説明

抗加齢用組成物

【課題】 日常的な適量摂取が可能であるとともに、大きな抗加齢効果を有する、抗加齢用組成物を提供すること。また、当該抗加齢用組成物を用いた飲食物を提供すること。
【解決手段】 4.2ppm以上のヨウ素を含有する、鳥類由来の卵を有効成分とする抗加齢用組成物、当該組成物を用いた抗不安剤、のぼせの予防または改善剤、下痢の予防または改善剤、腰痛の予防または改善剤、むくみの予防または改善剤、頻尿の予防または改善剤、末梢血管の血流障害の予防または改善剤、足部の抗かゆみ剤、胃部の不快感抑制剤および飲食物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は抗加齢用組成物に関するものであり、詳しくは、ヨウ素を含有する鳥類由来の卵を有効成分とする抗加齢用組成物と、当該組成物を用いた抗不安剤、のぼせの予防または改善剤、下痢の予防または改善剤、腰痛の予防または改善剤、むくみの予防または改善剤、頻尿の予防または改善剤、末梢血管の血流障害の予防または改善剤、足部の抗かゆみ剤、胃部の不快感抑制剤および飲食物に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、抗加齢(アンチエイジング)医学が注目されている。抗加齢医学は、従来の医学の主目的である疾病の治療とは異なり、病的でアンバランスな老化を防止することに主眼を置き、言うならば先進の予防医学とも表現できる。日本抗加齢医学会のホームページによれば、100歳以上の超高齢者は、諸臓器のバランスのよい生理的な老化が見られるが、それ以外の老化現象のかなりの部分は、病的でアンバランスな老化であると記載されている。
【0003】
抗加齢医学の歴史は浅く、発展途上にある。抗加齢医学の推進には、まず加齢のメカニズムを把握する必要があるが、いまだ十分な検討・結果が得られていないのが現状である。したがって、抗加齢を目的とした特許出願は少なく、例えば化粧料として下記特許文献1が、油脂組成物として下記特許文献2が提案されている。
【0004】
なお、ヨウ素を高含有する卵が活性酸素除去に有用であることは特許文献3に開示されているが、抗加齢効果を有することについては、開示も示唆もない。
【0005】
【特許文献1】特開2005−82561号公報
【特許文献2】特開2005−210978号公報
【特許文献3】特許第3274677号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、「抗加齢」という概念は最近提案されたばかりであり、とくに抗加齢に大きな効果をもたらす食品は、現在全く提案されていない。例えば上記特許文献2に記載の油脂組成物に仮に抗加齢効果が存在しているとしても、当該油脂組成物の主な使用形態はマーガリンであり、日常的に適量に摂取することが困難である。
したがって本発明の目的は、日常的な適量摂取が可能であるとともに、大きな抗加齢効果を有する、抗加齢用組成物を提供することにある。
また本発明の別の目的は、当該抗加齢用組成物を用いた抗加齢用飲食物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は鋭意研究を重ねた結果、日常生活において必須の食品ともいえる卵に、ヨウ素を高含有させることにより、絶大な抗加齢効果を付与できることを見出し、本発明を完成することができた。
【0008】
すなわち本発明は、以下のとおりである。
(1)4.2ppm以上のヨウ素を含有する、鳥類由来の卵を有効成分とする抗加齢用組成物。
(2)前記(1)に記載の抗加齢用組成物からなることを特徴とする抗不安剤。
(3)前記(1)に記載の抗加齢用組成物からなることを特徴とするのぼせの予防または改善剤。
(4)前記(1)に記載の抗加齢用組成物からなることを特徴とする下痢の予防または改善剤。
(5)前記(1)に記載の抗加齢用組成物からなることを特徴とする腰痛の予防または改善剤。
(6)前記(1)に記載の抗加齢用組成物からなることを特徴とするむくみの予防または改善剤。
(7)前記(1)に記載の抗加齢用組成物からなることを特徴とする頻尿の予防または改善剤。
(8)前記(1)に記載の抗加齢用組成物からなることを特徴とする末梢血管の血流障害の予防または改善剤。
(9)前記(1)に記載の抗加齢用組成物からなることを特徴とする足部の抗かゆみ剤。
(10)前記(1)に記載の抗加齢用組成物からなることを特徴とする胃部の不快感抑制剤。
(11)前記(1)に記載の抗加齢用組成物を含有せしめてなる抗加齢用飲食物。
【発明の効果】
【0009】
