抗腫瘍活性を有するヒト化抗体
本発明は、抗腫瘍活性を有するヒト化抗体およびその結合ドメインを提供する。特に、本ヒト化抗体は、ヒト結腸腫瘍細胞と特異的に結合し、それらを直接殺傷し、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)アッセイおよび補体依存性細胞傷害(CDC)アッセイを使用してin vitroで、およびマウス腫瘍モデルを使用してin vivoで、ヒト結腸癌細胞に対する強力な免疫媒介性細胞傷害活性を示す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
出願データ
本出願は、2009年3月16日に出願された豪州特許出願第2009901129号、および2009年3月16日に出願された米国特許出願第61/160682号、および2009年11月5日に出願された米国特許出願第61/258517号に関連していると共に、それらの優先権を請求するものであり、これら出願の各々の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、強力な抗腫瘍活性を有するヒト化抗体に関する。特に、本ヒト化抗体は、ヒト結腸腫瘍細胞と特異的に結合し、それらを直接殺傷し、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)アッセイおよび補体依存性細胞傷害(CDC)アッセイにおいて、ヒト結腸癌細胞に対する強力な免疫媒介性細胞傷害活性を示す。加えて、本発明は、治療および診断におけるこれらヒト化抗体の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
糖鎖構造は、腫瘍特異的抗原または腫瘍関連抗原である場合があり、したがって、多くの抗体生成免疫戦略の注目の的である。しかしながら、抗糖鎖特異的抗体の生成は、それらが特異性、親和性を欠如している場合があるか、またはIgMクラスのみであるため、難しい課題である(Christensenら、2009年)。さらに、癌細胞を死滅させる能力を有するヒト化抗糖鎖抗体の生成は、難しい課題であり、それは、そのような抗体に関する報告がわずかな数しかないことから分かる事実である。ヒト化に成功した抗糖脂質抗体の例が1つだけがある。その抗体は、ガングリオシドGM2を認識し、in vitroおよびin vivoでヒト腫瘍細胞を死滅させる(米国特許第6,423,511号明細書および米国特許第6,872,392号明細書)。ヒト化されていないが、ヒト投与用に操作された糖鎖結合抗体の例には、他に2つある。第一に、抗糖鎖抗体RAV-12は、in vitroおよびin vivoでヒト結腸癌細胞に対して効力を示すキメラマウスヒトIgG1である(Looら、2007年)。第二に、抗糖鎖抗体HMMC-1は、ヒト卵巣癌に対してin vitroで効力を示す。HMMC-Iは、染色体導入KMマウスによって生成された完全ヒト抗体である(Nozawaら、2004年)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6,423,511号明細書
【特許文献2】米国特許第6,872,392号明細書
【特許文献3】国際公開第2005/108430号パンフレット
【特許文献4】米国特許第6,180,370号明細書
【特許文献5】米国特許第5,225,539号明細書
【特許文献6】国際公開第2008/006554号パンフレット
【特許文献7】米国特許第6,277,375号明細書
【特許文献8】米国特許第6,821,505号明細書
【特許文献9】米国特許第7,083,784号明細書
【特許文献10】米国特許第7,217,797号明細書
【特許文献11】国際公開第2000/42072号パンフレット
【特許文献12】米国特許出願公開第20090142340号明細書
【特許文献13】米国特許出願公開第20090068175号明細書
【特許文献14】米国特許出願公開第20090092599号明細書
【特許文献15】米国特許第6,602,684号明細書
【特許文献16】米国特許第7,326,681号明細書
【特許文献17】米国特許第7,388,081号明細書
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Singh,H.およびRaghava,G.P.S.(2001年) ProPred: Prediction of HLA-DR binding sites.、Bioinformatics、17巻(12号)、1236〜37頁。
【非特許文献2】http://www.imtech.res.in/raghava/properd/
【非特許文献3】http://www.syfpeithi.de/Scripts/MHCServer.dll/EpitopePrediction.htm
【非特許文献4】http//www.cbs.dtu.dk/services/NetNGlyc/
【非特許文献5】Shinkawa T.ら、2003年(J Biol Chem 278巻:3466〜73頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
国際公開第2005/108430号パンフレットでは、SC104と呼ばれる抗癌マウスモノクローナル抗体が開示されている。この出願の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。SC104が結合する抗原の正確な性質は不明であるが、国際公開第2005/108430号パンフレットでは、抗原は、シアリルテトラオシル糖鎖であることが示唆されている。SC104は、免疫エフェクター細胞を必要とせずに細胞死を直接誘導することができることも開示されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様では、本発明は、VH抗体結合ドメインを提供し、この結合ドメインは、順に、第1のフレームワーク領域(FR1)、第1のCDR(CDR1)、第2のフレームワーク領域(FR2)、第2のCDR(CDR2)、第3のフレームワーク領域(FR3)、第3のCDR(CDR3)、および第4のフレームワーク領域(FR4)を含み、ここで
FR1の配列は、X1VQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVX2GYSX3X4(配列番号95)であり、ここで
X1は、QまたはEであり、
X2は、SまたはTであり、
X3は、I、L、またはVであり、
X4は、SまたはTであり、
またはそれに対して少なくとも90%もしくは少なくとも95%類似した、好ましくは少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一である配列であり、
CDR1の配列は、SGYSWH(配列番号96)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも80%同一である配列であり、
FR2の配列は、WIRQX5PGKGLX6WX7G(配列番号97)であり、ここで
X5は、SまたはPであり、
X6は、QまたはEであり、
X7は、MまたはIであり、
またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
CDR2の配列は、HIHX8SGRPTYX9PSLX10S(配列番号98)であり、ここで
X8は、F、Y、またはWであり、
X9は、NまたはDであり、
X10は、K、L、H、F、R、またはSであり、
またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
FR3の配列は、RX11X12ISX13X14TAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号99)であり、ここで
X11は、VまたはIであり
X12は、TまたはSであり、
X13は、RまたはKであり、
X14は、EまたはDであり、
またはそれに対して少なくとも90%もしくは少なくとも95%類似した、好ましくは少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一である配列であり、ただし6位の残基はRまたはKでなければならならず、
CDR3の配列は、KGKGSDDGLNY(配列番号100)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
FR4の配列は、WGQGTLVTVSS(配列番号101)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列である。
【0008】
第2の態様では、本発明は、VH抗体結合ドメインを提供し、この結合ドメインは、フレームワーク配列、ならびにこのフレームワーク配列内に配置されている第1、第2、および第3のCDRを含み、このフレームワーク領域の配列は、配列QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGYSX3SWIRQPPGKGLQWIGRVTISX13ETAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCARWGQGTLVTVSS(配列番号102)に対して、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%同一であり、
ここで、X3は、I、L、またはVであり、X13は、RまたはKであり、
CDR1の配列は、SGYSWH(配列番号96)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも80%同一である配列であり、
CDR2の配列は、HIHX8SGRPTYX9PSLX10S(配列番号98)であり、ここで
X8は、F、Y、またはWであり、
X9は、NまたはDであり、
X10は、K、L、H、F、R、またはSであり、
またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
CDR3の配列は、KGKGSDDGLNY(配列番号100)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列である。
【0009】
第3の態様では、本発明は、VL抗体結合ドメインを提供し、この結合ドメインは、順に、第1のフレームワーク領域(FR1)、第1のCDR(CDR1)、第2のフレームワーク領域(FR2)、第2のCDR(CDR2)、第3のフレームワーク領域(FR3)、第3のCDR(CDR3)、および第4のフレームワーク領域(FR4)を含み、ここで
FR1の配列は、EX15VLTQSPGTLSLSX16GERATLSC(配列番号187)であり、ここで
X15は、IまたはNであり、
X16は、AまたはPであり、
またはそれに対して少なくとも90%もしくは少なくとも95%類似した、好ましくは少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一である配列であり、
CDR1の配列は、SASSSLSYIH(配列番号188)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
FR2の配列は、WYQQKPGQAPRLLIY(配列番号189)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
CDR2の配列は、DTSNLAS(配列番号190)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも80%同一である配列であり、
FR3の配列は、GIPDRFSGSGSGX17DFTLTISRVEPEDFAVYYC(配列番号191)であり、ここで
X17は、TまたはNであり、
またはそれに対して少なくとも90%もしくは少なくとも95%類似した、好ましくは少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一である配列であり、
CDR3の配列は、FQGSEYPLT(配列番号192)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも80%同一である配列であり、
FR4の配列は、FGQGTKLEIKR(配列番号193)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列である。
【0010】
第4の態様では、本発明は、VL抗体結合ドメインを提供し、この結合ドメインは、フレームワーク配列、ならびにこのフレームワーク配列内に配置されている第1、第2、および第3のCDRを含み、このフレームワーク領域の配列は、配列EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCWYQQKPGQAPRLLIYGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRVEPEDFAVYYCFGQGTKLEIKR(配列番号194)に対して少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%同一であり、
CDR1の配列は、SASSSLSYIH(配列番号188)またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
CDR2の配列は、DTSNLAS(配列番号190)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも80%同一である配列であり、
CDR3の配列は、FQGSEYPLT(配列番号192)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも80%同一である配列である。
【0011】
第5の態様では、本発明は、VH抗体結合ドメインを提供し、この結合ドメインは、順に、第1のフレームワーク領域(FR1)、第1のCDR(CDR1)、第2のフレームワーク領域(FR2)、第2のCDR(CDR2)、第3のフレームワーク領域(FR3)、第3のCDR(CDR3)、および第4のフレームワーク領域(FR4)を含み、ここで
FR1の配列は、EVQLQQWGAGLLKPSETLSLTCAVYGYSX18X19(配列番号201)であり、ここで
X18は、I、L、またはVであり、
X19は、SまたはTであり、
またはそれに対して少なくとも90%もしくは少なくとも95%類似した、好ましくは少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一である配列であり、
CDR1の配列は、SGYSWH(配列番号96)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも80%同一である配列であり、
FR2の配列は、WIRQPPGKGLEWX20G(配列番号202)であり、ここで
X20は、MまたはIであり、
またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
CDR2の配列は、HIHX21SGRPTYX22PSLX23S(配列番号98)であり、ここで
X21は、F、Y、またはWであり、
X22は、NまたはDであり、
X23は、K、L、H、F、R、またはSであり、
またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
FR3の配列は、RX24X25ISX26DTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCAR(配列番号203)であり、ここで
X24は、VまたはIであり、
X25は、SまたはTであり、
X26は、RまたはKであり、
またはそれに対して少なくとも90%もしくは少なくとも95%類似した、好ましくは少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一である配列であり、ただし6位の残基はRまたはKでなければならならず、
CDR3の配列は、KGKGSDDGLNY(配列番号100)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
FR4の配列は、WGQGTLVTVSS(配列番号101)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列である。
【0012】
第6の態様では、本発明は、VH抗体結合ドメインを提供し、この結合ドメインは、フレームワーク配列、ならびにこのフレームワーク配列内に配置されている第1、第2、および第3のCDRを含み、このフレームワーク領域の配列は、配列EVQLQQWGAGLLKPSETLSLTCAVYGYSX18SWIRQPPGKGLEWIGRVTISX26DTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARWGQGTLVTVSS(配列番号204)に対して少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%同一であり、ここでX18は、I、L、またはVであり、X26は、RまたはKであり、
CDR1の配列は、SGYSWH(配列番号96)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも80%同一である配列であり、
CDR2の配列は、HIHX21SGRPTYX22PSLX23S(配列番号98)であり、ここで
X21は、F、Y、またはWであり、
X22は、NまたはDであり、
X23は、K、L、H、F、R、またはSであり、
またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
CDR3の配列は、KGKGSDDGLNY(配列番号10)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列である。
【0013】
第7の態様では、本発明は、VL抗体結合ドメインを提供し、この結合ドメインは、順に、第1のフレームワーク領域(FR1)、第1のCDR(CDR1)、第2のフレームワーク領域(FR2)、第2のCDR(CDR2)、第3のフレームワーク領域(FR3)、第3のCDR(CDR3)、および第4のフレームワーク領域(FR4)を含み、ここで
FR1の配列は、EX27VLTQSPATLSLSPGERATLSC(配列番号211)であり、ここでX27は、IまたはNであり、
またはそれに対して少なくとも90%もしくは少なくとも95%類似した、好ましくは少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一である配列であり、
CDR1の配列は、SASSSLSYIH(配列番号188)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
FR2の配列は、WYQQKPGQAPRLLIY(配列番号189)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
CDR2の配列は、DTSNLAS(配列番号190)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
FR3の配列は、GIPDRFSGSGSGX28DFTLTISRLEPEDFAVYYC(配列番号212)であり、ここで
X28は、TまたはNであり、
またはそれに対して少なくとも90%もしくは少なくとも95%類似した、好ましくは少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一である配列であり、
CDR3の配列は、FQGSEYPLT(配列番号192)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも80%同一である配列であり、
FR4の配列は、FGGGTKVEIKR(配列番号193)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列である。
【0014】
第8の態様では、本発明は、VL抗体結合ドメインを提供し、この結合ドメインは、フレームワーク配列、ならびにこのフレームワーク配列内に配置されている第1、第2、および第3のCDRを含み、このフレームワーク領域の配列は、配列EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCWYQQKPGQAPRLLIYGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCFGGGTKVEIKR(配列番号213)に対して少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%同一であり、
CDR1の配列は、SASSSLSYIH(配列番号188)またはそれに対して少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%同一である配列であり、
CDR2の配列は、DTSNLAS(配列番号190)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも80%同一である配列であり、
CDR3の配列は、FQGSEYPLT(配列番号192)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも80%同一である配列である。
【0015】
本発明の結合ドメインは、抗体の一部として提供されると、ヒト結腸癌細胞系Colo205に結合するだろう。承知の通り、抗体は、各々が可変領域および定常領域を含む2つの重鎖、および各々が可変領域および定常領域を含む2つの軽鎖で構成されることになる。特許請求される結合ドメインが、VH結合ドメインである場合、ヒト結腸癌細胞系Colo205に結合する抗体は、特許請求されるVH結合ドメインのうちの2つ、配列番号7の2つの軽鎖、および配列番号92または配列番号52の2つの重鎖定常ドメインで構成されることになる。同様に、特許請求される結合ドメインが、VL結合ドメインである場合、ヒト結腸癌細胞系Colo205に結合する抗体は、特許請求されるVL結合ドメインのうちの2つ、配列番号93のVL定常ドメインの2つ、および配列番号94または配列番号50の2つの重鎖で構成されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】フローサイトメトリーにより示された、マウスSC104(配列番号3/配列番号1に示されている可変領域)抗体およびキメラSC104(配列番号4/配列番号2)抗体およびヒトIgG1アイソタイプ対照の、SC104抗原陽性(C170、Colo205)ヒト結腸癌細胞系およびSC104抗原陰性(HCT-116)ヒト結腸癌細胞系に対する結合(左パネル)活性および直接的殺傷(右パネル)活性を示す図であり、配列番号は配列表を参照する。キメラSC104抗体およびマウスSC104抗体は、同じような、抗原陽性ヒト結腸癌細胞系に対する選択的結合活性および直接的殺傷活性を示す。両抗体は、抗原陰性ヒト結腸癌細胞系に結合せず、抗原陰性ヒト結腸癌細胞系を直接殺傷しない。各ポイントは、三重反復試料の平均±SDを表す。
【図2】カバット式定義のCDR-H1が組み込まれているヒト受容体フレームワーク1U6Aまたは1QLRを用いたSC104のヒト化(-□-)は、SC104抗原陽性ヒト結腸癌細胞系C170に結合しない非機能的抗体変異体をもたらす。ヒト受容体1U6A(配列番号7/配列番号9、パネルA)または1QLR(配列番号8/配列番号10、パネルB)のいずれかに移植された、カバット式定義のCDR-H1を使用したヒト化SC104変異体の結合活性を、抗原陽性細胞系C170を使用して、フローサイトメトリーにより評価した。キメラSC104抗体(配列番号4/配列番号2)は、比較としてヒトIgG1アイソタイプ陰性対照と共に示されている。各ポイントは、三重反復試料の平均±SDを表す。
【図3】AbM式定義のCDR-H1が組み込まれているヒト受容体フレームワーク1U6Aまたは1QLRを用いたSC104のヒト化(-▲-)は、SC104抗原陽性ヒト結腸癌細胞系C170に結合する抗体変異体を生成する。ヒト受容体1U6A(配列番号7/配列番号11、パネルA)または1QLR(配列番号8/配列番号12、パネルB)のいずれかに移植された、AbM式定義のCDR-H1を使用したヒト化SC104変異体の結合活性を、抗原陽性細胞系C170を使用して、フローサイトメトリーにより評価した。キメラSC104抗体(配列番号4/配列番号2)は、比較としてヒトIgG1アイソタイプ陰性対照と共に示されている。各ポイントは、三重反復試料の平均±SDを表す。
【図4】1U6Aヒト化SC104の結合活性の増強に向けた軽鎖および重鎖アミノ酸置換の分析を示す図である。各鎖における置換の影響は、フローサイトメトリーによる抗原陽性細胞系C170との結合活性アッセイにより分析した。キメラSC104抗体(配列番号4/配列番号2)は、比較としてヒトIgG1アイソタイプ陰性対照と共に示されている。各ポイントは、三重反復試料の平均±SDを表す。 A:カバットCDR-H1を含有する移植体;配列番号9は非置換VHであり、配列番号15は、VH置換Q1E、Q46E、I48M、V67I、T68S、V71R、およびE72Dを含有し、配列番号7は、単一置換A15Pが組み込まれているVLを指し、配列番号16は、三つの置換I2N、A15P、およびT69Nを含有するVLを指す。 B:AbM CDR-H1を含有する移植体;配列番号11は、非置換VHを指し、配列番号13は、VH置換Q1E、Q46E、I48M、V67I、T68S、V71R、およびE72Dを含有し、配列番号7は、単一置換A15Pが組み込まれているVLを指し、配列番号16は、三つの置換I2N、A15P、およびT69Nを含有するVLを指す。重鎖アミノ酸置換(-□-または-○-)は、抗原陽性細胞系C170に対する、1U6A-ヒト化SC104抗体変異体の結合活性を増強する。それに比べて、軽鎖アミノ酸置換は、ヒト化SC104の結合活性の増強にはそれほど重要ではないと考えられる。
【図5】AbM式定義のCDR-H1を含有する1U6A-ヒト化抗体に組み込まれた六つの個々のVH置換の分析を示す図である。置換の影響は、フローサイトメトリーによる抗原陽性細胞系C170との結合活性アッセイにより分析した。これらの変化は、Q46EまたはI48MまたはV67IまたはT68SまたはV71RまたはE72Dのいずれかであり、それぞれ配列番号19〜24により記述されている。置換R71(配列番号23)(-○-)が、ヒト化SC104の結合能の増強に最も有利だった。キメラSC104抗体(配列番号4/配列番号2)は、陰性対照としてのヒトIgG1アイソタイプと共に、比較として示されている。各ポイントは、三重反復試料の平均±SDを表す。
【図6】VH置換R71(-□-または-▲-)は、フローサイトメトリーにより決定したところ、抗原陽性細胞系C170に対する、AbM式定義のCDR-H1抗体変異体およびカバット式定義のCDR-H1抗体変異体の結合活性を両方とも増強する。キメラSC104抗体(配列番号4/配列番号2)は、比較として示されており、ヒトIgG1アイソタイプは、陰性対照として使用される。各ポイントは、三重反復試料の平均±SDを表す。 A:1QLRに基づくSC104変異体±V71R置換に;AbM式定義のCDR-H1移植体:配列番号12(-R)および配列番号:26(+R);カバット式定義のCDR-H1移植体:配列番号10(-R)および配列番号27(+R)。B:1U6Aに基づくSC104変異体±V71R置換。AbM式定義のCDR-H1移植体:配列番号11(-R)および配列番号25(+R);カバット式定義のCDR-H1移植体:配列番号9(-R)および配列番号28(+R)。
【図7】カバット式定義のCDR-H1を有する1QLR-ヒト化SC104変異体におけるVH置換G27Yの結合活性に対する影響を示す図である。この置換は、SC104抗原陽性細胞系C170に対するフローサイトメトリーに基づく結合アッセイにおいて研究した際に、1QLR-ヒト化SC104の結合活性を増強しない(AbM-CDR-H1含有VH配列番号26に対する配列番号27(+R)および配列番号29(+R+Y)(-□-または-▲-))。比較のために、R71を有していないカバット式定義のCDR-H1が組み込まれた1QLRヒト化変異体が、配列番号10に示されている。キメラSC104抗体(配列番号4/配列番号2)は、比較として示されており、ヒトIgG1アイソタイプは、陰性対照として使用される。各ポイントは、三重反復試料の平均±SDを表す。
【図8】キメラSC104のCDR-H2内のF53の置換により、フレームワーク2:CDR-H2境界から、予測される強力なMHCクラスII結合ペプチド配列を取り除いた際の結合活性に対する影響を実証する、フローサイトメトリー基づく結合アッセイを示す図である。F53を、W(配列番号30)またはY(配列番号31)(-□-または-○-)などの別の芳香族残基に取り換えることによる結合活性への影響は無視できるほどであるが、好ましい残基P(配列番号32)への置換は、SC104抗原陽性細胞系C170に対する結合活性を劇的に低減する。キメラSC104抗体(配列番号4/配列番号2)は、比較としてヒトIgG1アイソタイプ陰性対照と共に示されている。各ポイントは、三重反復試料の平均±SDを表す。
【図9】免疫原性がより低いと予測されるヒト化SC104変異体(1U6A VL/VH 配列番号7/配列番号50;1QLR VL/VH配列番号8/配列番号38)は、フローサイトメトリーにより決定したところ、抗原陽性(C170、Colo205)ヒト結腸癌細胞系または抗原陰性(HCT-116)ヒト結腸癌細胞系に対する特異性および結合活性の点で、より高い免疫原性が予測されるヒト化抗体変異体(1U6A VL/VH配列番号7/配列番号25;1QLR VL/VH配列番号8/配列番号26)と同等であった。キメラSC104抗体(配列番号4/配列番号2)は、比較としてヒトIgG1アイソタイプ陰性対照と共に示されている。各ポイントは、三重反復試料の平均±SDを表す。
【図10】可変重鎖の1U6Aフレームワーク1の29位の残基I(-○-)(配列番号50)およびL(-□-)(配列番号62)は、免疫原性がより低いと予測されるヒト化SC104抗体変異体に、SC104抗原陽性ヒト結腸癌細胞系C170に対する最も高い結合活性を付与するが、C(-▲-)(配列番号55)は付与しないことを実証するフローサイトメトリーに基づく結合アッセイを示す図である。キメラSC104抗体(配列番号4/配列番号2)は、比較としてヒトIgG1アイソタイプ陰性対照と共に示されている。各ポイントは、三重反復試料の平均±SDを表す。
【図11】可変重鎖の1U6Aフレームワーク3の71位の正荷電残基R(配列番号50)(-□-)は、免疫原性がより低いと予測されるヒト化SC104抗体変異体に、SC104抗原陽性ヒト結腸癌細胞系C170に対する最も高い結合活性を付与するが、負荷電残基D(配列番号75)(-▲-)も中性残基W(配列番号90)(-■-)も付与しないことを実証するフローサイトメトリーに基づく結合アッセイを示す図である。キメラSC104抗体(配列番号4/配列番号2)は、比較としてヒトIgG1アイソタイプ陰性対照と共に示されている。各ポイントは、三重反復試料の平均±SDを表す。
【図12】1U6Aフレームワークが組み込まれているSC104抗体変異体(VL/VH配列番号7/配列番号50および配列番号7/配列番号25)(-□-または-■-)は、SC104抗原陽性ヒト結腸癌細胞系C170を使用したフローサイトメトリーにより決定したところ、対応する1QLR由来のSC104変異体(VL/VH配列番号8/配列番号38および配列番号8/配列番号26)と比較して、より強力な直接的殺傷活性を示す。キメラSC104抗体(配列番号4/配列番号2)は、比較としてヒトIgG1アイソタイプ陰性対照と共に示されている。各ポイントは、三重反復試料の平均±SDを表す。
【図13】1U6Aフレームワークが組み込まれているヒト化SC104抗体変異体(VL/VH配列番号7/配列番号50および配列番号7/配列番号25)(-□-または-■-)は、SC104抗原陽性ヒト結腸癌細胞系C170を使用したLDH放出アッセイにより決定したところ、対応する1QLR由来のSC104変異体(VL/VH配列番号8/配列番号38および配列番号8/配列番号26)と比較して、より高い抗体依存性細胞媒介性細胞傷害活性を示す。キメラSC104抗体(配列番号4/配列番号2)は、比較として示されており、ヒトIgG1アイソタイプは、陰性対照として使用される。各ポイントは、三重反復試料の平均±SDを表す。
【図14】1U6Aフレームワークが組み込まれているSC104抗体変異体(VL/VH配列番号7/配列番号50および配列番号7/配列番号25)(-□-または-■-)は、SC104抗原陽性ヒト結腸癌細胞系Colo205を使用した細胞生存度アッセイにより決定したところ、対応する1QLR由来のSC104変異体(VL/VH配列番号8/配列番号38および配列番号8/配列番号26)と比較して、より強力な補体依存性細胞傷害活性を示す。キメラSC104抗体(配列番号4/配列番号2)は、比較としてヒトIgG1アイソタイプ陰性対照と共に示されている。各ポイントは、三重反復試料の平均±SDを表す。
【図15】キフネンシン(Kifunensin)で処理した、免疫原性がより低いと予測されるヒト化SC104抗体(配列番号7/配列番号50)(-○-)は、SC104抗原陽性WiDrヒト結腸癌細胞系を使用したLDH放出アッセイにより評価したところ、未処理抗体(-▲―)と比較して、より高い抗体依存性細胞媒介性細胞傷害活性を示す。各ポイントは、三重反復試料の平均±SDを表す。
【図16】Potelligent(登録商標)操作された、免疫原性がより低いと予測されるヒト化SC104抗体(配列番号7/配列番号94)(-○-)は、SC104抗原陽性Colo201ヒト結腸癌細胞系を使用したLDH放出アッセイにより評価したところ、未処理抗体(配列番号7/配列番号50)と比較して、より高い抗体依存性細胞媒介性細胞傷害活性を示す。各ポイントは、三重反復試料の平均±SDを表す。
【図17】HT29異種移植腫瘍を保持するマウスを、免疫原性がより低いと予測されるヒト化SC104抗体(-○-)(配列番号7/配列番号50)で処置することにより、ビヒクル対照処置と比較して、増殖の著しい低減がもたらされる。最上段のパネル:6〜10匹のマウス群における腫瘍容積の平均±SEM。星印は、治療群間の有意差を示す、p<0.05マンホイットニー検定。最下段パネル:研究終了時の平均および個々の腫瘍重量。P値は、マンホイットニー検定により決定。
【図18】Colo201異種移植腫瘍を保持するマウスを、Potelligent(登録商標)操作された、免疫原性がより低いと予測されるヒト化SC104抗体(-○-)(配列番号7/配列番号94)で処置することにより、ビヒクル対照処置と比較して、腫瘍容積の著しい低減がもたらされる。10匹のマウス群における平均±SEM。星印は、治療群間の有意差を示す、p<0.05 t-検定。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明はヒト化抗癌結合ドメインに関する。これら結合ドメインは、マウス抗体SC104(国際公開第2005/108430号パンフレット)に基づいており、結合および活性を増加させ、予測される免疫原性を減少させるように、修飾ヒトフレームワーク配列を含む。当業者であれば理解するように、本明細書で開発および記述されている配列をさらに修飾して、親和性成熟による結合性を増加させ、Fc媒介性エフェクター機能を増加させることができる。本明細書に記述されている結合ドメインは、単独でもまたは組み合わせのいずれでも、ヒト癌、例えば、結腸直腸癌、膵臓癌、卵巣癌、および肺癌の診断および/または治療に使用することができる。
【0018】
第1の態様では、本発明は、VH抗体結合ドメインを提供し、この結合ドメインは、順に、第1のフレームワーク領域(FR1)、第1のCDR(CDR1)、第2のフレームワーク領域(FR2)、第2のCDR(CDR2)、第3のフレームワーク領域(FR3)、第3のCDR(CDR3)、および第4のフレームワーク領域(FR4)を含み、ここで:
FR1の配列は、X1VQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVX2GYSX3X4(配列番号95)であり、ここで
X1は、QまたはEであり、
X2は、SまたはTであり、
X3は、I、L、またはVであり、
X4は、SまたはTであり、
またはそれに対して少なくとも90%もしくは少なくとも95%類似した、好ましくは少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一である配列であり、
CDR1の配列は、SGYSWH(配列番号96)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくはそれに対して少なくとも80%同一である配列であり、
FR2の配列は、WIRQX5PGKGLX6WX7G(配列番号97)であり、ここで
X5は、SまたはPであり、
X6は、QまたはEであり、
X7は、MまたはIであり、
またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
CDR2の配列は、HIHX8SGRPTYX9PSLX10S(配列番号98)であり、ここで
X8は、F、Y、またはWであり、
X9は、NまたはDであり、
X10は、K、L、H、F、R、またはSであり、
またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
FR3の配列は、RX11X12ISX13X14TAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号99)であり、ここで
X11は、VまたはIであり
X12は、TまたはSであり、
X13は、RまたはKであり、
X14は、EまたはDであり、
またはそれに対して少なくとも90%もしくは少なくとも95%類似した、好ましくは少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一である配列であり、ただし6位の残基はRまたはKでなければならならず、
CDR3の配列は、KGKGSDDGLNY(配列番号100)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
FR4の配列は、WGQGTLVTVSS(配列番号101)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列である。
【0019】
第2の態様では、本発明は、VH抗体結合ドメインを提供し、この結合ドメインは、フレームワーク配列、ならびにこのフレームワーク配列内に配置されている第1、第2、および第3のCDRを含み、このフレームワーク領域の配列は、配列QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGYSX3SWIRQPPGKGLQWIGRVTISX13ETAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCARWGQGTLVTVSS(配列番号102)に対して、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%同一であり、ここで
ここで、X3は、I、L、またはVであり、X13は、RまたはKであり、
CDR1の配列は、SGYSWH(配列番号96)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも80%同一である配列であり、
CDR2の配列は、HIHX8SGRPTYX9PSLX10S(配列番号98)であり、ここで
X8は、F、Y、またはWであり、
X9は、NまたはDであり、
X10は、K、L、H、F、R、またはSであり、
またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
CDR3の配列は、KGKGSDDGLNY(配列番号100)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列である。
【0020】
FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、およびFR4の好ましい配列は、以下の通りである:
FR1は、
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGYSIS(配列番号103)、
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGYSIT(配列番号104)、
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGYSLS(配列番号105)、
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGYSLT(配列番号106)、
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGYSVS(配列番号107)、
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGYSVT(配列番号108)、
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVTGYSIS(配列番号109)、
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVTGYSIT(配列番号110)、
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVTGYSLS(配列番号111)、
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVTGYSLT(配列番号112)、
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVTGYSVS(配列番号113)、
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVTGYSVT(配列番号114)、
EVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGYSIS(配列番号115)、
EVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGYSIT(配列番号116)、
EVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGYSLS(配列番号117)、
EVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGYSLT(配列番号118)、
EVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGYSVS(配列番号119)、
EVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGYSVT(配列番号120)、
EVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVTGYSIS(配列番号121)、
EVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVTGYSIT(配列番号122)、
EVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVTGYSLS(配列番号123)、
EVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVTGYSLT(配列番号124)、
EVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSTGYSVS(配列番号125)、および
EVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVTGYSVT(配列番号126)
からなる群から選択され、
CDR1は、SGYSWH(配列番号96)であり、
FR2は、WIRQSPGKGLQWIG(配列番号127)、WIRQSPGKGLQWMG(配列番号128)、WIRQSPGKGLEWIG(配列番号129)、WIRQSPGKGLEWMG(配列番号130)、WIRQPPGKGLQWIG(配列番号131)、WIRQPPGKGLQWMG(配列番号132)、WIRQPPGKGLEWIG(配列番号133)、およびWIRQPPGKGLEWMG(配列番号134)からなる群から選択され、
CDR2は、HIHFSGRPTYNPSLSS(配列番号135)、HIHFSGRPTYNPSLKS(配列番号136)、HIHFSGRPTYNPSLLS(配列番号137)、HIHFSGRPTYNPSLHS(配列番号138)、HIHFSGRPTYNPSLFS(配列番号139)、HIHFSGRPTYNPSLRS(配列番号140)、HIHWSGRPTYNPSLSS(配列番号141)、HIHWSGRPTYNPSLKS(配列番号142)、HIHWSGRPTYNPSLLS(配列番号143)、HIHWSGRPTYNPSLHS(配列番号144)、HIHWSGRPTYNPSLFS(配列番号145)、HIHWSGRPTYNPSLRS(配列番号146)、HIHYSGRPTYNPSLSS(配列番号147)、HIHYSGRPTYNPSLKS(配列番号148)、HIHYSGRPTYNPSLLS(配列番号149)、HIHYSGRPTYNPSLHS(配列番号150)、HIHYSGRPTYNPSLFS(配列番号151)、HIHYSGRPTYNPSLRS(配列番号152)、HIHFSGRPTYDPSLSS(配列番号153)、HIHFSGRPTYDPSLKS(配列番号154)、HIHFSGRPTYDPSLLS(配列番号155)、HIHFSGRPTYDPSLHS(配列番号156)、HIHFSGRPTYDPSLFS(配列番号157)、HIHFSGRPTYDPSLRS(配列番号158)、HIHWSGRPTYDPSLSS(配列番号159)、HIHWSGRPTYDPSLKS(配列番号160)、HIHWSGRPTYDPSLLS(配列番号161)、HIHWSGRPTYDPSLHS(配列番号162)、HIHWSGRPTYDPSLFS(配列番号163)、HIHWSGRPTYDPSLRS(配列番号164)、HIHYSGRPTYDPSLSS(配列番号165)、HIHYSGRPTYDPSLKS(配列番号166)、HIHYSGRPTYDPSLLS(配列番号167)、HIHYSGRPTYDPSLHS(配列番号168)、HIHYSGRPTYDPSLFS(配列番号169)、およびHIHYSGRPTYDPSLRS(配列番号170)
