説明

抗体およびその用途

【課題】GALPまたはその誘導体が関与する疾患等の治療剤、予防剤、診断剤の開発に有用なGALPまたはその誘導体に結合特異性を有する新規なモノクローナル抗体および該抗体を用いたGALPの定量法の提供。
【解決手段】特定アミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその誘導体のC端側の部分ペプチドに特異的に反応する抗体および該抗体を用いたGALPまたはその誘導体の定量方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配列番号:1、配列番号:2、または配列番号:3で表されるアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその誘導体のC端側の部分ペプチドに結合特異性を有する抗体に関する。更に詳しくは、抗原抗体反応に基づく配列番号:1、配列番号:2、または配列番号:3で表されるアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその誘導体の定量法の開発、配列番号:1、配列番号:2、または配列番号:3で表されるアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその誘導体が関与する疾患の診断および予防・治療剤の開発などに有用な抗体に関する。
【背景技術】
【0002】
多くのホルモンや神経伝達物質は細胞膜に存在する特異的なレセプターを通じて生体機能を調節している。これらのレセプターの多くは共役しているグアニンヌクレオチド結合性タンパク質(guanine nucleotide-binding protein、以下Gタンパク質と略称する)の活性化を通じて細胞内のシグナル伝達を行う。Gタンパク質共役型レセプターであるガラニン・レセプター・サブタイプ2(GALR2)に対するペプチド性リガンドとして、ブタ型のリガンド、ヒト型のリガンドおよびラット型のリガンドが取得されており(特許文献1 特開2000−157273号公報,WO99/48920号公報)、これらリガンドを、Galanin-like Peptide(GALP)と略称することもある(非特許文献1 J. Biol. Chem. 274巻, 37041頁, 1999年)。GALPは、ガラニン・レセプターに結合するガラニンに比べてGALR2に強い親和性を示し、そのレセプターの分布から幅広い生理作用を有することが推測される。GALPの生理的意義についてさらに詳細な研究が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−157273号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Journal of Biological Chemistry 274巻, 37041頁, 1999年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
GALPを簡便かつ高感度に検出・定量する測定系が切望されていた。
本発明は、GALPまたはその誘導体を感度よく特異的に定量することができる抗体(好ましくはモノクローナル抗体)、該抗体を用いるGALPまたはその誘導体の検出・定量法、およびこれを用いた診断薬などを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、[Cys43]ラット型GALP(43−60)を免疫原として、モノクローナル抗体を複数作製し、これらを組み合わせることにより、GALPまたはその誘導体を高感度にかつ特異的に検出し得る免疫測定法を開発した。即ち、keyhole limpet hemocyanin(キーホール・リンペット・ヘモシアニン、以下KLHと記載する。)と[Cys43]ラット型GALP(43−60)との複合体を免疫原としてGALPまたはその誘導体のC端部の部分ペプチドを認識するモノクローナル抗体(例、GR−1Ca)を得た。これらの抗体は、パーオキシダーゼ(HRP)標識化した[Cys43]ラット型(43−60)を用いる競合法免疫測定法では、GALPに対して極めて高い親和性を示した。さらに、この抗体と、すでに開発したGALPまたはその誘導体のN端側の部分ペプチドに特異的に反応する抗体GR2−1Na(特開2000−157273号公報)とを組み合わせることにより、GALPに対して極めて高感度なサンドイッチ−免疫測定法を与えることが明らかとなった。本発明により、GALPを簡便にかつ高感度に測定することが可能となり、血液、脳脊髄液および尿などの生体成分中のGALPの変動を測定することにより、GALPまたはその誘導体の生理機能の解明に大いに役立つ。
【0007】
本発明は、GALPまたはその誘導体のC端側の部分ペプチドに特異的に反応する抗体(好ましくは、モノクローナル抗体)、該モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞、該抗体およびハイブリドーマ細胞の製造法、すでに開発したGALPまたはその誘導体のN端側の部分ペプチドに特異的に反応する抗体(GR2−1Na)と組み合わせたサンドイッチ法等によるGALPおよびその誘導体の免疫測定法等を提供する。
【0008】
即ち、本発明は、
(1)配列番号:1、配列番号:2または配列番号:3で表されるアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその誘導体のC端側の部分ペプチドに特異的に反応する抗体、
(2)C端側の部分ペプチドが、配列番号:1、配列番号:2または配列番号:3で表されるアミノ酸配列の第44番目〜第53番目のアミノ酸配列を有するペプチドである上記(1)記載の抗体、
(3)C端側の部分ペプチドが、配列番号:1、配列番号:2または配列番号:3で表されるアミノ酸配列の第40番目〜第60番目、第41番目〜第60番目、第42番目〜第60番目、第43番目〜第60番目、第44番目〜第60番目、第45番目〜第60番目、第46番目〜第60番目、第47番目〜第60番目、第48番目〜第60番目、第49番目〜第60番目、第50番目〜第60番目、第44番目〜第54番目、第45番目〜第54番目、第46番目〜第54番目、第47番目〜第54番目、第48番目〜第54番目、第49番目〜第54番目または第50番目〜第54番目のアミノ酸配列を有するポリペプチドである上記(1)記載の抗体、
(4)標識化された上記(1)記載の抗体、
(5)モノクローナル抗体である上記(1)記載の抗体、
(6)GR−1C(FERM BP−7682)で標示されるハイブリドーマ細胞から産生され得るGR−1Caで標示される上記(5)記載のモノクローナル抗体、
(7)上記(5)記載のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞、
(8)GR−1C(FERM BP−7682)で標示される上記(7)記載のハイブリドーマ細胞、
(9)上記(7)記載のハイブリドーマ細胞を生体内または生体外で培養し、その体液または培養物から上記(5)記載のモノクローナル抗体を採取することを特徴とする上記(5)記載のモノクローナル抗体の製造法、
(10)上記(1)記載の抗体を含有してなる医薬、
(11)上記(1)記載の抗体を含有してなる診断薬、
(12)上記(1)記載の抗体を用いることを特徴とする配列番号:1、配列番号:2または配列番号:3で表されるアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその誘導体の定量法、
(13)上記(1)記載の抗体と配列番号:1、配列番号:2または配列番号:3で表されるアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその誘導体のN端側の部分ペプチドに特異的に反応する抗体とを用いることを特徴とする被検液中の配列番号:1、配列番号:2または配列番号:3で表されるアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその誘導体の定量法、
(14)(1)(i)担体上に不溶化した上記(1)記載の抗体、(ii)標識化された配列番号:1、配列番号:2または配列番号:3で表されるアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその誘導体のN端側の部分ペプチドに特異的に反応する抗体、および(iii)被検液を反応させた後、または(2)(i)担体上に不溶化した配列番号:1、配列番号:2または配列番号:3で表されるアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその誘導体のN端側の部分ペプチドに特異的に反応する抗体、(ii)標識化された上記(1)記載の抗体、および(iii)被検液を反応させた後、不溶化担体上の標識剤の活性を測定する、被検液中の配列番号:1、配列番号:2または配列番号:3で表されるアミノ酸配列を有するポリペプチまたはその誘導体の定量法、
(15)(1)(i)担体上に不溶化した上記(6)記載のモノクローナル抗体、(ii)標識化されたGR2−1N(FERM BP−6682)で標示されるハイブリドーマ細胞から産生され得るGR2−1Naで標示されるモノクローナル抗体および(iii)被検液を反応させた後、または(2)(i)担体上に不溶化したGR2−1N(FERM BP−6682)で標示されるハイブリドーマ細胞から産生され得るGR2−1Naで標示されるモノクローナル抗体、(ii)標識化された上記(6)記載のモノクローナル抗体、および(iii)被検液を反応させた後、不溶化担体上の標識剤の活性を測定する上記(14)記載の定量法、
(16)上記(1)記載の抗体、被検液および標識化された配列番号:1、配列番号:2または配列番号:3で表されるアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその誘導体とを競合的に反応させ、該抗体に結合した標識化された配列番号:1、配列番号:2または配列番号:3で表されるアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその誘導体の割合を測定することを特徴とする、被検液中の配列番号:1、配列番号:2または配列番号:3で表されるアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその誘導体の定量法、
(17)上記(1)記載の抗体を用いることを特徴とする配列番号:1、配列番号:2または配列番号:3で表されるアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその誘導体が関与する疾患の診断法、
(18)上記(1)記載の抗体を用いることを特徴とする肥満症、不妊症、膠原病またはリウマチ性疾患の診断法などに関する。
【0009】
本明細書におけるタンパク質(ポリペプチド)は、ペプチド標記の慣例に従って、左端がN末端(アミノ末端)、右端がC末端(カルボキシル末端)である。配列番号:1、配列番号:2または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列を有するポリペプチドをはじめとする、本発明で用いられるタンパク質は、C末端がカルボキシル基、カルボキシレート、アミドまたはエステルの何れであってもよい。
配列番号:1、配列番号:2または配列番号:3で表されるアミノ酸配列を有するポリペプチド(以下、GALPと称することもある。)としては、アミノ酸60残基からなるラット型、ヒト型、ブタ型のポリペプチドなどが挙げられる(以下、本発明のペプチドと称することもある)。
【0010】
本発明で用いられるGALPの誘導体としては、例えば、配列番号:1、配列番号:2または配列番号:3で表されるアミノ酸配列の一部のアミノ酸残基が、置換可能な基によって置換されたもの、アミノ酸残基の一部が欠失したもの、アミノ酸残基などが付加・挿入されたものなどが挙げられる。
