説明

抗IgE抗体

本発明は、ヒト免疫グロブリンEに対して特異的に向けられる新規ヒト抗体(抗IgE)に関する。本発明はまた、喘息、特にアレルギー性喘息と共に、アレルギー性鼻炎および食物アレルギーが含まれる他のIgE媒介障害を処置するための薬学的組成物および方法にも関する。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下からなる群より選択される少なくとも一つの追加の特性を有する、ヒトIgEに対して向けられるヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合部分、またはその抗原結合部分:
a)ヒトFcεR1をトランスフェクトしたRBL-2H3細胞株を用いるIgE細胞結合アッセイの低減能によって測定した場合に、0.5μg/mLまたはそれ未満のIC50を有する;
b)ヒトFcεR1をトランスフェクトしたRBL-2H3細胞株のIgE媒介脱顆粒の阻害能によって測定した場合に、0.5μg/mLまたはそれ未満のIC50を有する;
c)受容体結合IgEとクロスリンクせず、かつヒトIgEと共に培養したRBL-2H3(FcεR1)細胞のIgE依存的脱顆粒を刺激しない;
d)受容体結合IgEとクロスリンクせず、かつヒト血中好塩基球のIgE依存的脱顆粒を刺激しない;
e)ヒトIgA、IgG1、およびIgG3と比較してIgEに関して非常に選択的である;
f)表面プラズモン共鳴によって測定した場合に、15 nMまたはそれ未満の親和性定数KDで、ヒトIgEの完全長に結合する;
g)表面プラズモン共鳴によって測定した場合に2×10-4 s-1またはそれより小さいヒトIgEに対するオフレート(kOff)を有する;および
h)組換え型5.396.1;5.396.1 Hc-S103N Lc-K61R;組換え型6.605.1;6.605.1 (H3Q,M13K,D82E-T25A,T53S);組換え型5.948.1、および5.948.1 H100Yからなる群より選択される抗体として、ヒトIgEの同じエピトープに結合する。
【請求項2】
抗体が約0.1〜30μg/mLのIC25 ng/mL(100〜5000 ng/mL)を有し、IC25 ng/mL(100〜5000 ng/mL)が血清試料中の遊離のIgE濃度を約100〜5000 ng/mLの範囲の初回濃度から約25 ng/mLの濃度まで低減するために必要なインビトロ抗体濃度として定義される、ヒトIgEに対して向けられる単離されたヒト抗体、またはその抗原結合部分。
【請求項3】
抗体が約1〜30μg/mLのIC25ng/mL(500〜1500 ng/mL)を有し、IC25ng/mL(500〜1500 ng/mL)が血清試料中の遊離のIgE濃度を約500〜1500 ng/mLの範囲の初回濃度から約25 ng/mLの濃度まで低減するために必要なインビトロ抗体濃度として定義される、請求項2記載の抗体またはその部分。
【請求項4】
抗体が、SEQ ID NO:10、30、50、70、90、および130からなる群より選択される配列を有するH-CDR3を含む、前記請求項のいずれか一項記載の抗体またはその部分。
【請求項5】
抗体が以下からなる群より選択される、前記請求項のいずれか一項記載の抗体またはその部分:
−SEQ ID NO:6、8、10の配列をそれぞれ有するH-CDR(H-CDR1、H-CDR2、H-CDR3)のH-CDRの組と、SEQ ID NO:16、18、20の配列をそれぞれ有するL-CDR(L-CDR1、L-CDR2、L-CDR3)のL-CDRの組とを含む抗体;
−SEQ ID NO:26、28、30の配列をそれぞれ有するH-CDR(H-CDR1、H-CDR2、H-CDR3)のH-CDRの組と、SEQ ID NO:36、38、40の配列をそれぞれ有するL-CDR(L-CDR1、L-CDR2、L-CDR3)のL-CDRの組とを含む抗体;
−SEQ ID NO:46、48、50の配列をそれぞれ有するH-CDR(H-CDR1、H-CDR2、H-CDR3)のH-CDRの組と、SEQ ID NO:56、58、60の配列をそれぞれ有するL-CDR(L-CDR1、L-CDR2、L-CDR3)のL-CDRの組とを含む抗体;
−SEQ ID NO:66、68、70の配列をそれぞれ有するH-CDR(H-CDR1、H-CDR2、H-CDR3)のH-CDRの組と、SEQ ID NO:76、78、80の配列をそれぞれ有するL-CDR(L-CDR1、L-CDR2、L-CDR3)のL-CDRの組とを含む抗体;
