説明

抗変性蛋白質抗体精製キット、抗変性蛋白質抗体の精製方法、蛋白質の検出方法、及び生体分子の検出方法

【課題】食用作物由来の変性蛋白質を高い精度で検出することを可能にする抗変性蛋白質抗体精製キットを提供する。
【解決手段】担体10aと、担体10a上に固定された、食用作物由来の変性蛋白質5a, 5b, 5c, 5dとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生体分子の検出技術に関し、特に抗変性蛋白質抗体精製キット、抗変性蛋白質抗体の精製方法、蛋白質の検出方法、及び生体分子の検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な遺伝子組換え作物が開発され、組換え遺伝子の存在を検出する検査方法の開発が求められている。また食品に含まれるアレルギー原因蛋白質の検出方法の開発も求められている。これに対し、組換え遺伝子に由来する蛋白質産物を検出する酵素免疫測定法(ELISA)法、及び組換え遺伝子を検出する複製連鎖反応(PCR)法等が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。PCR法には遺伝子断片の増幅の有無によって組換え遺伝子の存在を判断する定性法と、タックマン(Taqman)プローブ等のリアルタイムPCR用ハイブリダイゼーションプローブを利用したリアルタイムPCR法により組換え遺伝子の存在割合を測定する定量法がある。しかし、加工食品においては蛋白質が加熱等により変性しており、ELISA法の適用は困難であった。また、例えば醤油などの加工食品からはそもそもデオキシリボ核酸(DNA)を回収できないため、PCRによる検査ができないという問題があった。
【特許文献1】特開2004 - 250385号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、食用作物由来の変性蛋白質等の生体分子を高い精度で検出することを可能にする抗変性蛋白質抗体精製キット、抗変性蛋白質抗体の精製方法、蛋白質の検出方法、及び生体分子の検出方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために本発明の第1の特徴は、(イ)担体と、(ロ)担体上に固定された、食用作物由来の変性蛋白質とを備える抗変性蛋白質抗体精製キットであることを要旨とする。
【0005】
本発明の第2の特徴は、(イ)食用作物由来の蛋白質を変性させ、変性蛋白質を得るステップと、(ロ)変性蛋白質に対する抗変性蛋白質抗体を作成するステップと、(ハ)変性蛋白質を担体に固定するステップと、(ニ)担体を用いて抗変性蛋白質抗体を精製するステップとを含む抗変性蛋白質抗体の精製方法であることを要旨とする。
【0006】
本発明の第3の特徴は、(イ)食用作物から抽出されたサンプル蛋白質を基板表面に固定するステップと、(ロ)検出対象蛋白質と特異的に結合する探知用蛋白質を粒子に固定するステップと、(ハ)粒子を含む懸濁液を基板表面に滴下するステップと、(ニ)基板表面を洗浄するステップと、(ホ)サンプル蛋白質と探知用蛋白質とが結合したか否かを検査するステップとを含む蛋白質の検出方法であることを要旨とする。
【0007】
本発明の第4の特徴は、(イ)検出対象生体分子を基板表面に固定するステップと、(ロ)検出対象生体分子と特異的に結合する相補的生体分子を粒子に固定するステップと、(ハ)粒子を含む懸濁液を基板表面に滴下するステップと、(ニ)基板表面を洗浄するステップと、(ホ)検出対象生体分子と相補的生体分子とが結合したか否かを検査するステップとを含む生体分子の検出方法であることを要旨とする。
【0008】
本発明の第5の特徴は、(イ)検出対象生体分子を含むサンプル溶液を準備するステップと、(ロ)サンプル溶液を基板表面に滴下し、検出対象生体分子を基板表面に固定するステップと、(ハ)検出対象生体分子と特異的に結合する相補的生体分子が固定された粒子を準備するステップと、(ニ)粒子を含む懸濁液を基板表面に滴下するステップと、(ホ)基板表面を洗浄するステップと、(ヘ)相補的生体分子を介して検出対象生体分子に結合した粒子の数を計測するステップとを含む生体分子の検出方法であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、食用作物由来の変性蛋白質等の生体分子を高い精度で検出することを可能にする抗変性蛋白質抗体精製キット、抗変性蛋白質抗体の精製方法、蛋白質の検出方法、及び生体分子の検出方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。なお以下の示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の技術的思想は構成部品の配置等を下記のものに特定するものではない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において種々の変更を加えることができる。
【0011】
図1に示す実施の形態に係る抗変性蛋白質抗体精製キットは、注入管26及び吸引管27を有する管状容器25を備える。注入管26内部には、図2の断面図に示すように、複数の担体10a, 10b, 10c…が充填されている。さらに抗変性蛋白質抗体精製キットは、担体10a上に固定された、図3に示す食用作物由来の複数の変性蛋白質5a, 5b, 5c, 5dを備える。図2に示した他の複数の担体10b, 10c…のそれぞれの表面にも、複数の変性蛋白質が固定されている。複数の担体10a〜10cのそれぞれには表面に活性エステル等が導入されたゲルや樹脂ビーズ等が使用可能である。
【0012】
