説明

抗菌組成物及び包装された食品の処理方法

本発明は、抗菌組成物、特に、食品を消毒することにおいて有用である抗菌組成物に関する。本発明の組成物は、オクタン酸、酸味料、カップリング剤、任意の緩衝剤、及び水を含む。本発明の組成物は、GRAS又は食品添加原料からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、抗菌組成物、特に、食品を消毒する点で有用な抗菌組成物に関する。本発明の組成物は、オクタン酸、酸味料、カップリング剤、任意の緩衝剤及び水を含む。本発明の組成物は、GRAS又は食品添加原料からなる。
【背景技術】
【0002】
背景
食品の加工、製造及び包装中に、食品は、消費に不適当な食品をつくる微生物と出くわすことがある。微生物は、食品自体、食品表面及び/又は周囲の環境から発生することがある。微生物は、病原性微生物(例えば、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、腸管出血性大腸菌、サルモネラ等)から、最終食品の味、色及び/又は匂いに影響を与え得る損傷生物まで広がり得る(例えば、シュードモナス(Pseudomonas)、アシネトバクター(Acinetobacter)、モラクセラ(Moraxella)、アルカリゲネス(Alcaligenes)、フラボバクテリウム(Flavobacterium)、エルウィニア(Erwinia)等)。微生物は、肉、鶏肉、魚及び貝、チーズ、果物及び野菜、及び加工調理済み食品を含む様々な食品に影響を与え得る。あるレベルでの、食品に接触している微生物の存在は、低品質食品についての消費者の認識から、規制上の調査及び許可、食品由来の疾病及び死亡までの全てを引き起こすことがある。
【0003】
食品加工業者は、加工中に様々な方法を用いて、食品に接触している微生物の存在を制御し及び/又は減少させる。これらの方法は、食品加工植物環境を洗浄し及び消毒し、食品に又は食品中に抗菌生物を適用又は導入し、食品に照射し、熱を適用する等を含む。食品に又は食品内に抗菌組成物を適用又は導入することは、微生物を制御する好ましい方法である。しかしながら、政府規制に従って直接的な食品接触に許容される成分を用いて微生物を減少させることに効果的である組成物を調合するのは困難である。更に、食品の色、味又は匂いに逆に影響することなく、食品に直接的に適用され得る組成物を調合するのは困難である。最後に、食品に接触している微生物の存在を制御するための抗菌組成物又は方法で食品が処理されると、その機会は、更なる加工中に再度汚染される食品を存在させる。
【0004】
食品安全局は、リステリア・モノサイトゲネス、サルモネラ及び大腸菌O157-H7を含む微生物で汚染された表面に曝露されるかもしれない食品を加工するためのガイドラインを発行した。例えば、すぐに食べられる(RTE)の肉製品及び鶏肉製品におけるリステリア・モノサイトゲネスの制御のための食品安全検査局(FSIS)最終ルール9 CFR 430を参照されたい。
【0005】
リステリア菌に関するFSISガイドラインは、RTE製品におけるリステリア菌の存在を制御するための3つの選択肢を提供する。選択肢1において、協会は、RTE製品の賞味期限中に、RTE製品に対する後致死性(post-lethality)処理、及びRTE製品の賞味期限中に、L.モノサイトゲネスの増殖を制御し又は抑制するための抗菌剤又は方法を適用する。選択肢2において、協会は、後致死性処理、あるいはL.モノサイトゲネスの増殖を制御し又は抑制するための抗菌剤又は方法のいずれかを適用する。選択肢3において、協会は、後致死性処理、あるいは抗菌剤又は方法を適用しない。代わりに、L.モノサイトゲネスの存在を予防するための消毒プログラムに頼る。選択肢2の下で製造されたRTE製品は、選択肢3の下で製造されたRTE製品よりも潜在的なリステリア菌汚染を制御する。同様に、選択肢1の下で製造されたRTE製品は、選択肢2の下で製造されたRTE製品よりも潜在的なリステリア菌汚染を制御する。RTE製品のより高い微生物制御を提供するに加えて、選択肢1の下で運転する設備は、選択肢2又は選択肢3の施設よりも、機関の介入(例えば、検査、記録等)を受け難い。
【0006】
サルモネラは、生の鶏肉、牛肉及び豚肉に蔓延することが知られている。更に、サルモネラは、食品由来の疾病、及び時には、重度の食品由来の疾病を引き起こす高い発生率を有する。組織は、できあがったRTE肉製品及びRTE家禽製品に広まるサルモネラ菌の特定の減少レベル(できあがった肉製品について6.5 log10、及びできあがった鶏肉製品について7 log10)を達成するために、有効な方法を採用しなければならない。
【0007】
大腸菌O157:H7は、食品由来の疾病発生に関連してきた。FSISは、熱加工された商業的に殺菌された製品を除く、牛肉の任意の量を含む全ての発酵されたRTE製品のための、追加の致死率達成標準を有する。協会は、牛肉を含む発酵製品について、大腸菌O157:H7の5.0 1og10の減少を達成するために有効な方法を採用しなければならない。
本発明がなされたことはこの背景と反対である。
【発明の開示】
【0008】
概要
驚くべきことに、食品に本発明の抗菌組成物を適用することによって、食品に接触する微生物が減少され得る、ことを発見した。本発明の抗菌組成物は、オクタン酸、酸味料
カップリング剤、任意の緩衝剤及び水を含む。本発明の抗菌組成物は、好ましくは、有利である食品用又はGRAS成分からなる。なぜなら、それらは先に安全であると証明され、敏感に反応する表面、例えば後で濯がれる必要のない食品、に適用され得るからである。抗菌組成物の食品への適用は、食品の微生物の存在を効果的に減少させる好ましい方法である。また、水で注ぐ必要のないことは、濯ぎ中の再汚染の可能性、及び微生物が増殖するための湿った環境の存在をとり除く。更に、ある方法で使用されるときには、抗菌組成物は、食品に残存し、長期間、抗菌効果を提供し続けることができる。例えば、抗菌組成物は、食品が包装された直後まで、又は食品の寿命中、抗菌効果を提供し続けることができる。
【0009】
これらの実施態様及び他の実施態様は、以下の実施態様の詳細な説明の点から当業者には明らかであろう。しかしながら、当然のことながら、本明細書の概要及び詳細な説明は、様々な実施態様のいくつかの例を説明するに過ぎず、請求された本発明を限定するものではない。
【0010】
実施態様の詳細な説明
