抗インフルエンザ活性を有するオセルタミビル含有ホスホネートコンジナーの合成
新規ホスホネート化合物を記載する。本化合物は、H1N1およびH5N1ウイルスの野生型およびH274Y突然変異体に対するノイラミニダーゼ阻害剤としての活性を有する。本発明はまた、D−キシロースを介した、既知ノイラミニダーゼ阻害剤オセルタミビルおよび抗インフルエンザ剤タミフル(登録商標)、ならびに新規ホスホネート化合物へのエナンチオ選択的合成経路も提供する。タミフルおよび非常に強力なノイラミニダーゼ阻害剤タミホスホルの他の効率的で柔軟性のある合成も、11工程および>20%の全体的収率で、容易に入手できる醗酵産物(1S−cis)−3−ブロモ−3,5−シクロヘキサジエン−1,2−ジオールから達成された。反応中間体のほとんどが、長い精製工程無しで結晶として得られた。重要な変換は、最初のブロモアレーンcis−ジヒドロジオールの位置および立体選択的ブロモアミド化、ならびに最後のパラジウム触媒カルボニル化およびホスホニル化を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2007年8月31に出願した米国仮出願番号60/969,491;および2008年4月28日に出願した米国仮出願番号61/048,507を引用により包含し、パリ条約に基づく優先権を主張する。
【0002】
発明の背景
発明の分野
新規ホスホネート化合物を記載する。この化合物は、H1N1およびH5N1ウイルスの野生型およびH274Y突然変異体に対してノイラミニダーゼ阻害剤としての活性を有する。本明細書はまた、D−キシロースまたはブロモベンゼンを介する、既知ノイラミニダーゼ阻害剤オセルタミビルおよび抗インフルエンザ剤タミフル(登録商標)、ならびに新規ホスホネート化合物への2個のエナンチオ選択的合成経路も提供する。
【背景技術】
【0003】
背景
インフルエンザはヒトおよび動物にとって大きな健康問題のままである。(Kaye and Pringle, Clin. Infect. Dis. 2005, 40, 108; およびBeigel et al., N. Engl. J. Med. 2005, 353, 1374)現在、4種の薬剤がインフルエンザ予防および処置に対して承認されている:アマンタジンおよびリマンタジンはM2イオンチャネルブロッカーとして働き、一方タミフル(登録商標)(オセルタミビルエチルエステルのリン酸塩、Roche Laboratories, Inc.)およびリレンザTM(ザナミビル、Glaxo Wellcome, Inc.)は、ノイラミニダーゼ(NA)活性を阻害する。(Moscona, A. N. Engl. J. Med. 2005, 353, 1363; Ward et al., J. Antimicrob. Chemother. 2005, 55, Suppl. Si, 15; およびDe Clercq, E. Nature Rev. Drug Discov. 2006, 5, 1015.)最近の薬剤耐性鳥インフルエンザ感染およびタミフル(登録商標)処置を受けている小児における副作用の報告は、ノイラミニダーゼ阻害剤の新規化学物質がインフルエンザの大流行の脅威と戦うために必要であることを示唆する。安全かつ有効なワクチンが、可能性のある鳥インフルエンザの大流行から防御するために利用可能となる前に、ノイラミニダーゼ阻害剤は、数種の利用可能な治療法の一つである。
【0004】
NA阻害剤(NAI)は、シアル酸の酵素開裂におけるオキソニウム遷移状態を模倣するために(オキサ)シクロヘキセン骨格を有するようにデザインされている。(von Itzstein, M. et al. Nature 1993, 363, 418; Lew et al., Curr. Med. Chem. 2000, 7, 663; およびRussell et al., Nature 2006, 443, 45)。タミフル(登録商標)(1、スキーム1に示す)は経口投与される抗インフルエンザ剤である。(Kim et al., J. Am. Chem. Soc. 1997, 119, 681; Rohloffet al., J. Org. Chem. 1998, 63, 4545; KarpfおよびTrussardi, J. Org. Chem. 2001, 66, 2044; Harrington et al., Org. Process Res. Dev. 2004, 8, 86; Yeung et al., J. Am. Chem. Soc. 2006, 128, 6310; Fukuta et al., J. Am. Chem. Soc. 2006, 128, 6312; Farina and Brown, Angew. Chem. Int. Ed. 2006, 45, 7330; Mita et al., Org. Lett. 2007, 9, 259; Yamatsugu et al., Tetrahedron Lett. 2007, 48, 1403)肝臓エステラーゼによる加水分解により、活性カルボキシレート、オセルタミビル(2、GS4071としても既知)が現れて、NAの活性部位の3個のアルギニン残基(Arg118、Arg292およびArg371)と相互作用する。(von Itzstein, et al., 1993; Lew et al., 2000, and Russell et al., 2006)。
【0005】
このホスホネート基は一般にドラッグデザインにおいてカルボキシレートのバイオアイソスターとして使用される。(White et al., J. MoI. Biol. 1995, 245, 623; Streicher et al., Tetrahedron 2001, 57, 8851; Streicher, Bioorg. Med. Chem. Lett. 2004, 14, 361; Schug and Lindner, W. Chem. Rev. 2005, 105, 67; Streicher and Busseb, Bioorg. Med. Chem. 2006, 14, 1047)。既知N1結晶構造(PDB code: 2HU4)(Russell et al., 2006)を使用した予備的分子ドッキング実験(図1)は、推定ホスホネート阻害剤3aが、NA−オセルタミビル複合体に類似する結合ポケットにおいてC3−ペンチルオキシ基、C4−アセトアミド基およびC5−アミノ基により発揮される他の相互作用に加えて、NAの3個のアルギニン残基と強く結合することを確認する。カルボキシレート−グアニジニウムイオン対と比較して、ホスホネートイオンは、グアニジニウムイオンと強い静電気相互作用を示す。オセルタミビル/タミフルの合成に関して先に報告された方法(例えば、引用により本明細書に包含させるBischofberger et al.、US5,763,483)は、C−1カルボキシル基をホスホネート基に変換するのに向かない;それ故、既知および新規両方のノイラミニダーゼ阻害剤を合成するための新規方法が望まれる。
【発明の概要】
【0006】
発明の概要
新規ホスホネート化合物を記載する。本化合物は、H1N1およびH5N1ウイルスの野生型およびH274Y突然変異体に対するノイラミニダーゼ阻害剤としての活性を有する。本明細書はまた、D−キシロースを介する、既知ノイラミニダーゼ阻害剤オセルタミビルおよび抗インフルエンザ剤タミフル(登録商標)、ならびに新規ホスホネート化合物へのエナンチオ選択的合成経路も提供する。タミフルおよび非常に強力なノイラミニダーゼ阻害剤タミホスホル(Tamiphosphor)の他の効率的で自由度の高い合成法も、11工程および>20%の全体的収率で、容易に入手できる醗酵産物(1S−cis)−3−ブロモ−3,5−シクロヘキサジエン−1,2−ジオールを原料として達成された。反応中間体のほとんどが、長い精製工程を要せず結晶として得られた。重要な変換は、最初のブロモアレーンcis−ジヒドロジオールの位置および立体選択的ブロモアミド化、ならびに最後のパラジウム触媒によるカルボニル化およびホスホニル化を含む。
【0007】
本発明の一態様によって、治療的有効量の式I
【化1】
〔式中、AはPO(OR)(OR')であって、ここで、RおよびR'は独立してH、C1−C6アルキル、アリールおよびXから選択され、ここで、Xはアンモニウム、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、エタノール−アンモニウム、ジシクロヘキシルアンモニウム、グアニジニウム、エチレンジアンモニウムカチオン、リチウムカチオン、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、セシウムカチオン、ベリリウムカチオン、マグネシウムカチオン、およびカルシウムカチオン、亜鉛カチオンから成る群から選択されるカチオン性カウンターイオンであり;そして、R1はNH2、NH3+H2PO4−、またはNH(C=NH)NH2である。〕
および薬学的担体を含む組成物を開示する。
【0008】
本発明の一態様によって、治療的有効量の:
【化2】
の少なくとも1個および薬学的担体を含む組成物が開示される。
【0009】
本発明の一態様によって、図3−5のスキームの少なくとも1つに従う、式I:
【化3】
〔AはPO(OR)(OR')であって、ここで、RおよびR'は独立してH、C1−C6アルキル、アリールおよびXから選択され、ここで、Xはアンモニウム、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、エタノール−アンモニウム、ジシクロヘキシルアンモニウム、グアニジニウム、エチレンジアンモニウムカチオン、リチウムカチオン、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、セシウムカチオン、ベリリウムカチオン、マグネシウムカチオン、およびカルシウムカチオン、亜鉛カチオンから成る群から選択されるカチオン性カウンターイオンであり;そして、R1はNH2、NH3+H2PO4−、またはNH(C=NH)NH2である。〕
の化合物の製造方法が開示される。この方法の生成物は同様に意図される。
【0010】
本発明の一態様によって、治療的有効量の式I:
【化4】
〔式中、AはPO(OR)(OR')であって、ここで、RおよびR'は独立してH、C1−C6アルキル、アリールおよびXから選択され、ここで、Xはアンモニウム、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、エタノール−アンモニウム、ジシクロヘキシルアンモニウム、グアニジニウム、エチレンジアンモニウムカチオン、リチウムカチオン、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、セシウムカチオン、ベリリウムカチオン、マグネシウムカチオン、およびカルシウムカチオン、亜鉛カチオンから成る群から選択されるカチオン性カウンターイオンであり;そして、R1はNH2、NH3+H2PO4−、またはNH(C=NH)NH2である。〕
を有する化合物を提供することを含み、ここで、該化合物は、ノイラミニダーゼの活性を阻害するために生物に投与するようにデザインされている。
【0011】
本発明の一態様によって、治療的有効量の:
【化5】
の少なくとも1個を含む組成物が開示され、ここで、該組成物は、ノイラミニダーゼの活性を阻害するために生物に投与するようにデザインされている。
【0012】
一つの実施態様において、本発明は、式(I):
【化6】
〔式中、AはPO(OR)(OR')であって、ここで、RおよびR'は独立してH、C1−C6アルキル、アリールおよびXから選択され、ここで、Xはアンモニウム、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、エタノールアンモニウム、ジシクロヘキシルアンモニウム、グアニジニウム、エチレンジアンモニウムカチオン、リチウムカチオン、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、セシウムカチオン、ベリリウムカチオン、マグネシウムカチオン、およびカルシウムカチオン、亜鉛カチオンから成る群から選択されるカチオン性カウンターイオンであり;そして、R1はNH2、NH3+H2PO4−、またはNH(C=NH)NH2である。〕
の化合物を提供する。
【0013】
具体的局面において、本化合物は:
【化7】
である。
【0014】
他の具体的局面において、本化合物は:
【化8】
である。
【0015】
さらなる具体的局面において、本化合物は:
【化9】
である。
【0016】
他の具体的局面において、本化合物は:
【化10】
である。
【0017】
他の具体的局面において、本化合物は:
【化11】
である。
【0018】
本開示の他の実施態様は、式:
【化12】
の化合物を提供する。
【0019】
本開示の他のものは、式:
【化13】
の化合物を提供する。
【0020】
一つの実施態様において、本発明は、化合物(I)〔式中、AはPO(OR)(OR')であって、ここで、RおよびR'は独立してH、C1−C6アルキル、アリールおよびXから選択され、ここで、Xはアンモニウム、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、エタノールアンモニウム、ジシクロヘキシルアンモニウム、グアニジニウム、エチレンジアンモニウムカチオン、リチウムカチオン、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、セシウムカチオン、ベリリウムカチオン、マグネシウムカチオン、およびカルシウムカチオン、亜鉛カチオンから成る群から選択されるカチオン性カウンターイオンであり;そして、R1はNH2、NH3+H2PO4−、またはNH(C=NH)NH2である。〕;3、3a、3b、13a、および13bの化合物いずれか1個、および薬学的に許容される担体を含む組成物を提供する。
【0021】
他の実施態様において、本発明は式(I):
【化14】
〔式中、AはCO2R、またはPO(OR)(OR')であって、ここで、RおよびR'は独立してH、C1−C6アルキル、アリールおよびXから選択され、ここで、Xはアンモニウム、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、エタノール−アンモニウム、ジシクロヘキシルアンモニウム、グアニジニウム、エチレンジアンモニウムカチオン、リチウムカチオン、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、セシウムカチオン、ベリリウムカチオン、マグネシウムカチオン、およびカルシウムカチオン、亜鉛カチオンから成る群から選択されるカチオン性カウンターイオンであり;そして、R1はNH2、NH3+H2PO4−、またはNH(C=NH)NH2である。〕
の化合物の製造方法を提供し;該方法は:
【0022】
(a)D−キシロースをキラル前駆体として使用して中間体化合物(7):
【化15】
〔式中、EはCO2RまたはPO(OR)(OR')であって、ここで、RおよびR'は独立してC1−C6アルキルおよびアリールから選択される。〕
を製造し;
【0023】
(b)中間体化合物(7)を分子内ホーナー・ワズワース・エモンズ反応が起きるように処理して、中間体化合物(8):
【化16】
〔式中、EはCO2RまたはPO(OR)(OR')であって、ここで、RおよびR'は独立してC1−C6アルキルおよびアリールから選択される。〕
を形成させ;
【0024】
(c)中間体(8)をジフェニルホスホリルアジドで処理して、ヒドロキシ基を立体配置の倒置を伴いアジド基に置換して、中間体(9):
【化17】
〔式中、EはCO2RまたはPO(OR)(OR')であって、ここで、RおよびR'は独立してC1−C6アルキルおよびアリールから選択される。〕
を形成させ;
【0025】
(d)中間体化合物(9)をTf2O、塩基およびクラウンエーテルで処理してヒドロキシ基を倒置させて、中間体化合物(10):
【化18】
〔式中、EはCO2RまたはPO(OR)(OR')であって、RおよびR'は独立してC1−C6アルキルおよびアリールから選択される。〕
を形成させ;そして
【0026】
(e)中間体(10)を処理して、式(I)の化合物を得る
工程を含む。
【0027】
本発明の他の実施態様は、化合物(I)〔式中、AはPO(OR)(OR')であって、ここで、RおよびR'は独立してH、C1−C6アルキル、アリールおよびXから選択され、ここで、Xはアンモニウム、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、エタノールアンモニウム、ジシクロヘキシルアンモニウム、グアニジニウム、エチレンジアンモニウムカチオン、リチウムカチオン、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、セシウムカチオン、ベリリウムカチオン、マグネシウムカチオン、およびカルシウムカチオン、亜鉛カチオンから成る群から選択されるカチオン性カウンターイオンであり;そして、R1はNH2、NH3+H2PO4−、またはNH(C=NH)NH2である。〕;3、3a、3b、13a、および13bの何れか一つの化合物をノイラミニダーゼと接触させることを含む、該ノイラミニダーゼの活性を阻害する方法を提供する。
【0028】
一つの局面において、ノイラミニダーゼはインビボでのインフルエンザノイラミニダーゼである。他の局面において、ノイラミニダーゼはインビトロでのインフルエンザノイラミニダーゼである。
【0029】
他の実施態様において、本発明は、処置を必要とする患者におけるインフルエンザの処置方法を提供し、該方法は治療的有効量の化合物(I)〔式中、AはPO(OR)(OR')であって、ここで、RおよびR'は独立してH、C1−C6アルキル、アリールおよびXから選択され、ここで、Xはアンモニウム、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、エタノール−アンモニウム、ジシクロヘキシルアンモニウム、グアニジニウム、エチレンジアンモニウムカチオン、リチウムカチオン、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、セシウムカチオン、ベリリウムカチオン、マグネシウムカチオン、およびカルシウムカチオン、亜鉛カチオンから成る群から選択されるカチオン性カウンターイオンであり;そして、R1はNH2、NH3+H2PO4−、またはNH(C=NH)NH2である。〕;3、3a、3b、13a、および13bのいずれか一つを含む組成物を投与することを含む。一つの局面において、本組成物は薬学的に−許容される担体をさらに含む。
【0030】
図面の簡単な説明
本開示の上記特性および目的は添付の図面と組み合わせて以下の記載を参照したときより明白となり、図面においては同様の参照番号が同様の要素を表し、それは次のものを記載する:
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ(N1亜型)の活性部位におけるオセルタミビル2(A)およびホスホネート化合物3a(B)の分子モデルを示す;
【図2】化合物1、3、3b、3c、13b、および13cの分子モデルを示す;
【図3】タミフル(登録商標)1、オセルタミビル2、グアニジンアナログ13a、およびホスホネートコンジナー3、3bおよび13bの合成の新規経路を示す;
【図4】タミフル(登録商標)1およびホスホネートコンジナータミホスホル3の合成の新規経路を示す;
【図5】タミフル(登録商標)1およびホスホネートコンジナータミホスホル3の合成の新規経路を示す;
【図6】タミフル(登録商標)1およびホスホネートコンジナータミホスホル3、および13bの合成の新規経路を示す;
【図7】ホスホネートコンジナー3cの合成の新規経路を示す;
【図8】ホスホネートコンジナー13cの合成の新規経路を示す;
【図9】10MLD50のA/WSN/33(H1N1)インフルエンザウイルスを接種され、および10mg/kg/日の薬剤投与量で処置されたマウスの生存率(パネルa)および平均体重の変化(パネルb)を示す;
【図10】10MLD50のA/WSN/33(H1N1)インフルエンザウイルスを接種され、1mg/kg/日の薬剤投与量で処置されたマウスの生存率(パネルa)および平均体重の変化(パネルb)を示す;
【図11】10MLD50のA/WSN/33(H1N1)インフルエンザウイルスを接種され、0.1mg/kg/日の薬剤投与量で処置されたマウスの生存率(パネルa)および平均体重の変化(パネルb)を示す;
【図12】10MLD50のA/WSN/33(H1N1)インフルエンザウイルスを接種され、0.01mg/kg/日の薬剤投与量で処置されたマウスの生存率(パネルa)および平均体重の変化(パネルb)を示す;
【図13】10MLD50のNIBRG−14(H5N1)インフルエンザウイルスを接種され、10mg/kg/日の薬剤投与量で処置されたマウスの生存率(パネルa)および平均体重の変化(パネルb)を示す;
【図14】10MLD50のNIBRG−14(H5N1)インフルエンザウイルスを接種され、1mg/kg/日の薬剤投与量で処置されたマウスの生存率(パネルa)および平均体重の変化(パネルb)を示す;
【図15】10MLD50のNIBRG−14(H5N1)インフルエンザウイルスを接種され、0.1mg/kg/日の薬剤投与量で処置されたマウスの生存率(パネルa)および平均体重の変化(パネルb)を示す;
【図16】10MLD50のNIBRG−14(H5N1)インフルエンザウイルスを接種され、0.01mg/kg/日の薬剤投与量で処置されたマウスの生存率(パネルa)および平均体重の変化(パネルb)を示す;
【図17】マウスの生存率(パネルa)および平均体重の変化(パネルb)を示す10MLD50のA/WSN/33(H1N1)インフルエンザウイルスを接種され、の薬剤投与量で処置された10mg/kg/日;
【図18】10MLD50のA/WSN/33(H1N1)インフルエンザウイルスを接種され、1mg/kg/日の薬剤投与量で処置されたマウスの生存率(パネルa)および平均体重の変化(パネルb)を示す;
【図19】10MLD50のA/WSN/33(H1N1)インフルエンザウイルスを接種され、0.1mg/kg/日の薬剤投与量で処置されたマウスの生存率(パネルa)および平均体重の変化(パネルb)を示す;
【図20】10MLD50のA/WSN/33(H1N1)インフルエンザウイルスを接種され、0.01mg/kg/日の薬剤投与量で処置されたマウスの生存率(パネルa)および平均体重の変化(パネルb)を示す;
【図21】化合物5の1H NMRスペクトル(600MHz、CDCl3)を示す;
【図22】化合物5の13C NMRスペクトル(150MHz、CDCl3)を示す;
【図23】化合物6の1H NMRスペクトル(600MHz、CDCl3)を示す;
【図24】化合物6の13C NMRスペクトル(150MHz、CDCl3)を示す;
【図25】化合物7aの1H NMRスペクトル(600MHz、CDCl3)を示す;
【図26】化合物7bの1H NMRスペクトル(600MHz、CDCl3)を示す;
【図27】化合物8aの1H NMRスペクトル(600MHz、CDCl3)を示す;
【図28】化合物8aの13C NMRスペクトル(150MHz、CDCl3)を示す;
【図29】化合物9aの1H NMRスペクトル(600MHz、CDCl3)を示す;
【図30】化合物9aの13C NMRスペクトル(150MHz、CDCl3)を示す;
【図31】化合物10aの1H NMRスペクトル(600MHz、CDCl3)を示す;
【図32】化合物10aの13C NMRスペクトル(150MHz、CDCl3)を示す;
【図33】化合物10bの1H NMRスペクトル(600MHz、CDCl3)を示す;
【図34】化合物10bの13C NMRスペクトル(150MHz、CDCl3)を示す;
【図35】化合物10bの31P NMRスペクトル(162MHz、CDCl3)を示す;
【図36】化合物11aの1H NMRスペクトル(600MHz、CDCl3)を示す;
【図37】化合物11aの13C NMRスペクトル(150MHz、CDCl3)を示す;
【図38】化合物11bの1H NMRスペクトル(600MHz、CDCl3)を示す;
【図39】化合物11bの13C NMRスペクトル(150MHz、CDCl3)を示す;
【図40】化合物11bの31P NMRスペクトル(162MHz、CDCl3)を示す;
【図41】化合物1、タミフル(登録商標)の1H NMRスペクトル(600MHz、D2O)を示す;
【図42】化合物1、タミフル(登録商標)の13C NMRスペクトル(150MHz、D2O)を示す;
【図43】化合物1、タミフル(登録商標)の31P NMRスペクトル(162MHz、D2O)を示す;
【図44】化合物2、オセルタミビルの1H NMRスペクトル(600MHz、D2O)を示す;
【図45】化合物2、オセルタミビルの13C NMRスペクトル(150MHz、D2O)を示す;
【図46】化合物3の1H NMRスペクトル(600MHz、D2O)を示す;
【図47】化合物3の13C NMRスペクトル(150MHz、D2O)を示す;
【図48】化合物3の31P NMRスペクトル(162MHz、D2O)を示す;
【図49】化合物12aの1H NMRスペクトル(600MHz、CDCl3)を示す;
【図50】化合物12aの13C NMRスペクトル(150MHz、CDCl3)を示す;
【図51】化合物12bの1H NMRスペクトル(600MHz、CDCl3)を示す;
【図52】化合物12bの13C NMRスペクトル(150MHz、CDCl3)を示す;
【図53】化合物12bの31P NMRスペクトル(162MHz、CDCl3)を示す;
【図54】化合物13aの1H NMRスペクトル(600MHz、D2O)を示す;
【図55】化合物13aの13C NMRスペクトル(150MHz、D2O)を示す;
【図56】化合物13bの1H NMRスペクトル(600MHz、D2O)を示す;
【図57】化合物13bの13C NMRスペクトル(150MHz、D2O)を示す;
【図58】化合物13bの31P NMRスペクトル(162MHz、D2O)を示す;
【図59】化合物14aの1H NMRスペクトル(600MHz、D2O)を示す;
【図60】化合物14aの13C NMRスペクトル(150MHz、D2O)を示す;
【図61】化合物14bの1H NMRスペクトル(600MHz、D2O)を示す;
【図62】化合物14bの13C NMRスペクトル(150MHz、D2O)を示す;
【図63】化合物14bの31P NMRスペクトル(162MHz、D2O)を示す;
【図64】化合物20の1H NMRスペクトル(600MHz、CDCl3)を示す;
【図65】化合物20の13C NMRスペクトル(150MHz、CDCl3)を示す;
【図66】化合物22の1H NMRスペクトル(600MHz、CDCl3)を示す;
【図67】化合物22の13C NMRスペクトル(150MHz、CDCl3)を示す;
【図68】化合物23の1H NMRスペクトル(600MHz、CDCl3)を示す;
【図69】化合物23の13C NMRスペクトル(150MHz、CDCl3)を示す;
【図70】化合物24の1H NMRスペクトル(600MHz、CDCl3)を示す;
【図71】化合物24の13C NMRスペクトル(150MHz、CDCl3)を示す;
【図72】化合物25の1H NMRスペクトル(600MHz、CDCl3)を示す;
【図73】化合物25の13C NMRスペクトル(150MHz、CDCl3)を示す;
【図74】化合物26の1H NMRスペクトル(600MHz、CDCl3)を示す;
【図75】化合物26の13C NMRスペクトル(150MHz、CDCl3)を示す;
【図76】化合物27の1H NMRスペクトル(600MHz、CDCl3)を示す;
【図77】化合物27の13C NMRスペクトル(150MHz、CDCl3)を示す;
【図78】化合物29の1H NMRスペクトル(600MHz、CDCl3)を示す;
【図79】化合物29の13C NMRスペクトル(150MHz、CDCl3)を示す;
【図80】化合物31aの1H NMRスペクトル(600MHz、CDCl3)を示す;
【図81】化合物31aの13C NMRスペクトル(150MHz、CDCl3)を示す;
【図82】化合物31bの1H NMRスペクトル(600MHz、CDCl3)を示す;
【図83】化合物31bの13C NMRスペクトル(150MHz、CDCl3)を示す;
【図84】化合物31bの31P NMRスペクトル(202MHz、CDCl3)を示す;
【図85】化合物3cの1H NMRスペクトル(600MHz、D2O)を示す;
【図86】化合物3cの13C NMRスペクトル(150MHz、D2O)を示す;
【図87】化合物31bの31P NMRスペクトル(242MHz、D2O)を示す;
【図88】化合物13cの1H NMRスペクトル(600MHz、D2O)を示す;
【図89】化合物13cの13C NMRスペクトル(150MHz、D2O)を示す;
【図90】化合物3bの1H NMRスペクトル(600MHz、CDCl3)を示す;
【図91】化合物3bの13C NMRスペクトル(150MHz、CDCl3)を示す;
【図92】化合物3bの31P NMRスペクトル(162MHz、CDCl3)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
詳細な記載
本発明の実施態様に対する次の詳細な記載において、添付の図面を引用し、そこでは、同様の参照が同様の要素を表し、本発明を実施し得る一つの特異的実施態様を説明の目的で示す。これらの実施態様は当業者が本発明を実施することができるのに十分詳細に記載されており、他の実施態様を利用してよく、そして、論理学的な、機械的な、電気的な、機能的な、組成的な、および他の変更を本明細書の範囲から逸脱することなく成し得ることは理解すべきである。次の詳細な記載は、それ故、限定の意味で解釈してはならず、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ定義される。本明細書で使用する、用語“または”は、論理学的分離として定義されるものであると理解すべきであり、明示的にそのように示されているか、または“xor(排他的または)”として記されていない限り、排他的分離を示すものではない。
【0033】
本発明は、既知ノイラミニダーゼ阻害剤オセルタミビルおよび抗インフルエンザ剤タミフル(登録商標)、ならびに新規ホスホネートコンジナー(congers)への新規合成経路を提供する。D−キシロースを、既知および新規活性ノイラミニダーゼ阻害剤の合成のキラル前駆体として使用した。新規ホスホネートコンジナー(congers)は、H1N1およびH5N1ウイルスの野生型およびH274Y突然変異体ノイラミニダーゼを阻害することにより、タミフル(登録商標)よりも良い抗インフルエンザ活性を有する。
【0034】
タミフル現在の工業的合成は、出発物質として天然に存在するシキミ酸に頼る。しかしながら、一定純度でのシキミ酸の入手可能性が問題を引き起こし得る。この合成はまた、起爆性アジド試薬および中間体の操作の欠点も有する。タミフルのいくつかの新規合成法は、シキミ酸非依存的方法に着手した。タミフルにおけるシクロヘキセンカルボキシレートの中心構造を確率するために、種々のタイプのディールス・アルダー反応が適用されている。例えば、タミフル合成用キラル中間体を得るために、フランとアクリレートの間のディールス・アルダー反応、続いて酵素的分割が行われている。同様に、1−トリメチルシリルオキシ−1,3−ブタジエンと塩化フマリルのディールス・アルダー反応がこの中心構造を構築するために使用されている;しかしながら、鍵となる中間体のラセミ混合物のキラルHPLCによる分離がこの一連の合成では必要である。あるいは、触媒的エナンチオ選択的ディールス・アルダー反応が、タミフル合成のための必要なキラルシクロヘキセンカルボキシレートを提供する。
【0035】
一つの実施態様において、本発明は、タミフル、オセルタミビル、種々のホスホネートコンジナーおよびグアニジンアナログを、合理的な高収率(5.2−13.5%)でエナンチオ選択的合成する新規合成方法を提供する。本合成経路を図3(スキーム1)に示す。分子内ホーナー・ワズワース・エモンズ反応を行って、シクロヘキセンカルボキシレート8aおよびホスホネート8bを得た。光延の方法に従うジフェニルホスホリルアジドでの処理により、8a/8bのヒドロキシル基の、立体配置の倒置を伴うアジド基への置換は成功した。一つの局面において、有害なナトリウムアジド試薬をこの方法で避けた。好ましい局面において、本合成スキームは遅い官能基化を可能にし、これは医化学的視点からこのスキームを魅力的とする。
【0036】
本新規合成スキームを図3に示す。図3に記載する試薬および工程は次の通りである:(a)Me3CCOCl、ピリジン、0℃、8時間;89%。(b)PDC、Ac2O、還流、1.5時間;HONH2−HCl、ピリジン、60℃、24時間;82%。(c)LiAlH4、THF、0℃、次いで還流1.5時間;88%。(d)Ac2O、ピリジン、25℃、3時間;HCl/1,4−ジオキサン(4M)、BnOH、トルエン、0−25℃、24時間;85%。(e)2,2'−ジメトキシプロパン、トルエン、触媒p−TsOH、80℃、4時間;90%。(f)Tf2O、ピリジン、CH2Cl2、−15℃、2時間;EtO2CCH2PO(OEt)2またはH2C[PO(OEt)2]2、NaH、触媒15−クラウン−5、DMF、25℃、24時間;7aについて80%および7bについて73%。(g)H2、Pd/C、EtOH、25℃、24時間;NaH、THF、25℃、1時間、8aについて83%;またはNaOEt、EtOH、25℃、5時間、8bについて80%。(h)(PhO)2PON3、(i−Pr)N=C=N(i−Pr)、PPh3、THF、25℃、48時間。(i)HCl、EtOH、還流、1時間;9aについて83%および9bについて74%。(j)Tf2O、ピリジン、CH2Cl2、−15乃至−10℃、2時間;KNO2、18−クラウン−6、DMF、40℃、24時間;10aについて70%および10bについて71%。(k)Cl3CC(=NH)OCHEt2、CF3SO3H、CH2Cl2、25℃、24時間;11aについて78%および11bについて82%。(l)H2、リンドラー触媒、EtOH、25℃、16時間;3bについて85%。(m)H3PO4、EtOH、40℃、1時間;1について91%。(n)KOH、THF/H2O、0−25℃、1時間;2について88%および14aについて81%。(o)TMSBr、CHCl3、25℃、24時間;水性NH4HCO3、凍結乾燥;3について85%(アンモニウム塩として)、13bについて72%および14bについて75%。(p)N,N'−ビス(tert−ブトキシカルボニル)チオウレア、HgCl2、Et3N、DMF、0−25℃、10−16時間;12aについて78%および12bについて58%。(q)TFA、CH2Cl2、0℃、1時間;13aについて88%。個々の工程の試薬、反応条件および収率は下記の実験セクションでさらに詳細に記載する。
【0037】
他の方法において、タミフル合成の基盤となる方法として働く、1,4−シクロヘキサジエンのメソ−アジリジン誘導体を製造し、トリメチルシリルアジドでの触媒的非対称開環反応に付した。置換イソフタル酸ジエステルのRu−Al2O3触媒水素化は、全ての置換基およびジエステルがcis−配置である、シクロヘキサン中心構造を提供する。次いで、このメソ−ジエステルを光学活性一酸に酵素的に加水分解し、これは、タミフル合成の鍵となる中間体として働く。タミフルの合成は、(1R,2S)−2−フェニルシクロヘキサノールに由来するジアステレオマーのHPLC分離により得られる、シクロヘキサジエンカルボキシレートのキラルカチオン性鉄複合体でのアミノ化で出発することにより証明された。最後に、5−オキサ−ビシクロ[3.2.1]ヘキセン−4−オンのパラジウム触媒非対称アリル位アミノ化が、タミフル合成の鍵となる工程として証明された。
