説明

折り畳み型携帯電話機

【課題】 上部筐体と下部筐体とによって構成されている折り畳み型携帯電話機の利便性を向上させる。
【解決手段】 折り畳み型携帯電話機1を、上部筐体2と下部筐体3とにより構成して、上部筐体と下部筐体とをフレキシブルプリント配線板によって電気的に接続する。さらに、上部筐体及び下部筐体の両方に対して、フレキシブルプリント配線板を保護するように、蛇腹形状の蛇腹状連結部材4を連結する。この蛇腹状連結部材は、蛇腹形状によって形成される折り畳み構造の任意の箇所が、伸長された状態又は折り畳まれた状態で固定可能なように構成されており、蛇腹状連結部材の伸縮や、下部筐体に対する上部筐体の回動などの様々な動きが可能であるとともに、蛇腹状連結部材によって変更された上部筐体及び下部筐体の相対的な配置を固定することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上部筐体と下部筐体とにより構成されており、上部筐体と下部筐体とを重ね合わせることによって折り畳むことが可能な折り畳み型携帯電話機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の折り畳み型携帯電話機は、通常、2つの筐体(上部筐体及び下部筐体)が所定の回動軸を形成するヒンジ部を介して結合されている。そして、この回動軸を中心として、上部筐体及び下部筐体が相互に回動することによって、上部筐体と下部筐体とが重なり合った重ね合わせ状態(折り畳み状態)と、上部筐体及び下部筐体が相互に開いた状態となる使用状態とに、筐体の配置位置を変化させることが可能となっている。
【0003】
一方、下記の特許文献1には、2つの開閉筐体(上部筐体及び下部筐体)を有する電子機器に関して、2つの開閉筐体に相互に接続されているフレキシブルプリント配線板などを包含するように、軟質性樹脂を成型固着することによって、可動部の成型工程の単純化や、電子機器の小型化、防水機能の向上などを実現する技術が記載されている。この特許文献1に記載されている技術を折り畳み型携帯電話機に適用した場合には、可動性を保ったまま、ヒンジ部を簡素な構成とすることが可能となる。
【特許文献1】特開平5−259656号公報(図1、4、段落0016〜0019)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の折り畳み型携帯電話機では、上部筐体及び下部筐体の配置位置が、重ね合わせ状態及び使用状態の2つの状態のみで固定可能なようになっている。したがって、重ね合わせ状態から使用状態に遷移する際の任意の状態で固定させるためには、さらに何らかの係止手段(上部筐体と下部筐体との相対的な位置関係を固定する手段)が必要となるが、こうした係止手段を簡単な構成で実現する技術は存在していない。また、通常の折り畳み型携帯電話機は、ヒンジ部に回動軸(又は回動軸に準ずる軸)が1つ又は少数しか存在せず、上部筐体及び下部筐体の相対的な配置位置の変化は、限定されたものとなっている。
【0005】
また、特許文献1に記載の技術によれば、軟質性樹脂及び配線材の可動部には、常に一定の応力(例えば、平板になろうとする応力)が働いており、使用状態となることは容易であっても、折り畳み状態や上述の任意の状態のままで固定させることは困難であるという問題点がある。また、例えば、ユーザが下部筐体のみを把持して持ち上げた場合には、可動部は上部筐体の重量に耐えられず、使用状態などの形状を維持することは不可能であるという問題点がある。
【0006】
上記問題点に鑑み、本発明では、上部筐体と下部筐体とによって構成されている折り畳み型携帯電話機の利便性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の折り畳み型携帯電話機は、上部筐体と下部筐体とにより構成されており、前記上部筐体と前記下部筐体とがフレキシブルプリント配線板によって電気的に接続されている折り畳み型携帯電話機であって、
前記フレキシブルプリント配線板を保護するとともに、前記上部筐体及び前記下部筐体の両方に連結されている蛇腹形状の蛇腹状連結部材を有している。