からなる群から選択され、
FR3は、
RVTISRETAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号171)、
RVTISRDTAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号172)、
RVTISKETAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号173)、
RVTISKDTAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号174)、
RVSISRETAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号175)、
RVSISRDTAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号176)、
RVSISKETAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号177)、
RVSISKDTAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号178)、
RITISRETAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号179)、
RITISRDTAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号180)、
RITISKETAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号181)、
RITISKDTAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号182)、
RISISRETAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号183)、
RISISRDTAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号184)、
RISISKETAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号185)、および
RISISKDTAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号186)
からなる群から選択され、
CDR3は、KGKGSDDGLNY(配列番号100)であり、
FR4は、WGQGTLVTVSS(配列番号101)である。
【0021】
第3の態様では、本発明は、VL抗体結合ドメインを提供し、この結合ドメインは、順に、第1のフレームワーク領域(FR1)、第1のCDR(CDR1)、第2のフレームワーク領域(FR2)、第2のCDR(CDR2)、第3のフレームワーク領域(FR3)、第3のCDR(CDR3)、および第4のフレームワーク領域(FR4)を含み、ここで
FR1の配列は、EX15VLTQSPGTLSLSX16GERATLSC(配列番号187)であり、ここで
X15は、IまたはNであり、
X16は、AまたはPであり、
またはそれに対して少なくとも90%もしくは少なくとも95%類似した、好ましくは少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一である配列であり、
CDR1の配列は、SASSSLSYIH(配列番号188)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
FR2の配列は、WYQQKPGQAPRLLIY(配列番号189)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
CDR2の配列は、DTSNLAS(配列番号190)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも80%同一である配列であり、
FR3の配列は、GIPDRFSGSGSGX17DFTLTISRVEPEDFAVYYC(配列番号191)であり、ここで
X17は、TまたはNであり、
またはそれに対して少なくとも90%もしくは少なくとも95%類似した、好ましくは少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一である配列であり、
CDR3の配列は、FQGSEYPLT(配列番号192)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも80%同一である配列であり、
FR4の配列は、FGQGTKLEIKR(配列番号193)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列である。
【0022】
第4の態様では、本発明は、VL抗体結合ドメインを提供し、この結合ドメインは、フレームワーク配列、ならびにこのフレームワーク配列内に配置されている第1、第2、および第3のCDRを含み、このフレームワーク領域の配列は、配列EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCWYQQKPGQAPRLLIYGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRVEPEDFAVYYCFGQGTKLEIKR(配列番号194)に対して少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%同一であり、
CDR1の配列は、SASSSLSYIH(配列番号188)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
CDR2の配列は、DTSNLAS(配列番号190)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも80%同一である配列であり、
CDR3の配列は、FQGSEYPLT(配列番号192)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも80%同一である配列である。
【0023】
FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、およびFR4の好ましい配列は、以下の通りである:
FR1は、EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSC(配列番号195)、EIVLTQSPGTLSLSAGERATLSC(配列番号196)、ENVLTQSPGTLSLSPGERATLSC(配列番号197)、およびENVLTQSPGTLSLSAGERATLSC(配列番号198)の群から選択される。
CDR1は、SASSSLSYIH(配列番号188)であり、
FR2は、WYQQKPGQAPRLLIY(配列番号189)であり、
CDR2は、DTSNLAS(配列番号190)であり、
FR3は、GIPDRFSGSGSGTDFTLTISRVEPEDFAVYYC(配列番号199)またはGIPDRFSGSGSGNDFTLTISRVEPEDFAVYYC(配列番号200)であり、
CDR3は、FQGSEYPLT(配列番号192)であり、
FR4は、FGQGTKLEIKR(配列番号193)である。
【0024】
第5の態様では、本発明は、VH抗体結合ドメインを提供し、この結合ドメインは、順に、第1のフレームワーク領域(FR1)、第1のCDR(CDR1)、第2のフレームワーク領域(FR2)、第2のCDR(CDR2)、第3のフレームワーク領域(FR3)、第3のCDR(CDR3)、および第4のフレームワーク領域(FR4)を含み、ここで
FR1の配列は、EVQLQQWGAGLLKPSETLSLTCAVYGYSX18X19(配列番号201)であり、ここで
X18は、I、L、またはVであり、
X19は、SまたはTであり、
またはそれに対して少なくとも90%もしくは少なくとも95%類似した、好ましくは少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一である配列であり、
CDR1の配列は、SGYSWH(配列番号96)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも80%同一である配列であり、
FR2の配列は、WIRQPPGKGLEWX20G(配列番号202)であり、ここで
X20は、MまたはIであり、
またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
CDR2の配列は、HIHX21SGRPTYX22PSLX23S(配列番号98)であり、ここで
X21は、F、Y、またはWであり、
X22は、NまたはDであり、
X23は、K、L、H、F、R、またはSであり、
またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
FR3の配列は、RX24X25ISX26DTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCAR(配列番号203)であり、ここで
X24は、VまたはIであり、
X25は、SまたはTであり、
X26は、RまたはKであり、
またはそれに対して少なくとも90%もしくは少なくとも95%類似した、好ましくは少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一である配列であり、ただし6位の残基はRまたはKでなければならならず、
CDR3の配列は、KGKGSDDGLNY(配列番号100)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
FR4の配列は、WGQGTLVTVSS(配列番号101)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列である。
【0025】
第6の態様では、本発明は、VH抗体結合ドメインを提供し、この結合ドメインは、フレームワーク配列、ならびにこのフレームワーク配列内に配置されている第1、第2、および第3のCDRを含み、このフレームワーク領域の配列は、配列EVQLQQWGAGLLKPSETLSLTCAVYGYSX18SWIRQPPGKGLEWIGRVTISX26DTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARWGQGTLVTVSS(配列番号204)に対して、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%同一であり、ここで
X18は、I、LまたはVであり、X26は、RまたはKであり、
CDR1の配列は、SGYSWH(配列番号96)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも80%同一である配列であり、
CDR2の配列は、HIHX21SGRPTYX22PSLX23S(配列番号98)であり、ここで
X21は、F、Y、またはWであり、
X22は、NまたはDであり、
X23は、K、L、H、F、R、またはSであり、
またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
CDR3の配列は、KGKGSDDGLNY(配列番号100)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列である。
【0026】
FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、およびFR4の好ましい配列は、以下の通りである:
FR1は、
EVQLQQWGAGLLKPSETLSLTCAVYGYSIS(配列番号205)、
EVQLQQWGAGLLKPSETLSLTCAVYGYSIT(配列番号206)、
EVQLQQWGAGLLKPSETLSLTCAVYGYSLS(配列番号207)、
EVQLQQWGAGLLKPSETLSLTCAVYGYSLT(配列番号208)、
EVQLQQWGAGLLKPSETLSLTCAVYGYSVS(配列番号209)、および
EVQLQQWGAGLLKPSETLSLTCAVYGYSVT(配列番号210)
からなる群から選択され、
CDR1は、SGYSWH(配列番号96)であり、
FR2は、WIRQPPGKGLEWIG(配列番号133)またはWIRQPPGKGLEWMG(配列番号134)であり、
CDR2は、HIHFSGRPTYNPSLSS(配列番号135)、HIHFSGRPTYNPSLKS(配列番号136)、HIHFSGRPTYNPSLLS(配列番号137)、HIHFSGRPTYNPSLHS(配列番号138)、HIHFSGRPTYNPSLFS(配列番号139)、HIHFSGRPTYNPSLRS(配列番号140)、HIHWSGRPTYNPSLSS(配列番号141)、HIHWSGRPTYNPSLKS(配列番号142)、HIHWSGRPTYNPSLLS(配列番号143)、HIHWSGRPTYNPSLHS(配列番号144)、HIHWSGRPTYNPSLFS(配列番号145)、HIHWSGRPTYNPSLRS(配列番号146)、HIHYSGRPTYNPSLSS(配列番号147)、HIHYSGRPTYNPSLKS(配列番号148)、HIHYSGRPTYNPSLLS(配列番号149)、HIHYSGRPTYNPSLHS(配列番号150)、HIHYSGRPTYNPSLFS(配列番号151)、HIHYSGRPTYNPSLRS(配列番号152)、HIHFSGRPTYDPSLSS(配列番号153)、HIHFSGRPTYDPSLKS(配列番号154)、HIHFSGRPTYDPSLLS(配列番号155)、HIHFSGRPTYDPSLHS(配列番号156)、HIHFSGRPTYDPSLFS(配列番号157)、HIHFSGRPTYDPSLRS(配列番号158)、HIHWSGRPTYDPSLSS(配列番号159)、HIHWSGRPTYDPSLKS(配列番号160)、HIHWSGRPTYDPSLLS(配列番号161)、HIHWSGRPTYDPSLHS(配列番号162)、HIHWSGRPTYDPSLFS(配列番号163)、HIHWSGRPTYDPSLRS(配列番号164)、HIHYSGRPTYDPSLSS(配列番号165)、HIHYSGRPTYDPSLKS(配列番号166)、HIHYSGRPTYDPSLLS(配列番号167)、HIHYSGRPTYDPSLHS(配列番号168)、HIHYSGRPTYDPSLFS(配列番号169)、およびHIHYSGRPTYDPSLRS(配列番号170)
からなる群から選択され、
FR3は、
RVTISRDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCAR(配列番号218)、
RVTISKDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCAR(配列番号219)、
RVSISRDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCAR(配列番号220)、
RVSISKDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCAR(配列番号221)、
RITISRDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCAR(配列番号222)、
RITISKDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCAR(配列番号223)、
RISISRDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCAR(配列番号224)、
RISISKDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCAR(配列番号225)
からなる群から選択される。
CDR3は、KGKGSDDGLNY(配列番号100)である。
FR4は、WGQGTLVTVSS(配列番号101)である。
【0027】
第7の態様では、本発明は、VL抗体結合ドメインを提供し、この結合ドメインは、順に、第1のフレームワーク領域(FR1)、第1のCDR(CDR1)、第2のフレームワーク領域(FR2)、第2のCDR(CDR2)、第3のフレームワーク領域(FR3)、第3のCDR(CDR3)、および第4のフレームワーク領域(FR4)を含み、ここで
FR1の配列は、EX27VLTQSPATLSLSPGERATLSC(配列番号211)であり、ここでX27は、IまたはNであり、
またはそれに対して少なくとも90%もしくは少なくとも95%類似した、好ましくは少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一である配列であり、
CDR1の配列は、SASSSLSYIH(配列番号188)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
FR2の配列は、WYQQKPGQAPRLLIY(配列番号189)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
CDR2の配列は、DTSNLAS(配列番号190)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも80%同一である配列であり、
FR3の配列は、GIPDRFSGSGSGX28DFTLTISRLEPEDFAVYYC(配列番号212)であり、ここで
X28は、TまたはNであり、
またはそれに対して少なくとも90%もしくは少なくとも95%類似した、好ましくは少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一である配列であり、
CDR3の配列は、FQGSEYPLT(配列番号192)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも80%同一である配列であり、
FR4の配列は、FGGGTKVEIKR(配列番号193)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列である。
【0028】
第8の態様では、本発明は、VL抗体結合ドメインを提供し、この結合ドメインは、フレームワーク配列、ならびにこのフレームワーク配列内に配置されている第1、第2、および第3のCDRを含み、このフレームワーク領域の配列は、配列EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCWYQQKPGQAPRLLIYGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCFGGGTKVEIKR(配列番号213)に対して、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%同一であり、
CDR1の配列は、SASSSLSYIH(配列番号188)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
CDR2の配列は、DTSNLAS(配列番号190)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも80%同一である配列であり、
CDR3の配列は、FQGSEYPLT(配列番号192)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも80%同一である配列である。
【0029】
FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、およびFR4の好ましい配列は、以下の通りである:
FR1は、EIVLTQSPATLSLSPGERATLSC(配列番号214)またはENVLTQSPATLSLSPGERATLSC(配列番号215)の群から選択される。
CDR1は、SASSSLSYIH(配列番号188)である。
FR2は、WYQQKPGQAPRLLIY(配列番号189)である。
CDR2は、DTSNLAS(配列番号190)である。
FR3は、GIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYC(配列番号216)またはGIPDRFSGSGSGNDFTLTISRLEPEDFAVYYC(配列番号217)である。
CDR3は、FQGSEYPLT(配列番号192)である。
FR4は、FGGGTKVEIKR(配列番号193)である。
【0030】
本発明の好ましい実施形態では、本発明のVHおよびVL抗体結合ドメインは、定常ドメインをさらに含む。定常ドメインは、ヒトまたは非ヒト霊長類、好ましくはヒトの定常領域であってもよい。1つの実施形態では、重鎖定常ドメインの配列は、
ASTKNPDVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号52);または
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号92);または
ASTKNPDVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPDVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNATYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPEEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号53)
であり、
軽鎖定常ドメインの配列は、
TVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号93)
である。
【0031】
本発明のさらなる好ましい実施形態では、第1の態様のVHおよび第2の態様のVL、または第3の態様のVHおよび第4の態様のVLを含む抗体が提供される。
【0032】
本発明の結合ドメインおよび抗体は、SC104が結合する抗原を発現する癌、特に結腸直腸癌、ならびに卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、および肺癌などの非結腸直腸癌の細胞と特異的に結合する。したがって、別の態様では、本発明は、対象の癌を治療する方法であって、癌が、結腸直腸、卵巣、膵臓、前立腺、および肺から選択され、本発明による治療上有効量の結合ドメインまたは抗体を対象に投与することを含む方法を提供する。
【0033】
本発明は、試料中の癌細胞の存在を検出する方法であって、細胞試料を、本発明による結合ドメインまたは抗体と接触させるステップと、細胞に対する、本発明による結合ドメインまたは抗体の結合を検出するステップとを含む方法も提供する。
【0034】
承知の通り、本発明で開発および記述されている配列は、当技術分野で周知の方法を使用して修飾し、例えば親和性成熟により結合性を増加させ、または予測されるMHCクラスII結合ペプチドモチーフを取り除くことにより免疫原性を減少させることができる。本明細書で開発および記述されている配列の治療有用性は、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)、補体依存性細胞傷害(CDC)、血清半減期、生体内分布、およびFc受容体への結合、またはこれらのいずれかの組み合わせなどの、それらの機能的特徴を調節することによりさらに増強することができる。この調節は、タンパク質工学的、糖鎖工学的、または化学的方法により達成することができる。必要とされる治療応用に応じて、これらの活性のいずれかを増加させることか、または減少させることのいずれかが、有利であり得る。
【0035】
抗体の親和性成熟の方法は、多数が当技術分野で公知である。これらのうちの多数は、突然変異誘発により様々なタンパク質の一群またはライブラリーを生成し、その後親和性の向上について選択および/またはスクリーニングするという基本戦略に基づく。突然変異誘発は、例えば、エラーを起こし易いPCR(Thie、Voedischら、2009年)により、遺伝子シャフリング(KolkmanおよびStemmer、2001年)により、突然変異誘発性の化学物質または照射を使用することにより、エラーを起こし易い複製機構を有する「ミューテーター」株(Greener、1996年)を使用することにより、または天然の親和性成熟機構を利用する体細胞超変異手法(Peled、Kuangら、2008年)により、DNAレベルで実施されることが多い。突然変異誘発は、例えば、Qβレプリカーゼ(Kopsidas、Robertsら、2006年)を使用することにより、RNAレベルで実施することもできる。改良された変異型タンパク質のスクリーニングを可能にするライブラリーに基づく方法は、ファージ、酵母、リボソーム、細菌性細胞、または哺乳動物細胞などの種々のディスプレー技術に基づいていてもよく、当技術分野で周知である(Benhar、2007年)。親和性成熟は、より方向性を持つ方法/予測的な方法により、例えば、3Dタンパク質モデリング(例えば、Queen、Schneiderら、1989年または米国特許第6,180,370号明細書または米国特許第5,225,539号明細書を参照)からの知見により導かれる指定部位突然変異誘発または遺伝子合成により、達成することができる。
【0036】
ADCCを増加させる方法は、Ferrara、Brunkerら、2006年;Li, Sethuramanら、2006年;Stavenhagen、Gorlatovら、2007年;Shields、Namenukら、2001年;Shinkawa、Nakamuraら、2003年;および国際公開第2008/006554号パンフレットにより記述されている。好ましい形態では、本発明の抗体は、減少したレベルのフコースを有する。
【0037】
CDCを増加させる方法は、Idusogie、Wongら、2001年;Dall'Acqua、Cookら、2006年;Michaelsen、Aaseら、1990年;Brekke、Bremnesら、1993年;Tan、Shopesら、1990年;Norderhaug、Brekkeら、1991年により記述されている。
【0038】
ADCCおよびCDCを増加させる方法が記述されている文献には、Natsumeら、2008年が含まれる。これら文献の各々の開示は、相互参照により本明細書に含まれる。
【0039】
抗体血清半減期および生体内分布を調節するための多くの方法は、抗体と、新生児型Fc受容体(FcRn)、異化作用からIgGを防御し、高い血清抗体濃度を維持することにおいて重要な役割を有する受容体との間の相互作用を修飾することに基づいている。Dall'Acquaらは、FcRnの結合親和性を増強し、それにより血清半減期を増加させる、IgG1のFc領域における置換について記述しており(Dall'Acqua、Woodsら、2002)、M252Y/S254T/T256Eの三重置換で、ADCC活性の生物学的利用能および調節が増強されたことをさらに実証している(Dall'Acqua、Kienerら、2006年)。米国特許第6,277,375号明細書、米国特許第6,821,505号明細書、および米国特許第7,083,784号明細書も参照されたい。Hintonらは、in vivo半減期の増加を付与する250位および428位の定常ドメインアミノ酸置換について記述している(Hinton、Johlfsら、2004年)。(Hinton、Xiongら、2006年)。米国特許第7,217,797号明細書も参照されたい。Petkovaらは、in vivo半減期の増加を付与する307位、380位、および434位の定常ドメインアミノ酸置換について記述している(Petkova、Akileshら、2006年)。Shieldsら(Shields、Namenukら、2001年)および国際公開第2000/42072号パンフレットも参照されたい。FcRn結合および血清半減期を含む、これら受容体により媒介されるFc受容体への結合およびその後の機能を調節する定常ドメインアミノ酸置換の他の例は、米国特許出願公開第20090142340号明細書、第20090068175号明細書、および第20090092599号明細書に記述されている。
【0040】
抗体分子に結合されたグリカンは、血清半減期を含むFc受容体およびグリカン受容体と抗体との相互作用に影響を及ぼし、それにより抗体活性に影響を及ぼすことが知られている(Kaneko、Nimmerjahnら、2006年;Jones、Papacら、2007年;およびKanda、Yamadaら、2007年)。したがって、所望の抗体活性を調節するある種の糖型は、治療的利点を付与することができる。操作された糖型を生成するための方法は、当技術分野で公知であり、それらには、米国特許第6,602,684号明細書、第7,326,681号明細書、第7,388,081号明細書、国際公開第2008/006554号パンフレットに記述されているものが含まれるが、これらに限定されない。
【0041】
ポリエチレングリコール(PEG)の付加による半減期の延長は、タンパク質の血清半減期を延長するために広く使用されており、例えば、Fishburnにより総説されている(Fishburn、2008年)。
【0042】
当然のことだが、本発明の配列内で保存的アミノ酸置換を行うことは可能である。「保存的置換」とは、類似の特性を有するアミノ酸を意味する。本明細書で使用される場合、以下の群のアミノ酸が保存的置換であるとみなされる:
H、R、およびK、
D、E、N、およびQ、
V、I、およびL、
CおよびM、
S、T、P、A、およびG、ならびに
F、Y、およびW。
【0043】
披見されるように、本明細書では、「類似%」、「同一%」という用語を使用して、多くの配列について記述している。承知の通り、用語「同一%」は、指定された領域にわたって2つの配列の比較する際に、2つの配列が、指定された数の同じ位置の同一残基を有することを意味する。用語「類似%」は、同様の意味を有するが、2つの配列間の同一アミノ酸の数に加えて、アミノ酸が、同一ではないが、上記で定義されているような保存的置換であることも考慮される。
【0044】
本明細書の全体にわたって、「含む(comprise)」という単語、または「含む(comprises)」もしくは「含んでいる(comprising)」などの変化形は、規定されている要素、整数、もしくはステップ、または要素、整数、もしくはステップの群を包含するが、任意の他の要素、整数、もしくはステップ、または要素、整数、もしくはステップの群を排除しないことを意味すると理解されるだろう。
【0045】
本明細書で言及されている出版物はすべて、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に含まれている文書、行為、物質、デバイス、物品などに関するいかなる考察も、もっぱら本発明の状況を提供するためのものである。これらのもののいずれかまたはすべてが、本出願の各請求項の優先日前にオーストラリアまたは他所に存在していたとして、従来技術の基盤の一部を形成することの承認として、または本発明に関連する分野におけるありふれた一般的知識だったということの承認として、受け取られるべきではない。
【0046】
本発明の性質をより良好に理解することができるように、これから、以下の実施例を参照することにより、好ましい形態を記述する。
【実施例1】
【0047】
キメラSC104抗体の生成
マウスSC104重鎖可変領域(VH)(配列番号1)を、in silicoで、ヒトIgG1骨格(NCBI受入番号AAH72419およびその誘導体などのヒトIgG1重鎖CH1、ヒンジ、CH2、CH3ドメイン)にフォーマット化(format)して、キメラSC104の重鎖、配列番号2を得た。同様に、SC104軽鎖可変領域(VL)、配列番号3を、in silicoで、ヒトIgG1骨格(NCBI受入番号P01834およびその誘導体など)にフォーマット化して、対応するキメラSC104軽鎖、配列番号4を形成した。
【0048】
DNA構築体のフォーマット化および産生
その結果生じた重鎖アミノ酸配列および軽鎖アミノ酸配列を、DNA塩基配列に逆翻訳した。5'-VH特異的制限部位AscIは、重鎖ポリペプチドシグナル配列、配列番号5をコードするヌクレオチド配列に上流に含まれていた。Tth111I制限部位を、3'-VH領域アミノ酸TVSSをコードするポリヌクレオチド配列に導入した。5'-VL特異的制限部位BsiWIを、軽鎖ポリペプチドシグナル配列、配列番号6をコードするヌクレオチド配列に上流に組み込んだ。RsrII制限部位は、VL領域のC末端に位置するアミノ酸RTをコードする核酸配列の3'-末端に含まれていた。その後、これら配列を、GeneOptimizer(登録商標)技術(Gene Art社、ドイツ)を使用して、CHO細胞での発現に最適化した。
【0049】
その後、可変領域を、合成オリゴヌクレオチド(GeneArt社、ドイツ)の構築によりde novo合成した。追加された制限部位を使用して、適切なIgG1定常領域を含有する、グルタミン合成酵素(GS)チャイニーズハムスター卵巣(CHO)に基づく遺伝子発現システムベクター(Lonza社、英国)に、可変領域をクローニングした。その結果生じた重鎖含有および軽鎖含有ベクターを使用して、CHO-K1SV細胞をコトランスフェクトして抗体を産生した。
【0050】
抗体構築体の細胞培養および一過性発現
CHO-K1SV(Lonza社、英国)細胞を、Freestyle(商標)CHO化学的限定細胞増殖培地(Invitrogen(商標)社製)、および終濃度が6mMのL-グルタミン(Invitrogen(商標)社製)で補完された培地中で、2×105細胞/ml〜4×106細胞/mlで培養した。細胞を36.5℃、10%CO2、および140rpmで培養した。トランスフェクションの前日に、500mlのバルブ付エルレンマイヤーフラスコ(Corning(登録商標)社製)中で、100mlの培養容積を5×105細胞/mlで播種した。翌日、4mLのOptiPRO(商標)SFM(Invitrogen(商標)社製)を、15mLのCorning(登録商標)社製チューブに調製し、100μgの各抗体鎖と混合した。その結果生じた混合物を、0.2μmの13mm注射器端部フィルターユニット(ミリポア(登録商標)社製)で、200μlのFreestyle(商標)Max試薬(Invitrogen(商標)社製)を含有する新しい15mL Corning(登録商標)社製チューブの中にろ過した。以前に播種したCHO-K1SV細胞を添加する前に、この混合物を室温で10分間インキュベートした。7日後に、10分間3000gで遠心分離することにより上清を回収し、その後0.2μm膜で滅菌受け器の中にろ過した(Corning(登録商標)社製フィルターユニット)。
【0051】
抗体の精製
トランスフェクトされたCHO細胞から回収された上清をpH7.4に調整し、その後HiTrap(商標)プロテインAカラム(1mL(GE(登録商標)Healthcare社製))に負荷した。カラムを、30mLの1×PBS(pH7.4)で洗浄した。溶出は、0.1Mのクエン酸pH3を使用して実施した。溶出された抗体を、Zeba(商標)脱塩カラム(Pierce(登録商標)社製)を使用して、1×PBS(pH7.4)へと脱塩した。抗体濃度は、A280値により決定した。
【0052】
フローサイトメトリーに基づく結合アッセイ
成育可能な腫瘍細胞および対照細胞(2×105、トリパンブルー排除法で判断した)を、三重反復で、種々の濃度のマウスSC104、キメラSC104、またはヒト化変異体、およびヒトIgG1アイソタイプ(Sigma-Aldrich(登録商標)社製)と共に、96V-ウェルプレート(Eppendorf社製)の100μl緩衝液(1%FCSを加えたPBS)中で、暗所、氷上で20分間インキュベートした。細胞を緩衝液で2回洗浄し、その後、それぞれキメラ抗体またはマウス抗体を検出するための、ヤギ抗ヒトIgG(Fc特異的、Sigma-Aldrich(登録商標)社製、FITCに結合)またはヤギ抗マウスIgG(Fc特異的、Sigma-Aldrich(登録商標)社製、FITCに結合)を含有する100μlの緩衝液中で20分間インキュベーションした。洗浄した後、細胞を緩衝液に再懸濁し、EV、側方散乱、およびFL-1ゲーティングを使用して、Cell Lab Quanta(商標)SC MPL(Beckman Coulter社製)を用いたフローサイトメトリーにより抗体結合を分析し、データ取得中、96ウェルプレート中の細胞は、冷却パック(Eppendorf社製)を敷いておくことにより冷却した。結果は、平均蛍光強度(MFI)として表し、曲線の傾き値は、GraphPad Prism(登録商標)ソフトウェアにより、非線形回帰分析を使用して計算した。
【0053】
フローサイトメトリーに基づく直接的殺傷アッセイ
成育可能な腫瘍細胞(2×105、トリパンブルー排除法で判断した)を、三重反復で、種々の濃度のマウスSC104、キメラSC104、またはヒト化変異体、およびヒトIgG1アイソタイプ(Sigma-Aldrich(登録商標)社製)と共に、96V-ウェルプレート(Eppendorf社製)の80μl緩衝液(1%FCSを加えたPBS)中で、暗所、室温で2.5〜3時間インキュベートした。各ウェルに、20μl緩衝液中の0.15gの7AAD(BD(登録商標)Biosciences社製)を添加し、細胞をさらに20分間インキュベートし、その後、EV、側方散乱、およびFL-3ゲーティングを使用して、Cell Lab Quanta(商標)SC MPL(Beckman Coulter社製)を用いたフローサイトメトリーにより細胞生存度を分析し、データ取得中、96ウェルプレート中の細胞は、冷却パック(Eppendorf社製)を敷いておくことにより冷却した。結果は、7AAD+細胞の割合として表し、曲線の傾き値は、GraphPad Prism(登録商標)ソフトウェアにより、非線形回帰分析を使用して計算した。
【0054】
キメラSC104抗体は、ヒト結腸腫瘍細胞に対する、強力で特異的な結合および直接的殺傷活性を示す
キメラおよびマウス親SC104抗体を、ヒト結腸癌細胞系C170(ECACC受入番号97071507)およびColo205(ATCC受入番号CCL-222)に対する結合について試験した。マウスSC104抗体は、これら細胞系に強く結合することが、フローサイトメトリーを使用して以前に示されている(Durrant、Hardingら、2006年)。図1(左側パネル)は、SC104抗体が、ヒトIgG1アイソタイプ対照には結合しないが、C170およびColo205に結合し、マウスおよびキメラSC104抗体は両方とも、一連の抗体濃度にわたって同様の結合強度を示すことを示している。対照的に、抗体はどれも、ヒト結腸癌系HCT-116(ATCC受入番号CCL-247)に結合せず、したがってこの癌系はSC104抗原陰性と規定された。
【0055】
マウスSC104抗体は、免疫エフェクター細胞または補体を必要とせずに、結腸腫瘍細胞の直接殺傷を誘導することが知られている(Durrant、Hardingら、2006年)。実際、マウスおよびキメラSC104抗体は両方とも、抗原陽性細胞C170およびColo205の強力な直接的殺傷を示したが、ヒトIgG1アイソタイプ対照は直接的殺傷を示さず、対照的に、これら抗体は、バックグラウンドを超える抗原陰性細胞HCT-116の殺傷を示さなかった(図1および右側パネル)。
【0056】
様々な抗原陰性ヒト結腸直腸腫瘍細胞(HCT15、ATCC受入番号CCL-225)、ヒト非腫瘍細胞(MRC5、ATCC受入番号CCL-171)、または正常ヒト供与体に由来する末梢血単核細胞を用いた他の実験では、マウスおよび/またはキメラSC104抗体との結合および直接的殺傷活性は示されなかった(データ非表示)。まとめると、キメラSC104抗体は、親マウスSC104抗体と比較した際に、同様の効力および特異性を示した。したがって、キメラSC104抗体を、その後に生成したヒト化SC104抗体変異体の活性を試験するための基準として使用した。
【実施例2】
【0057】
SC104のヒト化
3Dモデリングによる好適なヒトフレームワーク受容体の選択
マウスSC104重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)の独立した3Dモデルを、結晶構造のデータベース(例えば、Research Collaboratory for Structural Bioinformatics (RCSB) protein data bank、http://www.rcsb.org/pdb/home/home.do、Worldwide Protein Data Bankの一部、http://www.wwpdb.oreを参照)およびソフトウェアパッケージであるDiscovery Studio vl.7(Accelrys(登録商標)社製、米国)を使用して構築した。手短に言えば、マウスSC104重鎖可変領域または軽鎖可変領域のいずれかを使用したBasic Local Alignment Search Tool(BLAST)探索により、タンパク質データバンクデータベースを検索して、結晶構造情報を伴う類似ポリペプチド配列の抗体を特定した。その後、これら構造を使用して、マウスSC104可変領域および特定された結晶構造の可変領域に共通しているアミノ酸配列相同性に基づく相同性モデルを構築した。これらマウスVHおよびVLモデルを使用して、マウス抗体とフレームワーク構造の相同性を共有した好適なヒトVHおよびVL受容体フレームワークを、タンパク質データバンクから独立して特定した。正しい重鎖および軽鎖対を保証するために、同じ抗体結晶構造のVHおよびVLヒト受容体フレームワークを、ヒト化プロセスを通じて進展させた。より良好なマウス-ヒト重鎖フレームワーク領域の構造相同性を有するヒト受容抗体を、より良好なマウス-ヒト軽鎖フレームワーク相同性を有するものより優先した。これらには、pdb受入コード1U6Aおよび1QLRが含まれる。ヒトフレームワーク受容体を評価して、これら構造がSC104 CDRを適切に支持することができるかどうかについて試験した。
【0058】
ヒト化抗体構築体のフォーマット化
最初に、マウスSC104相補性決定領域(CDR)を、CDR移植技術(例えば、(Queen、Schneiderら、1989年)または米国特許第6,180,370号明細書または米国特許第5,225,539号明細書を参照)が、この分類に基づくことを考慮して、カバット法(Kabat、1991年を参照)に従って規定した。後にヒト化を試みる際には、AbM体系(例えば(Dubel、2007年)およびそこに組み込まれている文献を参照)を使用して、重鎖(CDR-H1)のCDR1を規定した(Table 1(表1))。CDRは、DNAStar(登録商標)ソフトウェアパッケージ(バージョン8;Lasergene(登録商標)社製、米国)を使用して、選択されたヒトフレームワークにin silicoでフォーマット化した。VH領域は、CH1、ヒンジ、CH2、およびCH3ドメインを含有するヒトIgG1重鎖(NCBI受入番号AAH72419およびその誘導体など)にフォーマット化した。同時に、VL領域は、対応するヒトIgG1軽鎖定常領域(NCBI受入番号P01834およびその誘導体などの)を使用してフォーマット化した。
【0059】
カバット式定義のCDR-H1が組み込まれているヒト化SC104変異体は、意外にも非機能的抗体を産出した
ヒト受容体フレームワーク1U6Aおよび1QLRを、SC104ヒト化用に使用した。マウスSC104軽鎖CDRを、1U6Aおよび1QLR軽鎖フレームワーク領域にフォーマット化した。1U6Aフレームワーク配列の15位にある非共通アラニン残基を、プロリン(A15P)と置換することにより取り除き、配列番号7を得た。1QLRに基づくヒト化SC104軽鎖を上述のようにフォーマット化して、配列番号8を得た。カバット式定義のCDR-H1を含有する対応する1U6Aに基づくSC104重鎖をフォーマット化した。配列番号9。同時に、カバット式定義のCDR-H1を含有する1QLRに基づくSC104重鎖をフォーマット化した。配列番号10。1U6Aに基づく軽鎖および重鎖の組み合わせである配列番号7および配列番号9を、CHO細胞で同時発現させた。1QLRに基づく軽鎖および重鎖の組み合わせである配列番号8および配列番号10も、CHO細胞で同時発現させた。その結果生じた抗体を、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーで精製し、フローサイトメトリーを使用して、生菌細胞結合活性を試験した。驚くべきことに、カバット式定義のCDR-H1が両方に組み込まれていたこれらヒト化抗体変異体は、SC104抗原陽性細胞に結合しなかった(図2)。
【0060】
驚くべきことに、AbM式定義のCDR-H1が組み込まれたヒト化SC104変異体は、機能的抗体を産出する
カバット式定義のCDR-H1を組み込んだヒト化が予想外に失敗した後で、AbM式定義のCDR-H1体系を適用した(Table 1(表1))。その後、1U6Aに基づくSC104重鎖および1QLRに基づくSC104重鎖をフォーマット化して、AbM式定義のCDR-H1を組み込んだ。それぞれ配列番号11および12。1U6Aに基づく軽鎖および重鎖の組み合わせである配列番号7および配列番号11をCHO細胞で同時発現させた。1QLRに基づく軽鎖および重鎖の組み合わせである配列番号8および配列番号12をCHO細胞で同時発現させた。その結果生じた抗体を、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーで精製し、フローサイトメトリーを使用して、生菌細胞結合活性を試験した。驚くべきことに、AbM式定義のCDR-H1が両方に組み込まれていたこれらヒト化抗体変異体は、SC104抗原陽性細胞に結合した(図3)。
【0061】
ヒト化SC104の結合活性の増加
図3は、ヒト化SC104抗体が、キメラSC104で観察された活性と比較して、最適以下の結合活性を有していたことを示している。これらデータは、1つまたは複数のフレームワークアミノ酸置換が、結果として結合活性をほとんど喪失させずにSC104をヒト化するために重要であることを示唆する。この問題に取り組むために、マウスSC104および1U6Aのフレームワークポリペプチド配列を比較した。in silicoでマウスSC104可変領域の3Dモデルを使用し、フレームワーク間のアミノ酸差に目印を付け、精査した。6つのVHおよび3つのVLアミノ酸(1U6A受容体フレームワークに見出されたこの位置における非共通アラニン残基を取り除くためのA15P置換を含む)を特定し、さらにin vitroで研究を行ってヒト化抗体の結合活性に対するそれらの寄与を試験した。1QLRヒト化SC104を使用して同様の分析を実施し、それにより、in vitroで試験するための4つのVHおよび2つのVLアミノ酸に目印を付けた。in vitro試験用に目印を付けた1QLRヒト化SC104中の位置はすべて、1U6Aヒト化SC104で既に特定されていたものと同一だった。その後、1U6A受容体だけを使用して、ヒト化SC104の効力増強に重要な残基を特定する試みに集中した。