【0038】
本発明者らは、安価な出発物質としてD−キシロースを使用するタミフルおよびタミホスホルの合成を発見した。標的化合物のシクロヘキセン中心構造を、分子内ホーナー・ワズワース・エモンズ反応により構築する。この柔軟性のある合成方法はタミフルおよびタミホスホルの両方を合理的な全体的収率(5−13%)で提供するが、長い工程(18−19反応工程)は大規模合成には理想的ではない。タミフルおよびタミホスホルへの、より簡潔で実際的な合成経路は、図4に示す通りに表された。
【0039】
この方法において、エナンチオ純粋ブロモアレーンcis−1,2−ジヒドロジオール(17)出発物質は市販されており、大規模でブロモベンゼンの微生物酸化により容易に製造できる。その官能性の独特な組み合わせにより、ハロアレーンcis−ジヒドロジオール類は、種々の天然産物および関連分子の合成への適用が成功している。加えて、臭素原子を、合成経路の後の段階で、カルボキシレートおよびホスホネートを含む種々の官能基に変換できる。故に、この合成スキームは、タミフル、タミホスホルおよび他の誘導体に至る重要な点として、一般的中間体、例えば、26および29を融通の利くものにする。このような後の官能基化は、医化学の観点から特に魅力的である。
【0040】
この合成計画に基づき、(1S,2S)−cis−ジオール17のアセトニドを、CH3CN中0℃でのN−ブロモアセトアミド(NBA)とのSnBr4触媒ブロモアセトアミド化反応に付し、図4に示す通りの位置および立体選択的方法でブロモアミド19を得た。19の構造をX線回折解析により確認した(実施例31以下参照)。この反応は、余り立体障害を受けていない面でブロモニウムイオンの形成と、続くアリルのC−5位でアセトアミドの選択的背面攻撃により進行するようである。LHMDS(1.1当量)存在下で、ブロモアミド19はアジリジン20に変化し、それは3−ペンタノールとのBF3介在開環反応を受け、73%収率で化合物22を得た。脱保護後、cis−ジオール23をα−アセトキシイソブチリルブロマイドで処理して、対応するtrans−2−ブロモシクロヘキシルアセテート24を得た。先の例と同様にして、この反応は、アセトキソニウムイオンの中間体形成、およびアリルのC2位でのブロマイドイオンの背面攻撃を含むはずである。24と3当量のLiBHEt3(Super-Hydride(登録商標))の反応は、C1およびC2位のアセチル基と臭素原子の同時の還元により、綺麗な生成物25を82%収率(23から)で提供した。光延の方法に従うジフェニルホスホリルアジド(DPPA)での処理により、25におけるヒドロキシル基の立体配置の倒置を伴うアジド基での置換に成功し、26を84%収率で得た。少量(2%)のジエン27もまた水分子の除去により産生される副産物として見られた。中枢の化合物26を、有機金属カップリング反応に付して、所望のカルボキシルおよびホスホニル基を挿入した。故に、26とNi(CO)2(PPh3)2のEtOH存在下での反応により、エチルエステル28aを81%収率で得た。他方で、26のジエチルホスファイトでのホスホニル化をPd(PPh3)4の触媒により達成し、ホスホネート28bを83%収率で得た。28aおよび28bのアジド基のアミンへの還元後、タミフルおよびタミホスホルを、我々の先に報告した方法に従い合成した。
【0041】
上記合成方法は、無アジド工程によりさらに改善された。我々は、テトラブチルアンモニウムシアネートが、図5に示す通りアミン官能基の良好な供給源であることを発見した。図5に示す通り、アルコール25をBu4NOCN/PPh3/DDQと反応させてイソシアネート中間体を得て、それを続いてt−BuOHで処理して、カルバメート29を78%収率で得た。ジエチルホスファイトとのPd触媒カップリング反応を行い、ホスホネート31bを形成し、そしてタミホスホルを、穏やかな条件下でのTMSBrでのBoc基とエチル基の同時の除去により合成した。化学量論量の毒性Ni(CO)2(PPh3)2の使用を避けるため、29のPd触媒カルボニル化を試みたが失敗した。あるいは、ブロマイド29をより反応性のアイオダイドアナログ30に変換し、Pd触媒カルボニル化を高収率で成功させ、カルボキシレート31aを得た。最後に、31aをH3PO4で処理して、ワン・ポット操作でのBoc基の開裂およびリン酸塩形成を介して、タミフルを得た。
【0042】
結論として、タミフルおよびタミホスホルを、ブロモベンゼンの微生物酸化により供給できる、容易に入手可能なブロモアレーンcis−ジオール19を使用して、11工程連続反応を介して、21−26%の全体的収率で合成する。全ての反応は、有害な可能性のある中間体または毒性試薬を使用せずに行う。反応のほとんどが、位置および立体選択的方法で行われて結晶生成物をもたらすため、単離工程は相対的に単純かつ費用効果が高い。グラム規模での合成しか本試験では証明されていないが、タミフルおよびタミホスホルの大規模合成は、抗インフルエンザ剤の開発のために将来有望である。
【0043】
ホスホネートジエステルの塩基性加水分解を使用してホスホネートモノエステル類を得ることは、当分野で既知である。故に、ホスホネートモノエステル類が、本発明の一局面において意図される。モノエステル類の合成は、化合物3cについて図7におよび化合物13cについて図8に示す。これらの各々が、化合物3cおよび13cの各々について出発化合物31bまたは12bから、ここに記載の他の合成経路を使用して容易に合成される。
【0044】
本発明の組成物は、所望によりここに記載の化合物の塩、特に、例えば、Na+、Li+、K+、Ca++およびMg++を含む薬学的に許容される非毒性塩を含む。かかる塩は、アルカリおよびアルカリ土類金属イオンまたはアンモニウムおよび4級アミノイオンのような適当なカチオンと酸アニオン部分の組み合わせに由来するものを含んでよい。
【0045】
金属塩は、金属水酸化物と本発明の化合物の反応により製造し得る。この方法で製造される金属の例は、Na+、Li+、K+を含む塩である。
【0046】
加えて、塩は、塩基性中心、典型的にアミン類、または酸性基への、ある種の有機および無機酸、例えば、HCl、HBr、H2SO4、または有機スルホン酸の酸付加により形成し得る。最後に、ここに記載の組成物は、本発明の化合物を、そのイオン化していない、ならびに双性イオン形態で、および水和物におけるような化学量論量の水との組み合わせで含むことは理解すべきである。本発明の他の局面は、ノイラミニダーゼを含む疑いのあるサンプルを、本発明の化合物で処理する工程を含む、ノイラミニダーゼの活性を阻害する方法に関する。
【0047】
本発明の化合物を、慣例に従い選択される、慣用の担体および賦形剤と製剤する。錠剤は賦形剤、流動促進剤、増量剤、結合剤などを含む。水性製剤は滅菌形態で製造し、経口投与以外での送達が意図されるときは等張である。全ての製剤は、所望により、明示によりその全体を本明細書に包含させる“Handbook of Pharmaceutical Excipients”(1986)に記載のもののような賦形剤を含む。賦形剤は、アスコルビン酸および他の抗酸化剤、EDTAのようなキレート化剤、デキストリン、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルメチルセルロースのような炭水化物、ステアリン酸などを含む。製剤のpHは、約pH3〜約pH11の範囲であるが、通常約pH7〜pH10である。
【0048】
1種以上の本発明の化合物(以後活性成分と呼ぶ)を、処置する状態に適当な任意の経路で投与する。適当な経路は、経口、直腸、経鼻、局所(バッカルおよび舌下を含む)、膣および非経腸(皮下、筋肉内、静脈内、皮内、期間内および硬膜外を含む)などを含む。好ましい経路は、例えば受け手の状態により変わり得ることは認識されよう。
【0049】
本活性成分を単独で投与することは可能であるが、それらを医薬製剤として提供することが好ましい。本発明の製剤は、獣医学的およびヒト使用の両方のためであるが、少なくとも1種の上記で定義の活性成分を、1種以上の許容される担体および所望により他のと共に含む。担体は、製剤中の他の成分と融和性であり、そして受け手に生理学的に無害である点で、“許容される”ものでなければならない。
【0050】
本製剤は、上記投与経路に適するものを含む。本製剤は、簡便には単位投与形態で提供されてよく、そして薬学の分野で既知の任意の方法により製造され得る。技術および製剤は、一般に、Remington's Pharmaceutical Sciences (Mack Publishing Co., Easton, Pa.)に見られる。かかる方法は、活性成分と、1種以上の補助的成分から成る担体を混合させる工程を含む。一般に、本製剤は、活性成分と液体担体または粉砕した固体担体または両方を混合させ、次いで、必要であれば、製品を成形することにより製造する。
【0051】
経口投与に適する本発明の製剤は、各々予定量の活性成分を含むカプセル剤、カシェ剤または錠剤のような分離した単位として;散剤または顆粒剤として;水性液体または非水性液体中の溶液または懸濁液として;または水中油型液体エマルジョンまたは油中水型液体エマルジョンとして製造する。活性成分はまたボーラス、舐剤またはペーストとして提供してもよい。
【0052】
錠剤は、所望により1種以上の補助的成分と共に、圧縮または鋳造することにより製造する。圧縮錠剤は、所望により結合、平滑剤、不活性希釈剤、防腐剤、表面活性剤または分散剤と混合した、粉末または顆粒のような自由に流動する形の活性成分を、適当な機械で圧縮することにより製造し得る。鋳造された錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末活性成分の混合物を適当な機械で鋳造することにより製造し得る。錠剤は、所望によりコーティングしてよく、または割線を入れてよく、そして所望により活性成分の遅延または制御放出を提供するように製剤する。
【0053】
眼または他の外部組織、例えば口腔および皮膚の感染に対して、本製剤は、好ましくは、例えば、0.075〜20%w/w(0.1%〜20%の範囲の活性成分を、0.6%w/w、0.7%w/wなどのように0.1%w/wずつ増加させたものを含む)、好ましくは0.2〜15%w/wおよび最も好ましくは0.5〜10%w/wの量の、活性成分を含む、局所軟膏剤またはクリーム剤として適用する。軟膏剤として製剤するとき、活性成分を、パラフィン性または水混和性軟膏基剤と共に用い得る。あるいは、活性成分を、水中油型クリーム基剤と共にクリーム剤として製剤し得る。
【0054】
望むならば、クリーム基剤の水性相は、例えば、少なくとも30%w/wの多価アルコール、すなわちプロピレングリコール、ブタン1,3−ジオール、マンニトール、ソルビトール、グリセロールおよびポリエチレングリコール(PEG 400を含む)およびその混合物のような2個以上のヒドロキシル基を含むアルコールである。局所製剤は、望ましくは、皮膚または他の患部への活性成分の吸収または浸透を促進する化合物を含み得る。かかる皮膚浸透促進剤の例は、ジメチルスルホキシドおよび関連アナログを含む。
【0055】
本発明のエマルジョンの油相は、既知方法で既知成分から構成され得る。本相は乳化剤(エマルジェントとしても既知)のみを含み得るが、少なくとも1種の乳化剤と、脂肪または油との、または脂肪と油の両方との混合物を含むことが望ましい。好ましくは、親水性乳化剤は、安定化剤として働く親油性乳化剤と共に包含される。油および脂肪の両方を含むことも好ましい。合わせて、安定化剤(複数も可)を伴ってまたは伴わないで乳化剤(複数も可)は、いわゆる乳化蝋を構成し、この蝋は油および脂肪と共に、クリーム製剤の油性分散相を形成するいわゆる乳化軟膏(emulsifying ointment)基剤を構成する。
【0056】
本発明の製剤への使用に適するエマルジェントおよびエマルジョン安定化剤は、TweenTM 60、SpanTM 80、セトステアリルアルコール、ベンジルアルコール、ミリスチルアルコール、モノステアリン酸グリセリルおよびラウリル硫酸ナトリウムを含む。
【0057】
本製剤のための適当な油または脂肪の選択は、所望の美容特性の達成に基づく。クリーム剤は好ましくは、チューブまたは他の容器からの漏れを避けるために適当な稠度の、ベタベタせず、染色されておらず、そして洗える製品であるべきである。直鎖または分枝鎖、一または二塩基性アルキルエステル類、例えばジイソアジペート、ステアリン酸イソセチル、ココナッツ脂肪酸のプロピレングリコールジエステル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸デシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、パルミチン酸2−エチルヘキシルまたはCrodamol CAPとして既知の分枝鎖エステル類の混合物を使用してよく、後三者が好ましいエステル類である。これらを必要な特性によって、単独でまたは組合せで使用してよい。あるいは、高融点脂質、例えば白色軟パラフィンおよび/または液体パラフィンまたは他の鉱油を使用する。
【0058】
眼への局所投与に適当な製剤は、活性成分が適当な担体、特に活性成分用水性溶媒に溶解または懸濁された点眼剤を含む。活性成分は、好ましくはかかる製剤中に0.5〜20%、有利には0.5〜10%、特に約1.5%w/wの濃度で存在する。
【0059】
口腔への局所投与に適当な製剤は、香味基剤、通常スクロースおよびアカシアまたはトラガカント中に活性成分を含むロゼンジ剤;活性成分を不活性基剤、例えばゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアカシア中に含むトローチ剤;および適当な液体担体中に活性成分を含む口腔洗浄剤を含む。
【0060】
直腸投与用製剤は、例えばカカオバターまたはサリチレートを含む適当な基剤との坐薬として提供し得る。
【0061】
肺内または経鼻投与に適当な製剤は、例えば0.1〜500ミクロンの粒子径(0.5、1、30ミクロン、35ミクロンなどのように数ミクロンずつ増える、0.1〜500ミクロンの範囲の粒子径を含む)を有し、これを、鼻道を通した急速吸入により、または肺胞嚢に到達するように口腔を通した吸入により投与する。適当な製剤は、活性成分の水性または油性溶液を含む。エアロゾルまたは乾燥粉末投与に適当な製剤は、慣用法に従い製造でき、そして、現在までA型またはB型インフルエンザ感染の処置または予防に使用される化合物のような他の治療剤と共に送達してよい。
【0062】
膣投与に適当な製剤は、活性成分に加えて、適当であることが当分野で既知のような担体を含む、ペッサリー、タンポン、クリーム剤、ゲル剤、ペースト剤、泡沫剤またはスプレー製剤として提供し得る。
【0063】
非経腸投与に適当な製剤は、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤(bacteriostats)および製剤を意図される受け手の血液と等張にする溶質を含み得る水性および非水性滅菌注射溶液;および懸濁化剤および濃化剤を含み得る水性および非水性滅菌懸濁液を含み得る。
【0064】
製剤は、単位投与量または多回投与量容器、例えば密閉アンプルおよびバイアルで提供され、使用直前に注射用の滅菌液体担体、例えば水の添加のみを必要とするフリーズドライ(凍結乾燥)条件で貯蔵し得る。即時の注射溶液および懸濁液が、先に記載の性質の滅菌粉末、顆粒および錠剤から製造される。好ましい単位投与量製剤は、上記のような、活性成分の1日量または1日量の分割単位(unit daily sub-dose)を含むもの、またはその適当な画分である。
【0065】
上に特に記載した成文に加えて、本発明の製剤は、当該製剤の種類を考慮して当分野で慣用の多の成分を含んでよく、例えば、経口投与に適するものは香味剤を含み得ることは理解すべきである。
【0066】
本発明は、少なくとも1種の上記で定義の活性成分を獣医学担体と共に含む獣医学組成物を提供する。獣医学担体は本組成物の投与の目的で有用な物質であり、他の点で不活性であるか、または獣医学分野で許容され、活性成分と融和性の固体、液体またはガス状物質であり得る。これらの獣医学組成物は、経口的、非経腸的または任意の他の所望の経路で投与してよい。本発明の化合物は、活性成分として1種以上の本発明の化合物を含む制御放出医薬製剤(“制御放出製剤”)を提供し、ここで、該活性成分の放出は、少ない頻度での投与を可能にするため、またはある活性成分の薬物動態学的または毒性プロファイルを改善するために調節および制御される。活性成分の有効な用量は、少なくとも処置する状態の性質、毒性、本化合物を予防的に(低用量)使用するのか能動的インフルエンザ感染に対して使用するか、送達方法、および医薬製剤に依存し、慣用の用量漸増試験を使用して医師により決定される。約0.0001〜約100mg/kg体重/日が予測できる。典型的に、約0.01〜約10mg/kg体重/日である。より典型的に、約0.01〜約5mg/kg体重/日である。より典型的に、約0.05〜約0.5mg/kg体重/日である。例えば、吸入について、体重約70kgの成人についての候補1日量は、1mg〜1000mg、好ましくは5mg〜500mgであり、1回または複数回投与量により摂取し得る。
【0067】
一つの実施態様において、本発明の活性成分を他の活性成分と組み合わせても使用する。かかる組み合わせは、処置すべき状態、複数成分の交差反応性および組合せの薬特性(pharmaco-properties)に基づき選択する。例えば、呼吸器系のウイルス感染、特にインフルエンザ感染を処置するとき、本発明の組成物を抗ウイルス剤(例えばアマンタジン、リマンタジンおよびリバビリン)、粘液溶解剤、去痰剤、気管支拡張剤(bronchialdilators)、抗生物質、解熱剤、または鎮痛剤と組み合わせる。通常、抗生物質、解熱剤、および鎮痛剤を本発明の化合物と共に投与する。
【0068】
本発明の他の実施態様は、ここに記載の化合物のインビボ代謝産物を、かかる産物が新規であり、先行文献から明白でない範囲において含む。かかる産物は、投与化合物の、主に酵素処理による、例えば酸化、還元、加水分解、アミド化、エステル化などに由来し得る。従って、本発明は、本発明の化合物を哺乳動物とその代謝産物が生じるのに十分な時間接触させることを含む工程により製造される、新規で明白ではない化合物を含む。かかる産物は、典型的に放射標識された(例えば14Cまたは3H)本発明の化合物により、それを非経腸的に検出可能な用量で(例えば約0.5mg/kgより多い)、ラット、マウス、モルモット、サルのような動物、またはヒトに投与し、代謝が起こるのに十分な時間を与え(典型的に約30秒〜30時間)、そしてその変換産物を尿、血液または他の生物学的サンプルから単離することにより同定する。これらの産物は、それらが標識されているため(他のものは代謝産物中に残るエピトープと結合できる抗体の使用により単離される)、単離が容易である。代謝産物構造を通常の方法で、例えばMSまたはNMR分析により行う。一般に、代謝産物の分析は、当業者に周知の慣用の薬剤代謝試験と同じ方法で行う。変換された産物は、それらが他にインビボで見られない限り、それら自体がノイラミニダーゼ阻害活性を有していなくてさえ、本発明の化合物の治療投与量の診断的アッセイに有用である。
【0069】
新規ホスホネートコンジナーのプロドラッグが意図される。極性ホスホネートおよびグアニジニウム基の両方を、所望により当分野で既知の技術によりさらに官能化して、薬物動態学的および/または薬力学的特性を増強し得る。例えば、プロドラッグ、例えばアシルオキシメチル−およびアリールホスホネートエステル類の製剤および使用は、バイオアベイラビリティの増強のために利用し得る(Krise and Stella, Adv. Drug Deliv. Rev. 1996, 19, 287)。
【0070】
本発明の一局面において、ノイラミニダーゼを含む疑いのあるサンプルは、生存生物;組織または細胞培養;生物学的物質サンプル(血液、血清、尿、脳脊髄液、涙、痰、唾液、組織サンプルなど)のような生物学的サンプル;研究室サンプル;食物、水、または空気サンプル;細胞、特に所望の糖タンパク質を合成する組み換え細胞の抽出物のようなバイオプロダクト(bioproduct)サンプル;などのような天然のまたは人工の物質を含む。典型的に、サンプルは、ノイラミニダーゼを産生する生物を、しばしばウイルスのような病原生物を含むことが疑われる。サンプルは、水および有機溶媒/水混合物を含む任意の媒体に含まれていてよい。サンプルは、ヒトのような生存生物、および細胞培養のような人工物質を含む。
【0071】
本発明の処置工程は、本発明の組成物をサンプルに添加することを含むか、または組成物の前駆体をサンプルに添加することを含む。本添加工程は、上記の任意の投与方法を含む。望むならば、組成物投与後のノイラミニダーゼ活性を、ノイラミニダーゼ活性の検出の直接的または間接的方法を含む任意の方法により観察できる。ノイラミニダーゼ活性を検出する定量的、定質的、および半定量的方法が全て意図される。典型的に上記のスクリーニング方法の一つを適用するが、しかしながら、生存生物の生理学的特性の観察のような任意の他の方法も適用可能である。
【0072】
ノイラミニダーゼを含む生物は、細菌(ビブリオ・コレラエ、クロストリジウム・パーフリンジェンス、ストレプトコッカス・ニューモニエ、およびアルスロバクター・シアロフィルス)およびウイルス(特にオルトミクソウイルスまたはパラミクソウイルス、例えばA型インフルエンザウイルス(例えばH1N1、H5N1)、およびB型インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、ムンプスウイルス、ニューカッスル病ウイルス、家禽ペストウイルス、およびセンダイウイルス)を含む。これらの生物のいずれかから得たまたは生物内に見られるノイラミニダーゼ活性の阻害は本発明の目的の範囲内である。インフルエンザウイルスのウイルス学は、“Fundamental Virology”(Raven Press, New York, 1986), Chapter 24に記載されている。本発明の化合物は、アヒルおよび他の鳥類、齧歯類、ブタのような動物における、またはヒトにおけるインフルエンザ感染の予防にまたは存在するインフルエンザ感染の処置に有用である。
【0073】
本発明の組成物を、酵素活性を評価するための既知の技術のいずれかによりノイラミニダーゼに対する阻害活性をスクリーニングする。本発明の文脈内で、典型的に組成物を最初にインビトロでノイラミニダーゼの阻害についてスクリーニングし、阻害活性を示す組成物をインビボで活性についてスクリーニングする。約5×10−6M未満、典型的に約1×10−7M未満および好ましくは約5×10−8M未満のインビトロKi(阻害定数)を有する組成物は、インビボでの使用に好ましい。
【0074】
有用なインビトロスクリーニングは詳述されており、ここには詳述しない。(Itzstein, M. von et al.; “Nature”, 363(6428): 418-423(1993); Potier, M.; et al.; “Analyt. Biochem.”, 94: 287-296(1979); Chong, A. K. J.; et al.; “Biochem. Biophys. Acta”, 1077: 65-71(1991); およびColman, P. M.; et al.; 国際公開番号WO92/06691(国際出願番号PCT/AU90/00501、公開日1992年4月30日)。
【0075】
インビボスクリーニングも詳述されており、例えば、Itzstein, et al., 1993の、特に421頁、カラム2の最初の完全な段落から423頁、カラム2の最初の完全な段落まで、およびColman, p. 36を参照のこと。本発明のNAIを、種々のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼに対する阻害活性について試験した。表1は、野生型および突然変異体インフルエンザウイルスノイラミニダーゼに対する阻害活性を示す。
【表1】
表l:a A型インフルエンザウイルス/WSN/1933(H1N1)からのノイラミニダーゼ(NA)。b A型インフルエンザウイルス/WSN/1933(H1N1)からのNA(H274Y)。c A型インフルエンザウイルス/Hanoi/30408/2005(H5N1)からのNA。d A型インフルエンザウイルス/Hanoi/30408/2005(H5N1)からのNA(H274Y)。e アンモニウム塩として図3に示す。f 測定せず。
【0076】
より強い効果のホスホネートコンジナー、3(タミホスホル)対オセルタミビル2およびグアニジン13b対13aを、H1N1およびH5N1インフルエンザウイルスの野生型ノイラミニダーゼにおいて観察した(表1)。化合物3および2の両方とも、野生型酵素よりもH274Y7のNAI耐性突然変異体に対して顕著に効果が低かった。それにも関わらず、ホスホネート化合物13bは、低nM濃度で両方の突然変異体酵素を阻害する有効な阻害剤である。2および3と比較してC−3ヒドロキシル位にペンチルオキシ基を欠く化合物14aおよび14bは、NAI活性が劣った。表2は、オセルタミビル2、ホスホネートコンジナー3および関連アナログのノイラミニダーゼ阻害、抗インフルエンザ、および細胞毒性活性を示す。
【表2】
表2:a A型インフルエンザウイルス/WSN/1933(H1N1)に対するノイラミニダーゼ阻害。Ki値を、チェン・プルソフ方程式を使用して決定した。b インフルエンザ(A/WSN/1933)感染によるCPE効果の50%保護のためのNA阻害剤の濃度。c 使用した最高濃度はMDCK細胞に対する細胞毒性のアッセイにおける100μMである。d 選択性指数、CC50対EC50比。e アンモニウム塩として図3に記載。
【0077】
本発明の一つの実施態様において、ホスホネート3は、0.15および4.67nMのKiおよびEC50値を有し、インフルエンザH1N1ウイルスに対する強力なNA阻害剤および抗インフルエンザ剤である(表2)。比較して、ホスホネート3は、オセルタミビルの活性よりNA阻害および抗インフルエンザアッセイで各々19倍および7倍活性である。ホスホネート3を、さらに種々の濃度で評価し、宿主MDCK細胞に対する成長阻害を測定した。ホスホネート3の概算されるCC50値は74μMであった。15800を超える最高の選択性指数を示すホスホネート3は、故に、宿主MDCK細胞に対する毒性なく、H1N1ウイルスに対する強力な抗ウイルス剤である。3におけるアミノ基をグアニジノ基に置換することにより、ホスホネート13bは増強されたNA阻害(Ki=0.06nM)および抗インフルエンザ活性(EC50=0.09nM)を示す。先の報告と同様にして、グアニジニウム基は、Glu119、Asp151およびGlU227の残基と強い静電気相互作用を示し得る。
【0078】
一つの局面において、本明細書に記載のホスホネートコンジナーは、H1N1およびH5N1の野生型ノイラミニダーゼに対して顕著に強力なカルボキシレートコンジナーである。加えて、化合物13bは、H5N1ノイラミニダーゼのH274Y突然変異体に対して19nMで有効な阻害剤である。
【0079】
本発明の他の実施態様において、本発明の化合物を使用してインビボでインフルエンザ感染を処置する。本発明のNAIを、インビボでマウスで試験した。マウスを、記載の投与量の薬剤で、1日2回5日間胃管栄養法により処置することにより処理した。最初の薬剤投与4時間後、感染性インフルエンザウイルス[A/WSN/33(H1N1)またはNIBRG−14(H5N1)]の25μLを10MLD50で鼻腔内接種した。マウスを毎日14日間、生存および体重について観察した。表3は、A/WSN/33(H1N1)インフルエンザウイルス感染に対するマウスの化合物3および3b、およびタミフルでの処置の効果を示す。
【表3】
表3。
a 化合物を、指示したインフルエンザウイルスでの感染の4時間前に開始して、1日2回5日間経口投与した。
b 生存数/全処置数。最初の数は、14日目の生存%を示し、括弧内の数は7日目の生存%を示す。
c 14日目より前に死亡したマウスの平均死亡日数。
【0080】
マウスにおけるNIBRG−14(H5N1)A型インフルエンザウイルス感染に対する化合物3および3b、およびタミフルでの処置の生存に対する効果を表4に示す。
【表4】
表4。
a 化合物を、指示したインフルエンザウイルスでの感染の4時間前に開始して、1日2回5日間経口投与した。
b 生存数/全処置数。最初の数は、14日目の生存%を示し、括弧内の数は7日目の生存%を示す。
c 14日目より前に死亡したマウスの平均死亡日数。
【0081】
NAと複合体の化合物3の分子モデリングを、化合物3のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ(N1亜型、PDBコード:2HU4)の結晶学的構造へのドッキングを介して構築した。化合物3の3次元構造を、SYBYL 7.3でオセルタミビル2(また2HU4から)の3次元構造を修飾することにより構築した。本発明の一局面において、ノイラミニダーゼ−ホスホネート複合体の分子モデリングは、ホスホネートと活性部位の3個のアルギニン残基の適切な結合モードを示す。既知N1結晶構造(PDBコード:2HU4)を使用した予備的分子ドッキング実験(図1)は、推定ホスホネート阻害剤3aが、NA−オセルタミビル複合体に類似する結合ポケットにおけるC3−ペンチルオキシ基、C4−アセトアミド基およびC5−アミノ基により発揮される他の相互作用に加えて、実際にNAのトリ−アルギニン残基に強く結合することを確認する。図1は、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ(N1亜型)の活性部位におけるオセルタミビル2(A)およびホスホネート化合物3a(B)の分子モデルを示す。ホスホネート化合物3aの複合体は、オセルタミビル−NA複合体(6対リガンド−NA H−結合)と比較して、より多くの、NA活性部位における鍵となる残基との水素結合相互作用(8対リガンド−NA H−結合)を有する。
【0082】
またここに記載されているのは、タミフル(登録商標)および非常に強力なノイラミニダーゼ阻害剤タミホスホルの新規で改善された合成法である。先に記載の通り、インフルエンザ処置に一般的な薬剤であるタミフル(登録商標)(オセルタミビルリン酸塩、15・H3PO4)は経口で投与されるプロドラッグであり、それは肝臓エステラーゼで直ぐに加水分解されて、インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼの活性阻害剤として対応するカルボン酸(16、図6)をもたらす。10代の患者の精神障害の原因となる副作用、および、鳥インフルエンザの薬剤耐性株出現のため、インフルエンザウイルスに対する新規化学物質の開発は、インフルエンザの大流行との戦いのために緊急に必要である。下記に略記する合成は、図4に完全に示す:
【化19】
【0083】
タミホスホル(3)は、鳥インフルエンザおよびヒトインフルエンザの両方と戦うために将来有望な薬剤である。オセルタミビルのカルボキシル基をホスホネート基で置換することにより、タミホスホルはノイラミニダーゼのトリ−アルギニン残基と強く相互作用し、H1N1およびH5N1ウイルスの野生型ノイラミニダーゼに対してより強力である。加えて、グアニジンアナログ3bは、H5N1ノイラミニダーゼのH274Y突然変異体の有効な阻害剤(Ki=19nM)である。さらに、予備的試験は、タミホスホルがまた、インフルエンザウイルスの致死量攻撃に対してマウスを保護し、経口的に生物が利用可能であることを示す。マウスの生存率および平均生存時間の比較により(データは示していない)、タミホスホルは、H1N1ヒトインフルエンザウイルスに対してタミフルより強力であり、そして、組み換えH5N1(NIBRG14)ウイルスに対して少なくとも同程度に有効である。
【0084】
化合物3および13のモノエステル誘導体は、インフルエンザへの取り組みにおいて特に有効である。表5に示す通り、マウス試験は、モノエステル化合物3cおよび13cが、インフルエンザを有するマウスの処置に有効であることを示した。表4は、マウスにおけるA型インフルエンザ[A/WSN/33(H1N1)]ウイルス感染に対するタミフル(1)、タミホスホル(3)、タミホスホルモノエステル(3c)、タミホスホルグアニジン(13b)およびタミホスホルグアニジンモノエステル(13c)での鼻腔内処置の効果を示す。モノエステル3cおよび13cは、生存率を改善し、低濃度で有効であり、特に有効であることが示される。
【表5】
表5。
a 化合物を、指示したインフルエンザウイルスでの感染の4時間前に開始して、1日2回5日間経口投与した。
b 生存数/全処置数(10匹のマウス)。最初の数は、14日目の生存%を示し、括弧内の数は7日目の生存%を示す。
c 14日目より前に死亡したマウスの平均死亡日数。
【0085】
図17−20は、モノエステル化合物3cおよび13cの効果を、化合物3および13bと比較してグラフ的に示す。本化合物は、生存率の改善および体重維持の改善を示す。この経口は、10mg/kg/日〜0.1mg/kg/日の濃度範囲にわたり観察される。低濃度で(図20)、モノエステル類は化合物3および13bと同様に無効であり、対照の結果と非常に類似し、かかる低濃度ではホスホネートコンジナーの有益な効果が恐らく無くなることを示唆する。
【実施例】
【0086】
全ての試薬は市販されており、特記しない限りさらに精製することなく使用した。全ての溶媒は特記しない限り無水グレードであった。ジイソプロピルアジドカルボキシレート(DIAD)を、Na2SO4減圧下で蒸留した。全ての非水性反応は、特記されない限り、わずかに陽圧のアルゴン下に、オーブン乾燥させたガラス容器で行った。反応を磁気撹拌し、シリカゲル薄層クロマトグラフィーでモニターした。フラッシュクロマトグラフィーを、60−200μm粒子径のシリカゲルで行った。収率は、分光的に純粋な化合物について報告する。融点を、Electrothermal MEL-TEMP(登録商標)1101D融点装置で記録し、補正していない。NMRスペクトをBruker AVANCE 600および400分光計で記録した。化学シフトは、テトラメチルシラン(TMS)に対するδ値をもたらす;カップリング定数JはHzで示す。内部標準は1H−NMRスペクトルについてCDCl3(δH=7.24)またはD2O(δH=4.79)、13C−NMRスペクトルについてCDCl3(δH=77.0)、および31P−NMRスペクトルについてD2O(δp=0.00)のH3PO4であった。分裂パターンをs(1重項)、d(2重項)、t(3重項)、q(4重項)、m(多重項)、br(ブロード)およびdd(2個の2重項)として報告する。IRスペクトルをThermo Nicolet 380 FT-IR分光計で記録した。光学回転をPerkin-ElmerModel 341偏光計で記録し、[α]およびcの単位は、各々deg cm3 g-1 dm-1およびgcm3である。高解像度ESIマススペクトルをBruker Daltonics分光計で記録した。
【0087】
合成方法および生成物特徴付け。
【0088】
実施例1。1,2−O−イソプロピリデン−3−アミノ−3−デオキシ−α−D−リボフラノシド(5).(Nair, and Emanuel, J. Am. Chem. Soc. 1977, 99, 1571-1576.)