本発明は、抗菌組成物、特に、食品を消毒することにおいて有用である抗菌組成物に関する。本発明の組成物は、オクタン酸、酸味料、カップリング剤、任意の緩衝剤及び水を含む。本発明の組成物は、GRAS又は食品添加原料からなる。当然のことながら、本明細書に記載の本発明の様々な実施態様は、様々な独自の実施態様を創作するために組み合わせることができ、そして、これらは、依然として本発明の範囲内に入る。更に、当然のことながら、本明細書に記載の例は、他に言及しない限り、記載した実施態様の任意と組み合わせて使用することができる。
【0011】
定義
以下の定義された用語について、異なった定義がクレーム又は本明細書中の他の箇所で記載されていない限り、これらの定義を適用する。
【0012】
全ての数値は、本明細書では、明確に示されていても又はいなくても、用語「約」によって修飾されることを前提とする。用語「約」は、一般的に、当業者が記載された値と等価であると考える数字の範囲を称する(すなわち、同一の機能又は結果を有する)。多くの例において、用語「約」は、最も近い有効数字に四捨五入される数字を含むことがある。
【0013】
重量パーセント(weight percent)、重量パーセント(percent by weight)、重量パーセント(% by weight)、wt %等は、組成物の重量で割りそして100を乗じた物質の重量としての、物質の濃度を意味する同義語である。終点の数値範囲の記載は、その範囲内に含まれる全ての数字を含む(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4及び5を含む)。
【0014】
本明細書及び添付のクレームで使用される、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈が他に明確に示さない場合には、複数形を含む。従って、例えば、「化合物(a compound)」を含む組成物への言及は、2以上の化合物の混合物を含む。本明細書及び添付のクレームで使用される用語「又は」は、文脈が他に明確に示さない場合には、一般的に、「及び/又は」を含む意味で使用される。
【0015】
本明細書における用語「抗菌」の使用は、得られた生成物が抗菌剤としての使用を承認されることを意味するものではない。
【0016】
抗菌組成物
本発明は、一般的に、抗菌組成物、特に食品を消毒することにおいて有用である抗菌組成物に関する。本発明の組成物は、オクタン酸、酸味料、カップリング剤、任意の緩衝剤、及び水を含む。本発明の組成物は、好ましくは、GARS又は食品添加原料を用いて形成される。
【0017】
本発明の抗菌組成物は、濃縮又はすぐに食べられる(ready-to-use)組成物として調合することができる。濃縮物は、すぐに食べられる組成物を形成するために希釈される組成物を称する。すぐに食べられる組成物は、表面に適用される組成物を称する。濃縮物は、すぐに食べられる組成物よりも輸送に費用がかからず、保存スペースが少ないため、有利であることがある。濃縮物は、次いで、すぐに食べられる組成物の適用前に、すぐに食べられる組成物を形成するために希釈することができる。
【0018】
抗菌組成物は、ある範囲の物理的形態を有することがある。例えば、抗菌組成物は、固固体、液体、構造的な又は濃縮液体又はゲル、泡、ペレット、小球、又は粉末である。更に、抗菌組成物は、溶解性フィルム、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)又はセルロースフィルム、の一部分でもよく、あるいは抗菌組成物は、フィルムでブローし(blow)もしくはフィルムで押出し、フィルム中に染み込ませ、又はフィルム上にコートしてもよい。最後に、抗菌組成物は、食品に適用される包装の一部であってもよい。
【0019】
オクタン酸
抗菌組成物は、活性な抗菌剤として、C6〜C22の脂肪酸、特にオクタン酸を含む。オクタン酸は抗菌活性を提供するばかりでなく、食品用公定化学品集による「食品用」及び米国食品医薬品庁による「食品添加物」であると考えられる。抗菌性と直接的な食品的適用とのこの組合せは、オクタン酸を、特に食品への適用に役立たせる。
【0020】
オクタン酸は以下:
【0021】
【化1】

【0022】
の構造を有する。
【0023】
オクタン酸は、オクタン酸又はその誘導体でよい。例えば、オクタン酸のエステル又はオクタン酸の塩も、活性な抗菌剤として使用としてよい。カルボン酸の一般的なエステル誘導体は、ヒドロキシ基が、オクタン酸化合物の効力を妨げない任意の数の異なったアルキル部分を含むことがあるアルコキシ基によって置換される化合物である。エステルの主な種類は、一価アルコール、多価アルコール、及びエチレンオキシド又はプロピレンオキシドとの反応から得られる。使用される最も一般的な一価アルコールは、単純なアルキルアルコール、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル等である。最も一般的な多価アルコールは、ポリエチレングリコール、グリセロール、ソルビトール、及びある糖類、例えばスクロースを含む。
【0024】
オクタン酸は、周期族IA及びIIAの一価及び二価の金属の酸化物、水酸化物、又は炭酸塩から選ばれる、最も一般的なアルカリ物質との反応だけでなく、塩基性の陽性複合体、例えばアンモニウムラジカル及び有機アミン部分との反応により、塩の形態をとることがある。
【0025】
従って、本発明のオクタン酸は、任意の数の酸塩、エステル等を含むことがある。好ましくは、本発明で使用される化合物は、オクタン酸、オクタン酸塩、オクタン酸エステル又はそれらの混合物である。
【0026】
実施態様によっては、組成物は、オクタン酸、酸味料及びカップリング剤から本質的になり得る。そこでは、組成物は、追加の抗菌剤を含まない。実施態様によっては、組成物は、オクタン酸、酸味料及びカップリング剤からなり得る。
【0027】
組成物が濃縮組成物として調合される場合には、オクタン酸は、一般的に約1 wt.%〜約50 wt. %、約2 wt.%〜約25 wt.%、及び約3 wt.%〜約15 wt.%の範囲の濃度で存在してよい。組成物がすぐに食べられる組成物である場合には、オクタン酸は、一般的に約0.01 wt.%〜約15 wt. %、約0.05 wt.%〜約10 wt.%、及び約0.1 wt.%〜約5 wt.%の範囲の濃度で存在してよい。
【0028】
酸味料
抗菌組成物は、組成物のpHを調整するための1以上の酸味料を含む。本発明で使用される酸味料は、好ましくは、好適なGRAS又は食品添加原料であると考えられる。好適なGRAS又は食品添加酸味料の非-限定的な例は、乳酸、リン酸、硫酸、アジピン酸、酒石酸、コハク酸、酢酸、プロピオン酸、クエン酸、リンゴ酸、硫酸ナトリウム(sodium acid sulfate)及びそれらの混合物を含む。酸味料は、好ましくは、リン酸又はクエン酸である。
