説明

抗IL−6/IL−6R抗体およびそれらの使用方法

本発明はIL−6/IL−6R複合体を認識する完全ヒトモノクローナル抗体を提供する。本発明は更にそのようなモノクローナル抗体を治療薬、診断薬、および予防薬として使用する方法を提供する。本発明はヒトIL−6受容体と複合体化した場合の膜結合ヒトインターロイキン−6を認識する完全ヒトモノクローナル抗体のようなモノクローナル抗体を提供する。本発明の抗体はJAK/STAT経路およびMAPKカスケードの活性化を介してIL−6R細胞内シグナリングをモジュレート、例えばブロッキング、阻害、低減、拮抗、中和、または干渉することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、2008年5月13日に出願された米国仮特許出願第61/127,403号および2008年9月25日に出願された米国仮特許出願第61/194,156号の利益を主張し、これらの米国仮特許出願の各々の内容は、それらの全体が本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、一般的に、IL−6/IL−6R複合体を認識するモノクローナル抗体、例えば完全ヒトモノクローナル抗体の発生、IL−6/IL−6R複合体およびIL−6Rの両方を認識するモノクローナル抗体、例えば完全ヒト抗体、ならびに治療薬としてのモノクローナル抗体の使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
インターロイキン(IL−6)は細胞の成長および分化を調節する強力なプレイオトロピックなサイトカインであり、そしてまた、急性炎症応答の重要なメディエーターである。IL−6は特定のIL−6受容体(IL−6R)およびシグナル伝達サブユニット(gp130)よりなる受容体複合体を介してその作用を呈する。調節不全のIL−6シグナリングは多発性骨髄腫、自己免疫疾患および前立腺癌のような多くの疾患の病因において関与するとされている。したがって、IL−6および/またはIL−6Rの生物学的活性を中和する治療の必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
(発明の要旨)
本発明はヒトIL−6受容体と複合体化した場合の膜結合ヒトインターロイキン−6(「IL−6」)(即ちヒトIL−6/IL−6R複合体(「IL−6Rc」)(即ち細胞表面上に発現されるか、可溶性形態にあるIL−6Rc)を認識する完全ヒトモノクローナル抗体のようなモノクローナル抗体を提供する。本発明の抗体はJAK/STAT経路およびMAPKカスケードの活性化を介してIL−6R細胞内シグナリングをモジュレート、例えばブロッキング、阻害、低減、拮抗、中和、または干渉することができる。本発明の抗体はまた、可溶性IL−6Rcに結合する抗体も包含する。更にまた、本発明の抗体はIL−6Rcに結合する抗体も包含し、ここで、それらはまたヒトIL−6R単独(即ちIL−6と複合体化していない場合)にも結合する。
【0005】
本発明により解決されるべき問題は、IL−6RおよびIL−6により形成される複合体に結合する抗体の発生であり、これによりIL−6/IL−6R複合体(「IL−6Rc」の膜貫通糖蛋白質gp130への結合、およびIL−6Rc/gp130シグナリング複合体により活性化されるその後のシグナリング(シスおよびトランスの両方)を防止する。
【0006】
本発明の抗体はIL−6Rcとgp130の間の相互作用をモジュレート、例えばブロック、阻害、低減、拮抗、中和または干渉する。IL−6およびIL−6Rの結合によりIL−6Rc複合体が形成されれば、IL−6Rcは膜貫通糖蛋白質であるgp130と相互作用または会合することが可能となる。特に、IL−6のIL−6Rへの結合は細胞内部のgp130のジスルフィド結合ホモ2量体化をもたらし、これが次にシグナル伝達における第1工程としてのチロシンキナーゼの活性化をもたらす。好ましい実施形態においては、本発明の抗体はIL−6Rcに結合し、そしてIL−6Rcがgp130と相互作用することをブロックするか、または阻害し、これによりgp130のホモ2量体化およびその後のシグナリング(シスおよびトランス)を部分的または完全に防止する。
【0007】
例えばIL−6がIL−6Rに結合する溝部において、IL−6またはIL−6Rに個別に結合する抗体とは異なり、本発明の抗体はIL−6とIL−6Rが相互作用してIL−6Rc複合体を形成することを阻害または干渉することはない。従って本発明の抗体はIL−6RとIL−6との間の相互作用をブロックするか、または干渉する抗体、例えばIL−6Rへの結合に関してIL−6と、またはその逆において競合する抗体に対して必要とされる濃度よりも有意に低値である濃度において使用される。一部の実施形態においては、本発明の抗体の濃度はIL−6とIL−6Rとの間の相互作用をブロックするか、または干渉する抗体に対して必要とされる濃度よりも50〜100倍低値である。IL−6とIL−6Rとの間の相互作用をブロックするか、または干渉する抗体に関しては、例えばIL−6Rのレベルが高値となる、および/またはIL−6の発現が増大する炎症を処置するためには、より高濃度を用いなければならない。IL−6および/またはIL−6Rの増大したレベルと効果的および長期間にわたって競合するためには、IL−6とIL−6Rとの間の相互作用をブロックするか、または干渉するこれらの抗体は高濃度で存在しなければならない。
【0008】
本発明の例示されるモノクローナル抗体は、例えば、39B9VL1抗体、39B9VL5抗体、12A抗体および5C抗体を包含する。あるいは、モノクローナル抗体は、39B9VL1抗体、39B9VL5抗体、12A抗体および5C抗体と同じエピトープに結合する抗体である。これらの抗体は、それぞれ本明細書において「huIL−6Rc」と称する。huIL−6Rc抗体は完全ヒトモノクローナル抗体、ならびにヒト化モノクローナル抗体およびキメラ抗体を包含する。これらの抗体はヒトIL−6RcおよびIL−6Rに対する特異性を示し、そしてそれらはIL−6Rc媒介細胞内シグナリング(シスおよび/またはトランスシグナリング)をモジュレート、例えば、ブロック、阻害、低減、拮抗、中和または干渉することがわかっている。
【0009】
好ましい実施形態においては、本発明の完全ヒト抗体は、(i)軽鎖相補性決定領域3(CDR3)におけるコンセンサスアミノ酸配列QQSXSYPLT(配列番号42)、ここでXがNまたはQであるもの;(ii)重鎖相補性決定領域2(CDR2)におけるコンセンサスアミノ酸配列GIIPXFXTTKYAQXFQG(配列番号43)、ここでXがLまたはA、XがDまたはE、およびXがQまたはKであるもの;(iii)重鎖相補性決定領域3(CDR3)におけるコンセンサスアミノ酸配列DRDILTDYYPXGGMDV(配列番号44)、ここでXがMまたはLであるもの;および(iv)フレームワーク領域3(FRW3)におけるコンセンサスアミノ酸配列TAVXYCAR(配列番号45)、ここでXがFまたはYであるもの;を包含する。
【0010】
例えば、1つの好ましい実施形態においては、huIL−6Rc抗体は軽鎖CDR3領域におけるアミノ酸配列QQSNSYPLT(配列番号26);重鎖CDR2領域におけるアミノ酸配列GIIPLFDTTKYAQKFQG(配列番号33);重鎖CDR3領域におけるアミノ酸配列DRDILTDYYPMGGMDV(配列番号36);およびFRW3領域におけるアミノ酸配列TAVYYCAR(配列番号39);を包含する。この抗体は本明細書においてはNI−1201A抗体と称する。
【0011】
別の好ましい実施形態においては、huIL−6Rc抗体は軽鎖CDR3領域におけるアミノ酸配列QQSNSYPLT(配列番号26)、重鎖CDR2領域におけるアミノ酸配列GIIPLFDTTKYAQKFQG(配列番号33)、重鎖CDR3領域におけるアミノ酸配列DRDILTDYYPLGGMDV(配列番号37)、およびFRW3領域におけるアミノ酸配列TAVYYCAR(配列番号39)を含む。この抗体は本明細書においてはNI−1201B抗体と称する。
【0012】
別の好ましい実施形態においては、huIL−6Rc抗体は軽鎖CDR3領域におけるアミノ酸配列QQSNSYPLT(配列番号26)、重鎖CDR2領域におけるアミノ酸配列GIIPAFETTKYAQKFQG(配列番号34)、重鎖CDR3領域におけるアミノ酸配列DRDILTDYYPLGGMDV(配列番号37)、およびFRW3領域におけるアミノ酸配列TAVYYCAR(配列番号39)を含む。この抗体は本明細書においてはNI−1201C抗体と称する。
【0013】
別の好ましい実施形態においては、huIL−6Rc抗体は軽鎖CDR3領域におけるアミノ酸配列QQSQSYPLT(配列番号32)、重鎖CDR2領域におけるアミノ酸配列GIIPAFETTKYAQKFQG(配列番号34)、重鎖CDR3領域におけるアミノ酸配列DRDILTDYYPLGGMDV(配列番号37)、およびFRW3領域におけるアミノ酸配列TAVYYCAR(配列番号39)を含む。この抗体は本明細書においてはNI−1201D抗体と称する。
【0014】
他の実施形態において、huIL−6Rc抗体は軽鎖CDR3領域におけるアミノ酸配列QQSNSYPLT(配列番号26)、重鎖CDR2領域におけるアミノ酸配列GIIPLFDTTKYAQQFQG(配列番号16)、重鎖CDR3領域におけるアミノ酸配列DRDILTDYYPMGGMDV(配列番号36)、およびFRW3領域におけるアミノ酸配列TAVFYCAR(配列番号38)を含む。この抗体は本明細書においてはNI−1201野生型(NI−1201−WT)抗体と称する。
【0015】
本発明の完全ヒト抗体は、配列番号2、8、および12のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含有する。本発明の完全ヒト抗体は、配列番号4、6、10および14のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含有する。抗体はIL−6Rに、IL−6と複合体化したIL−6R(即ちIL−6Rc)に、または両方に結合する。
【0016】
3つの重鎖CDRは、配列番号15、18および21よりなる群から選択される配列と少なくとも90%、92%、95%、97%、98%、99%以上同一のアミノ酸配列を包含する可変重鎖(VH)相補性決定領域1(CDR1);配列番号16、19、22、33、34および35よりなる群から選択される配列と少なくとも90%、92%、95%、97%、98%、99%以上同一のアミノ酸配列を包含するVH相補性決定領域2(CDR2);ならびに配列番号17、20、23、36および37よりなる群から選択される配列と少なくとも90%、92%、95%、97%、98%、99%以上同一のアミノ酸配列を包含するVH相補性決定領域3(CDR3)を含む。抗体はIL−6Rに、IL−6と複合体化したIL−6R(即ちIL−6Rc)に、または両方に結合する。
【0017】
3つの軽鎖CDRは、配列番号24、27、28、および30よりなる群から選択される配列と少なくとも90%、92%、95%、97%、98%、99%以上同一のアミノ酸配列を包含する可変軽鎖(VL)CDR1;配列番号25のアミノ酸配列と少なくとも90%、92%、95%、97%、98%、99%以上同一のアミノ酸配列を包含するVLCDR2;ならびに配列番号26、29、31および32よりなる群から選択される配列と少なくとも90%、92%、95%、97%、98%、99%以上同一のアミノ酸配列を包含するVL CDR3を含む。抗体はIL−6Rに、IL−6と複合体化したIL−6R(即ちIL−6Rc)に、または両方に結合する。
【0018】
本明細書において提供されるhuIL−6Rc抗体は、gp130媒介細胞内シグナリングカスケードがこれらの抗体の存在下で活性化されないようにIL−6/IL−6R複合体(IL−6Rc)に結合し、そしてIL−6Rcがgp130に結合することを防止する完全ヒト抗体である。好ましくは、抗体はIL−6Rcに対して少なくとも1×10−8の親和性を有し、より好ましくは、抗体はIL−6Rcに対して少なくとも1×10−9の親和性を有する。
【0019】
本発明の抗体は、IL−6Rcに免疫特異的に結合し、ここで、抗体はヒトIL−6および/またはヒトIL−6R上の1つ以上のアミノ酸残基を含むエピトープに結合する。本発明の抗体はIL−6RcおよびIL−6Rの両方に免疫特異的に結合し、ここで、抗体はヒトIL−6および/またはヒトIL−6R上の1つ以上のアミノ酸残基を含むエピトープに結合する。好ましくは、本明細書に記載したhuIL−6Rc抗体は、IL−6受容体(IL−6R)のドメイン3におけるエピトープに結合する。より好ましくは、huIL−6抗体が結合するエピトープは少なくともアミノ酸配列AERSKT(配列番号46)を包含する。
【0020】
本発明の抗体はまた、IL−6Rcに特異的に結合する完全ヒト抗体ならびにIL−6RcおよびIL−6Rの両方に特異的に結合する抗体を包含し、ここで抗体はJAK/STAT経路およびMAPKカスケードのIL−6媒介活性化の50%超の阻害を呈する。例えば、本発明の抗体は、STAT3活性化、急性期の蛋白質産生、抗体産生ならびに細胞分化および/または増殖を包含するIL−6媒介機能の55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、または99%超の阻害を呈する。
【0021】
本発明はまた、異常なIL−6受容体活性化および/または異常なIL−6シグナリング(シスおよび/またはトランス)を処置または防止する、あるいは、そのような病状に関連する症状を軽減する方法を提供し、これはそのような処置または防止が望まれる対象に本発明のモノクローナル抗体(例えば完全ヒトモノクローナル抗体)を投与することにより行う。処置すべき対象は、例えばヒトである。モノクローナル抗体は病状に関連する症状を処置、防止または軽減するために十分な量で投与される。対象における病状を処置または防止するために十分なモノクローナル抗体の量は、例えば、JAK/STAT経路またはMAPKカスケードのIL−6Rc誘導活性化を低減するために十分である量である。例えばJAK/STAT経路またはMAPKカスケードのIL−6Rc誘導活性化は、本発明のモノクローナル抗体の存在下のSTAT3活性化のレベルがSTAT3活性化の対照レベル(即ちモノクローナル抗体非存在下のSTAT3活性化のレベル)より5%、10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、95%、99%、または100%以上低値である場合に、低下している。当業者の知る通り、STAT3活性化のレベルは種々のアッセイ、例えば市販のELISAキットを用いて計測できる。
【0022】
本発明のモノクローナル抗体(例えば完全ヒトモノクローナル抗体)を用いながら処置および/または防止される病理は例えば、敗血症、癌(例えば多発性骨髄腫疾患(MM)、腎細胞癌(RCC)、形質細胞性白血病(leukaemia)、リンパ腫、B−リンパ増殖性障害(BLPD)、および前立腺癌)、骨再吸収、骨粗鬆症、悪液質、乾癬、メサンギウム増殖性糸球体腎炎、カポジ肉腫、AIDS関連リンパ腫、および炎症性疾患(例えば、関節リウマチ、全身発症性若年性特発性関節炎、高ガンマグロブリン血症、クローン病、潰瘍性結腸炎、全身性エリテマトーデス(SLE)、多発性硬化症、キャッスルマン病、IgM免疫グロブリン血症、心臓粘液腫、喘息、アレルギー性喘息および自己免疫インシュリン依存性真正糖尿病)を包含する。
【0023】
本発明の医薬組成物は本発明の抗体および担体を包含できる。これらの医薬組成物はキット、例えば診断キットなどに包含され得る。
【0024】
当業者の知る通り、本発明の抗体は種々の用途を有する。例えば本発明の蛋白質は例えば敗血症、癌(例えば多発性骨髄腫疾患(MM)、腎細胞癌(RCC)、形質細胞性白血病、リンパ腫、B−リンパ増殖性障害(BLPD)、および前立腺癌)、骨再吸収、骨粗鬆症、悪液質、乾癬、メサンギウム増殖性糸球体腎炎、カポジ肉腫、AIDS関連リンパ腫、および炎症性疾患(例えば、関節リウマチ、全身発症性若年性特発性関節炎、高ガンマグロブリン血症、クローン病、潰瘍性結腸炎、全身性エリテマトーデス(SLE)、多発性硬化症、キャッスルマン病、IgM免疫グロブリン血症、心臓粘液腫、喘息、アレルギー性喘息および自己免疫インシュリン依存性真正糖尿病)のような障害におけるIL−6受容体活性化を防止するための治療剤として使用される。本発明の抗体はまた、診断キット中の試薬として、または診断ツールとして使用され、あるいはこれらの抗体は治療用試薬を生成するための競合試験において使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1−1】図1A〜1DはIL−6トランスシグナリングをブロックする本発明の抗体NI−1201の能力を示す一連のグラフである。
【図1−2】図1A〜1DはIL−6トランスシグナリングをブロックする本発明の抗体NI−1201の能力を示す一連のグラフである。
【図2】図2Aおよび2BはIL−6シスシグナリングをブロックするNI−1201抗体の能力を示す一連のグラフである。
【図3】図3Aおよび3BはIL−6シスシグナリングにより誘導されたSTAT−3ホスホリル化をブロックするNI−1201抗体の能力を示す一連の説明である。
【図4】図4は可溶性ヒトIL−6/IL−6R複合体(「shuIL−6Rc」)の融合蛋白質により媒介されるIL−6トランスシグナリングをブロックするNI−1201抗体の能力を示すグラフである。
【図5】図5は膜結合IL−6RへのNI−1201抗体の結合を示すグラフである。
【図6A】図6A〜6DはIL−6R上のNI−1201エピトープのマッピングを示す一連の説明およびグラフである。
【図6B】図6A〜6DはIL−6R上のNI−1201エピトープのマッピングを示す一連の説明およびグラフである。
【図6C】図6A〜6DはIL−6R上のNI−1201エピトープのマッピングを示す一連の説明およびグラフである。
【図6D】図6A〜6DはIL−6R上のNI−1201エピトープのマッピングを示す一連の説明およびグラフである。
【図7】図7Aおよび7BはカニクイザルIL−6シグナリングと交差反応して中和するNI−1201抗体の能力を示す説明およびグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は可溶性形態、または膜結合(即ち細胞表面上に発現される場合)においてヒトIL−6/IL−6受容体複合体(「IL−6Rc」)に特異的に結合するモノクローナル抗体を提供する。本発明は、更に、IL−6Rcと特異的に結合するモノクローナル抗体を提供し、ここで、抗体はIL−6と複合体形成していない場合のIL−6Rにも結合する。これらの抗体は総称して本明細書においては「huIL−6Rc」抗体と称する。抗体は例えば完全ヒト抗体である。
【0027】
本発明の抗体はIL−6Rcならびに/またはIL−6RcおよびIL−6Rの両方に特異的に結合し、ここで、抗体はヒトIL−6、IL−6R、または両方の1つ以上のアミノ酸残基を包含するエピトープに結合する。
【0028】
本発明の抗体は≦1μM、例えば≦100nM、好ましくは≦10nM、そしてより好ましくは≦1nMの平衡結合定数(K)でIL−6Rcならびに/またはIL−6RcおよびIL−6Rエピトープの両方に結合する。例えば本明細書において提供されるhuIL−6Rc抗体は概ね≦1nM〜約1pMの間の範囲におけるKを示す。
【0029】
IL−6は炎症促進性および抗炎症性のサイトカインの両方として作用する。それはT細胞およびマクロファージから分泌されることにより、外傷、特に熱傷、または炎症をもたらす他の組織損傷に対する免疫応答を刺激する。IL−6は発熱および応答の急性期の最も重要なメディエーターの1つである。筋肉および脂肪組織においては、IL−6は体温上昇をもたらすエネルギー動員を刺激する。IL−6は病原体関連分子パターン(PAMP)と称される特定の微生物分子に応答してマクロファージにより分泌される場合がある。これらのPAMPは、炎症性サイトカイン産生をもたらす細胞内シグナリングカスケードを誘導する細胞表面上(または細胞内コンパートメント中)に存在するToll様受容体(TLR)と称される生得免疫系の高度に重要な検出分子に結合する。IL−6はまた、ハイブリドーマの成長のためにも必須であり、そしてブリクローンのような多くの補給クローニング培地中にも存在する。
【0030】
IL−6はリガンド結合IL−6Rα鎖(CD126としても知られている)およびシグナリング伝達成分gp130(CD130とも称される)よりなる細胞表面I型サイトカイン受容体複合体を介してシグナルする。gp130は白血病阻害因子(LIF)、毛様体神経栄養性因子、オンコスタチンM、IL−11およびカルジオトロフィン−1を包含する数種のサイトカインに対する共通のシグナルトランスデューサーであり、そして多くの組織においてほぼユビキタスに発現される。これとは対照的に、CD126の発現は特定の組織に限定される。IL−6がその受容体と相互作用すると、それはgp130およびIL−6R蛋白質が複合体を形成するようにトリガーし、これにより受容体を活性化させる。これらの複合体がgp130の細胞内領域をまとめることにより特定の転写因子、Janusキナーゼ(JAK)、ならびに転写シグナルトランスデューサーおよびアクチベーター(STAT)を介してシグナル伝達カスケードを開始させる。従って、IL−6シグナリングの中和は例えば敗血症、癌(例えば多発性骨髄腫疾患(MM)、腎細胞癌(RCC)、形質細胞性白血病、リンパ腫、B−リンパ増殖性障害(BLPD)、および前立腺癌)、骨再吸収、骨粗鬆症、悪液質、乾癬、メサンギウム増殖性糸球体腎炎、カポジ肉腫、AIDS関連リンパ腫、および炎症性疾患(例えば、関節リウマチ、全身発症性若年性特発性関節炎、高ガンマグロブリン血症、クローン病、潰瘍性結腸炎、全身性エリテマトーデス(SLE)、多発性硬化症、キャッスルマン病、IgM免疫グロブリン血症、心臓粘液腫、喘息、アレルギー性喘息および自己免疫インシュリン依存性真正糖尿病)のような障害の処置における潜在的治療戦略となる。
【0031】
本発明のhuIL−6Rc抗体はIL−6Rcの機能的活性をモジュレート、ブロック、阻害、低減、拮抗、中和または干渉する作用を有する。IL−6Rcの機能的活性は例えば、JAK/STAT経路の活性化およびMAPKカスケードの活性化を介した細胞内シグナリング、急性期の蛋白質産生、抗体の産生ならびに細胞分化および/または増殖を包含する。例えばhuIL−6Rc抗体はシグナル伝達受容体成分gp130へのIL−6Rcの結合を部分的または完全にモジュレート、ブロック、阻害、低減、拮抗、中和または干渉することによりIL−6Rcの機能的活性を完全または部分的に阻害する。
【0032】
huIL−6Rc抗体は、huIL−6Rc抗体の存在下におけるIL−6Rcの機能的活性のレベルが、本明細書に記載したhuIL−6Rc抗体との結合の非存在下におけるIL−6Rcの機能的活性のレベルと比較して、少なくとも95%まで、例えば96%、97%、98%、99%または100%まで低下する場合に、IL−6Rcの機能的活性を完全にモジュレート、ブロック、阻害、低減、拮抗、中和または干渉するものとみなされる。huIL−6Rc抗体はhuIL−6Rc抗体の存在下におけるIL−6Rcの活性のレベルが本明細書に記載したhuIL−6Rc抗体との結合の非存在下におけるIL−6Rcの活性のレベルと比較して95%、例えば10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%または90%未満まで低下する場合に、IL−6Rcの機能的活性を部分的にモジュレート、ブロック、阻害、低減、拮抗、中和または干渉するとみなされる。
【0033】
定義
特段に定義されない限り、本発明に関連して使用される科学的および技術的な用語は当業者が共通して理解する意味を有するものとする。更にまた、文脈により別途必要とされない限り、単数形の用語は複数形を包含し、そして複数形の用語は単数形を包含するものとする。一般的に、本明細書に記載する細胞および組織培養、分子生物学、ならびに蛋白質およびオリゴまたはポリヌクレオチド化学およびハイブリダイゼーションに関連して使用される命名法およびその手法は当該分野でよく知られ、そして共通して使用されている。標準的な手法が組み換えDNA、オリゴヌクレオチド合成、ならびに組織培養および形質転換のために使用される(例えばエレクトロポレーション、リポフェクション)。酵素的な反応および精製の手法は製造元の仕様書に従って、または、当該分野で共通して実施されている通り、または本明細書に記載する通り実施される。上記した手法および操作法は一般的に当該分野で周知の従来の方法に従って、または、本明細書を通して引用され考察される種々の一般的およびより具体的な参考文献に記載する通り実施される。例えばSambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.(1989))を参照できる。本明細書に記載する分析化学、合成有機化学、および医薬化学に関連して使用される命名法、ならびに実験操作および手法は、当該分野で周知であり、そして共通して使用されている。化学合成、化学分析、薬学的調製、製剤、および送達、ならびに患者の処置のためには標準的な手法が使用される。
