説明

抗菌性チタネートコーティングチタン系部材

【課題】 生体インプラントなどに使用されるのに好適な抗菌性を備える複合材料を提供する。
【解決手段】 チタン系基材、該基材上に形成された結晶性アルカリチタネートのナノシート層またはナノチューブ層、および前記アルカリチタネートのアルカリ成分が銀イオンで置換されている銀チタネート層を含む、抗菌性チタネートコーティングチタン系部材。(i)チタン系基材をアルカリ水溶液中で110〜180℃の温度下に水熱処理に供し、(ii)前記水熱処理後の生成物を200〜700℃で加熱処理し、および(iii)前記加熱処理後の生成物を洗浄、乾燥した後、銀イオン含有水溶液に浸漬することにより製造される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療分野等において利用される複合材料に関し、特に抗菌性を備えるチタン系部材に関する。
【背景技術】
【0002】
人工骨や人工関節などの生体インプラントにはチタン系部材をはじめとする各種の複合材料が試みられている。このような材料を生体インプラントに使用する際の大きな問題は、手術後の感染であり、治療に難渋することが多い。この術後感染を予防するのに最も有効と期待される手段は、使用する材料に抗菌性を付与することであるが、そのような技術はまだ開発されていない。
【0003】
例えば、特許第2775523号公報(特許文献1)には、チタンまたはチタン合金よりなる基体をアルカリ液中に浸漬した後、チタンの転移温度以下に加熱することにより、該基体の表面に酸化チタン相とアルカリチタン酸塩の非晶質相の被膜を形成させた骨修復材料が記載されているが、この材料には専ら骨形成を促進させるためのものであり、抗菌性は全く付与されていない。また、特許第3608167号公報(特許文献2)には、結晶チタニアを塗布、焼成する方法でチタネートナノチューブをコーティングし、さらにカルシウムなどの金属イオンを置換する技術が開示されているが、この技術も骨形成促進を目的としたもので、抗菌の観点は全く考慮されていない。
【0004】
「Y.Ling他、Key Engineering Materials, Vols.280-283
(2005) pp.707-712」(非特許文献1)には、メタチタン酸から合成されたチタネートナノチューブ粉末に銀イオンを置換して抗菌性付与させることが記載されているが、専ら粉末を対象とする研究に関するものであり、生体インプラントに適用されるように基材に銀チタネートナノチューブをコーティングしたものではない。
【0005】
また、「宮内他、“水熱法によるチタニアナノチューブアレイ薄膜の作製と機能評価”、(社)日本セラミック協会主催第19回秋季シンポジウム要旨集、第138頁、1E21、2006年9月19日発行」(非特許文献2)には、水熱法によるナノチューブコーティングに関する研究について発表されているが、材質はチタネート(チタン酸塩)ではなくチタニア(酸化チタン)であり、銀などの金属イオン置換についても全く考慮されておらず抗菌の観点はない。このことは、この研究の目的が、チタニアナノチューブ層からの電子放出特性を検討する点にあることからも明らかである。
【特許文献1】特許第2775523号公報
【特許文献1】特許第3608167号公報
【非特許文献1】Y.Ling他、Key Engineering Materials, Vols.280-283(2005) pp.707-712
【非特許文献2】宮内他、“水熱法によるチタニアナノチューブアレイ薄膜の作製と機能評価”、(社)日本セラミック協会主催第19回秋季シンポジウム要旨集、第138頁、1E21、2006年9月19日発行
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、生体インプラントなどに使用されるのに好適な抗菌性を備える新しいタイプの複合材料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、検討を重ねた結果、チタン系基材に銀イオンを含む結晶性チタネート層をコーティングする技術を開発し、本発明を導き出した。
すなわち、本発明は、チタン系基材、該基材上に形成された結晶性アルカリチタネートのナノシート層またはナノチューブ層、および前記アルカリチタネートのアルカリ成分が銀イオンで置換されている銀チタネート層を含むことを特徴とする抗菌性チタネートコーティングチタン系部材を提供するものである。
【0008】