この構成により、蛇腹状連結部材による柔軟な動きによって、上部筐体と下部筐体との相対的な配置を柔軟に変えることが可能な折り畳み型携帯電話機が提供され、折り畳み型携帯電話機の利便性を向上させることが可能となる。
【0008】
また、本発明の折り畳み型携帯電話機は、上記の構成に加えて、前記蛇腹状連結部材が前記蛇腹形状によって形成される折り畳み構造の任意の箇所が、伸長された状態又は折り畳まれた状態で固定可能なように構成されている。
この構成により、ユーザの好みや使い勝手に応じて、上部筐体と下部筐体との相対的な配置を自在に固定することが可能となる。
【0009】
また、本発明の折り畳み型携帯電話機は、上記の構成に加えて、前記上部筐体及び前記下部筐体が略同一の平板形状により構成されており、前記上部筐体及び前記下部筐体のそれぞれの前記平板形状が作る面が略同一面内に配置可能であるとともに、前記上部筐体及び前記下部筐体のそれぞれの前記平板形状の作る面が略同一面内に配置された状態を保ったまま、前記蛇腹状連結部材の前記蛇腹形状によって形成される折り畳み構造の任意の箇所が、伸長された状態又は折り畳まれた状態で固定可能なように構成されている。
この構成により、蛇腹状連結部材の伸縮による上部筐体と下部筐体との相対的な配置の変更や、下部筐体に対する上部筐体の首振り動作などを行うことが可能となる。
【0010】
また、本発明の折り畳み型携帯電話機は、上記の構成に加えて、前記蛇腹状連結部材が、前記蛇腹形状によって形成される折り畳み構造のすべての箇所が伸長された状態、及び、前記折り畳み構造の前記すべての箇所が折り畳まれた状態の両方において固定可能なように構成されている。
この構成により、蛇腹状連結部材の伸縮による上部筐体と下部筐体との相対的な配置の変更を行うことが可能となる。
【0011】
また、本発明の折り畳み型携帯電話機は、上記の構成に加えて、前記折り畳み構造のすべての箇所が伸長された状態、及び、前記折り畳み構造の前記すべての箇所が折り畳まれた状態の2つの状態によって形成される伸縮方向に垂直であり、かつ、前記略同一面内に含まれる方向を軸方向とする回動軸に対して、前記上部筐体及び前記下部筐体が相対的に回動可能なように構成されている。
この構成により、従来の折り畳み型携帯電話機におけるヒンジ部による回動と同様の動作が可能となる。
【0012】
また、本発明の折り畳み型携帯電話機は、上記の構成に加えて、前記蛇腹形状によって形成される折り畳み構造の前記すべての箇所が伸長された状態を、前記上部筐体と前記下部筐体とが前記回動軸に対して180°の角度を形成しているとした場合、前記上部筐体と前記下部筐体とが重なり合った前記回動軸に対して略0°又は略360°の角度を形成することが可能なように構成されている。
この構成により、従来の折り畳み型携帯電話機におけるヒンジ部による回動と同様の動作が可能となるとともに、上部筐体を下部筐体の表側及び裏側の両方の面のそれぞれに重ね合わせることが可能となる。
【0013】
また、本発明の折り畳み型携帯電話機は、上記の構成に加えて、上部筐体及び下部筐体のそれぞれが嵌合部材を有しており、前記上部筐体と前記下部筐体とが重なり合って、前記回動軸に対して略0°又は略360°の角度が形成された重ね合わせ状態で、前記上部筐体及び前記下部筐体のそれぞれに配置された前記嵌合部材が嵌合して前記重ね合わせ状態が固定されるように構成されている。
この構成により、上部筐体を下部筐体の表側及び裏側の両方の面のそれぞれに重ね合わせた状態を確実に固定することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の折り畳み型携帯電話機は、上記構成を有しており、上部筐体と下部筐体とによって構成されている折り畳み型携帯電話機の利便性を向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。まず、本発明に係る折り畳み型携帯電話機1の外観について説明する。図1は、本発明の実施の形態における携帯電話機本体において、蛇腹状連結部材が伸長された状態の外観を示す図であり、図1(a)は折り畳み型携帯電話機の正面図、図1(b)は折り畳み型携帯電話機本体の背面図、図1(c)は折り畳み型携帯電話機の右側面図である。図1(a)に図示されている折り畳み型携帯電話機1は、上部筐体2と下部筐体3とを有しており、これらの上部筐体2及び下部筐体3は、蛇腹状連結部材4によって連結されている。