配列番号:1、配列番号:2または配列番号:3で表されるアミノ酸配列を有するポリペプチドの誘導体の例としては、(1)上記アミノ酸配列中の1または2個以上(好ましくは、1〜10個程度、さらに好ましくは数個(1〜5個)、より好ましくは、1、2または3個)のアミノ酸が欠失したもの、(2)上記アミノ酸配列に1または2個以上(好ましくは、1〜20個程度、より好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数個(1〜5個)、さらに好ましくは、1、2または3個)のアミノ酸が付加したもの、(3)上記アミノ酸配列に1または2個以上(好ましくは、1〜20個程度、より好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数個(1〜5個)、さらに好ましくは、1、2または3個)のアミノ酸が挿入されたもの、または(4)上記アミノ酸配列中の1または2個以上(好ましくは、1〜10個程度、より好ましくは数個(1〜5個)、さらに好ましくは、1、2または3個)のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたものが挙げられる。
【0011】
本発明で用いられるGALPまたはその誘導体のN端側の部分ペプチドまたはC端側の部分ペプチドとしては、配列番号:1、配列番号:2または配列番号:3で表されるアミノ酸配列を有するポリペプチドにおいて、その一部のアミノ酸残基が欠失したもの、一部のアミノ酸残基が置換可能な基(例、Cys、水酸基など)によって置換されたもの、その一部のアミノ酸残基が欠失し、かつ一部のアミノ酸残基が置換可能な基(例、Cys、水酸基など)によって置換されたものなども挙げられる。
【0012】
GALPまたはその誘導体のC端側の部分ペプチドの例としては、GALPまたはその誘導体のN端側の約42〜54残基が欠失したものが挙げられる。
より具体的には、該C端側の部分ペプチドとしては、配列番号:1、配列番号:2または配列番号:3で表されるアミノ酸配列の
(i)第40番目〜第60番目のアミノ酸配列を有するポリペプチド、
(ii)第41番目〜第60番目のアミノ酸配列を有するポリペプチド、
(iii)第42番目〜第60番目のアミノ酸配列を有するポリペプチド、
(iv)第43番目〜第60番目のアミノ酸配列を有するポリペプチド、
(v)第44番目〜第60番目のアミノ酸配列を有するポリペプチド、
(vi)第45番目〜第60番目のアミノ酸配列を有するポリペプチド、
(vii)第46番目〜第60番目のアミノ酸配列を有するポリペプチド、
(viii)第47番目〜第60番目のアミノ酸配列を有するポリペプチド、
(ix)第48番目〜第60番目のアミノ酸配列を有するポリペプチド、
(x)第49番目〜第60番目のアミノ酸配列を有するポリペプチド、
(xi)第50番目〜第60番目のアミノ酸配列を有するポリペプチド、
(xii)第44番目〜第54番目のアミノ酸配列を有するポリペプチド、
(xiii)第45番目〜第54番目のアミノ酸配列を有するポリペプチド、
(xiv)第46番目〜第54番目のアミノ酸配列を有するポリペプチド、
(xv)第47番目〜第54番目のアミノ酸配列を有するポリペプチド、
(xvi)第48番目〜第54番目のアミノ酸配列を有するポリペプチド、
(xvii)第49番目〜第54番目のアミノ酸配列を有するポリペプチド、
(xviii)第50番目〜第54番目のアミノ酸配列を有するポリペプチド、および
(xix)これらのポリペプチドの一部のアミノ酸残基(例、1個)が置換可能な基によって置換されたものなどが挙げられる。
【0013】
GALPまたはその誘導体のN端側の部分ペプチドの例としては、GALPまたはその誘導体のC端側の約40〜50残基が欠失したものが挙げられる。
N端側の部分ペプチドとしては、配列番号:1、配列番号:2または配列番号:3で表されるアミノ酸配列の
(i)第1番目〜第4番目のアミノ酸配列を有するポリペプチド、
(ii)第1番目〜第5番目のアミノ酸配列を有するポリペプチド、
(iii)第1番目〜第6番目のアミノ酸配列を有するポリペプチド、
(iv)第1番目〜第7番目のアミノ酸配列を有するポリペプチド、
(v)第1番目〜第8番目のアミノ酸配列を有するポリペプチド、
(vi)第1番目〜第9番目のアミノ酸配列を有するポリペプチド、および
(vii)これらのポリペプチドの一部のアミノ酸残基(例、1個)が置換可能な基によって置換されたものなどが挙げられる。
【0014】
本発明のGALPまたはその誘導体のC端側の部分ペプチドに特異的に反応する抗体は、GALPまたはその誘導体のC端側の部分ペプチド(好ましくは、配列番号:2で表されるペプチドのC端側の部分ペプチド)に特異的に反応するものであればよい。このような抗体としては、配列番号:1、配列番号:2または配列番号:3で表されるアミノ酸配列の(i)第40番目〜第60番目のアミノ酸配列を有するポリペプチド、(ii)第41番目〜第60番目のアミノ酸配列を有するポリペプチド、(iii)第42番目〜第60番目のアミノ酸配列を有するポリペプチド、(iv)第43番目〜第60番目のアミノ酸配列を有するポリペプチド、(v)第44番目〜第60番目のアミノ酸配列を有するポリペプチド、(vi)第45番目〜第60番目のアミノ酸配列を有するポリペプチド、(vii)第46番目〜第60番目のアミノ酸配列を有するポリペプチド、(viii)第47番目〜第60番目のアミノ酸配列を有するポリペプチド、(ix)第48番目〜第60番目のアミノ酸配列を有するポリペプチド、(x)第49番目〜第60番目のアミノ酸配列を有するポリペプチド、(xi)第50番目〜第60番目のアミノ酸配列を有するポリペプチド、(xii)第44番目〜第54番目のアミノ酸配列を有するポリペプチド、(xiii)第45番目〜第54番目のアミノ酸配列を有するポリペプチド、(xiv)第46番目〜第54番目のアミノ酸配列を有するポリペプチド、(xv)第47番目〜第54番目のアミノ酸配列を有するポリペプチド、(xvi)第48番目〜第54番目のアミノ酸配列を有するポリペプチド、(xvii)第49番目〜第54番目のアミノ酸配列を有するポリペプチド、(xviii)第50番目〜第54番目のアミノ酸配列を有するポリペプチド、および(xix)これらのポリペプチドの一部のアミノ酸残基(例、1個)が置換可能な基によって置換されたものなどに特異的に反応する抗体が挙げられる。
【0015】
本発明のGALPまたはその誘導体のC端側の部分ペプチドに特異的に反応する抗体としては、モノクローナル抗体がより好ましい。より具体的な本発明のGALPまたはその誘導体のC端側の部分ペプチドに特異的に反応する抗体としては、[Cys43]ラット型GALP(43−60)に特異的に反応する抗体などが挙げられる。なお、[Cys43]ラット型GALP(43−60)は、配列番号:1で表されるアミノ酸配列の第43番目〜第60番目までのアミノ酸配列であり、かつこのアミノ酸配列の第43番目をCysに置き換えたアミノ酸配列を有するポリペプチドを意味する。このような抗体としては、さらにGALPまたはその誘導体のC端側の部分ペプチドに特異的に反応するが、N端側の部分ペプチドには反応しない抗体がより好ましい。
本発明のGALPまたはその誘導体のC端側の部分ペプチドに特異的に反応する抗体の例としては、GR−1C(FERM BP−7682)で標示されるハイブリドーマ細胞から産生され得るGR−1Caで標示されるモノクローナル抗体が挙げられる。
このように、本発明のGALPまたはその誘導体のC端側の部分ペプチドに特異的に反応する抗体は、上記したGALPまたはその誘導体のC端側の特定のアミノ酸配列を認識することにより、GALPまたはその誘導体と反応することができる。
【0016】
GALPまたはその誘導体のN端側の部分ペプチドに特異的に反応する抗体は、GALPまたはその誘導体のN端側の部分ペプチドに特異的に反応するものであればよい。このような抗体としては、配列番号:1、配列番号:2または配列番号:3で表されるアミノ酸配列の(i)第1番目〜第4番目のアミノ酸配列を有するポリペプチド、(ii)第1番目〜第5番目のアミノ酸配列を有するポリペプチド、(iii)第1番目〜第6番目のアミノ酸配列を有するポリペプチド、(iv)第1番目〜第7番目のアミノ酸配列を有するポリペプチド、(v)第1番目〜第8番目のアミノ酸配列を有するポリペプチド、(vi)第1番目〜第9番目のアミノ酸配列を有するポリペプチド、および(vii)これらのポリペプチドの一部のアミノ酸残基(例、1個)が置換可能な基によって置換されたものなどに特異的に反応する抗体が挙げられる。本発明のGALPまたはその誘導体のN端側の部分ペプチドに特異的に反応する抗体としては、モノクローナル抗体がより好ましい。
より具体的な抗体としては、ラット型GALP(1−9)(配列番号:1で表されるアミノ酸配列の第1番目〜第9番目までのアミノ酸配列を有するポリペプチド)に特異的に反応する抗体が挙げられる。このような抗体としては、さらにGALPまたはその誘導体のN端側の部分ペプチドに特異的に反応するが、C端側の部分ペプチドには反応しない抗体がより好ましい。GALPまたはその誘導体のN端側の部分ペプチドに特異的に反応する抗体の例としては、GR2−1N(FERM BP−6682)で標示されるハイブリドーマ細胞から産生され得るGR2−1Naで標示されるモノクローナル抗体が挙げられる(特開2000−157273)。
このように、GALPまたはその誘導体のN端側の部分ペプチドに特異的に反応する抗体は、上記したGALPまたはその誘導体のN端側の特定のアミノ酸配列を認識することにより、GALPまたはその誘導体と反応することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の抗体は、GALPまたはその誘導体が関与する疾患等の治療剤、予防剤、診断剤の開発に有用である。本発明の抗体を含むハイブリドーマ細胞を用いることにより、本発明の抗体は工業的に生産することが可能である。また、本発明の抗体を含有してなる医薬(特に診断薬)は、GALPまたはその誘導体が関与する疾患・症状〔例、LH分泌不全に関係する疾患(例、肥満症、不妊症、月経不順、月経困難症、無月経症、月経前症候群、更年期障害、下垂体機能不全など)、LH過剰分泌に関係する疾患(例、前立腺癌、前立腺肥大症、子宮内膜症、思春期早発症、卵巣癌、LH産生下垂体腫瘍など)、痴呆、糖尿病、免疫疾患〔例、膠原病(例、全身性エリテマトーデス、強皮症(全身性硬化症)、皮膚筋炎、慢性関節リウマチ、リウマチ熱、結節性多発動脈炎など)、リウマチ性疾患(例、変形性関節症、外傷性関節炎、痛風、偽痛風、潰瘍性大腸炎、血友病)、炎症、重症筋無力症、糸球体腎炎、多発性硬化症、シェーグレン症候群、インスリン抵抗性糖尿病など〕、水・電解質代謝異常(例、頻尿、低ナトリウム血症、高ナトリウム血症、低カリウム血症、高カリウム血症、代謝性アルカローシスなど)など〕の診断等に有用である。また、本発明の抗体を用いることにより、GALPまたはその誘導体の量を高い感度で測定することができる。このため、本発明の定量法は、GALPまたはその誘導体が関与する疾患・症状〔例、LH分泌不全に関係する疾患(例、肥満症、不妊症、月経不順、月経困難症、無月経症、月経前症候群、更年期障害、下垂体機能不全など)、LH過剰分泌に関係する疾患(例、前立腺癌、前立腺肥大症、子宮内膜症、思春期早発症、卵巣癌、LH産生下垂体腫瘍など)、痴呆、糖尿病、免疫疾患〔例、膠原病(例、全身性エリテマトーデス、強皮症(全身性硬化症)、皮膚筋炎、慢性関節リウマチ、リウマチ熱、結節性多発動脈炎など)、リウマチ性疾患(例、変形性関節症、外傷性関節炎、痛風、偽痛風、潰瘍性大腸炎、血友病)、炎症、重症筋無力症、糸球体腎炎、多発性硬化症、シェーグレン症候群、インスリン抵抗性糖尿病など〕、水・電解質代謝異常(例、頻尿、低ナトリウム血症、高ナトリウム血症、低カリウム血症、高カリウム血症、代謝性アルカローシスなど)など〕の診断、予防または治療に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】[Cys43]ラット型GALP(43−60)−KLH複合体を免疫したマウスの抗血清中の抗体価の測定結果を表す。