【0062】
ヒト化VHフレームワークに必要な予測された置換は、ヒト化VLで予測されたものより、結合活性の増強に重要である
1U6Aに基づくSC104重鎖のAbM式定義のCDR-H1変異体およびカバット式定義のCDR-H1変異体を両方ともコードする遺伝子を再合成して、合計6つのアミノ酸残基置換-Q46E、I48M、V67I、T68S、V71R、E72D(カバット式付番)を組み込んだ。これにより、配列番号13(AbM CDR-H1)および15(カバットCDR-H1)が、それぞれ産生された。上記に概説されているプロセスにより前述の6つより優先度が低い追加的な2つのアミノ酸置換-Q1EおよびS25Tに目印が付けられ、それも、配列番号13に導入して、配列番号14、合計8つのアミノ酸置換を含有するAbM式定義のCDR-H1変異体を得た。対応するAbM移植重鎖配列およびカバット移植重鎖配列、それぞれ配列番号11および9を、非置換対照として使用した。
【0063】
3つの置換、I2N、A15P、T69N(カバット式付番)が組み込まれた1U6Aに基づく軽鎖をフォーマット化して、配列番号16を生成した。対応する軽鎖配列である配列番号7を、最少置換対照として使用した。重鎖および軽鎖の置換および非置換または最少置換の組み合わせを同時発現させ、それらの活性を、フローサイトメトリーに基づく細胞結合アッセイで評価した。カバット式定義のCDR-H1を含有する移植体では、ヒト化SC104抗体変異体である配列番号7/配列番号15および配列番号16/配列番号15は両方とも、前述の6つのアミノ酸置換が組み込まれた同じ重鎖(配列番号15)を共有していた。これら抗体は、置換含有軽鎖(配列番号16)または最少置換軽鎖(配列番号7)のいずれと対になるかには関係なく、同様の陽性結合活性を示した。対照的に、重鎖を、配列番号9などの、カバット式定義のCDR-H1を含有しアミノ酸置換を含有しないものに変更することにより、軽鎖の配列番号7または配列番号16のいずれを使用するかに関係なく、結合が消滅した(図4A)。同様に、単一の置換または3つのすべての置換のいずれかを含有する軽鎖(それぞれ配列番号7および16)は、AbM式定義のCDR-H1を含む重鎖(例えば、それぞれ非置換および置換重鎖を表す配列番号11および13を参照)と対になった場合、ヒト化SC104抗体変異体の強力な結合活性に著しい影響を及ぼさなかった(図4B)。重鎖配列番号13を重鎖配列番号14と交換し、キメラSC104(配列番号4/配列番号2)を用いて、同じフローサイトメトリーに基づく結合アッセイを実施した場合、図4Bと同様の傾向が観察された(結果は非表示)。このデータは、置換Q1EおよびS25Tが、それらの非置換対応物である配列番号11と比べて重鎖配列番号13および14により示される強力な結合活性の要因ではないことを示した。したがって、置換Q1EおよびS25Tは、それ以上研究しなかった。さらに、これらのデータは、1U6A重鎖中の1つまたは複数の置換が、増強された結合活性を有するヒト化SC104を生成するために重要であることを実証している。
【0064】
1U6Aヒト化SC104の重鎖中の置換を、カバット移植1QLR重鎖配列(配列番号10)のI48M、V67I、T68S、およびV71R位に導入して、配列番号17を得た。同様に、1QLRヒト化SC104軽鎖のI2NおよびT69Nで置換を行って、配列番号18を得た。AbM式定義のCDR-H1(配列番号12)を含有する抗体の活性は、非置換軽鎖(配列番号8)または置換含有軽鎖(配列番号18)のいずれかと共に発現された場合、著しくは影響を受けなかった。前述の置換を含有するカバット式定義のCDR-H1(配列番号17)を有する1QLR-SC104を、非置換1QLRパートナー、配列番号8と共に発現することにより、低結合活性を有するヒト化変異体がもたらされた。完全置換軽鎖配列番号18と共に配列番号17を同時発現させて産生した抗体では結合活性が無視できる程度であることが観察され、軽鎖における置換は1QLRヒト化SC104の結合活性に有害であることが示唆される。以前の記述に加えて、これら抗体変異体の結合データは、Table 2(表2)に要約されている。
【0065】
VHフレームワークにおけるR71の存在は、高度に活性なヒト化SC104の産出に重要である
個々の1U6A重鎖可変領域フレームワーク置換、Q46E、I48M、V67I、T68S、V71R、およびE72Dを、Q1Eと共に配列番号11の中にフォーマット化して、配列番号19〜24を得た。その結果生じた重鎖を、軽鎖配列番号7と同時発現させ、その結果生じたヒト化SC104変異体をフローサイトメトリーに基づく結合アッセイで比較した。Q46E、I48M、V67I、T68S、およびE72Dを有するヒト化SC104抗体変異体は、互いに同じような結合活性を示したが、キメラSC104抗体と比較すると、著しくより低い活性を示した(図5)。対照的に、V71R置換を保持するヒト化SC104抗体変異体(配列番号23によりコードされる)は、キメラSC104抗体と類似した結合活性の増強を示した。これらのデータは、AbM式定義のCDR-H1に加えて、R71が、SC104の高度に強力なヒト化型にとって重要であることを示す。R71含有重鎖を再フォーマット化して置換E1Qを組み込むと、配列番号25は、軽鎖配列番号7と同時発現させた際に、その結果生じた抗体の高レベルの結合活性を変更しなかった(非表示)。
【0066】
R71は、AbM式定義のCDR-H1およびカバット式定義のCDR-H1を両方とも含むSC104ヒト化変異体の結合活性を増強する
ヒト受容体1U6Aを使用してヒト化SC104の強力な結合活性に重要であることが特定された置換V71Rを、それぞれ配列番号26および27に詳述されているAbM式定義のCDR-H1またはカバット式定義のCDR-H1のいずれかを含有する、1QLRに基づくSC104変異体に導入した。比較のために、また、カバット式定義のCDR-H1を含む1U6Aに基づくSC104変異体配列番号10にV71Rを導入して、配列番号28を形成した。1QLRに基づく軽鎖および重鎖の組み合わせである配列番号8および配列番号26または配列番号27をCHO細胞で同時発現させた。1U6Aに基づく軽鎖および重鎖の組み合わせである配列番号7および配列番号28も、CHO細胞で同時発現させた。その結果生じた抗体を、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーで精製し、フローサイトメトリーにより、抗原陽性細胞系C170に対する生菌細胞結合活性を試験した。置換V71Rは、フローサイトメトリーにより測定したところ、AbM式定義のCDR-H1を含有する1QLRに基づくSC104の、抗原陽性細胞系C170に対する生菌細胞結合活性を著しく増強させ、対応するカバット式定義の移植抗体の活性を、より少ない程度に増強させる(図6A)。それと比較して、置換V71Rは、フローサイトメトリーにより測定したところ、カバット式定義のCDR-H1の1U6Aに基づくSC104変異体およびAbM式定義のCDR-H1の1U6Aに基づくSC104変異体の両方の、抗原陽性細胞系C170に対する生菌細胞結合活性の増強を著しく増強する(図6B)。
【0067】
CDR-H1のAbM式定義およびカバット式定義が異なっている領域における、ヒト化SC104変異体の結合活性を増強するアミノ酸置換の特定
AbM式定義の重鎖CDR1は、そのカバット移植対応物と比較して、CDRのアミノ末端に追加的な5つの供与体アミノ酸残基を含んでいる(Table 1(表1))。AbM式定義のCDR-H1を含有するSC104変異体の一貫した効力増強は、それらのカバット移植対応物と比べて、驚くべきほどである。Table 3(表3)では、供与体(AbM CDR-H1移植体に含まれる)、1U6A、および1QLR受容体配列に由来するこれら5つのアミノ酸が比較されている。供与体および1U6A配列を比較すると、T30Sは保存的な変化であるため、非保存的な差異であるG27Yが、キメラと比較して、AbM式定義のCDR-H1を含有するヒト化変異体の効力増強の要因である可能性が最も高いと思われる。この置換(G27Y)を、カバット移植1QLR-SC104変異体配列番号27(+R)に組み込んで、配列番号29(+R+Y)を得た。この重鎖を、1QLRに基づく軽鎖配列番号8と共にCHO細胞で同時発現させ、その結果生じた抗体を、以前に記述したように精製した。比較のために、R71を有してないカバット式定義のCDR-H1が組み込まれている1QLRヒト化抗体(配列番号10)、およびR71を有するAbM式定義のCDR-H1が組み込まれている第2の変異体(配列番号26)を、フローサイトメトリーによる抗原陽性細胞系C170に対する生菌細胞結合活性の比較に含めた(図7)。意外にも、軽鎖および重鎖の組み合わせである配列番号8および配列番号29により産生された、その結果生じたヒト化抗体変異体は、結合活性を示さなかった。
【実施例3】
【0068】
より低い免疫原性が予測されるSC104変異体
予測されるT細胞エピトープについて、マウスSC104可変領域アミノ酸配列をin silicoでスクリーニングした(Epibase(登録商標)、Algonomics、ベルギー)。2つの予測される主要な組織適合複合体クラスII(MHCクラスII)結合ペプチドを特定した。これらは、重鎖のフレームワーク(FR)2:CDR-H2およびCDR-H2:FR3境界に位置する。それらの除去の予測が、抗体結合効力を変更する場合があるCDRアミノ酸残基の置換を伴っていたため、これらは特に興味深かった。
【0069】
重鎖VH領域は、MHCクラスII結合ペプチド除去を予測した
予測によると、マウスVH領域におけるFR2:CDR-H2 MHCクラスII結合ペプチドの強度は、CDR-H2配列HIHFSGRPTYNPSLSSの4位のフェニルアラニン残基をトリプトファン(配列番号30)、またはチロシン(配列番号31)、または優先的にプロリン(配列番号32)に置換すると低減されるだろうということが示唆された。これら重鎖を、軽鎖配列番号4と共にCHO細胞で同時発現させ、その結果生じた抗体を、以前に記述したようにプロテインAクロマトグラフィーで精製した。驚くべきことに、フローサイトメトリーに基づく結合活性をキメラSC104と比較することにより、置換F53WおよびF53Yは、キメラSC104で観察された強力な結合活性に対して無視できる程度の影響しか与えないが、置換F53Pは、その結果生じた抗体の結合効力を劇的に低減させたことが明らかなった(図8)。
【0070】
さらなるin silico免疫原性予測(ソフトウェアProPred、Singh,H.およびRaghava,G.P.S.(2001年) ProPred: Prediction of HLA-DR binding sites.、Bioinformatics、17巻(12号)、1236〜37頁。http://www.imtech.res.in/raghava/properd/)および/またはSYFPETHI (Rammensee、Bachmannら、1999);http://www.syfpeithi.de/Scripts/MHCServer.dll/EpitopePrediction.htm)は、この予測されたMHCクラスII結合ペプチドの強度が、SC104 CDR-H2をヒト受容体骨格1U6Aまたは1QLRに移植すると減少されることを示唆した。
【0071】
CDR-H2:FR3境界における第2の予測MHCクラスII結合ペプチドの存在は、マウスおよびヒト化SC104抗体配列の両方に存在することが予測された。
【0072】
より低い免疫原性が予測されるSC104変異体
1U6Aに基づくSC104および1QLRに基づくSC104の受容体フレームワークに基づいて、潜在的な主要組織適合複合体クラスII結合配列が除去された新規ヒト化変異体を生成した。手短に言えば、ヒト化軽鎖可変領域は、許容的(つまり、生殖細胞系)MHCクラスII結合配列を有することが予測されたに過ぎないが、1QLRおよび1U6Aの重鎖可変領域は、それぞれ1つおよび2つの強結合性主要組織適合複合体クラスII結合配列を有することが予測された。さらなる弱結合性推定MHCクラスII結合配列も、カバット法により定義されたCDR-H1の直前に予測された。それら予測MHCクラスII結合エピトープを除去することを目的とした置換戦略を開発した。配列番号33〜配列番号38に列挙されているような、免疫原性がより低いと予測される一群の1QLRに基づくSC104重鎖可変領域変異体を構築した。配列番号39〜配列番号50に詳述されているような、免疫原性がより低いと予測される一群の1U6Aに基づくSC104重鎖可変領域変異体も構築した。1QLRに基づく軽鎖配列番号8を、変異体配列番号33〜配列番号38のうちの各々1つと共にCHO細胞で同時発現させることを実施し、その結果生じた抗体を、以前に詳述したように精製した。同様に、1U6Aに基づく軽鎖配列番号7を、変異体配列番号39〜配列番号50のうちの各々1つと共にCHO細胞で同時発現させることを実施し、その結果生じた抗体を、以前に詳述したように精製した。
【0073】
免疫原性がより低いと予測されるヒト化SC104抗体変異体は、生菌細胞フローサイトメトリーアッセイで、SC104抗原(C170、Colo205)を発現するヒト結腸癌細胞に対する結合活性をキメラSC104と比較した。キメラ抗体の活性に匹敵する結合活性が、各々の場合で観察された。また、免疫原性がより低いと予測されるSC104変異体が、抗原陰性ヒト結腸癌細胞HCT116と結合しなかったため、SC104抗体結合は、細胞タイプ特異的だった。免疫原性がより低いと予測されるSC104変異体の強力で特異的な結合の例は、図9に示されている。
【0074】
免疫原性がより低いと予測されるSC104変異体に、最適な結合活性を付与する、重鎖可変領域における重要残基の特定
カバット式定義のCDR-H1の直前にあるフレームワーク領域のアミノ酸26〜30位にまたがる配列GY27SI29Sは、受容体フレームワーク1U6Aまたは1QLRに組み込まれた場合、免疫原性がより低いと予測されるSC104変異体に高い結合活性を付与した(図9)。対照的に、配列GY27SF29Sは、1QLR受容体フレームワークに基づく構築体に組み込まれた場合、驚くべきほどに不良な結合活性をもたらし、Y27が、高い結合活性の付与に関与する唯一の残基ではないことを示した(図7)。その後、結合活性に対する29位における様々なアミノ酸残基の影響を、1U6Aヒト化重鎖配列番号50のこの位置に存在するアミノ酸残基を変えることにより研究した。重鎖変異体を、軽鎖配列番号7と共にCHO細胞で同時発現させ、以前に記述したようにプロテインAアフィニティークロマトグラフィーで精製し、フローサイトメトリーで試験した。例示的な結合データは図10に示されており、Table 4(表4)では、試験したすべての置換の結合活性が要約されている。驚くべきことに、29位の残基I(配列番号50)、L(配列番号62)、またはV(配列番号70)のみが、免疫原性が低いと予測されるヒト化SC104抗体変異体に、最適な結合活性を付与したが、I29F(配列番号58)を含む大多数の置換は、SC104抗原陽性ヒト癌細胞C170に対する不良な結合活性をもたらした。
【0075】
最適で高い結合活性を有するヒト化変異体の産出における、可変重鎖のフレームワーク3のR71の重要性は、以前に実証された(図6)。免疫原性がより低いと予測される1U6Aに基づくSC104変異体の結合活性をさらに向上させるために、71位の残基を置換して、一群の重鎖変異体を生成した。その後これら変異体を、軽鎖配列番号7と共にCHO細胞で同時発現させ、以前に記述したように、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーで精製し、フローサイトメトリーで試験した。例示的な結合データは、図11に示されている。Table 5(表5)では、試験したすべての置換の結合活性が要約されている。意外にも、位置71の正荷電残基RおよびK(それぞれ配列番号50および81)のみが、ヒト化SC104抗体変異体に、SC104抗原陽性ヒト結腸癌細胞系C170に対する最も高い結合活性を付与した。
【0076】
CDR-H2におけるN-X-Sモチーフの修飾
N結合型グリコシル化は、タンパク質産物異質性に関連があり、潜在的に免疫原性に影響を及ぼすことが知られている。潜在的なN結合型グリコシル化部位に関するマウス可変領域の分析を実施した(例えば、(Ye、2007年)またはR. Gupta、E. Jung、およびS. Brunakによるhttp//www.cbs.dtu.dk/services/NetNGlyc/のソフトウェア予測アルゴリズムNetNGlyを参照)。この分析により、CDR-H2配列内にN-X-Sモチーフ、NPSが特定された。典型的には、N-X-Sモチーフは、推定N結合型グリコシル化部位を示すが、この規則の例外は、この場合のようにXがプロリン残基である場合である(例えば、(Gavelおよびvon Heijne、1990年)を参照)。それでもなお分析を実施して、CDR-H2におけるこのN残基が、結合活性の保持に関して変化に許容的だったかどうかを確かめた。キメラSC104配列におけるNPS配列を、DPSに変更して配列番号51を得た。軽鎖配列番号4と重鎖配列番号51とのCHO細胞における同時発現、およびその結果生じた産物のその後の精製(以前に記述したような)を実施した。その結果生じた抗体を、SC104抗原陽性細胞系C170に対するフローサイトメトリーに基づく結合アッセイで比較した。N->D置換によるCDR-H2内のN-X-Sモチーフの除去は、キメラSC104と比較すると、その結果生じた抗体の結合効力に無視できる程度の影響しか及ぼさなかった。
【実施例4】
【0077】
フローサイトメトリーに基づく直接的殺傷アッセイ
成育可能な腫瘍細胞(2×105、トリパンブルー排除法で判断した)を、実施例1に記述されているようなキメラSC104、ヒト化SC104抗体変異体、またはヒトIgG1アイソタイプ(Sigma-Aldrich(登録商標)社製)で分析した。配列番号8/配列番号26および配列番号8/配列番号38の1QLRに基づく変異体組み合わせに加えて、軽鎖および重鎖の組み合わせである配列番号7/配列番号25および配列番号7/配列番号50で構成される1U6Aに基づくヒト化SC104抗体変異体を、さらなる研究のために選択した。
【0078】
免疫原性がより低いと予測される新規ヒト化SC104抗体変異体は、ヒト結腸腫瘍細胞に対する強力な直接的殺傷活性を有する
免疫原性がより低いと予測されるヒト化SC104抗体変異体は、免疫エフェクター細胞を必要とせずにヒト結腸癌細胞の強力な直接的殺傷活性を示した。図12は、C170腫瘍細胞を使用した、これらヒト化SC104抗体変異体、キメラSC104抗体、およびヒトアイソタイプ対照による直接的殺傷の例を示している。Colo205腫瘍標的細胞を使用して試験した場合、同様の結果が得られた(データ非表示)。驚くべきことに、1U6A由来SC104抗体変異体(配列番号7/配列番号25および配列番号7/配列番号50)は、1QLRフレームワーク由来SC104抗体変異体(配列番号8/配列番号28および配列番号8/配列番号38)と比較して、より強力な直接的殺傷活性を示した。直接的殺傷活性のこの差異は、これらSC104抗体変異体の結合活性が同様であったことを考慮すると、意外であった(図9)。
【実施例5】
【0079】
抗体依存性細胞媒介性細胞障害(ADCC)アッセイ
エフェクター(末梢血単核)細胞を、製造業者のプロトコール(Axis-Shield PoC AS社製)に従ってLymphoprep(商標)を使用し、正常ヒト供与者(オーストラリア赤十字血液サービスにより提供された)の軟膜調製物から精製した。成育可能なエフェクター細胞(5×106/ml)を、10%のFCS を加えたRPMI1640(Gibco(登録商標)社製)中で、37℃および10%のCO2で一晩インキュベートした。腫瘍標的細胞およびエフェクター細胞をPBSで洗浄し、その後培地(0.5%のFCSを加えたフェノールレッドを有していないRPMI1640、Gibco(登録商標)社製)で洗浄し、培地に再懸濁し、種々の濃度の抗体(キメラSC104、ヒト化SC104、またはヒトIgG1アイソタイプ、Sigma-Aldrich(登録商標)社製、#15154)と共に、三重反復で、96穴U型ウェルプレート(Corning(登録商標)社製)の以下の終濃度の標的細胞、1×105細胞/ml;エフェクター細胞、2×106細胞/ml;10〜0.001μg/mlの抗体で構成される200μlのアッセイ中でインキュベートした。対照の場合、標的細胞のみを、1%のTriton(登録商標)-X(Sigma-Aldrich(登録商標)社製)の非存在下(最小標的)または存在下(最大標的)でインキュベートし、標的細胞およびエフェクター細胞(バックグラウンド)を、抗体の非存在下でインキュベートした。プレートを2分間160×gで遠心分離し、37℃の加湿CO2雰囲気で4時間インキュベートした。細胞死は、乳酸脱水素酵素放出アッセイを使用して測定した。手短に言えば、プレートを5分間250×gで遠心し、製造業者のガイドラインに従って細胞障害検出キット(Roche社製)を使用して、乳酸脱水素酵素放出について、100μlの細胞上清をアッセイした。細胞の持ち越し汚染を最小限に抑えるために、上清を、96穴0.2ミクロンAcroPrep(商標)プレート(Pall社製)でろ過した。LDH放出は、492nmの吸光度を測定することにより定量化し、細胞傷害のパーセントは、以下の式:100×[試料-平均(バックグラウンド)]/平均(最大標的-最小標的)を使用して計算し、EC50値は、GraphPad Prism(登録商標)ソフトウェアにより、非線形回帰分析を使用して計算した。
【0080】
補体依存性細胞傷害(CDC)アッセイ
成育可能な腫瘍標的細胞を、培地(5%のFCSを加えたフェノールレッドを有していないRPMI1640、Gibco(登録商標)社製)中、ヒト補体血清(Sigma-Aldrich(登録商標)社製、#S1764)および種々の濃度の抗体(キメラSC104、ヒト化SC104、またはヒトIgG1アイソタイプ、Sigma-Aldrich(登録商標)社製、#15154)と共に、三重反復で、96穴平底ウェルプレート(Corning(登録商標)社製)の、以下の終濃度:標的細胞(13.3×104細胞/ml);補体、15%;抗体範囲10〜0.01μg/mlで構成される150μlのアッセイ中でインキュベートした。対照の場合、標的細胞のみを、補体の非存在下(標的バックグラウンド)または存在下(標的および補体バックグラウンド)でインキュベートし、補体(補体バックグラウンド)を媒質のみの中でインキュベートした。プレートを160×gで2分間遠心分離し、37℃の加湿CO2雰囲気で2〜3時間インキュベートした。細胞死は、3〜4時間の追加的インキュベーションを含む製造業者のガイドラインに従ってCellTiter 96(登録商標)キット(Promega(登録商標)社製)を使用して測定した。標的細胞の死滅は、492nmの吸光度を測定することにより定量化し、細胞傷害のパーセントは、以下の式:100×[試料-平均(標的および補体バックグラウンド)]/[平均(標的バックグラウンド)-平均(標的および補体バックグラウンド)]を使用して計算し、EC50値は、GraphPad Prism(登録商標)ソフトウェアにより、非線形回帰分析を使用して計算した。
【0081】
免疫原性がより低いと予測される新規ヒト化SC104抗体変異体は、ヒト結腸腫瘍細胞に対する強力な細胞傷害性を示す
免疫原性がより低いと予測されるヒト化SC104変異体の結腸腫瘍細胞に対する細胞傷害性を、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害アッセイおよび補体依存性細胞傷害アッセイで試験した。ヒト化SC104抗体変異体およびキメラSC104抗体は、正常ヒト供与者の末梢血単核細胞を使用して、C170腫瘍細胞に対する強力な抗体依存性細胞媒介性細胞傷害活性を示したが、ヒトアイソタイプ対照は示さなかった(図13)。他のヒト供与者に由来する末梢血単核細胞を使用して、同様の結果が得られた(データ非表示)。図14は、同じ群のヒト化SC104抗体変異体およびキメラSC104抗体は、ヒト補体を使用して、Colo205腫瘍細胞に対する強力な補体依存性細胞傷害活性を示したが、ヒトアイソタイプ対照は示さなかった。加えて、免疫原性がより低いと予測される他のすべてのヒト化SC104抗体変異体は、Colo205腫瘍細胞に対する強力な抗体依存性細胞媒介性細胞傷害活性および補体依存性細胞傷害活性を示した(データ非表示)。様々な直接的細胞殺傷データと一致して、1U6A由来SC104抗体変異体は、1QLR由来SC104抗体変異体と比較して、より高い抗体依存性細胞媒介性細胞傷害活性および補体依存性細胞傷害活性を示した。様々なSC104抗体変異体の結合活性が同様であったことを考慮すると、免疫媒介性細胞傷害活性にこのような序列があることは意外だった(Table 6(表6))。
【実施例6】
【0082】
免疫組織化学検査プロトコール
10〜12人の異なる供与者に由来する各腫瘍タイプの試料を含有する多腫瘍ヒト組織マイクロアレイを、免疫組織化学法を使用して、ビオチン化ヒト化SC104抗体変異体に対する結合についてスクリーニングした。ビオチン化ヒトIgG1アイソタイプを、陰性対照染色に使用した。組織マイクロアレイ切片を、温度、圧力、およびpHの調節を含む、一連の異なる抗原検索戦略に供した。加えて、一次抗体の連続希釈を実施して、可能な限り最良の信号雑音比を得た。抗体による免疫反応性は、陽性細胞の染色強度およびパーセントに基づき、4段階の尺度での目視検査により類別した。
【0083】
ヒト化SC104抗体変異体は、種々のヒト癌タイプに結合する
異なるヒト患者に由来する多数の異なる癌タイプを、免疫原性がより低いと予測されるヒト化SC104抗体(配列番号7/配列番号50)との結合について分析した。ヒト化SC104抗体は、ヒト結腸癌組織に結合したが、ヒトアイソタイプ対照は、結合せず、使用された結合条件の特異性を実証した(データ非表示)。Table 7(表7)には、陽性膜染色が結腸癌に見出された(75%)ことが要約されている。驚くべきことに、陽性染色は、膵臓癌(70%)、ならびにより低い程度ではあるが、卵巣癌(25%)および肺癌(16.7%)に見出された。対照的に、分析された限定的な試料数では、染色は腎臓癌には観察されなかった。これらの結果は、免疫原性が低いと予測されるヒト化SC104抗体が、結腸直腸、膵臓、卵巣、および肺悪性疾患の兆候における腫瘍診断に有用であることを示す。加えて、免疫原性が低いと予測されるヒト化SC104抗体は、ヒトの結腸直腸癌、膵臓癌、卵巣癌、および肺癌の予防的治療に有用であることを企図することができる。in vivoでのそのような抗腫瘍効力は、マウス腫瘍異種移植モデルで評価することができる。
【実施例7】
【0084】
SC104抗体のエフェクター機能増強
抗体のエフェクター機能は、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害または補体依存性細胞傷害を増加させることにより、または抗体依存性細胞媒介性細胞傷害および補体依存性細胞傷害の組み合わせにより増強することができる。
【0085】
ADCC増強
抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)活性を増強するために、抗体のFc領域に対する標準的修飾を使用して、SC104抗体変異体およびキメラSC104を操作した。標準的方法には、例えば、抗体のFc領域のタンパク質工学または糖鎖工学が含まれる。
【0086】
タンパク質工学の例としては、Lazarら、2006年(Lazar、Dangら、2006年)により記述されているように、定常重鎖配列における突然変異を生成した。具体的には、S122D、S181A、I215E突然変異を、Fc配列配列番号52に導入して、配列番号53を形成した。多数のヒト化抗体を、実施例2に記述されているように、CHO細胞で発現させ、プロテインAクロマトグラフィーにより精製した後で、増強されたFc領域配列番号52を有するキメラ抗体と共に、ADCCアッセイで試験した。ADCC機能を、実施例5に記述されているように測定した。
【0087】
糖鎖工学の例としては、ヒト化SC104抗体変異体またはキメラSC104抗体を産生するCHO細胞を、Zhouら(Zhou、Shankaraら、2008年)に従ってキフネンシン(0.25μg/ml)と共に8〜10日間インキュベートした。
その後、実施例2に記述されているように、抗体を精製し、実施例5に記述されているように、ADCC機能を測定した。
【0088】
糖鎖工学の別の例では、Shinkawa T.ら、2003年(J Biol Chem 278巻:3466〜73頁)に記述されているようなPotelligent(登録商標)法を使用した。ヒト化抗体変異体の可変軽鎖および重鎖領域を、標準的定常領域骨格のIgG1として発現させた。定常重鎖の配列は、GenBank P01857.1であり、定常軽鎖の配列は、NCBI受入番号P01834だった。ADCC機能を、実施例5に記述されているように測定した。
【0089】
エフェクター増強SC104抗体変異体およびキメラSC104抗体は、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害を増加させた
一連の実験では、タンパク質工学または糖鎖工学を応用して、キメラSC104抗体および免疫原性が低いと予測されるSC104抗体変異体の抗体依存性細胞媒介性細胞傷害を増加させた。未修飾抗体と比較して、Fc操作(配列番号53)またはキフネンシン処理SC104ヒト化抗体変異体、およびキメラSC104抗体は、Colo205腫瘍細胞に対する抗体依存性細胞媒介性細胞傷害の増加を示した。図15は、免疫原性がより低いと予測されるキフネンシン処理ヒト化SC104抗体(配列番号7/配列番号50)による、ヒト結腸癌細胞WiDr(ATCC受入番号CCL-218)の殺傷の著しい増加の例を示している。図16は、免疫原性がより低いと予測されるPotelligent(登録商標)処理ヒト化SC104抗体(配列番号7/配列番号94、定常重鎖の配列および定常軽鎖の配列は、それぞれGenBank P01857.1およびNCBI受入番号P01834だった)による、ヒト結腸癌細胞Colo201(ATCC受入番号CCL-224)の殺傷の著しい増加の例を示している。
【実施例8】
【0090】
予防的マウス異種移植HT29腫瘍モデル
メスBALB/cヌードマウスを、2×106ヒト結腸癌HT29細胞(ATCC受入番号HTB-38)で皮下接種した。腫瘍細胞接種と同じ日(0日目)に、マウスを、体重に基づいて2つの治療群(1群当たりn=10)に無作為化した。各群を、ビヒクル対照(PBS、10ml/kg)またはヒト化SC104抗体(10mg/kg)のいずれかで腹腔内処置した。ビヒクル対照およびヒト化SC104抗体を、週2回で4週間投与した。腫瘍容積は、以下の式:容積(mm3)=長さ×直径2×π/6を使用して、週3回計算した。
【0091】
研究の経過中に、過剰な体重減少のために幾匹かのマウスを選別しなければならず、その結果マウス数は、ビヒクル対照治療群(n=6)および抗体治療群(n=9)に低減された。研究の終了時(27日目)に、死後にすべてのマウスから腫瘍を切除し、皮膚をきれいにし、計量した。
【0092】
治療的マウス異種移植Colo201腫瘍モデル
メス胸腺欠損マウスを、5×106ヒト結腸癌Colo201(ATCC受入番号CCL-224)で皮下接種した。腫瘍容積が約110mm3に達した後(0日目)、マウスを2つの治療群(1群当たりn=10)に無作為化した。各群を、ビヒクル対照(PBS、10ml/kg)またはヒト化Potelligent(登録商標)操作(実施例7に記述されているような)SC104抗体(10mg/kg)のいずれかで腹腔内処置した。ビヒクル対照およびヒト化Potelligent(登録商標)操作SC104抗体を、週2回38日間にわたって投与した。腫瘍容積は、以下の式を使用して、週2回計算した:容積(mm3)=1/2(a2×b)、式中、「a」は最小直径であり、「b」は最大直径である。
【0093】
免疫原性がより低いと予測されるヒト化SC104抗体のin vivoでの強力な抗腫瘍効力
免疫原性がより低いと予測されるヒト化SC104抗体(配列番号7/配列番号50)を用いた腫瘍保持マウスの治療は、予防的HT29腫瘍モデルでのビヒクル対照治療と比較して、腫瘍容積および腫瘍重量の著しい低減をもたらした(図17)。さらに、治療的Colo201治療モデルでは、免疫原性がより低いと予測されるヒト化Potelligent(登録商標)操作SC104抗体(配列番号7/配列番号94)は、著しい抗腫瘍活性を示した(図18)。
【0094】
免疫原性が低いと予測されるヒト化SC104抗体変異体は、単独治療として、または他の治療用抗腫瘍作用剤、例えば化学療法、低分子、生物剤と組み合わせて、ヒトの結腸直腸癌の治療に有用であることを企図することができる。
【0095】
【表1】
【0096】
【表2】
【0097】
【表3】
【0098】
【表4】
【0099】
【表5】
【0100】
【表6】
【0101】
【表7】
【0102】
(参考文献)
【0103】
配列番号1:マウスSC104重鎖可変領域のアミノ酸配列。
配列番号2:マウス可変領域およびヒトIgG1骨格(ヒトIgG1重鎖CH1、ヒンジ、CH2、CH3ドメイン)を有するキメラSC104重鎖のアミノ酸配列。
配列番号3:マウスSC104軽鎖可変領域のアミノ酸配列。
配列番号4:マウス可変領域およびヒト軽鎖定常領域を有するキメラSC104軽鎖のアミノ酸配列。
配列番号5:重鎖シグナル配列。
配列番号6:軽鎖シグナル配列。
配列番号7:置換A15Pが組み込まれている1U6Aに基づくSC104軽鎖ポリペプチド配列。
配列番号8:1QLRに基づくSC104軽鎖。
配列番号9:カバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号10:カバット移植1QLRに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号11:1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列のAbM移植CDR-H1、カバット式定義のCDR-H2、およびCDR-H3。
配列番号12:1QLRに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列のAbM移植CDR-H1、カバット式定義のCDR-H2、およびCDR-H3。
配列番号13:6つの置換が組み込まれている1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列のAbM移植CDR-H1、カバット式定義のCDR-H2、およびCDR-H3。
配列番号14:8つの置換が組み込まれている1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列のAbM移植CDR-H1、カバット式定義のCDR-H2、およびCDR-H3。
配列番号15:6つの置換が組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号16:3つの置換が組み込まれている1U6Aに基づくSC104軽鎖ポリペプチド配列。
配列番号17:4つの置換が組み込まれているカバット移植1QLRに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号18:2つの置換が組み込まれている1QLRに基づくSC104軽鎖ポリペプチド配列。
配列番号19:置換Q1EおよびQ46Eが組み込まれている1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列のAbM移植CDR-H1、カバット式定義のCDR-H2、およびCDR-H3。
配列番号20:置換Q1EおよびI48Mが組み込まれている1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列のAbM移植CDR-H1、カバット式定義のCDR-H2、およびCDR-H3。
配列番号21:置換Q1EおよびV67Iが組み込まれている1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列のAbM移植CDR-H1、カバット式定義のCDR-H2、およびCDR-H3。
配列番号22:置換Q1EおよびT68Sが組み込まれている1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列のAbM移植CDR-H1、カバット式定義のCDR-H2、およびCDR-H3。
配列番号23:置換Q1EおよびV71Rが組み込まれている1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列のAbM移植CDR-H1、カバット式定義のCDR-H2、およびCDR-H3。
配列番号24:置換Q1EおよびE72Dが組み込まれている1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列のAbM移植CDR-H1、カバット式定義のCDR-H2、およびCDR-H3。
配列番号25:置換V71Rが組み込まれている1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列のAbM移植CDR-H1、カバット式定義のCDR-H2、およびCDR-H3。
配列番号26:置換V71Rが組み込まれている1QLRに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列のAbM移植CDR-H1、カバット式定義のCDR-H2、およびCDR-H3。
配列番号27:置換V71Rが組み込まれているカバット移植1QLRに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号28:置換V71Rが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号29:置換G27YおよびV71Rが組み込まれているカバット移植1QLRに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号30:CDR-H2置換F53Wが組み込まれているマウス可変領域およびヒトIgG1骨格(ヒトIgG1重鎖CH1、ヒンジ、CH2、CH3ドメイン)を有するキメラSC104重鎖のアミノ酸配列。
配列番号31:CDR-H2置換F53Yが組み込まれているマウス可変領域およびヒトIgG1骨格(ヒトIgG1重鎖CH1、ヒンジ、CH2、CH3ドメイン)を有するキメラSC104重鎖のアミノ酸配列。
配列番号32:CDR-H2置換F53Pが組み込まれているマウス可変領域およびヒトIgG1骨格(ヒトIgG1重鎖CH1、ヒンジ、CH2、CH3ドメイン)を有するキメラSC104重鎖のアミノ酸配列。
配列番号33:置換S64KおよびV71Rが組み込まれている1QLRに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列のAbM移植CDR-H1、カバット式定義のCDR-H2、およびCDR-H3。
配列番号34:置換S64LおよびV71Rが組み込まれている1QLRに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列のAbM移植CDR-H1、カバット式定義のCDR-H2、およびCDR-H3。
配列番号35:置換S64HおよびV71Rが組み込まれている1QLRに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列のAbM移植CDR-H1、カバット式定義のCDR-H2、およびCDR-H3。
配列番号36:置換S64FおよびV71Rが組み込まれている1QLRに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列のAbM移植CDR-H1、カバット式定義のCDR-H2、およびCDR-H3。
配列番号37:置換S64RおよびV71Rが組み込まれている1QLRに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列のAbM移植CDR-H1、カバット式定義のCDR-H2、およびCDR-H3。
配列番号38:置換G27Y、F29I、T30S、S64KおよびV71Rが組み込まれているカバット移植1QLRに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号39:置換S64KおよびV71Rが組み込まれている1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列のAbM移植CDR-H1、カバット式定義のCDR-H2、およびCDR-H3。
配列番号40:置換S64LおよびV71Rが組み込まれている1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列のAbM移植CDR-H1、カバット式定義のCDR-H2、およびCDR-H3。
配列番号41:置換S64HおよびV71Rが組み込まれている1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列のAbM移植CDR-H1、カバット式定義のCDR-H2、およびCDR-H3。
配列番号42:置換S64FおよびV71Rが組み込まれている1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列のAbM移植CDR-H1、カバット式定義のCDR-H2、およびCDR-H3。
配列番号43:置換S64RおよびV71Rが組み込まれている1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列のAbM移植CDR-H1、カバット式定義のCDR-H2、およびCDR-H3。
配列番号44:置換S40PおよびV71Rが組み込まれている1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列のAbM移植CDR-H1、カバット式定義のCDR-H2、およびCDR-H3。
配列番号45:置換S40P、S64KおよびV71Rが組み込まれている1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列のAbM移植CDR-H1、カバット式定義のCDR-H2、およびCDR-H3。
配列番号46:置換S40P、S64LおよびV71Rが組み込まれている1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列のAbM移植CDR-H1、カバット式定義のCDR-H2、およびCDR-H3。
配列番号47:置換S40P、S64HおよびV71Rが組み込まれている1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列のAbM移植CDR-H1、カバット式定義のCDR-H2、およびCDR-H3。
配列番号48:置換S40P、S64FおよびV71Rが組み込まれている1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列のAbM移植CDR-H1、カバット式定義のCDR-H2、およびCDR-H3。
配列番号49:置換S40P、S64RおよびV71Rが組み込まれている1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列のAbM移植CDR-H1、カバット式定義のCDR-H2、およびCDR-H3。
配列番号50:置換G27Y、T30S、S40P、S64KおよびV71Rが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号51:置換N60Dが組み込まれているマウス可変領域およびヒトIgG1骨格(ヒトIgG1重鎖CH1、ヒンジ、CH2、CH3ドメイン)を有するキメラSC104重鎖のアミノ酸配列。
配列番号52:ヒンジ、CH1、CH2、およびCH3ドメインが組み込まれている重鎖定常領域。
配列番号53:アミノ酸置換S122D、S181A、I215Eが組み込まれているヒンジ、CH1、CH2、およびCH3ドメインが組み込まれている重鎖定常領域。
