説明

抗菌物質を包含する粒子

本発明は、概して、1つまたは複数の抗菌物質を、内部および/または表面に含む粒子に関する。粒子には、1つまたは複数の抗菌物質を含む1つまたは複数の被覆が設けられてもよく、あるいは、1つまたは複数の抗菌物質は、粒子に埋め込まれてもよい。本発明は、また、1つまたは複数の抗菌粒子を包含する、医療器具、個人ケア製品、および家庭用器具などの商品に関する。商品には、抗菌粒子を包含する1つまたは複数の被覆が設けられてもよく、または抗菌粒子は、医療器具に物理的に埋めこまれてもよい。本発明は、そのような医療器具を作製する方法にも向けられており、抗菌粒子を含む商品は、微生物を殺傷し、感染を防止する方法に従って用いてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、内部および/または表面に包含された1つまたは複数の抗菌物質を含む粒子に関する。粒子には、1つまたは複数の抗菌物質を含む1つまたは複数の被覆が設けてられてもよく、あるいは1つまたは複数の抗菌物質は、粒子に埋め込まれてもよい。本発明は、このような粒子を作製して使用する方法にも向けられており、本発明の特定の態様によると、1つまたは複数の抗菌物質を包含する粒子は、微生物を殺傷する方法を実行するために用いてもよい。この非仮特許出願は、2009年7月17日に出願された米国仮特許出願第61/226382号の利益を主張する。先の出願の開示は、参考のためにその全体をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
切開ドレープおよび創傷ケア製品、ならびに家庭用、個人ケア、および他の製品などの、様々な医療および獣医学用器具は、溶剤系の接着剤を用いて形成されている。特に、医療および獣医学の分野では、感染の発生を減少させるために、抗菌特性を製品に与えることが、多くの場合望ましい。しかし、多くの一般的に用いられる抗菌および防腐剤は、溶剤および/または溶剤を用いて作られたポリマーとは科学的に適合せず、抗菌および防腐剤の安定性および有効性の減少をもたらしている。
【0003】
医療器具、個人ケア製品、および家庭用製品などの様々な製品に、どのようにして抗菌物質を包含させるか、という課題に対処するために、多くの手法が開発されてきた。
【0004】
米国特許第5019096号明細書には、1つまたは複数の基質形成ポリマーと、銀塩とクロルヘキシジンの組み合わせなどの抗菌物質とを含む、感染耐性のある医療器具を作製する方法が記載されている。医療器具は、器具内または器具表面に設けられた抗菌物質の組み合わせを有することが可能である。
【0005】
米国特許出願公開第2004/0052831号明細書には、医療器具の表面を、1つまたは複数の溶剤と、クロルヘキシジン遊離塩基および水溶性クロルヘキシジン塩の混合物とを含む溶液で処理することが記載されており、この混合物は、医療器具へのクロルヘキシジンの吸収を増加させることが記載されている。
【0006】
米国特許出願公開第2005/0025800号明細書には、ラテックス材料から抗菌物質が放出されることを抑制するために、抗菌物質を微粒子に包含させることが記載されている。
【0007】
米国特許出願公開第2006/0018966号明細書には、抗菌物質をメソ多孔質シリカナノ粒子に包含させ、抗菌物質を細孔内に設けることが記載されている。この粒子は、長期間にわたって抗菌物質を放出する抗菌供給システムにおいて用いることができる。
【0008】
日本国特開平04−283505号公報には、樹脂の表面に抗菌特性をもたらすために、合成樹脂内で使用する組成物が記載されている。この組成物は、大きさ1〜10ミクロンの粒子で形成されるシリカゲルで形成され、100重量%のB型シリカゲルを、100〜500重量%のエチルアルコール、メチルアルコール、または他の溶剤内の0.02〜5重量%のグルコン酸クロルヘキシジンの混合物に分散させることにより生成される。そして、このシリカゲル粒子は、乾燥および粉砕される。
【0009】
日本国特開平10−025206号公報には、繊維、紙、膜、プラスチック、およびインクに加えられ、完成品に抗菌特性を与える抗菌組成物が記載されている。この抗菌組成物は、抗菌性の第4級アンモニウムイオンを含む水溶液内で、ケイ酸ナトリウムを無機酸と反応させることによりシリカゲルを形成し、その後、ゲルを分離、水洗、および乾燥することにより調製される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第5019096号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2004/0052831号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2005/0025800号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2006/0018966号明細書
【特許文献5】特開平04−283505号公報
【特許文献6】特開平10−025206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