【図2】[Cys43]ラット型GALP(43−60)−KLH複合体を免疫したマウス由来のハイブリドーマが、抗体を産生している状態(吸光分析の結果)を表す。
【図3】GR−1Caの競合法−EIAの結果を表す。
【図4】GR−2Caの競合法−EIAの結果を表す。
【図5】GR−1Caのサンドイッチ法−EIAの測定結果を表す。
【図6】ラット血漿のサンドイッチ法−EIAの測定結果を表す。
【図7】実施例8のサンドイッチ法−EIAの測定結果を表す。縦軸の値は平均値±標準誤差を表す。
【図8】実施例8のサンドイッチ法−EIAの測定結果を表す。縦軸の値は平均値±標準誤差を表す。**;p<=0.01
【図9】実施例9のサンドイッチ法−EIAの測定結果を表す。縦軸の値は平均値±標準誤差を表す。**;p<=0.01
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、GALPまたはその誘導体のC端側の部分ペプチドに特異的に反応する抗体(以下、本発明の抗体と称することもある)の抗原の調製法、および該抗体の製造法について説明する。
【0020】
(1)抗原の調製
本発明の抗体を調製するために使用される抗原としては、例えばGALPまたはその誘導体、GALPと同一の抗原決定基を1種あるいは2種以上有する合成ペプチドなど何れのものも使用することができる(以下、これらを単にGALP抗原と称することもある)。
GALPまたはその誘導体は、(a)ヒト、サル、ラット、マウス、ブタなどの哺乳動物の組織または細胞から公知の方法あるいはそれに準ずる方法を用いて調製、(b)ペプチド・シンセサイザー等を使用する公知のペプチド合成方法で化学的に合成、あるいは(c)GALPまたはその誘導体をコードするDNAを含有する形質転換体を培養することによって製造することができる。
【0021】
(a)該哺乳動物の組織または細胞からGALP抗原を調製する場合は、その組織または細胞をホモジナイズした後、酸、またはアルコールなどで抽出を行い、得られた抽出液を、塩析、透析、ゲル濾過、逆相クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーなどのクロマトグラフィーを組み合わせることにより精製単離し、GALP抗原を調製できる。
(b)GALP抗原を化学的に合成する場合に用いられる、合成ペプチドとしては、例えば天然より精製したGALP抗原と同一の構造を有するものや、GALPなどのアミノ酸配列において3個以上、好ましくは6個以上のアミノ酸からなる任意の箇所のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を1種あるいは2種以上含有するペプチドなどが挙げられる。
(c)DNAを含有する形質転換体を用いて該GALPまたはその誘導体を製造する場合、該DNAは、公知のクローニング方法(例えば、Molecular Cloning(2nd ed.;J. Sambrook et al., Cold Spring HarborLab. Press, 1989)に記載の方法など)に従って作成することができる。該クローニング方法とは、(1)GALPまたはその誘導体のアミノ酸配列に基づきデザインしたDNAプローブまたはDNAプライマーを用い、cDNAライブラリーからハイブリダイゼーション法により該GALPまたはその誘導体をコードするDNAを含有する形質転換体を得る方法、または(2)該GALPまたはその誘導体のアミノ酸配列に基づきデザインしたDNAプライマーを用い、PCR法により該GALPまたはその誘導体をコードするDNAを含有する形質転換体を得る方法などが挙げられる。
【0022】
GALP抗原としてのペプチドは、(1)公知のペプチドの合成法に従って、または(2)配列番号1:、配列番号:2または配列番号:3で表されるアミノ酸配列を有するペプチドを適当なペプチダーゼで切断することによって調製することができる。
ペプチドの合成法としては、例えば固相合成法、液相合成法のいずれによっても良い。すなわち、該ペプチドを構成し得る部分ペプチド、またはアミノ酸と残余部分とを縮合させ、生成物が保護基を有する場合は保護基を脱離することにより目的のペプチドを製造することができる。公知の縮合方法や保護基の脱離としてはたとえば、以下の(i)または(ii)に記載された方法等が挙げられる。
(i)M. Bodanszky および M.A. Ondetti、ペプチド シンセシス (PeptideSynthesis), Interscience Publishers, New York (1966年)
(ii)SchroederおよびLuebke、ザ ペプチド(The Peptide), Academic Press,New York (1965年)
また、反応後は通常の精製法、例えば、溶媒抽出、蒸留、カラムクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、再結晶などを組み合わせて該ペプチドを精製単離することができる。上記方法で得られるペプチドが遊離体である場合は、公知の方法によって適当な塩に変換することができ、逆に塩で得られた場合は、公知の方法によって遊離体に変換することができる。
【0023】
ペプチドのアミド体は、アミド形成に適した市販のペプチド合成用樹脂を用いて得ることができる。そのような樹脂としては、例えば、クロロメチル樹脂、ヒドロキシメチル樹脂、ベンズヒドリルアミン樹脂、アミノメチル樹脂、4−ベンジルオキシベンジルアルコール樹脂、4−メチルベンズヒドリルアミン樹脂、PAM樹脂、4−ヒドロキシメチルメチルフェニルアセトアミドメチル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、4−(2',4'−ジメトキシフェニル−ヒドロキシメチル)フェノキシ樹脂、4−(2',4'−ジメトキシフェニル−Fmocアミノエチル)フェノキシ樹脂などが挙げるられる。このような樹脂を用い、α−アミノ基と側鎖官能基を適当に保護したアミノ酸を、目的とするペプチドの配列通りに、公知の各種縮合方法に従い、樹脂上で縮合させる。反応の最後に樹脂からペプチドを切り出すと同時に各種保護基を除去し、目的のペプチドを取得する。あるいはクロロトリチル樹脂、オキシム樹脂、4−ヒドロキシ安息香酸系樹脂等を用い、部分的に保護したペプチドを取り出し、更に常套手段で保護基を除去し目的のペプチドを得ることもできる。
【0024】
上記した保護されたアミノ酸の縮合に関しては、ペプチド合成に使用できる各種活性化試薬を用いることができるが、カルボジイミド類が好ましく用いられる。このようなカルボジイミド類としてはDCC、N,N'−ジイソプロピルカルボジイミド、N−エチル−N'−(3−ジメチルアミノプロリル)カルボジイミドなどが挙げられる。各種活性化試薬による活性化にはラセミ化抑制添加剤(例えば、HOBt、HOOBtなど)とともに保護されたアミノ酸を直接樹脂に添加するかまたは、対称酸無水物またはHOBtエステルあるいはHOOBtエステルとしてあらかじめ保護されたアミノ酸の活性化を行ったのちに樹脂に添加することができる。保護されたアミノ酸の活性化や樹脂との縮合に用いられる溶媒としては、ペプチド縮合反応に使用しうることが知られている溶媒から適宜選択されうる。そのような溶媒としては、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどの酸アミド類、塩化メチレン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素類、トリフルオロエタノールなどのアルコール類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、ピリジンなどの三級アミン類、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類あるいはこれらの適宜の混合物などが保護されたアミノ酸の活性化や樹脂との縮合に用いられる溶媒として用いられる。反応温度はペプチド結合形成反応に使用され得ることが知られている範囲から適宜選択され、通常約−20℃〜約50℃の範囲から適宜選択される。活性化されたアミノ酸誘導体は通常約1.5ないし約4倍過剰で用いられる。ニンヒドリン反応を用いたテストの結果、縮合が不十分な場合には保護基の脱離を行うことなく縮合反応を繰り返すことにより十分な縮合を行うことができる。反応を繰り返しても十分な縮合が得られないときには、無水酢酸またはアセチルイミダゾールを用いて未反応アミノ酸をアセチル化して、後の反応に影響を及ぼさないようにすることができる。
【0025】
原料アミノ酸のアミノ基の保護基としては、例えば、Z、Boc、ターシャリーペンチルオキシカルボニル、イソボルニルオキシカルボニル、4−メトキシベンジルオキシカルボニル、Cl−Z、Br−Z、アダマンチルオキシカルボニル、トリフルオロアセチル、フタロイル、ホルミル、2−ニトロフェニルスルフェニル、ジフェニルホスフィノチオイル、Fmocなどが挙げられる。カルボキシル基の保護基としては、たとえばC1-6アルキル基、C3-8シクロアルキル基、C7-14アラルキル基の他、2−アダマンチル、4−ニトロベンジル、4−メトキシベンジル、4−クロロベンジル、フェナシル基およびベンジルオキシカルボニルヒドラジド、ターシャリーブトキシカルボニルヒドラジド、トリチルヒドラジドなどが挙げられる。
セリンおよびスレオニンの水酸基は、たとえばエステル化またはエーテル化によって保護することができる。このエステル化に適する基としては例えばアセチル基などの低級(C1-6)アルカノイル基、ベンゾイル基などのアロイル基、ベンジルオキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などの炭酸から誘導される基などが挙げられる。また、エーテル化に適する基としては、たとえばベンジル基、テトラヒドロピラニル基、ターシャリーブチル基などである。
チロシンのフェノール性水酸基の保護基としては、たとえばBzl、Cl−Bzl、2−ニトロベンジル、Br−Z、ターシャリーブチルなどが挙げられる。
ヒスチジンのイミダゾールの保護基としては、Tos、4−メトキシ−2,3,6−トリメチルベンゼンスルホニル、DNP、Bom、Bum、Boc、Trt、Fmocなどが挙げられる。
原料のカルボキシル基の活性化されたものとしては、たとえば対応する酸無水物、アジド、活性エステル[アルコール(たとえば、ペンタクロロフェノール、2,4,5−トリクロロフェノール、2,4−ジニトロフェノール、シアノメチルアルコール、パラニトロフェノール、HONB、N−ヒドロキシスクシミド、N−ヒドロキシフタルイミド、HOBt)とのエステル]などが挙げられる。原料のアミノ基の活性化されたものとしては、たとえば対応するリン酸アミドが挙げられる。
【0026】
保護基の除去(脱離)方法としては、たとえばPd−黒またはPd−炭素などの触媒の存在下での水素気流中での接触還元や、また、無水フッ化水素、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸あるいはこれらの混合液などによる酸処理や、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、ピペリジン、ピペラジンなどによる塩基処理、また液体アンモニア中ナトリウムによる還元なども挙げられる。上記酸処理による脱離反応は一般に−20℃〜40℃の温度で行われるが、酸処理においてはアニソール、フェノール、チオアニソール、メタクレゾール、パラクレゾール、ジメチルスルフィド、1,4−ブタンジチオール、1,2−エタンジチオールのようなカチオン捕捉剤の添加が有効である。また、ヒスチジンのイミダゾール保護基として用いられる2,4−ジニトロフェニル基はチオフェノール処理により除去され、トリプトファンのインドール保護基として用いられるホルミル基は上記の1,2−エタンジチオール、1,4−ブタンジチオールなどの存在下の酸処理による脱保護以外に、希水酸化ナトリウム、希アンモニアなどによるアルカリ処理によっても除去される。