【0029】
組成物中の酸味料の正確な量は、酸味料の選択及び酸味料の強度に依拠するだろう。酸味料は、好ましくは、所望のpHを与えるような量で含まれる。すぐに食べられる組成物のpHは、好ましくは、約1.0〜約5.6、約1.5〜約4.5、及び約2.0〜約4.0である。当業者は、所望のpHを達成するために必要な平衡状態の、酸味料の重量パーセントを決定することができるだろう。しかしながら、組成物が濃縮組成物として調合される場合に、平衡状態にある酸味料の具体的な重量パーセントの範囲は、一般的に約1 wt.%〜約50 wt.%、約1.5 wt.%〜約25 wt.%、及び約2 wt.%〜約15 wt.%の範囲である。組成物がすぐに食べられる組成物として調合される場合には、酸味料は、一般的に約0.1 wt.%〜約15 wt.%、約0.2 wt.%〜約10 wt.%、及び約0.4 wt.%〜約5 wt.%の範囲の濃度と平衡状態で存在することがある。
【0030】
緩衝剤
抗菌組成物は、場合により、1以上の緩衝剤を含む。緩衝剤は、好ましくは、組成物中で使用される酸味料の共役塩基である。更に、緩衝剤は、好ましくは、GRAS又は食品添加原料であると考えられる。緩衝剤は、酸味料の塩の形態で組成物に直接添加し、又は酸味料に中和塩基を加えることによって形成することができる。例えば、緩衝剤が組成物中でつくられる場合には、中和塩基は、対応する緩衝塩を形成するように酸味料に加えられるべきである。中和塩基は、好ましくは、GRAS又は食品添加物であると考えられる。好適な中和塩基の非限定的な例は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ケイ酸塩、第三リン酸ナトリウム等を含む。
【0031】
緩衝塩は、好ましくは、GRAS又は食品添加物である。好適な緩衝剤の非限定的な例は、クエン酸ナトリウム又はクエン酸カリウムと組合せたクエン酸、第一リン酸ナトリウムと組合せたリン酸を含むが、当業者は、所望の酸味料の対応する塩を選択することができるだろう。
緩衝剤は、好ましくは、クエン酸ナトリウム又はクエン酸カリウムと組合せたクエン酸である。
【0032】
組成物中の緩衝剤の正確な量は、酸味料の強度及び量に依拠するだろう、そして当業者は、平衡状態にある緩衝剤の正確な重量パーセントを決定することができるだろう。しかしながら、組成物が濃縮組成物として調合される場合には、緩衝剤は、一般的に約1 wt.%〜約50 wt.%、約1.5 wt.%〜約25 wt.%、及び約2 wt.%〜約15 wt.%の範囲の濃度で存在することがある。組成物がすぐに食べられる組成物として調合される場合には、緩衝剤は、一般的に約0.1 wt.%〜約10.0 wt.%、約0.2 wt.%〜約5.0 wt.%、及び約0.4 wt.%〜約3.0 wt.%の範囲の濃度で存在することがある。緩衝剤は、好ましくは、約1.0〜約5.6、約1.5〜約4.5、及び約2.0〜約4.0の、すぐに食べられる組成物のpHを維持するために有効な量で組成物中に含まれる。
【0033】
カップリング剤
抗菌組成物は、溶液中に組成物の原料を維持するための1以上のカップリング剤を含む。カップリング剤は、好ましくは、GRAS又は食品添加原料である。好適なカップリング剤の非限定的な例は、プロピレングリコールエステル、グリセロールエステル、ポリオキシエチレングリセロールエステル、ポリグリセロールエステル、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンポリマー、スルホン酸塩、コハク酸ジオクチルナトリウム、乳酸ステアロイル、及び複合エステル、例えば、アセチルグリセリド、酢酸グリセリド、乳酸グリセリド、クエン酸グリセリド、コハク酸グリセリド又はジアセチル酒石酸グリセリドを含む。カップリング剤は、好ましくは、ソルビタンエステル、例えばポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(ポリソルベート 80として商業的に入手可能)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート(ポリソルベート 60として商業的に入手可能)、及びポリオキシエチレン(20)ソルビタンラウレート(ポリソルベート 20として商業的に入手可能)である。
【0034】
組成物が濃縮組成物として調合される場合には、カップリング剤は、一般的に約1 wt.%〜約50 wt.%、約2 wt.%〜約25 wt.%、及び約3 wt.%〜約15 wt.%の範囲の濃度で存在することがある。組成物がすぐに食べられる組成物として調合される場合には、カップリング剤は、一般的に約0.02 wt.%〜約15 wt.%、約0.05 wt.%〜約10 wt.%、及び約0.1 wt.%〜約5 wt.%の範囲の濃度で存在することがある。
【0035】
追加の機能性成分
抗菌組成物は、組成物の効力を更新し又はその他の利点を与える追加の機能性成分を含むことがある。含まれ得る追加の機能性成分の例は、長鎖の飽和又は不飽和脂肪酸(例えば、C6〜C22)、酸化剤、担体、キレート化剤、屈水性誘発物質、増粘剤及び/又はゲル化剤、発泡剤、フィルム-形成剤、界面活性剤、カップリング剤、酸味料、増強物質、風味助剤、香料、色素等を含む。追加の機能性成分はいずれも、好ましくは、GRAS又は食品用成分である。
【0036】
長鎖脂肪酸
組成物は、場合により、長鎖脂肪酸、特に、C6〜C22脂肪酸を含むことがある。脂肪酸は、末端カルボキシル基(-COOH)を有する6〜22個の炭素原子を有するアルキル基からなる。アルキル鎖炭素原子の全てが単結合によって結合される脂肪酸は、飽和である。炭素原子間に1以上の二重結合を有する脂肪酸は、不飽和であり得る。飽和脂肪酸の非限定的例は、ヘキサン酸(C6)、オクタン酸(C8)、ノナン酸(C9)、デカン酸(C10)、ラウリン酸(C12)、ミリスチン酸(C14)、パルミチン酸(C16)、ステアリン酸(C18)、アラキン酸(C20)、べヘル酸(C22)等を含む。不飽和脂肪酸の非限定的例は、パルミトリル酸 (C16:1)、オレイン酸 (C18:1)、リノール酸 (C18:2)、リノレン酸 (C18:3)、アラキドン酸 (C20:1) 等を含む。
【0037】
酸化剤