当該技術においては、1つまたは複数の抗菌物質を包含する粒子の必要性がある。また、医療器具、個人ケア製品、および家庭用製品など、この粒子を含む商品の必要性もある。抗菌粒子は、感染を起こす微生物を殺傷させ、感染の発生を減少させるのに有用である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、内部および/または表面に包含された1つまたは複数の抗菌物質を含む粒子を提供することにより、当該技術において満たされていなかった必要性その他を満たすものである。粒子には、1つまたは複数の抗菌物質を含む1つまたは複数の被覆が設けてられてもよく、あるいは1つまたは複数の抗菌物質は、粒子に埋め込まれてもよい。本発明は、また、1つまたは複数の抗菌物質を包含する医療器具、個人ケア製品、および家庭用製品などの物品を提供する。いくつかの態様によると、通常、例えば、その可溶性および/または形態への制限により、抗菌物質を物品に包含させることはできない。本発明は、また、抗菌物質の安定性、持続性、濃度、および保存寿命を向上させる。本発明は、また、他のやり方では処理不可能な抗菌物質とともに用いて利用できる処理方法を拡張し、ゴムおよび/またはプラスチック射出成形、トランスファー成形、および押し出し成形などの、通常のポリマー処理技術において、これらの方法を用いることを可能にする。例えば、物品には、抗菌粒子を含む1つまたは複数の被覆が設けられてもよく、または、抗菌粒子は、物品内に埋め込まれてもよい。本発明は、抗菌粒子を包含する医療器具、個人ケア製品、および家庭用製品などの物品を作製する方法にも向けられており、1つまたは複数の抗菌物質を包含する物品を、微生物を殺傷する方法に従って用いてもよい。
【0013】
本発明の一態様によると、本発明は、抗菌物質を含む粒子に関する。粒子は、抗菌物質の有効性と妥協しないどのような物質によっても形成することができる。
【0014】
その方法は、1つまたは複数の抗菌物質を溶剤と混合して、抗菌溶液を生成する工程と、粒子を、前記抗菌溶液に加える工程と、前記溶剤を蒸発させて、前記1つまたは複数の抗菌物質が結合された粒子を形成する工程と、を含む。この1つまたは複数の抗菌物質が結合された粒子は、医療器具、個人ケア製品、および家庭用製品などの物品に、有益に包含させることができる。溶剤に対する可溶性が非常に低い抗菌物質については、抗菌物質を粒子に充填して不安定性の溶剤を蒸発させるプロセスを複数回繰り返して、粒子に充填される物質の最終濃度を高めることができる。この技術は、シリカ粒子を含むがこれに限定されない任意の種類の粒子を充填するために用いることができる。
【0015】
本発明の他の態様は、抗菌粒子を包含する医療器具に関する。抗菌粒子は、1つまたは複数の被覆層に設けられてもよく、あるいは、医療器具の形成に用いられるポリマーに埋め込まれてもよい。医療器具のポリマーに埋め込まれる場合、1つまたは複数の抗菌粒子は、ポリマーが硬化する前に、ポリマーに直接混合してもよい。
【0016】
本発明のさらに他の態様は、濃縮された、および/または安定化された抗菌物質を供給する方法に関し、その方法は、抗菌物質を溶剤と混合して、抗菌溶液を生成する工程と、粒子を、前記抗菌溶液に加える工程と、前記溶剤を蒸発させて、前記抗菌物質が結合された粒子を生成する工程と、を含む。
【0017】
本発明のさらなる態様は、高分子接着剤と、溶剤と、1つまたは複数の抗菌物質が直接吸着された粒子を含む抗菌粒子と、を備える抗菌切開ドレープに関する。
【0018】
本発明の他の新規な特徴および利点は、下記を考察すること、または本発明を実践によって学習することにより、当業者に明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、18時間後の黄色ブドウ球菌および緑膿菌に対する抑制域試験の結果を示している。写真(A)および(B)は、CHG/Aerosil(R)380を用いて生成されたクリーニング領域(抑制域)を示している。写真(C)および(D)は、CHG/Aerosil(R)200Pharmaを用いて生成されたクリーニング領域(抑制域)を示している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明で用いるための粒子は、抗菌物質と結合することが可能などのような物質で形成してもよい。そのような物質は、抗菌物質を封入する高分子シェル、抗菌物質の被覆を有する高分子基質、内部に分散された抗菌物質を有する高分子基質および/または無機材料から形成される粒子を含むが、これらに限定されない。
【0021】
本発明の1つの態様によると、抗菌物質を封入するために用いられる高分子シェルは、抗菌物質との使用に適するどのようなポリマーから形成してもよい。ポリマーは、架橋または非架橋、線形または分岐、天然または合成、熱可塑性または熱硬化性、あるいは生物安定性、生物分解性、生物吸収性または溶解性であってもよく、また、アクリレートおよびメタクリル酸ポリマーおよびコポリマー、セルロースポリマーおよびコポリマー、ポリオキシメチレンポリマーおよびコポリマー、ポリアミドポリマーおよびコポリマー、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ポリビニルピロリドン(架橋その他)、ビニルモノマーのポリマーおよびコポリマー、ポリアルキルオキシドポリマーおよびコポリマー、グリコサミノグリカン、ポリエステルポリマーおよびコポリマー、ポリエーテルポリマーおよびコポリマー、ポリイソシアネート、ポリオレフィンポリマーおよびコポリマー、フッ化ポリマーおよびコポリマー、シリコーンポリマーおよびコポリマー、ポリウレタン、ならびに上記の混合物およびコポリマーを含む群から選択してもよいが、これらに限定されない。