【0034】
本開示に従って使用する場合、以下の用語は、特段の記載が無い限り、以下の意味を有すると理解するものとする。
【0035】
本明細書において使用する場合、インターロイキン−6受容体、IL−6R、インターロイキン−6受容体−アルファ、IL−6Rα、クラスター分化因子126、およびCD126は同義であり、そして互換的に使用してよい。これらの用語の各々は特段の記載が無い限りホモ2量体蛋白質を指す。
【0036】
本明細書において使用する場合、「抗体」という用語は免疫グロブリン分子および免疫グロブリン(Ig)分子の免疫学的に活性な部分、即ち、抗原と特異的に結合する(免疫反応する)抗原結合部位を含有する分子を指す。「特異的に結合する」または「免疫反応する」または、「対抗して指向する」とは、抗体が所望の抗原の1つ以上の抗原決定基と反応するが、他のポリペプチドとは反応しないか、またははるかに低値の親和性(K>10−6)で結合することを意味する。抗体はポリクローナル、モノクローナル、キメラ、dAb(ドメイン抗体)、単鎖、Fab、Fab’およびF(ab’)2フラグメント、scFvs、およびFab発現ライブラリを包含するがこれらに限定されない。
【0037】
基本的抗体構造単位は4量体を含むことが知られている。各4量体は同一の2対のポリペプチド鎖を有し、各対が1つの「軽」(約25kDa)および1つの「重」(約50〜70kDa)鎖を有する。各鎖のアミノ末端部分は抗原認識を主に担っている約100〜110以上のアミノ酸の可変領域を包含する。各鎖のカルボキシ末端部分はエフェクター機能を主に担っている定常領域を定義している。一般的に、ヒトから得られた抗体分子は分子中に存在する重鎖の性質により相互に異なっているクラスIgG、IgM、IgA、IgEおよびIgDのいずれかに関連する。特定のクラスはIgG、IgG、およびその他のようなサブクラスも有する。更にまた、ヒトにおいては、軽鎖はカッパ鎖またはラムダ鎖であってよい。
【0038】
「モノクローナル抗体」(MAb)または「モノクローナル抗体組成物」という用語は、本明細書において使用する場合、ユニークな軽鎖遺伝子産物およびユニークな重鎖遺伝子産物よりなる抗体分子の僅か1つの分子種を含有する抗体分子の集団を指す。特に、モノクローナル抗体の相補性決定領域(CDR)は集団の全ての分子において同一である。MAbは自身に対するユニークな結合親和性を特徴とする抗原の特定のエピトープと免疫反応することができる抗原結合部位を含有する。
【0039】
一般的に、ヒトから得られた抗体分子は分子中に存在する重鎖の性質により相互に異なっているクラスIgG、IgM、IgA、IgEおよびIgDのいずれかに関連する。特定のクラスはIgG、IgG、およびその他のようなサブクラスも有する。更にまた、ヒトにおいては、軽鎖はカッパ鎖またはラムダ鎖であってよい。
【0040】
「抗原結合部位」または「結合部位」という用語は抗原結合に参加する免疫グロブリン分子の部分を指す。抗原結合部位は重(「H」)および軽(「L」)鎖のN末端可変(「V」)領域のアミノ酸残基により形成される。「超可変領域」と称される重鎖および軽鎖のV領域内部の3つの高度にダイバージェントなストレッチは「フレームワーク領域」即ち「FR」として知られているより保存されたフランキングストレッチの間に介在している。即ち、「FR」という用語は免疫グロブリンにおける超可変領域の間、およびそれに隣接して天然には存在するアミノ酸配列を指す。抗体分子において、軽鎖の3つの超可変領域および重鎖の3つの超可変領域は抗原結合表面を形成するように3次元空間内に相互に相対的に配置される。抗原結合表面は結合抗原の3次元表面に相補であり、そして重鎖および軽鎖の各々の超可変領域は「相補性決定領域」即ち「CDR」と称される。各ドメインへのアミノ酸の帰属はKabat Sequences of Proteins of Immunological Interest(National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1987および1991))、またはChothia&Lesk J.Mol.Biol.196:901−917(1987)、Chothiaら、Nature342:878−883(1989)の定義に従う。
【0041】
本明細書において使用する場合、「エピトープ」という用語は免疫グロブリンもしくはそのフラグメント、またはT細胞受容体に特異的に結合することができるいずれかの蛋白質決定基を包含する。「エピトープ」という用語は免疫グロブリンまたはT細胞受容体に特異的に結合することができるいずれかの蛋白質決定基を包含する。エピトープ決定基は通常はアミノ酸または糖側鎖のような分子の化学的に活性な表面の分子団よりなり、そして、通常は特定の3次元構造特徴、ならびに特定の荷電特徴を有する。抗体は解離定数が≦1μM;例えば≦100nM、好ましくは≦10nM、より好ましくは≦1nMである場合に抗原に特異的に結合すると言われる。
【0042】
本明細書において使用する場合、「免疫学的結合」および「免疫学的結合特性」という用語は、免疫グロブリン分子と免疫グロブリンが特異的である抗原との間に生じる型の非共有結合相互作用を指す。免疫学的結合相互作用の強度、または親和性は、相互作用の解離定数(K)の項で表すことができ、ここで、より小さいKがより大きい親和性を表す。選択されたポリペプチドの免疫学的結合特性は当該分野で周知の方法を用いて定量できる。そのような方法の1つでは抗原結合部位/抗原複合体の形成および解離の速度を計測し、ここで、これらの速度は複合体相手の濃度、相互作用の親和性、および両方向の速度に等しく影響する幾何学的パラメーターに依存する。即ち「オンレート定数」(Kon)および「オフレート定数」(Koff)は、濃度ならびに会合および解離の実際の速度の計算により測定できる。(Nature361:186〜87(1993)参照)。Koff/Konの比は親和性の関連しない全てのパラメーターの消去を可能にし、そして解離定数Kと等しい。(一般的に、Daviesら(1990)Annual Rev Biochem59:439〜473を参照)。本発明の抗体は、アッセイ、例えば放射性リガンド結合アッセイまたは当該分野で公知の同様のアッセイにより計測される場合に、平衡結合定数(K)が≦1μM、好ましくは≦100nM、より好ましくは≦10nM、そして最も好ましくは≦100pM〜約1pMである場合に、IL−6Rcおよび/またはIL−6RcとIL−6Rとの両方に特異的に結合すると言われる。
【0043】
「単離されたポリヌクレオチド」という用語は、本明細書において使用する場合、ゲノム、cDNA、もしくは合成起源、またはこれらの何らかの組み合わせのポリヌクレオチドを意味するものとし、これはその起源により、「単離されたポリヌクレオチド」は(1)「単離されたポリヌクレオチド」が天然に存在するポリヌクレオチドの全てまたは一部分に会合していないか、(2)自身が天然には連結していないポリヌクレオチドに作動可能に連結しているか、または(3)より大きい配列の部分として天然には存在しない。本発明によるポリヌクレオチドは配列番号2、8および12に存在する重鎖免疫グロブリン分子をコードする核酸分子、ならびに配列番号4、6、10、および14に示される軽鎖免疫グロブリン分子をコードする核酸分子を包含する。
【0044】
「単離された蛋白質」という用語は、本明細書においては、cDNA、組み換えRNA、もしくは合成起源、またはこれらの何らかの組み合わせの蛋白質を意味し、これはその起源または誘導源により、「単離された蛋白質」は(1)天然には存在する蛋白質と会合しないか、(2)同じ源に由来する他の蛋白質を含有しない、例えば海洋性蛋白質を含有しないか、(3)異なる種に由来する細胞により発現されるか、または(4)天然には存在しない。
【0045】
「ポリペプチド」という用語は、本明細書においてはネイティブの蛋白質、ポリペプチド配列のフラグメントまたは類縁体を指すための包括的用語として使用する。従って、ネイティブの蛋白質のフラグメントおよび類縁体はポリペプチドの属の種である。本発明によるポリペプチドは、配列番号2、8、および12に示す重鎖免疫グロブリン分子ならびに配列番号4、6、10、および14に示す軽鎖免疫グロブリン分子、ならびに重鎖免疫グロブリン分子をカッパ軽鎖免疫グロブリン分子のような軽鎖免疫グロブリン分子とともに含む組み合わせにより形成された抗体分子、またはその逆、ならびにそのフラグメントおよび類縁体を含む。
【0046】
「天然に存在する」という用語は、対象に適用しながら本明細書において使用する場合はその対象が天然に存在し得るという事実を指す。例えば、天然源から単離できる生物(ウィルスを包含)中に存在し、そして実験室においてヒトにより意図的に修飾されていないか、または天然に存在する、ポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列である。
【0047】
「作動可能に連結」という用語は、本明細書において使用する場合、記載された成分の位置がその意図される態様においてそれらを機能可能とする関係にあることを指す。コーディング配列に「作動可能に連結」した制御配列はコーディング配列の発現が制御配列と適合する条件下に達成されるような方法においてライゲーションされる。
【0048】
「制御配列」という用語は、本明細書において使用する場合、それらがライゲーションされているコーディング配列の発現およびプロセシングを行うために必要なポリヌクレオチド配列を指す。そのような制御配列の性質は、原核生物においては宿主細胞に応じて異なり、そのような制御配列は一般的にプロモーター、リボソーム結合部位を、そして真核生物においては転写終止配列を包含し、一般的にはそのような制御配列はプロモーターおよび転写終止配列を包含する。「制御配列」という用語は最小でも自身の存在が発現およびプロセシングのために必須である全ての成分を包含することを意図しており、そして更に、存在が好都合である追加的成分、例えばリーダー配列および融合相手の配列も包含する。「ポリヌクレオチド」という用語は、本明細書においては少なくとも10塩基長のヌクレオチドの重合体ホウ素、リボヌクレオチドもしくはデオキシヌクレオチドのいずれか、またはいずれかの型のヌクレオチドの修飾された型を意味する。用語はDNAの一本および二本鎖の型を包含する。
【0049】
「オリゴヌクレオチド」という用語は本明細書においては天然に存在するおよび天然に存在しないオリゴヌクレオチド連結部により共に連結された、天然に存在する、および修飾されたヌクレオチドを包含する。オリゴヌクレオチドは200塩基以下の長さを一般的には含むポリヌクレオチドのサブセットである。好ましくはオリゴヌクレオチドは10〜60塩基長であり、最も好ましくは12、13、14、15、16、17、18、19、または20〜40塩基長である。オリゴヌクレオチドは通常は例えばプローブに関しては1本鎖であるが、オリゴヌクレオチドは例えば遺伝子突然変異体の構築における使用のためには2本鎖であってよい。本発明のオリゴヌクレオチドはセンスまたはアンチセンスのオリゴヌクレオチドの何れかである。
【0050】
「天然に存在するヌクレオチド」という用語は本明細書においてはデオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドを包含する。「修飾されたヌクレオチド」という用語は本明細書においては修飾または置換された糖基等を伴ったヌクレオチドを包含する。「オリゴヌクレオチド連結部」という用語は本明細書においては、オリゴヌクレオチド連結部、例えばホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロセレルロエート、ホスホロジセレノエート、ホスホロアニロチオエート、ホスホラニラデート、ホスホロンミデート等を包含する。例えばLaPlancheら、Nucl.Acids Res.14:9081(1986);Stecら、J.Am.Chem.Soc.106:6077(1984),Steinら、Nucl.Acids Res.16:3209(1988),Zonら、Anti Cancer Drug Design 6:539(1991);Zonら、Oligonucleotides and Analogues:A Practical Approach,pp.87〜108(F.Eckstein,Ed.,Oxford University Press,Oxford England(1991));Stecら、米国特許5,151,510;Uhlmann and Peyman Chemical Reviews 90:543(1990)を参照。オリゴヌクレオチドは所望により検出のための標識を包含できる。
【0051】
「選択的にハイブリダイズする」という用語は本明細書においては検出可能に、そして特異的に結合することを意味する。本発明によるポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチドおよびそのフラグメントは非特異的核酸への検出可能な結合の感知可能な量を最小限にするハイブリダイゼーションおよび洗浄の条件下において核酸鎖に選択的にハイブリダイズする。高ストリンジェント条件は当該分野で知られ、そして本明細書において考察される通りの選択的ハイブリダイゼーション条件を達成するために使用できる。一般的に本発明のポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、およびフラグメントと目的の核酸配列の間の核酸配列の相同性は少なくとも80%、そしてより典型的には少なくとも85%、90%、95%、99%、および100%の好ましく漸増する相同性を伴う。2つのアミノ酸配列は、それらの配列の間に部分的または完全な同一性がある場合に相同とされる。例えば85%相同性とは2つの配列を最大マッチとなるようにアラインした場合にアミノ酸の85%が同一であることを意味する。ギャップ(マッチさせるべき2配列のうちの何れかにおける)がマッチングを最大限にする場合に許容され、5以下のギャップ長が好ましく、2以下がより好ましい。或いは、そして好ましくは、2つの蛋白質配列(または少なくとも30アミノ酸長のそれより誘導されたポリペプチド配列)は、それらが突然変異データマトリックスおよび6以上のギャプペナルティーとしたプログラムALIGNを用いた場合に5(標準偏差単位)より大きいアライメントスコアを有すれば、本明細書においてこの用語を用いた際の相同とする。Dayhoff,M.O.,Atlas of Protein Sequence and Structure,pp.101〜110(第5巻、National Biomedical Research Foundation(1972))およびこの巻の補遺2、pp.1〜10を参照。2つの配列またはその部分はより好ましくは、それらのアミノ酸がALIGNプログラムを用いて最適にアラインした場合に50%以上同一であれば、相同である。「相当する」という用語は本明細書においてはポリヌクレオチド配列がレファレンスポリヌクレオチド配列の全てまたは一部分に相同である(即ち同一であり、厳密に進化的に関連していない)こと、または、ポリペプチド配列がレファレンスポリペプチド配列に同一であることを意味する。対照比較すれば、「相補である」という用語は本明細書においては、相補配列がレファレンスポリヌクレオチド配列の全てまたは一部分に相同であることを意味する。例示すれば、ヌクレオチド配列「TATAC」はレファレンス配列「TATAC」に相当し、そしてレファレンス配列「GTATA」に相補である。
【0052】
以下の用語、即ち「レファレンス配列」「比較ウインドウ」、「配列同一性」、「配列同一性のパーセンテージ」、および「実質的な同一性」は、2つ以上のポリヌクレオチドまたはアミノ酸配列の間の配列の関連性を説明するために使用する。「レファレンス配列」は配列比較のための基本として使用される定義された配列であり、レファレンス配列は例えば配列表に示された完全長cDNAまたは遺伝子配列のセグメントとしてのより大きい配列のサブセットであってよく、または、完全なcDNAまたは遺伝子配列を含んでよい。一般的にレファレンス配列は少なくとも18ヌクレオチドまたは6アミノ酸長、頻繁には少なくとも24ヌクレオチドまたは8アミノ酸長、そしてしばしば少なくとも48ヌクレオチドまたは16アミノ酸長である。2つのポリヌクレオチドまたはアミノ酸配列は各々(1)2つの分子の間で同様である配列(即ち完全なポリヌクレオチドまたはアミノ酸配列の一部分)を含んでよく、そして(2)更に2つのポリヌクレオチドまたはアミノ酸配列の間で不一致である配列を含んでいて良いため、2つ(以上)の分子の間の配列の比較は、典型的には配列同様性の局所的領域を発見して比較するための「比較ウインドウ」にわたる2つの分子の配列を比較することにより実施される。「比較ウインドウ」とは本明細書において使用する場合、少なくとも18近接ヌクレオチド位置または6アミノ酸の概念的セグメントを指し、この場合、ポリヌクレオチド配列またはアミノ酸配列は少なくとも18近接ヌクレオチドのレファレンス配列または6アミノ酸配列と比較してよく、そしてこの場合、比較ウインドウ中のポリヌクレオチド配列の部分は2つの配列の最適なアライメントのためにレファレンス配列(付加または欠失を有さない)と比較した場合に20パーセント以下の付加、欠失、置換等(即ちギャップ)を含んでよい。比較ウインドウをアラインするための配列の最適なアライメントは、SmithおよびWaterman Adv.Appl.Math.2:482(1981)のローカルホモロジーアルゴリズムによるか、NeedlemanおよびWunsch J.Mol.Biol.48:443(1970)のホモロジーアライメントアルゴリズムによるか、PearsonおよびLipman Proc.Natl.Acad.Sci.(U.S.A.)85:2444(1988)の同様性検索法によるか、これらのアルゴリズムのコンピューター処理(Wisconsin Genetics Software Package Release 7.0中のGAP、BESTFIT、FASTA,およびTFASTA(Genetics Computer Group、575 Science Dr.、Madison、Wis.)、Geneworks、またはMacVectorソフトウエアパッケージ)によるか、または、検査により実施してよく、そして種々の方法により発生した最良のアライメント(即ち比較ウインドウにわたる相同性の最高パーセンテージを与える)を選択する。
【0053】
「配列同一性」という用語は2つのポリヌクレオチドまたはアミノ酸配列が比較ウインドウにわたって同一(即ちヌクレオチド対ヌクレオチド、または残基対残基を基本として)であることを意味する。「配列同一性のパーセンテージ」という用語は、比較のウインドウにわたって最適にアラインされた配列を比較すること、同一の核酸塩基(例えばA、T、C、G、UまたはI)または残基が両方の配列中に存在する位置の数を測定することによりマッチした位置の数を得ること、マッチした位置の数を比較ウインドウ中の位置の総数(即ちウインドウサイズ)で割ること、および、その結果に100をかけることにより配列同一性のパーセンテージを得ることにより計算される。「実質的同一性」という用語は本明細書において使用する場合、ポリヌクレオチドまたはアミノ酸配列の特性を示し、この場合、ポリヌクレオチドまたはアミノ酸は少なくとも18ヌクレオチド(6アミノ酸)位置の比較ウインドウにわたって、頻繁には、少なくとも24−48ヌクレオチド(8−16アミノ酸)位置のウインドウにわたってレファレンス配列と比較した場合に、少なくとも85パーセント配列同一性、好ましくは少なくとも90〜95パーセント配列同一性、より通常は少なくとも99パーセント配列同一性を有する配列を含み、この場合、配列同一性のパーセンテージは比較ウインドウにわたって合計レファレンス配列20パーセント以下となる欠失または付加を包含してよい配列にレファレンス配列を比較することにより計算される。レファレンス配列はより大きい配列のサブセットであってよい。
【0054】
本明細書において使用する場合、20の従来のアミノ酸およびそれらの略記法は従来の使用法に従う。Immunology−A Synthesis(第2版、E.S.Golub and D.R.Gren編、Sinauer Associates,Sunderland7、Mass.(1991))を参照。20の従来のアミノ酸、非天然のアミノ酸、例えばα−、α−ジ置換アミノ酸、N−アルキルアミノ酸、乳酸、および他の非従来のアミノ酸の立体異性体(例えばD−アミノ酸)もまた本発明のポリペプチドの適当な成分であってよい。非従来のアミノ酸の例は4−ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタメート、ε−N,N,N−トリメチルリジン、ε−N−アセチルリジン、O−ホスホセリン、N−アセチルセリン、N−ホルミルメチオニン、3−メチルヒスチジン、5−ヒドロキシリジン、σ−N−メチルアルギニン、および他の同様のアミノ酸およびイミノ酸(例えば4−ヒドロキシプロリン)を包含する。本明細書において使用するポリペプチドの表記法においては、標準的な仕様および慣例に従って、左手の方向はアミノ末端の方向であり右手の方向はカルボキシ末端の方向である。
【0055】
同様に、特段の記載が無い限り、1本鎖ポリヌクレオチド配列の左手末端は5’末端であり、2本鎖ポリヌクレオチド配列の左手方向は5’方向と称される。新生RNA転写物の5’から3’への付加の方向は転写方向配列領域と称され、RNAと同じ配列を有するDNA鎖上にありそしてRNA転写物の5’に対して5’側である配列領域は「上流配列」と称され、RNAと同じ配列を有するDNA鎖上にあり、そしてRNA転写物の3’末端に対して3’側である配列領域は「下流配列」と称される。
【0056】
ポリペプチドに適用する場合、「実質的同一性」という用語は、2つのペプチド配列が、例えばデフォルトギャップウエイトを使用しながらプログラムGAPまたはBESTFITにより最適にアラインされた場合に、少なくとも80パーセントの配列同一性、好ましくは少なくとも90パーセントの配列同一性、より好ましくは少なくとも95パーセントの配列同一性、そして最も好ましくは少なくとも99パーセントの配列同一性を共有することを意味する。
【0057】
好ましくは、同一ではない残基の位置は保存的アミノ酸置換による相違である。
【0058】
保存的アミノ酸置換とは、同様の側鎖を有する残基の互換性を指す。例えば脂肪族側鎖を有するアミノ酸の群はグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、およびイソロイシンであり;脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸の群はセリンおよびスレオニンであり;アミド含有側鎖を有するアミノ酸の群はアスパラギンおよびグルタミンであり;芳香族側鎖を有するアミノ酸の群はフェニルアラニン、チロシンおよびトリプトファンであり;塩基性側鎖を有するアミノ酸の群はリジン、アルギニン、およびヒスチジンであり;そしてイオウ含有側鎖を有するアミノ酸の群はシステインおよびメチオニンである。好ましい保存的アミノ酸置換群は、バリン−ロイシン−イソロイシン、フェニルアラニン−チロシン、リジン−アルギニン、アラニン、バリン、グルタミン酸−アスパラギン酸、およびアスパラギン−グルタミンである。
【0059】