【0016】
上部筐体2の正面側(図1(a)参照)には、レシーバ部21a、表示部22、凹部23が設けられている。また、上部筐体2の背面側(図1(b)参照)には、レシーバ部21b、凸部24が設けられている。一方、下部筐体3の正面側(図1(a)参照)には、操作部31、凸部32が設けられている。また、下部筐体3の背面側(図1(b)参照)には、凹部33が設けられている。なお、図1には不図示だが、折り畳み型携帯電話機1は、通話音声の入力を行うためのマイクロホン部や着信通知音声を報知するためのスピーカ部も有している。
【0017】
レシーバ部21a、21bは、通話音声の出力を行うための通話音声出力部であり、通話音声の出力を行うための音声出力孔が設けられている。なお、図1に図示されている折り畳み型携帯電話機1には、上部筐体2の正面側と背面側の両方にレシーバ21a、21bが配置されているが、どちらか片面(例えば、正面側)にのみ配置されていてもよい。また、表示部22は、視覚的な情報出力を行う液晶ディスプレイなどの表示手段である。また、操作部31は、ユーザによる操作や情報入力を可能とする操作ボタンやナビゲーションキーなどの操作手段である。
【0018】
また、凹部23は、所定の形状のくぼみであり、下部筐体3に設けられた所定の形状の突起である凸部32に対応する形状を有している。すなわち、上部筐体2の凹部23と下部筐体3の凸部32とは、相互に対応する所定の形状を有する、相互に嵌合可能な嵌合手段であり、ある程度の応力(例えば、ユーザの手によって加えることのできる応力)が加えられることによって、上部筐体2の凹部23及び下部筐体3の凸部32の取り外しができるように構成されている。
【0019】
また、凸部24は、所定の形状の突起であり、下部筐体3に設けられた所定の形状のくぼみである凹部33に対応する形状を有している。すなわち、上部筐体2の凸部24と下部筐体3の凹部33とは、相互に対応する所定の形状を有する、相互に嵌合可能な嵌合手段であり、ある程度の応力(例えば、ユーザの手によって加えることのできる応力)が加えられることによって、上部筐体2の凸部24及び下部筐体3の凹部33の取り外しができるように構成されている。
【0020】
なお、ここでは、上部筐体2の凹部23及び下部筐体3の凸部32や、上部筐体2の凸部24及び下部筐体3の凹部33は、それぞれ凹凸形状によって嵌合可能なように構成されているが、その他の形状の嵌合手段を用いることも可能であり、さらには、凹部23、33の配置位置と凸部24、32の配置位置との接触状態が固定されるような他の状態固定手段を用いることも可能である。
【0021】
また、蛇腹状連結部材4は、折り畳み自在な蛇腹形状を有しており、さらに、蛇腹形状によって形成される折り畳み構造の任意の箇所が伸長された状態又は折り畳まれた状態が固定可能なように構成されている。なお、蛇腹形状によって形成される折り畳み構造のピッチや折り畳み数(蛇腹の山及び谷の数)は、任意に設定可能である。また、蛇腹状連結部材4を構成する部材の種類は特に限定されるものではなく、例えば、可塑性を有する合成樹脂などの利用が可能である。
【0022】
また、図1には、上部筐体2には図1の上方向への応力が、下部筐体3には図1の下方向への応力がそれぞれ加えられることによって、蛇腹状連結部材4が伸長された状態が図示されている。一方、図1とは逆に、図2には、上部筐体2には図2の下方向への応力が、下部筐体3には図2の上方向への応力がそれぞれ加えられることによって、蛇腹状連結部材4が折り畳まれた状態が図示されている。
【0023】
図2は、本発明の実施の形態における携帯電話機本体において、蛇腹状連結部材が折り畳まれた状態の外観を示す図であり、図2(a)は折り畳み型携帯電話機の正面図、図2(b)は折り畳み型携帯電話機の右側面図である。なお、図1及び図2に示す伸長された状態又は折り畳まれた状態は、それぞれの状態において固定可能であり、したがって、ユーザは、好みや使い勝手に応じて、折り畳み型携帯電話機1を図1及び図2に示す伸長された状態又は折り畳まれた状態として使用することが可能である。これにより、本発明の折り畳み型携帯電話機1によって、ストレートタイプ(筐体が略直方体状を有する携帯電話機)の形状の携帯電話機を実現することが可能となる。