【0022】
他の態様によると、内部および/または表面に抗菌物質が設けられていてもよい高分子基質は、抗菌物質との使用に適するどのようなポリマーから形成してもよい。ポリマーは、架橋または非架橋、線形または分岐、天然または合成、熱可塑性または熱硬化性、あるいは生物安定性、生物分解性、生物吸収性または溶解性であってもよく、また、アクリレートおよびメタクリル酸ポリマーおよびコポリマー、セルロースポリマーおよびコポリマー、ポリオキシメチレンポリマーおよびコポリマー、ポリアミドポリマーおよびコポリマー、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ポリビニルピロリドン(架橋その他)、ビニルモノマーのポリマーおよびコポリマー、ポリアルキルオキシドポリマーおよびコポリマー、グリコサミノグリカン、ポリエステルポリマーおよびコポリマー、ポリエーテルポリマーおよびコポリマー、ポリイソシアネート、ポリオレフィンポリマーおよびコポリマー、フッ化ポリマーおよびコポリマー、シリコーンポリマーおよびコポリマー、ポリウレタン、ならびに上記の混合物およびコポリマーを含む群から選択してもよいが、これらに限定されない。
【0023】
さらなる態様によると、無機材料から形成される粒子は、例えば、シリカ、ゼオライト、および多孔質ニ酸化チタンなどの材料から選択されてもよい。
【0024】
さらなる態様によると、無機材料から形成される粒子は、例えば、シリカ、ゼオライト、活性炭、および多孔質二酸化チタンなどの材料から選択されてもよい。
【0025】
本発明に従い用いられる粒子は、多孔質または非多孔質であってもよい。特定の態様によると、粒子は多孔質であり、内部に抗菌物質を埋め込ませることが可能である。粒子は、様々な物質を用いて形成してもよく、様々な方法によって生成されてもよい。本発明での使用に適した多くの粒子は、市販されているものである。
【0026】
本発明の一態様によると、抗菌粒子を形成するために用いられる粒子は、シリカ粒子であり、ヒュームドシリカが、特に好適である。
【0027】
用いられる粒子の種類にかかわらず、本発明の粒子は、好ましくは、50〜500ナノメートル、より好ましくは75〜400ナノメートル、最も好ましくは、100〜300ナノメートルの平均粒子サイズを有する。
【0028】
本発明の粒子と結合することが可能などの抗菌物質も、バクテリア、菌類、ウイルスおよび/または寄生虫を殺傷または成長を抑制する能力を保持しながら、本発明に従って用いることが可能である。例えば、適切な抗菌物質は、ビス−ビグアニド塩(例えば、ジグルコン酸クロルヘキシジン、クロルヘキシジン二酢酸塩、クロルヘキシジン二塩酸塩、クロルヘキシジンジホスファニラート)、リファンピン、ミノサイクリン、銀化合物(塩化銀、酸化銀、スルファダイアジン銀)、トリクロサン、オクテニジン二塩酸塩、第4級アンモニウム化合物(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化トリドデシルメチルアンモニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、塩化クロロアリルヘキサミニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化メチルベンゼトニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ジオクチルジメチルアンモニウム)、鉄封鎖糖タンパク質(例えば、ラクトフェリン、オボトランスフェリン/コンアルブミン)、陽イオン性ポリペプチド(例えば、プロタミン、ポリリシン、リゾチーム)、界面活性剤(例えば、SDS、ツイン80、スルファクチン、ノノキシノール9)およびピリチオン亜鉛を含むが、これらに限定されない。さらに好適な抗菌物質は、広域抗生物質(キノロン、フルオロキノロン、アミノ配糖体およびスルホンアミド)、および防腐剤(ヨウ素、メテナミン、ニトロフラントイン、バリジクス酸)を含む。
【0029】
オクテニジン二塩酸塩およびビスビグアニド塩が、本発明での使用に好適な抗菌物質であり、クロルヘキシジンおよびその塩が、特に好適である。いくつかの態様によれば、ジグルコン酸クロルヘキシジン(CHG)が、抗菌物質として用いられる。
【0030】
1つの態様において、本発明は、抗菌物質を粒子と結合させることによって、ポリマーに包含させるために、抗菌物質をより適切にすることができるという発見に関する。抗菌物質は、共有結合、水素結合相互作用、双極子相互作用、電荷間相互作用を含む、任意の種類の分子力、あるいは、抗菌物質を粒子と結合させることを可能にする静電または他の性質の任意の相互作用を介して、粒子と結合することが可能である。さらに、抗菌物質は、直接的または間接的のいずれで粒子と結合されてもよい。直接的な結合とは、抗菌物質の分子が、粒子の形成に用いられる材料と接触しているものである。間接的な結合とは、抗菌物質の粒子が、粒子の形成に用いられる材料と接触していないものであり、例えば、抗菌物質が、結合分子を介して粒子に結合されている場合である。当該技術で知られている様々な結合分子のいずれも、本発明に従って用いることが可能である。
