説明

抗インターフェロンα抗体

【課題】本発明は、概して、種々のIFN-αサブタイプに対して幅広い反応性を有する中和化抗IFN-αモノクローナル抗体の作製及び特徴付けに関する。さらに、IFN-αの増大した発現に関連している疾患、特に、インシュリン依存性糖尿病(IDDM)及び全身性エリテマトーデス(SLE)のような自己免疫疾患の診断及び治療における、そのような抗IFNα抗体の用途に関する。
【解決手段】少なくともIFNαサブタイプ、IFNα1、IFNα2、IFNα4、IFNα5、IFNα8、IFNα10、及びIFNα21と結合し、生物学的な活性を中和する抗IFNαモノクローナル抗体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
(発明の分野)
本発明は、概して、種々のIFN-αサブタイプに対して幅広い活性を有する中和抗INF-αモノクローナル抗体の生成及び特徴付けに関する。本発明は、さらに、IFN-αの増大した発現に関連した疾病、特にインシュリン依存性糖尿病(IDDM)及び全身性エリテマトーデス(SLE)等の自己免疫疾患の診断及び治療に関する。
【0002】
(関連する分野の説明)
(インターフェロンα(IFN-α))
インターフェロンは、当初、その抗ウイルス活性に関して発見されたが、その後の研究によって、その強力なサイトカインに関連する多くの制御活性が明らかにされてきた。I型インターフェロンは、IFH-α、IFH-β、IFN-δ、IFH-ω及びIFH-τを含むサイトカインの古くからのファミリーを形成する(Robertsら,J. Interferon Cytokine Res. 18: 805-816 [1998])。それらは、イントロンのない遺伝子によってコードされ、脊椎動物の中で広く分布している。IFN-βは霊長類及びげっ歯類の単一遺伝子によってコードされている一方で、10にとどまらず15の異なるサブタイプのINF-αが、それぞれマウス及びヒトで見出されてきた。他のI型インターフェロンは、例えば、ブタのIFN-δ、ウシ及び羊のIFN-τ、及びウシ及びヒトのIFN-ωのように、さらに限定されている。従って、ヒトI型インターフェロンは、IFN-αファミリーの複数メンバー、及びIFN-β及びIFN-ωファミリーの単一メンバーを含む。すべてのI型 IFNsは、少なくとも2つの膜スパンニングプロテイン(spanning protein)で構成される単一レセプターと結合すると思われる。II型インターフェロンは、その一方で、単一メンバー、IFN-γによって代表され、異なるレセプターと結合する。
【0003】
IFN-αを含むすべてのI型 IFNsは、抗ウイルス及び抗増殖活性を示し、それによってウイルス感染及び腫瘍のコントロールを補助するが(lefevreら,Biochimie 80: 779-788[1998];Hortonら,Cancer Res. 59: 4064-4068 [1999];Alexenkoら,J. Interferon Cytokine Res. 17: 769-779 [1997];Gresser, J. Leukoc. Biol. 61: 567-574[1997])、IFNαの増大した発現に関連する幾つかの自己疾患、最も顕著なのがインシュリン依存性糖尿病(IDDM)及び全身性エリテマトーデス(SLE)もある。
【0004】
自己免疫糖尿病又はインシュリン依存性糖尿病(IDDM)として知られているI型糖尿病は、自己反応性Tリンパ球による膵臓β細胞の選択的破壊によって特徴付けられる自己免疫疾患である(Bach, Endcor. Rev. 15: 516-542 [1994];Castano及びEisenbarth, Annu. Rev. Immunol. 8: 647-679 [1990];Shehadeh及びLafferty, Diabetes Rev. 1: 141-151 [1993])。IDDMの病理学は、非常に複雑で、後成的事象(恐らくはウイルス感染)、膵臓β細胞、及び遺伝的に敏感な宿主の免疫系の間の相互作用に関わっている。IFN-α及びIFN-γを含む多くのサイトカインが、ヒトの病因及び疾病の動物モデルに関わってきた(Campbellら,J. Clin. Invest. 87: 739-742[1991];Huangら,Diabetes 44: 658-664 [1995];Rhodes及び Taylor, Diabetologia 27: 601-603 [1984])。例えば、膵臓Ifn-α mRNA発現IDDMの患者のβ細胞における免疫反応性IFN-αの存在が、報告されている(Foulisら,Lancet 2: 1423-1427 [1987];Huangら,[1995]上掲;Somozaら,J. Immunol. 153: 1360-1377 [1994])。IFN-α発現は、ヒト島の主要組織適合性抗原(MHC)クラスIA抗原の過剰発現に関わっていた(Foulisら,[1987]上掲;Somozaら,[1994]上掲)。糖尿病性DP-BBラット及びストレプトゾトシン処理マウスである、自己免疫糖尿病の2つのゲッ歯類モデルでは、島でのIfn-α mRNA発現が膵島炎と糖尿病を先行した(Huangら,Immunity 1: 469-478[1994])。さらには、ハイブリッドヒトインシュリンプロモーター-Ifn-αコンストラクトを有するトランスジェニックマウスは、膵島炎と付随して起こる低インシュリン糖尿病を発症する(Stewartら,Science 260: 1942-1946[1993])。
【0005】
ウイルスなどの潜在的な糖尿病誘発刺激物へ応答する膵臓島細胞によるIFN-αの局所的発現が、糖尿病的プロセスを引き起こす可能性がある。開始剤としてのその役割と呼応して、IFN-αが、ヒト島から内皮細胞上で細胞間接着分子-1(ICAM-1)及びHLAクラスIAを誘導し、膵島炎の間に白血球浸潤に助長する(Chakrabartiら,J. Immunol. 157: 522-528[1996])。さらに、IFN-αは、島の抗原表示細胞上における同時刺激分子ICAM-1及びB7.2の誘導によって、T細胞刺激を促進する(Chakrabartiら,Diabetes 45: 1336-1343[1996])。これらの研究は、集約的に、β細胞による早期のIFN-α発現は、自己免疫糖尿病の惹起において重要な事象であり得ることを示している。ゲッ歯類でのIDDMの発症にIFN-γを関連させる多くの報告があるが、このサイトカインの発現とヒトIDDMの間の相関は弱い。従って、IFN-γを発現している細胞は、島への顕著なリンパ球の浸潤のために選択されたヒト患者の島の一部に見出すことができる。この基準によって選択されなかった患者のグループでは、IFN-γ発現とヒトIDDMの間には明かな関連性が無かった。
【0006】
全身性エリテマトーデス(SLE)の患者における増大したIFN-α発現のレベルに基づいて、IFN-αは、また、SLEの病因に関連させられている(Ytterberg 及びSchnitzer, Arthritis Rheum. 25: 401-406 [1982];Shiら,Br. J. Dermatol. 117: 155-159[1987])。興味深いことには、IFN-αはB型肝炎又はC型肝炎ウイルス感染による慢性肝炎等のウイルス感染だけでなく、現在は癌の治療に用いられている。自己免疫性を誘発する増大したIFN-αのレベルの観察と呼応し、IDDM、SLE及び自己免疫甲状腺炎等の自己免疫疾患の出現の顕著な増加が、IFN-α療法を受けている患者で報告されてきた。例えば、抗ウイルス療法としてのIFN-αの長期の使用によって、IDDM(Waguriら,Diabetes Res. Clin. Pract. 23: 33-36[1994];Fabrisら,J. Hepatol. 28: 514-517 [1998])又はSLE(Garcia-Pourruaら,Clin. Exp. Rheumatol. 16: 107-108 [1998])が誘導されることが示されている。IFN-α療法によるコクサッキー・ウイルスB(CBV)感染の治療は、やはりIDDMの誘導に関連している(Chehadehら,J. Infect. Dis. 181: 1929-1939 [2000])。同じように、IFN-αで治療した癌患者でのIDDM又はSLEを記録している多数ケースのレポートがある(Ronnblomら,J. Intern. Med. 227: 207-210[1990])。
【0007】
抗体療法
治療薬としてのモノクローナル抗体の用途は、ヒトへの使用又は臨床試験の後期のいずれかで許可された幾つかのモノクローナル抗体(mAbs)によって、一層受け入れらた。同種移植の拒絶反応の治療のために米国食品医薬局(FDA)によって認可された最初のmAbは、1986年の抗CD3(OKT3)である。それ以来、mAbの分野における進歩のペースはかなり加速し、特に1994年からは、ヒトの治療のためのさらに7つのmAbの認可につながっている。これらには、1994年の冠動脈血管形成術の合併症の取り扱いのためのレオプロ(ReoPro)(登録商標)、1997年の同種移植の拒絶反応の予防のためのZenapax(登録商標)(抗CD25)、1997年のB細胞非ボジキンリンパ腫の治療のためのリツキサン(Rituxan)(登録商標)(抗CD20)、最初は1998年のクローン病の治療、続いて1999年のリュウマチ様関節炎の治療のためのインフリキシマブ(Infliximab)(登録商標)(抗TNF-α)、1998年の同種移植の拒絶反応の予防のためのシムレクト(Simulect)(登録商標)(抗CD-25)、1998年の呼吸性感染の治療のためのシナジス(Synagis)(登録商標)(呼吸器合胞体ウイルスの抗Fタンパク質)、1998年のHER2過剰発現転移性乳腫瘍の治療のためのハーセプチン(Herceptin)(登録商標)(抗HER2/neu)が含まれる(Glennie及びJohnson, Immunol. Today 21: 403-410 [2000])。
【0008】
抗IFN-α抗体
mAbsによる介入に敏感な疾患の段階には、標的抗原の病理的レベルをすべて含まれる。例えば、SLEの患者の血清に存在し、IDDMの膵臓ランゲルハンス島によって発現するIFN-αを中和する抗体は、これら疾患の治療介入にとって潜在的な候補である。それは、また、IFN-α発現の潜在的な増加及び原因を含めて他の自己免疫疾患の治療的介入に用いることができる。ヒトIDDM(Foulis,ら,Lancet 2: 1423-1427 [1987];Huang,ら,Diabetes 44: 658-664 [1995];Somoza,ら,J. Immunol. 153: 1360-1377[1994])及びヒトSLE(Hooks,ら,Arthritis & Rheumatism 25: 396-400 [1982];Kim,ら,Clin. Exp. Immunol. 70: 562-569 [1987];Lacki,ら,J. Med. 28: 99-107 [1997];Robak,ら,Archivum Immunologiae et Therapiae Experimentalis 46: 375-380 [1998];Shiozawa,ら,Arthritis & Rheumatism 35: 417-422 [1992];von Wussow,ら,Rheumatology International 8: 225-230 [1988])の双方では、疾患とIFN-αの間には相関が見うけられるが、IFN-β又はIFN-γのいずれの間とは相関が見られなかった。従って、IDDM又はSLEにおける抗インターフェロンmAbの介入は、すべてではないが、どんなIFN-β又はIFN-γの顕著な中和もなにしに、殆どのIFN-αサブタイプの特異的な中和を必要とするであろう。これら前出の2つのインターフェロンの活性を無傷のままにしておくことは、また、顕著な抗ウイルス活性の保持を許容することにとって有利である。
【0009】
少数のmAbsが組み換えヒトIFN-αサブタイプの範囲と一致する反応性を示す一方で、それらは、分析された組み換えIFN-αサブタイプの限られた一部のみを中和することが見出されたか、又は刺激を受けた末梢血白血球によって産生されるIFN-αサブタイプの混合物を中和することはできなかった(Tsukuiら,Microbiol. Immunol. 30: 1129-1139 [1986]; Berg, J. Interferon Res. 4: 481-491 [1984]; Meager及びBerg, J. Interferon Res. 6: 729-736 [1986]; 米国特許第4,902,618号;及び欧州特許公開第0,139,676B1号)。
従って、他のインターフェロン生物学的機能を妨害しないが、殆ど、好ましくはすべてのIFN-αのサブタイプと結合するだけでなく、そのようなサブタイプを中和する抗IFN-α抗体に関する多大な需要がある。
【特許文献1】米国特許第4,902,618号
【特許文献2】欧州特許公開第0,139,676B1号
【発明の開示】
【0010】
(本発明の要約)
本発明は、試験された7つの異なる組み換えヒトIFN-αサブタイプのすべて、及び2つの関連性のない天然ヒトIFN-αサブタイプのプールを中和することが実験的に見出されたモノクローナル抗体の発生に基づいている。
一側面では、本発明は、少なくともヒトIFN-αサブタイプIFN-α1、IFN-α2、IFN-α4、IFN-α5、IFN-α8、IFN-α10、及びIFN-α21と結合し、その生物学的活性を中和する抗ヒトIFN-αモノクローナル抗体を提供する。さらなる側面では、本発明は、すべてのヒトIFN-αサブタイプと結合し、その生物学的活性を中和する抗ヒトIFN-αモノクローナル抗体を提供する。本発明の抗体は、該当するヒトIFN-αの生物学的活性を顕著に低下させるか又は除く。一実施態様では、本発明の抗体は、対象であるヒトIFN-αの生物学的活性の少なくとも60%、又は少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも85%、なおより好ましくは少なくとも90%、なおより好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも99%を中和することが可能である。その他の実施態様では、ヒトIFN-α生物学的活性中和化モノクローナル抗体は、対応するヒトIFN-ヨの生物学的活性を中和しない。
【0011】
対象であるヒトIFN-α’類の生物学的活性は、IFNAR2結合活性である可能性がある。特定の実施態様では、本発明は、抗ヒトIFN-∀モノクローナル抗体が、すべて又は実質的にすべてのヒトIFN-αサブタイプと結合し、そのIFNAR2結合活性の少なくとも60%、又は少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも85%、なおより好ましくは少なくとも90%、なおより好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも99%をブロックすることが可能であることを示す。その他の実施態様では、本発明は、IFN-∀サブタイプ1,2,4,5,8,10及び21と結合し、そのそれぞれのIFNAR結合活性の少なくとも60%、又は少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも85%、なおより好ましくは少なくとも90%、なおより好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも99%をブロックすることが可能な抗ヒトIFN-∀モノクローナル抗体を提供する。その他の実施態様では、抗ヒトIFN-∀モノクローナル抗体は、ヒトIFN-ヨと交差反応しない。
【0012】
対象であるヒトIFN-α’類の生物学的活性は、抗ウイルス活性である可能性がある。一実施態様では、抗ヒトIFN-∀モノクローナル抗体は、すべて又は実質的にすべてのIFN-αサブタイプと結合し、その抗ウイルス活性を中和することが可能である。その他の実施態様では、抗ヒトIFN-∀モノクローナル抗体は、ヒトIFN-∀サブタイプ1,2,4,5,8,10及び21と結合し、そのそれぞれの抗ウイルス活性を中和することが可能である。特定の実施態様では、本発明は、すべて又は実質的にすべてのヒトIFN-αサブタイプと結合し、その少なくとも60%、又は少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも85%、なおより好ましくは少なくとも90%、なおより好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも99%の抗ウイルス活性を中和することが可能である。さらにその他の実施態様では、本発明は、ヒトIFN-∀サブタイプ1,2,4,5,8,10及び21と結合し、そのそれぞれの少なくとも60%、又は少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも85%、なおより好ましくは少なくとも90%、なおより好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも99%の抗ウイルス活性を中和する抗ヒトIFN-∀モノクローナル抗体を提供する。さらにその他の実施態様では、ヒトIFN-α抗ウイルス中和化モノクローナル抗体は、ヒトIFN-ヨの抗ウイルス活性を中和しない。
【0013】
抗体は、マウス、ヒト化又はヒト抗体であってもよい。抗体は、マウス抗ヒトIFN-αモノクローナル抗体9F3、又はそのヒト化型、例えば13型(V13)又はそのキメラ型であり得る。本発明の範囲は、また、基本的には、マウス抗ヒトIFN-αモノクローナル抗体9F3又はそのヒト化又はキメラ型と同じようにIFN-αエピトープと結合する抗体を含む。例えば、この目的のために引用される抗体は、2001年1月18日にATCCへ寄託されて寄託番号PTA-2917を有するマウスハイブリドーマ細胞株9F3.18.5によって産生される抗IFN-α抗体である。その他の実施態様では、図5A(配列番号:1)に示されているマウス軽鎖可変ドメインアミノ酸配列、及び/又は図5B(配列番号:2)に示されているマウス重鎖可変ドメインアミノ酸配列を含むマウス又はマウス/ヒトキメラ抗ヒトIFN-αモノクローナル抗体を提供する。さらにその他の実施態様では、本発明は、図5A(配列番号:3)に示しされているヒト化軽鎖可変ドメインアミノ酸配列、及び/又は図5B(配列番号:5)に示されているヒト化軽鎖可変ドメインアミノ酸配列を含むヒト化抗ヒトIFN-αモノクローナル抗体を提供する。
【0014】
さらに提供されているのは、基本的には、マウス抗ヒトIFN-αモノクローナル抗体9F3又はそのヒト化又はキメラ型が結合しているヒトIFN-αサブタイプ1,2,4,8,10及び21上の同じエピトープと結合する抗ヒトIFN-αモノクローナル抗体である。さらにここで提供されているのは、ヒトIFN-αサブタイプ1,2,4,8,10及び21のそれぞれとの結合に関してマウス抗ヒトIFN-αモノクローナル抗体9F3と競合する抗ヒトIFN-αモノクローナル抗体である。
【0015】
同じく提供されているのは、ここで記載されている任意の抗体のをコードする単離された核酸分子、その単離された核酸分子を含むベクター、その核酸分子で形質転換した宿主細胞、及び核酸分子が発現して抗体が産生される条件下で宿主細胞を培養すること、及び場合によっては、宿主細胞からその抗体を回収することを含む抗体を産する方法である。この抗体は、IgGクラス及びアイソタイプ、例えばIgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4であってもよい。本発明の範囲は、また、Fv、scFv、Fab、F(ab')2及びFab'断片等の抗体断片が含む。
【0016】
その他の側面では、本発明は、以下のCDR(Kabat,ら,Sequence of Protein of Immunological Interest, 第5版, NIH出版 91-3242, ベセズダ,メリーランド[1991], 第1-3巻)を含む抗ヒトIFN-αモノクローナル抗体軽鎖又はその断片を提供する:(a)式RASQSVSTSSYSYMH(配列番号:7)のL1;(b)式YASNLES(配列番号:8)のL2;及び(c)式QHSWGIPRTF(配列番号:9)のL3。本発明の範囲は、また、そのような抗ヒトIFN-αモノクローナル抗体軽鎖断片の軽鎖可変ドメインを含む。本発明の範囲は、さらに、2001年1月9日にATCCへ寄託され、寄託番号PTA-2880を有するXAIFN-ChLpDR1ベクターによってコードされている、マウス/ヒトキメラ軽鎖可変ドメインアミノ酸配列、又は全キメラ軽鎖ポリペプチドアミノ酸配列を含む抗ヒトIFN-αモノクローナル抗体軽鎖ポリペプチドを含む。本発明の範囲は、さらに、2001年1月9日に寄託され、寄託番号PTA-2882を有するVLV30-IgGベクターによってコードされているヒト化軽鎖可変ドメインアミノ酸配列、又は全ヒト化軽鎖ポリペプチドアミノ酸配列を含む抗ヒトIFN-αモノクローナル抗体軽鎖ポリペプチドを含む。
【0017】
さらにその他の側面では、本発明は、以下のCDRを含む抗ヒトIFN-αモノクローナル抗体重鎖又はその断片を提供する:(a)式GYTFT EYIIH(配列番号:10)のH1;(b)式SINPDYDITNYNQRFKG(配列番号:11)のH2;及び(c)式WISDFFDY(配列番号:12)のH3。本発明の範囲は、また、そのような抗ヒトIFN-αモノクローナル抗体重鎖断片の軽鎖可変ドメインを含む。本発明の範囲は、さらに、2001年1月9日にATCCへ寄託され、寄託番号PTA-2883を有するXAIFN-ChLpDR2ベクターによってコードされている、マウス/ヒトキメラ重鎖可変ドメインアミノ酸配列、又は全キメラ重鎖ポリペプチドアミノ酸配列を含む抗ヒトIFN-αモノクローナル抗体重鎖ポリペプチドを含む。さらに含まれているのは、2001年1月9日に寄託され、寄託番号PTA-2881を有するVLV30-IgG2ベクターによってコードされているヒト化重鎖可変ドメインアミノ酸配列、又は全ヒト化重鎖ポリペプチドアミノ酸配列を含む抗ヒトIFN-αモノクローナル抗体重鎖ポリペプチドである。
【0018】
さらなる側面では、本発明は、(A)以下のCDRを含む、少なくとも1つの軽鎖又はその断片:(a)式RASQSVSTSSYSYMH(配列番号:7)のL1;(b)式YASNLES(配列番号:8)のL2;及び(c)式QHSWGIPRTF(配列番号:9)のL3;及び(B)以下のCDRを含む、少なくとも1つの重鎖又はその断片:(a)式GYTFTEYIIH(配列番号:10)のH1;(b)式SINPDYDITNYNQRFKS(配列番号:11)のH2;(c)式WISDFFDY(配列番号:12)のH3を含む抗ヒトIFN-αモノクローナル抗体を提供する。この抗体は、2つのジスルフィド結合した抗体重鎖-軽鎖対で構成されているホモ4量体構造である可能性がある。本発明の範囲は、特に、直鎖抗体、マウス抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、又はヒト抗体を含む。さらに提供されているのは、(1)2001年1月9日にATCCへ寄託され、寄託番号PTA-2880を有しているXAIFN-ChLpDR1ベクターによってコードされているマウス/ヒトキメラ軽鎖可変ドメインアミノ酸配列、又は全キメラ軽鎖ポリペプチドアミノ酸配列;及び(2)2001年1月9日にATCCへ寄託され、寄託番号PTA-2883を有しているXAIFN-ChLpDR2ベクターによってコードされているマウス/ヒトキメラ重鎖可変ドメインアミノ酸配列、又は全キメラ重鎖ポリペプチドアミノ酸配列を含むキメラ抗体である。さらに、ここで含まれているのは、(1)2001年1月9日に寄託され、寄託番号PTA-2882を有するVLV30-IgGベクターによってコードされているヒト化軽鎖可変ドメインアミノ酸配列、又は全ヒト化軽鎖ポリペプチドアミノ酸配列;(2)2001年1月9日に寄託され、寄託番号PTA-2881を有するVLV30-IgG2ベクターによってコードされているヒト化重鎖可変ドメインアミノ酸配列、又は全ヒト化重鎖ポリペプチドアミノ酸配列を含むヒト化抗体である。
【0019】
さらにその他の側面では、本発明は、製薬的に許容可能な担体と混合した本発明の抗体の有効量を含む製薬的組成物を提供する。
異なる側面では、本発明は、細胞でのIFN-αの発現と関連している症状の診断のための方法を提供し、それには、その細胞を抗IFN-α抗体と接触させ、IFN-αの存在を検出することが含まれる。
さらにその他の側面では、本発明は、患者でのIFN-αの発現に関連している疾病又は症状の治療のための方法を提供し、それには、抗IFN-α抗体の有効量を患者へ投与することが含まれる。この患者は哺乳動物の患者、好ましくはヒトの患者である。疾病は自己免疫疾患、例えばインシュリン依存性糖尿病(IDDM);全身性エリテマトーデス(SLE);又は自己免疫甲状腺炎である。
【0020】
(好ましい実施態様の詳細な説明)
A.定義
特に定義されなければ、ここで用いられるすべての技術的及び科学的用語は、本発明が属する分野の当業者によって共通に理解されるのと同じ意味を有する。例えば、Singletonら,Dictionary of Microbiology and Molecular Biology 第2版., J. Wiley & Sons(ニューヨーク,ニューヨーク 1994);Sambrookら,Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Cold Springs Harbor Press(コールド スプリング ハーバー,ニューヨーク 1989)を参照。本発明の目的のために、次の用語が下に定義されている。
【0021】
ここで用いられているように、「I型インターフェロン」は、任意の哺乳動物種の天然配列I型インターフェロンのすべてのサブタイプを含むように定義されており、それには、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンω及びインターフェロンτが含まれる。同じように、用語「ヒトI型インターフェロン」は、天然配列I型ヒトインターフェロンのすべてのサブタイプを含むように定義されおり、それには、ヒトインターフェロンα、インターフェロンβ及びインターフェロンωクラス、及び共通の細胞レセプターと結合するものが含まれる。
【0022】
特に明確に提供されなければ、用語「インターフェロンα」、「IFN-α」、及び「ヒトインターフェロンα」、「ヒトIFN-α」及び「hIFN-∀」は、ここで、天然配列ヒトインターフェロン-αのすべてのサブタイプを含む、天然配列ヒトアルファインターフェロンのすべての種を指す。天然(天然配列)ヒトインターフェロンαは、高度の構造的ホモロジーを有する異なる遺伝子によってコードされる23又はより近接した関連タンパク質を含む(Weissmann及びWeber, Prog. Nucl. Acid. Res. Mol. Biol. 33: 251[1986];Interferon Res., 13: 443-444[1993];Robertsら,J. Interferon Cytokine Res. 18:805-816[1998])。ヒトIFN-α遺伝子座は、2つのサブファミリーを含む。最初のサブファミリーは、14の機能の対立遺伝子から成り、それには、IFN-αA(IFN-α2)、IFN-αB(INF-α8)、IFN-αC(IFN-α10)、IFN-αD(IFN-α1)、IFN-αE(IFN-α22)、IFN-αF(IFN-α21)、IFN-αG(IFN-α5)、及びIFN-αH(IFN-α14)、そして少なくとも80%の相同性を有する偽遺伝子をコードする遺伝子を含む。第二のファミリーであるαII又はTは、少なくとも5つの偽遺伝子及びIFN-α遺伝子と70%の相同性を示す1つの機能遺伝子(ここでは「IFN-αII1」又は「IFN-T」で表示した)を含む(Weissmann及びWeber[1986]上掲)。
【0023】
ここで使用されているように、「第一ヒトインターフェロン∀(hIFN-∀」レセプター」、「IFN-∀R」、「hIFNAR1」、「IFNAR1」、及び「Uze鎖」は、Uzeら,Cell, 60: 225-234(1990)によってクローニングされた557アミノ酸レセプタータンパク質として定義され、Uzeらの229頁、図5に示されている409残基の細胞外ドメイン、21残基の膜貫通ドメイン、及び100残基の細胞内ドメインを含む。前出の用語によって同じく包含されるのは、IFNAR1の細胞外ドメイン(ECD)(又はECDの断片)を有するIFNAR1の断片である。