【0024】
また、図3は、本発明の実施の形態における携帯電話機本体において、上部筐体と下部筐体との重ね合わせ動作を説明するための図であり、図3(a)は折り畳み型携帯電話機を収納状態とした場合の右正面図、図3(b)は折り畳み型携帯電話機の蛇腹状連結部材が伸長された状態の右側面図、図3(c)は折り畳み型携帯電話機をビューア状態とした場合の右正面図である。なお、便宜上、図3(a)に図示されている状態を収納状態と呼び、図3(c)に図示されている状態をビューア状態と呼ぶことにする。
【0025】
図3(b)に示す蛇腹状連結部材4が伸長された状態の折り畳み型携帯電話機1は、図1に図示されている状態と同一であり、上部筐体2の表示部22や下部筐体3の操作部31は、図3の左方向を向いている。この図3(b)に図示されている状態から、上部筐体2を下部筐体3に対して、ヒンジを中心として反時計回り方向(上部筐体2の表示部22を有する面と下部筐体3の操作部31を有する面とが重なり合うような方向)に蛇腹状連結部材4を折り曲げた状態が、図3(a)に図示されている収納状態である。また、この図3(b)に図示されている状態から、上部筐体2を下部筐体3に対して、ヒンジを中心として時計回り方向(上部筐体2の表示部22を有する面と下部筐体3の操作部31を有する面とが重なり合わないような方向)に蛇腹状連結部材4を折り曲げた状態が、図3(c)に図示されているビューア状態である。
【0026】
なお、図3(a)の収納状態では、蛇腹状連結部材4が図3(a)の状態を固定できるように構成されていてもよく、また、上部筐体2の凹部23と下部筐体3の凸部32とが相互に嵌合することによって固定できるように構成されていてもよい。また、図3(c)のビューア状態では、蛇腹状連結部材4が図3(c)の状態を固定できるように構成されていてもよく、また、上部筐体2の凸部24と下部筐体3の凹部33とが相互に嵌合することによって固定できるように構成されていてもよい。
【0027】
図3(a)の収納状態では、上部筐体2の表示部22を有する面と下部筐体3の操作部31を有する面とが重なり合って外部に露出しない状態となる。すなわち、表示部22及び操作部31は、内側に重なり合って隠れた状態となって外部から保護され、ユーザがポケットやカバンに収納する場合などに適した状態となる。
【0028】
また、図3(c)のビューア状態は、図3(a)の収納状態とは逆に、上部筐体2の表示部22を有する面及び下部筐体3の操作部31を有する面が、それぞれ外部に露出された状態となる。このビューア状態の背面図(表示部22が見える側)が図4に図示されている。このように、図3(c)及び図4に図示されているビューア状態は、折り畳み型携帯電話機1がコンパクトな状態になるとともに、表示部22や操作部31が外部に露出されるので、例えば、表示部22に係る機能(静止画や動画などのビューア機能)のみを利用する場合などに適した状態となる。
【0029】
次に、図5を参照しながら、上述の蛇腹状連結部材4が伸長された状態(図1参照)、蛇腹状連結部材4が折り畳まれた状態(図2参照)、上部筐体2と下部筐体3との重ね合わせ状態(図3参照)のそれぞれの状態における内部構造について説明する。図5は、本発明の実施の形態の折り畳み型携帯電話機における断面図であり、図5(a)は蛇腹状連結部材が伸長された状態の断面図、図5(b)は蛇腹状連結部材が折り畳まれた状態の断面図、図5(c)は上部筐体と下部筐体との重ね合わせ状態の断面図である。なお、図5(a)〜図5(c)の各断面図は、図1(c)、図2(b)、図3(a)において、上部筐体2の凹部23及び凸部24、下部筐体3の凸部32及び凹部33のそれぞれの略中心部を通る断面が図示されている。
【0030】