本明細書において考察する場合、抗体または免疫グロブリンの分子のアミノ酸配列の些少な変動は、アミノ酸配列における変動が少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、90%、95%、そして最も好ましくは99%で維持されている限り、本発明に包含されることを意図する。特に保存的なアミノ酸の置き換えを意図している。保存的置き換えはその側鎖に関して関連性を有するアミノ酸のファミリー内において起こるものである。遺伝子的にコードされているアミノ酸は一般的に、以下のファミリーに分割され、即ち、(1)酸性アミノ酸はアスパルテート、グルタメート;(2)塩基性アミノ酸はリジン、アルギニン、ヒスチジン;(3)非極性アミノ酸はアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファンであり、そして(4)非荷電の極性アミノ酸はグリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、スレオニン、チロシンである。親水性アミノ酸はアルギニン、アスパラギン、アスパルテート、グルタミン、グルタメート、ヒスチジン、リジン、セリンおよびスレオニンを包含する。疎水性アミノ酸はアラニン、システイン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、トリプトファン、チロシンおよびバリンを包含する。アミノ酸の他のファミリーは(i)脂肪族ヒドロキシファミリーであるセリンおよびスレオニン;(ii)アミド含有ファミリーであるアスパラギンおよびグルタミン;(iii)脂肪族ファミリーであるアラニン、バリン、ロイシンおよびイソロイシン;および(iv)芳香族ファミリーであるフェニルアラニン、トリプトファンおよびチロシンを包含する。例えばロイシンのイソロイシンまたはバリンとの、アスパルテートのグルタメートとの、スレオニンのセリンとの単離された置き換え、またはあるアミノ酸の構造的に関連性のあるアミノ酸との同様の置き換えは、特に置き換えにフレームワーク部位内部のアミノ酸が関与していない場合には、結果として生じる分子の結合または特性に大きな影響を及ぼさないと期待することは合理的である。アミノ酸の変化が機能的ペプチドをもたらすかどうかは、ポリペプチド誘導体の特定の活性をアッセイすることにより容易に測定できる。アッセイは本明細書に詳細に記載する。抗体または免疫グロブリンの分子のフラグメントまたは類縁体は当業者により容易に調製できる。フラグメントまたは類縁体の好ましいアミノおよびカルボキシ末端は機能的ドメインの境界近傍に存在する。構造的および機能的なドメインはヌクレオチドおよび/またはアミノ酸の配列のデータの公的または私的な配列データベースとの比較により発見できる。好ましくは、コンピューター化された比較方法を用いることにより既知の構造および/または機能の他の蛋白質中に存在する配列モチーフまたは予測蛋白質コンホーメーションドメインを発見する。既知の3次元構造に折りたたまれる蛋白質配列を発見するための方法は知られている。Bowieら、Science253:164(1991)。即ち、上記した例は、当業者であれば本発明より構造的および機能的なドメインを定義するために使用してよい配列モチーフおよび構造的コンホーメーションを認識できることを示している。
【0060】
好ましいアミノ酸置換は(1)蛋白質分解に対する感受性を低減し、(2)酸化に対する感受性を低減し、(3)蛋白質複合体を形成するための結合親和性を改変し、(4)結合親和性を改変し、そして(4)そのような類縁体のその他の物理化学的または機能的な特性を付与または変調させるものである。類縁体は天然に存在するペプチド配列以外の配列の種々のムテインを包含できる。例えば、単一または多数のアミノ酸の置換(好ましくは保存的アミノ酸置換)を天然に存在する配列中に形成してよい(好ましくは細胞間接触を形成するドメインの外部のポリペプチドの部分において)。保存的アミノ酸置換は親配列の構造的特徴を実質的に変化させてはならない(例えば置き換えのアミノ酸は親配列に存在するヘリックスを破断したり、または、親配列を特徴付ける2次構造の他の型を破断させるような傾向を有してはならない)。当該分野で知られたポリペプチドの2次および3次構造の例はProteins、Structures and Molecular Principles(Creighton編、W.H.Freeman and Company,New York(1984));Introduction to Protein Structure(C.BrandenおよびJ.Tooze編、Garland Publishing,New York,N.Y.(1991));およびThorntonら、Nature 354:105(1991)に記載されている。
【0061】
「ポリペプチドフラグメント」という用語は本明細書においては、アミノ末端および/またはカルボキシ末端の欠失を有するポリペプチドを指すが、その場合、残余のアミノ酸配列は、例えば完全長cDNA配列から推定される天然に存在する配列における相当する位置に同一である。フラグメントは典型的には少なくとも5、6、8または10アミノ酸長、好ましくは少なくとも14アミノ酸長、より好ましくは少なくとも20アミノ酸長、通常は少なくとも50アミノ酸長、そしてより更に好ましくは少なくとも70アミノ酸長である。「類縁体」という用語は本明細書において使用する場合、推定されたアミノ酸配列の一部分に対する実質的同一性を有し、そして適当な結合条件下でIL−6Rcおよび/またはIL−6RcとIL−6Rの両方への特異的結合を有する少なくとも25アミノ酸のセグメントを含むポリペプチドを指す。典型的には、ポリペプチド類縁体は天然に存在する配列に対して保存的アミノ酸置換(または付加または欠失)を含む。類縁体は典型的には少なくとも20アミノ酸長、好ましくは少なくとも50アミノ酸長以上で有り、そして頻繁には完全長の天然に存在するポリペプチドと同じ長さであることができる。
【0062】
ペプチド類縁体は鋳型ペプチドと類似の特性を有する非ペプチド薬品として製薬産業において一般的に使用されている。これらの型の非ペプチド化合物は「ペプチドのミメティック」または「ペプチドミメティック」と称されている。Fauchere,J.Adv.Drug Res.15:29(1986),VeberおよびFreidingerTINS p.392(1985);およびEvansら、J.Med.Chem.30:1229(1987)このような化合物は頻繁にはコンピューター化された分子モデリングを用いて開発される。治療上有用なペプチドと構造的に同様であるペプチドミメティックは等価な治療的または予防的な効果をもたらすために使用してよい。一般的に、ペプチドミメティックはパラダイムポリペプチド(即ち生化学的な特性または薬理学的な活性を有するポリペプチド)、例えばヒト抗体と構造的に同様であるが、当該分野で良く知られている方法により−−CHNH−−、−−CHS−、−−CH−CH−−、−−CH=CH−−(シスおよびトランス)、−−COCH−−、CH(OH)CH−−、および−CHSO−−よりなる群から選択される連結部により場合により置き換えられている1つ以上のペプチド連結部を有する。コンセンサス配列の1つ以上のアミノ酸の同じ型のD−アミノ酸との系統的置換(例えばL−リジンの代わりにD−リジン)はより安定なペプチドを形成するために使用してよい。更にまた、コンセンサス配列または実質的に同一のコンセンサス配列の変動を含むコンストレインを有するペプチドを当該分野で知られた方法(RizoおよびGierasch Ann.Rev.Biochem.61:387(1992))により形成してよく;例えばペプチドを環化する分子内ジスルフィド架橋を形成することができる内部システイン残基を付加させることにより行ってよい。
【0063】
「作用物質」という用語は本明細書において使用する場合、化学的化合物、化学的化合物の混合物、生物学的巨大分子、または生物学的材料から作成した抽出物を指す。
【0064】
本明細書において使用する場合、「標識」または「標識された」という用語は例えば放射標識アミノ酸の取り込み、または、マーカーを有するアビジン(例えば蛍光マーカーまたは光学的または熱量測定的な方法により検出され得る酵素活性を含有するストレプトアビジン)により検出され得るビオチニル化部分のポリペプチドへの連結による、検出可能なマーカーの取り込みを指す。特定の状況においては、標識またはマーカーも治療薬であることができる。ポリペプチドおよび糖蛋白質を標識する種々の方法が当該分野で知られており、使用してよい。ポリペプチドのための標識の例は以下のもの、即ち放射性同位体または放射性核種(例えばH、14C、15N、35S、90Y、99Tc、111In、125I、131I)、蛍光標識(例えばFITC、ローダミン、ランタニドリン)、酵素標識(例えばセイヨウワサビパーオキシダーゼ、p−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ)、化学ルミネセント、ビオチニル基、2次レポーターにより認識される所定のポリペプチドエピトープ(例えばロイシンジッパー対配列、2次抗体のための結合部位、金属結合ドメイン、エピトープタグ)を包含するがこれらに限定されない。一部の実施形態においては、標識は種々の長さのスペーサーアームにより連結することにより潜在的な立体障害を低減する。「薬剤または薬品」という用語は本明細書において使用する場合、患者に適切に投与された場合に所望の治療効果を誘導することができる科学的化合物または組成物を指す。
【0065】
本明細書に置ける他の化学的用語は例えばThe McGraw−Hill Dictionary of Chemical Terms(Parker,S.編、McGraw−Hill,San Francisco(1985))により例示される通り当該分野における従来の使用に従って使用する。
【0066】
「抗新生物剤」という用語は本明細書において使用する場合、ヒトにおける新生物、
特に悪性(癌性)の患部、例えば癌腫、肉腫、リンパ腫、または白血病の発生または進行を阻害する機能的特性を有する薬剤を指す。転移の阻害は頻繁には抗新生物剤の特性である。
【0067】
本明細書において使用する場合、「実質的に純粋」とはある対象物質種が存在する優勢な物質種であること(即ち分子基準において、それが組成物中の如何なる他の個々の物質種よりも豊富にあること)を意味し、そして好ましくは、実質的に精製された画分は、その対象物質種が存在する全ての巨大分子物質種の少なくとも約50パーセント(モル基準において)を含む組成物である。
【0068】
一般的に、実質的に純粋な組成物は組成物中に存在する全ての巨大分子物質種の約80%超、より好ましくは約85%、90%、95%、および99%超を含むことになる。最も好ましくは対照物質種は、組成物が本質的に単一の巨大分子物質種よりなる本質的均質性(夾雑物質種が従来の検出方法によっては組成物中に検出できない)にまで精製される。
【0069】
自己免疫疾患は例えば後天性免疫不全症候群(AIDS、自己免疫成分によるウィルス疾患である)、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群、自己免疫性アジソン病、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性内耳疾患(AIED)、自己免疫性リンパ増殖症候群(ALPS)、自己免疫性血小板減少性紫斑病(ATP)、ベーチェット病、心筋症、セリアックスプルー−疱疹状皮膚炎;慢性疲労免疫機能不全症候群(CFIDS)、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパシー(CIPD)、瘢痕性類天疱瘡、寒冷凝結反応病、crest症候群、クローン病、ドゴー病、若年性皮膚筋炎、円盤状狼瘡、本態性混合型クリオグロブリン血症、線維筋肉痛−線維筋炎、グレーブス病、ギランバレー症候群、ハシモト甲状腺炎、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、IgAネフロパシー、インスリン依存性真性糖尿病、若年性慢性関節炎(スティル病)、若年性関節リウマチ、メニエール病、混合型結合組織病、多発性硬化症、重症筋無力症、悪性貧血、結節性多発性動脈炎、多発性軟骨炎、多腺症候群、リウマチ性多発性筋痛、多発性筋炎および皮膚筋炎、一次無ガンマグロブリン血症、一次胆汁性肝硬変、乾癬、乾癬性関節炎、レイノー現象、ライター症候群、リウマチ熱、関節リウマチ、サルコイドーシス、硬皮症(進行性全身性硬化症(PSS)、全身硬化症(SS)としても知られている)、シェーグレン症候群、スティッフマン症候群、全身性エリテマトーデス、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞性動脈炎、潰瘍性結腸炎、ブドウ膜炎、白斑およびウェーゲナー肉芽腫症を包含する。
【0070】
炎症性障害は例えば慢性および急性の炎症性障害を包含する。炎症性障害の例はアルツハイマー病、喘息、慢性閉塞性肺疾患、アトピー性アレルギー、アレルギー、アテローム性動脈硬化症、気管支喘息、湿疹、糸球体腎炎、対宿主性移植片病、溶血製貧血、変形性関節症、敗血症、卒中、組織および臓器の移植、血管炎、糖尿病性網膜症および換気装置誘導肺傷害を包含する。
【0071】
癌は例えば多発性骨髄腫疾患(MM)、腎細胞癌(RCC)、形質細胞性白血病、リンパ腫、B−リンパ増殖性障害(BLPD)、および前立腺癌を包含する。
【0072】
huIL−6Rc抗体
本発明のモノクローナル抗体(例えば完全ヒトモノクローナル抗体)はIL−6Rc媒介細胞シグナリングを阻害する能力を有する。阻害は例えば実施例1および2に記載する細胞アッセイを用いて測定する。
【0073】
本発明の例示される抗体は例えば、39B9VL1抗体、39B9VL5抗体、12A抗体および5C抗体を包含する。これらの抗体はヒトIL−6Rcおよび/またはIL−6RcとIL−6Rの両方に対して特異性を示し、そしてそれらはインビトロでIL−6Rcの機能的活性(即ちgp130に結合してシグナリングカスケードを誘導すること)を阻害することがわかっている。
【0074】
本明細書に記載するhuIL−6Rcモノクローナル抗体の各々は以下に列挙するアミノ酸および相当する核酸の配列に示す通り、重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を包含する。
【0075】
39B9VL1および39B9VL5抗体は配列番号1に示す核酸配列によりコードされる共通の重鎖可変領域(配列番号2)を共有している。
【0076】
【化1】

39B9VL1抗体は配列番号3に示す核酸配列によりコードされる軽鎖可変領域(配列番号4)を含む。
【0077】
【化2】

39B9VL5抗体は配列番号5に示す核酸配列によりコードされる軽鎖可変領域(配列番号6)を含む。
【0078】
【化3】

12A抗体は配列番号7に示す核酸配列によりコードされる重鎖可変領域(配列番号8)を含む。
【0079】
【化4】

12A抗体は配列番号9に示す核酸配列によりコードされる軽鎖可変領域(配列番号10)を含む。
【0080】
【化5】

5C抗体は配列番号11に示す核酸配列によりコードされる重鎖可変領域(配列番号12)を含む。
【0081】
【化6】

5C抗体は配列番号13に示す核酸配列によりコードされる軽鎖可変領域(配列番号14)を含む。
【0082】
【化7】

本発明のhuIL−6Rc抗体は更に、例えば、表1において以下に示す重鎖相補性決定領域(VHCDR)、表2において以下に示す軽鎖相補性決定領域(VLCDR)、およびこれらの組み合わせを含む。
【0083】
【表1】

【0084】
【表2−1】

相補性決定領域(CDR)を包含するアミノ酸はE.A.Kabatらにより定義されるとおりである(Kabat,EA,ら、Sequences of Protein of immunological interest,Fifth Edition,US Department of HealthおよびHuman Services,US Government Printing Office(1991)参照)。
【0085】
更に本発明に包含されるものは本明細書に記載する抗体と同じエピトープに結合する抗体である。例えば、本発明の抗体はIL−6Rに特異的に結合し、その場合、抗体はヒトIL−6R(例えばGenbankアクセッション番号P08887)上の1つ以上のアミノ酸残基を包含するエピトープに結合する。本発明の抗体はIL−6Rcに特異的に結合し、その場合、抗体はヒトIL−6(例えばGenbankアクセッション番号NP_000591)、IL−6R(例えばGenbankアクセッション番号P08887)、または両方の上の1つ以上のアミノ酸残基を包含するエピトープに結合する。
【0086】
当業者の知る通り、あるモノクローナル抗体(例えば完全ヒトモノクローナル抗体)が本発明のモノクローナル抗体(例えばクローン39B9VL1、39B9VL5、12Aおよび5C)と同じ特異性を有するかについては、後者がgp130に結合することを前者が防止するかどうかを確認することにより、予定外の実験を行うことなく、測定することができる。本発明のモノクローナル抗体による結合の低下により示される通り、試験すべきモノクローナル抗体が本発明のモノクローナル抗体と競合すれば、2つのモノクローナル抗体は同じかまたは緊密に関連したエピトープに結合する。
【0087】
あるモノクローナル抗体が本発明のモノクローナル抗体の特異性を有するかどうかを測定するための別の方法は、本発明のモノクローナル抗体を可溶性IL−6RcまたはIL−6R蛋白質(それは通常これと反応性である)と共に予備インキュベートし、次に試験すべきモノクローナル抗体を添加することにより、試験すべきモノクローナル抗体がIL−6Rcおよび/またはIL−6RcとIL−6Rの両方に結合するその能力において阻害されるかどうかを測定することである。試験すべきモノクローナル抗体が阻害されれば、その場合は、全ての尤度において、それは、本発明のモノクローナル抗体と同じか、機能的に等価なエピトープ特異性を有する。
【0088】
本発明のモノクローナル抗体のスクリーニングはまた、例えばJAK/STAT経路および/またはMAPKシグナリングカスケードのIL−6受容体媒介活性化を計測すること、および、試験用モノクローナル抗体がIL−6シグナリングをモジュレート、ブロック、阻害、低減、拮抗、中和または干渉することができるかどうかを測定することによって実施することもできる。
【0089】
当該分野で知られた種々の操作法をIL−6Rcおよび/またはIL−6RcとIL−6Rの両方に対抗して、またはその誘導体、フラグメント、類縁体、相同体またはオーソログに対して指向されたモノクローナル抗体の製造のために使用してよい。(例えば参照により本明細書に組み込まれるAntibodies:A Laboratory Manual、Harlow E、およびLane D、1988、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、NY、incorporated herein by referenceを参照できる)。完全ヒト抗体はCDRを包含する軽鎖および重鎖の両方の全配列がヒト遺伝子から生じている抗体分子である。そのような抗体は本明細書においては「ヒト抗体」または「完全ヒト抗体」と称する。ヒトモノクローナル抗体は例えば後述する実施例に記載する操作法を用いて調製する。ヒトモノクローナル抗体はまた、トリオーマ手法;ヒトB細胞ハイブリドーマ手法(Kozborら、1983 Immunol Today4:72参照);およびヒトモノクローナル抗体を産生するためのEBVハイブリドーマ手法(Coleら、1985:MONOCLONAL ANTIBODIES AND CANCER THERAPY、Alan R.Liss,Inc.,pp.77〜96参照)を用いることによって産生することもできる。ヒトモノクローナル抗体はヒトハイブリドーマを用いること(Coteら、1983.Proc Natl Acad Sci USA 80:2026 2030参照)によるか、またはインビトロでエプスタイン・バー・ウィルスによりヒトB細胞を形質転換すること(Coleら、1985:MONOCLONAL ANTIBODIES AND CANCER THERAPY、Alan R.Liss,Inc.,pp.77〜96参照)により、利用してよく、そして産生してよい。
【0090】
抗体は免疫血清のIgG画分を主にもたらすプロテインAまたはプロテインGを用いたアフィニティークロマトグラフィーのような当該分野で良く知られている手法により精製する。その後、または代替として、目的の免疫グロブリンの標的である特異的な抗原またはそのエピトープをカラムに固定化することにより免疫アフィニティークロマトグラフィーにより免疫特異的な抗体を精製してよい。免疫グロブリンの精製は例えばD.Wilkinson(The Scientist,Inc.,Philadelphia PA発行のThe Scientist,Vol.14,No.8(2000年4月17日),pp.25〜28)により考察されている。
【0091】
本発明の抗体(例えば39B9VL1、39B9VL5、12Aおよび5C)は完全ヒトモノクローナル抗体である。IL−6Rc媒介細胞シグナリングをモジュレート、ブロック、阻害、低減、拮抗、中和または干渉するモノクローナル抗体は例えば、膜結合型および/または可溶性のIL−6Rc、例えばネズミ、ラットまたはヒトのIL−6Rc、またはその免疫原性のフラグメント、誘導体または変異体で動物を免疫化することにより形成される。或いは、IL−6Rcをコードする核酸分子を含有するベクターでトランスフェクトされた細胞で動物を免疫化し、これによりトランスフェクトされた細胞の表面にIL−6Rcが発現され、そして会合するようにする。或いは、IL−6Rcへの結合のための抗体または抗原結合ドメイン配列を含有するライブラリをスクリーニングすることにより抗体を得る。このライブラリは例えば、組み立てられたファージ粒子の表面上に発現されるバクテリオファージ被膜蛋白質およびファージ粒子内に含有されるDNA配列をコードするコードDNA配列への、蛋白質またはペプチドの融合物としてバクテリオファージ中に調製する(即ち「ファージディスプレイライブラリ」)。次に骨髄腫/B細胞融合物から生じるハイブリドーマを、IL−6Rcおよび/またはIL−6RcとIL−6Rの両方への反応性を有するものを求めるべくスクリーニングする。
【0092】
モノクローナル抗体は例えばKohlerおよびMilstein,Nature,256:495(1975)により記載されたもののようなハイブリドーマ方法を用いて調製する。ハイブリドーマ方法において、マウス、ハムスター、または他の適切な宿主動物は、典型的には、免疫化剤に特異的に結合することになる抗体を産生するか、産生することが可能なリンパ球を生じさせる免疫化剤を用いて面液化する。或いは、リンパ球はインビトロで免疫化できる。
【0093】
免疫化剤は典型的には蛋白質抗原、そのフラグメントまたはその融合蛋白質を包含することになる。一般的に、ヒト起源の細胞が望まれる場合は末梢血リンパ球を使用し、或いは、非ヒト哺乳類原料が望まれる場合は脾細胞またはリンパ節細胞を使用するかの、何れかとなる。次にリンパ球を適当な融合剤、例えばポリエチレングリコールを用いながら不朽化細胞系統と融合させることにより、ハイブリドーマ細胞を形成する(Goding、Monoclonal Antibodies:PrinciplesおよびPractice、Academic Press、(1986)pp.59〜103)。不朽化細胞系統は通常は形質転換された哺乳類細胞、特にげっ歯類、ウシおよびヒト機嫌の骨髄腫細胞である。通常はラットまたはマウスの骨髄腫細胞系統を使用する。ハイブリドーマ細胞は、好ましくは未融合の不朽化細胞の成長または生存を阻害する1つ以上の物質を含有する適当な培養基中で培養できる。例えば、親細胞が酵素ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRTまたはHPRT)を欠失している場合、ハイブリドーマ用の培養基は典型的には、ヒポキサンチン、アミノプテリン、およびチミジン(HAT培地)を包含することになり、これらの物質がHGPRT欠損細胞の成長を防止する。
【0094】
好ましい不朽化細胞系統は、効率的に融合し、選択された抗体産生細胞による抗体の安定な高レベル発現を支援し、そしてHAT培地のような培地に対して感受性であるものである。より好ましい不朽化細胞系統はネズミ骨髄腫系統であり、これは例えばSalk Institute Cell Distribution Center、San Diego、CaliforniaおよびAmerican Type Culture Collection、Manassas、Virginiaから得ることができる。ヒト骨髄腫およびマウスヒトへテロ骨髄腫の細胞系統もまた、モノクローナル抗体の産生のために報告されている。(Kozbor,J.Immunol.,133:3001(1984);Brodeurら、Monoclonal Antibody Production TechniquesおよびApplications,Marcel Dekker,Inc.,New York,(1987)pp.51〜63)参照)。
【0095】