原料の反応に関与すべきでない官能基の保護および保護基、ならびにその保護基の脱離、反応に関与する官能基の活性化などは公知の基あるいは公知の手段から適宜選択しうる。
【0027】
ペプチドのアミド体を得る別の方法としては、まず、カルボキシル末端アミノ酸のα−カルボキシル基をアミド化し、その後、アミノ基側にペプチド鎖を所望の鎖長まで延ばした後に、該ペプチド鎖のN末端のα−アミノ基の保護基のみを除いたペプチドとC末端のカルボキシル基の保護基のみを除いたペプチド(またはアミノ酸)とを製造し、この両ペプチドを上記したような混合溶媒中で縮合させる方法が挙げられる。縮合反応の詳細については上記と同様である。縮合により得られた保護ペプチドを精製した後、上記方法によりすべての保護基を除去し、所望の粗ペプチドを得ることができる。この粗ペプチドは既知の各種精製手段を駆使して精製し、主要画分を凍結乾燥することで所望のペプチドのアミド体を得ることができる。
ペプチドのエステル体を得るにはカルボキシ末端アミノ酸のα−カルボキシル基を所望のアルコール類と縮合しアミノ酸エステルとした後、ペプチドのアミド体と同様にして所望のペプチドのエステル体を得ることができる。
【0028】
GALP抗原は、不溶化したものを直接免疫することもできる。また、GALP抗原を適当な担体に結合または吸着させた複合体を免疫してもよい。該担体(キャリアー)とGALP抗原(ハプテン)との混合比は、担体に結合あるいは吸着させたGALP抗原に対して抗体が効率よくできれば、どのようなものをどのような比率で結合あるいは吸着させてもよく、通常ハプテンに対する抗体の作製にあたり常用されている高分子担体を重量比でハプテン1に対し0.1〜100の割合で使用することができる。このような高分子担体としては、天然の高分子担体や合成の高分子担体が挙げられる。天然の高分子担体としては、例えばウシ、ウサギ、ヒトなどの哺乳動物の血清アルブミンや例えばウシ、ウサギなどの哺乳動物のチログロブリン、例えばウシ、ウサギ、ヒト、ヒツジなどの哺乳動物のヘモグロビン、KHLヘモシアニンなどが用いられる。
合成の高分子担体としては、例えばポリアミノ酸類、ポリスチレン類、ポリアクリル類、ポリビニル類、ポリプロピレン類などの重合物または供重合物などの各種ラテックスなどを用いることができる。
また、ハプテンとキャリアーのカプリングには、種々の縮合剤を用いることができる。縮合剤としては、例えば、チロシン、ヒスチジン、トリプトファンを架橋するビスジアゾ化ベンジジンなどのジアゾニウム化合物、アミノ基同士を架橋するグルタルアルデビトなどのジアルデヒド化合物、トルエン−2,4−ジイソシアネートなどのジイソシアネート化合物、チオール基同士を架橋するN,N'-o-フェニレンジマレイミドなどのジマレイミド化合物、アミノ基とチオール基を架橋するマレイミド活性エステル化合物、アミノ基とカルボキシル基とを架橋するカルボジイミド化合物などが好都合に用いられる。また、アミノ基同士を架橋する際にも、一方のアミノ基にジチオピリジル基を有する活性エステル試薬(例えば、SPDPなど)を反応させた後還元することによりチオール基を導入し、他方のアミノ基にマレイミド活性エステル試薬によりマレイミド基を導入後、両者を反応させることもできる。
【0029】
(2)モノクローナル抗体の作製
GALP抗原は、温血動物に対して、例えば腹腔内注入、静脈注入、皮下注射などの投与方法によって、抗体産生が可能な部位にそれ自体単独であるいは担体、希釈剤と共に投与される。投与に際して抗体産生能を高めるため、完全フロイントアジュバントや不完全フロイントアジュバントを投与してもよい。投与は、通常2〜6週毎に1回ずつ、計2〜10回程度行われる。温血動物としては、例えばサル、ウサギ、イヌ、モルモット、マウス、ラット、ヒツジ、ヤギ、ニワトリなどがあげられるが、モノクローナル抗体作製にはマウスが好ましく用いられる。
【0030】
モノクローナル抗体の作製に際しては、GALP抗原を免疫された温血動物、たとえばマウスから抗体価の認められた個体を選択し最終免疫の2〜5日後に脾臓またはリンパ節を採取し、それらに含まれる抗体産生細胞を骨髄腫細胞と融合させることにより、抗GALPモノクローナル抗体産生ハイブリドーマを調製することができる。血清中の抗GALP抗体価の測定は、例えば後記の標識化GALPと抗血清とを反応させた後、抗体に結合した標識剤の活性を測定することによりなされる。融合操作は既知の方法、例えばケーラーとミルスタインの方法〔ネイチャー(Nature)、256、495(1975)〕に従い実施できる。融合促進剤としては、ポリエチレングリコール(PEG)やセンダイウィルスなどが挙げられ、好ましくはPEGなどが用いられる。骨髄腫細胞としてはたとえばNS−1、P3U1、SP2/0、AP−1などがあげられ、P3U1などが好ましく用いられる。用いられる抗体産生細胞(脾臓細胞)数と骨髄細胞数との好ましい比率は、通常1:1〜20:1程度であり、PEG(好ましくはPEG1000〜PEG6000)が10〜80%程度の濃度で添加され、通常20〜40℃、好ましくは30〜37℃で通常1〜10分間インキュベートすることにより効率よく細胞融合を実施できる。
【0031】
抗GALP抗体産生ハイブリドーマのスクリーニングには種々の方法が使用できるが、例えばGALPまたはその誘導体またはそれらの部分ペプチドを直接あるいは担体とともに吸着させた固相(例、マイクロプレート)にハイブリドーマ培養上清を添加し、次に放射性物質や酵素などで標識した抗免疫グロブリン抗体(細胞融合に用いられる細胞がマウスの場合、抗マウス免疫グロブリン抗体が用いられる)またはプロテインAを加え、固相に結合した抗GALPモノクローナル抗体を検出する方法、抗免疫グロブリン抗体またはプロテインAを吸着させた固相にハイブリドーマ培養上清を添加し、放射性物質や酵素などで標識したGALPを加え、固相に結合したGALPモノクローナル抗体を検出する方法などが挙げられる。抗GALPモノクローナル抗体のスクリーニング、育種は、通常HAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン)を添加して、10〜20%牛胎児血清を含む動物細胞用培地(例、RPMI1640)で行われる。ハイブリドーマ培養上清の抗体価は、上記の抗血清中の抗GALP抗体価の測定と同様にして測定できる。
【0032】
抗GALPモノクローナル抗体の分離精製は、通常のポリクローナル抗体の分離精製と同様に免疫グロブリンの分離精製法(例、塩析法、アルコール沈殿法、等電点沈殿法、電気泳動法、イオン交換体(例、DEAE)による吸脱着法、超遠心法、ゲルろ過法、抗原結合固相あるいはプロテインAあるいはプロテインGなどの活性吸着剤により抗体のみを採取し、結合を解離させて抗体を得る特異的精製法など)に従って行われる。
以上のようにして、ハイブリドーマ細胞を温血動物の生体内または生体外で培養し、その体液または培養物から抗体を採取することによって、本発明の抗体を製造することができる。
GALPまたはその誘導体のN端側の部分ペプチドに特異的に反応する抗体は、上記の製造法に準じて製造でき、あるいは、公知の方法、例えば特開2000−157273号公報に記載の方法に従っても製造できる。
【0033】
本発明の抗体は、ヒト型GALP、ラット型GALPおよびブタ型GALPまたはそれらの誘導体を感度良く定量することができる。
以下に、GALPまたはその誘導体の定量法(免疫測定法)など、本発明の抗体の用途について、詳細に説明する。
(1)GALPまたはその誘導体の定量法
本発明の抗体を用いることにより、GALPの測定あるいは組織染色などによる検出を行なうことができる。これらの目的には、抗体分子そのものを用いてもよく、また抗体分子のF(ab')2、Fab'あるいはFab画分などを用いてもよい。
本発明の抗体を用いる測定法は、特に制限されるものではなく、被測定液中の抗原量(例えば、GALP量)に対応した抗体、抗原もしくは抗体−抗原複合体の量を化学的または物理的手段により検出し、これを既知量の抗原を含む標準液を用いて作製し算出する測定法であれば、いずれの測定法を用いてもよい。
このような測定法としては、例えば、サンドイッチ法、競合法、イムノメトリック法、ネフロメトリーなどが用いられるが、感度、特異性の点で後述するサンドイッチ法、競合法がより好ましく、特にサンドイッチ法が好ましい。
【0034】
(1)サンドイッチ法
サンドイッチ法は、担体上に不溶化した本発明の抗体、標識化された本発明の抗体および被検液を反応させた後、標識剤の活性を測定することにより被検液中のGALPまたはその誘導体を定量する定量法である。
サンドイッチ法として、好ましくは、
(i)担体上に不溶化したGALPまたはその誘導体のN端側の部分ペプチドに特異的に反応する抗体、標識化されたGALPまたはその誘導体のC端側の部分ペプチドに特異的に反応する抗体および被検液を反応させた後、標識剤の活性を測定することを特徴とする被検液中のGALPまたはその誘導体の定量法、
(ii)担体上に不溶化したGALPまたはその誘導体のC端側の部分ペプチドに特異的に反応する抗体、標識化されたGALPまたはその誘導体のN端側の部分ペプチドに特異的に反応する抗体および被検液を反応させた後、標識剤の活性を測定することを特徴とする被検液中のGALPまたはその誘導体の定量法などが挙げられる。
さらに好ましいサンドイッチ法として、(iii)GALPまたはその誘導体のN端側の部分ペプチドに特異的に反応する抗体が、GR2−1Naで標示されるモノクローナル抗体であり、GALPまたはその誘導体のC端側の部分ペプチドに特異的に反応する抗体が、GR−1Caで標示されるモノクローナル抗体である上記(i)または(ii)の定量法が挙げられる。
【0035】
サンドイッチ法においては、不溶化したGALPまたはその誘導体のC端側の部分ペプチドに特異的に反応する抗体またはGALPまたはその誘導体のN端側の部分ペプチドに特異的に反応する抗体に被検液を反応(1次反応)させ、さらに標識化されたGALPまたはその誘導体のC端側の部分ペプチドに特異的に反応する抗体またはGALPまたはその誘導体のN端側の部分ペプチドに特異的に反応する抗体を反応(2次反応)させた後、不溶化担体上の標識剤の活性を測定することにより、被検液中のGALP量を定量することができる。1次反応と2次反応は同時に行なってもよいし時間をずらして行なってもよい。標識化剤および不溶化の方法は、前記のそれらに準じることができる。また、サンドイッチ法による免疫測定法において、固相用抗体あるいは標識用抗体に用いられる抗体は必ずしも1種類である必要はなく、測定感度を向上させる等の目的で2種類以上の抗体の混合物を用いてもよい。サンドイッチ法によるGALPの測定法においては、例えば、1次反応で用いられる抗体がGALPまたたその誘導体のC端側の部分ペプチドを認識する場合は、2次反応で用いられる抗体はC端側の部分ペプチド以外(即ち、N端側)を認識する抗体が好ましく、1次反応で用いられる抗体がGALPまたはその誘導体のN端側の部分ペプチドを認識する場合は、2次反応で用いられる抗体は、N端側の部分ペプチド以外(即ち、C端側)を認識する抗体が好ましく用いられる。
このような抗体の具体例としては、[Cys43]ラット型GALP(43−60)を免疫原として作製したモノクローナル抗体と、GALP(1−9)を免疫原として作製したモノクローナル抗体とが用いられる。これらの抗体は、西洋ワサビパーオキシダーゼ(HRP)で標識化されて用いられることが好ましい。
【0036】
(2)競合法
競合法は、本発明の抗体、被検液および標識化されたGALPまたはその誘導体とを競合的に反応させ、該抗体に結合した標識化されたGALPまたはその誘導体の割合を測定することにより、被検液中のGALPまたはその誘導体を定量する定量法である。
競合法による被検液中のGALPまたはその誘導体を定量は、例えば、固相化法を用いて行うことが好ましい。
固相化法の具体例としては、抗マウスIgG抗体(ICN/CAPPEL社製)を固相化抗体として用い、この固相化抗体の存在するプレートに、(i)本発明の抗体(例、GR−1Ca)、(ii)HRPで標識化された配列番号:1、配列番号:2または配列番号:3で表わされるペプチド、および(iii)被検液を添加し、反応後、固相に吸着したHRP活性を測定し、GALPまたはその誘導体を定量する方法が挙げられる。
