説明

抗炎症活性を有するマクロライド化合物の結晶体

本発明は、抗炎症活性を有するマクロライド化合物に関し、より詳細には、抗炎症活性を有するマクロライド誘導体の新規な安定結晶体に関する。また本発明は、該結晶体の調製プロセス、該結晶体を有効成分とする医薬組成物、及び該結晶体の炎症性疾患の治療のための使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗炎症活性を有するマクロライド化合物に関し、より詳細には、抗炎症活性を有するマクロライド誘導体の新規な安定結晶体に関する。また本発明は、該結晶体の調製プロセス、該結晶体を有効成分とする医薬組成物、及び該結晶体の炎症性疾患の治療のための使用に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの抗生物質、特に14員環構造を有するエリスロマイシン系マクロライド類は、抗菌活性に加え抗炎症活性を有することが知られている(非特許文献1)。
【0003】
エリスロマイシンは、天然に産生されるマクロライド(非特許文献2)であり、グラム陽性菌や種々のグラム陰性菌、マイコプラズマによる感染症の治療に広く利用されてきた。
【0004】
最近、科学界においてエリスロマイシンとその誘導体の抗炎症活性及び免疫調節能が注目されている(非特許文献3)。
【0005】
この活性については、臨床研究並びにin vivo及びin vitro実験に関連して多くの文献報告がなされている。
【0006】
しかしながら、従来のマクロライド化合物はその強い抗菌活性により、該化合物を使用するとその耐性菌株が急速に発達する可能性があるため、病原微生物に起因しない炎症プロセスの長期的治療へと用途を広げることはできない。
【0007】
上述の技術的問題点は、同一出願人による特許文献1(WO’153)において成功裏に解決された。同出願明細書には、抗炎症活性を有し且つ抗生物質活性を有さないマクロライド誘導体が開示されている。
【0008】
特に、式:
【0009】
【化1】

【0010】
で表される化合物(9S)−3−デスクラジノシル−3’−デスメチル−3’−アセチル−9−デオキソ−9−デヒドロ−エリスロマイシンA(以下、「本化合物」と称する)はアモルファスな固体として得られる。
【0011】
物質が2種類以上の結晶構造を伴い結晶化することを多形現象といい、特定の結晶体を多形体という。
【0012】
WO’153においては、本化合物に結晶多形体が存在しうるかどうかは開示も示唆もされていない。
【0013】
当業界においては、同一の活性化合物でも固体形態が異なると、溶解性、溶解速度及び/又は棚持ち性等の物性が異なる場合があり、これが効能の相違の原因となり得ることが知られている。
【0014】
更に、ある化合物の固体形態が結晶状態かアモルファス状態かによってその物性が異なることは、化学的医薬的に見て、その化合物の生産性に大きく影響することがあり、特に工業規模で調製又は使用際には影響が大きい。
【0015】
例えば薬剤物質は、できる限り高純度で提供できることが重要である。
【0016】
通常、アモルファス物質は結晶体に比べて取扱いや配合が困難であり、安定性や不純物に関する問題を伴うことが多い。
【0017】
従って、容易に単離できると共に薬物としての使用に特に適している実質的に安定な結晶体として本化合物を得ることは、当業者とって望ましい。
【0018】
WO’153は、エリスロマイシンから本化合物のアモルファス体を効率的に製造する方法を提供している。
【特許文献1】WO2004/013153号パンフレット
【非特許文献1】Clin.Immunother., (1996), 6, 454−464
【非特許文献2】メルクインデックス、第13版、No.3714、654ページ
【非特許文献3】Journal of Antimicrobial Chemotherapy, (1998), 41, Suppl.B, 37−46
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題及び課題を解決するための手段】
【0019】
本発明者らは、適切な反応条件と溶媒を用いることにより、本化合物を良好な収率且つ純度で安定な固体結晶体として反応混合物から単離することができることを見出した。
【0020】
多形体の結晶性は粉末試料のX線回折を測定することにより確認した。
【0021】
従って本発明の目的は、本化合物の安定結晶体(以下、I型結晶体と称する)を提供することにある。
【0022】
I型結晶体は、図1に示す粉末X線回折パターンに実質的に従うパターンを示すことができる。
【0023】