本発明の抗加齢用組成物は、下記の実施例において証明するが、絶大な抗加齢効果を提供することができる。ヨウ素を高含有する卵、すなわち4.2ppm以上のヨウ素を含有する卵に抗加齢効果が存在することは、従来技術において全く知られていない。また卵は、日常生活において必須の食品ともいえるので、日常的な適量摂取が可能であり、抗加齢効果を持続させることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明に係る組成物の有効成分となる「4.2ppm以上のヨウ素を含有する、鳥類由来の卵」は、通常、次のようにして得られる。
【0011】
つまり、ヨウ素酸カルシウム、ヨウ素酸カリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ素酸ナトリウム、ヨウ化チモール、ヨウ化銅、次ヨードサリチル酸、過ヨウ素酸カルシウム、カルシウムヨードビヘメイトなどのヨウ素化合物、あるいは昆布、ケルプなどヨウ素を多く含有する海藻類、あるいはその処理物などを一定量以上飼料に混合し、これを鳥類に投与して卵中のヨウ素含有量を増加させるのである。この際、ヨウ素酸カルシウム、ヨウ素酸カリウムまたはヨウ化カリウムのいずれか1以上を使用することが鳥の健康、ヨウ素の卵への移行率等より好ましく、また昆布等の海藻類を併用すると更に好ましい。
【0012】
また、鳥類に投与するヨウ素量としては、鳥類の種類、例えば鶏、鶉等により異なるが、産卵鶏の場合は1日につき1羽当たり約5〜250mg、好ましくは5〜15mg程度投与するのが良い。通常は飼料に混合して投与するが、その場合1日1羽当たり約100g飼料を摂取するとして、飼料中50〜2,500ppm、望ましくは50〜150ppmのヨウ素が配合されるようにすればよい。
【0013】
以上のようにして、ヨウ素を多く含有する物質を鳥類に投与すると、約1週間後には、目的とするヨウ素を多く含有する卵が産出される。例えば産卵鶏の場合、飼料中50ppm程度のヨウ素を含有する飼料を投与すると、卵1個当たり約300μgのヨウ素を含有する卵を得ることができ、また、飼料中100ppm程度のヨウ素を含有する飼料を投与すると、卵1個当たり約600〜800μgのヨウ素を含有する卵が産出されるものである。
【0014】
通常、産卵鶏におけるヨウ素の要求量は飼料kg当たり0.30〜0.35mg(NRCによる)であり、かつ実際の市販飼料中のヨウ素量も0.3〜2.0mg/kgとなっているが、この市販飼料で飼育された鶏より産出された普通卵のヨウ素量は1個当たり約6μg程度(American Egg Boardによる)、多くとも1個当たり30μg程度のものとなる。尚、このような普通卵については抗加齢効果は殆ど認められない。この普通卵に比し、前述のようにして得た卵は格段にヨウ素を高含有しているので、抗加齢効果を有している。
【0015】
このようにして得たヨウ素を高含有する卵はそのままの形で本発明組成物として用いることが可能であり、また加熱・乾燥・濃縮・粉末化・顆粒化などの処理を施しても問題なく、更に各種の賦形剤または結合剤等を混合して錠剤・粉剤等の形にして使用すること、シロップあるいはドリンク等に加工することもできる。
【0016】
本発明の組成物は栄養的にも極めて優れており、副作用もないので、継続的に摂取することが望ましい。そして、卵1個当たりのヨウ素含有量を300〜1,000μg程度となるように調整し、1日につき卵を1〜2個食する程度とすれば、日常生活中、極めて容易に摂取可能なものである。
【0017】
なお、300μg〜1000μgを濃度で表せば、市場で主に流通している殻付き鶏卵が58g〜76gであり、この可食部のみは50g〜72gであることから、4.2ppm〜20.0ppmである。4.2ppm未満であれば抗加齢効果が乏しく、また20.0ppmを超えると産卵率が下がり、飼料効率が悪くなる。本発明において鳥類とは、鶏の他鶉、烏骨鶏等が挙げられる。本発明において「組成物」とは、卵そのもであってもよく卵と他の物質との混合物であっても良い。
【0018】
また、本発明でいう抗加齢効果とは、病的でアンバランスな老化に一定の抑制効果があることを意味し、例えば、「ホルモン低下」、「酸化ストレス」、「免疫力低下」等の各種要因により生じると予測される症状の抑制効果が挙げられる。本発明の組成物はとくに、抗不安効果、のぼせの予防または改善効果、下痢の予防または改善効果、腰痛の予防または改善効果、むくみの予防または改善効果、頻尿の予防または改善効果、末梢血管の血流障害の予防または改善効果、足部のかゆみの抑制効果、胃部の不快感抑制効果が顕著であり、これら効果は抗加齢効果の範疇であると言える。