図5に図示されているように、折り畳み型携帯電話機1の上部筐体2は、内部に上部筐体用基板25を有しており、折り畳み型携帯電話機1の下部筐体3は、内部に下部筐体用基板35を有している。なお、上部筐体用基板25や下部筐体用基板35以外にも様々な電子回路や保護部材などが配置されているが、ここでは説明を省略する。また、蛇腹用連結部材4の内部に配置されているフレキシブルプリント配線板45によって、上部筐体用基板25と下部筐体用基板35とが電気的に接続されている。
【0031】
図5(b)に図示されているように、蛇腹状連結部材4が折り畳まれた状態において、フレキシブルプリント配線板45は所定のたわみを有しており、S字状に折り畳まれた状態となっている。なお、このS字状に折り畳まれた状態は、上部筐体用基板25とフレキシブルプリント配線板45との接続箇所Aと、下部筐体用基板35とフレキシブルプリント配線板45との接続箇所Bとが最も接近する状態であると言える。一方、蛇腹状連結部材4が折り畳まれた状態と比較して、図5(a)に示す蛇腹状連結部材4が伸長された状態や、図5(c)に示す上部筐体2と下部筐体3との重ね合わせ状態などでは、所定の方向(蛇腹状連結部材4内の空洞において、上部筐体2と下部筐体3とを結ぶ方向)に対して、より長いフレキシブルプリント配線板45によって接続箇所Aと接続箇所Bとを接続する必要がある。
【0032】
例えば、これらの状態においても、蛇腹状連結部材4が折り畳まれた状態で用いられていたフレキシブルプリント配線板45と同一のフレキシブルプリント配線板45を用いて、上部筐体2と下部筐体3との接続が可能となるように、フレキシブルプリント配線板45には、上述の所定のたわみが設けられている。なお、接続箇所Aと接続箇所Bとの接続において、最も長いフレキシブルプリント配線板45が必要になるのは、図5(a)に示す蛇腹状連結部材4が伸長された状態、又は、図5(c)に示す上部筐体2と下部筐体3との重ね合わせ状態であると考えられ、これらの状態を十分に実現できるだけの所定のたわみを設けることが望ましい。
【0033】
また、本発明の折り畳み型携帯電話機1は、上述の蛇腹状連結部材4が伸長された状態、蛇腹状連結部材4が折り畳まれた状態、上部筐体2と下部筐体3との重ね合わせ状態以外にも、蛇腹状連結部材4の折り畳み方法によって様々な状態となり得る。以下に、本発明の折り畳み型携帯電話機1によって可能となる状態をいくつか例示する。
【0034】
例えば、図3に図示されているように、本発明に係る折り畳み型携帯電話機1は、蛇腹状連結部材4によって、図3(a)の収納状態、図3(b)の蛇腹状連結部材4が伸長された状態、図3(c)のビューア状態となることが可能であるが、図3(a)の状態と図3(b)の状態との間の任意の状態や、図3(b)の状態と図3(c)の状態との間の任意の状態で上部筐体2、下部筐体3、蛇腹用連結部材4を固定することも可能である。
【0035】
例えば、図6には、本発明の実施の形態における折り畳み型携帯電話機の蛇腹状連結部材を、表示部が所定の角度に向くように固定してテーブル上に置いた状態が模式的に図示されている。このように、ユーザは、折り畳み型携帯電話機1をテーブル上に置き、自分の視点に応じて、表示部22(図6には不図示)を閲覧しやすい角度に、蛇腹用連結部材4の折り畳み構造における折り畳み状態を適宜調整することによって、ユーザが最も閲覧しやすい角度を常に実現することが可能となる。なお、蛇腹用連結部材4によって固定された状態で下部筐体3が浮き上がって上部筐体2が後ろに倒れてしまうことを防ぐために、例えば、下部筐体3の重量を上部筐体2よりも重くしたり、所定の転倒防止手段を設けたりすることが望ましい。
【0036】
また、図7は、本発明の実施の形態における折り畳み型携帯電話機をユーザが通話に使用している様子を示す模式図であり、図7(a)は、折り畳み型携帯電話機を通話に適した通常の状態にして通話を行っている様子を示す図であり、図7(b)は、折り畳み型携帯電話機の通話用のマイクロホン部を口に近づけて通話を行っている様子を示す図である。本発明に係る折り畳み型携帯電話機1は、蛇腹状連結部材4によって、上部筐体2が有する面と下部筐体3が有する面の角度を任意の角度に設定可能なように構成されているので、ユーザは、折り畳み型携帯電話機1を、例えば通話時に自分の顔のラインに適した角度となるように設定したり、話の内容(例えば、小声で話すような機密の内容)などに応じて、下部筐体3に設けられている通話用のマイクロホンを口元に近づけたりすることが可能である。