回折ピークの2θ値とその相対強度を次の表1に示す。
【0024】
【表1】

【0025】
本化合物のI型結晶体は、2θ値約4.9、約8.5、約9.1、約9.6、約10.3、約11.1、約14.5、約17.0、約18.2及び約19.3を有する粉末X線回折パターンを示すことを特徴とする。I型結晶体は更に、示差走査熱量測定曲線において融解開始点が163〜174℃の範囲(開始:168.2℃、ピーク:174.8℃)にあることを特徴とする。
【0026】
I型結晶体は、示差走査熱量測定曲線において融解開始点が163〜168℃の範囲にあることが好ましい。
【0027】
I型結晶体は、WO’153で得られた公知のアモルファスな固体に比べて、上述の加工性や安定性に関する必要条件をより十分に満足する。更に驚くべきことには、本化合物をより安定な結晶体として得ることができることを見出した。
【0028】
従って本発明の更なる目的は、本化合物の安定結晶体(以下、II型結晶体と称する)を提供することにある。
【0029】
II型結晶体は、図2に示す粉末X線回折パターンに実質的に従うパターンを示すことができる。
【0030】
回折ピークの2θ値とその相対強度を次の表2に示す。
【0031】
【表2】

【0032】
本化合物のII型結晶体は、2θ値約11.9、約13.4、約13.9、約14.6、約15.3、約16.4、約17.4、約18.8、約19.0、約19.5、約21.1及び約22.7を有する粉末X線回折パターンを示すことを特徴とする。
【0033】
II型は更に、示差走査熱量測定曲線において融解開始点が218〜226℃の範囲(開始:222.7℃、ピーク:225.0℃)にあることを特徴とする。
【0034】
II型結晶体は、示差走査熱量測定曲線において融解開始点が218〜223℃の範囲にあることが好ましい。
【0035】
II型結晶体は熱力学的活性が低いことを特徴とし、従って、例えばI型結晶体よりも熱力学的に安定(特に生物学的流体において)であるという有利な性質を有する。
【0036】
II型結晶体は、工業規模で好便に適用可能なプロセスにより良好な収率且つ高純度で反応混合物から単離され、その熱力学的安定性から薬物としての使用に特に適している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
本発明は更に、反溶剤析出プロセスにより生成物を単離するI型結晶体の調製プロセスを提供する。
【0038】
WO’153の第2合成経路において本化合物は、エリスロマイシンAから出発して9位ケト基の還元、3’位窒素原子のモノ脱メチル化、クラジノースの加水分解及び得られたアミンのアセチル化を行い調製した。
【0039】
アセチル化段階終了時、本化合物の乾燥残渣を酢酸エチルに溶解し、不純物は希クエン酸溶液で洗浄した。
【0040】
得られた有機相を濾過し溶媒を蒸発させた。
【0041】
目的とするI型結晶体を単離するためには、メチルtert−ブチルエーテルを反溶剤として本化合物の酢酸エチル溶液に添加する。
【0042】
従って本発明の更なる目的は、I型結晶体の調製プロセスであって、本化合物の酢酸エチル溶液にメチルtert−ブチルエーテルを添加することと、得られた反応混合物を冷却することと、結晶化した生成物を濾過し乾燥させることと、を含むプロセスを提供することにある。
【0043】
例えばI型結晶体の調製は、WO’153に記載の手続に従って得られる本化合物の乾燥残渣を酢酸エチルに溶解させ、得られた溶液にメチルtert−ブチルエーテルを反溶剤として添加することにより行う。
【0044】
或いは、本化合物を含有する溶剤/反溶剤混合物(即ち、酢酸エチル/メチルtert−ブチルエーテルを含む混合物)を、アセチル化段階から直接得られる本化合物溶液にメチルtert−ブチルエーテルを添加することにより得る。
【0045】
即ち、本化合物溶液は反溶剤析出における出発物質として好ましく、これはアセチル化段階の後処理から直接得られる反応混合物である。
【0046】
酢酸エチルとメチルtert−ブチルエーテルの重量比は約1:1(w/w)であることが好ましい。
【0047】
反溶剤の添加は約50℃の温度で行うことが好ましい。
【0048】
酢酸エチル溶液中の生成物濃度は約30〜40重量%であることが好ましい。
【0049】
得られた混合物は、約10℃まで0.08℃/分の降温プロセスで3時間かけて冷却することが好ましい。
【0050】
本発明に係るプロセスの実際の実施形態は、酢酸エチル溶液を生成物濃度が30〜40重量%に達するまで蒸発させることと、室温にて低速攪拌下に維持することと、を含む。生成物の析出が始まり、得られた懸濁液を約50℃まで加熱し、次いでメチルtert−ブチルエーテルを添加し、約3時間後に反応混合物を約10℃まで冷却する。生じた固体を濾過し、酢酸エチル/メチルtert−ブチルエーテル(1/1)で洗浄し、真空乾燥させる。これにより生成物がI型結晶体として単離される。