【0037】
(3)イムノメトリック法
イムノメトリック法では、被検液中の抗原と固相化抗原とを一定量の標識化された本発明の抗体に対して競合反応させた後固相と液相を分離するか、あるいは被検液中の抗原と過剰量の標識化された本発明の抗体とを反応させ、次に固相化抗原を加え未反応の標識化された本発明の抗体を固相に結合させた後、固相と液相を分離する。次に、いずれかの相の標識量を測定し被検液中の抗原量を定量する。
【0038】
(4)ネフロメトリー
ネフロメトリーでは、ゲル内あるいは溶液中で抗原抗体反応の結果生じた不溶性の沈降物の量を測定する。被検液中の抗原量が僅かであり、少量の沈降物しか得られない場合にもレーザーの散乱を利用するレーザーネフロメトリーなどが好適に用いられる。
【0039】
上記(1)〜(4)の定量法において、標識物質を用いる測定法に用いられる標識剤としては、特に限定されるものではないが、放射性同位元素、酵素、蛍光物質、発光物質などが用いられる。放射性同位元素としては、特に限定されるものではないが、例えば[125I]、[131I]、[3H]、[14C]などが好ましい。上記酵素としては、特に限定されるものではないが、安定で比活性の大きなものが好ましく、例えばβ−ガラクトシダーゼ、β−グルコシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、パーオキシダーゼ、リンゴ酸脱水素酵素などが挙げられる。上記蛍光物質としては、特に限定されるものではないが、例えばフルオレスカミン、フルオレッセンイソチオシアネートなどが挙げられる。上記発光物質としては、特に限定されるものではないが、例えばルミノール、ルミノール誘導体、ルシフェリン、ルシゲニンなどが挙げられる。さらに、抗体と標識剤との結合には、ビオチン−アビジン系の化合物を用いることもできる。
【0040】
抗原あるいは抗体の不溶化にあたっては、物理吸着を用いてもよく、また通常タンパク質あるいは酵素等を不溶化、固定化するのに用いられる化学結合を用いる方法でもよい。担体としては、例えばアガロース、デキストラン、セルロースなどの不溶性多糖類、例えばポリスチレン、ポリアクリルアミド、シリコンなどの合成樹脂あるいはガラスなどが挙げられる。
【0041】
これら個々の免疫学的測定法を本発明法に適用するにあたっては、特別の条件、操作等の設定は必要とされない。それぞれの方法における通常の条件、操作法に当業者の通常の技術的配慮を加えてGALPまたはその誘導体の測定系を構築すればよい。これらの一般的な技術手段の詳細については、総説、成書などを参照することができる(例えば、入江 寛編「ラジオイムノアッセイ」(講談社、昭和49年発行)、入江 寛編「続ラジオイムノアッセイ」(講談社、昭和54年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(医学書院、昭和53年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第2版)(医学書院、昭和57年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第3版)(医学書院、昭和62年発行)、「Methods in ENZYMOLOGY」 Vol. 70(Immunochemical Techniques(Part A))、同書 Vol.73(Immunochemical Techniques(Part B))、同書 Vol. 74(Immunochemical Techniques(Part C))、同書 Vol. 84(Immunochemical Techniques(PartD:Selected Immunoassays))、同書 Vol. 92(Immunochemical Techniques(Part E:Monoclonal Antibodies and GeneralImmunoassay Methods))、同書 Vol. 121(Immunochemical Techniques(Part I:Hybridoma Technology and MonoclonalAntibodies))(以上、アカデミックプレス社発行)など参照)。以上のように、本発明の抗体は、GALPまたはその誘導体を感度良く定量することができ、GALPの生理機能の解明およびGALPが関与する疾患・症状の予防・治療や診断に有用である。
【0042】
GALPは、血中LH濃度の特異的な上昇作用(LH分泌促進作用)を有し、その反応性はレプチンレセプターに異常が見られるZucker fattyラットにおいて亢進する。
本発明の抗体を用いて体液中(血液、血漿、血清、尿など)に含まれるGALPまたはその誘導体の量を測定することにより、GALPまたはその誘導体が関与する疾患〔例、LH分泌不全に関係する疾患(例、肥満症、不妊症、月経不順、月経困難症、無月経症、月経前症候群、更年期障害、下垂体機能不全など)、LH過剰分泌に関係する疾患(例、前立腺癌、前立腺肥大症、子宮内膜症、思春期早発症、卵巣癌、LH産生下垂体腫瘍など)、痴呆、糖尿病、免疫疾患〔例、膠原病(例、全身性エリテマトーデス、強皮症(全身性硬化症)、皮膚筋炎、慢性関節リウマチ、リウマチ熱、結節性多発動脈炎など)、リウマチ性疾患(例、変形性関節症、外傷性関節炎、痛風、偽痛風、潰瘍性大腸炎、血友病)、炎症、重症筋無力症、糸球体腎炎、多発性硬化症、シェーグレン症候群、インスリン抵抗性糖尿病など〕、水・電解質代謝異常(例、頻尿、低ナトリウム血症、高ナトリウム血症、低カリウム血症、高カリウム血症、代謝性アルカローシスなど)など〕などを診断することができる。また、本発明の抗体は、体液や組織などの被検体中に存在するGALPまたはその誘導体を検出するためにも使用することができる。また、GALPまたはその誘導体を精製するために使用する抗体カラムの作製、精製時の各分画中のGALPまたはその誘導体の検出、被検細胞内におけるGALPまたはその誘導体の挙動の分析などのために使用することもできる。
【0043】
(2)本発明の抗体を含有してなる医薬
上述のとおり、本発明の抗体は、例えば、GALPまたはその誘導体が関与する疾患〔例、LH分泌不全に関係する疾患(例、肥満症、不妊症、月経不順、月経困難症、無月経症、月経前症候群、更年期障害、下垂体機能不全など)、LH過剰分泌に関係する疾患(例、前立腺癌、前立腺肥大症、子宮内膜症、思春期早発症、卵巣癌、LH産生下垂体腫瘍など)、痴呆、糖尿病、免疫疾患〔例、膠原病(例、全身性エリテマトーデス、強皮症(全身性硬化症)、皮膚筋炎、慢性関節リウマチ、リウマチ熱、結節性多発動脈炎など)、リウマチ性疾患(例、変形性関節症、外傷性関節炎、痛風、偽痛風、潰瘍性大腸炎、血友病)、炎症、重症筋無力症、糸球体腎炎、多発性硬化症、シェーグレン症候群、インスリン抵抗性糖尿病など〕、水・電解質代謝異常(例、頻尿、低ナトリウム血症、高ナトリウム血症、低カリウム血症、高カリウム血症、代謝性アルカローシスなど)など〕などの予防・治療剤または診断剤などの医薬として使用することができる。
【0044】
本発明の抗体を含有してなる予防・治療剤は低毒性であり、そのまま液剤として、または適当な剤型の医薬組成物として、ヒトまたは哺乳動物(例、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して非経口的または経口的に投与することができる。
本発明の抗体は、それ自体を投与しても良いし、または適当な医薬組成物として投与しても良い。投与に用いられる医薬組成物としては、本発明の抗体およびその塩と薬理学的に許容され得る担体、希釈剤もしくは賦形剤とを含むものであっても良い。このような医薬組成物は、経口または非経口投与に適する剤形として提供される。
非経口投与のための組成物としては、例えば、注射剤、坐剤等が用いられ、注射剤は静脈注射剤、皮下注射剤、皮内注射剤、筋肉注射剤、点滴注射剤等の剤形を包含しても良い。このような注射剤は、公知の方法に従って調製できる。注射剤の調製方法としては、例えば、上記本発明の抗体またはその塩を通常注射剤に用いられる無菌の水性液、または油性液に溶解、懸濁または乳化することによって調製できる。注射用の水性液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液等が用いられ、適当な溶解補助剤、例えば、アルコール(例、エタノール)、ポリアルコール(例、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン界面活性剤(例、ポリソルベート80、HCO−50(polyoxyethylene(50mol)adduct of hydrogenated castor oil))等と併用してもよい。油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油等が用いられ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルアルコール等を併用してもよい。調製された注射液は、適当なアンプルに充填されることが好ましい。直腸投与に用いられる坐剤は、上記抗体またはその塩を通常の坐薬用基剤に混合することによって調製されても良い。
【0045】
経口投与のための組成物としては、固体または液体の剤形、具体的には錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠を含む)、丸剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤(ソフトカプセル剤を含む)、シロップ剤、乳剤、懸濁剤等が挙げられる。このような組成物は公知の方法によって製造され、製剤分野において通常用いられる担体、希釈剤もしくは賦形剤を含有していても良い。錠剤用の担体、賦形剤としては、例えば、乳糖、でんぷん、蔗糖、ステアリン酸マグネシウムが用いられる。
【0046】
上記の非経口用または経口用医薬組成物は、活性成分の投与量に適合するような投薬単位の剤形に調製されることが好都合である。このような投薬単位の剤形としては、例えば、錠剤、丸剤、カプセル剤、注射剤(アンプル)、坐剤が挙げられる。抗体の含有量としては、投薬単位剤形当たり通常5〜500mg程度、とりわけ注射剤では5〜100mg程度、その他の剤形では10〜250mg程度の上記抗体が含有されていることが好ましい。
なお前記した各組成物は、上記抗体との配合により好ましくない相互作用を生じない限り他の活性成分を含有してもよい。
【0047】
本発明の抗体を含有する予防・治療剤または診断剤(医薬)の投与量は、投与対象、対象疾患、症状、投与ルート等によっても異なるが、例えば、成人の肥満症の治療のために使用する場合には、本発明の抗体を1回量として、通常0.01〜20mg/kg体重程度、好ましくは0.1〜10mg/kg体重程度、さらに好ましくは0.1〜5mg/kg体重程度を、1日1〜5回程度、好ましくは1日1〜3回程度、静脈注射により投与するのが好都合である。他の非経口投与(例、皮下投与)および経口投与の場合もこれに準ずる量を投与することができる。症状が特に重い場合には、その症状に応じて増量してもよい。
【0048】
本発明の明細書において、アミノ酸等を略号で表示する場合、IUPAC-IUB Commision onBiochemical Nomenclature による略号あるいは当該分野における慣用略号に基づくものであり、その例を下記する。アミノ酸に関し光学異性体があり得る場合は、特に明示しなければL−体を示すものとする。

PAM :フェニルアセタミドメチル
Boc :t−ブチルオキシカルボニル
Fmoc :9−フルオレニルメチルオキシカルボニル
Cl−Z :2−クロロ−ベンジルオキシカルボニル
Bг−Z :2−ブロモーベンジルオキシカルボニル
Bzl :ベンジル
Cl−Bzl:2−クロロ−ベンジル
OcHex :シクロヘキシルエステル
