平均分子量:354000、ポリp−スチレンスルホン酸ナトリウムのZ平均分子量:566000、溶解度:1以上)558.7重量部を添加して20℃にて均一になるまで攪拌して紡糸原液を作製した。なお、ビスコース中に添加したポリp−スチレンスルホン酸ナトリウムの量は、ビスコース中のセルロース100重量部に対して8重量部であった。
【0044】
得られた紡糸原液を用いて実施例1と同様にして紡糸して、繊度1.7デシテックスの抗アレルゲン性ビスコースレーヨンを得た。得られた抗アレルゲン性ビスコースレーヨンを繊維長51mmに切断した上で脱硫、漂白した。
【0045】
(実施例3)
実施例1で用いたビスコースを用意した。20℃に保持されたビスコース5000重量部に、スチレン−p−スチレンスルホン酸ナトリウム共重合体水溶液(東ソー有機化学社製 商品名「ST−5005」、スチレン−p−スチレンスルホン酸ナトリウム共重合体:21.3重量%、スチレン−p−スチレンスルホン酸ナトリウム共重合体の重量平均分子量:22000、p−スチレンスルホン酸ナトリウム成分:50重量%、溶解度:1以上)99.5重量部を添加して20℃にて均一になるまで攪拌して紡糸原液を作製した。なお、ビスコース中に添加したスチレン−p−スチレンスルホン酸ナトリウム共重合体の量は、ビスコース中のセルロース100重量部に対して5重量部であった。
【0046】
得られた紡糸原液を用いて実施例1と同様にして紡糸して、繊度1.7デシテックスの抗アレルゲン性ビスコースレーヨンを得た。得られた抗アレルゲン性ビスコースレーヨンを繊維長51mmに切断した上で脱硫、漂白した。
【0047】
(実施例4)
実施例1で用いたビスコースを用意した。20℃に保持されたビスコース5000重量部に、ポリp−スチレンスルホン酸ナトリウム(p−スチレンスルホン酸ナトリウム単独重合体)水溶液(東ソー有機化学社製 商品名「ポリナスPS−5」、ポリp−スチレンスルホン酸ナトリウム:21.6重量%、ポリp−スチレンスルホン酸ナトリウムの重量平均分子量:103000、ポリp−スチレンスルホン酸ナトリウムのZ平均分子量:171000、溶解度:1以上)491.9重量部を添加して20℃にて均一になるまで攪拌して紡糸原液を作製した。なお、ビスコース中に添加したポリp−スチレンスルホン酸ナトリウムの量は、ビスコース中のセルロース100重量部に対して3重量部であった。
【0048】
得られた紡糸原液を用いて実施例1と同様にして紡糸して、繊度1.7デシテックスの抗アレルゲン性ビスコースレーヨンを得た。得られた抗アレルゲン性ビスコースレーヨンを繊維長51mmに切断した上で脱硫、漂白した。
【0049】
(実施例5)
実施例1で用いたビスコースを用意した。20℃に保持されたビスコース5000重量部に、ポリp−スチレンスルホン酸ナトリウム(p−スチレンスルホン酸ナトリウム単独重合体)(ALDRICH社製 商品名「Poly(sodium 4-styrenesulfonate)」、重量平均分子量が67000、Z平均分子量:132000、溶解度:1以上)21.2重量部を添加して20℃にて均一になるまで攪拌して紡糸原液を作製した。なお、ビスコース中に添加したポリp−スチレンスルホン酸ナトリウムの量は、ビスコース中のセルロース100重量部に対して5重量部であった。
【0050】
得られた紡糸原液を用いて実施例1と同様にして紡糸して、繊度1.7デシテックスの抗アレルゲン性ビスコースレーヨンを得た。得られた抗アレルゲン性ビスコースレーヨンを繊維長51mmに切断した上で脱硫、漂白した。
【0051】
(実施例6)
実施例1で用いたビスコースを用意した。20℃に保持されたビスコース5000重量部に、スチレン−p−スチレンスルホン酸ナトリウム共重合体水溶液(東ソー有機化学社製 商品名「ST6001」、スチレン−p−スチレンスルホン酸ナトリウム共重合体:21.1重量%、スチレン−p−スチレンスルホン酸ナトリウム共重合体の重量平均分子量:6000、p−スチレンスルホン酸ナトリウム成分:60重量%、溶解度:1以上)100.7重量部を添加して20℃にて均一になるまで攪拌して紡糸原液を作製した。なお、ビスコース中に添加したスチレン−p−スチレンスルホン酸ナトリウム共重合体の量は、ビスコース中のセルロース100重量部に対して5重量部であった。
【0052】