【実施例】
【0019】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0020】
市販の成鶏用飼料にヨウ素酸カルシウムをヨウ素量として100ppmになるように添加し、この飼料を産卵鶏100羽に給与し飼育し、産卵した卵を本実施例におけるサンプルとして用いた。
【0021】
被験者は45〜59歳の健常女性25名(54.6±3.4歳、BMI21.0±3.7)とし、試験群13名と対象群12名に割り付けた。被験者は上記サンプル(試験群)またはプラセボ卵(対象群)を1日1個8週間摂取し、摂取前、8週間後に、日本抗加齢医学会推奨の方法にしたがって、医師による問診、身体測定、血液尿検査を実施した。
【0022】
医師による問診項目は、身体症状として、目が疲れる、目がかすむ、眼痛、肩がこる、筋肉痛・こり、動悸、息切れ、ふとりやすい、るいそう・やせ、だるい、健康感がない、口渇、肌の不調、食欲不振、胃が張る、胃痛、風邪をひきやすい、咳や痰、下痢、便秘、抜け毛、白髪、頭痛、めまい、耳鳴り、腰痛、関節痛、むくみ、汗をかきやすい、足のかゆみがある、足の皮がむける、頻尿、のぼせ、冷え性である。サンプル摂取前、これら問診項目に該当する被験者について、試験群および対象群でどれほどの抗加齢効果があるのかを調べた。
8週間後の問診の結果、試験群では、上記身体症状34項目のうち、のぼせ(p<0.01)、下痢(p<0.01)、腰痛(p<0.01)、むくみ(p<0.01)、頻尿(p<0.05)、冷え性(末梢血管の血流障害)(p<0.05)、足のかゆみ(p<0.05)、胃の張り(p<0.05)の8項目が有意に改善された。なお対象群では、これら項目の改善効果は認められなかった。また、心の症状では、「幸せと感じない」(p<0.05)、「くよくよする」(p<0.05)が有意に改善された。これらの結果により、本発明の組成物は、抗不安剤、のぼせの予防または改善剤、下痢の予防または改善剤、腰痛の予防または改善剤、むくみの予防または改善剤、頻尿の予防または改善剤、末梢血管の血流障害の予防または改善剤、足部の抗かゆみ剤、胃部の不快感抑制剤として有用であることが認められた。なお、いずれの被験者においても、身体測定、血液尿検査で異常は認められなかった。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明の組成物および該組成物を用いた飲食物は、抗加齢効果を有するものであるので、抗不安剤、のぼせの予防または改善剤、下痢の予防または改善剤、腰痛の予防または改善剤、むくみの予防または改善剤、頻尿の予防または改善剤、末梢血管の血流障害の予防または改善剤、足部の抗かゆみ剤、胃部の不快感抑制剤として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
4.2ppm以上のヨウ素を含有する、鳥類由来の卵を有効成分とする抗加齢用組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の抗加齢用組成物からなることを特徴とする抗不安剤。
【請求項3】
請求項1に記載の抗加齢用組成物からなることを特徴とするのぼせの予防または改善剤。
【請求項4】
請求項1に記載の抗加齢用組成物からなることを特徴とする下痢の予防または改善剤。
【請求項5】
請求項1に記載の抗加齢用組成物からなることを特徴とする腰痛の予防または改善剤。
【請求項6】
請求項1に記載の抗加齢用組成物からなることを特徴とするむくみの予防または改善剤。
【請求項7】
請求項1に記載の抗加齢用組成物からなることを特徴とする頻尿の予防または改善剤。
【請求項8】
請求項1に記載の抗加齢用組成物からなることを特徴とする末梢血管の血流障害の予防または改善剤。
【請求項9】
請求項1に記載の抗加齢用組成物からなることを特徴とする足部の抗かゆみ剤。
【請求項10】
請求項1に記載の抗加齢用組成物からなることを特徴とする胃部の不快感抑制剤。
【請求項11】
請求項1に記載の抗加齢用組成物を含有せしめてなる抗加齢用飲食物。

【公開番号】特開2009−23911(P2009−23911A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−185178(P2007−185178)
【出願日】平成19年7月17日(2007.7.17)
【出願人】(000232612)日本農産工業株式会社 (8)
【Fターム(参考)】