さらに、本発明に従えば、上記の抗菌性チタネートコーティングチタン系部材を製造する方法であって、(i)チタン系基材をアルカリ水溶液中で110〜180℃の温度下に水熱処理に供する工程、(ii)前記水熱処理後の生成物を200〜700℃で加熱処理する工程、および(iii)前記加熱処理後の生成物を洗浄、乾燥した後、銀イオン含有水溶液に浸漬する工程、を含むことを特徴とする方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、術後感染を予防するために最も有効な抗菌剤である銀イオンを含む(置換した)チタネート層をコーティングした生体インプラントを実現するものである。
本発明によって不安定でコーティング困難なチタネートを結晶性のアルカリチタネートのナノシートまたはナノチューブの層として安定的にコーティングできる。また、アルカリ水熱反応条件の制御や後処理によって銀イオンの溶出速度を制御することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の抗菌性チタネートコーティングチタン系部材の特徴の一つは、チタン系基材上に「結晶性」のアルカリチタネートのナノシートまたはナノチューブの層が形成されていることにある。このため、本発明に従えば、チタン系基材をアルカリ水溶液中で、高温下、すなわち、110〜180℃の温度下、好ましくは150〜170℃の温度下に水熱処理に供する。反応時間は、一般に2〜30時間であり、反応時間を制御することにより膜厚(結晶性アルカリチタネートのナノシート層またはナノチューブ層の厚さ)を制御することができる。
【0011】
本発明に従う水熱処理に用いられるアルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液が最も一般的であるが、これに限られるものではなく、例えば、水酸化カリウム水溶液なども使用可能である。上述のように高温下に水熱処理を行い、かつ、アルカリ水溶液の濃度を制御することにより、結晶性アルカリチタネートのナノシート層またはナノチューブ層を得ることができる。例えば、150〜170℃の温度下に水酸化ナトリウム水溶液を用いて水熱処理を行う場合、水酸化ナトリウム水溶液の濃度を1mol/l程度にすればナノシート層が得られ、10mol/l程度にすればナノチューブ層が得られる。
【0012】
本発明のチタン系部材を構成する結晶性アルカリチタネートの種類は、上述のように水熱処理工程で用いられるアルカリに依り、水酸化ナトリウムを用いる場合にはチタン酸ナトリウムとなり、水酸化カリウムを用いる場合にはチタン酸カリウムとなる。
また、本発明において用いるチタン系基材としては、金属チタンの他、チタン合金も可能であり、本発明で用いられるのに好適なチタン合金の例として、Ti-6Al-4V合金、Ti-6Al-2Nb-1Ta合金、Ti-15Zr-4Nb-4Ta合金、Ti-6Al-7Nb合金、Ti-15Mo-5Zr-3Al合金、Ti-13Nb-13Zr合金、Ti-12Mo-6Zr-2Fe合金などが挙げられる。
【0013】
なお、外径の小さいワイヤー状の基材のように基材が微細または複雑な形状や表面構造を有する場合には、チタン系基材に加えてチタン源材料を用い、チタン系基材をチタン源材料に近接させた状態で、上記のアルカリ水熱処理を行うのが好ましい。ここで、チタン系基材をチタン源材料に近接させた状態とは、チタン系基材とチタン源材料との間に液相が存在する程度の空隙、具体的には10μm〜1000μmの空隙をもって、基材とチタン源材料が近づいている状態をいう。このような状態アルカリ水熱処理を実施するには、例えば、チタン系基材がワイヤー状の場合はその基材をチタン源材料に巻きつけたり、あるいは、基材とチタン源材料の間に上記空隙に相当するスペーサーを設けたり、基材またはチタン源材料の一方に上記空隙に相当する外径のワイヤーを巻きつけてから基材とチタン源材料とを重ねて適当な部材で固定した状態で、アルカリ水溶液に浸漬し如上の条件下に水熱処理を行えばよい。別の手法として、チタン源材料から成るモールド中に基材を上記空隙が存するように嵌着した状態で水熱処理に供してもよい。
【0014】
本発明に従えば、以上のように、チタネート層の構造を変化させたり、その膜厚を制御することにより、後述する銀置換量を調節して銀イオンの溶出(放出)速度の制御された抗菌性部材を得ることができる。
以上のようにして得られた水熱処理後の生成物は、次に、200〜700℃の加熱処理に供され、これにより、チタン系基材上に形成された(コーティングされた)結晶性チタネート層(ナノシート層またはナノチューブ層)が安定化されることになる。
【0015】
