抗インターフェロンアルファモノクローナル抗体及び使用方法
本発明は、少なくとも2つのインターフェロンアルファ(“IFNα”)タンパク質サブタイプの生物活性を、タンパク質サブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4b及びWAについて選択的に中和するが、INFαタンパク質サブタイプDの少なくとも1つの生物活性は中和しない抗体、並びにその変種、誘導体及びフラグメントを含む組成物及び前記を作成する方法を含む。測定のための生物活性の例は、MxAプロモーターの活性化又は抗ウイルス活性である。本発明の抗体の固有の選択性のために、前記は、サンプル又は組織中のIFNαサブタイプの検出及び/又は治療的用途に有用である。前記用途には、INFα関連異常(例えばSLE、狼瘡、I型糖尿病、乾癬、エイズ及び対宿主性移植片病)の治療及び/又は緩和が含まれるが、ただしこれらに限定されない。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
技術分野
本発明は、対象者における異常レベルのインターフェロン-α(IFNα)の発現と相関性を有する症状の診断及び治療に有用な方法並びに組成物に関する。
【0002】
背景技術
ヒトインターフェロンは、先天性免疫及び順応性免疫応答の両方を調節する機能的に関連するサイトカインである。それらは、主として配列相同性を基準にして2つのグループ、I型及びII型に分類される。I型IFNは6つの型(IFN-α、IFN-β、IFN-ω、IFN-κ、IFN-ε及びIFN-λ)を含む。IFN-α、β、ω、及びκは、同一のIFNレセプター(IFNAR)を介して作用する。IFN-λは別個のレセプター(IFNLR)と結合する。IFN-εのレセプターはこれまでのところ明らかではない。II型インターフェロンは、ただ1つのタイプ(IFN-γ)から成り、レセプターIFNGRと結合する。I型IFNはウイルス感染時に強力に誘発されるが、一方、II型IFNは主として免疫及び炎症刺激に応答して誘発され、したがってIFN-γはしばしば“免疫IFN”と称される。多数のI型IFNのうちでもっとも研究されたものにはIFN-α、IFN-β及びIFN-ωが含まれる。これらのうちで、IFN-αはもっとも複雑であり、少なくとも15の別個のタンパク質サブタイプを含み、これらは75%以上の配列相同性を示す(Diaz (1995) Semin Virol, 6:143-149;Weissmann et al. (1986) Prog Nucl Acid Res Mol Biol, 33:251;J Interferon Res, (1993) 13:443-444;Roberts et al. (1998) J Interferon Cytokine Res, 18:805-816)。構造的類似性を有するだけでなく、IFN-α遺伝子及びそれらの生成物は機能的類似性を示す。例えば、それらはdsRMA又はウイルスによって誘発され、同じレセプター、IFNα/βレセプター(IFNAR)と相互作用することができる(Mogensen et al. (1999) J Interferons and Other Regulatory Cytokines, John Wiley & Sons.)。IFNαはまたアポトーシスを阻害し、抗原活性化Tヘルパー細胞の生存及び分化を促進し、さらに機能的に有効な単球由来樹状突起細胞の成熟を促進する。
【0003】
多くの細胞タイプが、ウイルス及びdsRNAに暴露されたときにIFNαを産生する。特殊化された白血球(インターフェロン-α産生細胞(“IPC”)と称される)は、極めて多様な刺激(例えばウイルス、細菌及び原虫)に応答してINFαを産生する。いくつかのin vitro実験は、種々のIFN-αサブタイプが、別個のIFN-α分泌細胞株によって様々な程度で、又はウイルス型特異的態様で末梢血単核球(PBMC)の感染に続いて産生されること、及びこれらのパターンは、しばしば抗分裂活性、抗ウイルス活性及び抗腫瘍活性でサブタイプ依存的相違を有することを示している。しかしながら、個々のサブタイプの生理学的な重要性及びそれらのin vivoにおける相互の協調的又はアンタゴニスト的活性は不明なままである。
IFN-αは、いくつかの自己免疫疾患で観察される病変の仲介物質として示唆されている。さらにまた、前記は、癌及びウイルス疾患のためにIFN-αで処置された患者で自己免疫疾患の発生を引き起こし得る。IFN-αの発現増加が、インスリン依存性真性糖尿病(IDDM又はI型糖尿病)、乾癬、クローン病及び腹腔の疾患をもつ患者の病巣組織で観察された。IFN-αの過剰発現が、全身性紅斑性狼瘡(SLE)、IDDM及びエイズの患者で観察された。SLE(自己反応性B及びT細胞を特徴とする)の場合には、IFN-α発現は組織病巣だけでなく罹患個体の血液循環でも観察される。さらにまた、IFN-αの血清レベルは臨床症状活性インデックスと相関する傾向がある。これは、形質細胞様DC(pDC)によるIFN-α産生のアップレギュレーションが引き金となって、通常は休止状態の単球の強力な抗原提示樹状突起細胞(DC)への周期性誘発から生じると考えられている。実際、本発明者らは、SLEは、顆粒球生成及びIFN誘発に必要な非調節遺伝子の“シグナチャー”によって識別され得ることをオリゴヌクレオチドマイクロアレー分析により以前に明らかにした(これらのシグナチャーはグルココルチコイドの大量輸液により正常に復帰する)(米国特許出願11/228,586、前記文献の内容は参照により本明細書に含まれる)。
【0004】
全身性紅斑性狼瘡(SLE)は全身的な自己免疫リウマチ性疾患である、小児で特に激甚で、罹患率の高い発赤を特徴とする。自己免疫疾患(例えばSLE)では、しばしば再発と緩解が永続的周期で繰り返される。これらの周期は、SLEの疾患周期を停止させるために一般的に与えられる治療レジーメンによる治療期によってしばしば規定される。FDAによって承認されたSLEのための治療選択肢にはコルチコステロイド、非ステロイド性免疫抑制剤、抗マラリア薬及び非ステロイド性抗炎症剤が含まれる。これらの薬剤は全ての免疫エフェクター応答の完全性を失わせ、SLEの病理発生に特異的なものに対してはむしろ作用しない。これらの治療は部分的な効果しか持たず中等度から重篤な副作用(骨低下、肥満、ざ瘡、貧血、不妊、下痢、脱毛及び吐き気を含む)を示すので、未だ解決されていない医学的危急の典型である。さらにまたSLEの新規治療薬は40年間承認されていない。
最近は、SLEはIFNαが低下しないことと密接に関係すると考えられている(Shi et al. (1987) Br J Dermatol, 117(2):155-159)。IFNαは、SLE血清に高いレベルで存在し(Crow et al. 2004, Curr Opin Reumatol, 16(5):541-547)、形質細胞様DC(pDC)(IFNαの主要供給源)がSLEの皮膚に蓄積する(Farkas et al. 2001, Am J Pathol 159(1):237-243)。さらにまた、IFNαで処置された幾人かの患者は狼瘡を発症することが観察され(Okanoue et al. 1996, J Hepatol 25(3):283-291;Tothova et al. 2002, Neoplasma 49(2):91-94;Raanani et al. 2002, Acta Haematol 107(3):133-144)、さらにIFNα抗体を生じた狼瘡患者は前記疾患のより緩和された形態を呈することが示された(von Wussow et al (1988) Rheumatol Int 8(5):225-230)。IFNαは単球から機能的な樹状突起細胞(DC)への分化を介して作用し得る(前記は順次SLEの病理発生を仲介する)(V. Pascual et al. 2003, Curr Opin Rheumatol 15(5):548-556)。SLE治療のために提唱された手法は、IFNαの中和である(以下を参照されたい:Banchereau et al, PCT/US02/00343(前記文献の内容は参照により本明細書に含まれる)。
【0005】
ヒトIFN-αの生物活性を阻止することができるモノクローナル抗体(MAb)が生成されたが、15の既知のサブタイプの全てを中和することができるものは今日まで報告されておらず、さらに天然の、IFN-αを含む白血球IFNを中和することができるものは少ない。PBLバイオメディカルラボラトリーズは、多数のヒトIFNα遺伝子サブタイプと結合する、10のマウスモノクローナル抗体を提供する(interferonsource.com/relativespecificity.htmlでワールドワイドウェッブを参照されたい)。しかしながら、PBL抗体の各々は、ヒトIFNα遺伝子サブタイプ1よってコードされるIFNαタンパク質サブタイプ(IFNαタンパク質サブタイプD)及び1から12までの他のIFNαサブタイプと結合する。US特許公開公報2003/0166228A1は、白血球IFNα(IFNαタンパク質サブタイプの全てを含む)によるマウスの免疫から誘導されたモノクローナル抗体(9F3と称する)を開示する。前記9F3MAbは、7つのヒトIFNα遺伝子サブタイプ1、2、4、5、8、10及び21(前記はIFNαタンパク質D、A、4、G、B2、C及びFをそれぞれコードする)によってコードされるタンパク質と結合し、その抗ウイルス活性を中和し、ヒトIFNβの抗ウイルス活性は中和しない。前記公開公報は、9F3抗体が他の8つのIFNα遺伝子サブタイプと結合しこれを不活化するのか否かを開示せず、IFNαタンパク質サブタイプ4a及び4bの一方又は両方と結合するか否かも開示していない。前記PCT公開公報は、前記モノクローナル抗体を、IFNα発現増加を伴う疾患(特に自己免疫疾患、例えばインスリン依存真性糖尿病及びSLE)の治療に用いることを提唱している。しかしながら、9F3抗体がSLE血清で見出されるIFNαタンパク質サブタイプの生物学的活性を十分に中和することができるか否かは不明である。
IFNαは免疫応答の多機能性仲介物質であり、さらに有益な抗ウイルス活性を有するので、IFNαサブタイプの完全な阻害又は顕著なダウンレギュレーションは、最適な治療手法ではない。したがって、病的状態に付随するIFNαサブタイプを選択的に中和する物質が希求される。本発明はこの要求を満たし、同様に関連する利点も提供する。
【0006】
発明の要旨
本発明は、特定のINFαサブタイプを中和するモノクローナル抗体及びその誘導体を提供する。本発明の抗体は、IFNαの発現増加に付随する症状、例えばSLE、乾癬、I型糖尿病、エイズ、対宿主性移植片病及び他の自己免疫疾患の緩和及び治療に有用である。ある特徴では、本発明は、少なくとも2つのインターフェロンアルファ(“IFNα”)タンパク質サブタイプ(例えばA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4b及びWA)の生物活性を選択的に中和するが、IFNαタンパク質サブタイプDの少なくとも1つの活性は顕著には中和しない抗体を含み、ここで前記生物活性はMxAプロモーターの活性化又は抗ウイルス活性である。好ましくは、前記抗体はモノクローナル抗体である。ある実施態様では、前記抗体はIFNαタンパク質サブタイプDも1も顕著には中和しない。ある実施態様では、前記モノクローナル抗体はACO-1又はACO-2である。好ましくは、本発明の抗体は、単球から樹状突起細胞への分化を刺激する、全身性紅斑性狼瘡(SLE)患者から単離された血清の能力を不活化する。
別の特徴では、本発明は、抗体又はその抗原結合フラグメントを提供し、前記抗体又はその抗原結合フラグメントは重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含み、ここで前記軽鎖可変ドメインは以下のCDR、その誘導体又は部分を含み:
配列番号:12のアミノ酸配列を有するVL1;
配列番号:14のアミノ酸配列を有するVL2;及び
配列番号:16のアミノ酸配列を有するVL3;
ここで、前記抗体又は抗原結合フラグメントはIFNαタンパク質サブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4b及びWAの生物活性を中和するが、IFNαタンパク質サブタイプDの生物活性は中和せず、ここで前記生物活性はMxAプロモーターの活性化である。
【0007】
さらに別の特徴では、本発明は、抗体又はその抗原結合フラグメントを提供し、前記抗体又はその抗原結合フラグメントは軽鎖可変ドメイン及び重鎖可変ドメインを含み、ここで前記重鎖可変ドメインは以下のCDR、その誘導体又は部分を含み:
配列番号:4のアミノ酸配列を有するVH1;
配列番号:6のアミノ酸配列を有するVH2;及び
配列番号:8のアミノ酸配列を有するVH3;
ここで、前記抗体又は抗原結合フラグメントはIFNαタンパク質サブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4b及びWAの生物活性を特異的に中和するが、IFNαタンパク質サブタイプDの生物活性は顕著には中和せず、ここで前記生物活性はMxAプロモーターの活性化である。
また別の実施態様では、本発明は、抗体又はその抗原結合フラグメントを提供し、前記抗体又はその抗原結合フラグメントは、少なくとも1つの軽鎖又はその抗原結合フラグメント及び少なくとも1つの重鎖又はその抗原結合フラグメントを含み、
ここで前記軽鎖の抗原結合フラグメントは以下のCDR、その誘導体又は部分を含み:
配列番号:12のアミノ酸配列を有するVL1;
配列番号:14のアミノ酸配列を有するVL2;及び
配列番号:16のアミノ酸配列を有するVL3、
ここで前記重鎖の抗原結合フラグメントは以下のCDR、その誘導体又は部分を含む:
配列番号:4のアミノ酸配列を有するVH1;
配列番号:6のアミノ酸配列を有するVH2;及び
配列番号:8のアミノ酸配列を有するVH3。
【0008】
また別の実施態様では、本発明は、IFNαタンパク質サブタイプ4aの生物活性を選択的に中和するが、IFNαタンパク質サブタイプ4bの生物活性は顕著には中和しない抗体を提供し、ここで前記生物活性は、MxAプロモーターの活性化及び/又は抗ウイルス活性である。好ましくは、前記抗体は、IFNαタンパク質サブタイプA、2、B2、C、I、K及び4aの生物活性を選択的に中和するが、IFNαタンパク質サブタイプD、F、G、4b及び1の生物活性は顕著には中和しない。ある実施態様では、前記抗体はモノクローナル抗体ACO-3である。
本発明はまた、IFNαタンパク質サブタイプA、2、B2及びCの生物活性を選択的に中和するが、IFNαタンパク質サブタイプD、4b及び1の生物活性は顕著には中和しない抗体を提供し、ここで前記生物活性は、MxAプロモーターの活性化及び/又は抗ウイルス活性である。ある実施態様では、前記抗体はモノクローナル抗体ACO-4である。
別の特徴では、本発明は、IFNαタンパク質サブタイプA、2、G、H2、K、WA及び1の生物活性を選択的に中和するが、IFNαタンパク質サブタイプB2及びDの生物活性は中和しない抗体を提供し、ここで前記生物活性は、MxAプロモーターの活性化及び/又は抗ウイルス活性である。ある実施態様では、前記抗体はモノクローナル抗体ACO-5である。
さらに別の特徴では、本発明は、IFNαタンパク質サブタイプ2及びCの生物活性を選択的に中和するが、IFNαタンパク質サブタイプA、B2、C、D、F及び1の生物活性は中和しない抗体を含み、ここで前記生物活性は、MxAプロモーターの活性化である。ある実施態様では、前記抗体はモノクローナル抗体ACO-6である。
また別の特徴では、本発明は、IFNαタンパク質サブタイプA、2、B2、F、I、4a、4b及び1の生物活性を選択的に中和するが、IFNαタンパク質サブタイプC、H2、K及びWAの生物活性は中和しない抗体を提供し、ここで前記生物活性は、MxAプロモーターの活性化である。ある実施態様では、前記抗体はモノクローナル抗体ACO-8である。
【0009】
さらに別の実施態様では、本発明は、IFNαタンパク質サブタイプA、2、B2、D、F、I、J1、4a、4b及び1の生物活性を選択的に中和するが、IFNαタンパク質サブタイプC、G、H2、K、及びWAの生物活性は中和しない抗体を提供し、ここで前記生物活性は、MxAプロモーターの活性化である。
本発明の抗体、その誘導体又はフラグメントは、マウス、ラット、ヒト、または他の哺乳動物由来であることができ、又は前記のフラグメント又はヒト化若しくはキメラ形であることができる。本発明の抗体は、マウスモノクローナル抗体、例えばACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4、ACO-5、ACO-6及びACO-8だけでなく、前記のヒト化形、キメラ形又はフラグメントも同様に含む。本発明はさらに、ネズミモノクローナル抗体ACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4、ACO-5、ACO-6及びACO-8と本質的に同じIFNαのエピトープに結合する抗体を提供する。本発明はさらに、本発明の抗体を含む宿主細胞、ハイブリドーマ、組成物、医薬組成物及びキットを提供する。
本発明の抗体、その誘導体又はフラグメントは、IFNαの過剰発現に付随する疾患(disease)又は症状(condition)(SLE、乾癬、エイズ、I型糖尿病及び自己免疫甲状腺炎を含むが、ただしこれらに限定されない)の治療で有用であり、さらにそのような疾患及び症状を治療する医薬の製造で有用である。本発明の抗体はまた、多様なIFNαサブタイプの識別又は精製に用いることができる。
さらに別の特徴では、本発明は、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12、配列番号:14、及び配列番号:16から成る群から選択されるポリペプチド、又は前記と少なくとも80%の配列同一性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む単離された核酸を提供する。好ましくは、前記ポリヌクレオチドは、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:9、配列番号:11、配列番号:13、及び配列番号:15から成る群から選択される。
【0010】
さらに、本発明は、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12、配列番号:14、及び配列番号:16から成る群から選択されるポリペプチドを含むタンパク質若しくはペプチド、又は前記と少なくとも80%の配列同一性を有するタンパク質若しくはペプチドを提供する。別の特徴では、本発明は、以下の工程を含む、ハイブリドーマ細胞株を作成する方法を提供する:組換えIFNαサブタイプA、B2及びFを含む組成物で哺乳動物を免疫する工程;前記免疫哺乳動物由来の脾細胞をミエローマ細胞株と融合させてハイブリドーマを作成する工程;及びIFNαタンパク質サブタイプ2、C、G、I、J1、K、4a、4b及びWA並びに1から成る群から選択される1つ以上のIFNαタンパク質サブタイプを選択的に中和するが、IFNαタンパク質サブタイプDは選択的に中和しないモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞株を同定する工程。
本発明はまた、上記に記載の特異性を有する抗体(例えば1つ以上のインターフェロンアルファ(“IFNα”)タンパク質サブタイプ(A、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4b及びWA)と特異的に結合するが、例えばIFNαタンパク質サブタイプDの生物活性は中和しない)を産生する宿主細胞及びハイブリドーマ細胞株を含む。前記抗体及び/又はハイブリドーマ細胞株は、診断及び治療方法で使用するために担体(例えば医薬的に許容できる担体)と結合させることができる。前記抗体は、特定のIFNαサブタイプの検出、及びIFNα関連疾患の診断、予後、治療及び/又は前記症状の緩和に有用である。そのような症状の例には、SLE、乾癬、I型糖尿病、対宿主性移植片(GVH)病、エイズ、自己免疫甲状腺炎、及び他の自己免疫疾患を含まれるが、ただしこれらに限定されない。本発明の抗体はまた、これらのIFNαサブタイプのin vitro又はin vivoでの中和及び/又は単離に有用である。
【0011】
発明の詳細な説明
下記では本発明の種々の実施態様の考案及び使用が考察されるが、本発明は、種々の具体的な背景で実施することができる、多くの適用可能な刷新的な構想を提供することは理解できよう。本明細書で考察される具体的な実施態様は、本発明を遂行及び利用するための具体的方法の単なる例示にすぎず、本発明の範囲を制限しない。
本発明の理解を容易にするために、多数の用語が下記で定義される。本明細書に定義される用語は、本発明に関連する分野の業者が一般的に理解する意味を有する。英文中の“a”、“an”及び“the”は、単に単数のものを指すだけでなく、例示に使用され得る具体例の一般的な種類も含む。本明細書の用語は本発明の特定の実施態様の説明に用いられるが、請求の範囲における規定を除き、本発明は前記用語の使用によって制限されない。例えば、“a cell”という用語は複数の細胞(その混合物を含む)を含む。全ての数字表示(例えばpH、温度、時間、濃度及び分子量)(範囲を含む)は概数であり、それらは0.1の(+)又は(-)の変動を有する。常に明示されているわけではないが、全ての数字表示は“約”という用語が先行することは理解されよう。さらに、常に明示されているわけではないが、本明細書に記載する試薬は単なる例示であり、そのようなものの等価物は当分野で公知であることもまた理解されよう。
【0012】
本明細書で用いられる、“抗体”という用語は、完全な免疫グロブリンの全クラス及びそのサブクラスを指す。“抗体”という用語は、モノクローナル抗体、抗体フラグメント、及び抗体フラグメントクローンを包含する。“抗体フラグメント”は、完全な抗体の抗原結合領域又は可変領域が含まれる、完全な抗体の一部分を含む。抗体フラグメントの例には、Fab、Fab'、F(ab')2及びFvフラグメント;単鎖抗体分子、抗体フラグメントから形成されるマルチ特異性抗体;VH及びCHドメインを含むFdフラグメント;抗体の単腕のVL及びVHを含むFvフラグメント、dAbフラグメント(Ward et al. 1989, Nature 341:544-546)(前記はVHドメインを含む);及び単離された相補性決定領域(CDR)が含まれる。“単鎖Fv”又は“scFv”抗体フラグメントは、抗体のVH及びVLドメインを含み、この場合、これらのドメインはただ1つのポリペプチド鎖中に存在する。一般的には、scFvはさらにVHとVLとの間にポリペプチドリンカーを含み、前記リンカーはscFvが所望の抗原結合構造を形成することを可能にする。scFvの概説として以下を参照されたい:Pluckthun (1994), “The Pharmacology of Monoclonal Antibodies”, vol. 113, Rosenburg and Moore eds., Springer-Verlag, New York, pp.269-315;Hudson (1999) Curr Opin Immunol 11:548-557;Bird et al. (1988) Science 242:423-426;及びHuston et al. (1988) Proc Natl Acad Sci USA 85:5879-5883。上記に記載の抗体フラグメントのいずれも、当業者に公知の通常の技術を用いて入手することができ、さらに前記フラグメントは、完全な抗体と同じ態様で結合特異性及び中和活性についてスクリーニングされる。抗体は、任意の適切な生物学的供給源、例えばネズミ、ウサギ、ラット、ヒト、ヒツジ、イヌなどから単離することができる。“天然に存在する”又は“天然の”抗体は、ヘテロテトラマーの糖タンパク質であり、典型的には約150−200kDの分子量を有する。前記へテロテトラマーは2つの同一の軽(L)鎖及び2つの同一の重(H)鎖を含む。各軽鎖はジスルフィド結合によって重鎖に共有結合される。
【0013】
本明細書で用いられる、“抗体の誘導体”という用語は、エピトープと結合する分子、及び本発明の天然のモノクローナル抗体の改変又は誘導体である分子を包含する。誘導体には、例えば二特異性、マルチ特異性、ヘテロ特異性、三特異性、四特異性、マルチ特異性抗体、キメラ抗体、組換え抗体、及びヒト化抗体が含まれるが、ただしこれらに限定されない。
本明細書で用いられる、“抗体の変種”は、マウス以外の種で産生される抗体、又はAOC-1からAOC-6まで及びAOC-8と称される抗体から選択される抗体のアイソタイプを指す。“抗体の変種”という用語はまた、抗体又はフラグメントの直鎖状ポリペプチド配列に加えられた翻訳後修飾を有する抗体を含む。前記はさらに完全にヒトの抗体も包含する。
本明細書で用いられる、“モノクローナル抗体”は、実質的に均質な抗体集団から得られる抗体(抗体フラグメントを含む)を指す(均質な抗体は、すなわち集団中の個々の抗体が、極少量存在し得る天然に存在する可能な変異(前記変異はまたそれらが所望の生物学的活性を示すかぎり本発明の部分である)を除き同一である)。モノクローナル抗体は高度に特異的であり、ただ1つのエピトープを指向する。モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ培養によって、バイオリアクターで、腹水として合成することができるが、また組換え方法、例えば細菌、酵母、植物、昆虫及び/又は動物細胞でin vitro翻訳で生成することができる。したがって、改変“モノクローナル”は、実質的に均質な抗体集団から得られる抗体の特徴を示し、特定のいずれかの方法による抗体の生成を必要とすると解されるべきではない。例えば、本発明にしたがって用いられるモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法(最初にKohlerら(Nature, 1975, 256:495)によって記載された)によって作成するか、又は組換えDNA法によって作成することができる(例えば米国特許4,816,567号参照)。“モノクローナル抗体”には、ヒトモノクローナル抗体、ヒト化モノクローナル抗体、組換えヒト抗体、ファージ抗体ライブラリーから単離された抗原認識及び結合部位含有抗体フラグメントのクローン(Fvクローン)及びその誘導体が含まれる(以下を参照されたい:Clackson et al. 1991, Nature 352:624-628;及びMarks et al. 1991, J Mol Biol 222:581-597)。モノクローナル抗体にはまた、“キメラ”抗体(免疫グロブリン)及びそのような抗体のフラグメントも、それらが所望の生物学的活性を示すかぎり同様に含まれる(米国特許4,816,567号;Morrison et al. 1984, Proc Natl Acad Sci USA, 81:6851-6855)。前記キメラ抗体では、例えば重鎖及び/又は軽鎖の一部分が、特定の種に由来する抗体の対応する配列又は特定の抗体のクラス又はサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一又は相同であるが、前記鎖又はその部分の残余は、別の種に由来する抗体の対応する配列又は別の抗体のクラス又はサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一又は相同である。
【0014】
本明細書で用いられる、“ヒトモノクローナル抗体”という用語は、ヒト生殖細胞系列の免疫グロブリン配列に由来する可変領域及び定常領域を有するただ1つの結合特異性を提示する抗体を指す。
本明細書で用いられる、“ヒト抗体”という用語は、ヒト生殖細胞系列の免疫グロブリン配列に由来する可変領域及び定常領域を有する抗体を指す。本発明のヒト抗体は、ヒト生殖細胞系列の免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基(例えばin vitro又はin vivoの体細胞変異によるランダム変異導入又は位置特異的変異導入によって導入された変異)を含むことができる。しかしながら、本明細書で用いられる“ヒト抗体”という用語は、別の哺乳動物種(例えばマウス)の生殖細胞系列に由来するCDR配列がヒトのフレームワーク配列に移植されてある抗体を含むことは意図されない。したがって、本明細書で用いられるように、“ヒト抗体”という用語は、タンパク質の実質的に全ての部分(例えばCDR、フレームワーク、CL、CHドメイン(例えばCH1、CH2、CH3)、ヒンジ、(VL、VH))がヒトで実質的に非免疫原性であり、ごくわずかな配列変異または変動を有する抗体を指す。同様に、霊長類(サル、ヒヒ、チンパンジーなど)、げっ歯類(マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ハムスターなど)及び他の哺乳動物と明示された抗体は、そのような種、亜属、属、亜科、科特異的抗体である。上記に記載したように、キメラ抗体はまた上記の任意の組み合わせを含むことができる。そのような変異又は変動は、場合によって、及び好ましくは、非改変抗体と比較してヒト又は他の種での免疫原性を保持又は低下させる。したがって、ヒト抗体は、キメラ抗体又はヒト化抗体とは別個のものである。ヒト抗体は、機能的に再編成したヒト免疫グロブリン(例えば重鎖及び/又は軽鎖)遺伝子を発現することができる非ヒト動物又は原核若しくは真核細胞によって製造することができる。さらにまた、ヒト抗体が単鎖抗体であるときは、前記はまた天然のヒト抗体では見いだされないリンカーペプチドを含むことができる。例えば、Fvフラグメントはまた、重鎖可変領域と軽鎖可変領域を連結するリンカーペプチド(例えば2つから8つのグリシン又は他のアミノ酸残基)を含むことができる。そのようなリンカーペプチドはヒト起源であると考えられる。
【0015】
ヒト抗体は、前記抗体が、ヒト免疫グロブリン配列を用いる系から、例えばヒト免疫グロブリン遺伝子を保有するトランスジェニックマウスの免疫によって、又はヒト免疫グロブリン遺伝子ライブラリーのスクリーニングによって入手されるならば、特定の生殖細胞系列の配列“に由来する”。ヒト生殖細胞系列の免疫グロブリン配列“に由来する”ヒト抗体は、ヒト抗体のアミノ酸配列をヒト生殖細胞系列の免疫グロブリンのアミノ酸配列と比較することによって、ヒト抗体と特定することができる。選択されたヒト抗体は、ヒト生殖細胞系列の免疫グロブリン遺伝子によってコードされるアミノ酸配列に対し、そのアミノ酸配列において典型的には少なくとも90%同一であり、さらに、他の種の生殖細胞系列(例えばマウス又はラット生殖細胞系列配列)の免疫グロブリンのアミノ酸配列と比較したとき、前記ヒト抗体をヒト由来と特定するアミノ酸残基を含む。ある種の事例では、ヒト抗体は、前記生殖細胞系列の免疫グロブリン遺伝子によってコードされるアミノ酸配列に対して、そのアミノ酸配列において少なくとも95%、又は少なくとも96%、97%、98%又は99%同一であり得る。典型的には、特定のヒト生殖細胞系列の配列に由来するヒト抗体は、ヒト生殖細胞系列の免疫グロブリン遺伝子によってコードされるアミノ酸配列と10を超えないアミノ酸の相違を示すであろう。ある種の事例では、ヒト抗体は、前記生殖細胞系列の免疫グロブリン遺伝子によってコードされるアミノ酸配列と5又は4、3、2又は1つを超えないアミノ酸の相違を示すであろう。
【0016】
本明細書で用いられる、“ヒト化”という用語は、非ヒト免疫グロブリンに由来する配列を有するキメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖又はそのフラグメント(例えばFv、Fab、Fab'、F(ab')2又は抗体の他の抗原結合配列)を作成するために、ヒト免疫グロブリン骨格上で用いられる非ヒト(例えばマウス又はラット)抗体の部分の使用を指す。一般的には、ヒト化抗体は、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)の1つ以上の相補性決定領域(CDR)の部分又は全てが、所望の特異性親和性及び能力を有する非ヒト種(例えばマウス、ラット又はウサギ)の1つ以上のCDR由来の残基(ドナー抗体)によって置き換えられているヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。例えば、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)が、対応する非ヒト残基によって置き換えられる。そのまた逆もあり、すなわちヒト免疫グロブリンの部分が、抗原特異性を決定する非ヒト免疫グロブリンの領域上に移植され得る。さらにまた、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にも、移入されるCDR又はフレームワーク配列にも見出されない残基を含むことができる。ドナー又はレシピエント抗体の部分ではない改変は、更なる精製及び抗体の能力の最適化のために一般的にかつ容易に実施される。一般的には、ヒト化抗体は少なくとも1つ(典型的には両方)の可変ドメイン(軽鎖及び重鎖)の実質的に全てを含み、前記ヒト化抗体では、CDR領域の全て又は実質的に全てが非ヒト免疫グロブリンのCDR領域と一致し、さらにFR領域の全て又は実質的に全てがヒト免疫グロブリン配列のFR領域である。ヒト化抗体はまた、免疫グロブリン定常領域(Fc)(典型的にはヒト免疫グロブリンの定常領域)の少なくとも一部分を含むことができる。
【0017】
本明細書で用いられる、“組換えヒト抗体”という用語は、組換え方法によって発現、生成又は単離される全てのヒト抗体、例えばヒト免疫グロブリン遺伝子についてトランスジェニック又はトランスクロモソーム性である動物(例えばマウス)又はそれら動物から調製されたハイブリドーマから単離された抗体、前記抗体を発現するように形質転換された宿主細胞(例えば前記抗体を発現するようにトランスフェクトされた細胞(通常は形質細胞腫))から単離された抗体、組換え、順列組み合わせヒト抗体ライブラリーから単離された抗体、及びヒト免疫グロブリン遺伝子配列の他のDNA配列へのスプライシングを必要とする任意の他の方法によって調製、発現、生成又は単離された抗体を含む。そのような組換えヒト抗体は、ヒト生殖細胞系列の免疫グロブリン配列に由来する可変及び定常領域を有する。ある種の実施態様では、しかしながら、そのような組み換えヒト抗体は、in vitro変異導入(又はヒトIg配列についてトランスジェニックな動物が用いられるときは、in vivo体細胞変異導入)に付すことができ、したがって、組換え抗体のVH及びVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖細胞系列のVH及びVL配列に由来し、これと関連するが、in vivoのヒト抗体生殖細胞系列レパートリーには天然には存在し得ない配列である。
本明細書で用いられる、“抗原結合部位”又は“結合部分”という用語は、抗原結合に参画する免疫グロブリン分子の部分を指す。抗原結合部位は、重(“H”)鎖のN-末端の3つの可変(“V”)領域及び軽(“L”)鎖の3つの可変領域のアミノ酸残基によって形成される。重鎖及び軽鎖のV領域内の3つの高度に多様化しているストレッチは、“超可変領域”又は“CDR” と称され、前記の3つは、“フレームワーク領域”(FR)として公知の保存されたフランキングする4つのストレッチの間に介在している。フレームワーク領域は、天然には免疫グロブリン中の超可変領域の間に、及びこれと隣接して見出されるアミノ酸配列を指す。抗体分子では、軽鎖の3つの超可変領域(VL1、VL2及びVL3)及び重鎖の3つの超可変領域(VH1、VH2及びVH3)は、三次元空間で互いに相関的に配置され、抗原結合表面を形成する。この抗原結合表面は、結合される抗原の三次元表面に対して相補的であり、重鎖及び軽鎖の各々の3つの超可変領域は、“相補性決定領域”又は“CDR” と称される。
【0018】
本明細書で用いられる、“生物活性”という用語は、1つ以上のIFNαサブタイプ(又はIFNβ)のMxAプロモーター(及びインターフェロン誘発性プロモーター)を活性化するか、又は抗ウイルス活性を示す能力を指す。抗体によるIFNα生物活性のEC50及びパーセント中和は、アッセイ条件及び測定されるIFNα生物活性のタイプにより変動し得る。一定性のために、特定のタイプの生物活性(すなわちMxAプロモーターの活性化及び抗ウイルス活性)及びアッセイ条件(すなわち“RGアッセイ”及び“CPEアッセイ”)が用いられる。RGアッセイは本明細書に記載する条件を用いて実施することができる。MxAプロモーターの活性化のパーセント中和は、RGmaxの IFN量及び2μg/mLの抗体を用い、実施例での説明のように決定される(実施例3参照)。抗ウイルス(CPE)アッセイは実施例で説明する方法にしたがって実施することができる。
本明細書で用いられる、“二特異性分子”という用語は、2つの異なる結合特異性を有する任意の物質、例えばタンパク質、ペプチド又はタンパク質若しくはペプチド複合体を指す。“マルチ特異性分子”又は“ヘテロ特異性分子”という用語は、3つ以上の異なる結合特異性を有する任意の物質、例えばタンパク質、ペプチド又はタンパク質若しくはペプチド複合体を含むことを意図する。
【0019】
本明細書で用いられる、“組成物”という用語は、活性物質及び別の担体、例えば不活性な(例えば検出性物質又は標識)又は活性な化合物若しくは組成物(例えばアジュバント、希釈剤、結合剤、安定化剤、緩衝物質、塩、親油性溶媒、保存料、アジュバントなど)の組み合わせを指す。担体にはまた、医薬的賦形剤及び添加剤、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、脂質及び炭水化物(例えば、糖(単糖類、二、三、四糖類、及びオリゴ糖;誘導糖、例えばアルジトール、アルドン酸、エステル化糖など;及び多糖類又は糖ポリマーを含む)が含まれ、前記は単独又は組み合わされて存在することができ、単独又は合計して重量又は体積で1−99.99%含まれる。例示的なタンパク質賦形剤には、血清アルブミン、例えばヒト血清アルブミン(HSA)、組換えヒトアルブミン、ゼラチン、カゼインなどが含まれる。代表的なアミノ酸/抗体成分(前記はまた緩衝能として機能することができる)には、例えばアラニン、グリシン、アルギニン、ベタイン、ヒスチジン、グルタミン酸、アスパラギン酸、システイン、リジン、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、フェニルアラニン、アスパルタームなどが含まれる。炭水化物の賦形剤もまた本発明の範囲として意図され、その例には単糖類(例えばフラクトース、マルトース、ガラクトース、グルコース、D-マンノース、ソルボースなど);二糖類(例えばラクトース、シュクロース、トレハロース、セロビオースなど);多糖類(例えばラフィノース、メレジトース、マルトデキストリン、デキストラン、デンプンなど);及びアルジトール(例えばマンニトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、キシリトール、ソルビトール(グリシトール)及びミオイノシトール)が含まれるが、ただしこれらに限定されない。担体という用語にはさらに緩衝物質又はpH調節剤が含まれる。典型的には前記緩衝物質は、有機酸又は塩基から調製される塩である。代表的な緩衝物質には、有機酸塩(例えばクエン酸、アスコルビン酸、グルコン酸、炭酸、酒石酸、コハク酸、酢酸又はフタル酸の塩);トリス、トロメタミンヒドロクロリド又はリン酸緩衝剤が含まれる。さらに別の担体にはポリマー系賦形剤/添加剤(例えばポリビニルピロリドン、フィコール(ポリマー糖)、デキストレート(例えばシクロデキストリン、例えば2-ヒドロキシプロピル-クォドラチャ-シクロデキストリン)、ポリエチレングリコール、香料、抗菌剤、甘味料、制菌剤、界面活性剤(例えばポリソルベート(例えば“トゥイーン20”及び“トゥイーン80”)、脂質(例えばリン脂質、脂肪酸)、ステロイド(例えばコレステロール)、及びキレート剤(例えばEDTA)が含まれる。
【0020】
本明細書で用いられる、“コントロール”という用語は、比較の目的のために実験で用いられる代替対象物又はサンプルを指す。コントロールは“陽性”でも“陰性”でもあり得る。
本明細書で用いられる、“有効量”という用語は、有益な結果又は所望される結果を達成するために十分な量を指す。有効量は、1回又は2回以上の投与、適用又は投薬で与えることができる。
本明細書で用いられる、“エピトープ”という用語は、抗体又は抗原レセプターによって認識される抗原又は抗原フラグメント上の部位である。T細胞エピトープは、適切な主要組織適合性(MHC)タンパク質によって提示されるタンパク質抗原に由来する短いペプチドである。B細胞エピトープは、一般的にはB細胞によって認識される抗原決定基であり、抗体によって認識される三次元表面の通常的部分である。前記は当業者には理解されるように、連続的又は構造的決定基を含むことができる。
IgG抗体はパパイン消化によって3つのフラグメントに切断することができる。これらフラグメントの2つは、典型的には同一の抗原結合フラグメント(“Fab”と称され、各々はただ1つの抗原結合部位を有する)であり、残りは“Fc”フラグメントである。Fabフラグメントは、鎖間ジスルフィド結合によって一緒に保持された軽鎖及び重鎖のアミノ末端側半分を含む。Fcフラグメントは、2つの重鎖のカルボキシ末端側の半分から成り、前記は残留しているヒンジ領域によって互いにジスルフィド結合により結合されている。IgG抗体のペプシン消化は、パパインとおおまかに同じような抗体の領域で切断するが、ジスルフィド結合のカルボキシ末端側で切断して(Fab')2フラグメントを生じる。前記は2つの抗原結合部位を有し、なお抗原を架橋することができる。Fab'フラグメントは、抗体のヒンジ領域に由来する1つ以上のシステインを含む数残基が、重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端に付加されているという点でFabフラグメントと相違する。Fab'-SHはFab'のための呼称であり、Fab'-SHでは定常ドメインのシステイン残基が遊離チオール基を有している。
【0021】
本明細書で用いられる、“Fv”という用語は、完全な抗原認識部位及び結合部位を含む最小の抗体フラグメントを指す。2鎖Fv種では、この領域は、非共有結合した1つの重鎖及び1つの軽鎖可変ドメインのダイマーを含む。単鎖Fv種では、1つの重鎖及び1つの軽鎖可変ドメインは、二鎖Fv種のダイマー構造と類似の“ダイマー性”構造で軽鎖及び重鎖が結合できるように、可撓性ペプチドリンカーによる共有結合によって連結され得る。
本明細書で用いられる、“ヘテロ抗体”という用語は、一緒に連結された2つ以上の抗体、抗体結合フラグメント(例えばFab)、その誘導体、又は抗原結合部位であって、少なくとも2つが異なる抗原特異性を有するものを指す。
本明細書で用いられる、“インターフェロンアルファ”(“INFα”)は、先天性免疫の主要エフェクターのいくつかを含むタンパク質ファミリーを指す。少なくとも15の公知のヒトINFαのアイソタイプが存在する。INFαタンパク質サブタイプの名称及び対応するコード遺伝子を下記に列挙する。
IFNαタンパク質サブタイプ 対応するIFNα遺伝子
A 2a
2 2b
B2 8
C 10
D(Val114) 1
F 21
G 5
H2 14
I 17
J1 7
K 6
4a 4a
4b 4b
WA 16
1(Ala114) 1
【0022】
以下を参照されたい(Pestka et al. 1997, “Interferon Standardization and Designations” J Interferon Cytokine Res 17:Supplement 1, S9-S14)。IFNαB2は、ときにまたINFαBと称されるが、IFNβと混同してはならない。白血球由来の天然のIFNα(白血球IFN)は、これらの組換えヒトIFNαタンパク質と同様にPBL Biomedical Labs(Piscataway, NJ(Interferonsource.com))から入手できる。天然のIFNαはIFNαサブタイプの複雑な混合物である。IFNβは、本明細書で用いられる天然のIFNα調製物では検出されなかった。これらインターフェロンの検出及び定量方法、例えばELISA及びRIAは当分野では公知である(以下を参照されたい:Staehelin et al. 19981, Methods in Enzymology 79 (S. Pestka, ed.), Academic Press, NY 589-595;Kelder et al. 1986, Methods in Enzymology 119 (S. Pestka, ed.), Academic Press, NY 582-587;Stewart (2003) 上掲書;Bennett et al. 2003, J Exp Med 197(6):711-723;Baechler et al. 2003, Proc Natl Acad Sci USA 100(5):2610-2615)。
本明細書で用いられる、“IFNα産生細胞”という用語は、IFNα産生に応答し得る特殊化された白血球を指す。この白血球は、二重鎖RNA(dsRNA)、ウイルス、細菌、原虫、ある種の細胞株及び非メチル化CpG-DNAによって幅広く誘発される(Ronnblom & Alm (2004) J Exp Med 194(12):F59-F63)。
本明細書で用いられる、“IFN関連症状又は疾患”という用語は、患者血清中のIFNαレベルの上昇と連関する、異常で有害な症状又は前臨床的症状を指す。そのようなものの例には、SLE、対宿主性移植片秒(GVHD)、1型糖尿病、エイズ(ヒト免疫不全ウイルス(HIV)によって引き起こされる)、自己免疫甲状腺炎、乾癬及び狼瘡が含まれるが、ただしこれらに限定されない。IFNαレベルの測定方法は当分野で公知であり、本明細書でも述べる。
【0023】
本明細書で用いられる、“免疫応答”という用語は、外来物質に対するリンパ球の抗原特異的応答を指す。免疫応答を誘引することができるいずれの物質も“免疫原性”であると考えられ、“免疫原”と称される。全ての免疫原が抗原であるが、ただし全ての抗原が免疫原性であるとは限らない。免疫応答は液性(抗体活性を介する)でも又は細胞媒介性(T細胞活性化を介する)でもあり得る。
本明細書で用いられる、“免疫学的結合”及び“免疫学的結合特性”という用語は、免疫グロブリン分子とこの免疫グロブリンが特異性を示す抗原との間で生じる非共有結合性相互作用の型を指す。免疫学的結合性相互作用の強度又は親和性は、前記相互作用の解離定数(Kd)の関係で表現することができる。この場合、より小さなKdはより強い親和性を表す。選択したポリペプチドの免疫学的結合特性は当分野で周知の方法を用いて定量することができる。そのような方法の1つは、抗原結合部位/抗原複合体の生成速度及び解離速度を測定することを必要とし、この場合これら速度は、複合体のパートナーの濃度、前記相互作用の親和性、及び両方向の速度に等しく影響を与える幾何学的パラメーターに左右される。したがって、“オン速度定数”(Kon)及び“オフ速度定数”(Koff)は両方とも、当分野で周知のように濃度並びに実際の結合及び解離速度の計算によって決定することができる。Koff/Kon比は、親和性とは無関係の全てのパラメーターの末梢を可能にし、したがって解離定数Kdと等しい(例えば以下を参照されたい:Coligan et al. 1999, Current Protocols in Immunology, Wiley, NY)。
本明細書で用いられる、“単離された”という用語は、その天然の環境の成分から識別され、分離され及び/又は回収された抗体を指す。その天然の環境の夾雑成分は、前記抗体の診断的又は治療的使用を妨げ得る物質であり、酵素、ホルモン及びタンパク質性又は非タンパク質性溶質が含まれ得る。好ましい実施態様では、前記抗体は、(1)Lowryの方法で決定したとき抗体の95重量%を超えて、もっとも好ましくは99重量%を超えて、(2)回転カップシークェネーター(spinning cup sequenator)の使用によってN-末端又は内部アミノ酸配列の少なくとも15残基を得るために十分な程度に、又は(3)還元又は非還元条件下のSDS-PAGEでクーマシーブルー染色又は好ましくは銀染色によって均質な程度に精製されるであろう。単離された抗体には組換え細胞内にin situで存在する抗体が含まれる。なぜならば、抗体の天然の環境の少なくとも1つの成分が存在しないからである。しかしながら通常的には、単離抗体は少なくとも1つの精製工程によって調製することができる。モノクローナル抗体並びにその変種及び誘導体は単離抗体と考えられる。
【0024】