OBzl :ベンジルエステル
Tos :p−トルエンスルホニル
HONB :N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド
HOBt :1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
HOOBt :3−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−4−オキソ−1,2,3−ベンゾトリアジン
MeBzl :4−メチルベンジル
Bom :ベンジルオキシメチル
Bum :t−ブトキシメチル
Trt :トリチル
DNP :ジニトロフェニル
TFA :トリフルオロ酢酸
DMF :N,N−ジメチルフォルムアミド
DCM :ジクロロメタン
DCC :N,N'−ジシクロヘキシルカルボジイミド
BHA :ベンズヒドリルアミン
pMBHA :p−メチルベンズヒドリルアミン
CHO :ホルミル
Gly :グリシン
Ala :アラニン
Val :バリン
Leu :ロイシン
Ile :イソロイシン
Ser :セリン
Thr :スレオニン
Cys :システイン
Met :メチオニン
Glu :グルタミン酸
Asp :アスパラギン酸
Lys :リジン
Arg :アルギニン
His :ヒスチジン
Phe :フェニルアラニン
Tyr :チロシン
Trp :トリプトファン
Pro :プロリン
Asn :アスパラギン
Gln :グルタミン
【0049】
本明細書において用いられる配列番号は、以下のペプチドのアミノ酸配列を表す。
〔配列番号:1〕ラット型GALPのアミノ酸配列を表す。
〔配列番号:2〕ヒト型GALPのアミノ酸配列を表す。
〔配列番号:3〕ブタ型GALPのアミノ酸配列を表す。
〔配列番号:4〕免疫原ペプチドのアミノ酸配列(ラット型GALP(43−60)の43番目のアミノ酸残基をシステインに変えたもの。[Cys43]ラット型GALP(43−60)とも記載する。)を表す。
【0050】
後述の実施例で得られたハイブリドーマ細胞のうち、GR−1Cは、平成13(2001)年7月31日から、日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6(郵便番号305−8566)、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに、受託番号FERM BP−7682として寄託されている。
抗GALP抗体を産生するハイブリドーマ細胞のうち、GR2−1Nは、平成11(1999)年3月17日から、日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6(郵便番号305−8566)、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(旧NIBH)に、受託番号FERM BP−6682として寄託されている。
なお、各ハイブリドーマ細胞から得られる抗体については細胞名の後に「a」を付けた形で表す。
【実施例】
【0051】
以下に、実験例および実施例を示し、本発明をより詳細に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
以下の実験例および実施例で、使用したペプチドである[Cys43]ラット型GALP(43−60)は、アメリカンペプチド社において定法により合成されたものを購入した。
ラット型GALPおよびブタ型GALPは、既報に基づき、リコンビナントGALPを作製した(Journal ofThe Chemical Society-Perkin Transactions、2000年、1号、〜1335頁)。
ヒト型GALPは、PHOENIX PHARMACEUTICALS,INC社より購入した。
【0052】
実験例1
配列番号:4で表されるラット型GALP(44−60)を含む免疫原[Cys43]ラット型GALP(43−60)の作製
[Cys43]ラット型GALP(43-60)とKLHとの複合体を作製し、免疫原とした。
すなわち、KLH 20 mgを、0.1M リン酸緩衝液(pH6.5)1.4 mlに溶解させ、N-(γ-マレイミドブチリロキシ)サクシニミド(GMBS)2.2 mg(8μmol)を含むDMF溶液100μlと混合し、室温で40分反応させた。反応後、セファデックスG−25カラムで分画したのち、マレイミド基の導入されたKLH 15 mgと[Cys43]ラット型GALP(43-60) 3.9 mgとを混合し、4℃で1日間反応させた。反応後、生理食塩水に対し、4℃で2日間透析した。
【0053】
実験例2
免疫
6〜8週令のBALB/C雌マウスに、実験例1で得られた[Cys43]ラット型GALP(43-60)-KLH複合体を、約60μg/匹となるよう、完全フロイントアジュバントとともに皮下免疫した。以後3週間おきに同量の免疫原を不完全フロイントアジュバントとともに2〜3回追加免疫した。
【0054】
実験例3
西洋ワサビパーオキシダーゼ(HRP)標識化[Cys43]ラット型GALP(43−60)の作製
[Cys43]ラット型GALP(43-60)とHRP(酵素免疫測定法用、ベーリンガーマンハイム社製)とを架橋し、酵素免疫測定法(EIA)の標識体とした。すなわち、HRP 6.7 mg(168nmol)を0.95mlの0.1Mリン酸緩衝液(pH6.5)に溶解させ、GMBS 0.47 mg(1.65μmol)を含むDMF溶液50μlと混合し、室温で30分間反応させたのち、セファデックスG−25カラムで分画した。このようにして作製した、マレイミド基の導入されたHRP 5.0 mg(117nmol)と[Cys43]ラット型GALP(43-60) 0.74 mg(352nmol)とを混合し、4℃で1日反応させた。反応後ウルトロゲルAcA44(LKB-ファルマシア社製)カラムで分画し、HRP標識化ラット型GALP(43-60)を得た。
【0055】
実験例4
[Cys43]ラット型GALP(43−60)−KLH複合体を免疫したマウスの抗血清中の抗体価の測定
[Cys43]ラット型GALP(43-60)-KLH複合体を3週間間隔で2回免疫を行い、その1週間後に眼底採血を行い血液を採取した。さらに血液を、4℃で12,000rpmで15分遠心した後、上清を回収し抗血清を得た。抗血清中の抗体価を下記の方法により測定した。抗マウスイムノグロブリン抗体結合マイクロプレートを作製するため、まず、抗マウスイムノグロブリン抗体(IgG画分、カッペル社製)を100μg/ml含む0.1M炭酸緩衝液(pH9.6)溶液を96ウェルマイクロプレートに100μlずつ分注し、4℃で24時間放置した。次に、プレートをリン酸緩衝生理食塩水(PBS、pH7.4)で洗浄したのち、ウェルの余剰の結合部位をふさぐため25%ブロックエース(雪印乳業社製)を含むPBSを300μlずつ分注し、4℃で少なくとも24時間処理した。
このようにして得られた抗マウスイムノグロブリン抗体結合マイクロプレートの各ウェルにバッファーC(1%BSA、0.4M NaCl、0.05% 2mM EDTA・Na(エチレンジアミン四酢酸塩二水和物:Ethylenediamine-N,N,N',N'-tetraacetic acid, disodium salt,dihydrate, DOJINDO社)を含む0.02Mリン酸緩衝液、pH7.0)50μl、およびバッファーCで希釈した複合体に対する抗血清100μlを加え、4℃で16時間反応させた。次に、該プレートをPBSで洗浄したのち、実験例3で作製したHRP標識化[Cys43]ラット型GALP(43-60)(バッファーCで300倍希釈)100μlを加え、室温で1日反応させた。次に、該プレートをPBSで洗浄したのち、固相上の酵素活性をTMBマイクロウェルパーオキシダーゼ基質システム(KIRKEGAARD&PERRY LAB, INC、フナコシ薬品取り扱い)100μlを加え室温で10分間反応させた。反応を1Mリン酸100μlを加え停止させたのち、450nmの吸収をプレートリーダー(BICHROMATIC、大日本製薬社製)で測定した。
得られた吸収スペクトルを図1に示す。図1中、(−◇−)は、マウスNo.1(1a)、(−□−)は、マウスNo.2(2a)、(−△−)は、マウスNo.3(3a)、(−○−)は、マウスNo.4(4a)、(−◆−)は、マウスNo.5(5a)、(−■−)は、マウスNo.6(6a)、(−▲−)は、マウスNo.7(7a)、(−●−)は、マウスNo.8(8a)を表す。1a〜8aは、8匹のマウス由来の抗体を表す。図1によれば、免疫した8匹のマウスの全ての複合体に対する抗血清中に[Cys43]ラット型GALP(43−60)に対する抗体価の上昇が認められたことがわかる。
【0056】
実施例1
抗[Cys43]ラット型GALP(43−60)モノクローナル抗体の作製
図1を参照し、[Cys43]ラット型GALP(43-60)-KLH複合体を免疫したマウス由来のハイブリドーマの抗体産生細胞株の選択の例として、抗体6aと抗体7aを与えるマウスNo.6とNo.7を選択した。
抗体6aと抗体7aを与えるマウスに対して100〜150μgの免疫原を生理食塩水0.1mlに溶解させたものを静脈内に接種することにより最終免疫を行なった。最終免疫3〜4日後のマウスから脾臓を摘出し、ステンレスメッシュで圧迫、ろ過し、イーグルズ・ミニマム・エッセンシャルメディウム(MEM)に浮遊させ、脾臓細胞浮遊液を得た。細胞融合に用いる細胞として、BALB/Cマウス由来ミエローマ細胞P3-X63.Ag8.U1(P3U1)を用いた(Current Topics in Microbiology and Imnology、81巻、1頁、1978年)。
細胞融合は、原法(Nature、256巻、495頁、1975年)に準じて行なった。すなわち、脾臓細胞およびP3U1をそれぞれ、血清を含有しないMEMで3度洗浄し、脾臓細胞とP3U1数の比率を5:1になるよう混合して、800回転で15分間遠心分離を行ない、細胞を沈澱させた。上清を充分に除去した後、沈殿を軽くほぐし、45%ポリエチレングリコール(PEG)6000(コッホライト社製)を0.3 ml加え、37℃温水槽中で7分間静置して融合を行なった。融合後、細胞に毎分2 mlの割合でMEMを添加し、合計15mlのMEMを加えた後600回転15分間遠心分離して上清を除去した。この細胞沈殿物を10%牛胎児血清を含有するGITメディウム(和光純薬)(GIT-10% FCS)に、P3U1が1ml当り2×105個になるように浮遊し、24穴マルチディッシュ(リンブロ社製)に1ウェルあたり1 mlずつ192ウェルに播種した。播種後、細胞を37℃、5%炭酸ガスインキュベーター中で培養した。24時間後、HAT(ヒポキサンチン1×10-4M、アミノプテリン 4×10-7M、チミジン 1.6×10-3M)を含んだGIT-10% FCS培地(HAT培地)を1ウェル当り1 mlずつ添加することにより、HAT選択培養を開始した。HAT選択培養は、培養開始3、6および9日後に旧液を1 ml捨てた後、1 mlのHAT培地を添加することにより継続した。ハイブリドーマの増殖は、細胞融合後9〜14日で認められ、培養液が黄変したとき(約1×106セル/ml)、上清を採取し、実験例4に記載の方法に従って抗体価を測定した。
抗体6aと抗体7aを与える[Cys43]ラット型GALP(43-60)-KLH複合体を免疫したマウス由来のハイブリドーマが、抗体を産生している状態を図2に示した。得られた抗体産生ハイブリドーマの中から下記の計5種類のハイブリドーマを選択した(表1)。これらのうちでも、特に大きな抗体価を与えた(吸光度が大きかった)ハイブリードーマNo.1およびNo.2を、それぞれGR-1CおよびGR-2Cと命名した。
【0057】
【表1】

【0058】
次に、これらのハイブリドーマを限界希釈法によるクローニングに付した。クローニングに際しては、フィーダー細胞としてBALB/Cマウスの胸腺細胞をウェル当り5×105個になるように加えた。クローニング後、ハイブリドーマを、あらかじめミネラルオイル0.5 mlを腹腔内投与されたマウス(BALB/C)に1〜3×106セル/匹を腹腔内投与したのち、6〜20日後に抗体含有腹水を採取した。