【0024】
ここで使用されているように、「二番目のヒトインターフェロン∀(hIFN-∀」レセプター」、「IFN-∀ヨR」、「hIFNAR2」、「IFNAR2」及び「Novick鎖」は、Domanskiら,J. Biol. Chem. 37: 21606-21611(1995)によってクローニングされた515アミノ酸レセプタータンパク質として定義され、Domanskiらの21608頁の図1に示されている217残基の細胞外ドメイン、21残基の膜貫通ドメイン、及び250残基の細胞内ドメインを含む。前出の用語によって同じく包含されるのは、IFNAR2の細胞外ドメイン(ECD)(又はECDの断片)を有するIFNAR2の断片、及びIFNAR2の可溶化形態、例えば、免疫グロブリン配列、例えば下に記載のようなIFNAR2 ECD-IgG Fcと融合したIFNAR2 ECDである。
【0025】
I型インターフェロン、IFN-α又はその他のポリペプチドとの関連での用語「天然配列」は、その調製の方法にもかかわらず、天然から得た対応するポリペプチドと同じアミノ酸配列を有するポリペプチドを指す。そのような天然配列ポリペプチドは天然から単離することが可能であり、組み換え及び/又は合成法又はその任意の組み合わせによって産生させることが可能である。「天然配列」という用語は、特に、完全長ポリペプチドの天然発生切断又は分泌型(例えば、細胞外ドメイン配列)、天然発生変異型(例えば、選択スプライシング型)、及び天然発生対立遺伝子変異体を包含する。
「ポリメラーゼ連鎖反応法」又は「PCR」とは、1987年7月28日に発行の米国特許第4,683,195号に記載されたような、核酸、RNA及び/又はDNAの特異的部分の微量を増幅した手法又は技術を指す。一般的に、オリゴヌクレオチドプライマーが設計できるように、興味の対象である領域の末端又はそれを越えた領域からの配列情報は入手可能となるべきである;これらのプライマーは、増幅されるテンプレートの反対側のストランドと配列において同一か又は類似している。2つのプライマーの5' 末端ヌクレオチドは、増幅した材料の末端と一致する。PCRは、特定のRNA配列、全ゲノムDNAからの特定のDNA配列、及び全細胞RNAから転写されたcDNA、バクテリオファージ又はプラスミド配列等を増幅するのに利用することができる。一般的には、Mullisら,Cold Spring Harbor Symp. Quant. Biol. 51: 263 (1987);Erlich, 編., PCR Technology(Stockton Press, ニューヨーク, 1989)を参照。ここで使用されているように、唯一ではないが、PCRは、既知の核酸をプライマーとして、そして核酸の特定の部分を増幅又は生成するために核酸ポリメラーゼを使用することを含む、核酸試験試料を増幅するための核酸ポリメラーゼ反応法の例の1つであると考えられる。
【0026】
「抗体(Abs)」及び「免疫グロブリン」(Igs)は、同じ構造特性を有する糖タンパク質である。抗体が特定の抗原との結合特異性を示す一方で、免疫グロブリンは、抗原特異性を欠く抗体及び他の抗体様分子の双方を含む。後者のようなポリペプチドは、リンパ系によって低レベルで、及びメラノーマによって増大したレベルで産生される。
【0027】
「天然抗体及び免疫グロブリン」は、通常は、約150,000ダルトンのヘテロ4量体糖タンパク質であり、2つの同一の軽(L)鎖及び2つの同一の重(H)鎖で構成される。各軽鎖は、1つの共有ジスルフィド結合によって重鎖と結合し、その一方で、異なる免疫グロブリンアイソタイプの重鎖の間では、ジスルフィド結合の数が変化する。各重鎖と軽鎖は、また、規則正しい間隔のある鎖内ジスルフィド架橋を有する。各重鎖は、一末端において、多くの定常ドメインが後に続く可変ドメイン(VH)を有する。各軽鎖は、一末端において可変ドメイン(VH)、その片方の末端に定常ドメインを有する;軽鎖の定常ドメインは、重鎖の最初の定常ドメインと並列していて、軽鎖可変ドメインは、重鎖の可変ドメインと並列している。特定のアミノ酸残基は、軽及び重鎖可変ドメインの間の境界面を形成すると考えられている(Chothiaら,J. Mol. Biol. 186:651 [1985]; Novotny及びHaber, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 82: 4592[1985]; Chothiaら,Nature 342: 877-883 [1989])。
【0028】
用語「可変」は、抗体間では、可変ドメインのある部分は、配列がかなり異なり、特定の抗原に対する各特定の抗体の結合及び特異性に使われているという事実を意味する。しかしながら、可変性は、抗体の可変ドメイン中に均一に分布しているのではない。それは、軽鎖及び重鎖可変ドメインの双方の相補鎖決定領域(CDRs)又は超可変領域と呼ばれている3つのセグメントに集中している。可変ドメインのさらに高度に保存された部分は、フレームワーク(FR)と呼ばれている。天然重鎖及び軽鎖の可変ドメインは、それぞれ4つのFR領域を含み、それらの大部分はβシート構造をとり、ループ構造を形成し、幾つかの場合には部分的にβシート構造を形成する3つのCDRで連結している。各鎖のCDRは、FR領域によって他の鎖のCDRと近接してまとまっており、抗体の抗原結合部位の形成を担っている(Kabatら.(1991)上掲)。定常ドメインは、直接には抗体の抗原への結合に関わっておらず、種々のエフェクター機能、例えば、抗体依存細胞毒性への抗体の関与を示す。
【0029】
抗体のパパイン消化によって、それぞれが単一抗原結合部位を有する「Fab」断片と呼ばれる2つの同一の抗原結合断片、そして名前がそれが容易に結晶化できることを反映している残基「Fc」断片をが生じる。ペプシン処理では、2つの抗原連結部位を有し、まだ抗原と架橋結合することが可能であるF(ab')断片が生じる。
【0030】
「Fv」は、完全な抗原認識及び結合部位を有する最少の抗体断片である。2本鎖Fv種では、この領域は、1つの重及び1つの軽鎖可変ドメインの堅くて、非共有結合の二量体から成る。一本鎖Fv種では、軽及び重鎖がその2本鎖Fv種において「二量体」構造類似体で会合することができるように、1つの重及び1つの軽鎖可変ドメインは、適応性のあるペプチドリンカーによって共有的に連結することができる。各可変ドメインの3つのCDRが相互作用することでVH-VL二量体の表面上に抗原結合部位を定まるのは、この構造においてである。正確には、6つのCDRが、抗体へ抗原結合特異性を付与する。しかしながら、単一の可変ドメイン(又は、抗体へ特異的な3つのCDRのみを含むFvの半分)でさえ、全結合部位よりも低い親和性においてであるが、抗原を認識してそれと結合する能力を有する。
【0031】
Fab断片は、また、軽鎖の定常ドメイン及び重鎖の第一の定常ドメイン(CH1)を有する。Fab'断片は、抗体のヒンジ領域の1つ又はそれより多いシステインを含めて、重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端でのわずかの残基の付加によって、Fab断片とは異なる。Fab'-SHは、ここでは、定常ドメインのシステイン残基が遊離のチオール基を有するFab'のための記号表記である。F(ab')2抗体断片は、元々は、ヒンジシステインを有するFab'断片の対として産生された。抗体断片の他の化学カップリングも知られている。
【0032】
任意の脊椎動物種からの抗体(免疫グロブリン)の「軽鎖」は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、κ及びλと呼ばれる2つの明らかに異なる型の1つに当てはめることができる。
その重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列によって、免疫グロブリンは異なるクラスに当てはめることができる。免疫グロブリンの5つの主要なクラスがある:IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgM、及びこれらの幾つかは、さらにサブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1,及びIgA2にわけることができる。免疫グロブリンの異なるクラスと一致する重鎖定常ドメインは、それぞれα、δ、ε、γ、及びμと呼ばれている。免疫グロブリンの異なるクラスのサブユニット構造及び三次元構造は、良く知られている。
【0033】
用語「抗体」は、無傷の免疫グロブリンのすべてのクラス及びサブクラスを含む。用語「抗体」は、抗体断片も包含する。用語「抗体」は、特に、抗体断片クローンを含むモノクローナル抗体を包含する。
「抗体断片」は、無傷の抗体の抗原結合又は可変領域を有する無傷の抗体の一部分を含む。抗体断片の例には、Fab、Fab'、F(ab')2及びFv断片;ダイアボディー;一本鎖Fv(scFv)を含む一本鎖抗体分子;そして抗体断片から形成された多特異性抗体が含まれる。
【0034】
ここで用いられる「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体(又は抗体断片)を意味する、すなわち、集団を構成する個々の抗体が、少量存在しうる自然に生じる可能な突然変異を除いて同一である。モノクローナル抗体は、高度に特異的であり、単一の抗原部位に対するものである。さらには、概して異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を含む従来型(ポリクローナル)抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対するものである。それらの特異性の他に、ハイブリドーマ培養によって合成され、他の免疫グロブリンによる混入がないという点で、モノクロナール抗体は有利である。「モノクローナル」という修飾語は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体の特徴を示すものであって、ある特定の方法による抗体の産生を必要とすることを意味するためのものではない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、Kohler等, Nature, 256: 495 [1975]に最初に記載されたハイブリドーマ法によって作成してもよいし、組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号参照)によって作成してもよい。また「モノクローナル抗体」は、例えば、Clackson等, Nature, 352: 624-628 [1991]及び Marks等, J. Mol. Biol., 222: 581-597 (1991)に記載された技術を用いてファージ抗体ライブラリから単離した抗体断片(Fvクローン)を含む抗原認識及び結合部位のクローンを含む。
【0035】
ここで、モノクローナル抗体は特に、「キメラ」抗体(免疫グロブリン)を含み、それは、重鎖及び/又は軽鎖の一部が特定の種から誘導された又は特定の抗体クラス又はサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一又は相同であるが、鎖の残りの部分は他の種から誘導された又は他の抗体クラス又はサブクラスに属する抗体、並びにそれらが所望の生物学的活性を示す限りにおいて、それらの抗体の断片の対応する配列と同一又は相同である(Cabilityらへの米国特許第4,816,567号;Morrison等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81: 6851-6855 [1984])。
【0036】
非ヒト(例えばマウス)抗体の「ヒト化」型は、非ヒト免疫グロブリンから誘導された最小配列を含有する、キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖又はそれらの断片(例えば、Fv、Fab、Fab'、F(ab')2あるいは抗体の他の抗原結合性配列)である。大部分において、ヒト化抗体はヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)であって、そのレシピエントCDR由来の残基が、マウス、ラット又はウサギなどのヒト以外の種のCDR(ドナー抗体)に由来する所望の特異性、親和性及び容量を持つ残基で置換されている。ある場合は、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基が対応する非ヒト残基で置換される。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にも、移植されるCDR又は枠配列にも見られない残基を含んでもよい。これらの修飾は、抗体の性能をさらに精密かつ最適化するために施される。一般にヒト化抗体は、CDR領域の全て又は実質上全てが非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、FR領域の全て又は実質上全てがヒト免疫グロブリン配列のものである少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全部を含有するであろう。また、最適なヒト化抗体は、免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的にはヒト免疫グロブリンのものの少なくとも一部も含有するであろう。さらなる詳細については、Jones等, Nature 321: 522-525 (1986);Reichmann等, Nature 332: 323-329 (1988);及びPresta, Curr. Op. Struct. Biol. 2: 593-596 (1992);及びClark, Immunol. Today 21: 397-402(2000)を参照のこと。ヒト化抗体には、抗体の抗原結合領域が対象である抗原で免疫化したマカクザルによって産生された抗体から誘導したPrimatized(商品名)抗体が含まれる。
【0037】
「一本鎖Fv」又は「sFv」抗体断片は、抗体のVH及びVLドメインを含み、これらのドメインは単一のポリペプチド鎖に存在する。一般的に、FvポリペプチドはVH及びVLドメイン間にポリペプチドリンカーを更に含み、それはsFvが抗原結合に望まれる構造を形成するのを可能にする。sFvの概説については、The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 113, Rosenburg及びMoore編, Springer-Verlag, New York, pp. 269-315 (1994)のPluckthun、Dall'Acqua及びCarter, Curr. Opin. Struct. Biol. 8: 443-450(1998)、及びHudson, Curr. Opin. Immunol. 11:548-557(1999)を参照のこと。
【0038】
「ダイアボディ」なる用語は、二つの抗原結合部位を持つ小さい抗体断片を指し、その断片は同一のポリペプチド鎖(VH-VL)内で軽鎖可変ドメイン(VL)に重鎖可変ドメイン(VH)が結合している。非常に短いために同一鎖上で二つのドメインの対形成を不可能にするリンカーを使用して、ドメインを他の鎖の相補ドメインと強制的に対形成させ、二つの抗原結合部位を形成する。ダイアボディーは、例えば、欧州特許第404097号;国際公開第93/11161号;及びHollingerら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:6444-6448 (1993)に更に詳細に記載されている。
【0039】
「単離された」抗体とは、その自然環境の成分から同定され分離され及び/又は回収されたものを意味する。その自然環境の夾雑成分とは、抗体の診断又は治療への使用を妨害する物質であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質様又は非タンパク質様溶質が含まれる。好ましい実施態様において、抗体は、(1)ローリー(Lowry)法によって決定した場合95重量%以上の、最も好ましくは99重量%の抗体まで、(2)スピニングカップシークエネーターを使用することにより、少なくとも15のN末端あるいは内部アミノ酸配列の残基を得るのに充分な程度まで、あるいは(3)非還元あるいは還元条件下でのSDS-PAGEを行い、クーマシーブルーあるいは好ましくは銀染色によって、均一になるまで精製されうる。単離された抗体には、組換え細胞内のインサイツの抗体が含まれるが、これは抗体の自然環境の少なくとも1つの成分が存在しないからである。しかしながら、通常は、単離された抗体は少なくとも1つの精製工程により調製される。
【0040】
「中和抗体」とは、それが結合する標的抗原のエフェクター機能を除く又は顕著に減じることができる抗体分子を意味する。従って、「中和化」抗IFN-α抗体は、エフェクター機能、例えばIFN-αのレセプター結合及び/又は細胞応答の誘発を除くか又は顕著に減じることができる。
【0041】
本発明の目的に関して、IFN-αのレセプター活性化活性を中和する抗IFN-α抗体の能力をモニターすることができ、例えば、1995年6月1日に発行された国際公開95/14930に記載のキナーゼレセプター活性化(KIRA)アッセイでは、IFNAR1/R2レセプター複合体のチロシンリン酸化を減じる候補抗体の能力(リガンド結による)を測定することによる。
【0042】
本発明の目的に関しては、IFN-αによる細胞応答の誘発を中和する抗IFNα抗体の能力は、好ましくは、Kawade, J. Interferon Res. 1:61-70(1980)、又はKawade及びWatanabe, J. Interferon Res. 4:571-584(1984)、又はYousefi, ら,Am. Clin. Pathol. 83:735-740(1985)によって記載されているようにIFNαの抗ウイルス活性の中和化をモニターすることによって、或いは、Kurabayashiら,Mol. Cell. Biol., 15: 6386(1995)に記載のように、電気泳動度シフトアッセイにおいて、インターフェロン刺激応答エレメント(ISRE)に由来するオリゴヌクレオチドへのシグナル伝達分子であるインターフェロン刺激因子3(ISGF3)の結合を活性化するIFN-αの能力を中和する抗IFN-α抗体の能力を試験することによって試験される。
【0043】
「顕著な」減少とは、レセプター(例えば、IFNAR2)結合及び/又は細胞応答の誘発などの標的抗原(例えば、IFN-α)のエフェクター機能の少なくとも約60%、又は少なくとも約70%、好ましくは少なくとも約75%、さらに好ましくは少なくとも約80%、なおさらに好ましくは少なくとも約85%、よりさらに好ましくは少なくとも約90%、よりさらに好ましくは少なくとも約95%、最も好ましくは少なくとも約99%の減少を意味する。好ましくは、ここで定義されている「中和化」抗体は、Kawade(1980), 上掲, 又はYousefi(1985), 上掲の抗ウイルスアッセイによって測定されるように。IFN-αの抗ウイルス活性の少なくとも約60%、又は少なくとも約70%、好ましくは少なくとも約75%、さらに好ましくは少なくとも約80%、なおさらに好ましくは少なくとも約85%、よりさらに好ましくは少なくとも約90%、よりさらに好ましくは少なくとも約95%、最も好ましくは少なくとも約99%を中和することができる。その他の好ましい実施態様では、ここでの「中和化」抗体は、上で引用したKIRAアッセイで測定されるように、IFN-α結合によって、IFNAR1/IFNAR2レセプター複合体のチロシンリン酸化の減少を少なくとも約60%、又は少なくとも約70%、好ましくは少なくとも約75%、さらに好ましくは少なくとも約80%、なおさらに好ましくは少なくとも約85%、よりさらに好ましくは少なくとも約90%、よりさらに好ましくは少なくとも約95%、最も好ましくは少なくとも約99%減少させることができる。特に好ましい実施態様では、ここでの中和化抗IFN-α抗体は、すべて、又は実質的にすべてのIFN-αのサブタイプを中和し、IFN-ヨを中和することができない。この文脈において、用語「実質上すべて」とは、抗IFN-αの中和化が、少なくともIFN-α1、IFN-α2、IFN-α4、IFN-α5、IFN-α8、IFN-α10、及びIFN-α21を中和することを意味する。
【0044】
本発明の目的に関して、レセプターへのIFN-αの結合をブロックする抗IFN-α抗体の能力は、競合結合アッセイにおいて、IFNAR2へのIFN-α結合での無関係なコントロール抗体の等量濃度の効果と比較した、IFNAR2へのIFN-αの結合を減じるか又は除くある濃度の抗体の特性又は能力で定義される。好ましくは、このブロッキング抗IFN-α抗体は、I無関係なコントロール抗体と比較して、FNAR2へのIFN-αの結合を少なくとも約50%、又は少なくとも約55%、又は少なくとも60%、又は少なくとも約65%、又は少なくとも約70%、又は少なくとも約75%、又は少なくとも約80%、又は少なくとも約85%、又は少なくとも約90%、又は少なくとも約95%、又は少なくとも99%減少させる。
【0045】
本発明の目的に関して、IFNAR2へのIFN-αの結合をブロックする抗IFN-α抗体の能力は、例えば、Antibody: A Laboratory Manual, コールド スプリング ハーバー研究所, Ed Harlow 及び David Lane (1988)のルーチンな競合アッセイによって測定することができる。例えば、下の実施例2に記載のIFN-α結合ELISAアッセイを改良して、抗IFN-α抗体と可溶性IFNAR2の間の競合アッセイを利用することができる。そのようなアッセイは、IFN-αをマイクロタイタープレート上に層状にし、選択した濃度の標識IFNAR2 ECDヒト IgG Fc融合タンパク質と混合した非標識抗IFNα抗体、又は非標識コントロール抗体の連続希釈物で層状化したプレートをインキュベートし、各インキュベーション混合物中のシグナルを検出及び測定し、次いで、抗体の種々の希釈物によって表示されたシグナル測定を比較することによっておこなうことができる。
【0046】
特定の好ましい実施態様では、ここでの抗IFN-α抗体をブロックすることは、すべて、又は実質上すべてのIFN-αのサブタイプのIFNAR2結合をブロックすることができ、IFN-βとは交差反応しないであろう。この文脈では、用語「実質上すべて」は、抗IFN-α抗体をブロックすることは、少なくともIFN-α1、IFN-α2、IFN-α4、IFN-α5、IFN-α8、IFN-α10、及びIFN-α21のIFNAR2結合をブロックすることを意味する。特に好ましい実施態様では、本発明の抗IFN-α抗体をブロックすることは、IFN-αのすべての既知のサブタイプのIFNAR2結合をブロックすることである。
用語「エピトープ」は、タンパク質抗原上の(モノクローナル又はポリクローナル)抗体のための結合部位を指すために用いられる。
【0047】
特定のエピトープと結合する抗体は、「エピトープマッピング」によって同定される。タンパク質上のエピトープの位置をマッピング及び特徴付ける多くの方法が当該分野で知られており、これには、例えばHarlow 及びLane, Using Antibodies, a Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, コールド・スプリング・ハーバー,ニューヨーク,1999の第11章に記載されているような抗体-抗原複合体の結晶構造を解析すること、競合アッセイ、遺伝子断片発現アッセイ、及び合成ペプチドベースアッセイが含まれる。競合ELISAアッセイは、上と下で論じられている。遺伝子断片発現アッセイによると、タンパク質をコードしているオープンリーディングフレームは、ランダムに又は特定の遺伝的構築物のいずれかによって断片化されていて、タンパク質の発現断片の試験される抗体との活性が測定される。例えば、遺伝子断片はPCRによって生産され、次いで、放射性アミノ酸の存在下で転写されてインビトロでタンパク質へ翻訳される。抗体の放射標識タンパク質断片への結合は、次いで免疫沈降とゲル電気泳動によって測定される。特定のエピトープは、また、ファージ粒子の表面に表示されたランダムペプチド配列の大きなライブラリ(ファージライブラリ)を用いることによって同定される。或いは、重なり合ったペプチド断片の特定されたライブラリは、単純な結合アッセイで、試験抗体との結合を試験することができる。後者の方法は、約5から15のアミノ酸の直鎖状エピトープを特定するために適している。
【0048】
二つの抗体が同一又は立体的に重なり合ったエピトープを認識する場合、抗体は、参考の抗体のように、「本質的に同じエピトープ」と結合する。二つのエピトープが同一又は立体的に重なり合ったエピトープと結合するかどうかを決定するために、最も広くそして迅速な方法は競合アッセイであり、それは、標識抗原又は標識抗体のいずれかを用いて、全ての異なる形式で構成することができる。通常は、抗原は96ウェルプレート上に固定化され、標識抗体の結合を阻止する非標識抗体の能力は、放射性又は酵素標識を用いて測定する。
【0049】
ここで用いられる場合のアミノ酸又はアミノ酸残基という用語は、変異体について以下でさらに説明するように、天然発生Lアミノ酸又はDアミノ酸を意味する。共通して使用される一及び三文字略語が、アミノ酸についてここで用いられる(Bruce Albertsら, Molecular Biology of the Cell, Garland Publishing, Inc., New York (3d ed. 1994))。
【0050】
「パーセント(%)アミノ酸配列同一性」は、配列を整列させ、最大のパーセント配列同一性を得るために必要ならば間隙を導入し、如何なる保存的置換も配列同一性の一部と考えないとした、参考(例えばネガティブポリペプチド)配列中のアミノ酸残基と同一である候補配列のアミノ酸残基のパーセントとして定義されている。パーセントアミノ酸配列同一性を決定する目的のためのアラインメントは、当業者の技量の範囲にある種々の方法、例えばBLAST、BLAST-2、ALIGN、ALIGN-2又はMegalign(DNASTAR)ソフトウエアのような公的に入手可能なコンピュータソフトウエアを使用することにより達成可能である。当業者であれば、比較される配列の完全長に対して最大のアラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、アラインメントを測定するための適切なパラメータを決定することができる。しかし、ここでの目的のためには、%アミノ酸配列同一性値は、ALIGN-2プログラム用の完全なソースコードが下で提供されている配列比較プログラムALIGN-2を使用することによって得られる。ALIGN-2配列比較コンピュータプログラムはジェネンテック社によって作成され、ソースコードは米国著作権事務所, ワシントンD.C., 20559に使用者用書類とともに提出され、米国著作権登録番号TXU510087で登録されている。ALIGN-2はジェネンテック社、サウス サン フランシスコ, カリフォルニアから公的に入手可能であり、ALIGN-2プログラムのソースコード及びその使用のための指示書は、2000年6月6日に発行の国際出願公開第2000/39297号に開示されている。ALIGN-2プログラムは、UNIX(登録商標)オペレーティングシステム、好ましくはデジタルUNIX V4.0Dでの使用のためにコンパイルされる。全ての配列比較パラメータは、ALIGN-2プログラムによって設定され変動しない。
【0051】
ここでの目的のために、与えられたアミノ酸配列Bとの、又はそれに対する与えられたアミノ酸配列Aの%アミノ酸同一性(あるいは、与えられたアミノ酸配列Bと、又はそれに対して或る程度の%アミノ酸同一性を有する又は含む与えられたアミノ酸配列Aと言うこともできる)は次のように計算される:
分率X/Yの100倍