本明細書で用いられる、“アイソタイプ”という用語は、それらの重鎖定常ドメインのアミノ酸配列を基準にした抗体クラスを指す。免疫グロブリンには5つの主要なアイソタイプ(IgA、IgD、IgE、IgG及びIgG)が存在し、これらのいくつかは、さらにサブクラス(例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2)に分割され得る。
“狼瘡”はいくつかの疾患又は異常を指す。“全身性紅斑性狼瘡”(SLE)は身体の多くの部分が影響を受け得る疾患形態である。SLEの症状は軽度から重篤なものまであり、ここで概略する。“円板状紅斑性狼瘡”は慢性の皮膚疾患で、赤色の隆起した発赤が顔面、頭皮又は他の場所に出現する。隆起領域は肥厚し、落屑として剥がれ、瘢痕を形成し得る。発赤は数日又は数年続き、さらに再発し得る。円板状狼瘡の患者では低いパーセンテージで後にSLEを発症する。“亜急性紅斑性皮膚狼瘡”は太陽に暴露された身体の部分に出現する皮膚病巣を指す。“薬剤誘発狼瘡”はある種の医薬によって生じる狼瘡の一形態である。症状はSLEの症状と類似し(関節炎、発赤、発熱及び胸部痛)、それら症状は薬剤を中止したとき典型的には消失する。腎臓及び脳がまれに冒される。“新生児狼瘡”は稀な疾患で、SLE、ショーグレン症候群の婦人又は全く病気ではない婦人の新生児で発生し得る。さらに前記疾患は、母親の血液中に抗Ro(SSA)及び抗La(SSB)と称される自己抗体を生じ得る。出生時に赤児は典型的には皮膚発赤、肝臓の問題、低血球を示す。
本明細書で用いられる、“医薬的に許容できる担体”という用語は、標準的な医薬的担体、例えばリン酸緩衝食塩水溶液、水及び乳濁液(例えば油中水又は水中油乳濁液)、および種々のタイプの湿潤剤のいずれも包含されることを意味する。前記組成物にはまた安定化剤、保存料及び上記記載の任意の担体が含まれるが、ただしそれらがin vivoでの使用について許容できることを更なる条件とする。担体、安定化剤及びアジュバントの例については以下を参照されたい:Martin Remington's Pharm. Sci., 18th Ed., Mack Publ. Co, Easton, PA (1995);及び”Physician's Desk Reference”, 58th ed., Medical Economics, Montvale, NJ (2004)。
【0025】
本明細書で用いられる、“選択的に中和する”という用語は、1つ以上の“IFNα” タンパク質サブタイプの生物活性の少なくとも40%を選択的に中和するが、別のIFNαタンパク質サブタイプの少なくとも1つは顕著には中和しない単離及び精製された抗体を指し、ここで前記生物活性はMxAプロモーターの活性化又は抗ウイルス活性である。異なるサブタイプのIFNαは機能が変化するので、INFαの特定の形態を選択的に中和して、特定の機能を制御することは有益である。本発明の1つ以上の抗体はIFNαに特異的であるが、前記はまた1つ以上のサブタイプに対して“選択的”であり、他のものに対しては選択的ではない。1つ以上のIFNαタンパク質サブタイプ、例えばA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4bを選択的に中和するために、例えばDサブタイプ上の抗原性エピトープと顕著には交差反応しないIFNα上の1つ以上の抗原性エピトープを、本明細書に開示するように特定し、単離し、性状を調べ、さらに精製した。
本明細書で用いられる、“顕著には中和しない”という用語は、指定したIFNαサブタイプ(又はIFNβ)の生物活性の40%未満を中和する抗体を指し、ここで前記生物活性は、本明細書に記載の条件にしたがってMxAレポーター遺伝子アッセイ(RGアッセイ)又は細胞障害作用アッセイ(CPEアッセイ)によって測定される。いくつかの実施態様では、本発明の抗体は、指定のIFNαサブタイプの生物活性の35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、2%より多くを、又は1%より多くすら顕著に中和することはない。
本明細書で用いられる、“対象者”という用語は、脊椎動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトを指す。哺乳動物には、げっ歯類、サル、ヒト、畜産動物、ウマ、イヌ及びネコが含まれるが、ただしこれらに限定されない。
【0026】
従来のSLE治療は対症的であり、全体的な免疫抑制を誘発する。これらにはグルココルチコイド、シクロホスファミド、アザチオプリン及びミコフェノレート・モフェチルが含まれる。それらの有効性はほんの部分的であり、さらに望ましくない副作用、例えば感染に対する感受性の増加は一般的である。したがって、SLE患者でIFNαを特異的に中和することは、前記疾患の病理発生を制御するために魅力的な構想である。pDCによるIFNαの非制御大量産生は前記疾患周期の永続に重大な役割を演じているので、特異的MAbによるブロッキングを用いてIFNα生物活性を中和することは、病原体に対して効果的な免疫応答をしかける患者の能力を損なわない標的誘導治療薬を提供する。IFNαに対する望ましいMAb候補物質には以下を含む特別な性状が要求される:(i)SLEの病因に中心的に関与するヒトIFNαの大半又は全てと反応する能力;(ii)そのようなIFNαサブタイプの生物学的活性を阻止する能力;(iii)IFNβまたはIFNARのいずれかのブロッキング不能性;及び/又は(iv)高い親和性。IFNARではなくIFNαの中和はまた、より安全でより特異的な治療薬を提供し得る。なぜならば、このアプローチは、IFNαと同じレセプターを利用するIFNβシグナリング経路の抗ウイルス作用に影響を与えないであろう。この目的のために、本発明はまた、ヒトIFNαを中和することができる一連のモノクローナル抗体(MAb)を提供する。例えば、これら抗IFNα MAbの2つは、13の組換えIFNαサブタイプの生物活性を、ウイルス感染に際して精製されるIFNの2つの複合混合物の生物活性同様に阻止することができる。ある特徴では、本発明はヒトIFNαを様々に中和する7つのMAbを提供し、そのうちの3つは、13の組換えIFNαサブタイプ及び複合IFNα混合物(市場で入手可能な白血球IFN及びインフルエンザウイルスによるPBMCの感染時に生成された上清)を顕著に中和する。前記MAbのうちの2つ、ACO-1及びACO-2はまた、マイクロアレイ解析でIFNαシグナチャーを示すSLE患者由来血清の生物活性を常に阻止する。ACO-1及びACO-2はIFNαサブタイプD及び1の生物活性は顕著には中和しないが、SLE血清のIFNα生物活性は確かに中和するので、これらのサブタイプがSLEの病因として重大な意味をもつとは考えられない。したがって、ACO-1及びACO-2(前記はSLEに付随するIFNαサブタイプの生物活性を阻止するが、SLEとは明瞭な付随を示さないIFNαタンパク質サブタイプ(D及び1)の生物活性は阻止しない)のヒト化又は非抗原性(例えば脱免疫化)変種のような抗体を用いて、SLEを治療することが所望され得る。
【0027】
本発明はまた、インターフェロンアルファ(“IFNα”)タンパク質サブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4b及びWAから成る群から選択される少なくとも2つのIFNαタンパク質サブタイプの生物活性を選択的に中和するが、INFαタンパク質サブタイプDの少なくとも1つの生物活性は顕著には中和しない抗体を提供する。ここで前記生物活性は、例えばMxAプロモーターの活性化及び/又は抗ウイルス活性である。別の特徴では、本発明は、インターフェロンアルファ(“IFNα”)タンパク質サブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4b及びWAから選択される少なくとも1つのタンパク質サブタイプの異常な発現を伴う疾患又は症状を、INFαタンパク質サブタイプDの抗ウイルス活性を中和することなく対象者で治療する方法を提供する。前記方法は、前記対象者に本明細書に記載する1つ以上の抗体の有効量を投与することを含む。そのような抗体の例には、ACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4、ACO-5、ACO-6と称される抗体、並びに前述の抗体のいずれかと本質的に同じIFNαエピトープを認識する抗体が含まれるが、ただしこれらに限定されない。好ましくは、前記抗体はモノクローナル抗体である。これらのモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞株のATCC寄託番号は下記に列挙される。したがって、本発明はさらに、ACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4、ACO-5、ACO-6、及びACO-8抗体を発現するハイブリドーマ細胞株を提供する。
ある特徴では、本発明は、ACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4、ACO-5、及びACO-6から成る群から選択される抗体と本質的に同じIFNαエピトープと結合する抗体を提供する。本発明はさらに、そのような抗体を発現する細胞株、例えばハイブリドーマを提供する。
また別の実施態様では、本発明は、IFNαタンパク質サブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4b及びWAから選択される少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14のIFNαタンパク質サブタイプの生物活性を中和するが、INFαタンパク質サブタイプDの少なくとも1つの生物活性は中和しない抗体を提供する。ここで前記生物活性はMxAプロモーターの活性化又は抗ウイルス活性である。本発明はさらにそのような抗体を発現するハイブリドーマ細胞株を提供する。
IFNαタンパク質サブタイプ1の少なくとも1つの生物活性を中和しないモノクローナル抗体が提供され、ここで前記生物活性はMxAプロモーターの活性化及び/又は抗ウイルス活性である。
【0028】
また別の特徴では、本発明は、IFNαタンパク質サブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、K、4a、4b及びWAの生物活性を選択的に中和するが、INFαタンパク質サブタイプD及び1の生物活性は顕著には中和しないモノクローナル抗体を提供し、ここで前記生物活性はMxAプロモーターの活性化及び/又は抗ウイルス活性である。他の実施態様はACO-1及びACO-2を含む。
さらに別の特徴では、本発明は、IFNαタンパク質サブタイプA、2、B2、C、I、K及び4aの生物活性を選択的に中和するが、INFαタンパク質サブタイプD、F、G、4b及び1の生物活性は顕著には中和しないモノクローナル抗体を提供し、ここで前記生物活性はMxAプロモーターの活性化及び/又は抗ウイルス活性である。そのような実施態様のあるものはACO-3細胞及びその誘導体によって生成されるACO-3抗体である。
さらに別の特徴では、本発明は、IFNαタンパク質サブタイプA、2、B2及びCの生物活性を選択的に中和するが、INFαタンパク質サブタイプD、4b及び1の生物活性は顕著には中和しない抗体を提供し、ここで前記生物活性はMxAプロモーターの活性化及び/又は抗ウイルス活性である。そのような実施態様のあるものはACO-4細胞及びその誘導体によって生成されるACO-4抗体及びその誘導体である。
また別の特徴では、本発明の抗体は、INFα 4aの生物活性を選択的に中和するが、INFα 4bは選択的に中和せず、ここで前記生物活性はMxAプロモーターの活性化である。これら抗体の例は、ACO-3及びACO-4と称される抗体及びその誘導体であり、前記は、例えばACO-3及びACO-4細胞、並びにその誘導体によってそれぞれ生成される。
さらにまた別の特徴では、本発明は、IFNαタンパク質サブタイプA、2、G、I、K、WA及び1の生物活性を選択的に中和するが、INFαタンパク質サブタイプB2及びDの生物活性は顕著には中和しないモノクローナル抗体を提供し、ここで前記生物活性はMxAプロモーターの活性化及び/又は抗ウイルス活性である。そのような実施態様のあるものはACO-5抗体及びその誘導体であり、前記は、例えばACO-5細胞及びその誘導体によって生成される。
【0029】
さらに別の実施態様では、本発明は、IFNαタンパク質サブタイプ2及びCの生物活性を選択的に中和するが、INFαタンパク質サブタイプA、B2、C、D、F及び1の生物活性は中和しないモノクローナル抗体を提供し、ここで前記生物活性はMxAプロモーターの活性化である。例は、ACO-6細胞及びその誘導体によって生成されるACO-6抗体及びその誘導体である。
さらに別の特徴では、本発明は、IFNαタンパク質サブタイプA、2、B2、D、F、I、4a、4b及び1の生物活性を選択的に中和するが、INFαタンパク質サブタイプC、H2、K及びWAの生物活性は顕著には中和しないモノクローナル抗体を提供し、ここで前記生物活性はMxAプロモーターの活性化である。例は、ACO-8細胞及びその誘導体によって生成されるACO-8抗体及びその誘導体である。
本発明のモノクローナル抗体はまた、ヒト化抗体、ヒト抗体、キメラ抗体、抗体フラグメント(例えばFabフラグメント、F(ab')2フラグメント、Fab'フラグメント又は当業者に公知の任意の他のフラグメント)を含む。ある例では、前記抗体はヒト化キメラ抗体である。
さらにまた別の実施態様では、本発明はハイブリドーマ細胞株を作成する方法を提供する。前記方法は、例えば、組換えIFNαサブタイプA、B2及びFを含む組成物で哺乳動物を免疫し;前記哺乳動物の脾細胞をミエローマ細胞株と融合させてハイブリドーマを作成し;さらにIFNαタンパク質サブタイプ2、C、G、I、J1、K、4a、4b及びWA並びに1から成る群から選択される1つ以上のIFNαタンパク質サブタイプを選択的に中和するが、IFNαタンパク質サブタイプDは選択的に中和しないモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞株を同定することによる。
本明細書で用いられる、“中和する”という用語は、RG、CPE又は本明細書で規定する単球分化アッセイで測定したとき、IFNαタンパク質サブタイプの1つ以上の生物学的活性を少なくとも40%阻害する抗体の能力を指す。例えば、前記抗体は、IFNαタンパク質サブタイプの生物学的活性の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%又は100%を中和する。IFNαの生物学的活性には、MxAプロモーターの転写活性化(例えば下記の“RG”アッセイを参照されたい)、抗ウイルス活性(例えば細胞障害作用(“CPE”)アッセイ、及び単球を樹状突起細胞に分化させるSLE血清の能力が含まれる。RGアッセイ及びCPEアッセイを用いる%中和を決定する方法は、本明細書で述べる。
【0030】
本明細書で用いられる、“中和しない”又は“顕著には中和しない”という語句は、IFNαタンパク質サブタイプの生物学的活性の40%未満しか中和しない抗体を指し、この場合、添加される抗体の中和作用は、RG、CPE又は単球分化アッセイによって測定される。例えば、前記抗体は、生物活性の35%未満、又は30%未満、又は25%未満、又は20%未満、又は15%未満、又は10%未満、又は8%未満、又は5%未満、又は3%未満しか、又は1%未満さえも中和しない。
本発明の抗体は抗体変種、誘導体又はフラグメントでもよい。ある特徴では、抗体は単離される。別の特徴では、抗体は適切な担体と一緒にされる。抗体は、任意の供給源(マウス、ラット、サル)から単離されるか、又は組換えによって生成することができる。マウスモノクローナル抗体の例は、ACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4、ACO-5、ACO−6及びACO-8と称される抗体である。さらにまた本発明によって提供されるものは、これらモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞株であり、前記は単独で、担体と一緒に、又は培養として提供される。
さらにまた本発明によって提供されるものは、抗体、その変種、誘導体又はフラグメント(免疫グロブリン鎖及びCDRを含むが、ただしこれらに限定されない)を含むポリペプチドである。前記ポリペプチドは、好ましくは、上記に記載したように同じ又は同様な親和性及び/又は能力でIFNαと結合し、これを阻害し及び/又はこれを中和する。
本発明はさらに、抗体ACO-1からACO-6又はACO-8のいずれかと反応する抗イディオタイプ抗体を提供する。抗イディオタイプ抗体は、単一の抗体の固有の抗原決定基に対して作成される抗体である。抗イディオタイプ抗体は、免疫アッセイ及び他の適用で結合した抗体を検出するために有用である。本発明の抗イディオタイプ抗体は、任意の哺乳動物、例えばヒト、マウス、ウサギ、ラット、げっ歯類、霊長類など(ただしこれらに限定されない)を含むことができ、又はこれらから誘導することができる。
【0031】
上記抗体の1つ以上をさらに担体、医薬的に許容できる担体、又は抗体の使用に適切な医療装置、又は診断若しくは治療方法に関連する組成物と組み合わせることができる。前記担体は、液相担体又は固相担体、例えばビーズ、ゲル又は担体分子(例えばリポソーム)でもよい。前記組成物は、さらに場合によって少なくとも1つの別の化合物、タンパク質又は組成物を含むことができる。“担体”のまた別の例には、治療的に活性な物質、例えばまた別のペプチド又はタンパク質(例えばFabフラグメント、J-鎖、また別の抗体、毒素など)が含まれる。例えば、本発明の抗IFNα抗体、その変種、誘導体又はフラグメントは、1つ以上の他の分子実体、例えばまた別の抗体(例えば二特異性又はマルチ特異性抗体を作成するため)、細胞毒素、細胞性リガンド又は抗原と機能的に連結させることができる(例えば化学的結合、遺伝的融合、非共有結合性結合などによる)。したがって、本発明は、大量の多様な抗体共役物、二特異性及びマルチ特異性分子、及び融合タンパク質を、それらが本発明の抗体と同じエピトープを標的とするか否かに関わらず包含する。
担体のさらにまた別の例は、本発明の抗体に共有結合により、直接的に、又は間接的に結合させることができる有機分子(改変物質とも称される)又は活性化物質である。前記分子の結合は、薬理学的動態における特性を改変させることができる(例えばin vivo血中半減期の増加)。有機分子の例には、親水性ポリマー基、脂肪酸基又は脂肪酸エステル基が含まれるが、ただしこれらに限定されない。本明細書で用いられる、“脂肪酸”という用語は、例えば一カルボン酸及び二カルボン酸を指す。本明細書で用いられる、“親水性ポリマー基”という用語は、オクタンよりも水でより可溶性である有機ポリマーを指す。
本発明の抗体を改変するために適した親水性ポリマーは直鎖状でも分枝していてもよく、例えばポリアルカングリコール(例えばポリエチレングリコール(PEG)、モノメトキシ-ポリエチレングリコール(mPEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)など)、炭水化物(例えばデキストラン、セルロース、オリゴ糖、多糖類など)、親水性アミノ酸のポリマー(例えばポリリジン、ポリアルギニン、ポリアスパルテートなど)、ポリアルカンオキシド(例えばポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドなど)、及びポリビニルピロリドンが含まれる。本発明の抗体とともに使用するために適切な親水性ポリマーは、分離した分子本体として、例えば約800から約150,000ダルトンの分子量を有することができる。親水性ポリマー基は、1つから約6つのアルキル、脂肪酸又は脂肪酸エステル基で置換することができる。脂肪酸又は脂肪酸エステル基で置換される親水性ポリマーは、適切な方法を用いることによって調製することができる。例えば、アミン基を含むポリマーは、脂肪酸又は脂肪酸エステルのカルボキシレートとカップリングさせることができ、さらに脂肪酸又は脂肪酸エステルの活性化されたカルボキシレート(例えばN,N-カルボニルジイミダゾールで活性化される)は、ポリマーのヒドロキシル基とカップリングさせることができる。
【0032】
本発明の抗体を改変するために適切な脂肪酸及び脂肪酸エステルは飽和していても、又は1つ以上の不飽和ユニットを含んでいてもよい。そのようなものの例には、n-ドデカノエート、n-テトラデカノエート、n-オクタデカノエート、n-エイコサノエート、n-ドコサノエート、n-トリアコンタノエート、n-テトラコンタノエート、cis-δ-9-オクタデカノエート、全てのcis-δ5,8,11,14-エイコサテトラエノエート、オクタン二酸、テトラデカン二酸、オクタデカン二酸、ドコサン二酸などが含まれるが、ただしこれらに限定されない。適切な脂肪酸エステルには、直鎖状又は分枝低級アルキル基を含む二カルボン酸のモノエステルが含まれる。前記低級アルキル基は、1つから約12、好ましくは1つから約6つの炭素原子を含むことができる。
さらにまた別の特徴では、本発明は、トランスジェニック非ヒト動物、例えばトランスジェニックマウス(本明細書ではまた“ヒトMAbマウス”と称される)を提供し、前記は、上記に規定した本発明の抗体に類似する、少なくとも1つのIFNαタンパク質サブタイプを中和する完全にヒトのモノクローナル抗体を発現する。具体的な実施態様では、トランスジェニック非ヒト動物は、本発明の抗アルファV抗体の全て又は一部分をコードするヒト重鎖トランスジーン及びヒト軽鎖トランスジーンを含むゲノムを有するトランスジェニックマウスである。ヒト抗体を生成するために、トランスジェニック非ヒト動物を、IFNαタンパク質サブタイプA、B及びFの精製又は濃縮調製物で免疫することができる。トランスジェニック非ヒト動物の例は、例えばIFNαに対するヒトモノクローナル抗体の多数のアイソタイプ(例えばIgG、IgA及び/又はIgM)を、V-D-J組み換えおよびアイソタイプスイッチングを経ることによって生成することができるトランスジェニックマウスであり得る。アイソタイプスイッチングは、例えば古典的又は非古典的アイソタイプスイッチングによって生じ得る。
【0033】
したがって、また別の実施態様では、本発明は、上記に記載のトランスジェニック非ヒト動物(例えばトランスジェニックマウス)に由来するか又は前記から単離された、ヒトの抗体を発現する単離細胞を提供する。続いて、前記単離B細胞を不朽化細胞と融合させることによって不朽化し、ヒト抗体の供給源(例えばハイブリドーマ)を提供することができる。これらのハイブリドーマもまた本発明の範囲内に含まれる。
本発明はさらに、細胞、組織、動物又は患者で、及び/又は関連症状の前後又はその最中に、当分野で公知のように、及び/又は本明細書で記載するように、少なくとも1つのIFNα関連症状を診断するための少なくとも1つの抗体による方法又は組成物を提供する。それらはまた、予後又は疾患の進行のモニターのために用いられる。
さらにまた提供されるものは、本発明の少なくとも1つの抗INFα抗体、その変種、誘導体又はフラグメントを含む組成物であり、前記は、細胞、組織、動物又は患者で、及び/又は関連症状の前後又はその最中に、当分野で公知のように、及び/又は本明細書に記載するように、IFNα付随症状の調節又は緩和のために、又は少なくとも1つのIFNα関連症状の治療のために有効量で投与するために適している。前記組成物には、例えば医薬用及び診断用組成物/キットが含まれ、これらは、医薬的に許容される担体及び少なくとも1つの本発明の抗IFNα抗体、その変種、誘導体又はフラグメントを含む。上記で述べたように、前記組成物はさらに、併用により個々に調整された複数の治療を提供して最大限の治療利益を提供することができる別の抗体又は治療薬を含むことができる。
また別には、本発明の組成物は、他の治療薬及び細胞毒性薬剤と(前記とリンクしているか、又は同じ投薬で投与されるかにかかわらず)一緒に投与することができる。前記は、そのような薬剤と同時に投与してもよく(例えば単一の組成物として又は別々に)、又はそのような薬剤の前後に投与してもよい。そのような薬剤には、コルチコステロイド、非ステロイド系免疫抑制剤、抗マラリア薬、及び非ステロイド系抗炎症剤が含まれ得る。前記組成物は、代替療法(例えばコルチコステロイド、非ステロイド系免疫抑制剤、抗マラリア薬、及び非ステロイド系抗炎症剤の投与)と併用することができる。
【0034】
また別の特徴では、本発明は、インターフェロンアルファ(“IFNα”)タンパク質サブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4b及びWAから成る群から選択される少なくとも2つのタンパク質サブタイプの生物活性を選択的に中和するが、INFαタンパク質サブタイプDの少なくとも1つの生物活性は中和しない方法を提供する。ここで前記生物活性はMxAプロモーターの活性化又は抗ウイルス活性である。前記方法は、前記サブタイプを含むと考えられるサンプルを、前記サブタイプを選択的に中和するモノクローナル抗体と接触させることを必要とする。そのような抗体の例にはACO-1、ACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4、ACO-5及びACO-6と称される抗体が含まれるが、ただしこれらに限定されない。
本発明によって多様な治療法が提供される。例えば、本明細書は、インターフェロンアルファ(“IFNα”)タンパク質サブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4b及びWAから成る群から選択される少なくとも1つのタンパク質サブタイプの異常な発現に付随する症状を、前記サブタイプを選択的に中和する有効量の抗体を対象者に投与することによって、INFαタンパク質サブタイプD及び1と結合することなく対象者で緩和する方法を開示する。そのような例は上記で提供される。
本発明は、インターフェロンアルファ(“IFNα”)タンパク質サブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4b及びWAから成る群から選択される少なくとも1つのタンパク質サブタイプの異常な発現をもたらす疾患又は症状を、前記サブタイプを選択的に中和する有効量の抗体を対象者に投与することによって、INFαタンパク質サブタイプD及び1と結合することなく対象者で治療する方法を提供する。そのような例は上記で提供される。さらにまた提供されるものは、組換えIFNαサブタイプA、B2及びFを含む組成物を哺乳動物に投与することによる免疫方法である。別の実施態様では、前記免疫方法は、本質的にIFNαサブタイプA、B2及びF、医薬的に許容できる担体、並びに場合によって1つ又は2つ以上のアジュバントから成る組成物を哺乳動物に投与することを含む。また別の特徴では、免疫によって、IFNαタンパク質サブタイプA、B2及びFを中和するが、IFNαタンパク質サブタイプD及び1は中和しない抗体が生じる。さらに別の特徴では、本発明及び組成物はIFNα 4aを中和するが、IFNα 4bは中和しない(例えばACO-3)。
【0035】
in vivoで使用する場合、本発明の抗体及び組成物は、治療的に有効な投与量で患者に投与又はデリバーされ、選択したINFαサブタイプを中和する。さらにまた、本発明の有効量の抗体又は組成物を投与又はデリバーして、INFα関連症状(例えばSLE、糖尿病、乾癬又はエイズ)を、抗体を基剤とする臨床用生成物のための任意の適切な投与ルートを用いて対象者で治療又は緩和することができる。多くのルートが当分野で公知であり、例えば注射又は輸液である、
投薬形:本発明の抗体を使用するための投与ユニットは単一化合物でも又は他の化合物を含む前記の混合物でもよい。前記化合物は一緒に混合するか、イオン結合させるか又は共有結合さえ形成させることもできる。本発明の1つ以上の抗体を、経口、静脈内(ボーラス又は輸液として)、腹腔内、皮下、又は筋肉内形で投与することができ、いずれも製薬業者に周知の剤形が用いられる。具体的なデリバリーの場所又は方法に応じて、種々の剤形、例えば錠剤、カプセル、ピル、散剤、顆粒、エリキシル、チンキ剤、懸濁剤、シロップ、及び乳濁剤を用いて、本明細書に記載したある種のINFαサブタイプの中和を含む治療の必要がある患者に本発明の抗体を提供することができる。前記抗体は一般的には疎水性であるが、公知のいずれの塩の形態でも投与することができる。
抗体は、典型的には、意図される投与形態にしたがい、さらに通常の製薬慣行に応じて選択した適切な医薬用の塩、緩衝物質、希釈剤、膨張剤、賦形剤及び/又は担体(本明細書では包括的に医薬的に許容できる担体又は担体物質と称する)との混合物として投与される。経口、直腸、局所、静脈内注射又は非経口的投与用の具体的な形態に対して例えば最大及び/又は一定の投与量を提供するために、投与に最良の場所に対応して抗体を処方することができる。抗体、例えばACO-1、ACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4、ACO-5、AOC-6及びACO-8のヒト化形は単独又は併用して、医薬的に許容できる担体中で投与することができる。前記担体は、選択した投与タイプ及び/又は投与場所に対応して、固体でも液体でもよい。
【0036】
本発明を用いて有用な剤形を製造する技術及び組成物は以下の参考文献の1つ以上に記載されている:Ansel, Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms, 2nd Edition (1976);Remington's Pharmaceutical Sciences, 17th ed., (Mack Publishing Company, Easton, PA 1985);Advances in Pharmaceutical Sciences (David Ganderton, Trevor Jones, Eds., 1992);Advances in Pharmceutical Sciences vol 7. (David Ganderton, Trevor Jones, James McGinity, Eds., 1995);Aqueous Polymeric Coatings for Pharmaceutical Dosage Forms (Drugs and the Pharmaceutical Sciences, Series 36 (James McGinity, Ed., 1989);Pharmaceutical Particulate Carriers: Therapeutic Applications: Drugs and the Pharmaceutical Sciences, vol 61 (Alain Rolland, Ed., 1993);Drug Delivery to the Gastrointestinal Tract (Ellis Horwood Books in the Biological Sciences. Series in Pharmaceutical Technology; J.G.Hardy, S.S. Davis, Clive G. Wilson, Eds.);Modern Pharmaceutics Drugs and the Pharmaceutical Sciences, vol 40 (Gilbert S. Banker, Christopher T. Rhodes. Eds.)及び本明細書に参照により取り込んだ関連する同様な部分。
本発明の抗体は、リポソームデリバリー系の形態で、例えば小さな単層薄膜小胞、大きな単層薄膜小胞及び多層薄膜小胞(荷電又は非荷電に関わらず)の形態で投与することができる。リポソームは、リン脂質(例えばコレステロール)、ステアリルアミン及び/又はホスファチジルコリン、その混合物などの1つ以上を含むことができる。
抗体はまた、薬剤担体として又はプロドラッグとして、1つ以上の可溶性で、生物分解性、生体許容性ポリマーと結合させることができる。そのようなポリマーには以下が含まれ得る:ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド-フェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルタ-ミデフェノール、又はパルミトイル残基で置換されたポリエチレンオキシド-ポリリジン、又は前記の混合物。さらにまた、抗体は、1つ以上の生物分解性ポリマーと結合させて、抗体の制御放出を達成することができる。本発明とともに用いられる生物分解性ポリマーには以下が含まれる:ポリ酢酸、ポリグリコール酸、ポリ酢酸及びポリグリコール酸のコポリマー、ポリエプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアシレート、並びにヒドロゲルの架橋又は両親媒性ブロックコポリマー、前記の混合物など。
【0037】
鼻道、洞、口、喉、食道、気管、肺、及び肺胞への直接デリバリーのためには、抗体はまた適切な鼻内ベヒクルの使用により鼻内形としてデリバーすることができる。皮膚及び経皮デリバリーのためには、抗体は、当業者に周知のようにローション、クリーム、油、エリキシル、血清、経皮用皮膚膏薬などを用いてデリバーすることができる。非経口形及び静脈内形はまた、選択した注射又はデリバリー系のタイプ(例えば緩衝溶液、等張溶液)に適合させるために、医薬的に許容できる塩及び/又は鉱物並びに他の物質を含むことができる。抗体の投与のために有用な医薬剤形の例には以下の形態が含まれる。
注射可能溶液:注射による投与に適した非経口組成物は、1.5重量%の活性成分を脱イオン水中で攪拌し、さらに例えば10容量%までのプロピレングリコール及び水と混合することによって調製される。前記溶液は塩化ナトリウムで等張にし、例えば超遠心を用いて滅菌される。滅菌注射溶液は、適切な溶媒中に必要な量の活性化合物を、必要に応じて上記に列挙した種々の他の成分とともに取り入れ、続いてろ過滅菌することによって調製される。一般的に、分散液は、種々の無菌的活性成分を基礎的な分散媒体含む無菌的ベヒクルに取り入れることによって調製される。無菌的注射溶液を調製するための無菌的散剤の事例では、乾燥粉末の有用な調製方法は、真空乾燥、噴霧凍結、加熱下の真空乾燥及び凍結乾燥技術を含み、前記は活性成分+任意の所望される(以前にろ過滅菌した溶液から得られる)追加成分を生じる。本発明の抗体は、注射可能な形態でミクロ粒子又はナノ粒子としてデリバーするか、又は肺デリバリー又は他のデリバリーを介してデリバーすることができる。
懸濁物:ある実施態様では、投与のために水性懸濁物は、各5mLが、例えば0.001−1,000mgの微細に分割された活性成分、200mgのカルボキシメチルセルロースナトリウム、5mgの安息香酸ナトリウム、1.0gのソルビトール溶液、及び食塩水(0.01、0.1、1、5又は10mL)を含むように調製することができる。
【0038】
有効用量の抗体は、湿潤/乾燥系の場合、約1.0μg/mLから約1000mg/mLの濃度が再構成に際して得られる量を含むが、ただし前記よりも低い又は高い濃度でも機能することが可能であり、意図されるデリバリーベヒクルに左右される。例えば、溶液の処方は、経皮膏薬、肺デリバリー、経粘膜デリバリー又は浸透圧ポンプ又はミクロポンプ法とは異なるであろう。
本発明の抗体を含む処方物が本明細書で提供される。本発明の処方物は、本発明の少なくとも1つの抗体及び以下から成る群から選択される保存料を水性希釈剤中で混合することを含むプロセスによって製造することができる:フェノール、m-クレゾール、p-クレゾール、o-クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、アルキルパラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、及びチメロサール又は前記の混合物。抗体と保存料の水性希釈剤中での混合は、通常の溶解及び混合方法を用いて実施される。例えば、所望の濃度の抗体及び保存料を提供するために十分な量で、緩衝溶液中の少なくとも1つの測定量の抗体を緩衝溶液中の所望の保存料と一緒にする。当業者はこのプロセスの変型を周知していよう。例えば成分を添加する順序、さらに別の添加物が用いられるか否か、処方物を調製する温度及びpHは、いずれも用いられる濃度及び方法のために最適化され得る因子である。
前記処方物は1つ以上の保存料又は安定化剤(例えばフェノール、m-クレゾール、p-クレゾール、o-クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、亜硝酸フェニル水銀、フェノキシエタノール、ホルムアルデヒド、クロロブタノール、塩化マグネシウム(例えばヘキサハイドレート)、アルキルパラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、及びチメロサール又は前記の混合物)を含むことができる。任意の適切な濃度又は混合物を、例えば0.001−5%、又は任意の範囲若しくはその中の値、例えば0.001、0.003、0.005、0.009、0.01、0.02、0.03、0.05、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.3、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9(ただし前記の値に限定されない)、又は任意の範囲若しくはその中の値を当分野で公知のように用いることができる。非限定的な例には、保存料なしか、又は例えば以下のような保存料が含まれる:0.1−2%のm-クレゾール(例えば0.2、0.3、0.4、0.5、0.9、1.0%)、0.1−3%のベンジルアルコール(例えば0.5、0.9、1.1、1.5、1.9、2.0、2.5%)、0.001−0.5%のチメロサール(例えば0.005、0.01%)、0.001−2.0%のフェノール(例えば0.05、0.25、0.28、0.5、0.9、1.0%)、0.0005−1.0%のアルキルパラベン(例えば0.00075、0.0009、0.001、0.002、0.005、0.0075、0.009、0.01、0.02、0.05、0.075、0.09、0.1、0.2、0.3、0.5、0.75、0.9及び1.0%)。
【0039】
前記組成物及び処方物は、透明な溶液として患者に提供されるか、又は2本のバイアルとして提供される。前記2本のバイアルは、水性希釈剤を含む第二のバイアルで再構成される凍結乾燥抗体のバイアルを含む。単一の溶液バイアルも又は再構成を必要とする2本のバイアルも何回も再使用することができ、1回又は複数回の患者の治療に十分であり、したがって現在利用可能な治療レジーメンよりも便利な治療方法を提供することができる。これらの単バイアル系を含む認知されている装置には、溶液デリバリー用のペンインジェクター装置、例えばBD Pens、BD Autojector、HumajectTM、NovoPenTM、B-DTMPen、AutoPenTM、OptiPenTM、GenotropinPenTM、Genotronorm PenTM、Humatro PenTM、Reco-PenTM、Roferon PenTM、BiojectorTM、J-tip Needle-Free InjectorTM、IntrajectTM、Medi-Ject(例えばBecton Dickensen(Franklin Lakes, NJ)、Bectondickenson.comで入手できる)によって作製又は開発されたもの)、Disetronic(Burgdorf, Switzerland; disetronic.comで入手できる);Bioject(Portland, Oregon; bioject.comで入手できる);National Medical Products, Weston Medical(Peterborough, UK; weston-medical.comで入手できる);Medi-jet Corp(Minneapolis, Minn.; mediject.comで入手できる)が含まれる。
本発明は、包装材及び少なくとも本発明の抗体溶液を含む少なくとも1つのバイアルを、(場合によって水性希釈剤中の)処方された緩衝液及び/又は保存料とともに含む製品を提供する。この場合、前記包装材は、そのような溶液を1、2、3、4、5、6、9、12、18、20、24、30、36、40、48、54、60、66、72時間又はそれより長い期間にわたって保持することができることを示したラベルを含む。本発明はさらに、包装材、少なくとも1つの本発明の凍結乾燥抗体を含む第一のバイアル、処方された緩衝液又は保存料の水性希釈剤を含む第二のバイアルを含む製品を含み、ここで前記包装材は、抗体を水性希釈剤で再構成して24時間又はそれより長い時間にわたって維持することができる溶液を形成することを患者に指示するラベルを含む。
【0040】
キット:本発明はまた例えば症状を治療するために有用な医薬キットを含む。前記キットは、治療的に有効な量の抗体に希釈又は再懸濁されたものとして提供することができる医薬組成物を含む1つ以上の容器を含むことができる。そのようなキットはさらに、所望の場合は、当業者には明白な1つ以上の多様な一般的医薬キット成分、例えば1つ以上の医薬的に許容できる担体、液体、追加の容器などを含む容器を含むことができる。投与されるべき量、投与のための指針、及び/又は成分の混合についての説明を示す印刷された使用説明書(挿入物として又はラベルとして)もまた前記キットに含むことができる。前記指定の材料及び条件は本発明の実施で重要であるが、指定されなかった材料及び条件も、それらが本発明の利益を妨げないかぎり指定から排除されるものではないことは理解されよう。
抗体:本発明の抗体にはモノクローナル抗体が含まれる。それらはまた、IFNα中和機能を有するフラグメント、抗体誘導体、又は抗体変種であってもよい。それらはキメラでも、ヒト化されてあっても、又は完全にヒトのものであってもよい。抗体の機能的フラグメントにはFab、Fab'、Fab2、Fab'2、及び単鎖可変領域が含まれるが、ただしこれらに限定されない。抗体は、細胞培養(例えば細菌、酵母、植物又は植物細胞、昆虫又は昆虫細胞、真核細胞)で、又は種々の動物(ウシ、ウサギ、ヤギ、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、ヒツジ、イヌ、ネコ、サル、チンパンジー、大型尾なしサルなどが含まれるが、ただしこれらに限定されない)で生成することができる。前記フラグメント又は誘導体が本発明の抗体のような結合特異性又は中和能を保持するかぎり、前記を用いることができる。抗体は、結合特異性について、適切な抗原との結合を無関係の抗原又は抗原混合物との結合と与えられた条件セット下で比較することによって検査することができる。抗体が、無関係の抗原又は抗原混合物との混合よりも少なくとも2、5、7、及び場合によって10倍多く適切な抗原と結合するならば、特異的であると考えられる。特異性を決定する特別なアッセイ、例えばELISAは以下で説明される。
【0041】
抗体はまた、IFNαタンパク質サブタイプの1つ以上の活性、例えばMxAプロモーター又はINFαによって誘発される別のプロモーターの転写活性化、抗ウイルス活性、SLE血清の単球から樹状突起細胞への分化を惹起する能力(ただしこれらに限定されない)を中和するその能力を特徴とする。
本発明のモノクローナル抗体は、当分野で公知であり文献でも詳細に記載されている通常のハイブリドーマ技術を用いて生成することができる。例えば、ハイブリドーマは適切な不朽化細胞株(例えばミエローマ細胞株、例えばSP2/0、Sp2/0-AG14、NSO、NS1、NS2、AE-1、L.5、>243、P3X63Ag8.653、SP2、SA3、Sp2、MAI、Sp2 SS1、SP2 SA5、U397、MLA144、ACT IV、MOLT4、DA-1、JURKAT、WEHI、K-652、COS、RAJI、NIH3T3、HL-60、MLA144、NAMAIWA、NEUR 2A、CHO、PerC.6、YB2/O(ただしこれらに限定されない))など、又はヘテロミエローマ、その融合生成物、又はそれらから誘導される任意の細胞若しくは融合細胞、又は当分野で公知の他の任意の適切な細胞株(例えばwww.atcc.org; www.lifetech.com.などを参照されたい)を抗体産生細胞と融合させることによって作成される。前記抗体産生細胞は例えば以下の細胞である(ただしこれらに限定されない):単離又はクローニングした脾臓、末梢血、リンパ節、扁桃又は他の免疫組織の細胞又はB-細胞含有細胞、又は、重鎖又は軽鎖の定常若しくは可変若しくはフレームワーク若しくはCDR配列を、内因性若しくは異種核酸として、組換え若しくは内因性として、ウイルス、細菌、藻類、原核細胞、両生動物、昆虫、爬虫類、魚類、哺乳動物、げっ歯類、ウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、霊長類、真核細胞のゲノムDNA、cDNA、rDNA、ミトコンドリアDNA若しくはRNA、葉緑素DNA若しくはRNA、hnRNA、mRNA、tRNA、一本鎖、二本鎖、三本鎖のハイブリダイズした核酸などとして発現する任意の他の細胞。抗体産生細胞はまた、ヒト若しくは他の適切な動物(問題の抗原で免疫されている)の末梢血、又は好ましくは脾臓若しくはリンパ節から得ることができる。他の適切な任意の宿主細胞もまた、本発明の抗体、その特定のフラグメント又は変種をコードする異種又は内因性核酸を発現させるために用いることができる。前記融合細胞(ハイブリドーマ)又は組換え細胞は、選択的培養条件又は他の公知の方法を用いて単離し、さらに制限希釈又は細胞分類又は他の公知の方法によってクローニングすることができる。
【0042】
必須の特異性をもつ抗体を作成又は単離する他の適切な方法は、当分野で公知の方法にしたがって、ペプチド又はタンパク質ライブラリーから組換え抗体を選別する方法を用いることができる(ただしこれらに限定されない)。前記ペプチド又はタンパク質ライブラリーは、例えばバクテリオファージ、リボソームオリゴヌクレオチド、RNA、cDNAなどのディスプレーライブラリーであり(ただしこれらに限定されない)、例えば以下の種々の販売業者(例えばCambridge Antibody Technologies(Cambridgeshire, UK)、MorphoSys(Martinsreid/Planegg, Del.)、Biovation(Aberdeen, Scotland, UK)、BioInvent(Lund, Sweden)及びAntitope(Cambridge, UK)から入手できる。例えば以下を参照されたい:US4,704,692;5,723,323;5,763,192;5,814,476;5,817,483;5,824,514;5,976,862)。また別の方法は、当分野で公知のように、及び/又は本明細書に記載するように、ヒト抗体のレパートリーを産生することができるトランスジェニック動物の免疫を必要とする(例えばSCIDマウス:Nguyen et al. 1977, Microbiol. Immunol. 41:901-907;Sandhu et al. 1996, Crit Rev Biotechnol 16:95-118;Eren et al. 1998, Immunol 93:154-161)。そのような技術には以下が含まれる(ただしこれらに限定されない):リボソームディスプレー(Hanes et al. 1997, Proc Natl Acad Sci USA, 944937-4942;Hanes et al. 1998, Proc Natl Acad Sci USA, 95:14130-14135);単一細胞抗体生成技術(例えば選別リンパ球抗体産生方法(“SLAM”)(US5,627,052, Wen et al. 1987, J Immunol 17:887-892;Babcook et al. Proc Natl Acad Sci USA 1996, 93:7843-7848);ゲル微小滴フローサイトメトリ(Powell et al. 1990, Biotechnol 8:333-337;一細胞系(Cambridge, Mass);Gray et al. 1995, J Imm Meth 182:155-163;Kenny et al. 1995, Bio/Technol 13:787-790);B-細胞選別(Steenbakkers et al. 1994, Molec Biol Reports 19:125-134)。
【0043】
本発明の抗体変種はまた、本発明の抗体をコードするポリヌクレオチドを適切な宿主にデリバーすることによって、例えばそのような抗体をそれらのミルク中に産生するトランスジェニック動物又は哺乳動物(例えばヤギ、ウシ、ウマ、ヒツジなど)を提供することによって製造することができる。これらの方法は当分野で公知であり、さらにUS5,827,690;5,849,992;4,873,316;5,849,992;5,994,616;5,565,362;及び5,304,489で実施例として記載されている。