次にハイブリドーマ細胞を培養する培養基を、抗原に対抗して指向されたモノクローナル抗体の存在に関してアッセイすることができる。好ましくはハイブリドーマ細胞により産生されたモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降によるか、または、インビトロの結合アッセイ、例えばラジオイムノアッセイ(RIA)または酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)により、測定する。そのような手法およびアッセイは当該分野で知られている。モノクローナル抗体の結合親和性は例えばMunsonおよびPollard,Anal.Biochem.,107:220(1980)のスカッチャード分析により測定することができる。更にまた、、モノクローナル抗体の治療適用においては、標的抗原に対する高い程度の特異性および高い結合親和性を有する抗体を発見することが重要である。
【0096】
所望のハイブリドーマ細胞が発見された後、限界希釈法によりクローンをサブクローニングし、そして標準的な方法により成長させることができる。(Goding、Monoclonal Antibodies:PrinciplesおよびPractice、Academic Press、(1986)pp.59〜103参照)。この目的のための適当な培養基は例えばダルベッコの変性イーグル培地およびRPMI1640培地を包含する。或いは、ハイブリドーマ細胞は哺乳類中の腹水としてインビボで成長させることができる。
【0097】
サブクローンにより分泌されたモノクローナル抗体は従来の免疫グロブリン精製の操作法、例えばプロテインAセファロース、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、またはアフィニティークロマトグラフィーにより培養基または腹水から単離または精製することができる。
【0098】
モノクローナル抗体はまた、米国特許4,816,567に記載のもののような組み換えDNA方法によっても作成できる。本発明のモノクローナル抗体をコードするDNAは従来の操作法を用いて(例えばネズミ抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを使用することにより)容易に単離および配列決定することができる。本発明のハイブリドーマ細胞はそのようなDNAの好ましい原料として使用される。単離された後、DNAは発現ベクター内に入れられ、次にこれをサルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、または免疫グロブリン蛋白質を産生しない骨髄腫細胞のような宿主細胞内にトランスフェクトすることにより組み換え宿主細胞中のモノクローナル抗体の合成を達成できる。DNAはまた、例えば相同ネズミ配列の代わりにヒト重鎖および軽鎖の定常ドメインに関するコーディング配列を置換することにより(米国特許4,816,567;Morrison、Nature 368、812〜13(1994)参照)または、免疫グロブリンコーディング配列に非免疫グロブリンポリペプチドに関するコーディング配列の全てまたは部分を共有結合的に連結することにより、修飾することができる。そのような非免疫グロブリンポリペプチドは本発明の抗体の定常ドメインに対して置換させることができ、または、本発明の抗体の1つの抗原複合化部位の可変ドメインに対して置換させることができ、これによりキメラ2価抗体を作成することができる。
【0099】
ヒト抗体および抗体のヒト化
本発明のモノクローナル抗体は完全ヒト抗体またはヒト化抗体を包含する。これらの抗体は投与された免疫グロブリンに対抗したヒトによる免疫応答を引き起こすことなくヒトへ投与するのに適している。
【0100】
huIL−6Rc抗体は例えば後述する実施例に記載する操作法を用いながら形成する。
【0101】
他の代替法においては、huIL−6Rc抗体は例えばヒト配列のみを含有する抗体を用いたファージディスプレイ法を用いながら発生させる。そのような手順は、例えば参照により本明細書に組み込まれるWO92/01047および米国特許6,521,404において当該分野で良く知られている。この手順において、軽鎖および重鎖のランダムな対を担持しているファージのコンビナトリアルライブラリを、IL−6Rcまたはそのフラグメントの天然または組み換えの原料を用いながらスクリーニングする。別の手順においては、huIL−6Rc抗体は、過程の少なくとも1つの工程がヒトIL−6Rc蛋白質でトランスジェニック非ヒト動物を免疫化することを包含する過程により製造できる。この手順においては、この異種性の非ヒト動物の内因性重鎖および/またはカッパ軽鎖の遺伝子座の一部は無能力化されており、そして抗原に応答して免疫グロブリンをコードする遺伝子を発生させるために必要な再配列が不可能となっている。更にまた、、少なくとも1つのヒト重鎖遺伝子座および少なくとも1つのヒト軽鎖遺伝子座が動物に安定にトランスフェクトされている。即ち、投与された抗原に応答して、ヒト遺伝子座は再配列することにより、抗原に免疫特異的なヒト可変領域をコードする遺伝子を与える。従って免疫化により、ゼノマウスは完全ヒト免疫グロブリンを分泌するB細胞を産生する。
【0102】
異種性非ヒト動物を製造するための種々の手法が当該分野で良く知られている。例えば、例えば参照により全体が本明細書に組み込まれる米国特許6,075,181および6,150,584を参照できる。この一般的な戦略は1994年に公開された状態の最初のXenoMouseTMの作成に関連して明らかにされた。参照により本明細書に組み込まれるGreenら、Nature Genetics7:13〜21(1994)を参照できる。更にまた、米国特許6,162,963、6,150,584、6、114,598、6,075,181,および5,939,598および日本国特許3068180B2、3068506B2,および3068507B2および欧州特許EP0463151B1および国際特許出願WO94/02602、WO96/34096、WO98/24893、WO00/76310および関連するファミリーメンバーも参照できる。
【0103】
代替の手順においては、外因性Ig遺伝子座がIg遺伝子座に由来する細分物(個々の遺伝子)の封入を介して模倣される「ミニ遺伝子座」手順が利用されている。即ち、1つ以上のVH遺伝子、1つ以上のD遺伝子、1つ以上のJ遺伝子、mu定常領域、および第2の定常領域(好ましくはガンマ定常領域)を動物内への挿入用のコンストラクトに形成する。米国特許5,545,806;5,545,807;5,591,669;5,612,205;5,625,825;5,625,126;5,633,425;5,643,763;5,661,016;5,721,367;5,770,429;5,789,215;5,789,650;5,814,318;5,877;397;5,874,299;6,023,010;および6,255,458;および欧州特許0546073B1;および国際特許出願WO92/03918、WO92/22645、WO92/22647、WO92/22670、WO93/12227、WO94/00569、WO94/25585、WO96/14436、WO97/13852、およびWO98/24884および関連するファミリーメンバーも参照できる。
【0104】
マイクロ細胞融合を介して染色体の大型細分物または全染色体を導入するマウス由来のヒト抗体の形成もまた発表されている。欧州特許出願773288および843961を参照できる。
【0105】
ヒト抗マウス抗体(HAMA)応答は当産業にキメラまたはヒト化された抗体を調製するように誘導した。キメラ抗体はヒト定常領域および免疫可変領域を有するが、特定のヒト抗キメラ抗体(HACA)応答が特にその抗体の長期または多用量の利用において観察されることになると予測される。即ち、HAMAまたはHACA応答の関与および/または作用を無効化または緩和するためには、IL−6Rcおよび/またはIL−6RcとIL−6Rの両方に対抗する完全ヒト抗体を提供することが望ましい。
【0106】
低減された免疫原性を有する抗体の産生はまた、ヒト化、キメラ化および適切なライブラリを用いたディスプレイ手法を介しても達成される。当然ながら、ネズミ抗体または他の種に由来する抗体は当該分野で良く知られている手法を用いてヒト化または霊長類化することができる。例えばWinterおよびHarris Immunol Today14:4346(1993)およびWrightら、Crit、Reviews in Immunol.12125−168(1992)を参照できる。目的の抗体はCH1、CH2、CH3、ヒンジドメイン、および/またはフレームワークドメインを相当するヒト配列で置換する組み換えDNA手法により操作してよい(WO92102190および米国特許5,530,101;5,585,089;5,693,761;5,693,792;5,714,350;および5,777,085参照)。更にまた、キメラ免疫グロブリン遺伝子の構築のためのIgcDNAの使用も知られている(Liuら、P.N.A.S.84:3439(1987)およびJ.Immunol.139:3521(1987))。mRNAをハイブリドーマまたは他の抗体産生細胞から単離し、そしてcDNAを産生するために使用する。目的のcDNAは特定のプライマーを用いながらポリメラーゼ連鎖反応により増幅してよい(米国特許4,683,195および4,683,202)。或いはライブラリを作成し、そしてスクリーニングすることにより目的の配列を単離する。次に抗体の可変領域をコードするDNA配列をヒト定常領域配列に融合させる。ヒト定常領域遺伝子の配列はKabatら、(1991)Sequences of Proteins of immunological Interest、N.I.H.publication no.91−3242に記載されている場合がある。ヒトC領域遺伝子は既知クローンから容易に入手される。アイソタイプの選択は所望のエフェクター機能、例えば補体固定化、または抗体依存性細胞性細胞毒性における活性を指針とすることになる。好ましいアイソタイプはIgGl、IgG3およびIgG4である。ヒト軽鎖定常領域のカッパまたはラムダの何れかを使用してよい。次にキメラ、ヒト化抗体を従来の方法により発現させる。
【0107】
抗体フラグメント、例えばFv、F(ab’)およびFabは例えばプロテアーゼまたは化学的切断による未損傷蛋白質の切断により調製してよい。或いはトランケーションされた遺伝子を設計する。例えばF(ab’)フラグメントの1部分をコードするキメラ遺伝子はH鎖のCH1ドメインおよびヒンジ領域をコードするDNA配列、それに続く翻訳終止コドンを包含することによりトランケーションされた分子を与える場合がある。
【0108】
HおよびLのJ領域のコンセンサス配列は、ヒトC領域セグメントへのV領域セグメントの後の連結のためにJ領域内部に有用な制限部位を導入するためのプライマーとしての使用のためにオリゴヌクレオチドを設計するために用いてよい。C領域のcDNAはヒト配列における類似の位置に制限部位を位置づけるための部位指向性の突然変異誘発により修飾できる。
【0109】
発現ベクターはプラスミド、レトロウィルス、YAC、EBV誘導エピソーム等を包含する。好都合なベクターは、いずれかのVHまたはVL配列も容易に挿入して発現できるように操作された適切な制限部位を有する機能的に完全なヒトCHまたはCL免疫グロブリン配列をコードするものである。そのようなベクターにおいて、スプライシングは通常は挿入されたJ領域におけるスプライスドナー部位とヒトC領域に先行するスプライスアクセプター部位の間において、そしてヒトCHエクソン内部に存在するスプライス領域においても生じる。ポリアデニル化および転写の終止はコーディング領域の下流のネイティブ染色体部位において生じる。得られたキメラ抗体はレトロウィルスLTR、例えばSV−40初期プロモーター(Okayamaら、Mol.Cell.Bio.3:280(1983))、ラウス肉腫ウィルスLTR(Gormanら、P.N.A.S.79:6777(1982))、およびモロニーネズミ白血病ウィルスLTR(Grosschedlら、Cell41:885(1985))を包含するいずれかの強力なプロモーターに連結してよい。更にまた、当然ながら、ネイティブのIgプロモーター等も使用してよい。
【0110】
更にまた、ヒト抗体または他の種に由来する抗体は、ディスプレイ型の技術、例えば限定しないがファージディスプレイ、レトロウィルスディスプレイ、リボソームディスプレイ、および他の手法を介して、当該分野で良く知られている手法を用いながら、作成することができ、そして得られた分子を追加的な成熟化、例えばアフィニティー成熟化に付すことができ、そしてそのような手法は当該分野で良く知られている。Wrightら、Crit、Reviews in Immunol.12125〜168(1992)、HanesおよびPlueckthun PNAS USA94:4937〜4942(1997)(ribosomal display)、ParmleyおよびSmith Gene73:305〜318(1988)(ファージディスプレイ)、Scott、TIBS、第17巻:241〜245(1992)、Cwirlaら、PNAS USA87:6378〜6382(1990)、Russelら、Nucl.Acids Research 21:1081〜1085(1993)、Hoganboomら、Immunol.Reviews 130:43〜68(1992)、ChiswellおよびMcCafferty TIBTECH;10:80〜8A(1992)、および米国特許5,733,743。ディスプレイ技術を利用してヒト型ではない抗体を産生する場合、そのような抗体は上記した通りヒト化することができる。
【0111】
これらの手法を用いながら、抗体を形成してIL−6Rc発現細胞、IL−6Rcの可溶性形態、エピトープまたはそのペプチド、およびそれらに対する発現ライブラリとすることができ(例えば米国特許5,703,057参照)、そしてこれをその後、上記した通り本明細書に記載する活性に関してスクリーニングすることができる。
【0112】
本発明のhuIL−6Rc抗体は上記した単鎖抗体をコードするDNAセグメントを含有するベクターにより発現させることができる。
【0113】
これらは、ベクター、リポソーム、ネイキッドDNA、アジュバント支援DNA、遺伝子銃、カテーテル等を包含できる。ベクターはターゲティング部分(例えば細胞表面受容体に対するリガンド)および核酸結合部分(例えば(ポリリジン)を有するWO93/64701に記載のような化学コンジュゲート、ウィルスベクター(例えばDNAまたはRNAウィルスベクター)、ターゲティング部分(例えば標的細胞に特異的な抗体)および核酸結合部分(例えばプロタミン)を含有する融合蛋白質であるPCT/US95/02140(WO95/22618)に記載のような融合蛋白質、プラスミド、ファージ等を包含する。ベクターは染色体、非染色体または合成のものであることができる。
【0114】
好ましいベクターはウィルスベクター、融合蛋白質および化学コンジュゲートを包含する。レトロウィルスベクターはモロニーネズミ白血病ウィルスを包含する。DNAウィルスベクターが好ましい。これらのベクターはポックスベクター、例えばオルトポックスまたはアビポックスベクター、ヘルペスウィルスベクター、例えばI型単純疱疹ウィルス(HSV)ベクター(Geller,A.I.ら、J.Neurochem,64:487(1995);Lim,F.ら、DNA Cloning:Mammalian Systems,D.Glover,Ed.(Oxford Univ.Press,Oxford England)(1995);Geller,A.I.ら、Proc Natl.Acad.Sci.:U.S.A.90:7603(1993);Geller,A.I.ら、Proc Natl.Acad.SciUSA87:1149(1990)参照)、アデノウィルスベクター(LeGal LaSalleら、Science,259:988(1993);Davidsonら、Nat.Genet 3:219(1993);Yangら、J.Virol.69:2004(1995)参照)およびアデノ関連ウィルスベクター(Kaplitt,M.G.ら、Nat.Genet.8:148(1994)参照)を包含する。
【0115】
ポックスウィルスベクターは細胞の細胞質内に遺伝子を導入する。アビポックスウィルスベクターは短い期間のみの核酸発現をもたらす。アデノウィルスベクター、アデノ関連ウィルスベクターおよび単純疱疹ウィルス(HSV)ベクターは神経細胞内に核酸を導入するために好ましい。アデノウィルスベクターはよりアデノ関連ウィルス(約4ヶ月)よりも短い期間の発現(約2ヶ月)をもたらし、後者は更にHSVベクターよりも短い。選択される特定のベクターは標的細胞および処置すべき状態に応じたものとなる。導入は標準的な手法、例えば感染、トランスフェクション、トランスダクションまたは形質転換により行うことができる。遺伝子転移の様式の例は、例えばネイキッドDNA、CaPO沈降、DEAEデキストラン、エレクトロポレーション、プロトプラスト融合、リポフェクション、細胞マイクロインジェクション、およびウィルスベクターを包含する。
【0116】
ベクターは本質的に如何なる所望の標的細胞をターゲティングするためにも使用できる。例えば定位注射を用いて所望の位置にベクター(例えばアデノウィルス、HSV)を指向させることができる。更にまた、SynchroMed Infusion Systemのようなミニポンプ注入システムを用いた脳室内(icv)注入により粒子を送達することができる。コンベクションと称されるバルクフローに基づいた方法もまた脳の拡張された区域に大型分子を送達する場合に有効であることがわかっており、そして標的細胞へのベクターの送達において有用である場合がある。(Boboら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA91:2076〜2080(1994);Morrisonら、Am.J.Physiol.266:292〜305(1994)参照)。使用できる他の方法はカテーテル、静脈内、非経腸、腹腔内および皮下注射、および経口または他の知られた投与経路を包含する。
【0117】
これらのベクターは種々の方法で使用することができる抗体を大量に発現するために使用できる。例えば試料中のIL−6Rcおよび/またはIL−6Rの存在を検出できる。抗体はまた、IL−6Rc関連シグナリングに結合して破断させる試みのために使用できる。
【0118】
本発明の抗原性蛋白質に特異的な単鎖抗体の産生のために手法を適合させることができる(例えば米国特許4,946,778参照)。更にまた、Fab発現ライブラリの構築のために方法を適合させる(例えばHuseら、1989Science246:1275〜1281参照)ことにより、蛋白質または誘導体、そのフラグメント、類縁体または相同体に対する所望の特異性を有するモノクローナルFabフラグメントの迅速および効果的な発見を可能とすることができる。蛋白質抗原に対するイディオタイプを含有する抗体フラグメントは当該分野で知られた手法、例えば限定しないが(i)抗体分子のペプシン消化により産生したF(ab’)2フラグメント;(ii)F(ab’)2フラグメントのジスルフィド架橋を還元することにより形成したFabフラグメント;(iii)パパインおよび還元剤で抗体分子を処理することにより形成したFabフラグメント、および(iv)Fフラグメントにより産生してよい。
【0119】
本発明はまた、F、Fab、Fab’およびF(ab’)2抗−IL−6Rフラグメントまたは抗−IL−6Rc複合体フラグメント、単鎖抗−IL−6Rまたは抗−IL−6Rc抗体、二重特異性抗−IL−6R、および/または抗−IL−6Rc抗体、およびヘテロコンジュゲート抗−IL−6Rおよび/または抗−IL−6Rc抗体を包含する。
【0120】
二重特異性抗体は少なくとも2つの異なる抗原に対して結合特異性を有する抗体である。本例においては、結合特異性の1つはIL−6RcまたはIL−6Rに対するものである。第2の結合標的はいずれかの他の抗原であり、そして好都合には細胞表面蛋白質または受容体または受容体サブユニットである。
【0121】
二重特異性抗体を作成するための方法は当該分野で知られている。伝統的には二重特異性抗体の組み換え産生は2つの免疫グロブリン重鎖/軽鎖の対の同時発現に基づいており、その場合、2つの重鎖は異なる特異性を有している(MilsteinおよびCuello,Nature,305:537〜539(1983))。免疫グロブリン重鎖および軽鎖のランダムな取り合わせのために、これらのハイブリドーマ(クアドローマ)は10種の異なる抗体分子の潜在的混合物を産生し、そのうち僅か1つのみが正確な二重特異性構造を有している。正しい分子の精製は通常はアフィニティークロマトグラフィー工程により達成される。同様の操作法は1993年5月13日公開のWO93/08829およびTrauneckerら、EMBOJ.,10:3655〜3659(1991)において開示されている。
【0122】
所望の結合特異性を有する抗体可変ドメイン(抗体抗原複合体化部位)は免疫グロブリン定常ドメイン配列に融合することができる。融合は好ましくはヒンジ、CH2、およびCH3領域の少なくとも部分を含む免疫グロブリン重鎖定常ドメインと行う。融合の少なくとも1つにおいて存在する軽鎖結合のために必要な部位を含有する第1の重鎖定常領域(CH1)を有することが好ましい。免疫グロブリン重鎖融合物、および、所望により免疫グロブリン軽鎖をコードするDNAを、別個の発現ベクター内に導入し、そして、適当な宿主生物中に同時トランスフェクトする。二重特異性抗体を形成することに関するこれ以上の詳細に関しては、例えばSureshら、Methods in Enzymology,121:210(1986)を参照できる。
【0123】
WO96/27011に記載された別の手順によれば、抗体分子の対の間の界面を操作することにより、組み換え細胞培養物から回収されるヘテロ2量体のパーセンテージを最大限にすることができる。好ましい界面は抗体定常ドメインのCH3領域の少なくとも一部分を含む。この方法においては、第1の抗体分子の界面に由来する1つ以上小型のアミノ酸側鎖をより大きい側鎖(例えばチロシンまたはトリプトファン)で置き換える。大きい側鎖と同一か同様のサイズの補償「キャビティー」が、大きいアミノ酸側鎖をより小さいもの(例えばアラニンまたはにスレオニン)と置き換えることにより、第2の抗体分子の界面に生じる。これによりホモ2量体のような他の望ましくない最終生成物よりもヘテロ2量体の収率を増大させるための機序が与えられる。
【0124】
二重特異性抗体は完全長抗体または抗体フラグメント(例えばF(ab’)2二重特異性抗体)として調製できる。抗体フラグメントから二重特異性抗体を形成するための手法は文献に記載されている。例えば二重特異性抗体は化学結合を用いて調製できる。BrennanらはScience229:81(1985)において未損傷の抗体が蛋白質分解的に切断されてF(ab’)2フラグメントを形成する操作法を記載している。これらのフラグメントはジチオール複合体化剤の亜ヒ酸ナトリウムの存在下に還元されて近接したジチオールを安定化させ、分子間ジスルフィド形成を防止する。次に形成されたFab’フラグメントをチオニトロベンゾエート(TNB)誘導体に変換する。次にFab’TNB誘導体の1つをメルカプトエチルアミンによる還元によりFab’チオールに再変換し、そして他のFab’TNB誘導体の等モル量と混合することにより二重特異性抗体を形成する。産生した二重特異性抗体は酵素の選択的固定化のための作用物質として使用できる。
【0125】
更にまた、Fab’フラグメントをE.coliから直接回収し、化学的にカップリングすることにより二重特異性抗体を形成することができる。ShalabyらはJ.Exp.Med.175:217〜225(1992)において完全ヒト化二重特異性抗体F(ab’)分子の産生を記載している。各Fab’フラグメントは別個にE.coliから分泌され、そしてインビトロで指向性化学カップリングに付されることにより二重特異性抗体を形成している。このようにして形成された二重特異性抗体はErbB2受容体を過剰発現する細胞および正常ヒトT細胞に結合することができており、並びにヒト乳癌標的に対抗するヒト細胞毒性リンパ球の溶解活性をトリガーしている。
【0126】