【0031】
本発明の抗菌粒子は、抗菌物質を粒子と結合させるために適した任意の技術を用いて、調製することが可能である。本発明の一態様によると、抗菌粒子は、1つまたは複数の抗菌物質を、溶剤と混合して、抗菌溶液を生成する工程と、粒子を、前記抗菌溶液に加える工程と、前記溶剤を蒸発させて、前記1つまたは複数の抗菌物質が結合された粒子を形成する工程と、を含む方法によって製造することが可能である。この方法を実行するために用いられる溶剤は、抗菌物質を溶解し、粒子から蒸発して粒子と結合された抗菌物質を残すことが可能な、どのような溶剤であってもよい。抗菌物質を含む溶液は、抗菌物質および粒子の両方と相互作用することが可能な、任意の溶剤または溶剤の組み合わせを、利用することができる。このような溶剤は、水、アルコール、およびエーテルを含んでもよい。アルコールは、どのアルコールを含んでもよいが、エタノールが、好適なアルコール溶剤である。エーテルは、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン(DME)、tert−ブチルエーテル、およびテトラヒドロフラン(THF)を含んでもよく、ここでは、THFが、好適なエーテル溶剤である。水は、好適な溶剤である。追加の溶剤は、例えば、有機シロキサン(シリコーン)およびパラフィンを含んでもよい。
【0032】
もう1つの態様において、本発明は、驚くべき量の抗菌物質を、粒子に包含させることが可能であり、抗菌物質の濃縮された源が提供される、という発見に関する。このような粒子を用いて、抗菌特性を有する様々な物品を提供することが可能である。
【0033】
本発明は、また、グルコン酸クロルヘキシジンなどの水性の抗菌物質を、医療器具などの物品に抗菌物質を直接包含させることを可能にする乾燥した形態で安定して提供することができる、という発見に関する。例えば、CHGは、従来、20%の水溶液として供給されており、水を利用せずにCHGを包含させる試みは、これまで成功していない。本発明は、乾燥した(水をわずかに含むか、全く含まない)安定した形態のCHGを提供する方法を含む。そのような安定した形態のCHGは、様々な種類の技術で、抗菌物品を調製するために用いることが可能である。
【0034】
本発明の一実施形態によると、抗菌物質を安定化する方法が提供される。その方法は、抗菌物質を溶剤と混合し、抗菌溶液を生成する工程と、前記抗菌溶液に粒子を加える工程と、前記溶剤を蒸発させて、抗菌物質が結合された安定した粒子を生成する工程と、を含む。抗菌物質および使用される粒子の種類、ならびに粒子が多孔質か非多孔質かに応じて、抗菌物質は、粒子の外部表面に被覆を形成する、粒子内部に吸収される、粒子表面に吸着される、または粒子に埋め込まれるようにすることが可能である。本発明は、抗菌物質と粒子との間の結合の性質によって制限されると、解釈されるべきではない。
【0035】
本発明の方法は、また、グルコン酸クロルヘキシジンの水溶液を供給し、グルコン酸クロルヘキシジンの水溶液に、ヒュームドシリカ粒子を加えることにより、CHGを安定化する方法を含む。そして、水は、(例えば、蒸発を通して)微孔質の粒子/微小球から取り除かれ、これにより、グルコン酸クロルヘキシジンが内部に包含された、乾燥した微小球を形成する。そのような内部に包含されたクロルヘキシジンを有する粒子/微小球は、非水で利用させる際において安定する。CHGを、微孔質の粒子/微小球に包含させることにより、CHGの扱いの容易さが向上し、液体CHGでは可能でなかった適用において、CHGを用いることを可能にする。
【0036】
1つまたは複数の抗菌物質が結合された粒子は、抗菌特性を有する商品および材料を提供するために、無制限に様々な商品および材料に包含させてもよい。
【0037】
抗菌粒子を包含することが可能な個人ケア製品は、石鹸、ねり歯磨き、うがい薬、ガム、粉末、医療用手当て用品、クリーム、ローション、獣医学用製品等を含む。
【0038】
本発明の抗菌粒子を包含することが可能な家庭用品は、塗料、接着剤、調理台、フローリング、清掃器具、電化製品等を含む。
【0039】
クリーンルーム、工業的環境、および抗菌対策が有用となり得る他の任意の環境で使用するための製品などの、他の適用も考えられる。
【0040】
本発明の抗菌粒子は、また、医療器具に包含させてもよい。一態様によると、抗菌粒子は、医療器具を作製する間に、溶剤の使用および極端な温度などの一般に直面する条件によって、悪影響を受けない。本発明のこの態様は、他の場合で、特定の医療器具が用いられる医療環境において一般に直面する条件下では不安定な、抗菌物質を安定化するためにも有用である。例えば、安定化する前では、抗菌物質は、温度、湿度、体液または化学物質との接触、あるいは医療環境で一般に直面する他の条件下で、効果が減少し得る。抗菌物質が粒子/微小球と結合された後は、抗菌物質は、これらの条件の1つまたは複数にさらされた際に、改善された安定性を好適に発揮する。
【0041】