本明細書で用いられる、“抗体変種”という用語は、抗体又はフラグメントの直鎖状ポリペプチド配列に対する翻訳後改変を指す。例えば、US6,602,684 B1は、抗体(完全な抗体分子、抗体フラグメント又は融合タンパク質(免疫グロブリンのFc領域と等価の領域を含み、強化されたFc仲介細胞毒性を有する)を含む)の改変グリコール型を生成する方法、及びそのようにして生成された糖タンパク質を開示している。
抗体変種はまた、本発明のポリヌクレオチドをデリバーして、そのような抗体、その特定の部分又は変種を植物の部分又は前記植物に由来する細胞培養で産生するトランスジェニック植物及び培養植物細胞(例えばタバコ、トウモロコシ及びアオウキクサ(ただしこれらに限定されない))を提供することによって調製することができる。例えば、Cramerらは、誘導性プロモーターを用いる、大量の組換えタンパク質を発現するトランスジェニックなタバコの葉の作成を記載している(Curr Top Microbiol Immunol 240:95-118 (1999);及び前記文献に引用された参考文献)。トランスジェニックなトウモロコシを用いて、工業的な生産レベルで哺乳動物のタンパク質が発現され、前記は、他の組換え系で生成されたもの、又は天然の供給源から精製されたものと等価の生物学的活性を有していた(例えばHood et al. Adv Exp Med Biol 1999, 464:127-147;及び前記文献に引用された参考文献を参照されたい)。抗体変種はまた、抗体フラグメント(例えば単鎖抗体(scFv')を含むトランスジェニック植物種子(タバコの種子及びジャガイモの塊茎を含む)から大量に生成された(例えば以下を参照されたい:Conrad et al. 1998, Plant Mol Biol 38:101-109及びその中に引用されている文献)。したがって、本発明の抗体はまたトランスジェニック植物を用い、公知の方法にしたがって製造することができる。
【0044】
抗体誘導体は例えば外因性配列を付加することによって作成して、免疫原性を改変し、又は結合、親和性、結合速度(on-rate)、解離速度(off-rate)、アビジティ、特異性、半減期又は任意の他の適切な特徴を低下させ、強化させ、又は改変することができる。一般的には、非ヒト又はヒトCDR配列の部分又は全てを維持し、一方、可変及び定常領域の非ヒト配列はヒト又は他のアミノ酸で置き換えられる。一般的には、CDR残基は、抗原結合への影響に直接的及び極めて実質的に関与する。
マウス(又は他の非ヒト動物)で産生されるモノクローナル抗体は、治療でヒトが前記動物のMAbに対して抗体を生じる危険性を有する。ヒト抗体はしたがって動物MAbの有効性を低下させ、さらにアレルギー反応をもたらし得る。この問題は、異物として認識されない抗体を構築することによって回避することができる。そのような抗体を構築する方法は当分野で公知であり、しばしば、標的宿主の免疫グロブリン骨格に動物のMAbのCDR領域を移植する基礎となっている。いくつかの事例では、動物抗体のフレームワーク由来の数アミノ酸残基が、抗原結合部位の完全性を保存するために維持される。
本発明の抗体のヒト化又は操作は、任意の公知の方法、例えばUS5,723,323、5,976,862、5,824,514、5,817,483、5,814,476、5,763,192、5,723,323、5,723,323、5,766,886、5,714,352、6,204,023、6,180,370、5,693,762、5,530,101、5,585,089、5,525,539及び4,816,567に記載されたもの(ただしこれらに限定されない)を用いて実施することができる。コンピュータモデリング及び可変領域を基にして抗体をヒト化する方法は当業者には公知である。例えば以下を参照されたい:Tsurushita et al. 2005, Humanized Antibodies and their Applications 36(1):69-83(前記文献の内容は参照により本明細書に含まれる)。
【0045】
あるヒト化の方法では、動物の全CDRをヒトのフレームワークに移植するのではなくて特異性決定残基(SDR)(抗体-リガンド結合のためにもっとも決定的なCDRの残基)がヒトフレームワークに移植される(Kashmiri et al. 2005, Humanized Antibodies and their Applications 36(1):25-34(前記文献の内容は参照により本明細書に含まれる))。ヒト化のまた別のアプローチでは、ヒト生殖細胞系列遺伝子セット由来のヒトフレームワーク配列が、ヒト化されるべき動物CDRの構造に対するヒトCDRの構造類似性を基準にして選択される(Hwang et al. 2005, Humanized Antibodies and their Applications 36(1):35-42(前記文献の内容は参照により本明細書に含まれる)。
フレームワークシャッフリングはまた別のヒト化へのアプローチである。前記は、論理的設計又は構造情報を必要とすることなく、マウス又は他の動物CDRの機能的特徴を支持するヒトフレームワークの組み合わせを特定することを可能にする。この方法では、順列組み合わせFabライブラリーが、全ての既知の重鎖及び軽鎖ヒト生殖細胞系列遺伝子を含む対応するヒトフレームワークのプールと動物MAbのCDRとのインフレーム融合によって作成される。続いてFabライブラリーを抗原結合についてスクリーニングすることができる。親MAbの軽鎖及び重鎖は更なる選別プロセスで連続してヒト化することができる。(以下を参照されたい:Dall'Acqua et al. 2005, Humanized Antibodies and their Applications 36(1):43-60(前記文献の内容は参照により本明細書に含まれる)。
また別のアプローチでは(このアプローチは、ヒトで使用されるFDA承認の少なくとも1つの抗体を作成するために成功裡に用いられた)、出発のげっ歯類抗体と類似する特徴をもつヒト抗体のパネル及びファージ又はリボソームディスプレーを使用することにより、誘導選別を用いてげっ歯類からヒト型への一連の移行を達成することができる(以下を参照されたい:Osbourn et al. 2005, Humanized Antibodies and their Applications 36(1):61-68(前記文献の内容は参照により本明細書に含まれる)。このアプローチでは、ヒト抗体パネル又はV領域が、問題の抗原の結合についてスクリーニングされる。得られた抗体は完全にヒト起源である。
【0046】
部分的又は完全なヒト抗体を作成する技術は当分野では公知であり、そのような技術のいずれも用いることができる。ある実施態様にしたがえば、完全なヒトの抗体配列は、ヒトの重鎖及び軽鎖抗体遺伝子を発現するように操作したトランスジェニックマウスで作成される。そのようなトランスジェニックマウスの多数の株が作成された(前記は種々のクラスの抗体を産生することができる)。所望の抗体の持続的生成のために、所望の抗体を産生するトランスジェニックマウスのB細胞を融合させて、ハイブリドーマ細胞株を作成することができる(例えば以下を参照されたい:Russel et al. 2000, Infection and Immunity, April 2000:1820-1826;Gallo et al. 2000, European J Immun 30:534-540;Green 1999, J Immun Methods 231:11-23;Yang et al. 1999, J Leukocyte Biology 66:401-410;Yang 1999, Cancer Research 59(6):1236-1243;Jakobovits 1998, Advanced Drug Delivery Reviews 31:33-42;L. Green & Jakobovits 1998, J Exp Med 188(3):483-495;Jakobovits 1998, Exp Opin Invest Drugs 7(4):607-614;Tsuda et al. 1997, Genomics 42:413-421;Sherman-Gold 1997 Genetic Engineeing News 17(14): Mendez et al. 1997, Nature Genetics 15:146-156;Jakobovits 1996, Weir's Handbook of Experimental Immunology, The Integrated Immune System, Vol.IV, 194.1-194.7;Jakobvits 1995, Current Opinion in Biotechnology, 6:561-566;Mendez et al. 1995, Genomics 26:294-307;Jakobvits 1994, Current Biology, 4(8):761-763;Arbones et al. 1994, Immunity 1(4):247-260;Jakobvits 1993, Nature 362(6417):255-258;Jakobvits et al. 1993, Proc Natl Acad Sci USA, 90(6):2551-2555;米国特許6,075,181号)。
ヒトモノクローナル抗体はまたハイブリドーマによって産生させることができる(前記ハイブリドーマには、ヒト重鎖トランスジーン及び軽鎖トランスジーンを含むゲノムを有するトランスジェニック非ヒト動物(例えばトランスジェニックマウス)から得られるB細胞が不朽化細胞に融合されたものが含まれる)。本発明の抗体はまた改変して、キメラ抗体を作成することができる。キメラ抗体は、抗体の重鎖及び軽鎖の種々のドメインが1つ以上の種に由来するDNAによってコードされる抗体である。例えばUS4,816,567を参照されたい。
【0047】
本発明のいずれの組換え抗体又はそのフラグメントも、インターフェロンアルファ(“IFNα”)タンパク質サブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4b及びWAから成る群から選択される少なくとも2つのIFNαタンパク質サブタイプと特異的に反応することができるが、IFNαタンパク質サブタイプDの少なくとも1つの生物活性は中和しないかぎり用いることができる。前記抗体はまた、公知のバイオアッセイで測定されるように、IFNαを中和することができる。例えば前記生物活性はMxAプロモーターの活性化又は抗ウイルス活性である。そのような抗体のあるものは、1つ以上のIFNαサブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4b及びWAと特異的に反応するが、サブタイプDと反応しない抗体であり、以下から選択されるCDR、その誘導体又は部分を含む:
配列番号:4のアミノ酸配列を有するVH1;
配列番号:6のアミノ酸配列を有するVH2;
配列番号:8のアミノ酸配列を有するVH3;
配列番号:12のアミノ酸配列を有するVL1;
配列番号:14のアミノ酸配列を有するVL2;
配列番号:16のアミノ酸配列を有するVL3;前記の誘導体及びその組み合わせ。
前記抗体はまた、これらのアミノ酸の1つ以上のアミノ酸が欠失しているか、付加されているか、置換されているか、及び/又は挿入されていて、さらにIFNαサブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4b及びWAと特異的に反応する抗体及び/又は抗体フラグメントも含むことができ、それらもまた本発明の範囲内に包含される。
【0048】
本発明では、アミノ酸配列における1つ以上のアミノ酸の欠失、置換、挿入又は付加は、免疫グロブリン骨格中の1つ以上の場所で欠失、置換、挿入及び/又は付加される1つ以上のアミノ酸の改変及び/又は変異を指す。1つ以上の欠失、置換、挿入及び/又は付加は、同じアミノ酸配列で同時に起り得る。さらにまた、置換、挿入又は付加されるアミノ酸残基は天然のものでも非天然でもよい。天然のアミノ酸残基の例には、L-アラニン、L-アスパラギン、L-アスパラギン酸、L-グルタミン、L-グルタミン酸、グリシン、L-ヒスチジン、L-イソロイシン、L-ロイシン、L-リジン、L-メチオニン、L-フェニルアラニン、L-プロリン、L-セリン、L-スレオニン、L-トリプトファン、L-チロシン、L-バリン、L-システインなどが含まれる。
置換することができるアミノ酸残基の例は、例えば以下の1つ以上のグループ内で見出すことができる:
グループA:ロイシン、イソロイシン、ノルロイシン、バリン、ノルバリン、アラニン、2-アミノブタン酸、メチオニン、O-メチルセリン、t-ブチルグリシン、t-ブチルアラニン、シクロへキシルアラニン;
グループB:アスパラギン酸、グルタミン酸、イソアスパラギン酸、イソグルタミン、2-アミノアジピン酸、2-アミノスベリン酸;
グループC:アスパラギン酸、グルタミン酸;
グループD:リジン、アルギニン、オルニチン、2,4-ジアミノブタン酸、2,3-ジアミノプロピオン酸;
グループE:プロリン、3-ヒドロキシプロリン、4-ヒドロキシプロリン;
グループF:セリン、スレオニン、ホモセリン;及び
グループG:フェニルアラニン、チロシン。
“抗体誘導体”という用語はさらに“直鎖状抗体”を含む。直鎖状抗体を作成する方法は当分野で公知であり、さらに文献(Zapata et al. 1995, Protein Eng 8(10):1057-1062)に記載されている。簡単に記せば、直鎖状抗体は1対の縦に並ぶFdセグメント(VH−CH1−VH−CH1)を含み、前記セグメントは1対の抗原結合領域を形成する。直鎖状抗体は二特異性又は一特異性であり得る。
【0049】
本発明の抗体は、以下を含む(ただしこれらに限定されない)公知の方法によって組換え細胞培養から回収及び精製することができる:プロテインA精製、硫安又はエタノール沈殿、酸抽出、陰イオン又は陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互反応クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー及びレクチンクロマトグラフィー。高速液体クロマトグラフィー(“HPLC”)もまた精製に用いることができる。
本発明の抗体には、精製された天然生成物、化学合成方法による生成物、及び上記に記載のように真核性宿主(例えば酵母、高等植物、昆虫及び哺乳動物細胞)又は原核細胞に由来する組換え技術により産生される生成物が含まれる。
本発明のいくつかの特徴では、検出できるように又は治療のために抗体を標識することは有用であろう。これらの物質に抗体を結合させる方法は当分野では公知である。単に説明を目的とすれば、抗体は検出可能な成分、例えば放射性原子、蛍光色素などで標識することができる。そのような標識抗体は、(in vivo又は単離した検査サンプルでの)診断技術のために用いることができる。抗体はまた、例えば医薬用物質(例えば化学療法薬又は毒素)と結合させることができる。それらは、サイトカイン、リガンド又は別の抗体と結合させることができる。抗腫瘍作用の達成のために抗体とカップリングさせるために適した物質にはサイトカイン、例えばインターロイキン2(IL-2)及び腫瘍壊死因子(TNF);光力学療法で使用される光増感体(フタロシアニンテトラスルホン酸アルミニウム(III)、ヘマトポルフィリン及びフタロシアニンを含む);放射性核種(例えばヨード-131(131I)、イットリウム-90(90Y)、ビスマス-212(212Bi)、ビスマス-213(213Bi)、テクネチウム-99m(99mTc)、レニウム-186(186Re)及びレニウム-188(188Re));抗生物質(例えばドキソルビシン、アドリアマイシン、ダウノルビシン、メトトレキセート、ダウノマイシン、ネオカルジノスタチン、及びカルボプラチン);細菌性、植物性及び他の毒素(例えばジフテリア毒素、シュードモナス外毒素A、ブドウ球菌外毒素A、アブリン-A毒素、リシンA(脱糖リシンA及び天然のリシンA)、TGF-アルファ毒素、チャイニーズコブラ(naja naja atra)由来の細胞毒素、及びゲロニン(植物毒素));植物、細菌及び菌類由来のリボソーム不活化タンパク質(例えばレストリクトシン(アスペルギルス・レストリクタス(Aspergillus restrictus)によって産生されるリボソーム不活化タンパク質)、サポニン(サポナリア・オフィシナリス(Saponaria officinalis)によって産生されるリボソーム不活化タンパク質)、及びRNase);チロシンキナーゼ阻害剤;ly207702(二フッ化プリンヌクレオチド);抗嚢胞性薬剤(例えばアンチセンスオリゴヌクレオチド、毒素をコードするプラスミド、メトトレキセートなど)を含むリポソーム;及び他の抗体又は抗体フラグメント(例えばF(ab))が含まれる。
【0050】
有機分子と共有結合した抗体を含む調製物に関しては、それらは、適切な方法(例えば1つ以上の改変物質との反応による)を用いて調製することができる。そのような例には改変物質及び活性化基が含まれる。本明細書で用いられる、“改変物質”という用語は、活性化基を含む適切な有機基(例えば親水性ポリマー、脂肪酸、脂肪酸エステル)を指す。前記の具体的な例は上記で提供されている。“活性化基”は、適切な条件下で第二の化学基と反応し、それによって改変物質と第二の化学基との間で共有結合を形成することができる化学成分又は官能基である。そのような例は、親電子基、例えばトシレート、メシレート、ハロ(クロロ、ブロモ、フルオロ、ヨード)、N-ヒドロキシスクシンイミジルエステル(NHS)などである。チオールと反応することができる活性化基には、例えばマレイミド、ヨードアセチル、アクリルオリル、ピリジルジスルフィド、5-チオール-2-ニトロ安息香酸チオール(TNB-チオール)などが含まれる。アルデヒド官能基は、アミン-又はヒドラジド-含有分子とカップリングすることができ、アジド基は、三価のリンの基と反応してホスホルアミデート又はホスホルイミドを形成することができる。活性化基を分子中に導入する適切な方法は当分野で公知である(例えば以下を参照されたい:Hermanson, 1996 Bioconjugate Techniques, Academic Press: San Diego, Calif.)。活性化基は、有機基(例えば親水性ポリマー、脂肪酸、脂肪酸エステル)に直接、又はリンカー部分を介して結合させることができる。リンカー部分は例えば二価のC1−C12基であり、ここで1つ以上の炭素原子はヘテロ原子(例えば酸素、窒素又は硫黄)によって置き換えることができる。適切なリンカー部分には例えばテトラエチレングリコールが含まれる。リンカー部分を含む改変物質は、例えばモノ-Boc-アルキルジアミン(例えばモノ-Boc-エチレンジアミン、モノ-Boc-ジアミノヘキサン)を1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)の存在下で脂肪酸と反応させ、遊離アミンと脂肪酸カルボキシレートとの間でアミド結合を形成することによって生成することができる。Boc保護基は、別のカルボキシレートと結合することができる第一アミンを暴露させるために、記載されているようにトリフルオロ酢酸(TFA)による処理によって生成物から除去することができ、又は無水マレイン酸と反応させて、生じた生成物を環式化して脂肪酸の活性化マレイミド誘導体を生成することができる。
【0051】
本発明の改変抗体は、ヒト抗体又は抗原結合フラグメントを改変物質と反応させることによって生成することができる。例えば、有機部分は、アミン反応性改変物質(例えばPEGのNHSエステル)を用いることによって、位置非特異的態様で抗体に結合させることができる。改変ヒト抗体又は抗原結合フラグメントはまた、抗体又は抗原結合フラグメントのジスルフィド結合(例えば鎖内ジスルフィド結合)を還元することによって調製することができる。続いて、前記還元抗体又は抗原結合フラグメントをチオール反応性改変物質と反応させ、本発明の改変抗体を生成することができる。本発明の抗体の特定の部位に結合した有機部分を含む改変ヒト抗体及び抗原結合フラグメントは、適切な方法(例えば逆タンパク質分解)を用いて調製することができる。(概括的には以下を参照されたい:Hermanson, 1996 Bioconjugate Techniques, Academic Press: San Diego, Calif. 1996)。
タンパク質及びポリペプチドの調製及び単離:ポリペプチド及びタンパク質は本発明の多様な方法の必要な成分である。例えば、組換え抗体、その変種、誘導体及びフラグメントは、市場で入手することができる自動ペプチド合成装置(例えばパーキネルマー/アプライドバイオシステムズ(Perkin Elmer/Applied Biosystems, Inc., Model 430A or 431A, Foster City, CA, USA)によって製造されているもの)を用い、化学合成によって得ることができる。前記合成タンパク質又はポリペプチドを沈殿させ、さらに、例えば高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって精製することができる。また別には、前記タンパク質及びポリペプチドは、本明細書に記載するように公知の組換え方法により、上記に記載の宿主細胞及びベクター系を用いて入手することができる。それらはまた、天然に存在するタンパク質の酵素消化又は切断によって調製することもできる。
【0052】
タンパク質及びペプチドは、クロマトグラフィー(例えばイオン交換、アフィニティー及びサイジングクロマトグラフィー)、遠心、弁別的可溶化を含む標準的方法によって、又はタンパク質精製のための任意の他の標準的技術によって単離又は精製することができる。また別には、アフィニティータグ(例えば6-His(Invitrogen)、マルトース結合ドメイン(New England Biolabs)、インフルエンザコート配列(Kolodziej et al. 1991 Methods Enzymol 194:508-509)、及びグルタチオン-S-トランスフェラーゼ)を本発明のペプチドに結合させ、適切なアフィニティーカラムを通すことにより容易な精製を可能にすることができる。単離したペプチドはまた、タンパク質分解、核磁気共鳴及びx-線結晶解析のような技術を用いて物理的に性状を調べることができる。
改変を任意のペプチドに対して実施し、変化した特性を前記ペプチドに提供することができることは周知である。本発明で使用されるペプチドは、非天然のアミノ酸を加えるために改変することができる。したがって、前記ペプチドは、D-アミノ酸、D-及びL-アミノ酸の組み合わせ、並びに多様な“デザイナー”アミノ酸(例えばβ-メチルアミノ酸、C-βメチルアミノ酸、及びN-α-メチルアミノ酸など)を含み、特別な性質をペプチドに伝えることができる。
さらに別の実施態様では、有用な化学的及び構造的特性を付与するペプチドサブユニットが選択されるであろう。例えば、D-アミノ酸を含むペプチドは、in vivoでL-アミノ酸特異的プロテアーゼに耐性を示すことができる。D-アミノ酸で改変された化合物は、逆の順序で並べたアミノ酸で合成して、レトロ-インバーソペプチドとして本発明のペプチドを生成することができる。さらにまた、本発明は、新規な特性を有するペプチドの調製のために、より明確に規定した構造特性を有するペプチドの調製、並びにペプチド模倣体及びペプチド模倣体結合(例えばエステル結合)の使用を意図する。別の実施態様では、還元ペプチド結合(すなわちR1-CH2NH-R2(式中R1及びR2はアミノ酸残基又は配列))を含むペプチドを生成することができる。還元ペプチド結合はジペプチドユニットとして導入することができる。そのような分子は、ペプチド結合の加水分解(例えばプロテアーゼ活性)に対して耐性を示すであろう。そのような分子は、固有の機能及び活性、例えば、代謝性分解又はプロテアーゼ活性に対する耐性による半減期の延長を有するペプチドを提供するであろう。さらにまた、ある種の系では、拘束ペプチドは機能活性の強化を示すことはよく知られている(Hruby, 1982, Life Sciences 31:189-199;Hruby et al. 1990, Biochem J 268:249-262)。本発明は、他の全ての位置でランダム配列を取り込んだ拘束ペプチドを生成する方法を提供する。
【0053】
IFNαの生物学的活性についてのアッセイ
単球の分化:活性化T及びBリンパ球の生成は、抗原提示細胞(“APC”)の補充及び成熟を必要とする。これらのAPCは、B細胞、単球/マクロファージ及び樹状突起細胞を含む。SLE患者の血清はDCを活性化することができるIFNαを含み、この活性の活性化はポリクローナル又はモノクローナル抗体調製物で阻止することができる。この活性を検出及び定量する方法は、学術文献及び特許文献(例えばUS2004/0067232 A1のパラグラフ0136から0150を参照されたい)に記載されている(前記文献の関連部分は参照により本明細書に含まれる)。
MxAプロモーターの活性化:MxAプロモーターを活性化するIFNαの能力及びこの活性化を阻止する本発明の抗IFNαモノクローナル抗体の能力を、レポーター遺伝子アッセイを用いて測定することができる。前記アッセイでは、MxAプロモーターはレポーター遺伝子、例えばクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)又はルシフェラーゼ(luc)、好ましくはルシフェラーゼに融合させることができる。CAT及びルシフェラーゼのためのアッセイは当業者には公知である。好ましくは、MxAプロモーターの活性は、MxAプロモーター/レポーター遺伝子融合構築物で安定的に形質転換したA549細胞で測定される。A549細胞は、ATCC(製品番号CC1-185)から入手できる肺癌細胞株である。MxA(a.k.a.Mx1)プロモーターはヒト、マウス又はラットでもよい。ヒトMxAプロモーターの配列及び構造は以下で開示されている:Genbankアクセッション番号X55639;Chang et al. 1991, Arch Virol 117:1-15;及びRonni et al. 1998, J Interferon Cytokine Res 18:773-781。ヒトMxAプロモーター/ルシフェラーゼ融合構築物及びルシフェラーゼアッセイは以下で開示されている:米国特許出願20040209800;及びRosmorduc et al. 1999, J Gen Virol 180:1253-1262。ヒトMxAプロモーター/CAT融合構築物及びCATアッセイは以下で開示されている:Fernandez et al. 2003, J Gen Virol 84:2073-2082;及びFray et al. 2001, J Immunol Methods 249:235-244。マウスMxA(Mx1)プロモーターは以下で開示されている:Genbankアクセッション番号M21104;Hug et al. 1988, Mol Cell Biol 8:3065-3079;及びLleonart et al. 1990, Biotechnology 8:1263-1267。マウスMxAプロモーター/ルシフェラーゼ融合構築物及びルシフェラーゼアッセイは以下で開示されている:Canosi et al. 1996 J Immunol Methods 199:69-67。
【実施例】
【0054】
材料と方法
ヒトIFNα供給源:組換えIFNαサブタイプタンパク質は業者から入手した(PBL Biomedical Laboratories(PBL))。前記業者が決定たサブタイプ及び特異的活性は以下を含む:IFN-αA(3.8x108U/mg);IFN-α2(2.77x108U/mg);IFN-αB2(4.63x108U/mg);IFN-αC(2.31x108U/mg);IFN-αD(7.5x107U/mg);IFN-αF(3.6x108U/mg);IFN-αG(2.33x108U/mg);IFN-αH2(1.05x108U/mg);IFN-αI(1.4x108U/mg);IFN-αJ1(2.6x108U/mg);IFN-αK(1.48x108U/mg);IFN-α1(1.4x108U/mg);IFN-α4a(2.12x108U/mg);IFN-α4b(1.8x108U/mg);IFN-αWA(2.4x108U/mg);及びIFN-β(8.23x107U/mg)。白血球IFNはシグマ(Sigma, Lot#111K1603)から購入した。
PBMC-flu上清(PBMC-flu)(前記はヒトIFNαサブタイプの複合混合物を含む)は、バッフィーコート由来のヒトPBMCをインフルエンザA/PR/8/34(H1N1)(Charles River Laboratories, Lot#4XPR011022)に1HAU/pDCのウイルス力価で感染させることによって当研究室内で調製した。特に、PBMC(末梢血単球細胞)は、ヒトバッフィーコートからフィコール上で遠心し、PBMCを含む境界面を採集することによって得た。FACS染色/解析を実施して形質細胞様DCの存在を確認し、PBMC内のそれらのパーセンテージを決定し、さらに以下に特異的な蛍光結合抗体で染色した:Lin、CD3、CD14、CD16、CD19、CD56、CD123、HLA-DR、及びCD11c(BD Pharmingen)。pDCはCD14陰性、CD11c陰性及びCD123陽性の特徴を有する。インフルエンザウイルスストック(Specific Pathogen-Free Avian Supply; Influenza A/PR/8/34(H1N1)(Cat.#490710、Lot# 4XPR011022)、0.05mL当りの最終HA力価、1:16,777,216(Charles River Laboratories, Conneticut, USA))をRPMI培養液(RPMI+10%のFCS+L-グルタミン)中で1000HAU/μL(ヘマグルチニンユニット/マイクロリットル)に希釈した。必要とされる希釈ウイルスの体積は、少なくとも1HAU/pDCを得ることができるように精製PBMC中のpDCの割合を基準にする(すなわち、各ウェルは1x106PBMCを含まねばならず、もしpDCが0.3%であるならば、各ウェルは3000pCDを含むであろう。その場合、1000HAU/μLのウイルスの4−5μLが各ウェルに添加される)。
バッフィーコートから調製したPBMCは900rpmで10分遠心し、RPMI+10%FCS+L-グルタミンに5000細胞/μLで再懸濁した(これは200μLの体積で1x106細胞/ウェルを提供するであろう)。細胞+インフルエンザウイルスを96ウェルのU-底プレートに播種し、37℃にて24時間5%CO2でインキュベートした。24時間のインキュベーション後に、細胞はウェルの底にペレットを形成し、さらにクラスターを形成した。ウェルの底の細胞ペレットを避けながら、注意深いピペット操作でこのウェルから上清を採取した。一緒にした上清を50mLの円錐管で900rpm、10分遠心して一切の残留細胞及び他の培養残屑を沈殿させた。PBMC-flu上清(IFNαの複合混合物を含む)をプールし、混合して0.5mLのアリコットとして使用まで-80℃で保存した。
【0055】
細胞障害作用(CPE)阻害アッセイ
CPEの材料:ダルベッコーの改変イーグル培養液(Dulbecco's Modified Eagle's Medium)(DMEM)“コンプリート”(フェノールレッドを含むDMEM+10%FCS+2mMのL-グルタミン+ペニシリン+ストレプトマイシン+β-2-メルカプトエタノール(β-me));96ウェルの平底組織培養プレート;A549細胞(ATCC CCL-185)(これらの細胞はハムのF12K培養液+10%FCS+2mMのL-グルタミン+ペニシリン+ストレプトマイシン+500−800μgのG418で培養される);1xPBS;1xトリプシン;“イントロンA”(IFNα-2b、Schering-Plough)コントロール;ハイブリドーマ上清又は購入ポリクローナル/モノクローナル抗体調製物を含む/含まないテストサンプル(SLE血清、組換えIFNαサブタイプ);EMCウイルスストック(Vero細胞の組織培養に順化させたネズミ脳脊髄炎ウイルス(EMCV)から調製、このウイルスストックのためのATCC製品番号はVR-129B、Vero細胞の製品番号はCCL-81)。
クリスタルバイオレットのストック溶液:1.25mgのNaCl+3.75mgのクリスタルバイオレット+775mLのホルムアルデヒド/エタノール溶液(前記は75mLのホルムアミド、750mLの95%mエタノール及び1500mLの蒸留水で調製される)を20分攪拌し、続いて0.45ミクロンのフィルターでろ過し、3ヶ月を超えない期間保存した。クリスタルバイオレットの実際の使用溶液は、前記ストック溶液をホルムアルデヒド/エタノール溶液で1:10に希釈することによって調製した。クリスタルバイオレット溶液は室温で保存した。
CPEの方法:細胞障害作用(CPE)阻害アッセイの模式図は図1に示されている。CPEアッセイは、96ウェルの平底プレートのトリプリケートウェルで実施した。各アッセイタイプについて、種々の濃度のイントロンA(Schering-Plough)を含む陽性コントロールウェル、及び細胞と培養液のみを含む陰性コントロールウェルを含むことが有用であった。付着性A549細胞は、培養液を除去し、1回PBSで洗浄し、トリプシン消化することによってフラスコから採集した。トリプシン消化はDMEM“コンプリート”をフラスコに添加することによって停止させた。トリプシン消化細胞をフラスコから採集し、遠心して再懸濁して数えた。前記の濃度を完全DMEMで600,000細胞/mLに調節した。アッセイのためのウェルの体積は150μL(ウイルス添加前)及び200μL(ウイルス添加後)であった。50μLの体積は細胞であり、15,000細胞をウェルに添加した(300,000/mLの細胞懸濁液の50μL)。
【0056】
組換えINFαによるウイルス阻害アッセイ:100μLの種々の濃度のIFNα溶液(DMEMコンプリート)をトリプリケートでウェルに添加した。50μLの細胞を添加し、37℃にて5時間5%CO2でインキュベートした。この後で、ストックから50倍稀釈したEMCウイルス50μLを添加し、37℃にて48時間5%CO2でインキュベーションを継続した。
SLE血清によるウイルス阻害のアッセイ:SLEの50μL(例えば無稀釈)又は25μL(例えば2x稀釈)をトリプリケートでウェルに加えた。FCSを含まないDMEMを添加することによって体積を100μLに調節し(注記:FCSを含まないDMEMが用いられるこのアッセイを用いるときは、いずれのタイプの血清サンプルも任意の時期にウェルに添加できる)、続いて50μLの細胞を添加し、37℃にて4時間5%CO2でインキュベートした。この後で、ストックから50倍に稀釈したEMCウイルスの50μL(前記濃度は、我々の調製物で全ての細胞を48時間殺すことができる最少量のストックと決定された)を添加し、37℃にて48時間5%CO2でインキュベーションを継続した。
PBMC-flu上清によるウイルス阻害アッセイ:PBMC-flu上清の50μL(例えば無稀釈)又は段階稀釈をトリプリケートでウェルに加えた。FCSを含むDMEMを添加することによって各ウェルの体積を100μLに調節し、続いて50μLの細胞を添加し、37℃にて4時間5%CO2でインキュベートした。この後で、ストックから50倍に稀釈したEMCウイルスの50μLを添加し、37℃にて48時間5%CO2でインキュベーションを継続させた。
組換えIFNα、SLE血清、又はPBMC-flu上清によるウイルス阻害の、市販Ab、マウス血清又は融合上清による抗体仲介阻止のアッセイのために、(i)市販のポリクローナル又はモノクローナルAb調製物を含むFCS非含有DMEMの50μL;(ii)マウス血清の50μL;又は(iii)ハイブリドーマ上清の50μLのいずれかを添加して、この時点で各ウェルの全体積を100μLにした。このプレートを37℃にて1.5から2時間5%CO2でインキュベートした。50μLの細胞を各ウェルに添加し37℃にて5時間5%CO2でインキュベートした。この後で、ストックから50倍に稀釈したEMCウイルスの50μLを添加し、37℃にて48時間5%CO2でインキュベーションを継続した。
上記CPEアッセイで48時間のインキュベーション時間の後で、マルチチャネルピペットを用いて、全ての培養液を注意深くウェルから除去した。50μLのクリスタルバイオレットを添加し、4−6分染色した。前記クリスタルバイオレットを注意深く除去し、200μLの蒸留水を添加し、直ちに除去した。少なくとも30分プレートを乾燥させ、続いてELISAプレートリーダーで570nmのODを読み取った。
(使用コントロール抗体又はIFNα仲介細胞死防御を阻害するハイブリドーマ上清に含まれる抗体の能力を基準にした)阻止百分率を得るために、マッキントッシュ用Prism 4.0、ヴァージョン4.0Aソフトウェア(GraphPad Software, Inc., San Diego, CA)及びノーマライズアルゴリズを用いて、陰性コントロール”(組換えIFNα、SLE血清又はPBMC-flu上清+細胞+ウイルス)を100%生存率(0%の細胞死)及び“陽性コントロール”(細胞+ウイルスのみ)を0%生存率(100%の細胞死)の環境でデータを標準化し、全ての値をコントロールのパーセンテージに対して調整した。
【0057】
レポーター遺伝子(RG)アッセイ
RGの材料:ダルベッコー改変イーグル培養液(DMEM)(フェノールレッド又は補充物質を含まない);ダルベッコー改変イーグル培養液(DMEM)“コンプリート”(フェノールレッド+10%FCS+2mMのL-グルタミン+ペニシリン+ストレプトマイシン+2-me(β-me));FCSを除いて上記に挙げた全てを含むように調製したダルベッコー改変イーグル培養液(DMEM);ビュープレート-96、白色、組織培養処理(PerkinElmer Life Sciences);93D7細胞(I型IFN誘導性MxAプロモーターによって駆動されるルシフェラーゼを発現するようにトランスフェクトしたA549);これらの細胞はハムのF12K培養液+10%FCS+2mMのL-グルタミン+ペニシリン+ストレプトマイシン+500−800μgのG418で培養される;1xPBS;1xトリプシン;“イントロンA”(INFα 2b、Schering-Plough)コントロール;ハイブリドーマ上清又は購入ポリクローナル/モノクローナル抗体調製物を含む/含まないテストサンプル(SLE血清、組換えIFNαサブタイプ);BriteliteTMルミネセンスレポーター遺伝子アッセイキット(PerkinElmer Life Sciences)。
RGの方法:ルシフェラーゼ系レポーター遺伝子アッセイを用い、組換えIFNαサブタイプ、白血球IFN及びPBMC-fluの生物活性を中和する抗IFNαモノクローナル抗体の能力を判定した。RGアッセイの模式図は図1に示されている。93D7細胞株(前記は、IFN誘導性構築物(MxAプロモーター/ルシフェラーゼ融合物)によるA549細胞株の安定的なトランスフェクションによって誘導された)は、Dr. Guenther Adolf(Boehringer-Ingelheim GmbH, Austria)から贈与された。MxAプロモーター/luc融合ベクターは、pSP64-Mxp(PstI-PvuII)-rβglo(Llonart et al. 1990, Biotechnology 8:1263-1267)から切り出され、さらにルシフェラーゼコード配列の上流に挿入されたネズミMxAプロモーター及びIFN応答エレメントを含む1.6kbのBamHIフラグメントを含む。
RGアッセイは、不透明な96-ウェルの平底プレート(ViewPlatesTM、白色壁、透明底;PerkinElmer)のトリプリケートウェルで実施した。各アッセイタイプについて、種々の濃度のイントロンA(Schering-Plough)サンプルを含む陽性コントロールウェル、及び細胞と培養液のみを含む陰性コントロールウェルを含むことが好ましい。
特に、付着性93D7細胞は、培養液を除去し、1回PBSで洗浄し、トリプシン消化することによってフラスコから採集した。トリプシン消化はDMEM“コンプリート”をフラスコに添加することによって停止させた。細胞をフラスコから採集し、遠心して再懸濁して数えた。前記の濃度を完全なDMEMで600,000細胞/mLに調節した。
免疫マウスの血清、ハイブリドーマの上清又は精製抗IFNαMAbを、組換えIFNサブタイプ、白血球IFN又はPBMC-fluと100μL/ウェルの体積で37℃にて1.5時間5%CO2でインキュベートし、この後93D7細胞(600,000/mLの細胞懸濁液の50μL=30,000細胞)を各ウェルに添加し、さらに5時間インキュベーションを継続した。アッセイのためのウェルの最終体積は150μLであった。続いて、BriteliteTMルミネセンスレポーター遺伝子システム(PerkinElmer)を用いてアッセイを発色させ、Wallac Microbeta TriluxTMシンチレーション及びルミネセンスカウンターで基質添加の15分以内に読み取った。
組換えIFNαによるMxA誘導のアッセイ:IFNαの溶液(DMEMコンプリート)の濃度は、各ウェルに100μLで加えられるように調節した。100μLのIFNαをトリプリケートでウェルに加え、続いて50μLの細胞を添加し、37℃にて5時間5%CO2でインキュベートした。
SLE血清によるMxA誘導のアッセイ:SLE血清の50μL(例えば無稀釈)又は25μL(例えば2x稀釈)をトリプリケートウェルに加えた。続いて、FCSを含まないDMEMを添加することによってウェル当りの体積を100μLに調節し(注記:FCSを含まないDMEMが用いられるこのアッセイを用いるときは、いずれのタイプの血清サンプルも任意の時期にウェルに添加できる)、続いて50μLの細胞を添加し、37℃にて5時間5%CO2でインキュベートした。
PBMC-flu上清によるMxA誘導阻止のアッセイ:PBMC-flu上清の50μL(例えば無稀釈)又は段階稀釈をトリプリケートでウェルに加えた。続いて、FCSを含むDMEMを添加することによって各ウェルの体積を100μLに調節し、その後50μLの細胞を添加し、37℃にて5時間5%CO2でインキュベーションを続けた。
組換えIFNα、SLE血清、又はPBMC-flu上清によるMxA誘導の、市販Ab、マウス血清又は融合上清による阻止をアッセイするために、組換えIFNα、SLE血清又はPBMC-fluの50μL又は所望の稀釈を各ウェルに添加した。(i)市販のポリクローナル又はモノクローナルAb調製物を含むFCS非含有DMEMの50μL;(ii)マウス血清の50μL;又は(iii)ハイブリドーマ上清の50μLのいずれかを続いて添加して、各ウェルの全体積を100μLにした。このプレートを37℃にて1.5時間5%CO2でインキュベートした。この後、50μLの細胞を添加し、さらに37℃にて5時間5%CO2でインキュベーションを続けた。
BriteliteTMキット試薬/発色試薬(基質バイアル、基質緩衝液、脱色DMEM)を発色アッセイの40分前に室温にセットした。発色前30分で、アッセイプレートを室温に置いた。発色前10分で凍結乾燥基質を緩衝液で再構成した(10mL/バイアル)。
5時間のインキュベーションの後で、マルチチャネルピペットを用いて全ての培養液をウェルから注意深く除去した。次に、粘着性白色ブロッカーをViewPlateTMの底に固定した。90μLのDMEM(フェノールレッドを含まない)をウェルに添加した。90μLの再構成BriteliteTM試薬を各ウェルに添加し、試薬及び培養液の完全な混合のために、2回ピペットで吸引排出操作を確実に行う(ただしウェルの内容物を壁の側面にはねつけたり又は気泡を生じたりしない)。この操作は可能なかぎり迅速にかつ正確に実施した。プレートを透明な粘着性の封入用細片でシールした。15分を超えないが1分を超える間隔内で、プレートのルミネセンス強度をWallac Microbeta TriluxTMを用いて読み取った。
(使用したコントロール抗体又はハイブリドーマ上清に含まれる抗体のMxA-ルシフェラーゼ誘導を無効にする能力を基準にした)阻止百分率を得るために、Prism 4.0(GraphPad Software, Inc., San Diego, CA)及びノーマライズアルゴリズを用いて、“陽性コントロール”(組換えIFNα、SLE血清又はPBMC-flu上清+細胞)を100%のIFNα活性及び“陰性コントロール”(培養液中の細胞のみ)を0%のIFNα活性としてデータを標準化し、全ての値をコントロールのパーセンテージに対して調整した。
【0058】
実施例1:免疫及びモノクローナル抗体細胞株の選別
IFNαモノクローナル抗体作成の工程図は図2に示されている。5匹の6−8週齢のBalb/c雌マウス(Harlan)のグループを、MPL(商標)+TDM乳濁液(Sigma #M6536)中のそれぞれ5−10μgの天然の白血球IFNα(I-2396, Lot#111K1603, Sigma)及び/又は組換えタンパク質カクテル(各々5−10μgの3種の組換えIFNαサブタイプA、B2及びF(PBL Biomedical Laboratories“PBL”から入手))で、下記の表1に示したスケジュールにしたがい2から3週間間隔で免疫した。MPL(商標)+TDM乳濁液は、2%油(スクォレン)-トゥイーン80-水乳濁液中のモノホスホリル-脂質A(MPL:S. Minesotaの無毒化内毒素)及びトレハロースジコリノミコレート(TDM)から成るRibiアジュバント系である。抗原は、腹腔内(i.p.)又は皮下(s.c.)ルートで投与した。マウスから採集した融合前血清のスクリーニングは、I型IFNレセプターの活性化によるMxA-ルシフェラーゼ融合タンパク質のレポーター遺伝子(RG)アッセイを用い3種の力価(1:200、1:2000及び1:20,000)で実施し、IFNα生物活性の阻止を検出した。血清は後眼窩採血により3回目の追加免疫の7日後にマウスから採集し、上記に記載のレポーター遺伝子(RG)アッセイを用いてPBMC-flu生物活性の中和についてスクリーニングした。少なくとも1:2000で≧50%の中和を示す力価をもつマウスを4週間休息させ、続いて、3日後の脾臓細胞とネズミミエローマSp2/0-Ag14(CRL-8287, ATCC)との融合の前に、最後の2.5μgの白血球IFNの追加免疫を(静注又は腹腔に)実施した。融合は50%のPEG1500(Roche)で実施し、1xHAT(Sigma)補充DME+15%FCSをハイブリドーマ選別に用いた。10−14日後に、PBMC-fluの中和について培養上清をスクリーニングした。上記に記載の、免疫マウスのMxA/lucレポーター遺伝子(RG)バイオアッセイを基準にしたとき、17が、PBMC-fluの上清を1:200の力価で少なくとも50%中和することができ、これらのうちで14が1:2000希釈で≧50%の中和を示し、さらに3つが1:20000までの力価で中和し続けた。
【0059】
表1:免疫とモノクローナル抗体細胞株の選別
注記:プロトコル1、2及び3のマウスを用いて融合物1から6を作成した。融合は、1つのプロトコル内の2−3のマウスの細胞をプールして実施した。プロトコル6のIFNαで最初に免疫した2匹のマウスをプールして融合物8を作成した。プロトコル5では、2匹のマウスをプールして融合物7を作成し、3匹をプールして融合物9を作成した。
【0060】
モノクローナル抗体の作成及び精製:上記に記載したように、PBMC-fluに存在するIFNαサブタイプの複合混合物を中和するそれらの血清の能力を基準にして融合のための候補としてマウスを特定した。許容可能な血清力価をもつマウスから採集した脾臓細胞を用いて8つの融合シリーズを実施した。脾臓細胞をSp2/0-Ag14ネズミミエローマ細胞株(ATCC# CRL-1581、前記は内因性Ig鎖を発現することができないことから選択された)と融合させ、96ウェルの平底組織培養プレートに静置し、12−15日インキュベートした後で上清をスクリーニングし、上記に記載のRGアッセイプロトコルによりポリクローナル抗体応答を検出した。具体的には、37℃にて1時間免疫マウスの血清サンプルをインフルエンザ感染PBMCの上清と一緒に前インキュベートし、その後で93D7細胞をさらに5時間加えた。5時間でアッセイを発色させ、ルミネセンスカウンターで読み取った。最初の8融合物の要約は下記の表2に示されている。8融合物の上清を3911の初代ウェルからスクリーニングし、8候補物(ACO-1から8まで)(各々は融合物4から単離された)を、本明細書に記載のRGバイオアッセイで、MxA/luc生成のPBMC-flu(640倍に稀釈)仲介活性化の目視判定可能な一切の低下を定常的に示すその能力を基準に特定した。ハイブリドーマ細胞株を限界稀釈によってサブクローニングした。抗IFNαMAbを産生するハイブリドーマをGibco PFHM-II(Invitrogen)での増殖に順化させ、Integra CELLineフラスコ(Becton Dickinson)で培養した。5−7日毎に細胞区画から上清を採集し、-80℃で凍結した。続いて、50mLの上清バッチから、プロテインAカラムによるFPLC、続いてPBSへの透析によってMAbを精製した。前記精製MAbを小分けして-80℃で凍結した。ACO-1、2、3、4、5及び8はELISAによってIgG2a(ACO-1)、IgG2b(ACO-2)及びIgG1(ACO-3、4、5、6及び8)のサブタイプと決定された。これら候補細胞のいずれも、最初に白血球IFN又はIFNαA、B2及びF組換えタンパク質の混合物で免疫し、続いて白血球IFNで融合前追加免疫を実施したマウスの脾細胞の融合から得られた。組み換えIFNαサブタイプのみを投与したマウスで実施した融合は、PBMC-fluを中和することができる候補細胞を生じなかった。