ここで、Xは配列アラインメントプログラムALIGN-2のA及びBのアラインメントによって同一であると記録されたアミノ酸残基の数であり、YはBの全アミノ酸残基数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと異なる場合、Bに対するAの%アミノ酸配列同一性は、BのAに対する%ポジティブとは異なることは理解されるであろう。 特に断らない限りは、ここでの全ての%アミノ酸配列同一性値は、上記のようにALIGN-2配列比較コンピュータプログラムを用いて得られる。しかし、%アミノ酸配列同一性値は、また、配列比較プログラムNCBI-BLAST2(Altschulら, Nucleic Acids Res. 25: 3389-3402 (1997))を用いて決定してもよい。NCBI-BLAST2配列比較プログラムは、http://www.ncbi.nlm.nih.govからダウンロードできる。NCBI-BLAST2は幾つかの検索パラメータを使用し、それら検索パラメータの全ては初期値に設定され、例えば、unmask=可、鎖=全て、予測される発生=10、最小低複合長=15/5、マルチパスe-値=0.01、マルチパスの定数=25、最終ギャップアラインメントのドロップオフ=25、及びスコアリングマトリクス=BLOSUM62を含む。
【0052】
アミノ酸配列比較にNCBI-BLAST2が用いられる状況では、与えられたアミノ酸配列Bとの、又はそれに対する与えられたアミノ酸配列Aの%アミノ酸配列同一性(あるいは、与えられたアミノ酸配列Bと、又はそれに対して或る程度の%アミノ酸配列同一性を持つ又は含む与えられたアミノ酸配列Aと言うこともできる)は次のように計算される:
分率X/Yの100倍
ここで、Xは配列アラインメントプログラムNCBI-BLAST2のA及びBのアラインメントによって同一であると記録されたアミノ酸残基の数であり、YはBの全アミノ酸残基数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと異なる場合、AのBに対する%アミノ酸配列同一性は、BのAに対する%アミノ酸配列同一性とは異なることは理解されるであろう。
【0053】
核酸は、他の核酸配列と機能的な関係にあるときに「作用可能に結合し」ている。例えば、プレ配列あるいは分泌リーダーのDNAは、ポリペプチドの分泌に関与するプレタンパク質として発現されているなら、そのポリペプチドのDNAに作用可能に結合している;プロモーター又はエンハンサーは、配列の転写に影響を及ぼすならば、コード配列に作用可能に結合している;又はリボソーム結合部位は、もしそれが翻訳を容易にするような位置にあるなら、コード配列と作用可能に結合している。一般的に、「作用可能に結合している」とは、結合したDNA配列が近接しており、分泌リーダーの場合には近接していて読みフェーズにあることを意味する。しかし、エンハンサーは必ずしも近接している必要はない。結合は簡便な制限部位でのライゲーションにより達成される。そのような部位が存在しない場合は、従来の手法に従って、合成オリゴヌクレオチドアダプターあるいはリンカーが使用される。
【0054】
用語「疾患の状態」は、細胞又は身体機能、系、又は器官の妨害、休止、又は障害が生じている細胞又は哺乳動物全体の生理学的状態を指す。
用語「有効量」とは、哺乳動物における疾患、疾病又は好ましかざる生理学的症状の治療(予防も含む)にとって効果的な薬剤の有効量を指す。本発明では、抗IFN-α抗体の「有効量」は、IDDM又はSLE等の自己免疫疾患を緩和、鈍化又は遅延させ;IDDM又はSLE等の自己免疫疾病の発症を予防又は阻害(すなわち、ある程度までやわらげ、そして好ましくは止める);及び/又はIDDM又はSLE等の自己免疫疾患に関連する1つ又はそれより多い症状をある程度まで和らげることが可能である。
【0055】
本発明の方法では、用語「コントロール」及びその文法上の変異体は、好まざる症状、例えば自己反応性T細胞及び自己免疫の発症等の生理学的症状を予防、部分又は完全阻害、縮小、遅延又は鈍化することを指すのに用いられる。
【0056】
「治療」とは、治癒的処置、及び予防的療法又は防止的療法の両方を指す。治療を必要とする対象には、既に障害を受けているもの並びに障害を予防されるべきものが含まれる。この発明の目的については、限定されるものではないが、有益又は所望される臨床的結果には、検出可能又は検出不可能に関わらず、症状の緩和、疾病の程度の縮小、疾病の安定した(即ち、悪化ではない)状態、疾病の進行の遅延又は鈍化、疾病状態の改善又は緩和、及び軽減(部分的又は全体のいずれか)が含まれる。「治療」は、また、治療を受けていない場合に予想される生存率に比べて伸びた生存率を意味することが可能である。治療を必要とするものには、疾患に罹りやすいものと同時に疾患にすでに罹っているもの、又は疾患が予防されるべきものを含む。
【0057】
「薬学的に許容可能な」担体、賦形剤、又は安定化剤とは、用いられる用量及び濃度で、それに曝される細胞又は哺乳動物にとって無毒なものである。多くの場合、生理学的に許容可能な担体とは、水溶性pH緩衝液である。生理学的に許容可能な担体の例は、緩衝液、例えばリン酸塩、クエン酸塩、及び他の有機酸塩;アスコルビン酸を含む酸化防止剤;低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリン;疎水性ポリマー、例えばポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えばグリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン又はリシン;グルコース、マンノース又はデキストリンを含む単糖類、二糖類、及び他の炭水化物;EDTA等のキレート剤;マンニトール又はソルビトール等の糖アルコール;ナトリウム等の塩形成対イオン;及び/又は非イオン性界面活性剤、例えばTWEEN(商品名)、ポリエチレングリコール(PEG)、及びPLURONICS(商品名)を含む。
【0058】
治療の対象のための「哺乳動物」は、ヒト、家庭及び農業用動物、動物園、スポーツ、又はペット動物、例えばイヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウサギなどを含む哺乳類に分類される任意の動物を意味する。好ましくは、哺乳動物はヒトである。
【0059】
B.本発明を実行する方法
1.抗体の生成
(i)ポリクローナル抗体
ポリクローナル抗体の調製方法は当業者に知られている。哺乳動物においてポリクローナル抗体は、例えば免疫化剤、及び所望するのであればアジュバントを、一又は複数回注射することで発生させることができる。典型的には、免疫化剤及び/又はアジュバントを複数回皮下又は腹腔内注射により、哺乳動物に注射する。この免疫化剤を免疫化された哺乳動物において免疫原性が知られているタンパク質、例えば、血清アルブミン、大豆トリプシンインヒビターに抱合させるのが有用である。使用され得るアジュバントの例には、フロイント完全アジュバント及びMPL-TDMアジュバントを含む。
【0060】
その他の好ましい実施態様では、動物を、IFN-αサブタイプに対して幅広い反応性を有する抗IFN-α抗体を生成するために、種々の混合物、好ましくはすべてのIFN-αサブタイプで免疫化する。その他の好ましい実施態様では、下の実施例1に記載のセンダイウイルスで誘導したバーキットリンパ腫細胞(ナマルバ細胞)によって分泌されたヒトリンパ芽球腫インターフェロンに存在するヒトIFN-αサブタイプの混合物で、動物を免疫化した。そのようなヒトリンパ芽球腫インターフェロンの適切な調製物は、シグマ化学会社、セイントルイス、ミズーリ州から商業的(製品番号 I-9887)に入手することができる。
【0061】
(ii)モノクローナル抗体
モノクローナル抗体は、Kohlerら, Nature, 256:495 (1975)によって最初に記載されたハイブリドーマ法、又は組換えDNA法(米国特許第4,816,567号)を利用して作成することができる。
ハイブリドーマ法では、ハムスター等のマウス又はその他の適切な宿主動物を上記のようにして免疫し、免疫化に用いたタンパク質と特異的に結合する抗体を産生するか又は産生することのできるリンパ球を誘発する。別法として、リンパ球をインビトロで免疫化してもよい。免疫化の後、リンパ球を単離し、ポリエチレングリコールのような適切な融合剤を用いて骨髄腫細胞株と融合させ、ハイブリドーマ細胞を形成させる(Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, 59-103頁[Academic Press, 1986])。
【0062】
こうして準備されたハイブリドーマ細胞を、好ましくは無融合の親骨髄腫細胞の成長又は生存を阻止する一種以上の物質を含有する適切な培地に播種し、生育させる。例えば、親骨髄腫細胞が酵素のヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT又はHPRT)を欠けていると、ハイブリドーマの培地は通常ヒポキサンチン、アミノプテリン及びチミジン(HAT培地)等のHGPRT欠乏性細胞の成長を阻止する物質を含む。
【0063】
好ましい不死化株化細胞は、効率的に融合し、選択された抗体生成細胞による安定した高レベルの抗体発現を支援し、HAT培地のような培地に対して感受性である。これらの中で好ましい骨髄腫株化細胞は、マウス骨髄腫ライン、例えば、ソーク・インスティテュート・セル・ディストリビューション・センター、サンディエゴ、カリフォルニア、アメリカ合衆国より入手することができるMOP-21およびMPC-11マウス腫瘍、及び、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション、ロックビル、メリーランド、アメリカ合衆国より入手することができるSP-2及び誘導株、例えばX63-Ag8-653細胞である。ヒト骨髄腫及びマウス−ヒトヘテロ骨髄腫株化細胞も、ヒトモノクローナル抗体の産生に関して記載されている(Kozbor, J.Immunol., 133:3001 (1984);Brodeurら, Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications,51-63頁、(Marcel Dekker, Inc., New York, 1987))。
【0064】
ハイブリドーマ細胞が生育する培養培地は、抗原に対するモノクローナル抗体の産生に関してアッセイされる。好ましくは、ハイブリドーマ細胞によって産生されたモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降によって、或いはラジオイムノアッセイ(RIA)又は酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)等のインビトロ結合アッセイによって測定する。 モノクローナル抗体の結合親和性は、例えば、Munsonら,Anal. Biochem., 107:220(1980)に記載のスキャッチャード分析によって測定することができる。
【0065】
所望の特異性、親和性、及び/又は活性の抗体を産生するハイブリドーマ細胞が一度同定されると、限界希釈法によりそのクローンをサブクローニングし、標準的な方法により増殖させることができる(Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, 59-103頁(Academic Press, 1986))。この目的のために適した培地は、例えば、D-MEM又はRPMI-1640培地を含む。さらには、このハイブリドーマ細胞は、動物の腹水症腫瘍として、インビボで増殖させることができる。
サブクローンにより分泌したモノクローナル抗体は、例えばプロテインA-セファロース、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、又はアフィニティークロマトグラフィー等の常套的な抗体精製法によって、培地、腹水、又は血清から適切に分離される。
【0066】
モノクローナル抗体をコードするDNAは、常法を用いて(例えば、マウス抗体の重鎖および軽鎖をコードしている遺伝子に特異的に結合できるオリゴヌクレオチドプローブを用いることによって)容易に分離されて、配列決定される。ハイブリドーマ細胞は、このようなDNAの好ましい供給源となる。ひとたび分離されたならば、組換え宿主細胞でモノクローナル抗体の合成を得るために、このDNAを発現ベクターへ配し、次いで、それを、この状況以外では抗体タンパク質を産生しない大腸菌細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、又は骨髄腫細胞のような宿主細胞へトランスフェクトしてもよい。例えば、相同的なマウス配列をヒト重鎖及び軽鎖定常ドメインの配列で置換することによって(Morrisonら, Proc.Nat.Acad.Sci.,USA,81:6851[1984])、又は免疫グロブリンコード化配列に非免疫グロブリンポリペプチドのコード化配列の全部又は一部を共有結合させることによって、このDNAを修飾することができる。この方法では、ここでの抗IFN-αモノクローナル抗体の結合特異性を有するように、「キメラ」又は「ハイブリッド」抗体は調製される。
【0067】
典型的には、このような非免疫グロブリンポリペプチドは、抗体の定常部を置換、又は本発明の抗体の1個の抗原結合部位の定常部を置換し、IFN-αに対する特異性を有する1個の抗原結合部位、及び異なる抗原に対する特異性を有するもう一つの抗原結合部位を含むキメラ二価抗体を作り出す。
キメラ又はハイブリッド抗体は、また、合成タンパク質化学において既知の方法を用いてインビトロで調製することができ、それには、架橋剤に関するものが含まれる。例えば、免疫毒素は、ジスルフィド交換反応を用いて、又はチオエーテル結合の形成によって構築され得る。この目的に関して適した試薬の例としては、イミノチオレート及びメチル-4-メルカプトブチリイミデートが含まれる。
抗体の組み換え産生は、より詳細に下に記載されている。
【0068】
(iii)ヒト化抗体
一般的に、ヒト化抗体には、非ヒト源由来の1つ又は複数のアミノ酸残基が導入されている。これら非ヒトアミノ酸残基は、多くの場合は「移入」可変ドメインに由来する「移入」残基と称されている。ヒト化は、基本的にウィンター(Winter)及び共同研究者の方法に従い、齧歯動物のCDR又はCDR配列でヒト抗体の該当する配列を置換することによっておこなうことができる(Jonesら, Nature, 321:522-525 [1986];Riechmannら, Nature, 332:323-327 [1988];Verhoeyenら, Science, 239:1534-1536 [1988];Clark, Immunol. Today 21: 397-402 [2000]で概説)。
【0069】
よって、このような「ヒト化」抗体は、無傷のヒト可変ドメインより実質的に少ない分が非ヒト種由来の対応する配列で置換されたキメラ抗体(Cabilly, 上掲)である。実際には、ヒト化抗体は典型的にはある程度のCDR残基及び場合によってはいくらかのFR残基が齧歯類抗体の類似する部位からの残基によって置換されるヒト抗体である。
【0070】
抗体が、抗原及び他の好ましい生物学的特性に対する高い親和性の保持をともなってヒト化されることは重要である。この目的を達成するために、好ましい方法によって、ヒト化抗体は、親及びヒト化配列の三次元モデルを用いて、親配列及び概念上のヒト化産物の分析の工程によって調製される。三次元免疫グロブリンモデルは、広く入手可能であり、当該分野に熟練した者にとっては良く知られている。可能選択された候補免疫グロブリン配列の可能性のある三次元立体配置構造を例示して表示するコンピュータープログラムが入手可能である。これら表示の検討によって、候補免疫グロブリン配列の機能化における残基の可能性ある役割の分析が可能になる、すなわち、候補免疫グロブリンのその抗原へ結合する能力に影響を及ぼす残基の分析である。この方法では、標的抗原に対して増大した親和性のような所望される抗体特性が達成されるように、FR残基がコンセンサス及び移入配列から選択されて組み合わされることが可能である。一般的に、CDR残基は、抗原結合に影響を与えることに、直接にそしてかなり十分に関与している。さらなる詳細については、米国特許第5,821,337号を参照のこと。
【0071】
(iv)ヒト抗体
ヒトmAbsを生成するために同じ技術を用いる試みは、適切なヒト骨髄腫細胞株が無いことによって妨げられてきた。最も良い結果は、ヘテロ骨髄腫(マウスxヒトハイブリッド骨髄腫)を融合相手として用いることで得られた(Kozbor, J.Immunol., 133:3001 (1984);Brodeurら, Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications,51-63頁、(Marcel Dekker, Inc., New York, 1987))。これに代わって、ヒト抗体分泌細胞は、エプスタイン・バーウイルス(EBV)による感染によって不死化することができる。しかしながら、EBV感染細胞をクローニングすることは難しく、通常は、比較的に低レベルの免疫グロブリンのみを産する(James及びBell, J. Immunol. Methods 100: 5-40[1987])。将来は、ヒトB細胞の不死化は、明確なトランスフォーミング遺伝子の組み合わせを導入することによって達成できる可能性がある。そのような可能性は、SV40ラージT腫瘍性タンパク質及びH-rasの発癌対立遺伝子をともなうテロメラーゼ触媒サブユニットの発現が、正常なヒト上皮及び繊維芽細胞の腫瘍化変換を引き起こしたという最近の証明によって強調されている(Hahnら,Nature 400: 464-468[1999])。
【0072】
免疫化することで、内因性免疫グロブリンの生産なしに、ヒト抗体のレパートリーを生産することが可能なトランスジェニック動物(例えばマウス)を生産することが現在は可能である(Jakobovitsら,Nature 362: 255-258 [1993];Lonberg及びHuszar, Int. Rev. Immunol. 13: 65-93 [1995]; Fishwildら,Nat. Biotechnol. 14: 845-851[1996];Mendezら,Nat. Genet. 15: 146-156 [1997]; Green, J. Immunol. Methods 231: 11-23[1999];Tomizukaら,Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97: 722-727[2000]; Littleら,Immunol. Today 21: 364-370[2000]で概説されている)。例えば、キメラ及び生殖細胞変異体マウスでの抗体重鎖J領域(JH)遺伝子のホモ接合体欠失によって、内在性抗体の産生の完全な阻害が生じることが説明されてきた(Jakobovitsら,Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 2551-2555[1993])。そのような生殖細胞変異マウスへのヒト生殖細胞免疫グロブリン遺伝子アレイの転移は、抗原刺激によるヒト抗体の産生を引き起こす(Jakobovitsら,Nature 362: 255-258 [1993])。
【0073】
Mendezら.(Nature Genetics 15: 146-156[1997])は、さらに技術を改良し、抗原による刺激を受けた際に、高親和性の完全なヒト抗体を生成する「Xenomouse(登録商標)II」と命名したトランスジェニックマウスの系統を作製した。これは、上に記載したような内因性のJHセグメントへの欠損をともなうマウスへのメガベースヒト重鎖及び軽鎖遺伝子座の生殖細胞系組み込みによって達成された。Xenomouse(登録商標)IIは、およそ66VH遺伝子、完全なDH及びJH領域及び3つの異なる定常領域(μ,δ及びχ)を含む1,020kbのヒト重鎖遺伝子座を有し、そしてまた、32Vκ遺伝子、Jκセグメント及びCκ遺伝子を含む800kbのヒトκ遺伝子座を有する。これらのマウスで生産される抗体は、遺伝子再構成、構築及びレパートリーを含む全ての点でヒトにおいて見られるものと極めて類似している。ヒト抗体は、マウス遺伝子座での遺伝子再構成を防ぐ内因性のJHセグメントの欠損のために、内因性抗体より優先的に多く発現される。
【0074】
Tomizukaら(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97: 722-727[2000])は、最近、1つは完全なIg 重鎖遺伝子座(IgH, 〜1.5 Mb)を有し、他方は完全なκ軽鎖遺伝子座(Igκ, 〜2Mb)を有する2つの異なったヒト染色体断片(hCFs)を内因性IgH及びIgκが不活性化したマウスへ導入することによる二重Tcマウスの作製を記述した。これらのマウスでは、マウス抗体が無い状態で抗原特異的ヒト抗体応答が高まった。このTc技術は、マウス又は他の動物でのメガベースを越える複合座又は遺伝子クラスター(例えば、T細胞レセプター、主要組織適合抗原複合体又はP450クラスター等をコードするもの)のヒト化を可能にすることができる。この方法のその他の利点は、大きな遺伝子座をクローニングする必要がないことである。すべてのIg遺伝子座を含むメガベースサイズを越えるDNA断片のクローニングは、酵母人工染色体を用いたとしても困難であるために、これには極めて有益である(Petersonら,Trends Genet. 13: 61-66[1997];Jacobovits, Curr. Biol. 4: 761-763[1994])。さらには、ヒトIgH遺伝子座の定常領域は、クローニングが困難な配列が含まれていることが知られている(Kang及びCox, Genomics 35: 189-195[1996])。
【0075】
別法として、ファージディスプレイ技術を、非免疫化ドナーからの免疫グロブリン可変(V)ドメイン遺伝子レパートリーから、インヴィトロでヒト抗体及び抗体断片を産出させるために使用することができる(McCaffertyら, Nature 348:552-553[1990];Kipriyanov及びLittle, Mol. Biotechnol. 12: 173-201[1999]で概説;Hoogenboom及びChames, Immunol. Today 21: 371-378[2000])。この技術によれば、抗体Vドメイン遺伝子は、繊維状バクテリオファージ、例えばM13又はfdの大きい又は小さいコートタンパク質遺伝子のいずれかへイン-フレームでクローンされ、ファージ粒子の表面において機能的抗体断片として表示される。繊維状粒子がファージゲノムの単一ストランドのDNAコピーを含むので、抗体の機能特性に基づいた選択によって、また、これらの特性を示す抗体をコードする遺伝子の選択を生じる結果となる。従って、ファージはB細胞の特性のいくつかを模倣している。ファージディスプレイは多様な形態で行うことができる(Johnson及びChiswell, Current Opinion in Structural Biology 3:564-571[1993]で概説されている;Winterら,Annu. Rev. Immunol. 12: 433-455[1994];Dall'Acqua及びCarter, Curr. Opin. Struct. Biol. 8: 443-450[1998];Hoogenboom及びChames, Immunol. Today 21: 371-378[2000])。V-遺伝子セグメントのいくつかの供給源がファージディスプレイのために使用可能である。Clacksonら, Nature, 352:624-628(1991)は、免疫化されたマウス脾臓から得られたV遺伝子の小ランダム組合せライブラリからの抗-オキサゾロン抗体の異なった配列を単離した。非免疫化ヒトドナーからのV遺伝子のレパートリーを構成可能で、抗原(自己抗原を含む)とは異なる配列の抗体を、Marksら, J. Mol. Biol. 222:581-597(1991)、又はGriffithら, EMBO J. 12:725-734(1993)に記載の技術に本質的に従って単離することができる。天然免疫応答では、抗体遺伝子は高速度で変異を蓄積する(体細胞過剰変異)。導入された幾つかの変化はより高い親和性を与え、そして高親和性表面免疫グロブリンを表示するB細胞は、後の抗原の挑戦の間に、優先的に複製されて分化する。この天然プロセスは、「チェーン・シャッフリング」として知られている技術を用いて模倣することができる(Marksら,Bio/Technol. 10, 779-783[1992])。この方法では、ファージディスプレイによって得られた「一次」ヒト抗体の親和性を、重鎖及び軽鎖V領域遺伝子を、免疫化していない供与体から得られたVドメイン遺伝子の天然発生変異体(レパートリー)のレパートリーで経時的に置き換えることによって改良することができる。この技術は、nMの程度での親和性で、抗体及び抗体断片の生産を可能にする。かなり大きなファージ抗体レパートリーを作製するための戦略(「全てのライブラリのもと」としても知られている)は、Waterhouseら,Nucl. Acids Res. 21, 2265-2266(1993)によって記載され、そのような大きなファージライブラリからの直接の高親和性ヒト抗体を単離は、印刷中のGriffithら,EMBO J. 13: 3245-3260(1994)によって報告されている。ジーンシャッフリングは、また、げっ歯動物の抗体からヒト抗体を誘導するために用いられ、そのヒト抗体は、初発のげっ歯抗体に対して類似の親和性及び特異性を有する。「エピトープ・インプリンティング」とも呼ばれるこの方法によると、ファージディスプレイ技術によって得られたげっ歯抗体の重又は軽鎖V遺伝子ドメイン遺伝子は、ヒトVドメイン遺伝子のレパートリーで置換されて、げっ歯-ヒトキメラを作成する。抗原での選択は、機能性抗原結合部位を使うことができるヒト可変部の単離を引き起こす結果となる、すなわちエピトープは、パートナーの選択を支配(インプリント)する。残りのげっ歯Vドメインを置換するために工程が繰り返されると、ヒト抗体が得られる(1993年4月1日に発行の国際公開93/06213を参照せよ)。CDR移植によるげっ歯抗体の伝統的なヒト化とは違って、この技術によって、げっ歯起源のフレームワーク又はCDR残基を有しない完全なるヒト抗体を提供される。
【0076】
(v)二重特異的抗体
二重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる抗原に対して結合特異性を有するモノクローナル抗体、好ましくはヒトもしくはヒト化抗体である。本発明の場合において、結合特異性の一方は、中和化抗体を提供するIFN-αに対するもので、他方は任意の他の抗原に対するものである。
【0077】
二重特異性抗体を作成する方法は当該技術分野において周知である。伝統的には、二重特異性抗体の組換え産生は、二つの重鎖が異なる特異性を持つ二つの免疫グロブリン重鎖/軽鎖対の同時発現に基づく[Millstein及びCuello, Nature, 305:537-539 (1983)]。免疫グロブリンの重鎖と軽鎖を無作為に取り揃えるため、これらハイブリドーマ(クアドローマ)は10種の異なる抗体分子の潜在的混合物を生成し、その内一種のみが正しい二重特異性構造を有する。通常はアフィニティークロマトグラフィー工程によって達成される正確な分子の精製は、どちらかというと面倒であり、その産物の量は低い。同様の手順が国際公開第93/08829号(1993年5月13日)、及びTraunecker等, EMBO J.,10:3655-3656 (1991)に開示されている。
【0078】
異なるそしてより好ましい方法によって、所望の結合特異性(抗体-抗原結合部位)を有する抗体可変ドメインを、免疫グロブリン定常ドメイン配列へ融合することができる。この融合は、好ましくは、少なくともヒンジ部、CH2及びCH3領域の一部を含む免疫グロブリン重鎖定常ドメインとのものである。少なくとも一つの融合には、軽鎖結合に必要な部位を含む第一の重鎖定常領域(CH1)が存在することが望ましい。免疫グロブリン重鎖融合体をコードするDNA、そして望むのであれば免疫グロブリン軽鎖を、別々の発現ベクターに挿入し、適当な宿主微生物へ同時形質移入する。これにより、組立に使用される三つのポリペプチド鎖の等しくない比率が最適な収率をもたらす態様において、三つのポリペプチドフラグメントの相互の割合の調節に大きな融通性が与えられる。しかし、少なくとも二つのポリペプチド鎖の等しい比率での発現が高収率をもたらすとき、又はその比率が特に重要性を持たないときは、2または3個全てのポリペプチド鎖のためのコード化配列を一つの発現ベクターに挿入することが可能である。このアプローチ法の好適な実施態様では、二重特異性抗体は、第一の結合特異性を有する一方のアームのハイブリッド免疫グロブリン重鎖と他方のアームのハイブリッド免疫グロブリン重鎖-軽鎖対(第二の結合特異性を提供する)ことからなる。二重特異性分子の半分にしか免疫グロブリン軽鎖がないと容易な分離法が提供されるため、この非対称的構造は、所望の二重特異性化合物を不要な免疫グロブリン鎖の組み合わせから分離することを容易にすることが分かった。