【0037】
また、上述の例では、例えば、側面に対して垂直な方向を有する回動軸を中心とした回動によって、蛇腹状連結部材4を介して上部筐体2と下部筐体3とが相互に配置位置を変更する例について説明したが、正面に対して垂直な方向を有する回動軸を中心とした回動によって、蛇腹状連結部材4を介して上部筐体2と下部筐体3とが相互に配置位置を変更することも可能である。図8は、本発明の実施の形態における折り畳み型携帯電話機において可能な首振り動作の一例を示す図であり、図8(a)は、図1(a)に示す状態から上部筐体を左に傾けた状態を示す図、図8(b)は、図1(a)に示す状態から上部筐体を右に傾けた状態を示す図である。なお、図8(a)や図8(b)に示すように、下部筐体3に対して上部筐体2を傾ける動作(首振り動作)は、フレキシブルプリント配線板45の構造上、ある程度の角度までしか行うことができないが、例えば、上述の接続箇所Aや接続箇所Bを可動構造にするなどの工夫を行うことによって、より大きな角度の傾きを実現することが可能となる。
【0038】
以上、説明したように、本発明の折り畳み型携帯電話機1は、上部筐体2及び下部筐体3は、図示されているように、互いに略同一の平板形状によって構成可能であり、例えば、図1に示す蛇腹状連結部材4が伸長された状態と、図2に示す蛇腹状連結部材4が折り畳まれた状態との間の変化や、図8に示す首振り動作のように、上部筐体2及び下部筐体3のそれぞれの平板形状の作る面が略同一面(例えば、図8の紙面に略平行な面)内に配置された状態を保ったまま、蛇腹状連結部材4の蛇腹形状によって形成される折り畳み構造の任意の箇所が、伸長された状態又は折り畳まれた状態で固定可能なようにすることが可能である。
【0039】
また、以上、説明したように、本発明の折り畳み型携帯電話機1は、蛇腹状連結部材4の折り畳み構造のすべての箇所が伸長された状態、及び、折り畳み構造のすべての箇所が折り畳まれた状態の2つの状態によって形成される伸縮方向(例えば、図1の図面の上下方向)に垂直であり、かつ、上記の略同一面(例えば、図1の図面における紙面)内に含まれる方向を軸方向(例えば、図6の紙面に略垂直な方向)とする回動軸に対して、上部筐体2及び下部筐体3が相対的に回動可能なようにすることが可能である。また、この回動における任意の角度において、固定可能とすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明に係る折り畳み型携帯電話機は、上部筐体と下部筐体とによって構成されている折り畳み型携帯電話機の利便性を向上させるという効果を有しており、上部筐体と下部筐体とにより構成されており、上部筐体と下部筐体とを重ね合わせることによって折り畳むことが可能な折り畳み型携帯電話機に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施の形態における携帯電話機本体において、蛇腹状連結部材が伸長された状態の外観を示す図であり、(a)は折り畳み型携帯電話機の正面図、(b)は折り畳み型携帯電話機本体の背面図、(c)は折り畳み型携帯電話機の右側面図
【図2】本発明の実施の形態における携帯電話機本体において、蛇腹状連結部材が折り畳まれた状態の外観を示す図であり、(a)は折り畳み型携帯電話機の正面図、(b)は折り畳み型携帯電話機の右側面図
【図3】本発明の実施の形態における携帯電話機本体において、上部筐体と下部筐体との重ね合わせ動作を説明するための図であり、(a)は折り畳み型携帯電話機を収納状態とした場合の右正面図、(b)は折り畳み型携帯電話機の蛇腹状連結部材が伸長された状態の右側面図、(c)は折り畳み型携帯電話機をビューア状態とした場合の右正面図
【図4】本発明の実施の形態における携帯電話機本体において、ビューア状態を示す背面図
【図5】本発明の実施の形態の折り畳み型携帯電話機における断面図であり、(a)は蛇腹状連結部材が伸長された状態の断面図、(b)は蛇腹状連結部材が折り畳まれた状態の断面図、(c)は上部筐体と下部筐体との重ね合わせ状態の断面図