【0061】
表2:融合の要旨
【0062】
実施例2:市販白血球IFNα又はPBMC-flu上清の生物活性のACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4及びACO-5による中和
少なくとも1つのIFNαサブタイプと強く結合し、これを中和することを示した抗IFNαMAbを選別し、天然に得られるIFN調製物(前記は広範囲のIFNαサブタイプを含むことが判明している)を中和するその能力を調べた。これらの実験のために、ACO-1から5の力価を、市販白血球IFN及び上記に記載したように調製したPBMC-flu上清の両方に対してRGバイオアッセイで調べた。ACO-1、2及び3は、調べた3つのMAb量(200、20及び2ng)の全てで白血球IFNの生物活性を少なくとも50%阻止し、ACO-4は200ngを調べたときにのみ50%をわずかに超える中和を達成した。前記に比して、ACO-5は白血球IFNに対しては貧弱な能力を示し、最大でアッセイシグナルの10%未満を阻止しただけであった。
種々の濃度のPBMC-flu上清の規定濃度のモノクローナル抗体による比較阻害を、上記に記載したRGアッセイを用いて実施した。Flu/PBMC中のIFNαの絶対濃度は不明であり、したがって相対的な中和性能がこの実験では判定される。しかしながら5種のMAbの力価(2000、200、20、2ng)をPBMC-fluに対して測定したとき、ACO-5は、最低量の抗体を除いて調べた量の全てで生物活性を少なくとも50%中和することができた(図3b)。ACO-1は、PBMC-fluで調べたとき最大の能力を示し、4つの力価のMAbの全てで少なくとも50%の阻止を示した。ACO-5による白血球IFNとPBMC-fluの中和の変動は、おそらく我々のアッセイで使用した2つの別個のIFN供給源に存在するIFNαサブタイプの相違及び/又はそれらの相対的濃度の相違に起因するのであろう。
【0063】
実施例3:組換えIFNαサブタイプの生物活性のACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4、ACO-5、ACO-6及びACO-8による阻害
IFNα中和候補ACO-1から6及びACO-8を、15の組換えIFNαサブタイプの中和とともにIFNβの中和について、RGアッセイとともに伝統的な細胞障害作用(CPE)阻害アッセイの両方によってスクリーニングした。組換えIFNαサブタイプタンパク質は業者から入手した(PBL Bio,edical Laboratories (Piscataway, NJ); info@interferonsource.com.(以下では“PBL”))。製造業者が決定した比活性は表3に示されている。
【0064】
表3:抗体の性状決定に使用した組換えヒトIFNαサブタイプ
【0065】
業者により提供された中和ユニット(U)は、水疱性口内炎ウイルスにより生じるウシMDBK細胞に対する細胞障害作用の50%を中和するあるサブタイプの能力(1U/mLと規定)を測定するアッセイにより割り当てられた。バイオアッセイのIFNαの潜在能力が、多くの変数(アッセイタイプ、個々に調製されたバッチ、及び実験室間における小さな技術的変動を含む)だけでなく、各サブタイプに対する国際的に承認された標準物が利用可能でないという事実によっても影響を受けるということを仮定して、これらの実験では常にただ1つのロット番号を用いた。RGバイオアッセイで最大の応答を生じる各組み換え体の製造業者規定U(RGmax)を決定した。続いて、これらのIFNαサブタイプ量の存在下で、精製ACO-1、2、3、4、5、6及び8の力価をRGバイオアッセイで測定した。IFNβ(比活性=8.23x107U/mg)はPBLから入手した。
15のIFNαサブタイプのRGmaxに対するACO-1の力価測定の代表的なRGバイオアッセイデータは図4aに示されている。凡例に示されているように、数値は、各サブタイプについて決定されたEC50を基準に、指定のサブタイプに対する各ACO-1力価に対して割り当てられている。ACO-1はIFNαDもIFNα1も中和することはできなかったが、他の13のサブタイプは種々の抗体濃度で中和することができた。ng/mLで表わした全てのACO-1、2、3、4、5及び8 IFNα中和抗体のEC50の結果は表4に提供されている。
中和百分率は表5に示されている。したがって、ACO-1及び2は、12のサブタイプ(IFNαA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、4a、4b及びWA)を300ng/mL未満の抗体濃度で中和することができるそれらの能力で類似しているようである。ACO-1はまた前記の程度にIFNαKを中和するが、ACO-2は中和できなかった。ACO-3及び4は、それぞれ9つ(IFNαA、2、B2、C、I、J1、K、4a及びWA)及び6つ(IFNαA、2、B2、C、I、J1及び4a)のサブタイプを300ng/mL未満で中和した。ACO-8は、抗体濃度に制約があるが4つのサブタイプ(IFNα2、1、4a及び4b)を中和し、一方、ACO-5は3つのみ(IFNαA、2及びWA)を強力に中和した。いずれの抗体もIFNβを中和することはできなかった(図4b)。
【0066】
表4:組換えIFNαのACO-1、2、3、4、5及び8による中和(EC50ng/mL)
【0067】
表5:2μg/mLの抗体によるRGmaxのIFN量の中和百分率
【0068】
トランスフェクトされていないA549細胞(ATCC# CCL-185、ヒト肺癌細胞株)を用いて、RGアッセイと同様にCPEアッセイを設定した。アッセイは標準の96ウェルの平底組織培養プレートで実施する。抗体とIFNαサブタイプとの前インキュベーション(37℃で1時間)及びその後の5時間の細胞添加に続いて、マウス脳脊髄炎ウイルス(EMCV)を加え、残存する生細胞の判定のためにクリスタルバイオレットによる染色を実施する前に前記細胞を48時間インキュベートした。RG及びCPE両アッセイのために、使用される各IFNαの量を組換えIFNαタンパク質の事前の定量により決定し、アッセイにおける最大MxA-ルシフェラーゼ誘導(RG)又は細胞死(CPE)の最大防御のどちらかを得た。表6に示したデータは、対応するINFαサブタイプ(対応するサブタイプコード遺伝子は括弧内に表示されている)に対して各ACOモノクローナル抗体によってCPEアッセイで示される生物活性阻止のパーセンテージを表している。CPEアッセイについては、細胞死(CPE)の最大防御を得るために、使用される各IFNαサブタイプの量は、組換えIFNαタンパク質の事前の定量により決定された。N/D=決定せず。提示したように、ACO-1及びACO-2は、当該アッセイ条件下では90%のレベルでもっとも多くのIFNαサブタイプを阻止することができ、一方、ACO-6はもっとも限定的である。ほとんどの事例では、RG及びCPEアッセイの結果は互いに相関性を有する。
【0069】
表6:CPEアッセイにおけるMAbのIFNαサブタイプの中和百分率
【0070】
【表1】
【0071】
実施例4:ACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4、ACO-5及びACO-6の多重体形成解析
多重解析を実施して、空間的に別個の結合ドメインが中心的に関与しているか否かを判定した。LuminexTM100システムでの多重解析により、ACO抗体のIFNα-Aに同時に結合する能力についてACO抗体を順列組み合わせ的に解析した。非標識ACO抗体(捕捉体)と結合させたビーズを表示の濃度の組換えIFNα-Aとインキュベートし、続いてPE標識ACO抗体(レポーター)に暴露した。この試験は、ACO-5がACO-1、2、3及び4のいずれかと多重体を形成することができることを明らかにした(図5の淡色塗りを参照されたい)。多重体形成はさらに、捕捉抗体としてACO-4、レポーター抗体としてACO-3を用いるときにも生じる。したがって、ACO-5は、ACO-1、2、3及び4が結合するドメイン以外のIFNα-Aの空間的に別個のドメインと結合する。同様にACO-3及びACO-4はIFNα-Aの空間的に別個のドメインと結合する。ACO-6による結果は全ての事例で陰性であった。
【0072】
実施例5:ACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4、ACO-5及びACO-6の親和性の測定
CM5センサーチップを搭載し、10mMHEPES、150mMのNaCl、0.005%P20、0.1mg/mLのBSA(pH7.4、25℃)で平衡化したBiacore2000及び3000光学バイオセンサーを用いて、IFNα-Aに対するACO抗体の動力学的解析を実施した。ACO-1から6までの各々について、抗体を先ず初めに迅速脱塩カラムを用いてトリス-グリシン緩衝液から10mMの酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.0)に緩衝液交換し、続いてアミンカップリング化学反応を用いて3つのフロー細胞表面に固定した(4番目のものはリファレンスとして供するために未改変のままにした)。最終的なMAb固定密度は500−1100RU(応答ユニット)の範囲であった。結合応答は、IFNα-Aが抗体及びリファレンスフロー細胞上を50μL/分で定量した量(0、0.31、0.93、2.78、8.33、25.0及び75.0nM)で流入したときにモニターした。Ab/Ag複合体の結合は4分モニターし、解離は12分モニターした。前記表面は、各結合サイクルの終了時に1/1000 H3PO4で再生させた(ただしACO-5を除く(前記は1/200 H3PO4を必要とした)。アッセイはトリプリケートで実施した。結果は表7に示されている。5つの抗IFNαMAbのKD値は、白血球IFN及びPBMC-flu生物活性の阻止におけるそれらに潜在能力と同様に、各MAbによって中和されるIFN-αサブタイプの幅に反比例する範囲をカバーする。ACO-1は最低の親和性を示し(5.61x10-9M)、一方、ACO-5は14倍高い親和性を示した(4.00x10-10M)。ACO-6はIFN-αとは結合せず、したがって速度は得られなかった。
【0073】
表7:IFN-αAを用いたACO-1から6のバイオコアの動力学アッセイ
【0074】
実施例6:ACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4、ACO-5及びACO-6によるIFNαサブタイプの固相結合
15のIFNαサブタイプの全ての固相結合をELISAアッセイによってMAb特異性のスクリーニングのために判定した。簡単に記せば、1μg/mLの組換えIFNαサブタイプの50μL/ウェルでELISAプレート(NUNC MaxiSorpTM)を4℃にて一晩被覆した。被覆プレートをPBS+1%BSAでブロッキングし、PBS中の25ngのACO候補MAb(50μL)とともに37℃にて1時間インキュベートした。50μL/ウェルのHRP結合ヤギ抗マウスIgG(Jackson ImmunoResearch)と室温にて30分インキュベートし、続いて100μL/ウェルのTMB基質溶液(Zymed)と15分インキュベートすることによってアッセイを進行させた。前記反応を100μL/ウェルのHCl(1N)で停止させ、ELISAプレートリーダーでOD450を読み取った。結合百分率は、アッセイを通して最大のシグナル値(IFNα-4aで認められた)を用いてバックグラウンドのシグナル値を標準化することによって算出した。結果は表8及び図6に示されている。ACO-1及びACO-2は両方とも、それらがRGアッセイで効率的に中和した同一の12のIFNαサブタイプと、アイソタイプ合致コントロールよりも少なくとも2倍強いシグナルで結合した。IFNαサブタイプB2、K、4a及び4bの結合はコントロールよりも20倍強いシグナルを示した。しかしながら、結合能と中和能との間の相違はACO-3、4、5及び8の間で観察された。ACO-3の場合には、サブタイプB2、K及び4aのELISAシグナルは、IFN-αKの中和のEC50値がIFN-αB2のEC50よりも200倍高くIFN-α4aのそれよりも4倍高いという事実にも関わらずもっとも高かった。サブタイプJ1の顕著な結合(J1はバイオアッセイでは中和された)は検出されなかった。ACO-4及び5の結合及び中和プロフィルは、互いに逆の関係を示した。一方、ACO-4及び5は各々1つのサブタイプと強力に結合し(それぞれIFN-α4a及び2)、ACO-4は、前記が中和するよりも多くのサブタイプと結合することができ、ACO-5は、前記が結合するよりも多くのサブタイプを中和することができた(高いEC50値であるが)。可能な説明は、これら2つのMAbによって認識される特異的エピトープが水性アッセイ(RG)と固相アッセイ(ELISA)では接近能力が異なり得るということである。ACO-8は、試験したいずれのIFN-αサブタイプとも強力には結合しなかった。ACO-8は、IFN-αD、1及び4aに対して20倍未満の結合を示した。ACO-6は前記サブタイプのいずれとも結合しなかった。
【0075】
表8:ACO-1、2、3、4、5及び8による組換えIFNαサブタイプの結合
【0076】
【表2】
【0077】
下線は合致コントロールよりも2倍強いシグナルを示す。太字は合致コントロールよりも20倍強いシグナルを示す。合致コントロールよりも2倍未満のシグナルは有意ではない結合を示す。
【0078】
実施例7:ACO-1、2及び3モノクローナル抗体によるSLE患者血清の生物活性の阻止
抗ウイルスアッセイを用いて、活発な症状を示すSLE患者血清のA540細胞(CCL-185, ATCC)の脳脊髄炎ウイルス(EMCV)感染時の細胞死に対する防御活性を中和する抗IFNαMAbの能力を判定した。もっとも広いIFNαサブタイプ、白血球IFN及びPBMC-fluの中和プロフィルを示す抗体(ACO-1、2及び3)を調べた。SLE血清は、患者の血中単核球の特徴的なIFN及び顆粒球形成遺伝子発現シグナチャーを基準に選別した4人の進行中のSLE患者(SLE-43、133、140及びBCと特定)から入手した。SLE血清をMAb中和試験の前にCPEバイオアッセイでウイルス感染に対する防御についてスクリーニングした。これらの解析ではRGアッセイは、CPEアッセイのインキュベーション時間(48時間)に対して相対的に短いRGアッセイのインキュベーション時間(5時間)の間にViewPlatesTMへの細胞結合が血清因子によって阻害されるために用いられなかった。Vero細胞(CCL-81, ATCC)をEMVC(VR-129B, ATCC)に感染させ、作業用ウイルスストックを上清から調製した。アッセイは、組織培養用処理平底96ウェルプレートで、37℃+CO2で一晩インキュベートしたA549細胞(15,000細胞/ウェル、各ウェル50μL)を用いてトリプリケートで実施した。続いて、抗IFNαMAb及びSLE患者由来血清をプレートに添加し(100μL/ウェル)、EMCVの添加前に4時間、前インキュベーションを実施した。前記EMCVは、48時間で非防御細胞の100%を50μL中で殺すことができる最終濃度に稀釈された。インキュベーションを48時間続行し、続いてクリスタルバイオレットで染色し、ELISAプレートリーダーでOD570の値を読み取った。コントロールは血清単独、培養液のみ(−)、及び汎中和ポリクローナル抗体(pAB、ウサギ抗ヒトIFNα、PBL)であった。図7a−dに示した結果はトリプリケートの平均を表している。親和性が低いにもかかわらず、ACO-1及び2は4血清の全てをある程度中和することができた。ACO-3はSLE-43、140又はBCを阻止することができなかった。いくつかの事例(SLE-43に対するIgG2b、SLE-BCに対する3アイソタイプの全て)で、対応するアイソタイプコントロールが血清を阻止することができたのは、おそらく患者間における他の血清成分(前記成分はこのアッセイで用いた細胞に対し細胞毒性を有する)の天然の変動の結果であろう。
【0079】
実施例8:ACO-1及びACO-2の霊長類IFNαとの交差反応性
ヒト臨床試験の前段階としての前臨床安全性/毒性試験を実施するために、内因性IFNαがヒト化抗IFNαモノクローナル抗体と反応する動物モデルを特定することは有用である。2つの候補抗体、ネズミ抗ヒトIFNαAb ACO-1及びACO-2の霊長類IFNαを中和する能力を調べた。具体的には、マカクの精製IFNα4b(156pg/ウェル)で刺激したときにA549細胞でMxA-ルシフェラーゼレポーター遺伝子が誘導されるのを阻止する前記抗体の能力を測定した。図8に示すように、抗体ACO-1及びACO-2は強力にレポーター遺伝子誘導を阻止し(それぞれA及びB)、一方、ACO-3は高濃度でさえも阻止することができない(C)。ヒトとマカクIFNα間の相同性は高度に保存されている。さらにまた、市販の抗ヒトIFNα抗体はアカゲザル及びイヌ(cynomologous)同族体と交差反応することが示された。これらのデータは、霊長類は適切な安全性クリーニングモデルを提供することを示唆している。
【0080】
実施例9:ACO-1重鎖及び軽鎖の配列
縮退プライマープールを用いてRT/PCRを実施し、ACO-1を発現しているハイブリドーマからmRNAを増幅した。6縮退プライマープールのセット(HAからHG)を用いて重鎖可変領域のmRNAを増幅し、さらに8縮退プライマープールのセット(LAからLI)を用いて軽鎖可変領域のmRNAを増幅した。増幅生成物は、プライマープールHA、HB、HE、HF、LB、LC及びLGを用いて得られた。プールLIでは PCR生成物は得られなかった。したがって前記軽鎖はカッパクラスターに由来していた。各生成物をクローニングし、その各々に由来するいくつかのクローンの配列を決定した。
2つの異なる重鎖配列を同定した。プールHA及びHFは、フレームワーク領域3の末端に停止コドンをもつ切端重鎖をコードするただ1つの配列を増幅した。したがって、この重鎖は、抗原を結合することができる抗体を形成できるとは思われない。
プールHB及びHEは、HA及びHFのものとは異なり、図9に示されている完全長のVh領域をコードするただ1つの配列を増幅した。前記完全長の重鎖DNA配列は配列番号:1であり、完全長のアミノ酸配列は配列番号:2である。CDR VH1(TACACCTTCACCAACTACTGGATGCAC配列番号:3)VH2(GAGATTAATCCTAGCCACGGTCGTACTATCTACAATGAAAACTTCAAGAGC配列番号:5)及びVH3(GGGGGACTGGGACCCGCCTGGTTTGCTTAC配列番号:7)をコードするDNA配列は斜字体で示され、アミノ酸配列VH1(YTFTNYWMH配列番号:4)、VH2(EINPSHGRTIYNENFKS配列番号:6)及びVH3(GGLGPAWFAY配列番号:8)には下線が付されている。
2つの軽鎖配列が同定された。プールLB及びLCは、いくつかのハイブリドーマで見出される、綿密に実証された異常な切端カッパ軽鎖とアラインメントを実施することができるただ1つの配列を増幅した。プールIGは、完全長であってプールLB及びLCで増幅されたものとは異なるただ1つの配列を増幅した。前記軽鎖配列は図10に示されている。完全長の軽鎖DNA配列は配列番号:9であり、完全長のアミノ酸配列は配列番号:10である。CDR VL1(AGTGCCGGCTCAAGTGTAGATTCCAGCTATTTGTAC配列番号:11)、VL2(AGCACATCCAACCTGGCTTCT配列番号:13)及びVL3(CATCAGTGGAGTAGTTACCCATTCACG配列番号:15)は斜字体で示され、一方アミノ酸配列VL1(SAGSSVDSSYLY配列番号:12)、VL2(STSNLAS配列番号:14)及びVL3(HQWSSYPFT配列番号:16)には下線が付されている。
ハイブリドーマACO-1から得られた配列の解析は表9に要約されている。可変領域は、それらの最も近似するヒト生殖細胞系列の配列と高い相同性(67%から65%)を示し、フレームワーク配列はヒト生殖細胞系列データベースに近似する同族体を有する。
【0081】
表9:クローンACO-1
【0082】
【表3】
【0083】
a CDRの範囲及び配列番号付与はKabatにしたがう。
b 生殖細胞系列IDは%相同性の前に表示されている。
【0084】
実施例10:モノクローナル抗体のヒト化及びその性状決定
当分野で公知の方法を用いて、ネズミの相補性決定領域をヒト抗体フレームワークに移植(CDR-移植)することによってヒト化抗体を作成する(例えば以下を参照されたい:Jones et al. 1986, Nature 321:522-525;Reichmann et al. 1988, Nature 332:323-329;Presta 1992, Curr Op Struc Biol 2:593-596;及びClark 2000, Immunol Today 21:397-402)。前記ヒト化抗体は、上記のネズミモノクローナル抗体と同じ結合及び機能パラメーターを示すことができる。
実施例11:ヒト化モノクローナル抗体を用いるSLEの治療
当分野で公知であり、文献(Bennett et al. 2003上掲書;Baechler et al. 2003上掲書)にも記載されている方法にしたがって、マイクロアレイを用いてIFNαのシグナチャーがモニターされるであろう。この新しいツールは、患者をモニターするだけでなく、階層化(すなわち陽性INFαシグナチャー算入基準)のために役立つ。この解析の使用はまた、どの患者が本発明の組成物又は方法によって適切に治療されるかを決定するために有用である。ある特徴では、本発明の抗体の投与はこのシグナチャーを消滅させるであろう。ある特徴では、当業者は、本発明の方法の目標がいつ達成されたか、有効量の抗体がいつデリバーされたか、INFαシグナチャーが効果的な期間(例えば約4週間)50%抑制されるために必要な量と規定されるものを決定することができる。
有効量は、例えば約1mg/kgから、第二には2.5mg/kg、第三には5mg/kgの量が輸液され、第四には、必要な場合は10mg/kgであろう。各患者について“計算された最適な用量”とは、安全に投与され、かつ約4週間の間INFαシグナチャーの少なくとも50%抑制を提供する量と規定される。
患者は毎週INFαシグナチャーについてモニターされるであろう。INFαシグナチャーが再出現する期間が投与間隔を決定するであろう。例えば、1mg/kgの用量が50%シグナチャー減少を2週間しか提供しない場合は、前記患者は第二の用量である2.5mg/kgを投与されるであろう。毎週のモニターが3週間の50%シグナチャー抑制しか示さない場合、患者は第三の用量である5mg/kgを投与されるであろう。10mg/kgの最大用量は、少なくとも4週間の50%IFNαシグナチャー抑制を提供する用量を特定することを目標に試験されるであろう。
有効性は許容可能な任意の方法によって測定される。許容可能な方法には、PBMCのマイクロアレイ解析(有効性はインターフェロンシグナチャーの消失で確定される)、PBMCのフローサイトメトリー(有効性はT/Bリンパ球カウントの増加によって確定される)、形質細胞増加症の緩和及び成熟好中球存在の低下又はルミネクス解析の使用による血清中のサイトカインの多重解析が含まれるが、ただしこれらに限定されない。
生物学的寄託:ACO-1からACO-6のハイブリドーマ細胞株はアメリカ菌培養集積所(10801University Blvd., Manassas, VA 20110-2209, USA(ATCC))に寄託され、下記の表10に示す寄託番号が付与された。
【0085】
表10
ハイブリドーマ細胞株 ATCC寄託版 寄託日
ACO-1 PTA-6557 02/08/2005
ACO-2 PTA-6558 02/08/2005
ACO-3 PTA-6559 02/08/2005
ACO-4 PTA-6560 02/08/2005
ACO-5 PTA-6561 02/08/2005
ACO-6 PTA-6562 02/08/2005
【0086】
これらの寄託は、特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約の規定及び前記ブダペスト条約に基づく規則にしたがって実施した。前記は、寄託の日から30年間の前記寄託した生存培養の維持を担保する。前記寄託物はブダペスト条約の規定にしたがいATCCから入手することができ、Baylor Research InstituteとATCCとの間の合意に付託される。前記合意は、関連する米国特許の発行又は米国若しくは外国のいずれかの特許出願公開に際して(いずれか早いもの)、公衆への前記寄託培養の子孫培養の永久的及び非制限的な利用可能性を保証し、かつ35U.S.C.§122及び前記に付随する規則(と国866 OG 638に関して37C.F.R.§1.14を含む)にしたがい特許庁長官が決定した者に前記子孫培養の利用可能性を保証する。
本出願の譲受人は、適切な条件下で培養されたときに前記寄託に関する培養物が死滅又は失われ又は損壊された場合、通知の時点で速やかに前記培養物をまた別の同一物と交換することに同意した。前記寄託物の利用可能性は、特許法に基づいていずれかの政府当局により付与された権利に反して本発明を実施する権利と解釈されてはならない。
本明細書に記載した具体的な実施態様は例示として提供され、本発明を制限するものではないことは理解されよう。本発明の基本的な特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく多様な実施態様で用いることができる。当業者は、日常的な実験の範囲を超えない実験を用いて、本明細書に記載した具体的な方法に対し多数の等価物を知り又は確認することができよう。そのような等価物は本発明の範囲内に包含され、特許請求の範囲に含まれる。
本明細書に記載した全ての刊行物及び特許出願は、本発明が属する分野の業者の技術レベルを示すものである。本明細書に記載した全ての刊行物及び特許出願(及び特に前記の関連する部分)は、前記刊行物及び特許出願の各々が具体的にかつ個別に表示されたかのように、参照により本明細書に含まれる。
特許請求の範囲では、範囲を示す全ての語句、例えば“含む”、“保有する”、“有する”、“包含する”などは幅広い解釈ができることと理解され、すなわち限定されないことを意味する。 範囲を示す“から成る”及び“本質的に〜から成る”という語句のみが、それぞれ限定又は半限定の範囲語句であろう。
本明細書に開示され又は特許請求された組成物及び/又は方法は本明細書の教示により困難な実験を行うことなく実施又は遂行することができる。本発明の組成物及び方法は好ましい実施態様により記載してきたが、本発明の範囲を逸脱することなく、前記組成物及び/又は方法に対し、及び本明細書に記載の方法の工程又は一連の工程において多様な変型を適用することができることは当業者には明白であろう。より具体的には、化学的及び物理的に関連性を有するある種の物質を、本明細書に記載の物質と置き換えることができ、同じ結果を達成できることは明白であろう。当業者に明白なそのような類似の置換及び改変は、添付の特許請求の範囲によって規定した本発明の範囲内に包含されるものとみなされる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】レポーター遺伝子(RG)アッセイ及び細胞障害作用(CPE)阻害アッセイの模式図を示す。CPEアッセイ模式図の黒丸は無傷の生細胞を表す。白丸は、ウイルス感染によって殺された死細胞を表す。RGアッセイ模式図では黒丸及び細胞は“+”と同様にルシフェラーゼ発現を示し、一方、白丸及び細胞はルシフェラーゼ発現を欠くことを示している。
【図2】IFNα MAb開発方法の工程図を示す。
【図3】ACO-1、2、3、4及び5による複合IFN源の中和を示す。(a)600pgの白血球IFN(Sigma)の表示量の各MAbによる中和をRGバイオアッセイにより判定した。阻止百分率は、白血球IFNの存在/非存在下及び任意のMAbの非存在下で得られたLCPS値を基準に算出した。値は3実施の平均を表す。(b)各MAbによるPBMC-flu(640倍希釈)の中和を示す。阻止百分率は以前に記載したように算出した。値は3実施の平均を表す。
【図4】ACO-1による15の組換えIFNαサブタイプの中和を示す。(a)濃度が増加するACO-1による表示IFNαサブタイプの中和をRGバイオアッセイにより判定した。各曲線に割り振られた数値は、ACO-1の非存在下(Y-軸の白丸によって表示)及びMAbの最高検査濃度(2000ng/mL)で得られたLCPS値(発光カウント/秒)から算出した中点(EC50)を示す。N.D.はEC50値を割り当てることができなかったことを示す。データの点は3実施から得られた。(b)濃度が増加するACO-1、2、3、4、5及び8によってIFNベータの中和が得られないことを示す。データの点は3実施から得られた。
【図5】モノクローナル抗体ACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4、ACO-5及びACO-6のマルチプレックス解析の結果を示す。
【図6】モノクローナル抗体ACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4、ACO-5及びACO-6によるIFNαサブタイプの固相結合アッセイの結果を示す。
【図7】CPEアッセイによって判定した、SLE患者血清サンプルSLE-43(a)、SLE-133(b)、SLE-140(c)及びSLE-BD(d)の生物活性の中和を示す。検査MAb量が表示されている。コントロールには、血清単独、培養液のみ(−)、及び汎中和ポリクローナル抗体(pAb、ウサギ及び抗ヒトIFNα、PBL)が含まれる。値は3実施の平均を示す。
【図8】8A−CはACO-1(A)、ACO-2(B)及びACO-3(C)とマカクIFN(156pg/ウェル)との交差反応性を示す。
【図9】ACO-1の重鎖のcDNA及びアミノ酸配列を示す。VH1、VH2及びVH3 CDRをコードするDNA配列は斜字体で示され、一方、対応するアミノ酸配列には下線が付されている。
【図10】ACO-1の軽鎖のcDNA及びアミノ酸配列を示す。VL1、VL2及びVL3 CDRをコードするDNA配列は斜字体で示され、一方、対応するアミノ酸配列には下線が付されている。
【発明の詳細な説明】
【0001】
技術分野
本発明は、対象者における異常レベルのインターフェロン-α(IFNα)の発現と相関性を有する症状の診断及び治療に有用な方法並びに組成物に関する。
【0002】
背景技術
ヒトインターフェロンは、先天性免疫及び順応性免疫応答の両方を調節する機能的に関連するサイトカインである。それらは、主として配列相同性を基準にして2つのグループ、I型及びII型に分類される。I型IFNは6つの型(IFN-α、IFN-β、IFN-ω、IFN-κ、IFN-ε及びIFN-λ)を含む。IFN-α、β、ω、及びκは、同一のIFNレセプター(IFNAR)を介して作用する。IFN-λは別個のレセプター(IFNLR)と結合する。IFN-εのレセプターはこれまでのところ明らかではない。II型インターフェロンは、ただ1つのタイプ(IFN-γ)から成り、レセプターIFNGRと結合する。I型IFNはウイルス感染時に強力に誘発されるが、一方、II型IFNは主として免疫及び炎症刺激に応答して誘発され、したがってIFN-γはしばしば“免疫IFN”と称される。多数のI型IFNのうちでもっとも研究されたものにはIFN-α、IFN-β及びIFN-ωが含まれる。これらのうちで、IFN-αはもっとも複雑であり、少なくとも15の別個のタンパク質サブタイプを含み、これらは75%以上の配列相同性を示す(Diaz (1995) Semin Virol, 6:143-149;Weissmann et al. (1986) Prog Nucl Acid Res Mol Biol, 33:251;J Interferon Res, (1993) 13:443-444;Roberts et al. (1998) J Interferon Cytokine Res, 18:805-816)。構造的類似性を有するだけでなく、IFN-α遺伝子及びそれらの生成物は機能的類似性を示す。例えば、それらはdsRMA又はウイルスによって誘発され、同じレセプター、IFNα/βレセプター(IFNAR)と相互作用することができる(Mogensen et al. (1999) J Interferons and Other Regulatory Cytokines, John Wiley & Sons.)。IFNαはまたアポトーシスを阻害し、抗原活性化Tヘルパー細胞の生存及び分化を促進し、さらに機能的に有効な単球由来樹状突起細胞の成熟を促進する。
【0003】
多くの細胞タイプが、ウイルス及びdsRNAに暴露されたときにIFNαを産生する。特殊化された白血球(インターフェロン-α産生細胞(“IPC”)と称される)は、極めて多様な刺激(例えばウイルス、細菌及び原虫)に応答してINFαを産生する。いくつかのin vitro実験は、種々のIFN-αサブタイプが、別個のIFN-α分泌細胞株によって様々な程度で、又はウイルス型特異的態様で末梢血単核球(PBMC)の感染に続いて産生されること、及びこれらのパターンは、しばしば抗分裂活性、抗ウイルス活性及び抗腫瘍活性でサブタイプ依存的相違を有することを示している。しかしながら、個々のサブタイプの生理学的な重要性及びそれらのin vivoにおける相互の協調的又はアンタゴニスト的活性は不明なままである。
IFN-αは、いくつかの自己免疫疾患で観察される病変の仲介物質として示唆されている。さらにまた、前記は、癌及びウイルス疾患のためにIFN-αで処置された患者で自己免疫疾患の発生を引き起こし得る。IFN-αの発現増加が、インスリン依存性真性糖尿病(IDDM又はI型糖尿病)、乾癬、クローン病及び腹腔の疾患をもつ患者の病巣組織で観察された。IFN-αの過剰発現が、全身性紅斑性狼瘡(SLE)、IDDM及びエイズの患者で観察された。SLE(自己反応性B及びT細胞を特徴とする)の場合には、IFN-α発現は組織病巣だけでなく罹患個体の血液循環でも観察される。さらにまた、IFN-αの血清レベルは臨床症状活性インデックスと相関する傾向がある。これは、形質細胞様DC(pDC)によるIFN-α産生のアップレギュレーションが引き金となって、通常は休止状態の単球の強力な抗原提示樹状突起細胞(DC)への周期性誘発から生じると考えられている。実際、本発明者らは、SLEは、顆粒球生成及びIFN誘発に必要な非調節遺伝子の“シグナチャー”によって識別され得ることをオリゴヌクレオチドマイクロアレー分析により以前に明らかにした(これらのシグナチャーはグルココルチコイドの大量輸液により正常に復帰する)(米国特許出願11/228,586、前記文献の内容は参照により本明細書に含まれる)。
【0004】
全身性紅斑性狼瘡(SLE)は全身的な自己免疫リウマチ性疾患である、小児で特に激甚で、罹患率の高い発赤を特徴とする。自己免疫疾患(例えばSLE)では、しばしば再発と緩解が永続的周期で繰り返される。これらの周期は、SLEの疾患周期を停止させるために一般的に与えられる治療レジーメンによる治療期によってしばしば規定される。FDAによって承認されたSLEのための治療選択肢にはコルチコステロイド、非ステロイド性免疫抑制剤、抗マラリア薬及び非ステロイド性抗炎症剤が含まれる。これらの薬剤は全ての免疫エフェクター応答の完全性を失わせ、SLEの病理発生に特異的なものに対してはむしろ作用しない。これらの治療は部分的な効果しか持たず中等度から重篤な副作用(骨低下、肥満、ざ瘡、貧血、不妊、下痢、脱毛及び吐き気を含む)を示すので、未だ解決されていない医学的危急の典型である。さらにまたSLEの新規治療薬は40年間承認されていない。
最近は、SLEはIFNαが低下しないことと密接に関係すると考えられている(Shi et al. (1987) Br J Dermatol, 117(2):155-159)。IFNαは、SLE血清に高いレベルで存在し(Crow et al. 2004, Curr Opin Reumatol, 16(5):541-547)、形質細胞様DC(pDC)(IFNαの主要供給源)がSLEの皮膚に蓄積する(Farkas et al. 2001, Am J Pathol 159(1):237-243)。さらにまた、IFNαで処置された幾人かの患者は狼瘡を発症することが観察され(Okanoue et al. 1996, J Hepatol 25(3):283-291;Tothova et al. 2002, Neoplasma 49(2):91-94;Raanani et al. 2002, Acta Haematol 107(3):133-144)、さらにIFNα抗体を生じた狼瘡患者は前記疾患のより緩和された形態を呈することが示された(von Wussow et al (1988) Rheumatol Int 8(5):225-230)。IFNαは単球から機能的な樹状突起細胞(DC)への分化を介して作用し得る(前記は順次SLEの病理発生を仲介する)(V. Pascual et al. 2003, Curr Opin Rheumatol 15(5):548-556)。SLE治療のために提唱された手法は、IFNαの中和である(以下を参照されたい:Banchereau et al, PCT/US02/00343(前記文献の内容は参照により本明細書に含まれる)。
【0005】
ヒトIFN-αの生物活性を阻止することができるモノクローナル抗体(MAb)が生成されたが、15の既知のサブタイプの全てを中和することができるものは今日まで報告されておらず、さらに天然の、IFN-αを含む白血球IFNを中和することができるものは少ない。PBLバイオメディカルラボラトリーズは、多数のヒトIFNα遺伝子サブタイプと結合する、10のマウスモノクローナル抗体を提供する(interferonsource.com/relativespecificity.htmlでワールドワイドウェッブを参照されたい)。しかしながら、PBL抗体の各々は、ヒトIFNα遺伝子サブタイプ1よってコードされるIFNαタンパク質サブタイプ(IFNαタンパク質サブタイプD)及び1から12までの他のIFNαサブタイプと結合する。US特許公開公報2003/0166228A1は、白血球IFNα(IFNαタンパク質サブタイプの全てを含む)によるマウスの免疫から誘導されたモノクローナル抗体(9F3と称する)を開示する。前記9F3MAbは、7つのヒトIFNα遺伝子サブタイプ1、2、4、5、8、10及び21(前記はIFNαタンパク質D、A、4、G、B2、C及びFをそれぞれコードする)によってコードされるタンパク質と結合し、その抗ウイルス活性を中和し、ヒトIFNβの抗ウイルス活性は中和しない。前記公開公報は、9F3抗体が他の8つのIFNα遺伝子サブタイプと結合しこれを不活化するのか否かを開示せず、IFNαタンパク質サブタイプ4a及び4bの一方又は両方と結合するか否かも開示していない。前記PCT公開公報は、前記モノクローナル抗体を、IFNα発現増加を伴う疾患(特に自己免疫疾患、例えばインスリン依存真性糖尿病及びSLE)の治療に用いることを提唱している。しかしながら、9F3抗体がSLE血清で見出されるIFNαタンパク質サブタイプの生物学的活性を十分に中和することができるか否かは不明である。
IFNαは免疫応答の多機能性仲介物質であり、さらに有益な抗ウイルス活性を有するので、IFNαサブタイプの完全な阻害又は顕著なダウンレギュレーションは、最適な治療手法ではない。したがって、病的状態に付随するIFNαサブタイプを選択的に中和する物質が希求される。本発明はこの要求を満たし、同様に関連する利点も提供する。
【0006】
発明の要旨
本発明は、特定のINFαサブタイプを中和するモノクローナル抗体及びその誘導体を提供する。本発明の抗体は、IFNαの発現増加に付随する症状、例えばSLE、乾癬、I型糖尿病、エイズ、対宿主性移植片病及び他の自己免疫疾患の緩和及び治療に有用である。ある特徴では、本発明は、少なくとも2つのインターフェロンアルファ(“IFNα”)タンパク質サブタイプ(例えばA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4b及びWA)の生物活性を選択的に中和するが、IFNαタンパク質サブタイプDの少なくとも1つの活性は顕著には中和しない抗体を含み、ここで前記生物活性はMxAプロモーターの活性化又は抗ウイルス活性である。好ましくは、前記抗体はモノクローナル抗体である。ある実施態様では、前記抗体はIFNαタンパク質サブタイプDも1も顕著には中和しない。ある実施態様では、前記モノクローナル抗体はACO-1又はACO-2である。好ましくは、本発明の抗体は、単球から樹状突起細胞への分化を刺激する、全身性紅斑性狼瘡(SLE)患者から単離された血清の能力を不活化する。
別の特徴では、本発明は、抗体又はその抗原結合フラグメントを提供し、前記抗体又はその抗原結合フラグメントは重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含み、ここで前記軽鎖可変ドメインは以下のCDR、その誘導体又は部分を含み:
配列番号:12のアミノ酸配列を有するVL1;
配列番号:14のアミノ酸配列を有するVL2;及び
配列番号:16のアミノ酸配列を有するVL3;
ここで、前記抗体又は抗原結合フラグメントはIFNαタンパク質サブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4b及びWAの生物活性を中和するが、IFNαタンパク質サブタイプDの生物活性は中和せず、ここで前記生物活性はMxAプロモーターの活性化である。
【0007】
さらに別の特徴では、本発明は、抗体又はその抗原結合フラグメントを提供し、前記抗体又はその抗原結合フラグメントは軽鎖可変ドメイン及び重鎖可変ドメインを含み、ここで前記重鎖可変ドメインは以下のCDR、その誘導体又は部分を含み:
配列番号:4のアミノ酸配列を有するVH1;
配列番号:6のアミノ酸配列を有するVH2;及び
配列番号:8のアミノ酸配列を有するVH3;
ここで、前記抗体又は抗原結合フラグメントはIFNαタンパク質サブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4b及びWAの生物活性を特異的に中和するが、IFNαタンパク質サブタイプDの生物活性は顕著には中和せず、ここで前記生物活性はMxAプロモーターの活性化である。
また別の実施態様では、本発明は、抗体又はその抗原結合フラグメントを提供し、前記抗体又はその抗原結合フラグメントは、少なくとも1つの軽鎖又はその抗原結合フラグメント及び少なくとも1つの重鎖又はその抗原結合フラグメントを含み、
ここで前記軽鎖の抗原結合フラグメントは以下のCDR、その誘導体又は部分を含み:
配列番号:12のアミノ酸配列を有するVL1;
配列番号:14のアミノ酸配列を有するVL2;及び
配列番号:16のアミノ酸配列を有するVL3、
ここで前記重鎖の抗原結合フラグメントは以下のCDR、その誘導体又は部分を含む:
配列番号:4のアミノ酸配列を有するVH1;
配列番号:6のアミノ酸配列を有するVH2;及び
配列番号:8のアミノ酸配列を有するVH3。
【0008】
また別の実施態様では、本発明は、IFNαタンパク質サブタイプ4aの生物活性を選択的に中和するが、IFNαタンパク質サブタイプ4bの生物活性は顕著には中和しない抗体を提供し、ここで前記生物活性は、MxAプロモーターの活性化及び/又は抗ウイルス活性である。好ましくは、前記抗体は、IFNαタンパク質サブタイプA、2、B2、C、I、K及び4aの生物活性を選択的に中和するが、IFNαタンパク質サブタイプD、F、G、4b及び1の生物活性は顕著には中和しない。ある実施態様では、前記抗体はモノクローナル抗体ACO-3である。
本発明はまた、IFNαタンパク質サブタイプA、2、B2及びCの生物活性を選択的に中和するが、IFNαタンパク質サブタイプD、4b及び1の生物活性は顕著には中和しない抗体を提供し、ここで前記生物活性は、MxAプロモーターの活性化及び/又は抗ウイルス活性である。ある実施態様では、前記抗体はモノクローナル抗体ACO-4である。
別の特徴では、本発明は、IFNαタンパク質サブタイプA、2、G、H2、K、WA及び1の生物活性を選択的に中和するが、IFNαタンパク質サブタイプB2及びDの生物活性は中和しない抗体を提供し、ここで前記生物活性は、MxAプロモーターの活性化及び/又は抗ウイルス活性である。ある実施態様では、前記抗体はモノクローナル抗体ACO-5である。
さらに別の特徴では、本発明は、IFNαタンパク質サブタイプ2及びCの生物活性を選択的に中和するが、IFNαタンパク質サブタイプA、B2、C、D、F及び1の生物活性は中和しない抗体を含み、ここで前記生物活性は、MxAプロモーターの活性化である。ある実施態様では、前記抗体はモノクローナル抗体ACO-6である。
また別の特徴では、本発明は、IFNαタンパク質サブタイプA、2、B2、F、I、4a、4b及び1の生物活性を選択的に中和するが、IFNαタンパク質サブタイプC、H2、K及びWAの生物活性は中和しない抗体を提供し、ここで前記生物活性は、MxAプロモーターの活性化である。ある実施態様では、前記抗体はモノクローナル抗体ACO-8である。
【0009】
さらに別の実施態様では、本発明は、IFNαタンパク質サブタイプA、2、B2、D、F、I、J1、4a、4b及び1の生物活性を選択的に中和するが、IFNαタンパク質サブタイプC、G、H2、K、及びWAの生物活性は中和しない抗体を提供し、ここで前記生物活性は、MxAプロモーターの活性化である。
本発明の抗体、その誘導体又はフラグメントは、マウス、ラット、ヒト、または他の哺乳動物由来であることができ、又は前記のフラグメント又はヒト化若しくはキメラ形であることができる。本発明の抗体は、マウスモノクローナル抗体、例えばACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4、ACO-5、ACO-6及びACO-8だけでなく、前記のヒト化形、キメラ形又はフラグメントも同様に含む。本発明はさらに、ネズミモノクローナル抗体ACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4、ACO-5、ACO-6及びACO-8と本質的に同じIFNαのエピトープに結合する抗体を提供する。本発明はさらに、本発明の抗体を含む宿主細胞、ハイブリドーマ、組成物、医薬組成物及びキットを提供する。
本発明の抗体、その誘導体又はフラグメントは、IFNαの過剰発現に付随する疾患(disease)又は症状(condition)(SLE、乾癬、エイズ、I型糖尿病及び自己免疫甲状腺炎を含むが、ただしこれらに限定されない)の治療で有用であり、さらにそのような疾患及び症状を治療する医薬の製造で有用である。本発明の抗体はまた、多様なIFNαサブタイプの識別又は精製に用いることができる。
さらに別の特徴では、本発明は、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12、配列番号:14、及び配列番号:16から成る群から選択されるポリペプチド、又は前記と少なくとも80%の配列同一性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む単離された核酸を提供する。好ましくは、前記ポリヌクレオチドは、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:9、配列番号:11、配列番号:13、及び配列番号:15から成る群から選択される。
【0010】