組み換え細胞培養物から直接二重特異性抗体フラグメントを作成して単離する種々の方法が記載されている。例えば二重特異性抗体はロイシンジッパーを使用して産生されている。Kostelnyら、J.Immunol.148(5):1547〜1553(1992)。FosおよびJun蛋白質に由来するロイシンジッパーペプチドを遺伝子融合により2つの異なる抗体のFab’部分に連結した。抗体ホモ2量体をヒンジ領域で還元することにより単量体を形成し、そして、次に再酸化することにより抗ヘテロ2量体を形成した。この方法はまた、抗体ホモ2量体の産生のためにも利用できる。Hollingerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA90:6444〜6448(1993)により記載された「ダイアボディー」技術は二重特異性抗体フラグメントを作成するための代替となる機序をもたらしている。フラグメントは同じ鎖上の2つのドメインの間の対形成を可能にするには短すぎるリンカーにより軽鎖可変ドメイン(V)に連結された重鎖可変ドメイン(V)を含む。従って、1つのフラグメントのVおよびVドメインは別のフラグメントの相補VおよびVドメインと強制的に対形成させられ、これにより2つの抗原結合部位が形成される。単鎖Fv(sFv)2量体の使用により二重特異性抗体フラグメントを作成するための別の方策もまた報告されている。Gruberら、J.Immunol.152:5368(1994)を参照できる。
【0127】
2つより多い価数を有する抗体が意図される。例えば三重特異性抗体を調製できる。Tuttら、J.Immunol.147:60(1991)。
【0128】
例示される二重特異性抗体は2つの異なるエピトープに結合することができ、そのうち少なくとも1つが本発明の蛋白質抗原を起源とする。或いは、免疫グロブリン分子の抗抗原アームを白血球上のトリガー分子、例えばT細胞受容体分子(例えばCD2、CD3、CD28、またはB7)、またはIgG(FcγR)に対するFc受容体、例えばFcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)およびFcγRIII(CD16)に結合するアームと組み合わせることにより特定の抗原を発現する細胞に対して細胞防御機序を集中させることができる。二重特異性抗体はまた、特定の抗原を発現する細胞に対して細胞毒性剤を指向させるためにも使用できる。これらの抗体は抗原結合アームおよび細胞毒性剤または放射性核種キレーター、例えばEOTUBE、DPTA、DOTA、またはTETAに結合するアームを保有している。目的の別の二重特異性抗体は本明細書に記載した蛋白質抗原に結合し、そして更に組織因子(TF)に結合する。
【0129】
ヘテロコンジュゲート抗体もまた本発明の範囲に包含される。ヘテロコンジュゲート抗体は2つの共有結合された抗体からなる。そのような抗体は例えば望ましくない細胞に対して免疫系細胞をターゲティングするため(米国特許4,676,980参照)、およびHIV感染症の処置のため(WO91/00360;WO92/200373;EP03089参照)に提案されている。抗体は交差結合剤を用いるものを包含する合成蛋白質化学における知られた方法を用いてインビトロで調製できることが企図される。例えばジスルフィド交換反応を用いるか、チオエーテル結合を形成することにより、免疫毒を構築できる。この目的のための適当な試薬の例は、イミノチオレートおよびメチル−4−メルカプトブチルイミデートおよび例えば米国特許4,676,980に開示されたものを包含する。
【0130】
例えば異常なIL−6シグナリングに関連する疾患および傷害を処置する場合の抗体の有効性を増強するためにエフェクター機能に関して本発明の抗体を修飾することが望ましい場合がある。例えばシステイン残基をFc領域に導入することにより、この領域における鎖間ジスルフィド結合形成を可能にできる。このようにして形成されたホモ2量体抗体は進歩した内在化能力および/または増大した補体媒介細胞殺傷および抗体依存性細胞性細胞毒性(ADCC)を有する場合がある。(Caronら、J.Exp Med.,176:1191〜1195(1992)およびShopes,J.Immunol.,148:2918〜2922(1992)参照)。或いは、抗体は二重のFc領域を有するように操作することができ、そしてこれにより増強された補体溶解およびADCC能力を有することができる。(Stevensonら、Anti Cancer Drug Design,3:219〜230(1989)参照)。
【0131】
本発明はまた、毒素(例えば細菌、カビ、植物、または動物起源の酵素的に活性な毒素、またはそのフラグメント)または放射性同位体(即ち放射性コンジュゲート)のような細胞毒性剤にコンジュゲートした抗体を含むイムノコンジュゲートにも関する。
【0132】
使用できる酵素的に活性な毒素およびそのフラグメントはジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性フラグメント、エキソトキシンA鎖(シュードモナス・アエルギノーサ由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、アルファサルシン、Aleurites.fordii蛋白質、ジアンシン蛋白質、Phytolaca・americana蛋白質(PAPI、PAPII、およびPAP−S)、モモルジカ・カランチア阻害剤、クルシン、クロチン、サパオナリア・オフィシナリス阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシン、およびトリコテセン類を包含する。種々の放射性核種が放射性コンジュゲート抗体の製造のために使用できる。例としては212Bi、131I、131In、90Y、および186Reが包含される。
【0133】
抗体と細胞毒性剤のコンジュゲートは種々の2官能性蛋白質カップリング剤、例えば
N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオール)プロピオネート(SPDP)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの2官能性誘導体(例えば塩酸ジメチルアジピミデート)、活性エステル(例えばジスクシンイミジルズベレート)、アルデヒド類(例えばグルタルアルデヒド)、ビスアジド化合物(例えばビス−(p−アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビスジアゾニウム誘導体(例えばビス−(p−ジアゾニウムベンゾイル)エチレンジアミン)、ジイソシアネート類(例えばトリエン2,6−ジイソシアネート)、およびビス活性フッ素化合物(例えば1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼン)を用いながら作成する。例えばリシン免疫毒はVitettaら、Science238:1098(1987)に記載の通り調製できる。14C標識1−イソチオシアナトベンジル−3−メチルジエチレントリアミンペンタ酢酸(MX−DTPA)は抗体への放射性核種のコンジュゲーションのために例示されるキレート形成剤である。(WO94/11026参照)。
【0134】
当業者の知る通り、多くの種類の可能な部分を本発明で得られる抗体にカップリングすることができる。(例えば参照により全体が本明細書に組み込まれる「Conjugate Vaccines」,Contributions to Microbiology and Immunology,J.M.CruseおよびR.E.Lewis,Jr(編),Carger Press,New York,(1989)参照)。
【0135】
カップリングは抗体および他の部分がそれらの該当する活性を保持する限り、2つの分子を結合することになる如何なる化学的反応により行っても良い。この連結は多くの化学的機序、例えば共有結合、アフィニティー結合、インターカレーション、配位結合および複合体形成を包含できる。しかしながら好ましい結合は共有結合である。共有結合は既存の側鎖の直接の縮合によるか、または、外部架橋分子の取り込みによるかのいずれかにより達成できる。多くの2価または多価の連結剤が本発明の抗体のような蛋白質分子を他の分子にカップリングさせる場合に有用である。例えば代表的なカップリング剤は有機化合物、例えばチオエステル、カルボジイミド、スクシンイミドエステル、ジイソシアネート、グルタルアルデヒド、ジアゾベンゼンおよびヘキサメチレンジアミン類を包含することができる。この列挙例は当該分野で知られたカップリング剤の種々のクラスを網羅しているとは意図しておらず、寧ろより一般的なカップリング剤の例示である。(KillenおよびLindstrom,Jour.Immun.133:1335〜2549(1984);Jansenら、Immunological Reviews62:185〜216(1982);およびVitettaら、Science238:1098(1987)参照)。
【0136】
好ましいリンカーは文献に記載されている。(例えばMBS(M−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル)の使用を記載しているRamakrishnan,S.ら、CancerRes.44:201〜208(1984)参照)。更にまた、オリゴペプチドリンカーを用いて抗体にカップリングしたハロゲン化アセチルヒドラジド誘導体の使用を記載している米国特許5,030,719も参照できる。特に好ましいリンカーは(i)EDC塩酸(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド;(ii)SMPT(4−スクシンイミジルオキシカルボニル−アルファ−メチル−アルファ−(2−ピリジルジチオ)−トルエン(PierceChem.Co.,カタログ番号(21558G);(iii)SPDP(スクシンイミジル−6[3−(2−ピリジルチオ)プロピオンアミド]ヘキサノエート(PierceChem.Co.,カタログ番号21651G);(iv)スルホ−LC−SPDP(スルホスクシンイミジル6[3−(2−ピリジルジチオ)−プロピオンアミド]ヘキサノエート(PierceChem.Co.カタログ番号2165−G);および(v)スルホ−NHS(N−ヒドロキシスルホスクシンイミド(PierceChem.Co.,カタログ番号24510)をEDCにコンジュゲートしたものを包含する。
【0137】
上記したリンカーは異なる属性を有する成分を含有し、このため、異なる物理化学的特性を有するコンジュゲートをもたらす。例えば、アルキルカルボキシレートのスルホ−NHSエステルは芳香族カルボキシレートのスルホ−NHSエステルよりも安定である。NHS−エステル含有リンカーはスルホ−NHSエステルよりも低溶解性である。更にまた、リンカーSMPTは立体障害されたジスルフィド結合を含有し、そしてより安定にコンジュゲートを形成できる。ジスルフィド連結部はインビトロで切断され、使用可能なコンジュゲートを少なくするため、ジスルフィド連結部は一般的には他の連結部よりも低安定性である。特にスルホ−NHSはカルボジイミドカップリングの安定性を増強することができる。スルホ−NHSと組み合わせて使用する場合のカルボジイミドカップリング(例えばEDC)はカルボジイミドカップリング反応単独よりも加水分解に対してより抵抗性であるエステルを形成する。
【0138】
本明細書に開示される抗体はまた、イムノリポソームとして製剤することもできる。抗体を含有するリポソームは当該分野で知られた方法により、例えばEpsteinら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82:3688(1985);Hwangら、Proc.Natl Acad.Sci.USA,77:4030(1980);および米国特許4,485,045および4,544,545に記載される通り調製される。増強された循環時間を有するリポソームは米国特許5,013,556に開示されている。
【0139】
特に有用なリポソームはホスファチジルコリン、コレステロール、およびPEG誘導体化ホスファチジルエタノールアミン(PEG−PE)を含む脂質組成物を用いた逆相蒸発法により形成できる。リポソームは所望の直径を有するリポソームが得られるように所定の孔径のフィルターを通して押し出される。本発明の抗体のFab’フラグメントはジスルフィド交換反応を介してMartinら、J.Biol.Chem.,257:286〜288(1982)に記載の通りリポソームにコンジュゲートできる。
【0140】
IL−6Rcに対抗する抗体の使用
当然ながら、本発明による治療薬実体の投与は、適当な担体、賦形剤、および進歩した転移、送達、耐性等を与えるために製剤に配合される他剤と共に投与されることになる。適切な製剤の多くは全ての薬化学者が知る処方集Remington’s Pharmaceutical Sciences(第15版Mack Publishing Company,Easton,PA(1975))の、特にBlaug,Seymourによる87章に記載されている。これらの製剤は、例えば、粉末、ペースト、軟膏、ゼリー、ワックス、油脂、脂質、脂質(カチオン性またはアニオン性)含有小胞(例えばLipofectin(商標))、DNAコンジュゲート、無水吸収ペースト、水注油および油中水のエマルジョン、エマルジョンカーボワックス(種々の分子量のポリエチレングリコール)、半固体のゲル、およびカーボワックスを含有する半固体混合物を包含する。上記した混合物のいずれも、製剤中の活性成分が製剤により不活性化されず、そして製剤が投与経路に対して生理学的に適合し、耐性を示す限り、本発明による処置および施療において適切であってよい。薬化学者が良く知る製剤、賦形剤および担体に関連する追加的情報に関してはBaldrick P.”Pharmaceutical excipient development:the need for preclinical guidance.” Regul.Toxicol Pharmacol.32(2):210〜8(2000),Wang W.”Lyophilization and development of solid protein pharmaceuticals.”Int.J.Pharm.203(1−2):1〜60(2000),Charman WN ”Lipids,lipophilic drugs,and oral drug delivery−some emerging concepts.” J Pharm Sci.89(8):967〜78(2000),Powellら、”Compendium of excipients for parenteral formulations” PDA J Pharm Sci Technol.52:238〜311(1998)およびその引用文献を参照できる。
【0141】
1つの実施形態において、本発明のモノクローナル抗体(例えば完全ヒトモノクローナル抗体)を包含する本発明の抗体は治療剤として使用してよい。そのような治療剤は一般的に対象における異常なIL−6シグナリングに関連する疾患または病理を診断、予測、モニタリング、処置、軽減、および/または防止するために使用されることになる。治療投薬法は標準的な方法を用いながら、異常なIL−6シグナリングに関連する疾患または障害、例えば関節リウマチのような炎症性疾患に罹患した(または発症の危険性のある)対象、例えばヒト患者を発見することにより実施される。抗体調製物、好ましくはその標的抗原に対する高い特異性および高い親和性を有するものは対象に投与され、そして一般的には標的へのその結合により作用を有することになる。抗体の投与は標的(例えばIL−6Rc)のシグナリング機能を停止または阻害または干渉してよい。抗体の投与は、標的(例えばIL−6Rc)の自身が天然に結合する内因性リガンド(例えばgp130)との結合を停止または阻害または干渉してよい。例えば、抗体は標的に結合し、そして、IL−6シグナリングをモジュレート、ブロック、阻害、低減、拮抗、中和または別様に干渉する。
【0142】
異常なIL−6シグナリングに関連する疾患または障害は敗血症、癌(例えば多発性骨髄腫疾患(MM)、腎細胞癌腫(RCC)、形質細胞性白血病、リンパ腫、B−リンパ増殖性障害(BLPD)、および前立腺癌)、骨再吸収、骨粗鬆症、悪液質、乾癬、メサンギウム増殖性糸球体腎炎、カポジ肉腫、AIDS関連リンパ腫、および炎症性疾患(例えば、関節リウマチ、全身発症性若年性特発性関節炎、高ガンマグロブリン血症、クローン病、潰瘍性結腸炎、全身エリテマトーデス(SLE)、多発性硬化症、キャッスルマン病、IgM免疫グロブリン血症、心臓粘液腫、喘息、アレルギー性喘息および自己免疫インシュリン依存性真正糖尿病)を包含する。
【0143】
炎症関係の障害に関連する症状は、例えば、炎症、発熱、全身倦怠感、発熱、疼痛、頻繁には炎症領域に局在するもの、頻脈、関節の疼痛または痛み(関節痛)、頻呼吸または他の異常な呼吸パターン、寒気、混乱、見当識障害、動揺、眩暈、咳、呼吸困難、肺感染症、心疾患、呼吸疾患、浮腫、体重増、粘液膿性の再発、水性基質、ぜん鳴、頭痛、および腹部の症状、例えば腹痛、下痢または便秘を包含する。免疫に関係する症状は例えば、炎症、発熱、食欲消失、体重減、腹部の症状、例えば腹痛、下痢または便秘、間接の疼痛または痛み(関節痛)、疲労、発疹、貧血、寒冷に対する極端な感受性(レイノー現象)、筋肉脆弱、筋肉疲労、皮膚または組織の色調の変化、息切れまたは他の異常な呼吸パターン、胸部痛または胸部筋肉の収縮、異常な心拍(例えば上昇または低下)、光感受性、かすみ眼または別様の異常な視力、および低下した臓器機能を包含する。
【0144】
本発明の抗体の治療有効量は一般的には治療目的を達成するために必要な量に関係する。上記した通り、これは、抗体とその標的抗原との間の、場合によっては標的の機能に干渉する、結合相互作用であってよい。投与を必要とされる量は更に抗体のその特定の抗原に対する結合親和性に依存することになり、そしてまた、投与される抗体が投与相手である対象の自由体積から枯渇する速度にも依存することになる。本発明の抗体または抗体フラグメントの治療有効な投薬量の一般的範囲は、非限定的に例示すれば、約0.1mg/kg体重〜約50mg/kg体重であってよい。一般的な投薬頻度は例えば一日2回〜週1回の範囲であってよい。
【0145】
処置の有効性は、特定の炎症に関係する障害を診断または処置するためのいずれかの知られた方法に関連して決定される。炎症に関係する障害の1つ以上の症状の軽減は抗体が臨床上の利益をもたらすことを示している。
【0146】
所望の特異性を保有している抗体のスクリーニングのための方法は酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)および当該分野で知られた他の免疫学的に媒介される手法を包含するがこれらに限定されない。
【0147】
別の実施形態においては、IL−6Rcおよび/またはIL−6RcとIL−6Rの両方に対抗して指向された抗体はIL−6Rcの位置測定および/または定量に関係する当該分野で知られた方法において使用してよい(例えば適切な生理学的試料内のIL−6Rcおよび/またはIL−6RcとIL−6Rの両方のレベルの測定における使用のため、診断方法における使用のため、蛋白質の画像化における使用のため等)。所定の実施形態においては、抗体由来抗原結合ドメインを含有するIL−6Rcおよび/またはIL−6RcとIL−6Rの両方、またはその誘導体、フラグメント、類縁体または相同体に特異的な抗体は、薬理学的に活性な化合物(以後「治療薬」と称する)として利用される。
【0148】
別の実施形態においては、IL−6Rcに特異的な抗体は免疫アフィニティー、クロマトグラフィーまたは免疫沈降のような標準的手法によりIL−6R、IL−6Rc、および/またはIL−6ポリペプチドを単離するために使用できる。IL−6Rcおよび/またはIL−6RcとIL−6Rの蛋白質(またはそのフラグメント)の両方に対抗して指向された抗体は、例えば所定の処置投薬法の薬効を測定するために臨床試験操作法の部分として組織中の蛋白質のレベルをモニタリングするために診断的に使用できる。検出は検出可能な物質に抗体をカップリング(即ち物理的に連結)することにより簡便化できる。検出可能な物質の例は、種々の酵素、補欠分子族、蛍光物質、ルミネセント物質、バイオルミネセント物質、および放射性物質を包含する。適当な酵素の例はセイヨウワサビパーオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼを包含し;適当な補欠分子族の複合体の例はストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンを包含し;適当な蛍光物質の例はウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロリドまたはフィコエリスリンを包含し;ルミネセント物質の例はルミノールを包含し;バイオルミネセント物質の例はルシフェラーゼ、ルシフェリン、およびエクオリンを包含し;そして適当な放射性物質の例は125I、131I、35SまたはHを包含する。
【0149】
更に別の実施形態において、本発明による抗体は試料中のIL−6Rcおよび/またはIL−6RcとIL−6Rの蛋白質(またはその蛋白質フラグメント)の両方の存在を検出するための作用物質として使用できる。一部の実施形態においては、抗体は検出可能な標識を含有する。抗体はポリクローナル、またはより好ましくはモノクローナルである。未損傷の抗体またはそのフラグメント(例えばFab、scFv、またはF(ab)2)を用いる。プローブまたは抗体に関する「標識された」という用語は、プローブまたは抗体に検出可能な物質をカップリング(即ち物理的に連結)することによるプローブまたは抗体の直接の標識、並びに直接標識される別の試薬との反応性によるプローブまたは抗体の間接的な標識、を包含することを意図している。間接的な標識の例は、蛍光標識2次抗体を用いた1次抗体の検出、および、ビオチンによるDNAプローブの末端標識によりそれを蛍光標識ストレプトアビジンで検出可能とすることを包含する。「生物学的試料」という用語は対象から単離された組織、細胞および生物学的流体、並びに対象内部に存在する組織、細胞および流体を包含することを意図している。従って「生物学的試料」という用語の使用の範囲に包含されるものは、血液および血液の画分または成分、例えば血清、血漿、またはリンパである。即ち本発明の検出方法はインビトロ並びにインビボで生物学的試料中の分析対象mRNA、蛋白質、またはゲノムDNAを検出するために使用できる。例えば、分析対象mRNAの検出のためのインビトロの手法はノーザンハイブリダイゼーションおよびインサイチュハイブリダイゼーションを包含する。分析対象蛋白質の検出のためのインビトロの手法は酵素連結免疫吸着アッセイ(ELISA)、ウエスタンブロット、免疫沈降、および免疫蛍光を包含する。分析対象ゲノムDNAの検出のためのインビトロの手法はサザンハイブリダイゼーションを包含する。イムノアッセイを実施するための操作法は例えば“ELISA:Theory and Practice:Methods in Molecular Biology”,Vol42,JRCrowther(Ed.)Human Press,Totowa,NJ,1995;“Immunoassay”,E.Diamandis and T.Christopoulus,Academic Press,Inc.,San Diego,CA,1996;および“Practice and Theory of Enzyme Immunoassays”,P.Tijssen,Elsevier Science Publishers,Amsterdam,1985に記載されている。更にまた、分析対象蛋白質の検出のためのインビボの手法は標識された抗分析対象蛋白質抗体を対象内に導入することを包含する。例えば、対象における自身の存在および位置が標準的な画像化手法により検出され得る放射性マーカーで抗体を標識できる。
【0150】
huIL−6Rc抗体の治療上の投与および製剤
本発明の抗体(本明細書においては「活性化合物」とも称する)、およびその誘導体、フラグメント、類縁体および相同体は、投与に適する医薬組成物中に配合できる。そのような組成物の調製に関与する原則および注意点、並びに成分の選択の指針は例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences:The Science And Practice Of Pharmacy第19版(Alfonso R.Gennaroら編)Mack Pub.Co.,Easton,Pa:1995;Drug Absorption Enhancement:Concepts,Possibilities,Limitations,And Trends,Harwood Academic Publishers,Langhorne,Pa.,1994;およびPeptide And Protein Drug Delivery(Advances In Parenteral Sciences,Vol4),1991,M.Dekker,New Yorkに記載されている。