アルカリ水熱処理法は、チタネートナノチューブを形成するよい方法として知られていたが、基材へコーティングした場合には、コーティング層が剥離しやすいという欠点があった。そこで本発明者は鋭意研究を進め、アルカリ熱処理後に水洗などを行わず、そのまま200〜700℃に加熱処理することによってコーティング層の剥離防止することに成功した。これは加熱処理によって、チタン基材とチタネートナノチューブ層(またはナノシート層)下部の緻密なチタン酸ナトリウム層の界面で水酸基の重縮合が起き、コーティング層の密着性が向上したものと考えられる。すなわち、重縮合反応のためには200℃以上の温度が必要であり、他方、700℃より高温になると密着そのものが損なわれる。
かくして、本発明の好ましい態様に従えば、水熱処理後の生成物を洗浄することなく、200〜700℃、好ましくは300〜600℃で加熱処理する。この態様は、特に、チタン系基板上に膜厚の大きいチタネート層を形成(コーティング)する場合に有効である。
【0016】
本発明の抗菌性チタネートコーティングチタン系部材を製造するには、如上の加熱処理後の生成物を洗浄、乾燥した後、銀イオン含有水溶液に浸漬する。これにより、結晶性アルカリチタネートのナトリウムイオンやカリウムイオンが銀イオンで置換された抗菌性部材が得られる。この浸漬工程に用いられる銀イオン含有水溶液としては、酢酸銀水溶液が好ましい。もちろん硝酸銀水溶液など他の銀イオン含有水溶液も使用可能である。この銀イオン置換工程は、遮光下に常温または常温近傍の温度で実施することができる。
【0017】
さらに、本発明の好ましい態様に従えば、銀イオン含有水溶液に浸漬する上記工程によって置換・生成した銀イオンの一部を酸化銀や金属銀に変換する。例えば、上記浸漬工程によって得られた生成物を熱処理またはUV照射(紫外光照射)することにより銀イオンの一部を酸化銀または金属銀に変換する。また、上記浸漬工程の後に、その生成物に銀スパッタリングを施すことにより銀イオンの一部を金属銀で被覆することもできる。
【0018】
このようにして、本発明に従えば、銀イオン(Ag)に加えて酸化銀(Ag2O)および金属銀(Ag)を含有する抗菌性チタン部材が得られる。銀イオンとしての溶出速度は、銀イオン>酸化銀>金属銀の順序となる。したがって、本発明の抗菌性部材は、銀イオンの溶出速度を制御して銀イオンを徐放させることもでき、これは、特に生体インプラントにおいて術後の感染防止のための重要な機能であり、本発明の特徴の一つである。
【0019】
本発明の抗菌性チタネートコーティングチタン系部材において用いられるチタン系基材の形状は、特に限定されるものではなく、プレート状(平板状)、ワイヤー状、メッシュ状、チューブ状など各種の形状の基材が適用可能である。
以下、本発明の特徴を更に具体的に示すために実施例を記すが、本発明は以下の実施例によって制限されるものではない。
【実施例1】
【0020】
チタネートナノチューブのコーティング(1)
20mm×20mm×2mmの純チタン試験片(日本メディカルマテリアル(株)提供)をエチルアルコールにて脱脂洗浄後、10mol/l水酸化ナトリウム水溶液20mlと共に水熱容器に入れ、160℃のオイルバス中にて所定の時間(3時間または20時間)反応させた。反応終了後、試験片を取り出し、水洗することなく、10℃以下で一晩乾燥後、電気炉にて300℃、1時間の熱処理を行った。その後、試験片を蒸留水にてpHが中性付近になるまで繰り返し洗浄を行った。洗浄後、10℃以下で一晩乾燥させた。
得られた生成物をTEM観察したところ、膜の大部分が約7nmの外径のナノチューブから構成されていることがわかり(図1b)、EDX(エネルギー分散型X線)分析の結果(図2)、ナノチューブがNa2Ti4O9H2Oであることわかった。また、薄膜の断面をSEM観察したところ、薄膜の表面から約19μmまでがTNT(チタネートナノチューブ)相で、薄膜の裏面(Ti板と接していた面)から約1μmまでが緻密なチタン酸ナトリウム相であることがわかった(図1a)。従って、まず、Ti板とOHとの反応によるTi(チタン)板からのTi化学種の溶出とそのTi化学種のチタン酸ナトリウムとしての再析出反応が同時に生じ、反応の初期段階でチタン酸ナトリウムの緻密な相がTi板上に生成した後にTNT相が成長したことがわかった。
【0021】
本実施例では、TNT薄膜の剥離を防ぐために、上記のように、水熱処理後に水洗せずに乾燥させた。板上にはNaOH結晶が観察されたが、薄膜は板上に固着したままであった。この板を上記のように空気中300℃で1時間熱処理後に水洗したところ、NaOH結晶は溶出したものの板上にはTNT薄膜が強く固着したままであり、これを室温で乾燥しても薄膜の剥離は認められなかった(図3左上)。また、この300℃での熱処理ではナノチューブ形態の変化は認められなかった。この固着は、300℃での熱処理によりTi板とチタン酸ナトリウム相の界面付近にて水酸基の脱水縮合が進行し、より強くチタン酸ナトリウムがTi板に固定化されたためであると考えられる。この板のXRD測定(CuKα)を行ったところ、TNTと金属Tiに特有の回折線のみが観測された(図4参照)。また、反応3時間においてもTNT薄膜の形成が認められ、薄膜の厚みは13μmであったことから、反応時間の制御により膜厚の制御が可能であることが確認された。