−SEQ ID NO:86、88、90の配列をそれぞれ有するH-CDR(H-CDR1、H-CDR2、H-CDR3)のH-CDRの組と、SEQ ID NO:96、98、100の配列をそれぞれ有するL-CDR(L-CDR1、L-CDR2、L-CDR3)のL-CDRの組とを含む抗体;および
−SEQ ID NO:126、128、130の配列をそれぞれ有するH-CDR(H-CDR1、H-CDR2、H-CDR3)のH-CDRの組と、SEQ ID NO:136、138、140の配列をそれぞれ有するL-CDR(L-CDR1、L-CDR2、L-CDR3)のL-CDRの組とを含む抗体。
【請求項6】
抗体がIgG1またはIgG2サブタイプである、前記請求項のいずれか一項記載の抗体またはその部分。
【請求項7】
抗体が以下からなる群より選択される、前記請求項のいずれか一項記載の抗体またはその部分:
−SEQ ID NO:4の配列を有するH-可変ドメインと、SEQ ID NO:14の配列を有するL-可変ドメインとを含む抗体;
−SEQ ID NO:24の配列を有するH-可変ドメインと、SEQ ID NO:34の配列を有するL-可変ドメインとを含む抗体;
−SEQ ID NO:44の配列を有するH-可変ドメインと、SEQ ID NO:54の配列を有するL-可変ドメインとを含む抗体;
−SEQ ID NO:64の配列を有するH-可変ドメインと、SEQ ID NO:74の配列を有するL-可変ドメインとを含む抗体;
−SEQ ID NO:84の配列を有するH-可変ドメインと、SEQ ID NO:94の配列を有するL-可変ドメインとを含む抗体;および
−SEQ ID NO:124の配列を有するH-可変ドメインと、SEQ ID NO:134の配列を有するL-可変ドメインとを含む抗体。
【請求項8】
抗体が以下からなる群より選択される、前記請求項のいずれか一項記載の抗体またはその部分:
− SEQ ID NO:2の配列を有するH-鎖と、SEQ ID NO:12の配列を有するL-鎖とを含む抗体;
− SEQ ID NO:22の配列を有するH-鎖と、SEQ ID NO:32の配列を有するL-鎖とを含む抗体;
− SEQ ID NO:42の配列を有するH-鎖と、SEQ ID NO:52の配列を有するL-鎖とを含む抗体;
− SEQ ID NO:62の配列を有するH-鎖と、SEQ ID NO:72の配列を有するL-鎖とを含む抗体;
− SEQ ID NO:82の配列を有するH-鎖と、SEQ ID NO:92の配列を有するL-鎖とを含む抗体;および
− SEQ ID NO:122の配列を有するH-鎖と、SEQ ID NO:132の配列を有するL-鎖とを含む抗体。
【請求項9】
抗体が以下からなる群より選択される、前記請求項のいずれか一項記載の抗体またはその部分:
−SEQ ID NO:1の核酸配列によってコードされるH-鎖配列と、SEQ ID NO:11の核酸配列によってコードされるL-鎖配列とを含む抗体;
−SEQ ID NO:21の核酸配列によってコードされるH-鎖配列と、SEQ ID NO:31の核酸配列によってコードされるL-鎖配列とを含む抗体;
−SEQ ID NO:41の核酸配列によってコードされるH-鎖配列と、SEQ ID NO:51の核酸配列によってコードされるL-鎖配列とを含む抗体;
−SEQ ID NO:61の核酸配列によってコードされるH-鎖配列と、SEQ ID NO:71の核酸配列によってコードされるL-鎖配列とを含む抗体;
−SEQ ID NO:81の核酸配列によってコードされるH-鎖配列と、SEQ ID NO:91の核酸配列によってコードされるL-鎖配列とを含む抗体;および
−SEQ ID NO:121の核酸配列によってコードされるH-鎖配列と、SEQ ID NO:131の核酸配列によってコードされるL-鎖配列とを含む抗体。
【請求項10】
1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10のアミノ酸置換によって前記抗体またはその部分とは異なる、前記請求項のいずれか一項記載の抗体またはその部分の変種。
【請求項11】
前記請求項のいずれか一項記載の抗体またはその部分の鎖の一つをコードする核酸配列。
【請求項12】
請求項11記載の核酸配列を含むベクター。
【請求項13】
請求項1〜10のいずれか一項記載の抗体またはその部分の鎖の一つを発現するのに適したベクター。
【請求項14】
請求項1〜10のいずれか一項記載の抗体またはその部分の鎖の一つを発現する細胞。