二重特異性抗体を産生する更なる詳細については、例えばSureshら, Methods in Enzymology, 121:210 (1986)を参照されたい。
【0079】
(vi)ヘテロコンジュゲート抗体
ヘテロコンジュゲート抗体もまた本発明の範囲に入る。ヘテロコンジュゲート抗体は、2つの共有結合した抗体からなる。このような抗体は、例えば、免疫系細胞を不要な細胞に対してターゲティングさせるため[米国特許第4,676,980号]及びHIV感染の治療のために[国際公開91/00360;国際公開92/200373;欧州特許第03089号]提案されている。ヘテロコンジュゲート抗体は、任意の常套的架橋法を用いて作製することができる。好適な試薬は当該分野で知られており、多くの架橋技術とともに米国特許第4,676,980号に開示されている。
【0080】
(vii)抗体断片
ある実施態様では、中和化抗IFN-α抗体(マウス、ヒト及びヒト化抗体及び抗体変異体を含む)は抗体断片である。抗体断片を生産するために様々な技術が開発されている。伝統的には、これらの断片は、無傷の抗体のタンパク分解性消化を介して誘導された(例えば、Morimotoら, J. Biochem. Biophys. Methods 24:107-117 (1992)及びBrennanら, Science, 229:81(1985)を参照されたい)。しかし、これらの断片は,現在は組換え宿主細胞により直接生産することができる(Hudson, Curr. Opin. Immunol. 11: 548-557[1999];Littleら,Immunol. Today 21: 364-370[2000])。例えば、Fab'-SH断片は大腸菌から直接回収することができ、化学的に結合してF(ab')2断片を形成することができる(Carterら, Bio/Technology 10:163-167[1992])。その他の実施態様では、このF(ab')2 は、ロイシンジッパーGCN4を用いてF(ab')2 分子のアセンブリを促進することで形成される。その他の方法によると、Fv、Fab又はF(ab')2 断片は、組換え宿主細胞培養から直接分離することができる。抗体断片の産生に関する他の技術は、熟練技術者にとって明かである。
【0081】
(viii)抗体のアミノ酸配列変異体
ここで所望される抗IFN-α抗体のアミノ酸配列修飾を検討する。例えば、抗体の結合親和性及び/又は他の生物学的特性を改良することが望ましいであろう。抗IFN-α抗体のアミノ酸配列変異体は、抗IFN-α抗体鎖をコードする核酸へ適切なヌクレオチド変化を導入することによって、又はペプチド合成によって調製される。そのような修飾には、例えば、抗IFN-α抗体のアミノ酸配列内の残基の欠失、及び/又は挿入及び/又は置換を含む。欠失、挿入、及び置換の任意の組み合わせは、最終的なコンストラクトに達するまでなされ、その最終的なコンストラクトは所望の特徴を有する。このアミノ酸変化は、また、グリコシル化部位の数又は位置を変化させるなどの抗IFN-α抗体の翻訳後プロセスを改変することができる。
【0082】
突然変異誘発にとって好ましい位置である中和化抗IFN-α抗体のある残基又は領域の同定に関する有用な方法は、Cunningham及びWells , Science 244: 1081-1085 (1989)に記載されているように「アラニンスキャンニング突然変異誘発」と呼ばれる。ここで、アミノ酸による抗原との相互作用に影響を及ぼすために、標的残基の残基又は基を同定(例えば、arg, asp, his, lys,及びglu等の荷電残基)し、中性又は負荷電アミノ酸(最も好ましくはアラニン又はポリアラニン)で置換する。次に、置換の部位へ又はそれの代わりに、さらなる又は他の変異体を導入することによって、置換に対して機能上の感受性を示すこれらのアミノ酸の位置を精緻化する。従って、アミノ酸配列変異を導入する部位は予め決定されるが、変異自体の性質は予め決める必要はない。例えば、与えられた部位における性能を分析するために、alaスキャンニング又はランダム突然変異誘発を標的コドン又は領域で実施し、発現した抗IFN-α抗体変異体を、所望の活性に関してスクリーニングする。
【0083】
アミノ酸配列挿入物とは、1又は複数のアミノ酸残基の配列内挿入物だけでなく、1残基から100又はそれより多い残基を含むポリペプチドの長さの範囲のアミノ-及び/又はカルボキシル末端融合物を含む。末端挿入物の例は、N-末端メチオニル残基を有する抗IFN-α中和化抗体又はエピトープタグに融合した抗体を含む。抗IFN-α抗体分子の他の挿入変異体は、抗体の血清半減期を向上させる酵素又はポリペプチド抗体のN-又はC-末端への融合物を含む。
【0084】
他の型の変異体はアミノ酸置換変異体である。これらの変異体は、中和化抗IFN-α抗体分子の少なくとも一つのアミノ酸残基が除かれ、その位置に異なる残基が挿入されている。置換突然変異について最も興味深い部位は高頻度可変領域を含むが、FR変更も考慮される。保存的置換は、「好ましい置換」と題して表1に示されている。これらの置換が生物学的活性の変化をもたらす場合、表1に「例示的置換」と名前を付けた又はアミノ酸の分類に関して以下に更に記載するように、より実質的な変化を導入し、生成物をスクリーニングすることができる。
【0085】

【0086】
抗体の生物学的特性の実質的修飾は、(a)置換領域のポリペプチド骨格の構造、例えばシート又はら旋構造、(b)標的部位の電荷又は疎水性、又は(c)側鎖の嵩を維持しながら、効果が顕著に異なる置換基を選択することによって達成される。天然発生残基は共通の側鎖特性に基づいてグループに分けることができる:
(1)疎水性:ノルロイシン, met, ala, val, leu, ile;
(2)中性の親水性:cys, ser, thr;
(3)酸性:asp, glu;
(4)塩基性:asn, gln, his, lys, arg;
(5)鎖配向に影響する残基:gly, pro; 及び
(6)芳香族:trp, tyr, phe。
【0087】
非保存的置換は、これらの分類の一つのメンバーを他の分類に交換することを必要とするであろう。中和化抗IFN-α抗体の適切なコンフォメーションを維持することに関与していない任意のシステイン残基も、分子の酸化的安定性を向上させ、異常な架橋を防ぐために、一般的にセリンと置換することができる。逆に、その安定性(特に、抗体がFv断片のような抗体断片)を向上させるために、それにシステイン結合(複数でも)を加えてもよい。
【0088】
特に好ましい型の置換変異体は、親抗体(例えば、ヒト化抗体又はヒト抗体)の1つ又は複数の高頻度可変領域残基の置換を含む。一般的に、さらなる開発のために得られた変異体は、それらが生成された親抗体と比較して向上した生物学的特性を有している。そのような置換変異体を生成する簡便な方法は、ファージディスプレイを使用する親和性成熟である。簡潔に言えば、高頻度可変領域部位(例えば、6-7部位)を変異させて各部位における全ての可能なアミノ酸置換を生成させる。このように生成された抗体変異体は、繊維状ファージ粒子から、各粒子内に充填されたM13の遺伝子III産物への融合物として一価形態で表示される。ファージディスプレイによる変異体は、次いで、ここに開示されるようなそれらの生物学的活性(例えば、結合親和性)についてスクリーニングされる。改変の候補となる高頻度可変領域部位を同定するために、アラニンスキャンニング突然変異誘発を実施し、抗原結合に有意に寄与する高頻度可変領域残基を同定することができる。あるいは、又はそれに加えて、抗原-抗体複合体の結晶構造を分析して抗体とIFN-αとの接点を同定するのが有利である場合もある。このような接触残基及び隣接残基は、ここで詳しく記述した技術による置換の候補である。そのような変異体が生成されたら、変異体のパネルにここに記載するようなスクリーニングを施し、1つ又は複数の関連アッセイにおいて優れた特性を持つ抗体を更なる開発のために選択することができる。
【0089】
(ix)グリコシル化変異体
抗体は、その定常領域の保存的位置でグリコシル化されている(Jefferis及びLund, Chem. Immunol. 65: 111-128[1997];Wright及びMorrison, Trends Biotechnol. 15:26-32[1997])。免疫グロブロリンのオリゴ糖側鎖は、タンパク質の機能(Boydら,Mol. Immunol. 32: 1311-1318[1996];Wittwe及びHoward, Biochem. 29: 4175-4180[1990])、及び糖タンパク質のコンフォメーションと提示されている三次元表面に影響を与える糖タンパク質の部分間の分子内相互作用に影響を与える(Jefferis及びLund, 上掲;Wyss及びWagner, Current Opin. Biotech. 7: 409-416[1996])。オリゴ糖は、また、特異的な認識構造に基づいて、所定の糖タンパク質をある分子へ標的とすることを担うことができる。例えば、アガラクトシル化されたIgGでは、オリゴ糖部分がCH-2間スペースから飛び出し、末端N-アセチルグルコサミン残基は、マンノース結合タンパク質との結合が可能となることが報告されている(Malhotraら,Nature Med. 1: 237-243[1995])。グリコペプチダーゼによるCAMPATH-1H(ヒトリンパ球のCDw52抗原を認識する、組み換えヒト化マウスモノクローナルIgG1抗体)からのオリゴ糖の除去によって、チャイニーズ・ハムスター卵巣(CHO)細胞は補体媒介溶解(CMCL)の完全縮小を生じ(Boydら,Mol. Immunol. 32: 1311-1318(1996))、その一方で、ノイラミニダーゼを用いてシアル酸残基の選択的除去によってDMCLの損失を生じない。抗体のグリコシル化が抗体依存性細胞毒性(ADCC)に影響を与えることも報告されている。特に、GlcNAcを二等分する触媒形態のグリコシルトランスフェラーゼである、β(1,4)-N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnIII)のテトラサイクリン制御発現のあるCHO細胞では、ADCC活性が向上したと報告されている(Umanaら,Mature Biotech. 17:176-180[1999])。
【0090】
抗体のグリコシル化とは、典型的にはN-結合又はO-結合のいずれかである。N-結合とは、アスパラギン残基の側鎖への炭水化物部分の付与を指す。トリペプチドは、Xがプロリンを除く任意のアミノ酸である、アスパラギン-X-セリン及びアスパラギン-X-スレオニンの配列であり、アスパラギン側鎖への炭水化物部分が酵素的に付与される認識部位である。従って、ポリペプチドのこれらトリペプチド配列のいずれかの存在によって、潜在的なグリコシル化部位を作り出される。O-結合グリコシル化とは、5-ヒドロキシプロリン又は5-ヒドロキシリジンも用いられるが、殆どの場合にはセリン又はスレオニンへN-アセチルガラクトサミン、ガラクトース、又はキシロースのうちの一つの糖を付与することを指す。
【0091】
抗体のグリコシル化変異体は、抗体のグリコシル化パターンが改変された変異体である。改変とは、抗体に見出された一つ又は複数の炭水化物部分を除去し、その抗体へ一つ又は複数の炭水化物部分を加え、グリコシル化の組成(グリコシル化パターン)、グリコシル化の程度等を変化させることである。抗体へのグリコシル化部位の付加は、アミノ酸配列を改変して、それが上記に記載のトリペプチド配列(N-結合グリコシル化部位について)の一つ又は複数を含むようにすることによって簡便に完遂できる。この改変は、また、最初の抗体の配列へ一つ又は複数のセリン又はスレオニン残基を付加、又は置換することによって生成される(O-結合グリコシル化部位について)。同じように、グリコシル化部位の除去は、抗体の天然グリコシル化部位内でのアミノ酸改変によって達成することが可能である。
【0092】
アミノ酸配列は、通常は、基礎となる核酸配列を改変することによって改変される。 抗IFN-α抗体のアミノ酸配列変異体をコードする核酸分子は、当該分野で知られている種々の方法によって調製される。これらの方法には、限定されないが、オリゴヌクレオチド媒介(又は部位特異的)突然変異誘発、PCR突然変異誘発、及び抗IFN-α抗体の早期に調製した変異体又は非変異体形のカセット突然変異誘発による、天然源からの単離(天然発生アミノ酸配列変異体の場合)又は調製を含む。
【0093】
抗体のグリコシル化(グリコシル化パターンを含む)は、また、アミノ酸配列又は内在するヌクレオチド配列を改変せずに改変することができる。グリコシル化は、抗体を発現するために用いる宿主細胞に大きく依存する。潜在的な治療学としての、組み換え糖タンパク質の発現に用いられる細胞の型、例えば抗体が、希に天然細胞であることから、抗体のグリコシル化パターンの顕著な変化を期待することができる(例えば、Hseら,J. Biol. Chem. 272: 9062-9070[1997]を参照せよ)。宿主細胞の選択に加えて、抗体の組み換え生産の間にグリコシル化へ影響する因子には、成長形態、培地形態、培養密度、酸素添加、pH、精製概要等が含まれる。オリゴ糖生産に関わる特定の酵素の導入又は過剰発現を含む、種々の方法が特定の宿主生物で達成されるグリコシル化パターンを改変するために提案されている(米国特許第5,047,335号;5,510,261号及び5,278,299号)。グリコシル化、又はある型のグリコシル化は、例えばエンドグリコシダーゼH(EndoH)を用いて、糖タンパク質から酵素的に除くことができる。さらには、組み換え宿主細胞は、例えばある型の多糖類のプロッセッシングを欠損させることで、遺伝的に操作することができる。これら及び類似の技術が、当該分野で良く知られている。
【0094】
抗体のグリコシル化構造は炭水化物分析の簡便な技術によって容易に分析でき、それには、レクチンクロマトグラフィー、NMR、質量分析、HPLC、GPC、単糖類組成分析、逐次酵素消化、及び高pHアニオン交換クロマトグラフィーを用いて電荷に基づいてオリゴ糖を単離するHPAEC-PADが含まれる。分析的目的のためにオリゴ糖を遊離させる方法も知られており、限定されないが、酵素処理(ペプチド-N-グリコシダーゼ、F/エンド-β-ガラクトシダーゼを用いて広くおこなわれた)、主にO-結合構造を遊離させるために激しいアルカリ環境を利用しての除去、及び無水ヒドラジンを利用した化学的方法でN-及びO-結合オリゴ糖の双方を遊離させることが含まれる。
【0095】
(x)抗体の他の修飾
ここで開示されている中和化抗IFN-α抗体は、免疫リポソームとして処方することもできる。抗体を含有するリポソームは、例えばEpsteinら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:3688(1985);Hwangら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4030(1980);及び米国特許第4,485,045号及び同4,544,545号に記載されているように、当該分野において既知の方法により調製される。循環時間が増したリポソームは米国特許第5,013,556号に開示されている。
【0096】
特に有用なリポソームは、ホスファチジルコリン、コレステロール及びPEG-誘導体化ホスファチジルエタノールアミン(PEG-PE)を含有する脂質組成物を用いた逆相蒸発法により作製することができる。リポソームは孔径が定められたフィルターを通して押し出され、所望の直径を有するリポソームが得られる。本発明の抗体のFab'フラグメントは、ジスルフィド交換反応を介して、Martinら, J. Biol. Chem. 257:286-288(1982)に記載されているようにしてリポソームにコンジュゲートすることができる。場合によっては、化学療法剤(ドキソルビシン等)はリポソーム内に包含される。Gabizonら, J. National Cancer Inst. 81(19)1484(1989)を参照されたい。
【0097】
また、本発明の抗体は、プロドラッグ(例えばペプチジル化学療法剤、国際公開第81/01145号を参照)を活性な薬剤に転化させるプロドラッグ活性化酵素に抗体をコンジュゲートさせることにより、ADEPTにおいて使用することができる。例えば国際公開第88/07378号及び米国特許第4975278号を参照されたい。
ADEPTに有用な免疫コンジュゲートの酵素成分には、より活性な細胞毒形態に転化するように、プロドラッグに作用し得る任意の酵素が含まれる。
【0098】
限定するものではないが、この発明の方法に有用な酵素には、ホスファート含有プロドラッグを遊離の薬剤に転化するのに有用なアルカリ性ホスファターゼ;スルファート含有プロドラッグを遊離の薬剤に転化するのに有用なアリールスルファターゼ;非毒性5-フルオロシトシンを抗癌剤5-フルオロウラシルに転化するのに有用なシトシンデアミナーゼ;プロテアーゼ、例えばセラチアプロテアーゼ、サーモリシン、サブチリシン、カルボキシペプチダーゼ及びカテプシン(例えば、カテプシンB及びL)で、ペプチド含有プロドラッグを遊離の薬剤に転化するのに有用なもの;D-アミノ酸置換基を含有するプロドラッグの転化に有用なD-アラニルカルボキシペプチダーゼ;炭水化物切断酵素、例えばグリコシル化プロドラッグを遊離の薬剤に転化するのに有用なノイラミニダーゼ及びβガラクトシダーゼ;βラクタムで誘導体化された薬剤を遊離の薬剤に転化させるのに有用なβラクタマーゼ;及びペニシリンアミダーゼ、例えばそれぞれフェノキシアセチル又はフェニルアセチル基で、それらのアミン性窒素において誘導体化された薬剤を遊離の薬剤に転化するのに有用なペニシリンVアミダーゼ又はペニシリンGアミダーゼが含まれる。あるいは、「アブザイム」としてもまた公知の酵素活性を有する抗体を、遊離の活性薬剤に本発明のプロドラッグを転化させるために使用することもできる(例えば、Massey, Nature 328:457-458[1987]を参照)。抗体-アブザイムコンジュゲートは、ここで記載されているようにして、所望する細胞個体群にアブザイムを送達するために調製することができる。
【0099】
この発明の酵素は、当該分野においてよく知られている技術、例えば上で検討したヘテロ二官能性架橋試薬を使用することにより、抗IFN-α抗体に共有的に結合させることができる。あるいは、本発明の抗体の少なくとも結合領域を本発明の酵素の少なくとも機能的に活性な部位に結合せしめてなる融合タンパク質を、当該技術においてよく知られている組換えDNA技術を使用して作成することができる(Neubergerら, Nature 312:604-608[1984])。
【0100】
本発明のある実施態様においては、無傷の抗体よりも抗体フラグメントを使用することが望ましい。この場合、その血清半減期を増大させるために抗体フラグメントを改変することが望ましい。これは、例えば、抗体フラグメントにサルベージレセプター結合エピトープを導入することにより(例えば、抗体フラグメント中の適当な領域の突然変異により、あるいはついで抗体フラグメントの何れかの末端又は中央に、例えばDNA又はペプチド合成により融合されるペプチドタグ内にエピトープを導入することにより)、達成できる。1996年10月17日に発行の国際公開第96/32478号を参照せよ。
【0101】
サルベージレセプター結合エピトープは、一般的には、Fcドメインの一又は二つのループからの一又は複数のアミノ酸残基が抗体断片の類似位置に移される領域を構成する。更により好ましくは、Fcドメインの一又は二つのループの3又はそれ以上の残基が移される。なお更に好ましくは、エピトープはFc領域(例えばIgGの)のCH2ドメインから取上げられ、抗体のCH1、CH3、又はVH領域、あるいは一以上のそのような領域に移される。別法として、エピトープをFc領域のCH2ドメインから取上げ、抗体断片のCL領域又はVL領域、又は両方に移す。
【0102】
中和化抗IFN-α抗体の共有結合修飾も本発明の範囲内に含まれる。それらは、化学合成により、又は適用可能ならば抗体の酵素的もしくは化学的開裂により製造し得る。他のタイプの抗体の共有結合修飾は、抗体の標的とするアミノ酸残基を、選択した側鎖又はNもしくはC末端残基と反応できる有機の誘導体化剤と反応させることにより、分子中に導入される。ポリペプチド共有結合修飾の例は、特にここに出典を明示して取り込む米国特許第5,534,615号に記載されている。抗体の共有結合修飾の好適なタイプは、米国特許第4,640,835号;同4,496,689号;同4,301,144号;同4,670,417号;同4,791,192号又は同4,179,337号に記載されたようにして、様々な非タンパク様ポリマー、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、又はポリオキシアルキレンの1つに抗体を結合させることから構成される。
【0103】
2.所望する特性を有する抗体のスクリーニング
抗体を作製する技術は、上に記載されている。従って、所望する広範な中和化特性を有する抗IFN-α抗体は、当該分野で知られている技術で同定することができる。
【0104】
(i)結合アッセイ
従って、例えば、本発明の抗中和化IFN-α抗体は、候補抗体を1つ又は複数の個々のIFN-αサブタイプ、又は種々のIFN-αサブタイプのアレイ又は混合物とインキュベートし、IFN-αの生物学的活性の結合及び中和化をモニターすることによって、IFN-α結合アッセイにおいて同定することができる。この結合アッセイは、精製IFN-αポリペプチド類によっておこなうことができる。1つの実施態様では、この結合アッセイは競合アッセイであり、それにおいては、IFN-α結合に関して既知の抗IFN-α抗体と競合する候補抗体の能力が評価される。このアッセイは、ELISA型を含む種々の型でおこなうことが可能であり、下の実施例においても例示されている。候補抗体のIFN-α結合は、下に記載のようなBIAcore(商品名)バイオセンサーアッセイでもモニターすることが可能である。
【0105】
当該分野で知られている任意の適切な競合結合アッセイは、特定のIFN-α種への結合に関して、マウス抗ヒトIFN-αモノクローナル抗体9F3と競合する候補抗IFN-αモノクローナル抗体の能力を特徴付けるのに利用することができる。日常的な競合アッセイは、Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Ed Harlow及びDavid Lane(1988)に記載されている。その他の実施態様では、下の実施例2に記載されているIFN-α結合ELISAアッセイは、修飾して候補抗体と9F3抗体の間のIFN-α結合競合に用いることができる。そのようなアッセイは、IFN-αをマイクロタイタープレート上に層状にし、標識した9F3抗体の選択した濃度と非標識抗IFN-α抗体又は非標識コントロール抗体の連続希釈物と混合したその層状にしたプレートをインキュベートし、9F3抗体標識からのシグナルを検出及び測定し、次いで、抗体の種々の希釈物によって表示されたシグナル測定値を比較することによっておこなうことができる。
【0106】
(ii)抗ウイルスアッセイ
IFN-αの生物学的活性を中和する候補抗体の能力は、例えば、Kawade, J. Interferon Res. 1:61-70(1980)、又はKawade及びWatanabe, J. Interferon Res. 4:571-584(1984)に記載のように、IFN-αの抗ウイルス活性の中和化をモニターすることによって実行することができる。要約すると、候補抗体の種々の希釈物と前もって混合した固定した濃度のIFN-αをヒト羊膜由来FL細胞へ添加し、適切なウイルス、例えばシンドビスウイルスを用いてIFN-αの抗ウイルス活性を中和する候補抗体の能力を測定する。この力価は、国際ヒトIFN-α(NIH Ga23-901-527)で決められたように国際単位(IU)で表す。
【0107】
候補抗IFN-α抗体は、抗体のある濃度によって、コントロール抗体の等量濃度の存在下で測定された抗ウイルス活性阻害のベースラインレベルよりも高い抗ウイルス活性が阻害される場合、選択したIFN-αサブタイプの抗ウイルス活性を阻害することができると考えられている。場合によっては、候補抗IFN-α抗体のある濃度は、コントロール抗体の等量濃度の存在下で測定したベースライン活性と比較して、抗ウイルス活性アッセイにおいて選択されたIFN-αサブタイプの抗ウイルス活性の少なくとも約60%、又は少なくとも又は約70%、好ましくは少なくとも又は約75%、又はより好ましくは少なくとも又は約80%、又はさらにより好ましくは少なくとも又は約85%、又はさらにより好ましくは少なくとも又は約90%、又はさらにより好ましくは少なくとも又は約95%、又は最も好ましくは少なくとも又は約99%を阻害することができる。候補抗IFN-α抗体は、コントロール抗体の等量濃度の存在下において測定された抗ウイルス活性阻害のベースラインレベルよりも高い抗ウイルス活性阻害を示す抗体の濃度でないならば、選択されたIFN-αサブタイプの抗ウイルス活性を阻害することができないと考えられている。
【0108】
好ましい実施態様では、ウイルス感染力アッセイで用いた各インターフェロン種は、前もって選択した数のIFN-α標準の単位によって誘導されたのと同じレベルのウイルス生育阻害を提供する濃度へ滴定される。この濃度は、対象であるインターフェロン種の標準化された単位を提供することを担う。種々のIFN-αサブタイプの抗ウイルス活性を阻害する抗IFN-α抗体の能力を評価するために、特定のIFN-αサブタイプの抗ウイルス活性の50%を阻害する抗IFN-α抗体の有効濃度(EC50)(活性の標準化した単位を提供する滴定された濃度)を、試験される各IFN-αサブタイプについて測定した。
【0109】
1つの実施態様では、抗ウイルス活性中和化アッセイは、下の実施例1に記載のようにおこなった。要約すると、96ウェルマイクロタイタープレート上でA549細胞を5x10A549細胞/ウェルの密度まで生育させる。候補抗IFN-α抗体の連続希釈物を、1時間、37ECで100:1の全容量の中で0.2単位/:1の選択したIFN-αサブタイプ(0.2単位/:1のNIH参考標準組み換えヒトIFN-α2へ標準化)とともにインキュベートした。各100:1容量の抗体/インターフェロンインキュベーション混合物を、次いで5x10A549細胞及びマイクロタイタープレート上の個々のウェル中の100:1の培養培地へ添加し、各ウェルで100単位/mlの最終IFN-α濃度を生じせしめた。この結果として生じた細胞培養混合物を、37ECで24時間インキュベートした。その後、細胞を2x10pfuの脳心筋炎ウイルス(EMC)で刺激し、37ECでさらに24時間インキュベートした。インキュベーションの最期に、視覚顕微鏡的検査又はクリスタル・バイオレット染色によって細胞生存率を確かめた。アッセイでの特定のIFN-αサブタイプの抗ウイルス活性の50%を阻害する候補IFN-α抗体の有効濃度(EC50)を、試験する各IFN-αサブタイプに関して測定した。
【0110】
本発明の一側面では、対象であるIFN-αサブタイプに対する抗ウイルス活性の中和化を示す抗IFN-α抗体は、上に記載のA549細胞EMCウイルス阻害アッセイにおける対象のIFN-αサブタイプのそれぞれに関して、最大又は約20:g/mlまでの、最大又は約10:g/mlまでの、最大又は約5:g/mlまで、最大又は約4:g/mlまで、最大又は約3:g/mlまで、最大又は約2:g/mlまで、最大又は約1:g/mlまでのEC50を示す。
【0111】
本発明のその他の側面では、対象であるIFN-αサブタイプに対する抗ウイルス活性の中和化を示す抗IFN-α抗体は、上に記載のA549細胞EMCウイルス阻害アッセイにおける対象のIFN-αサブタイプのそれぞれに関して、又は約0.1g/mlから又は約20:g/mlまでの、又は約0.1:g/mlから又は約10:g/mlまでの、又は約0.1:g/mlから又は約5:g/mlまでの、又は約0.1:g/mlから約4:g/mlまでの、又は約0.1:g/mlから又は約3:g/mlまでの、又は約0.1:g/mlから約2:g/mlまでの、又は約0.1:g/mlから約1:g/mlまでのEC50を示す。