【実施例2】
【0022】
チタネートナノチューブのコーティング(2)
実施例1と同様の手法により、様々な外径及び長さのTiワイヤーをTi源としてTNTの合成を試みた。その結果、長くて外径の大きいTiワイヤー(例えば、外径203.7μm、長さ24 cmのTiワイヤー等)、つまり、表面積が大きいTi源ほど表面にTNT相が生成しやすいことがわかった。一方、短くて外径の小さいTiワイヤー(例えば、外径53.4μm、長さ5cmのTiワイヤー等)、つまり、表面積の小さいTi源ではTiワイヤーの溶解もしくは不定形のチタン酸ナトリウム相が生成しやすいことがわかった。
【0023】
さらに、同様な実験を、TiメッシュやTi球をTi源として用いて行った場合でも、メッシュや球の形状を保持したまま、それらの表面にTNT相が生成し(図3右上及び左下)、反応時間の増加とともにTNT相の厚みも増加した。また、Tiチューブについても同様な実験を行い、得られたチューブの中央部を切断して、チューブの内・外表面を観察したところ(図3右下)、チューブの内・外表面がTNTで覆われていることが確認された。
【実施例3】
【0024】
チタネートナノチューブのコーティング(3)
基材として、直径53.4μmのTiワイヤーをTi源となりうるTi板に巻きつけて実施例1と同様に反応させたところ、反応3時間と20時間のいずれにおいてもワイヤーの形状が保持され、いずれのワイヤーの表面上にも繊維状の物質が密に生成していることがSEMにより観察され、この繊維状物質が外径約7nmのTNTであることがTEMにより確認された。
【実施例4】
【0025】
チタネートナノシートのコーティング
20mm×20mm×5mmの純チタン試験片をエチルアルコールにて脱脂洗浄後、1mol/l水酸化ナトリウム水溶液20mlと共に水熱容器に入れ、160℃のオイルバス中にて所定の時間(3時間または20時間)反応させた。反応終了後、試験片を取り出し、水洗することなく、10℃以下で一晩乾燥後、電気炉にて300℃、1時間の熱処理を行った。その後、試験片を蒸留水にてpHが8以下になるまで繰り返し洗浄を行った。洗浄後、10℃以下で一晩乾燥させた。
生成物のXRD測定を行ったところ、金属チタンとチタン酸ナトリウムに帰属される回折線のみが認められた(図5)。また、図6は、得られた生成物の表面のSEM写真であり、ナノスケールのシート状チタネートの生成が確認できる。
【実施例5】
【0026】
銀置換及び銀イオン溶出試験
実施例1で得られた試験片を15mlの0.005mol/lの酢酸銀溶液と共に遮光した遠沈管に入れ、40℃のウォーターバス中で3時間反応させることにより銀置換を行った。反応後、蒸留水にて繰り返し洗浄し、試験片上に残留した銀イオンを完全に取り除いた。その後、10℃以下で一晩乾燥させた。実施例1で得られたチタネートナノチューブ試験片の銀置換後のEDX分析の結果を図7に示す。チタネート構造は維持されているが、Na(ナトリウム)に帰属するピークは無くなっており、Naイオンが銀イオンに置換されていることが理解される。
次に、上記のようにして銀置換した試料を牛胎児血清中に浸漬して銀イオンの溶出試験を行った。実験条件および結果を表1に示す。牛胎児血清中に銀イオンが確実に溶出しており、本発明に従うチタン系部材が生体液中で銀イオンを放出する機能を有することが確認された。
【0027】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明の抗菌性チタネートコーティングチタン系部材、すなわち、チタン系基材の表面に抗菌性チタネート層が形成されて構成される複合材料は、以下の1)〜3)に挙げる医療用品分野の他、4)に挙げる家庭用品や、5)に挙げる配管や設備の部材など、抗菌性が好まれる多くの分野において利用される。
1)疾病や外傷などの治療のために使用される人工骨や内固定具、または失われた関節機能を再建するために使用される人工関節、歯牙を再建するために使用される人工歯根などのチタン製生体インプラント。
2)メスやカンシなどのチタン製手術器具、診断治療時に使用する口腔内ヘラのようなチタン製医療器具及びその他の医療機器におけるチタン製部品。
3)骨固定義手、義足などのチタン製福祉用具。
4)台所用品、トイレ用品、浴室用品など一般家庭の水周りで使用されるチタン製家庭用品。