図3に示す複数の変性蛋白質5a〜5dのそれぞれには、グリホサート耐性遺伝子組換え作物に含まれるアグロバクテリウムCP4株由来5-エノールピルビルシキミ酸-3-リン酸合成酵素(CP4EPSPS)、遺伝子組換え作物であるBtとうもろこしに含まれる土壌細菌(バチルス・チューリンゲンシス)由来 Cry タンパク質(Cry3A、Cry9C、Cry1Ab、Cry1AC、Cry3Bb1、Cry1F)、ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ蛋白質(PAT)、ニューリーフ・プラス・ジャガイモに含まれるポテトリーフラウンドウイルス由来リボ核酸合成酵素(PLRVRep)、及びニューリーフYジャガイモに含まれるポテトウイルスY外皮タンパク (PVYcp)等の遺伝子組換え作物由来の蛋白質を変性させたものが使用可能である。なお「変性」とは、加熱による熱変性でもよいし、β-メルカプトエタノール等により蛋白質内部のジスルフィド(-S-S-)結合を開裂させることによる構造変性でもよい。担体10aと変性蛋白質5a〜5dのそれぞれとは、例えば、担体10a表面の活性エステルと変性蛋白質5a〜5dのそれぞれに含まれるリジン(Lys)のアミノ(-NH2)基とで形成されるアミド(-CO-NH-)結合で結ばれている。
【0013】
複数の担体10a〜10cが充填された図1に示す管状容器25を用いることにより、抗変性蛋白質抗体を精製することが可能となる。以下、実施の形態に係る抗変性蛋白質抗体の精製方法の一例として、抗CP4EPSPS変性蛋白質抗体の精製方法を図4のフローチャートを用いて説明する。
【0014】
(a) ステップS101で、CP4EPSPSの塩基配列情報をもとに、CP4EPSPS蛋白質をコードする遺伝子の全長を増幅するプライマーを設計する。設計されたプライマーセットの一例であるCP4EPSPSF-Eco及びCP4EPSPSR-Xhoのそれぞれを図5に示す。次に、ラウンドアップレディーダイズから調製したゲノムDNAを鋳型として 図5 に示すプライマーセットを用いるPCRを行う。PCRで得られる増幅断片をグルタチオン-S-トランスフェラーゼ (GST) 融合蛋白質発現ベクターにライゲーションし、図6に塩基配列の一例を示すCP4EPSPS蛋白質の発現プラスミドを作製する。
【0015】
(b) ステップS102で、CP4EPSPS蛋白質の発現プラスミドを大腸菌に導入し、CP4EPSPSのGST融合蛋白質(GST-CP4EPSPS)を大腸菌に発現させる。 次に、大腸菌を破砕し、グルタチオンセファロースカラムを用いて破砕液の可溶画分からGST-CP4EPSPS融合蛋白質を精製する。さらに特異的分解酵素を用いてGST-CP4EPSPS融合蛋白質のグルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)部分を切断し、CP4EPSPS蛋白質全長を得る。
【0016】
(c) ステップS103で、精製されたCP4EPSPS蛋白質をβ-メルカプトエタノール及びドデシル硫酸ナトリウム (SDS) 存在下で加熱変成させる。加熱変成後、CP4EPSPS蛋白質をポリアクリルアミドゲル電気泳動に供する。泳動後、ゲルを硫酸銅染色し、ゲル中のCP4EPSPS蛋白質のバンドの位置を特定する。特定された位置のゲルを切り出し、SDS で変性したCP4EPSPS変性蛋白質を回収する。ステップS104で、CP4EPSPS変性蛋白質をウサギ、ヤギ等の動物に注射することにより免役反応を起こさせ、抗CP4EPSPS変性蛋白質抗体を動物に産生させる。
【0017】
(d) ステップS105で、CP4EPSPS蛋白質を含む溶液に終濃度6(v/v)% の β-メルカプトエタノール及び終濃度2(w/v)%の SDS を加えて 100℃ で10分間加熱しCP4EPSPS変性蛋白質を得る。次に、CP4EPSPS変性蛋白質を含む溶液を、透析法によりカップリングバッファー (0.2M NaHCO3、0.5M NaCl 、pH8.3) にバッファー交換を行う。バッファー交換後、活性エステル基を導入されたゲル等の担体が複数充填された図1に示す管状容器25の注入管26からCP4EPSPS変性蛋白質を含む溶液を注入する。注入により、図3に示すように担体10aに複数の変性蛋白質5a〜5dとして複数のCP4EPSPS変性蛋白質のそれぞれが結合し、実施の形態に係る抗変性蛋白質抗体精製キットが作製される。その後、注入管26から緩衝液を注入し、吸引管27から吸引することにより、管状容器25内部を洗浄する。
【0018】
(e) ステップS106で、作製した抗変性蛋白質抗体精製キットの図1に示す注入管26からステップS104で抗CP4EPSPS変性蛋白質抗体を産生させた動物の抗血清を管状容器25内部に添加する。ここで、抗血清中の抗CP4EPSPS変性蛋白質抗体は図3に示す担体10a表面の複数の変性蛋白質5a〜5dのそれぞれにトラップされる。しかし、抗血清中の抗CP4EPSPS変性蛋白質抗体以外の生体分子は、担体10a表面の複数の変性蛋白質5a〜5dにトラップされないため、図1に示す吸引管27から排出される。抗血清を管状容器25から排出後、管状容器25内部を緩衝液等で洗浄する。洗浄後、注入管26から例えばpH4.0の溶出液を管状容器25内部に添加することにより、担体10a表面の複数の変性蛋白質5a〜5dにトラップされた抗CP4EPSPS変性蛋白質抗体を開放する。開放された抗CP4EPSPS変性蛋白質抗体を含む溶出液を収集することによって抗CP4EPSPS変性蛋白質抗体を精製し、実施の形態に係る抗CP4EPSPS変性蛋白質抗体の精製方法を終了する。
【0019】
以上示した実施の形態に係る抗CP4EPSPS変性蛋白質抗体の精製方法で得られる抗CP4EPSPS変性蛋白質抗体を用いれば、効率的にCP4EPSPS変性蛋白質を検出することが可能となる。以下、実施の形態に係る抗CP4EPSPS変性蛋白質抗体を用いたCP4EPSPS蛋白質及びCP4EPSPS変性蛋白質の検出例について説明する。