さらに、本発明は、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12、配列番号:14、及び配列番号:16から成る群から選択されるポリペプチドを含むタンパク質若しくはペプチド、又は前記と少なくとも80%の配列同一性を有するタンパク質若しくはペプチドを提供する。別の特徴では、本発明は、以下の工程を含む、ハイブリドーマ細胞株を作成する方法を提供する:組換えIFNαサブタイプA、B2及びFを含む組成物で哺乳動物を免疫する工程;前記免疫哺乳動物由来の脾細胞をミエローマ細胞株と融合させてハイブリドーマを作成する工程;及びIFNαタンパク質サブタイプ2、C、G、I、J1、K、4a、4b及びWA並びに1から成る群から選択される1つ以上のIFNαタンパク質サブタイプを選択的に中和するが、IFNαタンパク質サブタイプDは選択的に中和しないモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞株を同定する工程。
本発明はまた、上記に記載の特異性を有する抗体(例えば1つ以上のインターフェロンアルファ(“IFNα”)タンパク質サブタイプ(A、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4b及びWA)と特異的に結合するが、例えばIFNαタンパク質サブタイプDの生物活性は中和しない)を産生する宿主細胞及びハイブリドーマ細胞株を含む。前記抗体及び/又はハイブリドーマ細胞株は、診断及び治療方法で使用するために担体(例えば医薬的に許容できる担体)と結合させることができる。前記抗体は、特定のIFNαサブタイプの検出、及びIFNα関連疾患の診断、予後、治療及び/又は前記症状の緩和に有用である。そのような症状の例には、SLE、乾癬、I型糖尿病、対宿主性移植片(GVH)病、エイズ、自己免疫甲状腺炎、及び他の自己免疫疾患を含まれるが、ただしこれらに限定されない。本発明の抗体はまた、これらのIFNαサブタイプのin vitro又はin vivoでの中和及び/又は単離に有用である。
【0011】
発明の詳細な説明
下記では本発明の種々の実施態様の考案及び使用が考察されるが、本発明は、種々の具体的な背景で実施することができる、多くの適用可能な刷新的な構想を提供することは理解できよう。本明細書で考察される具体的な実施態様は、本発明を遂行及び利用するための具体的方法の単なる例示にすぎず、本発明の範囲を制限しない。
本発明の理解を容易にするために、多数の用語が下記で定義される。本明細書に定義される用語は、本発明に関連する分野の業者が一般的に理解する意味を有する。英文中の“a”、“an”及び“the”は、単に単数のものを指すだけでなく、例示に使用され得る具体例の一般的な種類も含む。本明細書の用語は本発明の特定の実施態様の説明に用いられるが、請求の範囲における規定を除き、本発明は前記用語の使用によって制限されない。例えば、“a cell”という用語は複数の細胞(その混合物を含む)を含む。全ての数字表示(例えばpH、温度、時間、濃度及び分子量)(範囲を含む)は概数であり、それらは0.1の(+)又は(-)の変動を有する。常に明示されているわけではないが、全ての数字表示は“約”という用語が先行することは理解されよう。さらに、常に明示されているわけではないが、本明細書に記載する試薬は単なる例示であり、そのようなものの等価物は当分野で公知であることもまた理解されよう。
【0012】
本明細書で用いられる、“抗体”という用語は、完全な免疫グロブリンの全クラス及びそのサブクラスを指す。“抗体”という用語は、モノクローナル抗体、抗体フラグメント、及び抗体フラグメントクローンを包含する。“抗体フラグメント”は、完全な抗体の抗原結合領域又は可変領域が含まれる、完全な抗体の一部分を含む。抗体フラグメントの例には、Fab、Fab'、F(ab')2及びFvフラグメント;単鎖抗体分子、抗体フラグメントから形成されるマルチ特異性抗体;VH及びCHドメインを含むFdフラグメント;抗体の単腕のVL及びVHを含むFvフラグメント、dAbフラグメント(Ward et al. 1989, Nature 341:544-546)(前記はVHドメインを含む);及び単離された相補性決定領域(CDR)が含まれる。“単鎖Fv”又は“scFv”抗体フラグメントは、抗体のVH及びVLドメインを含み、この場合、これらのドメインはただ1つのポリペプチド鎖中に存在する。一般的には、scFvはさらにVHとVLとの間にポリペプチドリンカーを含み、前記リンカーはscFvが所望の抗原結合構造を形成することを可能にする。scFvの概説として以下を参照されたい:Pluckthun (1994), “The Pharmacology of Monoclonal Antibodies”, vol. 113, Rosenburg and Moore eds., Springer-Verlag, New York, pp.269-315;Hudson (1999) Curr Opin Immunol 11:548-557;Bird et al. (1988) Science 242:423-426;及びHuston et al. (1988) Proc Natl Acad Sci USA 85:5879-5883。上記に記載の抗体フラグメントのいずれも、当業者に公知の通常の技術を用いて入手することができ、さらに前記フラグメントは、完全な抗体と同じ態様で結合特異性及び中和活性についてスクリーニングされる。抗体は、任意の適切な生物学的供給源、例えばネズミ、ウサギ、ラット、ヒト、ヒツジ、イヌなどから単離することができる。“天然に存在する”又は“天然の”抗体は、ヘテロテトラマーの糖タンパク質であり、典型的には約150−200kDの分子量を有する。前記へテロテトラマーは2つの同一の軽(L)鎖及び2つの同一の重(H)鎖を含む。各軽鎖はジスルフィド結合によって重鎖に共有結合される。
【0013】
本明細書で用いられる、“抗体の誘導体”という用語は、エピトープと結合する分子、及び本発明の天然のモノクローナル抗体の改変又は誘導体である分子を包含する。誘導体には、例えば二特異性、マルチ特異性、ヘテロ特異性、三特異性、四特異性、マルチ特異性抗体、キメラ抗体、組換え抗体、及びヒト化抗体が含まれるが、ただしこれらに限定されない。
本明細書で用いられる、“抗体の変種”は、マウス以外の種で産生される抗体、又はAOC-1からAOC-6まで及びAOC-8と称される抗体から選択される抗体のアイソタイプを指す。“抗体の変種”という用語はまた、抗体又はフラグメントの直鎖状ポリペプチド配列に加えられた翻訳後修飾を有する抗体を含む。前記はさらに完全にヒトの抗体も包含する。
本明細書で用いられる、“モノクローナル抗体”は、実質的に均質な抗体集団から得られる抗体(抗体フラグメントを含む)を指す(均質な抗体は、すなわち集団中の個々の抗体が、極少量存在し得る天然に存在する可能な変異(前記変異はまたそれらが所望の生物学的活性を示すかぎり本発明の部分である)を除き同一である)。モノクローナル抗体は高度に特異的であり、ただ1つのエピトープを指向する。モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ培養によって、バイオリアクターで、腹水として合成することができるが、また組換え方法、例えば細菌、酵母、植物、昆虫及び/又は動物細胞でin vitro翻訳で生成することができる。したがって、改変“モノクローナル”は、実質的に均質な抗体集団から得られる抗体の特徴を示し、特定のいずれかの方法による抗体の生成を必要とすると解されるべきではない。例えば、本発明にしたがって用いられるモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法(最初にKohlerら(Nature, 1975, 256:495)によって記載された)によって作成するか、又は組換えDNA法によって作成することができる(例えば米国特許4,816,567号参照)。“モノクローナル抗体”には、ヒトモノクローナル抗体、ヒト化モノクローナル抗体、組換えヒト抗体、ファージ抗体ライブラリーから単離された抗原認識及び結合部位含有抗体フラグメントのクローン(Fvクローン)及びその誘導体が含まれる(以下を参照されたい:Clackson et al. 1991, Nature 352:624-628;及びMarks et al. 1991, J Mol Biol 222:581-597)。モノクローナル抗体にはまた、“キメラ”抗体(免疫グロブリン)及びそのような抗体のフラグメントも、それらが所望の生物学的活性を示すかぎり同様に含まれる(米国特許4,816,567号;Morrison et al. 1984, Proc Natl Acad Sci USA, 81:6851-6855)。前記キメラ抗体では、例えば重鎖及び/又は軽鎖の一部分が、特定の種に由来する抗体の対応する配列又は特定の抗体のクラス又はサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一又は相同であるが、前記鎖又はその部分の残余は、別の種に由来する抗体の対応する配列又は別の抗体のクラス又はサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一又は相同である。
【0014】
本明細書で用いられる、“ヒトモノクローナル抗体”という用語は、ヒト生殖細胞系列の免疫グロブリン配列に由来する可変領域及び定常領域を有するただ1つの結合特異性を提示する抗体を指す。
本明細書で用いられる、“ヒト抗体”という用語は、ヒト生殖細胞系列の免疫グロブリン配列に由来する可変領域及び定常領域を有する抗体を指す。本発明のヒト抗体は、ヒト生殖細胞系列の免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基(例えばin vitro又はin vivoの体細胞変異によるランダム変異導入又は位置特異的変異導入によって導入された変異)を含むことができる。しかしながら、本明細書で用いられる“ヒト抗体”という用語は、別の哺乳動物種(例えばマウス)の生殖細胞系列に由来するCDR配列がヒトのフレームワーク配列に移植されてある抗体を含むことは意図されない。したがって、本明細書で用いられるように、“ヒト抗体”という用語は、タンパク質の実質的に全ての部分(例えばCDR、フレームワーク、CL、CHドメイン(例えばCH1、CH2、CH3)、ヒンジ、(VL、VH))がヒトで実質的に非免疫原性であり、ごくわずかな配列変異または変動を有する抗体を指す。同様に、霊長類(サル、ヒヒ、チンパンジーなど)、げっ歯類(マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ハムスターなど)及び他の哺乳動物と明示された抗体は、そのような種、亜属、属、亜科、科特異的抗体である。上記に記載したように、キメラ抗体はまた上記の任意の組み合わせを含むことができる。そのような変異又は変動は、場合によって、及び好ましくは、非改変抗体と比較してヒト又は他の種での免疫原性を保持又は低下させる。したがって、ヒト抗体は、キメラ抗体又はヒト化抗体とは別個のものである。ヒト抗体は、機能的に再編成したヒト免疫グロブリン(例えば重鎖及び/又は軽鎖)遺伝子を発現することができる非ヒト動物又は原核若しくは真核細胞によって製造することができる。さらにまた、ヒト抗体が単鎖抗体であるときは、前記はまた天然のヒト抗体では見いだされないリンカーペプチドを含むことができる。例えば、Fvフラグメントはまた、重鎖可変領域と軽鎖可変領域を連結するリンカーペプチド(例えば2つから8つのグリシン又は他のアミノ酸残基)を含むことができる。そのようなリンカーペプチドはヒト起源であると考えられる。
【0015】
ヒト抗体は、前記抗体が、ヒト免疫グロブリン配列を用いる系から、例えばヒト免疫グロブリン遺伝子を保有するトランスジェニックマウスの免疫によって、又はヒト免疫グロブリン遺伝子ライブラリーのスクリーニングによって入手されるならば、特定の生殖細胞系列の配列“に由来する”。ヒト生殖細胞系列の免疫グロブリン配列“に由来する”ヒト抗体は、ヒト抗体のアミノ酸配列をヒト生殖細胞系列の免疫グロブリンのアミノ酸配列と比較することによって、ヒト抗体と特定することができる。選択されたヒト抗体は、ヒト生殖細胞系列の免疫グロブリン遺伝子によってコードされるアミノ酸配列に対し、そのアミノ酸配列において典型的には少なくとも90%同一であり、さらに、他の種の生殖細胞系列(例えばマウス又はラット生殖細胞系列配列)の免疫グロブリンのアミノ酸配列と比較したとき、前記ヒト抗体をヒト由来と特定するアミノ酸残基を含む。ある種の事例では、ヒト抗体は、前記生殖細胞系列の免疫グロブリン遺伝子によってコードされるアミノ酸配列に対して、そのアミノ酸配列において少なくとも95%、又は少なくとも96%、97%、98%又は99%同一であり得る。典型的には、特定のヒト生殖細胞系列の配列に由来するヒト抗体は、ヒト生殖細胞系列の免疫グロブリン遺伝子によってコードされるアミノ酸配列と10を超えないアミノ酸の相違を示すであろう。ある種の事例では、ヒト抗体は、前記生殖細胞系列の免疫グロブリン遺伝子によってコードされるアミノ酸配列と5又は4、3、2又は1つを超えないアミノ酸の相違を示すであろう。
【0016】
本明細書で用いられる、“ヒト化”という用語は、非ヒト免疫グロブリンに由来する配列を有するキメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖又はそのフラグメント(例えばFv、Fab、Fab'、F(ab')2又は抗体の他の抗原結合配列)を作成するために、ヒト免疫グロブリン骨格上で用いられる非ヒト(例えばマウス又はラット)抗体の部分の使用を指す。一般的には、ヒト化抗体は、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)の1つ以上の相補性決定領域(CDR)の部分又は全てが、所望の特異性親和性及び能力を有する非ヒト種(例えばマウス、ラット又はウサギ)の1つ以上のCDR由来の残基(ドナー抗体)によって置き換えられているヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。例えば、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)が、対応する非ヒト残基によって置き換えられる。そのまた逆もあり、すなわちヒト免疫グロブリンの部分が、抗原特異性を決定する非ヒト免疫グロブリンの領域上に移植され得る。さらにまた、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にも、移入されるCDR又はフレームワーク配列にも見出されない残基を含むことができる。ドナー又はレシピエント抗体の部分ではない改変は、更なる精製及び抗体の能力の最適化のために一般的にかつ容易に実施される。一般的には、ヒト化抗体は少なくとも1つ(典型的には両方)の可変ドメイン(軽鎖及び重鎖)の実質的に全てを含み、前記ヒト化抗体では、CDR領域の全て又は実質的に全てが非ヒト免疫グロブリンのCDR領域と一致し、さらにFR領域の全て又は実質的に全てがヒト免疫グロブリン配列のFR領域である。ヒト化抗体はまた、免疫グロブリン定常領域(Fc)(典型的にはヒト免疫グロブリンの定常領域)の少なくとも一部分を含むことができる。
【0017】
本明細書で用いられる、“組換えヒト抗体”という用語は、組換え方法によって発現、生成又は単離される全てのヒト抗体、例えばヒト免疫グロブリン遺伝子についてトランスジェニック又はトランスクロモソーム性である動物(例えばマウス)又はそれら動物から調製されたハイブリドーマから単離された抗体、前記抗体を発現するように形質転換された宿主細胞(例えば前記抗体を発現するようにトランスフェクトされた細胞(通常は形質細胞腫))から単離された抗体、組換え、順列組み合わせヒト抗体ライブラリーから単離された抗体、及びヒト免疫グロブリン遺伝子配列の他のDNA配列へのスプライシングを必要とする任意の他の方法によって調製、発現、生成又は単離された抗体を含む。そのような組換えヒト抗体は、ヒト生殖細胞系列の免疫グロブリン配列に由来する可変及び定常領域を有する。ある種の実施態様では、しかしながら、そのような組み換えヒト抗体は、in vitro変異導入(又はヒトIg配列についてトランスジェニックな動物が用いられるときは、in vivo体細胞変異導入)に付すことができ、したがって、組換え抗体のVH及びVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖細胞系列のVH及びVL配列に由来し、これと関連するが、in vivoのヒト抗体生殖細胞系列レパートリーには天然には存在し得ない配列である。
本明細書で用いられる、“抗原結合部位”又は“結合部分”という用語は、抗原結合に参画する免疫グロブリン分子の部分を指す。抗原結合部位は、重(“H”)鎖のN-末端の3つの可変(“V”)領域及び軽(“L”)鎖の3つの可変領域のアミノ酸残基によって形成される。重鎖及び軽鎖のV領域内の3つの高度に多様化しているストレッチは、“超可変領域”又は“CDR” と称され、前記の3つは、“フレームワーク領域”(FR)として公知の保存されたフランキングする4つのストレッチの間に介在している。フレームワーク領域は、天然には免疫グロブリン中の超可変領域の間に、及びこれと隣接して見出されるアミノ酸配列を指す。抗体分子では、軽鎖の3つの超可変領域(VL1、VL2及びVL3)及び重鎖の3つの超可変領域(VH1、VH2及びVH3)は、三次元空間で互いに相関的に配置され、抗原結合表面を形成する。この抗原結合表面は、結合される抗原の三次元表面に対して相補的であり、重鎖及び軽鎖の各々の3つの超可変領域は、“相補性決定領域”又は“CDR” と称される。
【0018】
本明細書で用いられる、“生物活性”という用語は、1つ以上のIFNαサブタイプ(又はIFNβ)のMxAプロモーター(及びインターフェロン誘発性プロモーター)を活性化するか、又は抗ウイルス活性を示す能力を指す。抗体によるIFNα生物活性のEC50及びパーセント中和は、アッセイ条件及び測定されるIFNα生物活性のタイプにより変動し得る。一定性のために、特定のタイプの生物活性(すなわちMxAプロモーターの活性化及び抗ウイルス活性)及びアッセイ条件(すなわち“RGアッセイ”及び“CPEアッセイ”)が用いられる。RGアッセイは本明細書に記載する条件を用いて実施することができる。MxAプロモーターの活性化のパーセント中和は、RGmaxの IFN量及び2μg/mLの抗体を用い、実施例での説明のように決定される(実施例3参照)。抗ウイルス(CPE)アッセイは実施例で説明する方法にしたがって実施することができる。
本明細書で用いられる、“二特異性分子”という用語は、2つの異なる結合特異性を有する任意の物質、例えばタンパク質、ペプチド又はタンパク質若しくはペプチド複合体を指す。“マルチ特異性分子”又は“ヘテロ特異性分子”という用語は、3つ以上の異なる結合特異性を有する任意の物質、例えばタンパク質、ペプチド又はタンパク質若しくはペプチド複合体を含むことを意図する。
【0019】
本明細書で用いられる、“組成物”という用語は、活性物質及び別の担体、例えば不活性な(例えば検出性物質又は標識)又は活性な化合物若しくは組成物(例えばアジュバント、希釈剤、結合剤、安定化剤、緩衝物質、塩、親油性溶媒、保存料、アジュバントなど)の組み合わせを指す。担体にはまた、医薬的賦形剤及び添加剤、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、脂質及び炭水化物(例えば、糖(単糖類、二、三、四糖類、及びオリゴ糖;誘導糖、例えばアルジトール、アルドン酸、エステル化糖など;及び多糖類又は糖ポリマーを含む)が含まれ、前記は単独又は組み合わされて存在することができ、単独又は合計して重量又は体積で1−99.99%含まれる。例示的なタンパク質賦形剤には、血清アルブミン、例えばヒト血清アルブミン(HSA)、組換えヒトアルブミン、ゼラチン、カゼインなどが含まれる。代表的なアミノ酸/抗体成分(前記はまた緩衝能として機能することができる)には、例えばアラニン、グリシン、アルギニン、ベタイン、ヒスチジン、グルタミン酸、アスパラギン酸、システイン、リジン、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、フェニルアラニン、アスパルタームなどが含まれる。炭水化物の賦形剤もまた本発明の範囲として意図され、その例には単糖類(例えばフラクトース、マルトース、ガラクトース、グルコース、D-マンノース、ソルボースなど);二糖類(例えばラクトース、シュクロース、トレハロース、セロビオースなど);多糖類(例えばラフィノース、メレジトース、マルトデキストリン、デキストラン、デンプンなど);及びアルジトール(例えばマンニトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、キシリトール、ソルビトール(グリシトール)及びミオイノシトール)が含まれるが、ただしこれらに限定されない。担体という用語にはさらに緩衝物質又はpH調節剤が含まれる。典型的には前記緩衝物質は、有機酸又は塩基から調製される塩である。代表的な緩衝物質には、有機酸塩(例えばクエン酸、アスコルビン酸、グルコン酸、炭酸、酒石酸、コハク酸、酢酸又はフタル酸の塩);トリス、トロメタミンヒドロクロリド又はリン酸緩衝剤が含まれる。さらに別の担体にはポリマー系賦形剤/添加剤(例えばポリビニルピロリドン、フィコール(ポリマー糖)、デキストレート(例えばシクロデキストリン、例えば2-ヒドロキシプロピル-クォドラチャ-シクロデキストリン)、ポリエチレングリコール、香料、抗菌剤、甘味料、制菌剤、界面活性剤(例えばポリソルベート(例えば“トゥイーン20”及び“トゥイーン80”)、脂質(例えばリン脂質、脂肪酸)、ステロイド(例えばコレステロール)、及びキレート剤(例えばEDTA)が含まれる。
【0020】
本明細書で用いられる、“コントロール”という用語は、比較の目的のために実験で用いられる代替対象物又はサンプルを指す。コントロールは“陽性”でも“陰性”でもあり得る。
本明細書で用いられる、“有効量”という用語は、有益な結果又は所望される結果を達成するために十分な量を指す。有効量は、1回又は2回以上の投与、適用又は投薬で与えることができる。
本明細書で用いられる、“エピトープ”という用語は、抗体又は抗原レセプターによって認識される抗原又は抗原フラグメント上の部位である。T細胞エピトープは、適切な主要組織適合性(MHC)タンパク質によって提示されるタンパク質抗原に由来する短いペプチドである。B細胞エピトープは、一般的にはB細胞によって認識される抗原決定基であり、抗体によって認識される三次元表面の通常的部分である。前記は当業者には理解されるように、連続的又は構造的決定基を含むことができる。
IgG抗体はパパイン消化によって3つのフラグメントに切断することができる。これらフラグメントの2つは、典型的には同一の抗原結合フラグメント(“Fab”と称され、各々はただ1つの抗原結合部位を有する)であり、残りは“Fc”フラグメントである。Fabフラグメントは、鎖間ジスルフィド結合によって一緒に保持された軽鎖及び重鎖のアミノ末端側半分を含む。Fcフラグメントは、2つの重鎖のカルボキシ末端側の半分から成り、前記は残留しているヒンジ領域によって互いにジスルフィド結合により結合されている。IgG抗体のペプシン消化は、パパインとおおまかに同じような抗体の領域で切断するが、ジスルフィド結合のカルボキシ末端側で切断して(Fab')2フラグメントを生じる。前記は2つの抗原結合部位を有し、なお抗原を架橋することができる。Fab'フラグメントは、抗体のヒンジ領域に由来する1つ以上のシステインを含む数残基が、重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端に付加されているという点でFabフラグメントと相違する。Fab'-SHはFab'のための呼称であり、Fab'-SHでは定常ドメインのシステイン残基が遊離チオール基を有している。
【0021】
本明細書で用いられる、“Fv”という用語は、完全な抗原認識部位及び結合部位を含む最小の抗体フラグメントを指す。2鎖Fv種では、この領域は、非共有結合した1つの重鎖及び1つの軽鎖可変ドメインのダイマーを含む。単鎖Fv種では、1つの重鎖及び1つの軽鎖可変ドメインは、二鎖Fv種のダイマー構造と類似の“ダイマー性”構造で軽鎖及び重鎖が結合できるように、可撓性ペプチドリンカーによる共有結合によって連結され得る。
本明細書で用いられる、“ヘテロ抗体”という用語は、一緒に連結された2つ以上の抗体、抗体結合フラグメント(例えばFab)、その誘導体、又は抗原結合部位であって、少なくとも2つが異なる抗原特異性を有するものを指す。
本明細書で用いられる、“インターフェロンアルファ”(“INFα”)は、先天性免疫の主要エフェクターのいくつかを含むタンパク質ファミリーを指す。少なくとも15の公知のヒトINFαのアイソタイプが存在する。INFαタンパク質サブタイプの名称及び対応するコード遺伝子を下記に列挙する。
IFNαタンパク質サブタイプ 対応するIFNα遺伝子
A 2a
2 2b
B2 8
C 10
D(Val114) 1
F 21
G 5
H2 14
I 17
J1 7
K 6
4a 4a
4b 4b
WA 16
1(Ala114) 1
【0022】
以下を参照されたい(Pestka et al. 1997, “Interferon Standardization and Designations” J Interferon Cytokine Res 17:Supplement 1, S9-S14)。IFNαB2は、ときにまたINFαBと称されるが、IFNβと混同してはならない。白血球由来の天然のIFNα(白血球IFN)は、これらの組換えヒトIFNαタンパク質と同様にPBL Biomedical Labs(Piscataway, NJ(Interferonsource.com))から入手できる。天然のIFNαはIFNαサブタイプの複雑な混合物である。IFNβは、本明細書で用いられる天然のIFNα調製物では検出されなかった。これらインターフェロンの検出及び定量方法、例えばELISA及びRIAは当分野では公知である(以下を参照されたい:Staehelin et al. 19981, Methods in Enzymology 79 (S. Pestka, ed.), Academic Press, NY 589-595;Kelder et al. 1986, Methods in Enzymology 119 (S. Pestka, ed.), Academic Press, NY 582-587;Stewart (2003) 上掲書;Bennett et al. 2003, J Exp Med 197(6):711-723;Baechler et al. 2003, Proc Natl Acad Sci USA 100(5):2610-2615)。
本明細書で用いられる、“IFNα産生細胞”という用語は、IFNα産生に応答し得る特殊化された白血球を指す。この白血球は、二重鎖RNA(dsRNA)、ウイルス、細菌、原虫、ある種の細胞株及び非メチル化CpG-DNAによって幅広く誘発される(Ronnblom & Alm (2004) J Exp Med 194(12):F59-F63)。
本明細書で用いられる、“IFN関連症状又は疾患”という用語は、患者血清中のIFNαレベルの上昇と連関する、異常で有害な症状又は前臨床的症状を指す。そのようなものの例には、SLE、対宿主性移植片秒(GVHD)、1型糖尿病、エイズ(ヒト免疫不全ウイルス(HIV)によって引き起こされる)、自己免疫甲状腺炎、乾癬及び狼瘡が含まれるが、ただしこれらに限定されない。IFNαレベルの測定方法は当分野で公知であり、本明細書でも述べる。
【0023】
本明細書で用いられる、“免疫応答”という用語は、外来物質に対するリンパ球の抗原特異的応答を指す。免疫応答を誘引することができるいずれの物質も“免疫原性”であると考えられ、“免疫原”と称される。全ての免疫原が抗原であるが、ただし全ての抗原が免疫原性であるとは限らない。免疫応答は液性(抗体活性を介する)でも又は細胞媒介性(T細胞活性化を介する)でもあり得る。
本明細書で用いられる、“免疫学的結合”及び“免疫学的結合特性”という用語は、免疫グロブリン分子とこの免疫グロブリンが特異性を示す抗原との間で生じる非共有結合性相互作用の型を指す。免疫学的結合性相互作用の強度又は親和性は、前記相互作用の解離定数(Kd)の関係で表現することができる。この場合、より小さなKdはより強い親和性を表す。選択したポリペプチドの免疫学的結合特性は当分野で周知の方法を用いて定量することができる。そのような方法の1つは、抗原結合部位/抗原複合体の生成速度及び解離速度を測定することを必要とし、この場合これら速度は、複合体のパートナーの濃度、前記相互作用の親和性、及び両方向の速度に等しく影響を与える幾何学的パラメーターに左右される。したがって、“オン速度定数”(Kon)及び“オフ速度定数”(Koff)は両方とも、当分野で周知のように濃度並びに実際の結合及び解離速度の計算によって決定することができる。Koff/Kon比は、親和性とは無関係の全てのパラメーターの末梢を可能にし、したがって解離定数Kdと等しい(例えば以下を参照されたい:Coligan et al. 1999, Current Protocols in Immunology, Wiley, NY)。
本明細書で用いられる、“単離された”という用語は、その天然の環境の成分から識別され、分離され及び/又は回収された抗体を指す。その天然の環境の夾雑成分は、前記抗体の診断的又は治療的使用を妨げ得る物質であり、酵素、ホルモン及びタンパク質性又は非タンパク質性溶質が含まれ得る。好ましい実施態様では、前記抗体は、(1)Lowryの方法で決定したとき抗体の95重量%を超えて、もっとも好ましくは99重量%を超えて、(2)回転カップシークェネーター(spinning cup sequenator)の使用によってN-末端又は内部アミノ酸配列の少なくとも15残基を得るために十分な程度に、又は(3)還元又は非還元条件下のSDS-PAGEでクーマシーブルー染色又は好ましくは銀染色によって均質な程度に精製されるであろう。単離された抗体には組換え細胞内にin situで存在する抗体が含まれる。なぜならば、抗体の天然の環境の少なくとも1つの成分が存在しないからである。しかしながら通常的には、単離抗体は少なくとも1つの精製工程によって調製することができる。モノクローナル抗体並びにその変種及び誘導体は単離抗体と考えられる。
【0024】
本明細書で用いられる、“アイソタイプ”という用語は、それらの重鎖定常ドメインのアミノ酸配列を基準にした抗体クラスを指す。免疫グロブリンには5つの主要なアイソタイプ(IgA、IgD、IgE、IgG及びIgG)が存在し、これらのいくつかは、さらにサブクラス(例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2)に分割され得る。
“狼瘡”はいくつかの疾患又は異常を指す。“全身性紅斑性狼瘡”(SLE)は身体の多くの部分が影響を受け得る疾患形態である。SLEの症状は軽度から重篤なものまであり、ここで概略する。“円板状紅斑性狼瘡”は慢性の皮膚疾患で、赤色の隆起した発赤が顔面、頭皮又は他の場所に出現する。隆起領域は肥厚し、落屑として剥がれ、瘢痕を形成し得る。発赤は数日又は数年続き、さらに再発し得る。円板状狼瘡の患者では低いパーセンテージで後にSLEを発症する。“亜急性紅斑性皮膚狼瘡”は太陽に暴露された身体の部分に出現する皮膚病巣を指す。“薬剤誘発狼瘡”はある種の医薬によって生じる狼瘡の一形態である。症状はSLEの症状と類似し(関節炎、発赤、発熱及び胸部痛)、それら症状は薬剤を中止したとき典型的には消失する。腎臓及び脳がまれに冒される。“新生児狼瘡”は稀な疾患で、SLE、ショーグレン症候群の婦人又は全く病気ではない婦人の新生児で発生し得る。さらに前記疾患は、母親の血液中に抗Ro(SSA)及び抗La(SSB)と称される自己抗体を生じ得る。出生時に赤児は典型的には皮膚発赤、肝臓の問題、低血球を示す。
本明細書で用いられる、“医薬的に許容できる担体”という用語は、標準的な医薬的担体、例えばリン酸緩衝食塩水溶液、水及び乳濁液(例えば油中水又は水中油乳濁液)、および種々のタイプの湿潤剤のいずれも包含されることを意味する。前記組成物にはまた安定化剤、保存料及び上記記載の任意の担体が含まれるが、ただしそれらがin vivoでの使用について許容できることを更なる条件とする。担体、安定化剤及びアジュバントの例については以下を参照されたい:Martin Remington's Pharm. Sci., 18th Ed., Mack Publ. Co, Easton, PA (1995);及び”Physician's Desk Reference”, 58th ed., Medical Economics, Montvale, NJ (2004)。
【0025】
本明細書で用いられる、“選択的に中和する”という用語は、1つ以上の“IFNα” タンパク質サブタイプの生物活性の少なくとも40%を選択的に中和するが、別のIFNαタンパク質サブタイプの少なくとも1つは顕著には中和しない単離及び精製された抗体を指し、ここで前記生物活性はMxAプロモーターの活性化又は抗ウイルス活性である。異なるサブタイプのIFNαは機能が変化するので、INFαの特定の形態を選択的に中和して、特定の機能を制御することは有益である。本発明の1つ以上の抗体はIFNαに特異的であるが、前記はまた1つ以上のサブタイプに対して“選択的”であり、他のものに対しては選択的ではない。1つ以上のIFNαタンパク質サブタイプ、例えばA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4bを選択的に中和するために、例えばDサブタイプ上の抗原性エピトープと顕著には交差反応しないIFNα上の1つ以上の抗原性エピトープを、本明細書に開示するように特定し、単離し、性状を調べ、さらに精製した。
本明細書で用いられる、“顕著には中和しない”という用語は、指定したIFNαサブタイプ(又はIFNβ)の生物活性の40%未満を中和する抗体を指し、ここで前記生物活性は、本明細書に記載の条件にしたがってMxAレポーター遺伝子アッセイ(RGアッセイ)又は細胞障害作用アッセイ(CPEアッセイ)によって測定される。いくつかの実施態様では、本発明の抗体は、指定のIFNαサブタイプの生物活性の35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、2%より多くを、又は1%より多くすら顕著に中和することはない。
本明細書で用いられる、“対象者”という用語は、脊椎動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトを指す。哺乳動物には、げっ歯類、サル、ヒト、畜産動物、ウマ、イヌ及びネコが含まれるが、ただしこれらに限定されない。
【0026】
従来のSLE治療は対症的であり、全体的な免疫抑制を誘発する。これらにはグルココルチコイド、シクロホスファミド、アザチオプリン及びミコフェノレート・モフェチルが含まれる。それらの有効性はほんの部分的であり、さらに望ましくない副作用、例えば感染に対する感受性の増加は一般的である。したがって、SLE患者でIFNαを特異的に中和することは、前記疾患の病理発生を制御するために魅力的な構想である。pDCによるIFNαの非制御大量産生は前記疾患周期の永続に重大な役割を演じているので、特異的MAbによるブロッキングを用いてIFNα生物活性を中和することは、病原体に対して効果的な免疫応答をしかける患者の能力を損なわない標的誘導治療薬を提供する。IFNαに対する望ましいMAb候補物質には以下を含む特別な性状が要求される:(i)SLEの病因に中心的に関与するヒトIFNαの大半又は全てと反応する能力;(ii)そのようなIFNαサブタイプの生物学的活性を阻止する能力;(iii)IFNβまたはIFNARのいずれかのブロッキング不能性;及び/又は(iv)高い親和性。IFNARではなくIFNαの中和はまた、より安全でより特異的な治療薬を提供し得る。なぜならば、このアプローチは、IFNαと同じレセプターを利用するIFNβシグナリング経路の抗ウイルス作用に影響を与えないであろう。この目的のために、本発明はまた、ヒトIFNαを中和することができる一連のモノクローナル抗体(MAb)を提供する。例えば、これら抗IFNα MAbの2つは、13の組換えIFNαサブタイプの生物活性を、ウイルス感染に際して精製されるIFNの2つの複合混合物の生物活性同様に阻止することができる。ある特徴では、本発明はヒトIFNαを様々に中和する7つのMAbを提供し、そのうちの3つは、13の組換えIFNαサブタイプ及び複合IFNα混合物(市場で入手可能な白血球IFN及びインフルエンザウイルスによるPBMCの感染時に生成された上清)を顕著に中和する。前記MAbのうちの2つ、ACO-1及びACO-2はまた、マイクロアレイ解析でIFNαシグナチャーを示すSLE患者由来血清の生物活性を常に阻止する。ACO-1及びACO-2はIFNαサブタイプD及び1の生物活性は顕著には中和しないが、SLE血清のIFNα生物活性は確かに中和するので、これらのサブタイプがSLEの病因として重大な意味をもつとは考えられない。したがって、ACO-1及びACO-2(前記はSLEに付随するIFNαサブタイプの生物活性を阻止するが、SLEとは明瞭な付随を示さないIFNαタンパク質サブタイプ(D及び1)の生物活性は阻止しない)のヒト化又は非抗原性(例えば脱免疫化)変種のような抗体を用いて、SLEを治療することが所望され得る。
【0027】
本発明はまた、インターフェロンアルファ(“IFNα”)タンパク質サブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4b及びWAから成る群から選択される少なくとも2つのIFNαタンパク質サブタイプの生物活性を選択的に中和するが、INFαタンパク質サブタイプDの少なくとも1つの生物活性は顕著には中和しない抗体を提供する。ここで前記生物活性は、例えばMxAプロモーターの活性化及び/又は抗ウイルス活性である。別の特徴では、本発明は、インターフェロンアルファ(“IFNα”)タンパク質サブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4b及びWAから選択される少なくとも1つのタンパク質サブタイプの異常な発現を伴う疾患又は症状を、INFαタンパク質サブタイプDの抗ウイルス活性を中和することなく対象者で治療する方法を提供する。前記方法は、前記対象者に本明細書に記載する1つ以上の抗体の有効量を投与することを含む。そのような抗体の例には、ACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4、ACO-5、ACO-6と称される抗体、並びに前述の抗体のいずれかと本質的に同じIFNαエピトープを認識する抗体が含まれるが、ただしこれらに限定されない。好ましくは、前記抗体はモノクローナル抗体である。これらのモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞株のATCC寄託番号は下記に列挙される。したがって、本発明はさらに、ACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4、ACO-5、ACO-6、及びACO-8抗体を発現するハイブリドーマ細胞株を提供する。
ある特徴では、本発明は、ACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4、ACO-5、及びACO-6から成る群から選択される抗体と本質的に同じIFNαエピトープと結合する抗体を提供する。本発明はさらに、そのような抗体を発現する細胞株、例えばハイブリドーマを提供する。
また別の実施態様では、本発明は、IFNαタンパク質サブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4b及びWAから選択される少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14のIFNαタンパク質サブタイプの生物活性を中和するが、INFαタンパク質サブタイプDの少なくとも1つの生物活性は中和しない抗体を提供する。ここで前記生物活性はMxAプロモーターの活性化又は抗ウイルス活性である。本発明はさらにそのような抗体を発現するハイブリドーマ細胞株を提供する。
IFNαタンパク質サブタイプ1の少なくとも1つの生物活性を中和しないモノクローナル抗体が提供され、ここで前記生物活性はMxAプロモーターの活性化及び/又は抗ウイルス活性である。
【0028】
また別の特徴では、本発明は、IFNαタンパク質サブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、K、4a、4b及びWAの生物活性を選択的に中和するが、INFαタンパク質サブタイプD及び1の生物活性は顕著には中和しないモノクローナル抗体を提供し、ここで前記生物活性はMxAプロモーターの活性化及び/又は抗ウイルス活性である。他の実施態様はACO-1及びACO-2を含む。
さらに別の特徴では、本発明は、IFNαタンパク質サブタイプA、2、B2、C、I、K及び4aの生物活性を選択的に中和するが、INFαタンパク質サブタイプD、F、G、4b及び1の生物活性は顕著には中和しないモノクローナル抗体を提供し、ここで前記生物活性はMxAプロモーターの活性化及び/又は抗ウイルス活性である。そのような実施態様のあるものはACO-3細胞及びその誘導体によって生成されるACO-3抗体である。
さらに別の特徴では、本発明は、IFNαタンパク質サブタイプA、2、B2及びCの生物活性を選択的に中和するが、INFαタンパク質サブタイプD、4b及び1の生物活性は顕著には中和しない抗体を提供し、ここで前記生物活性はMxAプロモーターの活性化及び/又は抗ウイルス活性である。そのような実施態様のあるものはACO-4細胞及びその誘導体によって生成されるACO-4抗体及びその誘導体である。
また別の特徴では、本発明の抗体は、INFα 4aの生物活性を選択的に中和するが、INFα 4bは選択的に中和せず、ここで前記生物活性はMxAプロモーターの活性化である。これら抗体の例は、ACO-3及びACO-4と称される抗体及びその誘導体であり、前記は、例えばACO-3及びACO-4細胞、並びにその誘導体によってそれぞれ生成される。
さらにまた別の特徴では、本発明は、IFNαタンパク質サブタイプA、2、G、I、K、WA及び1の生物活性を選択的に中和するが、INFαタンパク質サブタイプB2及びDの生物活性は顕著には中和しないモノクローナル抗体を提供し、ここで前記生物活性はMxAプロモーターの活性化及び/又は抗ウイルス活性である。そのような実施態様のあるものはACO-5抗体及びその誘導体であり、前記は、例えばACO-5細胞及びその誘導体によって生成される。
【0029】
さらに別の実施態様では、本発明は、IFNαタンパク質サブタイプ2及びCの生物活性を選択的に中和するが、INFαタンパク質サブタイプA、B2、C、D、F及び1の生物活性は中和しないモノクローナル抗体を提供し、ここで前記生物活性はMxAプロモーターの活性化である。例は、ACO-6細胞及びその誘導体によって生成されるACO-6抗体及びその誘導体である。
さらに別の特徴では、本発明は、IFNαタンパク質サブタイプA、2、B2、D、F、I、4a、4b及び1の生物活性を選択的に中和するが、INFαタンパク質サブタイプC、H2、K及びWAの生物活性は顕著には中和しないモノクローナル抗体を提供し、ここで前記生物活性はMxAプロモーターの活性化である。例は、ACO-8細胞及びその誘導体によって生成されるACO-8抗体及びその誘導体である。
本発明のモノクローナル抗体はまた、ヒト化抗体、ヒト抗体、キメラ抗体、抗体フラグメント(例えばFabフラグメント、F(ab')2フラグメント、Fab'フラグメント又は当業者に公知の任意の他のフラグメント)を含む。ある例では、前記抗体はヒト化キメラ抗体である。
さらにまた別の実施態様では、本発明はハイブリドーマ細胞株を作成する方法を提供する。前記方法は、例えば、組換えIFNαサブタイプA、B2及びFを含む組成物で哺乳動物を免疫し;前記哺乳動物の脾細胞をミエローマ細胞株と融合させてハイブリドーマを作成し;さらにIFNαタンパク質サブタイプ2、C、G、I、J1、K、4a、4b及びWA並びに1から成る群から選択される1つ以上のIFNαタンパク質サブタイプを選択的に中和するが、IFNαタンパク質サブタイプDは選択的に中和しないモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞株を同定することによる。
本明細書で用いられる、“中和する”という用語は、RG、CPE又は本明細書で規定する単球分化アッセイで測定したとき、IFNαタンパク質サブタイプの1つ以上の生物学的活性を少なくとも40%阻害する抗体の能力を指す。例えば、前記抗体は、IFNαタンパク質サブタイプの生物学的活性の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%又は100%を中和する。IFNαの生物学的活性には、MxAプロモーターの転写活性化(例えば下記の“RG”アッセイを参照されたい)、抗ウイルス活性(例えば細胞障害作用(“CPE”)アッセイ、及び単球を樹状突起細胞に分化させるSLE血清の能力が含まれる。RGアッセイ及びCPEアッセイを用いる%中和を決定する方法は、本明細書で述べる。
【0030】
本明細書で用いられる、“中和しない”又は“顕著には中和しない”という語句は、IFNαタンパク質サブタイプの生物学的活性の40%未満しか中和しない抗体を指し、この場合、添加される抗体の中和作用は、RG、CPE又は単球分化アッセイによって測定される。例えば、前記抗体は、生物活性の35%未満、又は30%未満、又は25%未満、又は20%未満、又は15%未満、又は10%未満、又は8%未満、又は5%未満、又は3%未満しか、又は1%未満さえも中和しない。
本発明の抗体は抗体変種、誘導体又はフラグメントでもよい。ある特徴では、抗体は単離される。別の特徴では、抗体は適切な担体と一緒にされる。抗体は、任意の供給源(マウス、ラット、サル)から単離されるか、又は組換えによって生成することができる。マウスモノクローナル抗体の例は、ACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4、ACO-5、ACO−6及びACO-8と称される抗体である。さらにまた本発明によって提供されるものは、これらモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞株であり、前記は単独で、担体と一緒に、又は培養として提供される。
さらにまた本発明によって提供されるものは、抗体、その変種、誘導体又はフラグメント(免疫グロブリン鎖及びCDRを含むが、ただしこれらに限定されない)を含むポリペプチドである。前記ポリペプチドは、好ましくは、上記に記載したように同じ又は同様な親和性及び/又は能力でIFNαと結合し、これを阻害し及び/又はこれを中和する。
本発明はさらに、抗体ACO-1からACO-6又はACO-8のいずれかと反応する抗イディオタイプ抗体を提供する。抗イディオタイプ抗体は、単一の抗体の固有の抗原決定基に対して作成される抗体である。抗イディオタイプ抗体は、免疫アッセイ及び他の適用で結合した抗体を検出するために有用である。本発明の抗イディオタイプ抗体は、任意の哺乳動物、例えばヒト、マウス、ウサギ、ラット、げっ歯類、霊長類など(ただしこれらに限定されない)を含むことができ、又はこれらから誘導することができる。
【0031】
上記抗体の1つ以上をさらに担体、医薬的に許容できる担体、又は抗体の使用に適切な医療装置、又は診断若しくは治療方法に関連する組成物と組み合わせることができる。前記担体は、液相担体又は固相担体、例えばビーズ、ゲル又は担体分子(例えばリポソーム)でもよい。前記組成物は、さらに場合によって少なくとも1つの別の化合物、タンパク質又は組成物を含むことができる。“担体”のまた別の例には、治療的に活性な物質、例えばまた別のペプチド又はタンパク質(例えばFabフラグメント、J-鎖、また別の抗体、毒素など)が含まれる。例えば、本発明の抗IFNα抗体、その変種、誘導体又はフラグメントは、1つ以上の他の分子実体、例えばまた別の抗体(例えば二特異性又はマルチ特異性抗体を作成するため)、細胞毒素、細胞性リガンド又は抗原と機能的に連結させることができる(例えば化学的結合、遺伝的融合、非共有結合性結合などによる)。したがって、本発明は、大量の多様な抗体共役物、二特異性及びマルチ特異性分子、及び融合タンパク質を、それらが本発明の抗体と同じエピトープを標的とするか否かに関わらず包含する。