【0112】
本発明のその他の側面では、対象であるIFN-αサブタイプに対する抗ウイルス活性の中和化を示す抗IFN-α抗体は、上に記載のA549細胞EMCウイルス阻害アッセイにおける対象のIFN-αサブタイプのそれぞれに関して、又は約0.2g/mlから又は約20:g/mlまでの、又は約0.2:g/mlから又は約10:g/mlまでの、又は約0.2:g/mlから又は約5:g/mlまでの、又は約0.2:g/mlから約4:g/mlまでの、又は約0.2:g/mlから又は約3:g/mlまでの、又は約0.2:g/mlから約2:g/mlまでの、又は約0.2:g/mlから約1:g/mlまでのEC50を示す。
【0113】
本発明のその他の側面では、対象であるIFN-αサブタイプに対する抗ウイルス活性の中和化を示す抗IFN-α抗体は、上に記載のA549細胞EMCウイルス阻害アッセイにおける対象のIFN-αサブタイプのそれぞれに関して、又は約0.3g/mlから又は約20:g/mlまでの、又は約0.3:g/mlから又は約10:g/mlまでの、又は約0.3:g/mlから又は約5:g/mlまでの、又は約0.3:g/mlから約4:g/mlまでの、又は約0.3:g/mlから又は約4:g/mlまでの、又は約0.3:g/mlから約2:g/mlまでの、又は約0.3:g/mlから約1:g/mlまでのEC50を示す。
【0114】
本発明のその他の側面では、対象であるIFN-αサブタイプに対する抗ウイルス活性の中和化を示す抗IFN-α抗体は、上に記載のA549細胞EMCウイルス阻害アッセイにおける対象のIFN-αサブタイプのそれぞれに関して、又は約0.4:g/mlから又は約20:g/mlまでの、又は約0.4:g/mlから又は約10:g/mlまでの、又は約0.4:g/mlから又は約5:g/mlまでの、又は約0.4:g/mlから約4:g/mlまでの、又は約0.4:g/mlから又は約3:g/mlまでの、又は約0.4:g/mlから約2:g/mlまでの、又は約0.4:g/mlから約1:g/mlまでのEC50を示す。
【0115】
本発明のその他の側面では、対象であるIFN-αサブタイプに対する抗ウイルス活性の中和化を示す抗IFN-α抗体は、上に記載のA549細胞EMCウイルス阻害アッセイにおける対象のIFN-αサブタイプのそれぞれに関して、又は約0.5:g/mlから又は約20:g/mlまでの、又は約0.5:g/mlから又は約10:g/mlまでの、又は約0.5:g/mlから又は約5:g/mlまでの、又は約0.5:g/mlから約4:g/mlまでの、又は約0.5:g/mlから又は約3:g/mlまでの、又は約0.5:g/mlから約2:g/mlまでの、又は約0.5:g/mlから約1:g/mlまでのEC50を示す。
【0116】
本発明のその他の側面では、対象であるIFN-αサブタイプに対する抗ウイルス活性の中和化を示す抗IFN-α抗体は、上に記載のA549細胞EMCウイルス阻害アッセイにおける対象のIFN-αサブタイプのそれぞれに関して、又は約0.6:g/mlから又は約20:g/mlまでの、又は約0.6:g/mlから又は約10:g/mlまでの、又は約0.6:g/mlから又は約5:g/mlまでの、又は約0.6:g/mlから約4:g/mlまでの、又は約0.6:g/mlから又は約3:g/mlまでの、又は約0.6:g/mlから約2:g/mlまでの、又は約0.6:g/mlから約1:g/mlまでのEC50を示す。
【0117】
本発明のその他の側面では、対象であるIFN-αサブタイプに対する抗ウイルス活性の中和化を示す抗IFN-α抗体は、上に記載のA549細胞EMCウイルス阻害アッセイにおける対象のIFN-αサブタイプのそれぞれに関して、又は約0.7:g/mlから又は約20:g/mlまでの、又は約0.7:g/mlから又は約10:g/mlまでの、又は約0.7:g/mlから又は約5:g/mlまでの、又は約0.7:g/mlから約4:g/mlまでの、又は約0.7:g/mlから又は約3:g/mlまでの、又は約0.7:g/mlから約2:g/mlまでの、又は約0.7:g/mlから約1:g/mlまでのEC50を示す。
【0118】
本発明のその他の側面では、対象であるIFN-αサブタイプに対する抗ウイルス活性の中和化を示す抗IFN-α抗体は、上に記載のA549細胞EMCウイルス阻害アッセイにおける対象のIFN-αサブタイプのそれぞれに関して、又は約0.8:g/mlから又は約20:g/mlまでの、又は約0.8:g/mlから又は約10:g/mlまでの、又は約0.8:g/mlから又は約5:g/mlまでの、又は約0.8:g/mlから約4:g/mlまでの、又は約0.8:g/mlから又は約3:g/mlまでの、又は約0.8:g/mlから約2:g/mlまでの、又は約0.8:g/mlから約1:g/mlまでのEC50を示す。
【0119】
本発明のその他の側面では、対象であるIFN-αサブタイプに対する抗ウイルス活性の中和化を示す抗IFN-α抗体は、上に記載のA549細胞EMCウイルス阻害アッセイにおける対象のIFN-αサブタイプのそれぞれに関して、又は約0.9:g/mlから又は約20:g/mlまでの、又は約0.9:g/mlから又は約10:g/mlまでの、又は約0.9:g/mlから又は約5:g/mlまでの、又は約0.9:g/mlから約4:g/mlまでの、又は約0.9:g/mlから又は約3:g/mlまでの、又は約0.9:g/mlから約2:g/mlまでの、又は約0.9:g/mlから約1:g/mlまでのEC50を示す。
【0120】
本発明のその他の側面では、対象であるIFN-αサブタイプに対する抗ウイルス活性の中和化を示す抗IFN-α抗体は、上に記載のA549細胞EMCウイルス阻害アッセイにおける対象のIFN-αサブタイプのそれぞれに関して、又は約1:g/mlから又は約20:g/mlまでの、又は約1:g/mlから又は約10:g/mlまでの、又は約1:g/mlから又は約5:g/mlまでの、又は約1:g/mlから約4:g/mlまでの、又は約1:g/mlから又は約3:g/mlまでの、又は約1:g/mlから約2:g/mlまでのEC50を示す。
【0121】
(iii)クロス-ブロッキングアッセイ
興味の対象である抗体によって結合したIFN-α上のエピトープと結合する抗体のスクリーニングのために、Antibodies, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Ed Harlow及びDavid Lane(1988)に記載された日常的なクロスブロッキングアッセイをおこなうことができる。あるいは又はさらには、エピトープマッピングは当該分野で知られている方法によっておこなうことができる。例えば、本発明のモノクローナル抗体によって結合したIFN-αエピトープは、Fendlyら. Cancer Research 50:1550-1558(1990)に記載のような競合結合解析によって測定することができる。その他の実施では、クロスブロッキング研究は、マイクロタイタープレート上の直接蛍光によっておこなうことができる。この方法では、興味の対象であるモノクローナル抗体を、確立された手法を用いて、フルオレッセインイソチオシアネート(FITC)とコンジュゲートさせる(Wofsyら. Selected Method in Cellular Immunology, p.287, Mishel及びSchiigi(編) San Francisco: W. J. Freeman Co.(1980))。選択したIFN-αをマイクロタイタープレートのウェル上に層状にし、その層状にしたウェルを、(1)興味の対象のFITC-標識モノクローナル抗体、及び(2)非標識試験モノクローナル抗体の混合物とインキュベートし、抗体によって表示されたクロスブロッキングのレベルを定めるために、各ウェルの蛍光を定量化した。モノクローナル抗体は、関連しないモノクローナル抗体コントロールと比較して50%又はそれより高く、それぞれが他の結合をブロックした場合、エピトープを共有するものと考えられる。
【0122】
細胞ベース生物学的アッセイで得られた結果は、その後、動物、例えばマウス、モデル、及びヒト臨床試験での試験によって追跡することができる。望ましくは、所望される特性を有すると同定されたマウスモノクローナル抗体は、当該分野で知られている技術によってキメラ抗体へ変換、又はヒト化することができ、それには、その開示がここで参考文献によって取り入れられている米国特許第5,821,337号に記載のように「遺伝子変換突然変異」を含む。ここでの特定の抗IFN-α抗体のヒト化は、また、下の実施例に記載されている。
【0123】
(iv)ファージディスプレイ法
本発明の抗IFN-α抗体は、所望される活性を有する合成抗体クローンをスクリーニングするために、コンビナトリアルライブラリを用いて同定することができる。原則として、合成抗体クローンを、ファージコートタンパク質と融合した抗体可変領域(Fv)の種々の断片(例えば、Fab、F(ab')2、等)を表示するファージを有するファージライブラリをスクリーニングすることによって選択される。このようなファージライブラリは、所望される抗原に対するアフィニティークロマトグラフィーによって選別される。所望される抗原と結合することができるFv断片を発現するクローンは抗原へ吸収され、それによって、ライブラリの非結合クローンから分離される。次いで、この結合クローンは、抗原から溶出させることが可能であり、抗原吸収/溶出の付加的サイクルによってさらに濃縮することができる。本発明の任意の抗IFN-α抗体は、興味の対象であるファージクローンを選択するために適切な抗原スクリーニング手法を設計し、続いて、興味の対象であるファージクローンからのFv配列、及びKabatら. (1991), 上掲に記載の適切な定常領域(Fc)配列を用いての全長抗IFN-α抗体クローンの構築によって得ることができる。
【0124】
ファージディスプレイライブラリの構築
抗体の抗原結合ドメインは、それぞれ約110アミノ酸の2つの可変(V)領域である軽(VL)及び重(VH)鎖で形成され、その双方には、3つの超可変ループ又は相補鎖決定領域(CDRs)が存在する。可変領域は、Winterら,Ann. Rev. Immunol., 12: 433-455(1994)に記載のように、VH及びVLが短くて柔軟なペプチドを介して共有結合している一本鎖Fv(scFv)断片として、又は定常ドメインと融合して非共有的に相互作用しているD(ab')2断片のいずれかとしてファージ上に機能的に表示することができる。ここで用いられているように、scFvコード化ファージクローン、及びFab又はF(ab')2コード化ファージクローンは、総称して「Fvファージクローン」又は「Fvクローン」と呼ぶ。
【0125】
動物の天然レパートリー(抗原刺激前のレパートリー)は、それに本質的にどんな非自己分子と中程度の親和性(約10から10M−1のKd-1)で結合することができる抗体を提供する。抗体結合部位の配列多様性は、生殖細胞に直接にコードされておらず、V遺伝子から組み合わせ様式でアセンブリしている。ヒト重鎖では、第一の2つの超可変ループ(H1及びH2)は、50未満のVH遺伝子セグメントから得られ、それはDセグメント及びJHセグメントと組み合わせられて第三の超可変ループ(H3)を作り出す。ヒト軽鎖では、第一の2つの超可変ループ(L1及びL2)及び第三(L3)の殆どは、およそ30未満のV8、及びおよそ30未満のV6セグメントから得られ、第三の超可変ループ(L3)を完成する。
【0126】
幹細胞のV遺伝子セグメントの各組み合わせ再配列は、一本のVH-VL組み合わせを発現するB細胞を生じる。免疫化は、免疫原に結合して増幅(クローン性増殖)し、対応する抗体を分泌する組み換えを作り出すよう任意のB細胞を誘発する。これらの天然抗体は、その後、突然変異誘発の過程及び親和性成熟として知られている選択によって高親和性(109-1010M-1のKd-1)へ成熟する。この時点の後に、通常、細胞を除かれてハイブリドーマを調製され、高親和性モノクローナル抗体が生成される。
【0127】
この過程の3つの段階の後、VH及びVL遺伝子のレパートリーを、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって分離してクローンし、ファージライブラリにおいてランダムに組み換えられることが可能であり、それは、Winterら,Ann. Rev. Immunol., 12: 433-455(1994)に記載のように抗原結合クローンについて探索することが可能である。免疫化したソースからのライブラリは、ハイブリドーマを構成する必要がなく、免疫原に対する高親和性抗体を提供する。あるいは、天然レパートリーをクローニングして、Griffithsら,EMBO J, 12: 725-734(1993)に記載のようにどんな免疫化もせずに、幅広い非自己及びまた自己抗原に対するヒト抗体の単一のソースを提供することが可能である。最終的には、天然ライブラリは、また、Hoogenboom及びWinter, J. Mol. Biol. 227: 381-388(1992)に記載のように、幹細胞からの再配列されていないV又はVIII遺伝子セグメントをクローニングし、及びランダム配列を有するPCRプライマーを利用して高度可変CDR3領域をコードし、インビトロでの再配列を完成させることによって合成的に作製することができる。
【0128】
ファージディスプレイは、B細胞を模倣する。繊維状ファージは、マイナーコートタンパク質pIIIへの融合によって、抗体断片を表示するのに用いられる。この抗体断片は、一本鎖Fv断片として表示することが可能であり、そのVH及びVLドメインは、例えば、Marksら,J. Mol. Biol. 222: 581-597(1991)に記載のような、又は、例えば、Hoogenboomら,Nucl. Acids. Res., 19: 4133-4137(1991)に記載のような、1つの鎖はpIIIと融合し、もう一方の鎖は、幾つかの野生型コートタンパク質を置換することによってファージ表面上に表示されるようになるFabコートタンパク質構造のアセンブリがある細菌宿主細胞のペリプラズムへ分泌されるFab(F(ab')2を含む)断片のように、柔軟なポリペプチドスペーサーによって同じポリペプチド鎖上に連結されている。抗体断片がpIIIのN末端と融合している場合、ファージは感染性がある。しかし、pIIIのN末端ドメインが切り出されて、融合物が第二のドメインで作製され、ファージは感染力がなく、野生型pIIIはヘルパーファージによって提供されるべきである。
【0129】
pIII融合物及びファージの他のタンパク質は、同じファージレプリコン内で、又は異なるレプリコン上ですべてがコードされる可能性がある。2つのレプリコンが利用される場合、このpIII融合物は、ファージミド、ファージ複製起点を有するプラスミド上でコードされる。ファージミドは、pIIIを含むすべてのファージタンパク質を提供するM13K07のようなヘルパーファージによる「レスキュー」によってファージ粒子へパッケージされることが可能であるが、欠陥のある起点のために、そのものは、Vieira及びMessing, Meth. Enzymol., 153: 3-11(1987)に記載のように、競合してファージミドとともに不十分にパッケージされる。好ましい方法では、Bassら,Proteins, 8: 309-314(1990)及び国際公開第92/09690号(1992年6月11日に出版のPCT/US91/09133)に記載のように、組み換えファージが粒子の表面上にFvコートタンパク質の1つより多いコピーを表示する微量にすぎないファージ粒子を許容する条件下で生育できうるように、ファージ表示系は設計される。
【0130】
一般的に、抗体遺伝子断片をコードする核酸は、ヒト又は動物から収集した免疫細胞から得られる。抗IFN-αクローンに有利になるように偏ったライブラリが望ましいならば、検体をIFN-αで免疫化して抗体応答を生成させ、そして、脾臓細胞及び/又は他の末梢血リンパ球(PBLs)である循環B細胞を、ライブラリ構築のために回収する。好ましい実施態様では、IFN-α免疫化が、IFN-αに対するヒト配列抗体を産するB細胞を生じるように、抗ヒトIFN-αクローンに有利なように偏っているヒト抗体遺伝子断片ライブラリは、機能的ヒト免疫グロブリン遺伝子アレイ(及び、機能的な内因性抗体産生系を欠く)を有するトランスジェニックマウスにおける抗ヒトIFN-α抗体応答を生成することによって得られる。
【0131】
その他の好ましい実施態様では、IFN-αサブタイプに対する幅広い活性を有する抗IFN-α抗体を産するB細胞を含む抗体応答を生成するために、動物は、種々の、好ましくはすべてがIFN-αサブタイプの混合物で免疫化される。その他の好ましい実施態様では、動物は、下の実施例1に記載のような、センダイウイルスにより誘導されるバーキットリンパ腫細胞(ナマルバ細胞)によって分泌されるヒトリンパ芽球腫インターフェロンに存在するヒトIFN-αサブタイプの混合物で免疫化される。そのようなヒトリンパ芽腫インターフェロンの適切な調製物は、シグマ化学会社、セントルイス, ミズーリー州から商業的(製品第I-9887)に得ることができる。
【0132】
抗IFN-α反応細胞集団のさらなる濃縮は、適切なスクリーニング手法を利用してIFNα特異的膜結合抗体を発現するB細胞を単離すること、例えば、IFNαアフィニティクロマトグラフィーによる細胞分離、又は蛍光色素標識IFNαへの細胞の吸着とその後の蛍光標示式細胞分取器(FACS)によって得ることができる。
【0133】
あるいは、非免疫化供与体からの脾臓細胞及び/又はB細胞又は他のPBLの利用によって可能性のある抗体レパートリーのより良い表示が提供され、また、IFNαが免疫原ではない任意の動物(ヒト又は非ヒト)種を利用した抗体ライブラリの構築が可能となる。インビトロの抗体遺伝子コンストラクトを取り込むライブラリに関しては、幹細胞を被検体から収集して非再配列の抗体遺伝子セグメントをコードする核酸を提供する。興味の対象である免疫細胞は、種々の動物種、例えばヒト、マウス、ラット、ウサギ、オオカミ、犬科、ネコ科、ブタ、ウシ、ウマ、及びトリ種等から得ることができる。
【0134】
抗体可変遺伝子セグメント(VH及びVLセグメントを含む)をコードする核酸を、興味の対象の細胞から回収して増幅した。再配列したVH及びVL遺伝子ライブラリの場合では、その所望するDNAは、Orlandiら,Proc. Natl. Acad. Sci. (USA), 86: 3833-3837 (1989)に記載されているように、リンパ球からのゲノムDNA又はmRNAを単離し、それに続く再配列したVH及びVL遺伝子の5'及び3'末端と一致するプライマーによるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって得ることが可能であり、よって発現のための多様なV遺伝子レパートリーを作製することができる。このV遺伝子は、Orlandiら, (1989)及びWardら,Nature, 341: 544-546(1989)に記載のように、成熟Vドメインをコードするエクソンの5'末端のバックプライマーとJセグメントに基づいた前方向プライマーにより、cDNA及びゲノムDNAから増幅することが可能である。しかしながら、cDNAからの増幅のためには、バックプライマーは、また、Jonesら,Biotechnol., 9:88-89(1991)に記載のようにリーダーエクソンに、前方向プライマーは、Sastryら,Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) 86:5728-5732(1989)に記載のように定常領域内に基づくことが可能である。相補性を最大にするために、Orlandiら(1989)又はSastryら(1989)に記載のように、縮重をプライマーへ取り込むことが可能である。好ましくは、例えば、Marksら,J. Mol. Biol., 222: 581-597(1991)の方法に記載のように、又はOrumら,Nucleic Acids Res., 21: 4491-4498(1993)の方法に記載のように、免疫細胞の核酸試料に存在するすべての入手可能なVH及びVL配列を増幅するために、各V遺伝子ファミリーを標的にしたPCRプライマーを用いて、そのライブラリの多様性を最大にする。発現ベクターへの増幅DNAのクローニングに関しては、希な制限部位を、Orlandiら(1989)に記載のように、又はClacksonら,Nature, 352: 624-628(1991)に記載のようにタグしたプライマーによるさらなるPCR増幅によって、PCRプライマー内の1つの末端へタグとして導入することができる。
【0135】
合成的に再配列したV遺伝子のレパートリーは、V遺伝子セグメントからインビボで誘導することができる。殆どのヒトVH遺伝子セグメントはクローニング及び配列が決定(Tomlinsonら, J. Mol. Biol. 227: 776-798(1992)に報告されている)、そしてマッピングされている(Matsudaら,Nature Genet., 3: 88-94(1993));これらクローニングされたセグメント(H1及びH2ループのすべての主要なコンホメーションを含む)は、Hoogenboom及びWinter, J. Mol. Biol. 227: 381-388(1992)に記載のように、多様な配列と長さのH3ループをコードするPCRプライマーによる多様なVH遺伝子レパートリーを作製するのに用いられる。VHレパートリーは、また、Barbasら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89: 4457-4461(1992)に記載されているように、単一の長さの長いH3ループに焦点を合わせたすべての配列多様性をともなって作製することができる。ヒトV6及びV8セグメントはクローニング及び配列決定がなされ(Williams及びWinter, Eur. J. Immunol., 23: 1456-1461(1993))、合成軽鎖レパートリーを作製するのに利用することができる。VH及びVLフォールドの範囲及びL3及びH3の長さに基づく合成的V遺伝子レパートリーは、相当に構造的多様性を有する抗体をコードする。DNAをコードするV遺伝子の増幅に続いて、生殖系のV遺伝子セグメントは、Hoogenboom及びWinter, J. Mol. Biol. 227: 381-388(1992)の方法に従ってインビトロで再配列することができる。
【0136】
抗体断片のレパートリーは、幾つかの方法でVH及びVL遺伝子レパートリーを共に組み合わせることによって構築することができる。各レパートリーを異なるベクターで作製し、そのベクターを、例えばHogrefeら, Gene, 128: 119-126(1993)に記載のようにインビトロで、又はコンビナトリアル・インフェクション、例えばWaterhouseら, Nucl. Acids Res., 21: 2265-2266(1993)に記載のloxP系によってインビボで組み換えすることが可能である。このインビボの組み換え手法では、大腸菌の形質転換効率によって強いられるライブラリの大きさの限界を克服するために、二本鎖種のFabフラグメントが利用される。未処理のVH及びVLレパートリーは、1つはファージミドへ、そして他はファージベクターへと個別にクローニングされる。この2つのライブラリは、その後、各細胞が異なる組み合わせを有し、そのライブラリの大きさが、存在する細胞の数(約1012クローン)によってのみ限定されるように、ファージミド含有細菌のファージ感染によって組み合わせられる。双方のベクターは、VH及びVL遺伝子が単一のレプリコンへ組み換えられ、ファージビリオンへ共にパッケージされるように、インビボの組み換えシグナルを有する。これら巨大なライブラリは、良好な親和性(約10-8MのK-1)の多くの多様な抗体を提供する。
【0137】
別法として、このレパートリーは、例えばBarbasら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88: 7978-7982(1991)に記載のように同じベクターへ連続してクローニング、又は、Claksonら, Nature, 352: 624-628(1991)に記載のようにPCR、続いてクローニングすることでアセンブリすることができる。PCRアセンブリは、また、柔軟なペプチドスペーサーをコードしているDNAとVH及びVL DNAを連結させて、単鎖のFv(scFv)レパートリーを形成することに利用することができる。さらに他の技術では、「細胞内でのPCRアセンブリ」は、Embletonら, Nucl. Acids Res., 20: 3831-3837(1992)に記載のように、PCRによってリンパ球内のVH及びVL遺伝子を組み合わせて、その後、連結した遺伝子のレパートリーをクローニングするのに利用される。
【0138】
未処理のライブラリ(天然又は合成のいずれか)によって産生された抗体は中度の親和性(約10〜10M-1のKd-1)である可能性があるが、Winterら(1994), 上掲に記載のように第二番目のライブラリから構築して遊離することによって、親和性成熟をもインビトロで模倣することが可能である。例えば、Hawkinsら, J. Mol. Biol. 226: 889-896(1992)の方法、又はGramら, Proc. Natl. Acad. Sci USA, 89: 3576-3580(1992)の方法においてエラー・プローンポリメラーゼ(Leungら, Technique, 1:11-15(1989)で報告されている)を利用することによって、突然変異をインビトロでランダムに導入することができる。さらには、1つ又はそれより多いCDRをランダムに変異させることによって、例えば、選択した個々のFvクローンにおいて、興味の対象であるCDRまで及ぶランダム配列を有するプライマーによるPCRを利用して、そしてより高い親和性クローンをスクリーニングすることで親和性成熟をおこなうことが可能である。国際公開第9607754号(1996年3月14日に発行)は、免疫グロブリン軽鎖の相補性決定領域へ突然変異生成を誘導して軽鎖遺伝子のライブラリを作製する方法を記載している。その他の有効な手法は、Marksら, Biotechnol. 10: 779-783(1992)に記載のように、非免疫化供与体から得られた天然で発生するVドメイン変異体のレパートリーによるファージディスプレイによって選択されたVH又はVLドメインを組み換えること、及び数回のチェーン・シャッフリングでのより高い親和性についてスクリーニングすることである。この技術は、10-9Mの範囲の親和性の抗体及び抗体断片の産生を可能にする。
【0139】
抗IFNαクローンのためのファージディスプレイライブラリのパニング
a.IFNαの合成
ここで用いられているIFNαサブタイプをコードする核酸配列は、公開されたインターフェロンのアミノ酸及び核酸配列、例えば、J. Interferon Res., 13: 443-444(1993)の種々のI型インターフェロンのゲノム及びcDNA配列を有する参考文献の編集、及びそこで引用されている参考文献を利用して設計することができる。IFNαA(IFNα2)、IFNαB(IFNα8)、IFNαC(IFNα10)、IFNαD(IFNα1)、IFNαE(IFNα22)、IFNαF(IFNα21)、IFNαG(IFNα5)、及びIFNαH(IFNα14)アミノ酸配列又はcDNA配列については、Goeddelら, Nature, 290: 20-26(1981)の23-24頁にある図3及び4を参照せよ。IFNα7(IFNαJ)のアミノ酸配列をコードするcDNAについては、Cohenら, Dev. Biol. Standard, 60: 111-122(1985)を参照せよ。興味の対象であるインターフェロンをコードするDNAは、当該分野で既知の種々の方法によって調製することが可能である。限定されるものではないが、これらの方法には、Engelsら, Agnew. Chem. Int. Ed. Engl., 28:716-734(1989)に記載されている任意の方法による化学合成、例えばトリエステル、亜リン酸塩、ホスホラミダイト及びH-ホスホネート法が含まれる。1つの実施態様では、発現宿主細胞によって好まれるコドンは、インターフェロンコード化DNAの設計に利用される。あるいは、インターフェロンをコードするDNAは、ゲノム又はcDNAライブラリから単離することが可能である。