【0020】
遺伝子組換えされ、CP4EPSPS蛋白質を含むグリホサート耐性ダイズと、CP4EPSPS蛋白質を含まない非遺伝子組換えダイズのそれぞれから抽出した複数の蛋白質をSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)し、ポリアクリルアミドゲルをクーマシーブリリアントブルー(CBB)染色したものを図7(a)に示す。Mで示したレーンにはマーカー蛋白質が、第1レーンにはグリホサート耐性ダイズから抽出された複数の蛋白質が、第2レーンには非遺伝子組換えダイズから抽出された複数の蛋白質が泳動されている。第1及び第2レーンから明らかなように、グリホサート耐性ダイズ及び非遺伝子組換えダイズのそれぞれからは、種々の分子量の複数の蛋白質が抽出される。
【0021】
ここで、グリホサート耐性ダイズ及び非遺伝子組換えダイズのそれぞれから抽出した複数の蛋白質をSDS-PAGEし、ウェスタンブロット法により、分離された複数の蛋白質のそれぞれをポリビリニデンジフルオライド(PVDF)膜に転移後、精製した抗CP4EPSPS変性蛋白質抗体を用いて免疫染色すると、図7(b)に示すように、グリホサート耐性ダイズ由来の蛋白質中にのみ48kDaのCP4EPSPS蛋白質を示すバンドが確認される。このように、実施の形態に係る抗CP4EPSPS変性蛋白質抗体は、CP4EPSPS蛋白質を高い感度で検出することが可能である。
【0022】
さらに実施の形態で得られる抗CP4EPSPS変性蛋白質抗体を用いれば、加熱食品等からCP4EPSPS変性蛋白質を検出することも可能である。図8に示すウェスタンブロットにおいて、第1レーンには非加熱のグリホサート耐性ダイズから抽出された複数の蛋白質が泳動されている。第2レーンにはオートクレーブ処理された非遺伝子組換えダイズから抽出された複数の蛋白質、第3レーンには5分間煮沸変性させた非遺伝子組換えダイズから抽出された複数の蛋白質、第4レーンには20分間煮沸変性させた非遺伝子組換えダイズから抽出された複数の蛋白質がそれぞれ泳動されている。さらに第5レーンにはオートクレーブ処理されたグリホサート耐性ダイズから抽出された複数の蛋白質、第6レーンには5分間煮沸変性させたグリホサート耐性ダイズから抽出された複数の蛋白質、第7レーンには20分間煮沸変性させたグリホサート耐性ダイズから抽出された複数の蛋白質、第8レーンにはグリホサート耐性ダイズを煮沸させた時の煮汁がそれぞれ泳動されている。
【0023】
図8から明らかなように、非遺伝子組換えダイズから抽出された複数の蛋白質のそれぞれとは実施の形態で得られる抗CP4EPSPS変性蛋白質抗体は反応していない。これに対して、グリホサート耐性ダイズから抽出された蛋白質については、第1レーンに示した非加熱のグリホサート耐性ダイズから抽出された複数の蛋白質のみならず、第5レーンから第8レーンに示すように、加熱処理されたグリホサート耐性ダイズから抽出された複数の蛋白質からも、実施の形態で得られる抗CP4EPSPS変性蛋白質抗体はCP4EPSPS変性蛋白質を特異的に検出することが可能である。
【0024】
また実施の形態で得られる抗CP4EPSPS変性蛋白質抗体を用いれば、加工食品等に含まれ、分解されたCP4EPSPS変性蛋白質を検出することも可能である。図9(a)に示すポリアクリルアミドゲルにおいては、Mで示すレーンにマーカー蛋白質、第1レーンにGST-CP4EPSPS融合蛋白質、第2レーンにシークエンスグレードトリプシン、第3レーンに1時間トリプシン消化したGST-CP4EPSPS融合蛋白質、第4レーンに3時間トリプシン消化したGST-CP4EPSPS融合蛋白質のそれぞれがペプチドPAGEされた後、CBB染色されている。
【0025】
同様にペプチドPAGEで分離された蛋白質をPVDF膜に転移後、実施の形態で得られる抗CP4EPSPS変性蛋白質抗体で免疫染色したものを図9(b)に示す。図9(b)の矢印に示すように、抗CP4EPSPS変性蛋白質抗体は、第1レーンのGST-CP4EPSPS融合蛋白質、及びトリプシン消化した第3及び第4レーンのGST-CP4EPSPS融合蛋白質のそれぞれと抗体抗原反応している。したがって、部分的に分解されたCP4EPSPS変性蛋白質についても、実施の形態に係る抗CP4EPSPS変性蛋白質抗体は検出可能である。
【0026】
次に、図4のステップS105及びステップS106でCP4EPSPS変性蛋白質を有する抗変性蛋白質抗体精製キットで抗CP4EPSPS変性蛋白質抗体を精製する効果について説明する。
【0027】
まず図4に示した方法で精製した抗CP4EPSPS変性蛋白質抗体以外に、ステップS104で抗CP4EPSPS変性蛋白質抗体を産生させた動物の抗血清、及び未変性のCP4EPSPS蛋白質を固定したアフィニティーカラムで抗血清を精製して得られる抗CP4EPSPS変性蛋白質抗体を用意する。続いて大腸菌で発現させた75kDaのGST-CP4EPSPS融合蛋白質をβ-メルカプトエタノール及びドデシル硫酸ナトリウム (SDS) 存在下で加熱変成させ、GST-CP4EPSPS融合変性蛋白質を得る。GST-CP4EPSPS融合変性蛋白質をSDS-PAGEした後PVDF膜に転移させ、図4に示した方法で精製した40ng/mlの抗CP4EPSPS変性蛋白質抗体を用いてウェスタンブロット法で免疫染色したものを図10(a)に、未変性のCP4EPSPS蛋白質を有するアフィニティーカラムで精製された40ng/mlの抗CP4EPSPS変性蛋白質抗体を用いて免疫染色したものを図10(b)に、40ng/mlの抗血清で免疫染色したものを図10(c)に示す。なお、図10(a)から図10(c)において、レーン1から7のそれぞれには100ng、50ng、25ng、12.5ng、6.25ng、3.1ng、及び1.6 ngのGST-CP4EPSPS融合変性蛋白質が泳動されている。