【化20】
【0089】
報告された方法に従い(Suhara et al., J. Org. Chem. 2001, 66, 8760-8771)、アセトン(1L)中のD−キシロース(50g)、無水CuSO4(70g)および濃H2SO4(5mL)の懸濁液を、室温で24時間撹拌し、続いて水性HCl溶液(110mL、0.1M)で40℃で2時間部分的に加水分解し、1,2−O−イソプロピリデン−α−D−キシロフラノース(4、61g)を無色シロップとして得た。化合物4(10g、52.6mmol)を塩化ピバロイル(6.6g、54.8mmol)でピリジン(50mL)中、0℃で8時間処理して、1,2−O−イソプロピリデン−5−O−ピバロイル−α−D−キシロフラノシド(13g、D−キシロースから85%収率)を無色油状物として得た。
【0090】
重クロム酸ピリジニウム(PDC、8.92g、23.7mmol)およびAc2O(12.2mL、130mmol)をCH2Cl2(160mL)中のピバロイルエステル(10.8g、39.4mmol)に添加した。混合物を還流下で1.5時間加熱し、次いで減圧下濃縮した。残渣をEtOAc(30mL)に溶解し、EtOAcでの溶出によりシリカゲルパッドを通して濾過した。濾液を濃縮し、トルエンと共蒸発させて(2×)、Ac2Oを除去した。粗ケトン生成物(10.2g)を、無水ピリジン(75mL)中、ヒドロキシルアミンヒドロクロライド(18.15g、260mmol)と60℃で24時間撹拌した。混合物を減圧下濃縮し、残渣をEtOAcに溶解した。有機層を水で洗浄し、水性層をEtOAc(3×)で抽出した。合わせた有機層をMgSO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残存油状物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して(EtOAc/ヘキサン、1:3)、対応するオキシム(9.27g、2工程で82%収率)をsyn/anti異性体(70:30)の混合物として得た。無色油状物;
【表6】
【0091】
オキシム(2.88g、10mmol)を冷(0℃)THF(60mL)中で撹拌し、LiAlH4(THF中1.0M溶液、25mL、25mmol)を添加した。混合物を3時間還流し、室温で12時間撹拌し、次いでEtOAcでクエンチした。混合物をセライトで濾過した。濾液を濃縮し、残存油状物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して(MeOH/CH2Cl2、1:9)、アミン5(1.67g、88%)を黄色シロップとして得た。
【表7】
【0092】
実施例2。O−ベンジル−2,3−O,N−イソプロピリデン−3−アセトアミド−3−デオキシ−α−D−リボフラノシド(6)。
【化21】
【0093】
アミン5(1.67g、8.8mmol)を、ピリジン(10mL)中Ac2O(5mL)と室温で3時間撹拌した。反応をMeOH(5mL)の添加によりクエンチした。混合物を濃縮し、トルエンと共蒸発させて(3×)、Ac2Oおよびピリジンを除去した。残存固体サンプルをEtOAcから再結晶させて、アセチル化生成物(2.35g)を得た。トルエン(16mL)中のアセチル化生成物およびベンジルアルコール(5.84g、54mmol)の冷溶液(0℃)を、1,4−ジオキサン(7.5mL、30mmol)中HCl(4.0M)溶液で処理し、24時間、室温で撹拌した。反応混合物をEt2O(100mL)に注ぎ、飽和NaHCO3溶液(80mL)で0℃で中和した。有機層を分離し、水(3×)および塩水で洗浄した。合わせた水性洗液をEt2O(6×)で抽出した。有機抽出物を合わせ、MgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧下濃縮した。残存油状物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して(MeOH/CH2Cl2、1:19)、2.10g(2工程で85%収率)のジオール生成物O−ベンジル−3−アセトアミド−3−デオキシ−α−D−リボフラノシドを1H NMR分析により示される通り、アノマーの混合物(α/β=7:3)として得た。α−アノマーの分析サンプルを再シリカゲルクロマトグラフィー(MeOH/CH2Cl2、1:99)により得た、Rf=0.2。無色固体、mp 95−97℃;
【表8】
【0094】
トルエン(20mL)中のジオール(2.10g、α/βアノマーの混合物として7.5mmol)、2,2−ジメトキシプロパン(10mL)およびp−トルエンスルホン酸一水和物(〜0.2g)の溶液を80℃で4時間撹拌した。混合物を減圧下濃縮し、残渣をEt2Oから再結晶して、1H NMR分析により示す通りアノマーの混合物(α/β=7:3)として、アルコール6(2.17g、90%)を得た。α−アノマーの分析サンプルを再シリカゲルクロマトグラフィーにより得た(EtOAc/ヘキサン、1:9)。無色結晶、mp 82−85℃;
【表9】
【0095】
実施例3。エチル(O−ベンジル−2,3−O,N−イソプロピリデン−3−アセトアミド−3,5,6−トリデオキシ−6−ジエトキシホスホリル−D−リボ−ヘプトフラノシド)ウロネート(7a)。
【化22】
【0096】
CH2Cl2(20mL)中のアルコール6(2.17g、6.76mmol)およびピリジン(1.2mL、14.73mmol)の溶液を、−15℃で撹拌し、その間トリフルオロメタン硫酸無水物(Tf2O、1.49mL、8.86mmol)を30分間にわたり滴下した。混合物をさらに2時間、−15℃で撹拌し、MeOH(1mL)でクエンチし、連続的に氷水および冷水性KH2PO4溶液(1M)で洗浄した。水性層をEtOAc(3×)で抽出した。合わせた有機相をMgSO4で乾燥させ、濾過し、濃縮し、トルエンと共蒸発させて、ピリジンを除去した。粗トリフレート生成物(3.06g)をさらに精製することなく次工程に使用した。
【0097】
NaH(0.41g、10.2mmol;油中60%分散)を窒素雰囲気下無水ヘキサン(3×)で洗浄し、DMF(30mL)を添加し、0℃で氷浴中、撹拌した。DMF(10mL)中のトリエチルホスホノアセテート(1.95g、10.9mmol)溶液を30分間にわたり滴下した。氷浴を除き、混合物を2時間撹拌し、透明黄色溶液を得た。次いでDMF(10mL)中の上で製造したトリフレート(3.06g、−6.76mmol)、続いて2滴の15−クラウン−5を添加した。得られた溶液を室温で24時間撹拌し、0℃に冷却し、水性KH2PO4(lM溶液)でクエンチした。混合物をCH2Cl2(5×)で抽出した。合わせた有機層を水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧下濃縮した。残存褐色油状物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して(EtOAc/ヘキサン勾配、1:4〜1:1)、生成物7a(2.85g、6から80%収率)をα/βアノマー混合物として得た。
【0098】
α−アノマーの分析サンプルを再シリカゲルクロマトグラフィーにより調製した(EtOAc/ヘキサン、1:4)。TLC(MeOH/CFkCL、1:19)Rf=0.2;
【表10】
【0099】
実施例4。O−ベンジル−2,3−O,N−イソプロピリデン−3−アセトアミド−3,5,6−トリデオキシ−6,6−ビス(ジエトキシホスホリル)−D−リボ−ヘキソフラノース(7b)。
【化23】
【0100】
7aに類似した方法により、テトラエチルメチレンジホスホネート(3.14g、10.9mmol)を、DMF(35mL)中NaH(0.31g、7.75mmol;油中60%分散)で2時間処理し、次いで、アルコール6のトリフレート(DMF8mL中2.26g)で、15−クラウン−5(2滴)の存在下処理した。反応混合物を24時間、室温で撹拌し、後処理(worked up)し、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して(EtOAc/ヘキサン勾配、1:4〜1:1)、生成物7b(2.16g、6から73%収率)をα/βアノマー混合物として得た。α−アノマーの分析サンプルを再シリカゲルクロマトグラフィーにより調製した(MeOH/CH2Cl2、1:99)。TLC(MeOH/CH2Cl2、1:19)Rf=0.14;
【表11】
【0101】
実施例5。エチル(3S,4R,5R)−3,4−O,N−イソプロピリデン−4−アセトアミド−3,5−ジヒドロキシ−1−シクロヘキセン−1−カルボキシレート(8a)。
【化24】
【0102】
ホスホネート7a(2.85g、5.4mmol)を、24時間、室温で水素雰囲気下、エタノール(30mL)中Pd/C(0.5g)と撹拌することにより水素化分解に付した。混合物をセライトで濾過し、濾液を濃縮し、所望のラクトール(2.36g)を薄黄色シロップとして得た。窒素雰囲気下、THF(10mL)中のラクトール(2.36g)溶液を、THF(20mL)中のNaH(7.0mmol、ヘキサンで3回予洗した、0.28gの60%油分散)の懸濁液に滴下した。混合物を室温で1時間撹拌して、分子内ウィッティヒ・ホーナー・エモンズ反応を完了させた。混合物を0℃に冷却し、水性KH2PO4(1M溶液)でクエンチし、CH2Cl2(5×)で抽出した。合わせた有機層をMgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧下濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して(EtOAc/ヘキサン、1:1)、シクロヘキセンカルボキシレート8a(1.27g、7aから83%収率)を無色油状物として得た。TLC(EtOAc)Rf=0.3;
【表12】
【0103】
実施例6。ジエチル(3S,4R,5R)−3,4−O,N−イソプロピリデン−4−アセトアミド−3,5−ジヒドロキシ−1−シクロヘキセン−1−ホスホネート(8b)。
【化25】
【0104】
ビスホスホネート7b(3.55g、6mmol)を、室温で24時間、水素雰囲気下、エタノール(35mL)中Pd/C(1g)と撹拌した。混合物をセライトで濾過し、ナトリウムエトキシド(25mL、エタノール中21%)を濾液に添加した。反応混合物を5時間撹拌し、飽和水性NH4Cl溶液でクエンチし、減圧下濃縮した。残渣をCH2Cl2で希釈し、飽和水性NH4Cl溶液で洗浄した。水性層をCH2Cl2(3×)で抽出した。合わせた有機相をMgSO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して(MeOH/CH2Cl2、1:99)、シクロヘキセンホスホネート8b(1.67g、80%)を無色油状物として得た。
【0105】
実施例7。エチル(3S,4R,55)−4−アセトアミド−5−アジド−3−ヒドロキシ−1−シクロヘキセン−1−カルボキシレート(9a)。
【化26】
【0106】
THF(40mL)中の8a(1.27g、4.5mmol)、トリフェニルホスフィン(2.36g、9.0mmol)、ジイソプロピルアジドカルボキシレート(DIAD、1.82g、9.0mmol、新たに蒸留)およびジフェニルホスホリルアジド(DPPA、2.48g、9.0mmol)の溶液を、室温で48時間撹拌した。溶媒を減圧下回転蒸発により除去し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して(EtOAc/ヘキサン、1:3)、5S立体配置の対応するアジド生成物を得た(1.21g、87%収率)。無色固体、mp 91−93℃;
【表13】
エタノール(20mL)中のアジド化合物(1.21g、3.93mmol)を、水性HCl溶液(5mL、1M)と1時間加熱還流した。混合物を減圧下濃縮し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して(EtOAc)、生成物9a(1.01g、95%収率)を得た。無色固体、mp 51−53℃;
【表14】
【0107】
実施例8。ジエチル(3S,4R,55)−4−アセトアミド−5−アジド−3−ヒドロキシ−1−シクロヘキセン−1−ホスホネート(9b)。
【化27】
【0108】
9aに類似の方法により、化合物8b(1.67g、4.8mmol)を、THF(45mL)中、Ph3P(2.42g、9.2mmol)、新たに蒸留したDIAD(1.86g、9.2mmol)およびDPPA(2.54g、9.2mmol)で48時間、室温で処理して、フラッシュカラムクロマトグラフィー(60%EtOAc/ヘキサン、3:2)精製後対応するアジド生成物(1.39g、78%収率)を得た。EtOH/HCl(1M 水性溶液)中での還流による続く加水分解により、所望の生成物9b(1.18g、95%収率)を得て、それを10bの製造に直接使用した。
【0109】
実施例9。エチル(3R,4R,5S)−4−アセトアミド−5−アジド−3−ヒドロキシ−1−シクロヘキセン−1−カルボキシレート(10a)。
【化28】
【0110】
CH2Cl2(10mL)中の9a(53.7mg、2mmol)およびピリジン(1.3mL、16mmol)の冷(−15℃)溶液に、CH2Cl2(5mL)中のTf2O(0.67mL、4mmol)を滴下し、−15〜−10℃で2時間撹拌した。混合物を水性KH2PO4(1M溶液、2×)、飽和水性NaHCO3、水および塩水で洗浄した。有機層をMgSO4で乾燥させ、真空で濃縮して、対応するトリフラート(0.82g)を得た。トリフレートを、無水DMF(40mL)中、KNO2(85.6mg、10mmol)および18−クラウン−6(3滴)と24時間、40℃で撹拌した。反応の最後に、混合物をCH2Cl2で希釈し、塩水で洗浄した。有機層をMgSO4で乾燥させ、減圧下濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、4:1)で精製して、3R立体配置の生成物10a(0.3752g、70%収率)を得た。無色固体、mp 40−42℃;
【表15】
【0111】
実施例10。ジエチル(3R,4R,5S)−4−アセトアミド−5−アジド−3−ヒドロキシ−1−シクロヘキセン−1−ホスホネート(10b)。
【化29】
【0112】
10aに類似の方法により、上で製造した化合物9b(1.18g、3.55mmol)を、CH2Cl2(10mL)中、Tf2O(1.2mL、7.1mmol)およびピリジン(2.3mL、28.5mmol)と2時間、−15〜−10℃で撹拌して、対応するトリフラート(1.65g)を得て、それを続いて無水DMF(50mL)中KNO2(1.52g、17.3mmol)および18−クラウン−6(3滴)で、40℃で24時間処理して、3R立体配置を有する生成物10b(83.8mg、71%収率)を得た。無色油状物;
【表16】
【0113】
実施例11。エチル(3R,4R,5S)−4−アセトアミド−5−アジド−3−(1−エチルプロポキシ)−1−シクロヘキセン−1−カルボキシレート(11a).(Rohloff et al., J. Org. Chem. 1998, 63, 4545-4550.)
【化30】
【0114】
3−ペンチルトリクロロアセトイミデートを次の通り製造した。窒素雰囲気下、無水Et2O(14mL)中の3−ペンタノール(8.815g、100mmol)の溶液を、Et2O(10mL)に懸濁させたNaH(0.4g、10mmol;ヘキサンで予洗した60%油分散)に滴下した。混合物を10分間、室温で撹拌し、20分間にわたり、Et2O(20mL)中のトリクロロアセトニトリル(15mL、150mmol)の冷(−5℃)溶液に窒素雰囲気下滴下した。反応混合物を室温に温め、2時間撹拌した。溶媒除去後、残渣を、沈殿を得るために1分間激しく撹拌しながらMeOH/ヘキサン(1:19、10mL)でトリチュレートし、それを濾取し、冷ヘキサンで洗浄した。濾液を減圧下蒸発乾固し、3−ペンチルトリクロロアセトイミデート(16g、70%収率)を明褐色油状物として得た。TLC(EtOAc/ヘキサン、1:4)
【表17】
窒素雰囲気下、新たに調製した3−ペンチルトリクロロアセトイミデート(350mg、1.5mmol)およびCF3SO3H(13μL、0.15mmol)を、CH2Cl2(15mL)中のアルコール10a(321mg、1.2mmol)の溶液に添加した。反応混合物を室温で24時間撹拌し、その間にさらにイミデートおよびCF3SO3H(350mgおよび13μLmmol)を4時間毎に5回添加した。反応を水性NaHCO3溶液(5%)でクエンチした。水性層をCH2Cl2(2×)で抽出した。合わせた有機相を塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、真空で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して(EtOAc/ヘキサン、3:7)、アルキル化生成物11a(317mg、78%収率)を得た。無色固体、mp 115−117℃;
【表18】
【0115】
実施例12。ジエチル(3R,4R,5S)−4−アセトアミド−5−アジド−3−(1−エチルプロポキシ)−1−シクロヘキセン−1−ホスホネート(11b)。
【0116】
11aに類似の方法により、CF3SO3H(15.6μL、0.18mmol)、続いて他のバッチのイミデートおよびCF3SO3Hの存在下でのアルコール10b(498mg、1.5mmol)と3−ペンチルトリクロロアセトイミデート(420mg、1.8mmol)の反応により、アルキル化生成物11b(495mg、82%収率)を得た。無色油状物;
【表19】
【0117】
実施例13。エチル(3R,4R,5S)−4−アセトアミド−5−アミノ−3−(1−エチルプロポキシ)−1−シクロヘキセン−1−カルボキシレートホスフェート(1、タミフル(登録商標))。
【化31】
【0118】
エタノール(20mL)中のアジド11a(170mg、0.5mmol)を、リンドラー触媒(100mg)で、水素雰囲気下、16時間、室温で処理した。反応混合物をセライトで濾過し、エタノールで濯いだ。濾液を減圧下蒸発させて、無色泡状物(155mg)を得て、それをエタノール(3mL)に溶解し、ゆっくりと少しずつ、エタノール(5mL)中リン酸(85%、115mg、0.6mmol)の熱(55℃)溶液に添加した。結晶化が数分以内で起こった。0℃に冷却後、沈殿を濾過により回収し、冷アセトン(2×)で濯いで、1(187mg、91%収率)を得た。白色結晶、mp 189−191℃[lit. (Fukuta et al., J. Am. Chem. Soc. 2006,128, 6312-6313)mp 184−186℃];
【表20】
【0119】
実施例14。(3R,4R,55)−4−アセトアミド−5−アミノ−3−(1−エチルプロポキシ)−1−シクロヘキセン−1−カルボン酸(2、オセルタミビル)。
【化32】
【0120】
エタノール(15mL)中のアジド11a(110mg、0.3mmolの溶液を、リンドラー触媒(70mg)で、水素雰囲気下、16時間、室温で処理した。反応混合物をセライトで濾過し、エタノールで濯いだ。濾液を減圧下蒸発させて、無色泡状物(95mg)を得て、それをTHF(10mL)に溶解し、水性KOH溶液(1M、0.5mL、0.5mmol)で0℃で処理した。反応混合物を室温に温め、1時間撹拌した。その後、混合物をAmberlite IR-120でpH5に酸性化し、濾過し、水性エタノール(95%)で濯いだ。濾液を減圧下濃縮した。残渣をC18カラムで精製して(CH3CN/H2O、1:19)、2(75mg、88%収率)を得た。白色固体、mp 185−187℃;[α]D20=−143.2(c=0.4、H2O);
【表21】
【0121】
実施例15。アンモニウム(3R,4R,5S)−4−アセトアミド−5−アミノ−3−(1−エチルプロポキシ)−1−シクロヘキセン−1−ホスホネート(3、タミホスホル)。
【化33】
【0122】
エタノール(18mL)中のアジド11b(203mg、0.5mmol)の溶液を、リンドラー触媒(80mg)で、水素雰囲気下、16時間、室温で処理した。反応混合物をセライトで濾過し、エタノールで濯いだ。濾液を減圧下蒸発させて、無色泡状物(185mg)を得て、それをCHCl3(15mL)に溶解し、ブロモトリメチルシラン(2mL、15mmol)で0℃で処理した。反応混合物を室温に温め、24時間撹拌した。その後、混合物を減圧下濃縮した。残渣を水(10mL)に取り込み、2時間、室温で撹拌し、凍結乾燥に付した。残存薄黄色固体を、水性NH4HCO3(0.1M溶液)で溶出することによりC18カラムで精製して、アンモニウムホスホネート3(150mg、85%収率)を得た。白色固体、mp 240℃(分解);
【表22】
【0123】
実施例16。エチル(3R,4R,5S)−4−アセトアミド−5−[N2,N3−ビス(tert−ブトキシカルボニル)グアニジノ]−3−(1−エチルプロポキシ)−1−シクロヘキセン−1−カルボキシレート(12a)。
【化34】
【0124】
エタノール(20mL)中のアジド11a(150mg、0.41mmol)の溶液を、リンドラー触媒(80mg)で、水素雰囲気下、16時間、室温で処理した。反応混合物をセライトで濾過し、エタノールで濯いだ。濾液を減圧下蒸発させて、無色泡状物(110mg)を得て、それを無水DMF(20mL)に溶解し、N,N−ビス(tert−ブトキシカルボニル)チオウレア(148mg、0.51mmol)およびEt3N(148μL、1.03mmol)で処理した。混合物を0℃に冷却し、HgCl2(138mg、0.51mmol)をゆっくり添加した。懸濁液を室温に温め、10時間撹拌した。その後、反応をEtOAcで希釈し、セライトのパッドを通して濾過した。濾液を濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して(EtOAc/ヘキサン、3:7)、グアニジン12a(177mg、78%収率)を得た。無色泡状物;
【表23】
【0125】
実施例17。ジエチル(3R,4R,5S)−4−アセトアミド−5−[N2,N3−ビス(tert−ブトキシカルボニル)グアニジノ]−3−(1−エチルプロポキシ)−1−シクロヘキセン−1−ホスホネート(12b)。
【化35】
【0126】
エタノール(25mL)中のアジド11b(320mg、0.8mmol)の溶液を、リンドラー触媒(85mg)で、水素雰囲気下、16時間、室温で処理した。反応混合物をセライトで濾過し、エタノールで濯いだ。濾液を減圧下蒸発させて、無色泡状物(255mg)を得て、それを無水DMF(30mL)に溶解し、N,N−ビス(tert−ブトキシカルボニル)チオウレア(278mg、0.96mmol)およびEt3N(267μL、1.92mmol)で処理した。混合物を0℃に冷却し、HgCl2(260mg、0.96mmol)をゆっくり添加した。懸濁液を室温に温め、16時間撹拌した。その後、反応をEtOAcで希釈し、セライトのパッドを通して濾過した。濾液を濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して(MeOH/CH2Cl2、3:97)、グアニジン12b(287mg、58%収率)を得た。無色泡状物;
【表24】
【0127】
実施例18。(3R,4R,55)−4−アセトアミド−5−グアニジニル−3−(1−エチルプロポキシ)−1−シクロヘキセン−1−カルボン酸(13a)(Kim et al., J. Med. Chem. 1998, 41, 2451-2460.)。
【化36】
【0128】
水性KOH(1M溶液0.5mL)を、THF(10mL)中の12a(177mg、0.32mmol)の溶液に0℃で添加した。混合物を室温に温め、1時間撹拌し、続いてAmberlite IR-120(酸性樹脂)で処理した。混合物を濾過し、水性エタノール(95%)で濯いだ。濾液を能週した;残渣をCH2Cl2(10mL)に溶解し、0℃に冷却した。トリフルオロ酢酸(5mL)を滴下し、混合物を0℃で1時間撹拌した。その後、混合物を減圧下濃縮し、残渣をC18カラムで精製して(CH3CN/H2O、1:19)、酸13a(92mg、88%収率)を得た。オフホワイト色固体、mp 90−92℃;
【表25】
【0129】
実施例19。アンモニウム(3R,4R,5S)−4−アセトアミド−5−グアニジニル−3−(1−エチルプロポキシ)−1−シクロヘキセン−1−ホスホネート(13b)。
【化37】
【0130】
ブロモトリメチルシラン(5mL、38mmol)を、CHCl3(20mL)中の12b(287mg、0.46mmol)の冷(0℃)溶液に添加した。混合物を24時間、室温で撹拌し、次いで減圧下濃縮した。残渣を水(15mL)に取り込み、2時間、室温で撹拌し、凍結乾燥に付した。残渣をC18カラムで精製して(0.1M 水性NH4HCO3溶液)、アンモニウムホスホネート13b(132mg、72%収率)を得た。白色固体、mp 220−223℃;
【表26】
【0131】
実施例20。(3R,4R,5S)−4−アセトアミド−5−アミノ−3−ヒドロキシ−1−シクロヘキセン−1−カルボン酸(14a)(Kim et al., J. Med. Chem. 1998, 41, 2451-2460)。
【化38】
【0132】
エタノール(15mL)中のアジド10a(81mg、0.3mmol)を、リンドラー触媒(75mg)、水素雰囲気下で、16時間、室温で処理した。反応混合物をセライトで濾過し、エタノールで濯いだ。濾液を減圧下蒸発させて、無色泡状物(95mg)を得て、それをTHF(10mL)に溶解し、水性KOH溶液(1M溶液0.5mL)で0℃で処理した。混合物を室温に温め、1時間撹拌し、Amberlite IR-120でpH5に酸性化した。混合物を濾過し、水性エタノール(95%)で濯いだ。濾液を濃縮し、残渣をC18カラムで精製して(CH3CN/H2O、1:19)、酸14a(52mg、81%収率)を得た。白色固体、mp 220℃(分解);
【表27】
【0133】
実施例21。アンモニウム(3R,4R,5S)−4−アセトアミド−5−アミノ−3−ヒドロキシ−1−シクロヘキセン−1−ホスホネート(14b)。
【化39】
【0134】
エタノール(15mL)中のアジド10b(101mg、0.3mmol)の溶液を、リンドラー触媒(50mg)で、水素雰囲気下で16時間、室温処理した。反応混合物をセライトで濾過し、エタノールで濯いだ。濾液を減圧下蒸発させて、無色泡状物(90mg)を得て、それをCHCl3(10mL)に溶解し、ブロモトリメチルシラン(1mL、7.6mmol)で0℃で処理した。混合物を室温に温め、24時間撹拌し、減圧下濃縮した。残渣を水(10mL)に取り込み、2時間、室温で撹拌し、凍結乾燥に付した。残渣をC18カラムで精製して(0.1M 水性NH4HCO3溶液)、アンモニウムホスホネート14b(64mg、85%収率)をえ多。無色固体、mp 190−192℃;
【表28】
【0135】
実施例22。ウイルス。
A型インフルエンザ/WSN/1933(H1N1)(Dr. Shin-Ru Shih, Chang Gung University, Taiwanから)を、10日齢有胚鶏卵の尿膜腔で72時間培養し、スクロース勾配遠心により精製した。
【0136】
実施例23。細胞。
メイディン・ダービー・イヌ腎臓(MDCK)および293T細胞をAmerican Type Culture Collection(Manassas, Va)から得て、10%ウシ胎児血清(Gibco BRL)およびペニシリン−ストレプトマイシン(Gibco BRL)含有DMEM(ダルベッコ修飾イーグル培地、Gibco BRL)で、37℃で5%CO2下に増殖させた。
【0137】
実施例24。インフルエンザウイルスTCID50の測定。
TCID50(50%組織培養感染性用量)を、インフルエンザウイルス・ストックを、96ウェルマイクロプレート中、1×105細胞/mLの100μL MDCK細胞上に連続希釈することにより測定した。感染細胞を、37℃で5.0%CO2下、48時間インキュベートし、各ウェルに100μL/ウェルのCellTiter 96(登録商標)AQueous Non-Radioactive Cell Proliferation Assay試薬(Promega)を添加した。37℃で15分間インキュベーション後、490nmでの吸光度をプレート・リーダーで読んだ。インフルエンザウイルスTCID50を、Reed-Muench法を使用して決定した. (ReedおよびMuench, H. Am. J. Hyg. 1938, 27, 493-497)。
【0138】
実施例25。NAI評価のための組み換えノイラミニダーゼ酵素調製。
2種のN1群ノイラミニダーゼおよびそのH274Y突然変異体形態を製造した。各々A/WSN/1933(H1N1)およびA/Hanoi/30408/2005(H5N1)由来のNA(WNS)およびNA(Hanoi)のcDNAを、それぞれDr. King-Song Jeng(Institute of Molecular Biology, Academia Sinica)およびDr. Po-Huang Liang(Institute of Biological Chemistry, Academia Sinica)から得た。NA遺伝子をさらに変異誘発して、製造者の指示に従うGeneTailor Site-Directed Mutagenesis System(Invitrogen, CaI, USA)によりH274Y変異を導入した。NA(WSN)およびその突然変異体遺伝子をpC1neo(Promega, Wis, USA)にクローン化し、NA(Hanoi)およびその突然変異体遺伝子をpCDNA6(Invitrogen)にクローン化した。NA遺伝子のプラスミドDNAを293T細胞に感染させて、細胞表面に組み換えノイラミニダーゼを発現させた。トランスフェクト細胞を48時間目に集め、2回PBS(pH7.4)で洗浄し、ノイラミニダーゼ阻害剤の評価のために使用した。
【0139】
実施例26。NA活性の決定。
ノイラミニダーゼ活性を、A型インフルエンザ/WSN/1933(H1N1)感染有胚卵の希釈尿膜液を使用して測定した。蛍光アッセイを使用して、蛍光性基質2'−(4−メチルウンベリフェリル)−α−D−N−アセチルノイラミン酸(MUNANA;Sigma)でNA活性を測定した。遊離4−メチルウンベリフェロンの蛍光を、それぞれ365および460nmの励起および放出波長を使用して、Envisionプレート・リーダー(Perkin-Elmer, Wellesley, MA)で測定した。ノイラミニダーゼ活性を200μMのMUNANAで測定した。酵素活性を、15分間、室温でインキュベーション中の蛍光の増加として示した。
【0140】
実施例27。NA阻害剤のIC50およびKiの測定。
NA阻害を、阻害剤とノイラミニダーゼを10分間、室温で混合し、続いて200μMの基質を添加することにより測定した。阻害剤IC50値を、Graph Pad Prism 4を使用してNA活性阻害パーセントを阻害剤濃度に対してプロットすることによる用量応答曲線から決定した。阻害剤Ki値を式Ki=IC50/(1+[S]/Km)(Cheng, Y-C; Prusoff, W. H. Biochem. Pharmacol. 1973, 22, 3099-3108)により決定した(式中、[S]はIC50測定実験に使用した基質(MUNANA;Sigma)濃度であり、Kmは、最大の半分の速度を生じる基質濃度である)。Kmは、ミカエリス・メンテン式を使用したプロットにより決定した。
【0141】
実施例28。NA阻害剤のEC50およびCC50の測定。
ノイラミニダーゼ阻害剤の抗インフルエンザ活性を、H1N1 CPE活性の50%保護のためのNA阻害剤濃度であるEC50値により測定した。100 TCID50の50μL希釈H1N1を、種々の濃度の等量のNA阻害剤と混合した。混合物を使用して、96ウェル中1×105細胞/mLの100μLのMDCK細胞を感染させた。48時間、37℃で5.0%CO2下にインキュベーション後、細胞変性効果を、上記の通りCellTiter 96(登録商標)AQueous Non-Radioactive Cell Proliferation Assay試薬で測定した。阻害剤EC50をCPEパーセント対NA阻害剤濃度の曲線をGraph Pad Prism 4を使用してフィットさせることにより決定した。CC50値は、NA阻害剤のMDCK細胞に対する毒性を測定し、ウイルス感染がない以外、EC50決定に準じて決定した。