【0151】
そのような組成物は典型的には抗体および製薬上許容しうる担体を含む。抗体フラグメントを使用する場合、標的蛋白質の結合ドメインに特異的に結合する最小の阻害フラグメントが好ましい。例えば、抗体の可変領域配列に基づいて、ペプチド分子は、標的蛋白質配列に結合する能力を保持するように設計することができる。このようなペプチドは化学的に合成および/または組み換えDNA技術により産生することができる。(例えばMarascoら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:7889〜7893(1993)参照)。
【0152】
本明細書において使用する場合、「製薬上許容しうる担体」という用語は、医薬品投与に適合する如何なる溶媒、分散媒体、コーティング、抗細菌および抗カビ剤、等張性付与および吸収遅延剤等も包含することを意図している。適当な担体は参照により本明細書に組み込まれる業界の標準的参考書であるRemington’s Pharmaceutical Sciencesの最新版に記載されている。そのような担体または希釈剤の好ましい例は、水、食塩水、リンゲル液、デキストロース溶液、および5%ヒト血清アルブミンを包含するがこれらに限定されない。リポソームおよび非水性のビヒクル、例えば固定油もまた使用してよい。薬学的に活性な物質に対するそのような媒体および作用物質の使用は当該分野で良く知られている。如何なる従来の媒体または作用物質も活性化合物と不適合となる場合を除き、組成物中のそれらの使用が意図される。
【0153】
インビボの投与のために使用される予定の製剤は滅菌されていなくてはならない。これは滅菌濾過膜を通した濾過により容易に達成される。
【0154】
本発明の医薬組成物はその意図する投与経路に適合するように製剤される。投与経路の例は非経腸、例えば静脈内、皮内、皮下、経口(例えば吸入)、経皮(即ち局所)、経粘膜、および直腸投与を包含する。非経腸、経皮、または皮下の適用のために使用される溶液または懸濁液は以下の成分、即ち:滅菌希釈剤、例えば注射用水、食塩水、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒;抗細菌剤、例えばベンジルアルコールまたはメチルパラベン;抗酸化剤、例えばアスコルビン酸または重亜硫酸ナトリウム;キレート形成剤、例えばエチレンジアミン4酢酸(EDTA);緩衝物質、例えば酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩、および張力を調節するための剤、例えば塩化ナトリウムまたはデキストロースを包含できる。pHは酸または塩基、例えば塩酸または水酸化ナトリウムを用いて調節できる。非経腸調製品はアンプル、使い捨てシリンジまたは多用量のバイアルであってガラスまたはプラスチックから作成されたものに封入できる。
【0155】
注射用途に適する医薬組成物は、滅菌水溶液(水溶性の場合)または分散液、および、滅菌された注射溶液または分散液の即時調合のための滅菌粉末を包含する。静脈内投与のためには、適当な担体は生理食塩水、静細菌性の水、CremophorEL(商標)(BASF,Parsippany,N.J.)またはリン酸塩緩衝食塩水(PBS)を包含する。全ての場合において、組成物は滅菌されていることが必要であり、そして容易なシリンジ操作性が存在するような程度にまで流動性でなければならない。それは製造および保存の条件下で安定であることが必要であり、そして細菌およびカビのような微生物の汚染作用に対抗して保存されることが必要である。担体は例えば水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコール等)およびこれらの適当な混合物を含有する溶媒または分散媒体であることができる。適当な流動性は例えばレシチンのようなコーティングの使用により、分散体の場合は必要な粒径を維持することにより、そして、界面活性剤の使用により、維持することができる。微生物の作用の防止は、種々の抗細菌剤および抗カビ剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサール等により達成できる。多くの場合において、組成物中、等張性付与剤、例えば糖類、多価アルコール、例えばマンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウムを包含させることが好ましいものとなる。注射用組成物の延長された吸収は、吸収遅延剤、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを組成物中に含有させることによりもたらすことができる。
【0156】
滅菌注射用溶液は、必要に応じて上記列挙した成分の1つまたは組み合わせと共に、適切な溶媒中に必要量の活性化合物を配合し、その後、濾過滅菌することにより調製できる。一般的に、分散体は基剤分散媒体および上記列挙したもののうちの必要な他の成分を含有する滅菌ビヒクル内に活性化合物を配合することにより調製する。滅菌注射溶液の調製のための滅菌粉末の場合は、調製の方法は、活性成分の粉末およびいずれかの追加的な所望の成分の粉末をそれらの以前滅菌濾過された溶液からもたらす真空乾燥および凍結乾燥である。
【0157】
経口用組成物は一般的に不活性の希釈剤または食用の担体を包含する。それらはゼラチンカプセル中に封入するか、圧縮して錠剤とすることができる。経口治療投与の目的のためには活性化合物は賦形剤と共に配合し、そして錠剤、トローチ、またはカプセルの形態において使用できる。経口用組成物はまた、洗口剤としての使用のための流体担体を用いて調製することができ、その場合、流体担体中の化合物は経口適用され、嗽をして喀出するか、または嚥下する。薬学的に適合する結合剤、および/またはアジュバント物質を組成物の部分として包含させることができる。錠剤、丸薬、カプセル、トローチ等は以下の成分または同様の性質の化合物のいずれか、即ち:結合剤、例えば微結晶セルロース、トラガカントガムまたはゼラチン;賦形剤、例えば澱粉または乳糖、崩壊剤、例えばアルギン酸、プリモゲル、またはコーンスターチ;潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウムまたはステロート;滑剤、例えばコロイド状2酸化ケイ素;甘味剤、例えばスクロースまたはサッカリン;またはフレーバー剤、例えばペパーミント、サリチル酸メチル、またはオレンジフレーバーを含有できる。
【0158】
吸入による投与のためには、化合物は、適当な高圧ガス、例えば2酸化炭素のようなガスを含有する加圧容器またはディスペンサー、またはネブライザーからエアロゾルスプレーの形態で送達される。
【0159】
全身投与は経粘膜的または経皮的な手段により行うこともできる。経粘膜的または経皮的な投与のためには、透過すべき障壁に適する浸透剤を製剤において使用する。そのような浸透剤は一般的に当該分野で知られており、そして例えば経粘膜投与のためには、洗剤、胆汁酸塩、およびフシジン酸誘導体を包含する。経粘膜投与は鼻用スプレーまたは座剤の使用を介して実施できる。経皮投与のためには、活性化合物は一般的に当該分野で知られる通り軟膏、膏薬、ゲル、またはクリームに製剤される。
【0160】
化合物はまた、座剤(例えばカカオ脂および他のグリセリドのような従来の座剤基剤と共に)または直腸送達のための停留型の浣腸の形態においても調製できる。
【0161】
1つの実施形態において活性化合物は身体からの急速な排出に対抗して化合物を保護することになる担体、例えば持続/制御放出製剤、例えばインプラントおよびマイクロカプセル化送達系により調製される。生体分解性、生体適合性の重合体、例えばエチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸を使用できる。そのような製剤を調製するための方法は当業者の知る通りである。
【0162】
例えば活性成分は、例えばコアセルベーション手法によるか、または界面重合によるかして調製されたマイクロカプセル、例えばそれぞれヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチンのマイクロカプセル、および、ポリ(メチルメタクリレート)マイクロカプセル中、コロイド状薬物送達系(例えばリポソーム、アルブミンマイクロカプセル、マイクロエマルジョン、ナノ粒子、およびナノカプセル)中、またはマクロエマルジョン中に捕獲することができる。
【0163】
持続放出調製物を調製できる。持続放出調製物の適当な例は抗体を含有する固体疎水性重合体の半透性マトリックスを包含し、このマトリックスは形状付与された物品、例えばフィルムまたはマイクロカプセルの形態である。持続放出マトリックスの例はポリエステル、ヒドロゲル(例えばポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、またはポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許3,773,919)、L−グルタミン酸とγエチルL−グルタメートの共重合体、非分解性エチレン酢酸ビニル、分解性乳酸グリコール酸共重合体、例えばLUPRON DEPOT(商標)(乳酸グリコール酸共重合体およびロイプロリドアセテートからなる注射可能な微小球)、およびポリD−(−)−3−ヒドロキシ酪酸を包含する。エチレン酢酸ビニルおよび乳酸グリコール酸のような重合体は100日を超える期間分子の放出を可能にするが、特定のヒドロゲルはより短い期間蛋白質を放出する。
【0164】
物質はAlza CorporationおよびNova Pharmaceuticals,Inc.から商業的に入手できる。リポソーム懸濁液(ウィルス抗原に対するモノクローナル抗体を有する感染細胞にターゲティングされたリポソームを包含)もまた製薬上許容しうる担体として使用できる。これらは当業者に知られた方法により、例えば米国特許4,522,811に記載される通り調製できる。
【0165】
投与と投薬量の均一性の容易性のためには、単位剤型において経口または非経腸組成物を製剤することが特に好都合である。本明細書において使用する場合、単位剤型とは、処置すべき対象のための統一された投薬量に適合された物理的に個別の単位を指し;各単位は所望の薬学的担体と組み合わせて所望の治療効果をもたらすために計算された活性化合物の所定の量を含有する。本発明の単位剤型のための仕様は、活性化合物の独特の特徴および達成すべき特定の治療効果、および個体の処置のためのそのような活性化合物を調合する技術に固有の限界に左右され、そして直接依存している。
【0166】
医薬組成物は投与のための説明書と共に容器、パック、またはディスペンサー内に包含されることができる。
【0167】
製剤はまた、処置すべき特定の適応症のために必要な活性化合物1つより多くを、好ましくは相互に悪影響を及ぼさない補完的活性を有するものを含有することができる。代替的または追加的に、組成物はその機能を増強する薬剤、例えば細胞毒性剤、サイトカイン、化学療法剤、または成長阻害剤を含むことができる。このような分子は意図する目的に対して効果的である量において組み合わせて適宜存在する。
【0168】
1つの実施形態において、活性化合物は複合療法において投与され、即ち、病理学的状態または障害、例えば種々の形態の癌、自己免疫疾患および炎症性疾患を処置するために有用な、他剤、例えば治療薬と組み合わせられる。「組み合わせ」という用語はこの文脈においては薬剤が実質的に同時期に、同時または逐次的のいずれかにおいて与えられることを意味する。逐次的に与えられる場合は、第2の化合物の投与開始時において、2つの化合物の最初のものは好ましくは、処置部位において有効な濃度でなお検出可能である。
【0169】
例えば、複合療法は後により詳細に説明するとおり、1つ以上の追加的治療剤、例えば1つ以上のサイトカインおよび成長因子阻害剤、免疫抑制剤、抗炎症剤、代謝阻害剤、酵素阻害剤、および/または細胞毒性または細胞増殖抑制剤と同時製剤および/または同時投与される本発明の1つ以上の抗体を包含できる。そのような複合療法は投与される治療剤のより抵投薬量を好都合に利用してよく、これにより種々の単剤療法に関連する可能性のある毒性または合併症を回避できる。
【0170】
本発明の抗体と組み合わせて使用される好ましい治療剤は炎症応答の異なる段階において干渉するような薬剤である。1つの実施形態において、本明細書に記載する1つ以上の抗体は、1つ以上の追加的な薬剤、例えば他のサイトカインまたは成長因子拮抗剤(例えば可溶性受容体、ペプチド阻害剤、小分子、リガンド融合物);または他の標的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば他のサイトカインまたは成長因子、それらの受容体、または他の細胞表面分子に結合する抗体);および抗炎症サイトカインまたはそのアゴニストと同時製剤および/または同時投与されて良い。
【0171】
他の実施形態において、本発明の抗体は自己免疫疾患、炎症性疾患等に対抗するワクチンアジュバントとして使用される。障害のこのような型の処置のためのアジュバントの組み合わせはターゲティングされた自己抗原、即ち自己免疫に関与する自己抗原、例えばミエリン塩基性蛋白質;炎症性自己抗原、例えばアミロイドペプチド蛋白質、または移植片抗原、例えば自家抗原に由来する広汎な種類の抗原と組み合わせた使用に適している。抗原は蛋白質から誘導されたペプチドまたはポリペプチド、並びに以下のもの、即ち:糖類、蛋白質、ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド、自己抗原、アミロイドペプチド蛋白質、移植片抗原、アレルゲン、または他の巨大分子成分のいずれかのフラグメントを含んでよい。一部の例においては、1つより多い抗原が抗原性組成物中に包含される。
【0172】
他の治療薬の設計および形成
本発明によれば、そしてIL−6Rcに関して本発明において産生および特性化された抗体の活性に基づけば、抗体部分を超越した他の治療様式の設計が容易になる。そのような様式は限定しないが、進歩した抗体治療薬、例えば二重特異性抗体、免疫毒、および放射標識治療薬、ペプチド治療薬世代、遺伝子療法、特にイントラボディー、アンチセンス治療薬、および小分子を包含する。
【0173】
例えば二重特異性抗体に関連すれば、二重特異性抗体は(i)1つがIL−6Rcおよび/またはIL−6RcとIL−6Rの両方に対して、そして他方が共にコンジュゲートされた第2の分子に対して特異性を有する2つの抗体、(ii)IL−6Rcおよび/またはIL−6RcとIL−6Rの両方に特異的な1つの鎖および第2の分子に特異的な第2の鎖を有する単一の抗体、または(iii)IL−6Rcおよび/またはIL−6RcとIL−6Rの両方および第2の分子に対する特異性を有する単鎖抗体を含むように形成することができる。そのような二重特異性抗体はよく知られている手法、例えば(i)および(ii)に関しては例えばFangerら、Immunol Methods4:72〜81(1994)およびWrightら、Crit,Reviews in Immunol.12125〜168(1992)に記載のもの、そして(iii)に関してはTrauneckerら、Int.J.Cancer(補遺)7:51〜52(1992)に記載のものを用いながら形成される。
【0174】
免疫毒に関しては、抗体は当該分野で良く知られている手法を利用しながら免疫毒として作用するように修飾することができる。Vitetta Immunol Today14:252(1993)を参照できる。また、米国特許5,194,594も参照できる。放射標識抗体の調製に関しては、そのような修飾された抗体は当該分野で良く知られている手法を利用しながらやはり容易に調製できる。例えばJunghansら、Cancer Chemotherapy and Biotherapy 655〜686(第2版、Chafner and Longo編、Lippincott Raven(1996))を参照できる。更にまた、米国特許4,681,581、4,735,210、5,101,827、5,102,990(再特許35,500),5,648,471、および5,697,902も参照できる。免疫毒および放射標識分子の各々はIL−6Rcを発現する細胞を殺傷すると考えられる。
【0175】
IL−6Rcおよび/またはIL−6RcとIL−6Rの両方およびそれに対する抗体、例えば本発明の抗体に関連する構造的情報の利用またはペプチドライブラリのスクリーニングを介した治療用ペプチドの形成に関しては、治療用ペプチドは、IL−6Rcおよび/またはIL−6RcとIL−6Rの両方に対抗して指向されたものとして形成できる。ペプチド治療薬の設計およびスクリーニングはHoughtenら、Biotechniques13:412〜421(1992)、Houghten PNAS USA82:5131〜5135(1985)、Pinallaら、Biotechniques13:901〜905(1992)、Blake and Litzi−Davis BioConjugate Chem.3:510〜513(1992)において考察されている。免疫毒および放射標識分子はまた、抗体に関して上記考察した通りペプチド部分との関連において同様の態様においても調製できる。IL−6Rcおよび/またはIL−6RcとIL−6Rの両方の分子(またはある形態、例えばスプライス変異体または代替の形態)が疾患過程において機能的に活性であると仮定すれば、従来の手法を介して遺伝子およびそれに対するアンチセンス治療薬を設計することも可能となる。そのような様式はIL−6Rcの機能をモジュレートするために利用できる。それに関しては本発明の抗体はそれに関係する機能アッセイの設計および使用を容易にする。アンチセンス治療薬の設計および方策は国際特許出願WO94/29444においてより詳細に考察されている。遺伝子療法の設計および方策は当該分野で良く知られている。しかしながら、特に、イントラボディーを使用する遺伝子療法の手法の使用は特に好都合であることがわかっている。例えばChenら、Human Gene Therapy5:595〜601(1994)およびMarasco Gene Therapy4:11〜15(1997)を参照できる。遺伝子治療薬に関係する一般的な設計および注意事項はまた、国際特許出願WO97/38137においても考察されている。
【0176】
IL−6Rc分子の構造および本発明による他の分子、例えば本発明の抗体とのその相互作用から得られた知識は、およびその他のものを利用することにより追加的な治療様式を合理的に設計することができる。この点に関し、合理的な薬品設計手法、例えばX線結晶学、コンピューター使用(支援)分子モデリング(CAMM)、定量的または定性的構造活性関係(QSAR)および同様の技術を利用することにより薬品発見の研究に集中することができる。合理的な設計はIL−6Rcの活性を修飾またはモジュレートするために使用できる分子またはその特定の形態と相互作用できる蛋白質または合成の構造の予測を可能にする。そのような構造は化学合成するか、生物学的な系において発現させることができる。この手順はCapseyら、Genetically Engineered Human Therapeutic Drugs(Stockton Press,NY(1988))によって検討されている。更にまた、コンビナトリアルライブラリを設計および合成して、スクリーニングプログラム、例えばハイスループットスクリーニング作業において使用することができる。
【0177】
スクリーニング法
本発明はモジュレーター、即ちgp130またはIL−6受容体のシグナリング機能をモジュレートするか別様に干渉する候補または被験化合物または薬剤へのIL−6Rcの結合をモジュレートまたは別様に干渉する、候補または被験化合物または薬剤(例えばペプチド、ペプチドミメティック、小分子または他の薬品)を発見するための方法(本明細書においては「スクリーニングアッセイ」とも称する)を提供する。同様に提供されるものは異常なIL−6シグナリングに関連する障害を処置するために有用な化合物の発見方法である。本発明はまた、本明細書に記載するスクリーニングアッセイにおいて発見された化合物も包含する。
【0178】
1つの実施形態において、本発明はIL−6Rcのシグナリング機能をモジュレートする候補または被験化合物をスクリーニングするためのアッセイを提供する。本発明の被験化合物は生物学的ライブラリ;空間指定可能な平行固相または溶液相のライブラリ;逆重畳を必要とする合成ライブラリ法;「1ビーズ1化合物」ライブラリ法;およびアフィニティークロマトグラフィー選択を用いた合成ライブラリ法;を包含する当該分野で知られたコンビナトリアルライブラリ法における多くの手順のいずれかを使用しながら得られる。生物学的ライブラリの手順はペプチドライブラリに限定されるが、他の4つの手順はペプチド、非ペプチドオリゴマーまたは化合物の小分子ライブラリに適用される。(例えばLam,1997.Anticancer Drug Design12:145を参照できる)。
【0179】
「小分子」とは、本明細書において使用する場合、約5kD未満、そして最も好ましくは約4kD未満の分子量を有する組成物を指すことを意味している。小分子は例えば核酸、ペプチド、ポリペプチド、ペプチドミメティック、炭水化物、脂質または他の有機または無機の分子であることができる。化学的および/または生物学的混合物、例えばカビ、細菌、または藻類の抽出物のライブラリも知られており、そして本発明のアッセイのいずれかを用いてスクリーニングできる。
【0180】
分子ライブラリを合成するための方法の例は例えばDeWittら、1993.Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.90:6909;Erbら、1994.Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.91:11422;Zuckermannら、1994.J.Med.Chem.37:2678;Choら、1993.Science261:1303;Carrellら、1994.Angew.Chem.Int.Ed.Engl.33:2059;Carellら、1994.Angew.Chem.Int.Ed.Engl.33:2061;およびGallopら、1994.J.Med.Chem.37:1233において、当該分野で報告されている。
【0181】
化合物のライブラリは溶液中(例えばHoughten、1992.Biotechniques13:412〜421参照)、またはビーズ上(Lam、1991.Nature354:82〜84参照)、チップ上(Fodor、1993.Nature364:555〜556参照)、細菌(米国特許5,223,409参照)、胞子(米国特許5,233,409参照)、プラスミド(Cullら、1992.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:1865〜1869参照)上、またはファージ上(Scott and Smith、1990.Science 249:386〜390;Devlin、1990.Science 249:404〜406;Cwirlaら、1990.Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.87:6378〜6382;Felici、1991.J.Mol.Biol.222:301〜310;および米国特許5,233,409参照)に提示してよい。
【0182】
1つの実施形態において、候補化合物を抗体−抗原複合体に導入し、そして候補化合物が抗体−抗原複合体を破断させるかどうかを調べるが、その場合、この複合体が破断されれば候補化合物がIL−6Rcのシグナリング機能および/またはIL−6とIL−6Rとの間の相互作用をモジュレートすることを示している。例えば抗体はモノクローナル抗体39B9 VL1であり、そして抗原はIL−6Rである。或いはモノクローナル抗体は39B9 VL5、12A、または5Cであり、そして抗原はIL−6RcまたはIL−6Rである。
【0183】
別の実施形態においては、本発明の可溶性IL−6Rcおよび/またはIL−6RcとIL−6Rの両方の蛋白質が提供され、そして少なくとも1つの中和モノクローナル抗体に曝露される。抗体−抗原複合体の形成が検出され、そして1つ以上の候補化合物が複合体に導入される。抗体−抗原複合体が1つ以上の候補化合物の導入後に破断されれば、候補化合物は異常なIL−6シグナリングに関連する障害を処置するために有用である。
【0184】