【請求項15】
請求項14記載の細胞を培養する段階と、抗体またはその部分を回収する段階とを含む、請求項1〜10のいずれか一項記載の抗体またはその部分を作製するための方法。
【請求項16】
薬剤として用いるための、請求項1〜10のいずれか一項記載の抗体またはその部分。
【請求項17】
喘息、アレルギー性喘息、アレルギー性鼻炎、および食物アレルギーからなる群より選択されるIgE媒介障害の処置のための、請求項1〜10のいずれか一項記載の抗体またはその部分。
【請求項18】
請求項1〜10のいずれか一項記載の抗体またはその部分を含む薬学的組成物。
【請求項19】
喘息、アレルギー性喘息、アレルギー性鼻炎、および食物アレルギーからなる群より選択されるIgE媒介障害の処置のための、前記請求項に記載の薬学的組成物。
【請求項20】
請求項1〜10のいずれか一項記載の抗体またはその部分の治療的有効量を対象に投与する段階を含む、それを必要とする対象における喘息、アレルギー性喘息、アレルギー性鼻炎、および食物アレルギーからなる群より選択されるIgE媒介障害を処置するための方法。
【請求項21】
喘息、アレルギー性喘息、アレルギー性鼻炎、および食物アレルギーからなる群より選択されるIgE媒介障害を処置するための薬剤の製造における、請求項1〜10のいずれか一項記載の抗体またはその部分の使用。
【請求項22】
SEQ ID NO: 1、3、11、13、21、23、31、33、41、43、51、53、61、63、71、73、81、83、91、93、101、103、105、107、109、111、121、123、131、および133からなる群より選択される核酸配列。
【請求項23】
以下からなる群より選択される、ヒトIgEに対して向けられる抗体:
−SEQ ID NO:4の配列を有するH-可変ドメインと、SEQ ID NO:14の配列を有するL-可変ドメインとを含む抗体;
−SEQ ID NO:24の配列を有するH-可変ドメインと、SEQ ID NO:34の配列を有するL-可変ドメインとを含む抗体;
−SEQ ID NO:44の配列を有するH-可変ドメインと、SEQ ID NO:54の配列を有するL-可変ドメインとを含む抗体;
−SEQ ID NO:64の配列を有するH-可変ドメインと、SEQ ID NO:74の配列を有するL-可変ドメインとを含む抗体;
−SEQ ID NO:84の配列を有するH-可変ドメインと、SEQ ID NO:94の配列を有するL-可変ドメインとを含む抗体;および
−SEQ ID NO:124の配列を有するH-可変ドメインと、SEQ ID NO:134の配列を有するL-可変ドメインとを含む抗体。
【請求項24】
SEQ ID NO:2の配列を有するH-鎖と、SEQ ID NO:12の配列を有するL-鎖とを含む、ヒトIgEに対して向けられる抗体。
【請求項25】
SEQ ID NO:22の配列を有するH-鎖と、SEQ ID NO:32の配列を有するL-鎖とを含む、ヒトIgEに対して向けられる抗体。
【請求項26】
SEQ ID NO:42の配列を有するH-鎖と、SEQ ID NO:52の配列を有するL-鎖とを含む、ヒトIgEに対して向けられる抗体。
【請求項27】
SEQ ID NO:62の配列を有するH-鎖と、SEQ ID NO:72の配列を有するL-鎖とを含む、ヒトIgEに対して向けられる抗体。
【請求項28】
SEQ ID NO:82の配列を有するH-鎖と、SEQ ID NO:92の配列を有するL-鎖とを含む、ヒトIgEに対して向けられる抗体。
【請求項29】
SEQ ID NO:122の配列を有するH-鎖と、SEQ ID NO:132の配列を有するL-鎖とを含む、ヒトIgEに対して向けられる抗体。
【請求項30】
ブダペスト条約に従って2006年11月07日にAmerican Type Culture Collection (ATCC), P.O. Box 1549, Manassas, VA 20108, USAに寄託された、ATCC寄託番号PTA-7977のインサートによってコードされるH-鎖と、ATCC寄託番号PTA-7982のインサートによってコードされるL-鎖とを含む、ヒトIgEに対して向けられる抗体。
【請求項31】
ブダペスト条約に従って2006年11月07日にAmerican Type Culture Collection (ATCC), P.O. Box 1549, Manassas, VA 20108, USAに寄託された、ATCC寄託番号PTA-7981のインサートによってコードされるH-鎖と、ATCC寄託番号PTA-7980のインサートによってコードされるL-鎖とを含む、ヒトIgEに対して向けられる抗体。