【0051】
本発明は更に、I型結晶体からより安定なII型結晶体への変換プロセスを提供する。
【0052】
従って本発明の更なる目的は、II型結晶体の調製プロセスであって、前記I型結晶体の水懸濁液を加熱することによりI型結晶体からII型結晶体に変換することを含むプロセスを提供することにある。
【0053】
懸濁液の流動性を向上させ、攪拌や濾過時に起こり得る問題点を回避するために、水/基質の重量比は約15:1(w/w)であることが好ましい。
【0054】
懸濁液は30〜35℃の範囲の温度まで加熱することが好ましい。
【0055】
本発明に係るプロセスの実際の実施形態は、I型結晶体の水懸濁液を約30〜35℃の温度まで加熱することと、同温にて約1日間攪拌下に維持することと、室温まで冷却することと、反応混合物を濾過することと、水洗し真空乾燥させることと、を含む。これにより生成物がII型結晶体として単離される。
【0056】
本発明は更に、動的な(kinetic)I型結晶体の単離とその後の該結晶体の変換を行わない熱力学的に安定なII型結晶体の調製プロセスを提供する。
【0057】
本発明者らは、熱力学的に安定なII型結晶体をメチルエチルケトンから結晶化させることにより、該結晶体を直接析出させることができることを見出した。
【0058】
従って本発明の更なる目的は、メチルエチルケトンから本化合物を結晶化させることを含むII型結晶体の調製プロセスを提供することにある。
【0059】
例えばII型結晶体の調製は、WO’153に記載の手続に従って得られる本化合物の乾燥残渣をメチルエチルケトンに溶解させ、得られた溶液を結晶化に付すことにより行う。
【0060】
或いは、本発明の結晶化における出発物質として好ましい本化合物のメチルエチルケトン溶液は、従来法により酢酸エチルからメチルエチルケトンに変更するアセチル化段階の後処理から直接得られる反応混合物である。
【0061】
本化合物のメチルエチルケトン溶液は、酢酸エチルの残量が15重量%未満であることが好ましい。
【0062】
本化合物のメチルエチルケトン溶液は、生成物濃度が25〜50重量%に達するまで濃縮することが好ましい。
【0063】
前記溶液は、生成物濃度が約36重量%に達するまで濃縮することがより好ましい。
【0064】
生成物の析出を促進するためには、II型結晶体のシード添加が有用な場合もある。
【0065】
前記溶液へのシード添加を室温にて行った後に、II型結晶体の析出に好適な溶液濃度が得られるまで蒸発させることが好ましい。
【0066】
前記の好適な濃度に達し生成物が析出し始めたら、得られた懸濁液を約75℃の温度で数時間維持することが好ましい。
【0067】
得られた混合物を約0℃まで5時間かけて冷却し、これを同温にて約1時間維持することが好ましい。
【0068】
本発明に係るプロセスの実際の実施形態は、WO’153に記載のアモルファスな固体として得られる本化合物をメチルエチルケトンに溶解させることを含む。
【0069】
得られた溶液は、生成物濃度が約36重量%になるまで蒸発させる。約75℃まで冷却した後、反応混合物を数時間攪拌下に維持する。次に、この混合物を0℃まで5時間かけて冷却し同温にて約1時間維持する。得られた混合物を濾過しメチルエチルケトンで洗浄する。生成物がII型結晶体として単離される。
【0070】
本発明に係るプロセスの他の実際の実施形態は、アセチル化段階の後処理から得られる反応混合物の溶媒を酢酸エチルからメチルエチルケトンに変更すること含む。濾過とメチルエチルケトンによる洗浄とを行った後、溶液にII型結晶体をシード添加し得られた混合物を生成物濃度が約36重量%になるまで蒸発させる。約75℃まで冷却した後、反応混合物を数時間攪拌下に維持する。次に、この混合物を0℃まで5時間かけて冷却し同温にて約1時間維持する。得られた混合物を濾過しメチルエチルケトンで洗浄する。生成物がII型結晶体として単離される。
【0071】
当業者であれば、本発明のメチルエチルケトンからの結晶化プロセスは、I型結晶体からII型結晶体を調製する場合にも有用であることが理解されよう。
【0072】
本発明に係る化合物は抗生物質活性を欠く抗炎症性マクロライドであるので、各種炎症性疾患の治療及び予防に有用である。
【0073】
従って本発明の更なる目的は、前記本化合物のI型結晶体の薬物としての使用にある。
【0074】
また、本発明の更なる目的は、前記本化合物のII型結晶体の薬物としての使用にある。