抗体−抗原複合体に干渉するか、それを破断する被験化合物の能力の測定は例えば、抗原またはその生物学的に活性な部分への被験化合物の結合が複合体中の標識化合物を検出することにより測定できるように、放射性同位体または酵素標識に被験化合物をカップリングすることにより、達成することができる。例えば被験化合物は直接または間接的に125I、35S、14C、またはHで標識し、そして放射性同位体は放射能放出の直接の計数によるか、シンチレーション計数により検出することができる。或いは、被験化合物を例えばセイヨウワサビパーオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、またはルシフェラーゼで酵素的に標識し、そして、適切な基質から生成物への変換を測定することにより酵素標識を検出することができる。
【0185】
1つの実施形態においては、アッセイは、被験化合物に抗体−抗原複合体を接触させること、および、被験化合物が抗原と相互作用するか、または存在する抗体−抗原複合体を別様に破断する能力を測定することを含む。本実施形態においては、抗原と相互作用する、および/または抗体−抗原複合体を破断する被験化合物の能力を測定することは、抗体に比較した場合の、抗原またはその生物学的に活性な部分に優勢に結合する被験化合物の能力を測定することを含む。
【0186】
別の実施形態においては、アッセイは、被験化合物に抗体−抗原複合体を接触させること、および、抗体−抗原複合体をモジュレートする被験化合物の能力を測定することを含む。抗体−抗原複合体をモジュレートする被験化合物の能力の測定は、例えば、被験化合物の存在下、抗体に結合するか相互作用する抗原の能力を測定することにより実施できる。
【0187】
当業者の知る通り、本明細書に開示したスクリーニング法のいずれかにおいて、抗体は中和抗体、例えばモノクローナル抗体39B9 VL1、39B9 VL5、12Aおよび5Cであってよく、その各々はJAK/STAT経路および/またはMAPKカスケードのIL−6媒介活性化をモジュレートするか、別様に干渉する。
【0188】
本明細書に開示したスクリーニング法は細胞系アッセイまたは無細胞アッセイとして実施してよい。本発明の無細胞アッセイはIL−6Rcおよび/またはIL−6RcとIL−6Rの両方およびそのフラグメントの可溶性型または膜結合型のいずれかの使用に適している。IL−6Rcおよび/またはIL−6RcとIL−6Rの両方の膜結合型を含む無細胞アッセイの場合は、蛋白質の膜結合型が溶液中に維持されるように可溶化剤を利用することが望ましい場合がある。そのような可溶化剤の例は非イオン系洗剤、例えばn−オクチルグルコシド、n−ドデシルグルコシド、n−ドデシルマルトシド、オクタノイル−N−メチルグルカミド、デカノイル−N−メチルグルカミド、Triton(登録商標)X100、Triton(登録商標)X114、Thesit(登録商標)、イソトリデシポリ(エチレングリコールエーテル)、N−ドデシル−−N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート、3−(3−コラミドプロピル)−ジメチルアミニオール−1−プロパンスルホネート(CHAPS)、または3−(3−コラミドプロピル)ジメチルアミニオール−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホネート(CHAPSO)を包含する。
【0189】
1つより多い実施形態においては、抗体または抗原のいずれかを、候補化合物の導入後に一方または両方の未複合体型からの複合体型の分離を容易にするために、並びにアッセイの自動化に適合するために、固定化することが望ましい場合がある。候補化合物の存在下および非存在下における抗体−抗原複合体の観察は反応体を含有するのに適するいずれかの容器中で行うことができる。そのような容器の例はマイクロタイタープレート、試験管、およびマイクロ遠沈管を包含する。1つの実施形態において、蛋白質の一方または両方をマトリックスに結合できるようにするドメインを付加した融合蛋白質を提供することができる。例えば、GST抗体融合蛋白質またはGST抗原融合蛋白質はグルタチオンセファロースビーズ(Sigma Chemical,St.Louis,MO)またはグルタチオン誘導体化マイクロタイタープレート上に吸着させることができ、次にこれを被験化合物と組み合わせ、そして混合物を複合体形成を誘導する条件下(例えば塩およびpHに関して生理学的条件下)にインキュベートする。インキュベーションの後、ビーズまたはマイクロタイタープレートのウェルを洗浄することにより未結合の成分があればそれを除去し、ビーズの場合はマトリックスを固定化し、複合体を直接または間接的に測定する。或いは、複合体はマトリックスから解離させることができ、そして抗体−抗原複合体の形成のレベルを標準的な手法を用いて測定することができる。
【0190】
マトリックスに蛋白質を固定化する他の手法もまた本発明のスクリーニングアッセイにおいて使用できる。例えば抗体(例えば39B9 VL1、39B9 VL5、12Aおよび5C)または抗原(例えばIL−6Rcおよび/またはIL−6RcとIL−6Rの両方の蛋白質)のいずれかをビオチンおよびストレプトアビジンのコンジュゲーションを利用しながら固定化することができる。ビオチニル化された抗体または抗原の分子は、ビオチン−NHS(N−ヒドロキシスクシンイミド)から、当該分野で良く知られている手法(例えばビオチニル化キット、Pierce Chemicals,Rockford,Ill.)を用いながら調製し、そしてストレプトアビジンコーティング96ウェルプレート(Pierce Chemical)のウェルに固定化することができる。或いは、目的の抗体または抗原に対して反応性であるが目的の抗体−抗原複合体の形成に干渉しない他の抗体をプレートのウェルに誘導体化し、そして未結合の抗体または抗原を抗体コンジュゲーションによりウェル内に捕獲する。GST固定化複合体に関する上記説明のほかにこのような複合体を検出するための方法は、抗体または抗原に対して反応性のそのような他の抗体を用いた複合体の免疫検出を包含する。
【0191】
本発明は更に上記スクリーニングアッセイのいずれかにより発見された新しい薬剤、および、本明細書に記載する処置のためのその使用に関する。
【0192】
診断および予防用の製剤
本発明のhuIL−6RcMAbは診断および予防用の製剤中で使用される。1つの実施形態において、IL−6Rcおよび/またはIL−6RcとIL−6Rの両方の拮抗剤、例えば本発明のhuIL−6RcMAbは、上記した疾患、例えば限定しないが、1つ以上の敗血症、癌(例えば多発性骨髄腫疾患(MM)、腎細胞癌腫(RCC)、形質細胞性白血病、リンパ腫、B−リンパ増殖性障害(BLPD)、および前立腺癌)、骨再吸収、骨粗鬆症、悪液質、乾癬、メサンギウム増殖性糸球体腎炎、カポジ肉腫、AIDS関連リンパ腫、および炎症性疾患(例えば、関節リウマチ、全身発症性若年性特発性関節炎、高ガンマグロブリン血症、クローン病、潰瘍性結腸炎、全身エリテマトーデス(SLE)、多発性硬化症、キャッスルマン病、IgM免疫グロブリン血症、心臓粘液腫、喘息、アレルギー性喘息および自己免疫インシュリン依存性真正糖尿病)を発症する危険性を有する患者に投与される。上記した1つ以上の自己免疫疾患または炎症性の疾患に対する患者または臓器の疾病素因は遺伝子型的、血清学的または生化学的なマーカーを用いて測定できる。
【0193】
本発明の別の実施形態においては、IL−6Rcおよび/またはIL−6RcとIL−6Rの両方の拮抗剤、例えばhuIL−6Rc抗体は上記した疾患、例えば限定しないが、1つ以上の敗血症、癌(例えば多発性骨髄腫疾患(MM)、腎細胞癌腫(RCC)、形質細胞性白血病、リンパ腫、B−リンパ増殖性障害(BLPD)、および前立腺癌)、骨再吸収、骨粗鬆症、悪液質、乾癬、メサンギウム増殖性糸球体腎炎、カポジ肉腫、AIDS関連リンパ腫、および炎症性疾患(例えば、関節リウマチ、全身発症性若年性特発性関節炎、高ガンマグロブリン血症、クローン病、潰瘍性結腸炎、全身エリテマトーデス(SLE)、多発性硬化症、キャッスルマン病、IgM免疫グロブリン血症、心臓粘液腫、喘息、アレルギー性喘息および自己免疫インシュリン依存性真正糖尿病)に関連する臨床適応症を有すると診断されたヒト個体に投与される。診断があれば、IL−6Rcおよび/またはIL−6RcとIL−6Rの両方の拮抗剤、例えばhuIL−6Rc抗体は、上記した疾患、例えば限定しないが、1つ以上の敗血症、癌(例えば多発性骨髄腫疾患(MM)、腎細胞癌腫(RCC)、形質細胞性白血病、リンパ腫、B−リンパ増殖性障害(BLPD)、および前立腺癌)、骨再吸収、骨粗鬆症、悪液質、乾癬、メサンギウム増殖性糸球体腎炎、カポジ肉腫、AIDS関連リンパ腫、および炎症性疾患(例えば、関節リウマチ、全身発症性若年性特発性関節炎、高ガンマグロブリン血症、クローン病、潰瘍性結腸炎、全身エリテマトーデス(SLE)、多発性硬化症、キャッスルマン病、IgM免疫グロブリン血症、心臓粘液腫、喘息、アレルギー性喘息および自己免疫インシュリン依存性真正糖尿病)に関連する臨床適応症の作用を緩和または逆行させるために投与される。
【0194】
本発明の抗体はまた、患者試料中のIL−6Rcおよび/またはIL−6RcとIL−6Rの両方の検出においても有用であり、そしてそのため、診断薬として有用である。例えば、本発明のhuIL−6Rc抗体は、患者試料中のIL−6Rcおよび/またはIL−6RcとIL−6Rの両方のレベルを検出するために、インビトロのアッセイ、例えばELISAにおいて使用される。
【0195】
1つの実施形態において、本発明のhuIL−6Rc抗体は固体支持体(例えばマイクロタイタープレートのウェル)上に固定化される。固定化された抗体は被験試料中に存在する可能性のあるIL−6Rcおよび/またはIL−6RcとIL−6Rの両方のいずれかに対するキャプチャー抗体として作用する。患者試料に固定化された抗体を接触させる前に、固体支持体は洗浄し、そして、ブロッキング剤、例えば乳蛋白質またはアルブミンで処理することにより分析対象の非特異的吸着を防止する。
【0196】
その後、抗原を含有することが疑われる被験試料で、または、抗原の標準量を含有する溶液でウェルを処理する。そのような試料は例えば、病理の診断であると考えられる循環抗原のレベルを有することが疑われる対象から得られた血清試料である。被験試料または標準物質を洗浄除去した後、検出可能に標識された第2の抗体で固体支持体を処理する。標識された第2の抗体は検出抗体として作用する。検出可能な標識のレベルを測定し、そして被験試料中のIL−6Rcおよび/またはIL−6RcとIL−6Rの両方の抗原の濃度を、標準試料から求めた標準曲線との比較により測定する。
【0197】
当然ながら、インビトロの診断アッセイにおいて本発明のhuIL−6Rc抗体を用いて得られた結果に基づけば、IL−6Rcおよび/またはIL−6RcとIL−6Rの両方の抗原の発現レベルに基づいて対象中の疾患(例えば虚血、自己免疫性または炎症性の障害に関連する臨床適応症)の病期判定をすることが可能である。所定の疾患に対して、疾患の進行の種々の病期に、および/または疾患の治療処置における種々の時点にあるものとして診断された対象から血液試料を採取する。進行または治療の各期に関して統計学的に有意な結果を与える試料の集団を用いながら、各期に特徴的であると考えることができる抗原の濃度の範囲を示す。
【0198】
本明細書において引用した全ての公開物および特許の文書は、各々のそのような公開物または文書が特定的および個別に参照により本明細書に組み込まれることを示すがごとく、参照により本明細書に組み込まれる。公開物および特許の文書の引用は如何なるものも関連する先行技術であることの了解とは意図されず、また、その内容または期日に関して如何なる了解をも構成しないものである。書面による説明により本発明を説明したが、当業者の知る通り、本発明は種々の実施形態において実施することができ、そして、上記した説明および後述する実施例は後に記載する請求項の限定ではなく説明を目的としている。
【実施例】
【0199】
以下の実施例は、実施した実験および達成した結果を含めて、説明目的のみのために提供しており、そして本発明を限定するものとみなしてはならない。
【0200】
実施例1 インターロイキン−6(IL−6)、IL−6受容体(IL−6R)およびIL−6/IL−6R(IL−6Rc)の複合体のクローニング、発現および精製
ヒトIL−6R(アクセッション番号X12830)、ヒトIL−6(アクセッション番号BC015511)、カニクイザルIL−6R、カニクイザルIL−6(アクセッション番号AB000554)、マウスIL−6R(アクセッション番号NM_010559)およびマウスIL−6(アクセッション番号NM_031168)をコードするcDNAを、末梢血単核細胞(PMBC)由来cDNAからPCRにより増幅し、そしてPCR4TOPOベクター(Invitrogen)中にクローニングした。その後のPCR工程の後、His−またはAvi−タグ(Avidity、Denver CO)をサイトカインコーディング配列のC末端において導入した。次にこれらのコンストラクトを、IL−6、IL−6RおよびIL−6Rcの可溶性または膜結合型のいずれかの発現のための相当するベクター内にサブクローニングした。可溶性ヒトIL−6Rc(shuIL−6Rc)組み換え蛋白質はIL−6をIL−6Rに融合することにより形成した(Mizuguchiら、2001J.Biosci.Bioeng.91(3):299〜304から得たIL−6/IL−6Rの融合蛋白質、ただしIL−6Rについてはaa1−333そしてIL−6についてはaa28−212の修飾を有する)。種々の種(ヒト、カニクイザル、マウス)に由来するサイトカインのHisタグ付きコーディング配列を、可溶性形態に関するエピソーム発現ベクターpEAK8またはpEE14.4における発現のためのEF1プロモーターおよび/またはCMVプロモーターの制御下に置いた。サイトカインコーディング配列に続いてウィルス内部リボソーム進入部位(IRES)および第2または第3のシストロンを置くことによりBirAおよびGFPの同時発現が行えるようにした。pEAK8ベクターはピューロマイシン耐性遺伝子、EBV核抗原1(EBNA1)および複製起点oriPを含有している。EBNA1およびoriPはヒト細胞におけるエピソームDNAとしてのpEAK8ベクターの増殖および安定なトランスフェクト体の形成のために必要である。安定にトランスフェクトされた細胞は2ug/mLのピューロマイシンの存在下の培養7〜10日後に得られた。ピューロマイシン耐性細胞を増殖させ、そして可溶性サイトカイン産生のために使用した。可溶性His−タグ付きヒト、マウスおよびカニクイザルのIL−6R、IL−6およびIL−6Rcの生物学的活性を種々の機能アッセイにより試験し、そして市販原料(入手可能な場合)から得られる試薬に適合していることがわかった。細胞表面発現のため、IL−6R、IL−6およびIL−6RcコンストラクトをpDisplayベクター内にクローニングし、離断させてCHO細胞とし、そしてG418選択により選択した。
【0201】
実施例2 免疫化
完全ヒトモノクローナル抗体は、マウス抗体遺伝子発現が抑制され、そしてヒト抗体遺伝子発現に置き換えられているマウスのトランスジェニック系統を用いて形成した。以下の3系統のトランスジェニックマウスを使用した。
1)HuMab(登録商標)マウス(Medarex、Princeton NJ)
2)KM(商標)マウス、HuMAbマウスとKirinのTCマウス(Kirin Pharma Company、Japan)の間の雑種
3)KM(FCγRIIb−KO)マウス、KM(商標)マウスから誘導した系統、抑制性Fcガンマ受容体IIBをコードしている遺伝子Fcgr2bが不活性化されているもの。
【0202】
マウスを細胞表面においてヒトIL−6Rcを発現しているチャイニーズハムスター卵巣(CHO/IL−6Rc)によるか、または可溶性ヒトIL−6Rc(shuIL−6Rc)によるかのいずれかで免疫化した。
【0203】
一般的に、全ての動物に、本明細書に記載するMPL+TDMアジュバント(RIBI)中に乳化したCHO/IL−6RcまたはIL−6Rcを腹腔内(i.p.)または皮下(s.c.)により7〜10回注射した。最初の5〜8回の注射は全てアジュバントの存在下に実施した。融合に先立つ最後の2回の超ブーストは遊離の抗原を用いて、そしてアジュバントを用いることなく実施した。代表的免疫化スケジュールの例を示す。
第1日 RIBI中10CHO/IL−6Rc細胞、i.p.
第14日 RIBI中10CHO/IL−6Rc細胞、i.p.
第28日 RIBI中10CHO/IL−6Rc細胞、i.p.
第42日 RIBI中50μg shuIL−6Rc、i.p.
第56日 RIBI中20μg shuIL−6Rc、s.c.
第70日 PBS中10μg shuIL−6Rc、s.c.
第84日 PBS中10μg shuIL−6Rc、s.c.
第87日 PBS中5μg shuIL−6Rc、s.c.
免疫化された動物の血清をフローサイトメトリー分析により周期的にスクリーニングすることによりCHO細胞単独と比較した場合のCHO/IL−6Rcに対して指向されたヒトIgGの存在を検出した。ハイブリドーマを得るために、膝窩、鼠径、大動脈近傍、下顎骨下、頚部、軸性、および上腕のリンパ節をマウスから摘出し、そしてコラゲナーゼおよびDNAseで消化した。リンパ節細胞の単細胞懸濁液をSP2/0骨髄腫細胞と1:1比で混合し、そしてCytofusion Low Conductivity Medium(CPS−LCMC、CytoPulse Sciences,Inc.)中に懸濁した。融合は製造元(Cyto Pulse Sciences,Inc)の示す通りCytoPulse CEEF50電子融合装置中で3〜6千万脾細胞を用いて実施した。電子融合の後、細胞を37℃で約1時間インキュベートすることにより、96ウェルプレート内への分注の前に回収した。融合細胞はHAT選択培地中に再懸濁し、そして200μl培地中ウェル当たり0.1〜0.2×10脾細胞の細胞濃度で44〜52枚の96ウェルプレート中にプレーティングした。ハイブリドーマ選択は14日間進行させた。免疫化マウスのリンパ節の融合はIL−6Rcに特異的な抗体を産生するハイブリドーマの形成をもたらした。融合後14日、ハイブリドーマ含有プレートをヒトCHO/IL−6Rcに結合するヒトIgGの存在に関してスクリーニングした。
【0204】
実施例3 IL−6Rc活性に関する生物学的アッセイ
本明細書に記載した全てのアッセイはヒトIL−6Rに対する対照ヒトIgG1モノクローナル抗体(米国特許5,817,790、配列番号69および配列番号71)と平行して実施し;これを本明細書においては「対照mAb」と称する。更にまた、39B9 VL1抗体(核酸配列の配列番号1および3、アミノ酸配列の配列番号2および4)は「NI−1201」と命名した。
【0205】
標的細胞上、IL−6は第1に膜結合IL−6R(mIL−6R)に結合する。IL−6/IL−6Rの複合体はシグナル伝達膜蛋白質gp130と会合し、これによりその2量体化およびその後の細胞内シグナリングの開始を促進する。gp130は細胞によりユビキタスに発現されるのに対し、mIL−6Rは肝細胞および限定数の免疫細胞上において低減された発現プロファイルを有している。天然に存在するIL−6Rの可溶性型(sIL6R)は膜型の蛋白質分解によるか、またはIL−6R mRNAの示差的スプライシングにより、形成される。sIL−6RはIL−6と組み合わせられて可溶性IL−6/IL−6R複合体(IL−6Rc)を形成し、そしてmIL−6R−陰性gp130−陽性細胞を活性化することができる。この機序はトランスシグナリングと称されるのに対し、mIL−6RへのIL−6の結合を介したシグナリングおよびその後のgp130へのカップリングはシスシグナリングと称される(Tagaら、1989,Cell,58:573〜581)。
【0206】
IL−6機能アッセイ:BAF−hugp130細胞(BAF−130)、ヒトgp130−トランスフェクトマウスpro−B細胞系統はIL−6およびshuIL−6Rの存在下で増殖する(図1)。同様に、膜結合huIL−6R(BAF−130/IL−6R)でトランスフェクトしたBAF−130細胞はhuIL−6と共に培養すれば増殖する(図2)。
【0207】
トランスシグナリング分析のために、サイトカイン(IL−6)を3〜4時間37℃でその同系の可溶性受容体(shuIL−6R)と共にインキュベートすることにより「ネイティブ」のIL−6Rc(組み換え融合複合体とは反対)を形成した。いくつかの濃度のmAbを細胞に添加した後にネイティブ複合体と共に培養した。BAF−130細胞(1x10細胞/0.2mL/ウェル)をhuIL−6+shuIL−6Rと共に被験mAbs(対照mAb、huIgG1またはNI−1201)の存在下0.5%ウシ胎児血清を添加したRPMI中、96ウェル平底プレート中で72時間インキュベートした(図1A〜D)。増殖は細胞増殖試薬WST−1(Roche)を用いながら製造元の説明書に従って評価した。慨すれば、培養期間の後、20μLのWST−1試薬を培地に添加し、そして4時間37℃5%COでインキュベートした。吸光度(450〜650nm)をマイクロプレートリーダーを用いて計測した。結果によればNI−1201は対照mAbよりも効果的にネイティブIL−6Rcの活性を中和していた。
【0208】
シスシグナリング分析のために、BAF−130/IL−6R細胞を種々の用量のmAbおよび固定量のIL−6と共にインキュベートした(図2A)。逆に、細胞を漸増量のIL−6の存在下で1濃度のmAbと共にインキュベートした(図2B)。増殖は細胞増殖試薬WST−1を用いながら上記した通り評価した。NI−1201および対照mAbはこのシスシグナリング試験をブロッキングする場合において等価な活性を示した。
【0209】
実施例4 huIL−6Rc抗体の変異体
huIL−6Rc抗体の変異体は当該分野で知られた手法の種々のもののいずれかを用いながら作成される。例えば、変異体huIL−6Rc抗体は、抗体配列内の位置に1つ以上のアミノ酸修飾、例えばアミノ酸置換を有する抗体を包含する。
【0210】
アミノ酸置換の好ましい位置は、以下の表3において太字、下線を付した残基として示される。太字/下線のアミノ酸残基はいずれかのアミノ酸残基と置き換えることができる。好ましい実施形態においては、太字/下線のアミノ酸残基は以下の表3に示すアミノ酸残基で置き換えられる。これらの実施形態において、抗体は(i)軽鎖相補性決定領域3(CDR3)におけるコンセンサスアミノ酸配列QQSXSYPLT(配列番号42)、ここで式中XはNまたはQであるもの;(ii)重鎖相補性決定領域2(CDR2)におけるコンセンサスアミノ酸配列GIIPXFXTTKYAQXFQG(配列番号43)、ここで式中XはLまたはA、XはDまたはE、そしてXはQまたはKであるもの;(iii)重鎖相補性決定領域3(CDR3)におけるコンセンサスアミノ酸配列DRDILTDYYPXGGMDV(配列番号44)、ここで式中XはMまたはLであるもの;および(iv)フレームワーク領域3(FRW3)コンセンサスアミノ酸配列TAVXYCAR(配列番号45)、ここで式中XはFまたはYであるものを含む。
【0211】
表3に列挙するNI−1201−野生型(NI−1201−WT)抗体は軽鎖CDR3領域におけるアミノ酸配列QQSNSYPLT(配列番号26)、重鎖CDR2領域におけるアミノ酸配列GIIPLFDTTKYAQQFQG(配列番号16)、重鎖CDR3領域におけるアミノ酸配列DRDILTDYYPMGGMDV(配列番号36)、およびFRW3領域におけるアミノ酸配列TAVFYCAR(配列番号38)を含む。
【0212】
表3に列挙するNI−1201−A抗体は軽鎖CDR3領域におけるアミノ酸配列QQSNSYPLT(配列番号26)、重鎖CDR2領域におけるアミノ酸配列GIIPLFDTTKYAQKFQG(配列番号33)、重鎖CDR3領域におけるアミノ酸配列DRDILTDYYPMGGMDV(配列番号36)、およびFRW3領域におけるアミノ酸配列TAVYYCAR(配列番号39)を含む。
【0213】
表3に列挙するNI−1201−B抗体は軽鎖CDR3領域におけるアミノ酸配列QQSNSYPLT(配列番号26)、重鎖CDR2領域におけるアミノ酸配列GIIPLFDTTKYAQKFQG(配列番号33)、重鎖CDR3領域におけるアミノ酸配列DRDILTDYYPLGGMDV(配列番号37)、およびFRW3領域におけるアミノ酸配列TAVYYCAR(配列番号39)を含む。
【0214】