【0142】
実施例29。インビボアッセイ
雌BALB/cマウス(4−5週齢)をゾレチルで麻酔し、25μLの感染性インフルエンザウイルスを経鼻的に接種した。ホスホネート化合物3および3bおよびタミフルを、10匹のマウスの群に0.01、0.1、1.0および10mg/体重kg/日で、1日2回、5日間胃管栄養法により投与した。対照(プラセボ)マウスには、同じスケジュールで滅菌水を投与した。薬剤の最初の投与4時間後、マウスに10 MLD50のインフルエンザウイルス[A/WSN/33(H1N1)またはNIBRG−14(H5N1)]を接種した。マウスを、毎日14日間、生存および体重について観察した。平均生存率および平均体重の結果を表3および4に示す。個々の生存率および平均体重の結果を図9〜20に示す。
【0143】
実施例30。N1ノイラミニダーゼ阻害のコンピューターモデリング。
NAと複合体の化合物3のモデルを、化合物のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ(N1亜型、PDBコード:2HU4)結晶学的構造へのドッキングを介して構築した(Russell et al., Nature 2006, 443, 45-49)。化合物3の3次元構造を、SYBYL 7.3プログラムでオセルタミビル2(また2HU4から)の3次元構造を修飾することにより構築した。(SYBYL 7.3; The Tripos Associates: St. Louis, MO. SYBYL computation was conducted at the National Center for High Performance Computing, Taiwan.)。GOLD 3.1.1(Jones et al., J. MoI. Biol. 1995, 245, 43-53; Jones et al., J. MoI. Biol. 1997, 267, 727-748)を、柔軟性のあるドッキング・オプションを開始してタンパク質上に化合物3をドッキングさせるのに使用した。Kollmann−全原子電荷(Cornell et al., J. Am. Chem. Soc. 1995, 117, 5179-5197.)をこのタンパク質原子に割り当て、Gasteiger-Hueckel(Gasteiger and Marsili, Tetrahedron 1980, 36, 3219-3228.; MarsiliおよびGasteiger, Croat. Chem. Acta 1980, 53, 601-614; PurcellおよびSinger, J. Chem. Eng. Data 1967, 12, 235-246)電荷を、SYBYL 7.3プログラムを使用してリガンド原子に割り当てた(Jones et al., J. MoI. Biol. 1997, 267, 727-748)。計算の最初の1000個の独立した遺伝的アルゴリズムサイクルを、−180〜180度で変わるリガンドねじれ角で行った。検索効率を、ドッキング立体配座空間についての最も徹底的な検索を確実にするためにに設定した。他の全てのパラメータはデフォルトのセッティングと同じものを維持した。ドッキング・プロセスを、Intel(R)Xeon(TM)CPU 3.00 GHz CPU 40プロセッサーLinuxクラスターに分配した。得られたリガンド−タンパク質複合体構造を、GOLDSCORE構造スコアリング関数によりランク付けし、上位1000ヒットを決定した。上位配置の目視検査は、図1bに示す一致した構造が明白であることを確認した。この結果は、NAの鍵となるアルギニンと化合物3のホスフェート基の間の強い相補的静電気相互作用から判断して期待された。分子モデルをPyMOLソフトウェア(DeLano WL(2002)The PyMOL molecular graphics system San Carlos(California): DeLano Scientific)で表示させた。図1において、リガンドの7Å半径中心内のNA残基の側鎖における炭素原子を明確に示す。仮の水素結合ドナー−アクセプター対点線で繋ぐ。ホスホネート化合物3aの複合体は、オセルタミビル−NA複合体(6対リガンド−NA H−結合)と比較して、より多くの、NA活性部位における鍵となる残基との水素結合相互作用(8対リガンド−NA H−結合)を有する。
【0144】
実施例31。次の実施例合成法のための材料および生成物特徴付け
次の実施例について、全ての試薬は市販されており、特記しない限りさらに精製することなく使用した。全ての溶媒は特記しない限り無水グレードであった。ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(DIAD)を、Na2SO4減圧下で蒸留した。全ての非水性反応は、特記されない限り、わずかに陽圧のアルゴン下に、オーブン乾燥させたガラス容器で行った。反応を磁気撹拌し、シリカゲル薄層クロマトグラフィーでモニターした。フラッシュクロマトグラフィーを、60−200μm粒子径のシリカゲルで行った。収率は、分光的に純粋な化合物について報告する。を、Electrothermal MEL-TEMP(登録商標)1101D融点装置で記録し、補正していない。NMRスペクトルをBruker AVANCE 600および400分光計で記録した。化学シフトは、テトラメチルシラン(TMS)に対するδ値をもたらす;カップリング定数JはHzで示す。内部標準は1H−NMRスペクトルについてCDCl3(δH=7.24)、CD3OD(δH=3.31)またはD2O(δH=4.79)、13C−NMRスペクトルについてCDCl3(δc=77.0)またはCD3OD(δc=49.15)、および31P−NMRスペクトルについてD2O(δp=0.00)のH3PO4であった。分裂をs(1重項)、d(2重項)、t(3重項)、q(4重項)、m(多重項)、br(ブロード)およびdd(2個の2重項)として報告する。IRスペクトルをThermo Nicolet 380 FT-IR分光計で記録した。回転をPerkin-ElmerModel 341偏光計で記録した。[α]D値は、10-1 deg cm2 g-iの単位で示す。高解像度ESIマススペクトルをBruker Daltonics分光計で記録した。
【0145】
添付文書Aを、それが完全にここに記載されているように引用により包含させ、それは次の実施例に関連する。
【0146】
実施例31。N−[(1S,45,5R,6R)−3,6−ジブロモ−4,5−(イソプロピリデン−ジオキシ)シクロヘキシ−2−エン−1−イル]アセトアミド(19)。
【化40】
【0147】
アセトン(20mL)と2,2−ジメトキシプロパン(40mL)の混合物中のcis−ジヒドロジオール17(8.0g、42.1mmol)の冷(0℃)溶液を、p−トルエンスルホン酸一水和物(100mg、0.52mmol)で処理した。反応混合物を室温で30分間撹拌し、その後それをNaHCO3の飽和水性溶液(60mL)に添加することによりクエンチした。有機溶媒を減圧下除去し、残存水性相をEt2O(3×100mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を塩水(100mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、真空で濃縮し(加熱せず)、粗アセトニドを明黄色油状物として得た(8.92g)。
【0148】
乾燥アセトニトリル(250mL)中のN−ブロモアセトアミド(NBA、6.49g、47mmol)の溶液に、SnBr4(4.7mLのCH2Cl2中1M溶液、4.7mmol)および水(0.72mL、40mmol)を0℃で暗所で添加した。アセトニトリル(150mL)中の上で製造したアセトアミド(8.92g、38.8mmol)を1時間にわたりNBA−SnBr4混合物に同じ温度で滴下した。反応を8時間、0℃で激しく撹拌し、次いで飽和水性NaHCO3(100mL)およびNa2SO3(100mL)でクエンチした。得られた混合物を室温で30分間温めた。有機相の分離後、水性相をCH2Cl2(3×300mL)で抽出した。合わせた有機層を水(3×200mL)および塩水(300mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、真空で濃縮した。粗生成物をEt2O/CH2Cl2から再結晶して、ブロモアセトアミド19(11.66g、cis−ジヒドロジオール17から75%)を無色結晶固体として得た;m.p. 150−152℃(分解);
【表29】
【0149】
実施例32。(1S,45,5S,6S)−7−アセチル−3−ブロモ−4,5−イソプロピリデン−ジオキシ−7−アザビシクロ[4.1.0]ヘプト−2−エン(20)。
【化41】
【0150】
リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(35mLのTHF中1.0M溶液、35mmol)を、THF(150mL)中のブロモアセトアミド19(11.66g、31.8mmol)の撹拌している溶液に、−10℃で窒素雰囲気下滴下した。得られた溶液をを0℃に温め、30分間撹拌して、褐色懸濁液を得た。緩衝溶液(100mL、pH7)添加後、混合物をEt2O(4×150mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗アジリジン20(8.32g)をさらに精製することなく次工程に使用した。
【0151】
分析用の純粋サンプル20を、粗生成物のシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、2:3)により製造した。無色固体;m.p. 110−112℃;
【表30】
【0152】
実施例33。N−[(1S,2R,5S,6S)−4−ブロモ−2−(1−エチルプロポキシ)−5,6−(イソプロピリデンジオキシ)シクロヘキシ−3−エン−1−イル]アセトアミド(22)。
【化42】
【0153】
3−ペンタノール(50mL)中の粗アジリジン20(8.32g、28.8mmol)の溶液に、ホウ素トリフルオライドエーテラート(4.68mL、36mmol)を−10℃で滴下した。反応混合物を0℃に温め、6時間撹拌し、減圧下濃縮した。残渣をEtOAc(200mL)に溶解し、有機層を飽和水性NaHCO3(50mL)で洗浄した。水性層をEtOAc(3×100mL)で抽出し、合わせた有機層を水(200mL)および塩水(200mL)で洗浄した。有機抽出物をMgSO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残存油状物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して(EtOAc/ヘキサン、3:7)、エーテル生成物22(8.82g、20から73%)を無色泡状物として得た。
【表31】
【0154】
実施例34。N−[(1R,2R,5S,6S)−4−ブロモ−2−(1−エチルプロポキシ)−5,6−ジヒドロキシシクロヘキシ−3−エン−1−イル]アセトアミド(23)。
【化43】
【0155】
メタノール(100mL)中のアセトニド22(8.82g、23.4mmol)の溶液に、濃HCl溶液(2mL)を添加した。反応混合物を50℃で約6時間、TLC分析で完全な脱保護が示されるまで撹拌した。混合物を室温に冷却し、溶媒を減圧下蒸発させ、残存固体をEt2O/THFから再結晶して、ジヒドロキシアセトアミド23(7.42g、94%)を、無色結晶固体として得た;m.p. 131−133℃(分解);
【表32】
【0156】
実施例35。(1S,2R,5R,6S)−6−アセトアミド−2,3−ジブロモ−5−(1−エチル−プロポキシ)−シクロヘキシ−3−エン−1−イルアセテート(24)。
【化44】
【0157】
THF(150mL)中のジオール23(7.42g、22.1mmol)の撹拌している溶液に、0℃で窒素雰囲気下、α−アセトキシイソブチリルブロマイド(4.1mL、27.8mmol)を10分間にわたり滴下した。反応混合物を同じ温度で30分間撹拌し、撹拌しながら3.5時間室温に温めた。溶媒を蒸発させ、残存油状物をEtOAc(200mL)および5%水性NaHCO3(50mL)に分配した。有機層を水(100mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、濃縮して、粗ブロモアセテート24(9.05g)を得た。粗生成物をさらに精製することなく次工程に使用した。
【0158】
分析用純粋サンプル24を、粗生成物のシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、2:1)により得た。明黄色泡状物;
【表33】
【0159】
実施例36。N−[(1R,2R,6R)−4−ブロモ−2−(1−エチルプロポキシ)−6−ヒドロキシシクロヘキシ−3−エン−1−イル]アセトアミド(25)。
【化45】
【0160】
Super-Hydride(登録商標)(LiBHEt3、61.5mLのTHF中1M溶液、61.5mmol)を、THF(100mL)のブロモアセテート24(9.05g、20.5mmol)の撹拌している溶液に、0℃で窒素雰囲気に添加した。得られた溶液を室温に温め、2時間撹拌し、飽和水性NH4Cl(50mL)で処理した。水性層を分離し、EtOAc(6×100mL)で抽出した。合わせた有機層を水(2×200mL)および塩水(200mL)で洗浄した。有機相をMgSO4で乾燥させ、濾過し、濃縮して、明黄色泡状物の残渣を得た。粗生成物をEt2Oからの再結晶により精製して、ヒドロキシアセトアミド25(5.78g、ジオール23から82%)を白色結晶固体として得た;m.p. 102−104℃;
【表34】
【0161】
実施例37。N−[(1R,2R,6S)−4−ブロモ−2−(1−エチルプロポキシ)−6−アジド−シクロヘキシ−3−エン−1−イル]アセトアミド(26)およびN−[(1R,6R)−4−ブロモ−6−(1−エチルプロポキシ)シクロヘキサ−2,4−ジエン−1−イル]アセトアミド(27)。
【化46】
【0162】
THF(120mL)中の25(5.78g、18.1mmol)、トリフェニルホスフィン(9.96g、38.0mmol)、新たに蒸留したジイソプロピルアゾジカルボキシレート(7.68g、38.0mmol)およびジフェニルホスホリルアジド(10.51g、38.0mmol)の溶液を、40℃で24時間撹拌した。溶媒を減圧下回転蒸発により除去し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して(EtOAc/ヘキサン、1:2)、6S立体配置の対応するアジド生成物26(5.23g、84%収率)を、2%のジエン27の副生成物(108mg、0.36mmol)と共に得た。
【0163】
アジド26:白色固体、m.p. 138−140℃;
【表35】
【0164】
ジエン27:無色固体、m.p. 68−70℃;
【表36】
【0165】
実施例38。エチル(3R,4R,5S)−4−アセチルアミノ−5−アジド−3−(1−エチル−プロポキシ)−1−シクロヘキセン−1−カルボキシレート(28a)。
【化47】
【0166】
エタノール(3mL)およびTHF(15mL)中の26(349mg、1mmol)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(2.5mL、15.2mmol)およびビス(トリフェニルホスフィン)ジカルボニルニッケル(o)(960mg、1.5mmol)の溶液を、24時間、80℃で窒素雰囲気下に撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、溶媒を蒸発させた。残存油状物をEtOAc(20mL)で希釈し、混合物をセライトのパッドを通して濾過した。濾液を蒸発させて、明黄色油状物を得て、それをフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して(EtOAc/ヘキサン、3:7)、エステル28a(274mg、81%)を無色固体として得た;m.p. 115−117℃;
【表37】
【0167】
実施例39。ジエチル(3R,4R,5S)−4−アセトアミド−5−アジド−3−(1−エチル−プロポキシ)−1−シクロヘキセンホスホネート(28b)。
【化48】
【0168】
無水トルエン(50mL)中の26(1.72g、10mmol)、ジエチルホスファイト(2.07g、15mmol)および1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(3.37g、30mmol)の混合物を、窒素で10分間バブリングすることにより脱酸素し、次いで、窒素雰囲気下、丸底フラスコに入れられたテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(o)(867mg、0.75mmol)に添加した。得られた溶液を90まで徐々に加熱し、この温度を12時間維持した。反応混合物をセライトで濾過し、濾液を減圧下蒸発させて、無色泡状物(3.91g)、それをフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して(EtOAc/ヘキサン、1:1〜2:1)、ホスホネート28b(3.33g、83%)を無色油状物として得た。
【表38】
【0169】
実施例40。Tert−ブチル(1S,5R,6R)−6−アセトアミド−3−ブロモ−5−(1−エチルプロポキシ)シクロヘキシ−3−エン−1−イルカルバメート(29)。
【化49】
【0170】
無水アセトニトリル(30mL)中の2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(1.37g、6mmol)およびトリフェニルホスフィン(1.57g、6mmol)の混合物に、室温で、テトラブチルアンモニウムシアネート(1.71g、6mmol)を添加し、続いてアルコール25(1.58g、5mmol)を添加した。混合物を18時間、室温で、反応が完了するまで撹拌した。溶媒を蒸発させ、黒色残渣をtert−ブタノール(20mL)に溶解した。得られた溶液を24時間加熱還流した。溶媒を減圧下蒸発させ、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して(EtOAc/ヘキサン、3:7)、カルバメート29(1.63g、78%)を白色固体として得た;m.p. 153−155℃;
【表39】
【0171】
実施例41。エチル(3R,4R,5S)−4−アセトアミド−5−tert−ブトキシ−カルボニルアミノ−3−(1−エチルプロポキシ)−1−シクロヘキセンカルボキシレート(31a)。
【化50】
【0172】
n−ブタノール(35mL)中のビニルブロマイド29(2.11g、5mmol)、カリウムアイオダイド(1.66g、10mmol)およびヨウ化銅(I)(477mg、2.5mmol)の混合物を窒素で10分間バブリングすることにより脱酸素し、次いで窒素雰囲気下、丸底フラスコに入れられたN,N'−ジメチルエチレン(ethyene)ジアミン(54μL、0.5mmol)に添加した。反応混合物を24時間、120℃で撹拌した。室温に冷却後、溶媒を減圧下蒸発させた。残渣をEtOAc(50mL)および希水性アンモニア溶液(50mL)に分配した。有機相を水(3×30mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濃縮した。残渣をシリカゲルの短カラムを通して濾過し(EtOAc/ヘキサン、1:1)、粗ビニルアイオダイドの無色固体サンプルを得て、その30(2.29g)をさらに精製することなく次工程に使用した。
【0173】
酢酸パラジウム(II)(90mg、0.4mmol)を、無水エタノール(50mL)中の上で製造したビニルアイオダイド30(2.29g、4.9mmol)およびナトリウムアセテート(1.64g、20mmol)の溶液に添加した。反応混合物を24時間、室温で、一酸化炭素の雰囲気下に撹拌した。溶媒を蒸発させ、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して(EtOAc/ヘキサン、3:7)、31a(1.69g、29から82%)を白色固体として得た;m.p. 142−144℃ [lit. s3 m.p. 138−139℃];
【表40】
【0174】
実施例42。ジエチル(3R,4R,5S)−4−アセトアミド−5−tert−ブトキシ−カルボニルアミノ−3−(1−エチルプロポキシ)−1−シクロヘキセンホスホネート(31b)。
【化51】
【0175】
28bに類似の方法により、無水トルエン(50mL)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(o)(872mg、0.75mmol)中のビニルブロマイド29(4.21g、10mmol)、ジエチルホスファイト(2.12g、15mmol)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(3.43g、30mmol)の混合物を、90℃で12時間加熱した。反応混合物をセライトのパッドを通して濾過し、濾液をEtOAc(50mL)および水(30mL)に分配した。有機相を再び水(30mL)および塩水(30mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濃縮して、粗生成物を得て、それをEt2O/CH2Cl2からの再結晶により精製して、ホスホネート31b(4.05g、85%)を白色結晶固体として得た;m.p. 167−169℃;
【表41】
【0176】
実施例43。エチル(3R,4R,5S)−4−アセトアミド−5−アミノ−3−(1−エチル−プロポキシ)−1−シクロヘキセンカルボキシレートホスフェート(15・H3PO4、タミフル(登録商標))。
【化52】
【0177】
化合物31a(1.24g、3mmol)をエタノール(20mL)に溶解し、少しずつ、ゆっくり、リン酸(10mLのエタノール中1M溶液、10mmol)の熱(50℃)溶液に添加した。溶液を6時間、50℃で撹拌した。0℃に冷却後、沈殿を濾過により回収し、冷アセトン(3×5mL)で濯いで、タミフル(998mg、81%)を白色結晶として得た;m.p. 187−190℃ [lit. m.p. 184−186℃];
【表42】
【0178】
実施例44。アンモニウム(3R,4R,5S)−4−アセトアミド−5−アミノ−3−(1−エチルプロポキシ)−1−シクロヘキセンホスホネート(3、タミホスホル)。
【化53】
【0179】
ジエチル(Diethy)ホスホネート31b(2.38g、5mmol)をCH2Cl2(50mL)に溶解し、ブロモトリメチルシラン(6.67mL、50mmol)で0℃で処理した。反応混合物を室温に温め、18時間撹拌し、減圧下濃縮した。残渣を水(10mL)に取り込み、2時間、室温で撹拌し、凍結乾燥に付した。残存薄黄色固体残渣をEt2O(3×20mL)で洗浄し、白色固体を得て、それを水性NH4HCO3(0.1M溶液、20mL)に溶解し、1時間、室温で撹拌し、次いで凍結乾燥して、タミホスホル3(1.56g、88%収率)を白色固体として得た;m.p. 238−240℃(分解);
【表43】
【0180】
実施例45。エチル(3R,4R,5S)−4−アセトアミド−5−アミノ−3−(1−エチルプロポキシ)−1−シクロヘキセン−1−ホスホネートアンモニウム塩(3c)。
【化54】
【0181】
エタノール(50mL)中のジエチルエステル31b(1.43g、3mmol)の溶液を、エタノール中のナトリウムエタノエート(4.5mmol、4.5mLの1M溶液)で、窒素雰囲気下に処理した。混合物を16時間、室温で撹拌し、次いでAmberlite IR-120(H+形)で酸性化した。不均質溶液を40℃で2時間撹拌し、濾過し、真空で濃縮した。残存油状物を水(15mL)に取り込み、凍結乾燥に付した。残存無色固体を冷アセトン(20mL×3)で洗浄し、水性NH4HCO3(15mLの0.1M溶液)に溶解し、1時間、室温で撹拌し、次いで凍結乾燥して、タミホスホルモノエステルのアンモニウム塩3c(898mg、82%)を白色固体として得た。
【0182】
【表44】
【0183】
実施例46。エチル(3R,4R,5S)−4−アセトアミド−5−グアニジニル−3−(1−エチルプロポキシ)−1−シクロヘキセン−1−ホスホネートアンモニウム塩(13c)。
【化55】
エタノール(60mL)中のジエチルエステル12b(2.73g、4mmol)の溶液を、エタノール中のナトリウムエタノエート(6mmol、6mLの1M溶液)で、窒素雰囲気下に処理した。混合物を18時間、室温で処理し、次いでAmberlite IR-120(H+形)で酸性化した。不均質溶液を40℃で3時間撹拌し、濾過し、真空で濃縮した。残存油状物を水(15mL)に取り込み、凍結乾燥に付した。残存無色固体を冷アセトン(20mL×3)で洗浄し、水性NH4HCO3(15mLの0.1M溶液)に溶解し、1時間、室温で撹拌し、次いで凍結乾燥して、タミホスホルグアニジンモノエステルのアンモニウム塩13c(1.22g、75%)を白色固体として得た。
【0184】
【表45】
【0185】
実施例47。ジエチル(3R,4R,5S)−4−アセトアミド−5−アミノ−3−(1−エチルプロポキシ)−1−シクロヘキセン−1−ホスホネート(3b)。
【化56】
【0186】
エタノール(18mL)中のアジド11b(204mg、0.5mmol)を、リンドラー触媒(80mg)で、水素雰囲気下で16時間、室温で処理した。反応混合物をセライトで濾過し、エタノールで濯いだ。濾液を減圧下蒸発させて、無色泡状物(183mg)、それをフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して(MeOH/CH2Cl2、1:4)、ジエチルホスホネート3b(141mg、75%収率)を得た、明黄色油状物;
【表46】
【0187】
本組成物および方法を、現在最も実際的で、好ましい実施態様と考えられているものの観点で記載しているが、本発明は、開示の実施態様に限定される必要がないことは理解されるべきである。特許請求の範囲の精神および範囲内に包含される種々の修飾および類似の配置を包含することを意図し、特許請求の範囲の範囲は全てのかかる修飾および類似の構造が包含されるように最も広い解釈を与えるべきである。本開示は、添付の特許請求の範囲の任意のおよび全ての態様を包含する。
【図1a】
【図1b】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2007年8月31に出願した米国仮出願番号60/969,491;および2008年4月28日に出願した米国仮出願番号61/048,507を引用により包含し、パリ条約に基づく優先権を主張する。
【0002】
発明の背景
発明の分野
新規ホスホネート化合物を記載する。この化合物は、H1N1およびH5N1ウイルスの野生型およびH274Y突然変異体に対してノイラミニダーゼ阻害剤としての活性を有する。本明細書はまた、D−キシロースまたはブロモベンゼンを介する、既知ノイラミニダーゼ阻害剤オセルタミビルおよび抗インフルエンザ剤タミフル(登録商標)、ならびに新規ホスホネート化合物への2個のエナンチオ選択的合成経路も提供する。
【背景技術】
【0003】
背景
インフルエンザはヒトおよび動物にとって大きな健康問題のままである。(Kaye and Pringle, Clin. Infect. Dis. 2005, 40, 108; およびBeigel et al., N. Engl. J. Med. 2005, 353, 1374)現在、4種の薬剤がインフルエンザ予防および処置に対して承認されている:アマンタジンおよびリマンタジンはM2イオンチャネルブロッカーとして働き、一方タミフル(登録商標)(オセルタミビルエチルエステルのリン酸塩、Roche Laboratories, Inc.)およびリレンザTM(ザナミビル、Glaxo Wellcome, Inc.)は、ノイラミニダーゼ(NA)活性を阻害する。(Moscona, A. N. Engl. J. Med. 2005, 353, 1363; Ward et al., J. Antimicrob. Chemother. 2005, 55, Suppl. Si, 15; およびDe Clercq, E. Nature Rev. Drug Discov. 2006, 5, 1015.)最近の薬剤耐性鳥インフルエンザ感染およびタミフル(登録商標)処置を受けている小児における副作用の報告は、ノイラミニダーゼ阻害剤の新規化学物質がインフルエンザの大流行の脅威と戦うために必要であることを示唆する。安全かつ有効なワクチンが、可能性のある鳥インフルエンザの大流行から防御するために利用可能となる前に、ノイラミニダーゼ阻害剤は、数種の利用可能な治療法の一つである。
【0004】
NA阻害剤(NAI)は、シアル酸の酵素開裂におけるオキソニウム遷移状態を模倣するために(オキサ)シクロヘキセン骨格を有するようにデザインされている。(von Itzstein, M. et al. Nature 1993, 363, 418; Lew et al., Curr. Med. Chem. 2000, 7, 663; およびRussell et al., Nature 2006, 443, 45)。タミフル(登録商標)(1、スキーム1に示す)は経口投与される抗インフルエンザ剤である。(Kim et al., J. Am. Chem. Soc. 1997, 119, 681; Rohloffet al., J. Org. Chem. 1998, 63, 4545; KarpfおよびTrussardi, J. Org. Chem. 2001, 66, 2044; Harrington et al., Org. Process Res. Dev. 2004, 8, 86; Yeung et al., J. Am. Chem. Soc. 2006, 128, 6310; Fukuta et al., J. Am. Chem. Soc. 2006, 128, 6312; Farina and Brown, Angew. Chem. Int. Ed. 2006, 45, 7330; Mita et al., Org. Lett. 2007, 9, 259; Yamatsugu et al., Tetrahedron Lett. 2007, 48, 1403)肝臓エステラーゼによる加水分解により、活性カルボキシレート、オセルタミビル(2、GS4071としても既知)が現れて、NAの活性部位の3個のアルギニン残基(Arg118、Arg292およびArg371)と相互作用する。(von Itzstein, et al., 1993; Lew et al., 2000, and Russell et al., 2006)。
【0005】
このホスホネート基は一般にドラッグデザインにおいてカルボキシレートのバイオアイソスターとして使用される。(White et al., J. MoI. Biol. 1995, 245, 623; Streicher et al., Tetrahedron 2001, 57, 8851; Streicher, Bioorg. Med. Chem. Lett. 2004, 14, 361; Schug and Lindner, W. Chem. Rev. 2005, 105, 67; Streicher and Busseb, Bioorg. Med. Chem. 2006, 14, 1047)。既知N1結晶構造(PDB code: 2HU4)(Russell et al., 2006)を使用した予備的分子ドッキング実験(図1)は、推定ホスホネート阻害剤3aが、NA−オセルタミビル複合体に類似する結合ポケットにおいてC3−ペンチルオキシ基、C4−アセトアミド基およびC5−アミノ基により発揮される他の相互作用に加えて、NAの3個のアルギニン残基と強く結合することを確認する。カルボキシレート−グアニジニウムイオン対と比較して、ホスホネートイオンは、グアニジニウムイオンと強い静電気相互作用を示す。オセルタミビル/タミフルの合成に関して先に報告された方法(例えば、引用により本明細書に包含させるBischofberger et al.、US5,763,483)は、C−1カルボキシル基をホスホネート基に変換するのに向かない;それ故、既知および新規両方のノイラミニダーゼ阻害剤を合成するための新規方法が望まれる。