本発明の一態様によると、抗菌粒子は、感圧接着剤などの医療用接着剤、および医療用切開ドレープ形成に含まれる接着剤に、包含させてもよい。現在好ましい接着剤としては、Duro−Tak(R)の一連の接着剤(ドイツ、デュッセルドルフ、Henkel AG&Co.KGaAにより製造)、およびDermacryl(R)の一連の接着剤(オランダ、アムステルダムのAkzoNobel N.V.により製造)が属するが、本発明はこれらの接着剤との使用に限定されない。
【0042】
本発明の抗菌粒子を有利に包含することが可能な医療器具は、使用中に病原菌、ウイルス、菌類および/または寄生虫と接触する、任意の医療器具または獣医学用製品を含む。このような医療器具は、創傷ケア器具(包帯、手当て用品)、子宮内避妊器具、膣内器具、腸内器具、気管内チューブ、バイオセンサー、インプラント、人工臓器、コンドーム、義歯、歯科矯正器具、コンタクトレンズ、組織手当て用品、包帯、ドレープ、ガウン、マスク、グローブ、および接着剤(切開ドレープを用意するために用いるものなど)を含むが、これらに限定されない。しかし、本発明は、患者と接触する任意の医療器具に適用可能であり、この医療器具は、聴診器、血圧計カフなどの器具を含むが、これらに限定されない。
【0043】
医療器具は、それらが使用される環境と適合する、任意の材料で形成することができる。本発明の医療器具は、本質的に、内部または表面に抗菌物質を保持することが可能であり、抗菌物質の放出を可能にする、どのような材料から形成してもよい。一態様によると、医療器具の形成に用いられる材料は、ポリマーである。例示的なポリマーは、架橋または非架橋、線形または分岐、天然または合成、熱可塑性または熱硬化性、あるいは生物安定性、生物分解性、生物吸収性または溶解性であってもよく、また、アクリレートおよびメタクリル酸ポリマーおよびコポリマー、セルロースポリマーおよびコポリマー、ポリオキシメチレンポリマーおよびコポリマー、ポリアミドポリマーおよびコポリマー、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ポリビニルピロリドン(架橋その他)、ビニルモノマーのポリマーおよびコポリマー、ポリアルキルオキシドポリマーおよびコポリマー、グリコサミノグリカン、ポリエステルポリマーおよびコポリマー、ポリエーテルポリマーおよびコポリマー、ポリイソシアネート、ポリオレフィンポリマーおよびコポリマー、フッ化ポリマーおよびコポリマー、シリコーンポリマーおよびコポリマー、ポリウレタン、フィブリン、フィブリノゲン、コラーゲン、エラスチン、キトサン、ゼラチン、でんぷん、およびヒアルロン酸などのグリコサミノグリカンを含む、ポリペプチド、タンパク質、多糖類および脂肪酸(ならびにそのエステル)、などのバイオポリマー、ならびに上記の混合物およびコポリマーを含む群から選択してもよいが、これらに限定されない。
【0044】
抗菌粒子は、器具の表面の微生物の量を減少させるために有効な量で、器具の内部または表面に含まれることが好ましい。さらなる態様によると、抗菌粒子は、器具の表面の全ての微生物を除去するために有効な量で提供される。特に、物品が医療器具である場合、抗菌粒子は、殺菌的または菌活動停止的(microbistatically)に有効な量で提供され、一方で、医療器具が用いられる状況(すなわち、肌接触器具対血液接触器具)において、患者に対して有毒ではない。所望の効果を達成するために必要な抗菌物質の量は、物品の使用中に直面しそうな微生物、抗菌粒子が物品に包含されるやり方(すなわち、被覆または物品内への埋め込みとして)、選択される特定の抗菌物質および粒子材料、および物品の特定の適用を含むが、これらに限定されない要因に基づいて変化する。
【0045】
好ましくは、抗菌粒子は、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌、腸球菌、菌類、鵞口瘡カンジダ、黄色ブドウ球菌、エンテロバクター属、大便連鎖球菌、表皮ブドウ球菌、ビリダンス型連鎖球菌、大腸菌、肺炎桿菌、プロテウス・ミラビリス、緑膿菌、アシネトバクター・バウマニ、バークホルデリア・セパシア、水痘、クロストリジウム・ディフィシル、クロストリジウム・ソルデリー、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、HIV/AIDS、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、おたふくかぜ、ノロウイルス、パルボウイルス、ポリオウイルス、風疹、SARS、肺炎球菌(薬物抵抗性の形態を含む)、バンコマイシン中等度耐性黄色ブドウ球菌(VISA)、バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)、およびバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)の微生物の1つまたは複数を殺傷または成長を制限するために十分な量で、物品の内部または表面に含まれる。そのような量の決定は、当業者の能力の範囲内であると考えられる。
【0046】