配列番号54:置換G27Y、I29A、T30S、S40P、S64KおよびV71Rが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号55:置換G27Y、I29C、T30S、S40P、S64KおよびV71Rが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号56:置換G27Y、I29D、T30S、S40P、S64KおよびV71Rが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号57:置換G27Y、I29E、T30S、S40P、S64KおよびV71Rが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号58:置換G27Y、I29F、T30S、S40P、S64KおよびV71Rが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号59:置換G27Y、I29G、T30S、S40P、S64KおよびV71Rが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号60:置換G27Y、I29H、T30S、S40P、S64KおよびV71Rが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号61:置換G27Y、I29K、T30S、S40P、S64KおよびV71Rが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号62:置換G27Y、I29L、T30S、S40P、S64KおよびV71Rが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号63:置換G27Y、I29M、T30S、S40P、S64KおよびV71Rが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号64:置換G27Y、I29N、T30S、S40P、S64KおよびV71Rが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号65:置換G27Y、I29P、T30S、S40P、S64KおよびV71Rが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号66:置換G27Y、I29Q、T30S、S40P、S64KおよびV71Rが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号67:置換G27Y、I29R、T30S、S40P、S64KおよびV71Rが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号68:置換G27Y、I29S、T30S、S40P、S64KおよびV71Rが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号69:置換G27Y、I29T、T30S、S40P、S64KおよびV71Rが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号70:置換G27Y、I29V、T30S、S40P、S64KおよびV71Rが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号71:置換G27Y、I29W、T30S、S40P、S64KおよびV71Rが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号72:置換G27Y、I29Y、T30S、S40P、S64KおよびV71Rが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号73:置換G27Y、T30S、S40P、S64KおよびV71Aが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号74:置換G27Y、T30S、S40P、S64KおよびV71Cが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号75:置換G27Y、T30S、S40P、S64KおよびV71Dが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号76:置換G27Y、T30S、S40P、S64KおよびV71Eが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号77:置換G27Y、T30S、S40P、S64KおよびV71Fが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号78:置換G27Y、T30S、S40P、S64KおよびV71Gが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号79:置換G27Y、T30S、S40P、S64KおよびV71Hが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号80:置換G27Y、T30S、S40P、S64KおよびV71Iが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号81:置換G27Y、T30S、S40P、S64KおよびV71Kが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号82:置換G27Y、T30S、S40P、S64KおよびV71Lが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号83:置換G27Y、T30S、S40P、S64KおよびV71Mが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号84:置換G27Y、T30S、S40P、S64KおよびV71Nが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号85:置換G27Y、T30S、S40P、S64KおよびV71Pが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号86:置換G27Y、T30S、S40P、S64KおよびV71Qが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号87:置換G27Y、T30S、S40P、S64KおよびV71Sが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号88:置換G27Y、T30S、S40P、S64KおよびV71Tが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号89:置換G27Y、T30S、S40P、S64KおよびV71Vが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号90:置換G27Y、T30S、S40P、S64KおよびV71Wが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号91:置換G27Y、T30S、S40P、S64KおよびV71Yが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号92:ヒンジ、CH1、CH2、およびCH3ドメインが組み込まれている重鎖定常領域。
配列番号93: 軽鎖定常ドメイン
配列番号94:置換G27Y、T30S、S40P、S64KおよびV71Rが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
【技術分野】
【0001】
出願データ
本出願は、2009年3月16日に出願された豪州特許出願第2009901129号、および2009年3月16日に出願された米国特許出願第61/160682号、および2009年11月5日に出願された米国特許出願第61/258517号に関連していると共に、それらの優先権を請求するものであり、これら出願の各々の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、強力な抗腫瘍活性を有するヒト化抗体に関する。特に、本ヒト化抗体は、ヒト結腸腫瘍細胞と特異的に結合し、それらを直接殺傷し、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)アッセイおよび補体依存性細胞傷害(CDC)アッセイにおいて、ヒト結腸癌細胞に対する強力な免疫媒介性細胞傷害活性を示す。加えて、本発明は、治療および診断におけるこれらヒト化抗体の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
糖鎖構造は、腫瘍特異的抗原または腫瘍関連抗原である場合があり、したがって、多くの抗体生成免疫戦略の注目の的である。しかしながら、抗糖鎖特異的抗体の生成は、それらが特異性、親和性を欠如している場合があるか、またはIgMクラスのみであるため、難しい課題である(Christensenら、2009年)。さらに、癌細胞を死滅させる能力を有するヒト化抗糖鎖抗体の生成は、難しい課題であり、それは、そのような抗体に関する報告がわずかな数しかないことから分かる事実である。ヒト化に成功した抗糖脂質抗体の例が1つだけがある。その抗体は、ガングリオシドGM2を認識し、in vitroおよびin vivoでヒト腫瘍細胞を死滅させる(米国特許第6,423,511号明細書および米国特許第6,872,392号明細書)。ヒト化されていないが、ヒト投与用に操作された糖鎖結合抗体の例には、他に2つある。第一に、抗糖鎖抗体RAV-12は、in vitroおよびin vivoでヒト結腸癌細胞に対して効力を示すキメラマウスヒトIgG1である(Looら、2007年)。第二に、抗糖鎖抗体HMMC-1は、ヒト卵巣癌に対してin vitroで効力を示す。HMMC-Iは、染色体導入KMマウスによって生成された完全ヒト抗体である(Nozawaら、2004年)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6,423,511号明細書
【特許文献2】米国特許第6,872,392号明細書
【特許文献3】国際公開第2005/108430号パンフレット
【特許文献4】米国特許第6,180,370号明細書
【特許文献5】米国特許第5,225,539号明細書
【特許文献6】国際公開第2008/006554号パンフレット
【特許文献7】米国特許第6,277,375号明細書
【特許文献8】米国特許第6,821,505号明細書
【特許文献9】米国特許第7,083,784号明細書
【特許文献10】米国特許第7,217,797号明細書
【特許文献11】国際公開第2000/42072号パンフレット
【特許文献12】米国特許出願公開第20090142340号明細書
【特許文献13】米国特許出願公開第20090068175号明細書
【特許文献14】米国特許出願公開第20090092599号明細書
【特許文献15】米国特許第6,602,684号明細書
【特許文献16】米国特許第7,326,681号明細書
【特許文献17】米国特許第7,388,081号明細書
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Singh,H.およびRaghava,G.P.S.(2001年) ProPred: Prediction of HLA-DR binding sites.、Bioinformatics、17巻(12号)、1236〜37頁。
【非特許文献2】http://www.imtech.res.in/raghava/properd/
【非特許文献3】http://www.syfpeithi.de/Scripts/MHCServer.dll/EpitopePrediction.htm
【非特許文献4】http//www.cbs.dtu.dk/services/NetNGlyc/
【非特許文献5】Shinkawa T.ら、2003年(J Biol Chem 278巻:3466〜73頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
国際公開第2005/108430号パンフレットでは、SC104と呼ばれる抗癌マウスモノクローナル抗体が開示されている。この出願の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。SC104が結合する抗原の正確な性質は不明であるが、国際公開第2005/108430号パンフレットでは、抗原は、シアリルテトラオシル糖鎖であることが示唆されている。SC104は、免疫エフェクター細胞を必要とせずに細胞死を直接誘導することができることも開示されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様では、本発明は、VH抗体結合ドメインを提供し、この結合ドメインは、順に、第1のフレームワーク領域(FR1)、第1のCDR(CDR1)、第2のフレームワーク領域(FR2)、第2のCDR(CDR2)、第3のフレームワーク領域(FR3)、第3のCDR(CDR3)、および第4のフレームワーク領域(FR4)を含み、ここで
FR1の配列は、X1VQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVX2GYSX3X4(配列番号95)であり、ここで
X1は、QまたはEであり、
X2は、SまたはTであり、
X3は、I、L、またはVであり、
X4は、SまたはTであり、
またはそれに対して少なくとも90%もしくは少なくとも95%類似した、好ましくは少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一である配列であり、
CDR1の配列は、SGYSWH(配列番号96)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも80%同一である配列であり、
FR2の配列は、WIRQX5PGKGLX6WX7G(配列番号97)であり、ここで
X5は、SまたはPであり、
X6は、QまたはEであり、
X7は、MまたはIであり、
またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
CDR2の配列は、HIHX8SGRPTYX9PSLX10S(配列番号98)であり、ここで
X8は、F、Y、またはWであり、
X9は、NまたはDであり、
X10は、K、L、H、F、R、またはSであり、
またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
FR3の配列は、RX11X12ISX13X14TAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号99)であり、ここで
X11は、VまたはIであり
X12は、TまたはSであり、
X13は、RまたはKであり、
X14は、EまたはDであり、
またはそれに対して少なくとも90%もしくは少なくとも95%類似した、好ましくは少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一である配列であり、ただし6位の残基はRまたはKでなければならならず、
CDR3の配列は、KGKGSDDGLNY(配列番号100)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
FR4の配列は、WGQGTLVTVSS(配列番号101)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列である。
【0008】
第2の態様では、本発明は、VH抗体結合ドメインを提供し、この結合ドメインは、フレームワーク配列、ならびにこのフレームワーク配列内に配置されている第1、第2、および第3のCDRを含み、このフレームワーク領域の配列は、配列QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGYSX3SWIRQPPGKGLQWIGRVTISX13ETAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCARWGQGTLVTVSS(配列番号102)に対して、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%同一であり、
ここで、X3は、I、L、またはVであり、X13は、RまたはKであり、
CDR1の配列は、SGYSWH(配列番号96)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも80%同一である配列であり、
CDR2の配列は、HIHX8SGRPTYX9PSLX10S(配列番号98)であり、ここで
X8は、F、Y、またはWであり、
X9は、NまたはDであり、
X10は、K、L、H、F、R、またはSであり、
またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
CDR3の配列は、KGKGSDDGLNY(配列番号100)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列である。
【0009】
第3の態様では、本発明は、VL抗体結合ドメインを提供し、この結合ドメインは、順に、第1のフレームワーク領域(FR1)、第1のCDR(CDR1)、第2のフレームワーク領域(FR2)、第2のCDR(CDR2)、第3のフレームワーク領域(FR3)、第3のCDR(CDR3)、および第4のフレームワーク領域(FR4)を含み、ここで
FR1の配列は、EX15VLTQSPGTLSLSX16GERATLSC(配列番号187)であり、ここで
X15は、IまたはNであり、
X16は、AまたはPであり、
またはそれに対して少なくとも90%もしくは少なくとも95%類似した、好ましくは少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一である配列であり、
CDR1の配列は、SASSSLSYIH(配列番号188)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
FR2の配列は、WYQQKPGQAPRLLIY(配列番号189)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
CDR2の配列は、DTSNLAS(配列番号190)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも80%同一である配列であり、
FR3の配列は、GIPDRFSGSGSGX17DFTLTISRVEPEDFAVYYC(配列番号191)であり、ここで
X17は、TまたはNであり、
またはそれに対して少なくとも90%もしくは少なくとも95%類似した、好ましくは少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一である配列であり、
CDR3の配列は、FQGSEYPLT(配列番号192)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも80%同一である配列であり、
FR4の配列は、FGQGTKLEIKR(配列番号193)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列である。
【0010】
第4の態様では、本発明は、VL抗体結合ドメインを提供し、この結合ドメインは、フレームワーク配列、ならびにこのフレームワーク配列内に配置されている第1、第2、および第3のCDRを含み、このフレームワーク領域の配列は、配列EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCWYQQKPGQAPRLLIYGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRVEPEDFAVYYCFGQGTKLEIKR(配列番号194)に対して少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%同一であり、
CDR1の配列は、SASSSLSYIH(配列番号188)またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
CDR2の配列は、DTSNLAS(配列番号190)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも80%同一である配列であり、
CDR3の配列は、FQGSEYPLT(配列番号192)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも80%同一である配列である。
【0011】
第5の態様では、本発明は、VH抗体結合ドメインを提供し、この結合ドメインは、順に、第1のフレームワーク領域(FR1)、第1のCDR(CDR1)、第2のフレームワーク領域(FR2)、第2のCDR(CDR2)、第3のフレームワーク領域(FR3)、第3のCDR(CDR3)、および第4のフレームワーク領域(FR4)を含み、ここで
FR1の配列は、EVQLQQWGAGLLKPSETLSLTCAVYGYSX18X19(配列番号201)であり、ここで
X18は、I、L、またはVであり、
X19は、SまたはTであり、
またはそれに対して少なくとも90%もしくは少なくとも95%類似した、好ましくは少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一である配列であり、
CDR1の配列は、SGYSWH(配列番号96)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも80%同一である配列であり、
FR2の配列は、WIRQPPGKGLEWX20G(配列番号202)であり、ここで
X20は、MまたはIであり、
またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
CDR2の配列は、HIHX21SGRPTYX22PSLX23S(配列番号98)であり、ここで
X21は、F、Y、またはWであり、
X22は、NまたはDであり、
X23は、K、L、H、F、R、またはSであり、
またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
FR3の配列は、RX24X25ISX26DTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCAR(配列番号203)であり、ここで
X24は、VまたはIであり、
X25は、SまたはTであり、
X26は、RまたはKであり、
またはそれに対して少なくとも90%もしくは少なくとも95%類似した、好ましくは少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一である配列であり、ただし6位の残基はRまたはKでなければならならず、
CDR3の配列は、KGKGSDDGLNY(配列番号100)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
FR4の配列は、WGQGTLVTVSS(配列番号101)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列である。
【0012】
第6の態様では、本発明は、VH抗体結合ドメインを提供し、この結合ドメインは、フレームワーク配列、ならびにこのフレームワーク配列内に配置されている第1、第2、および第3のCDRを含み、このフレームワーク領域の配列は、配列EVQLQQWGAGLLKPSETLSLTCAVYGYSX18SWIRQPPGKGLEWIGRVTISX26DTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARWGQGTLVTVSS(配列番号204)に対して少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%同一であり、ここでX18は、I、L、またはVであり、X26は、RまたはKであり、
CDR1の配列は、SGYSWH(配列番号96)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも80%同一である配列であり、
CDR2の配列は、HIHX21SGRPTYX22PSLX23S(配列番号98)であり、ここで
X21は、F、Y、またはWであり、
X22は、NまたはDであり、
X23は、K、L、H、F、R、またはSであり、
またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
CDR3の配列は、KGKGSDDGLNY(配列番号10)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列である。
【0013】
第7の態様では、本発明は、VL抗体結合ドメインを提供し、この結合ドメインは、順に、第1のフレームワーク領域(FR1)、第1のCDR(CDR1)、第2のフレームワーク領域(FR2)、第2のCDR(CDR2)、第3のフレームワーク領域(FR3)、第3のCDR(CDR3)、および第4のフレームワーク領域(FR4)を含み、ここで
FR1の配列は、EX27VLTQSPATLSLSPGERATLSC(配列番号211)であり、ここでX27は、IまたはNであり、
またはそれに対して少なくとも90%もしくは少なくとも95%類似した、好ましくは少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一である配列であり、
CDR1の配列は、SASSSLSYIH(配列番号188)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
FR2の配列は、WYQQKPGQAPRLLIY(配列番号189)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
CDR2の配列は、DTSNLAS(配列番号190)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
FR3の配列は、GIPDRFSGSGSGX28DFTLTISRLEPEDFAVYYC(配列番号212)であり、ここで
X28は、TまたはNであり、
またはそれに対して少なくとも90%もしくは少なくとも95%類似した、好ましくは少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一である配列であり、
CDR3の配列は、FQGSEYPLT(配列番号192)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも80%同一である配列であり、
FR4の配列は、FGGGTKVEIKR(配列番号193)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列である。
【0014】
第8の態様では、本発明は、VL抗体結合ドメインを提供し、この結合ドメインは、フレームワーク配列、ならびにこのフレームワーク配列内に配置されている第1、第2、および第3のCDRを含み、このフレームワーク領域の配列は、配列EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCWYQQKPGQAPRLLIYGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCFGGGTKVEIKR(配列番号213)に対して少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%同一であり、
CDR1の配列は、SASSSLSYIH(配列番号188)またはそれに対して少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%同一である配列であり、
CDR2の配列は、DTSNLAS(配列番号190)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも80%同一である配列であり、
CDR3の配列は、FQGSEYPLT(配列番号192)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも80%同一である配列である。
【0015】
本発明の結合ドメインは、抗体の一部として提供されると、ヒト結腸癌細胞系Colo205に結合するだろう。承知の通り、抗体は、各々が可変領域および定常領域を含む2つの重鎖、および各々が可変領域および定常領域を含む2つの軽鎖で構成されることになる。特許請求される結合ドメインが、VH結合ドメインである場合、ヒト結腸癌細胞系Colo205に結合する抗体は、特許請求されるVH結合ドメインのうちの2つ、配列番号7の2つの軽鎖、および配列番号92または配列番号52の2つの重鎖定常ドメインで構成されることになる。同様に、特許請求される結合ドメインが、VL結合ドメインである場合、ヒト結腸癌細胞系Colo205に結合する抗体は、特許請求されるVL結合ドメインのうちの2つ、配列番号93のVL定常ドメインの2つ、および配列番号94または配列番号50の2つの重鎖で構成されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】フローサイトメトリーにより示された、マウスSC104(配列番号3/配列番号1に示されている可変領域)抗体およびキメラSC104(配列番号4/配列番号2)抗体およびヒトIgG1アイソタイプ対照の、SC104抗原陽性(C170、Colo205)ヒト結腸癌細胞系およびSC104抗原陰性(HCT-116)ヒト結腸癌細胞系に対する結合(左パネル)活性および直接的殺傷(右パネル)活性を示す図であり、配列番号は配列表を参照する。キメラSC104抗体およびマウスSC104抗体は、同じような、抗原陽性ヒト結腸癌細胞系に対する選択的結合活性および直接的殺傷活性を示す。両抗体は、抗原陰性ヒト結腸癌細胞系に結合せず、抗原陰性ヒト結腸癌細胞系を直接殺傷しない。各ポイントは、三重反復試料の平均±SDを表す。
【図2】カバット式定義のCDR-H1が組み込まれているヒト受容体フレームワーク1U6Aまたは1QLRを用いたSC104のヒト化(-□-)は、SC104抗原陽性ヒト結腸癌細胞系C170に結合しない非機能的抗体変異体をもたらす。ヒト受容体1U6A(配列番号7/配列番号9、パネルA)または1QLR(配列番号8/配列番号10、パネルB)のいずれかに移植された、カバット式定義のCDR-H1を使用したヒト化SC104変異体の結合活性を、抗原陽性細胞系C170を使用して、フローサイトメトリーにより評価した。キメラSC104抗体(配列番号4/配列番号2)は、比較としてヒトIgG1アイソタイプ陰性対照と共に示されている。各ポイントは、三重反復試料の平均±SDを表す。
【図3】AbM式定義のCDR-H1が組み込まれているヒト受容体フレームワーク1U6Aまたは1QLRを用いたSC104のヒト化(-▲-)は、SC104抗原陽性ヒト結腸癌細胞系C170に結合する抗体変異体を生成する。ヒト受容体1U6A(配列番号7/配列番号11、パネルA)または1QLR(配列番号8/配列番号12、パネルB)のいずれかに移植された、AbM式定義のCDR-H1を使用したヒト化SC104変異体の結合活性を、抗原陽性細胞系C170を使用して、フローサイトメトリーにより評価した。キメラSC104抗体(配列番号4/配列番号2)は、比較としてヒトIgG1アイソタイプ陰性対照と共に示されている。各ポイントは、三重反復試料の平均±SDを表す。
【図4】1U6Aヒト化SC104の結合活性の増強に向けた軽鎖および重鎖アミノ酸置換の分析を示す図である。各鎖における置換の影響は、フローサイトメトリーによる抗原陽性細胞系C170との結合活性アッセイにより分析した。キメラSC104抗体(配列番号4/配列番号2)は、比較としてヒトIgG1アイソタイプ陰性対照と共に示されている。各ポイントは、三重反復試料の平均±SDを表す。 A:カバットCDR-H1を含有する移植体;配列番号9は非置換VHであり、配列番号15は、VH置換Q1E、Q46E、I48M、V67I、T68S、V71R、およびE72Dを含有し、配列番号7は、単一置換A15Pが組み込まれているVLを指し、配列番号16は、三つの置換I2N、A15P、およびT69Nを含有するVLを指す。 B:AbM CDR-H1を含有する移植体;配列番号11は、非置換VHを指し、配列番号13は、VH置換Q1E、Q46E、I48M、V67I、T68S、V71R、およびE72Dを含有し、配列番号7は、単一置換A15Pが組み込まれているVLを指し、配列番号16は、三つの置換I2N、A15P、およびT69Nを含有するVLを指す。重鎖アミノ酸置換(-□-または-○-)は、抗原陽性細胞系C170に対する、1U6A-ヒト化SC104抗体変異体の結合活性を増強する。それに比べて、軽鎖アミノ酸置換は、ヒト化SC104の結合活性の増強にはそれほど重要ではないと考えられる。
【図5】AbM式定義のCDR-H1を含有する1U6A-ヒト化抗体に組み込まれた六つの個々のVH置換の分析を示す図である。置換の影響は、フローサイトメトリーによる抗原陽性細胞系C170との結合活性アッセイにより分析した。これらの変化は、Q46EまたはI48MまたはV67IまたはT68SまたはV71RまたはE72Dのいずれかであり、それぞれ配列番号19〜24により記述されている。置換R71(配列番号23)(-○-)が、ヒト化SC104の結合能の増強に最も有利だった。キメラSC104抗体(配列番号4/配列番号2)は、陰性対照としてのヒトIgG1アイソタイプと共に、比較として示されている。各ポイントは、三重反復試料の平均±SDを表す。
【図6】VH置換R71(-□-または-▲-)は、フローサイトメトリーにより決定したところ、抗原陽性細胞系C170に対する、AbM式定義のCDR-H1抗体変異体およびカバット式定義のCDR-H1抗体変異体の結合活性を両方とも増強する。キメラSC104抗体(配列番号4/配列番号2)は、比較として示されており、ヒトIgG1アイソタイプは、陰性対照として使用される。各ポイントは、三重反復試料の平均±SDを表す。 A:1QLRに基づくSC104変異体±V71R置換に;AbM式定義のCDR-H1移植体:配列番号12(-R)および配列番号:26(+R);カバット式定義のCDR-H1移植体:配列番号10(-R)および配列番号27(+R)。B:1U6Aに基づくSC104変異体±V71R置換。AbM式定義のCDR-H1移植体:配列番号11(-R)および配列番号25(+R);カバット式定義のCDR-H1移植体:配列番号9(-R)および配列番号28(+R)。
【図7】カバット式定義のCDR-H1を有する1QLR-ヒト化SC104変異体におけるVH置換G27Yの結合活性に対する影響を示す図である。この置換は、SC104抗原陽性細胞系C170に対するフローサイトメトリーに基づく結合アッセイにおいて研究した際に、1QLR-ヒト化SC104の結合活性を増強しない(AbM-CDR-H1含有VH配列番号26に対する配列番号27(+R)および配列番号29(+R+Y)(-□-または-▲-))。比較のために、R71を有していないカバット式定義のCDR-H1が組み込まれた1QLRヒト化変異体が、配列番号10に示されている。キメラSC104抗体(配列番号4/配列番号2)は、比較として示されており、ヒトIgG1アイソタイプは、陰性対照として使用される。各ポイントは、三重反復試料の平均±SDを表す。
【図8】キメラSC104のCDR-H2内のF53の置換により、フレームワーク2:CDR-H2境界から、予測される強力なMHCクラスII結合ペプチド配列を取り除いた際の結合活性に対する影響を実証する、フローサイトメトリー基づく結合アッセイを示す図である。F53を、W(配列番号30)またはY(配列番号31)(-□-または-○-)などの別の芳香族残基に取り換えることによる結合活性への影響は無視できるほどであるが、好ましい残基P(配列番号32)への置換は、SC104抗原陽性細胞系C170に対する結合活性を劇的に低減する。キメラSC104抗体(配列番号4/配列番号2)は、比較としてヒトIgG1アイソタイプ陰性対照と共に示されている。各ポイントは、三重反復試料の平均±SDを表す。
【図9】免疫原性がより低いと予測されるヒト化SC104変異体(1U6A VL/VH 配列番号7/配列番号50;1QLR VL/VH配列番号8/配列番号38)は、フローサイトメトリーにより決定したところ、抗原陽性(C170、Colo205)ヒト結腸癌細胞系または抗原陰性(HCT-116)ヒト結腸癌細胞系に対する特異性および結合活性の点で、より高い免疫原性が予測されるヒト化抗体変異体(1U6A VL/VH配列番号7/配列番号25;1QLR VL/VH配列番号8/配列番号26)と同等であった。キメラSC104抗体(配列番号4/配列番号2)は、比較としてヒトIgG1アイソタイプ陰性対照と共に示されている。各ポイントは、三重反復試料の平均±SDを表す。
【図10】可変重鎖の1U6Aフレームワーク1の29位の残基I(-○-)(配列番号50)およびL(-□-)(配列番号62)は、免疫原性がより低いと予測されるヒト化SC104抗体変異体に、SC104抗原陽性ヒト結腸癌細胞系C170に対する最も高い結合活性を付与するが、C(-▲-)(配列番号55)は付与しないことを実証するフローサイトメトリーに基づく結合アッセイを示す図である。キメラSC104抗体(配列番号4/配列番号2)は、比較としてヒトIgG1アイソタイプ陰性対照と共に示されている。各ポイントは、三重反復試料の平均±SDを表す。
【図11】可変重鎖の1U6Aフレームワーク3の71位の正荷電残基R(配列番号50)(-□-)は、免疫原性がより低いと予測されるヒト化SC104抗体変異体に、SC104抗原陽性ヒト結腸癌細胞系C170に対する最も高い結合活性を付与するが、負荷電残基D(配列番号75)(-▲-)も中性残基W(配列番号90)(-■-)も付与しないことを実証するフローサイトメトリーに基づく結合アッセイを示す図である。キメラSC104抗体(配列番号4/配列番号2)は、比較としてヒトIgG1アイソタイプ陰性対照と共に示されている。各ポイントは、三重反復試料の平均±SDを表す。
【図12】1U6Aフレームワークが組み込まれているSC104抗体変異体(VL/VH配列番号7/配列番号50および配列番号7/配列番号25)(-□-または-■-)は、SC104抗原陽性ヒト結腸癌細胞系C170を使用したフローサイトメトリーにより決定したところ、対応する1QLR由来のSC104変異体(VL/VH配列番号8/配列番号38および配列番号8/配列番号26)と比較して、より強力な直接的殺傷活性を示す。キメラSC104抗体(配列番号4/配列番号2)は、比較としてヒトIgG1アイソタイプ陰性対照と共に示されている。各ポイントは、三重反復試料の平均±SDを表す。
【図13】1U6Aフレームワークが組み込まれているヒト化SC104抗体変異体(VL/VH配列番号7/配列番号50および配列番号7/配列番号25)(-□-または-■-)は、SC104抗原陽性ヒト結腸癌細胞系C170を使用したLDH放出アッセイにより決定したところ、対応する1QLR由来のSC104変異体(VL/VH配列番号8/配列番号38および配列番号8/配列番号26)と比較して、より高い抗体依存性細胞媒介性細胞傷害活性を示す。キメラSC104抗体(配列番号4/配列番号2)は、比較として示されており、ヒトIgG1アイソタイプは、陰性対照として使用される。各ポイントは、三重反復試料の平均±SDを表す。
【図14】1U6Aフレームワークが組み込まれているSC104抗体変異体(VL/VH配列番号7/配列番号50および配列番号7/配列番号25)(-□-または-■-)は、SC104抗原陽性ヒト結腸癌細胞系Colo205を使用した細胞生存度アッセイにより決定したところ、対応する1QLR由来のSC104変異体(VL/VH配列番号8/配列番号38および配列番号8/配列番号26)と比較して、より強力な補体依存性細胞傷害活性を示す。キメラSC104抗体(配列番号4/配列番号2)は、比較としてヒトIgG1アイソタイプ陰性対照と共に示されている。各ポイントは、三重反復試料の平均±SDを表す。
【図15】キフネンシン(Kifunensin)で処理した、免疫原性がより低いと予測されるヒト化SC104抗体(配列番号7/配列番号50)(-○-)は、SC104抗原陽性WiDrヒト結腸癌細胞系を使用したLDH放出アッセイにより評価したところ、未処理抗体(-▲―)と比較して、より高い抗体依存性細胞媒介性細胞傷害活性を示す。各ポイントは、三重反復試料の平均±SDを表す。
【図16】Potelligent(登録商標)操作された、免疫原性がより低いと予測されるヒト化SC104抗体(配列番号7/配列番号94)(-○-)は、SC104抗原陽性Colo201ヒト結腸癌細胞系を使用したLDH放出アッセイにより評価したところ、未処理抗体(配列番号7/配列番号50)と比較して、より高い抗体依存性細胞媒介性細胞傷害活性を示す。各ポイントは、三重反復試料の平均±SDを表す。
【図17】HT29異種移植腫瘍を保持するマウスを、免疫原性がより低いと予測されるヒト化SC104抗体(-○-)(配列番号7/配列番号50)で処置することにより、ビヒクル対照処置と比較して、増殖の著しい低減がもたらされる。最上段のパネル:6〜10匹のマウス群における腫瘍容積の平均±SEM。星印は、治療群間の有意差を示す、p<0.05マンホイットニー検定。最下段パネル:研究終了時の平均および個々の腫瘍重量。P値は、マンホイットニー検定により決定。
【図18】Colo201異種移植腫瘍を保持するマウスを、Potelligent(登録商標)操作された、免疫原性がより低いと予測されるヒト化SC104抗体(-○-)(配列番号7/配列番号94)で処置することにより、ビヒクル対照処置と比較して、腫瘍容積の著しい低減がもたらされる。10匹のマウス群における平均±SEM。星印は、治療群間の有意差を示す、p<0.05 t-検定。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明はヒト化抗癌結合ドメインに関する。これら結合ドメインは、マウス抗体SC104(国際公開第2005/108430号パンフレット)に基づいており、結合および活性を増加させ、予測される免疫原性を減少させるように、修飾ヒトフレームワーク配列を含む。当業者であれば理解するように、本明細書で開発および記述されている配列をさらに修飾して、親和性成熟による結合性を増加させ、Fc媒介性エフェクター機能を増加させることができる。本明細書に記述されている結合ドメインは、単独でもまたは組み合わせのいずれでも、ヒト癌、例えば、結腸直腸癌、膵臓癌、卵巣癌、および肺癌の診断および/または治療に使用することができる。
【0018】
第1の態様では、本発明は、VH抗体結合ドメインを提供し、この結合ドメインは、順に、第1のフレームワーク領域(FR1)、第1のCDR(CDR1)、第2のフレームワーク領域(FR2)、第2のCDR(CDR2)、第3のフレームワーク領域(FR3)、第3のCDR(CDR3)、および第4のフレームワーク領域(FR4)を含み、ここで:
FR1の配列は、X1VQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVX2GYSX3X4(配列番号95)であり、ここで
X1は、QまたはEであり、
X2は、SまたはTであり、
X3は、I、L、またはVであり、
X4は、SまたはTであり、
またはそれに対して少なくとも90%もしくは少なくとも95%類似した、好ましくは少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一である配列であり、
CDR1の配列は、SGYSWH(配列番号96)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくはそれに対して少なくとも80%同一である配列であり、
FR2の配列は、WIRQX5PGKGLX6WX7G(配列番号97)であり、ここで
X5は、SまたはPであり、
X6は、QまたはEであり、
X7は、MまたはIであり、
またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
CDR2の配列は、HIHX8SGRPTYX9PSLX10S(配列番号98)であり、ここで
X8は、F、Y、またはWであり、
X9は、NまたはDであり、
X10は、K、L、H、F、R、またはSであり、
またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
FR3の配列は、RX11X12ISX13X14TAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号99)であり、ここで
X11は、VまたはIであり
X12は、TまたはSであり、
X13は、RまたはKであり、
X14は、EまたはDであり、
またはそれに対して少なくとも90%もしくは少なくとも95%類似した、好ましくは少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一である配列であり、ただし6位の残基はRまたはKでなければならならず、
CDR3の配列は、KGKGSDDGLNY(配列番号100)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
FR4の配列は、WGQGTLVTVSS(配列番号101)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列である。
【0019】
第2の態様では、本発明は、VH抗体結合ドメインを提供し、この結合ドメインは、フレームワーク配列、ならびにこのフレームワーク配列内に配置されている第1、第2、および第3のCDRを含み、このフレームワーク領域の配列は、配列QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGYSX3SWIRQPPGKGLQWIGRVTISX13ETAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCARWGQGTLVTVSS(配列番号102)に対して、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%同一であり、ここで
ここで、X3は、I、L、またはVであり、X13は、RまたはKであり、
CDR1の配列は、SGYSWH(配列番号96)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも80%同一である配列であり、
CDR2の配列は、HIHX8SGRPTYX9PSLX10S(配列番号98)であり、ここで
X8は、F、Y、またはWであり、
X9は、NまたはDであり、
X10は、K、L、H、F、R、またはSであり、
またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
CDR3の配列は、KGKGSDDGLNY(配列番号100)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列である。
【0020】
FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、およびFR4の好ましい配列は、以下の通りである:
FR1は、
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGYSIS(配列番号103)、
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGYSIT(配列番号104)、
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGYSLS(配列番号105)、
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGYSLT(配列番号106)、
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGYSVS(配列番号107)、
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGYSVT(配列番号108)、
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVTGYSIS(配列番号109)、