表3に列挙するNI−1201−C抗体は軽鎖CDR3領域におけるアミノ酸配列QQSNSYPLT(配列番号26)、重鎖CDR2領域におけるアミノ酸配列GIIPAFETTKYAQKFQG(配列番号34)、重鎖CDR3領域におけるアミノ酸配列DRDILTDYYPLGGMDV(配列番号37)、およびFRW3領域におけるアミノ酸配列TAVYYCAR(配列番号39)を含む。
【0215】
表3に列挙するNI−1201−D抗体は軽鎖CDR3領域におけるアミノ酸配列QQSQSYPLT(配列番号32)、重鎖CDR2領域におけるアミノ酸配列GIIPAFETTKYAQKFQG(配列番号34)、重鎖CDR3領域におけるアミノ酸配列DRDILTDYYPLGGMDV(配列番号37)、FRW3領域におけるおよびアミノ酸配列TAVYYCAR(配列番号39)を含む。
【0216】
表3に列挙するNI−1201−E抗体は軽鎖CDR3領域におけるアミノ酸配列QQSQSYPLT(配列番号32)、重鎖CDR2領域におけるアミノ酸配列GIIPLFDTTKYAQKFQG(配列番号33)、重鎖CDR3領域におけるアミノ酸配列DRDILTDYYPLGGMDV(配列番号37)、およびFRW3領域におけるアミノ酸配列TAVYYCAR(配列番号39)を含む。
【0217】
表3に列挙するNI−1201−F抗体は軽鎖CDR3領域におけるアミノ酸配列QQSNSYPLT(配列番号26)、重鎖CDR2領域におけるアミノ酸配列GIIPAFDTTKYAQKFQG(配列番号35)、重鎖CDR3領域におけるアミノ酸配列DRDILTDYYPLGGMDV(配列番号37)、およびFRW3領域におけるアミノ酸配列TAVYYCAR(配列番号39)を含む。
【0218】
表3に列挙するNI−1201−G抗体は軽鎖CDR3領域におけるアミノ酸配列QQSQSYPLT(配列番号32)、重鎖CDR2領域におけるアミノ酸配列GIIPAFDTTKYAQKFQG(配列番号35)、重鎖CDR3領域におけるアミノ酸配列DRDILTDYYPLGGMDV(配列番号37)、およびFRW3領域におけるアミノ酸配列TAVYYCAR(配列番号39)を含む。
【0219】
【表3】

実施例5 NI−1201はIL−6シスシグナリングにより誘導されたSTAT−3ホスホリル化をブロックする。
【0220】
24時間の血清枯渇の後、mIL−6R−陽性ヒト肝細胞癌腫HepG2細胞(ATCC)を10分間、記載濃度のhIL−6(図3A)と共に、または10ng/mLのIL−6と共に、記載濃度のhuIgG1、対照mAbまたはNI−1201WTと共にインキュベートした(図3B)。試料緩衝液中の溶解の後、蛋白質は、SDS−PAGE ウエスタンブロットにおいて、モノクローナル抗−ホスホ−STAT3抗体、P−STAT3(Cell signaling technology)を用いながら分析した。ブロットを分割し、活性化および非活性化のSTAT3(Santa Cruz Biotechnology)を認識するポリクローナル抗体を用いて再プローブした。NI−1201および対照mAbはSTAT−3のシスシグナリング誘導ホスホリル化のブロッキングにおいて等価な活性を示した。
【0221】
実施例6 NI−1201はshuIL−6Rcにより媒介されたIL−6トランスシグナリングをブロックする。
【0222】
PEAK細胞をルシフェラーゼレポータープラスミド(プロモーターSTAT3依存性)で一過性にトランスフェクトした。ウェルあたり2.5x10細胞を0.5%ウシ胎児血清を含有するDMEM中96ウェル平底プレートに播種した。4〜6時間の細胞接着ののち、PEAK細胞を、記載のmAbの漸増用量を用いながらshuIL−6Rcの30ng/mLで活性化した。18時間後、培地を除去し、そして化学ルミネセンス分析器中、steady−Glo(登録商標)Luciferase Assayシステム(Promega)を用いながらルシフェラーゼアッセイを実施した。NI−1201の全変異体とも、用量依存的な態様において、shuIL−6Rcの活性を中和したのに対し、対照mAbは予め形成された複合体の活性をブロックできなかった(図4)。
【0223】
実施例7 huIL−6Rc抗体の親和性および結合速度
ネイティブの膜結合huIL−6Rに結合するNI−1201の能力をHepG2ヘパトーマ細胞系統上のフローサイトメトリー分析を用いて評価した。細胞表面染色はmAbの異なる用量を用いながらHepG2細胞上で実施する。1次未コンジュゲートmAb(対照mAb、huIgG1およびNI−1201 mAb)の結合はヤギ抗ヒトAlexaFluor647IgG(H+L)(Invitrogen)を用いながら検出した。各実験は3連で実施した。蛍光強度の平均(MFI)を表し、そして対照mAbと比較した場合の膜IL−6Rに対するNI−1201の明確に増大した親和性が示されている(図5)。
【0224】
NI−1201候補(A〜D)、NI−1201WTおよび対照mAbの親和性および結合速度はBiacore2000装置(BiacoreAB,Uppsala,Sweden)上で特性化した。CM5 Biacoreチップを用い、そして抗ヒトIgGFc(BiacoreAB,Uppsala,Sweden)の1640RU(応答単位)をEDC/NHS化学で固定化した。この表面を用いてNI−1201候補,NI−1201WTおよび対照mAbをキャプチャーした。表面は、30秒間20μL/分での3M塩化マグネシウムの注射、その後HBS−EP緩衝液(BiacoreAB,Uppsala,Sweden)中の安定化時間1分により、各サイクル後に再生した。結合は以下の濃度、即ち100nM、50nM、25nM、12.5nM、6.25nMおよび0nMにおいて2連で、分析対象担体非含有可溶性ヒトIL−6R(shuIL6−R;R&D)、可溶性ヒトIL−6Rc(shuIL−6Rc)、および可溶性カニクイザルIL−6R(scyIL−6R)を通過させることにより計測した。全ての溶液はHBS−EP緩衝液中に希釈した。注射は50μl/分において3分間実施し、その後12分の解離時間を設け、そして温度は25℃に設定した。データは1:1のLangmuirモデルに従ってフィットさせ、そしてKon、KoffおよびK値を測定した。NI−1201変異体A〜D,NI−1201WTおよび対照mAbの親和性および速度定数を表4にまとめる。ネイティブまたは予め形成されたIL−6Rcのいずれかを用いた機能アッセイを確認するように、NI−1201は複合体に対するサブナノモルの親和性を示したのに対し、対照mAbは計測可能な結合を示さなかった。
【0225】
【表2−2】

実施例8 huIL−6Rc抗体のエピトープマッピング
IL−6Rキメラおよび突然変異したマウスIL−6Rの構築:各修飾をIL−6Rの可溶性形態に対して実施し、そしてpDISPLAY(商標)ベクター(Invitrogen)に添加することによりコンストラクトの表面発現を可能にした。NI−1201のエピトープマッピングは、マウスIL−6Rの第2のフィブロネクチンIIドメイン(D3ドメイン)におけるヒト残基を交換すること、および修飾したマウスIL−6R上のmAbの結合が回復しているかどうかを確認することにより、評価した。
【0226】
オーバーラップエクステンションPCRの方策を用いることにより、huIL−6R/マウスIL−6Rキメラ蛋白質(図6A)およびD3ドメインにおけるヒトアミノ酸置換を含有するマウスIL−6R蛋白質(図6B)を特定するコーディング配列を形成した。部分オーバーラップ突然変異誘発性オリゴヌクレオチドプライマーを用いてhuIL−6R/マウスIL−6R接合部または置換領域のいずれかの側のNおよびC末端配列のPCR増幅を行い、その後変性したPCR産物のゲル単離およびアニーリングを行った。次に完全長のPCR産物をEcoRIおよびBglIIで消化し、そしてpDISPLAY(商標)ベクター(Invitrogen)内にライゲーションした。PEAK細胞は10%ウシ胎児血清および4mMのL−グルタミンを添加したDMEM培地中で成育させた。細胞はトランスフェクション前12〜24時間にプレーティングすることにより6ウェルプレート中で40〜50%のコンフルエントとした。pDISPLAY(商標)ベクター(Invitrogen)のトランスフェクションはTransIT(登録商標)LT1試薬(MirusBio)を用いたリポフェクションにより製造元の仕様書にしたがって実施した。細胞は48時間成育させた後、採取し、そしてフローサイトメトリーによる分析に付した。
【0227】
FACS分析:細胞表面の染色はIL−6の各変異体をディスプレイするPEAK細胞に対して実施し、そしてフローサイトメトリーで分析した(図6B〜D)。各キメラIL−6Rの細胞表面発現は抗ヒト−CD126PEまたは抗−マウスCD126−PE抗体(BD Pharmingen)を用いながら評価した。対照mAbおよびNI−1201結合はヤギ抗ヒトIgG(H+L)AlexaFluor647(Invitrogen)を用いながら検出した。データはNI−1201が対照mAbに対するhuIL−6R上の区別可能なエピトープを認識することを示していた。
【0228】
実施例9 NI−1201はカニクイザルIL−6Rcと交差反応し中和する。
【0229】
ヒトおよび記載した種の間のIL−6R蛋白質配列の相同性を示す(図7A)。実施例6に記載した通り、PEAK細胞をルシフェラーゼレポータープラスミド(STAT3依存性プロモーターで一過性にトランスフェクトし、そして記載した抗ヒトmAbの異なる用量を用いながら25ng/mLカニクイザルIL−6+250ng/mL scyIL−6Rで活性化した。ルシフェラーゼアッセイは実施例6において上記した通り実施した(図7B)。結果はネイティブのカニクイザルIL−6Rcの機能的活性を中和するNI−1201の能力を示していた。
【0230】
(項目1) 単離された完全ヒト抗体であって、gp130媒介細胞内シグナリングカスケードが該抗体の存在下で活性化されないように、IL−6/IL−6R複合体(IL−6Rc)に結合し、そしてIL−6/IL−6R受容体複合体(IL−6Rc)がgp130に結合することを防止する、抗体。
(項目2) 前記抗体が:
(i)下記:
(a)軽鎖相補性決定領域3(CDR3)におけるアミノ酸配列QQSXSYPLT(ここで、XはNまたはQである);
(b)重鎖相補性決定領域2(CDR2)におけるアミノ酸配列GIIPXFXTTKYAQXFQG(ここで、XはLまたはAであり、XはDまたはEであり、そしてXはQまたはKである);
(c)重鎖相補性決定領域3(CDR3)におけるアミノ酸配列DRDILTDYYPXGGMDV(ここで、XはMまたはLである);および、
(d)フレームワーク領域3(FRW3)におけるアミノ酸配列TAVXYCAR(ここで、XはFまたはYである);
を含む抗体;
(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含む可変重鎖領域および配列番号4のアミノ酸配列を含む可変軽鎖領域を含む抗体;
(iii)軽鎖CDR3領域におけるアミノ酸配列QQSNSYPLT、重鎖CDR2領域におけるアミノ酸配列GIIPLFDTTKYAQKFQG、重鎖CDR3領域におけるアミノ酸配列DRDILTDYYPMGGMDV、およびFRW3領域におけるアミノ酸配列TAVYYCARを含む抗体;
(iv)軽鎖CDR3領域におけるアミノ酸配列QQSNSYPLT、重鎖CDR2領域におけるアミノ酸配列GIIPLFDTTKYAQKFQG、重鎖CDR3領域におけるアミノ酸配列DRDILTDYYPLGGMDV、およびFRW3領域におけるアミノ酸配列TAVYYCARを含む抗体;
(v)軽鎖CDR3領域におけるアミノ酸配列QQSNSYPLT、重鎖CDR2領域におけるアミノ酸配列GIIPAFETTKYAQKFQG、重鎖CDR3領域におけるアミノ酸配列DRDILTDYYPLGGMDV、およびFRW3領域におけるアミノ酸配列TAVYYCARを含む抗体;ならびに、
(vi)軽鎖CDR3領域におけるアミノ酸配列QQSQSYPLT、重鎖CDR2領域におけるアミノ酸配列GIIPAFETTKYAQKFQG、重鎖CDR3領域におけるアミノ酸配列DRDILTDYYPLGGMDV、およびFRW3領域におけるアミノ酸配列TAVYYCARを含む抗体、
よりなる群から選択される抗体を交差ブロッキングする、項目1記載の抗体。
(項目3) 前記抗体がIL−6Rcに対して少なくとも1x10−8の親和性を有する、項目1記載の抗体。
(項目4) 前記抗体がIL−6Rcに対して少なくとも1x10−9の親和性を有する、項目1記載の抗体。
(項目5) 前記抗体がIL−6受容体(IL−6R)のドメイン3におけるエピトープに結合し、該エピトープは少なくともアミノ酸配列AERSKTを含む、項目1記載の抗体。
(項目6) 前記抗体がIL−6およびIL−6Rの間の相互作用をモジュレートしない、項目1記載の抗体。
(項目7) 前記抗体がIL−6Rにも結合する、項目1記載の抗体。
(項目8) 前記抗体が配列番号15のアミノ酸配列を含むVCDR1領域、配列番号16のアミノ酸配列を含むVCDR2領域、配列番号17のアミノ酸配列を含むVCDR3領域、配列番号24のアミノ酸配列を含むVCDR1領域、配列番号25のアミノ酸配列を含むVCDR2領域、および配列番号26のアミノ酸配列を含むVCDR3領域を含む、項目1記載の抗体。
(項目9) 前記抗体が:
(a)配列番号15、18または21のアミノ酸配列を含むVCDR1領域;
(b)配列番号16、19、22、33、34または35のアミノ酸配列を含むVCDR2領域;
(c)配列番号17、20、23、36または37のアミノ酸配列を含むVCDR3領域;
(d)配列番号24、27、28、または30のアミノ酸配列を含むVCDR1領域;
(e)配列番号25のアミノ酸配列を含むVCDR2領域;および、
(f)配列番号26、29、31または32のアミノ酸配列を含むVCDR3領域
を含む、項目1記載の単離された抗体。
(項目10) 前記抗体がIgGアイソタイプである、項目9記載の抗体。
(項目11) 前記抗体がIgG1アイソタイプである、項目9記載の抗体。
(項目12) 前記抗体が配列番号2、8、または12から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変配列および配列番号4、6、10または14のアミノ酸配列を含む軽鎖可変配列を含む、項目9記載の抗体。
(項目13) 単離された完全ヒトモノクローナル抗IL−6Rc抗体、またはそのフラグメントであって、該抗体が:
(a)配列番号15、18または21のアミノ酸配列を含むVCDR1領域;
(b)配列番号16、19、22、33、34または35のアミノ酸配列を含むVCDR2領域;
(c)配列番号17、20、23、36または37のアミノ酸配列を含むVCDR3領域;
(d)配列番号24、27、28、または30のアミノ酸配列を含むVCDR1領域;
(e)配列番号25のアミノ酸配列を含むVCDR2領域;および、
(f)配列番号26、29、31または32のアミノ酸配列を含むVCDR3領域、
を含み、そして、該抗体がIL−6/IL−6R複合体に結合する、抗体。
(項目14) 前記抗体がIL−6Rにも結合する、項目13記載の抗体。
(項目15) 前記抗体がIgGアイソタイプである、項目13記載の抗体。
(項目16) 前記抗体がIgG1アイソタイプである、項目13記載の抗体。
(項目17) 前記抗体が配列番号2、8、または12から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変配列および配列番号4、6、10または14のアミノ酸配列を含む軽鎖可変配列を含む、項目13記載の抗体。
(項目18) 前記項目のいずれか1項に記載の抗体および担体を含む、医薬組成物。
(項目19) 対象における関節リウマチ、クローン病、乾癬、多発性硬化症または喘息に関連する臨床適応症の症状を軽減する方法であって、該方法が、IL−6Rcの拮抗剤を、該軽減を必要とする対象に、関節リウマチ、クローン病、乾癬、多発性硬化症または喘息に関連する臨床適応症の症状を軽減するために十分な量で投与する工程を含む、方法。
(項目20) 前記対象がヒトである、項目19記載の方法。
(項目21) 前記拮抗剤がモノクローナル抗体またはそのフラグメントである、項目19記載の方法。
(項目22) 前記モノクローナル抗体が項目1〜17のいずれか1項に記載の抗体またはそのフラグメントである、項目21記載の方法。
(項目23) 癌、自己免疫疾患または炎症性障害の症状を軽減する方法でであって、該方法が、項目1〜16のいずれか1項に記載の抗体を、該軽減を必要とする対象に、該対象における癌、自己免疫疾患または炎症性障害の症状を軽減するために十分な量で投与する工程を含む、方法。
(項目24) 前記対象がヒトである、項目23記載の方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単離された完全ヒト抗体であって、gp130媒介細胞内シグナリングカスケードが該抗体の存在下で活性化されないように、IL−6/IL−6R複合体(IL−6Rc)に結合し、そしてIL−6/IL−6R受容体複合体(IL−6Rc)がgp130に結合することを防止し、ここで該抗体が:
(i)下記:
(a)軽鎖相補性決定領域3(CDR3)におけるアミノ酸配列QQSXSYPLT(ここで、XはNまたはQである);
(b)重鎖相補性決定領域2(CDR2)におけるアミノ酸配列GIIPXFXTTKYAQXFQG(ここで、XはLまたはAであり、XはDまたはEであり、そしてXはQまたはKである);
(c)重鎖相補性決定領域3(CDR3)におけるアミノ酸配列DRDILTDYYPXGGMDV(ここで、XはMまたはLである);および、
(d)フレームワーク領域3(FRW3)におけるアミノ酸配列TAVXYCAR(ここで、XはFまたはYである);
を含む抗体;
(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含む可変重鎖領域および配列番号4のアミノ酸配列を含む可変軽鎖領域を含む抗体;
(iii)軽鎖CDR3領域におけるアミノ酸配列QQSNSYPLT、重鎖CDR2領域におけるアミノ酸配列GIIPLFDTTKYAQKFQG、重鎖CDR3領域におけるアミノ酸配列DRDILTDYYPMGGMDV、およびFRW3領域におけるアミノ酸配列TAVYYCARを含む抗体;
(iv)軽鎖CDR3領域におけるアミノ酸配列QQSNSYPLT、重鎖CDR2領域におけるアミノ酸配列GIIPLFDTTKYAQKFQG、重鎖CDR3領域におけるアミノ酸配列DRDILTDYYPLGGMDV、およびFRW3領域におけるアミノ酸配列TAVYYCARを含む抗体;
(v)軽鎖CDR3領域におけるアミノ酸配列QQSNSYPLT、重鎖CDR2領域におけるアミノ酸配列GIIPAFETTKYAQKFQG、重鎖CDR3領域におけるアミノ酸配列DRDILTDYYPLGGMDV、およびFRW3領域におけるアミノ酸配列TAVYYCARを含む抗体;ならびに、
(vi)軽鎖CDR3領域におけるアミノ酸配列QQSQSYPLT、重鎖CDR2領域におけるアミノ酸配列GIIPAFETTKYAQKFQG、重鎖CDR3領域におけるアミノ酸配列DRDILTDYYPLGGMDV、およびFRW3領域におけるアミノ酸配列TAVYYCARを含む抗体、
よりなる群から選択される抗体を交差ブロッキングする、請求項1記載の抗体。
【請求項2】
前記抗体がIL−6Rcに対して少なくとも1x10−8の親和性を有する、請求項1記載の抗体。
【請求項3】
前記抗体がIL−6Rcに対して少なくとも1x10−9の親和性を有する、請求項1記載の抗体。
【請求項4】
前記抗体がIL−6受容体(IL−6R)のドメイン3におけるエピトープに結合し、該エピトープは少なくともアミノ酸配列AERSKTを含む、請求項1記載の抗体。
【請求項5】
前記抗体がIL−6およびIL−6Rの間の相互作用をモジュレートしない、請求項1記載の抗体。
【請求項6】
前記抗体がIL−6Rにも結合する、請求項1記載の抗体。
【請求項7】
前記抗体が配列番号15のアミノ酸配列を含むVCDR1領域、配列番号16のアミノ酸配列を含むVCDR2領域、配列番号17のアミノ酸配列を含むVCDR3領域、配列番号24のアミノ酸配列を含むVCDR1領域、配列番号25のアミノ酸配列を含むVCDR2領域、および配列番号26のアミノ酸配列を含むVCDR3領域を含む、請求項1記載の抗体。
【請求項8】
前記抗体が:
(a)配列番号15、18または21のアミノ酸配列を含むVCDR1領域;
(b)配列番号16、19、22、33、34または35のアミノ酸配列を含むVCDR2領域;
(c)配列番号17、20、23、36または37のアミノ酸配列を含むVCDR3領域;
(d)配列番号24、27、28、または30のアミノ酸配列を含むVCDR1領域;
(e)配列番号25のアミノ酸配列を含むVCDR2領域;および、
(f)配列番号26、29、31または32のアミノ酸配列を含むVCDR3領域
を含む、請求項1記載の単離された抗体。
【請求項9】
前記抗体が配列番号2から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変配列および配列番号4のアミノ酸配列を含む軽鎖可変配列を含む、請求項1記載の抗体。
【請求項10】
前記抗体がIgGアイソタイプである、請求項1記載の抗体。
【請求項11】
前記抗体がIgG1アイソタイプである、請求項1記載の抗体。
【請求項12】
前記抗体が配列番号2、8、または12から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変配列および配列番号4、6、10または14のアミノ酸配列を含む軽鎖可変配列を含む、請求項1記載の抗体。
【請求項13】
単離された完全ヒトモノクローナル抗IL−6Rc抗体、またはそのフラグメントであって、該抗体が:
(a)配列番号15、18または21のアミノ酸配列を含むVCDR1領域;
(b)配列番号16、19、22、33、34または35のアミノ酸配列を含むVCDR2領域;
(c)配列番号17、20、23、36または37のアミノ酸配列を含むVCDR3領域;
(d)配列番号24、27、28、または30のアミノ酸配列を含むVCDR1領域;
(e)配列番号25のアミノ酸配列を含むVCDR2領域;および、
(f)配列番号26、29、31または32のアミノ酸配列を含むVCDR3領域、
を含み、そして、該抗体がIL−6/IL−6R複合体に結合する、抗体。
【請求項14】
前記抗体がIL−6Rにも結合する、請求項13記載の抗体。
【請求項15】
前記抗体がIgGアイソタイプである、請求項13記載の抗体。
【請求項16】
前記抗体がIgG1アイソタイプである、請求項13記載の抗体。
【請求項17】
前記抗体が配列番号2、8、または12から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変配列および配列番号4、6、10または14のアミノ酸配列を含む軽鎖可変配列を含む、請求項13記載の抗体。
【請求項18】
前記抗体が配列番号2から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変配列および配列番号4のアミノ酸配列を含む軽鎖可変配列を含む、請求項13記載の抗体。
【請求項19】
前記請求項のいずれか1項に記載の抗体および担体を含む、医薬組成物。
【請求項20】
対象における関節リウマチ、クローン病、乾癬、多発性硬化症または喘息に関連する臨床適応症の症状を軽減する方法であって、該方法が、請求項1〜18のいずれか一項に記載の抗体を、該軽減を必要とする対象に、関節リウマチ、クローン病、乾癬、多発性硬化症または喘息に関連する臨床適応症の症状を軽減するために十分な量で投与する工程を含む、方法。
【請求項21】
前記対象がヒトである、請求項20記載の方法。
【請求項22】
癌、自己免疫疾患または炎症性障害の症状を軽減する方法でであって、該方法が、請求項1〜18のいずれか一項に記載の抗体を、該軽減を必要とする対象に、該対象における癌、自己免疫疾患または炎症性障害の症状を軽減するために十分な量で投与する工程を含む、方法。
【請求項23】
前記対象がヒトである、請求項22記載の方法。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−520898(P2011−520898A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−509636(P2011−509636)
【出願日】平成21年5月13日(2009.5.13)
【国際出願番号】PCT/US2009/043734
【国際公開番号】WO2009/140348
【国際公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(510029645)
【Fターム(参考)】