組成物は、場合により、酸化剤を含むことがある。酸化剤の非限定的例は、過酸化合物、例えば有機及び無機過酸化物、過酸、過エステル、及びそれらの混合物を含む。無機化酸化物の非限定的例は、以下:過酸過水素、その塩、及び他の無機酸、又は過炭酸塩、過硫酸塩及び過ホウ酸塩のような塩を含む。有機過酸化物の非限定的例は、以下:ベンゾイル過酸化物、tert-ブチルベンゾイル過酸化物、並びに他のアルキル及び/又はアリール過酸化物を含む。過酸の非限定的例は、以下:過ギ酸、過酢酸、過乳酸、過グリコール酸、クロロ過安息香酸、過ヘプタン酸、過オクタン酸、過デカン酸、過クエン酸、過安息香酸を含む。過エステル過酸の非限定的例は、以下:二価酸、モノエステル二価酸又はジエステルから得られるモノエステル過酸(例えば、アジピン酸、コハク酸、グルタル酸、セバシン酸、又はマロン酸/エステル、及びそれらの混合物)を含む。
【0038】
酸素、オゾン、二酸化塩素、及びそれらの混合物を含む、活性酸化剤又は酸素種を生成することができる酸化剤を利用することもできる。好ましい酸化剤は、過酸化水素及び無機過酸化物を含む過酸素化合物である。
【0039】
担体
組成物は、場合により、担体又は溶媒を含むことがある。担体は、水又は他の溶媒、例えば、アルコール又はポリオールでよい。メタノール、エタノール、プロパノール及びイソプロパノールに例示される低分子量の一級又は二級アルコールは、好適である。一価アルコールは、界面活性剤を溶解するために好ましいが、ポリオール、例えば約2〜約6個の炭素原子及び約2〜約6個の水酸基を含むもの(例えば、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、及び1,2-プロパンジオール)も使用できる。
【0040】
キレート化剤
本発明の組成物は、場合により、硬成分(hardness components)及び用水(service water)の有害な効果を減少させるのに役立ち、及び生成物の安定性を改善する、多価金属の錯化剤又はキレート化剤を含む。キレート化剤又は金属イオン封鎖剤は、効果的に複合化し、活性成分との不適当な相互作用からかかるイオンを除くことができ、よって消毒剤の性能を増加させる。有機及び無機キレート化剤はいずれも使用できる。無機キレート化剤は、トリポリリン酸ナトリウムのような化合物、及び他の高級直鎖及び環状ポリリン酸種を含む。有機キレート化剤は、ポリマー性及び低分子のキレート化剤を含む。ポリマー性キレート化剤は、一般的に、ポリアニオン性組成物、例えばポリアクリル酸化合物を含む。アミノリン酸塩及びホスホン酸塩も、本発明の化合物におけるキレート化剤としての使用に好適であり、エチレンジアミン (テトラメチレンリン酸塩)、ニトリロトリスメチレンリン酸塩、ジエチレントリアミン (ペンタメチレンリン酸塩) を含む。これらのアミノリン酸塩は、一般的に、8個未満の炭素原子を有するアルキル基又はアルカリ性基を含む。
【0041】
本発明での使用のための好ましいキレート化剤は、改良された食品添加キレート化剤、例えば、エチレンジアミン四酢酸の二ナトリウム塩、又はDEQUEST(登録商標)の形態で販売されている周知のリン酸塩、例えば、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸等を含む。リン酸は、低分子量のホスホノポリカルボン酸、例えば、約24個のカルボン酸部分及び約1〜3個のリン酸基を有するものを含んでもよい。
【0042】
上記のリン酸は、水溶性酸の塩、特に、アルカリ金属塩、例えばナトリウム塩又はカリウム塩;アンモニウム塩、又は2〜3個の炭素原子を有するアルキロールアミン塩、例えばモノ-、ジ-又はトリ-エタノールアミン塩、の形態で使用することもできる。必要ならば、個々のリン酸又はその酸塩の混合物も使用できる。
【0043】
増粘剤及びゲル化剤
組成物は、場合により、増粘剤又はゲル化剤を含む。本発明において有用な増粘剤は、適用表面上に汚染残渣、すなわち、接触領域において食品又は他の敏感な製品とは適合しない成分、を残さないものである。
【0044】
一般的に、本発明で使用することができる増粘剤は、天然ガム、例えばキサンタンガムを含む。また、セルロース性ポリマー、例えばカルボキシルメチルセルロースも、本発明において有用である。一般的に、本発明における増粘剤の使用濃度は、最終組成物中の所望の粘性により決定されるだろう。
【0045】
発泡剤
組成物は、場合により、発泡剤又は発泡界面活性剤を含むことがある。発泡界面活性剤は、非イオン性、アニオン性又はカチオン性でよい。有用な界面活性剤の種類の例は、以下:アルコールエトキシレート、アルコールエトキシレートカルボキシレート、アミンオキシド、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、スルホン酸塩、四級アンモニウム化合物、アルキルサルコキシン、ベタイン及びアルキルアミドを含むが、これらに限定されない。
【0046】
フィルム-形成剤
本発明の組成物は、粘性を高め、又は厚くし、及び処理される表面に固着する水性処理を引き起こすための、1以上のレオロジー変更剤を含んでもよい。固着は、組成物を、長期間、一時的及び住み着いている病原菌と接触し続けさせることができる。それによって、微生物学的効力を助け、過剰の滴下による浪費を防いでいる。レオロジー変更剤は、フィルム形成剤でもよく、又はフィルム形成剤と一緒に働いて、追加の保護を与えるバリアを形成してもよい。
【0047】
好ましいレオロジー変更剤は、コロイド状ケイ酸アルミニウム、コロイド状クレイ、ポリビニルピロリドン、ポリビニル酢酸、ポリアルキレンオキシド、ポリアクリルアミド、又はそれらの混合物を含む。
【0048】
有用な水溶性又は水分散性レオロジー変更剤は、無機又は有機として分類され得る。有機増粘剤は、天然ポリマー、合成ポリマーに更に分けられ、後者は、更に、合成天然系、合成石油系に分けられる。
【0049】
有機増粘剤は、一般的に、コロイド状ケイ酸マグネシウムアルミニウム(ビーガム)、コロイド状クレイ (ベントナイト)、又はケイ酸塩 (Cab-O-Sils)のような化合物であり、噴霧されて、大きな表面サイズ比を有する粒子を形成する。
【0050】