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVTGYSIT(配列番号110)、
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVTGYSLS(配列番号111)、
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVTGYSLT(配列番号112)、
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVTGYSVS(配列番号113)、
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVTGYSVT(配列番号114)、
EVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGYSIS(配列番号115)、
EVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGYSIT(配列番号116)、
EVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGYSLS(配列番号117)、
EVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGYSLT(配列番号118)、
EVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGYSVS(配列番号119)、
EVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGYSVT(配列番号120)、
EVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVTGYSIS(配列番号121)、
EVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVTGYSIT(配列番号122)、
EVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVTGYSLS(配列番号123)、
EVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVTGYSLT(配列番号124)、
EVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSTGYSVS(配列番号125)、および
EVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVTGYSVT(配列番号126)
からなる群から選択され、
CDR1は、SGYSWH(配列番号96)であり、
FR2は、WIRQSPGKGLQWIG(配列番号127)、WIRQSPGKGLQWMG(配列番号128)、WIRQSPGKGLEWIG(配列番号129)、WIRQSPGKGLEWMG(配列番号130)、WIRQPPGKGLQWIG(配列番号131)、WIRQPPGKGLQWMG(配列番号132)、WIRQPPGKGLEWIG(配列番号133)、およびWIRQPPGKGLEWMG(配列番号134)からなる群から選択され、
CDR2は、HIHFSGRPTYNPSLSS(配列番号135)、HIHFSGRPTYNPSLKS(配列番号136)、HIHFSGRPTYNPSLLS(配列番号137)、HIHFSGRPTYNPSLHS(配列番号138)、HIHFSGRPTYNPSLFS(配列番号139)、HIHFSGRPTYNPSLRS(配列番号140)、HIHWSGRPTYNPSLSS(配列番号141)、HIHWSGRPTYNPSLKS(配列番号142)、HIHWSGRPTYNPSLLS(配列番号143)、HIHWSGRPTYNPSLHS(配列番号144)、HIHWSGRPTYNPSLFS(配列番号145)、HIHWSGRPTYNPSLRS(配列番号146)、HIHYSGRPTYNPSLSS(配列番号147)、HIHYSGRPTYNPSLKS(配列番号148)、HIHYSGRPTYNPSLLS(配列番号149)、HIHYSGRPTYNPSLHS(配列番号150)、HIHYSGRPTYNPSLFS(配列番号151)、HIHYSGRPTYNPSLRS(配列番号152)、HIHFSGRPTYDPSLSS(配列番号153)、HIHFSGRPTYDPSLKS(配列番号154)、HIHFSGRPTYDPSLLS(配列番号155)、HIHFSGRPTYDPSLHS(配列番号156)、HIHFSGRPTYDPSLFS(配列番号157)、HIHFSGRPTYDPSLRS(配列番号158)、HIHWSGRPTYDPSLSS(配列番号159)、HIHWSGRPTYDPSLKS(配列番号160)、HIHWSGRPTYDPSLLS(配列番号161)、HIHWSGRPTYDPSLHS(配列番号162)、HIHWSGRPTYDPSLFS(配列番号163)、HIHWSGRPTYDPSLRS(配列番号164)、HIHYSGRPTYDPSLSS(配列番号165)、HIHYSGRPTYDPSLKS(配列番号166)、HIHYSGRPTYDPSLLS(配列番号167)、HIHYSGRPTYDPSLHS(配列番号168)、HIHYSGRPTYDPSLFS(配列番号169)、およびHIHYSGRPTYDPSLRS(配列番号170)
からなる群から選択され、
FR3は、
RVTISRETAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号171)、
RVTISRDTAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号172)、
RVTISKETAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号173)、
RVTISKDTAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号174)、
RVSISRETAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号175)、
RVSISRDTAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号176)、
RVSISKETAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号177)、
RVSISKDTAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号178)、
RITISRETAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号179)、
RITISRDTAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号180)、
RITISKETAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号181)、
RITISKDTAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号182)、
RISISRETAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号183)、
RISISRDTAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号184)、
RISISKETAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号185)、および
RISISKDTAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号186)
からなる群から選択され、
CDR3は、KGKGSDDGLNY(配列番号100)であり、
FR4は、WGQGTLVTVSS(配列番号101)である。
【0021】
第3の態様では、本発明は、VL抗体結合ドメインを提供し、この結合ドメインは、順に、第1のフレームワーク領域(FR1)、第1のCDR(CDR1)、第2のフレームワーク領域(FR2)、第2のCDR(CDR2)、第3のフレームワーク領域(FR3)、第3のCDR(CDR3)、および第4のフレームワーク領域(FR4)を含み、ここで
FR1の配列は、EX15VLTQSPGTLSLSX16GERATLSC(配列番号187)であり、ここで
X15は、IまたはNであり、
X16は、AまたはPであり、
またはそれに対して少なくとも90%もしくは少なくとも95%類似した、好ましくは少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一である配列であり、
CDR1の配列は、SASSSLSYIH(配列番号188)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
FR2の配列は、WYQQKPGQAPRLLIY(配列番号189)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
CDR2の配列は、DTSNLAS(配列番号190)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも80%同一である配列であり、
FR3の配列は、GIPDRFSGSGSGX17DFTLTISRVEPEDFAVYYC(配列番号191)であり、ここで
X17は、TまたはNであり、
またはそれに対して少なくとも90%もしくは少なくとも95%類似した、好ましくは少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一である配列であり、
CDR3の配列は、FQGSEYPLT(配列番号192)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも80%同一である配列であり、
FR4の配列は、FGQGTKLEIKR(配列番号193)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列である。
【0022】
第4の態様では、本発明は、VL抗体結合ドメインを提供し、この結合ドメインは、フレームワーク配列、ならびにこのフレームワーク配列内に配置されている第1、第2、および第3のCDRを含み、このフレームワーク領域の配列は、配列EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCWYQQKPGQAPRLLIYGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRVEPEDFAVYYCFGQGTKLEIKR(配列番号194)に対して少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%同一であり、
CDR1の配列は、SASSSLSYIH(配列番号188)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
CDR2の配列は、DTSNLAS(配列番号190)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも80%同一である配列であり、
CDR3の配列は、FQGSEYPLT(配列番号192)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも80%同一である配列である。
【0023】
FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、およびFR4の好ましい配列は、以下の通りである:
FR1は、EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSC(配列番号195)、EIVLTQSPGTLSLSAGERATLSC(配列番号196)、ENVLTQSPGTLSLSPGERATLSC(配列番号197)、およびENVLTQSPGTLSLSAGERATLSC(配列番号198)の群から選択される。
CDR1は、SASSSLSYIH(配列番号188)であり、
FR2は、WYQQKPGQAPRLLIY(配列番号189)であり、
CDR2は、DTSNLAS(配列番号190)であり、
FR3は、GIPDRFSGSGSGTDFTLTISRVEPEDFAVYYC(配列番号199)またはGIPDRFSGSGSGNDFTLTISRVEPEDFAVYYC(配列番号200)であり、
CDR3は、FQGSEYPLT(配列番号192)であり、
FR4は、FGQGTKLEIKR(配列番号193)である。
【0024】
第5の態様では、本発明は、VH抗体結合ドメインを提供し、この結合ドメインは、順に、第1のフレームワーク領域(FR1)、第1のCDR(CDR1)、第2のフレームワーク領域(FR2)、第2のCDR(CDR2)、第3のフレームワーク領域(FR3)、第3のCDR(CDR3)、および第4のフレームワーク領域(FR4)を含み、ここで
FR1の配列は、EVQLQQWGAGLLKPSETLSLTCAVYGYSX18X19(配列番号201)であり、ここで
X18は、I、L、またはVであり、
X19は、SまたはTであり、
またはそれに対して少なくとも90%もしくは少なくとも95%類似した、好ましくは少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一である配列であり、
CDR1の配列は、SGYSWH(配列番号96)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも80%同一である配列であり、
FR2の配列は、WIRQPPGKGLEWX20G(配列番号202)であり、ここで
X20は、MまたはIであり、
またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
CDR2の配列は、HIHX21SGRPTYX22PSLX23S(配列番号98)であり、ここで
X21は、F、Y、またはWであり、
X22は、NまたはDであり、
X23は、K、L、H、F、R、またはSであり、
またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
FR3の配列は、RX24X25ISX26DTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCAR(配列番号203)であり、ここで
X24は、VまたはIであり、
X25は、SまたはTであり、
X26は、RまたはKであり、
またはそれに対して少なくとも90%もしくは少なくとも95%類似した、好ましくは少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一である配列であり、ただし6位の残基はRまたはKでなければならならず、
CDR3の配列は、KGKGSDDGLNY(配列番号100)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
FR4の配列は、WGQGTLVTVSS(配列番号101)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列である。
【0025】
第6の態様では、本発明は、VH抗体結合ドメインを提供し、この結合ドメインは、フレームワーク配列、ならびにこのフレームワーク配列内に配置されている第1、第2、および第3のCDRを含み、このフレームワーク領域の配列は、配列EVQLQQWGAGLLKPSETLSLTCAVYGYSX18SWIRQPPGKGLEWIGRVTISX26DTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARWGQGTLVTVSS(配列番号204)に対して、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%同一であり、ここで
X18は、I、LまたはVであり、X26は、RまたはKであり、
CDR1の配列は、SGYSWH(配列番号96)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも80%同一である配列であり、
CDR2の配列は、HIHX21SGRPTYX22PSLX23S(配列番号98)であり、ここで
X21は、F、Y、またはWであり、
X22は、NまたはDであり、
X23は、K、L、H、F、R、またはSであり、
またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
CDR3の配列は、KGKGSDDGLNY(配列番号100)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列である。
【0026】
FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、およびFR4の好ましい配列は、以下の通りである:
FR1は、
EVQLQQWGAGLLKPSETLSLTCAVYGYSIS(配列番号205)、
EVQLQQWGAGLLKPSETLSLTCAVYGYSIT(配列番号206)、
EVQLQQWGAGLLKPSETLSLTCAVYGYSLS(配列番号207)、
EVQLQQWGAGLLKPSETLSLTCAVYGYSLT(配列番号208)、
EVQLQQWGAGLLKPSETLSLTCAVYGYSVS(配列番号209)、および
EVQLQQWGAGLLKPSETLSLTCAVYGYSVT(配列番号210)
からなる群から選択され、
CDR1は、SGYSWH(配列番号96)であり、
FR2は、WIRQPPGKGLEWIG(配列番号133)またはWIRQPPGKGLEWMG(配列番号134)であり、
CDR2は、HIHFSGRPTYNPSLSS(配列番号135)、HIHFSGRPTYNPSLKS(配列番号136)、HIHFSGRPTYNPSLLS(配列番号137)、HIHFSGRPTYNPSLHS(配列番号138)、HIHFSGRPTYNPSLFS(配列番号139)、HIHFSGRPTYNPSLRS(配列番号140)、HIHWSGRPTYNPSLSS(配列番号141)、HIHWSGRPTYNPSLKS(配列番号142)、HIHWSGRPTYNPSLLS(配列番号143)、HIHWSGRPTYNPSLHS(配列番号144)、HIHWSGRPTYNPSLFS(配列番号145)、HIHWSGRPTYNPSLRS(配列番号146)、HIHYSGRPTYNPSLSS(配列番号147)、HIHYSGRPTYNPSLKS(配列番号148)、HIHYSGRPTYNPSLLS(配列番号149)、HIHYSGRPTYNPSLHS(配列番号150)、HIHYSGRPTYNPSLFS(配列番号151)、HIHYSGRPTYNPSLRS(配列番号152)、HIHFSGRPTYDPSLSS(配列番号153)、HIHFSGRPTYDPSLKS(配列番号154)、HIHFSGRPTYDPSLLS(配列番号155)、HIHFSGRPTYDPSLHS(配列番号156)、HIHFSGRPTYDPSLFS(配列番号157)、HIHFSGRPTYDPSLRS(配列番号158)、HIHWSGRPTYDPSLSS(配列番号159)、HIHWSGRPTYDPSLKS(配列番号160)、HIHWSGRPTYDPSLLS(配列番号161)、HIHWSGRPTYDPSLHS(配列番号162)、HIHWSGRPTYDPSLFS(配列番号163)、HIHWSGRPTYDPSLRS(配列番号164)、HIHYSGRPTYDPSLSS(配列番号165)、HIHYSGRPTYDPSLKS(配列番号166)、HIHYSGRPTYDPSLLS(配列番号167)、HIHYSGRPTYDPSLHS(配列番号168)、HIHYSGRPTYDPSLFS(配列番号169)、およびHIHYSGRPTYDPSLRS(配列番号170)
からなる群から選択され、
FR3は、
RVTISRDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCAR(配列番号218)、
RVTISKDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCAR(配列番号219)、
RVSISRDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCAR(配列番号220)、
RVSISKDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCAR(配列番号221)、
RITISRDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCAR(配列番号222)、
RITISKDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCAR(配列番号223)、
RISISRDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCAR(配列番号224)、
RISISKDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCAR(配列番号225)
からなる群から選択される。
CDR3は、KGKGSDDGLNY(配列番号100)である。
FR4は、WGQGTLVTVSS(配列番号101)である。
【0027】
第7の態様では、本発明は、VL抗体結合ドメインを提供し、この結合ドメインは、順に、第1のフレームワーク領域(FR1)、第1のCDR(CDR1)、第2のフレームワーク領域(FR2)、第2のCDR(CDR2)、第3のフレームワーク領域(FR3)、第3のCDR(CDR3)、および第4のフレームワーク領域(FR4)を含み、ここで
FR1の配列は、EX27VLTQSPATLSLSPGERATLSC(配列番号211)であり、ここでX27は、IまたはNであり、
またはそれに対して少なくとも90%もしくは少なくとも95%類似した、好ましくは少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一である配列であり、
CDR1の配列は、SASSSLSYIH(配列番号188)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
FR2の配列は、WYQQKPGQAPRLLIY(配列番号189)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
CDR2の配列は、DTSNLAS(配列番号190)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも80%同一である配列であり、
FR3の配列は、GIPDRFSGSGSGX28DFTLTISRLEPEDFAVYYC(配列番号212)であり、ここで
X28は、TまたはNであり、
またはそれに対して少なくとも90%もしくは少なくとも95%類似した、好ましくは少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一である配列であり、
CDR3の配列は、FQGSEYPLT(配列番号192)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも80%同一である配列であり、
FR4の配列は、FGGGTKVEIKR(配列番号193)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列である。
【0028】
第8の態様では、本発明は、VL抗体結合ドメインを提供し、この結合ドメインは、フレームワーク配列、ならびにこのフレームワーク配列内に配置されている第1、第2、および第3のCDRを含み、このフレームワーク領域の配列は、配列EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCWYQQKPGQAPRLLIYGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCFGGGTKVEIKR(配列番号213)に対して、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%同一であり、
CDR1の配列は、SASSSLSYIH(配列番号188)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
CDR2の配列は、DTSNLAS(配列番号190)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも80%同一である配列であり、
CDR3の配列は、FQGSEYPLT(配列番号192)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも80%同一である配列である。
【0029】
FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、およびFR4の好ましい配列は、以下の通りである:
FR1は、EIVLTQSPATLSLSPGERATLSC(配列番号214)またはENVLTQSPATLSLSPGERATLSC(配列番号215)の群から選択される。
CDR1は、SASSSLSYIH(配列番号188)である。
FR2は、WYQQKPGQAPRLLIY(配列番号189)である。
CDR2は、DTSNLAS(配列番号190)である。
FR3は、GIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYC(配列番号216)またはGIPDRFSGSGSGNDFTLTISRLEPEDFAVYYC(配列番号217)である。
CDR3は、FQGSEYPLT(配列番号192)である。
FR4は、FGGGTKVEIKR(配列番号193)である。
【0030】
本発明の好ましい実施形態では、本発明のVHおよびVL抗体結合ドメインは、定常ドメインをさらに含む。定常ドメインは、ヒトまたは非ヒト霊長類、好ましくはヒトの定常領域であってもよい。1つの実施形態では、重鎖定常ドメインの配列は、
ASTKNPDVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号52);または
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号92);または
ASTKNPDVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPDVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNATYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPEEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号53)
であり、
軽鎖定常ドメインの配列は、
TVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号93)
である。
【0031】
本発明のさらなる好ましい実施形態では、第1の態様のVHおよび第2の態様のVL、または第3の態様のVHおよび第4の態様のVLを含む抗体が提供される。
【0032】
本発明の結合ドメインおよび抗体は、SC104が結合する抗原を発現する癌、特に結腸直腸癌、ならびに卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、および肺癌などの非結腸直腸癌の細胞と特異的に結合する。したがって、別の態様では、本発明は、対象の癌を治療する方法であって、癌が、結腸直腸、卵巣、膵臓、前立腺、および肺から選択され、本発明による治療上有効量の結合ドメインまたは抗体を対象に投与することを含む方法を提供する。
【0033】
本発明は、試料中の癌細胞の存在を検出する方法であって、細胞試料を、本発明による結合ドメインまたは抗体と接触させるステップと、細胞に対する、本発明による結合ドメインまたは抗体の結合を検出するステップとを含む方法も提供する。
【0034】
承知の通り、本発明で開発および記述されている配列は、当技術分野で周知の方法を使用して修飾し、例えば親和性成熟により結合性を増加させ、または予測されるMHCクラスII結合ペプチドモチーフを取り除くことにより免疫原性を減少させることができる。本明細書で開発および記述されている配列の治療有用性は、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)、補体依存性細胞傷害(CDC)、血清半減期、生体内分布、およびFc受容体への結合、またはこれらのいずれかの組み合わせなどの、それらの機能的特徴を調節することによりさらに増強することができる。この調節は、タンパク質工学的、糖鎖工学的、または化学的方法により達成することができる。必要とされる治療応用に応じて、これらの活性のいずれかを増加させることか、または減少させることのいずれかが、有利であり得る。
【0035】
抗体の親和性成熟の方法は、多数が当技術分野で公知である。これらのうちの多数は、突然変異誘発により様々なタンパク質の一群またはライブラリーを生成し、その後親和性の向上について選択および/またはスクリーニングするという基本戦略に基づく。突然変異誘発は、例えば、エラーを起こし易いPCR(Thie、Voedischら、2009年)により、遺伝子シャフリング(KolkmanおよびStemmer、2001年)により、突然変異誘発性の化学物質または照射を使用することにより、エラーを起こし易い複製機構を有する「ミューテーター」株(Greener、1996年)を使用することにより、または天然の親和性成熟機構を利用する体細胞超変異手法(Peled、Kuangら、2008年)により、DNAレベルで実施されることが多い。突然変異誘発は、例えば、Qβレプリカーゼ(Kopsidas、Robertsら、2006年)を使用することにより、RNAレベルで実施することもできる。改良された変異型タンパク質のスクリーニングを可能にするライブラリーに基づく方法は、ファージ、酵母、リボソーム、細菌性細胞、または哺乳動物細胞などの種々のディスプレー技術に基づいていてもよく、当技術分野で周知である(Benhar、2007年)。親和性成熟は、より方向性を持つ方法/予測的な方法により、例えば、3Dタンパク質モデリング(例えば、Queen、Schneiderら、1989年または米国特許第6,180,370号明細書または米国特許第5,225,539号明細書を参照)からの知見により導かれる指定部位突然変異誘発または遺伝子合成により、達成することができる。
【0036】
ADCCを増加させる方法は、Ferrara、Brunkerら、2006年;Li, Sethuramanら、2006年;Stavenhagen、Gorlatovら、2007年;Shields、Namenukら、2001年;Shinkawa、Nakamuraら、2003年;および国際公開第2008/006554号パンフレットにより記述されている。好ましい形態では、本発明の抗体は、減少したレベルのフコースを有する。
【0037】
CDCを増加させる方法は、Idusogie、Wongら、2001年;Dall'Acqua、Cookら、2006年;Michaelsen、Aaseら、1990年;Brekke、Bremnesら、1993年;Tan、Shopesら、1990年;Norderhaug、Brekkeら、1991年により記述されている。
【0038】
ADCCおよびCDCを増加させる方法が記述されている文献には、Natsumeら、2008年が含まれる。これら文献の各々の開示は、相互参照により本明細書に含まれる。
【0039】
抗体血清半減期および生体内分布を調節するための多くの方法は、抗体と、新生児型Fc受容体(FcRn)、異化作用からIgGを防御し、高い血清抗体濃度を維持することにおいて重要な役割を有する受容体との間の相互作用を修飾することに基づいている。Dall'Acquaらは、FcRnの結合親和性を増強し、それにより血清半減期を増加させる、IgG1のFc領域における置換について記述しており(Dall'Acqua、Woodsら、2002)、M252Y/S254T/T256Eの三重置換で、ADCC活性の生物学的利用能および調節が増強されたことをさらに実証している(Dall'Acqua、Kienerら、2006年)。米国特許第6,277,375号明細書、米国特許第6,821,505号明細書、および米国特許第7,083,784号明細書も参照されたい。Hintonらは、in vivo半減期の増加を付与する250位および428位の定常ドメインアミノ酸置換について記述している(Hinton、Johlfsら、2004年)。(Hinton、Xiongら、2006年)。米国特許第7,217,797号明細書も参照されたい。Petkovaらは、in vivo半減期の増加を付与する307位、380位、および434位の定常ドメインアミノ酸置換について記述している(Petkova、Akileshら、2006年)。Shieldsら(Shields、Namenukら、2001年)および国際公開第2000/42072号パンフレットも参照されたい。FcRn結合および血清半減期を含む、これら受容体により媒介されるFc受容体への結合およびその後の機能を調節する定常ドメインアミノ酸置換の他の例は、米国特許出願公開第20090142340号明細書、第20090068175号明細書、および第20090092599号明細書に記述されている。
【0040】
抗体分子に結合されたグリカンは、血清半減期を含むFc受容体およびグリカン受容体と抗体との相互作用に影響を及ぼし、それにより抗体活性に影響を及ぼすことが知られている(Kaneko、Nimmerjahnら、2006年;Jones、Papacら、2007年;およびKanda、Yamadaら、2007年)。したがって、所望の抗体活性を調節するある種の糖型は、治療的利点を付与することができる。操作された糖型を生成するための方法は、当技術分野で公知であり、それらには、米国特許第6,602,684号明細書、第7,326,681号明細書、第7,388,081号明細書、国際公開第2008/006554号パンフレットに記述されているものが含まれるが、これらに限定されない。
【0041】
ポリエチレングリコール(PEG)の付加による半減期の延長は、タンパク質の血清半減期を延長するために広く使用されており、例えば、Fishburnにより総説されている(Fishburn、2008年)。
【0042】
当然のことだが、本発明の配列内で保存的アミノ酸置換を行うことは可能である。「保存的置換」とは、類似の特性を有するアミノ酸を意味する。本明細書で使用される場合、以下の群のアミノ酸が保存的置換であるとみなされる:
H、R、およびK、
D、E、N、およびQ、
V、I、およびL、
CおよびM、
S、T、P、A、およびG、ならびに
F、Y、およびW。
【0043】
披見されるように、本明細書では、「類似%」、「同一%」という用語を使用して、多くの配列について記述している。承知の通り、用語「同一%」は、指定された領域にわたって2つの配列の比較する際に、2つの配列が、指定された数の同じ位置の同一残基を有することを意味する。用語「類似%」は、同様の意味を有するが、2つの配列間の同一アミノ酸の数に加えて、アミノ酸が、同一ではないが、上記で定義されているような保存的置換であることも考慮される。
【0044】
本明細書の全体にわたって、「含む(comprise)」という単語、または「含む(comprises)」もしくは「含んでいる(comprising)」などの変化形は、規定されている要素、整数、もしくはステップ、または要素、整数、もしくはステップの群を包含するが、任意の他の要素、整数、もしくはステップ、または要素、整数、もしくはステップの群を排除しないことを意味すると理解されるだろう。
【0045】
本明細書で言及されている出版物はすべて、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に含まれている文書、行為、物質、デバイス、物品などに関するいかなる考察も、もっぱら本発明の状況を提供するためのものである。これらのもののいずれかまたはすべてが、本出願の各請求項の優先日前にオーストラリアまたは他所に存在していたとして、従来技術の基盤の一部を形成することの承認として、または本発明に関連する分野におけるありふれた一般的知識だったということの承認として、受け取られるべきではない。
【0046】
本発明の性質をより良好に理解することができるように、これから、以下の実施例を参照することにより、好ましい形態を記述する。
【実施例1】
【0047】
キメラSC104抗体の生成
マウスSC104重鎖可変領域(VH)(配列番号1)を、in silicoで、ヒトIgG1骨格(NCBI受入番号AAH72419およびその誘導体などのヒトIgG1重鎖CH1、ヒンジ、CH2、CH3ドメイン)にフォーマット化(format)して、キメラSC104の重鎖、配列番号2を得た。同様に、SC104軽鎖可変領域(VL)、配列番号3を、in silicoで、ヒトIgG1骨格(NCBI受入番号P01834およびその誘導体など)にフォーマット化して、対応するキメラSC104軽鎖、配列番号4を形成した。
【0048】
DNA構築体のフォーマット化および産生
その結果生じた重鎖アミノ酸配列および軽鎖アミノ酸配列を、DNA塩基配列に逆翻訳した。5'-VH特異的制限部位AscIは、重鎖ポリペプチドシグナル配列、配列番号5をコードするヌクレオチド配列に上流に含まれていた。Tth111I制限部位を、3'-VH領域アミノ酸TVSSをコードするポリヌクレオチド配列に導入した。5'-VL特異的制限部位BsiWIを、軽鎖ポリペプチドシグナル配列、配列番号6をコードするヌクレオチド配列に上流に組み込んだ。RsrII制限部位は、VL領域のC末端に位置するアミノ酸RTをコードする核酸配列の3'-末端に含まれていた。その後、これら配列を、GeneOptimizer(登録商標)技術(Gene Art社、ドイツ)を使用して、CHO細胞での発現に最適化した。
【0049】
その後、可変領域を、合成オリゴヌクレオチド(GeneArt社、ドイツ)の構築によりde novo合成した。追加された制限部位を使用して、適切なIgG1定常領域を含有する、グルタミン合成酵素(GS)チャイニーズハムスター卵巣(CHO)に基づく遺伝子発現システムベクター(Lonza社、英国)に、可変領域をクローニングした。その結果生じた重鎖含有および軽鎖含有ベクターを使用して、CHO-K1SV細胞をコトランスフェクトして抗体を産生した。
【0050】
抗体構築体の細胞培養および一過性発現
CHO-K1SV(Lonza社、英国)細胞を、Freestyle(商標)CHO化学的限定細胞増殖培地(Invitrogen(商標)社製)、および終濃度が6mMのL-グルタミン(Invitrogen(商標)社製)で補完された培地中で、2×105細胞/ml〜4×106細胞/mlで培養した。細胞を36.5℃、10%CO2、および140rpmで培養した。トランスフェクションの前日に、500mlのバルブ付エルレンマイヤーフラスコ(Corning(登録商標)社製)中で、100mlの培養容積を5×105細胞/mlで播種した。翌日、4mLのOptiPRO(商標)SFM(Invitrogen(商標)社製)を、15mLのCorning(登録商標)社製チューブに調製し、100μgの各抗体鎖と混合した。その結果生じた混合物を、0.2μmの13mm注射器端部フィルターユニット(ミリポア(登録商標)社製)で、200μlのFreestyle(商標)Max試薬(Invitrogen(商標)社製)を含有する新しい15mL Corning(登録商標)社製チューブの中にろ過した。以前に播種したCHO-K1SV細胞を添加する前に、この混合物を室温で10分間インキュベートした。7日後に、10分間3000gで遠心分離することにより上清を回収し、その後0.2μm膜で滅菌受け器の中にろ過した(Corning(登録商標)社製フィルターユニット)。
【0051】
抗体の精製
トランスフェクトされたCHO細胞から回収された上清をpH7.4に調整し、その後HiTrap(商標)プロテインAカラム(1mL(GE(登録商標)Healthcare社製))に負荷した。カラムを、30mLの1×PBS(pH7.4)で洗浄した。溶出は、0.1Mのクエン酸pH3を使用して実施した。溶出された抗体を、Zeba(商標)脱塩カラム(Pierce(登録商標)社製)を使用して、1×PBS(pH7.4)へと脱塩した。抗体濃度は、A280値により決定した。
【0052】
フローサイトメトリーに基づく結合アッセイ
成育可能な腫瘍細胞および対照細胞(2×105、トリパンブルー排除法で判断した)を、三重反復で、種々の濃度のマウスSC104、キメラSC104、またはヒト化変異体、およびヒトIgG1アイソタイプ(Sigma-Aldrich(登録商標)社製)と共に、96V-ウェルプレート(Eppendorf社製)の100μl緩衝液(1%FCSを加えたPBS)中で、暗所、氷上で20分間インキュベートした。細胞を緩衝液で2回洗浄し、その後、それぞれキメラ抗体またはマウス抗体を検出するための、ヤギ抗ヒトIgG(Fc特異的、Sigma-Aldrich(登録商標)社製、FITCに結合)またはヤギ抗マウスIgG(Fc特異的、Sigma-Aldrich(登録商標)社製、FITCに結合)を含有する100μlの緩衝液中で20分間インキュベーションした。洗浄した後、細胞を緩衝液に再懸濁し、EV、側方散乱、およびFL-1ゲーティングを使用して、Cell Lab Quanta(商標)SC MPL(Beckman Coulter社製)を用いたフローサイトメトリーにより抗体結合を分析し、データ取得中、96ウェルプレート中の細胞は、冷却パック(Eppendorf社製)を敷いておくことにより冷却した。結果は、平均蛍光強度(MFI)として表し、曲線の傾き値は、GraphPad Prism(登録商標)ソフトウェアにより、非線形回帰分析を使用して計算した。
【0053】
フローサイトメトリーに基づく直接的殺傷アッセイ
成育可能な腫瘍細胞(2×105、トリパンブルー排除法で判断した)を、三重反復で、種々の濃度のマウスSC104、キメラSC104、またはヒト化変異体、およびヒトIgG1アイソタイプ(Sigma-Aldrich(登録商標)社製)と共に、96V-ウェルプレート(Eppendorf社製)の80μl緩衝液(1%FCSを加えたPBS)中で、暗所、室温で2.5〜3時間インキュベートした。各ウェルに、20μl緩衝液中の0.15gの7AAD(BD(登録商標)Biosciences社製)を添加し、細胞をさらに20分間インキュベートし、その後、EV、側方散乱、およびFL-3ゲーティングを使用して、Cell Lab Quanta(商標)SC MPL(Beckman Coulter社製)を用いたフローサイトメトリーにより細胞生存度を分析し、データ取得中、96ウェルプレート中の細胞は、冷却パック(Eppendorf社製)を敷いておくことにより冷却した。結果は、7AAD+細胞の割合として表し、曲線の傾き値は、GraphPad Prism(登録商標)ソフトウェアにより、非線形回帰分析を使用して計算した。
【0054】
キメラSC104抗体は、ヒト結腸腫瘍細胞に対する、強力で特異的な結合および直接的殺傷活性を示す
キメラおよびマウス親SC104抗体を、ヒト結腸癌細胞系C170(ECACC受入番号97071507)およびColo205(ATCC受入番号CCL-222)に対する結合について試験した。マウスSC104抗体は、これら細胞系に強く結合することが、フローサイトメトリーを使用して以前に示されている(Durrant、Hardingら、2006年)。図1(左側パネル)は、SC104抗体が、ヒトIgG1アイソタイプ対照には結合しないが、C170およびColo205に結合し、マウスおよびキメラSC104抗体は両方とも、一連の抗体濃度にわたって同様の結合強度を示すことを示している。対照的に、抗体はどれも、ヒト結腸癌系HCT-116(ATCC受入番号CCL-247)に結合せず、したがってこの癌系はSC104抗原陰性と規定された。
【0055】
マウスSC104抗体は、免疫エフェクター細胞または補体を必要とせずに、結腸腫瘍細胞の直接殺傷を誘導することが知られている(Durrant、Hardingら、2006年)。実際、マウスおよびキメラSC104抗体は両方とも、抗原陽性細胞C170およびColo205の強力な直接的殺傷を示したが、ヒトIgG1アイソタイプ対照は直接的殺傷を示さず、対照的に、これら抗体は、バックグラウンドを超える抗原陰性細胞HCT-116の殺傷を示さなかった(図1および右側パネル)。
【0056】
様々な抗原陰性ヒト結腸直腸腫瘍細胞(HCT15、ATCC受入番号CCL-225)、ヒト非腫瘍細胞(MRC5、ATCC受入番号CCL-171)、または正常ヒト供与体に由来する末梢血単核細胞を用いた他の実験では、マウスおよび/またはキメラSC104抗体との結合および直接的殺傷活性は示されなかった(データ非表示)。まとめると、キメラSC104抗体は、親マウスSC104抗体と比較した際に、同様の効力および特異性を示した。したがって、キメラSC104抗体を、その後に生成したヒト化SC104抗体変異体の活性を試験するための基準として使用した。
【実施例2】
【0057】
SC104のヒト化
3Dモデリングによる好適なヒトフレームワーク受容体の選択
マウスSC104重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)の独立した3Dモデルを、結晶構造のデータベース(例えば、Research Collaboratory for Structural Bioinformatics (RCSB) protein data bank、http://www.rcsb.org/pdb/home/home.do、Worldwide Protein Data Bankの一部、http://www.wwpdb.oreを参照)およびソフトウェアパッケージであるDiscovery Studio vl.7(Accelrys(登録商標)社製、米国)を使用して構築した。手短に言えば、マウスSC104重鎖可変領域または軽鎖可変領域のいずれかを使用したBasic Local Alignment Search Tool(BLAST)探索により、タンパク質データバンクデータベースを検索して、結晶構造情報を伴う類似ポリペプチド配列の抗体を特定した。その後、これら構造を使用して、マウスSC104可変領域および特定された結晶構造の可変領域に共通しているアミノ酸配列相同性に基づく相同性モデルを構築した。これらマウスVHおよびVLモデルを使用して、マウス抗体とフレームワーク構造の相同性を共有した好適なヒトVHおよびVL受容体フレームワークを、タンパク質データバンクから独立して特定した。正しい重鎖および軽鎖対を保証するために、同じ抗体結晶構造のVHおよびVLヒト受容体フレームワークを、ヒト化プロセスを通じて進展させた。より良好なマウス-ヒト重鎖フレームワーク領域の構造相同性を有するヒト受容抗体を、より良好なマウス-ヒト軽鎖フレームワーク相同性を有するものより優先した。これらには、pdb受入コード1U6Aおよび1QLRが含まれる。ヒトフレームワーク受容体を評価して、これら構造がSC104 CDRを適切に支持することができるかどうかについて試験した。