得られた紡糸原液を用いて実施例1と同様にして紡糸して、繊度1.7デシテックスの抗アレルゲン性ビスコースレーヨンを得た。得られた抗アレルゲン性ビスコースレーヨンを繊維長51mmに切断した上で脱硫、漂白した。
【0053】
(実施例7)
実施例1で用いたビスコースを用意した。20℃に保持されたビスコース5000重量部に、タンニン酸(和光純薬社製、溶解度:1以上)21.3重量部を添加して20℃にて均一になるまで攪拌して紡糸原液を作製した。なお、ビスコース中に添加したタンニン酸の量は、ビスコース中のセルロース100重量部に対して5重量部であった。
【0054】
得られた紡糸原液を用いて実施例1と同様にして紡糸して、繊度1.7デシテックスの抗アレルゲン性ビスコースレーヨンを得た。得られた抗アレルゲン性ビスコースレーヨンを繊維長51mmに切断した上で脱硫、漂白した。
【0055】
(実施例8)
実施例1で用いたビスコースを用意した。20℃に保持されたビスコース7000重量部に、ポリp−スチレンスルホン酸ナトリウム(p−スチレンスルホン酸ナトリウム単独重合体)水溶液(東ソー有機化学社製 商品名「ポリナスPS−100」、ポリp−スチレンスルホン酸ナトリウム:20.7重量%、ポリp−スチレンスルホン酸ナトリウムの重量平均分子量:529000、ポリp−スチレンスルホン酸ナトリウムのZ平均分子量:758000、溶解度:1以上)28.7重量部を添加して20℃にて均一になるまで攪拌して紡糸原液を作製した。なお、ビスコース中に添加したポリp−スチレンスルホン酸ナトリウムの量は、ビスコース中のセルロース100重量部に対して1重量部であった。
【0056】
得られた紡糸原液を用いて実施例1と同様にして紡糸して、繊度1.7デシテックスの抗アレルゲン性ビスコースレーヨンを得た。得られた抗アレルゲン性ビスコースレーヨンを繊維長51mmに切断した上で脱硫、漂白した。
【0057】
(実施例9)
実施例1で用いたビスコースを用意した。20℃に保持されたビスコース7000重量部に、ポリp−スチレンスルホン酸ナトリウム(p−スチレンスルホン酸ナトリウム単独重合体)水溶液(東ソー有機化学社製 商品名「ポリナスPS−50」、ポリp−スチレンスルホン酸ナトリウム:21.3重量%、ポリp−スチレンスルホン酸ナトリウムの重量平均分子量:354000、ポリp−スチレンスルホン酸ナトリウムのZ平均分子量:566000、溶解度:1以上)335.3重量部を添加して20℃にて均一になるまで攪拌して紡糸原液を作製した。なお、ビスコース中に添加したポリp−スチレンスルホン酸ナトリウムの量は、ビスコース中のセルロース100重量部に対して12重量部であった。
【0058】
得られた紡糸原液を用いて実施例1と同様にして紡糸して、繊度1.7デシテックスの抗アレルゲン性ビスコースレーヨンを得た。得られた抗アレルゲン性ビスコースレーヨンを繊維長51mmに切断した上で脱硫、漂白した。
【0059】
(実施例10)
実施例1で用いたビスコースを用意した。20℃に保持されたビスコース7000重量部に、ドデシルジフェニルエーテルスルホン酸ジナトリウム水溶液(花王社製 商品名「ペレックスSS−L」、ドデシルジフェニルエーテルスルホン酸ジナトリウム:48.5重量%、溶解度:1以上)246.4重量部を添加して20℃にて均一になるまで攪拌して紡糸原液を作製した。なお、ビスコース中に添加したドデシルジフェニルエーテルスルホン酸ジナトリウムの量は、ビスコース中のセルロース100重量部に対して20重量部であった。
【0060】
得られた紡糸原液を用いて実施例1と同様にして紡糸して、繊度1.7デシテックスの抗アレルゲン性ビスコースレーヨンを得た。得られた抗アレルゲン性ビスコースレーヨンを繊維長51mmに切断した上で脱硫、漂白した。
【0061】
(実施例11)
25重量%アンモニア水1177重量部に塩基性硫酸銅270重量部を添加して銅アンモニア水溶液を調製し、この銅アンモニア水溶液に10重量%亜硫酸ナトリウム水溶液845重量部を添加した。
【0062】
上記銅アンモニア水溶液に、平均重合度が700の木綿リンターを湿式粉砕し、脱水して得られた含水リンター1022重量部を添加し、更に、濃度調整用脱イオン水105重量部を添加して攪拌して溶解させた。
【0063】