モノクローナル抗体は、得られた腹水よりプロテイン−Aカラムにより精製した。即ち、腹水6〜20 mlを等量の結合緩衝液〔3.5M NaCl、0.05% NaN3を含む1.5Mグリシン(pH9.0)〕で希釈したのち、あらかじめ結合緩衝液で平衡化したプロテイン−A−アガロース(生化学工業社製)カラムに供し、特異抗体を溶離緩衝液〔(0.05% NaN3を含む0.1Mクエン酸緩衝液(pH3.0)〕で溶出した。溶出液をPBSに対して4℃、2日間透析したのち、0.22μmのフィルター(ミリポア社製)により除菌濾過し、4℃あるいは-80℃で保存した。
モノクローナル抗体のクラス・サブクラスの決定に際しては、精製モノクローナル抗体結合固相を用いる酵素標識免疫測定法(エンザイム−リンクトイムノソーベントアッセイ:ELISA)を行った。すなわち、抗体2μg/mlを含む0.1M炭酸緩衝液(pH9.6)溶液を96ウェルマイクロフ゜レートに100μlずつ分注し、4℃で24時間放置した。実験例4に記載の方法に従って、ウェルの余剰の結合部位をブロックエースでふさいだのち、アイソタイプタイピングキット(Mouse-TyperTM Sub-Isotyping Kit、バイオラッド社製)を用いるELISAによって固相化抗体のクラス、サブクラスを調べた。
【0059】
実施例2
競合法酵素免疫測定法(競合法−EIA)
[Cys43]ラット型GALP(43-60)-KLH複合体を免疫原として作製したモノクローナル抗体の反応特異性を以下の方法により調べた。
まず、モノクローナル抗体GR-1CaおよびGR-2Ca溶液の抗体価を実験例4記載の方法により調べ、競合法-EIAに用いる抗体濃度として、標識体の結合量が飽和結合量の約50%となる抗体濃度を決定した。次に、実験例4記載の抗マウスイムノグロブリン抗体結合マイクロプレートに、(i)80 ng/mlにバッファーCで希釈された抗[Cys43]ラット型GALP(43-60)抗体GR-1Ca溶液またはGR-2Ca溶液50μl、および(ii)実験例3記載HRP標識[Cys43]ラット型GALP(43-60)をバッファーCで400倍希釈した溶液50μlを加えたウェルに、バッファーCで希釈した濃度が10-6M〜10-10Mのラット型GALP、ヒト型GALPまたはブタ型GALP溶液50μlを加え、4℃で16時間反応させた。反応後、PBSで洗浄したのち抗マウスイムノグロブリン抗体結合マイクロプレート上の酵素活性を、実験例4記載の方法により測定した。
【0060】
GR-1CaおよびGR-2Caの競合法の結果をそれぞれ図3および図4に示す。
図3、図4中、(−●−)は、ヒト型GALPに対する反応を表し、(−○−)は、ラット型GALPに対する反応を表し、(−●−)はブタ型GALPに対する反応を表す。これより、両抗体とも、ラット型GALP、ヒト型GALPおよびブタ型GALPに対して反応性を有することがわかる。
GR-1Caの標準曲線から、(B/B0)=0.5を与えるGALP濃度は、ラット型GALP:3nM、ヒト型GALP:7nM、ブタ型GALP:8nMであることが分かった(図3)。これらの結果から、GR-1Caは、ラット型、ヒト型およびブタ型のいずれのGALPに対しても、ほぼ同定度の高い反応性を示しているものと考えられる。
また、GR-2Caの標準曲線から、(B/B0)=0.5を与えるGALP濃度は、ラット型GALP:10nM、ヒト型GALP:20nM、ブタ型GALP:500nMであることが分かった(図4)。これらの結果から、GR-2Caは、ラット型GALPとヒト型GALPに対しての反応性は、ほぼ同程度であるが、ブタ型GALPに対しての反応性は弱いものと考えられる。
【0061】
実験例5
HRP標識化抗GALPモノクローナル抗体(GR2−1Na−HRP)の作製
特開2000-157273号公報記載のGALPのN端部(1-9)を認識するモノクローナル抗体GR2-1N精製画分9.25 mg(61.7nmol)を含む0.1Mリン酸緩衝液(pH6.8)に、GMBS0.74μmolを含むDMF 50μlを加え、室温で40分反応させた。反応液をセファデックスG−25カラム(溶離液、0.1Mリン酸緩衝液、pH6.7)で分離し、マレイミド基の導入された抗体画分7.17 mgを得た。次に、HRP 17.8 mg(445nmol)を含む0.02Mリン酸緩衝液(0.15M NaClも含む)(pH6.8)1.4 mlに、N-スクシニミジル-3-(2-ピリミジルジチオ)プロピオネート(SPDP)6.67μmolを含むDMF60μlを加え、室温で40分反応させた。次に、66μmolのジチオスレイトールを含む0.1M酢酸緩衝液(pH4.5)0.4 mlを加え、室温で20分反応させた後、セファデックスG−25カラム(溶離液、2 mM EDTAを含む0.1Mリン酸緩衝液、pH6.0)で分離し、SH基の導入されたHRP9.8 mgを得た。次に、SH基の導入されたHRP 8 mgとマレイミド基の導入された抗体画分3 mgとを混合し、コロジオンバッグ(ザルトリウス社製)で約0.5 mlにまで濃縮したのち、4℃で16時間放置した。反応液を溶離液に0.1Mリン酸緩衝液、pH6.5を用いるSephacrylS-300HRカラム(Pharmacia社製)に供し、GR2-1Na-HRP複合体画分を精製した。
【0062】
実施例3
サンドイッチ法−EIA(サンドイッチ法−EIAの特異性と感度)
実施例1で得られた精製したモノクローナル抗体GR-1Caを15μg/ml含む0.1M炭酸緩衝液(pH9.6溶液)を96ウェルマイクロプレートに100μlずつ分注し、4℃で24時間放置した。ウェルの余剰の結合部位をPBSで4倍希釈したブロックエース400μlを加え不活化した。
上記調製済みプレートに、バッファーCで希釈したラット型GALP、ヒト型GALPおよびブタ型GALPをそれぞれ100μlずつ加え、4℃で24時間反応させた。PBSで洗浄したのち、実験例5で作製したGR2-1Na-HRP(バッファーCで2,000倍希釈)100μlを加え、4℃で24時間反応させた。PBSで洗浄したのち、実験例4記載の方法によりTMBを用いて固相上の酵素活性を測定した(酵素反応20分)。
結果を図5に示す。
図5中、(−●−)は、ラット型GALPの吸収を表し、(−■−)は、ヒト型GALPの吸収を表し、(−▲−)は、ブタ型GALPの吸収を表す。図5から、本サンドイッチ法−EIAにより、極めて高感度にラット型GALP、ヒト型GALPおよびブタ型GALPを検出できることがわかった。
すなわち、このサンドイッチ法-EIAは、ラット型GALP、ヒト型GALPおよびブタ型GALPを0.3fmol/ウェルで検出することが可能である。
したがって、例として、固相抗体としてGR-1Caを用い、標識体としてGR-1Na-HRPを用いるサント゛イッチ法-EIAは、ラット型GALP、ヒト型GALPおよびブタ型GALPを極めて高感度にかつ極めて選択的に検出することが可能であることがわかった。
【0063】
実施例4
血漿中のラット型GALPの定量
ラット血漿を、同量のバッファーEC(0.2% BSA、0.4M NaCl、2 mM EDTA・Na、10% Block Ace、0.05% CHAPS、0.05%アジ化ナトリウムを含む0.1Mリン酸緩衝液、pH7.0)で2倍希釈し、上記実施例3のサンドイッチ法-EIAによりラット型GALPを定量した。
結果を表2に示す。
【0064】
【表2】

【0065】
実施例5
ラット血漿中のGALPの逆相高速液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)による分画
実施例4に記載の、ラット血漿中に含まれるGALP免疫活性を同定するため、ラット血漿12 mlにアセトニトリルを24 ml添加して混和後、遠心分離(2,500rpm,15分)を行い、タンパク質の除去を行った。上清を凍結乾燥後、この画分を濃縮後ODS-80TMを用いる逆相HPLCによって分画した。
カラム条件:
カラム:ODS-80TM(4.6 x 250 mm)
溶離液:A液(0.05%トリフルオロ酢酸含有 5%アセトニトリル)
B液(0.05%トリフルオロ酢酸含有 60%アセトニトリル)
溶出方法:アセトニトリル濃度を最初の5分間に5%から30%まで上昇させ、次に30分間かけて30-50%に直線的に上昇させた。
流速:1.0 ml/分
分画:0.5 ml/tube
溶出画分を凍結乾燥したのち、250μlのバッファーCに溶解させ、実施例3記載のサンドイッチ法-EIAに供した。
結果を図6に示す。
血漿中のラット型GALP免疫活性は、ほとんどラット型GALPの溶出位置に検出されたことから、該サンドイッチ法-EIAが、ラット型GALPを検出していることが確認された。
【0066】
実施例6
血漿中のヒトGALPの定量
ヒト血漿を、同量のバッファーEC〔0.2% BSA、0.4M NaCl、2 mM EDTA・Na、10% Block Ace、0.05%CHAPS、0.05%アジ化ナトリウムを含む0.1Mリン酸緩衝液、pH7.0〕で2倍希釈し、上記実施例3のサンドイッチ法-EIAによりヒト血漿中のGALPを定量した。ヒト血漿は、武田薬品工業(株)の健常人ボランティアより提供されたものを使用し、インフォームドコンセントの確認を得たものである。
結果を表3に示す。
【0067】
【表3】

【0068】
これより、この測定系は、血漿中のGALPの変動を研究する際の重要な手段となることがわかる。
【0069】
実施例7
慢性炎症モデルであるアジュバンド関節炎ラットでのGALPの定量
雄性Lewis ラット(7週齢、日本チャールズリバー)の左後肢に0.05 mlの流動パラフィンに懸濁した結核死菌(Mycobacteriumtuberculosis (H37 RA, Difco) )250μgを皮内投与し感作した(A.A.群)。Vehicle群は、流動パラフィンを0.05 ml投与した。実験数はいずれも7例で行った。投与前および投与15日目にアジュバント感作ラットのアジュバンド非注射側後肢(右後肢)の足容積および非感作ラットの右後肢の足容積を測定した。投与24時間後および投与14日目にラットを断頭した。得られた血液より血漿を調製し、ラット血漿を、同量のバッファーEC〔0.2% BSA、0.4M NaCl、2 mM EDTA・Na、10% Block Ace、0.05%CHAPS、0.05%アジ化ナトリウムを含む0.1Mリン酸緩衝液、pH7.0〕で2倍希釈し、上記実施例3のサンドイッチ法−EIAによりラット型GALPを定量した。
血中GALP濃度を以下に示す。
アジュバンド感作24時間後は、vehicle群;10.1 ± 3.1 fmol/ml、A.A.群;4.5 ± 0.6 fmol/ml、アジュバンド感作14日後は、vehicle群;15.1 ± 3.5 fmol/ml、A.A.群;3.4 ± 0.4 fmol/mlであった。アジュバンド感作24時間および14日後のいずれも血中GALP濃度は、vehicle群に比較して有意(p<0.05)に低下した。
これより、GALPがアジュバンド関節炎のマーカーとなり得ることがわかる。さらに、関節炎の発症により血中GALPが消費されていることもわかる。
また、下垂体を採取し5mlの蒸留水中にて10分間煮沸後氷中で冷却し、酢酸およびペプスタチン(ペプチド研究所)を添加して最終濃度をそれぞれ1Mおよび10μg/mlとした。ホモジナイザーにて下垂体を破砕後、溶液中のタンパク濃度をProtein assay kit(Bio Rad社)にて測定した。下垂体破砕溶液は、12,000 rpmで30分間遠心し、その上清をSep-Pak Plus C18カートリッジ265mg(Waters社製)で濃縮・前処理した後、ラット型GALPを上記実施例3記載サンドイッチ−EIAにより定量した。下垂体抽出液の前処理方法は、メタノール5 mlおよび0.1% TFA含有蒸留水5mlを順次ながして活性化したSep-Pak Plus C18カートリッジに2mlの4%酢酸を添加した下垂体抽出液を負荷した。添加後、5 mlの0.1% TFA含有蒸留水で洗浄後、0.1% TFA含有60%アセトニトリル 3mlで溶出し、凍結乾燥した。濃縮画分を0.25 mlのバッファーEC中で再構成し、上記実施例3のサンドイッチ法-EIAにより定量した。