【0028】
図10(a)から図10(c)に示したブロッティング結果を比較すると、図4に示した方法で精製した抗CP4EPSPS変性蛋白質抗体は、未変性のCP4EPSPS蛋白質を有するアフィニティーカラムで精製された抗CP4EPSPS変性蛋白質抗体の約4倍、抗血清の約8倍以上の検出感度を示す。したがって、図4のステップS105及びステップS106でCP4EPSPS変性蛋白質を有する抗変性蛋白質抗体精製キットで抗CP4EPSPS変性蛋白質抗体を精製することにより、遺伝子組換え作物等に含まれるCP4EPSPS変性蛋白質をより高い感度で検出することが可能となる。
【0029】
次に実施の形態に係る蛋白質の検出方法を図11のフローチャートを用いて説明する。
【0030】
(a) ステップS201で、図12に示すケイ酸(SiO2)からなるスライドグラス等の基板13を濃度0.1(v/v)%の3-アミノプロピルトリエトキシシラン水溶液で10分間処理し、基板13表面に複数のアミノ(-NH2)基81a, 81b, 81c…を導入する。複数のアミノ(-NH2)基81a〜81cのそれぞれと基板13とは共有結合する。次に食用作物等から抽出された複数のサンプル蛋白質を含むサンプル溶液にグルタルアルデヒドを滴下し撹拌する。さらにサンプル溶液を複数のアミノ基81a〜81cが導入された基板13表面に20μl滴下して30分室温で放置する。放置により複数のサンプル蛋白質のそれぞれに含まれるリジン(Lys)のアミノ基と基板13表面の複数のアミノ基81a〜81cとをグルタルアルデヒド(OHCCH2CH2CH2CHO)でアミド結合させ、図13に示すように、基板13表面に複数のサンプル蛋白質82a, 82b, 82c…のそれぞれを固定する。
【0031】
(b) ステップS202で、基板13表面を水で穏やかに洗浄し、乾燥しないように注意しながらブロッキング溶液(1%スキムミルク-0.05%Tween20-トリス緩衝液)を基板13表面に載せ、室温で20分間放置する。放置により基板13表面の図12に示す複数のアミノ基81a〜81cのうち、未反応のものをブロッキングする。
【0032】
(c) ステップS203で、図14に示すように、表面に複数のプロテインA 61a, 61b, 61c…がコートされた直径数十nm、例えば直径50nmの粒子71を用意する。用意された粒子71を含む懸濁液 に検出対象蛋白質と特異的に結合する抗体等の探知用蛋白質を加える。一例として、「検出対象蛋白質」は遺伝子組換え作物に含まれるCP4EPSPS蛋白質であり、「探知用蛋白質」はCP4EPSPS蛋白質と特異的に結合する抗CP4EPSPS蛋白質抗体であるとして説明を進める。懸濁液に抗CP4EPSPS蛋白質抗体を滴下することにより、図15に示すように、粒子71表面の複数のプロテインA 61a〜61cのそれぞれと抗CP4EPSPS蛋白質抗体51a, 51b, 51c…のFcフラグメントとが結合する。その後、ブロッキング溶液を加え、複数のプロテインA 61a〜61cのうち未反応のものをブロッキングする。
【0033】
(d) ステップS204で、図13に示す複数のサンプル蛋白質82a〜82cのそれぞれが固定された基板13表面を水で穏やかに洗浄し、図15に示す抗CP4EPSPS蛋白質抗体51a〜51cが導入された粒子71を含む20μlの懸濁液を基板13表面に滴下する。滴下後、基板13を室温で30分間放置する。このとき、複数のサンプル蛋白質82a〜82cのいずれかにCP4EPSPS蛋白質が含まれていれば、粒子71表面に固定された抗CP4EPSPS蛋白質抗体51a〜51cと抗原抗体反応を起こす。例えばサンプル蛋白質82cがCP4EPSPS蛋白質であれば、図16に示すように、サンプル蛋白質82cと粒子71表面に固定された抗CP4EPSPS蛋白質抗体51aとが抗原抗体反応により結合する。
【0034】
(e) ステップS205で、基板13表面を水で穏やかに洗浄し、真空乾燥する。ステップS206で、基板13表面を原子間力顕微鏡(AFM)あるいは楕円偏光計等で分析し、基板13表面に残存する粒子71の数を計測する。なお、計測に用いる装置はAFM等に限られず、蛍光顕微鏡、共焦点レーザー顕微鏡、電子顕微鏡、及び表面プラズモン共鳴(SPR)センサ等の表面計測装置が使用可能である。図16に示すように、基板13表面のサンプル蛋白質82cと粒子71表面に固定された抗CP4EPSPS蛋白質抗体51aとが抗原抗体反応により結合し、洗浄後も基板13表面に粒子71が残存する場合のAFM観察画像の例を図17に示す。一方、複数のサンプル蛋白質82a〜82cの総てが例えばウシ血清アルブミン(BSA)等の抗CP4EPSPS蛋白質抗体51a〜51cと反応しない蛋白質であり、図18に示すように基板13表面に粒子71が結合しない場合のAFM観察画像の例を図19に示す。AFM等による観察結果より、図13に示すサンプル蛋白質82a〜82cのいずれかに検出対象蛋白質であるCP4EPSPS蛋白質が含まれているか否かを判断して実施の形態に係る蛋白質の検出方法を終了する。
【0035】
従来、基板表面に固定された抗原に抗体を反応させ、基板表面の抗原に結合した抗体をAFM等で観察する試みがなされていた。他に、基板表面における酵素と基質の結合反応、あるいはリガンドと受容体の結合反応等をAFMで観察する試みがなされていた。しかし、抗体等の蛋白質は弾性が高く、またAFMのカンチレバーチップの曲率半径より蛋白質が小さい場合にはコンボリューション効果が生じるため、蛋白質の形状をAFMで正確に観察するのは不可能であった。そのため、基板表面に固定されたサンプル蛋白質に探知用蛋白質が特異的に結合したか否かをAFMで検証するのは困難であった。また蛍光試薬を用いて抗原抗体反応を検出する方法は解像度が低く、基質を酵素反応で発色させる方法は酵素反応の反応速度論的な特性が観察結果に影響する等の問題があった。