5)家屋や工場で使用されているチタン製水系配管や設備装置のチタン製部品等。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に従うアルカリ水熱処理および加熱処理工程によって得られる生成物のナノチューブ層を示すSEM(走査電子顕微鏡)写真(a)とTEM(透過電子顕微鏡)写真(b)である。
【図2】本発明に従うアルカリ水熱処理および加熱処理工程によって得られる生成物のEDX(エネルギー分散型X線)分析の結果を示す。
【図3】本発明に従うアルカリ水熱処理および加熱処理工程によって得られる各種形状の生成物を示す。
【図4】本発明に従うアルカリ水熱処理および加熱処理工程によって得られる生成物のXRD(X線回折)測定の結果を示す。(a)20時間反応後 (b)3時間反応後 (c)反応前。また●はチタンのピーク、○はナトリウムチタネートナノチューブを示す。
【図5】本発明に従うアルカリ水熱処理および加熱処理工程によって得られる生成物の別の例のXRD測定の結果を示す。
【図6】本発明に従うアルカリ水熱処理および加熱処理工程によって得られる生成物の別の例のSEM写真を示す。
【図7】本発明に従うアルカリ水熱処理、加熱処理、および銀イオン含有水溶液浸漬処理工程によって得られる生成物のEDX分析の結果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チタン系基材、該基材上に形成された結晶性アルカリチタネートのナノシート層またはナノチューブ層、および前記アルカリチタネートのアルカリ成分が銀イオンで置換されている銀チタネート層を含むことを特徴とする抗菌性チタネートコーティングチタン系部材。
【請求項2】
アルカリチタネートがチタン酸ナトリウムであることを特徴とする請求項1に記載の抗菌性チタネートコーティングチタン系部材。
【請求項3】
チタン系基材が金属チタンから成ることを特徴とする請求項1に記載の抗菌性チタネートコーティングチタン系部材。
【請求項4】
銀チタネート層の銀イオンの一部が酸化銀または金属銀に変換していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の抗菌性チタネートコーティングチタン系部材。
【請求項5】
請求項1の抗菌性チタネートコーティングチタン系部材を製造する方法であって、(i)チタン系基材をアルカリ水溶液中で110〜180℃の温度下に水熱処理に供する工程、(ii)前記水熱処理後の生成物を200〜700℃で加熱処理する工程、および(iii)前記加熱処理後の生成物を洗浄、乾燥した後、銀イオン含有水溶液に浸漬する工程、を含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
工程(i)において、チタン系基材に加えてチタン源材料を用い、チタン系基材をチタン源材料に近接させた状態で(i)の水熱処理を行うことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
銀イオン含有水溶液として酢酸銀水溶液を用いることを特徴とする請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
請求項4の抗菌性チタネートコーティングチタン系部材を製造するために、工程(iii)の後に、熱処理または紫外光照射により銀イオンの一部を酸化銀または金属銀に変換する工程を更に含むことを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
請求項4の抗菌性チタネートコーティングチタン系部材を製造するために、工程(iii)の後に、銀スパッタリングにより銀イオンの一部を金属銀で被覆する工程を更に含むことを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の方法。


【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図1】
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【図3】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−161423(P2008−161423A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−353993(P2006−353993)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(504209655)国立大学法人佐賀大学 (176)
【出願人】(504418084)日本メディカルマテリアル株式会社 (106)
【Fターム(参考)】