使用に係る天然ハイドロゲル増粘剤は、主に植物由来の滲出物である。例えば、トラガカント、カラヤゴム及びアカシアゴム;及び抽出物、例えば、カラゲナン、ローカストビーンガム、グアールガム及びペクチン;又は、純粋な培養発酵産物、例えば、キサンタンガムは、全て本発明で有用であり得る。化学的に、これらの材料の全ては、複雑なアニオン性多糖の塩である。適用を有する合成天然系増粘剤は、セルロース性誘導体である。そこでは、直線状の無水グルコースポリマー上の遊離の水酸基は、エーテル化又はエステル化され、水中で溶解する物質群を与え、粘性溶液を与える。この材料群は、アルキル及びヒドロキシアルキルセルロース、特に、メチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及びカルボキシメチルセルロースを含む。合成石油系水溶性ポリマーは、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリル酸及びポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド、及びポリエチレンイミンが表す、好適なモノマーの直接的な重合によって製造される。
【0051】
界面活性剤
組成物は、場合により、洗浄力、表面湿潤力及び抗菌力に役立つための界面活性剤を含む。好適な界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、アミンオキシド等を含む。
【0052】
本発明の組成物及び方法において使用するためのアニオン性界面活性剤は、Ecolab社からNAS 8Dとして入手可能なn-オクタンスルホン酸塩、n-オクチルジメチルアミンオキシド、n-デシルジメチルアミンオキシド、ココアジメチルアミンオキシド、及び商業的に入手可能な芳香族スルホン酸塩、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸(例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、クメンスルホン酸、キシレンスルホン酸塩)、又はナフタレンスルホン酸塩を含む。最も好ましいアニオン性界面活性剤は、C6〜C24アルキルベンゼンスルホン酸塩、C6〜C24オレフィンスルホン酸塩、C6〜C24パラフィンスルホン酸塩、クメンスルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、C6〜C24アルキルナフタレンスルホン酸塩、C6〜C24アルキルもしくはジアルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩又はジスルホン酸塩、C4〜C24モノ又はジアルキルスルホコハク酸塩、スルホン化又は硫酸化脂肪酸、C6〜C24アルコール硫酸塩 (好ましくは、C6〜C12アルコール硫酸塩)、1〜約20個のエチレンオキシド基を有するC6〜C24アルコールエーテル硫酸塩、及びC4〜C24アルキル、アリール又はアルカリルリン酸エステル、又は1〜約40個のエチレン、プロピレン又はブチレンオキシド単位を有するそれらのアルコキシ化アナログ、あるいはそれらの混合物を含む。
【0053】
追加の好適な界面活性剤は、1〜約20個のエチレンオキシド基(好ましくは、約9〜約20個のエチレンオキシド基)を有するC6〜C24アルコールエトキシレート(好ましくは、C6〜C14アルコールエトキシレート);1〜約100個のエチレンオキシド基(好ましくは、約12〜約20個のエチレンオキシド基)を有するC6〜C24アルキルフェノールエトキシレート (好ましくは、C8〜C1Oアルキルフェノールエトキシレート);1〜約20個のグリコシド基(好ましくは、約9〜約20個のグリコシド基)を有するC6〜C24アルキルポリグリコシド(好ましくは、C6〜C20アルキルポリグリコシド);C6〜C24脂肪酸エステルエトキシレート、プロポキシレート、又はグリセリド; 及びC4〜C24モノ又はジアルカノールアミド、の非イオン性界面活性剤を含む。
【0054】
加えて、有用な界面活性剤は、2つの機能を達成するものを含む。例えば、表面活性化合物、モノ、ジ及びトリアルキルリン酸エステルは、湿潤を助けるが、泡を抑制し、抗菌活性を提供するために、組成物に添加することができる。かかるリン酸エステルは、一般的に、脂肪族の直鎖アルコールから製造され、アルキルリン酸エステルの脂肪族部分に8〜12個の炭素原子を有する。非イオン性界面活性剤、脂肪酸塩、及びシリコン-系材料は、本発明では、発泡を減少させるために添加することができる。かかる材料は、組成物の他の成分の能力を増加させる傾向がある。
【0055】
更に好ましい界面活性剤は、食品添加界面活性剤を含む。従って、本発明は、食品用、又は天然由来もしくは食品表面適合性の、湿潤剤及び洗浄剤、例えば、リノール酸、ソルビタンエステル、糖類エステル、レシチン及びエトキシ化レシチン、PEGアルキレート、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、ステアリルクエン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、プルロニック、及び様々な単鎖脂肪酸を含む。
【0056】
増強物質
組成物は、場合により、増強物質、例えば、テルペノイドを含む。テルペノイドは、イソプレン(2-メチルブタ-1,3-ジエン)単位からなる炭素骨格を含む分子構造を有する材料として定義される。イソプレンは、5個の炭素原子を含み、そのため、任意のテルペノイドの炭素原子数は、5の倍数である。テルペノイドは、細菌及び真菌の細胞による、抗菌性化合物及び防腐剤の取り込みを促進するのに役立ち、よって、抗菌化合物又は防腐剤の効力を増加させる、と考えられる。本明細書に参考としてその全体が援用される、米国特許第6,319,958号明細書及びドイツ特許第DE 195 23 320号明細書を参照。テルペノイドの非-限定的な例は、α-テルピネン、シネオール、シトラール、シトロネラル、シトロネロール、ファルネソール、ゲラニオール、リモネン、リナロール、メトネ、ネロリドル、テルピネオール、カンフェン、メントン、ミルセン、ネロール、テトラヒドロゲラニオール、テトラヒドロリナロール、アプリトン、及びビサボロールを含む。テルペノイドは、好ましくは、ファルネソール、ネロリドル、ビサボロール又はアプリトンである。
【0057】
風味助剤、香料及び色素
組成物は、食品に所望の風味を与えるための、又は望ましくない風味をマスクするための風味助剤を含むことがある。風味助剤の非-限定的な例は、マリネ、テンダライザー、及び典型的に食品と関連するスパイスを含む。
【0058】
組成物は、天然及び合成の香料を含む香料を含んでもよい。香料の非-限定的な例は、アルデヒド、ケトン、エステル、エッセンスオイル等を含む。
【0059】
最後に、組成物は色素を含むことがある。好適な色素の非-限定的な例は、FD&C及びD&C色素である。
【0060】
食品