【発明の概要】
【0006】
発明の概要
新規ホスホネート化合物を記載する。本化合物は、H1N1およびH5N1ウイルスの野生型およびH274Y突然変異体に対するノイラミニダーゼ阻害剤としての活性を有する。本明細書はまた、D−キシロースを介する、既知ノイラミニダーゼ阻害剤オセルタミビルおよび抗インフルエンザ剤タミフル(登録商標)、ならびに新規ホスホネート化合物へのエナンチオ選択的合成経路も提供する。タミフルおよび非常に強力なノイラミニダーゼ阻害剤タミホスホル(Tamiphosphor)の他の効率的で自由度の高い合成法も、11工程および>20%の全体的収率で、容易に入手できる醗酵産物(1S−cis)−3−ブロモ−3,5−シクロヘキサジエン−1,2−ジオールを原料として達成された。反応中間体のほとんどが、長い精製工程を要せず結晶として得られた。重要な変換は、最初のブロモアレーンcis−ジヒドロジオールの位置および立体選択的ブロモアミド化、ならびに最後のパラジウム触媒によるカルボニル化およびホスホニル化を含む。
【0007】
本発明の一態様によって、治療的有効量の式I
【化1】
〔式中、AはPO(OR)(OR')であって、ここで、RおよびR'は独立してH、C1−C6アルキル、アリールおよびXから選択され、ここで、Xはアンモニウム、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、エタノール−アンモニウム、ジシクロヘキシルアンモニウム、グアニジニウム、エチレンジアンモニウムカチオン、リチウムカチオン、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、セシウムカチオン、ベリリウムカチオン、マグネシウムカチオン、およびカルシウムカチオン、亜鉛カチオンから成る群から選択されるカチオン性カウンターイオンであり;そして、R1はNH2、NH3+H2PO4−、またはNH(C=NH)NH2である。〕
および薬学的担体を含む組成物を開示する。
【0008】
本発明の一態様によって、治療的有効量の:
【化2】
の少なくとも1個および薬学的担体を含む組成物が開示される。
【0009】
本発明の一態様によって、図3−5のスキームの少なくとも1つに従う、式I:
【化3】
〔AはPO(OR)(OR')であって、ここで、RおよびR'は独立してH、C1−C6アルキル、アリールおよびXから選択され、ここで、Xはアンモニウム、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、エタノール−アンモニウム、ジシクロヘキシルアンモニウム、グアニジニウム、エチレンジアンモニウムカチオン、リチウムカチオン、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、セシウムカチオン、ベリリウムカチオン、マグネシウムカチオン、およびカルシウムカチオン、亜鉛カチオンから成る群から選択されるカチオン性カウンターイオンであり;そして、R1はNH2、NH3+H2PO4−、またはNH(C=NH)NH2である。〕
の化合物の製造方法が開示される。この方法の生成物は同様に意図される。
【0010】
本発明の一態様によって、治療的有効量の式I:
【化4】
〔式中、AはPO(OR)(OR')であって、ここで、RおよびR'は独立してH、C1−C6アルキル、アリールおよびXから選択され、ここで、Xはアンモニウム、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、エタノール−アンモニウム、ジシクロヘキシルアンモニウム、グアニジニウム、エチレンジアンモニウムカチオン、リチウムカチオン、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、セシウムカチオン、ベリリウムカチオン、マグネシウムカチオン、およびカルシウムカチオン、亜鉛カチオンから成る群から選択されるカチオン性カウンターイオンであり;そして、R1はNH2、NH3+H2PO4−、またはNH(C=NH)NH2である。〕
を有する化合物を提供することを含み、ここで、該化合物は、ノイラミニダーゼの活性を阻害するために生物に投与するようにデザインされている。
【0011】
本発明の一態様によって、治療的有効量の:
【化5】
の少なくとも1個を含む組成物が開示され、ここで、該組成物は、ノイラミニダーゼの活性を阻害するために生物に投与するようにデザインされている。
【0012】
一つの実施態様において、本発明は、式(I):
【化6】
〔式中、AはPO(OR)(OR')であって、ここで、RおよびR'は独立してH、C1−C6アルキル、アリールおよびXから選択され、ここで、Xはアンモニウム、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、エタノールアンモニウム、ジシクロヘキシルアンモニウム、グアニジニウム、エチレンジアンモニウムカチオン、リチウムカチオン、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、セシウムカチオン、ベリリウムカチオン、マグネシウムカチオン、およびカルシウムカチオン、亜鉛カチオンから成る群から選択されるカチオン性カウンターイオンであり;そして、R1はNH2、NH3+H2PO4−、またはNH(C=NH)NH2である。〕
の化合物を提供する。
【0013】
具体的局面において、本化合物は:
【化7】
である。
【0014】
他の具体的局面において、本化合物は:
【化8】
である。
【0015】
さらなる具体的局面において、本化合物は:
【化9】
である。
【0016】
他の具体的局面において、本化合物は:
【化10】
である。
【0017】
他の具体的局面において、本化合物は:
【化11】
である。
【0018】
本開示の他の実施態様は、式:
【化12】
の化合物を提供する。
【0019】
本開示の他のものは、式:
【化13】
の化合物を提供する。
【0020】
一つの実施態様において、本発明は、化合物(I)〔式中、AはPO(OR)(OR')であって、ここで、RおよびR'は独立してH、C1−C6アルキル、アリールおよびXから選択され、ここで、Xはアンモニウム、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、エタノールアンモニウム、ジシクロヘキシルアンモニウム、グアニジニウム、エチレンジアンモニウムカチオン、リチウムカチオン、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、セシウムカチオン、ベリリウムカチオン、マグネシウムカチオン、およびカルシウムカチオン、亜鉛カチオンから成る群から選択されるカチオン性カウンターイオンであり;そして、R1はNH2、NH3+H2PO4−、またはNH(C=NH)NH2である。〕;3、3a、3b、13a、および13bの化合物いずれか1個、および薬学的に許容される担体を含む組成物を提供する。
【0021】
他の実施態様において、本発明は式(I):
【化14】
〔式中、AはCO2R、またはPO(OR)(OR')であって、ここで、RおよびR'は独立してH、C1−C6アルキル、アリールおよびXから選択され、ここで、Xはアンモニウム、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、エタノール−アンモニウム、ジシクロヘキシルアンモニウム、グアニジニウム、エチレンジアンモニウムカチオン、リチウムカチオン、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、セシウムカチオン、ベリリウムカチオン、マグネシウムカチオン、およびカルシウムカチオン、亜鉛カチオンから成る群から選択されるカチオン性カウンターイオンであり;そして、R1はNH2、NH3+H2PO4−、またはNH(C=NH)NH2である。〕
の化合物の製造方法を提供し;該方法は:
【0022】
(a)D−キシロースをキラル前駆体として使用して中間体化合物(7):
【化15】
〔式中、EはCO2RまたはPO(OR)(OR')であって、ここで、RおよびR'は独立してC1−C6アルキルおよびアリールから選択される。〕
を製造し;
【0023】
(b)中間体化合物(7)を分子内ホーナー・ワズワース・エモンズ反応が起きるように処理して、中間体化合物(8):
【化16】
〔式中、EはCO2RまたはPO(OR)(OR')であって、ここで、RおよびR'は独立してC1−C6アルキルおよびアリールから選択される。〕
を形成させ;
【0024】
(c)中間体(8)をジフェニルホスホリルアジドで処理して、ヒドロキシ基を立体配置の倒置を伴いアジド基に置換して、中間体(9):
【化17】
〔式中、EはCO2RまたはPO(OR)(OR')であって、ここで、RおよびR'は独立してC1−C6アルキルおよびアリールから選択される。〕
を形成させ;
【0025】
(d)中間体化合物(9)をTf2O、塩基およびクラウンエーテルで処理してヒドロキシ基を倒置させて、中間体化合物(10):
【化18】
〔式中、EはCO2RまたはPO(OR)(OR')であって、RおよびR'は独立してC1−C6アルキルおよびアリールから選択される。〕
を形成させ;そして
【0026】
(e)中間体(10)を処理して、式(I)の化合物を得る
工程を含む。
【0027】
本発明の他の実施態様は、化合物(I)〔式中、AはPO(OR)(OR')であって、ここで、RおよびR'は独立してH、C1−C6アルキル、アリールおよびXから選択され、ここで、Xはアンモニウム、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、エタノールアンモニウム、ジシクロヘキシルアンモニウム、グアニジニウム、エチレンジアンモニウムカチオン、リチウムカチオン、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、セシウムカチオン、ベリリウムカチオン、マグネシウムカチオン、およびカルシウムカチオン、亜鉛カチオンから成る群から選択されるカチオン性カウンターイオンであり;そして、R1はNH2、NH3+H2PO4−、またはNH(C=NH)NH2である。〕;3、3a、3b、13a、および13bの何れか一つの化合物をノイラミニダーゼと接触させることを含む、該ノイラミニダーゼの活性を阻害する方法を提供する。
【0028】
一つの局面において、ノイラミニダーゼはインビボでのインフルエンザノイラミニダーゼである。他の局面において、ノイラミニダーゼはインビトロでのインフルエンザノイラミニダーゼである。
【0029】
他の実施態様において、本発明は、処置を必要とする患者におけるインフルエンザの処置方法を提供し、該方法は治療的有効量の化合物(I)〔式中、AはPO(OR)(OR')であって、ここで、RおよびR'は独立してH、C1−C6アルキル、アリールおよびXから選択され、ここで、Xはアンモニウム、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、エタノール−アンモニウム、ジシクロヘキシルアンモニウム、グアニジニウム、エチレンジアンモニウムカチオン、リチウムカチオン、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、セシウムカチオン、ベリリウムカチオン、マグネシウムカチオン、およびカルシウムカチオン、亜鉛カチオンから成る群から選択されるカチオン性カウンターイオンであり;そして、R1はNH2、NH3+H2PO4−、またはNH(C=NH)NH2である。〕;3、3a、3b、13a、および13bのいずれか一つを含む組成物を投与することを含む。一つの局面において、本組成物は薬学的に−許容される担体をさらに含む。
【0030】
図面の簡単な説明
本開示の上記特性および目的は添付の図面と組み合わせて以下の記載を参照したときより明白となり、図面においては同様の参照番号が同様の要素を表し、それは次のものを記載する:
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ(N1亜型)の活性部位におけるオセルタミビル2(A)およびホスホネート化合物3a(B)の分子モデルを示す;
【図2】化合物1、3、3b、3c、13b、および13cの分子モデルを示す;
【図3】タミフル(登録商標)1、オセルタミビル2、グアニジンアナログ13a、およびホスホネートコンジナー3、3bおよび13bの合成の新規経路を示す;
【図4】タミフル(登録商標)1およびホスホネートコンジナータミホスホル3の合成の新規経路を示す;
【図5】タミフル(登録商標)1およびホスホネートコンジナータミホスホル3の合成の新規経路を示す;
【図6】タミフル(登録商標)1およびホスホネートコンジナータミホスホル3、および13bの合成の新規経路を示す;
【図7】ホスホネートコンジナー3cの合成の新規経路を示す;
【図8】ホスホネートコンジナー13cの合成の新規経路を示す;
【図9】10MLD50のA/WSN/33(H1N1)インフルエンザウイルスを接種され、および10mg/kg/日の薬剤投与量で処置されたマウスの生存率(パネルa)および平均体重の変化(パネルb)を示す;
【図10】10MLD50のA/WSN/33(H1N1)インフルエンザウイルスを接種され、1mg/kg/日の薬剤投与量で処置されたマウスの生存率(パネルa)および平均体重の変化(パネルb)を示す;
【図11】10MLD50のA/WSN/33(H1N1)インフルエンザウイルスを接種され、0.1mg/kg/日の薬剤投与量で処置されたマウスの生存率(パネルa)および平均体重の変化(パネルb)を示す;
【図12】10MLD50のA/WSN/33(H1N1)インフルエンザウイルスを接種され、0.01mg/kg/日の薬剤投与量で処置されたマウスの生存率(パネルa)および平均体重の変化(パネルb)を示す;
【図13】10MLD50のNIBRG−14(H5N1)インフルエンザウイルスを接種され、10mg/kg/日の薬剤投与量で処置されたマウスの生存率(パネルa)および平均体重の変化(パネルb)を示す;
【図14】10MLD50のNIBRG−14(H5N1)インフルエンザウイルスを接種され、1mg/kg/日の薬剤投与量で処置されたマウスの生存率(パネルa)および平均体重の変化(パネルb)を示す;
【図15】10MLD50のNIBRG−14(H5N1)インフルエンザウイルスを接種され、0.1mg/kg/日の薬剤投与量で処置されたマウスの生存率(パネルa)および平均体重の変化(パネルb)を示す;
【図16】10MLD50のNIBRG−14(H5N1)インフルエンザウイルスを接種され、0.01mg/kg/日の薬剤投与量で処置されたマウスの生存率(パネルa)および平均体重の変化(パネルb)を示す;
【図17】マウスの生存率(パネルa)および平均体重の変化(パネルb)を示す10MLD50のA/WSN/33(H1N1)インフルエンザウイルスを接種され、の薬剤投与量で処置された10mg/kg/日;
【図18】10MLD50のA/WSN/33(H1N1)インフルエンザウイルスを接種され、1mg/kg/日の薬剤投与量で処置されたマウスの生存率(パネルa)および平均体重の変化(パネルb)を示す;
【図19】10MLD50のA/WSN/33(H1N1)インフルエンザウイルスを接種され、0.1mg/kg/日の薬剤投与量で処置されたマウスの生存率(パネルa)および平均体重の変化(パネルb)を示す;
【図20】10MLD50のA/WSN/33(H1N1)インフルエンザウイルスを接種され、0.01mg/kg/日の薬剤投与量で処置されたマウスの生存率(パネルa)および平均体重の変化(パネルb)を示す;
【図21】化合物5の1H NMRスペクトル(600MHz、CDCl3)を示す;
【図22】化合物5の13C NMRスペクトル(150MHz、CDCl3)を示す;
【図23】化合物6の1H NMRスペクトル(600MHz、CDCl3)を示す;
【図24】化合物6の13C NMRスペクトル(150MHz、CDCl3)を示す;
【図25】化合物7aの1H NMRスペクトル(600MHz、CDCl3)を示す;
【図26】化合物7bの1H NMRスペクトル(600MHz、CDCl3)を示す;
【図27】化合物8aの1H NMRスペクトル(600MHz、CDCl3)を示す;
【図28】化合物8aの13C NMRスペクトル(150MHz、CDCl3)を示す;
【図29】化合物9aの1H NMRスペクトル(600MHz、CDCl3)を示す;
【図30】化合物9aの13C NMRスペクトル(150MHz、CDCl3)を示す;
【図31】化合物10aの1H NMRスペクトル(600MHz、CDCl3)を示す;
【図32】化合物10aの13C NMRスペクトル(150MHz、CDCl3)を示す;
【図33】化合物10bの1H NMRスペクトル(600MHz、CDCl3)を示す;
【図34】化合物10bの13C NMRスペクトル(150MHz、CDCl3)を示す;
【図35】化合物10bの31P NMRスペクトル(162MHz、CDCl3)を示す;
【図36】化合物11aの1H NMRスペクトル(600MHz、CDCl3)を示す;
【図37】化合物11aの13C NMRスペクトル(150MHz、CDCl3)を示す;
【図38】化合物11bの1H NMRスペクトル(600MHz、CDCl3)を示す;
【図39】化合物11bの13C NMRスペクトル(150MHz、CDCl3)を示す;
【図40】化合物11bの31P NMRスペクトル(162MHz、CDCl3)を示す;
【図41】化合物1、タミフル(登録商標)の1H NMRスペクトル(600MHz、D2O)を示す;
【図42】化合物1、タミフル(登録商標)の13C NMRスペクトル(150MHz、D2O)を示す;
【図43】化合物1、タミフル(登録商標)の31P NMRスペクトル(162MHz、D2O)を示す;
【図44】化合物2、オセルタミビルの1H NMRスペクトル(600MHz、D2O)を示す;
【図45】化合物2、オセルタミビルの13C NMRスペクトル(150MHz、D2O)を示す;
【図46】化合物3の1H NMRスペクトル(600MHz、D2O)を示す;
【図47】化合物3の13C NMRスペクトル(150MHz、D2O)を示す;
【図48】化合物3の31P NMRスペクトル(162MHz、D2O)を示す;
【図49】化合物12aの1H NMRスペクトル(600MHz、CDCl3)を示す;
【図50】化合物12aの13C NMRスペクトル(150MHz、CDCl3)を示す;
【図51】化合物12bの1H NMRスペクトル(600MHz、CDCl3)を示す;
【図52】化合物12bの13C NMRスペクトル(150MHz、CDCl3)を示す;
【図53】化合物12bの31P NMRスペクトル(162MHz、CDCl3)を示す;
【図54】化合物13aの1H NMRスペクトル(600MHz、D2O)を示す;
【図55】化合物13aの13C NMRスペクトル(150MHz、D2O)を示す;
【図56】化合物13bの1H NMRスペクトル(600MHz、D2O)を示す;
【図57】化合物13bの13C NMRスペクトル(150MHz、D2O)を示す;
【図58】化合物13bの31P NMRスペクトル(162MHz、D2O)を示す;
【図59】化合物14aの1H NMRスペクトル(600MHz、D2O)を示す;
【図60】化合物14aの13C NMRスペクトル(150MHz、D2O)を示す;
【図61】化合物14bの1H NMRスペクトル(600MHz、D2O)を示す;
【図62】化合物14bの13C NMRスペクトル(150MHz、D2O)を示す;
【図63】化合物14bの31P NMRスペクトル(162MHz、D2O)を示す;
【図64】化合物20の1H NMRスペクトル(600MHz、CDCl3)を示す;
【図65】化合物20の13C NMRスペクトル(150MHz、CDCl3)を示す;
【図66】化合物22の1H NMRスペクトル(600MHz、CDCl3)を示す;
【図67】化合物22の13C NMRスペクトル(150MHz、CDCl3)を示す;
【図68】化合物23の1H NMRスペクトル(600MHz、CDCl3)を示す;
【図69】化合物23の13C NMRスペクトル(150MHz、CDCl3)を示す;
【図70】化合物24の1H NMRスペクトル(600MHz、CDCl3)を示す;
【図71】化合物24の13C NMRスペクトル(150MHz、CDCl3)を示す;
【図72】化合物25の1H NMRスペクトル(600MHz、CDCl3)を示す;
【図73】化合物25の13C NMRスペクトル(150MHz、CDCl3)を示す;
【図74】化合物26の1H NMRスペクトル(600MHz、CDCl3)を示す;
【図75】化合物26の13C NMRスペクトル(150MHz、CDCl3)を示す;
【図76】化合物27の1H NMRスペクトル(600MHz、CDCl3)を示す;
【図77】化合物27の13C NMRスペクトル(150MHz、CDCl3)を示す;
【図78】化合物29の1H NMRスペクトル(600MHz、CDCl3)を示す;
【図79】化合物29の13C NMRスペクトル(150MHz、CDCl3)を示す;
【図80】化合物31aの1H NMRスペクトル(600MHz、CDCl3)を示す;
【図81】化合物31aの13C NMRスペクトル(150MHz、CDCl3)を示す;
【図82】化合物31bの1H NMRスペクトル(600MHz、CDCl3)を示す;
【図83】化合物31bの13C NMRスペクトル(150MHz、CDCl3)を示す;
【図84】化合物31bの31P NMRスペクトル(202MHz、CDCl3)を示す;
【図85】化合物3cの1H NMRスペクトル(600MHz、D2O)を示す;
【図86】化合物3cの13C NMRスペクトル(150MHz、D2O)を示す;
【図87】化合物31bの31P NMRスペクトル(242MHz、D2O)を示す;
【図88】化合物13cの1H NMRスペクトル(600MHz、D2O)を示す;
【図89】化合物13cの13C NMRスペクトル(150MHz、D2O)を示す;
【図90】化合物3bの1H NMRスペクトル(600MHz、CDCl3)を示す;
【図91】化合物3bの13C NMRスペクトル(150MHz、CDCl3)を示す;
【図92】化合物3bの31P NMRスペクトル(162MHz、CDCl3)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
詳細な記載
本発明の実施態様に対する次の詳細な記載において、添付の図面を引用し、そこでは、同様の参照が同様の要素を表し、本発明を実施し得る一つの特異的実施態様を説明の目的で示す。これらの実施態様は当業者が本発明を実施することができるのに十分詳細に記載されており、他の実施態様を利用してよく、そして、論理学的な、機械的な、電気的な、機能的な、組成的な、および他の変更を本明細書の範囲から逸脱することなく成し得ることは理解すべきである。次の詳細な記載は、それ故、限定の意味で解釈してはならず、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ定義される。本明細書で使用する、用語“または”は、論理学的分離として定義されるものであると理解すべきであり、明示的にそのように示されているか、または“xor(排他的または)”として記されていない限り、排他的分離を示すものではない。
【0033】
本発明は、既知ノイラミニダーゼ阻害剤オセルタミビルおよび抗インフルエンザ剤タミフル(登録商標)、ならびに新規ホスホネートコンジナー(congers)への新規合成経路を提供する。D−キシロースを、既知および新規活性ノイラミニダーゼ阻害剤の合成のキラル前駆体として使用した。新規ホスホネートコンジナー(congers)は、H1N1およびH5N1ウイルスの野生型およびH274Y突然変異体ノイラミニダーゼを阻害することにより、タミフル(登録商標)よりも良い抗インフルエンザ活性を有する。
【0034】
タミフル現在の工業的合成は、出発物質として天然に存在するシキミ酸に頼る。しかしながら、一定純度でのシキミ酸の入手可能性が問題を引き起こし得る。この合成はまた、起爆性アジド試薬および中間体の操作の欠点も有する。タミフルのいくつかの新規合成法は、シキミ酸非依存的方法に着手した。タミフルにおけるシクロヘキセンカルボキシレートの中心構造を確率するために、種々のタイプのディールス・アルダー反応が適用されている。例えば、タミフル合成用キラル中間体を得るために、フランとアクリレートの間のディールス・アルダー反応、続いて酵素的分割が行われている。同様に、1−トリメチルシリルオキシ−1,3−ブタジエンと塩化フマリルのディールス・アルダー反応がこの中心構造を構築するために使用されている;しかしながら、鍵となる中間体のラセミ混合物のキラルHPLCによる分離がこの一連の合成では必要である。あるいは、触媒的エナンチオ選択的ディールス・アルダー反応が、タミフル合成のための必要なキラルシクロヘキセンカルボキシレートを提供する。
【0035】
一つの実施態様において、本発明は、タミフル、オセルタミビル、種々のホスホネートコンジナーおよびグアニジンアナログを、合理的な高収率(5.2−13.5%)でエナンチオ選択的合成する新規合成方法を提供する。本合成経路を図3(スキーム1)に示す。分子内ホーナー・ワズワース・エモンズ反応を行って、シクロヘキセンカルボキシレート8aおよびホスホネート8bを得た。光延の方法に従うジフェニルホスホリルアジドでの処理により、8a/8bのヒドロキシル基の、立体配置の倒置を伴うアジド基への置換は成功した。一つの局面において、有害なナトリウムアジド試薬をこの方法で避けた。好ましい局面において、本合成スキームは遅い官能基化を可能にし、これは医化学的視点からこのスキームを魅力的とする。
【0036】
本新規合成スキームを図3に示す。図3に記載する試薬および工程は次の通りである:(a)Me3CCOCl、ピリジン、0℃、8時間;89%。(b)PDC、Ac2O、還流、1.5時間;HONH2−HCl、ピリジン、60℃、24時間;82%。(c)LiAlH4、THF、0℃、次いで還流1.5時間;88%。(d)Ac2O、ピリジン、25℃、3時間;HCl/1,4−ジオキサン(4M)、BnOH、トルエン、0−25℃、24時間;85%。(e)2,2'−ジメトキシプロパン、トルエン、触媒p−TsOH、80℃、4時間;90%。(f)Tf2O、ピリジン、CH2Cl2、−15℃、2時間;EtO2CCH2PO(OEt)2またはH2C[PO(OEt)2]2、NaH、触媒15−クラウン−5、DMF、25℃、24時間;7aについて80%および7bについて73%。(g)H2、Pd/C、EtOH、25℃、24時間;NaH、THF、25℃、1時間、8aについて83%;またはNaOEt、EtOH、25℃、5時間、8bについて80%。(h)(PhO)2PON3、(i−Pr)N=C=N(i−Pr)、PPh3、THF、25℃、48時間。(i)HCl、EtOH、還流、1時間;9aについて83%および9bについて74%。(j)Tf2O、ピリジン、CH2Cl2、−15乃至−10℃、2時間;KNO2、18−クラウン−6、DMF、40℃、24時間;10aについて70%および10bについて71%。(k)Cl3CC(=NH)OCHEt2、CF3SO3H、CH2Cl2、25℃、24時間;11aについて78%および11bについて82%。(l)H2、リンドラー触媒、EtOH、25℃、16時間;3bについて85%。(m)H3PO4、EtOH、40℃、1時間;1について91%。(n)KOH、THF/H2O、0−25℃、1時間;2について88%および14aについて81%。(o)TMSBr、CHCl3、25℃、24時間;水性NH4HCO3、凍結乾燥;3について85%(アンモニウム塩として)、13bについて72%および14bについて75%。(p)N,N'−ビス(tert−ブトキシカルボニル)チオウレア、HgCl2、Et3N、DMF、0−25℃、10−16時間;12aについて78%および12bについて58%。(q)TFA、CH2Cl2、0℃、1時間;13aについて88%。個々の工程の試薬、反応条件および収率は下記の実験セクションでさらに詳細に記載する。
【0037】
他の方法において、タミフル合成の基盤となる方法として働く、1,4−シクロヘキサジエンのメソ−アジリジン誘導体を製造し、トリメチルシリルアジドでの触媒的非対称開環反応に付した。置換イソフタル酸ジエステルのRu−Al2O3触媒水素化は、全ての置換基およびジエステルがcis−配置である、シクロヘキサン中心構造を提供する。次いで、このメソ−ジエステルを光学活性一酸に酵素的に加水分解し、これは、タミフル合成の鍵となる中間体として働く。タミフルの合成は、(1R,2S)−2−フェニルシクロヘキサノールに由来するジアステレオマーのHPLC分離により得られる、シクロヘキサジエンカルボキシレートのキラルカチオン性鉄複合体でのアミノ化で出発することにより証明された。最後に、5−オキサ−ビシクロ[3.2.1]ヘキセン−4−オンのパラジウム触媒非対称アリル位アミノ化が、タミフル合成の鍵となる工程として証明された。
【0038】
本発明者らは、安価な出発物質としてD−キシロースを使用するタミフルおよびタミホスホルの合成を発見した。標的化合物のシクロヘキセン中心構造を、分子内ホーナー・ワズワース・エモンズ反応により構築する。この柔軟性のある合成方法はタミフルおよびタミホスホルの両方を合理的な全体的収率(5−13%)で提供するが、長い工程(18−19反応工程)は大規模合成には理想的ではない。タミフルおよびタミホスホルへの、より簡潔で実際的な合成経路は、図4に示す通りに表された。
【0039】
この方法において、エナンチオ純粋ブロモアレーンcis−1,2−ジヒドロジオール(17)出発物質は市販されており、大規模でブロモベンゼンの微生物酸化により容易に製造できる。その官能性の独特な組み合わせにより、ハロアレーンcis−ジヒドロジオール類は、種々の天然産物および関連分子の合成への適用が成功している。加えて、臭素原子を、合成経路の後の段階で、カルボキシレートおよびホスホネートを含む種々の官能基に変換できる。故に、この合成スキームは、タミフル、タミホスホルおよび他の誘導体に至る重要な点として、一般的中間体、例えば、26および29を融通の利くものにする。このような後の官能基化は、医化学の観点から特に魅力的である。
【0040】
この合成計画に基づき、(1S,2S)−cis−ジオール17のアセトニドを、CH3CN中0℃でのN−ブロモアセトアミド(NBA)とのSnBr4触媒ブロモアセトアミド化反応に付し、図4に示す通りの位置および立体選択的方法でブロモアミド19を得た。19の構造をX線回折解析により確認した(実施例31以下参照)。この反応は、余り立体障害を受けていない面でブロモニウムイオンの形成と、続くアリルのC−5位でアセトアミドの選択的背面攻撃により進行するようである。LHMDS(1.1当量)存在下で、ブロモアミド19はアジリジン20に変化し、それは3−ペンタノールとのBF3介在開環反応を受け、73%収率で化合物22を得た。脱保護後、cis−ジオール23をα−アセトキシイソブチリルブロマイドで処理して、対応するtrans−2−ブロモシクロヘキシルアセテート24を得た。先の例と同様にして、この反応は、アセトキソニウムイオンの中間体形成、およびアリルのC2位でのブロマイドイオンの背面攻撃を含むはずである。24と3当量のLiBHEt3(Super-Hydride(登録商標))の反応は、C1およびC2位のアセチル基と臭素原子の同時の還元により、綺麗な生成物25を82%収率(23から)で提供した。光延の方法に従うジフェニルホスホリルアジド(DPPA)での処理により、25におけるヒドロキシル基の立体配置の倒置を伴うアジド基での置換に成功し、26を84%収率で得た。少量(2%)のジエン27もまた水分子の除去により産生される副産物として見られた。中枢の化合物26を、有機金属カップリング反応に付して、所望のカルボキシルおよびホスホニル基を挿入した。故に、26とNi(CO)2(PPh3)2のEtOH存在下での反応により、エチルエステル28aを81%収率で得た。他方で、26のジエチルホスファイトでのホスホニル化をPd(PPh3)4の触媒により達成し、ホスホネート28bを83%収率で得た。28aおよび28bのアジド基のアミンへの還元後、タミフルおよびタミホスホルを、我々の先に報告した方法に従い合成した。