本発明の物品への抗菌粒子の包含は、(1)抗菌粒子を含む被覆を、物品表面に設けるか、または(2)抗菌粒子を、物品内に包含させるかの、1つまたは2つの手法に従ってもよい。本発明のいくつかの態様によると、抗菌粒子は、抗菌物質の持続する放出を提供することができ、長期の抗菌効果を可能にする。本発明の他の態様によると、抗菌粒子は、抗菌物質の迅速な放出を提供し、迅速な殺傷を提供することができる。物品が使用される状況において、抗菌粒子が物品に包含されるやり方(すなわち、被覆、または物品内への埋め込みとして)、ならびに選択される特定の抗菌物質および粒子材料は、放出特性に対して影響を与える。
【0047】
本発明は、また、接触時に微生物を殺傷する方法に従って用いてもよい。そのような方法は、物品を供給する工程と、その内部または表面に、医療器具の周辺領域で発見されるどのような微生物をも殺傷するために十分な量で抗菌粒子を包含させる工程と、を含む。抗菌物質の量は、遭遇が見込まれる微生物、および物品の特定の適用に基づいて変化する。
【0048】
本発明のこれらおよび他の態様を、以下に説明される非限定の実施例において、さらに説明する。
【実施例】
【0049】
(実施例1−グルコン酸クロルヘキシジン(CHG)を包含するシリカ粒子の調製)
ヒュームドシリカ粒子(マサチューセッツ州01821、ビレリカ(Billerica)、コンコードRd 157、ビジネス&テクニカルセンター、Cabot Corp.のCAB−O−SIL(R) Grade M−5P)を、20%w/vのCHG水溶液に混合し、濃いペーストを作った。ペーストを、次いで、イソプロピルアルコールまたはアセトンで薄め、乾燥するまで蒸発させた。乾燥したシリカ固形物は砕けやすくなった。乾燥したシリカ固形物を、緩やかな粉砕によって、微細で軽く柔らかな白い粉末にした。
【0050】
乾燥後、粉末を分析すると、簡素な水抽出にかけた際に、そのクロルヘキシジン含有量の100%を放出することが分かった。これらの粉末におけるCHGの濃度は、37%wtと高かった。
【0051】
(実施例2−CHGを包含するシリカ粒子を含む感圧接着剤の有効性試験)
実施例1で得た微細な軽量の粉末を、感圧接着剤の試料に加えてもよい。粉末は、接着基質における懸濁液を容易に形成する。形成の詳細は、次の通りである。
SiO2−CHG(37.1%API):2.695グラム
Duro−Tak 87−900A接着剤:97.305グラム(National Starch and Chemical、ニュージャージー州ブリッジウォーター)
合計重量100.0グラム
【0052】
CHGを含有するシリカ粉末を含む感圧接着剤を、標準の6mmの抑制域(ZOI)試験用のディスクに塗布し、黄色ブドウ球菌および緑膿菌を用いたZOI試験で使用した。試験では、接着基質から放出される黄色ブドウ球菌に対して、強い抗菌活動を示した。緑膿菌の試験では、ZOIは観測されなかったが、この測定は、ディスクの下のクリーニングを考慮していない。結果は、表1に報告されている。この試験では、CHGを包含するシリカ粒子は、黄色ブドウ球菌試験試料において、陽性対照に匹敵する(そしてより大きい)ZOIを生成するために十分な濃度でCHGを放出するが、緑膿菌試験試料においては、匹敵するZOIを生成するために濃度が不十分であり、CHGを放出しないことを示している。
【0053】
【表1】

【0054】
(実施例3−CHGを包含するシリカ粒子の有効性試験)
Aerosil(R)380(工業用グレード)およびAerosil200(R)Pharma(製薬用グレード)(製品名で用いられる数字に対応するm2/gの表面積を有する親水性ヒュームドシリカ、ドイツ、フランクフルトアムマイン、Evonik Degussa GmbHにより製造)の2種類のシリカを用いて、有効性試験を行った。CHG(CHG20.3%w/vの水溶液として提供)とシリカとを含むいくつかの混合物が、シリカの各タイプとともに調製された。次の方法を用いて、CHG/シリカを形成した。
1.各混合物用に、必要な量のCHGとシリカとを計量した。
2.CHGを、溶剤として70%v/vIPAを用いてシリカと混合した。追加の70%IPAが、混合物に加えられ、均質なゲル濃度を得た。混合物は、トレイに注がれ、均一に広げられ、ほぼ22℃の室温で放置して乾燥させた。
3.ひとたび乾燥すると、混合物は、乳鉢と乳棒とを用いて粉砕され、微細な粉末を得た。
4.各混合物用に、手動ペレットプレスを用いて、直径6mmのペレットが作られた。次いで、ペレットを用いて、混合物の抗菌活動を評価した。
【0055】
各試料の抗菌活動を評価するために、抑制域試験が行われた。抑制域試験では、抗生物質(または防腐剤)を含む薄いディスクが存在する寒天プレートに、既知の量のバクテリアを成長させる。バクテリアが特定の抗生物質(または防腐剤)の影響を受けやすい場合、バクテリアが成長できないディスクを、クリーニング領域が取り囲む。この領域は、抑制域と呼ばれる。以下は、試験を行うために用いられた主な手順の要約である。
1.3つのミューラー・ヒントン寒天プレートに、先に緑膿菌生理食塩懸濁液に浸した無菌綿棒を用いて、緑膿菌を移した。各寒天プレートは、陰性および陽性対照とともに、CHG/シリカ混合物のそれぞれの6mmペレットを有した。この手順を、黄色ブドウ球菌を用いて繰り返し行った。プレートを、32.5℃(±2.5℃)の細菌培養器内に、16〜18時間置いた。
2.可視性を高めるためにライトボックスを使用し、裏返しにしたミューラー・ヒントン寒天プレートの裏面で、抑制域の直径を測定した。
【0056】