本明細書で用いられる用語「食品」又は「食物」は、ヒト又は哺乳動物によって消費され得る任意の食物又は飲料の品目を意味する。「食品」又は「食物」の非-限定的な例は、以下を含む:すぐに食べられる(「RTE」)肉製品及び鶏肉製品、加工された肉製品及び鶏肉製品、調理済の肉製品及び鶏肉製品を含む肉製品、並びに牛肉、豚肉及び鶏肉製品を含む生の肉製品及び鶏肉製品;調理済の及び生の魚、えび及び貝を含む魚製品;丸ごと又はカットされた果物及び野菜、及び調理済の又は生の果物及び野菜を含む製品;ピッツァ;できあがったパン及びパン生地;チーズ;卵及び卵製品、及び予め作られたサンドウィッチのような予め作られた食品。本発明は、特に、肉製品及び鶏肉製品に有用である。肉製品の具体的な例は、RTE調製食料品又はランチョンミート、例えば七面鳥、ハム、及びローストビーフ、ホットドッグ及びソーセージを含む。加えて、本発明は、ベーコン、及び予め作られた、予め組み合わされた、又は予め包装された食事、例えばTV食及び電子レンジで調理可能な主菜(micro waveable entrees)又は食事で、使用され得る。
【0061】
抗菌組成物の適用
抗菌組成物は、食品の包装前、食品の包装後、又は食品の包装と実質的に同時に食品に適用することができる。あるいは、組成物は、包装なしに食品に適用することができる。
【0062】
抗菌組成物は、数種類の方法で食品に適用することができる。ある実施態様では、抗菌組成物は、食品等に直接、抗菌組成物を噴霧し、霧を吹き、回転させ及び泡立たせ、及び抗菌組成物中に食品を浸漬することを含む多数の方法で、食品に直接適用することができる。抗菌組成物は、注射剤、例えば注射液として適用することができ、あるいは抗菌組成物は、食品に適用されるマリネ又はテンダライザーの一部分として適用することができる。
【0063】
ある実施態様では、抗菌組成物は、食品に間接的に適用することができる。抗菌組成物は、食品を包装に挿入する前に、又は食品に包装を適用する前に、包装に適用することができる。次いで、抗菌組成物は、食品が包装されるときに食品と接触する。本明細書で使用される「包装された食品」は、包装中に置かれたが未だ密封されていない食品を意味する。食品が包装中に挿入された後、又は食品に包装が適用された後に、抗菌組成物は包装に適用することができる(例えば、抗菌組成物は、食品が包装材料に置かれたが包装を密封する前に、包装中に注ぎ込むか又は包装中に導入することができる)。抗菌組成物は、食品の包装と実質的に同時に食品に適用することができる。更に、食品包装又は食品箱詰め(例えば、ホットドッグ又はソーセージの箱詰め)は、抗菌組成物によりコートし、処理し、又は抗菌組成物に染み込ませることができ、そして、抗菌組成物は、食品が包装又は箱内に置かれるときに食品に適用される。
【0064】
使用の好ましい方法の例は、その全体の開示は本明細書に参考として援用されている、整理番号2103USU1及び出願番号 で本願と同時に出願された、「包装された食品を処理するための抗菌組成物及び方法」という名称の同時係属出願に、より詳細に記載されている。
【0065】
本発明のより完全な理解のために、ある実施態様を説明するために以下の実施例を提供する。これらの実施例及び実験は、説明に過ぎず、発明を限定するものと解釈すべきでない。反対に示さない限り、全ての割合は、重量で示す。
【実施例】
【0066】
実施例 1
以下は、本発明の方法で使用されるオクタン酸組成物の例であって、オクタン組成物は、模擬の収縮トンネルを食品が通過することによって活性化される。
【0067】
例えば、1,000 ppm〜約10,000 ppmのオクタン酸、約1.0 %〜約4.0%のエチレンオキシド/プロピレンオキシド共重合体 (プルロニックF108)、及び約2.0〜約6.0%のプロピレングリコールの溶液は、GRAS酸、例えば、リン酸、によってpH 1.0に調整した。
【0068】
【表1】

【0069】
リン酸緩衝希釈水に懸濁した、ATCC 19112、ATCC 19114、ATCC 19115、ATCC 7644、及びNCTC 10890を含む5種類のL.モノサイトゲネス株の当量混合物を接種材料として使用した。0.1ミリリットルの接種材料をRTE七面鳥胸肉に置き、殺菌済みの曲がったガラス製ロッドで延ばした。その後、5℃で10分間保存し、細菌を張り付けた。次いで、RTE七面鳥胸肉に表1に記載の抗菌組成物を15秒間スプレイした。本実施例では、各RTE七面長胸肉に適用した抗菌組成物の体積は、約15ミリリットルであった。七面鳥胸肉をバッグに入れた。バッグを直ちに真空包装し、200°Fの水に15秒間浸漬し、収縮トンネルの通過を模倣した。次いで、バッグを2℃の水浴に1分間以上浸漬した。1処理当たり2回反復した。試料を5℃で24時間保存し、その後、L.モノサイトゲネスの集団を分析した。バーモント大学の培養液の50ミリリットルを各バッグに加えた。RTE七面鳥胸肉を回転させ、細胞を回収した。得られた懸濁液を改変オックスフォード培地アガーに播き、L.モノサイトゲネスの計数の前に、プレートを35℃で72時間インキュベートした。
【0070】
【表2】

【0071】
1%オクタン酸で処理した後、L.モノサイトゲネスの1.20 log減少という結果を得た。しかしながら、オクタン酸の活性化は、食品内で、L.モノサイトゲネス集団を2.04 log減少させた。RTE肉製品中の天然L.モノサイトゲネス汚染レベルは、一般的に低い(約<1 CFU/g)ことが公表されている。Gombas, D.E.他 (2003)、すぐに食べられる食品中のリステリア・モノサイトゲネスの生存、Journal of Food Protection (66), 559-569。従って、一旦活性化されると、実施例1における抗菌組成物は、リステリア・モノサイトゲネス汚染が本質的にないRTE製品を与えた。これらの結果は、オクタン酸が、FSIS Form 10,240-1に記載された後致死性(post-lethality)処理のFSIS要件を満たす、ことを示している。
【0072】
実施例 2