【0058】
ヒト化抗体構築体のフォーマット化
最初に、マウスSC104相補性決定領域(CDR)を、CDR移植技術(例えば、(Queen、Schneiderら、1989年)または米国特許第6,180,370号明細書または米国特許第5,225,539号明細書を参照)が、この分類に基づくことを考慮して、カバット法(Kabat、1991年を参照)に従って規定した。後にヒト化を試みる際には、AbM体系(例えば(Dubel、2007年)およびそこに組み込まれている文献を参照)を使用して、重鎖(CDR-H1)のCDR1を規定した(Table 1(表1))。CDRは、DNAStar(登録商標)ソフトウェアパッケージ(バージョン8;Lasergene(登録商標)社製、米国)を使用して、選択されたヒトフレームワークにin silicoでフォーマット化した。VH領域は、CH1、ヒンジ、CH2、およびCH3ドメインを含有するヒトIgG1重鎖(NCBI受入番号AAH72419およびその誘導体など)にフォーマット化した。同時に、VL領域は、対応するヒトIgG1軽鎖定常領域(NCBI受入番号P01834およびその誘導体などの)を使用してフォーマット化した。
【0059】
カバット式定義のCDR-H1が組み込まれているヒト化SC104変異体は、意外にも非機能的抗体を産出した
ヒト受容体フレームワーク1U6Aおよび1QLRを、SC104ヒト化用に使用した。マウスSC104軽鎖CDRを、1U6Aおよび1QLR軽鎖フレームワーク領域にフォーマット化した。1U6Aフレームワーク配列の15位にある非共通アラニン残基を、プロリン(A15P)と置換することにより取り除き、配列番号7を得た。1QLRに基づくヒト化SC104軽鎖を上述のようにフォーマット化して、配列番号8を得た。カバット式定義のCDR-H1を含有する対応する1U6Aに基づくSC104重鎖をフォーマット化した。配列番号9。同時に、カバット式定義のCDR-H1を含有する1QLRに基づくSC104重鎖をフォーマット化した。配列番号10。1U6Aに基づく軽鎖および重鎖の組み合わせである配列番号7および配列番号9を、CHO細胞で同時発現させた。1QLRに基づく軽鎖および重鎖の組み合わせである配列番号8および配列番号10も、CHO細胞で同時発現させた。その結果生じた抗体を、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーで精製し、フローサイトメトリーを使用して、生菌細胞結合活性を試験した。驚くべきことに、カバット式定義のCDR-H1が両方に組み込まれていたこれらヒト化抗体変異体は、SC104抗原陽性細胞に結合しなかった(図2)。
【0060】
驚くべきことに、AbM式定義のCDR-H1が組み込まれたヒト化SC104変異体は、機能的抗体を産出する
カバット式定義のCDR-H1を組み込んだヒト化が予想外に失敗した後で、AbM式定義のCDR-H1体系を適用した(Table 1(表1))。その後、1U6Aに基づくSC104重鎖および1QLRに基づくSC104重鎖をフォーマット化して、AbM式定義のCDR-H1を組み込んだ。それぞれ配列番号11および12。1U6Aに基づく軽鎖および重鎖の組み合わせである配列番号7および配列番号11をCHO細胞で同時発現させた。1QLRに基づく軽鎖および重鎖の組み合わせである配列番号8および配列番号12をCHO細胞で同時発現させた。その結果生じた抗体を、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーで精製し、フローサイトメトリーを使用して、生菌細胞結合活性を試験した。驚くべきことに、AbM式定義のCDR-H1が両方に組み込まれていたこれらヒト化抗体変異体は、SC104抗原陽性細胞に結合した(図3)。
【0061】
ヒト化SC104の結合活性の増加
図3は、ヒト化SC104抗体が、キメラSC104で観察された活性と比較して、最適以下の結合活性を有していたことを示している。これらデータは、1つまたは複数のフレームワークアミノ酸置換が、結果として結合活性をほとんど喪失させずにSC104をヒト化するために重要であることを示唆する。この問題に取り組むために、マウスSC104および1U6Aのフレームワークポリペプチド配列を比較した。in silicoでマウスSC104可変領域の3Dモデルを使用し、フレームワーク間のアミノ酸差に目印を付け、精査した。6つのVHおよび3つのVLアミノ酸(1U6A受容体フレームワークに見出されたこの位置における非共通アラニン残基を取り除くためのA15P置換を含む)を特定し、さらにin vitroで研究を行ってヒト化抗体の結合活性に対するそれらの寄与を試験した。1QLRヒト化SC104を使用して同様の分析を実施し、それにより、in vitroで試験するための4つのVHおよび2つのVLアミノ酸に目印を付けた。in vitro試験用に目印を付けた1QLRヒト化SC104中の位置はすべて、1U6Aヒト化SC104で既に特定されていたものと同一だった。その後、1U6A受容体だけを使用して、ヒト化SC104の効力増強に重要な残基を特定する試みに集中した。
【0062】
ヒト化VHフレームワークに必要な予測された置換は、ヒト化VLで予測されたものより、結合活性の増強に重要である
1U6Aに基づくSC104重鎖のAbM式定義のCDR-H1変異体およびカバット式定義のCDR-H1変異体を両方ともコードする遺伝子を再合成して、合計6つのアミノ酸残基置換-Q46E、I48M、V67I、T68S、V71R、E72D(カバット式付番)を組み込んだ。これにより、配列番号13(AbM CDR-H1)および15(カバットCDR-H1)が、それぞれ産生された。上記に概説されているプロセスにより前述の6つより優先度が低い追加的な2つのアミノ酸置換-Q1EおよびS25Tに目印が付けられ、それも、配列番号13に導入して、配列番号14、合計8つのアミノ酸置換を含有するAbM式定義のCDR-H1変異体を得た。対応するAbM移植重鎖配列およびカバット移植重鎖配列、それぞれ配列番号11および9を、非置換対照として使用した。
【0063】
3つの置換、I2N、A15P、T69N(カバット式付番)が組み込まれた1U6Aに基づく軽鎖をフォーマット化して、配列番号16を生成した。対応する軽鎖配列である配列番号7を、最少置換対照として使用した。重鎖および軽鎖の置換および非置換または最少置換の組み合わせを同時発現させ、それらの活性を、フローサイトメトリーに基づく細胞結合アッセイで評価した。カバット式定義のCDR-H1を含有する移植体では、ヒト化SC104抗体変異体である配列番号7/配列番号15および配列番号16/配列番号15は両方とも、前述の6つのアミノ酸置換が組み込まれた同じ重鎖(配列番号15)を共有していた。これら抗体は、置換含有軽鎖(配列番号16)または最少置換軽鎖(配列番号7)のいずれと対になるかには関係なく、同様の陽性結合活性を示した。対照的に、重鎖を、配列番号9などの、カバット式定義のCDR-H1を含有しアミノ酸置換を含有しないものに変更することにより、軽鎖の配列番号7または配列番号16のいずれを使用するかに関係なく、結合が消滅した(図4A)。同様に、単一の置換または3つのすべての置換のいずれかを含有する軽鎖(それぞれ配列番号7および16)は、AbM式定義のCDR-H1を含む重鎖(例えば、それぞれ非置換および置換重鎖を表す配列番号11および13を参照)と対になった場合、ヒト化SC104抗体変異体の強力な結合活性に著しい影響を及ぼさなかった(図4B)。重鎖配列番号13を重鎖配列番号14と交換し、キメラSC104(配列番号4/配列番号2)を用いて、同じフローサイトメトリーに基づく結合アッセイを実施した場合、図4Bと同様の傾向が観察された(結果は非表示)。このデータは、置換Q1EおよびS25Tが、それらの非置換対応物である配列番号11と比べて重鎖配列番号13および14により示される強力な結合活性の要因ではないことを示した。したがって、置換Q1EおよびS25Tは、それ以上研究しなかった。さらに、これらのデータは、1U6A重鎖中の1つまたは複数の置換が、増強された結合活性を有するヒト化SC104を生成するために重要であることを実証している。
【0064】
1U6Aヒト化SC104の重鎖中の置換を、カバット移植1QLR重鎖配列(配列番号10)のI48M、V67I、T68S、およびV71R位に導入して、配列番号17を得た。同様に、1QLRヒト化SC104軽鎖のI2NおよびT69Nで置換を行って、配列番号18を得た。AbM式定義のCDR-H1(配列番号12)を含有する抗体の活性は、非置換軽鎖(配列番号8)または置換含有軽鎖(配列番号18)のいずれかと共に発現された場合、著しくは影響を受けなかった。前述の置換を含有するカバット式定義のCDR-H1(配列番号17)を有する1QLR-SC104を、非置換1QLRパートナー、配列番号8と共に発現することにより、低結合活性を有するヒト化変異体がもたらされた。完全置換軽鎖配列番号18と共に配列番号17を同時発現させて産生した抗体では結合活性が無視できる程度であることが観察され、軽鎖における置換は1QLRヒト化SC104の結合活性に有害であることが示唆される。以前の記述に加えて、これら抗体変異体の結合データは、Table 2(表2)に要約されている。
【0065】
VHフレームワークにおけるR71の存在は、高度に活性なヒト化SC104の産出に重要である
個々の1U6A重鎖可変領域フレームワーク置換、Q46E、I48M、V67I、T68S、V71R、およびE72Dを、Q1Eと共に配列番号11の中にフォーマット化して、配列番号19〜24を得た。その結果生じた重鎖を、軽鎖配列番号7と同時発現させ、その結果生じたヒト化SC104変異体をフローサイトメトリーに基づく結合アッセイで比較した。Q46E、I48M、V67I、T68S、およびE72Dを有するヒト化SC104抗体変異体は、互いに同じような結合活性を示したが、キメラSC104抗体と比較すると、著しくより低い活性を示した(図5)。対照的に、V71R置換を保持するヒト化SC104抗体変異体(配列番号23によりコードされる)は、キメラSC104抗体と類似した結合活性の増強を示した。これらのデータは、AbM式定義のCDR-H1に加えて、R71が、SC104の高度に強力なヒト化型にとって重要であることを示す。R71含有重鎖を再フォーマット化して置換E1Qを組み込むと、配列番号25は、軽鎖配列番号7と同時発現させた際に、その結果生じた抗体の高レベルの結合活性を変更しなかった(非表示)。
【0066】
R71は、AbM式定義のCDR-H1およびカバット式定義のCDR-H1を両方とも含むSC104ヒト化変異体の結合活性を増強する
ヒト受容体1U6Aを使用してヒト化SC104の強力な結合活性に重要であることが特定された置換V71Rを、それぞれ配列番号26および27に詳述されているAbM式定義のCDR-H1またはカバット式定義のCDR-H1のいずれかを含有する、1QLRに基づくSC104変異体に導入した。比較のために、また、カバット式定義のCDR-H1を含む1U6Aに基づくSC104変異体配列番号10にV71Rを導入して、配列番号28を形成した。1QLRに基づく軽鎖および重鎖の組み合わせである配列番号8および配列番号26または配列番号27をCHO細胞で同時発現させた。1U6Aに基づく軽鎖および重鎖の組み合わせである配列番号7および配列番号28も、CHO細胞で同時発現させた。その結果生じた抗体を、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーで精製し、フローサイトメトリーにより、抗原陽性細胞系C170に対する生菌細胞結合活性を試験した。置換V71Rは、フローサイトメトリーにより測定したところ、AbM式定義のCDR-H1を含有する1QLRに基づくSC104の、抗原陽性細胞系C170に対する生菌細胞結合活性を著しく増強させ、対応するカバット式定義の移植抗体の活性を、より少ない程度に増強させる(図6A)。それと比較して、置換V71Rは、フローサイトメトリーにより測定したところ、カバット式定義のCDR-H1の1U6Aに基づくSC104変異体およびAbM式定義のCDR-H1の1U6Aに基づくSC104変異体の両方の、抗原陽性細胞系C170に対する生菌細胞結合活性の増強を著しく増強する(図6B)。
【0067】
CDR-H1のAbM式定義およびカバット式定義が異なっている領域における、ヒト化SC104変異体の結合活性を増強するアミノ酸置換の特定
AbM式定義の重鎖CDR1は、そのカバット移植対応物と比較して、CDRのアミノ末端に追加的な5つの供与体アミノ酸残基を含んでいる(Table 1(表1))。AbM式定義のCDR-H1を含有するSC104変異体の一貫した効力増強は、それらのカバット移植対応物と比べて、驚くべきほどである。Table 3(表3)では、供与体(AbM CDR-H1移植体に含まれる)、1U6A、および1QLR受容体配列に由来するこれら5つのアミノ酸が比較されている。供与体および1U6A配列を比較すると、T30Sは保存的な変化であるため、非保存的な差異であるG27Yが、キメラと比較して、AbM式定義のCDR-H1を含有するヒト化変異体の効力増強の要因である可能性が最も高いと思われる。この置換(G27Y)を、カバット移植1QLR-SC104変異体配列番号27(+R)に組み込んで、配列番号29(+R+Y)を得た。この重鎖を、1QLRに基づく軽鎖配列番号8と共にCHO細胞で同時発現させ、その結果生じた抗体を、以前に記述したように精製した。比較のために、R71を有してないカバット式定義のCDR-H1が組み込まれている1QLRヒト化抗体(配列番号10)、およびR71を有するAbM式定義のCDR-H1が組み込まれている第2の変異体(配列番号26)を、フローサイトメトリーによる抗原陽性細胞系C170に対する生菌細胞結合活性の比較に含めた(図7)。意外にも、軽鎖および重鎖の組み合わせである配列番号8および配列番号29により産生された、その結果生じたヒト化抗体変異体は、結合活性を示さなかった。
【実施例3】
【0068】
より低い免疫原性が予測されるSC104変異体
予測されるT細胞エピトープについて、マウスSC104可変領域アミノ酸配列をin silicoでスクリーニングした(Epibase(登録商標)、Algonomics、ベルギー)。2つの予測される主要な組織適合複合体クラスII(MHCクラスII)結合ペプチドを特定した。これらは、重鎖のフレームワーク(FR)2:CDR-H2およびCDR-H2:FR3境界に位置する。それらの除去の予測が、抗体結合効力を変更する場合があるCDRアミノ酸残基の置換を伴っていたため、これらは特に興味深かった。
【0069】
重鎖VH領域は、MHCクラスII結合ペプチド除去を予測した
予測によると、マウスVH領域におけるFR2:CDR-H2 MHCクラスII結合ペプチドの強度は、CDR-H2配列HIHFSGRPTYNPSLSSの4位のフェニルアラニン残基をトリプトファン(配列番号30)、またはチロシン(配列番号31)、または優先的にプロリン(配列番号32)に置換すると低減されるだろうということが示唆された。これら重鎖を、軽鎖配列番号4と共にCHO細胞で同時発現させ、その結果生じた抗体を、以前に記述したようにプロテインAクロマトグラフィーで精製した。驚くべきことに、フローサイトメトリーに基づく結合活性をキメラSC104と比較することにより、置換F53WおよびF53Yは、キメラSC104で観察された強力な結合活性に対して無視できる程度の影響しか与えないが、置換F53Pは、その結果生じた抗体の結合効力を劇的に低減させたことが明らかなった(図8)。
【0070】
さらなるin silico免疫原性予測(ソフトウェアProPred、Singh,H.およびRaghava,G.P.S.(2001年) ProPred: Prediction of HLA-DR binding sites.、Bioinformatics、17巻(12号)、1236〜37頁。http://www.imtech.res.in/raghava/properd/)および/またはSYFPETHI (Rammensee、Bachmannら、1999);http://www.syfpeithi.de/Scripts/MHCServer.dll/EpitopePrediction.htm)は、この予測されたMHCクラスII結合ペプチドの強度が、SC104 CDR-H2をヒト受容体骨格1U6Aまたは1QLRに移植すると減少されることを示唆した。
【0071】
CDR-H2:FR3境界における第2の予測MHCクラスII結合ペプチドの存在は、マウスおよびヒト化SC104抗体配列の両方に存在することが予測された。
【0072】
より低い免疫原性が予測されるSC104変異体
1U6Aに基づくSC104および1QLRに基づくSC104の受容体フレームワークに基づいて、潜在的な主要組織適合複合体クラスII結合配列が除去された新規ヒト化変異体を生成した。手短に言えば、ヒト化軽鎖可変領域は、許容的(つまり、生殖細胞系)MHCクラスII結合配列を有することが予測されたに過ぎないが、1QLRおよび1U6Aの重鎖可変領域は、それぞれ1つおよび2つの強結合性主要組織適合複合体クラスII結合配列を有することが予測された。さらなる弱結合性推定MHCクラスII結合配列も、カバット法により定義されたCDR-H1の直前に予測された。それら予測MHCクラスII結合エピトープを除去することを目的とした置換戦略を開発した。配列番号33〜配列番号38に列挙されているような、免疫原性がより低いと予測される一群の1QLRに基づくSC104重鎖可変領域変異体を構築した。配列番号39〜配列番号50に詳述されているような、免疫原性がより低いと予測される一群の1U6Aに基づくSC104重鎖可変領域変異体も構築した。1QLRに基づく軽鎖配列番号8を、変異体配列番号33〜配列番号38のうちの各々1つと共にCHO細胞で同時発現させることを実施し、その結果生じた抗体を、以前に詳述したように精製した。同様に、1U6Aに基づく軽鎖配列番号7を、変異体配列番号39〜配列番号50のうちの各々1つと共にCHO細胞で同時発現させることを実施し、その結果生じた抗体を、以前に詳述したように精製した。
【0073】
免疫原性がより低いと予測されるヒト化SC104抗体変異体は、生菌細胞フローサイトメトリーアッセイで、SC104抗原(C170、Colo205)を発現するヒト結腸癌細胞に対する結合活性をキメラSC104と比較した。キメラ抗体の活性に匹敵する結合活性が、各々の場合で観察された。また、免疫原性がより低いと予測されるSC104変異体が、抗原陰性ヒト結腸癌細胞HCT116と結合しなかったため、SC104抗体結合は、細胞タイプ特異的だった。免疫原性がより低いと予測されるSC104変異体の強力で特異的な結合の例は、図9に示されている。
【0074】
免疫原性がより低いと予測されるSC104変異体に、最適な結合活性を付与する、重鎖可変領域における重要残基の特定
カバット式定義のCDR-H1の直前にあるフレームワーク領域のアミノ酸26〜30位にまたがる配列GY27SI29Sは、受容体フレームワーク1U6Aまたは1QLRに組み込まれた場合、免疫原性がより低いと予測されるSC104変異体に高い結合活性を付与した(図9)。対照的に、配列GY27SF29Sは、1QLR受容体フレームワークに基づく構築体に組み込まれた場合、驚くべきほどに不良な結合活性をもたらし、Y27が、高い結合活性の付与に関与する唯一の残基ではないことを示した(図7)。その後、結合活性に対する29位における様々なアミノ酸残基の影響を、1U6Aヒト化重鎖配列番号50のこの位置に存在するアミノ酸残基を変えることにより研究した。重鎖変異体を、軽鎖配列番号7と共にCHO細胞で同時発現させ、以前に記述したようにプロテインAアフィニティークロマトグラフィーで精製し、フローサイトメトリーで試験した。例示的な結合データは図10に示されており、Table 4(表4)では、試験したすべての置換の結合活性が要約されている。驚くべきことに、29位の残基I(配列番号50)、L(配列番号62)、またはV(配列番号70)のみが、免疫原性が低いと予測されるヒト化SC104抗体変異体に、最適な結合活性を付与したが、I29F(配列番号58)を含む大多数の置換は、SC104抗原陽性ヒト癌細胞C170に対する不良な結合活性をもたらした。
【0075】
最適で高い結合活性を有するヒト化変異体の産出における、可変重鎖のフレームワーク3のR71の重要性は、以前に実証された(図6)。免疫原性がより低いと予測される1U6Aに基づくSC104変異体の結合活性をさらに向上させるために、71位の残基を置換して、一群の重鎖変異体を生成した。その後これら変異体を、軽鎖配列番号7と共にCHO細胞で同時発現させ、以前に記述したように、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーで精製し、フローサイトメトリーで試験した。例示的な結合データは、図11に示されている。Table 5(表5)では、試験したすべての置換の結合活性が要約されている。意外にも、位置71の正荷電残基RおよびK(それぞれ配列番号50および81)のみが、ヒト化SC104抗体変異体に、SC104抗原陽性ヒト結腸癌細胞系C170に対する最も高い結合活性を付与した。
【0076】
CDR-H2におけるN-X-Sモチーフの修飾
N結合型グリコシル化は、タンパク質産物異質性に関連があり、潜在的に免疫原性に影響を及ぼすことが知られている。潜在的なN結合型グリコシル化部位に関するマウス可変領域の分析を実施した(例えば、(Ye、2007年)またはR. Gupta、E. Jung、およびS. Brunakによるhttp//www.cbs.dtu.dk/services/NetNGlyc/のソフトウェア予測アルゴリズムNetNGlyを参照)。この分析により、CDR-H2配列内にN-X-Sモチーフ、NPSが特定された。典型的には、N-X-Sモチーフは、推定N結合型グリコシル化部位を示すが、この規則の例外は、この場合のようにXがプロリン残基である場合である(例えば、(Gavelおよびvon Heijne、1990年)を参照)。それでもなお分析を実施して、CDR-H2におけるこのN残基が、結合活性の保持に関して変化に許容的だったかどうかを確かめた。キメラSC104配列におけるNPS配列を、DPSに変更して配列番号51を得た。軽鎖配列番号4と重鎖配列番号51とのCHO細胞における同時発現、およびその結果生じた産物のその後の精製(以前に記述したような)を実施した。その結果生じた抗体を、SC104抗原陽性細胞系C170に対するフローサイトメトリーに基づく結合アッセイで比較した。N->D置換によるCDR-H2内のN-X-Sモチーフの除去は、キメラSC104と比較すると、その結果生じた抗体の結合効力に無視できる程度の影響しか及ぼさなかった。
【実施例4】
【0077】
フローサイトメトリーに基づく直接的殺傷アッセイ
成育可能な腫瘍細胞(2×105、トリパンブルー排除法で判断した)を、実施例1に記述されているようなキメラSC104、ヒト化SC104抗体変異体、またはヒトIgG1アイソタイプ(Sigma-Aldrich(登録商標)社製)で分析した。配列番号8/配列番号26および配列番号8/配列番号38の1QLRに基づく変異体組み合わせに加えて、軽鎖および重鎖の組み合わせである配列番号7/配列番号25および配列番号7/配列番号50で構成される1U6Aに基づくヒト化SC104抗体変異体を、さらなる研究のために選択した。
【0078】
免疫原性がより低いと予測される新規ヒト化SC104抗体変異体は、ヒト結腸腫瘍細胞に対する強力な直接的殺傷活性を有する
免疫原性がより低いと予測されるヒト化SC104抗体変異体は、免疫エフェクター細胞を必要とせずにヒト結腸癌細胞の強力な直接的殺傷活性を示した。図12は、C170腫瘍細胞を使用した、これらヒト化SC104抗体変異体、キメラSC104抗体、およびヒトアイソタイプ対照による直接的殺傷の例を示している。Colo205腫瘍標的細胞を使用して試験した場合、同様の結果が得られた(データ非表示)。驚くべきことに、1U6A由来SC104抗体変異体(配列番号7/配列番号25および配列番号7/配列番号50)は、1QLRフレームワーク由来SC104抗体変異体(配列番号8/配列番号28および配列番号8/配列番号38)と比較して、より強力な直接的殺傷活性を示した。直接的殺傷活性のこの差異は、これらSC104抗体変異体の結合活性が同様であったことを考慮すると、意外であった(図9)。
【実施例5】
【0079】
抗体依存性細胞媒介性細胞障害(ADCC)アッセイ
エフェクター(末梢血単核)細胞を、製造業者のプロトコール(Axis-Shield PoC AS社製)に従ってLymphoprep(商標)を使用し、正常ヒト供与者(オーストラリア赤十字血液サービスにより提供された)の軟膜調製物から精製した。成育可能なエフェクター細胞(5×106/ml)を、10%のFCS を加えたRPMI1640(Gibco(登録商標)社製)中で、37℃および10%のCO2で一晩インキュベートした。腫瘍標的細胞およびエフェクター細胞をPBSで洗浄し、その後培地(0.5%のFCSを加えたフェノールレッドを有していないRPMI1640、Gibco(登録商標)社製)で洗浄し、培地に再懸濁し、種々の濃度の抗体(キメラSC104、ヒト化SC104、またはヒトIgG1アイソタイプ、Sigma-Aldrich(登録商標)社製、#15154)と共に、三重反復で、96穴U型ウェルプレート(Corning(登録商標)社製)の以下の終濃度の標的細胞、1×105細胞/ml;エフェクター細胞、2×106細胞/ml;10〜0.001μg/mlの抗体で構成される200μlのアッセイ中でインキュベートした。対照の場合、標的細胞のみを、1%のTriton(登録商標)-X(Sigma-Aldrich(登録商標)社製)の非存在下(最小標的)または存在下(最大標的)でインキュベートし、標的細胞およびエフェクター細胞(バックグラウンド)を、抗体の非存在下でインキュベートした。プレートを2分間160×gで遠心分離し、37℃の加湿CO2雰囲気で4時間インキュベートした。細胞死は、乳酸脱水素酵素放出アッセイを使用して測定した。手短に言えば、プレートを5分間250×gで遠心し、製造業者のガイドラインに従って細胞障害検出キット(Roche社製)を使用して、乳酸脱水素酵素放出について、100μlの細胞上清をアッセイした。細胞の持ち越し汚染を最小限に抑えるために、上清を、96穴0.2ミクロンAcroPrep(商標)プレート(Pall社製)でろ過した。LDH放出は、492nmの吸光度を測定することにより定量化し、細胞傷害のパーセントは、以下の式:100×[試料-平均(バックグラウンド)]/平均(最大標的-最小標的)を使用して計算し、EC50値は、GraphPad Prism(登録商標)ソフトウェアにより、非線形回帰分析を使用して計算した。
【0080】
補体依存性細胞傷害(CDC)アッセイ
成育可能な腫瘍標的細胞を、培地(5%のFCSを加えたフェノールレッドを有していないRPMI1640、Gibco(登録商標)社製)中、ヒト補体血清(Sigma-Aldrich(登録商標)社製、#S1764)および種々の濃度の抗体(キメラSC104、ヒト化SC104、またはヒトIgG1アイソタイプ、Sigma-Aldrich(登録商標)社製、#15154)と共に、三重反復で、96穴平底ウェルプレート(Corning(登録商標)社製)の、以下の終濃度:標的細胞(13.3×104細胞/ml);補体、15%;抗体範囲10〜0.01μg/mlで構成される150μlのアッセイ中でインキュベートした。対照の場合、標的細胞のみを、補体の非存在下(標的バックグラウンド)または存在下(標的および補体バックグラウンド)でインキュベートし、補体(補体バックグラウンド)を媒質のみの中でインキュベートした。プレートを160×gで2分間遠心分離し、37℃の加湿CO2雰囲気で2〜3時間インキュベートした。細胞死は、3〜4時間の追加的インキュベーションを含む製造業者のガイドラインに従ってCellTiter 96(登録商標)キット(Promega(登録商標)社製)を使用して測定した。標的細胞の死滅は、492nmの吸光度を測定することにより定量化し、細胞傷害のパーセントは、以下の式:100×[試料-平均(標的および補体バックグラウンド)]/[平均(標的バックグラウンド)-平均(標的および補体バックグラウンド)]を使用して計算し、EC50値は、GraphPad Prism(登録商標)ソフトウェアにより、非線形回帰分析を使用して計算した。
【0081】
免疫原性がより低いと予測される新規ヒト化SC104抗体変異体は、ヒト結腸腫瘍細胞に対する強力な細胞傷害性を示す
免疫原性がより低いと予測されるヒト化SC104変異体の結腸腫瘍細胞に対する細胞傷害性を、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害アッセイおよび補体依存性細胞傷害アッセイで試験した。ヒト化SC104抗体変異体およびキメラSC104抗体は、正常ヒト供与者の末梢血単核細胞を使用して、C170腫瘍細胞に対する強力な抗体依存性細胞媒介性細胞傷害活性を示したが、ヒトアイソタイプ対照は示さなかった(図13)。他のヒト供与者に由来する末梢血単核細胞を使用して、同様の結果が得られた(データ非表示)。図14は、同じ群のヒト化SC104抗体変異体およびキメラSC104抗体は、ヒト補体を使用して、Colo205腫瘍細胞に対する強力な補体依存性細胞傷害活性を示したが、ヒトアイソタイプ対照は示さなかった。加えて、免疫原性がより低いと予測される他のすべてのヒト化SC104抗体変異体は、Colo205腫瘍細胞に対する強力な抗体依存性細胞媒介性細胞傷害活性および補体依存性細胞傷害活性を示した(データ非表示)。様々な直接的細胞殺傷データと一致して、1U6A由来SC104抗体変異体は、1QLR由来SC104抗体変異体と比較して、より高い抗体依存性細胞媒介性細胞傷害活性および補体依存性細胞傷害活性を示した。様々なSC104抗体変異体の結合活性が同様であったことを考慮すると、免疫媒介性細胞傷害活性にこのような序列があることは意外だった(Table 6(表6))。
【実施例6】
【0082】
免疫組織化学検査プロトコール
10〜12人の異なる供与者に由来する各腫瘍タイプの試料を含有する多腫瘍ヒト組織マイクロアレイを、免疫組織化学法を使用して、ビオチン化ヒト化SC104抗体変異体に対する結合についてスクリーニングした。ビオチン化ヒトIgG1アイソタイプを、陰性対照染色に使用した。組織マイクロアレイ切片を、温度、圧力、およびpHの調節を含む、一連の異なる抗原検索戦略に供した。加えて、一次抗体の連続希釈を実施して、可能な限り最良の信号雑音比を得た。抗体による免疫反応性は、陽性細胞の染色強度およびパーセントに基づき、4段階の尺度での目視検査により類別した。
【0083】
ヒト化SC104抗体変異体は、種々のヒト癌タイプに結合する
異なるヒト患者に由来する多数の異なる癌タイプを、免疫原性がより低いと予測されるヒト化SC104抗体(配列番号7/配列番号50)との結合について分析した。ヒト化SC104抗体は、ヒト結腸癌組織に結合したが、ヒトアイソタイプ対照は、結合せず、使用された結合条件の特異性を実証した(データ非表示)。Table 7(表7)には、陽性膜染色が結腸癌に見出された(75%)ことが要約されている。驚くべきことに、陽性染色は、膵臓癌(70%)、ならびにより低い程度ではあるが、卵巣癌(25%)および肺癌(16.7%)に見出された。対照的に、分析された限定的な試料数では、染色は腎臓癌には観察されなかった。これらの結果は、免疫原性が低いと予測されるヒト化SC104抗体が、結腸直腸、膵臓、卵巣、および肺悪性疾患の兆候における腫瘍診断に有用であることを示す。加えて、免疫原性が低いと予測されるヒト化SC104抗体は、ヒトの結腸直腸癌、膵臓癌、卵巣癌、および肺癌の予防的治療に有用であることを企図することができる。in vivoでのそのような抗腫瘍効力は、マウス腫瘍異種移植モデルで評価することができる。
【実施例7】
【0084】
SC104抗体のエフェクター機能増強
抗体のエフェクター機能は、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害または補体依存性細胞傷害を増加させることにより、または抗体依存性細胞媒介性細胞傷害および補体依存性細胞傷害の組み合わせにより増強することができる。
【0085】
ADCC増強
抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)活性を増強するために、抗体のFc領域に対する標準的修飾を使用して、SC104抗体変異体およびキメラSC104を操作した。標準的方法には、例えば、抗体のFc領域のタンパク質工学または糖鎖工学が含まれる。
【0086】
タンパク質工学の例としては、Lazarら、2006年(Lazar、Dangら、2006年)により記述されているように、定常重鎖配列における突然変異を生成した。具体的には、S122D、S181A、I215E突然変異を、Fc配列配列番号52に導入して、配列番号53を形成した。多数のヒト化抗体を、実施例2に記述されているように、CHO細胞で発現させ、プロテインAクロマトグラフィーにより精製した後で、増強されたFc領域配列番号52を有するキメラ抗体と共に、ADCCアッセイで試験した。ADCC機能を、実施例5に記述されているように測定した。
【0087】
糖鎖工学の例としては、ヒト化SC104抗体変異体またはキメラSC104抗体を産生するCHO細胞を、Zhouら(Zhou、Shankaraら、2008年)に従ってキフネンシン(0.25μg/ml)と共に8〜10日間インキュベートした。
その後、実施例2に記述されているように、抗体を精製し、実施例5に記述されているように、ADCC機能を測定した。
【0088】
糖鎖工学の別の例では、Shinkawa T.ら、2003年(J Biol Chem 278巻:3466〜73頁)に記述されているようなPotelligent(登録商標)法を使用した。ヒト化抗体変異体の可変軽鎖および重鎖領域を、標準的定常領域骨格のIgG1として発現させた。定常重鎖の配列は、GenBank P01857.1であり、定常軽鎖の配列は、NCBI受入番号P01834だった。ADCC機能を、実施例5に記述されているように測定した。
【0089】
エフェクター増強SC104抗体変異体およびキメラSC104抗体は、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害を増加させた
一連の実験では、タンパク質工学または糖鎖工学を応用して、キメラSC104抗体および免疫原性が低いと予測されるSC104抗体変異体の抗体依存性細胞媒介性細胞傷害を増加させた。未修飾抗体と比較して、Fc操作(配列番号53)またはキフネンシン処理SC104ヒト化抗体変異体、およびキメラSC104抗体は、Colo205腫瘍細胞に対する抗体依存性細胞媒介性細胞傷害の増加を示した。図15は、免疫原性がより低いと予測されるキフネンシン処理ヒト化SC104抗体(配列番号7/配列番号50)による、ヒト結腸癌細胞WiDr(ATCC受入番号CCL-218)の殺傷の著しい増加の例を示している。図16は、免疫原性がより低いと予測されるPotelligent(登録商標)処理ヒト化SC104抗体(配列番号7/配列番号94、定常重鎖の配列および定常軽鎖の配列は、それぞれGenBank P01857.1およびNCBI受入番号P01834だった)による、ヒト結腸癌細胞Colo201(ATCC受入番号CCL-224)の殺傷の著しい増加の例を示している。
【実施例8】
【0090】
予防的マウス異種移植HT29腫瘍モデル
メスBALB/cヌードマウスを、2×106ヒト結腸癌HT29細胞(ATCC受入番号HTB-38)で皮下接種した。腫瘍細胞接種と同じ日(0日目)に、マウスを、体重に基づいて2つの治療群(1群当たりn=10)に無作為化した。各群を、ビヒクル対照(PBS、10ml/kg)またはヒト化SC104抗体(10mg/kg)のいずれかで腹腔内処置した。ビヒクル対照およびヒト化SC104抗体を、週2回で4週間投与した。腫瘍容積は、以下の式:容積(mm3)=長さ×直径2×π/6を使用して、週3回計算した。
【0091】
研究の経過中に、過剰な体重減少のために幾匹かのマウスを選別しなければならず、その結果マウス数は、ビヒクル対照治療群(n=6)および抗体治療群(n=9)に低減された。研究の終了時(27日目)に、死後にすべてのマウスから腫瘍を切除し、皮膚をきれいにし、計量した。
【0092】
治療的マウス異種移植Colo201腫瘍モデル
メス胸腺欠損マウスを、5×106ヒト結腸癌Colo201(ATCC受入番号CCL-224)で皮下接種した。腫瘍容積が約110mm3に達した後(0日目)、マウスを2つの治療群(1群当たりn=10)に無作為化した。各群を、ビヒクル対照(PBS、10ml/kg)またはヒト化Potelligent(登録商標)操作(実施例7に記述されているような)SC104抗体(10mg/kg)のいずれかで腹腔内処置した。ビヒクル対照およびヒト化Potelligent(登録商標)操作SC104抗体を、週2回38日間にわたって投与した。腫瘍容積は、以下の式を使用して、週2回計算した:容積(mm3)=1/2(a2×b)、式中、「a」は最小直径であり、「b」は最大直径である。
【0093】
免疫原性がより低いと予測されるヒト化SC104抗体のin vivoでの強力な抗腫瘍効力
免疫原性がより低いと予測されるヒト化SC104抗体(配列番号7/配列番号50)を用いた腫瘍保持マウスの治療は、予防的HT29腫瘍モデルでのビヒクル対照治療と比較して、腫瘍容積および腫瘍重量の著しい低減をもたらした(図17)。さらに、治療的Colo201治療モデルでは、免疫原性がより低いと予測されるヒト化Potelligent(登録商標)操作SC104抗体(配列番号7/配列番号94)は、著しい抗腫瘍活性を示した(図18)。
【0094】
免疫原性が低いと予測されるヒト化SC104抗体変異体は、単独治療として、または他の治療用抗腫瘍作用剤、例えば化学療法、低分子、生物剤と組み合わせて、ヒトの結腸直腸癌の治療に有用であることを企図することができる。
【0095】
【表1】
【0096】
【表2】
【0097】
【表3】
【0098】
【表4】
【0099】
【表5】
【0100】
【表6】
【0101】
【表7】
【0102】
(参考文献)
【0103】
配列番号1:マウスSC104重鎖可変領域のアミノ酸配列。
配列番号2:マウス可変領域およびヒトIgG1骨格(ヒトIgG1重鎖CH1、ヒンジ、CH2、CH3ドメイン)を有するキメラSC104重鎖のアミノ酸配列。
配列番号3:マウスSC104軽鎖可変領域のアミノ酸配列。
配列番号4:マウス可変領域およびヒト軽鎖定常領域を有するキメラSC104軽鎖のアミノ酸配列。
配列番号5:重鎖シグナル配列。
配列番号6:軽鎖シグナル配列。
配列番号7:置換A15Pが組み込まれている1U6Aに基づくSC104軽鎖ポリペプチド配列。
配列番号8:1QLRに基づくSC104軽鎖。
配列番号9:カバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号10:カバット移植1QLRに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号11:1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列のAbM移植CDR-H1、カバット式定義のCDR-H2、およびCDR-H3。
配列番号12:1QLRに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列のAbM移植CDR-H1、カバット式定義のCDR-H2、およびCDR-H3。
配列番号13:6つの置換が組み込まれている1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列のAbM移植CDR-H1、カバット式定義のCDR-H2、およびCDR-H3。
配列番号14:8つの置換が組み込まれている1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列のAbM移植CDR-H1、カバット式定義のCDR-H2、およびCDR-H3。
配列番号15:6つの置換が組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号16:3つの置換が組み込まれている1U6Aに基づくSC104軽鎖ポリペプチド配列。
配列番号17:4つの置換が組み込まれているカバット移植1QLRに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号18:2つの置換が組み込まれている1QLRに基づくSC104軽鎖ポリペプチド配列。
配列番号19:置換Q1EおよびQ46Eが組み込まれている1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列のAbM移植CDR-H1、カバット式定義のCDR-H2、およびCDR-H3。
配列番号20:置換Q1EおよびI48Mが組み込まれている1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列のAbM移植CDR-H1、カバット式定義のCDR-H2、およびCDR-H3。
配列番号21:置換Q1EおよびV67Iが組み込まれている1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列のAbM移植CDR-H1、カバット式定義のCDR-H2、およびCDR-H3。
配列番号22:置換Q1EおよびT68Sが組み込まれている1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列のAbM移植CDR-H1、カバット式定義のCDR-H2、およびCDR-H3。
配列番号23:置換Q1EおよびV71Rが組み込まれている1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列のAbM移植CDR-H1、カバット式定義のCDR-H2、およびCDR-H3。
配列番号24:置換Q1EおよびE72Dが組み込まれている1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列のAbM移植CDR-H1、カバット式定義のCDR-H2、およびCDR-H3。
配列番号25:置換V71Rが組み込まれている1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列のAbM移植CDR-H1、カバット式定義のCDR-H2、およびCDR-H3。
配列番号26:置換V71Rが組み込まれている1QLRに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列のAbM移植CDR-H1、カバット式定義のCDR-H2、およびCDR-H3。
配列番号27:置換V71Rが組み込まれているカバット移植1QLRに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号28:置換V71Rが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号29:置換G27YおよびV71Rが組み込まれているカバット移植1QLRに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号30:CDR-H2置換F53Wが組み込まれているマウス可変領域およびヒトIgG1骨格(ヒトIgG1重鎖CH1、ヒンジ、CH2、CH3ドメイン)を有するキメラSC104重鎖のアミノ酸配列。
配列番号31:CDR-H2置換F53Yが組み込まれているマウス可変領域およびヒトIgG1骨格(ヒトIgG1重鎖CH1、ヒンジ、CH2、CH3ドメイン)を有するキメラSC104重鎖のアミノ酸配列。
配列番号32:CDR-H2置換F53Pが組み込まれているマウス可変領域およびヒトIgG1骨格(ヒトIgG1重鎖CH1、ヒンジ、CH2、CH3ドメイン)を有するキメラSC104重鎖のアミノ酸配列。
配列番号33:置換S64KおよびV71Rが組み込まれている1QLRに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列のAbM移植CDR-H1、カバット式定義のCDR-H2、およびCDR-H3。
配列番号34:置換S64LおよびV71Rが組み込まれている1QLRに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列のAbM移植CDR-H1、カバット式定義のCDR-H2、およびCDR-H3。
配列番号35:置換S64HおよびV71Rが組み込まれている1QLRに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列のAbM移植CDR-H1、カバット式定義のCDR-H2、およびCDR-H3。
配列番号36:置換S64FおよびV71Rが組み込まれている1QLRに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列のAbM移植CDR-H1、カバット式定義のCDR-H2、およびCDR-H3。
配列番号37:置換S64RおよびV71Rが組み込まれている1QLRに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列のAbM移植CDR-H1、カバット式定義のCDR-H2、およびCDR-H3。
配列番号38:置換G27Y、F29I、T30S、S64KおよびV71Rが組み込まれているカバット移植1QLRに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号39:置換S64KおよびV71Rが組み込まれている1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列のAbM移植CDR-H1、カバット式定義のCDR-H2、およびCDR-H3。
配列番号40:置換S64LおよびV71Rが組み込まれている1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列のAbM移植CDR-H1、カバット式定義のCDR-H2、およびCDR-H3。