CHG/Aerosil(R)380が15%w/wの濃度で試験を行い、CHG/Aerosil(R)380の濃度が10%w/wになるまで、濃度を調べた。混合物が抗菌活動を有することが分かると、濃度を、8%w/wのCHG/Aerosil(R)380まで、および1%w/wのCHG/Aerosil(R)380まで下げて、新たな混合物を形成した。これは、抗菌活動を呈した可能な最も低い濃度の決定を可能にした。表2に示すように、2%w/wのCHG/Aerosil(R)380を含む試料は、グラム陰性を示す微生物およびグラム陽性を示す微生物の両方に対する抗菌活動を示した最も低い濃度の混合物であった。抑制域試験の結果の写真を、図1(A)−図1(B)に示す。
【0057】
Aerosil(R)380の予備試験結果は、製薬用グレードシリカの純度が工業用グレードよりも高ければ、より低いCHG濃度においても、Aerosil(R)200Pharmaの方が、より良い結果を得られることを示唆している。試験は、3%w/wのCHG/Aerosil(R)200Pharmaの濃度で行われ、5%w/wのCHG/Aerosil(R)200Pharmaの濃度まで増やして試験された。混合物が抗菌活動を有することが見出されると、CHG/Aerosil(R)200Pharmaの濃度を下げて、抗菌活動を有する最も低い濃度を得ることにより、新たな混合物を生成した。表3に示すように、0.5%w/wのCHG/Aerosil(R)200Pharma混合物は、ディスクの直径よりもわずかに大きな領域を示した。抑制域試験結果の写真を、図1(C)−図1(D)に示す。
【0058】
【表2】

【0059】
【表3】

【0060】
勿論、上記の説明は、単に例として与えられており、本発明の範囲内で、詳細な変更が行われてもよいことが理解される。
【0061】
本出願を通して、様々な特許および刊行物を引用してきた。本発明が属する最新の技術をより完全に説明するために、これらの特許および刊行物の開示は、その全体が、参考のために本出願に援用される。
【0062】
本発明は、本開示の利益を有する、関連技術の当業者が考えつくように、形態および機能において、かなりの修正、変更、および均等物が可能である。
【0063】
本発明を、現在好適な実施形態とみなされるものに関して説明してきたが、本発明は、そのように限定されない。反対に、本発明は、上述の詳細な説明の精神および範囲に含まれる、様々な変更および均等な構成をカバーすることを意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは複数の抗菌物質が直接吸着されたヒュームドシリカ粒子を含むことを特徴とする抗菌粒子。
【請求項2】
前記抗菌物質は、ビスビグアニド塩、ビピリジン塩、トリクロサン、第4級アンモニウム化合物、鉄封鎖糖タンパク質、陽イオン性ポリペプチド、界面活性剤、ピリチオン亜鉛、広域抗生物質、および防腐剤からなる群から選択される、ことを特徴とする請求項1に記載の抗菌粒子。
【請求項3】
前記ビスビグアニド塩は、オクテニジン二塩酸塩、ジグルコン酸クロルヘキシジン、クロルヘキシジン二酢酸塩、クロルヘキシジン二塩酸塩、およびクロルヘキシジンジホスファニラートからなる群から選択される、ことを特徴とする請求項2に記載の抗菌粒子。
【請求項4】
前記抗菌物質は、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌、腸球菌、菌類、鵞口瘡カンジダ、黄色ブドウ球菌、エンテロバクター属、大便連鎖球菌、表皮ブドウ球菌、ビリダンス型連鎖球菌、大腸菌、肺炎桿菌、プロテウス・ミラビリス、緑膿菌、アシネトバクター・バウマニ、バークホルデリア・セパシア、水痘、クロストリジウム・ディフィシル、クロストリジウム・ソルデリー、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、HIV/AIDS、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、おたふくかぜ、ノロウイルス、パルボウイルス、ポリオウイルス、風疹、SARS、肺炎球菌(薬物抵抗性の形態を含む)、バンコマイシン中等度耐性黄色ブドウ球菌(VISA)、バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)、およびバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)からなる群から選択される1つまたは複数の微生物を殺傷するかまたは成長を制限するために十分な量で提供される、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の抗菌粒子。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の抗菌粒子を備える物品であって、
前記抗菌粒子は、1つまたは複数の被覆層に設けられることを特徴とする物品。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の抗菌粒子を備える物品であって、
前記抗菌粒子は、前記物品の形成に用いられる材料に埋め込まれることを特徴とする物品。
【請求項7】
抗菌粒子を製造する方法であって、