【0036】
これに対し、実施の形態に係る蛋白質の検出方法によれば、図16に示すように、サンプル蛋白質82a〜82cのいずれかに検出対象蛋白質が含まれていれば、粒子71表面の探知用蛋白質である抗CP4EPSPS蛋白質抗体51aと特異的に結合するため、ステップS205で基板13表面を洗浄した後も粒子71が基板表面に残存する。したがって洗浄後の基板13表面をAFM等で観察すれば、粒子71の存在の有無によりサンプル蛋白質を抽出した食用作物等が遺伝子組換え作物であるか否かの検査を容易にすることが可能となる。また粒子71が基板13表面に存在する場合には、粒子71の数を計測することにより、遺伝子組換え作物に含まれる組換え遺伝子由来蛋白質の量を定量化することも可能となる。なおAFMを検出に用いることにより、ステップS201で基板13表面に滴下するサンプル溶液の量は微量で足りる。また、基板13表面にサンプル溶液をアレイ状にスポッティングすることにより、検出作業の並行化を図り、検出時間の短縮を図ることも可能となる。
【0037】
(第1の変形例)
実施の形態で説明した蛋白質の検出方法は、核酸等の検出にも応用可能である。ここでは、実施の形態の第1の変形例に係る生体分子の検出方法を説明する。
【0038】
まず図20に示すように、基板13上にシランカップリング剤等を介して、複数の固定用生体分子182a, 182b, 182c…のそれぞれをアミド結合等の共有結合で固定する。複数の固定用生体分子182a〜182cのそれぞれは、検出対象となる検出対象生体分子と相補的に結合する生体分子である。例えば、検出対象生体分子がDNA、リボ核酸(RNA)、及びペプチド核酸(PNA)等であれば、複数の固定用生体分子182a〜182cのそれぞれは、検出対象生体分子とハイブリダイズする塩基配列を有する。
【0039】
次に、検出対象生体分子を例えばビオチンで標識する。一例として、検出対象生体分子が特定のDNA配列である場合には、ビオチン化プライマーを用いたPCR等により検出対象生体分子をビオチン標識することができる。このようにして標識したサンプル生体分子を1本鎖に変性させ、基板13上に滴下する。この時、サンプル生体分子に検出対象生体分子が含まれていれば、図21に示すように、複数の固定用生体分子182a〜182cのそれぞれに複数の検出対象生体分子183a, 183b, 183c…のそれぞれがハイブリダイズして2本鎖を形成する。複数の検出対象生体分子183a〜183cのそれぞれは、ビオチン化プライマーを用いて増幅されているので、ビオチン184a, 184b, 184c…をそれぞれ有している。
【0040】
図23で、検出対象生体分子183a〜183cのビオチン184a〜184cと特異的に結合する相補的生体分子であるアビジン185a, 185b, 185c, 185dでコートされた粒子71を用意する。用意した粒子71を含む懸濁液を図21に示した基板13上に滴下する。滴下により、粒子71表面のアビジン185a〜185dのいずれか一つと、基板13上に固定された検出対象生体分子183a〜183cのビオチン184a〜184cのいずれか一つとが、図22に示すように特異的に結合する。したがって、基板13上に固定された粒子71をAFM、蛍光顕微鏡、共焦点レーザー顕微鏡、電子顕微鏡、楕円偏光計、SPRセンサ等で検出することにより、サンプル生体分子中に検出対象生体分子が含まれているか否かを検査することが可能となる。なお、相補的生体分子には、検出対象生体分子と特異的に結合するアプタマー等も使用可能である。
【0041】
(第2の変形例)
実施の形態の第2の変形例では、生体分子の検出方法を利用したインターロイキン-2(IL-2)を含むサンプル溶液の濃度の算出方法を、図24に示すフローチャートを用いて説明する。
【0042】
(a) ステップS301で、SiO2からなるスライドグラス等の基板を濃度0.1(v/v)%の3-アミノプロピルトリエトキシシラン水溶液で10分間処理し、基板表面に複数のアミノ(-NH2)基を導入する。次に基板表面に直径3mmの穴を開けたフッ素樹脂シールを貼り、フッ素樹脂シールの穴から複数のアミノ基が導入された基板表面を表出させる。その後、1倍濃度のリン酸緩衝液(PBS : phosphate buffer solution)で24.6ng/μlに希釈した3μlの抗IL-2抗体含有溶液を複数のアミノ基が導入された基板表面に滴下し、1時間反応させる。反応の間、複数の抗IL-2抗体のそれぞれに含まれるリジン(Lys)のアミノ基と基板表面のアミノ基とをグルタルアルデヒドでアミド結合させ、基板表面に複数の抗IL-2抗体のそれぞれを固定する。あるいは、アミノ基を導入した基板表面にスベリン酸ジスクシンイミジル(DSS)を反応させて基板表面にスクシンイミド基を導入し、スクシンイミド基と抗IL-2抗体に含まれるリジン(Lys)のアミノ基とが共有結合することを利用して基板表面に抗IL-2抗体を固定しても良い。DSS以外の種々の架橋試薬を介して基板表面に抗IL-2抗体を固定しても良い。ステップS302で、基板表面を穏やかに洗浄し、1倍濃度のPBSに1%の濃度でBSAを溶かしたブロッキング溶液を基板表面に載せ、室温で60分間放置する。放置により基板表面の複数のアミノ基のうち、未反応のものをブロッキングする。
【0043】