配列番号41:置換S64HおよびV71Rが組み込まれている1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列のAbM移植CDR-H1、カバット式定義のCDR-H2、およびCDR-H3。
配列番号42:置換S64FおよびV71Rが組み込まれている1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列のAbM移植CDR-H1、カバット式定義のCDR-H2、およびCDR-H3。
配列番号43:置換S64RおよびV71Rが組み込まれている1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列のAbM移植CDR-H1、カバット式定義のCDR-H2、およびCDR-H3。
配列番号44:置換S40PおよびV71Rが組み込まれている1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列のAbM移植CDR-H1、カバット式定義のCDR-H2、およびCDR-H3。
配列番号45:置換S40P、S64KおよびV71Rが組み込まれている1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列のAbM移植CDR-H1、カバット式定義のCDR-H2、およびCDR-H3。
配列番号46:置換S40P、S64LおよびV71Rが組み込まれている1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列のAbM移植CDR-H1、カバット式定義のCDR-H2、およびCDR-H3。
配列番号47:置換S40P、S64HおよびV71Rが組み込まれている1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列のAbM移植CDR-H1、カバット式定義のCDR-H2、およびCDR-H3。
配列番号48:置換S40P、S64FおよびV71Rが組み込まれている1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列のAbM移植CDR-H1、カバット式定義のCDR-H2、およびCDR-H3。
配列番号49:置換S40P、S64RおよびV71Rが組み込まれている1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列のAbM移植CDR-H1、カバット式定義のCDR-H2、およびCDR-H3。
配列番号50:置換G27Y、T30S、S40P、S64KおよびV71Rが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号51:置換N60Dが組み込まれているマウス可変領域およびヒトIgG1骨格(ヒトIgG1重鎖CH1、ヒンジ、CH2、CH3ドメイン)を有するキメラSC104重鎖のアミノ酸配列。
配列番号52:ヒンジ、CH1、CH2、およびCH3ドメインが組み込まれている重鎖定常領域。
配列番号53:アミノ酸置換S122D、S181A、I215Eが組み込まれているヒンジ、CH1、CH2、およびCH3ドメインが組み込まれている重鎖定常領域。
配列番号54:置換G27Y、I29A、T30S、S40P、S64KおよびV71Rが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号55:置換G27Y、I29C、T30S、S40P、S64KおよびV71Rが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号56:置換G27Y、I29D、T30S、S40P、S64KおよびV71Rが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号57:置換G27Y、I29E、T30S、S40P、S64KおよびV71Rが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号58:置換G27Y、I29F、T30S、S40P、S64KおよびV71Rが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号59:置換G27Y、I29G、T30S、S40P、S64KおよびV71Rが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号60:置換G27Y、I29H、T30S、S40P、S64KおよびV71Rが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号61:置換G27Y、I29K、T30S、S40P、S64KおよびV71Rが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号62:置換G27Y、I29L、T30S、S40P、S64KおよびV71Rが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号63:置換G27Y、I29M、T30S、S40P、S64KおよびV71Rが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号64:置換G27Y、I29N、T30S、S40P、S64KおよびV71Rが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号65:置換G27Y、I29P、T30S、S40P、S64KおよびV71Rが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号66:置換G27Y、I29Q、T30S、S40P、S64KおよびV71Rが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号67:置換G27Y、I29R、T30S、S40P、S64KおよびV71Rが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号68:置換G27Y、I29S、T30S、S40P、S64KおよびV71Rが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号69:置換G27Y、I29T、T30S、S40P、S64KおよびV71Rが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号70:置換G27Y、I29V、T30S、S40P、S64KおよびV71Rが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号71:置換G27Y、I29W、T30S、S40P、S64KおよびV71Rが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号72:置換G27Y、I29Y、T30S、S40P、S64KおよびV71Rが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号73:置換G27Y、T30S、S40P、S64KおよびV71Aが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号74:置換G27Y、T30S、S40P、S64KおよびV71Cが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号75:置換G27Y、T30S、S40P、S64KおよびV71Dが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号76:置換G27Y、T30S、S40P、S64KおよびV71Eが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号77:置換G27Y、T30S、S40P、S64KおよびV71Fが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号78:置換G27Y、T30S、S40P、S64KおよびV71Gが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号79:置換G27Y、T30S、S40P、S64KおよびV71Hが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号80:置換G27Y、T30S、S40P、S64KおよびV71Iが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号81:置換G27Y、T30S、S40P、S64KおよびV71Kが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号82:置換G27Y、T30S、S40P、S64KおよびV71Lが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号83:置換G27Y、T30S、S40P、S64KおよびV71Mが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号84:置換G27Y、T30S、S40P、S64KおよびV71Nが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号85:置換G27Y、T30S、S40P、S64KおよびV71Pが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号86:置換G27Y、T30S、S40P、S64KおよびV71Qが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号87:置換G27Y、T30S、S40P、S64KおよびV71Sが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号88:置換G27Y、T30S、S40P、S64KおよびV71Tが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号89:置換G27Y、T30S、S40P、S64KおよびV71Vが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号90:置換G27Y、T30S、S40P、S64KおよびV71Wが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号91:置換G27Y、T30S、S40P、S64KおよびV71Yが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
配列番号92:ヒンジ、CH1、CH2、およびCH3ドメインが組み込まれている重鎖定常領域。
配列番号93: 軽鎖定常ドメイン
配列番号94:置換G27Y、T30S、S40P、S64KおよびV71Rが組み込まれているカバット移植1U6Aに基づくSC104重鎖ポリペプチド配列。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
順に、第1のフレームワーク領域(FR1)、第1のCDR(CDR1)、第2のフレームワーク領域(FR2)、第2のCDR(CDR2)、第3のフレームワーク領域(FR3)、第3のCDR(CDR3)、および第4のフレームワーク領域(FR4)を含み、ここで
(i)FR1の配列が、X1VQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVX2GYSX3X4(配列番号95)であり、ここで
X1は、QまたはEであり、
X2が、SまたはTであり、
X3が、I、L、またはVであり、
X4が、SまたはTであり、
またはそれに対して少なくとも90%もしくは少なくとも95%類似した、好ましくは少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一である配列であり、
(ii)CDR1の配列が、SGYSWH(配列番号96)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも80%同一である配列であり、
(iii)FR2の配列が、WIRQX5PGKGLX6WX7G(配列番号97)であり、ここで
X5が、SまたはPであり、
X6が、QまたはEであり、
X7が、MまたはIであり、
またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
(iv)CDR2の配列が、HIHX8SGRPTYX9PSLX10S(配列番号98)であり、ここで
X8が、F、Y、またはWであり、
X9が、NまたはDであり、
X10が、K、L、H、F、R、またはSであり、
またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
(v)FR3の配列が、RX11X12ISX13X14TAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号99)であり、ここで
X11が、VまたはIであり
X12が、TまたはSであり、
X13が、RまたはKであり、
X14が、EまたはDであり、
またはそれに対して少なくとも90%もしくは少なくとも95%類似した、好ましくは少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一である配列であり、ただし6位の残基はRまたはKでなければならならず、
(vi)CDR3の配列が、KGKGSDDGLNY(配列番号100)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
(vii)FR4の配列が、WGQGTLVTVSS(配列番号101)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列である、VH抗体結合ドメイン。
【請求項2】
フレームワーク配列、ならびに前記フレームワーク配列内に配置されている第1、第2、および第3のCDRを含み、前記フレームワーク領域の配列が、配列QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGYSX3SWIRQPPGKGLQWIGRVTISX13ETAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCARWGQGTLVTVSS(配列番号102)に対して、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%同一であり、
ここで、X3が、I、L、またはVであり、X13が、RまたはKであり、
CDR1の配列が、SGYSWH(配列番号96)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも80%同一である配列であり、
CDR2の配列が、HIHX8SGRPTYX9PSLX10S(配列番号98)であり、ここで
X8が、F、Y、またはWであり、
X9が、NまたはDであり、
X10が、K、L、H、F、R、またはSであり、
またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
CDR3の配列が、KGKGSDDGLNY(配列番号100)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列である、VH抗体結合ドメイン。
【請求項3】
FR1の配列が、
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGYSIS、(配列番号103)
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGYSIT、(配列番号104)
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGYSLS、(配列番号105)
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGYSLT、(配列番号106)
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGYSVS、(配列番号107)
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGYSVT、(配列番号108)
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVTGYSIS、(配列番号109)
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVTGYSIT、(配列番号110)
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVTGYSLS、(配列番号111)
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVTGYSLT、(配列番号112)
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVTGYSVS、(配列番号113)
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVTGYSVT、(配列番号114)
EVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGYSIS、(配列番号115)
EVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGYSIT、(配列番号116)
EVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGYSLS、(配列番号117)
EVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGYSLT、(配列番号118)
EVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGYSVS、(配列番号119)
EVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGYSVT、(配列番号120)
EVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVTGYSIS、(配列番号121)
EVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVTGYSIT、(配列番号122)
EVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVTGYSLS、(配列番号123)
EVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVTGYSLT、(配列番号124)
EVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSTGYSVS、(配列番号125)および
EVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVTGYSVT(配列番号126)
からなる群から選択される、請求項1または請求項2に記載のVH抗体結合ドメイン。
【請求項4】
CDR1の配列が、SGYSWH(配列番号96)である、請求項1から3のいずれか一項に記載のVH抗体結合ドメイン。
【請求項5】
FR2の配列が、WIRQSPGKGLQWIG(配列番号127)、WIRQSPGKGLQWMG(配列番号128)、WIRQSPGKGLEWIG(配列番号129)、WIRQSPGKGLEWMG(配列番号130)、WIRQPPGKGLQWIG(配列番号131)、WIRQPPGKGLQWMG(配列番号132)、WIRQPPGKGLEWIG(配列番号133)、およびWIRQPPGKGLEWMG(配列番号134)からなる群から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載のVH抗体結合ドメイン。
【請求項6】
CDR2の配列が、
HIHFSGRPTYNPSLSS(配列番号135)、HIHFSGRPTYNPSLKS(配列番号136)、HIHFSGRPTYNPSLLS(配列番号137)、HIHFSGRPTYNPSLHS(配列番号138)、HIHFSGRPTYNPSLFS(配列番号139)、HIHFSGRPTYNPSLRS(配列番号140)、HIHWSGRPTYNPSLSS(配列番号141)、HIHWSGRPTYNPSLKS(配列番号142)、HIHWSGRPTYNPSLLS(配列番号143)、HIHWSGRPTYNPSLHS(配列番号144)、HIHWSGRPTYNPSLFS(配列番号145)、HIHWSGRPTYNPSLRS(配列番号146)、HIHYSGRPTYNPSLSS(配列番号147)、HIHYSGRPTYNPSLKS(配列番号148)、HIHYSGRPTYNPSLLS(配列番号149)、HIHYSGRPTYNPSLHS(配列番号150)、HIHYSGRPTYNPSLFS(配列番号151)、HIHYSGRPTYNPSLRS(配列番号152)、HIHFSGRPTYDPSLSS(配列番号153)、HIHFSGRPTYDPSLKS(配列番号154)、HIHFSGRPTYDPSLLS(配列番号155)、HIHFSGRPTYDPSLHS(配列番号156)、HIHFSGRPTYDPSLFS(配列番号157)、HIHFSGRPTYDPSLRS(配列番号158)、HIHWSGRPTYDPSLSS(配列番号159)、HIHWSGRPTYDPSLKS(配列番号160)、HIHWSGRPTYDPSLLS(配列番号161)、HIHWSGRPTYDPSLHS(配列番号162)、HIHWSGRPTYDPSLFS(配列番号163)、HIHWSGRPTYDPSLRS(配列番号164)、HIHYSGRPTYDPSLSS(配列番号165)、HIHYSGRPTYDPSLKS(配列番号166)、HIHYSGRPTYDPSLLS(配列番号167)、HIHYSGRPTYDPSLHS(配列番号168)、HIHYSGRPTYDPSLFS(配列番号169)、およびHIHYSGRPTYDPSLRS(配列番号170)
からなる群から選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載のVH抗体結合ドメイン。
【請求項7】
FR3の配列が、
RVTISRETAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号171)、
RVTISRDTAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号172)、
RVTISKETAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号173)、
RVTISKDTAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号174)、
RVSISRETAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号175)、
RVSISRDTAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号176)、
RVSISKETAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号177)、
RVSISKDTAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号178)、
RITISRETAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号179)、
RITISRDTAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号180)、
RITISKETAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号181)、
RITISKDTAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号182)、
RISISRETAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号183)、
RISISRDTAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号184)、
RISISKETAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号185)、および
RISISKDTAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号186)
からなる群から選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載のVH抗体結合ドメイン。
【請求項8】
CDR3の配列がKGKGSDDGLNY(配列番号100)である、請求項1から7のいずれか一項に記載のVH抗体結合ドメイン。
【請求項9】
FR4の配列がWGQGTLVTVSS(配列番号101)である、請求項1から8のいずれか一項に記載のVH抗体結合ドメイン。
【請求項10】
定常ドメインをさらに含む請求項1から9のいずれか一項に記載のVH抗体結合ドメイン。
【請求項11】
前記定常ドメインが、配列:
ASTKNPDVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号52);または
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号92);または
ASTKNPDVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPDVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNATYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPEEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号53)
を有する、請求項10に記載のVH抗体結合ドメイン。
【請求項12】
順に、第1のフレームワーク領域(FR1)、第1のCDR(CDR1)、第2のフレームワーク領域(FR2)、第2のCDR(CDR2)、第3のフレームワーク領域(FR3)、第3のCDR(CDR3)、および第4のフレームワーク領域(FR4)を含み、ここで
(i)FR1の配列が、EX13VLTQSPGTLSLSX14GERATLSC(配列番号187)であり、ここで
X13が、IまたはNであり、
X14が、AまたはPであり、
またはそれに対して少なくとも90%もしくは少なくとも95%類似した、好ましくは少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一である配列であり、
(ii)CDR1の配列が、SASSSLSYIH(配列番号188)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
(iii)FR2の配列が、WYQQKPGQAPRLLIY(配列番号189)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
(iv)CDR2の配列が、DTSNLAS(配列番号190)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも80%同一である配列であり、
(v)FR3の配列が、GIPDRFSGSGSGX15DFTLTISRVEPEDFAVYYC(配列番号191)であり、ここで
X15は、TまたはNであり、
またはそれに対して少なくとも90%もしくは少なくとも95%類似した、好ましくは少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一である配列であり、
(vi)CDR3の配列が、FQGSEYPLT(配列番号192)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも80%同一である配列であり、
(vii)FR4の配列が、FGQGTKLEIKR(配列番号193)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列である、VL抗体結合ドメイン。
【請求項13】
フレームワーク配列、ならびに前記フレームワーク配列内に配置されている第1、第2、および第3のCDRを含み、前記フレームワーク領域の配列が、配列
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCWYQQKPGQAPRLLIYGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRVEPEDFAVYYCFGQGTKLEIKR(配列番号194)
に対して、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%同一であり、
CDR1の配列が、SASSSLSYIH(配列番号188)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
CDR2の配列が、DTSNLAS(配列番号190)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも80%同一である配列であり、
CDR3の配列が、FQGSEYPLT(配列番号192)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも80%同一である配列である、VL抗体結合ドメイン。
【請求項14】
FR1の配列が、EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSC(配列番号195)、EIVLTQSPGTLSLSAGERATLSC(配列番号196)、ENVLTQSPGTLSLSPGERATLSC(配列番号197)、およびENVLTQSPGTLSLSAGERATLSC(配列番号198)
からなる群から選択される、請求項12または請求項13に記載のVL抗体結合ドメイン。
【請求項15】
CDR1の配列がSASSSLSYIH(配列番号188)である、請求項12から14のいずれか一項に記載のVL抗体結合ドメイン。
【請求項16】
FR2の配列が、WYQQKPGQAPRLLIY(配列番号189)である、請求項12から15のいずれか一項に記載のVL抗体結合ドメイン。
【請求項17】
CDR2の配列が、DTSNLAS(配列番号190)である、請求項12から16のいずれか一項に記載のVL抗体結合ドメイン。
【請求項18】
FR3の配列が、GIPDRFSGSGSGTDFTLTISRVEPEDFAVYYC(配列番号199)またはGIPDRFSGSGSGNDFTLTISRVEPEDFAVYYC(配列番号200)である、請求項12から17のいずれか一項に記載のVL抗体結合ドメイン。
【請求項19】
CDR3の配列が、FQGSEYPLT(配列番号192)である、請求項12から18のいずれか一項に記載のVL抗体結合ドメイン。
【請求項20】
FR4の配列が、FGQGTKLEIKR(配列番号193)である、請求項12から19のいずれか一項に記載のVL抗体結合ドメイン。
【請求項21】
定常ドメインをさらに含む、請求項12から20のいずれか一項に記載のVL抗体結合ドメイン。
【請求項22】
前記定常ドメインが、配列
TVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号93)
を有する、請求項21に記載のVL抗体結合ドメイン。
【請求項23】
請求項1から9のいずれか一項に記載のVH結合ドメイン、および請求項12から20のいずれか一項に記載のVL結合ドメインを含む抗体。
【請求項24】
前記VH結合ドメインおよび/またはVL結合ドメインが、定常ドメインをさらに含む、請求項23に記載の抗体。
【請求項25】
前記VH結合ドメインの前記定常ドメインが、以下の配列:
ASTKNPDVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号52);または
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号92);または
ASTKNPDVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPDVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNATYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPEEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号53)
を有する、請求項24に記載の抗体。
【請求項26】
前記VL抗体結合ドメインの前記定常ドメインが、配列
TVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号93)
を有する、請求項24または請求項25に記載の抗体。
【請求項27】
順に、第1のフレームワーク領域(FR1)、第1のCDR(CDR1)、第2のフレームワーク領域(FR2)、第2のCDR(CDR2)、第3のフレームワーク領域(FR3)、第3のCDR(CDR3)、および第4のフレームワーク領域(FR4)を含み、ここで
(i)FR1の配列が、EVQLQQWGAGLLKPSETLSLTCAVYGYSX18X19(配列番号201)であり、ここで
X18が、I、L、またはVであり、
X19が、SまたはTであり、
またはそれに対して少なくとも90%もしくは少なくとも95%類似した、好ましくは少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一である配列であり、
(ii)CDR1の配列が、SGYSWH(配列番号96)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも80%同一である配列であり、
(iii)FR2の配列が、WIRQPPGKGLEWX20G(配列番号202)であり、ここで
X20が、MまたはIであり、
またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
(iv)CDR2の配列が、HIHX21SGRPTYX22PSLX23S(配列番号98)であり、ここで
X21が、F、Y、またはWであり、
X22が、NまたはDであり、
X23が、K、L、H、F、R、またはSであり、
またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
(v)FR3の配列が、RX24X25ISX26DTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCAR(配列番号203)であり、ここで
X24が、VまたはIであり、
X25が、SまたはTであり、
X26が、RまたはKであり、
またはそれに対して少なくとも90%もしくは少なくとも95%類似した、好ましくは少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一である配列であり、ただし6位の残基はRまたはKでなければならならず、
(vi)CDR3の配列が、KGKGSDDGLNY(配列番号100)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
(vii)FR4の配列が、WGQGTLVTVSS(配列番号101)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列である、VH抗体結合ドメイン。
【請求項28】
フレームワーク配列、ならびに前記フレームワーク配列内に配置されている第1、第2、および第3のCDRを含み、前記フレームワーク領域の配列が、配列EVQLQQWGAGLLKPSETLSLTCAVYGYSX18SWIRQPPGKGLEWIGRVTISX26DTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARWGQGTLVTVSS(配列番号204)に対して、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%同一であり、
ここで、X18が、I、L、またはVであり、X26が、RまたはKであり、
CDR1の配列が、SGYSWH(配列番号96)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも80%同一である配列であり、
CDR2の配列が、HIHX21SGRPTYX22PSLX23S(配列番号98)であり、ここで
X21が、F、Y、またはWであり、
X22が、NまたはDであり、
X23が、K、L、H、F、R、またはSであり、
またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
CDR3の配列が、KGKGSDDGLNY(配列番号100)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列である、VH抗体結合ドメイン。
【請求項29】
FR1の配列が、
EVQLQQWGAGLLKPSETLSLTCAVYGYSIS(配列番号205)、EVQLQQWGAGLLKPSETLSLTCAVYGYSIT(配列番号206)、EVQLQQWGAGLLKPSETLSLTCAVYGYSLS(配列番号207)、EVQLQQWGAGLLKPSETLSLTCAVYGYSLT(配列番号208)、EVQLQQWGAGLLKPSETLSLTCAVYGYSVS(配列番号209)、およびEVQLQQWGAGLLKPSETLSLTCAVYGYSVT(配列番号210)
からなる群から選択される、請求項27または請求項28に記載のVH抗体結合ドメイン。
【請求項30】
CDR1の配列が、SGYSWH(配列番号96)である、請求項27から29のいずれか一項に記載のVH抗体結合ドメイン。
【請求項31】
FR2の配列が、WIRQPPGKGLEWIG(配列番号133)またはWIRQPPGKGLEWMG (配列番号134)である、請求項27から30のいずれか一項に記載のVH抗体結合ドメイン。
【請求項32】
CDR2の配列が、
HIHFSGRPTYNPSLSS(配列番号135)、HIHFSGRPTYNPSLKS(配列番号136)、HIHFSGRPTYNPSLLS(配列番号137)、HIHFSGRPTYNPSLHS(配列番号138)、HIHFSGRPTYNPSLFS(配列番号139)、HIHFSGRPTYNPSLRS(配列番号140)、HIHWSGRPTYNPSLSS(配列番号141)、HIHWSGRPTYNPSLKS(配列番号142)、HIHWSGRPTYNPSLLS(配列番号143)、HIHWSGRPTYNPSLHS(配列番号144)、HIHWSGRPTYNPSLFS(配列番号145)、HIHWSGRPTYNPSLRS(配列番号146)、HIHYSGRPTYNPSLSS(配列番号147)、HIHYSGRPTYNPSLKS(配列番号148)、HIHYSGRPTYNPSLLS(配列番号149)、HIHYSGRPTYNPSLHS(配列番号150)、HIHYSGRPTYNPSLFS(配列番号151)、HIHYSGRPTYNPSLRS(配列番号152)、HIHFSGRPTYDPSLSS(配列番号153)、HIHFSGRPTYDPSLKS(配列番号154)、HIHFSGRPTYDPSLLS(配列番号155)、HIHFSGRPTYDPSLHS(配列番号156)、HIHFSGRPTYDPSLFS(配列番号157)、HIHFSGRPTYDPSLRS(配列番号158)、HIHWSGRPTYDPSLSS(配列番号159)、HIHWSGRPTYDPSLKS(配列番号160)、HIHWSGRPTYDPSLLS(配列番号161)、HIHWSGRPTYDPSLHS(配列番号162)、HIHWSGRPTYDPSLFS(配列番号163)、HIHWSGRPTYDPSLRS(配列番号164)、HIHYSGRPTYDPSLSS(配列番号165)、HIHYSGRPTYDPSLKS(配列番号166)、HIHYSGRPTYDPSLLS(配列番号167)、HIHYSGRPTYDPSLHS(配列番号168)、HIHYSGRPTYDPSLFS(配列番号169)、およびHIHYSGRPTYDPSLRS(配列番号170)
からなる群から選択される、請求項27から31のいずれか一項に記載のVH抗体結合ドメイン。
【請求項33】
FR3の配列が、
RVTISRDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCAR(配列番号218)、RVTISKDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCAR(配列番号219)、RVSISRDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCAR(配列番号220)、RVSISKDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCAR(配列番号221)、RITISRDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCAR(配列番号222)、RITISKDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCAR(配列番号223)、RISISRDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCAR(配列番号224)、RISISKDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCAR(配列番号225)
からなる群から選択される、請求項27から32のいずれか一項に記載のVH抗体結合ドメイン。
【請求項34】
CDR3の配列がKGKGSDDGLNY(配列番号100)である、請求項27から33のいずれか一項に記載のVH抗体結合ドメイン。
【請求項35】
FR4の配列がWGQGTLVTVSS(配列番号101)である、請求項27から34のいずれか一項に記載のVH抗体結合ドメイン。
【請求項36】
定常ドメインをさらに含む請求項27から35のいずれか一項に記載のVH抗体結合ドメイン。
【請求項37】
前記定常ドメインが、配列:
ASTKNPDVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号52);または
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号92);または
ASTKNPDVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPDVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNATYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPEEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号53)
を有する、請求項36に記載のVH抗体結合ドメイン。
【請求項38】
順に、第1のフレームワーク領域(FR1)、第1のCDR(CDR1)、第2のフレームワーク領域(FR2)、第2のCDR(CDR2)、第3のフレームワーク領域(FR3)、第3のCDR(CDR3)、および第4のフレームワーク領域(FR4)を含み、ここで
(i)FR1の配列が、EX23VLTQSPATLSLSPGERATLSC(配列番号211)であり、ここで
X23が、IまたはNであり、
またはそれに対して少なくとも90%もしくは少なくとも95%類似した、好ましくは少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一である配列であり、
(ii)CDR1の配列が、SASSSLSYIH(配列番号188)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
(iii)FR2の配列が、WYQQKPGQAPRLLIY(配列番号189)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
(iv)CDR2の配列が、DTSNLAS(配列番号190)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも80%同一である配列であり、
(v)FR3の配列が、GIPDRFSGSGSGX24DFTLTISRLEPEDFAVYYC(配列番号212)であり、ここで
X24は、TまたはNであり、
またはそれに対して少なくとも90%もしくは少なくとも95%類似した、好ましくは少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一である配列であり、
(vi)CDR3の配列が、FQGSEYPLT(配列番号192)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも80%同一である配列であり、
(vii)FR4の配列が、FGGGTKVEIKR(配列番号193)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列である、VL抗体結合ドメイン。
【請求項39】
フレームワーク配列、ならびに前記フレームワーク配列内に配置されている第1、第2、および第3のCDRを含み、前記フレームワーク領域の配列が、配列EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCWYQQKPGQAPRLLIYGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCFGGGTKVEIKR(配列番号213)に対して、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%同一であり、
CDR1の配列が、SASSSLSYIH(配列番号188)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