【請求項32】
ブダペスト条約に従って2006年11月07日にAmerican Type Culture Collection (ATCC), P.O. Box 1549, Manassas, VA 20108, USAに寄託された、ATCC寄託番号PTA-7985のインサートによってコードされるH-鎖と、ATCC寄託番号PTA-7984のインサートによってコードされるL-鎖とを含む、ヒトIgEに対して向けられる抗体。
【請求項33】
ブダペスト条約に従って2006年11月07日にAmerican Type Culture Collection (ATCC), P.O. Box 1549, Manassas, VA 20108, USAに寄託された、ATCC寄託番号PTA-7983のインサートによってコードされるH-鎖と、ATCC寄託番号PTA-7978のインサートによってコードされるL-鎖とを含む、ヒトIgEに対して向けられる抗体。
【請求項34】
ブダペスト条約に従って2006年11月07日にAmerican Type Culture Collection (ATCC), P.O. Box 1549, Manassas, VA 20108, USAに寄託された、ATCC寄託番号PTA-7979のインサートによってコードされるH-鎖と、ATCC寄託番号PTA-7986のインサートによってコードされるL-鎖とを含む、ヒトIgEに対して向けられる抗体。
【請求項35】
薬剤として用いるための請求項23〜34のいずれか一項記載の抗体。
【請求項36】
喘息、アレルギー性喘息、アレルギー性鼻炎、および食物アレルギーからなる群より選択されるIgE媒介障害を処置するための、請求項23〜34のいずれか一項記載の抗体。
【請求項37】
請求項23〜34のいずれか一項記載の抗体を含む薬学的組成物。
【請求項38】
喘息、アレルギー性喘息、アレルギー性鼻炎、および食物アレルギーからなる群より選択されるIgE媒介障害を処置するための、前記請求項に記載の薬学的組成物。
【請求項39】
請求項23〜34のいずれか一項記載の抗体の治療的有効量を対象に投与する段階を含む、それを必要とする対象における喘息、アレルギー性喘息、アレルギー性鼻炎、および食物アレルギーからなる群より選択されるIgE媒介障害を処置するための方法。
【請求項40】
喘息、アレルギー性喘息、アレルギー性鼻炎、および食物アレルギーからなる群より選択されるIgE媒介障害を処置するための薬剤の製造における、請求項23〜34のいずれか一項記載の抗体の使用。
【請求項41】
請求項23〜34のいずれか一項記載の抗体またはその部分の鎖の一つをコードする核酸配列。
【請求項42】
請求項41記載の核酸配列を含むベクター。
【請求項43】
請求項23〜34のいずれか一項記載の抗体またはその部分の鎖の一つを発現するのに適したベクター。
【請求項44】
請求項23〜34のいずれか一項記載の抗体またはその部分の鎖の一つを発現する細胞。
【請求項45】
請求項43記載の細胞を培養する段階と、抗体またはその部分を回収する段階とを含む、請求項23〜34のいずれか一項記載の抗体またはその部分を作製するための方法。
【請求項46】
請求項1〜10または23〜34のいずれか一項記載の抗IgE抗体または抗原結合部分をIgEに接触させる段階を含む、FcεR1に対するIgEの結合を低減させるための方法。
【請求項47】
請求項1〜10または23〜34のいずれか一項記載の抗IgE抗体またはその抗原結合部分を細胞に接触させる段階を含む、細胞によるIgE媒介脱顆粒を低減させるための方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−532158(P2010−532158A)
【公表日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−502126(P2010−502126)
【出願日】平成20年4月1日(2008.4.1)
【国際出願番号】PCT/US2008/004286
【国際公開番号】WO2008/123999
【国際公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(398005777)アムジェン フレモント インク. (40)
【出願人】(506181531)ファイザー インコーポレイティッド (11)
【Fターム(参考)】