【0140】
興味の対象であるインターフェロンをコードするDNA分子の構築に続いて、そのDNA分子は、プラスミド等の発現ベクターの発現コントロール配列と作用可能に連結し、このコントロール配列は、そのベクターで形質転換した宿主細胞によって認識される。一般的に、プラスミドベクターは、その宿主細胞と適合する種から誘導された複製及びコントロール配列を有する。このベクターは、通常は、形質転換細胞で表現型の選択を提供することが可能なタンパク質をコードする配列だけでなく複製部位を有する。
【0141】
原核生物宿主中での発現に関しては、好適なベクターにはpBR322(ATCC第37017)、phGH107(ATCC第40011)、pBO475、pS0132、pRIT5、pRIT20又はpRIT30シリーズの任意のベクター(Nilsson及びAbrahmsen , Meth. Enzymol., 185:144-161(1990))、pRIT2T、pKK233-2、pDR540及びpPL-ラムダが含まれる。本発明の発現ベクターを含む原核生物宿主細胞には、大腸菌K12株294(ATCC第31446)、大腸菌株JM101(Messing等, Nucl. Acid Res., 9:309(1981))、大腸菌株B、大腸菌II1776(ATCC第31537)、大腸菌c600(Appleyard, Genetics, 39: 440(1954))、大腸菌W3110(F-、ガンマ-、原栄養菌株、ATCC第27325)、大腸菌株27C7(W3110、tonA、phoA、E15、(argF-lac)169、ptr3、degP41、ompT、kanr)(米国特許第5,288,931号、ATCC第55244)、枯草菌、サルモネラ菌、セラチア・マルセッセンス、及びシュードモナス種が含まれる。
【0142】
原核生物に加えて、真核生物体、例えば酵母菌、あるいは多細胞生物体由来の細胞を宿主細胞として使用することができる。一般的なパン酵母又はサッカロミセス・セレヴィシアのような酵母宿主細胞中での発現に関しては、好適なベクターには、2ミクロンプラスミドに基づくエピソーム的に複製するベクター、組込み型ベクター、及び酵母人工染色体(YAC)ベクターが含まれる。SF9細胞のような昆虫宿主細胞での発現に関しては、好適なベクターにはバキュロウイルスベクターが含まれる。植物宿主細胞、特にタバコのような双子葉植物宿主における発現に対しては、好適な発現ベクターにはアグロバクテリウム・ツメファシエンスのTiプラスミドに由来するベクターが含まれる。
【0143】
しかしながら、関心は脊椎動物宿主細胞に対して最も大きい。有用な哺乳動物宿主細胞の例には、SV40によって形質転換されたサル腎臓CV1株 (COS-7, ATCC CRL 1651);ヒト胚腎臓株(293又は懸濁培養での増殖のためにサブクローン化された293細胞、Graham等, J. Gen Virol., 36:59 (1997));ハムスター乳児腎細胞(BHK, ATCC CCL 10);チャイニーズハムスター卵巣細胞/-DHFR(CHO, Urlaub及びChasin (1980), Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77:4216);マウスのセルトリ細胞(TM4, Mather , Biol. Reprod., 23:243-251(1980));サルの腎細胞 (CV1 ATCC CCL 70);アフリカミドリザルの腎細胞(VERO-76, ATCC CRL-1587);ヒト子宮頸癌細胞 (HELA, ATCC CCL 2); イヌ腎細胞 (MDCK, ATCC CCL 34);バッファローラット肝細胞 (BRL 3A, ATCC CRL 1442);ヒト肺細胞 (W138, ATCC CCL 75);ヒト肝細胞 (Hep G2, HB 8065);マウス乳房腫瘍(MMT 060562, ATTC CCL51);TRI細胞(Mother等, Annals N.Y. Acad. Sci. 383:44-68(1982));MRC5細胞;FS4細胞;及びヒト肝癌細胞株(HepG2)が含まれる。哺乳動物宿主細胞における発現に対しては、有用なベクターには、SV40由来のベクター、サイトメガロウイルス由来のベクター、例えばpRK5及びpRK7を含むpRKベクター(Suva等, Science, 237:893-896 (1987); 欧州特許第307,247号(3/15/89)、欧州特許第278,776号(8/17/88))、ワクシニアウイルス又は他のポックスウイルス由来のベクター、及びモロニーのマウス白血病ウイルス(MoMLV)由来のベクターのようなレトロウイルスベクターが含まれる。
【0144】
場合によっては、対象のペプチドをコードしているDNAは宿主細胞によって培地中への発現産物の分泌を生じさせる分泌リーダー配列に作用可能に結合される。分泌リーダー配列の例には、stII、エコチン(ecotin)、lamB、ヘルペスGD、lpp、アルカリホスファターゼ、インベルターゼ、及びアルファ因子が含まれる。ここでの使用にまた適しているのはプロテインAの36アミノ酸リーダー配列である(Abrahmsenら, EMBO J., 4:3901(1985) )。
宿主細胞はこの発明の上述の発現又はクローニングベクターでトランスフェクトされ、好ましくは形質転換され、プロモーターを誘導し、形質転換体を選択し、又は所望の配列をコードする遺伝子を増幅するのに適するように変性された一般的な培養液中で培養される。
【0145】
トランスフェクションとは、実際に任意のコード化配列が発現するかどうか分からない宿主細胞による発現ベクターの取り込みを意味する。トランスフェクションの多くの方法は、通常の技能を有する技術者に知られており、例えば、CaPO4及び電気穿孔法がある。一般に成功したトランスフェクションは、宿主細胞内で該ベクターの働きの兆候が現れた時に認識される。
【0146】
形質転換とは、DNAが染色体外成分として又は染色体組み込みによってのいずれかで複製可能となるように、生物にDNAを導入することを意味する。用いる宿主細胞によって、その細胞に適した基本的な技術を用いて形質転換は行われる。Sambrookら, Molecular Cloning(第2版)コールドスプリングハーバー研究所, ニューヨーク(1989)のセクション1.82に記載されているような塩化カルシウムを用いるカルシウム処理は、一般に頑丈な細胞壁バリヤーを持つ原核生物又は他の細胞で利用される。Shawら, Gene, 23:315(1983)及び1989年6月29日公開の国際公開89/05859に記載されているように、アグロバクテリウム・トゥメファシエンスによる感染は、或る種の植物細胞の形質転換に用いられる。このような細胞壁のない哺乳動物の細胞に関しては、Sambrookら, 上掲のセクション16.30-16.37に記載されているリン酸カルシウム沈降法が好ましい。哺乳動物細胞の宿主系形質転換の一般的な態様は、Axelによる1983年8月16日に発行の米国特許第4,399,216号に記載されている。酵母菌中への形質転換は、典型的には、Van Solingenら, J. Bact., 130:946 (1977)及びHsiaoら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 76:3829 (1979)の方法に従って実施される。しかしながら、例えば、核注入、電気穿孔法による、又はプロトプラスト融合等によりDNAを細胞中に導入する他の方法も利用され得る。
【0147】
興味の対象であるインターフェロンを産するために用いる原核生物宿主細胞は、一般的に、Sambrookら, 上掲に記載のように培養することが可能である。
【0148】
本発明のペプチドを作成するのに使用される哺乳動物宿主細胞は、様々な培地で培養することができる。商業的に入手可能な培地、例えばハム(Ham)のF10(シグマ)、最小必須培地((MEM)、シグマ)、RPMI-1640(シグマ)及びダルベッコの改良イーグル培地((DMEM)、シグマ)が宿主細胞の培養に好適である。さらに、参考文献としてここで取り入れられているすべての開示であるHam及びWallace, Meth. in Enz. 58:44(1979), Barnes及びSato, Anal. Biochem. 102:255(1980), 米国特許第4,767,704号;同4,657,866号;同4,927,762号;又は同4,560,655号;国際公開第90/03430号;国際公開第87/00195号;米国特許再発行第30,985号;又は米国特許第5,122,469号に記載された任意の培地は、宿主細胞のための培地として使用できる。これらの培地はいずれも、ホルモン及び/又は他の成長因子(例えばインスリン、トランスフェリン、又は表皮成長因子)、塩類(例えば、塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、及びリン酸塩)、バッファー(例えばHEPES)、ヌクレオシド(例えばアデノシン、及びチミジン)、抗生物質(例えば、ゲンタマイシン(商品名)薬)、微量元素(最終濃度がマイクロモル範囲で通常存在する無機化合物として定義される)、及びグルコース又は同等のエネルギー源を必要に応じて補充することができる。任意の他の必要な補充物質もまた当業者に知られている適当な濃度で含むことができる。培養条件、例えば温度、pH等々は、発現のために選ばれた宿主細胞について以前から用いられているものであり、当業者には明らかであろう。
【0149】
この開示で言及している宿主細胞には、宿主動物内の細胞だけでなくインビトロ培養での細胞が含まれる。
細胞内発現系又は細胞膜周辺腔分泌系では、宿主細胞膜/細胞壁を破壊することによって(例えば、浸透圧ショック又は界面活性剤に宿主細胞膜を可溶化することによって)、組み換え発現したインターフェロンタンパク質を培養細胞から回収することができる。あるいは、細胞外分泌系では、組み換えタンパク質は、培養培地から回収することが可能である。第一段階として、培養液又はライセートを遠心分離してすべての粒子状細胞片を取り除く。次いで、膜及び可溶性タンパク質分画を分離する。通常は、インターフェロンは、可溶性タンパク質分画から精製する。IFNαが膜結合種として発現したならば、その膜結合ペプチドは、界面活性剤による可溶化によって膜分画から回収することが可能である。その後、粗ペプチド抽出物は、免疫アフィニティー又はイオン交換カラムでの分画化;エタノール沈降;逆相HPLC;シリカ又はDEAE等のカチオン交換樹脂でのクロマトグラフィー;クロマトフォーカシング;SDS-PAGE;硫酸アンモニウム塩析;例えばセファデックスG-75を用いたゲル濾過;疎水性アフィニティー樹脂及び基質へ固定化したインターフェロンレセプターを用いたリガンドアフィニティー等の適切な手法によってさらに精製することが可能である。
【0150】
ここで用いられるヒトIFNαの多くは、例えば、シグマ(セントルイス, ミズーリ)、カルビオケム-ノバビオケム・コーポレーション(サンディエゴ, カリフォルニア)又はアキュレイト・ケミカル&サイエンティフィック・コーポレーション(ウエストベリー,ニューヨーク)等の商業的ソースから得ることができる。
【0151】
Maniatisら, Molecular Cloing: A Laboratory Manual, コールドスプリングハーバー研究所 出版, コールドスプリングハーバー, ニューヨーク(1989)に記載されている標準的クローニング手法を用いて、大腸菌の細胞膜周辺腔への種々のhIFNαの種のトランスロケーションを導くプラスミドを構築する。プライマーへ付加したNsiI及びStyI制限部位を用いて、Goeddelら, Nature 290: 20-26(1981)に開示されたhIFNαの種々のサブタイプのcDNAクローンへPCR反応を施す。これらのPCR産物を、その後、Cunninghamら, Science 243: 1330-1336(1989)に記載されている発現ベクターpB0720の対応部位へサブクローニングした。Changら, Gene 55: 189-196(1987)に記載のように、この結果によって得られたプラスミドにより、hIFNαサブタイプの産生は大腸菌phoAプロモーター及び熱安定性エンテロトキシンIIシグナルペプチドのコントロール下に置かれる。各遺伝子の正確なDNA配列は、United States Biochemical Sequence Kit バージョン2.0を利用して確かめられる。各プラスミドを大腸菌株27C7(ATCC#55244)へ形質転換し、Carterら, Bio/Technology 10: 163-167(1992)に記載のように10リッター発酵糟で生育させる。アフィニティークロマトグラフィーによって、各IFNαを含有する大腸菌ペーストからヒトhIFNを精製する。細菌細胞を溶解し、そのライセートを10,000xgで遠心分離して細片を取り除く。Staehelinら, Proc. Natl. Acad. Sci. 78: 1848-1852(1981)に記載されているようにして得たマウス抗hIFN-αB抗体(LI-1)を含有する免疫アフィニティーカラムへその上澄み液を注いだ。Royら, Journal of Chromatography, 303: 225-228(1984)の方法の改良によって、LI-1をコントロールされたポアガラスへ固定化した。結合したインターフェロンを、20%(w/v)グリセロールを含有する0.1M クエン酸、pH3.0によってカラムから溶出した。精製したIFNをSDS-PAGE及び免疫ブロッティングによって解析し、ここに記載されているようにして、hIFN-誘導抗ウイルスアッセイによって生物活性についてアッセイした。
【0152】
Rehbergら, J. Biol. Chem., 257: 11497-11502(1992)又はHorisberger及びMarco, Pharmac. Ther., 66: 507-534(1995)に記載されているように、ヒトIFNα2/1ハイブリッド分子(IFNα21-6264-166)を得た。
【0153】
b.IFNαの固定化
ファージディスプレイクローンのアフィニティークロマトグラフィー分離での利用のために、例えば、アガロースビーズ、アクリルアミドビーズ、ガラスビーズ、セルロース、種々のアクリルコポリマー、ヒドロキシルメタクリルゲル、ポリアクリル及びポリメタクリルコポリマー、ナイロン、中性及びイオン性担体等の適切な基質へ精製したIFN αを付着させることが可能である。基質へのIFNαタンパク質の付着は、Methods in Enzymology, 44巻(1976)に記載されている方法によって完遂することができる。アガロース、デキストラン又はセルロース等の多糖類基質へタンパク質リガンドを付着させるために広く用いられている技術には、ハロゲン化シアンによる担体の活性化、それに続く、活性化基質へのペプチドリガンドの第1級脂肪族又は芳香族アミンのカップリングが含まれる。
【0154】
あるいは、IFNαは、吸収プレートのウェルをコーティングすることに利用すること、吸収プレートへ付着させた宿主細胞上で発現させるか又はセルソーティングで利用すること、又はストレプトアビジンでコーティングしたビーズによる捕獲のためにビオチンとコンジュゲートすること、又はファージディスプレイライブラリをパニングするためのあらゆる他の当該分野の方法において利用することが可能である。
【0155】
c.パニング手法
吸着剤との少なくともファージ粒子の一部分の結合に適した条件下で、ファージディスプレイライブラリの試料を固定化IFNαと接触させる。通常は、pH、イオン強度、温度等を含む条件を選択して、生理学的条件を模倣する。固相と結合したファージを洗浄し、その後、例えばBarbasら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88: 7978-7982(1991)に記載されているように酸で、又は例えばMarksら, J. Mol. Biol. 222: 581-597(1991)に記載にされているようにアルカリで、又は例えばClacksonら, Nature, 352: 624-628(1991)の抗原競合法に類似の手法であるIFNα抗原によって溶出する。ファージは、1回目の選択で20-1,000倍に濃縮することが可能である。さらには、この濃縮したファージを細菌培養液で生育させ、さらなる回の選択に供することが可能である。
【0156】
好ましい実施態様では、大部分、好ましくはすべてのIFNαサブタイプへの感知できる程の結合を示すファージクローンを同定し、さらに特徴付けるために、ファージを種々の固定化したIFNαサブタイプと連続してインキュベートする。この方法では、ファージを最初に1つの特異的IFNαサブタイプとインキュベートする。このサブタイプと結合したファージを溶出して、他のIFNαサブタイプによる選択に供する。このように、結合及び溶出の工程を、すべてのIFNαサブタイプについてくり返す。最後に、この手法によって、すべてのIFNαサブタイプに対して幅広い反応性を有する抗体を表示するファージの集団が産せられる。その後、これらのファージを、IFNαの他の種との感知できる程の結合を示さないクローンを選択するために、他のIFN種、即ちIFNα以外に対して試験することが可能である。最後に、生物学的活性、例えば、種々のIFNαサブタイプの抗ウイルス活性を中和する能力について試験することが可能であり、大部分、好ましくはすべてのIFNαサブタイプに対する幅広い中和活性を有する抗体を表示するクローンが最終的に選択される。
【0157】
選択の効率は多くの要因に依存し、それには、洗浄の間の解離の動力学、そして単一のファージ上の複数の抗体断片が同時に抗原と関われるかどうかということが含まれる。一次解離定数(及び弱い結合親和性)を有する抗体は、短い洗浄、多価ファージディスプレイ及び固相の抗原の高いコーティング密度の利用によって保持することが可能である。高い密度は、多価相互作用を介してファージを安定化するだけでなく、解離したファージの再結合に有利に作用する。遅い解離動力学(及び良好な結合親和性)による抗体の選択は、Bassら, Proteins, 8: 309-314(1990)及び国際公開第92/09690号に記載されているような長い洗浄と単価ファージディスプレイの利用、そしてMarksら, Biotechnol., 10: 779-783(1992)に記載されているような抗原の低度のコーティング密度によって促進することが可能である。
【0158】
親和性に僅かな違いがあったとしても、IFNαに対する異なる親和性のファージ抗体の中で選択することは可能である。しかしながら、選択した抗体のランダム変異(例えば、上記の幾つかの親和性成熟の技術で行われているような)は、多くの変異を生じやすく、その殆どが抗原と結合し、僅かがより高い親和性である。IFNαを限定すると、希な高い親和性のファージが競合して除かれることが可能である。すべてのより高い親和性の変異体を保持するために、ファージは、IFNαの標的モル濃度親和定数よりも低いモル濃度のビオチン化IFNαとインキュベーションできるが、過度のビオチン化IFNαとインキュベートすることが可能である。次いで、高親和性結合ファージをストレプトアビジンでコーティングした常磁性体ビーズによって捕獲することが可能である。そのような「平衡捕獲」は、結合の親和性に従い、親和性の低い過度のファージから、僅かに2倍高い親和性の変異体クローンの単離を可能にする感度で抗体を選択することを可能にする。固相と結合したファージを洗浄するのに用いる条件を操作して、解離定数を基礎として識別することも可能である。
【0159】
1つの実施態様では、ファージを、上記のクロマトグラフィーポリマー基質ビーズのような固相に固定化した種々のIFNαサブタイプと連続してインキュベートする。この方法では、このファージを、最初に1つの特異的IFNαサブタイプとインキュベートする。このサブタイプと結合したファージを、結合したファージを溶液へ遊離することが可能な任意の塩又は酸緩衝液等の適切な溶離液で固相から溶出させる。次に、この溶出したファージクローンを、他のIFNαサブタイプによる選択に供する。IFNαとの結合に関して可溶性IFNAR2と競合するクローンの集団を濃縮するために、一連のIFNαサブタイプクロマトグラフィー分離から回収したファージクローンを、IFNαへ前もって吸着させた固定化IFNAR2の複合体とインキュベートし、非吸着ファージクローンをインキュベーション反応混合液から回収する。
【0160】
選択手法を設計して、任意の適切なバッチクロマトグラフィー技術を利用することが可能である。1つの実施態様では、懸濁液の中のIFNα誘導体化ポリマー基質ビーズへファージクローンを吸着させ、その吸着ビーズを遠心分離で回収し、溶液へ結合したファージを遊離することが可能な任意の塩又は酸緩衝液などの適切な溶出緩衝液で、その回収したビーズを再懸濁してインキュベートし、その溶出混合液を遠心分離し、溶出ファージクローンを上澄み液から回収し、次いで、すべての付加的なIFNαサブタイプについて、その吸着/溶出法をくり返す。IFNαとの結合について可溶性IFNAR2と競合するクローンの集団を濃縮するために、IFNαサブタイプクロマトグラフィー分離から回収したファージクローンを、IFNαへ前もって吸着させたIFNAR2誘導体化ポリマー基質ビーズの懸濁物とインキュベートし、そのインキュベーション混合物を遠心分離し、そして非吸着ファージクローンを上澄み液から回収する。
【0161】
その他の実施態様では、各アフィニティークロマトグラフィー分離の間のIFNAR2へのIFNα結合を阻害する特性に関してファージ集団を濃縮するように、選択法を設計する。この方法では、可溶性IFNAR2が、固定化IFNαとの結合に関してIFNAR2と競合する任意のファージクローンに置き換わることが可能となる条件下で、ファージを固体支持体に固定化した各特異的IFNαサブタイプと連続してインキュベートし、次いで、IFNAR2 ECD-IgG Fc等の過度の可溶性IFNAR2を含む溶離液で固相から溶出させる。このように、結合及び溶出の工程を、各特異的IFNαサブタイプについてくり返す。
【0162】
その他の実施態様では、ファージを懸濁液中のIFNα誘導体化ポリマー基質ビーズへ吸着させ、その吸着ビーズを遠心分離で回収し、その回収したビーズを、可溶性IFNAR2が固定化したIFNαへの結合についてIFNAR2と競合する任意のファージクローンに置き換わり、溶液へ結合したファージを遊離することが可能である条件下で、過度の可溶性IFNAR2(IFNAR2 ECD-IgG Fc等)を含む適切な溶出緩衝液に再懸濁してインキュベートし、その溶出混合液を遠心分離し、その溶出したファージクローンを上澄み液から回収し、次いで、すべての付加的なIFNαサブタイプについて、その吸着/溶出法をくり返す。
【0163】
最後に、この方法によって、幅広い範囲のIFNαサブタイプに対するIFNAR2結合阻害活性を有する抗体を表示するファージの集団を産する。その後、感知できる程のIFNの他の種との結合を示さないクローンを選択するために、これらのファージをIFN-ヨ等の他のIFN種(IFNα種以外)に対して試験することができる。最後に、選択したファージクローンを、種々のIFNαサブタイプの生物学的活性、例えば抗ウイルス活性を中和する能力について試験することが可能であり、そして、多数の、好ましくはすべてのIFNαサブタイプに対する幅広い中和化活性を有する抗体を表示するクローンが最終的に選択される。
【0164】
抗IFNαクローンの活性選択
1つの実施態様では、本発明は、他のどんなインターフェロン種の活性と顕著に結合又は中和しないが、多数、好ましくは多くのIFNαサブタイプの活性を中和し、且つそれと結合する抗IFNα抗体を提供する。例えば、種々のIFNαサブタイプの抗ウイルス活性を中和する種々のファージクローンの能力は、基本的には抗体に関して先述したのと同じ方法で試験することが可能である。
【0165】
4.可溶性IFNAR2-IgGの調製
hIFNAR2(pRK5 hIFNAR2-IgGクローン)の細胞外ドメイン(ECD)に基づくヒト免疫グロブリン融合タンパク質(イムノアドヘシン)をコードするcDNAは、マウスIFN-レセプターイムノアドヘシンの構築に関するHaak-Frendschoら., Immunology 79: 594-599(1993)によって記載されているのと同じ方法を利用して作製することが可能である。要約すると、プラスミドpRKCD42Fc1 は、国際公開第89/02922号(1989年4月6日に公開のPCT/U88/03414)の実施例4に記載されているようにして構築する。成熟hIFNAR2 ECDの最初の216残基の配列をコードするcDNAは、公開された配列から得られる(Novickら., Cell, 77: 391-400[1994])。pRKCD42Fc1 のCD4コード化配列は、pRK5hIFNAR5-IgGクローンを形成するhIFNAR2 ECDコード化 cDNAによって置き換える。リン酸カルシウム沈殿法を用いる一過性トランスフェクションによって、hIFNAR5-IgGをヒト胚腎臓293細胞で発現させる。Haak-Frendschoら(1993), 上掲に記載のように、プロテインA-セファロースカラムでのアフィニティークロマトグラフィーによる一段階で、無血清細胞培養上澄み液からイムノアドヘシンを精製する。20%(w/v)グリセロールを含有する0.1Mクエン酸緩衝液,pH3.0,によって、結合したhIFNAR5-IgGを溶出する。精製したhIFNAR5-IgGは、SDS-PAGEによる判定では95%を越える純度である。
【0166】
5.抗IFNα抗体の診断的用途
本発明の抗IFNα抗体は、IFNα発現に関する診断的アッセイにおける独特な研究用試薬である。先述したように、IFNα発現は、IDDM、SLE、及び自己免疫甲状腺炎等のある自己免疫疾患で増加する。そのような疾患での種々のIFNαサブタイプの発現の増大は、多くのIFNαサブタイプに対する幅広い反応性に関して本発明の抗IFNα抗体を利用して検出して定量化することが可能である。抗IFNα抗体は、また、組み換え細胞又は天然源からの種々のIFNαサブタイプのアフィニティー精製にとって有用である。
【0167】
抗IFNα抗体は、多くの良く知られた診断的アッセイ法の任意の1つにおいて、IFNαの検出に利用することができる。例えば、所望する起源から試料を得て、抗体が混合物に存在する任意のIFNαサブタイプと抗体/IFNα複合体を形成するように試料と抗IFNα抗体を混合させ、混合物に存在する任意の抗体/IFNα複合体を検出することによって、IFNαに関して生物学的試料をアッセイすることができる。特定の試料に適した当該分野で知られた方法によって、アッセイのために生物学的試料を調製することができる。用いられるアッセイの型によって、抗体と試料を混合させる方法、及び抗体/IFNα複合体を検出する方法を選択する。そのようなアッセイには、競合及びサンドイッチアッセイ、及び立体阻害アッセイが含まれる。立体阻害アッセイが単一反応混合液で行われるのに対して、競合アッセイ及びサンドイッチ法は不可欠な部分として相分離ステップを利用する。
【0168】
IFNαについての分析法では、すべて、1つ又はそれより多い次の試薬を用いる:標識IFNαアナログ、標識抗IFNα抗体、固定化抗IFNα抗体及び立体コンジュゲート。標識試薬は、「トレーサー」としても知られている。
【0169】
利用される標識は、IFNαとIFNα抗体の結合を妨害しない任意の検出可能な機能性である。免疫アッセイでは、多くの標識が知られており、その例には、直接に検出することができる分子、例えば蛍光色素、化学発光剤、及び分子だけでなく、酵素等の検出されるように反応又は誘導体化されるべき放射性標識が含まれる。そのような標識の例には、ラジオアイソトープ32P、14C、125I、3H、及び131I、フルオロフォア、例えば希土類キレート又はフルオレセイン及びその誘導体、ローダミン及びその誘導体、ダンシル、ウンベリフェロン、ルシェフェラーゼ、例えばホタルルシェフェラーゼ及び細菌ルシェフェラーゼ(米国特許第4,737,456号)、ルシェフェリン、2,3-ジヒドロフタルジネジオン、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリフォスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、糖オキシダーゼ、例えばグルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、及びグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘテロサイクリックオキシダーゼ、例えばウリカーゼ及びキサンチンオキシダーゼであり、色素前駆体、例えばHRP、ラクトペルオキシダーゼ、又はマイクロペルオキシダーゼ、ビオチン/アビジン、スピンラベル、バクテリオファージラベル、安定な遊離ラジカルを酸化する過酸化水素を利用する酵素とカップリングさせたものを含む。