1つまたは複数の抗菌物質を、溶剤と混合して、抗菌溶液を生成する工程と、
粒子を、前記抗菌溶液と混合する工程と、
前記溶剤を蒸発させて、前記1つまたは複数の抗菌物質が結合された粒子を形成する工程と、を含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
前記溶剤は、水、アルコール、エーテル、有機シロキサン、およびパラフィンからなる群から選択される、ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記抗菌物質は、ビスビグアニド塩、ビピリジン塩、トリクロサン、第4級アンモニウム化合物、鉄封鎖糖タンパク質、陽イオン性ポリペプチド、界面活性剤、ピリチオン亜鉛、広域抗生物質、および防腐剤からなる群から選択される、ことを特徴とする請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記ビスビグアニド塩は、オクテニジン二塩酸塩、ジグルコン酸クロルヘキシジン、クロルヘキシジン二酢酸塩、クロルヘキシジン二塩酸塩、およびクロルヘキシジンジホスファニラートからなる群から選択される、ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記溶剤が蒸発した後、前記粒子を粉砕する工程をさらに含む、ことを特徴とする請求項7乃至10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
グルコン酸クロルヘキシジンを安定化する方法であって、
グルコン酸クロルヘキシジンと水とを含む水溶液を供給する工程と、
ヒュームドシリカ粒子を、前記グルコン酸クロルヘキシジンの水溶液と混合する工程と、
前記ヒュームドシリカ粒子から水を蒸発させ、これにより、内部に包含されたグルコン酸クロルヘキシジンを有するヒュームドシリカ粒子を生成する工程と、を含み、
内部に包含されたクロルヘキシジンを有する前記ヒュームドシリカ粒子は、非水の適用において安定していることを特徴とする方法。
【請求項13】
前記溶剤が蒸発した後、前記ヒュームドシリカ粒子を粉砕する工程をさらに含む、ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
抗菌切開ドレープであって、
高分子接着剤と、
溶剤と、
1つまたは複数の抗菌物質が直接吸着された粒子を含む抗菌粒子と、を備えることを特徴とする抗菌切開ドレープ。
【請求項15】
前記抗菌物質は、ビスビグアニド塩、ビピリジン塩、トリクロサン、第4級アンモニウム化合物、鉄封鎖糖タンパク質、陽イオン性ポリペプチド、界面活性剤、ピリチオン亜鉛、広域抗生物質、および防腐剤からなる群から選択される、ことを特徴とする請求項14に記載の抗菌切開ドレープ。
【請求項16】
前記ビスビグアニド塩は、オクテニジン二塩酸塩、ジグルコン酸クロルヘキシジン、クロルヘキシジン二酢酸塩、クロルヘキシジン二塩酸塩、およびクロルヘキシジンジホスファニラートからなる群から選択される、ことを特徴とする請求項15に記載の抗菌切開ドレープ。
【請求項17】
前記抗菌物質は、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌、腸球菌、菌類、鵞口瘡カンジダ、黄色ブドウ球菌、エンテロバクター属、大便連鎖球菌、表皮ブドウ球菌、ビリダンス型連鎖球菌、大腸菌、肺炎桿菌、プロテウス・ミラビリス、緑膿菌、アシネトバクター・バウマニ、バークホルデリア・セパシア、水痘、クロストリジウム・ディフィシル、クロストリジウム・ソルデリー、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、HIV/AIDS、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、おたふくかぜ、ノロウイルス、パルボウイルス、ポリオウイルス、風疹、SARS、肺炎球菌(薬物抵抗性の形態を含む)、バンコマイシン中等度耐性黄色ブドウ球菌(VISA)、バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)、およびバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)からなる群から選択される1つまたは複数の微生物を殺傷するかまたは成長を制限するために十分な量で提供される、ことを特徴とする請求項14乃至16のいずれか1項に記載の抗菌切開ドレープ。

【図1】
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【公表番号】特表2012−533568(P2012−533568A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−520822(P2012−520822)
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【国際出願番号】PCT/US2010/042338
【国際公開番号】WO2011/009083
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(510003324)ケアフュージョン2200、インコーポレイテッド (20)
【Fターム(参考)】