以下の実施例は、RTEオーブンロースト七面鳥胸肉に接触しているL.モノサイトゲネスを減少させることにおける、1.0%オクタン酸の効力を決定した。そこでは、オクタン酸は、食品の、模擬の浸漬型収縮トンネル通過を模倣することにより活性化された。本実施例のために、カップラーとして3%ポリソルベート20を用いる1%オクタン酸の溶液を調製し、2.55%クエン酸を用いて酸性にした。4つの試験溶液を調製し、1.08%以下の水酸化ナトリウムを用いて、各pHをpH 2〜pH 5の異なったpHに調整した。リン酸緩衝希釈水に懸濁した、ATCC 19112、ATCC 19114、ATCC 19115、ATCC 7644、及びNCTC 10890を含む5種類のL.モノサイトゲネス株の当量混合物を接種材料として使用した。試料表面を50マイクロリットルの接種材料で点-接種した。接種材料を殺菌済みの曲がったガラス製ロッドで延ばした。その後、5℃で10分間保存し、細菌を張り付けた。接種した七面鳥試料を収縮バッグに移した。15ミリリットルのオクタン酸調合物をバッグに加え、直ちに、真空-包装し、200°Fに加熱した水に10秒間浸漬し(処理試料)、又は2秒間浸漬した(非処理対照試料)。1処理当たり3回反復した。試料を5℃で2時間保存し、その21日後に、L.モノサイトゲネスの集団を分析した。バーモント大学の培養液の50ミリリットルを各バッグに加えた。RTE七面鳥胸肉を50回、回転させ、得られた懸濁液を改変オックスフォード培地アガーに播いた。プレートを35℃で72時間インキュベートし、その後、L.モノサイトゲネスを計数した。
【0073】
【表3】

【0074】
1.0%オクタン酸によるオーブンロースト七面鳥胸肉の処理は、2時間でL.モノサイトゲネスの>2.4 log減少、及び保存21日後に>4.7log減少という結果を得た。そのため、一旦活性化されると、抗菌組成物は、処理されたRTE食品のL.モノサイトゲネスの増殖を実質的に抑制した。RTE肉製品中の天然L.モノサイトゲネス汚染レベルは、一般的に低い(約<1 CFU/g)ことが公表されている。従って、一旦活性化されると、抗菌組成物は、リステリア・モノサイトゲネス汚染が本質的にないRTE製品を与えた。本実施例は、オクタン酸の使用が、FSIS Form 10,240-1に記載された後致死性処理のFSIS要件を満たし、そしてFSIS Form 10,240-1に記載されたL.モノサイトゲネスの増殖を抑制する抗菌剤又は抗菌方法の要件を満たすかもしれない、ことを示している。
【0075】
実施例 3
以下の実施例は、本発明の方法において使用される場合に、七面鳥のフランクフルトソーセージに接触しているリステリア・モノサイトゲネスを死滅させることにおける、オクタン溶液の効力を決定した。そこでは、オクタン酸組成物は、食品の、模擬の浸漬型収縮トンネルの通過を模倣することによって活性化された。
【0076】
本実施例のために、カップラーとして1-オクタンスルホン酸ナトリウムを用いて、990、5,000及び10,000 ppmのオクタン酸の溶液を調製し、リン酸を用いて酸性にした。10,000 ppmオクタン酸溶液を、1%オクタン酸、1% 1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸、1.25% 1-オクタンスルホン酸ナトリウムを用いて調製し、リン酸でpH 1.2に酸性化した。5,000 ppmのオクタン酸溶液を50%の10,000 ppmオクタン酸、50%水を用いて調製し、pHを1.4に調整した。990 ppmのオクタン酸溶液を、9.9%の10,000 ppmオクタン酸、89.42%水で調製し、0.68%リン酸でpH 1.5に調整した。リン酸緩衝希釈水に懸濁した、ATCC 19112、ATCC 19114、ATCC 19115、ATCC 7644、及びNCTC 10890を含む5種類のL.モノサイトゲネス株の当量混合物を接種材料として使用した。0.125ミリリットルの接種材料を、殺菌済みのポリエチレンバッグ内の各七面鳥フランクフルトソーセージにピペットでとった。フランクフルトソーセージを10℃で10分間保存し、細菌を張り付けた。1ミリリットルの所定のオクタン酸調合物(又は、対照用として殺菌水)をバッグに加えた。バッグを真空-包装し、200°Fの水に15秒間浸漬し、浸漬型収縮トンネルの通過を模倣した。次いで、バッグを2℃の水浴に1分間浸漬した。1処理当たり3回反復した。試料を5℃で24時間保存し、その後、L.モノサイトゲネスの集団を分析した。バーモント大学の培養液の15ミリリットルを各バッグに加えた。フランクフルトソーセージを1分間マッサージし、細胞を回収した。得られた懸濁液を改変オックスフォード培地アガーに播いた。プレートを35℃で72時間インキュベートし、その後、L.モノサイトゲネスを計数した。
【0077】
【表4】

【0078】
加熱活性化を伴う、10,000 ppmオクタン酸による七面鳥フランクフルトソーセージの処理は、L.モノサイトゲネスの2.66 log減少という結果を得た。RTE肉製品中の天然L.モノサイトゲネス汚染レベルは、一般的に低い(約<1 CFU/g)ことが公表されている。従って、一旦活性化されると、抗菌組成物は、リステリア・モノサイトゲネス汚染が本質的にないRTE製品を与えた。本実施例は、オクタン酸が、FSIS Form 10,240-1に記載された後致死性処理のFSIS要件を満たす、ことを再度示している。
【0079】
実施例 4
以下の実施例は、ローストビーフに接触しているL.モノサイトゲネスに対する1.0%オクタン酸溶液の効力を決定した。
【0080】
本実施例のために、カップラーとして3%ポリソルベート20を用いて1%オクタン酸の溶液を調製し、0.3%リン酸でpH 2.0に酸性化した。カップラーとして3%ポリソルベート20を用いて1%オクタン酸の第二溶液を調製し、2.55%クエン酸及び0.6%水酸化ナトリウムでpH 4.0に調整した。2つの調合物の効力を評価した。リン酸緩衝希釈水に懸濁した、スコットA (血清型4b、ヒト単離物)、H7750 (非-血清型、フランクフルトソーセージ単離物)、AC33 (非-血清型、調理済みのハムの単離物)、LM108M(血清型1/2b、サラミソーセージ単離物)、及びF6854 (血清型 1/2a、フランクフルトソーセージ単離物)を含む5種のL.モノサイトゲネス株の等量混合物を使用した。ローストビーフ試料を50マイクロリットルの接種材料で点-接種した。接種材料を殺菌済みの曲がったガラス製ロッドを用いて延ばした。接種したRTE食品試料を5℃で30分間保存した後、細菌を張り付けた。RTE食品試料を収縮バッグに入れた。約15ミリリットルのいずれかのオクタン酸調合物の各処理試料への適用によって、RTE食品試料をオクタン酸で処理した。バッグを直ちに、200°Fに加熱した水に2回浸漬して、真空-包装した。1処理当たり、3回反復した。試料を5℃で24時間保存した後、L.モノサイトゲネスの集団を分析した。バーモント大学の培養液の50ミリリットルを各バッグに加えた。RTE食品試料を50回回転させ、得られた懸濁液を改変オックスフォード培地アガーに播いた。プレートを35℃で72時間インキュベートし、その後、L.モノサイトゲネスを計数した。