担体のさらにまた別の例は、本発明の抗体に共有結合により、直接的に、又は間接的に結合させることができる有機分子(改変物質とも称される)又は活性化物質である。前記分子の結合は、薬理学的動態における特性を改変させることができる(例えばin vivo血中半減期の増加)。有機分子の例には、親水性ポリマー基、脂肪酸基又は脂肪酸エステル基が含まれるが、ただしこれらに限定されない。本明細書で用いられる、“脂肪酸”という用語は、例えば一カルボン酸及び二カルボン酸を指す。本明細書で用いられる、“親水性ポリマー基”という用語は、オクタンよりも水でより可溶性である有機ポリマーを指す。
本発明の抗体を改変するために適した親水性ポリマーは直鎖状でも分枝していてもよく、例えばポリアルカングリコール(例えばポリエチレングリコール(PEG)、モノメトキシ-ポリエチレングリコール(mPEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)など)、炭水化物(例えばデキストラン、セルロース、オリゴ糖、多糖類など)、親水性アミノ酸のポリマー(例えばポリリジン、ポリアルギニン、ポリアスパルテートなど)、ポリアルカンオキシド(例えばポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドなど)、及びポリビニルピロリドンが含まれる。本発明の抗体とともに使用するために適切な親水性ポリマーは、分離した分子本体として、例えば約800から約150,000ダルトンの分子量を有することができる。親水性ポリマー基は、1つから約6つのアルキル、脂肪酸又は脂肪酸エステル基で置換することができる。脂肪酸又は脂肪酸エステル基で置換される親水性ポリマーは、適切な方法を用いることによって調製することができる。例えば、アミン基を含むポリマーは、脂肪酸又は脂肪酸エステルのカルボキシレートとカップリングさせることができ、さらに脂肪酸又は脂肪酸エステルの活性化されたカルボキシレート(例えばN,N-カルボニルジイミダゾールで活性化される)は、ポリマーのヒドロキシル基とカップリングさせることができる。
【0032】
本発明の抗体を改変するために適切な脂肪酸及び脂肪酸エステルは飽和していても、又は1つ以上の不飽和ユニットを含んでいてもよい。そのようなものの例には、n-ドデカノエート、n-テトラデカノエート、n-オクタデカノエート、n-エイコサノエート、n-ドコサノエート、n-トリアコンタノエート、n-テトラコンタノエート、cis-δ-9-オクタデカノエート、全てのcis-δ5,8,11,14-エイコサテトラエノエート、オクタン二酸、テトラデカン二酸、オクタデカン二酸、ドコサン二酸などが含まれるが、ただしこれらに限定されない。適切な脂肪酸エステルには、直鎖状又は分枝低級アルキル基を含む二カルボン酸のモノエステルが含まれる。前記低級アルキル基は、1つから約12、好ましくは1つから約6つの炭素原子を含むことができる。
さらにまた別の特徴では、本発明は、トランスジェニック非ヒト動物、例えばトランスジェニックマウス(本明細書ではまた“ヒトMAbマウス”と称される)を提供し、前記は、上記に規定した本発明の抗体に類似する、少なくとも1つのIFNαタンパク質サブタイプを中和する完全にヒトのモノクローナル抗体を発現する。具体的な実施態様では、トランスジェニック非ヒト動物は、本発明の抗アルファV抗体の全て又は一部分をコードするヒト重鎖トランスジーン及びヒト軽鎖トランスジーンを含むゲノムを有するトランスジェニックマウスである。ヒト抗体を生成するために、トランスジェニック非ヒト動物を、IFNαタンパク質サブタイプA、B及びFの精製又は濃縮調製物で免疫することができる。トランスジェニック非ヒト動物の例は、例えばIFNαに対するヒトモノクローナル抗体の多数のアイソタイプ(例えばIgG、IgA及び/又はIgM)を、V-D-J組み換えおよびアイソタイプスイッチングを経ることによって生成することができるトランスジェニックマウスであり得る。アイソタイプスイッチングは、例えば古典的又は非古典的アイソタイプスイッチングによって生じ得る。
【0033】
したがって、また別の実施態様では、本発明は、上記に記載のトランスジェニック非ヒト動物(例えばトランスジェニックマウス)に由来するか又は前記から単離された、ヒトの抗体を発現する単離細胞を提供する。続いて、前記単離B細胞を不朽化細胞と融合させることによって不朽化し、ヒト抗体の供給源(例えばハイブリドーマ)を提供することができる。これらのハイブリドーマもまた本発明の範囲内に含まれる。
本発明はさらに、細胞、組織、動物又は患者で、及び/又は関連症状の前後又はその最中に、当分野で公知のように、及び/又は本明細書で記載するように、少なくとも1つのIFNα関連症状を診断するための少なくとも1つの抗体による方法又は組成物を提供する。それらはまた、予後又は疾患の進行のモニターのために用いられる。
さらにまた提供されるものは、本発明の少なくとも1つの抗INFα抗体、その変種、誘導体又はフラグメントを含む組成物であり、前記は、細胞、組織、動物又は患者で、及び/又は関連症状の前後又はその最中に、当分野で公知のように、及び/又は本明細書に記載するように、IFNα付随症状の調節又は緩和のために、又は少なくとも1つのIFNα関連症状の治療のために有効量で投与するために適している。前記組成物には、例えば医薬用及び診断用組成物/キットが含まれ、これらは、医薬的に許容される担体及び少なくとも1つの本発明の抗IFNα抗体、その変種、誘導体又はフラグメントを含む。上記で述べたように、前記組成物はさらに、併用により個々に調整された複数の治療を提供して最大限の治療利益を提供することができる別の抗体又は治療薬を含むことができる。
また別には、本発明の組成物は、他の治療薬及び細胞毒性薬剤と(前記とリンクしているか、又は同じ投薬で投与されるかにかかわらず)一緒に投与することができる。前記は、そのような薬剤と同時に投与してもよく(例えば単一の組成物として又は別々に)、又はそのような薬剤の前後に投与してもよい。そのような薬剤には、コルチコステロイド、非ステロイド系免疫抑制剤、抗マラリア薬、及び非ステロイド系抗炎症剤が含まれ得る。前記組成物は、代替療法(例えばコルチコステロイド、非ステロイド系免疫抑制剤、抗マラリア薬、及び非ステロイド系抗炎症剤の投与)と併用することができる。
【0034】
また別の特徴では、本発明は、インターフェロンアルファ(“IFNα”)タンパク質サブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4b及びWAから成る群から選択される少なくとも2つのタンパク質サブタイプの生物活性を選択的に中和するが、INFαタンパク質サブタイプDの少なくとも1つの生物活性は中和しない方法を提供する。ここで前記生物活性はMxAプロモーターの活性化又は抗ウイルス活性である。前記方法は、前記サブタイプを含むと考えられるサンプルを、前記サブタイプを選択的に中和するモノクローナル抗体と接触させることを必要とする。そのような抗体の例にはACO-1、ACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4、ACO-5及びACO-6と称される抗体が含まれるが、ただしこれらに限定されない。
本発明によって多様な治療法が提供される。例えば、本明細書は、インターフェロンアルファ(“IFNα”)タンパク質サブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4b及びWAから成る群から選択される少なくとも1つのタンパク質サブタイプの異常な発現に付随する症状を、前記サブタイプを選択的に中和する有効量の抗体を対象者に投与することによって、INFαタンパク質サブタイプD及び1と結合することなく対象者で緩和する方法を開示する。そのような例は上記で提供される。
本発明は、インターフェロンアルファ(“IFNα”)タンパク質サブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4b及びWAから成る群から選択される少なくとも1つのタンパク質サブタイプの異常な発現をもたらす疾患又は症状を、前記サブタイプを選択的に中和する有効量の抗体を対象者に投与することによって、INFαタンパク質サブタイプD及び1と結合することなく対象者で治療する方法を提供する。そのような例は上記で提供される。さらにまた提供されるものは、組換えIFNαサブタイプA、B2及びFを含む組成物を哺乳動物に投与することによる免疫方法である。別の実施態様では、前記免疫方法は、本質的にIFNαサブタイプA、B2及びF、医薬的に許容できる担体、並びに場合によって1つ又は2つ以上のアジュバントから成る組成物を哺乳動物に投与することを含む。また別の特徴では、免疫によって、IFNαタンパク質サブタイプA、B2及びFを中和するが、IFNαタンパク質サブタイプD及び1は中和しない抗体が生じる。さらに別の特徴では、本発明及び組成物はIFNα 4aを中和するが、IFNα 4bは中和しない(例えばACO-3)。
【0035】
in vivoで使用する場合、本発明の抗体及び組成物は、治療的に有効な投与量で患者に投与又はデリバーされ、選択したINFαサブタイプを中和する。さらにまた、本発明の有効量の抗体又は組成物を投与又はデリバーして、INFα関連症状(例えばSLE、糖尿病、乾癬又はエイズ)を、抗体を基剤とする臨床用生成物のための任意の適切な投与ルートを用いて対象者で治療又は緩和することができる。多くのルートが当分野で公知であり、例えば注射又は輸液である、
投薬形:本発明の抗体を使用するための投与ユニットは単一化合物でも又は他の化合物を含む前記の混合物でもよい。前記化合物は一緒に混合するか、イオン結合させるか又は共有結合さえ形成させることもできる。本発明の1つ以上の抗体を、経口、静脈内(ボーラス又は輸液として)、腹腔内、皮下、又は筋肉内形で投与することができ、いずれも製薬業者に周知の剤形が用いられる。具体的なデリバリーの場所又は方法に応じて、種々の剤形、例えば錠剤、カプセル、ピル、散剤、顆粒、エリキシル、チンキ剤、懸濁剤、シロップ、及び乳濁剤を用いて、本明細書に記載したある種のINFαサブタイプの中和を含む治療の必要がある患者に本発明の抗体を提供することができる。前記抗体は一般的には疎水性であるが、公知のいずれの塩の形態でも投与することができる。
抗体は、典型的には、意図される投与形態にしたがい、さらに通常の製薬慣行に応じて選択した適切な医薬用の塩、緩衝物質、希釈剤、膨張剤、賦形剤及び/又は担体(本明細書では包括的に医薬的に許容できる担体又は担体物質と称する)との混合物として投与される。経口、直腸、局所、静脈内注射又は非経口的投与用の具体的な形態に対して例えば最大及び/又は一定の投与量を提供するために、投与に最良の場所に対応して抗体を処方することができる。抗体、例えばACO-1、ACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4、ACO-5、AOC-6及びACO-8のヒト化形は単独又は併用して、医薬的に許容できる担体中で投与することができる。前記担体は、選択した投与タイプ及び/又は投与場所に対応して、固体でも液体でもよい。
【0036】
本発明を用いて有用な剤形を製造する技術及び組成物は以下の参考文献の1つ以上に記載されている:Ansel, Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms, 2nd Edition (1976);Remington's Pharmaceutical Sciences, 17th ed., (Mack Publishing Company, Easton, PA 1985);Advances in Pharmaceutical Sciences (David Ganderton, Trevor Jones, Eds., 1992);Advances in Pharmceutical Sciences vol 7. (David Ganderton, Trevor Jones, James McGinity, Eds., 1995);Aqueous Polymeric Coatings for Pharmaceutical Dosage Forms (Drugs and the Pharmaceutical Sciences, Series 36 (James McGinity, Ed., 1989);Pharmaceutical Particulate Carriers: Therapeutic Applications: Drugs and the Pharmaceutical Sciences, vol 61 (Alain Rolland, Ed., 1993);Drug Delivery to the Gastrointestinal Tract (Ellis Horwood Books in the Biological Sciences. Series in Pharmaceutical Technology; J.G.Hardy, S.S. Davis, Clive G. Wilson, Eds.);Modern Pharmaceutics Drugs and the Pharmaceutical Sciences, vol 40 (Gilbert S. Banker, Christopher T. Rhodes. Eds.)及び本明細書に参照により取り込んだ関連する同様な部分。
本発明の抗体は、リポソームデリバリー系の形態で、例えば小さな単層薄膜小胞、大きな単層薄膜小胞及び多層薄膜小胞(荷電又は非荷電に関わらず)の形態で投与することができる。リポソームは、リン脂質(例えばコレステロール)、ステアリルアミン及び/又はホスファチジルコリン、その混合物などの1つ以上を含むことができる。
抗体はまた、薬剤担体として又はプロドラッグとして、1つ以上の可溶性で、生物分解性、生体許容性ポリマーと結合させることができる。そのようなポリマーには以下が含まれ得る:ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド-フェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルタ-ミデフェノール、又はパルミトイル残基で置換されたポリエチレンオキシド-ポリリジン、又は前記の混合物。さらにまた、抗体は、1つ以上の生物分解性ポリマーと結合させて、抗体の制御放出を達成することができる。本発明とともに用いられる生物分解性ポリマーには以下が含まれる:ポリ酢酸、ポリグリコール酸、ポリ酢酸及びポリグリコール酸のコポリマー、ポリエプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアシレート、並びにヒドロゲルの架橋又は両親媒性ブロックコポリマー、前記の混合物など。
【0037】
鼻道、洞、口、喉、食道、気管、肺、及び肺胞への直接デリバリーのためには、抗体はまた適切な鼻内ベヒクルの使用により鼻内形としてデリバーすることができる。皮膚及び経皮デリバリーのためには、抗体は、当業者に周知のようにローション、クリーム、油、エリキシル、血清、経皮用皮膚膏薬などを用いてデリバーすることができる。非経口形及び静脈内形はまた、選択した注射又はデリバリー系のタイプ(例えば緩衝溶液、等張溶液)に適合させるために、医薬的に許容できる塩及び/又は鉱物並びに他の物質を含むことができる。抗体の投与のために有用な医薬剤形の例には以下の形態が含まれる。
注射可能溶液:注射による投与に適した非経口組成物は、1.5重量%の活性成分を脱イオン水中で攪拌し、さらに例えば10容量%までのプロピレングリコール及び水と混合することによって調製される。前記溶液は塩化ナトリウムで等張にし、例えば超遠心を用いて滅菌される。滅菌注射溶液は、適切な溶媒中に必要な量の活性化合物を、必要に応じて上記に列挙した種々の他の成分とともに取り入れ、続いてろ過滅菌することによって調製される。一般的に、分散液は、種々の無菌的活性成分を基礎的な分散媒体含む無菌的ベヒクルに取り入れることによって調製される。無菌的注射溶液を調製するための無菌的散剤の事例では、乾燥粉末の有用な調製方法は、真空乾燥、噴霧凍結、加熱下の真空乾燥及び凍結乾燥技術を含み、前記は活性成分+任意の所望される(以前にろ過滅菌した溶液から得られる)追加成分を生じる。本発明の抗体は、注射可能な形態でミクロ粒子又はナノ粒子としてデリバーするか、又は肺デリバリー又は他のデリバリーを介してデリバーすることができる。
懸濁物:ある実施態様では、投与のために水性懸濁物は、各5mLが、例えば0.001−1,000mgの微細に分割された活性成分、200mgのカルボキシメチルセルロースナトリウム、5mgの安息香酸ナトリウム、1.0gのソルビトール溶液、及び食塩水(0.01、0.1、1、5又は10mL)を含むように調製することができる。
【0038】
有効用量の抗体は、湿潤/乾燥系の場合、約1.0μg/mLから約1000mg/mLの濃度が再構成に際して得られる量を含むが、ただし前記よりも低い又は高い濃度でも機能することが可能であり、意図されるデリバリーベヒクルに左右される。例えば、溶液の処方は、経皮膏薬、肺デリバリー、経粘膜デリバリー又は浸透圧ポンプ又はミクロポンプ法とは異なるであろう。
本発明の抗体を含む処方物が本明細書で提供される。本発明の処方物は、本発明の少なくとも1つの抗体及び以下から成る群から選択される保存料を水性希釈剤中で混合することを含むプロセスによって製造することができる:フェノール、m-クレゾール、p-クレゾール、o-クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、アルキルパラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、及びチメロサール又は前記の混合物。抗体と保存料の水性希釈剤中での混合は、通常の溶解及び混合方法を用いて実施される。例えば、所望の濃度の抗体及び保存料を提供するために十分な量で、緩衝溶液中の少なくとも1つの測定量の抗体を緩衝溶液中の所望の保存料と一緒にする。当業者はこのプロセスの変型を周知していよう。例えば成分を添加する順序、さらに別の添加物が用いられるか否か、処方物を調製する温度及びpHは、いずれも用いられる濃度及び方法のために最適化され得る因子である。
前記処方物は1つ以上の保存料又は安定化剤(例えばフェノール、m-クレゾール、p-クレゾール、o-クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、亜硝酸フェニル水銀、フェノキシエタノール、ホルムアルデヒド、クロロブタノール、塩化マグネシウム(例えばヘキサハイドレート)、アルキルパラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、及びチメロサール又は前記の混合物)を含むことができる。任意の適切な濃度又は混合物を、例えば0.001−5%、又は任意の範囲若しくはその中の値、例えば0.001、0.003、0.005、0.009、0.01、0.02、0.03、0.05、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.3、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9(ただし前記の値に限定されない)、又は任意の範囲若しくはその中の値を当分野で公知のように用いることができる。非限定的な例には、保存料なしか、又は例えば以下のような保存料が含まれる:0.1−2%のm-クレゾール(例えば0.2、0.3、0.4、0.5、0.9、1.0%)、0.1−3%のベンジルアルコール(例えば0.5、0.9、1.1、1.5、1.9、2.0、2.5%)、0.001−0.5%のチメロサール(例えば0.005、0.01%)、0.001−2.0%のフェノール(例えば0.05、0.25、0.28、0.5、0.9、1.0%)、0.0005−1.0%のアルキルパラベン(例えば0.00075、0.0009、0.001、0.002、0.005、0.0075、0.009、0.01、0.02、0.05、0.075、0.09、0.1、0.2、0.3、0.5、0.75、0.9及び1.0%)。
【0039】
前記組成物及び処方物は、透明な溶液として患者に提供されるか、又は2本のバイアルとして提供される。前記2本のバイアルは、水性希釈剤を含む第二のバイアルで再構成される凍結乾燥抗体のバイアルを含む。単一の溶液バイアルも又は再構成を必要とする2本のバイアルも何回も再使用することができ、1回又は複数回の患者の治療に十分であり、したがって現在利用可能な治療レジーメンよりも便利な治療方法を提供することができる。これらの単バイアル系を含む認知されている装置には、溶液デリバリー用のペンインジェクター装置、例えばBD Pens、BD Autojector、HumajectTM、NovoPenTM、B-DTMPen、AutoPenTM、OptiPenTM、GenotropinPenTM、Genotronorm PenTM、Humatro PenTM、Reco-PenTM、Roferon PenTM、BiojectorTM、J-tip Needle-Free InjectorTM、IntrajectTM、Medi-Ject(例えばBecton Dickensen(Franklin Lakes, NJ)、Bectondickenson.comで入手できる)によって作製又は開発されたもの)、Disetronic(Burgdorf, Switzerland; disetronic.comで入手できる);Bioject(Portland, Oregon; bioject.comで入手できる);National Medical Products, Weston Medical(Peterborough, UK; weston-medical.comで入手できる);Medi-jet Corp(Minneapolis, Minn.; mediject.comで入手できる)が含まれる。
本発明は、包装材及び少なくとも本発明の抗体溶液を含む少なくとも1つのバイアルを、(場合によって水性希釈剤中の)処方された緩衝液及び/又は保存料とともに含む製品を提供する。この場合、前記包装材は、そのような溶液を1、2、3、4、5、6、9、12、18、20、24、30、36、40、48、54、60、66、72時間又はそれより長い期間にわたって保持することができることを示したラベルを含む。本発明はさらに、包装材、少なくとも1つの本発明の凍結乾燥抗体を含む第一のバイアル、処方された緩衝液又は保存料の水性希釈剤を含む第二のバイアルを含む製品を含み、ここで前記包装材は、抗体を水性希釈剤で再構成して24時間又はそれより長い時間にわたって維持することができる溶液を形成することを患者に指示するラベルを含む。
【0040】
キット:本発明はまた例えば症状を治療するために有用な医薬キットを含む。前記キットは、治療的に有効な量の抗体に希釈又は再懸濁されたものとして提供することができる医薬組成物を含む1つ以上の容器を含むことができる。そのようなキットはさらに、所望の場合は、当業者には明白な1つ以上の多様な一般的医薬キット成分、例えば1つ以上の医薬的に許容できる担体、液体、追加の容器などを含む容器を含むことができる。投与されるべき量、投与のための指針、及び/又は成分の混合についての説明を示す印刷された使用説明書(挿入物として又はラベルとして)もまた前記キットに含むことができる。前記指定の材料及び条件は本発明の実施で重要であるが、指定されなかった材料及び条件も、それらが本発明の利益を妨げないかぎり指定から排除されるものではないことは理解されよう。
抗体:本発明の抗体にはモノクローナル抗体が含まれる。それらはまた、IFNα中和機能を有するフラグメント、抗体誘導体、又は抗体変種であってもよい。それらはキメラでも、ヒト化されてあっても、又は完全にヒトのものであってもよい。抗体の機能的フラグメントにはFab、Fab'、Fab2、Fab'2、及び単鎖可変領域が含まれるが、ただしこれらに限定されない。抗体は、細胞培養(例えば細菌、酵母、植物又は植物細胞、昆虫又は昆虫細胞、真核細胞)で、又は種々の動物(ウシ、ウサギ、ヤギ、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、ヒツジ、イヌ、ネコ、サル、チンパンジー、大型尾なしサルなどが含まれるが、ただしこれらに限定されない)で生成することができる。前記フラグメント又は誘導体が本発明の抗体のような結合特異性又は中和能を保持するかぎり、前記を用いることができる。抗体は、結合特異性について、適切な抗原との結合を無関係の抗原又は抗原混合物との結合と与えられた条件セット下で比較することによって検査することができる。抗体が、無関係の抗原又は抗原混合物との混合よりも少なくとも2、5、7、及び場合によって10倍多く適切な抗原と結合するならば、特異的であると考えられる。特異性を決定する特別なアッセイ、例えばELISAは以下で説明される。
【0041】
抗体はまた、IFNαタンパク質サブタイプの1つ以上の活性、例えばMxAプロモーター又はINFαによって誘発される別のプロモーターの転写活性化、抗ウイルス活性、SLE血清の単球から樹状突起細胞への分化を惹起する能力(ただしこれらに限定されない)を中和するその能力を特徴とする。
本発明のモノクローナル抗体は、当分野で公知であり文献でも詳細に記載されている通常のハイブリドーマ技術を用いて生成することができる。例えば、ハイブリドーマは適切な不朽化細胞株(例えばミエローマ細胞株、例えばSP2/0、Sp2/0-AG14、NSO、NS1、NS2、AE-1、L.5、>243、P3X63Ag8.653、SP2、SA3、Sp2、MAI、Sp2 SS1、SP2 SA5、U397、MLA144、ACT IV、MOLT4、DA-1、JURKAT、WEHI、K-652、COS、RAJI、NIH3T3、HL-60、MLA144、NAMAIWA、NEUR 2A、CHO、PerC.6、YB2/O(ただしこれらに限定されない))など、又はヘテロミエローマ、その融合生成物、又はそれらから誘導される任意の細胞若しくは融合細胞、又は当分野で公知の他の任意の適切な細胞株(例えばwww.atcc.org; www.lifetech.com.などを参照されたい)を抗体産生細胞と融合させることによって作成される。前記抗体産生細胞は例えば以下の細胞である(ただしこれらに限定されない):単離又はクローニングした脾臓、末梢血、リンパ節、扁桃又は他の免疫組織の細胞又はB-細胞含有細胞、又は、重鎖又は軽鎖の定常若しくは可変若しくはフレームワーク若しくはCDR配列を、内因性若しくは異種核酸として、組換え若しくは内因性として、ウイルス、細菌、藻類、原核細胞、両生動物、昆虫、爬虫類、魚類、哺乳動物、げっ歯類、ウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、霊長類、真核細胞のゲノムDNA、cDNA、rDNA、ミトコンドリアDNA若しくはRNA、葉緑素DNA若しくはRNA、hnRNA、mRNA、tRNA、一本鎖、二本鎖、三本鎖のハイブリダイズした核酸などとして発現する任意の他の細胞。抗体産生細胞はまた、ヒト若しくは他の適切な動物(問題の抗原で免疫されている)の末梢血、又は好ましくは脾臓若しくはリンパ節から得ることができる。他の適切な任意の宿主細胞もまた、本発明の抗体、その特定のフラグメント又は変種をコードする異種又は内因性核酸を発現させるために用いることができる。前記融合細胞(ハイブリドーマ)又は組換え細胞は、選択的培養条件又は他の公知の方法を用いて単離し、さらに制限希釈又は細胞分類又は他の公知の方法によってクローニングすることができる。
【0042】
必須の特異性をもつ抗体を作成又は単離する他の適切な方法は、当分野で公知の方法にしたがって、ペプチド又はタンパク質ライブラリーから組換え抗体を選別する方法を用いることができる(ただしこれらに限定されない)。前記ペプチド又はタンパク質ライブラリーは、例えばバクテリオファージ、リボソームオリゴヌクレオチド、RNA、cDNAなどのディスプレーライブラリーであり(ただしこれらに限定されない)、例えば以下の種々の販売業者(例えばCambridge Antibody Technologies(Cambridgeshire, UK)、MorphoSys(Martinsreid/Planegg, Del.)、Biovation(Aberdeen, Scotland, UK)、BioInvent(Lund, Sweden)及びAntitope(Cambridge, UK)から入手できる。例えば以下を参照されたい:US4,704,692;5,723,323;5,763,192;5,814,476;5,817,483;5,824,514;5,976,862)。また別の方法は、当分野で公知のように、及び/又は本明細書に記載するように、ヒト抗体のレパートリーを産生することができるトランスジェニック動物の免疫を必要とする(例えばSCIDマウス:Nguyen et al. 1977, Microbiol. Immunol. 41:901-907;Sandhu et al. 1996, Crit Rev Biotechnol 16:95-118;Eren et al. 1998, Immunol 93:154-161)。そのような技術には以下が含まれる(ただしこれらに限定されない):リボソームディスプレー(Hanes et al. 1997, Proc Natl Acad Sci USA, 944937-4942;Hanes et al. 1998, Proc Natl Acad Sci USA, 95:14130-14135);単一細胞抗体生成技術(例えば選別リンパ球抗体産生方法(“SLAM”)(US5,627,052, Wen et al. 1987, J Immunol 17:887-892;Babcook et al. Proc Natl Acad Sci USA 1996, 93:7843-7848);ゲル微小滴フローサイトメトリ(Powell et al. 1990, Biotechnol 8:333-337;一細胞系(Cambridge, Mass);Gray et al. 1995, J Imm Meth 182:155-163;Kenny et al. 1995, Bio/Technol 13:787-790);B-細胞選別(Steenbakkers et al. 1994, Molec Biol Reports 19:125-134)。
【0043】
本発明の抗体変種はまた、本発明の抗体をコードするポリヌクレオチドを適切な宿主にデリバーすることによって、例えばそのような抗体をそれらのミルク中に産生するトランスジェニック動物又は哺乳動物(例えばヤギ、ウシ、ウマ、ヒツジなど)を提供することによって製造することができる。これらの方法は当分野で公知であり、さらにUS5,827,690;5,849,992;4,873,316;5,849,992;5,994,616;5,565,362;及び5,304,489で実施例として記載されている。
本明細書で用いられる、“抗体変種”という用語は、抗体又はフラグメントの直鎖状ポリペプチド配列に対する翻訳後改変を指す。例えば、US6,602,684 B1は、抗体(完全な抗体分子、抗体フラグメント又は融合タンパク質(免疫グロブリンのFc領域と等価の領域を含み、強化されたFc仲介細胞毒性を有する)を含む)の改変グリコール型を生成する方法、及びそのようにして生成された糖タンパク質を開示している。
抗体変種はまた、本発明のポリヌクレオチドをデリバーして、そのような抗体、その特定の部分又は変種を植物の部分又は前記植物に由来する細胞培養で産生するトランスジェニック植物及び培養植物細胞(例えばタバコ、トウモロコシ及びアオウキクサ(ただしこれらに限定されない))を提供することによって調製することができる。例えば、Cramerらは、誘導性プロモーターを用いる、大量の組換えタンパク質を発現するトランスジェニックなタバコの葉の作成を記載している(Curr Top Microbiol Immunol 240:95-118 (1999);及び前記文献に引用された参考文献)。トランスジェニックなトウモロコシを用いて、工業的な生産レベルで哺乳動物のタンパク質が発現され、前記は、他の組換え系で生成されたもの、又は天然の供給源から精製されたものと等価の生物学的活性を有していた(例えばHood et al. Adv Exp Med Biol 1999, 464:127-147;及び前記文献に引用された参考文献を参照されたい)。抗体変種はまた、抗体フラグメント(例えば単鎖抗体(scFv')を含むトランスジェニック植物種子(タバコの種子及びジャガイモの塊茎を含む)から大量に生成された(例えば以下を参照されたい:Conrad et al. 1998, Plant Mol Biol 38:101-109及びその中に引用されている文献)。したがって、本発明の抗体はまたトランスジェニック植物を用い、公知の方法にしたがって製造することができる。
【0044】
抗体誘導体は例えば外因性配列を付加することによって作成して、免疫原性を改変し、又は結合、親和性、結合速度(on-rate)、解離速度(off-rate)、アビジティ、特異性、半減期又は任意の他の適切な特徴を低下させ、強化させ、又は改変することができる。一般的には、非ヒト又はヒトCDR配列の部分又は全てを維持し、一方、可変及び定常領域の非ヒト配列はヒト又は他のアミノ酸で置き換えられる。一般的には、CDR残基は、抗原結合への影響に直接的及び極めて実質的に関与する。
マウス(又は他の非ヒト動物)で産生されるモノクローナル抗体は、治療でヒトが前記動物のMAbに対して抗体を生じる危険性を有する。ヒト抗体はしたがって動物MAbの有効性を低下させ、さらにアレルギー反応をもたらし得る。この問題は、異物として認識されない抗体を構築することによって回避することができる。そのような抗体を構築する方法は当分野で公知であり、しばしば、標的宿主の免疫グロブリン骨格に動物のMAbのCDR領域を移植する基礎となっている。いくつかの事例では、動物抗体のフレームワーク由来の数アミノ酸残基が、抗原結合部位の完全性を保存するために維持される。
本発明の抗体のヒト化又は操作は、任意の公知の方法、例えばUS5,723,323、5,976,862、5,824,514、5,817,483、5,814,476、5,763,192、5,723,323、5,723,323、5,766,886、5,714,352、6,204,023、6,180,370、5,693,762、5,530,101、5,585,089、5,525,539及び4,816,567に記載されたもの(ただしこれらに限定されない)を用いて実施することができる。コンピュータモデリング及び可変領域を基にして抗体をヒト化する方法は当業者には公知である。例えば以下を参照されたい:Tsurushita et al. 2005, Humanized Antibodies and their Applications 36(1):69-83(前記文献の内容は参照により本明細書に含まれる)。
【0045】
あるヒト化の方法では、動物の全CDRをヒトのフレームワークに移植するのではなくて特異性決定残基(SDR)(抗体-リガンド結合のためにもっとも決定的なCDRの残基)がヒトフレームワークに移植される(Kashmiri et al. 2005, Humanized Antibodies and their Applications 36(1):25-34(前記文献の内容は参照により本明細書に含まれる))。ヒト化のまた別のアプローチでは、ヒト生殖細胞系列遺伝子セット由来のヒトフレームワーク配列が、ヒト化されるべき動物CDRの構造に対するヒトCDRの構造類似性を基準にして選択される(Hwang et al. 2005, Humanized Antibodies and their Applications 36(1):35-42(前記文献の内容は参照により本明細書に含まれる)。
フレームワークシャッフリングはまた別のヒト化へのアプローチである。前記は、論理的設計又は構造情報を必要とすることなく、マウス又は他の動物CDRの機能的特徴を支持するヒトフレームワークの組み合わせを特定することを可能にする。この方法では、順列組み合わせFabライブラリーが、全ての既知の重鎖及び軽鎖ヒト生殖細胞系列遺伝子を含む対応するヒトフレームワークのプールと動物MAbのCDRとのインフレーム融合によって作成される。続いてFabライブラリーを抗原結合についてスクリーニングすることができる。親MAbの軽鎖及び重鎖は更なる選別プロセスで連続してヒト化することができる。(以下を参照されたい:Dall'Acqua et al. 2005, Humanized Antibodies and their Applications 36(1):43-60(前記文献の内容は参照により本明細書に含まれる)。
また別のアプローチでは(このアプローチは、ヒトで使用されるFDA承認の少なくとも1つの抗体を作成するために成功裡に用いられた)、出発のげっ歯類抗体と類似する特徴をもつヒト抗体のパネル及びファージ又はリボソームディスプレーを使用することにより、誘導選別を用いてげっ歯類からヒト型への一連の移行を達成することができる(以下を参照されたい:Osbourn et al. 2005, Humanized Antibodies and their Applications 36(1):61-68(前記文献の内容は参照により本明細書に含まれる)。このアプローチでは、ヒト抗体パネル又はV領域が、問題の抗原の結合についてスクリーニングされる。得られた抗体は完全にヒト起源である。
【0046】
部分的又は完全なヒト抗体を作成する技術は当分野では公知であり、そのような技術のいずれも用いることができる。ある実施態様にしたがえば、完全なヒトの抗体配列は、ヒトの重鎖及び軽鎖抗体遺伝子を発現するように操作したトランスジェニックマウスで作成される。そのようなトランスジェニックマウスの多数の株が作成された(前記は種々のクラスの抗体を産生することができる)。所望の抗体の持続的生成のために、所望の抗体を産生するトランスジェニックマウスのB細胞を融合させて、ハイブリドーマ細胞株を作成することができる(例えば以下を参照されたい:Russel et al. 2000, Infection and Immunity, April 2000:1820-1826;Gallo et al. 2000, European J Immun 30:534-540;Green 1999, J Immun Methods 231:11-23;Yang et al. 1999, J Leukocyte Biology 66:401-410;Yang 1999, Cancer Research 59(6):1236-1243;Jakobovits 1998, Advanced Drug Delivery Reviews 31:33-42;L. Green & Jakobovits 1998, J Exp Med 188(3):483-495;Jakobovits 1998, Exp Opin Invest Drugs 7(4):607-614;Tsuda et al. 1997, Genomics 42:413-421;Sherman-Gold 1997 Genetic Engineeing News 17(14): Mendez et al. 1997, Nature Genetics 15:146-156;Jakobovits 1996, Weir's Handbook of Experimental Immunology, The Integrated Immune System, Vol.IV, 194.1-194.7;Jakobvits 1995, Current Opinion in Biotechnology, 6:561-566;Mendez et al. 1995, Genomics 26:294-307;Jakobvits 1994, Current Biology, 4(8):761-763;Arbones et al. 1994, Immunity 1(4):247-260;Jakobvits 1993, Nature 362(6417):255-258;Jakobvits et al. 1993, Proc Natl Acad Sci USA, 90(6):2551-2555;米国特許6,075,181号)。
ヒトモノクローナル抗体はまたハイブリドーマによって産生させることができる(前記ハイブリドーマには、ヒト重鎖トランスジーン及び軽鎖トランスジーンを含むゲノムを有するトランスジェニック非ヒト動物(例えばトランスジェニックマウス)から得られるB細胞が不朽化細胞に融合されたものが含まれる)。本発明の抗体はまた改変して、キメラ抗体を作成することができる。キメラ抗体は、抗体の重鎖及び軽鎖の種々のドメインが1つ以上の種に由来するDNAによってコードされる抗体である。例えばUS4,816,567を参照されたい。
【0047】
本発明のいずれの組換え抗体又はそのフラグメントも、インターフェロンアルファ(“IFNα”)タンパク質サブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4b及びWAから成る群から選択される少なくとも2つのIFNαタンパク質サブタイプと特異的に反応することができるが、IFNαタンパク質サブタイプDの少なくとも1つの生物活性は中和しないかぎり用いることができる。前記抗体はまた、公知のバイオアッセイで測定されるように、IFNαを中和することができる。例えば前記生物活性はMxAプロモーターの活性化又は抗ウイルス活性である。そのような抗体のあるものは、1つ以上のIFNαサブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4b及びWAと特異的に反応するが、サブタイプDと反応しない抗体であり、以下から選択されるCDR、その誘導体又は部分を含む:
配列番号:4のアミノ酸配列を有するVH1;
配列番号:6のアミノ酸配列を有するVH2;
配列番号:8のアミノ酸配列を有するVH3;
配列番号:12のアミノ酸配列を有するVL1;
配列番号:14のアミノ酸配列を有するVL2;
配列番号:16のアミノ酸配列を有するVL3;前記の誘導体及びその組み合わせ。
前記抗体はまた、これらのアミノ酸の1つ以上のアミノ酸が欠失しているか、付加されているか、置換されているか、及び/又は挿入されていて、さらにIFNαサブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4b及びWAと特異的に反応する抗体及び/又は抗体フラグメントも含むことができ、それらもまた本発明の範囲内に包含される。
【0048】
本発明では、アミノ酸配列における1つ以上のアミノ酸の欠失、置換、挿入又は付加は、免疫グロブリン骨格中の1つ以上の場所で欠失、置換、挿入及び/又は付加される1つ以上のアミノ酸の改変及び/又は変異を指す。1つ以上の欠失、置換、挿入及び/又は付加は、同じアミノ酸配列で同時に起り得る。さらにまた、置換、挿入又は付加されるアミノ酸残基は天然のものでも非天然でもよい。天然のアミノ酸残基の例には、L-アラニン、L-アスパラギン、L-アスパラギン酸、L-グルタミン、L-グルタミン酸、グリシン、L-ヒスチジン、L-イソロイシン、L-ロイシン、L-リジン、L-メチオニン、L-フェニルアラニン、L-プロリン、L-セリン、L-スレオニン、L-トリプトファン、L-チロシン、L-バリン、L-システインなどが含まれる。
置換することができるアミノ酸残基の例は、例えば以下の1つ以上のグループ内で見出すことができる:
グループA:ロイシン、イソロイシン、ノルロイシン、バリン、ノルバリン、アラニン、2-アミノブタン酸、メチオニン、O-メチルセリン、t-ブチルグリシン、t-ブチルアラニン、シクロへキシルアラニン;
グループB:アスパラギン酸、グルタミン酸、イソアスパラギン酸、イソグルタミン、2-アミノアジピン酸、2-アミノスベリン酸;
グループC:アスパラギン酸、グルタミン酸;
グループD:リジン、アルギニン、オルニチン、2,4-ジアミノブタン酸、2,3-ジアミノプロピオン酸;
グループE:プロリン、3-ヒドロキシプロリン、4-ヒドロキシプロリン;
グループF:セリン、スレオニン、ホモセリン;及び
グループG:フェニルアラニン、チロシン。
“抗体誘導体”という用語はさらに“直鎖状抗体”を含む。直鎖状抗体を作成する方法は当分野で公知であり、さらに文献(Zapata et al. 1995, Protein Eng 8(10):1057-1062)に記載されている。簡単に記せば、直鎖状抗体は1対の縦に並ぶFdセグメント(VH−CH1−VH−CH1)を含み、前記セグメントは1対の抗原結合領域を形成する。直鎖状抗体は二特異性又は一特異性であり得る。
【0049】
本発明の抗体は、以下を含む(ただしこれらに限定されない)公知の方法によって組換え細胞培養から回収及び精製することができる:プロテインA精製、硫安又はエタノール沈殿、酸抽出、陰イオン又は陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互反応クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー及びレクチンクロマトグラフィー。高速液体クロマトグラフィー(“HPLC”)もまた精製に用いることができる。
本発明の抗体には、精製された天然生成物、化学合成方法による生成物、及び上記に記載のように真核性宿主(例えば酵母、高等植物、昆虫及び哺乳動物細胞)又は原核細胞に由来する組換え技術により産生される生成物が含まれる。
本発明のいくつかの特徴では、検出できるように又は治療のために抗体を標識することは有用であろう。これらの物質に抗体を結合させる方法は当分野では公知である。単に説明を目的とすれば、抗体は検出可能な成分、例えば放射性原子、蛍光色素などで標識することができる。そのような標識抗体は、(in vivo又は単離した検査サンプルでの)診断技術のために用いることができる。抗体はまた、例えば医薬用物質(例えば化学療法薬又は毒素)と結合させることができる。それらは、サイトカイン、リガンド又は別の抗体と結合させることができる。抗腫瘍作用の達成のために抗体とカップリングさせるために適した物質にはサイトカイン、例えばインターロイキン2(IL-2)及び腫瘍壊死因子(TNF);光力学療法で使用される光増感体(フタロシアニンテトラスルホン酸アルミニウム(III)、ヘマトポルフィリン及びフタロシアニンを含む);放射性核種(例えばヨード-131(131I)、イットリウム-90(90Y)、ビスマス-212(212Bi)、ビスマス-213(213Bi)、テクネチウム-99m(99mTc)、レニウム-186(186Re)及びレニウム-188(188Re));抗生物質(例えばドキソルビシン、アドリアマイシン、ダウノルビシン、メトトレキセート、ダウノマイシン、ネオカルジノスタチン、及びカルボプラチン);細菌性、植物性及び他の毒素(例えばジフテリア毒素、シュードモナス外毒素A、ブドウ球菌外毒素A、アブリン-A毒素、リシンA(脱糖リシンA及び天然のリシンA)、TGF-アルファ毒素、チャイニーズコブラ(naja naja atra)由来の細胞毒素、及びゲロニン(植物毒素));植物、細菌及び菌類由来のリボソーム不活化タンパク質(例えばレストリクトシン(アスペルギルス・レストリクタス(Aspergillus restrictus)によって産生されるリボソーム不活化タンパク質)、サポニン(サポナリア・オフィシナリス(Saponaria officinalis)によって産生されるリボソーム不活化タンパク質)、及びRNase);チロシンキナーゼ阻害剤;ly207702(二フッ化プリンヌクレオチド);抗嚢胞性薬剤(例えばアンチセンスオリゴヌクレオチド、毒素をコードするプラスミド、メトトレキセートなど)を含むリポソーム;及び他の抗体又は抗体フラグメント(例えばF(ab))が含まれる。
【0050】
有機分子と共有結合した抗体を含む調製物に関しては、それらは、適切な方法(例えば1つ以上の改変物質との反応による)を用いて調製することができる。そのような例には改変物質及び活性化基が含まれる。本明細書で用いられる、“改変物質”という用語は、活性化基を含む適切な有機基(例えば親水性ポリマー、脂肪酸、脂肪酸エステル)を指す。前記の具体的な例は上記で提供されている。“活性化基”は、適切な条件下で第二の化学基と反応し、それによって改変物質と第二の化学基との間で共有結合を形成することができる化学成分又は官能基である。そのような例は、親電子基、例えばトシレート、メシレート、ハロ(クロロ、ブロモ、フルオロ、ヨード)、N-ヒドロキシスクシンイミジルエステル(NHS)などである。チオールと反応することができる活性化基には、例えばマレイミド、ヨードアセチル、アクリルオリル、ピリジルジスルフィド、5-チオール-2-ニトロ安息香酸チオール(TNB-チオール)などが含まれる。アルデヒド官能基は、アミン-又はヒドラジド-含有分子とカップリングすることができ、アジド基は、三価のリンの基と反応してホスホルアミデート又はホスホルイミドを形成することができる。活性化基を分子中に導入する適切な方法は当分野で公知である(例えば以下を参照されたい:Hermanson, 1996 Bioconjugate Techniques, Academic Press: San Diego, Calif.)。活性化基は、有機基(例えば親水性ポリマー、脂肪酸、脂肪酸エステル)に直接、又はリンカー部分を介して結合させることができる。リンカー部分は例えば二価のC1−C12基であり、ここで1つ以上の炭素原子はヘテロ原子(例えば酸素、窒素又は硫黄)によって置き換えることができる。適切なリンカー部分には例えばテトラエチレングリコールが含まれる。リンカー部分を含む改変物質は、例えばモノ-Boc-アルキルジアミン(例えばモノ-Boc-エチレンジアミン、モノ-Boc-ジアミノヘキサン)を1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)の存在下で脂肪酸と反応させ、遊離アミンと脂肪酸カルボキシレートとの間でアミド結合を形成することによって生成することができる。Boc保護基は、別のカルボキシレートと結合することができる第一アミンを暴露させるために、記載されているようにトリフルオロ酢酸(TFA)による処理によって生成物から除去することができ、又は無水マレイン酸と反応させて、生じた生成物を環式化して脂肪酸の活性化マレイミド誘導体を生成することができる。