(b) ステップS303で、検出対象生体分子としてのリコンビナントIL-2を含むサンプル溶液を準備する。次にサンプル溶液を基板表面に滴下し、2時間放置することによって、基板表面上の抗IL-2抗体とリコンビナントIL-2とを反応させ、抗IL-2抗体を介してリコンビナントIL-2を基板表面に固定される。2時間放置後、ステップS304でブロッキング溶液に0.6ng/μlの濃度で希釈されたビオチン標識抗IL-2抗体を準備する。次にビオチン標識抗IL-2抗体を基板表面に滴下し、さらに2時間放置することによって、基板表面上のリコンビナントIL-2とビオチン標識抗IL-2抗体とを反応させる。反応により、基板表面上にビオチン標識抗IL-2抗体が固定される。ステップS305で、それぞれ相補的生体分子としてのストレプトアビジンで標識され、直径が50nmの複数の粒子を含む懸濁液を基板表面に滴下し、1時間放置することによって、基板表面上のビオチン標識抗IL-2抗体と粒子に固定されたストレプトアビジンとを反応させる。反応により、検出対象生体分子としてのリコンビナントIL-2と粒子に固定された相補的生体分子としてのストレプトアビジンがビオチン標識抗IL-2抗体を介して結合される。ステップS306で、基板表面を水で洗浄する。
【0044】
(c) ステップS307で基板表面を乾燥し、AFM及び磁気力顕微鏡等の走査型プローブ顕微鏡で基板表面を観察することにより、基板上に固定されたビオチンと粒子上に固定されたストレプトアビジンとが結合したか否かを検査する。基板上に粒子が結合されたか否かは、AFMで基板上に粒子の形状が観察されたか否かで検査してもよいし、予め粒子に磁気を持たせておき、磁気力顕微鏡で基板上に磁気が検出されたか否かで検査してもよい。図25は、サンプル溶液のリコンビナントIL-2の濃度が0pg/μlのときの基板表面のAFMによる観察像である。図26は、リコンビナントIL-2が0.2pg/μlのときの基板表面の観察像である。図27は、リコンビナントIL-2が0.4pg/μlのときの基板表面の観察像である。図28は、リコンビナントIL-2が0.8pg/μlのときの基板表面の観察像である。図29は、リコンビナントIL-2が1.5pg/μlのときの基板表面の観察像である。図30は、リコンビナントIL-2が3.1pg/μlのときの基板表面の観察像である。図31は、リコンビナントIL-2が6.2pg/μlのときの基板表面の観察像である。図32は、リコンビナントIL-2が12.3pg/μlのときの基板表面の観察像である。図25乃至図32において観察像中の黒点は、基板表面に、抗IL-2抗体、リコンビナントIL-2、及びビオチン標識抗IL-2抗体を介して結合されたストレプトアビジン標識粒子を示している。図33に示すように、サンプル溶液中のリコンビナントIL-2の濃度と基板表面で観察された粒子の数との関係を予め取得しておき、AFMで観察することにより計測された基板上に固定された粒子の数からサンプル溶液におけるリコンビナントIL-2の濃度を算出する。
【0045】
以上示した第2の変形例に係る生体分子の検出方法によれば、予めサンプル溶液のリコンビナントIL-2の濃度と基板表面で観察された粒子の数との関係を取得しておけば、未知の濃度のリコンビナントIL-2を含むサンプル溶液について、ステップS307で粒子の数を計測することにより、濃度を算出することが可能となる。なお、図25乃至図33に示した観察像のそれぞれは、縦横それぞれのスキャン範囲は10μmである。また観察像のそれぞれは、カンチレバーを振幅させながら1Hz/辺のスキャン速度で基板表面をスキャンして得られた画像であり、粒子の判別のためにコントラストが強調されている。なお、観察像中の粒子の数の計測は、コンピュータの画像処理機能等により観察像中の直径50nmの黒点の数を計測することによって実施してもよい。従来においては、1次抗体と抗原との反応の後に酵素標識した2次抗体を反応させ、続いて抗原と反応した2次抗体に結合された酵素と発色基質を反応させ、発色したサンプル溶液の吸光度からサンプル溶液中の抗原の濃度を算出する酵素免疫測定法(ELISA: Enzyme-Linked Immunosorbent assay)があった。しかし、従来の方法では、低濃度に希釈された生体分子の濃度を算出するためにはシグナルを増幅することが必要であり、正確な濃度を測定することは困難であった。これに対し、実施の形態の第2の変形例に係る生体分子の検出方法によれば、基板表面に固定された一分子のリコンビナントIL-2と特異的に結合した一対一の関係にある粒子の数が計測される。したがって、シグナルを増幅することなく、リコンビナントIL-2の濃度を正確に測定することが可能となる。一分子レベルの低濃度から100μg/μlまで、より具体的には1pg/μlから100pg/μlの範囲でIL-2の濃度を正確に測定することも可能となる。サンプル溶液の吸光度からサンプル溶液中の生体分子の濃度を算出する方法があった。しかし、従来の方法では、サンプル溶液中に複数の種類の生体分子が含まれている場合に、種類別に生体分子の濃度を算出することは困難であった。また、低濃度に希釈された生体分子の濃度を正確に算出することも困難であった。これに対し、実施の形態の第2の変形例に係る生体分子の検出方法によれば、リコンビナントIL-2と特異的に結合した粒子の数が計測される。したがって、サンプル溶液中にリコンビナントIL-2以外の生体分子が含まれていた場合も、リコンビナントIL-2以外の生体分子は基板表面に結合しないため、リコンビナントIL-2の濃度を正確に測定することが可能となる。また、基板表面に固定された一分子のIL-2と一対一の関係にある粒子の数を計測することにより、1pg/μlレベルの低濃度まで希釈されたIL-2の濃度を正確に測定することも可能となる。
【0046】