【0081】
【表5】

【0082】
リン酸によってpH 2に酸性化した1%オクタン酸及び熱によるローストビーフの処理は、L.モノサイトゲネスの1.18 log減少をもたらした。クエン酸によってpH 4に酸性化した1%オクタン酸及び熱によるローストビーフの処理は、L.モノサイトゲネスの2.09 log減少をもたらした。RTE肉製品中の天然L.モノサイトゲネス汚染レベルは、一般的に低い(約<1 CFU/g)ことが公表されている。従って、抗菌組成物は、リステリア・モノサイトゲネス汚染が本質的にないRTE製品を与えた。本実施例は、オクタン酸が、FSIS Form 10,240-1に記載された後致死性処理のFSIS要件を満たす、ことを示している。
【0083】
先の概要、詳細な説明及び実施例は、本発明、及び本発明の特定の実施態様を理解する十分な基礎を提供する。本発明は、様々な実施態様を含み得るので、上記の情報は、本発明を限定するものではない。本発明は請求の範囲にある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品への適用のための抗菌組成物であって、以下:
(a) オクタン酸;
(b) 酸味料;及び
(c) カップリング剤
を含み、当該オクタン酸、酸味料及びカップリング剤としては、GRAS又は食品添加成分が考慮される、前記組成物。
【請求項2】
前記オクタン酸が、オクタン酸のエステル又は塩である、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記酸味料が、リン酸、クエン酸又はそれらの混合物である、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
緩衝剤を更に含む、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
前記緩衝剤が、酸味料の共役塩基を含む、請求項4記載の組成物。
【請求項6】
前記緩衝剤が、クエン酸及びクエン酸塩である、請求項4記載の組成物。
【請求項7】
前記緩衝剤が、リン酸及びリン酸塩である、請求項4記載の組成物。
【請求項8】
前記カップリング剤が、ソルビタンエステルである、請求項1記載の組成物。
【請求項9】
濃縮組成物である、請求項1記載の組成物。
【請求項10】
すぐに食べられる(ready-to-use)組成物である、請求項1記載の組成物。
【請求項11】
追加の機能性成分を更に含む、請求項1記載の組成物。
【請求項12】
前記追加の機能性成分が、酸化剤、担体、キレート化剤、屈水性誘発物質、増粘剤、ゲル化剤、発泡剤、フィルム-形成剤、界面活性剤、カップリング剤、酸味料、増強物質(potentiator)、風味剤、香料、色素、及びそれらの混合物からなる群より選ばれる、請求項11記載の組成物。
【請求項13】
すぐに食べられる肉製品又は鳥製品への適用のための抗菌組成物であって、以下:
(a) オクタン酸;
(b) 酸味料;
(c) 緩衝剤;及び
(d) カップリング剤
を含み、当該オクタン酸、酸味料、緩衝剤及びカップリング剤としては、GRAS又は食品添加成分が考慮され、そして、当該組成物は、食品が包装され、抗菌組成物を活性化する活性化エネルギーに曝露された後に、食品上に残るのに適合する、前記組成物。
【請求項14】
前記オクタン酸が、オクタン酸のエステル又は塩である、請求項13記載の組成物。
【請求項15】
前記酸味料が、リン酸、クエン酸又はそれらの混合物である、請求項13記載の組成物。
【請求項16】
前記緩衝剤が、酸味料の共役塩基を含む、請求項13記載の組成物。
【請求項17】
前記緩衝剤が、クエン酸及びクエン酸塩である、請求項13記載の組成物。
【請求項18】
前記緩衝剤が、リン酸及びリン酸である、請求項13記載の組成物。
【請求項19】
前記カップリング剤が、ソルビタンエステルである、請求項13記載の組成物。
【請求項20】
濃縮組成物である、請求項13記載の組成物。
【請求項21】
すぐに食べられる組成物である、請求項13記載の組成物。
【請求項22】
追加の機能性成分を更に含む、請求項13記載の組成物。
【請求項23】
前記追加の機能性成分が、酸化剤、担体、キレート化剤、屈水性誘発物質、増粘剤、ゲル化剤、発泡剤、フィルム-形成剤、界面活性剤、カップリング剤、酸味料、増強物質(potentiator)、風味剤、香料、色素、及びそれらの混合物からなる群より選ばれる、請求項22記載の組成物。
【請求項24】
食品への適用のための抗菌組成物であって、以下:
(a) オクタン酸;
(b) 酸味料;
(c) 緩衝剤;及び
(d) カップリング剤
から本質的になり、当該オクタン酸、酸味料、緩衝剤及びカップリング剤としては、GRAS又は食品添加成分が考慮される、前記組成物。
【請求項25】
前記オクタン酸が、オクテン酸のエステル又は塩である、請求項24記載の組成物。
【請求項26】
前記酸味料が、リン酸、クエン酸又はそれらの混合物である、請求項24記載の組成物。
【請求項27】
前記緩衝剤が、酸味料の共役塩基を含む、請求項24記載の組成物。
【請求項28】
前記緩衝剤が、クエン酸及びクエン酸塩である、請求項24記載の組成物。
【請求項29】
前記緩衝剤が、リン酸及びリン酸塩である、請求項24記載の組成物。
【請求項30】
前記カップリング剤が、ソルビタンエステルである、請求項24記載の組成物。
【請求項31】
濃縮組成物である、請求項24記載の組成物。
【請求項32】
すぐに食べられる組成物である、請求項24記載の組成物。
【請求項33】
追加の機能性成分を更に含む、請求項24記載の組成物。
【請求項34】
前記追加の機能性成分が、酸化剤、担体、キレート化剤、屈水性誘発物質、増粘剤、ゲル化剤、発泡剤、フィルム-形成剤、界面活性剤、カップリング剤、酸味料、増強物質(potentiator)、風味剤、香料、色素、及びそれらの混合物からなる群より選ばれる、請求項33記載の組成物。

【公表番号】特表2009−502164(P2009−502164A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−523907(P2008−523907)
【出願日】平成18年7月12日(2006.7.12)
【国際出願番号】PCT/US2006/026870
【国際公開番号】WO2007/018907
【国際公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(500320453)イーコラブ インコーポレイティド (120)
【Fターム(参考)】