次に、上記銅アンモニア水溶液に10重量%水酸化ナトリウム水溶液117重量部を添加した上で、上記銅アンモニア水溶液に、ポリp−スチレンスルホン酸ナトリウム(p−スチレンスルホン酸ナトリウム単独重合体)水溶液(東ソー有機化学社製 商品名「ポリナスPS−50」、ポリp−スチレンスルホン酸ナトリウム:21.3重量%、ポリp−スチレンスルホン酸ナトリウムの重量平均分子量:354000、ポリp−スチレンスルホン酸ナトリウムのZ平均分子量:566000、溶解度:1以上)132.8重量部を添加して均一になるまで攪拌して紡糸原液を作製した。なお、銅アンモニア水溶液中に添加したポリp−スチレンスルホン酸ナトリウムの量は、銅アンモニア水溶液中のセルロース100重量部に対して10重量部であった。
【0064】
孔径0.08mm、孔数50の紡糸口金を使用し、上記紡糸原液を用いて通常の流下緊張法によって紡糸して凝固再生させて抗アレルゲン性銅アンモニアレーヨンを得た。
【0065】
(実施例12)
ポリp−スチレンスルホン酸ナトリウム(p−スチレンスルホン酸ナトリウム単独重合体)水溶液として、東ソー有機化学社から商品名「ポリナスPS−100」にて市販されているポリp−スチレンスルホン酸ナトリウム(p−スチレンスルホン酸ナトリウム単独重合体)水溶液(ポリp−スチレンスルホン酸ナトリウム:20.7重量%、ポリp−スチレンスルホン酸ナトリウムの重量平均分子量:529000、ポリp−スチレンスルホン酸ナトリウムのZ平均分子量:758000、溶解度:1以上)68.3重量部を用いたこと以外は実施例11と同様にして抗アレルゲン性銅アンモニアレーヨンを得た。なお、銅アンモニア水溶液中に添加したポリp−スチレンスルホン酸ナトリウムの量は、銅アンモニア水溶液中のセルロース100重量部に対して5重量部であった。
【0066】
(比較例1)
ポリp−スチレンスルホン酸ナトリウムを用いなかったこと以外は実施例1と同様にしてビスコースレーヨンを得た。
【0067】
(比較例2)
比較例1で作製したビスコースレーヨンをポリp−スチレンスルホン酸ナトリウム(p−スチレンスルホン酸ナトリウム単独重合体)水溶液(東ソー有機化学社製 商品名「ポリナスPS−100」、ポリp−スチレンスルホン酸ナトリウム:20.7重量%、ポリp−スチレンスルホン酸ナトリウムの重量平均分子量:529000、ポリp−スチレンスルホン酸ナトリウムのZ平均分子量:758000、溶解度:1以上)に浸漬した後、ビスコースレーヨンをポリp−スチレンスルホン酸ナトリウム(p−スチレンスルホン酸ナトリウム単独重合体)水溶液から取り出して乾燥させて、ビスコースレーヨンの表面にポリp−スチレンスルホン酸ナトリウム(p−スチレンスルホン酸ナトリウム単独重合体)を付着させて、抗アレルゲン性ビスコースレーヨンを得た。抗アレルゲン性ビスコースレーヨンの表面には、ビスコースレーヨン1000重量部に対してポリp−スチレンスルホン酸ナトリウム(p−スチレンスルホン酸ナトリウム単独重合体)10重量部が付着していた。
【0068】
(比較例3)
ポリp−スチレンスルホン酸ナトリウム(p−スチレンスルホン酸ナトリウム単独重合体)水溶液を用いなかったこと以外は実施例11と同様にして銅アンモニアレーヨンを得た。
【0069】
(比較例4)
比較例3で作製した銅アンモニアレーヨンをポリp−スチレンスルホン酸ナトリウム(p−スチレンスルホン酸ナトリウム単独重合体)水溶液(東ソー有機化学社製 商品名「ポリナスPS−100」、ポリp−スチレンスルホン酸ナトリウム:20.7重量%、ポリp−スチレンスルホン酸ナトリウムの重量平均分子量:529000、ポリp−スチレンスルホン酸ナトリウムのZ平均分子量:758000、溶解度:1以上)に浸漬した後、銅アンモニウムレーヨンをポリp−スチレンスルホン酸ナトリウム(p−スチレンスルホン酸ナトリウム単独重合体)水溶液から取り出して乾燥させて、銅アンモニウムレーヨンの表面にポリp−スチレンスルホン酸ナトリウム(p−スチレンスルホン酸ナトリウム単独重合体)を付着させて、抗アレルゲン性銅アンモニウムレーヨンを得た。抗アレルゲン性銅アンモニウムレーヨンの表面には、銅アンモニウムレーヨン1000重量部に対してポリp−スチレンスルホン酸ナトリウム(p−スチレンスルホン酸ナトリウム単独重合体)10重量部が付着していた。
【0070】
得られたレーヨンの初期抗アレルゲン性及び耐洗濯性を下記の要領で測定し、その結果を表1に示した。
【0071】
(初期抗アレルゲン性)
アレルゲンの冷結乾燥粉末(コスモ・バイオ社製 商品名「Mite Extract-Df」)をリン酸バッファー(pH7.6)に溶解させて、タンパク量が10μg/ミリリットルのアレルゲン水溶液を調製した。