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明を実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。例えば図3に示した複数の変性蛋白質5a〜5dのそれぞれには、卵に含まれる卵白アルブミン、オボムコイド、牛乳に含まれるβラクトグロブリン、αカゼイン、及び小麦に含まれるグリアジン等のアレルギー原因蛋白質を変性させたものも使用可能である。また図11に示した蛋白質の検出方法も、組換え遺伝子由来蛋白質の検出のみならず、アレルギー原因蛋白質等の検出にも利用可能であるのはいうまでもない。以上示したように、この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明からは妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施の形態に係る管状容器を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る管状容器を示す断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る担体を示す模式図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る抗変性蛋白質抗体の精製方法を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態に係るプライマー配列である。
【図6】本発明の実施の形態に係るプラスミドの塩基配列である。
【図7】本発明の実施の形態に係る抗体抗原反応を示す画像(その1)である。
【図8】本発明の実施の形態に係る抗体抗原反応を示す画像(その2)である。
【図9】本発明の実施の形態に係る抗体抗原反応を示す画像(その3)である。
【図10】本発明の実施の形態に係る抗体抗原反応を示す画像(その4)である。
【図11】本発明の実施の形態に係る蛋白質の検出方法を示すフローチャートである。
【図12】本発明の実施の形態に係る蛋白質の検出方法を示す工程断面図(その1)である。
【図13】本発明の実施の形態に係る蛋白質の検出方法を示す工程断面図(その2)である。
【図14】本発明の実施の形態に係る粒子を示す模式図(その1)である。
【図15】本発明の実施の形態に係る粒子を示す模式図(その2)である。
【図16】本発明の実施の形態に係る蛋白質の検出方法を示す工程断面図(その3)である。
【図17】本発明の実施の形態に係る蛋白質の検出方法の検査結果を示す顕微鏡画像(その1)である。
【図18】本発明の実施の形態に係る蛋白質の検出方法を示す工程断面図(その4)である。
【図19】本発明の実施の形態に係る蛋白質の検出方法の検査結果を示す顕微鏡画像(その2)である。
【図20】本発明の実施の形態の第1の変形例に係る生体分子の検出方法を示す工程断面図(その1)である。
【図21】本発明の実施の形態の第1の変形例に係る生体分子の検出方法を示す工程断面図(その2)である。
【図22】本発明の実施の形態の第1の変形例に係る生体分子の検出方法を示す工程断面図(その3)である。
【図23】本発明の実施の形態の第1の変形例に係る生体分子の検出方法を示す工程断面図(その4)である。
【図24】本発明の実施の形態の第2の変形例に係る生体分子の検出方法を示すフローチャートである。
【図25】本発明の実施の形態の第2の変形例に係る基板表面の第1の観察像である。
【図26】本発明の実施の形態の第2の変形例に係る基板表面の第2の観察像である。
【図27】本発明の実施の形態の第2の変形例に係る基板表面の第3の観察像である。
【図28】本発明の実施の形態の第2の変形例に係る基板表面の第4の観察像である。
【図29】本発明の実施の形態の第2の変形例に係る基板表面の第5の観察像である。
【図30】本発明の実施の形態の第2の変形例に係る基板表面の第6の観察像である。
【図31】本発明の実施の形態の第2の変形例に係る基板表面の第7の観察像である。
【図32】本発明の実施の形態の第2の変形例に係る基板表面の第8の観察像である。
【図33】本発明の実施の形態の第2の変形例に係る基板表面の粒子の個数を示すグラフである。
【符号の説明】
【0048】
5a, 5b, 5c, 5d…変性蛋白質
10a, 10b, 10c…担体
13…基板
25…管状容器
26…注入管
27…吸引管
51a, 51b, 51c…蛋白質抗体
61a, 61b, 61c…プロテインA
71…粒子
51a, 51b, 51c…抗CP4EPSPS蛋白質抗体
81a, 81b, 81c…アミノ基
82a, 82b, 82c…サンプル蛋白質
182a, 182b, 182c…固定用生体分子
183a, 183b, 183c…検出対象生体分子
184a, 184b, 184c…ビオチン
185a, 185b, 185c, 185d…アビジン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
担体と、
前記担体上に固定された、食用作物由来の変性蛋白質
とを備えることを特徴とする抗変性蛋白質抗体精製キット。
【請求項2】
前記変性蛋白質は、遺伝子組換え作物由来蛋白質であることを特徴とする請求項1に記載の抗変性蛋白質抗体精製キット。
【請求項3】
前記遺伝子組換え作物由来蛋白質は、アグロバクテリウムCP4株由来5-エノールピルビルシキミ酸-3-リン酸合成酵素であることを特徴とする請求項2に記載の抗変性蛋白質抗体精製キット。
【請求項4】
前記変性蛋白質は、アレルギー原因蛋白質であることを特徴とする請求項1に記載の抗変性蛋白質抗体精製キット。
【請求項5】
食用作物由来の蛋白質を変性させ、変性蛋白質を得るステップと、
前記変性蛋白質に対する抗変性蛋白質抗体を作成するステップと、
前記変性蛋白質を担体に固定するステップと、
前記担体を用いて前記抗変性蛋白質抗体を精製するステップ
とを含むことを特徴とする抗変性蛋白質抗体の精製方法。
【請求項6】
前記蛋白質は、遺伝子組換え作物由来蛋白質であることを特徴とする請求項5に記載の抗変性蛋白質抗体の精製方法。
【請求項7】