【0051】
本発明の改変抗体は、ヒト抗体又は抗原結合フラグメントを改変物質と反応させることによって生成することができる。例えば、有機部分は、アミン反応性改変物質(例えばPEGのNHSエステル)を用いることによって、位置非特異的態様で抗体に結合させることができる。改変ヒト抗体又は抗原結合フラグメントはまた、抗体又は抗原結合フラグメントのジスルフィド結合(例えば鎖内ジスルフィド結合)を還元することによって調製することができる。続いて、前記還元抗体又は抗原結合フラグメントをチオール反応性改変物質と反応させ、本発明の改変抗体を生成することができる。本発明の抗体の特定の部位に結合した有機部分を含む改変ヒト抗体及び抗原結合フラグメントは、適切な方法(例えば逆タンパク質分解)を用いて調製することができる。(概括的には以下を参照されたい:Hermanson, 1996 Bioconjugate Techniques, Academic Press: San Diego, Calif. 1996)。
タンパク質及びポリペプチドの調製及び単離:ポリペプチド及びタンパク質は本発明の多様な方法の必要な成分である。例えば、組換え抗体、その変種、誘導体及びフラグメントは、市場で入手することができる自動ペプチド合成装置(例えばパーキネルマー/アプライドバイオシステムズ(Perkin Elmer/Applied Biosystems, Inc., Model 430A or 431A, Foster City, CA, USA)によって製造されているもの)を用い、化学合成によって得ることができる。前記合成タンパク質又はポリペプチドを沈殿させ、さらに、例えば高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって精製することができる。また別には、前記タンパク質及びポリペプチドは、本明細書に記載するように公知の組換え方法により、上記に記載の宿主細胞及びベクター系を用いて入手することができる。それらはまた、天然に存在するタンパク質の酵素消化又は切断によって調製することもできる。
【0052】
タンパク質及びペプチドは、クロマトグラフィー(例えばイオン交換、アフィニティー及びサイジングクロマトグラフィー)、遠心、弁別的可溶化を含む標準的方法によって、又はタンパク質精製のための任意の他の標準的技術によって単離又は精製することができる。また別には、アフィニティータグ(例えば6-His(Invitrogen)、マルトース結合ドメイン(New England Biolabs)、インフルエンザコート配列(Kolodziej et al. 1991 Methods Enzymol 194:508-509)、及びグルタチオン-S-トランスフェラーゼ)を本発明のペプチドに結合させ、適切なアフィニティーカラムを通すことにより容易な精製を可能にすることができる。単離したペプチドはまた、タンパク質分解、核磁気共鳴及びx-線結晶解析のような技術を用いて物理的に性状を調べることができる。
改変を任意のペプチドに対して実施し、変化した特性を前記ペプチドに提供することができることは周知である。本発明で使用されるペプチドは、非天然のアミノ酸を加えるために改変することができる。したがって、前記ペプチドは、D-アミノ酸、D-及びL-アミノ酸の組み合わせ、並びに多様な“デザイナー”アミノ酸(例えばβ-メチルアミノ酸、C-βメチルアミノ酸、及びN-α-メチルアミノ酸など)を含み、特別な性質をペプチドに伝えることができる。
さらに別の実施態様では、有用な化学的及び構造的特性を付与するペプチドサブユニットが選択されるであろう。例えば、D-アミノ酸を含むペプチドは、in vivoでL-アミノ酸特異的プロテアーゼに耐性を示すことができる。D-アミノ酸で改変された化合物は、逆の順序で並べたアミノ酸で合成して、レトロ-インバーソペプチドとして本発明のペプチドを生成することができる。さらにまた、本発明は、新規な特性を有するペプチドの調製のために、より明確に規定した構造特性を有するペプチドの調製、並びにペプチド模倣体及びペプチド模倣体結合(例えばエステル結合)の使用を意図する。別の実施態様では、還元ペプチド結合(すなわちR1-CH2NH-R2(式中R1及びR2はアミノ酸残基又は配列))を含むペプチドを生成することができる。還元ペプチド結合はジペプチドユニットとして導入することができる。そのような分子は、ペプチド結合の加水分解(例えばプロテアーゼ活性)に対して耐性を示すであろう。そのような分子は、固有の機能及び活性、例えば、代謝性分解又はプロテアーゼ活性に対する耐性による半減期の延長を有するペプチドを提供するであろう。さらにまた、ある種の系では、拘束ペプチドは機能活性の強化を示すことはよく知られている(Hruby, 1982, Life Sciences 31:189-199;Hruby et al. 1990, Biochem J 268:249-262)。本発明は、他の全ての位置でランダム配列を取り込んだ拘束ペプチドを生成する方法を提供する。
【0053】
IFNαの生物学的活性についてのアッセイ
単球の分化:活性化T及びBリンパ球の生成は、抗原提示細胞(“APC”)の補充及び成熟を必要とする。これらのAPCは、B細胞、単球/マクロファージ及び樹状突起細胞を含む。SLE患者の血清はDCを活性化することができるIFNαを含み、この活性の活性化はポリクローナル又はモノクローナル抗体調製物で阻止することができる。この活性を検出及び定量する方法は、学術文献及び特許文献(例えばUS2004/0067232 A1のパラグラフ0136から0150を参照されたい)に記載されている(前記文献の関連部分は参照により本明細書に含まれる)。
MxAプロモーターの活性化:MxAプロモーターを活性化するIFNαの能力及びこの活性化を阻止する本発明の抗IFNαモノクローナル抗体の能力を、レポーター遺伝子アッセイを用いて測定することができる。前記アッセイでは、MxAプロモーターはレポーター遺伝子、例えばクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)又はルシフェラーゼ(luc)、好ましくはルシフェラーゼに融合させることができる。CAT及びルシフェラーゼのためのアッセイは当業者には公知である。好ましくは、MxAプロモーターの活性は、MxAプロモーター/レポーター遺伝子融合構築物で安定的に形質転換したA549細胞で測定される。A549細胞は、ATCC(製品番号CC1-185)から入手できる肺癌細胞株である。MxA(a.k.a.Mx1)プロモーターはヒト、マウス又はラットでもよい。ヒトMxAプロモーターの配列及び構造は以下で開示されている:Genbankアクセッション番号X55639;Chang et al. 1991, Arch Virol 117:1-15;及びRonni et al. 1998, J Interferon Cytokine Res 18:773-781。ヒトMxAプロモーター/ルシフェラーゼ融合構築物及びルシフェラーゼアッセイは以下で開示されている:米国特許出願20040209800;及びRosmorduc et al. 1999, J Gen Virol 180:1253-1262。ヒトMxAプロモーター/CAT融合構築物及びCATアッセイは以下で開示されている:Fernandez et al. 2003, J Gen Virol 84:2073-2082;及びFray et al. 2001, J Immunol Methods 249:235-244。マウスMxA(Mx1)プロモーターは以下で開示されている:Genbankアクセッション番号M21104;Hug et al. 1988, Mol Cell Biol 8:3065-3079;及びLleonart et al. 1990, Biotechnology 8:1263-1267。マウスMxAプロモーター/ルシフェラーゼ融合構築物及びルシフェラーゼアッセイは以下で開示されている:Canosi et al. 1996 J Immunol Methods 199:69-67。
【実施例】
【0054】
材料と方法
ヒトIFNα供給源:組換えIFNαサブタイプタンパク質は業者から入手した(PBL Biomedical Laboratories(PBL))。前記業者が決定たサブタイプ及び特異的活性は以下を含む:IFN-αA(3.8x108U/mg);IFN-α2(2.77x108U/mg);IFN-αB2(4.63x108U/mg);IFN-αC(2.31x108U/mg);IFN-αD(7.5x107U/mg);IFN-αF(3.6x108U/mg);IFN-αG(2.33x108U/mg);IFN-αH2(1.05x108U/mg);IFN-αI(1.4x108U/mg);IFN-αJ1(2.6x108U/mg);IFN-αK(1.48x108U/mg);IFN-α1(1.4x108U/mg);IFN-α4a(2.12x108U/mg);IFN-α4b(1.8x108U/mg);IFN-αWA(2.4x108U/mg);及びIFN-β(8.23x107U/mg)。白血球IFNはシグマ(Sigma, Lot#111K1603)から購入した。
PBMC-flu上清(PBMC-flu)(前記はヒトIFNαサブタイプの複合混合物を含む)は、バッフィーコート由来のヒトPBMCをインフルエンザA/PR/8/34(H1N1)(Charles River Laboratories, Lot#4XPR011022)に1HAU/pDCのウイルス力価で感染させることによって当研究室内で調製した。特に、PBMC(末梢血単球細胞)は、ヒトバッフィーコートからフィコール上で遠心し、PBMCを含む境界面を採集することによって得た。FACS染色/解析を実施して形質細胞様DCの存在を確認し、PBMC内のそれらのパーセンテージを決定し、さらに以下に特異的な蛍光結合抗体で染色した:Lin、CD3、CD14、CD16、CD19、CD56、CD123、HLA-DR、及びCD11c(BD Pharmingen)。pDCはCD14陰性、CD11c陰性及びCD123陽性の特徴を有する。インフルエンザウイルスストック(Specific Pathogen-Free Avian Supply; Influenza A/PR/8/34(H1N1)(Cat.#490710、Lot# 4XPR011022)、0.05mL当りの最終HA力価、1:16,777,216(Charles River Laboratories, Conneticut, USA))をRPMI培養液(RPMI+10%のFCS+L-グルタミン)中で1000HAU/μL(ヘマグルチニンユニット/マイクロリットル)に希釈した。必要とされる希釈ウイルスの体積は、少なくとも1HAU/pDCを得ることができるように精製PBMC中のpDCの割合を基準にする(すなわち、各ウェルは1x106PBMCを含まねばならず、もしpDCが0.3%であるならば、各ウェルは3000pCDを含むであろう。その場合、1000HAU/μLのウイルスの4−5μLが各ウェルに添加される)。
バッフィーコートから調製したPBMCは900rpmで10分遠心し、RPMI+10%FCS+L-グルタミンに5000細胞/μLで再懸濁した(これは200μLの体積で1x106細胞/ウェルを提供するであろう)。細胞+インフルエンザウイルスを96ウェルのU-底プレートに播種し、37℃にて24時間5%CO2でインキュベートした。24時間のインキュベーション後に、細胞はウェルの底にペレットを形成し、さらにクラスターを形成した。ウェルの底の細胞ペレットを避けながら、注意深いピペット操作でこのウェルから上清を採取した。一緒にした上清を50mLの円錐管で900rpm、10分遠心して一切の残留細胞及び他の培養残屑を沈殿させた。PBMC-flu上清(IFNαの複合混合物を含む)をプールし、混合して0.5mLのアリコットとして使用まで-80℃で保存した。
【0055】
細胞障害作用(CPE)阻害アッセイ
CPEの材料:ダルベッコーの改変イーグル培養液(Dulbecco's Modified Eagle's Medium)(DMEM)“コンプリート”(フェノールレッドを含むDMEM+10%FCS+2mMのL-グルタミン+ペニシリン+ストレプトマイシン+β-2-メルカプトエタノール(β-me));96ウェルの平底組織培養プレート;A549細胞(ATCC CCL-185)(これらの細胞はハムのF12K培養液+10%FCS+2mMのL-グルタミン+ペニシリン+ストレプトマイシン+500−800μgのG418で培養される);1xPBS;1xトリプシン;“イントロンA”(IFNα-2b、Schering-Plough)コントロール;ハイブリドーマ上清又は購入ポリクローナル/モノクローナル抗体調製物を含む/含まないテストサンプル(SLE血清、組換えIFNαサブタイプ);EMCウイルスストック(Vero細胞の組織培養に順化させたネズミ脳脊髄炎ウイルス(EMCV)から調製、このウイルスストックのためのATCC製品番号はVR-129B、Vero細胞の製品番号はCCL-81)。
クリスタルバイオレットのストック溶液:1.25mgのNaCl+3.75mgのクリスタルバイオレット+775mLのホルムアルデヒド/エタノール溶液(前記は75mLのホルムアミド、750mLの95%mエタノール及び1500mLの蒸留水で調製される)を20分攪拌し、続いて0.45ミクロンのフィルターでろ過し、3ヶ月を超えない期間保存した。クリスタルバイオレットの実際の使用溶液は、前記ストック溶液をホルムアルデヒド/エタノール溶液で1:10に希釈することによって調製した。クリスタルバイオレット溶液は室温で保存した。
CPEの方法:細胞障害作用(CPE)阻害アッセイの模式図は図1に示されている。CPEアッセイは、96ウェルの平底プレートのトリプリケートウェルで実施した。各アッセイタイプについて、種々の濃度のイントロンA(Schering-Plough)を含む陽性コントロールウェル、及び細胞と培養液のみを含む陰性コントロールウェルを含むことが有用であった。付着性A549細胞は、培養液を除去し、1回PBSで洗浄し、トリプシン消化することによってフラスコから採集した。トリプシン消化はDMEM“コンプリート”をフラスコに添加することによって停止させた。トリプシン消化細胞をフラスコから採集し、遠心して再懸濁して数えた。前記の濃度を完全DMEMで600,000細胞/mLに調節した。アッセイのためのウェルの体積は150μL(ウイルス添加前)及び200μL(ウイルス添加後)であった。50μLの体積は細胞であり、15,000細胞をウェルに添加した(300,000/mLの細胞懸濁液の50μL)。
【0056】
組換えINFαによるウイルス阻害アッセイ:100μLの種々の濃度のIFNα溶液(DMEMコンプリート)をトリプリケートでウェルに添加した。50μLの細胞を添加し、37℃にて5時間5%CO2でインキュベートした。この後で、ストックから50倍稀釈したEMCウイルス50μLを添加し、37℃にて48時間5%CO2でインキュベーションを継続した。
SLE血清によるウイルス阻害のアッセイ:SLEの50μL(例えば無稀釈)又は25μL(例えば2x稀釈)をトリプリケートでウェルに加えた。FCSを含まないDMEMを添加することによって体積を100μLに調節し(注記:FCSを含まないDMEMが用いられるこのアッセイを用いるときは、いずれのタイプの血清サンプルも任意の時期にウェルに添加できる)、続いて50μLの細胞を添加し、37℃にて4時間5%CO2でインキュベートした。この後で、ストックから50倍に稀釈したEMCウイルスの50μL(前記濃度は、我々の調製物で全ての細胞を48時間殺すことができる最少量のストックと決定された)を添加し、37℃にて48時間5%CO2でインキュベーションを継続した。
PBMC-flu上清によるウイルス阻害アッセイ:PBMC-flu上清の50μL(例えば無稀釈)又は段階稀釈をトリプリケートでウェルに加えた。FCSを含むDMEMを添加することによって各ウェルの体積を100μLに調節し、続いて50μLの細胞を添加し、37℃にて4時間5%CO2でインキュベートした。この後で、ストックから50倍に稀釈したEMCウイルスの50μLを添加し、37℃にて48時間5%CO2でインキュベーションを継続させた。
組換えIFNα、SLE血清、又はPBMC-flu上清によるウイルス阻害の、市販Ab、マウス血清又は融合上清による抗体仲介阻止のアッセイのために、(i)市販のポリクローナル又はモノクローナルAb調製物を含むFCS非含有DMEMの50μL;(ii)マウス血清の50μL;又は(iii)ハイブリドーマ上清の50μLのいずれかを添加して、この時点で各ウェルの全体積を100μLにした。このプレートを37℃にて1.5から2時間5%CO2でインキュベートした。50μLの細胞を各ウェルに添加し37℃にて5時間5%CO2でインキュベートした。この後で、ストックから50倍に稀釈したEMCウイルスの50μLを添加し、37℃にて48時間5%CO2でインキュベーションを継続した。
上記CPEアッセイで48時間のインキュベーション時間の後で、マルチチャネルピペットを用いて、全ての培養液を注意深くウェルから除去した。50μLのクリスタルバイオレットを添加し、4−6分染色した。前記クリスタルバイオレットを注意深く除去し、200μLの蒸留水を添加し、直ちに除去した。少なくとも30分プレートを乾燥させ、続いてELISAプレートリーダーで570nmのODを読み取った。
(使用コントロール抗体又はIFNα仲介細胞死防御を阻害するハイブリドーマ上清に含まれる抗体の能力を基準にした)阻止百分率を得るために、マッキントッシュ用Prism 4.0、ヴァージョン4.0Aソフトウェア(GraphPad Software, Inc., San Diego, CA)及びノーマライズアルゴリズを用いて、陰性コントロール”(組換えIFNα、SLE血清又はPBMC-flu上清+細胞+ウイルス)を100%生存率(0%の細胞死)及び“陽性コントロール”(細胞+ウイルスのみ)を0%生存率(100%の細胞死)の環境でデータを標準化し、全ての値をコントロールのパーセンテージに対して調整した。
【0057】
レポーター遺伝子(RG)アッセイ
RGの材料:ダルベッコー改変イーグル培養液(DMEM)(フェノールレッド又は補充物質を含まない);ダルベッコー改変イーグル培養液(DMEM)“コンプリート”(フェノールレッド+10%FCS+2mMのL-グルタミン+ペニシリン+ストレプトマイシン+2-me(β-me));FCSを除いて上記に挙げた全てを含むように調製したダルベッコー改変イーグル培養液(DMEM);ビュープレート-96、白色、組織培養処理(PerkinElmer Life Sciences);93D7細胞(I型IFN誘導性MxAプロモーターによって駆動されるルシフェラーゼを発現するようにトランスフェクトしたA549);これらの細胞はハムのF12K培養液+10%FCS+2mMのL-グルタミン+ペニシリン+ストレプトマイシン+500−800μgのG418で培養される;1xPBS;1xトリプシン;“イントロンA”(INFα 2b、Schering-Plough)コントロール;ハイブリドーマ上清又は購入ポリクローナル/モノクローナル抗体調製物を含む/含まないテストサンプル(SLE血清、組換えIFNαサブタイプ);BriteliteTMルミネセンスレポーター遺伝子アッセイキット(PerkinElmer Life Sciences)。
RGの方法:ルシフェラーゼ系レポーター遺伝子アッセイを用い、組換えIFNαサブタイプ、白血球IFN及びPBMC-fluの生物活性を中和する抗IFNαモノクローナル抗体の能力を判定した。RGアッセイの模式図は図1に示されている。93D7細胞株(前記は、IFN誘導性構築物(MxAプロモーター/ルシフェラーゼ融合物)によるA549細胞株の安定的なトランスフェクションによって誘導された)は、Dr. Guenther Adolf(Boehringer-Ingelheim GmbH, Austria)から贈与された。MxAプロモーター/luc融合ベクターは、pSP64-Mxp(PstI-PvuII)-rβglo(Llonart et al. 1990, Biotechnology 8:1263-1267)から切り出され、さらにルシフェラーゼコード配列の上流に挿入されたネズミMxAプロモーター及びIFN応答エレメントを含む1.6kbのBamHIフラグメントを含む。
RGアッセイは、不透明な96-ウェルの平底プレート(ViewPlatesTM、白色壁、透明底;PerkinElmer)のトリプリケートウェルで実施した。各アッセイタイプについて、種々の濃度のイントロンA(Schering-Plough)サンプルを含む陽性コントロールウェル、及び細胞と培養液のみを含む陰性コントロールウェルを含むことが好ましい。
特に、付着性93D7細胞は、培養液を除去し、1回PBSで洗浄し、トリプシン消化することによってフラスコから採集した。トリプシン消化はDMEM“コンプリート”をフラスコに添加することによって停止させた。細胞をフラスコから採集し、遠心して再懸濁して数えた。前記の濃度を完全なDMEMで600,000細胞/mLに調節した。
免疫マウスの血清、ハイブリドーマの上清又は精製抗IFNαMAbを、組換えIFNサブタイプ、白血球IFN又はPBMC-fluと100μL/ウェルの体積で37℃にて1.5時間5%CO2でインキュベートし、この後93D7細胞(600,000/mLの細胞懸濁液の50μL=30,000細胞)を各ウェルに添加し、さらに5時間インキュベーションを継続した。アッセイのためのウェルの最終体積は150μLであった。続いて、BriteliteTMルミネセンスレポーター遺伝子システム(PerkinElmer)を用いてアッセイを発色させ、Wallac Microbeta TriluxTMシンチレーション及びルミネセンスカウンターで基質添加の15分以内に読み取った。
組換えIFNαによるMxA誘導のアッセイ:IFNαの溶液(DMEMコンプリート)の濃度は、各ウェルに100μLで加えられるように調節した。100μLのIFNαをトリプリケートでウェルに加え、続いて50μLの細胞を添加し、37℃にて5時間5%CO2でインキュベートした。
SLE血清によるMxA誘導のアッセイ:SLE血清の50μL(例えば無稀釈)又は25μL(例えば2x稀釈)をトリプリケートウェルに加えた。続いて、FCSを含まないDMEMを添加することによってウェル当りの体積を100μLに調節し(注記:FCSを含まないDMEMが用いられるこのアッセイを用いるときは、いずれのタイプの血清サンプルも任意の時期にウェルに添加できる)、続いて50μLの細胞を添加し、37℃にて5時間5%CO2でインキュベートした。
PBMC-flu上清によるMxA誘導阻止のアッセイ:PBMC-flu上清の50μL(例えば無稀釈)又は段階稀釈をトリプリケートでウェルに加えた。続いて、FCSを含むDMEMを添加することによって各ウェルの体積を100μLに調節し、その後50μLの細胞を添加し、37℃にて5時間5%CO2でインキュベーションを続けた。
組換えIFNα、SLE血清、又はPBMC-flu上清によるMxA誘導の、市販Ab、マウス血清又は融合上清による阻止をアッセイするために、組換えIFNα、SLE血清又はPBMC-fluの50μL又は所望の稀釈を各ウェルに添加した。(i)市販のポリクローナル又はモノクローナルAb調製物を含むFCS非含有DMEMの50μL;(ii)マウス血清の50μL;又は(iii)ハイブリドーマ上清の50μLのいずれかを続いて添加して、各ウェルの全体積を100μLにした。このプレートを37℃にて1.5時間5%CO2でインキュベートした。この後、50μLの細胞を添加し、さらに37℃にて5時間5%CO2でインキュベーションを続けた。
BriteliteTMキット試薬/発色試薬(基質バイアル、基質緩衝液、脱色DMEM)を発色アッセイの40分前に室温にセットした。発色前30分で、アッセイプレートを室温に置いた。発色前10分で凍結乾燥基質を緩衝液で再構成した(10mL/バイアル)。
5時間のインキュベーションの後で、マルチチャネルピペットを用いて全ての培養液をウェルから注意深く除去した。次に、粘着性白色ブロッカーをViewPlateTMの底に固定した。90μLのDMEM(フェノールレッドを含まない)をウェルに添加した。90μLの再構成BriteliteTM試薬を各ウェルに添加し、試薬及び培養液の完全な混合のために、2回ピペットで吸引排出操作を確実に行う(ただしウェルの内容物を壁の側面にはねつけたり又は気泡を生じたりしない)。この操作は可能なかぎり迅速にかつ正確に実施した。プレートを透明な粘着性の封入用細片でシールした。15分を超えないが1分を超える間隔内で、プレートのルミネセンス強度をWallac Microbeta TriluxTMを用いて読み取った。
(使用したコントロール抗体又はハイブリドーマ上清に含まれる抗体のMxA-ルシフェラーゼ誘導を無効にする能力を基準にした)阻止百分率を得るために、Prism 4.0(GraphPad Software, Inc., San Diego, CA)及びノーマライズアルゴリズを用いて、“陽性コントロール”(組換えIFNα、SLE血清又はPBMC-flu上清+細胞)を100%のIFNα活性及び“陰性コントロール”(培養液中の細胞のみ)を0%のIFNα活性としてデータを標準化し、全ての値をコントロールのパーセンテージに対して調整した。
【0058】
実施例1:免疫及びモノクローナル抗体細胞株の選別
IFNαモノクローナル抗体作成の工程図は図2に示されている。5匹の6−8週齢のBalb/c雌マウス(Harlan)のグループを、MPL(商標)+TDM乳濁液(Sigma #M6536)中のそれぞれ5−10μgの天然の白血球IFNα(I-2396, Lot#111K1603, Sigma)及び/又は組換えタンパク質カクテル(各々5−10μgの3種の組換えIFNαサブタイプA、B2及びF(PBL Biomedical Laboratories“PBL”から入手))で、下記の表1に示したスケジュールにしたがい2から3週間間隔で免疫した。MPL(商標)+TDM乳濁液は、2%油(スクォレン)-トゥイーン80-水乳濁液中のモノホスホリル-脂質A(MPL:S. Minesotaの無毒化内毒素)及びトレハロースジコリノミコレート(TDM)から成るRibiアジュバント系である。抗原は、腹腔内(i.p.)又は皮下(s.c.)ルートで投与した。マウスから採集した融合前血清のスクリーニングは、I型IFNレセプターの活性化によるMxA-ルシフェラーゼ融合タンパク質のレポーター遺伝子(RG)アッセイを用い3種の力価(1:200、1:2000及び1:20,000)で実施し、IFNα生物活性の阻止を検出した。血清は後眼窩採血により3回目の追加免疫の7日後にマウスから採集し、上記に記載のレポーター遺伝子(RG)アッセイを用いてPBMC-flu生物活性の中和についてスクリーニングした。少なくとも1:2000で≧50%の中和を示す力価をもつマウスを4週間休息させ、続いて、3日後の脾臓細胞とネズミミエローマSp2/0-Ag14(CRL-8287, ATCC)との融合の前に、最後の2.5μgの白血球IFNの追加免疫を(静注又は腹腔に)実施した。融合は50%のPEG1500(Roche)で実施し、1xHAT(Sigma)補充DME+15%FCSをハイブリドーマ選別に用いた。10−14日後に、PBMC-fluの中和について培養上清をスクリーニングした。上記に記載の、免疫マウスのMxA/lucレポーター遺伝子(RG)バイオアッセイを基準にしたとき、17が、PBMC-fluの上清を1:200の力価で少なくとも50%中和することができ、これらのうちで14が1:2000希釈で≧50%の中和を示し、さらに3つが1:20000までの力価で中和し続けた。
【0059】
表1:免疫とモノクローナル抗体細胞株の選別
注記:プロトコル1、2及び3のマウスを用いて融合物1から6を作成した。融合は、1つのプロトコル内の2−3のマウスの細胞をプールして実施した。プロトコル6のIFNαで最初に免疫した2匹のマウスをプールして融合物8を作成した。プロトコル5では、2匹のマウスをプールして融合物7を作成し、3匹をプールして融合物9を作成した。
【0060】
モノクローナル抗体の作成及び精製:上記に記載したように、PBMC-fluに存在するIFNαサブタイプの複合混合物を中和するそれらの血清の能力を基準にして融合のための候補としてマウスを特定した。許容可能な血清力価をもつマウスから採集した脾臓細胞を用いて8つの融合シリーズを実施した。脾臓細胞をSp2/0-Ag14ネズミミエローマ細胞株(ATCC# CRL-1581、前記は内因性Ig鎖を発現することができないことから選択された)と融合させ、96ウェルの平底組織培養プレートに静置し、12−15日インキュベートした後で上清をスクリーニングし、上記に記載のRGアッセイプロトコルによりポリクローナル抗体応答を検出した。具体的には、37℃にて1時間免疫マウスの血清サンプルをインフルエンザ感染PBMCの上清と一緒に前インキュベートし、その後で93D7細胞をさらに5時間加えた。5時間でアッセイを発色させ、ルミネセンスカウンターで読み取った。最初の8融合物の要約は下記の表2に示されている。8融合物の上清を3911の初代ウェルからスクリーニングし、8候補物(ACO-1から8まで)(各々は融合物4から単離された)を、本明細書に記載のRGバイオアッセイで、MxA/luc生成のPBMC-flu(640倍に稀釈)仲介活性化の目視判定可能な一切の低下を定常的に示すその能力を基準に特定した。ハイブリドーマ細胞株を限界稀釈によってサブクローニングした。抗IFNαMAbを産生するハイブリドーマをGibco PFHM-II(Invitrogen)での増殖に順化させ、Integra CELLineフラスコ(Becton Dickinson)で培養した。5−7日毎に細胞区画から上清を採集し、-80℃で凍結した。続いて、50mLの上清バッチから、プロテインAカラムによるFPLC、続いてPBSへの透析によってMAbを精製した。前記精製MAbを小分けして-80℃で凍結した。ACO-1、2、3、4、5及び8はELISAによってIgG2a(ACO-1)、IgG2b(ACO-2)及びIgG1(ACO-3、4、5、6及び8)のサブタイプと決定された。これら候補細胞のいずれも、最初に白血球IFN又はIFNαA、B2及びF組換えタンパク質の混合物で免疫し、続いて白血球IFNで融合前追加免疫を実施したマウスの脾細胞の融合から得られた。組み換えIFNαサブタイプのみを投与したマウスで実施した融合は、PBMC-fluを中和することができる候補細胞を生じなかった。
【0061】
表2:融合の要旨
【0062】
実施例2:市販白血球IFNα又はPBMC-flu上清の生物活性のACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4及びACO-5による中和
少なくとも1つのIFNαサブタイプと強く結合し、これを中和することを示した抗IFNαMAbを選別し、天然に得られるIFN調製物(前記は広範囲のIFNαサブタイプを含むことが判明している)を中和するその能力を調べた。これらの実験のために、ACO-1から5の力価を、市販白血球IFN及び上記に記載したように調製したPBMC-flu上清の両方に対してRGバイオアッセイで調べた。ACO-1、2及び3は、調べた3つのMAb量(200、20及び2ng)の全てで白血球IFNの生物活性を少なくとも50%阻止し、ACO-4は200ngを調べたときにのみ50%をわずかに超える中和を達成した。前記に比して、ACO-5は白血球IFNに対しては貧弱な能力を示し、最大でアッセイシグナルの10%未満を阻止しただけであった。
種々の濃度のPBMC-flu上清の規定濃度のモノクローナル抗体による比較阻害を、上記に記載したRGアッセイを用いて実施した。Flu/PBMC中のIFNαの絶対濃度は不明であり、したがって相対的な中和性能がこの実験では判定される。しかしながら5種のMAbの力価(2000、200、20、2ng)をPBMC-fluに対して測定したとき、ACO-5は、最低量の抗体を除いて調べた量の全てで生物活性を少なくとも50%中和することができた(図3b)。ACO-1は、PBMC-fluで調べたとき最大の能力を示し、4つの力価のMAbの全てで少なくとも50%の阻止を示した。ACO-5による白血球IFNとPBMC-fluの中和の変動は、おそらく我々のアッセイで使用した2つの別個のIFN供給源に存在するIFNαサブタイプの相違及び/又はそれらの相対的濃度の相違に起因するのであろう。
【0063】
実施例3:組換えIFNαサブタイプの生物活性のACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4、ACO-5、ACO-6及びACO-8による阻害
IFNα中和候補ACO-1から6及びACO-8を、15の組換えIFNαサブタイプの中和とともにIFNβの中和について、RGアッセイとともに伝統的な細胞障害作用(CPE)阻害アッセイの両方によってスクリーニングした。組換えIFNαサブタイプタンパク質は業者から入手した(PBL Bio,edical Laboratories (Piscataway, NJ); info@interferonsource.com.(以下では“PBL”))。製造業者が決定した比活性は表3に示されている。
【0064】
表3:抗体の性状決定に使用した組換えヒトIFNαサブタイプ
【0065】
業者により提供された中和ユニット(U)は、水疱性口内炎ウイルスにより生じるウシMDBK細胞に対する細胞障害作用の50%を中和するあるサブタイプの能力(1U/mLと規定)を測定するアッセイにより割り当てられた。バイオアッセイのIFNαの潜在能力が、多くの変数(アッセイタイプ、個々に調製されたバッチ、及び実験室間における小さな技術的変動を含む)だけでなく、各サブタイプに対する国際的に承認された標準物が利用可能でないという事実によっても影響を受けるということを仮定して、これらの実験では常にただ1つのロット番号を用いた。RGバイオアッセイで最大の応答を生じる各組み換え体の製造業者規定U(RGmax)を決定した。続いて、これらのIFNαサブタイプ量の存在下で、精製ACO-1、2、3、4、5、6及び8の力価をRGバイオアッセイで測定した。IFNβ(比活性=8.23x107U/mg)はPBLから入手した。
15のIFNαサブタイプのRGmaxに対するACO-1の力価測定の代表的なRGバイオアッセイデータは図4aに示されている。凡例に示されているように、数値は、各サブタイプについて決定されたEC50を基準に、指定のサブタイプに対する各ACO-1力価に対して割り当てられている。ACO-1はIFNαDもIFNα1も中和することはできなかったが、他の13のサブタイプは種々の抗体濃度で中和することができた。ng/mLで表わした全てのACO-1、2、3、4、5及び8 IFNα中和抗体のEC50の結果は表4に提供されている。
中和百分率は表5に示されている。したがって、ACO-1及び2は、12のサブタイプ(IFNαA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、4a、4b及びWA)を300ng/mL未満の抗体濃度で中和することができるそれらの能力で類似しているようである。ACO-1はまた前記の程度にIFNαKを中和するが、ACO-2は中和できなかった。ACO-3及び4は、それぞれ9つ(IFNαA、2、B2、C、I、J1、K、4a及びWA)及び6つ(IFNαA、2、B2、C、I、J1及び4a)のサブタイプを300ng/mL未満で中和した。ACO-8は、抗体濃度に制約があるが4つのサブタイプ(IFNα2、1、4a及び4b)を中和し、一方、ACO-5は3つのみ(IFNαA、2及びWA)を強力に中和した。いずれの抗体もIFNβを中和することはできなかった(図4b)。
【0066】
表4:組換えIFNαのACO-1、2、3、4、5及び8による中和(EC50ng/mL)
【0067】
表5:2μg/mLの抗体によるRGmaxのIFN量の中和百分率
【0068】
トランスフェクトされていないA549細胞(ATCC# CCL-185、ヒト肺癌細胞株)を用いて、RGアッセイと同様にCPEアッセイを設定した。アッセイは標準の96ウェルの平底組織培養プレートで実施する。抗体とIFNαサブタイプとの前インキュベーション(37℃で1時間)及びその後の5時間の細胞添加に続いて、マウス脳脊髄炎ウイルス(EMCV)を加え、残存する生細胞の判定のためにクリスタルバイオレットによる染色を実施する前に前記細胞を48時間インキュベートした。RG及びCPE両アッセイのために、使用される各IFNαの量を組換えIFNαタンパク質の事前の定量により決定し、アッセイにおける最大MxA-ルシフェラーゼ誘導(RG)又は細胞死(CPE)の最大防御のどちらかを得た。表6に示したデータは、対応するINFαサブタイプ(対応するサブタイプコード遺伝子は括弧内に表示されている)に対して各ACOモノクローナル抗体によってCPEアッセイで示される生物活性阻止のパーセンテージを表している。CPEアッセイについては、細胞死(CPE)の最大防御を得るために、使用される各IFNαサブタイプの量は、組換えIFNαタンパク質の事前の定量により決定された。N/D=決定せず。提示したように、ACO-1及びACO-2は、当該アッセイ条件下では90%のレベルでもっとも多くのIFNαサブタイプを阻止することができ、一方、ACO-6はもっとも限定的である。ほとんどの事例では、RG及びCPEアッセイの結果は互いに相関性を有する。
【0069】
表6:CPEアッセイにおけるMAbのIFNαサブタイプの中和百分率
【0070】
【表1】
【0071】
実施例4:ACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4、ACO-5及びACO-6の多重体形成解析
多重解析を実施して、空間的に別個の結合ドメインが中心的に関与しているか否かを判定した。LuminexTM100システムでの多重解析により、ACO抗体のIFNα-Aに同時に結合する能力についてACO抗体を順列組み合わせ的に解析した。非標識ACO抗体(捕捉体)と結合させたビーズを表示の濃度の組換えIFNα-Aとインキュベートし、続いてPE標識ACO抗体(レポーター)に暴露した。この試験は、ACO-5がACO-1、2、3及び4のいずれかと多重体を形成することができることを明らかにした(図5の淡色塗りを参照されたい)。多重体形成はさらに、捕捉抗体としてACO-4、レポーター抗体としてACO-3を用いるときにも生じる。したがって、ACO-5は、ACO-1、2、3及び4が結合するドメイン以外のIFNα-Aの空間的に別個のドメインと結合する。同様にACO-3及びACO-4はIFNα-Aの空間的に別個のドメインと結合する。ACO-6による結果は全ての事例で陰性であった。
【0072】
実施例5:ACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4、ACO-5及びACO-6の親和性の測定
CM5センサーチップを搭載し、10mMHEPES、150mMのNaCl、0.005%P20、0.1mg/mLのBSA(pH7.4、25℃)で平衡化したBiacore2000及び3000光学バイオセンサーを用いて、IFNα-Aに対するACO抗体の動力学的解析を実施した。ACO-1から6までの各々について、抗体を先ず初めに迅速脱塩カラムを用いてトリス-グリシン緩衝液から10mMの酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.0)に緩衝液交換し、続いてアミンカップリング化学反応を用いて3つのフロー細胞表面に固定した(4番目のものはリファレンスとして供するために未改変のままにした)。最終的なMAb固定密度は500−1100RU(応答ユニット)の範囲であった。結合応答は、IFNα-Aが抗体及びリファレンスフロー細胞上を50μL/分で定量した量(0、0.31、0.93、2.78、8.33、25.0及び75.0nM)で流入したときにモニターした。Ab/Ag複合体の結合は4分モニターし、解離は12分モニターした。前記表面は、各結合サイクルの終了時に1/1000 H3PO4で再生させた(ただしACO-5を除く(前記は1/200 H3PO4を必要とした)。アッセイはトリプリケートで実施した。結果は表7に示されている。5つの抗IFNαMAbのKD値は、白血球IFN及びPBMC-flu生物活性の阻止におけるそれらに潜在能力と同様に、各MAbによって中和されるIFN-αサブタイプの幅に反比例する範囲をカバーする。ACO-1は最低の親和性を示し(5.61x10-9M)、一方、ACO-5は14倍高い親和性を示した(4.00x10-10M)。ACO-6はIFN-αとは結合せず、したがって速度は得られなかった。
【0073】
表7:IFN-αAを用いたACO-1から6のバイオコアの動力学アッセイ
【0074】
実施例6:ACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4、ACO-5及びACO-6によるIFNαサブタイプの固相結合
15のIFNαサブタイプの全ての固相結合をELISAアッセイによってMAb特異性のスクリーニングのために判定した。簡単に記せば、1μg/mLの組換えIFNαサブタイプの50μL/ウェルでELISAプレート(NUNC MaxiSorpTM)を4℃にて一晩被覆した。被覆プレートをPBS+1%BSAでブロッキングし、PBS中の25ngのACO候補MAb(50μL)とともに37℃にて1時間インキュベートした。50μL/ウェルのHRP結合ヤギ抗マウスIgG(Jackson ImmunoResearch)と室温にて30分インキュベートし、続いて100μL/ウェルのTMB基質溶液(Zymed)と15分インキュベートすることによってアッセイを進行させた。前記反応を100μL/ウェルのHCl(1N)で停止させ、ELISAプレートリーダーでOD450を読み取った。結合百分率は、アッセイを通して最大のシグナル値(IFNα-4aで認められた)を用いてバックグラウンドのシグナル値を標準化することによって算出した。結果は表8及び図6に示されている。ACO-1及びACO-2は両方とも、それらがRGアッセイで効率的に中和した同一の12のIFNαサブタイプと、アイソタイプ合致コントロールよりも少なくとも2倍強いシグナルで結合した。IFNαサブタイプB2、K、4a及び4bの結合はコントロールよりも20倍強いシグナルを示した。しかしながら、結合能と中和能との間の相違はACO-3、4、5及び8の間で観察された。ACO-3の場合には、サブタイプB2、K及び4aのELISAシグナルは、IFN-αKの中和のEC50値がIFN-αB2のEC50よりも200倍高くIFN-α4aのそれよりも4倍高いという事実にも関わらずもっとも高かった。サブタイプJ1の顕著な結合(J1はバイオアッセイでは中和された)は検出されなかった。ACO-4及び5の結合及び中和プロフィルは、互いに逆の関係を示した。一方、ACO-4及び5は各々1つのサブタイプと強力に結合し(それぞれIFN-α4a及び2)、ACO-4は、前記が中和するよりも多くのサブタイプと結合することができ、ACO-5は、前記が結合するよりも多くのサブタイプを中和することができた(高いEC50値であるが)。可能な説明は、これら2つのMAbによって認識される特異的エピトープが水性アッセイ(RG)と固相アッセイ(ELISA)では接近能力が異なり得るということである。ACO-8は、試験したいずれのIFN-αサブタイプとも強力には結合しなかった。ACO-8は、IFN-αD、1及び4aに対して20倍未満の結合を示した。ACO-6は前記サブタイプのいずれとも結合しなかった。
【0075】
表8:ACO-1、2、3、4、5及び8による組換えIFNαサブタイプの結合
【0076】
【表2】
【0077】
下線は合致コントロールよりも2倍強いシグナルを示す。太字は合致コントロールよりも20倍強いシグナルを示す。合致コントロールよりも2倍未満のシグナルは有意ではない結合を示す。
【0078】
実施例7:ACO-1、2及び3モノクローナル抗体によるSLE患者血清の生物活性の阻止
抗ウイルスアッセイを用いて、活発な症状を示すSLE患者血清のA540細胞(CCL-185, ATCC)の脳脊髄炎ウイルス(EMCV)感染時の細胞死に対する防御活性を中和する抗IFNαMAbの能力を判定した。もっとも広いIFNαサブタイプ、白血球IFN及びPBMC-fluの中和プロフィルを示す抗体(ACO-1、2及び3)を調べた。SLE血清は、患者の血中単核球の特徴的なIFN及び顆粒球形成遺伝子発現シグナチャーを基準に選別した4人の進行中のSLE患者(SLE-43、133、140及びBCと特定)から入手した。SLE血清をMAb中和試験の前にCPEバイオアッセイでウイルス感染に対する防御についてスクリーニングした。これらの解析ではRGアッセイは、CPEアッセイのインキュベーション時間(48時間)に対して相対的に短いRGアッセイのインキュベーション時間(5時間)の間にViewPlatesTMへの細胞結合が血清因子によって阻害されるために用いられなかった。Vero細胞(CCL-81, ATCC)をEMVC(VR-129B, ATCC)に感染させ、作業用ウイルスストックを上清から調製した。アッセイは、組織培養用処理平底96ウェルプレートで、37℃+CO2で一晩インキュベートしたA549細胞(15,000細胞/ウェル、各ウェル50μL)を用いてトリプリケートで実施した。続いて、抗IFNαMAb及びSLE患者由来血清をプレートに添加し(100μL/ウェル)、EMCVの添加前に4時間、前インキュベーションを実施した。前記EMCVは、48時間で非防御細胞の100%を50μL中で殺すことができる最終濃度に稀釈された。インキュベーションを48時間続行し、続いてクリスタルバイオレットで染色し、ELISAプレートリーダーでOD570の値を読み取った。コントロールは血清単独、培養液のみ(−)、及び汎中和ポリクローナル抗体(pAB、ウサギ抗ヒトIFNα、PBL)であった。図7a−dに示した結果はトリプリケートの平均を表している。親和性が低いにもかかわらず、ACO-1及び2は4血清の全てをある程度中和することができた。ACO-3はSLE-43、140又はBCを阻止することができなかった。いくつかの事例(SLE-43に対するIgG2b、SLE-BCに対する3アイソタイプの全て)で、対応するアイソタイプコントロールが血清を阻止することができたのは、おそらく患者間における他の血清成分(前記成分はこのアッセイで用いた細胞に対し細胞毒性を有する)の天然の変動の結果であろう。
【0079】
実施例8:ACO-1及びACO-2の霊長類IFNαとの交差反応性
ヒト臨床試験の前段階としての前臨床安全性/毒性試験を実施するために、内因性IFNαがヒト化抗IFNαモノクローナル抗体と反応する動物モデルを特定することは有用である。2つの候補抗体、ネズミ抗ヒトIFNαAb ACO-1及びACO-2の霊長類IFNαを中和する能力を調べた。具体的には、マカクの精製IFNα4b(156pg/ウェル)で刺激したときにA549細胞でMxA-ルシフェラーゼレポーター遺伝子が誘導されるのを阻止する前記抗体の能力を測定した。図8に示すように、抗体ACO-1及びACO-2は強力にレポーター遺伝子誘導を阻止し(それぞれA及びB)、一方、ACO-3は高濃度でさえも阻止することができない(C)。ヒトとマカクIFNα間の相同性は高度に保存されている。さらにまた、市販の抗ヒトIFNα抗体はアカゲザル及びイヌ(cynomologous)同族体と交差反応することが示された。これらのデータは、霊長類は適切な安全性クリーニングモデルを提供することを示唆している。
【0080】
実施例9:ACO-1重鎖及び軽鎖の配列