CDR2の配列が、DTSNLAS(配列番号140)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも80%同一である配列であり、
CDR3の配列が、FQGSEYPLT(配列番号192)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも80%同一である配列である、VL抗体結合ドメイン。
【請求項40】
FR1の配列が、EIVLTQSPATLSLSPGERATLSC(配列番号214)またはENVLTQSPATLSLSPGERATLSC(配列番号215)からなる群から選択される、請求項38または請求項39に記載のVL抗体結合ドメイン。
【請求項41】
CDR1の配列が、SASSSLSYIH(配列番号188)である、請求項38から40のいずれか一項に記載のVL抗体結合ドメイン。
【請求項42】
FR2の配列が、WYQQKPGQAPRLLIY(配列番号189)である、請求項38から41のいずれか一項に記載のVL抗体結合ドメイン。
【請求項43】
CDR2の配列が、DTSNLAS(配列番号190)である、請求項38から42のいずれか一項に記載のVL抗体結合ドメイン。
【請求項44】
FR3の配列が、
GIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYC(配列番号216)またはGIPDRFSGSGSGNDFTLTISRLEPEDFAVYYC(配列番号217)
である、請求項38から43のいずれか一項に記載のVL抗体結合ドメイン。
【請求項45】
CDR3の配列が、FQGSEYPLT(配列番号192)である、請求項38から44のいずれか一項に記載のVL抗体結合ドメイン。
【請求項46】
FR4の配列が、FGGGTKVEIKR(配列番号193)である、請求項38から45のいずれか一項に記載のVL抗体結合ドメイン。
【請求項47】
定常ドメインをさらに含む、請求項38から46のいずれか一項に記載のVL抗体結合ドメイン。
【請求項48】
前記定常ドメインが、配列
TVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号93)
を有する、請求項47に記載のVL抗体結合ドメイン。
【請求項49】
請求項27から35のいずれか一項に記載のVH結合ドメイン、および請求項38から46のいずれか一項に記載のVL結合ドメインを含む抗体。
【請求項50】
前記VH結合ドメインおよび/またはVL結合ドメインが、定常ドメインをさらに含む、請求項49に記載の抗体。
【請求項51】
前記VH結合ドメインの前記定常ドメインが、配列:
ASTKNPDVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号52);または
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号92);または
ASTKNPDVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPDVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNATYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPEEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号53)
を有する、請求項50に記載の抗体。
【請求項52】
前記VL結合ドメインの前記定常ドメインが、配列
TVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号93)
を有する、請求項50または請求項51に記載の抗体。
【請求項53】
2つの軽鎖および2つの重鎖を含む抗体であって、前記軽鎖の配列が、配列番号7に示されている通りであり、前記重鎖の配列が、配列番号50に示される通りである抗体。
【請求項54】
2つの軽鎖および2つの重鎖を含む抗体であって、前記軽鎖の配列が、配列番号7に示されている通りであり、前記重鎖の配列が、配列番号94に示される通りである抗体。
【請求項55】
前記抗体が、低減されたレベルのフコースを有する、請求項23から26または49から54のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項56】
対象の癌を治療する方法であって、前記癌が、結腸直腸、卵巣、膵臓、前立腺、および肺からなる群から選択され、請求項1から55のいずれか一項に記載の治療上有効量の結合ドメインまたは抗体を、前記対象に投与することを含む方法。
【請求項57】
試料中の癌細胞の存在を検出する方法であって、前記細胞試料を、請求項1から55のいずれか一項に記載の結合ドメインまたは抗体と接触させるステップと、前記細胞に対する前記結合ドメインまたは抗体の結合を検出するステップとを含む方法。
【請求項1】
順に、第1のフレームワーク領域(FR1)、第1のCDR(CDR1)、第2のフレームワーク領域(FR2)、第2のCDR(CDR2)、第3のフレームワーク領域(FR3)、第3のCDR(CDR3)、および第4のフレームワーク領域(FR4)を含み、ここで
(i)FR1の配列が、X1VQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVX2GYSX3X4(配列番号95)であり、ここで
X1は、QまたはEであり、
X2が、SまたはTであり、
X3が、I、L、またはVであり、
X4が、SまたはTであり、
またはそれに対して少なくとも90%もしくは少なくとも95%類似した、好ましくは少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一である配列であり、
(ii)CDR1の配列が、SGYSWH(配列番号96)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも80%同一である配列であり、
(iii)FR2の配列が、WIRQX5PGKGLX6WX7G(配列番号97)であり、ここで
X5が、SまたはPであり、
X6が、QまたはEであり、
X7が、MまたはIであり、
またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
(iv)CDR2の配列が、HIHX8SGRPTYX9PSLX10S(配列番号98)であり、ここで
X8が、F、Y、またはWであり、
X9が、NまたはDであり、
X10が、K、L、H、F、R、またはSであり、
またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
(v)FR3の配列が、RX11X12ISX13X14TAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号99)であり、ここで
X11が、VまたはIであり
X12が、TまたはSであり、
X13が、RまたはKであり、
X14が、EまたはDであり、
またはそれに対して少なくとも90%もしくは少なくとも95%類似した、好ましくは少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一である配列であり、ただし6位の残基はRまたはKでなければならならず、
(vi)CDR3の配列が、KGKGSDDGLNY(配列番号100)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
(vii)FR4の配列が、WGQGTLVTVSS(配列番号101)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列である、VH抗体結合ドメイン。
【請求項2】
フレームワーク配列、ならびに前記フレームワーク配列内に配置されている第1、第2、および第3のCDRを含み、前記フレームワーク領域の配列が、配列QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGYSX3SWIRQPPGKGLQWIGRVTISX13ETAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCARWGQGTLVTVSS(配列番号102)に対して、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%同一であり、
ここで、X3が、I、L、またはVであり、X13が、RまたはKであり、
CDR1の配列が、SGYSWH(配列番号96)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも80%同一である配列であり、
CDR2の配列が、HIHX8SGRPTYX9PSLX10S(配列番号98)であり、ここで
X8が、F、Y、またはWであり、
X9が、NまたはDであり、
X10が、K、L、H、F、R、またはSであり、
またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
CDR3の配列が、KGKGSDDGLNY(配列番号100)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列である、VH抗体結合ドメイン。
【請求項3】
FR1の配列が、
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGYSIS、(配列番号103)
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGYSIT、(配列番号104)
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGYSLS、(配列番号105)
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGYSLT、(配列番号106)
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGYSVS、(配列番号107)
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGYSVT、(配列番号108)
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVTGYSIS、(配列番号109)
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVTGYSIT、(配列番号110)
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVTGYSLS、(配列番号111)
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVTGYSLT、(配列番号112)
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVTGYSVS、(配列番号113)
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVTGYSVT、(配列番号114)
EVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGYSIS、(配列番号115)
EVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGYSIT、(配列番号116)
EVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGYSLS、(配列番号117)
EVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGYSLT、(配列番号118)
EVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGYSVS、(配列番号119)
EVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGYSVT、(配列番号120)
EVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVTGYSIS、(配列番号121)
EVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVTGYSIT、(配列番号122)
EVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVTGYSLS、(配列番号123)
EVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVTGYSLT、(配列番号124)
EVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSTGYSVS、(配列番号125)および
EVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVTGYSVT(配列番号126)
からなる群から選択される、請求項1または請求項2に記載のVH抗体結合ドメイン。
【請求項4】
CDR1の配列が、SGYSWH(配列番号96)である、請求項1から3のいずれか一項に記載のVH抗体結合ドメイン。
【請求項5】
FR2の配列が、WIRQSPGKGLQWIG(配列番号127)、WIRQSPGKGLQWMG(配列番号128)、WIRQSPGKGLEWIG(配列番号129)、WIRQSPGKGLEWMG(配列番号130)、WIRQPPGKGLQWIG(配列番号131)、WIRQPPGKGLQWMG(配列番号132)、WIRQPPGKGLEWIG(配列番号133)、およびWIRQPPGKGLEWMG(配列番号134)からなる群から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載のVH抗体結合ドメイン。
【請求項6】
CDR2の配列が、
HIHFSGRPTYNPSLSS(配列番号135)、HIHFSGRPTYNPSLKS(配列番号136)、HIHFSGRPTYNPSLLS(配列番号137)、HIHFSGRPTYNPSLHS(配列番号138)、HIHFSGRPTYNPSLFS(配列番号139)、HIHFSGRPTYNPSLRS(配列番号140)、HIHWSGRPTYNPSLSS(配列番号141)、HIHWSGRPTYNPSLKS(配列番号142)、HIHWSGRPTYNPSLLS(配列番号143)、HIHWSGRPTYNPSLHS(配列番号144)、HIHWSGRPTYNPSLFS(配列番号145)、HIHWSGRPTYNPSLRS(配列番号146)、HIHYSGRPTYNPSLSS(配列番号147)、HIHYSGRPTYNPSLKS(配列番号148)、HIHYSGRPTYNPSLLS(配列番号149)、HIHYSGRPTYNPSLHS(配列番号150)、HIHYSGRPTYNPSLFS(配列番号151)、HIHYSGRPTYNPSLRS(配列番号152)、HIHFSGRPTYDPSLSS(配列番号153)、HIHFSGRPTYDPSLKS(配列番号154)、HIHFSGRPTYDPSLLS(配列番号155)、HIHFSGRPTYDPSLHS(配列番号156)、HIHFSGRPTYDPSLFS(配列番号157)、HIHFSGRPTYDPSLRS(配列番号158)、HIHWSGRPTYDPSLSS(配列番号159)、HIHWSGRPTYDPSLKS(配列番号160)、HIHWSGRPTYDPSLLS(配列番号161)、HIHWSGRPTYDPSLHS(配列番号162)、HIHWSGRPTYDPSLFS(配列番号163)、HIHWSGRPTYDPSLRS(配列番号164)、HIHYSGRPTYDPSLSS(配列番号165)、HIHYSGRPTYDPSLKS(配列番号166)、HIHYSGRPTYDPSLLS(配列番号167)、HIHYSGRPTYDPSLHS(配列番号168)、HIHYSGRPTYDPSLFS(配列番号169)、およびHIHYSGRPTYDPSLRS(配列番号170)
からなる群から選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載のVH抗体結合ドメイン。
【請求項7】
FR3の配列が、
RVTISRETAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号171)、
RVTISRDTAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号172)、
RVTISKETAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号173)、
RVTISKDTAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号174)、
RVSISRETAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号175)、
RVSISRDTAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号176)、
RVSISKETAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号177)、
RVSISKDTAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号178)、
RITISRETAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号179)、
RITISRDTAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号180)、
RITISKETAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号181)、
RITISKDTAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号182)、
RISISRETAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号183)、
RISISRDTAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号184)、
RISISKETAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号185)、および
RISISKDTAKNQFSLKLTSMTAADTAVYYCAR(配列番号186)
からなる群から選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載のVH抗体結合ドメイン。
【請求項8】
CDR3の配列がKGKGSDDGLNY(配列番号100)である、請求項1から7のいずれか一項に記載のVH抗体結合ドメイン。
【請求項9】
FR4の配列がWGQGTLVTVSS(配列番号101)である、請求項1から8のいずれか一項に記載のVH抗体結合ドメイン。
【請求項10】
定常ドメインをさらに含む請求項1から9のいずれか一項に記載のVH抗体結合ドメイン。
【請求項11】
前記定常ドメインが、配列:
ASTKNPDVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号52);または
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号92);または
ASTKNPDVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPDVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNATYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPEEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号53)
を有する、請求項10に記載のVH抗体結合ドメイン。
【請求項12】
順に、第1のフレームワーク領域(FR1)、第1のCDR(CDR1)、第2のフレームワーク領域(FR2)、第2のCDR(CDR2)、第3のフレームワーク領域(FR3)、第3のCDR(CDR3)、および第4のフレームワーク領域(FR4)を含み、ここで
(i)FR1の配列が、EX13VLTQSPGTLSLSX14GERATLSC(配列番号187)であり、ここで
X13が、IまたはNであり、
X14が、AまたはPであり、
またはそれに対して少なくとも90%もしくは少なくとも95%類似した、好ましくは少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一である配列であり、
(ii)CDR1の配列が、SASSSLSYIH(配列番号188)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
(iii)FR2の配列が、WYQQKPGQAPRLLIY(配列番号189)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
(iv)CDR2の配列が、DTSNLAS(配列番号190)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも80%同一である配列であり、
(v)FR3の配列が、GIPDRFSGSGSGX15DFTLTISRVEPEDFAVYYC(配列番号191)であり、ここで
X15は、TまたはNであり、
またはそれに対して少なくとも90%もしくは少なくとも95%類似した、好ましくは少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一である配列であり、
(vi)CDR3の配列が、FQGSEYPLT(配列番号192)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも80%同一である配列であり、
(vii)FR4の配列が、FGQGTKLEIKR(配列番号193)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列である、VL抗体結合ドメイン。
【請求項13】
フレームワーク配列、ならびに前記フレームワーク配列内に配置されている第1、第2、および第3のCDRを含み、前記フレームワーク領域の配列が、配列
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCWYQQKPGQAPRLLIYGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRVEPEDFAVYYCFGQGTKLEIKR(配列番号194)
に対して、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%同一であり、
CDR1の配列が、SASSSLSYIH(配列番号188)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
CDR2の配列が、DTSNLAS(配列番号190)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも80%同一である配列であり、
CDR3の配列が、FQGSEYPLT(配列番号192)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも80%同一である配列である、VL抗体結合ドメイン。
【請求項14】
FR1の配列が、EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSC(配列番号195)、EIVLTQSPGTLSLSAGERATLSC(配列番号196)、ENVLTQSPGTLSLSPGERATLSC(配列番号197)、およびENVLTQSPGTLSLSAGERATLSC(配列番号198)
からなる群から選択される、請求項12または請求項13に記載のVL抗体結合ドメイン。
【請求項15】
CDR1の配列がSASSSLSYIH(配列番号188)である、請求項12から14のいずれか一項に記載のVL抗体結合ドメイン。
【請求項16】
FR2の配列が、WYQQKPGQAPRLLIY(配列番号189)である、請求項12から15のいずれか一項に記載のVL抗体結合ドメイン。
【請求項17】
CDR2の配列が、DTSNLAS(配列番号190)である、請求項12から16のいずれか一項に記載のVL抗体結合ドメイン。
【請求項18】
FR3の配列が、GIPDRFSGSGSGTDFTLTISRVEPEDFAVYYC(配列番号199)またはGIPDRFSGSGSGNDFTLTISRVEPEDFAVYYC(配列番号200)である、請求項12から17のいずれか一項に記載のVL抗体結合ドメイン。
【請求項19】
CDR3の配列が、FQGSEYPLT(配列番号192)である、請求項12から18のいずれか一項に記載のVL抗体結合ドメイン。
【請求項20】
FR4の配列が、FGQGTKLEIKR(配列番号193)である、請求項12から19のいずれか一項に記載のVL抗体結合ドメイン。
【請求項21】
定常ドメインをさらに含む、請求項12から20のいずれか一項に記載のVL抗体結合ドメイン。
【請求項22】
前記定常ドメインが、配列
TVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号93)
を有する、請求項21に記載のVL抗体結合ドメイン。
【請求項23】
請求項1から9のいずれか一項に記載のVH結合ドメイン、および請求項12から20のいずれか一項に記載のVL結合ドメインを含む抗体。
【請求項24】
前記VH結合ドメインおよび/またはVL結合ドメインが、定常ドメインをさらに含む、請求項23に記載の抗体。
【請求項25】
前記VH結合ドメインの前記定常ドメインが、以下の配列:
ASTKNPDVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号52);または
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号92);または
ASTKNPDVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPDVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNATYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPEEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号53)
を有する、請求項24に記載の抗体。
【請求項26】
前記VL抗体結合ドメインの前記定常ドメインが、配列
TVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号93)
を有する、請求項24または請求項25に記載の抗体。
【請求項27】
順に、第1のフレームワーク領域(FR1)、第1のCDR(CDR1)、第2のフレームワーク領域(FR2)、第2のCDR(CDR2)、第3のフレームワーク領域(FR3)、第3のCDR(CDR3)、および第4のフレームワーク領域(FR4)を含み、ここで
(i)FR1の配列が、EVQLQQWGAGLLKPSETLSLTCAVYGYSX18X19(配列番号201)であり、ここで
X18が、I、L、またはVであり、
X19が、SまたはTであり、
またはそれに対して少なくとも90%もしくは少なくとも95%類似した、好ましくは少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一である配列であり、
(ii)CDR1の配列が、SGYSWH(配列番号96)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも80%同一である配列であり、
(iii)FR2の配列が、WIRQPPGKGLEWX20G(配列番号202)であり、ここで
X20が、MまたはIであり、
またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
(iv)CDR2の配列が、HIHX21SGRPTYX22PSLX23S(配列番号98)であり、ここで
X21が、F、Y、またはWであり、
X22が、NまたはDであり、
X23が、K、L、H、F、R、またはSであり、
またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
(v)FR3の配列が、RX24X25ISX26DTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCAR(配列番号203)であり、ここで
X24が、VまたはIであり、
X25が、SまたはTであり、
X26が、RまたはKであり、
またはそれに対して少なくとも90%もしくは少なくとも95%類似した、好ましくは少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一である配列であり、ただし6位の残基はRまたはKでなければならならず、
(vi)CDR3の配列が、KGKGSDDGLNY(配列番号100)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
(vii)FR4の配列が、WGQGTLVTVSS(配列番号101)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列である、VH抗体結合ドメイン。
【請求項28】
フレームワーク配列、ならびに前記フレームワーク配列内に配置されている第1、第2、および第3のCDRを含み、前記フレームワーク領域の配列が、配列EVQLQQWGAGLLKPSETLSLTCAVYGYSX18SWIRQPPGKGLEWIGRVTISX26DTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARWGQGTLVTVSS(配列番号204)に対して、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%同一であり、
ここで、X18が、I、L、またはVであり、X26が、RまたはKであり、
CDR1の配列が、SGYSWH(配列番号96)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも80%同一である配列であり、
CDR2の配列が、HIHX21SGRPTYX22PSLX23S(配列番号98)であり、ここで
X21が、F、Y、またはWであり、
X22が、NまたはDであり、
X23が、K、L、H、F、R、またはSであり、
またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
CDR3の配列が、KGKGSDDGLNY(配列番号100)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列である、VH抗体結合ドメイン。
【請求項29】
FR1の配列が、
EVQLQQWGAGLLKPSETLSLTCAVYGYSIS(配列番号205)、EVQLQQWGAGLLKPSETLSLTCAVYGYSIT(配列番号206)、EVQLQQWGAGLLKPSETLSLTCAVYGYSLS(配列番号207)、EVQLQQWGAGLLKPSETLSLTCAVYGYSLT(配列番号208)、EVQLQQWGAGLLKPSETLSLTCAVYGYSVS(配列番号209)、およびEVQLQQWGAGLLKPSETLSLTCAVYGYSVT(配列番号210)
からなる群から選択される、請求項27または請求項28に記載のVH抗体結合ドメイン。
【請求項30】
CDR1の配列が、SGYSWH(配列番号96)である、請求項27から29のいずれか一項に記載のVH抗体結合ドメイン。
【請求項31】
FR2の配列が、WIRQPPGKGLEWIG(配列番号133)またはWIRQPPGKGLEWMG (配列番号134)である、請求項27から30のいずれか一項に記載のVH抗体結合ドメイン。
【請求項32】
CDR2の配列が、
HIHFSGRPTYNPSLSS(配列番号135)、HIHFSGRPTYNPSLKS(配列番号136)、HIHFSGRPTYNPSLLS(配列番号137)、HIHFSGRPTYNPSLHS(配列番号138)、HIHFSGRPTYNPSLFS(配列番号139)、HIHFSGRPTYNPSLRS(配列番号140)、HIHWSGRPTYNPSLSS(配列番号141)、HIHWSGRPTYNPSLKS(配列番号142)、HIHWSGRPTYNPSLLS(配列番号143)、HIHWSGRPTYNPSLHS(配列番号144)、HIHWSGRPTYNPSLFS(配列番号145)、HIHWSGRPTYNPSLRS(配列番号146)、HIHYSGRPTYNPSLSS(配列番号147)、HIHYSGRPTYNPSLKS(配列番号148)、HIHYSGRPTYNPSLLS(配列番号149)、HIHYSGRPTYNPSLHS(配列番号150)、HIHYSGRPTYNPSLFS(配列番号151)、HIHYSGRPTYNPSLRS(配列番号152)、HIHFSGRPTYDPSLSS(配列番号153)、HIHFSGRPTYDPSLKS(配列番号154)、HIHFSGRPTYDPSLLS(配列番号155)、HIHFSGRPTYDPSLHS(配列番号156)、HIHFSGRPTYDPSLFS(配列番号157)、HIHFSGRPTYDPSLRS(配列番号158)、HIHWSGRPTYDPSLSS(配列番号159)、HIHWSGRPTYDPSLKS(配列番号160)、HIHWSGRPTYDPSLLS(配列番号161)、HIHWSGRPTYDPSLHS(配列番号162)、HIHWSGRPTYDPSLFS(配列番号163)、HIHWSGRPTYDPSLRS(配列番号164)、HIHYSGRPTYDPSLSS(配列番号165)、HIHYSGRPTYDPSLKS(配列番号166)、HIHYSGRPTYDPSLLS(配列番号167)、HIHYSGRPTYDPSLHS(配列番号168)、HIHYSGRPTYDPSLFS(配列番号169)、およびHIHYSGRPTYDPSLRS(配列番号170)
からなる群から選択される、請求項27から31のいずれか一項に記載のVH抗体結合ドメイン。
【請求項33】
FR3の配列が、
RVTISRDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCAR(配列番号218)、RVTISKDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCAR(配列番号219)、RVSISRDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCAR(配列番号220)、RVSISKDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCAR(配列番号221)、RITISRDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCAR(配列番号222)、RITISKDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCAR(配列番号223)、RISISRDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCAR(配列番号224)、RISISKDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCAR(配列番号225)
からなる群から選択される、請求項27から32のいずれか一項に記載のVH抗体結合ドメイン。
【請求項34】
CDR3の配列がKGKGSDDGLNY(配列番号100)である、請求項27から33のいずれか一項に記載のVH抗体結合ドメイン。
【請求項35】
FR4の配列がWGQGTLVTVSS(配列番号101)である、請求項27から34のいずれか一項に記載のVH抗体結合ドメイン。
【請求項36】
定常ドメインをさらに含む請求項27から35のいずれか一項に記載のVH抗体結合ドメイン。
【請求項37】
前記定常ドメインが、配列:
ASTKNPDVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号52);または
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号92);または
ASTKNPDVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPDVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNATYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPEEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号53)
を有する、請求項36に記載のVH抗体結合ドメイン。
【請求項38】
順に、第1のフレームワーク領域(FR1)、第1のCDR(CDR1)、第2のフレームワーク領域(FR2)、第2のCDR(CDR2)、第3のフレームワーク領域(FR3)、第3のCDR(CDR3)、および第4のフレームワーク領域(FR4)を含み、ここで
(i)FR1の配列が、EX23VLTQSPATLSLSPGERATLSC(配列番号211)であり、ここで
X23が、IまたはNであり、
またはそれに対して少なくとも90%もしくは少なくとも95%類似した、好ましくは少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一である配列であり、
(ii)CDR1の配列が、SASSSLSYIH(配列番号188)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
(iii)FR2の配列が、WYQQKPGQAPRLLIY(配列番号189)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
(iv)CDR2の配列が、DTSNLAS(配列番号190)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも80%同一である配列であり、
(v)FR3の配列が、GIPDRFSGSGSGX24DFTLTISRLEPEDFAVYYC(配列番号212)であり、ここで
X24は、TまたはNであり、
またはそれに対して少なくとも90%もしくは少なくとも95%類似した、好ましくは少なくとも90%もしくは少なくとも95%同一である配列であり、
(vi)CDR3の配列が、FQGSEYPLT(配列番号192)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも80%同一である配列であり、
(vii)FR4の配列が、FGGGTKVEIKR(配列番号193)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列である、VL抗体結合ドメイン。
【請求項39】
フレームワーク配列、ならびに前記フレームワーク配列内に配置されている第1、第2、および第3のCDRを含み、前記フレームワーク領域の配列が、配列EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCWYQQKPGQAPRLLIYGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCFGGGTKVEIKR(配列番号213)に対して、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%同一であり、
CDR1の配列が、SASSSLSYIH(配列番号188)、またはそれに対して少なくとも90%類似した、好ましくは少なくとも90%同一である配列であり、
CDR2の配列が、DTSNLAS(配列番号140)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも80%同一である配列であり、
CDR3の配列が、FQGSEYPLT(配列番号192)、またはそれに対して少なくとも80%類似した、好ましくは少なくとも80%同一である配列である、VL抗体結合ドメイン。
【請求項40】
FR1の配列が、EIVLTQSPATLSLSPGERATLSC(配列番号214)またはENVLTQSPATLSLSPGERATLSC(配列番号215)からなる群から選択される、請求項38または請求項39に記載のVL抗体結合ドメイン。
【請求項41】
CDR1の配列が、SASSSLSYIH(配列番号188)である、請求項38から40のいずれか一項に記載のVL抗体結合ドメイン。
【請求項42】
FR2の配列が、WYQQKPGQAPRLLIY(配列番号189)である、請求項38から41のいずれか一項に記載のVL抗体結合ドメイン。
【請求項43】
CDR2の配列が、DTSNLAS(配列番号190)である、請求項38から42のいずれか一項に記載のVL抗体結合ドメイン。
【請求項44】
FR3の配列が、
GIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYC(配列番号216)またはGIPDRFSGSGSGNDFTLTISRLEPEDFAVYYC(配列番号217)
である、請求項38から43のいずれか一項に記載のVL抗体結合ドメイン。
【請求項45】
CDR3の配列が、FQGSEYPLT(配列番号192)である、請求項38から44のいずれか一項に記載のVL抗体結合ドメイン。
【請求項46】
FR4の配列が、FGGGTKVEIKR(配列番号193)である、請求項38から45のいずれか一項に記載のVL抗体結合ドメイン。
【請求項47】
定常ドメインをさらに含む、請求項38から46のいずれか一項に記載のVL抗体結合ドメイン。
【請求項48】
前記定常ドメインが、配列
TVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号93)
を有する、請求項47に記載のVL抗体結合ドメイン。
【請求項49】
請求項27から35のいずれか一項に記載のVH結合ドメイン、および請求項38から46のいずれか一項に記載のVL結合ドメインを含む抗体。
【請求項50】
前記VH結合ドメインおよび/またはVL結合ドメインが、定常ドメインをさらに含む、請求項49に記載の抗体。
【請求項51】
前記VH結合ドメインの前記定常ドメインが、配列:
ASTKNPDVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号52);または
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号92);または
ASTKNPDVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPDVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNATYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPEEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号53)
を有する、請求項50に記載の抗体。
【請求項52】
前記VL結合ドメインの前記定常ドメインが、配列
TVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号93)
を有する、請求項50または請求項51に記載の抗体。
【請求項53】
2つの軽鎖および2つの重鎖を含む抗体であって、前記軽鎖の配列が、配列番号7に示されている通りであり、前記重鎖の配列が、配列番号50に示される通りである抗体。
【請求項54】
2つの軽鎖および2つの重鎖を含む抗体であって、前記軽鎖の配列が、配列番号7に示されている通りであり、前記重鎖の配列が、配列番号94に示される通りである抗体。
【請求項55】
前記抗体が、低減されたレベルのフコースを有する、請求項23から26または49から54のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項56】
対象の癌を治療する方法であって、前記癌が、結腸直腸、卵巣、膵臓、前立腺、および肺からなる群から選択され、請求項1から55のいずれか一項に記載の治療上有効量の結合ドメインまたは抗体を、前記対象に投与することを含む方法。
【請求項57】
試料中の癌細胞の存在を検出する方法であって、前記細胞試料を、請求項1から55のいずれか一項に記載の結合ドメインまたは抗体と接触させるステップと、前記細胞に対する前記結合ドメインまたは抗体の結合を検出するステップとを含む方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公表番号】特表2012−520329(P2012−520329A)
【公表日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−500004(P2012−500004)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【国際出願番号】PCT/AU2010/000298
【国際公開番号】WO2010/105290
【国際公開日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【出願人】(500468537)セファロン・オーストラリア・ピーティーワイ・リミテッド (16)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【国際出願番号】PCT/AU2010/000298
【国際公開番号】WO2010/105290
【国際公開日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【出願人】(500468537)セファロン・オーストラリア・ピーティーワイ・リミテッド (16)
【Fターム(参考)】
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