前記遺伝子組換え作物由来蛋白質は、アグロバクテリウムCP4株由来5-エノールピルビルシキミ酸-3-リン酸合成酵素であることを特徴とする請求項6に記載の抗変性蛋白質抗体の精製方法。
【請求項8】
前記蛋白質は、アレルギー原因蛋白質であることを特徴とする請求項5に記載の抗変性蛋白質抗体の精製方法。
【請求項9】
食用作物から抽出されたサンプル蛋白質を基板表面に固定するステップと、
検出対象蛋白質と特異的に結合する探知用蛋白質を粒子に固定するステップと、
前記粒子を含む懸濁液を前記基板表面に滴下するステップと、
前記基板表面を洗浄するステップと、
前記サンプル蛋白質と前記探知用蛋白質とが結合したか否かを検査するステップ
とを含むことを特徴とする蛋白質の検出方法。
【請求項10】
前記検査するステップは、前記基板表面に残存する粒子を顕微鏡で観察する手順を含むことを特徴とする請求項9に記載の蛋白質の検出方法。
【請求項11】
前記顕微鏡は、原子間力顕微鏡であることを特徴とする請求項10に記載の蛋白質の検出方法。
【請求項12】
前記顕微鏡は、蛍光顕微鏡であることを特徴とする請求項10に記載の蛋白質の検出方法。
【請求項13】
前記顕微鏡は、共焦点レーザー顕微鏡であることを特徴とする請求項10に記載の蛋白質の検出方法。
【請求項14】
前記顕微鏡は、電子顕微鏡であることを特徴とする請求項10に記載の蛋白質の検出方法。
【請求項15】
前記検査するステップは、前記基板表面に残存する粒子を楕円偏光計で分析する手順を含むことを特徴とする請求項9に記載の蛋白質の検出方法。
【請求項16】
前記検査するステップは、前記基板表面に残存する粒子を表面プラズモン共鳴センサで分析する手順を含むことを特徴とする請求項9に記載の蛋白質の検出方法。
【請求項17】
前記検出対象蛋白質は、遺伝子組換え作物由来蛋白質であることを特徴とする請求項9乃至16のいずれか1項に記載の蛋白質の検出方法。
【請求項18】
前記遺伝子組換え作物由来蛋白質は、アグロバクテリウムCP4株由来5-エノールピルビルシキミ酸-3-リン酸合成酵素であることを特徴とする請求項17に記載の蛋白質の検出方法。
【請求項19】
前記検出対象蛋白質は、アレルギー原因蛋白質であることを特徴とする請求項9乃至16のいずれか1項に記載の蛋白質の検出方法。
【請求項20】
検出対象生体分子を基板表面に固定するステップと、
前記検出対象生体分子と特異的に結合する相補的生体分子を粒子に固定するステップと、
前記粒子を含む懸濁液を前記基板表面に滴下するステップと、
前記基板表面を洗浄するステップと、
前記検出対象生体分子と前記相補的生体分子とが結合したか否かを検査するステップ
とを含むことを特徴とする生体分子の検出方法。
【請求項21】
前記検査するステップは、前記基板表面に残存する粒子を顕微鏡で観察する手順を含むことを特徴とする請求項20に記載の生体分子の検出方法。
【請求項22】
前記顕微鏡は、原子間力顕微鏡であることを特徴とする請求項21に記載の生体分子の検出方法。
【請求項23】
前記顕微鏡は、蛍光顕微鏡であることを特徴とする請求項21に記載の生体分子の検出方法。
【請求項24】
前記顕微鏡は、共焦点レーザー顕微鏡であることを特徴とする請求項21に記載の生体分子の検出方法。
【請求項25】
前記顕微鏡は、電子顕微鏡であることを特徴とする請求項21に記載の生体分子の検出方法。
【請求項26】
前記検査するステップは、前記基板表面に残存する粒子を楕円偏光計で分析する手順を含むことを特徴とする請求項20に記載の生体分子の検出方法。
【請求項27】
前記検査するステップは、前記基板表面に残存する粒子を表面プラズモン共鳴センサで分析する手順を含むことを特徴とする請求項20に記載の生体分子の検出方法。
【請求項28】
前記検出対象生体分子は、デオキシリボ核酸であることを特徴とする請求項20乃至27のいずれか1項に記載の生体分子の検出方法。
【請求項29】
前記検出対象生体分子は、リボ核酸であることを特徴とする請求項20乃至27のいずれか1項に記載の生体分子の検出方法。
【請求項30】
前記検出対象生体分子は、ペプチド核酸であることを特徴とする請求項20乃至27のいずれか1項に記載の生体分子の検出方法。
【請求項31】
前記相補的生体分子は、アプタマーであることを特徴とする請求項20乃至30のいずれか1項に記載の生体分子の検出方法。
【請求項32】
検出対象生体分子を含むサンプル溶液を準備するステップと、
前記サンプル溶液を基板表面に滴下し、前記検出対象生体分子を前記基板表面に固定するステップと、
前記検出対象生体分子と特異的に結合する相補的生体分子が固定された粒子を準備するステップと、
前記粒子を含む懸濁液を前記基板表面に滴下するステップと、
前記基板表面を洗浄するステップと、
前記相補的生体分子を介して前記検出対象生体分子に結合した前記粒子の数を計測するステップ
とを含むことを特徴とする生体分子の検出方法。
【請求項33】
前記粒子の数は、走査型プローブ顕微鏡で計測されることを特徴とする請求項32に記載の生体分子の検出方法。
【請求項34】
予め取得した前記粒子の数と前記サンプル溶液中の前記検出対象生体分子の濃度の関係を用いて、前記計測された粒子の数から前記サンプル溶液中の前記固定された検出対象生体分子の濃度を逆算するステップを更に含むことを特徴とする請求項32又は33に記載の生体分子の検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2006−197925(P2006−197925A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−330478(P2005−330478)
【出願日】平成17年11月15日(2005.11.15)
【出願人】(501131302)株式会社生体分子計測研究所 (15)
【Fターム(参考)】