縮退プライマープールを用いてRT/PCRを実施し、ACO-1を発現しているハイブリドーマからmRNAを増幅した。6縮退プライマープールのセット(HAからHG)を用いて重鎖可変領域のmRNAを増幅し、さらに8縮退プライマープールのセット(LAからLI)を用いて軽鎖可変領域のmRNAを増幅した。増幅生成物は、プライマープールHA、HB、HE、HF、LB、LC及びLGを用いて得られた。プールLIでは PCR生成物は得られなかった。したがって前記軽鎖はカッパクラスターに由来していた。各生成物をクローニングし、その各々に由来するいくつかのクローンの配列を決定した。
2つの異なる重鎖配列を同定した。プールHA及びHFは、フレームワーク領域3の末端に停止コドンをもつ切端重鎖をコードするただ1つの配列を増幅した。したがって、この重鎖は、抗原を結合することができる抗体を形成できるとは思われない。
プールHB及びHEは、HA及びHFのものとは異なり、図9に示されている完全長のVh領域をコードするただ1つの配列を増幅した。前記完全長の重鎖DNA配列は配列番号:1であり、完全長のアミノ酸配列は配列番号:2である。CDR VH1(TACACCTTCACCAACTACTGGATGCAC配列番号:3)VH2(GAGATTAATCCTAGCCACGGTCGTACTATCTACAATGAAAACTTCAAGAGC配列番号:5)及びVH3(GGGGGACTGGGACCCGCCTGGTTTGCTTAC配列番号:7)をコードするDNA配列は斜字体で示され、アミノ酸配列VH1(YTFTNYWMH配列番号:4)、VH2(EINPSHGRTIYNENFKS配列番号:6)及びVH3(GGLGPAWFAY配列番号:8)には下線が付されている。
2つの軽鎖配列が同定された。プールLB及びLCは、いくつかのハイブリドーマで見出される、綿密に実証された異常な切端カッパ軽鎖とアラインメントを実施することができるただ1つの配列を増幅した。プールIGは、完全長であってプールLB及びLCで増幅されたものとは異なるただ1つの配列を増幅した。前記軽鎖配列は図10に示されている。完全長の軽鎖DNA配列は配列番号:9であり、完全長のアミノ酸配列は配列番号:10である。CDR VL1(AGTGCCGGCTCAAGTGTAGATTCCAGCTATTTGTAC配列番号:11)、VL2(AGCACATCCAACCTGGCTTCT配列番号:13)及びVL3(CATCAGTGGAGTAGTTACCCATTCACG配列番号:15)は斜字体で示され、一方アミノ酸配列VL1(SAGSSVDSSYLY配列番号:12)、VL2(STSNLAS配列番号:14)及びVL3(HQWSSYPFT配列番号:16)には下線が付されている。
ハイブリドーマACO-1から得られた配列の解析は表9に要約されている。可変領域は、それらの最も近似するヒト生殖細胞系列の配列と高い相同性(67%から65%)を示し、フレームワーク配列はヒト生殖細胞系列データベースに近似する同族体を有する。
【0081】
表9:クローンACO-1
【0082】
【表3】
【0083】
a CDRの範囲及び配列番号付与はKabatにしたがう。
b 生殖細胞系列IDは%相同性の前に表示されている。
【0084】
実施例10:モノクローナル抗体のヒト化及びその性状決定
当分野で公知の方法を用いて、ネズミの相補性決定領域をヒト抗体フレームワークに移植(CDR-移植)することによってヒト化抗体を作成する(例えば以下を参照されたい:Jones et al. 1986, Nature 321:522-525;Reichmann et al. 1988, Nature 332:323-329;Presta 1992, Curr Op Struc Biol 2:593-596;及びClark 2000, Immunol Today 21:397-402)。前記ヒト化抗体は、上記のネズミモノクローナル抗体と同じ結合及び機能パラメーターを示すことができる。
実施例11:ヒト化モノクローナル抗体を用いるSLEの治療
当分野で公知であり、文献(Bennett et al. 2003上掲書;Baechler et al. 2003上掲書)にも記載されている方法にしたがって、マイクロアレイを用いてIFNαのシグナチャーがモニターされるであろう。この新しいツールは、患者をモニターするだけでなく、階層化(すなわち陽性INFαシグナチャー算入基準)のために役立つ。この解析の使用はまた、どの患者が本発明の組成物又は方法によって適切に治療されるかを決定するために有用である。ある特徴では、本発明の抗体の投与はこのシグナチャーを消滅させるであろう。ある特徴では、当業者は、本発明の方法の目標がいつ達成されたか、有効量の抗体がいつデリバーされたか、INFαシグナチャーが効果的な期間(例えば約4週間)50%抑制されるために必要な量と規定されるものを決定することができる。
有効量は、例えば約1mg/kgから、第二には2.5mg/kg、第三には5mg/kgの量が輸液され、第四には、必要な場合は10mg/kgであろう。各患者について“計算された最適な用量”とは、安全に投与され、かつ約4週間の間INFαシグナチャーの少なくとも50%抑制を提供する量と規定される。
患者は毎週INFαシグナチャーについてモニターされるであろう。INFαシグナチャーが再出現する期間が投与間隔を決定するであろう。例えば、1mg/kgの用量が50%シグナチャー減少を2週間しか提供しない場合は、前記患者は第二の用量である2.5mg/kgを投与されるであろう。毎週のモニターが3週間の50%シグナチャー抑制しか示さない場合、患者は第三の用量である5mg/kgを投与されるであろう。10mg/kgの最大用量は、少なくとも4週間の50%IFNαシグナチャー抑制を提供する用量を特定することを目標に試験されるであろう。
有効性は許容可能な任意の方法によって測定される。許容可能な方法には、PBMCのマイクロアレイ解析(有効性はインターフェロンシグナチャーの消失で確定される)、PBMCのフローサイトメトリー(有効性はT/Bリンパ球カウントの増加によって確定される)、形質細胞増加症の緩和及び成熟好中球存在の低下又はルミネクス解析の使用による血清中のサイトカインの多重解析が含まれるが、ただしこれらに限定されない。
生物学的寄託:ACO-1からACO-6のハイブリドーマ細胞株はアメリカ菌培養集積所(10801University Blvd., Manassas, VA 20110-2209, USA(ATCC))に寄託され、下記の表10に示す寄託番号が付与された。
【0085】
表10
ハイブリドーマ細胞株 ATCC寄託版 寄託日
ACO-1 PTA-6557 02/08/2005
ACO-2 PTA-6558 02/08/2005
ACO-3 PTA-6559 02/08/2005
ACO-4 PTA-6560 02/08/2005
ACO-5 PTA-6561 02/08/2005
ACO-6 PTA-6562 02/08/2005
【0086】
これらの寄託は、特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約の規定及び前記ブダペスト条約に基づく規則にしたがって実施した。前記は、寄託の日から30年間の前記寄託した生存培養の維持を担保する。前記寄託物はブダペスト条約の規定にしたがいATCCから入手することができ、Baylor Research InstituteとATCCとの間の合意に付託される。前記合意は、関連する米国特許の発行又は米国若しくは外国のいずれかの特許出願公開に際して(いずれか早いもの)、公衆への前記寄託培養の子孫培養の永久的及び非制限的な利用可能性を保証し、かつ35U.S.C.§122及び前記に付随する規則(と国866 OG 638に関して37C.F.R.§1.14を含む)にしたがい特許庁長官が決定した者に前記子孫培養の利用可能性を保証する。
本出願の譲受人は、適切な条件下で培養されたときに前記寄託に関する培養物が死滅又は失われ又は損壊された場合、通知の時点で速やかに前記培養物をまた別の同一物と交換することに同意した。前記寄託物の利用可能性は、特許法に基づいていずれかの政府当局により付与された権利に反して本発明を実施する権利と解釈されてはならない。
本明細書に記載した具体的な実施態様は例示として提供され、本発明を制限するものではないことは理解されよう。本発明の基本的な特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく多様な実施態様で用いることができる。当業者は、日常的な実験の範囲を超えない実験を用いて、本明細書に記載した具体的な方法に対し多数の等価物を知り又は確認することができよう。そのような等価物は本発明の範囲内に包含され、特許請求の範囲に含まれる。
本明細書に記載した全ての刊行物及び特許出願は、本発明が属する分野の業者の技術レベルを示すものである。本明細書に記載した全ての刊行物及び特許出願(及び特に前記の関連する部分)は、前記刊行物及び特許出願の各々が具体的にかつ個別に表示されたかのように、参照により本明細書に含まれる。
特許請求の範囲では、範囲を示す全ての語句、例えば“含む”、“保有する”、“有する”、“包含する”などは幅広い解釈ができることと理解され、すなわち限定されないことを意味する。 範囲を示す“から成る”及び“本質的に〜から成る”という語句のみが、それぞれ限定又は半限定の範囲語句であろう。
本明細書に開示され又は特許請求された組成物及び/又は方法は本明細書の教示により困難な実験を行うことなく実施又は遂行することができる。本発明の組成物及び方法は好ましい実施態様により記載してきたが、本発明の範囲を逸脱することなく、前記組成物及び/又は方法に対し、及び本明細書に記載の方法の工程又は一連の工程において多様な変型を適用することができることは当業者には明白であろう。より具体的には、化学的及び物理的に関連性を有するある種の物質を、本明細書に記載の物質と置き換えることができ、同じ結果を達成できることは明白であろう。当業者に明白なそのような類似の置換及び改変は、添付の特許請求の範囲によって規定した本発明の範囲内に包含されるものとみなされる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】レポーター遺伝子(RG)アッセイ及び細胞障害作用(CPE)阻害アッセイの模式図を示す。CPEアッセイ模式図の黒丸は無傷の生細胞を表す。白丸は、ウイルス感染によって殺された死細胞を表す。RGアッセイ模式図では黒丸及び細胞は“+”と同様にルシフェラーゼ発現を示し、一方、白丸及び細胞はルシフェラーゼ発現を欠くことを示している。
【図2】IFNα MAb開発方法の工程図を示す。
【図3】ACO-1、2、3、4及び5による複合IFN源の中和を示す。(a)600pgの白血球IFN(Sigma)の表示量の各MAbによる中和をRGバイオアッセイにより判定した。阻止百分率は、白血球IFNの存在/非存在下及び任意のMAbの非存在下で得られたLCPS値を基準に算出した。値は3実施の平均を表す。(b)各MAbによるPBMC-flu(640倍希釈)の中和を示す。阻止百分率は以前に記載したように算出した。値は3実施の平均を表す。
【図4】ACO-1による15の組換えIFNαサブタイプの中和を示す。(a)濃度が増加するACO-1による表示IFNαサブタイプの中和をRGバイオアッセイにより判定した。各曲線に割り振られた数値は、ACO-1の非存在下(Y-軸の白丸によって表示)及びMAbの最高検査濃度(2000ng/mL)で得られたLCPS値(発光カウント/秒)から算出した中点(EC50)を示す。N.D.はEC50値を割り当てることができなかったことを示す。データの点は3実施から得られた。(b)濃度が増加するACO-1、2、3、4、5及び8によってIFNベータの中和が得られないことを示す。データの点は3実施から得られた。
【図5】モノクローナル抗体ACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4、ACO-5及びACO-6のマルチプレックス解析の結果を示す。
【図6】モノクローナル抗体ACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4、ACO-5及びACO-6によるIFNαサブタイプの固相結合アッセイの結果を示す。
【図7】CPEアッセイによって判定した、SLE患者血清サンプルSLE-43(a)、SLE-133(b)、SLE-140(c)及びSLE-BD(d)の生物活性の中和を示す。検査MAb量が表示されている。コントロールには、血清単独、培養液のみ(−)、及び汎中和ポリクローナル抗体(pAb、ウサギ及び抗ヒトIFNα、PBL)が含まれる。値は3実施の平均を示す。
【図8】8A−CはACO-1(A)、ACO-2(B)及びACO-3(C)とマカクIFN(156pg/ウェル)との交差反応性を示す。
【図9】ACO-1の重鎖のcDNA及びアミノ酸配列を示す。VH1、VH2及びVH3 CDRをコードするDNA配列は斜字体で示され、一方、対応するアミノ酸配列には下線が付されている。
【図10】ACO-1の軽鎖のcDNA及びアミノ酸配列を示す。VL1、VL2及びVL3 CDRをコードするDNA配列は斜字体で示され、一方、対応するアミノ酸配列には下線が付されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターフェロンアルファ(“IFNα”)タンパク質サブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4b及びWAから成る群から選択される少なくとも2つのIFNαタンパク質サブタイプの生物活性を選択的に中和するが、IFNαタンパク質サブタイプDの少なくとも1つの生物活性は顕著には中和しない抗体であって、前記生物活性がMxAプロモーターの活性化又は抗ウイルス活性である、前記抗体。
【請求項2】
前記生物活性がMxAプロモーターの活性化である、請求項1に記載の抗体。
【請求項3】
前記生物活性が抗ウイルス活性である、請求項1に記載の抗体。
【請求項4】
前記抗体がIFNαタンパク質サブタイプ1の少なくとも1つの生物活性は中和せず、前記生物活性がMxAプロモーターの活性化又は抗ウイルス活性である、請求項1に記載の抗体。
【請求項5】
前記抗体が、IFNαタンパク質サブタイプの少なくとも3つを選択的に中和する、請求項1に記載の抗体。
【請求項6】
前記抗体が、IFNαタンパク質サブタイプの少なくとも4つを選択的に中和する、請求項1に記載の抗体。
【請求項7】
前記抗体が、IFNαタンパク質サブタイプの少なくとも5つを選択的に中和する、請求項1に記載の抗体。
【請求項8】
前記抗体が、IFNαタンパク質サブタイプの少なくとも6つを選択的に中和する、請求項1に記載の抗体。
【請求項9】
前記抗体が、IFNαタンパク質サブタイプの少なくとも7つを選択的に中和する、請求項1に記載の抗体。
【請求項10】
前記抗体が、IFNαタンパク質サブタイプの少なくとも8つを選択的に中和する、請求項1に記載の抗体。
【請求項11】
INFαタンパク質サブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4b及びWAの生物活性を選択的に中和するが、IFNαタンパク質サブタイプD及び1の生物活性は顕著には中和しない、請求項1に記載の抗体。
【請求項12】
前記抗体がモノクローナル抗体ACO-1を含む、請求項1に記載の抗体。
【請求項13】
前記抗体がモノクローナル抗体ACO-2を含む、請求項1に記載の抗体。
【請求項14】
前記抗体が、前記INFαサブタイプの生物活性の少なくとも50%を中和し、前記生物活性がMxAプロモーターの活性化である、請求項1又は11に記載の抗体。
【請求項15】
前記抗体が、前記生物活性の少なくとも60%を中和する、請求項14に記載の抗体。
【請求項16】
前記抗体が、前記生物活性の少なくとも70%を中和する、請求項14に記載の抗体。
【請求項17】
前記抗体が、前記生物活性の少なくとも80%を中和する、請求項14に記載の抗体。
【請求項18】
前記抗体が、前記生物活性の少なくとも90%を中和する、請求項14に記載の抗体。
【請求項19】
前記抗体が、モノクローナル抗体ACO-1のヒト化型又はキメラ型を含む、請求項1に記載の抗体。
【請求項20】
前記抗体が、モノクローナル抗体ACO-2のヒト化型又はキメラ型を含む、請求項1に記載の抗体。
【請求項21】
前記抗体が、配列番号:2の重鎖可変ドメイン及び配列番号:10の軽鎖可変ドメインを含む、ヒト化抗ヒトIFNαモノクローナル抗体を含む、請求項1に記載の抗体。
【請求項22】
前記抗体が、ATCCアクセッション番号PTA-6557を有するハイブリドーマ若しくはその子孫によって産生される抗IFNα抗体、又はそのヒト化若しくはキメラ型と本質的に同じIFNαエピトープと結合する、請求項1に記載の抗体。
【請求項23】
前記抗体が、ATCCアクセッション番号PTA-6558を有するハイブリドーマ若しくはその子孫によって産生される抗IFNα抗体、又はそのヒト化若しくはキメラ型と本質的に同じIFNαエピトープと結合する、請求項1に記載の抗体。
【請求項24】
抗体又はその抗原結合フラグメントであって、前記抗体又はその抗原結合フラグメントが重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含み、前記軽鎖可変ドメインが以下のCDRの1つ以上を含み:
配列番号:12のアミノ酸配列を有するVL1;
配列番号:14のアミノ酸配列を有するVL2;及び
配列番号:16のアミノ酸配列を有するVL3;
ここで、前記抗体又は抗原結合フラグメントは、IFNαタンパク質サブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4b及びWAの生物活性を中和するが、IFNαタンパク質サブタイプDの生物活性は中和せず、ここで前記生物活性はMxAプロモーターの活性化である、前記抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項25】
前記抗原結合フラグメントがFab、Fab'、F(ab')2、Fv又はsFvフラグメントを含む、請求項24に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項26】
抗体又はその抗原結合フラグメントであって、前記抗体又はその抗原結合フラグメントが軽鎖可変ドメイン及び重鎖可変ドメインを含み、前記重鎖可変ドメインが以下のCDRの1つ以上を含み:
配列番号:4のアミノ酸配列を有するVH1;
配列番号:6のアミノ酸配列を有するVH2;及び
配列番号:8のアミノ酸配列を有するVH3;
ここで、前記抗体又は抗原結合フラグメントは、IFNαタンパク質サブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4b及びWAの生物活性を特異的に中和するが、IFNαタンパク質サブタイプDの生物活性は中和しない、前記抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項27】
前記抗原結合フラグメントがFab、Fab'、F(ab')2、Fv又はsFvフラグメントを含む、請求項26に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項28】
抗体又はその抗原結合フラグメントであって、前記抗体又はその抗原結合フラグメントが、少なくとも1つの軽鎖又はその抗原結合フラグメント及び少なくとも1つの重鎖又はその抗原結合フラグメントを含み、
ここで前記軽鎖又はその抗原結合フラグメントが以下のCDRの1つ以上を含み:
配列番号:12のアミノ酸配列を有するVL1;
配列番号:14のアミノ酸配列を有するVL2;及び
配列番号:16のアミノ酸配列を有するVL3、
ここで前記重鎖又はその抗原結合フラグメントが以下のCDRの1つ以上を含む、前記抗体又はその抗原結合フラグメント:
配列番号:4のアミノ酸配列を有するVH1;
配列番号:6のアミノ酸配列を有するVH2;及び
配列番号:8のアミノ酸配列を有するVH3。
【請求項29】
前記抗体が、2つのジスルフィド結合によって結合された抗体重鎖-軽鎖対で構成されたホモ-テトラマー構造を含む、請求項28に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項30】
前記抗体が直鎖状抗体を含む、請求項28に記載の抗体。
【請求項31】
前記抗体がIFNβを中和しない、請求項28に記載の抗体。
【請求項32】
IFNαタンパク質サブタイプA、2、B2、C、I、K及び4aを選択的に中和するが、IFNαタンパク質サブタイプD、F、G、4b及び1の生物活性は顕著には中和しない抗体であって、前記生物活性がMxAプロモーターの活性化及び/又は抗ウイルス活性である、前記抗体。
【請求項33】
前記生物活性がMxAプロモーターの活性化である、請求項32に記載の抗体。
【請求項34】
前記抗体がモノクローナル抗体ACO-3を含む、請求項32に記載の抗体。
【請求項35】
IFNαタンパク質サブタイプA、2、B2及びCの生物活性を選択的に中和するが、IFNαタンパク質サブタイプD、4b及び1の生物活性は中和しない抗体であって、前記生物活性がMxAプロモーターの活性化及び/又は抗ウイルス活性である、前記抗体。
【請求項36】
前記生物活性がMxAプロモーターの活性化である、請求項35に記載の抗体。
【請求項37】
前記抗体がモノクローナル抗体ACO-4を含む、請求項35に記載の抗体。
【請求項38】
IFNαタンパク質サブタイプA、2、G、I、K及びWAの生物活性を選択的に中和するが、IFNαタンパク質サブタイプB2及びDの生物活性は中和しない抗体であって、前記生物活性がMxAプロモーターの活性化及び/又は抗ウイルス活性である、前記抗体。
【請求項39】
前記生物活性がMxAプロモーターの活性化である、請求項38に記載の抗体。
【請求項40】
前記抗体がモノクローナル抗体ACO-5を含む、請求項38に記載の抗体。
【請求項41】
IFNαタンパク質サブタイプA、2、B2、F、I、4a、4b及び1の生物活性を選択的に中和するが、IFNαタンパク質サブタイプC、H2、K及びWAの生物活性は中和しない抗体であって、前記生物活性がMxAプロモーターの活性化である、前記抗体。
【請求項42】
前記抗体がモノクローナル抗体ACO-8を含む、請求項40に記載の抗体。
【請求項43】
前記抗体が、マウス抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、又はその抗体フラグメントを含む、請求項1、11、22、23、24、26、28、32、35、38又は41に記載の抗体。
【請求項44】
ACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4、ACO-5、ACO-6及びACO-8から成る群から選択される抗体と本質的に同じIFNαのエピトープに結合する抗体。
【請求項45】
前記抗体がモノクローナル抗体である、請求項1、11、22、23、24、26、28、32、35、38、41又は44に記載の抗体。
【請求項46】
請求項1、11、22、23、24、26、28、32、35、38、41又は44に記載の抗体をコードする核酸を含む宿主細胞。
【請求項47】
前記宿主細胞がハイブリドーマである、請求項46に記載の宿主細胞。
【請求項48】
請求項1、11、22、23、24、26、28、32、35、38、41又は44に記載の抗体を産生するハイブリドーマ。
【請求項49】
前記モノクローナル抗体が、ACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4、ACO-5、ACO-6及びACO-8から成る群から選択される、請求項48に記載のハイブリドーマ。
【請求項50】
ATCCアクセッション番号PTA-6557、PTA-6558、PTA-6559、PTA-6560、PTA-6561及びPTA-6562を有するハイブリドーマの群から選択される、請求項49に記載のハイブリドーマ。
【請求項51】
請求項1、11、22、23、24、26、28、32、35、38、41又は44に記載の抗体を含む組成物。
【請求項52】
請求項1、11、22、23、24、26、28、32、35、38、41又は44に記載のモノクローナル抗体及び医薬的に許容できる担体を含む医薬組成物。
【請求項53】
IFNαタンパク質サブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4b及びWAから成る群から選択される少なくとも1つのIFNαタンパク質サブタイプの異常な発現に付随する疾患又は症状を、IFNαタンパク質サブタイプDの生物活性を中和することなく対象者で治療する方法であって、前記方法が、前記疾患又は症状を有する対象者に、請求項1、11、22、23、24、26、28、32、35、38、41又は44に記載の抗体の有効量を投与することを含み、ここで前記生物活性がMxAプロモーターの活性化又は抗ウイルス活性である、前記疾患又は症状を治療する方法。
【請求項54】
前記生物活性がMxAプロモーター活性である、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記抗体が、抗体ACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4、ACO-5、ACO-6又はACO-8と本質的に同じIFNαのエピトープに結合する、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
前記抗体が、抗体ACO-1と本質的に同じIFNαのエピトープに結合する、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記抗体が、抗体ACO-2と本質的に同じIFNαのエピトープに結合する、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
前記疾患又は症状が、全身性紅斑性狼瘡(SLE)、対宿主性移植片病(GVHD)、1型糖尿病、エイズ、狼瘡、乾癬、及び自己免疫甲状腺炎から成る群から選択される、請求項53に記載の方法。
【請求項59】
前記疾患がSLEである、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記疾患が乾癬である、請求項58に記載の方法。
【請求項61】
インターフェロンアルファ(“IFNα”)タンパク質サブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4b及びWAから成る群から選択される少なくとも1つのIFNαタンパク質サブタイプの異常な発現に付随する疾患又は症状を治療するための医薬を製造することを目的とする、請求項1、11、22、23、24、26、28、32、35、38、41又は44に記載の抗体の使用。
【請求項62】
前記抗体が、抗体ACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4、ACO-5、ACO-6又はACO-8と本質的に同じIFNαのエピトープに結合する、請求項61に記載の使用。
【請求項63】
前記抗体が、抗体ACO-1と本質的に同じIFNαのエピトープに結合する、請求項62に記載の使用。
【請求項64】
前記抗体が、抗体ACO-2と本質的に同じIFNαのエピトープに結合する、請求項62に記載の使用。
【請求項65】
前記疾患又は症状が、全身性紅斑性狼瘡(SLE)、対宿主性移植片病(GVHD)、1型及び2型糖尿病、エイズ、狼瘡、乾癬、及び自己免疫甲状腺炎から成る群から選択される、請求項61に記載の使用。
【請求項66】
前記疾患がSLEである、請求項65に記載の使用。
【請求項67】
前記疾患が乾癬である、請求項65に記載の使用。
【請求項68】
配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12、配列番号:14及び配列番号:16から成る群から選択されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む、単離された核酸。
【請求項69】
前記ポリヌクレオチドが、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:9、配列番号:11、配列番号:13及び配列番号:15から成る群から選択される、請求項68に記載の核酸。
【請求項70】
配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12、配列番号:14及び配列番号:16から成る群から選択されるポリペプチドと、少なくとも80%の配列同一性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む、単離された核酸。
【請求項71】
配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12、配列番号:14及び配列番号:16から成る群から選択されるポリペプチドを含む、タンパク質又はペプチド。
【請求項72】
配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12、配列番号:14及び配列番号:16から成る群から選択されるポリペプチドと、少なくとも80%の配列同一性を有するポリペプチドを含む、タンパク質又はペプチド。
【請求項73】
以下の工程を含む、ハイブリドーマ細胞株を作成する方法:
組換えIFNαサブタイプA、B2及びFを含む組成物で哺乳動物を免疫する工程;
前記免疫哺乳動物由来の脾細胞をミエローマ細胞株と融合させてハイブリドーマを作成する工程;及び
IFNαタンパク質サブタイプ2、C、G、I、J1、K、4a、4b及びWA並びに1から成る群から選択される1つ以上のIFNαタンパク質サブタイプを選択的に中和するが、IFNαタンパク質サブタイプDは選択的に中和しないモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞株を同定する工程。
【請求項74】
インターフェロンアルファ(“IFNα”)タンパク質サブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4b又はWAから選択される2つ以上のIFNαタンパク質サブタイプの生物活性を選択的に中和するが、IFNαタンパク質サブタイプDは中和しない、1つ以上の単離及び精製されたモノクローナル抗体を含むバイアルを含むキット。
【請求項1】
インターフェロンアルファ(“IFNα”)タンパク質サブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4b及びWAから成る群から選択される少なくとも2つのIFNαタンパク質サブタイプの生物活性を選択的に中和するが、IFNαタンパク質サブタイプDの少なくとも1つの生物活性は顕著には中和しない抗体であって、前記生物活性がMxAプロモーターの活性化又は抗ウイルス活性である、前記抗体。
【請求項2】
前記生物活性がMxAプロモーターの活性化である、請求項1に記載の抗体。
【請求項3】
前記生物活性が抗ウイルス活性である、請求項1に記載の抗体。
【請求項4】
前記抗体がIFNαタンパク質サブタイプ1の少なくとも1つの生物活性は中和せず、前記生物活性がMxAプロモーターの活性化又は抗ウイルス活性である、請求項1に記載の抗体。
【請求項5】
前記抗体が、IFNαタンパク質サブタイプの少なくとも3つを選択的に中和する、請求項1に記載の抗体。
【請求項6】
前記抗体が、IFNαタンパク質サブタイプの少なくとも4つを選択的に中和する、請求項1に記載の抗体。
【請求項7】
前記抗体が、IFNαタンパク質サブタイプの少なくとも5つを選択的に中和する、請求項1に記載の抗体。
【請求項8】
前記抗体が、IFNαタンパク質サブタイプの少なくとも6つを選択的に中和する、請求項1に記載の抗体。
【請求項9】
前記抗体が、IFNαタンパク質サブタイプの少なくとも7つを選択的に中和する、請求項1に記載の抗体。
【請求項10】
前記抗体が、IFNαタンパク質サブタイプの少なくとも8つを選択的に中和する、請求項1に記載の抗体。
【請求項11】
INFαタンパク質サブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4b及びWAの生物活性を選択的に中和するが、IFNαタンパク質サブタイプD及び1の生物活性は顕著には中和しない、請求項1に記載の抗体。
【請求項12】
前記抗体がモノクローナル抗体ACO-1を含む、請求項1に記載の抗体。
【請求項13】
前記抗体がモノクローナル抗体ACO-2を含む、請求項1に記載の抗体。
【請求項14】
前記抗体が、前記INFαサブタイプの生物活性の少なくとも50%を中和し、前記生物活性がMxAプロモーターの活性化である、請求項1又は11に記載の抗体。
【請求項15】
前記抗体が、前記生物活性の少なくとも60%を中和する、請求項14に記載の抗体。
【請求項16】
前記抗体が、前記生物活性の少なくとも70%を中和する、請求項14に記載の抗体。
【請求項17】
前記抗体が、前記生物活性の少なくとも80%を中和する、請求項14に記載の抗体。
【請求項18】
前記抗体が、前記生物活性の少なくとも90%を中和する、請求項14に記載の抗体。
【請求項19】
前記抗体が、モノクローナル抗体ACO-1のヒト化型又はキメラ型を含む、請求項1に記載の抗体。
【請求項20】
前記抗体が、モノクローナル抗体ACO-2のヒト化型又はキメラ型を含む、請求項1に記載の抗体。
【請求項21】
前記抗体が、配列番号:2の重鎖可変ドメイン及び配列番号:10の軽鎖可変ドメインを含む、ヒト化抗ヒトIFNαモノクローナル抗体を含む、請求項1に記載の抗体。
【請求項22】
前記抗体が、ATCCアクセッション番号PTA-6557を有するハイブリドーマ若しくはその子孫によって産生される抗IFNα抗体、又はそのヒト化若しくはキメラ型と本質的に同じIFNαエピトープと結合する、請求項1に記載の抗体。
【請求項23】
前記抗体が、ATCCアクセッション番号PTA-6558を有するハイブリドーマ若しくはその子孫によって産生される抗IFNα抗体、又はそのヒト化若しくはキメラ型と本質的に同じIFNαエピトープと結合する、請求項1に記載の抗体。
【請求項24】
抗体又はその抗原結合フラグメントであって、前記抗体又はその抗原結合フラグメントが重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含み、前記軽鎖可変ドメインが以下のCDRの1つ以上を含み:
配列番号:12のアミノ酸配列を有するVL1;
配列番号:14のアミノ酸配列を有するVL2;及び
配列番号:16のアミノ酸配列を有するVL3;
ここで、前記抗体又は抗原結合フラグメントは、IFNαタンパク質サブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4b及びWAの生物活性を中和するが、IFNαタンパク質サブタイプDの生物活性は中和せず、ここで前記生物活性はMxAプロモーターの活性化である、前記抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項25】
前記抗原結合フラグメントがFab、Fab'、F(ab')2、Fv又はsFvフラグメントを含む、請求項24に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項26】
抗体又はその抗原結合フラグメントであって、前記抗体又はその抗原結合フラグメントが軽鎖可変ドメイン及び重鎖可変ドメインを含み、前記重鎖可変ドメインが以下のCDRの1つ以上を含み:
配列番号:4のアミノ酸配列を有するVH1;
配列番号:6のアミノ酸配列を有するVH2;及び
配列番号:8のアミノ酸配列を有するVH3;
ここで、前記抗体又は抗原結合フラグメントは、IFNαタンパク質サブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4b及びWAの生物活性を特異的に中和するが、IFNαタンパク質サブタイプDの生物活性は中和しない、前記抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項27】
前記抗原結合フラグメントがFab、Fab'、F(ab')2、Fv又はsFvフラグメントを含む、請求項26に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項28】
抗体又はその抗原結合フラグメントであって、前記抗体又はその抗原結合フラグメントが、少なくとも1つの軽鎖又はその抗原結合フラグメント及び少なくとも1つの重鎖又はその抗原結合フラグメントを含み、
ここで前記軽鎖又はその抗原結合フラグメントが以下のCDRの1つ以上を含み:
配列番号:12のアミノ酸配列を有するVL1;
配列番号:14のアミノ酸配列を有するVL2;及び
配列番号:16のアミノ酸配列を有するVL3、
ここで前記重鎖又はその抗原結合フラグメントが以下のCDRの1つ以上を含む、前記抗体又はその抗原結合フラグメント:
配列番号:4のアミノ酸配列を有するVH1;
配列番号:6のアミノ酸配列を有するVH2;及び
配列番号:8のアミノ酸配列を有するVH3。
【請求項29】
前記抗体が、2つのジスルフィド結合によって結合された抗体重鎖-軽鎖対で構成されたホモ-テトラマー構造を含む、請求項28に記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項30】
前記抗体が直鎖状抗体を含む、請求項28に記載の抗体。
【請求項31】
前記抗体がIFNβを中和しない、請求項28に記載の抗体。
【請求項32】
IFNαタンパク質サブタイプA、2、B2、C、I、K及び4aを選択的に中和するが、IFNαタンパク質サブタイプD、F、G、4b及び1の生物活性は顕著には中和しない抗体であって、前記生物活性がMxAプロモーターの活性化及び/又は抗ウイルス活性である、前記抗体。
【請求項33】
前記生物活性がMxAプロモーターの活性化である、請求項32に記載の抗体。
【請求項34】
前記抗体がモノクローナル抗体ACO-3を含む、請求項32に記載の抗体。
【請求項35】
IFNαタンパク質サブタイプA、2、B2及びCの生物活性を選択的に中和するが、IFNαタンパク質サブタイプD、4b及び1の生物活性は中和しない抗体であって、前記生物活性がMxAプロモーターの活性化及び/又は抗ウイルス活性である、前記抗体。
【請求項36】
前記生物活性がMxAプロモーターの活性化である、請求項35に記載の抗体。
【請求項37】
前記抗体がモノクローナル抗体ACO-4を含む、請求項35に記載の抗体。
【請求項38】
IFNαタンパク質サブタイプA、2、G、I、K及びWAの生物活性を選択的に中和するが、IFNαタンパク質サブタイプB2及びDの生物活性は中和しない抗体であって、前記生物活性がMxAプロモーターの活性化及び/又は抗ウイルス活性である、前記抗体。
【請求項39】
前記生物活性がMxAプロモーターの活性化である、請求項38に記載の抗体。
【請求項40】
前記抗体がモノクローナル抗体ACO-5を含む、請求項38に記載の抗体。
【請求項41】
IFNαタンパク質サブタイプA、2、B2、F、I、4a、4b及び1の生物活性を選択的に中和するが、IFNαタンパク質サブタイプC、H2、K及びWAの生物活性は中和しない抗体であって、前記生物活性がMxAプロモーターの活性化である、前記抗体。
【請求項42】
前記抗体がモノクローナル抗体ACO-8を含む、請求項40に記載の抗体。
【請求項43】
前記抗体が、マウス抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、又はその抗体フラグメントを含む、請求項1、11、22、23、24、26、28、32、35、38又は41に記載の抗体。
【請求項44】
ACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4、ACO-5、ACO-6及びACO-8から成る群から選択される抗体と本質的に同じIFNαのエピトープに結合する抗体。
【請求項45】
前記抗体がモノクローナル抗体である、請求項1、11、22、23、24、26、28、32、35、38、41又は44に記載の抗体。
【請求項46】
請求項1、11、22、23、24、26、28、32、35、38、41又は44に記載の抗体をコードする核酸を含む宿主細胞。
【請求項47】
前記宿主細胞がハイブリドーマである、請求項46に記載の宿主細胞。
【請求項48】
請求項1、11、22、23、24、26、28、32、35、38、41又は44に記載の抗体を産生するハイブリドーマ。
【請求項49】
前記モノクローナル抗体が、ACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4、ACO-5、ACO-6及びACO-8から成る群から選択される、請求項48に記載のハイブリドーマ。
【請求項50】
ATCCアクセッション番号PTA-6557、PTA-6558、PTA-6559、PTA-6560、PTA-6561及びPTA-6562を有するハイブリドーマの群から選択される、請求項49に記載のハイブリドーマ。
【請求項51】
請求項1、11、22、23、24、26、28、32、35、38、41又は44に記載の抗体を含む組成物。
【請求項52】
請求項1、11、22、23、24、26、28、32、35、38、41又は44に記載のモノクローナル抗体及び医薬的に許容できる担体を含む医薬組成物。
【請求項53】
IFNαタンパク質サブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4b及びWAから成る群から選択される少なくとも1つのIFNαタンパク質サブタイプの異常な発現に付随する疾患又は症状を、IFNαタンパク質サブタイプDの生物活性を中和することなく対象者で治療する方法であって、前記方法が、前記疾患又は症状を有する対象者に、請求項1、11、22、23、24、26、28、32、35、38、41又は44に記載の抗体の有効量を投与することを含み、ここで前記生物活性がMxAプロモーターの活性化又は抗ウイルス活性である、前記疾患又は症状を治療する方法。
【請求項54】
前記生物活性がMxAプロモーター活性である、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記抗体が、抗体ACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4、ACO-5、ACO-6又はACO-8と本質的に同じIFNαのエピトープに結合する、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
前記抗体が、抗体ACO-1と本質的に同じIFNαのエピトープに結合する、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記抗体が、抗体ACO-2と本質的に同じIFNαのエピトープに結合する、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
前記疾患又は症状が、全身性紅斑性狼瘡(SLE)、対宿主性移植片病(GVHD)、1型糖尿病、エイズ、狼瘡、乾癬、及び自己免疫甲状腺炎から成る群から選択される、請求項53に記載の方法。
【請求項59】
前記疾患がSLEである、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記疾患が乾癬である、請求項58に記載の方法。
【請求項61】
インターフェロンアルファ(“IFNα”)タンパク質サブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4b及びWAから成る群から選択される少なくとも1つのIFNαタンパク質サブタイプの異常な発現に付随する疾患又は症状を治療するための医薬を製造することを目的とする、請求項1、11、22、23、24、26、28、32、35、38、41又は44に記載の抗体の使用。
【請求項62】
前記抗体が、抗体ACO-1、ACO-2、ACO-3、ACO-4、ACO-5、ACO-6又はACO-8と本質的に同じIFNαのエピトープに結合する、請求項61に記載の使用。
【請求項63】
前記抗体が、抗体ACO-1と本質的に同じIFNαのエピトープに結合する、請求項62に記載の使用。
【請求項64】
前記抗体が、抗体ACO-2と本質的に同じIFNαのエピトープに結合する、請求項62に記載の使用。
【請求項65】
前記疾患又は症状が、全身性紅斑性狼瘡(SLE)、対宿主性移植片病(GVHD)、1型及び2型糖尿病、エイズ、狼瘡、乾癬、及び自己免疫甲状腺炎から成る群から選択される、請求項61に記載の使用。
【請求項66】
前記疾患がSLEである、請求項65に記載の使用。
【請求項67】
前記疾患が乾癬である、請求項65に記載の使用。
【請求項68】
配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12、配列番号:14及び配列番号:16から成る群から選択されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む、単離された核酸。
【請求項69】
前記ポリヌクレオチドが、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:9、配列番号:11、配列番号:13及び配列番号:15から成る群から選択される、請求項68に記載の核酸。
【請求項70】
配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12、配列番号:14及び配列番号:16から成る群から選択されるポリペプチドと、少なくとも80%の配列同一性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む、単離された核酸。
【請求項71】
配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12、配列番号:14及び配列番号:16から成る群から選択されるポリペプチドを含む、タンパク質又はペプチド。
【請求項72】
配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12、配列番号:14及び配列番号:16から成る群から選択されるポリペプチドと、少なくとも80%の配列同一性を有するポリペプチドを含む、タンパク質又はペプチド。
【請求項73】
以下の工程を含む、ハイブリドーマ細胞株を作成する方法:
組換えIFNαサブタイプA、B2及びFを含む組成物で哺乳動物を免疫する工程;
前記免疫哺乳動物由来の脾細胞をミエローマ細胞株と融合させてハイブリドーマを作成する工程;及び
IFNαタンパク質サブタイプ2、C、G、I、J1、K、4a、4b及びWA並びに1から成る群から選択される1つ以上のIFNαタンパク質サブタイプを選択的に中和するが、IFNαタンパク質サブタイプDは選択的に中和しないモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞株を同定する工程。
【請求項74】
インターフェロンアルファ(“IFNα”)タンパク質サブタイプA、2、B2、C、F、G、H2、I、J1、K、4a、4b又はWAから選択される2つ以上のIFNαタンパク質サブタイプの生物活性を選択的に中和するが、IFNαタンパク質サブタイプDは中和しない、1つ以上の単離及び精製されたモノクローナル抗体を含むバイアルを含むキット。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2008−529529(P2008−529529A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−555223(P2007−555223)
【出願日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際出願番号】PCT/US2006/004643
【国際公開番号】WO2006/086586
【国際公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【出願人】(503247975)ベイラ、リサーチ、インスティテュート (3)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際出願番号】PCT/US2006/004643
【国際公開番号】WO2006/086586
【国際公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【出願人】(503247975)ベイラ、リサーチ、インスティテュート (3)
【Fターム(参考)】
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