【0041】
上記合成方法は、無アジド工程によりさらに改善された。我々は、テトラブチルアンモニウムシアネートが、図5に示す通りアミン官能基の良好な供給源であることを発見した。図5に示す通り、アルコール25をBu4NOCN/PPh3/DDQと反応させてイソシアネート中間体を得て、それを続いてt−BuOHで処理して、カルバメート29を78%収率で得た。ジエチルホスファイトとのPd触媒カップリング反応を行い、ホスホネート31bを形成し、そしてタミホスホルを、穏やかな条件下でのTMSBrでのBoc基とエチル基の同時の除去により合成した。化学量論量の毒性Ni(CO)2(PPh3)2の使用を避けるため、29のPd触媒カルボニル化を試みたが失敗した。あるいは、ブロマイド29をより反応性のアイオダイドアナログ30に変換し、Pd触媒カルボニル化を高収率で成功させ、カルボキシレート31aを得た。最後に、31aをH3PO4で処理して、ワン・ポット操作でのBoc基の開裂およびリン酸塩形成を介して、タミフルを得た。
【0042】
結論として、タミフルおよびタミホスホルを、ブロモベンゼンの微生物酸化により供給できる、容易に入手可能なブロモアレーンcis−ジオール19を使用して、11工程連続反応を介して、21−26%の全体的収率で合成する。全ての反応は、有害な可能性のある中間体または毒性試薬を使用せずに行う。反応のほとんどが、位置および立体選択的方法で行われて結晶生成物をもたらすため、単離工程は相対的に単純かつ費用効果が高い。グラム規模での合成しか本試験では証明されていないが、タミフルおよびタミホスホルの大規模合成は、抗インフルエンザ剤の開発のために将来有望である。
【0043】
ホスホネートジエステルの塩基性加水分解を使用してホスホネートモノエステル類を得ることは、当分野で既知である。故に、ホスホネートモノエステル類が、本発明の一局面において意図される。モノエステル類の合成は、化合物3cについて図7におよび化合物13cについて図8に示す。これらの各々が、化合物3cおよび13cの各々について出発化合物31bまたは12bから、ここに記載の他の合成経路を使用して容易に合成される。
【0044】
本発明の組成物は、所望によりここに記載の化合物の塩、特に、例えば、Na+、Li+、K+、Ca++およびMg++を含む薬学的に許容される非毒性塩を含む。かかる塩は、アルカリおよびアルカリ土類金属イオンまたはアンモニウムおよび4級アミノイオンのような適当なカチオンと酸アニオン部分の組み合わせに由来するものを含んでよい。
【0045】
金属塩は、金属水酸化物と本発明の化合物の反応により製造し得る。この方法で製造される金属の例は、Na+、Li+、K+を含む塩である。
【0046】
加えて、塩は、塩基性中心、典型的にアミン類、または酸性基への、ある種の有機および無機酸、例えば、HCl、HBr、H2SO4、または有機スルホン酸の酸付加により形成し得る。最後に、ここに記載の組成物は、本発明の化合物を、そのイオン化していない、ならびに双性イオン形態で、および水和物におけるような化学量論量の水との組み合わせで含むことは理解すべきである。本発明の他の局面は、ノイラミニダーゼを含む疑いのあるサンプルを、本発明の化合物で処理する工程を含む、ノイラミニダーゼの活性を阻害する方法に関する。
【0047】
本発明の化合物を、慣例に従い選択される、慣用の担体および賦形剤と製剤する。錠剤は賦形剤、流動促進剤、増量剤、結合剤などを含む。水性製剤は滅菌形態で製造し、経口投与以外での送達が意図されるときは等張である。全ての製剤は、所望により、明示によりその全体を本明細書に包含させる“Handbook of Pharmaceutical Excipients”(1986)に記載のもののような賦形剤を含む。賦形剤は、アスコルビン酸および他の抗酸化剤、EDTAのようなキレート化剤、デキストリン、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルメチルセルロースのような炭水化物、ステアリン酸などを含む。製剤のpHは、約pH3〜約pH11の範囲であるが、通常約pH7〜pH10である。
【0048】
1種以上の本発明の化合物(以後活性成分と呼ぶ)を、処置する状態に適当な任意の経路で投与する。適当な経路は、経口、直腸、経鼻、局所(バッカルおよび舌下を含む)、膣および非経腸(皮下、筋肉内、静脈内、皮内、期間内および硬膜外を含む)などを含む。好ましい経路は、例えば受け手の状態により変わり得ることは認識されよう。
【0049】
本活性成分を単独で投与することは可能であるが、それらを医薬製剤として提供することが好ましい。本発明の製剤は、獣医学的およびヒト使用の両方のためであるが、少なくとも1種の上記で定義の活性成分を、1種以上の許容される担体および所望により他のと共に含む。担体は、製剤中の他の成分と融和性であり、そして受け手に生理学的に無害である点で、“許容される”ものでなければならない。
【0050】
本製剤は、上記投与経路に適するものを含む。本製剤は、簡便には単位投与形態で提供されてよく、そして薬学の分野で既知の任意の方法により製造され得る。技術および製剤は、一般に、Remington's Pharmaceutical Sciences (Mack Publishing Co., Easton, Pa.)に見られる。かかる方法は、活性成分と、1種以上の補助的成分から成る担体を混合させる工程を含む。一般に、本製剤は、活性成分と液体担体または粉砕した固体担体または両方を混合させ、次いで、必要であれば、製品を成形することにより製造する。
【0051】
経口投与に適する本発明の製剤は、各々予定量の活性成分を含むカプセル剤、カシェ剤または錠剤のような分離した単位として;散剤または顆粒剤として;水性液体または非水性液体中の溶液または懸濁液として;または水中油型液体エマルジョンまたは油中水型液体エマルジョンとして製造する。活性成分はまたボーラス、舐剤またはペーストとして提供してもよい。
【0052】
錠剤は、所望により1種以上の補助的成分と共に、圧縮または鋳造することにより製造する。圧縮錠剤は、所望により結合、平滑剤、不活性希釈剤、防腐剤、表面活性剤または分散剤と混合した、粉末または顆粒のような自由に流動する形の活性成分を、適当な機械で圧縮することにより製造し得る。鋳造された錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末活性成分の混合物を適当な機械で鋳造することにより製造し得る。錠剤は、所望によりコーティングしてよく、または割線を入れてよく、そして所望により活性成分の遅延または制御放出を提供するように製剤する。
【0053】
眼または他の外部組織、例えば口腔および皮膚の感染に対して、本製剤は、好ましくは、例えば、0.075〜20%w/w(0.1%〜20%の範囲の活性成分を、0.6%w/w、0.7%w/wなどのように0.1%w/wずつ増加させたものを含む)、好ましくは0.2〜15%w/wおよび最も好ましくは0.5〜10%w/wの量の、活性成分を含む、局所軟膏剤またはクリーム剤として適用する。軟膏剤として製剤するとき、活性成分を、パラフィン性または水混和性軟膏基剤と共に用い得る。あるいは、活性成分を、水中油型クリーム基剤と共にクリーム剤として製剤し得る。
【0054】
望むならば、クリーム基剤の水性相は、例えば、少なくとも30%w/wの多価アルコール、すなわちプロピレングリコール、ブタン1,3−ジオール、マンニトール、ソルビトール、グリセロールおよびポリエチレングリコール(PEG 400を含む)およびその混合物のような2個以上のヒドロキシル基を含むアルコールである。局所製剤は、望ましくは、皮膚または他の患部への活性成分の吸収または浸透を促進する化合物を含み得る。かかる皮膚浸透促進剤の例は、ジメチルスルホキシドおよび関連アナログを含む。
【0055】
本発明のエマルジョンの油相は、既知方法で既知成分から構成され得る。本相は乳化剤(エマルジェントとしても既知)のみを含み得るが、少なくとも1種の乳化剤と、脂肪または油との、または脂肪と油の両方との混合物を含むことが望ましい。好ましくは、親水性乳化剤は、安定化剤として働く親油性乳化剤と共に包含される。油および脂肪の両方を含むことも好ましい。合わせて、安定化剤(複数も可)を伴ってまたは伴わないで乳化剤(複数も可)は、いわゆる乳化蝋を構成し、この蝋は油および脂肪と共に、クリーム製剤の油性分散相を形成するいわゆる乳化軟膏(emulsifying ointment)基剤を構成する。
【0056】
本発明の製剤への使用に適するエマルジェントおよびエマルジョン安定化剤は、TweenTM 60、SpanTM 80、セトステアリルアルコール、ベンジルアルコール、ミリスチルアルコール、モノステアリン酸グリセリルおよびラウリル硫酸ナトリウムを含む。
【0057】
本製剤のための適当な油または脂肪の選択は、所望の美容特性の達成に基づく。クリーム剤は好ましくは、チューブまたは他の容器からの漏れを避けるために適当な稠度の、ベタベタせず、染色されておらず、そして洗える製品であるべきである。直鎖または分枝鎖、一または二塩基性アルキルエステル類、例えばジイソアジペート、ステアリン酸イソセチル、ココナッツ脂肪酸のプロピレングリコールジエステル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸デシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、パルミチン酸2−エチルヘキシルまたはCrodamol CAPとして既知の分枝鎖エステル類の混合物を使用してよく、後三者が好ましいエステル類である。これらを必要な特性によって、単独でまたは組合せで使用してよい。あるいは、高融点脂質、例えば白色軟パラフィンおよび/または液体パラフィンまたは他の鉱油を使用する。
【0058】
眼への局所投与に適当な製剤は、活性成分が適当な担体、特に活性成分用水性溶媒に溶解または懸濁された点眼剤を含む。活性成分は、好ましくはかかる製剤中に0.5〜20%、有利には0.5〜10%、特に約1.5%w/wの濃度で存在する。
【0059】
口腔への局所投与に適当な製剤は、香味基剤、通常スクロースおよびアカシアまたはトラガカント中に活性成分を含むロゼンジ剤;活性成分を不活性基剤、例えばゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアカシア中に含むトローチ剤;および適当な液体担体中に活性成分を含む口腔洗浄剤を含む。
【0060】
直腸投与用製剤は、例えばカカオバターまたはサリチレートを含む適当な基剤との坐薬として提供し得る。
【0061】
肺内または経鼻投与に適当な製剤は、例えば0.1〜500ミクロンの粒子径(0.5、1、30ミクロン、35ミクロンなどのように数ミクロンずつ増える、0.1〜500ミクロンの範囲の粒子径を含む)を有し、これを、鼻道を通した急速吸入により、または肺胞嚢に到達するように口腔を通した吸入により投与する。適当な製剤は、活性成分の水性または油性溶液を含む。エアロゾルまたは乾燥粉末投与に適当な製剤は、慣用法に従い製造でき、そして、現在までA型またはB型インフルエンザ感染の処置または予防に使用される化合物のような他の治療剤と共に送達してよい。
【0062】
膣投与に適当な製剤は、活性成分に加えて、適当であることが当分野で既知のような担体を含む、ペッサリー、タンポン、クリーム剤、ゲル剤、ペースト剤、泡沫剤またはスプレー製剤として提供し得る。
【0063】
非経腸投与に適当な製剤は、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤(bacteriostats)および製剤を意図される受け手の血液と等張にする溶質を含み得る水性および非水性滅菌注射溶液;および懸濁化剤および濃化剤を含み得る水性および非水性滅菌懸濁液を含み得る。
【0064】
製剤は、単位投与量または多回投与量容器、例えば密閉アンプルおよびバイアルで提供され、使用直前に注射用の滅菌液体担体、例えば水の添加のみを必要とするフリーズドライ(凍結乾燥)条件で貯蔵し得る。即時の注射溶液および懸濁液が、先に記載の性質の滅菌粉末、顆粒および錠剤から製造される。好ましい単位投与量製剤は、上記のような、活性成分の1日量または1日量の分割単位(unit daily sub-dose)を含むもの、またはその適当な画分である。
【0065】
上に特に記載した成文に加えて、本発明の製剤は、当該製剤の種類を考慮して当分野で慣用の多の成分を含んでよく、例えば、経口投与に適するものは香味剤を含み得ることは理解すべきである。
【0066】
本発明は、少なくとも1種の上記で定義の活性成分を獣医学担体と共に含む獣医学組成物を提供する。獣医学担体は本組成物の投与の目的で有用な物質であり、他の点で不活性であるか、または獣医学分野で許容され、活性成分と融和性の固体、液体またはガス状物質であり得る。これらの獣医学組成物は、経口的、非経腸的または任意の他の所望の経路で投与してよい。本発明の化合物は、活性成分として1種以上の本発明の化合物を含む制御放出医薬製剤(“制御放出製剤”)を提供し、ここで、該活性成分の放出は、少ない頻度での投与を可能にするため、またはある活性成分の薬物動態学的または毒性プロファイルを改善するために調節および制御される。活性成分の有効な用量は、少なくとも処置する状態の性質、毒性、本化合物を予防的に(低用量)使用するのか能動的インフルエンザ感染に対して使用するか、送達方法、および医薬製剤に依存し、慣用の用量漸増試験を使用して医師により決定される。約0.0001〜約100mg/kg体重/日が予測できる。典型的に、約0.01〜約10mg/kg体重/日である。より典型的に、約0.01〜約5mg/kg体重/日である。より典型的に、約0.05〜約0.5mg/kg体重/日である。例えば、吸入について、体重約70kgの成人についての候補1日量は、1mg〜1000mg、好ましくは5mg〜500mgであり、1回または複数回投与量により摂取し得る。
【0067】
一つの実施態様において、本発明の活性成分を他の活性成分と組み合わせても使用する。かかる組み合わせは、処置すべき状態、複数成分の交差反応性および組合せの薬特性(pharmaco-properties)に基づき選択する。例えば、呼吸器系のウイルス感染、特にインフルエンザ感染を処置するとき、本発明の組成物を抗ウイルス剤(例えばアマンタジン、リマンタジンおよびリバビリン)、粘液溶解剤、去痰剤、気管支拡張剤(bronchialdilators)、抗生物質、解熱剤、または鎮痛剤と組み合わせる。通常、抗生物質、解熱剤、および鎮痛剤を本発明の化合物と共に投与する。
【0068】
本発明の他の実施態様は、ここに記載の化合物のインビボ代謝産物を、かかる産物が新規であり、先行文献から明白でない範囲において含む。かかる産物は、投与化合物の、主に酵素処理による、例えば酸化、還元、加水分解、アミド化、エステル化などに由来し得る。従って、本発明は、本発明の化合物を哺乳動物とその代謝産物が生じるのに十分な時間接触させることを含む工程により製造される、新規で明白ではない化合物を含む。かかる産物は、典型的に放射標識された(例えば14Cまたは3H)本発明の化合物により、それを非経腸的に検出可能な用量で(例えば約0.5mg/kgより多い)、ラット、マウス、モルモット、サルのような動物、またはヒトに投与し、代謝が起こるのに十分な時間を与え(典型的に約30秒〜30時間)、そしてその変換産物を尿、血液または他の生物学的サンプルから単離することにより同定する。これらの産物は、それらが標識されているため(他のものは代謝産物中に残るエピトープと結合できる抗体の使用により単離される)、単離が容易である。代謝産物構造を通常の方法で、例えばMSまたはNMR分析により行う。一般に、代謝産物の分析は、当業者に周知の慣用の薬剤代謝試験と同じ方法で行う。変換された産物は、それらが他にインビボで見られない限り、それら自体がノイラミニダーゼ阻害活性を有していなくてさえ、本発明の化合物の治療投与量の診断的アッセイに有用である。
【0069】
新規ホスホネートコンジナーのプロドラッグが意図される。極性ホスホネートおよびグアニジニウム基の両方を、所望により当分野で既知の技術によりさらに官能化して、薬物動態学的および/または薬力学的特性を増強し得る。例えば、プロドラッグ、例えばアシルオキシメチル−およびアリールホスホネートエステル類の製剤および使用は、バイオアベイラビリティの増強のために利用し得る(Krise and Stella, Adv. Drug Deliv. Rev. 1996, 19, 287)。
【0070】
本発明の一局面において、ノイラミニダーゼを含む疑いのあるサンプルは、生存生物;組織または細胞培養;生物学的物質サンプル(血液、血清、尿、脳脊髄液、涙、痰、唾液、組織サンプルなど)のような生物学的サンプル;研究室サンプル;食物、水、または空気サンプル;細胞、特に所望の糖タンパク質を合成する組み換え細胞の抽出物のようなバイオプロダクト(bioproduct)サンプル;などのような天然のまたは人工の物質を含む。典型的に、サンプルは、ノイラミニダーゼを産生する生物を、しばしばウイルスのような病原生物を含むことが疑われる。サンプルは、水および有機溶媒/水混合物を含む任意の媒体に含まれていてよい。サンプルは、ヒトのような生存生物、および細胞培養のような人工物質を含む。
【0071】
本発明の処置工程は、本発明の組成物をサンプルに添加することを含むか、または組成物の前駆体をサンプルに添加することを含む。本添加工程は、上記の任意の投与方法を含む。望むならば、組成物投与後のノイラミニダーゼ活性を、ノイラミニダーゼ活性の検出の直接的または間接的方法を含む任意の方法により観察できる。ノイラミニダーゼ活性を検出する定量的、定質的、および半定量的方法が全て意図される。典型的に上記のスクリーニング方法の一つを適用するが、しかしながら、生存生物の生理学的特性の観察のような任意の他の方法も適用可能である。
【0072】
ノイラミニダーゼを含む生物は、細菌(ビブリオ・コレラエ、クロストリジウム・パーフリンジェンス、ストレプトコッカス・ニューモニエ、およびアルスロバクター・シアロフィルス)およびウイルス(特にオルトミクソウイルスまたはパラミクソウイルス、例えばA型インフルエンザウイルス(例えばH1N1、H5N1)、およびB型インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、ムンプスウイルス、ニューカッスル病ウイルス、家禽ペストウイルス、およびセンダイウイルス)を含む。これらの生物のいずれかから得たまたは生物内に見られるノイラミニダーゼ活性の阻害は本発明の目的の範囲内である。インフルエンザウイルスのウイルス学は、“Fundamental Virology”(Raven Press, New York, 1986), Chapter 24に記載されている。本発明の化合物は、アヒルおよび他の鳥類、齧歯類、ブタのような動物における、またはヒトにおけるインフルエンザ感染の予防にまたは存在するインフルエンザ感染の処置に有用である。
【0073】
本発明の組成物を、酵素活性を評価するための既知の技術のいずれかによりノイラミニダーゼに対する阻害活性をスクリーニングする。本発明の文脈内で、典型的に組成物を最初にインビトロでノイラミニダーゼの阻害についてスクリーニングし、阻害活性を示す組成物をインビボで活性についてスクリーニングする。約5×10−6M未満、典型的に約1×10−7M未満および好ましくは約5×10−8M未満のインビトロKi(阻害定数)を有する組成物は、インビボでの使用に好ましい。
【0074】
有用なインビトロスクリーニングは詳述されており、ここには詳述しない。(Itzstein, M. von et al.; “Nature”, 363(6428): 418-423(1993); Potier, M.; et al.; “Analyt. Biochem.”, 94: 287-296(1979); Chong, A. K. J.; et al.; “Biochem. Biophys. Acta”, 1077: 65-71(1991); およびColman, P. M.; et al.; 国際公開番号WO92/06691(国際出願番号PCT/AU90/00501、公開日1992年4月30日)。
【0075】
インビボスクリーニングも詳述されており、例えば、Itzstein, et al., 1993の、特に421頁、カラム2の最初の完全な段落から423頁、カラム2の最初の完全な段落まで、およびColman, p. 36を参照のこと。本発明のNAIを、種々のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼに対する阻害活性について試験した。表1は、野生型および突然変異体インフルエンザウイルスノイラミニダーゼに対する阻害活性を示す。
【表1】
表l:a A型インフルエンザウイルス/WSN/1933(H1N1)からのノイラミニダーゼ(NA)。b A型インフルエンザウイルス/WSN/1933(H1N1)からのNA(H274Y)。c A型インフルエンザウイルス/Hanoi/30408/2005(H5N1)からのNA。d A型インフルエンザウイルス/Hanoi/30408/2005(H5N1)からのNA(H274Y)。e アンモニウム塩として図3に示す。f 測定せず。
【0076】
より強い効果のホスホネートコンジナー、3(タミホスホル)対オセルタミビル2およびグアニジン13b対13aを、H1N1およびH5N1インフルエンザウイルスの野生型ノイラミニダーゼにおいて観察した(表1)。化合物3および2の両方とも、野生型酵素よりもH274Y7のNAI耐性突然変異体に対して顕著に効果が低かった。それにも関わらず、ホスホネート化合物13bは、低nM濃度で両方の突然変異体酵素を阻害する有効な阻害剤である。2および3と比較してC−3ヒドロキシル位にペンチルオキシ基を欠く化合物14aおよび14bは、NAI活性が劣った。表2は、オセルタミビル2、ホスホネートコンジナー3および関連アナログのノイラミニダーゼ阻害、抗インフルエンザ、および細胞毒性活性を示す。
【表2】
表2:a A型インフルエンザウイルス/WSN/1933(H1N1)に対するノイラミニダーゼ阻害。Ki値を、チェン・プルソフ方程式を使用して決定した。b インフルエンザ(A/WSN/1933)感染によるCPE効果の50%保護のためのNA阻害剤の濃度。c 使用した最高濃度はMDCK細胞に対する細胞毒性のアッセイにおける100μMである。d 選択性指数、CC50対EC50比。e アンモニウム塩として図3に記載。
【0077】
本発明の一つの実施態様において、ホスホネート3は、0.15および4.67nMのKiおよびEC50値を有し、インフルエンザH1N1ウイルスに対する強力なNA阻害剤および抗インフルエンザ剤である(表2)。比較して、ホスホネート3は、オセルタミビルの活性よりNA阻害および抗インフルエンザアッセイで各々19倍および7倍活性である。ホスホネート3を、さらに種々の濃度で評価し、宿主MDCK細胞に対する成長阻害を測定した。ホスホネート3の概算されるCC50値は74μMであった。15800を超える最高の選択性指数を示すホスホネート3は、故に、宿主MDCK細胞に対する毒性なく、H1N1ウイルスに対する強力な抗ウイルス剤である。3におけるアミノ基をグアニジノ基に置換することにより、ホスホネート13bは増強されたNA阻害(Ki=0.06nM)および抗インフルエンザ活性(EC50=0.09nM)を示す。先の報告と同様にして、グアニジニウム基は、Glu119、Asp151およびGlU227の残基と強い静電気相互作用を示し得る。
【0078】
一つの局面において、本明細書に記載のホスホネートコンジナーは、H1N1およびH5N1の野生型ノイラミニダーゼに対して顕著に強力なカルボキシレートコンジナーである。加えて、化合物13bは、H5N1ノイラミニダーゼのH274Y突然変異体に対して19nMで有効な阻害剤である。
【0079】
本発明の他の実施態様において、本発明の化合物を使用してインビボでインフルエンザ感染を処置する。本発明のNAIを、インビボでマウスで試験した。マウスを、記載の投与量の薬剤で、1日2回5日間胃管栄養法により処置することにより処理した。最初の薬剤投与4時間後、感染性インフルエンザウイルス[A/WSN/33(H1N1)またはNIBRG−14(H5N1)]の25μLを10MLD50で鼻腔内接種した。マウスを毎日14日間、生存および体重について観察した。表3は、A/WSN/33(H1N1)インフルエンザウイルス感染に対するマウスの化合物3および3b、およびタミフルでの処置の効果を示す。
【表3】
表3。
a 化合物を、指示したインフルエンザウイルスでの感染の4時間前に開始して、1日2回5日間経口投与した。
b 生存数/全処置数。最初の数は、14日目の生存%を示し、括弧内の数は7日目の生存%を示す。
c 14日目より前に死亡したマウスの平均死亡日数。
【0080】
マウスにおけるNIBRG−14(H5N1)A型インフルエンザウイルス感染に対する化合物3および3b、およびタミフルでの処置の生存に対する効果を表4に示す。
【表4】
表4。
a 化合物を、指示したインフルエンザウイルスでの感染の4時間前に開始して、1日2回5日間経口投与した。
b 生存数/全処置数。最初の数は、14日目の生存%を示し、括弧内の数は7日目の生存%を示す。
c 14日目より前に死亡したマウスの平均死亡日数。
【0081】
NAと複合体の化合物3の分子モデリングを、化合物3のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ(N1亜型、PDBコード:2HU4)の結晶学的構造へのドッキングを介して構築した。化合物3の3次元構造を、SYBYL 7.3でオセルタミビル2(また2HU4から)の3次元構造を修飾することにより構築した。本発明の一局面において、ノイラミニダーゼ−ホスホネート複合体の分子モデリングは、ホスホネートと活性部位の3個のアルギニン残基の適切な結合モードを示す。既知N1結晶構造(PDBコード:2HU4)を使用した予備的分子ドッキング実験(図1)は、推定ホスホネート阻害剤3aが、NA−オセルタミビル複合体に類似する結合ポケットにおけるC3−ペンチルオキシ基、C4−アセトアミド基およびC5−アミノ基により発揮される他の相互作用に加えて、実際にNAのトリ−アルギニン残基に強く結合することを確認する。図1は、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ(N1亜型)の活性部位におけるオセルタミビル2(A)およびホスホネート化合物3a(B)の分子モデルを示す。ホスホネート化合物3aの複合体は、オセルタミビル−NA複合体(6対リガンド−NA H−結合)と比較して、より多くの、NA活性部位における鍵となる残基との水素結合相互作用(8対リガンド−NA H−結合)を有する。
【0082】
またここに記載されているのは、タミフル(登録商標)および非常に強力なノイラミニダーゼ阻害剤タミホスホルの新規で改善された合成法である。先に記載の通り、インフルエンザ処置に一般的な薬剤であるタミフル(登録商標)(オセルタミビルリン酸塩、15・H3PO4)は経口で投与されるプロドラッグであり、それは肝臓エステラーゼで直ぐに加水分解されて、インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼの活性阻害剤として対応するカルボン酸(16、図6)をもたらす。10代の患者の精神障害の原因となる副作用、および、鳥インフルエンザの薬剤耐性株出現のため、インフルエンザウイルスに対する新規化学物質の開発は、インフルエンザの大流行との戦いのために緊急に必要である。下記に略記する合成は、図4に完全に示す:
【化19】
【0083】
タミホスホル(3)は、鳥インフルエンザおよびヒトインフルエンザの両方と戦うために将来有望な薬剤である。オセルタミビルのカルボキシル基をホスホネート基で置換することにより、タミホスホルはノイラミニダーゼのトリ−アルギニン残基と強く相互作用し、H1N1およびH5N1ウイルスの野生型ノイラミニダーゼに対してより強力である。加えて、グアニジンアナログ3bは、H5N1ノイラミニダーゼのH274Y突然変異体の有効な阻害剤(Ki=19nM)である。さらに、予備的試験は、タミホスホルがまた、インフルエンザウイルスの致死量攻撃に対してマウスを保護し、経口的に生物が利用可能であることを示す。マウスの生存率および平均生存時間の比較により(データは示していない)、タミホスホルは、H1N1ヒトインフルエンザウイルスに対してタミフルより強力であり、そして、組み換えH5N1(NIBRG14)ウイルスに対して少なくとも同程度に有効である。
【0084】
化合物3および13のモノエステル誘導体は、インフルエンザへの取り組みにおいて特に有効である。表5に示す通り、マウス試験は、モノエステル化合物3cおよび13cが、インフルエンザを有するマウスの処置に有効であることを示した。表4は、マウスにおけるA型インフルエンザ[A/WSN/33(H1N1)]ウイルス感染に対するタミフル(1)、タミホスホル(3)、タミホスホルモノエステル(3c)、タミホスホルグアニジン(13b)およびタミホスホルグアニジンモノエステル(13c)での鼻腔内処置の効果を示す。モノエステル3cおよび13cは、生存率を改善し、低濃度で有効であり、特に有効であることが示される。
【表5】
表5。
a 化合物を、指示したインフルエンザウイルスでの感染の4時間前に開始して、1日2回5日間経口投与した。
b 生存数/全処置数(10匹のマウス)。最初の数は、14日目の生存%を示し、括弧内の数は7日目の生存%を示す。
c 14日目より前に死亡したマウスの平均死亡日数。
【0085】
図17−20は、モノエステル化合物3cおよび13cの効果を、化合物3および13bと比較してグラフ的に示す。本化合物は、生存率の改善および体重維持の改善を示す。この経口は、10mg/kg/日〜0.1mg/kg/日の濃度範囲にわたり観察される。低濃度で(図20)、モノエステル類は化合物3および13bと同様に無効であり、対照の結果と非常に類似し、かかる低濃度ではホスホネートコンジナーの有益な効果が恐らく無くなることを示唆する。
【実施例】
【0086】
全ての試薬は市販されており、特記しない限りさらに精製することなく使用した。全ての溶媒は特記しない限り無水グレードであった。ジイソプロピルアジドカルボキシレート(DIAD)を、Na2SO4減圧下で蒸留した。全ての非水性反応は、特記されない限り、わずかに陽圧のアルゴン下に、オーブン乾燥させたガラス容器で行った。反応を磁気撹拌し、シリカゲル薄層クロマトグラフィーでモニターした。フラッシュクロマトグラフィーを、60−200μm粒子径のシリカゲルで行った。収率は、分光的に純粋な化合物について報告する。融点を、Electrothermal MEL-TEMP(登録商標)1101D融点装置で記録し、補正していない。NMRスペクトをBruker AVANCE 600および400分光計で記録した。化学シフトは、テトラメチルシラン(TMS)に対するδ値をもたらす;カップリング定数JはHzで示す。内部標準は1H−NMRスペクトルについてCDCl3(δH=7.24)またはD2O(δH=4.79)、13C−NMRスペクトルについてCDCl3(δH=77.0)、および31P−NMRスペクトルについてD2O(δp=0.00)のH3PO4であった。分裂パターンをs(1重項)、d(2重項)、t(3重項)、q(4重項)、m(多重項)、br(ブロード)およびdd(2個の2重項)として報告する。IRスペクトルをThermo Nicolet 380 FT-IR分光計で記録した。光学回転をPerkin-ElmerModel 341偏光計で記録し、[α]およびcの単位は、各々deg cm3 g-1 dm-1およびgcm3である。高解像度ESIマススペクトルをBruker Daltonics分光計で記録した。
【0087】
合成方法および生成物特徴付け。
【0088】
実施例1。1,2−O−イソプロピリデン−3−アミノ−3−デオキシ−α−D−リボフラノシド(5).(Nair, and Emanuel, J. Am. Chem. Soc. 1977, 99, 1571-1576.)