【0170】
これら標識を共有的にタンパク質又はポリペプチドと結合させるために、常套的方法が利用可能である。例えば、カップリング剤、例えばジアルデヒド、カルボジイミド、ジマレイミド、ビス-イミデート、ビス-ジアゾ化ベンジジン等が、上記の蛍光剤、化学発光剤、酵素標識で抗体をタグするのに利用することが可能である。例えば、米国特許第3,940,475号(フルオロメトリー)及び3,645,090号(酵素);Hunterら, Nature, 144: 945(1962); Davidら, Biochemistry, 13: 1014-1021(1974);Painら, J. Immunol. Methods, 40: 219-230(1981);及びNygren, J. Histochem. and Cytochem., 30: 407-412(1982)を参照せよ。ここでの好ましい標識は、西洋ワサビペルオキシダーゼ及びアルカリフォスファターゼ等の酵素である。
【0171】
抗体への酵素を含むそのような標識のコンジュゲーションは、免疫アッセイ技術における通常の技術の1つにとって標準的な操作法である。例えば、O'Sullivanら, "Methods for Preparation of Enzyme-Antibody Conjugates for Use in Enzyme Immunoassay, " in Methods in Enzymology, 編 J. J. Langone & H. Van Vunakis, 73巻(Academic Press, ニューヨーク, ニューヨーク, 1981), 147-166頁を参照せよ。
【0172】
あるアッセイ法では、試薬の固定化を必要とする。固定化は、溶液で遊離に存在するあらゆるIFNαから抗IFNα抗体を分離することを伴う。水不溶性基質又は表面への吸着による(Bennichら., 米国特許第3,720,760号)、共有結合による(例えば、グルタルアルデヒド架橋を利用して)、又は例えば免疫沈降による、後に抗IFNα抗体又はIFNαアナログを不溶化することによるように、アッセイ法の前に抗INFα抗体又はIFNαアナログの何れかを不溶化することによって、これは常套的に完遂される。
【0173】
競合又はサンドイッチアッセイとして知られる他のアッセイ法は、良く確立されており、商業的な診断業界では広く利用されている。
競合アッセイは、限られた数の抗IFNα抗体抗原結合部位に関して試験試料IFNαと競合する微量のIFNαアナログの能力に依存する。抗IFNα抗体を、一般的に、競合の前後で不溶化し、次いで、抗IFNα抗体と結合したトレーサー及びIFNαを、未結合のトレーサー及びIFNαから分離する。この分離は、デカントすること(結合相手は、前もって不溶化された)又は遠心分離(結合相手は、競合反応の後で沈殿された)によって完遂される。試験試料IFNαの量は、マーカー物質の量で測定されるように、結合したトレーサーの量に反比例する。IFNαの既知量による用量反応曲線を調整して試験結果と比較し、試験試料に存在するIFNαの量を定量的に決定した。
【0174】
「同種」アッセイと呼ばれる他の種の競合アッセイは、相分離を必要としない。ここで、抗IFNα抗体がIFNαと結合する時に、抗IFNα抗体の存在が酵素活性を修正するように、IFNαとの酵素のコンジュゲートを調製して利用する。この場合、IFNα又はその免疫学的に活性な断片を、二価機能性有機架橋によって、ペルオキシダーゼのような酵素へコンジュゲートさせる。抗IFNα抗体の結合が標識の酵素活性を阻害するか又は増強するように、抗IFNα抗体との利用に関してコンジュゲートを選択する。この方法それ自体は、EMITという名前の下に広く実施されている。
【0175】
同種アッセイに関する立体障害法において、立体コンジュゲートを用いる。ハプテンに対する抗体が抗IFNα抗体と同時にコンジュゲートと実質的に結合できないように、小IFNα断片へ低分子量ハプテンを共有結合させることで、これらのコンジュゲートを合成する。このアッセイ法の下では、試験試料に存在するIFNαは抗IFNα抗体と結合し、それによって、抗ハプテンがコンジュゲートと結合することが可能となり、例えば、ハプテンがフルオロフォアの場合の蛍光発光の変化のように、コンジュゲートハプテンの性質に変化を引き起こす結果となる。
【0176】
サンドイッチアッセイは、特に、IFNα又は抗IFNα抗体の測定にとって有用である。連続サンドイッチアッセイでは、試験試料IFNαを吸着するのに固定化抗IFNα抗体を用い、その試験試料を洗浄によって除き、第二番目の標識抗IFNα抗体を吸着するのにその結合IFNαを用い、その後、結合物質を残存トレーサーから分離する。結合しているトレーサーの量は、試験試料IFNαと正比例している。「同時」サンドイッチアッセイでは、標識した抗IFNαを添加する前には、試験試料を分離しない。抗IFNαモノクローナル抗体を1つの抗体として、ポリクローナル抗IFNα抗体を他方の抗体として用いる連続サンドイッチアッセイは、IFNαに関する試料を試験するのに有用である。
【0177】
前述は、IFNαに関する単に例示的な診断的アッセイである。上記のバイオアッセイを含み、IFNαの測定に関して抗IFNα抗体を利用する現在又はその後で開発された他の方法は、その範囲内に含まれる。
【0178】
6.抗IFNα抗体の治療的組成物及び投与
本発明の抗-IFNα抗体の治療的組成物は、凍結乾燥された製剤又は水性溶液の形態で、所望される程度の純度を持つ抗体を任意の生理学的に許容可能な担体、賦形剤又は安定化剤と混合することにより調製されて保管される(Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 19版, Mack Publishing Co., (イーストン, ペンシルバニア: 1995))。許容される担体、賦形剤、又は安定化剤は、用いられる用量及び濃度で受容者に非毒性であり、リン酸、クエン酸、及び他の有機酸などの緩衝液;アスコルビン酸を含む酸化防止剤;低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリン等のタンパク質;ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、又はリシン等のアミノ酸;グルコース、マンノース、又はデキストリンを含む単糖類、二糖類、及び他の炭水化物;EDTA等のキレート剤;マンニトール、又はソルビトールなどの糖;ナトリウムなどの塩形成対イオン;及び/又はトゥイーン、プルロニクス、又はポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン性界面活性剤を含む。
【0179】
インビボ投与に用いる製剤は無菌であるべきである。これは、凍結乾燥及び再構成の前又はその後で滅菌濾過膜を通した濾過により容易に達成される。抗IFNαは、通常、凍結乾燥された形態又は溶液で保存される。
治療的抗IFNα抗体組成物は、一般的に無菌のアクセスポートを具備する容器、例えば、静脈内溶液バッグ又は皮下注射針で貫通可能なストッパーを備えたバッグ又はバイアルに入れられる。
抗IFNα抗体投与の経路は周知の方法、例えば、静脈内、腹膜内、脳内、皮下、筋肉内、眼内、動脈内、脳内脊髄、又は病巣内経路での注射又は注入、又は以下に記載の徐放系による。好ましくは、この抗体は全身に与えられる。
【0180】
徐放性製剤の適例としては、例えばフィルム状又はマイクロカプセルの形付けられた半透性マトリックスがある。徐放性マトリックスの例としては、ポリエステル、ハイドロゲル、ポリ乳酸(米国特許第3,773,919号、欧州特許第 58,481号)、L-グルタミン酸とγエチル-L-グルタミン酸の共重合体(Sidmanほか, Biopolymers, 22:547-556 (1983))、ポリ(2-ヒドロキシエチル―メタクリレート)(Langerら, J. Biomed. Mater. Res., 15:167-277 (1981)及びLanger, Chem. Tech., 12:98-105 (1982))、エチレン―酢酸ビニル(上記Langerら)又はポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸(欧州特許第 133,988号)がある。徐放性抗IFNAR2抗体組成物には、リポソーム包括抗体も含まれる。抗体を含むリポソームは、それ自体知られた方法によって調製される:DE3,218,121;Epsteinら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82: 3688-3692 (1985);Hwangら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77: 4030-4034 (1980);欧州特許第52,322号;欧州特許第36,676号;欧州特許第88,046号;欧州特許第143,949号;欧州特許第142,641号;日本特許出願83-118008; 及び米国特許第4,485,045号及び第4,544,545号。通常、そのリポソームは、脂質含量が約30mol.%コレステロールより高く、選定比が最適抗体療法に調節されている、小さな(約200-800オングストローム)単一層状型である。
【0181】
抗IFNα抗体は、吸入によって投与することも可能である。ジェット噴霧器及び超音波噴霧器を含む、商業的に入手が可能な液体製剤のための噴霧器は、投与にとって有用である。液体製剤は、直接に噴霧することが可能であり、凍結乾燥粉末は、再構成の後で噴霧することができる。あるいは、フッ化炭素製剤及び定量吸入器を用いてエアロゾル化し、又は凍結乾燥及び精粉末として吸入することが可能である。
【0182】
治療的に用いられる抗IFNα抗体の「有効量」は、例えば、治療目的、投与経路、用いる抗IFNα抗体の型、及び患者の状態に依存する。従って、治療者は、最大の治療効果を得ることが要求されるときに、用量を滴定し投与経路を修正する必要があるであろう。典型的には、臨床医は、上記の疾患の治療についての所望の効果が達成される用量に達するまで抗IFNα抗体を投与するであろう。この治療の経過は、従来のアッセイによって容易にモニターされる。
【0183】
本発明の抗IFNα抗体で治療される患者には、病状発現前の患者、又は最近、免疫媒介疾患、特に自己免疫疾患の発症のある患者が含まれる。免疫媒介破壊から保護される健全な組織が存在しないまでは、この発明によると患者は治療の候補である。例えば、インシュリン依存性糖尿病(IDDM)を患う患者は、その患者の膵臓島細胞がもはや生存可能ではない状態になるまでは、抗IFNα抗体による治療の恩恵を受ける。免疫媒介又は自己免疫疾患が発症すると、抗IFNα抗体をできるだけ早く投与し、患者の免疫系による破壊からの健全な組織の保護に必要な限り治療をできるだけ継続することが望ましい。例えば、インシュリンのモニタリングが十分な島応答を示して、島のネクローシスの他の徴候が無くなり(例えば、抗島抗体力価の減少)、その後は、再発に関してインシュリン応答と抗島抗体のレベルをモニターする試験期間のための抗INFα抗体治療から患者を解放することができるまでIDDM患者を治療する。
【0184】
抗IFNα抗体による免疫媒介又は自己免疫疾患の治療及び予防では、抗体組成物は、製剤化され、服用され、そして良好な医療行為と一致する様式で投与される。これに関して考慮する要因には、治療される特定の疾患、治療される特定の哺乳動物、個々の患者の臨床症状、疾患の原因、抗体を送達する部位、特定の型の抗体、投与の方法、投与計画、そして医療従事者に知られている他の要因が含まれる。投与される抗体の「治療的有効量」は、そのような考慮によって左右され、疾患を予防し、改善し、又は治療するのに必要な最少量であり、そのことには、移植受容者における慢性的自己免疫症及び免疫抑制維持が含まれる。そのような量には、好ましくは、宿主にとって毒性があるか、又は宿主をより顕著に感染しやすくしてしまう量より少ない。
【0185】
一般的な提案として、投与される抗体の治療上有効な量は、1回の投与であろうと複数回の投与であろうと、1日に患者の体重当り約0.1ないし約50mg/kgの範囲であり、使用される抗体の典型的な範囲は、例えば約0.3ないし約20mg/kg/日、より好ましくは約0.3ないし約15mg/kg/日で毎日投与される。所望される用量は、単一のボーラス投与によって、複数のボーラス投与によって、又は抗体の連続注入投与によって送達が可能であり、実施者が到達したい薬理学的減衰のパターンに依存する。
しかしながら、上記のように、これらの示唆された抗体の量は、多くの治療上の判断を必要とする。適した用量の選定と計画における鍵となる要因は、上で示したような得られた結果である。
【0186】
必要ではないが、1つ又はそれより多い薬剤で随意的に製剤化されている抗体は、現在、問題とされている免疫媒介又は自己免疫疾患を予防するか治療するのに利用されている。例えば、リュウマチ様関節炎では、抗体は、グルココルチコステロイドとの組み合わせで与えることができる。そのような他の薬剤の有効量は、製剤に存在する抗IFNα抗体の量、疾患又は治療の種類、上で論じた他の要因に依存する。これらは、一般的に同じ用量及びこれまでに用いたような投与経路によって、又は今までに用いた用量の約1〜99%で利用される。
【0187】
本発明のさらなる詳細は、さらに本発明の範囲を定める、以下の実施例に見出すことができる。本明細書を通して引用されているすべての参考文献、それに引用されている参考文献は、それらすべての参考文献によって、ここで明白に取り入れられている。
(実施例)
【0188】
以下の実施例は例示として提供され、限定するものではない。この実施例は、本発明の化合物、組成物、及び方法をどのように作製して使用するのかに関する完全な開示及び記載を当業者へ提供し、発明に関して発明者が考慮している範囲を限定することを意図しているものではない。使用する数字(例えば、量、温度等)に関する正確さを保証する努力がなされてきたが、幾つかの実験的誤り及び逸脱については説明されるべきである。特に示さない限り、部分は重量で、温度は摂氏度、そして圧力は大気圧又はその付近である。明細書のすべての引例の開示は、参考文献によって、ここに明白に取り入れられている。
【実施例1】
【0189】
幅広い反応性のマウス抗IFNαモノクローナル抗体の作製及びキャラクタリゼーション
材料及び方法
IFNαサブタイプに対して幅広い反応性を有するマウスモノクローナル抗体
ヒトIFNαサブタイプの混合物によってマウスを連続して免疫化し、大量の候補mAbsを作製し、次いで結合及び活性に関してスクリーニングすることによって、パンIFNα中和化抗体を開発した。特に、Balb/cマウスを、MPL-TDM(Ribi Immunochemical Research, ハミルトン, モンタナ)に懸濁した2.5gのリンパ芽球腫hIFN-∀(シグマの製品番号I-9887,セントルイス, ミズーリ州)で各後足蹠に9回(2週間インターバルで)免疫化した。最後の追加免疫の3日後、35%ポリエチレングリコールを用いて、膝窩のリンパ節細胞をマウスメラノーマ細胞 P3X63Ag8.U.1(ATCC CRL1597)と融合させた。ハイブリドーマは、HAT培地で選択した。融合の10日後、ELISAで、種々のhIFNαと結合しているmAbsについて、ハイブリドーマ培養上澄み液を最初にスクリーニングした。選定したハイブリドーマ培養液上澄み液を、その後、上記のように、ヒト肺癌腫細胞株A549細胞でIFNの抗ウイルス細胞変性効果を阻害する効力に関して試験した。図1に示したように、1794融合ウェルから得られた3つのmAbsは、多様な設定のIFNαサブタイプを中和することができた。これら3つのmAbsをサブクローンして再解析した。
【0190】
IFNαの抗ウイルス活性の中和化
IFNαの抗ウイルス活性を中和する候補抗体の能力を、Yousei, S., ら, Am. J. Clin. Pathol., 83: 735-740(1985)に記載のようにしてアッセイした。要約すると、このアッセイは、脳心筋炎(EMC)ウイルスで刺激したヒト肺癌腫A549細胞を用いておこなった。mAbsの連続希釈液を、100:1の全容量、37ECで1時間、種々の単位のI型インターフェロンでインキュベートした。これらの混合物を、次いで、24時間、100:1の細胞培養培地の中で5x105 A549細胞とインキュベートした。その後、さらなる24時間、細胞を2x105pfuのEMCウイルスで刺激した。インキュベーションの最後には、視覚顕微鏡的検査又はクリスタル・バイオレット染色によって細胞生存率を確かめた。中和化抗体力価(EC50)を、100ユニット/mlのI型IFNによって抗ウイルス細胞変性効果の50%を中和する抗体の濃度として定義した。この研究で用いたI型IFNの単位は、NIH基準組み換え体ヒトIFN-∀2を標準として用いて測定した。試験した種々のI型IFNの比活性は次の通りである:IFN-∀2/∀1(IFN-∀2残基1-62/-∀1残基64-166)(2x107IU/mg)、IFN-∀1(3x107IU/mg)、IFN-∀2(2x107IU/mg)、IFN-∀5(8x107IU/mg)、IFN-∀8(19x107IU/mg)、及びIFN-∀10(1.5x105IU/mg)。試験した白血球IFNは、シグマ製品番号I-2396であった。試験したリンパ芽球腫IFNは、NIH基準Ga23-901-532であった。図3Bに示したデータは、出願人の依頼により、Access Biomedical(サンディエゴ, カリフォルニア州)によっておこなわれた実験で上記のアッセイフォーマットを利用して得られた。
【0191】
電気泳動移動度シフトアッセイ
IFNの殆どの即時の作用は、マルチタンパク質複合体を産する潜在的な細胞質シグナルトランスデューサ及び転写タンパク質のアクチベーター(STAT)の活性化、標的プロモーターインターフェロン刺激応答エレメント(ISRE)からの転写を誘導するインターフェロン刺激遺伝子因子-3(ISGF3)と連結している。ISGF3は、3つのタンパク質サブユニットで構成されている:STAT1、STAT2及びp48/ISGF3γ。p48タンパク質は、インターフェロン制御因子(IRF)ファミリーに属し、ISREと直接に相互作用するDNA結合タンパク質である。従って、IFN処理に応答するISRE特異的細胞性DNA結合複合体をモニターリングすることは、標的細胞上のIFNの効果を評価する単純、迅速そして簡便な方法である。そのような解析を実行する簡便なフォーマットの1つは、電気泳動移動度シフトアッセイ(EMSA)であり、IFN処理によるISRE結合活性の誘導は、ISREのコンセンサス配列と一致する放射能標識二重鎖オリゴヌクレオチドプローブの電気泳動移動度においてシフトを引き起こす。
【0192】
このアッセイは、基本的に、Kurabayashiら., Mol. Cell Biol., 15: 6386 (1995)による記載のように実行される。要約すると、5ngの特異的IFNαサブタイプに種々の濃度(5-100μg/ml)の抗IFNαmAbsを加えたものを、37℃で30分間、200μlのDMEMの中で5x105HeLa細胞とインキュベートした。hIFN-∀の添加の前に、4℃で15分間、細胞を抗体とインキュベートした。細胞をPBSで洗浄し、125μlの緩衝液A(10mM HEPES, pH7.9, 10mM KCl, 0.1mM ETDA, 1mM DTT, 1mM フェニルメチルスルホニルフッ化物, 10μg/mlロイペプチン、10μg/mlアプロチニン)に再懸濁した。氷上で15分のインキュベーションの後、0.025% NP40の添加によって細胞を溶解した。その核ペレットを遠心分離で得て、50μlの緩衝液B(20mM HEPES, pH7.9, 400mM NaCl, 0.1mM EDTA, 1mM DTT, 1mM フェニルメチルスルホニルフッ化物, 10μg/ml ロイペプチン, 10μg/mlアプロチニン)に再懸濁し、氷上で30分間、保持した。核分画を遠心分離で透明にし、使用するまでその上澄み液を-70℃で保存した。32P-dATP(3,000Ci/mM, アムシャム)によるDNAポリメラーゼIクレノウ充填反応を利用して、一本鎖オリゴヌクレオチド(ISG15上:5'-GATCGGGAAAGGGAAACCGAAACTGAAGCC-3'[配列番号:13]、ISG15下:5'-GATCGGCTTCAGTTTCGGTTTCCCTTTCCC-3'[配列番号:14])から二重鎖プローブを調製した。BIO-Spin 30カラム(Bio-Rad)を用いて、取り込まれていない放射性ヌクレオチドから標識オリゴヌクレオチドを精製した。5μl核抽出物、15μl結合緩衝液(10mM トリス-HCL、pH7.5、50mM NaCl、1mM EDTA、1mM DTT、1mM フェニルメチルスルホニルフッ化物及び15%グリセロール)中の25,000cpmの標識プローブ及び2μgの非特異的コンペティターポリ(dI-dC)-ポリ(dI-dC)を含む結合反応を、30分間、室温でインキュベートした。DNA-タンパク質複合体を6%未変性ポリアクリルアミドゲルに溶解させ、オートラジオグラフによって解析した。このアッセイの特異性は、別の反応混合液中への350ngの非標識ISG15プローブの添加によって測定した。ISGF3特異的複合体の形成は、抗STAT1抗体によるスーパーシフトアッセイによって確かめた。
【0193】
9F3抗IFNαモノクローナル抗体
マウス抗ヒトIFNαmAb9F3を作製し、クローニングしてシーケンシングした。大腸菌においてF(ab)sの発現及び突然変異誘発に用いたプラスミドpEMX1については、以前に記載した(Wertherら., J. Immunol. 157: 4986-4995[1996])。要約すると、このプラスミドは、コンセンサスヒトκサブグループ1軽鎖(VLκ-CL)及びコンセンサスヒトサブグループIII重鎖(VHIII-CH1)及びアルカリフォスファターゼをコードするDNA断片を含む。VL及びVHに関するコンセンサス配列の利用については、以前に記載した(Carterら., Natl. Acad. Sci. USA 89: 4285-4289[1992])。
【0194】
結果
我々は、IDDMの患者の島で発現している幅広いIFNαサブタイプがあることを以前に示した(Huangら., Diabetes 44:658-664[1995])。我々は、IDDMとIFNβ又はIFNγのいずれかの発現の間に何ら明らかな関連性がないことも示した(Huangら., [1995]上掲)。SLE病状の一部分として発現した特定のIFNαサブタイプが定義されなかったが、IDDMのように、関連性はIFNαとであって、IFNβ又はIFNγのいずれかとではない(Hooks, ら., Arthritis&Rheumatism 25: 396-400[1982];Kim,ら., Clin. Exp. Immunol. 70: 562-569[1987];Lacki, ら., J. Med. 28: 99-107[1997]; Robak, ら., Archivum Immunologiae et Therapiae Experimentalis 46: 375-380[1998];Shiozawa, ら., Arthritis&Rheumatism 35: 417-422[1992]; von Wussow, ら., Rheumatology International 8: 225-230[1998])。これらの観察は、IDDM又はSLEにおける治療行為のための候補抗体は、宿主防御に必要であろう他のインターフェロン(β、γ及びω)及びインターロイキンの活性を無傷のままにする一方で、大部分のIFNαサブタイプを中和するのに必要であろうことを提案することにつながった。
【0195】
それらの1つ(9F3)は、幅広い組み換えインターフェロンαサブタイプを中和することが可能であり、さらにキャラクタライズされた。図2Aに示されているように、9F3は、7つの組み換え体インターフェロン、IFNα-2,4,5,8及び10(図2)及びIFNα1及び21(表2及び図6)の抗ウイルス活性を中和することができた。これらIFNαサブタイプは、I型インターフェロン配列樹状図に見積もられた配列の全範囲を含む。さらに重要なのは、IFNαサブタイプを中和する9F3 mAbは、IFNβ(図2、表2)又はIFNを中和することはできなかった。IFNβに関する図2に示す活性の小さな増加は他のアッセイでは再現可能ではなく、アッセイ変動の結果と思われた。
【0196】
IFNαに対して中和化する他のmAbsが開発されてきた(Tsukui等, Microbiol. Immunol. 30, 1129-1139 (1986); Berg, J. Interferon Res. 4: 481-491 [1984]; Meager及びBerg, J. Interferon Res. 6: 729-736 [1986]; 米国特許第4,902,618号;及び欧州特許公開第0,139,676B1号)。しかしながら、これら抗体は、限られた数の組み換え体IFNαサブタイプのみを中和し、活性化された白血球によって産せられたような幅広いIFNαサブタイプを中和することができなかった。対照的に、9F3 Mabは、活性化された白血球に産せられたIFNαサブタイプの不均一な集団における少なくとも95%の抗ウイルス活性を中和することが可能であった(図3A)。同様に、9F3 mAbは、単独の実験で確かめたように、リンパ芽球腫IFN(NIH基準)の単独製剤の抗ウイルス活性をブロックすることも可能であった(図3B)。
【0197】
代替バイオアッセイを用いて、IFNαを中和する9F3 mAbの能力も試験した。このアッセイは、電気泳動移動度シフトアッセイとして知られているDNA結合アッセイにおける、インターフェロン刺激エレメント(ISRE)に由来するオリゴヌクレオチドへのシグナル分子であるインターフェロン刺激遺伝子因子3(ISGF3)の結合を活性化するIFNαの能力に基づいている(Horvathら., Genes Dev. 9: 984-994[1995])。核へのI型インターフェロンシグナルのトランスダクションは、タンパク質複合体、ISGF3の活性化に依存し、それには、2つのシグナルトランスデューサ及び転写タンパク質のアクチベーター(STAT)STAT1及びSTAT2、及びインターフェロン制御因子(IRF)タンパク質であるp48/ISGF3γに関する(Watheletら., Mol. Cell. 1: 507-518[1998])。後者はISGF3のDNA配列認識サブユニットであり、直接にISREと相互作用する(McKendryら., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88: 11455-11459[1991];Johnら., Mol. Cell. Biol. 11: 4189-4195[1991])。IFNα又はIFNβのいずれかによるCOS細胞の処理は、ISRE由来プローブへのISGF3の結合と一致する複合体の出現につながる。IFNβ誘導ではなく、IFNα誘導複合体の出現は、9F3 mAbによってブロックされた(図4)。さらには、9F3 mAbは、このアッセイで試験された6つの組み換え体IFNαサブタイプの活性を中和することができた(表2)。
【0198】

【0199】
9F3が幅広い種々の組み換え体IFNαサブタイプと活性化された白血球によって産せられたIFNαサブタイプの混合物の双方を中和することができたということを証明し、我々は、9F3 mAbの重鎖及び軽鎖の双方をコードするcDNAをクローニングしてシーケンシングした。この重鎖及び軽鎖を精製し、由来するN末端アミノ酸配列を利用してN末端に一致する縮重5' プライマーを設計し、マウスκ軽鎖及びIgG2重鎖の定常ドメインに対応して3' プライマーを設計した。常套的なPCR法を利用して対応するcDNAをクローニングし、そのヌクレオチド配列の挿入部を決定した。図5は、マウス9F3モノクローナル抗体のVL(5A)及びVH(5B)ドメインの配列アライメント、ヒト重鎖サブグループIII及びヒトκ軽鎖サブグループIIIのヒト化バージョン(V13)及びコンセンサス配列を示す。クローニングされたcDNAが、9F3 mAbの特異性及び特徴を反映する正確なMabをコードするcDNAを確かめるために、図5に示したマウスcDNA配列及びヒトCH1ドメインを利用した組み換えキメラタンパク質を生成した。この結果生じたキメラ(CH8-2)は、種々の組み換え体IFNαサブタイプを完全に中和することができた(図6)。重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、その後、ヒト化抗体の作製に使用した。