【0072】
上記アレルゲン水溶液を3.5ミリリットルずつ供給した試験管を用意し、実施例及び比較例で得られたレーヨン0.2gをそれぞれ別々の試験管に供給して、アレルゲン水溶液に浸漬した。次に、試験管を37℃にて72時間に亘って振盪した。
【0073】
次に、試験管内のアレルゲン水溶液100マイクロリットルを、アレルゲン測定具(住化エンビロサイエンス社製 商品名「マイティーチェッカー」)に添加し、アレルゲン測定具の発色度合いを目視観察して下記の基準により初期抗アレルゲン性を評価した。なお、アレルゲン測定具の発色が濃いほどアレルゲンが液中に濃い濃度で存在している。
【0074】
5・・・濃く、太くはっきりとしたラインが観測された。
4・・・ラインであることがはっきりと分かる。
3・・・ライン状にうっすらと発色している。
2・・・うっすらと発色している。
1・・・全く発色していない。
【0075】
(耐洗濯性の評価)
実施例及び比較例で得られたレーヨン0.2gをそれぞれ別々のビーカーに入れ、ビーカー内に50℃のお湯を300ミリリットル加えて、ビーカー内をスターラーで5分間に亘って撹拌した後、ビーカー内のお湯を除去した。
【0076】
ビーカー内に50℃の新しいお湯を300ミリリットル加えてビーカー内をスターラーで5分間に亘って撹拌した後、ビーカー内のお湯を除去した。この操作を2回行った後のレーヨンの抗アレルゲン性を上記と同様の要領で測定し、耐洗濯性とした。
【0077】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロースを溶解させた液に抗アレルゲン性を有する水溶性化合物を添加してなる紡糸原液を再生浴に押出して繊維状に凝固再生させてなることを特徴とする抗アレルゲン性セルロース繊維。
【請求項2】
抗アレルゲン性を有する水溶性化合物が、芳香族スルホン酸基を有する重合体であることを特徴とする請求項1に記載の抗アレルゲン性セルロース繊維。
【請求項3】
抗アレルゲン性を有する水溶性化合物が、スチレンと、スチレンスルホン酸又はその塩との共重合体であることを特徴とする請求項2に記載の抗アレルゲン性セルロース繊維。
【請求項4】
芳香族スルホン酸基を有する重合体が、Z平均分子量が15万以上であるポリスチレンスルホン酸又はその塩であることを特徴とする請求項2に記載の抗アレルゲン性セルロース繊維。
【請求項5】
紡糸原液が、セルロース100重量部と抗アレルゲン性を有する水溶性化合物0.1〜40重量部とを含有することを特徴とする請求項1に記載の抗アレルゲン性セルロース繊維。
【請求項6】
セルロースを溶解させた液がビスコースであることを特徴とする請求項1に記載の抗アレルゲン性セルロース繊維。
【請求項7】
セルロースを溶解させた液が、セルロースを銅アンモニア液に溶解させてなる液であることを特徴とする請求項1に記載の抗アレルゲン性セルロース繊維。
【請求項8】
セルロースを溶解させた液に抗アレルゲン性を有する水溶性化合物を添加してなる紡糸原液を再生浴に押出して繊維状に凝固再生させることを特徴とする抗アレルゲン性セルロース繊維の製造方法。
【請求項9】
抗アレルゲン性を有する水溶性化合物が、芳香族スルホン酸基を有する重合体であることを特徴とする請求項8に記載の抗アレルゲン性セルロース繊維の製造方法。
【請求項10】
抗アレルゲン性を有する水溶性化合物が、スチレンと、スチレンスルホン酸又はその塩との共重合体であることを特徴とする請求項9に記載の抗アレルゲン性セルロース繊維の製造方法。
【請求項11】
芳香族スルホン酸基を有する重合体が、Z平均分子量が15万以上であるポリスチレンスルホン酸又はその塩であることを特徴とする請求項9に記載の抗アレルゲン性セルロース繊維の製造方法。
【請求項12】
紡糸原液が、セルロース100重量部と抗アレルゲン性を有する水溶性化合物0.1〜40重量部とを含有することを特徴とする請求項8に記載の抗アレルゲン性セルロース繊維の製造方法。

【公開番号】特開2011−1638(P2011−1638A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−143478(P2009−143478)
【出願日】平成21年6月16日(2009.6.16)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】