【化20】
【0089】
報告された方法に従い(Suhara et al., J. Org. Chem. 2001, 66, 8760-8771)、アセトン(1L)中のD−キシロース(50g)、無水CuSO4(70g)および濃H2SO4(5mL)の懸濁液を、室温で24時間撹拌し、続いて水性HCl溶液(110mL、0.1M)で40℃で2時間部分的に加水分解し、1,2−O−イソプロピリデン−α−D−キシロフラノース(4、61g)を無色シロップとして得た。化合物4(10g、52.6mmol)を塩化ピバロイル(6.6g、54.8mmol)でピリジン(50mL)中、0℃で8時間処理して、1,2−O−イソプロピリデン−5−O−ピバロイル−α−D−キシロフラノシド(13g、D−キシロースから85%収率)を無色油状物として得た。
【0090】
重クロム酸ピリジニウム(PDC、8.92g、23.7mmol)およびAc2O(12.2mL、130mmol)をCH2Cl2(160mL)中のピバロイルエステル(10.8g、39.4mmol)に添加した。混合物を還流下で1.5時間加熱し、次いで減圧下濃縮した。残渣をEtOAc(30mL)に溶解し、EtOAcでの溶出によりシリカゲルパッドを通して濾過した。濾液を濃縮し、トルエンと共蒸発させて(2×)、Ac2Oを除去した。粗ケトン生成物(10.2g)を、無水ピリジン(75mL)中、ヒドロキシルアミンヒドロクロライド(18.15g、260mmol)と60℃で24時間撹拌した。混合物を減圧下濃縮し、残渣をEtOAcに溶解した。有機層を水で洗浄し、水性層をEtOAc(3×)で抽出した。合わせた有機層をMgSO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残存油状物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して(EtOAc/ヘキサン、1:3)、対応するオキシム(9.27g、2工程で82%収率)をsyn/anti異性体(70:30)の混合物として得た。無色油状物;
【表6】
【0091】
オキシム(2.88g、10mmol)を冷(0℃)THF(60mL)中で撹拌し、LiAlH4(THF中1.0M溶液、25mL、25mmol)を添加した。混合物を3時間還流し、室温で12時間撹拌し、次いでEtOAcでクエンチした。混合物をセライトで濾過した。濾液を濃縮し、残存油状物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して(MeOH/CH2Cl2、1:9)、アミン5(1.67g、88%)を黄色シロップとして得た。
【表7】
【0092】
実施例2。O−ベンジル−2,3−O,N−イソプロピリデン−3−アセトアミド−3−デオキシ−α−D−リボフラノシド(6)。
【化21】
【0093】
アミン5(1.67g、8.8mmol)を、ピリジン(10mL)中Ac2O(5mL)と室温で3時間撹拌した。反応をMeOH(5mL)の添加によりクエンチした。混合物を濃縮し、トルエンと共蒸発させて(3×)、Ac2Oおよびピリジンを除去した。残存固体サンプルをEtOAcから再結晶させて、アセチル化生成物(2.35g)を得た。トルエン(16mL)中のアセチル化生成物およびベンジルアルコール(5.84g、54mmol)の冷溶液(0℃)を、1,4−ジオキサン(7.5mL、30mmol)中HCl(4.0M)溶液で処理し、24時間、室温で撹拌した。反応混合物をEt2O(100mL)に注ぎ、飽和NaHCO3溶液(80mL)で0℃で中和した。有機層を分離し、水(3×)および塩水で洗浄した。合わせた水性洗液をEt2O(6×)で抽出した。有機抽出物を合わせ、MgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧下濃縮した。残存油状物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して(MeOH/CH2Cl2、1:19)、2.10g(2工程で85%収率)のジオール生成物O−ベンジル−3−アセトアミド−3−デオキシ−α−D−リボフラノシドを1H NMR分析により示される通り、アノマーの混合物(α/β=7:3)として得た。α−アノマーの分析サンプルを再シリカゲルクロマトグラフィー(MeOH/CH2Cl2、1:99)により得た、Rf=0.2。無色固体、mp 95−97℃;
【表8】
【0094】
トルエン(20mL)中のジオール(2.10g、α/βアノマーの混合物として7.5mmol)、2,2−ジメトキシプロパン(10mL)およびp−トルエンスルホン酸一水和物(〜0.2g)の溶液を80℃で4時間撹拌した。混合物を減圧下濃縮し、残渣をEt2Oから再結晶して、1H NMR分析により示す通りアノマーの混合物(α/β=7:3)として、アルコール6(2.17g、90%)を得た。α−アノマーの分析サンプルを再シリカゲルクロマトグラフィーにより得た(EtOAc/ヘキサン、1:9)。無色結晶、mp 82−85℃;
【表9】
【0095】
実施例3。エチル(O−ベンジル−2,3−O,N−イソプロピリデン−3−アセトアミド−3,5,6−トリデオキシ−6−ジエトキシホスホリル−D−リボ−ヘプトフラノシド)ウロネート(7a)。
【化22】
【0096】
CH2Cl2(20mL)中のアルコール6(2.17g、6.76mmol)およびピリジン(1.2mL、14.73mmol)の溶液を、−15℃で撹拌し、その間トリフルオロメタン硫酸無水物(Tf2O、1.49mL、8.86mmol)を30分間にわたり滴下した。混合物をさらに2時間、−15℃で撹拌し、MeOH(1mL)でクエンチし、連続的に氷水および冷水性KH2PO4溶液(1M)で洗浄した。水性層をEtOAc(3×)で抽出した。合わせた有機相をMgSO4で乾燥させ、濾過し、濃縮し、トルエンと共蒸発させて、ピリジンを除去した。粗トリフレート生成物(3.06g)をさらに精製することなく次工程に使用した。
【0097】
NaH(0.41g、10.2mmol;油中60%分散)を窒素雰囲気下無水ヘキサン(3×)で洗浄し、DMF(30mL)を添加し、0℃で氷浴中、撹拌した。DMF(10mL)中のトリエチルホスホノアセテート(1.95g、10.9mmol)溶液を30分間にわたり滴下した。氷浴を除き、混合物を2時間撹拌し、透明黄色溶液を得た。次いでDMF(10mL)中の上で製造したトリフレート(3.06g、−6.76mmol)、続いて2滴の15−クラウン−5を添加した。得られた溶液を室温で24時間撹拌し、0℃に冷却し、水性KH2PO4(lM溶液)でクエンチした。混合物をCH2Cl2(5×)で抽出した。合わせた有機層を水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧下濃縮した。残存褐色油状物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して(EtOAc/ヘキサン勾配、1:4〜1:1)、生成物7a(2.85g、6から80%収率)をα/βアノマー混合物として得た。
【0098】
α−アノマーの分析サンプルを再シリカゲルクロマトグラフィーにより調製した(EtOAc/ヘキサン、1:4)。TLC(MeOH/CFkCL、1:19)Rf=0.2;
【表10】
【0099】
実施例4。O−ベンジル−2,3−O,N−イソプロピリデン−3−アセトアミド−3,5,6−トリデオキシ−6,6−ビス(ジエトキシホスホリル)−D−リボ−ヘキソフラノース(7b)。
【化23】
【0100】
7aに類似した方法により、テトラエチルメチレンジホスホネート(3.14g、10.9mmol)を、DMF(35mL)中NaH(0.31g、7.75mmol;油中60%分散)で2時間処理し、次いで、アルコール6のトリフレート(DMF8mL中2.26g)で、15−クラウン−5(2滴)の存在下処理した。反応混合物を24時間、室温で撹拌し、後処理(worked up)し、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して(EtOAc/ヘキサン勾配、1:4〜1:1)、生成物7b(2.16g、6から73%収率)をα/βアノマー混合物として得た。α−アノマーの分析サンプルを再シリカゲルクロマトグラフィーにより調製した(MeOH/CH2Cl2、1:99)。TLC(MeOH/CH2Cl2、1:19)Rf=0.14;
【表11】
【0101】
実施例5。エチル(3S,4R,5R)−3,4−O,N−イソプロピリデン−4−アセトアミド−3,5−ジヒドロキシ−1−シクロヘキセン−1−カルボキシレート(8a)。
【化24】
【0102】
ホスホネート7a(2.85g、5.4mmol)を、24時間、室温で水素雰囲気下、エタノール(30mL)中Pd/C(0.5g)と撹拌することにより水素化分解に付した。混合物をセライトで濾過し、濾液を濃縮し、所望のラクトール(2.36g)を薄黄色シロップとして得た。窒素雰囲気下、THF(10mL)中のラクトール(2.36g)溶液を、THF(20mL)中のNaH(7.0mmol、ヘキサンで3回予洗した、0.28gの60%油分散)の懸濁液に滴下した。混合物を室温で1時間撹拌して、分子内ウィッティヒ・ホーナー・エモンズ反応を完了させた。混合物を0℃に冷却し、水性KH2PO4(1M溶液)でクエンチし、CH2Cl2(5×)で抽出した。合わせた有機層をMgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧下濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して(EtOAc/ヘキサン、1:1)、シクロヘキセンカルボキシレート8a(1.27g、7aから83%収率)を無色油状物として得た。TLC(EtOAc)Rf=0.3;
【表12】
【0103】
実施例6。ジエチル(3S,4R,5R)−3,4−O,N−イソプロピリデン−4−アセトアミド−3,5−ジヒドロキシ−1−シクロヘキセン−1−ホスホネート(8b)。
【化25】
【0104】
ビスホスホネート7b(3.55g、6mmol)を、室温で24時間、水素雰囲気下、エタノール(35mL)中Pd/C(1g)と撹拌した。混合物をセライトで濾過し、ナトリウムエトキシド(25mL、エタノール中21%)を濾液に添加した。反応混合物を5時間撹拌し、飽和水性NH4Cl溶液でクエンチし、減圧下濃縮した。残渣をCH2Cl2で希釈し、飽和水性NH4Cl溶液で洗浄した。水性層をCH2Cl2(3×)で抽出した。合わせた有機相をMgSO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して(MeOH/CH2Cl2、1:99)、シクロヘキセンホスホネート8b(1.67g、80%)を無色油状物として得た。
【0105】
実施例7。エチル(3S,4R,55)−4−アセトアミド−5−アジド−3−ヒドロキシ−1−シクロヘキセン−1−カルボキシレート(9a)。
【化26】
【0106】
THF(40mL)中の8a(1.27g、4.5mmol)、トリフェニルホスフィン(2.36g、9.0mmol)、ジイソプロピルアジドカルボキシレート(DIAD、1.82g、9.0mmol、新たに蒸留)およびジフェニルホスホリルアジド(DPPA、2.48g、9.0mmol)の溶液を、室温で48時間撹拌した。溶媒を減圧下回転蒸発により除去し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して(EtOAc/ヘキサン、1:3)、5S立体配置の対応するアジド生成物を得た(1.21g、87%収率)。無色固体、mp 91−93℃;
【表13】
エタノール(20mL)中のアジド化合物(1.21g、3.93mmol)を、水性HCl溶液(5mL、1M)と1時間加熱還流した。混合物を減圧下濃縮し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して(EtOAc)、生成物9a(1.01g、95%収率)を得た。無色固体、mp 51−53℃;
【表14】
【0107】
実施例8。ジエチル(3S,4R,55)−4−アセトアミド−5−アジド−3−ヒドロキシ−1−シクロヘキセン−1−ホスホネート(9b)。
【化27】
【0108】
9aに類似の方法により、化合物8b(1.67g、4.8mmol)を、THF(45mL)中、Ph3P(2.42g、9.2mmol)、新たに蒸留したDIAD(1.86g、9.2mmol)およびDPPA(2.54g、9.2mmol)で48時間、室温で処理して、フラッシュカラムクロマトグラフィー(60%EtOAc/ヘキサン、3:2)精製後対応するアジド生成物(1.39g、78%収率)を得た。EtOH/HCl(1M 水性溶液)中での還流による続く加水分解により、所望の生成物9b(1.18g、95%収率)を得て、それを10bの製造に直接使用した。
【0109】
実施例9。エチル(3R,4R,5S)−4−アセトアミド−5−アジド−3−ヒドロキシ−1−シクロヘキセン−1−カルボキシレート(10a)。
【化28】
【0110】
CH2Cl2(10mL)中の9a(53.7mg、2mmol)およびピリジン(1.3mL、16mmol)の冷(−15℃)溶液に、CH2Cl2(5mL)中のTf2O(0.67mL、4mmol)を滴下し、−15〜−10℃で2時間撹拌した。混合物を水性KH2PO4(1M溶液、2×)、飽和水性NaHCO3、水および塩水で洗浄した。有機層をMgSO4で乾燥させ、真空で濃縮して、対応するトリフラート(0.82g)を得た。トリフレートを、無水DMF(40mL)中、KNO2(85.6mg、10mmol)および18−クラウン−6(3滴)と24時間、40℃で撹拌した。反応の最後に、混合物をCH2Cl2で希釈し、塩水で洗浄した。有機層をMgSO4で乾燥させ、減圧下濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、4:1)で精製して、3R立体配置の生成物10a(0.3752g、70%収率)を得た。無色固体、mp 40−42℃;
【表15】
【0111】
実施例10。ジエチル(3R,4R,5S)−4−アセトアミド−5−アジド−3−ヒドロキシ−1−シクロヘキセン−1−ホスホネート(10b)。
【化29】
【0112】
10aに類似の方法により、上で製造した化合物9b(1.18g、3.55mmol)を、CH2Cl2(10mL)中、Tf2O(1.2mL、7.1mmol)およびピリジン(2.3mL、28.5mmol)と2時間、−15〜−10℃で撹拌して、対応するトリフラート(1.65g)を得て、それを続いて無水DMF(50mL)中KNO2(1.52g、17.3mmol)および18−クラウン−6(3滴)で、40℃で24時間処理して、3R立体配置を有する生成物10b(83.8mg、71%収率)を得た。無色油状物;
【表16】
【0113】
実施例11。エチル(3R,4R,5S)−4−アセトアミド−5−アジド−3−(1−エチルプロポキシ)−1−シクロヘキセン−1−カルボキシレート(11a).(Rohloff et al., J. Org. Chem. 1998, 63, 4545-4550.)
【化30】
【0114】
3−ペンチルトリクロロアセトイミデートを次の通り製造した。窒素雰囲気下、無水Et2O(14mL)中の3−ペンタノール(8.815g、100mmol)の溶液を、Et2O(10mL)に懸濁させたNaH(0.4g、10mmol;ヘキサンで予洗した60%油分散)に滴下した。混合物を10分間、室温で撹拌し、20分間にわたり、Et2O(20mL)中のトリクロロアセトニトリル(15mL、150mmol)の冷(−5℃)溶液に窒素雰囲気下滴下した。反応混合物を室温に温め、2時間撹拌した。溶媒除去後、残渣を、沈殿を得るために1分間激しく撹拌しながらMeOH/ヘキサン(1:19、10mL)でトリチュレートし、それを濾取し、冷ヘキサンで洗浄した。濾液を減圧下蒸発乾固し、3−ペンチルトリクロロアセトイミデート(16g、70%収率)を明褐色油状物として得た。TLC(EtOAc/ヘキサン、1:4)
【表17】
窒素雰囲気下、新たに調製した3−ペンチルトリクロロアセトイミデート(350mg、1.5mmol)およびCF3SO3H(13μL、0.15mmol)を、CH2Cl2(15mL)中のアルコール10a(321mg、1.2mmol)の溶液に添加した。反応混合物を室温で24時間撹拌し、その間にさらにイミデートおよびCF3SO3H(350mgおよび13μLmmol)を4時間毎に5回添加した。反応を水性NaHCO3溶液(5%)でクエンチした。水性層をCH2Cl2(2×)で抽出した。合わせた有機相を塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、真空で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して(EtOAc/ヘキサン、3:7)、アルキル化生成物11a(317mg、78%収率)を得た。無色固体、mp 115−117℃;
【表18】
【0115】
実施例12。ジエチル(3R,4R,5S)−4−アセトアミド−5−アジド−3−(1−エチルプロポキシ)−1−シクロヘキセン−1−ホスホネート(11b)。
【0116】
11aに類似の方法により、CF3SO3H(15.6μL、0.18mmol)、続いて他のバッチのイミデートおよびCF3SO3Hの存在下でのアルコール10b(498mg、1.5mmol)と3−ペンチルトリクロロアセトイミデート(420mg、1.8mmol)の反応により、アルキル化生成物11b(495mg、82%収率)を得た。無色油状物;
【表19】
【0117】
実施例13。エチル(3R,4R,5S)−4−アセトアミド−5−アミノ−3−(1−エチルプロポキシ)−1−シクロヘキセン−1−カルボキシレートホスフェート(1、タミフル(登録商標))。
【化31】
【0118】
エタノール(20mL)中のアジド11a(170mg、0.5mmol)を、リンドラー触媒(100mg)で、水素雰囲気下、16時間、室温で処理した。反応混合物をセライトで濾過し、エタノールで濯いだ。濾液を減圧下蒸発させて、無色泡状物(155mg)を得て、それをエタノール(3mL)に溶解し、ゆっくりと少しずつ、エタノール(5mL)中リン酸(85%、115mg、0.6mmol)の熱(55℃)溶液に添加した。結晶化が数分以内で起こった。0℃に冷却後、沈殿を濾過により回収し、冷アセトン(2×)で濯いで、1(187mg、91%収率)を得た。白色結晶、mp 189−191℃[lit. (Fukuta et al., J. Am. Chem. Soc. 2006,128, 6312-6313)mp 184−186℃];
【表20】
【0119】
実施例14。(3R,4R,55)−4−アセトアミド−5−アミノ−3−(1−エチルプロポキシ)−1−シクロヘキセン−1−カルボン酸(2、オセルタミビル)。
【化32】
【0120】
エタノール(15mL)中のアジド11a(110mg、0.3mmolの溶液を、リンドラー触媒(70mg)で、水素雰囲気下、16時間、室温で処理した。反応混合物をセライトで濾過し、エタノールで濯いだ。濾液を減圧下蒸発させて、無色泡状物(95mg)を得て、それをTHF(10mL)に溶解し、水性KOH溶液(1M、0.5mL、0.5mmol)で0℃で処理した。反応混合物を室温に温め、1時間撹拌した。その後、混合物をAmberlite IR-120でpH5に酸性化し、濾過し、水性エタノール(95%)で濯いだ。濾液を減圧下濃縮した。残渣をC18カラムで精製して(CH3CN/H2O、1:19)、2(75mg、88%収率)を得た。白色固体、mp 185−187℃;[α]D20=−143.2(c=0.4、H2O);
【表21】
【0121】
実施例15。アンモニウム(3R,4R,5S)−4−アセトアミド−5−アミノ−3−(1−エチルプロポキシ)−1−シクロヘキセン−1−ホスホネート(3、タミホスホル)。
【化33】
【0122】
エタノール(18mL)中のアジド11b(203mg、0.5mmol)の溶液を、リンドラー触媒(80mg)で、水素雰囲気下、16時間、室温で処理した。反応混合物をセライトで濾過し、エタノールで濯いだ。濾液を減圧下蒸発させて、無色泡状物(185mg)を得て、それをCHCl3(15mL)に溶解し、ブロモトリメチルシラン(2mL、15mmol)で0℃で処理した。反応混合物を室温に温め、24時間撹拌した。その後、混合物を減圧下濃縮した。残渣を水(10mL)に取り込み、2時間、室温で撹拌し、凍結乾燥に付した。残存薄黄色固体を、水性NH4HCO3(0.1M溶液)で溶出することによりC18カラムで精製して、アンモニウムホスホネート3(150mg、85%収率)を得た。白色固体、mp 240℃(分解);
【表22】
【0123】
実施例16。エチル(3R,4R,5S)−4−アセトアミド−5−[N2,N3−ビス(tert−ブトキシカルボニル)グアニジノ]−3−(1−エチルプロポキシ)−1−シクロヘキセン−1−カルボキシレート(12a)。
【化34】
【0124】
エタノール(20mL)中のアジド11a(150mg、0.41mmol)の溶液を、リンドラー触媒(80mg)で、水素雰囲気下、16時間、室温で処理した。反応混合物をセライトで濾過し、エタノールで濯いだ。濾液を減圧下蒸発させて、無色泡状物(110mg)を得て、それを無水DMF(20mL)に溶解し、N,N−ビス(tert−ブトキシカルボニル)チオウレア(148mg、0.51mmol)およびEt3N(148μL、1.03mmol)で処理した。混合物を0℃に冷却し、HgCl2(138mg、0.51mmol)をゆっくり添加した。懸濁液を室温に温め、10時間撹拌した。その後、反応をEtOAcで希釈し、セライトのパッドを通して濾過した。濾液を濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して(EtOAc/ヘキサン、3:7)、グアニジン12a(177mg、78%収率)を得た。無色泡状物;
【表23】
【0125】
実施例17。ジエチル(3R,4R,5S)−4−アセトアミド−5−[N2,N3−ビス(tert−ブトキシカルボニル)グアニジノ]−3−(1−エチルプロポキシ)−1−シクロヘキセン−1−ホスホネート(12b)。
【化35】
【0126】
エタノール(25mL)中のアジド11b(320mg、0.8mmol)の溶液を、リンドラー触媒(85mg)で、水素雰囲気下、16時間、室温で処理した。反応混合物をセライトで濾過し、エタノールで濯いだ。濾液を減圧下蒸発させて、無色泡状物(255mg)を得て、それを無水DMF(30mL)に溶解し、N,N−ビス(tert−ブトキシカルボニル)チオウレア(278mg、0.96mmol)およびEt3N(267μL、1.92mmol)で処理した。混合物を0℃に冷却し、HgCl2(260mg、0.96mmol)をゆっくり添加した。懸濁液を室温に温め、16時間撹拌した。その後、反応をEtOAcで希釈し、セライトのパッドを通して濾過した。濾液を濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して(MeOH/CH2Cl2、3:97)、グアニジン12b(287mg、58%収率)を得た。無色泡状物;
【表24】
【0127】
実施例18。(3R,4R,55)−4−アセトアミド−5−グアニジニル−3−(1−エチルプロポキシ)−1−シクロヘキセン−1−カルボン酸(13a)(Kim et al., J. Med. Chem. 1998, 41, 2451-2460.)。
【化36】
【0128】
水性KOH(1M溶液0.5mL)を、THF(10mL)中の12a(177mg、0.32mmol)の溶液に0℃で添加した。混合物を室温に温め、1時間撹拌し、続いてAmberlite IR-120(酸性樹脂)で処理した。混合物を濾過し、水性エタノール(95%)で濯いだ。濾液を能週した;残渣をCH2Cl2(10mL)に溶解し、0℃に冷却した。トリフルオロ酢酸(5mL)を滴下し、混合物を0℃で1時間撹拌した。その後、混合物を減圧下濃縮し、残渣をC18カラムで精製して(CH3CN/H2O、1:19)、酸13a(92mg、88%収率)を得た。オフホワイト色固体、mp 90−92℃;
【表25】
【0129】
実施例19。アンモニウム(3R,4R,5S)−4−アセトアミド−5−グアニジニル−3−(1−エチルプロポキシ)−1−シクロヘキセン−1−ホスホネート(13b)。
【化37】
【0130】
ブロモトリメチルシラン(5mL、38mmol)を、CHCl3(20mL)中の12b(287mg、0.46mmol)の冷(0℃)溶液に添加した。混合物を24時間、室温で撹拌し、次いで減圧下濃縮した。残渣を水(15mL)に取り込み、2時間、室温で撹拌し、凍結乾燥に付した。残渣をC18カラムで精製して(0.1M 水性NH4HCO3溶液)、アンモニウムホスホネート13b(132mg、72%収率)を得た。白色固体、mp 220−223℃;
【表26】
【0131】
実施例20。(3R,4R,5S)−4−アセトアミド−5−アミノ−3−ヒドロキシ−1−シクロヘキセン−1−カルボン酸(14a)(Kim et al., J. Med. Chem. 1998, 41, 2451-2460)。
【化38】
【0132】
エタノール(15mL)中のアジド10a(81mg、0.3mmol)を、リンドラー触媒(75mg)、水素雰囲気下で、16時間、室温で処理した。反応混合物をセライトで濾過し、エタノールで濯いだ。濾液を減圧下蒸発させて、無色泡状物(95mg)を得て、それをTHF(10mL)に溶解し、水性KOH溶液(1M溶液0.5mL)で0℃で処理した。混合物を室温に温め、1時間撹拌し、Amberlite IR-120でpH5に酸性化した。混合物を濾過し、水性エタノール(95%)で濯いだ。濾液を濃縮し、残渣をC18カラムで精製して(CH3CN/H2O、1:19)、酸14a(52mg、81%収率)を得た。白色固体、mp 220℃(分解);
【表27】
【0133】
実施例21。アンモニウム(3R,4R,5S)−4−アセトアミド−5−アミノ−3−ヒドロキシ−1−シクロヘキセン−1−ホスホネート(14b)。
【化39】
【0134】
エタノール(15mL)中のアジド10b(101mg、0.3mmol)の溶液を、リンドラー触媒(50mg)で、水素雰囲気下で16時間、室温処理した。反応混合物をセライトで濾過し、エタノールで濯いだ。濾液を減圧下蒸発させて、無色泡状物(90mg)を得て、それをCHCl3(10mL)に溶解し、ブロモトリメチルシラン(1mL、7.6mmol)で0℃で処理した。混合物を室温に温め、24時間撹拌し、減圧下濃縮した。残渣を水(10mL)に取り込み、2時間、室温で撹拌し、凍結乾燥に付した。残渣をC18カラムで精製して(0.1M 水性NH4HCO3溶液)、アンモニウムホスホネート14b(64mg、85%収率)をえ多。無色固体、mp 190−192℃;
【表28】
【0135】
実施例22。ウイルス。
A型インフルエンザ/WSN/1933(H1N1)(Dr. Shin-Ru Shih, Chang Gung University, Taiwanから)を、10日齢有胚鶏卵の尿膜腔で72時間培養し、スクロース勾配遠心により精製した。
【0136】
実施例23。細胞。
メイディン・ダービー・イヌ腎臓(MDCK)および293T細胞をAmerican Type Culture Collection(Manassas, Va)から得て、10%ウシ胎児血清(Gibco BRL)およびペニシリン−ストレプトマイシン(Gibco BRL)含有DMEM(ダルベッコ修飾イーグル培地、Gibco BRL)で、37℃で5%CO2下に増殖させた。
【0137】
実施例24。インフルエンザウイルスTCID50の測定。
TCID50(50%組織培養感染性用量)を、インフルエンザウイルス・ストックを、96ウェルマイクロプレート中、1×105細胞/mLの100μL MDCK細胞上に連続希釈することにより測定した。感染細胞を、37℃で5.0%CO2下、48時間インキュベートし、各ウェルに100μL/ウェルのCellTiter 96(登録商標)AQueous Non-Radioactive Cell Proliferation Assay試薬(Promega)を添加した。37℃で15分間インキュベーション後、490nmでの吸光度をプレート・リーダーで読んだ。インフルエンザウイルスTCID50を、Reed-Muench法を使用して決定した. (ReedおよびMuench, H. Am. J. Hyg. 1938, 27, 493-497)。
【0138】
実施例25。NAI評価のための組み換えノイラミニダーゼ酵素調製。
2種のN1群ノイラミニダーゼおよびそのH274Y突然変異体形態を製造した。各々A/WSN/1933(H1N1)およびA/Hanoi/30408/2005(H5N1)由来のNA(WNS)およびNA(Hanoi)のcDNAを、それぞれDr. King-Song Jeng(Institute of Molecular Biology, Academia Sinica)およびDr. Po-Huang Liang(Institute of Biological Chemistry, Academia Sinica)から得た。NA遺伝子をさらに変異誘発して、製造者の指示に従うGeneTailor Site-Directed Mutagenesis System(Invitrogen, CaI, USA)によりH274Y変異を導入した。NA(WSN)およびその突然変異体遺伝子をpC1neo(Promega, Wis, USA)にクローン化し、NA(Hanoi)およびその突然変異体遺伝子をpCDNA6(Invitrogen)にクローン化した。NA遺伝子のプラスミドDNAを293T細胞に感染させて、細胞表面に組み換えノイラミニダーゼを発現させた。トランスフェクト細胞を48時間目に集め、2回PBS(pH7.4)で洗浄し、ノイラミニダーゼ阻害剤の評価のために使用した。
【0139】
実施例26。NA活性の決定。
ノイラミニダーゼ活性を、A型インフルエンザ/WSN/1933(H1N1)感染有胚卵の希釈尿膜液を使用して測定した。蛍光アッセイを使用して、蛍光性基質2'−(4−メチルウンベリフェリル)−α−D−N−アセチルノイラミン酸(MUNANA;Sigma)でNA活性を測定した。遊離4−メチルウンベリフェロンの蛍光を、それぞれ365および460nmの励起および放出波長を使用して、Envisionプレート・リーダー(Perkin-Elmer, Wellesley, MA)で測定した。ノイラミニダーゼ活性を200μMのMUNANAで測定した。酵素活性を、15分間、室温でインキュベーション中の蛍光の増加として示した。
【0140】
実施例27。NA阻害剤のIC50およびKiの測定。
NA阻害を、阻害剤とノイラミニダーゼを10分間、室温で混合し、続いて200μMの基質を添加することにより測定した。阻害剤IC50値を、Graph Pad Prism 4を使用してNA活性阻害パーセントを阻害剤濃度に対してプロットすることによる用量応答曲線から決定した。阻害剤Ki値を式Ki=IC50/(1+[S]/Km)(Cheng, Y-C; Prusoff, W. H. Biochem. Pharmacol. 1973, 22, 3099-3108)により決定した(式中、[S]はIC50測定実験に使用した基質(MUNANA;Sigma)濃度であり、Kmは、最大の半分の速度を生じる基質濃度である)。Kmは、ミカエリス・メンテン式を使用したプロットにより決定した。
【0141】
実施例28。NA阻害剤のEC50およびCC50の測定。
ノイラミニダーゼ阻害剤の抗インフルエンザ活性を、H1N1 CPE活性の50%保護のためのNA阻害剤濃度であるEC50値により測定した。100 TCID50の50μL希釈H1N1を、種々の濃度の等量のNA阻害剤と混合した。混合物を使用して、96ウェル中1×105細胞/mLの100μLのMDCK細胞を感染させた。48時間、37℃で5.0%CO2下にインキュベーション後、細胞変性効果を、上記の通りCellTiter 96(登録商標)AQueous Non-Radioactive Cell Proliferation Assay試薬で測定した。阻害剤EC50をCPEパーセント対NA阻害剤濃度の曲線をGraph Pad Prism 4を使用してフィットさせることにより決定した。CC50値は、NA阻害剤のMDCK細胞に対する毒性を測定し、ウイルス感染がない以外、EC50決定に準じて決定した。
【0142】
実施例29。インビボアッセイ
雌BALB/cマウス(4−5週齢)をゾレチルで麻酔し、25μLの感染性インフルエンザウイルスを経鼻的に接種した。ホスホネート化合物3および3bおよびタミフルを、10匹のマウスの群に0.01、0.1、1.0および10mg/体重kg/日で、1日2回、5日間胃管栄養法により投与した。対照(プラセボ)マウスには、同じスケジュールで滅菌水を投与した。薬剤の最初の投与4時間後、マウスに10 MLD50のインフルエンザウイルス[A/WSN/33(H1N1)またはNIBRG−14(H5N1)]を接種した。マウスを、毎日14日間、生存および体重について観察した。平均生存率および平均体重の結果を表3および4に示す。個々の生存率および平均体重の結果を図9〜20に示す。
【0143】
実施例30。N1ノイラミニダーゼ阻害のコンピューターモデリング。
NAと複合体の化合物3のモデルを、化合物のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ(N1亜型、PDBコード:2HU4)結晶学的構造へのドッキングを介して構築した(Russell et al., Nature 2006, 443, 45-49)。化合物3の3次元構造を、SYBYL 7.3プログラムでオセルタミビル2(また2HU4から)の3次元構造を修飾することにより構築した。(SYBYL 7.3; The Tripos Associates: St. Louis, MO. SYBYL computation was conducted at the National Center for High Performance Computing, Taiwan.)。GOLD 3.1.1(Jones et al., J. MoI. Biol. 1995, 245, 43-53; Jones et al., J. MoI. Biol. 1997, 267, 727-748)を、柔軟性のあるドッキング・オプションを開始してタンパク質上に化合物3をドッキングさせるのに使用した。Kollmann−全原子電荷(Cornell et al., J. Am. Chem. Soc. 1995, 117, 5179-5197.)をこのタンパク質原子に割り当て、Gasteiger-Hueckel(Gasteiger and Marsili, Tetrahedron 1980, 36, 3219-3228.; MarsiliおよびGasteiger, Croat. Chem. Acta 1980, 53, 601-614; PurcellおよびSinger, J. Chem. Eng. Data 1967, 12, 235-246)電荷を、SYBYL 7.3プログラムを使用してリガンド原子に割り当てた(Jones et al., J. MoI. Biol. 1997, 267, 727-748)。計算の最初の1000個の独立した遺伝的アルゴリズムサイクルを、−180〜180度で変わるリガンドねじれ角で行った。検索効率を、ドッキング立体配座空間についての最も徹底的な検索を確実にするためにに設定した。他の全てのパラメータはデフォルトのセッティングと同じものを維持した。ドッキング・プロセスを、Intel(R)Xeon(TM)CPU 3.00 GHz CPU 40プロセッサーLinuxクラスターに分配した。得られたリガンド−タンパク質複合体構造を、GOLDSCORE構造スコアリング関数によりランク付けし、上位1000ヒットを決定した。上位配置の目視検査は、図1bに示す一致した構造が明白であることを確認した。この結果は、NAの鍵となるアルギニンと化合物3のホスフェート基の間の強い相補的静電気相互作用から判断して期待された。分子モデルをPyMOLソフトウェア(DeLano WL(2002)The PyMOL molecular graphics system San Carlos(California): DeLano Scientific)で表示させた。図1において、リガンドの7Å半径中心内のNA残基の側鎖における炭素原子を明確に示す。仮の水素結合ドナー−アクセプター対点線で繋ぐ。ホスホネート化合物3aの複合体は、オセルタミビル−NA複合体(6対リガンド−NA H−結合)と比較して、より多くの、NA活性部位における鍵となる残基との水素結合相互作用(8対リガンド−NA H−結合)を有する。
【0144】
実施例31。次の実施例合成法のための材料および生成物特徴付け