【0075】
上述した疾患の治療又は予防に使用するための本発明化合物は、経口、直腸、舌下腺、非経口、局所的、経皮的及び吸入投与に適した医薬組成物として使用することが好ましい。
【0076】
従って本発明の他の目的は、医薬として許容される担体と共に本化合物のI型結晶体を有効成分として治療有効量含む医薬組成物を提供することにある。
【0077】
また、本発明の他の目的は、医薬として許容される担体と共に本化合物のII型結晶体を有効成分として治療有効量含む医薬組成物を提供することにある。
【0078】
本発明に係る医薬組成物は、液滴、シロップ、溶液、注射液(即使用可能な形態或いは凍結乾燥調製物を希釈して使用する形態)等、経口投与及び/又は非経口投与に好適な液体;錠剤、カプセル剤、顆粒剤、粉剤、ペレット剤、膣座剤、座薬、クリーム、軟膏、ジェル、膏薬(unguents)等の固体又は半固体;更には、吸入や経皮投与用の溶液、懸濁液、乳液その他の形態とすることができる。
【0079】
本発明医薬組成物には、その種類に応じて本発明化合物の治療有効量のほかに、医薬用途で用いられる固体又は液体の賦形剤や希釈剤を含有させることができ、また、医薬組成物の調製に通常用いられるその他の添加剤(例えば増粘剤、結合剤、潤滑剤、崩壊剤、矯味矯臭剤、着色剤等)も任意に含有させることができる。
【0080】
本発明に係る医薬組成物は、通常用いられる技法により調製することができる。
図1はI型結晶体の粉末X線回折チャートである。
図2はII型結晶体の粉末X線回折チャートである。
図3はI型結晶体のDSCサーモグラムである。
図4はII型結晶体のDSCサーモグラムである。
【0081】
DSCサーモグラムはTAQ100(10℃/分、アルミパン)を用いて得た。融解開始点はベースラインからの変化が顕著となる点と定義し、これを測定した。
【0082】
当業者であれば、融解点の精確な値は化合物の純度や試料重量、加熱速度、粒径に影響されることを理解されよう。
【0083】
本発明のI型及びII型結晶体のX線回折チャートは、照射源をCuKα−1とし、X’Pert Philips(ブラッグ−ブレンターノ型(Bragg-Brentano geometry))X線回折計を用いて得た。
【0084】
各ピークの位置と強度は、"Program X’Pert Philips Analitycal"を用いて測定した。
【0085】
粉末X線回折ピークの相対強度は、試料の調製技法や試料載置手続、使用する特定の機器に応じて変化することがある。
【0086】
本発明をその好ましい実施形態を示して説明したが、当業者であれば、本発明の精神から逸脱することなくその他の実施形態も可能であることを認識されることを理解されたい。
【実施例】
【0087】
次に実施例を示して本発明を更に説明する。
【0088】
実施例1
(9S)−3−デスクラジノシル−3’−デスメチル−3’−アセチル−9−デオキソ−9−デヒドロ−エリスロマイシンA、I型結晶体の調製
WO’153の記載に従いアセチル化段階の後処理から得られたアモルファスな固体の本化合物(26.0g)を酢酸エチル(39.0g)に溶解した。混合物を室温にて2時間攪拌したところ生成物が析出し始め、得られた懸濁液を約50℃まで加熱した。次に、メチルtert−ブチルエーテル(39.0g)を30分かけて添加し、懸濁液を50℃で2時間攪拌した後、8時間で10℃まで冷却し同温にて更に2時間攪拌下に維持した。 生じた固体をろ過して単離し、酢酸エチル/メチルtert−ブチルエーテル(1:1)混合物(3×5mL)を用いて洗浄し、次いで真空下45℃で16時間乾燥させてI型結晶体(14.4g)を白色固体として得た。
【0089】
実施例2
I型結晶体からII型結晶体への変換
I型結晶体(55.4g、0.098mol)と脱塩水(demineralized water)898.5gの懸濁液を30〜35℃まで加熱し、少なくとも24時間同温にて攪拌下に維持した。
DSC曲線がシングルピークを示しその開始温度が219.0℃以上である場合に、変換が完了したと考えた。次いで、懸濁液を25℃まで30分かけて冷却し室温にて1時間維持した。固体をグーチで濾過し壁面を脱塩水(60.0g)で洗浄した。得られた固体を真空下50℃で乾燥させることによりII型結晶体を得た(52.4g、力価:96.9%、収率:92.7%)。
【0090】
実施例3
(9S)−3−デスクラジノシル−3’−デスメチル−3’−アセチル−9−デオキソ−9−デヒドロ−エリスロマイシンA、II型結晶体の調製