下垂体中のGALP含量を以下に示す。
アジュバンド感作24時間後は、vehicle群;3.1 ± 0.3 fmol/mg protein、A.A.群;4.9 ± 0.7 fmol/mg protein、アジュバンド感作14日後は、vehicle群;1.6 ± 0.2 fmol/mg protein、A.A.群;2.8 ± 0.3 fmol/mg proteinであった。アジュバンド感作24時間および14日後のいずれにおいても下垂体GALP含量は、vehicle群に比較して有意(p<0.01)に増加した。
これより、GALPが関節炎の発症を抑制する目的で、下垂体での産生が促進されていることがわかる。
【0070】
実施例8
リポポリサッカリド投与ラットでのGALPの定量
雄性Wistatラット(8週齢、日本チャールズリバー)の腹腔内に生理食塩水に溶解したリポポリサッカライド(LPS)(和光純薬)を1、3および10 mg/kg投与した(LPS群,n=5-7)。Vehicle群(n=8)は、生理食塩水を1 ml/kgで投与した。投与12時間後に断頭採血し得られた血液より血漿を調製した。血漿を、同量のバッファーEC〔0.2% BSA、0.4M NaCl、2mM EDTA・Na、10% Block Ace、0.05%CHAPS、0.05%アジ化ナトリウムを含む0.1Mリン酸緩衝液、pH7.0〕で2倍希釈し、上記実施例3のサンドイッチ法-EIAによりラット型GALPを定量した。
血中GALP濃度の結果を図7に示す。
Vehicle群(12.0 ± 2.0 fmol/ml)に比較してLPS 3 mg/kg投与群で最も高値(251 ± 181 fmol/ml)を示し、有意な差ではないが高値を示した。
また、下垂体を採取し、上記実施例7と同様の方法で下垂体中のGALP濃度を測定した。
結果を図8に示す。
血中GALP濃度と同様に、LPS 3 mg/kg投与群で最も高値(8.39 ± 1.37 fmol/mg protein)を示し、vehicle群(2.82 ± 0.48 fmol/ mg protein)に比較して有意に高値(p<0.01)を示した。
これより、GALPがエンドトキシン刺激によりサイトカイン類と同様にその産生が亢進される因子であることがわかる。GALPはサイトカイン類の産生調節に関する因子であると考えられる。
【0071】
実施例9
絶水負荷時の下垂体GALP濃度の定量
雄性Wistatラット(8週齢、日本チャールズリバー)を絶水条件下で2、4および7日間飼育し、断頭後下垂体後葉を摘出し、下垂体を採取し、上記実施例7と同様の方法で下垂体中のGALP濃度を測定した。
結果を図9に示す。
絶水4日目(28.7 ± 2.29 fmol/mg protein)および7日目(43.8 ± 10.7 fmol/mg protein)で自由摂水群(3.93 ±0.75 fmol/mg protein)に比較して有意に増加した。
これより、臓器中のGALPの濃度変動も、本発明の抗体を用いて高感度に測定できることがわかる。さらに、GALPは、生体内の水分および浸透圧調節に関与する因子であることもわかる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明の抗体は、GALPまたはその誘導体が関与する疾患等の治療剤、予防剤、診断剤の開発に有用である。本発明の抗体を含むハイブリドーマ細胞を用いることにより、本発明の抗体は工業的に生産することが可能である。また、本発明の抗体を含有してなる医薬(特に診断薬)は、GALPまたはその誘導体が関与する疾患・症状〔例、LH分泌不全に関係する疾患(例、肥満症、不妊症、月経不順、月経困難症、無月経症、月経前症候群、更年期障害、下垂体機能不全など)、LH過剰分泌に関係する疾患(例、前立腺癌、前立腺肥大症、子宮内膜症、思春期早発症、卵巣癌、LH産生下垂体腫瘍など)、痴呆、糖尿病、免疫疾患〔例、膠原病(例、全身性エリテマトーデス、強皮症(全身性硬化症)、皮膚筋炎、慢性関節リウマチ、リウマチ熱、結節性多発動脈炎など)、リウマチ性疾患(例、変形性関節症、外傷性関節炎、痛風、偽痛風、潰瘍性大腸炎、血友病)、炎症、重症筋無力症、糸球体腎炎、多発性硬化症、シェーグレン症候群、インスリン抵抗性糖尿病など〕、水・電解質代謝異常(例、頻尿、低ナトリウム血症、高ナトリウム血症、低カリウム血症、高カリウム血症、代謝性アルカローシスなど)など〕の診断等に有用である。また、本発明の抗体を用いることにより、GALPまたはその誘導体の量を高い感度で測定することができる。このため、本発明の定量法は、GALPまたはその誘導体が関与する疾患・症状〔例、LH分泌不全に関係する疾患(例、肥満症、不妊症、月経不順、月経困難症、無月経症、月経前症候群、更年期障害、下垂体機能不全など)、LH過剰分泌に関係する疾患(例、前立腺癌、前立腺肥大症、子宮内膜症、思春期早発症、卵巣癌、LH産生下垂体腫瘍など)、痴呆、糖尿病、免疫疾患〔例、膠原病(例、全身性エリテマトーデス、強皮症(全身性硬化症)、皮膚筋炎、慢性関節リウマチ、リウマチ熱、結節性多発動脈炎など)、リウマチ性疾患(例、変形性関節症、外傷性関節炎、痛風、偽痛風、潰瘍性大腸炎、血友病)、炎症、重症筋無力症、糸球体腎炎、多発性硬化症、シェーグレン症候群、インスリン抵抗性糖尿病など〕、水・電解質代謝異常(例、頻尿、低ナトリウム血症、高ナトリウム血症、低カリウム血症、高カリウム血症、代謝性アルカローシスなど)など〕の診断、予防または治療に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号:1、配列番号:2または配列番号:3で表されるアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその誘導体のC端側の部分ペプチドに特異的に反応する抗体。
【請求項2】
C端側の部分ペプチドが、配列番号:1、配列番号:2または配列番号:3で表されるアミノ酸配列の第44番目〜第53番目のアミノ酸配列を有するペプチドである請求項1記載の抗体。
【請求項3】
C端側の部分ペプチドが、配列番号:1、配列番号:2または配列番号:3で表されるアミノ酸配列の第40番目〜第60番目、第41番目〜第60番目、第42番目〜第60番目、第43番目〜第60番目、第44番目〜第60番目、第45番目〜第60番目、第46番目〜第60番目、第47番目〜第60番目、第48番目〜第60番目、第49番目〜第60番目、第50番目〜第60番目、第44番目〜第54番目、第45番目〜第54番目、第46番目〜第54番目、第47番目〜第54番目、第48番目〜第54番目、第49番目〜第54番目または第50番目〜第54番目のアミノ酸配列を有するポリペプチドである請求項1記載の抗体。
【請求項4】
標識化された請求項1記載の抗体。
【請求項5】
モノクローナル抗体である請求項1記載の抗体。
【請求項6】
GR−1C(FERM BP−7682)で標示されるハイブリドーマ細胞から産生され得るGR−1Caで標示される請求項5記載のモノクローナル抗体。
【請求項7】
請求項5記載のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞。
【請求項8】
GR−1C(FERM BP−7682)で標示される請求項7記載のハイブリドーマ細胞。
【請求項9】
請求項7記載のハイブリドーマ細胞を生体内または生体外で培養し、その体液または培養物から請求項5記載のモノクローナル抗体を採取することを特徴とする請求項5記載のモノクローナル抗体の製造法。
【請求項10】
請求項1記載の抗体を含有してなる医薬。
【請求項11】
請求項1記載の抗体を含有してなる診断薬。
【請求項12】
請求項1記載の抗体を用いることを特徴とする配列番号:1、配列番号:2または配列番号:3で表されるアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその誘導体の定量法。
【請求項13】
請求項1記載の抗体と配列番号:1、配列番号:2または配列番号:3で表されるアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその誘導体のN端側の部分ペプチドに特異的に反応する抗体とを用いることを特徴とする被検液中の配列番号:1、配列番号:2または配列番号:3で表されるアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその誘導体の定量法。
【請求項14】
(1)(i)担体上に不溶化した請求項1記載の抗体、(ii)標識化された配列番号:1、配列番号:2または配列番号:3で表されるアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその誘導体のN端側の部分ペプチドに特異的に反応する抗体、および(iii)被検液を反応させた後、または(2)(i)担体上に不溶化した配列番号:1、配列番号:2または配列番号:3で表されるアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその誘導体のN端側の部分ペプチドに特異的に反応する抗体、(ii)標識化された請求項1記載の抗体、および(iii)被検液を反応させた後、不溶化担体上の標識剤の活性を測定する、被検液中の配列番号:1、配列番号:2または配列番号:3で表されるアミノ酸配列を有するポリペプチまたはその誘導体の定量法。
【請求項15】
(1)(i)担体上に不溶化した請求項6記載のモノクローナル抗体、(ii)標識化されたGR2−1N(FERM BP−6682)で標示されるハイブリドーマ細胞から産生され得るGR2−1Naで標示されるモノクローナル抗体および(iii)被検液を反応させた後、または(2)(i)担体上に不溶化したGR2−1N(FERM BP−6682)で標示されるハイブリドーマ細胞から産生され得るGR2−1Naで標示されるモノクローナル抗体、(ii)標識化された請求項6記載のモノクローナル抗体、および(iii)被検液を反応させた後、不溶化担体上の標識剤の活性を測定する請求項14記載の定量法。
【請求項16】
請求項1記載の抗体、被検液および標識化された配列番号:1、配列番号:2または配列番号:3で表されるアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその誘導体とを競合的に反応させ、該抗体に結合した標識化された配列番号:1、配列番号:2または配列番号:3で表されるアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその誘導体の割合を測定することを特徴とする、被検液中の配列番号:1、配列番号:2または配列番号:3で表されるアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその誘導体の定量法。
【請求項17】
請求項1記載の抗体を用いることを特徴とする配列番号:1、配列番号:2または配列番号:3で表されるアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその誘導体が関与する疾患の診断法。
【請求項18】
請求項1記載の抗体を用いることを特徴とする肥満症、不妊症、膠原病またはリウマチ性疾患の診断法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−215306(P2009−215306A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−116237(P2009−116237)
【出願日】平成21年5月13日(2009.5.13)
【分割の表示】特願2002−279091(P2002−279091)の分割
【原出願日】平成14年9月25日(2002.9.25)
【出願人】(000002934)武田薬品工業株式会社 (396)
【Fターム(参考)】