【図6】本発明の実施の形態における折り畳み型携帯電話機の蛇腹状連結部材を、表示部が所定の角度に向くように固定してテーブル上に置いた状態の模式図
【図7】本発明の実施の形態における折り畳み型携帯電話機をユーザが通話に使用している様子を示す模式図であり、(a)は、折り畳み型携帯電話機を通話に適した通常の状態にして通話を行っている様子を示す図、(b)は、折り畳み型携帯電話機の通話用のマイクロホン部を口に近づけて通話を行っている様子を示す図
【図8】本発明の実施の形態における折り畳み型携帯電話機において可能な首振り動作の一例を示す図であり、(a)は、図1(a)に示す状態から上部筐体を左に傾けた状態を示す図、(b)は、図1(a)に示す状態から上部筐体を右に傾けた状態を示す図
【符号の説明】
【0042】
1 折り畳み型携帯電話機
2 上部筐体
3 下部筐体
4 蛇腹状連結部材
21a、21b レシーバ部
22 表示部
23、33 凹部
24、32 凸部
25 上部筐体用基板
31 操作部
35 下部筐体用基板
45 フレキシブルプリント配線板
A 上部筐体用基板とフレキシブルプリント配線板との接続箇所
B 下部筐体用基板とフレキシブルプリント配線板との接続箇所

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部筐体と下部筐体とにより構成されており、前記上部筐体と前記下部筐体とがフレキシブルプリント配線板によって電気的に接続されている折り畳み型携帯電話機であって、
前記フレキシブルプリント配線板を保護するとともに、前記上部筐体及び前記下部筐体の両方に連結されている蛇腹形状の蛇腹状連結部材を有する折り畳み型携帯電話機。
【請求項2】
前記蛇腹状連結部材が前記蛇腹形状によって形成される折り畳み構造の任意の箇所が、伸長された状態又は折り畳まれた状態で固定可能なように構成されている請求項1に記載の折り畳み型携帯電話機。
【請求項3】
前記上部筐体及び前記下部筐体が略同一の平板形状により構成されており、前記上部筐体及び前記下部筐体のそれぞれの前記平板形状が作る面が略同一面内に配置可能であるとともに、前記上部筐体及び前記下部筐体のそれぞれの前記平板形状の作る面が略同一面内に配置された状態を保ったまま、前記蛇腹状連結部材の前記蛇腹形状によって形成される折り畳み構造の任意の箇所が、伸長された状態又は折り畳まれた状態で固定可能なように構成されている請求項2に記載の折り畳み型携帯電話機。
【請求項4】
前記蛇腹状連結部材が、前記蛇腹形状によって形成される折り畳み構造のすべての箇所が伸長された状態、及び、前記折り畳み構造の前記すべての箇所が折り畳まれた状態の両方において固定可能なように構成されている請求項2に記載の折り畳み型携帯電話機。
【請求項5】
前記折り畳み構造のすべての箇所が伸長された状態、及び、前記折り畳み構造の前記すべての箇所が折り畳まれた状態の2つの状態によって形成される伸縮方向に垂直であり、かつ、前記略同一面内に含まれる方向を軸方向とする回動軸に対して、前記上部筐体及び前記下部筐体が相対的に回動可能なように構成されている請求項2に記載の折り畳み型携帯電話機。
【請求項6】
前記蛇腹形状によって形成される折り畳み構造のすべての箇所が伸長された状態を、前記上部筐体と前記下部筐体とが前記回動軸に対して180°の角度を形成しているとした場合、前記上部筐体と前記下部筐体とが重なり合った前記回動軸に対して略0°又は略360°の角度を形成することが可能なように構成されている請求項5に記載の折り畳み型携帯電話機。
【請求項7】
上部筐体及び下部筐体のそれぞれが嵌合部材を有しており、前記上部筐体と前記下部筐体とが重なり合って、前記回動軸に対して略0°又は略360°の角度が形成された重ね合わせ状態で、前記上部筐体及び前記下部筐体のそれぞれに配置された前記嵌合部材が嵌合して前記重ね合わせ状態が固定されるように構成されている請求項6に記載の折り畳み型携帯電話機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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