WO’153の記載に従って得た本化合物(126.7g)をメチルエチルケトン(1586.0g)に溶解させた。濃度約15〜17%(w/w)になるまで得られた溶液を常圧で蒸発させた後にシード添加し、最終濃度約25〜26%(w/w)になるまで更に蒸発させた。得られた懸濁液を75℃で5時間攪拌し、0℃まで7.5時間かけて冷却し(約10℃/時)、同温にて更に2時間攪拌下に維持した。生じた固体を、冷メチルエチルケトン(0℃)(2×56g)を用いて濾過洗浄することにより単離し、次いで真空下50℃で16時間乾燥させてII型結晶体(110.2g)を白色固体として得た。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】図1はI型結晶体の粉末X線回折チャートである。
【図2】図2はII型結晶体の粉末X線回折チャートである。
【図3】図3はI型結晶体のDSCサーモグラムである。
【図4】図4はII型結晶体のDSCサーモグラムである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】

で表される化合物のI型結晶体であって、2θ値約4.9、約8.5、約9.1、約9.6、約10.3、約11.1、約14.5、約17.0、約18.2及び約19.3を有する粉末X線回折パターンを特徴とする結晶体。
【請求項2】
図1に示す粉末X線回折パターンに実質的に従う粉末X線回折パターンを示す、請求項1に記載の結晶体。
【請求項3】
示差走査熱量測定曲線において融解開始点が163〜174℃の範囲にあることを特徴とする、先の請求項の一項に記載の結晶体。
【請求項4】
示差走査熱量測定曲線において融解開始点が163〜168℃の範囲にあることを特徴とする、請求項3に記載の結晶体。
【請求項5】
式Iで表される化合物のII型結晶体であって、2θ値約11.9、約13.4、約13.9、約14.6、約15.3、約16.4、約17.4、約18.8、約19.0、約19.5、約21.1及び約22.7を有する粉末X線回折パターンを特徴とする結晶体。
【請求項6】
図2に示す粉末X線回折パターンに実質的に従う粉末X線回折パターンを示す、請求項5に記載の結晶体。
【請求項7】
示差走査熱量測定曲線において融解開始点が218〜226℃の範囲にあることを特徴とする、請求項5又は6に記載の結晶体。
【請求項8】
示差走査熱量測定曲線において融解開始点が218〜223℃の範囲にあることを特徴とする、請求項7に記載の結晶体。
【請求項9】
I型結晶体の調製プロセスであって、式Iで表される化合物の酢酸エチル溶液にメチルtert−ブチルエーテルを添加することと、得られた反応混合物を冷却することと、結晶化した生成物を濾過し乾燥させることと、を含むプロセス。
【請求項10】
前記I型結晶体の水懸濁液を加熱することによりI型結晶体からII型結晶体に変換することを含む、II型結晶体の調製プロセス。
【請求項11】
前記懸濁液を30〜35℃の範囲の温度まで加熱する、請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
式Iで表される化合物をメチルエチルケトンから結晶化させることを含む、II型結晶体の調製プロセス。
【請求項13】
溶液にII型結晶体をシード添加することを更に含む、請求項12に記載のプロセス。
【請求項14】
薬物として使用するためのI型結晶体。
【請求項15】
薬物として使用するためのII型結晶体。
【請求項16】
医薬として許容される担体と共にI型結晶体を有効成分として治療有効量含む医薬組成物。
【請求項17】
医薬として許容される担体と共にII型結晶体を有効成分として治療有効量含む医薬組成物。
【請求項18】
炎症性疾患の治療に有用な請求項16又は17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
呼吸器疾患の治療に有用な請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
胃腸疾患の治療に有用な請求項18に記載の医薬組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−544970(P2008−544970A)
【公表日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−518762(P2008−518762)
【出願日】平成18年7月5日(2006.7.5)
【国際出願番号】PCT/EP2006/006541
【国際公開番号】WO2007/003422
【国際公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【出願人】(507310709)
【氏名又は名称原語表記】ZAMBON S.p.A.
【Fターム(参考)】