【実施例2】
【0200】
9F3パン-IFNα中和化モノクローナル抗体のヒト化
材料及び方法
ヒト化F(ab)sの構築
ヒト化9F3の最初のF(ab)変異体を構築するために、pEMX1のデオキシウリジン含有テンプレートで部位特異的突然変異誘発(Kunkel, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82: 488-492[1985])をおこなった。6つのCDRをマウス9F3配列へ変化させた(図5);各CDRに含まれる残基は、配列に基づいたCDRの定義に由来する(Kabatら., (1991)上掲)。従って、F-1は、6つの完全なマウスCDR配列を有する完全なヒトフレームワークで構成されていた(VLκサブグループ1及びVHサブグループIII)。他のすべてのF(ab)変異体のプラスミドは、F-1のプラスミドテンプレートから構築した。商業用キット(Qiagen, バレンシア, カリフォルニア)を利用する二重及び一本鎖DNAの調製のために、プラスミドを大腸菌株XL-1ブルー(ストラタジーン, サンディエゴ, カリフォルニア)へ形質転換した。各変異体に関して、ジデオキシ法(Sequenase, U.S. Biochemical Crop., クリーブランド, オハイオ)を使用して、軽及び重鎖をコードするDNAを完全にシーケンシングした。プラスミドをMM294の誘導体である大腸菌株16C9へ形質転換し、50μg/mlのカルベニシリンを含有するルリアブロスプレート上へプレートし、タンパク質発現に関する単一コロニーを選択した。この単一コロニーを、37℃で5-8時間、5mlルリア培養液-100μg/mlカルベニシリンで生育させた。この5mlの培養液を50μg/mlカルベリシニンを含有する500ml AP5培地へ添加し、20時間、30℃で4Lバッフル振盪フラスコで生育させた。AP5培地は:1.5gグルコース、11.0gヘイカーゼSF(Hycase SF)、0.6g酵母抽出物(保証された)、0.19g MgSO4(無水)、1.07g NH4Cl、3.73g KCl、1.2g NaCl、120ml 1M トリエタノールアミン、pH 7.4、これへ1Lの水で構成され、次いで、0.1μm Sealkeenフィルターを通して無菌濾過した。細胞を3000xgで1L遠心分離ボトルで遠心分離によって収集し、その上澄み液を取り除いた。1時間の凍結の後、ペレットを25ml冷10mM トリス-1mM EDTA-20%スークロース、pH7.5に再懸濁し、250μlの0.1M ベンズアミジン(シグマ、セントルイス、ミズーリー州)を添加してタンパク質分解を阻害した。3時間の氷上での穏やかな撹拌の後、この試料を15分間、40,000xgで遠心分離した。次いで、その上澄み液を、10mMトリス-1mM EDTA, pH7.5 で平衡化したプロテインG-セファロースCL-4B(ファルマシア, ウップラサ, スウェーデン)カラム(0.5ml総容量)へ適用した。このカラムを10mlの10mM トリス-1mM EDTA, pH7.5で洗浄し、3mlの0.3M グリシン、pH3.0 で溶出し1.25ml 1M トリス,pH 8.0とした。次いで、F(ab)を、Centricon-30(Amicon, ベヴァリー, マサシューセッツ州)を用いて緩衝液をPBSへ交換し、0.5mlの最終容量へ濃縮した。すべてのF(ab)sのSDS-PAGEゲルをおこなって純度を確かめ、各変異体の分子量をエレクトロスプレー質量分析計によって確かめた。定量的アミノ酸分析を利用してF(ab)濃度を確かめた。
【0201】
キメラ及びヒト化IgGの構築
キメラ及びヒト化9F3のヒトIgG2種の作製のために、適切なマウス又はヒト化VL及びVH(F-13, 表3)ドメインを、ヒトIgG2 CH1-Fc又はヒト軽鎖CLドメインをコードするDNAを含有する、個々の前記のpRKベクター(Eatonら, Biochemistry 25: 8343-8347[1986])へサブクローニングした。各変異体の全軽及び全重鎖をコードするDNAを、ジデオキシヌクレオチドシーケンシングによって確かめた。このキメラIgGは、アミノ酸SerH113でヒトCH1ドメインと融合した全マウス9F3 VHドメイン、及びアミノ酸LysL107でヒトCLドメインと融合した全マウス9F3 VLドメインで構成されている。
【0202】
重及び軽鎖プラスミドを、高効率手法を用いて(Gormanら., DNA Prot. Eng. Tech. 2: 3-10[1990])、アデノウイルス形質転換ヒト胚腎臓細胞株、293(Grahamら., J. Gen. Virol. 36: 59-74[1977])へ同時トランスフェクションした。培地は無血清へ変え、5日目まで毎日、収集した。プロテインA-セファロースCL-4B(ファルマシア)を利用して、抗体をプールした上澄み液から精製した。溶出した抗体は、Centrion-30(Amicon)を用いて緩衝液をPBSへ替え、0.5mlへ濃縮し、Millex-GV(ミリポア, ベッドフォード, マサシューセッツ)を用いて無菌濾過し、4℃で保存した。IgG2の濃度は、定量的アミノ酸分析を利用して決定した。
【0203】
IFNα結合アッセイ
ELISAでは、各ウェルへ50μlの0.1μg/ml IFNαを含むPBSを添加し、終夜、4℃でインキュベートすることによって、96ウェルマイクロタイタープレート(Nunc)をコーティングした。その後、このプレートを、洗浄緩衝液(0.05%トゥイーン-20を加えたPBS)で3回、洗浄した。次いで、マイクロタイタープレートのウェルを200μlのSuperBlock(Pierce)でブロックし、1時間、室温でインキュベートした。このプレートを、その後、再び洗浄緩衝液で3回、洗浄した。洗浄段階の後、10μg/mlで開始したヒト化mAbの100μlの連続希釈液を指定されたウェルへ添加した。このプレートを、室温で1時間、シェーカー装置の上にて室温でインキュベートし、その後、洗浄緩衝液で3回洗浄した。次に、アッセイ緩衝液(0.5%ウシ血清アルブミン、0.05%トゥイーン20を含むPBS)で1:1000で希釈した100μlの西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)-コンジュゲートヤギ抗ヒトFab特異性(Cappel)を各ウェルへ添加した。このプレートをシェーカー装置の上でインキュベートし、その後、洗浄緩衝液で3回、洗浄し、これに続いて、100μlの基質(TMB, 3,3', 5,5'-テトラメチルベンジジン;Kirkegaard&Perry)を各ウェルへ添加し、10分間、室温でインキュベートした。この反応は、各ウェルへ100μlの停止溶液(Kirkegaard&Perryから)を添加して止め、450nmでの吸光度を自動マイクロプレートリーダーで読み取った。
【0204】
BIAcore(商品名)バイオセンサーアッセイ
BIAcore(商品名)バイオセンサー(Karlssonら, Methods: A companion to Methods in Enzymology 6: 97-108 [1994])を用いて、ヒト化F(ab)s、キメラ及びヒト化IgG2抗体のIFNα結合を測定した。IFNαを、50mM MES緩衝液, pH6.3にて60μg/mlでセンサーチップ上に固定化した。抗体を、リン酸緩衝液化生理的食塩水/1% トゥイーン-20にて75μg/ml(500nM)でチップへ曝露した。オン-レート(kon)の抗体を測定した。
【0205】
マウス及びヒト化F(ab)sのコンピューターグラフィックモデル
VL及びVHドメイン(図5A及び5B)の配列を用いて、マウス9F3 VL-VHドメインのコンピューターグラフィックモデルを構築した(図7)。このモデルは、どのフレームワーク残基をヒト化抗体へ取り込むべきかを決定するために用いた。ヒト化F(ab)のモデルは、マウスフレームワーク残基の正確な選定を確かなものにするためにも構築した。モデルの構築は、前出に記載のようにしておこなった(Carterら, [1992]上掲;Wertherら, [1996]上掲)。
【0206】
結果
ヒト重鎖サブグループIII及び軽鎖サブグループIを、図5(Kabatら, (1991)上掲)に示すようなヒト化のフレームワークとして用いた。このフレームワークは、他のマウス抗体のヒト化に成功裏に用いられた(Caterら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 4285-4289 [1992];Prestaら, J. Immunol. 151: 2623-2632 [1993];Eigenbrotら, Proteins 18: 49-62 [1994];Wertherら, J. Immunol. 157: 4986-4995[1996])。すべてのヒト化変異体を最初に作製し、大腸菌で発現するF(ab)としての結合についてスクリーニングした。500mlシェーカーフラスコからの典型的な産出量は0.1-0.4mg F(ab)であった。
【0207】
相補性決定領域(CDR)残基を、配列高頻度可変性(Kabatら, (1991)上掲)又はF(ab)-抗原複合体の結晶構造(Chothiaら, Nature 342: 877-883[1989])のいずれかにに基づいて定めた。配列に基づいたCDRは構造に基づいたCDRよりも大きいが、CDR-H1を除いて、2つの定義が一般的には一致する。配列に基づいた定義によると、構造に基づいた系は残基H26-H32をCDR-H1と定める一方で、CDR-H1は残基H31-H35を含む(軽鎖残基の番号は、Lを初めに付ける;重鎖残基の番号は、Hを初めに付ける)現在の研究のために、CDR-H1を2つの組み合わせ、すなわち、H26-H35残基を含めて定義した。他のCDRは、配列に基づいた定義を用いて定義した(Kabatら, (1991)上掲)。
【0208】
最初の変異体であるF-1では、CDR残基をマウス抗体からヒトフレームワークへ移した。さらには、F-1軽鎖(Ch-1)を有するキメラ重鎖、及びキメラ軽鎖(Ch-2)を有するF-1重鎖で構成されるF(ab)を作製して結合について試験した。F-1は、IFNαと弱く結合した(表3)。Ch-1及びCh-2(表3)の結合親和性を比較は、結合を増すために、F-1 VHドメインのフレームワーク残基を改変する必要があることを示唆した。
【0209】

【0210】
F(ab)-抗原結晶構造の研究(Chothiaら, [1989]上掲;Tramontanoら, J. Mol. Biol. 215: 175-182[1990])と同様に先のヒト化(Xiangら, J. Mol. 253: 385-390[1995];Wertherら, [1996]上掲)は、残基H71及びH73は、おそらくはCDR-H1及びCDR-H2のコンフォメーションに影響を与えることによって、結合に対して深い影響を与えることが可能である。位置H71及びH73のヒト残基をそれらのマウスの対応残基へ変えることは、僅に結合を向上させたのみであった(F-2型、表3)。位置H67、H69及びH78でのさらなる同時変化(F-3型)とその後のArgH94Ser(F-4型)及びAlaH24Thr(F-5型)の変化は、結合を顕著に向上させた(表3)。位置H67、H69及びH78を同時に変化させたので、それぞれは、別々にヒトコンセンサスフレームワーク残基へ戻った;F-7、F-8、F-9、及びF-10は、ヒト残基が位置H67で好まれ、位置H69はヒト又はマウス残基になんら優先度を示さず、そしてマウス残基は位置H78で好まれる。
【0211】
先のヒト化の間、我々は、CDR-H1及びCDR-2と近接するフレームワークループの残基、FR-3(Kabatら, (1991)上掲)が結合に影響を与える可能性があることを見出した(Eigenbrot, (1994)上掲)。従って、このループの2つの残基を、それらのマウスの対応残基へ変えた:LysH75をマウスSer(F-11型)及びAsnH76をマウスArg(F-12型)。AsnH76Argの変化のみが、結合における向上に影響した(表3)。
【0212】
マウス及びヒト化F(ab)のモデルの検討によって、VL-VH境界面に埋まっていてCDR-H3と相互作用する残基L46が、CDR-H3のコンフォメーションを決定すること及び/又はVLとVHドメインの間の相互作用へ作用することのいずれかの役割を果たし得ることを示唆された。同じように、CDR-L2に近接するL49位置は、ヒトコンセンサス(Tyr)と9F3(Ser)配列の間で異なる。従って、LeuL46Val及びTyrL49Ser残基が同時に置換されて、それによって、変異体(F-13)の結合におけるさらなる向上が生じた(表3)。作製されたすべての変異体の中で最も良い結合に基づいて、F-13が最終的なヒト化型として選定された。
【0213】
ヒト化組み換え抗IFNαモノクローナル抗体(V13IgG2)は、F-13由来のVH及びVLをそれぞれヒトIgG2 CH1-Fc及びヒトCLドメインへ融合することによって作製した。次いで、V13IgG2のKON比及びKD値を、キメラIgG2又はマウス9F3と比較した。固定化したIFNαへのV13IgG2及びキメラIgG2結合のBIACore(商品名)測定は、それらのKON比が類似していることを示した(表4)。Kinexa(商品名)技術を使った親和性測定は、IFNαに対するV13IgG2の親和性が、親マウス9F3抗体と比較して2倍低くなったことを示した(表4)。
【0214】

【0215】
材料の寄託
以下の材料をアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション,10801 ユニバーシティー ブルーバード, マナサス, バージニア, 20110-2209 アメリカ合衆国(ATCC)へ寄託した:
材料 ATCC番号 寄託日
1. 9F3マウス抗IFNα PTA-2917 2001年1月18日
モノクローナル抗体を
分泌するハイブリドーマ細胞株
(Id. 参照: 9F3.18.5)

2. キメラCH8-2完全長IgG PTA-2883 2001年1月9日
の重鎖の発現のためのpRK
ベースベクター
(Id. 参照: XAIFN-ChHpDR2)

3. キメラCH8-2完全長IgG PTA-2880 2001年1月9日
の軽鎖の発現のためのpRK
ベースベクター
(Id. 参照: XAIFN-ChLpDR1)

4. ヒト化V13完全長IgG2 PTA-2881 2001年1月9日
の重鎖の発現のためのpRK
ベースベクター
(Id. 参照: VHV30-IgG2)

5. ヒト化V13完全長IgG2 PTA-2882 2001年1月9日
の軽鎖の発現のためのpRK
ベースベクター
(Id. 参照: VLV30-IgG)
【0216】
この寄託は、特許手続き上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約及びその規則(ブダペスト条約)の規定に従って行われた。これは、寄託の日付から30年間、寄託の生存可能な培養が維持されることを保証するものである。寄託物はブダペスト条約の条項に従い、またジェネンテック社とATCCとの間の合意に従い、ATCCから入手することができ、これは、どれが最初であろうとも、関連した米国特許の発行時又は任意の米国又は外国特許出願の公開時に、寄託培養物の後代を永久かつ非制限的に入手可能とすることを保証し、米国特許法第122条35U.S.C.及びそれに従う特許庁長官規則(特に参照番号886 OG 638の37CFR第1.14条を含む)に従って権利を有すると米国特許庁長官が決定した者に子孫を入手可能とすることを保証するものである。
【0217】
本出願の譲受人は、寄託した材料が、適切な条件下で培養されていた場合に死亡もしくは損失又は破壊されたならば、材料は通知時に同一の他のものと即座に取り替えることに同意する。寄託材料の入手可能性は、特許法に従いあらゆる政府の権限下で認められた権利に違反して、本発明を実施するライセンスであるとみなされるものではない。
【0218】
上記の文書による明細書は、当業者に本発明を実施できるようにするために十分であると考えられる。寄託した態様は、本発明のある側面の一つの説明として意図されており、機能的に等価なあらゆる作成物がこの発明の範囲内にあるため、寄託された作成物により、本発明の範囲が限定されるものではない。ここでの物質の寄託は、ここに含まれる文書による説明が、そのベストモードを含む、本発明の任意の側面の実施を可能にするために不十分であることを認めるものではないし、それが表す特定の例証に対して請求の範囲を制限するものと解釈されるものでもない。実際に、ここに示し記載されたのに加えて本発明の種々の修正は、前記の記載から当該分野の熟練者にとっては明かであり、添付した請求項の範囲内にある。
【図面の簡単な説明】
【0219】
【図1】抗ヒトIFN-αモノクローナル抗体の開発に用いた方法の概略図を示す。
【図2】抗ヒトIFN-αmAb(9F3)が、組み換えIFN-βではなく、組み換えIFN-αサブタイプのスペクトラムを中和することができることを示す。mAb 9F3の濃度の増大する下でのA549細胞における脳心筋炎(EMC)ウイルス成長の阻害に関して、表示のIFNをアッセイした。データは、mAb 9F3の非存在下で、表示のIFNによって得られたウイルス生育阻害活性のパーセンテージを示している。
【図3】白血球インターフェロン(シグマ)(図3A)及びリンパ芽球腫インターフェロン(NIHレファレンス Ga23-901-532)(図3B)の中和を示す。図3Aでは、白血球インターフェロン(シグマ製No.I-2396)の20,000IU/ml(塗りつぶされた棒)又は5,000IU/ml(白棒)を、ブランクコントロール(緩衝液のみ)(「−」で表示)、10:g/mlコントロールマウスIgG(「mIgG」で表示)、又は10:g/ml mAb 9F3(「9F3」で表示)とインキュベートした。希釈液をアッセイし、残存活性の量を示した。示した結果は、二重測定の手段を示す。図3Bでは、mAb 9F3の示された濃度の存在又は非存在下で、リンパ芽球状インターフェロンを10(塗りつぶされたカラム)又は3(白カラム)IU/mlでアッセイした。高い細胞変性効果は、インターフェロン活性の減少を示す。示された結果は、二重測定の手段を示す。
【図4】IFN-αによるISGF3/ISRE複合体の誘導、及び複合体の形成を防ぐ9F3 mAbの能力を示す電気泳動度シフトアッセイ(EMSA)の結果を示す。EMSAは、10:g/mlの濃度の9F3 mAb(「9F3」で表示)又はマウスIgGコントロール抗体(「IgG」で表示)で、25ng/mlの濃度のヒトIFN-α2(「α2」で表示)又はIFN-ヨ(「ヨ」で表示)のいずれかの存在又は非存在の下においておこなわれた。
【図5A】マウス9F3(マウス、配列番号:1)、ヒト化9F3 13型(V13、配列番号:3)、及びコンセンサスヒト可変ドメイン軽鎖κサブグループI(huκI、配列番号:4)の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列のアラインメントを示す。CDR(L1, 配列番号:7;L2, 配列番号:8;及びL3, 配列番号:9)を下線によって強調した。残基の番号付けは、上掲のKabatら,(1991)による。マウス9F3とV13配列の間の違い、及び9F3とhuκI配列の違いは、星印で示されている。
【図5B】マウス9F3(マウス、配列番号:2)、ヒト化9F3 13型(V13、配列番号:5)、及びコンセンサスヒト可変ドメイン重鎖サブグループIII(huIII、配列番号:6)の重鎖可変ドメインアミノ酸配列のアラインメントを示す。CDR(H1, 配列番号:10;H2, 配列番号:11;及びH3, 配列番号:12)を下線によって強調した。残基の番号付けは、上掲のKabatら,(1991)による。マウス9F3とV13配列の間の違い、及び9F3とhuIII配列の違いは、星印で示されている。
【図6】脳心筋炎(EMC)ウイルスで刺激したA549細胞中の組み換えIFN-αサブタイプによって示されたウイルス生育阻害に対する、開始mAb 9F3(左パネル)及びキメラタンパク質CH8-2(右パネル)の中和活性を示す。
【図7】ヒト化9F3 13型のモデルを示す。VL及びVHドメインのバックボーンは、リボンで示されている。CDRは白色で示されて標識されている(L1、L2、L3、H1、H2、H3)。ヒトからマウスへ変えられたフレームワーク側鎖は白色で示され、残基番号で標識されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともIFNαサブタイプ、IFNα1、IFNα2、IFNα4、IFNα5、IFNα8、IFNα10、及びIFNα21と結合し、生物学的な活性を中和する抗IFNαモノクローナル抗体。
【請求項2】
マウス抗体である請求項1の抗体。
【請求項3】
ヒト化抗体である請求項1の抗体。
【請求項4】
ヒト抗体である請求項1の抗体。
【請求項5】
前記生物学的活性が抗ウイルス活性である、請求項1の抗体。
【請求項6】
前記抗体が前記IFNαサブタイプの抗ウイルス活性の少なくとも70%を中和することが可能である、請求項5の抗体。
【請求項7】
前記抗体が前記IFNαサブタイプの抗ウイルス活性の少なくとも80%を中和することが可能である、請求項5の抗体。
【請求項8】
前記抗体が前記IFNαサブタイプの抗ウイルス活性の少なくとも90%を中和することが可能である、請求項5の抗体。
【請求項9】
前記抗体が前記IFNαサブタイプの抗ウイルス活性の少なくとも99%を中和することが可能である、請求項5の抗体。
【請求項10】
マウス抗ヒトIFNαモノクローナル抗体9F3又はそのヒト化又はキメラ型と基本的に同じIFNαエピトープと結合する、請求項1の抗体。
【請求項11】
マウス抗ヒトIFNαモノクローナル抗体9F3又はそのヒト化又はキメラ型である、請求項1の抗体。
【請求項12】
ヒト化抗ヒトIFNαモノクローナル抗体9F3 13型(V13)である、請求項11の抗体。
【請求項13】
寄託番号PTA-2917を有し、ATCCへ2001年1月18日に寄託されたハイブリドーマ細胞株によって産せられた抗IFNα抗体と基本的に同じIFNのエピトープと結合する、請求項1の抗体。
【請求項14】
IgGクラスの請求項1の抗体。
【請求項15】
IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4アイソトープを有する請求項14の抗体。
【請求項16】
抗体断片である請求項1の抗体。
【請求項17】
Fab断片である請求項16の抗体。
【請求項18】
F(ab')2断片である請求項16の抗体。
【請求項19】
Fab'断片である、請求項16の抗体。
【請求項20】
以下のCDR:
(a)式RASQSVSTSSYSYMH(配列番号:7)のL1;
(b)式YASNLES(配列番号:8)のL2;及び
(c)式QHSWGIPRTF(配列:9)のL3
を含んでなる、抗IFNα抗体軽鎖又はその断片。
【請求項21】
軽鎖可変ドメインである請求項20の抗IFNα抗体軽鎖断片。
【請求項22】
以下のCDR:
(a)式GYTFTEYIIH(配列番号:10)のH1;
(b)式SINPDYDITNYNQRFKG(配列番号:11)のH2;及び
(c)式WISDFFDY(配列番号:12)のH3
を含んでなる、抗IFNα抗体重鎖又はその断片。
【請求項23】
重鎖可変ドメインである請求項22の抗IFNα抗体重鎖断片。
【請求項24】
(A)以下のCDR:
(a)式RASQSVSTSSYSYMH(配列番号:7)のL1;
(b)式YASNLES(配列番号:8)のL2;及び
(c)式QHSWGIPRTF(配列:9)のL3
を含んでなる、少なくとも1つの軽鎖又はその断片;及び
(B)以下のCDR:
(a)式GYTFTEYIIH(配列番号:10)のH1;
(b)式SINPDYDITNYNQRFKG(配列番号:11)のH2;及び
(c)式WISDFFDY(配列番号:12)のH3
を含んでなる、少なくとも1つの重鎖又はその断片を含んでなる抗IFNα抗体。
【請求項25】
2つのジスルフィド結合抗体重鎖-軽鎖対で構成されるホモ四量体構造を有する、請求項24の抗体。
【請求項26】
直鎖抗体である請求項24の抗体。
【請求項27】
マウス抗体である請求項24の抗体。
【請求項28】
キメラ抗体である請求項24の抗体。
【請求項29】
ヒト化抗体である請求項24の抗体。
【請求項30】
ヒト抗体である請求項24の抗体。
【請求項31】
請求項1の抗体をコードする単離された核酸分子。
【請求項32】
請求項11の抗体をコードする単離された核酸分子。
【請求項33】
請求項12の抗体をコードする単離された核酸分子。
【請求項34】
請求項24の抗体をコードする単離された核酸分子。
【請求項35】
請求項20の抗体軽鎖又は軽鎖断片をコードする単離された核酸分子。
【請求項36】
請求項22の抗体重鎖又は重鎖断片をコードする単離された核酸分子。
【請求項37】
寄託番号PTA-2882を有し、ATCCへ2001年1月19日に寄託されたベクターの軽鎖ポリペプチドコード化核酸配列を含んでなる、単離された核酸分子。
【請求項38】
寄託番号PTA-2881を有し、ATCCへ2001年1月19日に寄託されたベクターの重鎖ポリペプチドコード化核酸配列を含んでなる、単離された核酸分子。
【請求項39】
請求項31から38のいずれか1項に記載の核酸分子を含んでなるベクター。
【請求項40】
請求項31から38のいずれか1項に記載の核酸分子によって形質転換した宿主細胞。
【請求項41】
核酸配列が発現して抗体を産する条件下で、抗体をコードする核酸配列を含んでなる宿主細胞を培養することを含んでなる、請求項1、11、12及び24のいずれか1項の抗体を産する方法。
【請求項42】
請求項31から38のいずれか1項に記載の核酸分子を含んでなる、ハイブリドーマ細胞株。
【請求項43】
寄託番号PTA-2917を有し、ATCCへ2001年1月19日に寄託されたハイブリドーマ細胞株。
【請求項44】
請求項42のハイブリドーマ細胞株によって産せられた抗体。
【請求項45】
薬学的に許容可能な担体との混合物中に請求項1の抗体の有効量を含んでなる薬学的組成物。
【請求項46】
薬学的に許容可能な担体との混合物中に請求項11の抗体の有効量を含んでなる薬学的組成物。
【請求項47】
薬学的に許容可能な担体との混合物中に請求項12の抗体の有効量を含んでなる薬学的組成物。
【請求項48】
薬学的に許容可能な担体との混合した請求項24の抗体の有効量を含んでなる薬学的組成物。
【請求項49】
IFNαを発現している細胞を請求項1の抗IFNα抗体と接触させ、IFNαの存在を検出することを含んでなる、前記細胞におけるIFNαの発現と関連している症状を診断する方法。
【請求項50】
IFNαを発現している患者へ請求項1の抗IFNα抗体の有効量を投与することを含んでなる、前記患者におけるIFNαの発現に関連している疾患又は症状の治療に関する方法。
【請求項51】
前記患者が哺乳動物の患者である、請求項50の方法。
【請求項52】
前記患者がヒトである、請求項51の方法。
【請求項53】
前記疾患が自己免疫疾患である、請求項52の方法。
【請求項54】
前記疾患がインシュリン依存性糖尿病(IDDM);全身性エリテマトーデス(SLE);及び自己免疫甲状腺炎で構成される群から選択される、請求項53の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−245008(P2012−245008A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−194560(P2012−194560)
【出願日】平成24年9月4日(2012.9.4)
【分割の表示】特願2008−298277(P2008−298277)の分割
【原出願日】平成14年1月29日(2002.1.29)
【出願人】(509012625)ジェネンテック, インコーポレイテッド (357)
【Fターム(参考)】