次の実施例について、全ての試薬は市販されており、特記しない限りさらに精製することなく使用した。全ての溶媒は特記しない限り無水グレードであった。ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(DIAD)を、Na2SO4減圧下で蒸留した。全ての非水性反応は、特記されない限り、わずかに陽圧のアルゴン下に、オーブン乾燥させたガラス容器で行った。反応を磁気撹拌し、シリカゲル薄層クロマトグラフィーでモニターした。フラッシュクロマトグラフィーを、60−200μm粒子径のシリカゲルで行った。収率は、分光的に純粋な化合物について報告する。を、Electrothermal MEL-TEMP(登録商標)1101D融点装置で記録し、補正していない。NMRスペクトルをBruker AVANCE 600および400分光計で記録した。化学シフトは、テトラメチルシラン(TMS)に対するδ値をもたらす;カップリング定数JはHzで示す。内部標準は1H−NMRスペクトルについてCDCl3(δH=7.24)、CD3OD(δH=3.31)またはD2O(δH=4.79)、13C−NMRスペクトルについてCDCl3(δc=77.0)またはCD3OD(δc=49.15)、および31P−NMRスペクトルについてD2O(δp=0.00)のH3PO4であった。分裂をs(1重項)、d(2重項)、t(3重項)、q(4重項)、m(多重項)、br(ブロード)およびdd(2個の2重項)として報告する。IRスペクトルをThermo Nicolet 380 FT-IR分光計で記録した。回転をPerkin-ElmerModel 341偏光計で記録した。[α]D値は、10-1 deg cm2 g-iの単位で示す。高解像度ESIマススペクトルをBruker Daltonics分光計で記録した。
【0145】
添付文書Aを、それが完全にここに記載されているように引用により包含させ、それは次の実施例に関連する。
【0146】
実施例31。N−[(1S,45,5R,6R)−3,6−ジブロモ−4,5−(イソプロピリデン−ジオキシ)シクロヘキシ−2−エン−1−イル]アセトアミド(19)。
【化40】
【0147】
アセトン(20mL)と2,2−ジメトキシプロパン(40mL)の混合物中のcis−ジヒドロジオール17(8.0g、42.1mmol)の冷(0℃)溶液を、p−トルエンスルホン酸一水和物(100mg、0.52mmol)で処理した。反応混合物を室温で30分間撹拌し、その後それをNaHCO3の飽和水性溶液(60mL)に添加することによりクエンチした。有機溶媒を減圧下除去し、残存水性相をEt2O(3×100mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を塩水(100mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、真空で濃縮し(加熱せず)、粗アセトニドを明黄色油状物として得た(8.92g)。
【0148】
乾燥アセトニトリル(250mL)中のN−ブロモアセトアミド(NBA、6.49g、47mmol)の溶液に、SnBr4(4.7mLのCH2Cl2中1M溶液、4.7mmol)および水(0.72mL、40mmol)を0℃で暗所で添加した。アセトニトリル(150mL)中の上で製造したアセトアミド(8.92g、38.8mmol)を1時間にわたりNBA−SnBr4混合物に同じ温度で滴下した。反応を8時間、0℃で激しく撹拌し、次いで飽和水性NaHCO3(100mL)およびNa2SO3(100mL)でクエンチした。得られた混合物を室温で30分間温めた。有機相の分離後、水性相をCH2Cl2(3×300mL)で抽出した。合わせた有機層を水(3×200mL)および塩水(300mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、真空で濃縮した。粗生成物をEt2O/CH2Cl2から再結晶して、ブロモアセトアミド19(11.66g、cis−ジヒドロジオール17から75%)を無色結晶固体として得た;m.p. 150−152℃(分解);
【表29】
【0149】
実施例32。(1S,45,5S,6S)−7−アセチル−3−ブロモ−4,5−イソプロピリデン−ジオキシ−7−アザビシクロ[4.1.0]ヘプト−2−エン(20)。
【化41】
【0150】
リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(35mLのTHF中1.0M溶液、35mmol)を、THF(150mL)中のブロモアセトアミド19(11.66g、31.8mmol)の撹拌している溶液に、−10℃で窒素雰囲気下滴下した。得られた溶液をを0℃に温め、30分間撹拌して、褐色懸濁液を得た。緩衝溶液(100mL、pH7)添加後、混合物をEt2O(4×150mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗アジリジン20(8.32g)をさらに精製することなく次工程に使用した。
【0151】
分析用の純粋サンプル20を、粗生成物のシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、2:3)により製造した。無色固体;m.p. 110−112℃;
【表30】
【0152】
実施例33。N−[(1S,2R,5S,6S)−4−ブロモ−2−(1−エチルプロポキシ)−5,6−(イソプロピリデンジオキシ)シクロヘキシ−3−エン−1−イル]アセトアミド(22)。
【化42】
【0153】
3−ペンタノール(50mL)中の粗アジリジン20(8.32g、28.8mmol)の溶液に、ホウ素トリフルオライドエーテラート(4.68mL、36mmol)を−10℃で滴下した。反応混合物を0℃に温め、6時間撹拌し、減圧下濃縮した。残渣をEtOAc(200mL)に溶解し、有機層を飽和水性NaHCO3(50mL)で洗浄した。水性層をEtOAc(3×100mL)で抽出し、合わせた有機層を水(200mL)および塩水(200mL)で洗浄した。有機抽出物をMgSO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残存油状物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して(EtOAc/ヘキサン、3:7)、エーテル生成物22(8.82g、20から73%)を無色泡状物として得た。
【表31】
【0154】
実施例34。N−[(1R,2R,5S,6S)−4−ブロモ−2−(1−エチルプロポキシ)−5,6−ジヒドロキシシクロヘキシ−3−エン−1−イル]アセトアミド(23)。
【化43】
【0155】
メタノール(100mL)中のアセトニド22(8.82g、23.4mmol)の溶液に、濃HCl溶液(2mL)を添加した。反応混合物を50℃で約6時間、TLC分析で完全な脱保護が示されるまで撹拌した。混合物を室温に冷却し、溶媒を減圧下蒸発させ、残存固体をEt2O/THFから再結晶して、ジヒドロキシアセトアミド23(7.42g、94%)を、無色結晶固体として得た;m.p. 131−133℃(分解);
【表32】
【0156】
実施例35。(1S,2R,5R,6S)−6−アセトアミド−2,3−ジブロモ−5−(1−エチル−プロポキシ)−シクロヘキシ−3−エン−1−イルアセテート(24)。
【化44】
【0157】
THF(150mL)中のジオール23(7.42g、22.1mmol)の撹拌している溶液に、0℃で窒素雰囲気下、α−アセトキシイソブチリルブロマイド(4.1mL、27.8mmol)を10分間にわたり滴下した。反応混合物を同じ温度で30分間撹拌し、撹拌しながら3.5時間室温に温めた。溶媒を蒸発させ、残存油状物をEtOAc(200mL)および5%水性NaHCO3(50mL)に分配した。有機層を水(100mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、濃縮して、粗ブロモアセテート24(9.05g)を得た。粗生成物をさらに精製することなく次工程に使用した。
【0158】
分析用純粋サンプル24を、粗生成物のシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、2:1)により得た。明黄色泡状物;
【表33】
【0159】
実施例36。N−[(1R,2R,6R)−4−ブロモ−2−(1−エチルプロポキシ)−6−ヒドロキシシクロヘキシ−3−エン−1−イル]アセトアミド(25)。
【化45】
【0160】
Super-Hydride(登録商標)(LiBHEt3、61.5mLのTHF中1M溶液、61.5mmol)を、THF(100mL)のブロモアセテート24(9.05g、20.5mmol)の撹拌している溶液に、0℃で窒素雰囲気に添加した。得られた溶液を室温に温め、2時間撹拌し、飽和水性NH4Cl(50mL)で処理した。水性層を分離し、EtOAc(6×100mL)で抽出した。合わせた有機層を水(2×200mL)および塩水(200mL)で洗浄した。有機相をMgSO4で乾燥させ、濾過し、濃縮して、明黄色泡状物の残渣を得た。粗生成物をEt2Oからの再結晶により精製して、ヒドロキシアセトアミド25(5.78g、ジオール23から82%)を白色結晶固体として得た;m.p. 102−104℃;
【表34】
【0161】
実施例37。N−[(1R,2R,6S)−4−ブロモ−2−(1−エチルプロポキシ)−6−アジド−シクロヘキシ−3−エン−1−イル]アセトアミド(26)およびN−[(1R,6R)−4−ブロモ−6−(1−エチルプロポキシ)シクロヘキサ−2,4−ジエン−1−イル]アセトアミド(27)。
【化46】
【0162】
THF(120mL)中の25(5.78g、18.1mmol)、トリフェニルホスフィン(9.96g、38.0mmol)、新たに蒸留したジイソプロピルアゾジカルボキシレート(7.68g、38.0mmol)およびジフェニルホスホリルアジド(10.51g、38.0mmol)の溶液を、40℃で24時間撹拌した。溶媒を減圧下回転蒸発により除去し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して(EtOAc/ヘキサン、1:2)、6S立体配置の対応するアジド生成物26(5.23g、84%収率)を、2%のジエン27の副生成物(108mg、0.36mmol)と共に得た。
【0163】
アジド26:白色固体、m.p. 138−140℃;
【表35】
【0164】
ジエン27:無色固体、m.p. 68−70℃;
【表36】
【0165】
実施例38。エチル(3R,4R,5S)−4−アセチルアミノ−5−アジド−3−(1−エチル−プロポキシ)−1−シクロヘキセン−1−カルボキシレート(28a)。
【化47】
【0166】
エタノール(3mL)およびTHF(15mL)中の26(349mg、1mmol)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(2.5mL、15.2mmol)およびビス(トリフェニルホスフィン)ジカルボニルニッケル(o)(960mg、1.5mmol)の溶液を、24時間、80℃で窒素雰囲気下に撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、溶媒を蒸発させた。残存油状物をEtOAc(20mL)で希釈し、混合物をセライトのパッドを通して濾過した。濾液を蒸発させて、明黄色油状物を得て、それをフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して(EtOAc/ヘキサン、3:7)、エステル28a(274mg、81%)を無色固体として得た;m.p. 115−117℃;
【表37】
【0167】
実施例39。ジエチル(3R,4R,5S)−4−アセトアミド−5−アジド−3−(1−エチル−プロポキシ)−1−シクロヘキセンホスホネート(28b)。
【化48】
【0168】
無水トルエン(50mL)中の26(1.72g、10mmol)、ジエチルホスファイト(2.07g、15mmol)および1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(3.37g、30mmol)の混合物を、窒素で10分間バブリングすることにより脱酸素し、次いで、窒素雰囲気下、丸底フラスコに入れられたテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(o)(867mg、0.75mmol)に添加した。得られた溶液を90まで徐々に加熱し、この温度を12時間維持した。反応混合物をセライトで濾過し、濾液を減圧下蒸発させて、無色泡状物(3.91g)、それをフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して(EtOAc/ヘキサン、1:1〜2:1)、ホスホネート28b(3.33g、83%)を無色油状物として得た。
【表38】
【0169】
実施例40。Tert−ブチル(1S,5R,6R)−6−アセトアミド−3−ブロモ−5−(1−エチルプロポキシ)シクロヘキシ−3−エン−1−イルカルバメート(29)。
【化49】
【0170】
無水アセトニトリル(30mL)中の2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(1.37g、6mmol)およびトリフェニルホスフィン(1.57g、6mmol)の混合物に、室温で、テトラブチルアンモニウムシアネート(1.71g、6mmol)を添加し、続いてアルコール25(1.58g、5mmol)を添加した。混合物を18時間、室温で、反応が完了するまで撹拌した。溶媒を蒸発させ、黒色残渣をtert−ブタノール(20mL)に溶解した。得られた溶液を24時間加熱還流した。溶媒を減圧下蒸発させ、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して(EtOAc/ヘキサン、3:7)、カルバメート29(1.63g、78%)を白色固体として得た;m.p. 153−155℃;
【表39】
【0171】
実施例41。エチル(3R,4R,5S)−4−アセトアミド−5−tert−ブトキシ−カルボニルアミノ−3−(1−エチルプロポキシ)−1−シクロヘキセンカルボキシレート(31a)。
【化50】
【0172】
n−ブタノール(35mL)中のビニルブロマイド29(2.11g、5mmol)、カリウムアイオダイド(1.66g、10mmol)およびヨウ化銅(I)(477mg、2.5mmol)の混合物を窒素で10分間バブリングすることにより脱酸素し、次いで窒素雰囲気下、丸底フラスコに入れられたN,N'−ジメチルエチレン(ethyene)ジアミン(54μL、0.5mmol)に添加した。反応混合物を24時間、120℃で撹拌した。室温に冷却後、溶媒を減圧下蒸発させた。残渣をEtOAc(50mL)および希水性アンモニア溶液(50mL)に分配した。有機相を水(3×30mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濃縮した。残渣をシリカゲルの短カラムを通して濾過し(EtOAc/ヘキサン、1:1)、粗ビニルアイオダイドの無色固体サンプルを得て、その30(2.29g)をさらに精製することなく次工程に使用した。
【0173】
酢酸パラジウム(II)(90mg、0.4mmol)を、無水エタノール(50mL)中の上で製造したビニルアイオダイド30(2.29g、4.9mmol)およびナトリウムアセテート(1.64g、20mmol)の溶液に添加した。反応混合物を24時間、室温で、一酸化炭素の雰囲気下に撹拌した。溶媒を蒸発させ、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して(EtOAc/ヘキサン、3:7)、31a(1.69g、29から82%)を白色固体として得た;m.p. 142−144℃ [lit. s3 m.p. 138−139℃];
【表40】
【0174】
実施例42。ジエチル(3R,4R,5S)−4−アセトアミド−5−tert−ブトキシ−カルボニルアミノ−3−(1−エチルプロポキシ)−1−シクロヘキセンホスホネート(31b)。
【化51】
【0175】
28bに類似の方法により、無水トルエン(50mL)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(o)(872mg、0.75mmol)中のビニルブロマイド29(4.21g、10mmol)、ジエチルホスファイト(2.12g、15mmol)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(3.43g、30mmol)の混合物を、90℃で12時間加熱した。反応混合物をセライトのパッドを通して濾過し、濾液をEtOAc(50mL)および水(30mL)に分配した。有機相を再び水(30mL)および塩水(30mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濃縮して、粗生成物を得て、それをEt2O/CH2Cl2からの再結晶により精製して、ホスホネート31b(4.05g、85%)を白色結晶固体として得た;m.p. 167−169℃;
【表41】
【0176】
実施例43。エチル(3R,4R,5S)−4−アセトアミド−5−アミノ−3−(1−エチル−プロポキシ)−1−シクロヘキセンカルボキシレートホスフェート(15・H3PO4、タミフル(登録商標))。
【化52】
【0177】
化合物31a(1.24g、3mmol)をエタノール(20mL)に溶解し、少しずつ、ゆっくり、リン酸(10mLのエタノール中1M溶液、10mmol)の熱(50℃)溶液に添加した。溶液を6時間、50℃で撹拌した。0℃に冷却後、沈殿を濾過により回収し、冷アセトン(3×5mL)で濯いで、タミフル(998mg、81%)を白色結晶として得た;m.p. 187−190℃ [lit. m.p. 184−186℃];
【表42】
【0178】
実施例44。アンモニウム(3R,4R,5S)−4−アセトアミド−5−アミノ−3−(1−エチルプロポキシ)−1−シクロヘキセンホスホネート(3、タミホスホル)。
【化53】
【0179】
ジエチル(Diethy)ホスホネート31b(2.38g、5mmol)をCH2Cl2(50mL)に溶解し、ブロモトリメチルシラン(6.67mL、50mmol)で0℃で処理した。反応混合物を室温に温め、18時間撹拌し、減圧下濃縮した。残渣を水(10mL)に取り込み、2時間、室温で撹拌し、凍結乾燥に付した。残存薄黄色固体残渣をEt2O(3×20mL)で洗浄し、白色固体を得て、それを水性NH4HCO3(0.1M溶液、20mL)に溶解し、1時間、室温で撹拌し、次いで凍結乾燥して、タミホスホル3(1.56g、88%収率)を白色固体として得た;m.p. 238−240℃(分解);
【表43】
【0180】
実施例45。エチル(3R,4R,5S)−4−アセトアミド−5−アミノ−3−(1−エチルプロポキシ)−1−シクロヘキセン−1−ホスホネートアンモニウム塩(3c)。
【化54】
【0181】
エタノール(50mL)中のジエチルエステル31b(1.43g、3mmol)の溶液を、エタノール中のナトリウムエタノエート(4.5mmol、4.5mLの1M溶液)で、窒素雰囲気下に処理した。混合物を16時間、室温で撹拌し、次いでAmberlite IR-120(H+形)で酸性化した。不均質溶液を40℃で2時間撹拌し、濾過し、真空で濃縮した。残存油状物を水(15mL)に取り込み、凍結乾燥に付した。残存無色固体を冷アセトン(20mL×3)で洗浄し、水性NH4HCO3(15mLの0.1M溶液)に溶解し、1時間、室温で撹拌し、次いで凍結乾燥して、タミホスホルモノエステルのアンモニウム塩3c(898mg、82%)を白色固体として得た。
【0182】
【表44】
【0183】
実施例46。エチル(3R,4R,5S)−4−アセトアミド−5−グアニジニル−3−(1−エチルプロポキシ)−1−シクロヘキセン−1−ホスホネートアンモニウム塩(13c)。
【化55】
エタノール(60mL)中のジエチルエステル12b(2.73g、4mmol)の溶液を、エタノール中のナトリウムエタノエート(6mmol、6mLの1M溶液)で、窒素雰囲気下に処理した。混合物を18時間、室温で処理し、次いでAmberlite IR-120(H+形)で酸性化した。不均質溶液を40℃で3時間撹拌し、濾過し、真空で濃縮した。残存油状物を水(15mL)に取り込み、凍結乾燥に付した。残存無色固体を冷アセトン(20mL×3)で洗浄し、水性NH4HCO3(15mLの0.1M溶液)に溶解し、1時間、室温で撹拌し、次いで凍結乾燥して、タミホスホルグアニジンモノエステルのアンモニウム塩13c(1.22g、75%)を白色固体として得た。
【0184】
【表45】
【0185】
実施例47。ジエチル(3R,4R,5S)−4−アセトアミド−5−アミノ−3−(1−エチルプロポキシ)−1−シクロヘキセン−1−ホスホネート(3b)。
【化56】
【0186】
エタノール(18mL)中のアジド11b(204mg、0.5mmol)を、リンドラー触媒(80mg)で、水素雰囲気下で16時間、室温で処理した。反応混合物をセライトで濾過し、エタノールで濯いだ。濾液を減圧下蒸発させて、無色泡状物(183mg)、それをフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して(MeOH/CH2Cl2、1:4)、ジエチルホスホネート3b(141mg、75%収率)を得た、明黄色油状物;
【表46】
【0187】
本組成物および方法を、現在最も実際的で、好ましい実施態様と考えられているものの観点で記載しているが、本発明は、開示の実施態様に限定される必要がないことは理解されるべきである。特許請求の範囲の精神および範囲内に包含される種々の修飾および類似の配置を包含することを意図し、特許請求の範囲の範囲は全てのかかる修飾および類似の構造が包含されるように最も広い解釈を与えるべきである。本開示は、添付の特許請求の範囲の任意のおよび全ての態様を包含する。
【図1a】
【図1b】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療的有効量の式I:
【化1】
〔式中、
AはPO(OR)(OR')であって、ここで、RおよびR'は独立してH、C1−C6アルキル、アリールおよびXから選択され、ここで、Xはアンモニウム、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、エタノール−アンモニウム、ジシクロヘキシルアンモニウム、グアニジニウム、エチレンジアンモニウムカチオン、リチウムカチオン、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、セシウムカチオン、ベリリウムカチオン、マグネシウムカチオン、およびカルシウムカチオン、亜鉛カチオンから成る群から選択されるカチオン性カウンターイオンであり;そして
R1はNH2、NH3+H2PO4−、またはNH(C=NH)NH2である。〕
および薬学的担体を含む、組成物。
【請求項2】
式Iが:
【化2】
【請求項3】
式Iが:
【化3】
である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
式Iが:
【化4】
である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
式Iが:
【化5】
である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
式Iが:
【化6】
である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
式Iが:
【化7】
である、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
式Iが:
【化8】
である、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
治療的有効量の少なくとも1種の:
【化9】
の少なくとも1個および薬学的担体を含む組成物。
【請求項10】
式I:
【化10】
〔式中、
AはPO(OR)(OR')であって、ここで、RおよびR'は独立してH、C1−C6アルキル、アリールおよびXから選択され、ここで、Xはアンモニウム、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、エタノール−アンモニウム、ジシクロヘキシルアンモニウム、グアニジニウム、エチレンジアンモニウムカチオン、リチウムカチオン、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、セシウムカチオン、ベリリウムカチオン、マグネシウムカチオン、およびカルシウムカチオン、亜鉛カチオンから成る群から選択されるカチオン性カウンターイオンであり;そして
R1はNH2、NH3+H2PO4−、またはNH(C=NH)NH2である。〕
の組成物を、少なくとも図3〜8のスキームの一つに従い製造する、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法による生成物。
【請求項12】
治療的有効量の式I:
【化11】
〔式中、
AはPO(OR)(OR')であって、ここで、RおよびR'は独立してH、C1−C6アルキル、アリールおよびXから選択され、ここで、Xはアンモニウム、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、エタノール−アンモニウム、ジシクロヘキシルアンモニウム、グアニジニウム、エチレンジアンモニウムカチオン、リチウムカチオン、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、セシウムカチオン、ベリリウムカチオン、マグネシウムカチオン、およびカルシウムカチオン、亜鉛カチオンから成る群から選択されるカチオン性カウンターイオンであり;そして
R1はNH2、NH3+H2PO4−、またはNH(C=NH)NH2である。〕
の組成物を提供する方法であって、ここで、該組成物は、ノイラミニダーゼの活性を阻害するために生物に投与するようにデザインされている、方法。
【請求項13】
生物が動物である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
生物がヒトである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
生物がインフルエンザ様症状を示す、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
式Iが
【化12】
である、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
式Iが
【化13】
である、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
式Iが
【化14】
である、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
式Iが
【化15】
である、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
式Iが
【化16】
である、請求項12に記載の方法。
【請求項21】
式Iが
【化17】
である、請求項12に記載の方法。
【請求項22】
式Iが
【化18】
である、請求項12に記載の方法。
【請求項23】
治療的有効量の:
【化19】
の少なくとも1個を提供することを含む方法であって、ここで、該組成物は、ノイラミニダーゼの活性を阻害するために生物に投与するようにデザインされている、方法。
【請求項24】
生物が動物である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
生物がヒトである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
生物がインフルエンザ様症状を示す、請求項23に記載の方法。
【請求項1】
治療的有効量の式I:
【化1】
〔式中、
AはPO(OR)(OR')であって、ここで、RおよびR'は独立してH、C1−C6アルキル、アリールおよびXから選択され、ここで、Xはアンモニウム、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、エタノール−アンモニウム、ジシクロヘキシルアンモニウム、グアニジニウム、エチレンジアンモニウムカチオン、リチウムカチオン、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、セシウムカチオン、ベリリウムカチオン、マグネシウムカチオン、およびカルシウムカチオン、亜鉛カチオンから成る群から選択されるカチオン性カウンターイオンであり;そして
R1はNH2、NH3+H2PO4−、またはNH(C=NH)NH2である。〕
および薬学的担体を含む、組成物。
【請求項2】
式Iが:
【化2】
【請求項3】
式Iが:
【化3】
である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
式Iが:
【化4】
である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
式Iが:
【化5】
である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
式Iが:
【化6】
である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
式Iが:
【化7】
である、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
式Iが:
【化8】
である、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
治療的有効量の少なくとも1種の:
【化9】
の少なくとも1個および薬学的担体を含む組成物。
【請求項10】
式I:
【化10】
〔式中、
AはPO(OR)(OR')であって、ここで、RおよびR'は独立してH、C1−C6アルキル、アリールおよびXから選択され、ここで、Xはアンモニウム、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、エタノール−アンモニウム、ジシクロヘキシルアンモニウム、グアニジニウム、エチレンジアンモニウムカチオン、リチウムカチオン、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、セシウムカチオン、ベリリウムカチオン、マグネシウムカチオン、およびカルシウムカチオン、亜鉛カチオンから成る群から選択されるカチオン性カウンターイオンであり;そして
R1はNH2、NH3+H2PO4−、またはNH(C=NH)NH2である。〕
の組成物を、少なくとも図3〜8のスキームの一つに従い製造する、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法による生成物。
【請求項12】
治療的有効量の式I:
【化11】
〔式中、
AはPO(OR)(OR')であって、ここで、RおよびR'は独立してH、C1−C6アルキル、アリールおよびXから選択され、ここで、Xはアンモニウム、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、エタノール−アンモニウム、ジシクロヘキシルアンモニウム、グアニジニウム、エチレンジアンモニウムカチオン、リチウムカチオン、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、セシウムカチオン、ベリリウムカチオン、マグネシウムカチオン、およびカルシウムカチオン、亜鉛カチオンから成る群から選択されるカチオン性カウンターイオンであり;そして
R1はNH2、NH3+H2PO4−、またはNH(C=NH)NH2である。〕
の組成物を提供する方法であって、ここで、該組成物は、ノイラミニダーゼの活性を阻害するために生物に投与するようにデザインされている、方法。
【請求項13】
生物が動物である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
生物がヒトである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
生物がインフルエンザ様症状を示す、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
式Iが
【化12】
である、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
式Iが
【化13】
である、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
式Iが
【化14】
である、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
式Iが
【化15】
である、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
式Iが
【化16】
である、請求項12に記載の方法。
【請求項21】
式Iが
【化17】
である、請求項12に記載の方法。
【請求項22】
式Iが
【化18】
である、請求項12に記載の方法。
【請求項23】
治療的有効量の:
【化19】
の少なくとも1個を提供することを含む方法であって、ここで、該組成物は、ノイラミニダーゼの活性を阻害するために生物に投与するようにデザインされている、方法。
【請求項24】
生物が動物である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
生物がヒトである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
生物がインフルエンザ様症状を示す、請求項23に記載の方法。
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【図10a】
【図10b】
【図11a】
【図11b】
【図12a】
【図12b】
【図13a】
【図13b】
【図14a】
【図14b】
【図15a】
【図15b】
【図16a】
【図16b】
【図17a】
【図17b】
【図18a】
【図18b】
【図19a】
【図19b】
【図20a】
【図20b】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【図58】
【図59】
【図60】
【図61】
【図62】
【図63】
【図64】
【図65】
【図66】
【図67】
【図68】
【図69】
【図70】
【図71】
【図72】
【図73】
【図74】
【図75】
【図76】
【図77】
【図78】
【図79】
【図80】
【図81】
【図82】
【図83】
【図84】
【図85】
【図86】
【図87】
【図88】
【図89】
【図90】
【図91】
【図92】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【図10a】
【図10b】
【図11a】
【図11b】
【図12a】
【図12b】
【図13a】
【図13b】
【図14a】
【図14b】
【図15a】
【図15b】
【図16a】
【図16b】
【図17a】
【図17b】
【図18a】
【図18b】
【図19a】
【図19b】
【図20a】
【図20b】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【図58】
【図59】
【図60】
【図61】
【図62】
【図63】
【図64】
【図65】
【図66】
【図67】
【図68】
【図69】
【図70】
【図71】
【図72】
【図73】
【図74】
【図75】
【図76】
【図77】
【図78】
【図79】
【図80】
【図81】
【図82】
【図83】
【図84】
【図85】
【図86】
【図87】
【図88】
【図89】
【図90】
【図91】
【図92】
【公表番号】特表2010−538019(P2010−538019A)
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−523180(P2010−523180)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【国際出願番号】PCT/US2008/074914
【国際公開番号】WO2009/029888
【国際公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Linux
【出願人】(596118493)アカデミア シニカ (33)
【氏名又は名称原語表記】ACADEMIA SINICA
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【国際出願番号】PCT/US2008/074914
【国際公開番号】WO2009/029888
【国際公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Linux
【出願人】(596118493)アカデミア シニカ (33)
【氏名又は名称原語表記】ACADEMIA SINICA
【Fターム(参考)】
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