説明

折り畳み椅子

【課題】容易に設置することができ、且つ椅子としての用途以外にも他の用途を併せ持つ折り畳み椅子を提供する。
【解決手段】土間等に設置されるベース3と、ベース3に設けられ上方に立ち上がった支持部5と、座板33と、ベース3に設けられた傘立て部41とを備える。支持部5には高さの異なる手摺り部13、15が設けられている。座板33は支持部5に対して回動自在に支持されており、椅子として使用しない場合には座板33が垂直に押し上げられてマグネット式固定具19と鉄片37との吸着により安定的に収納姿勢で固定されるので邪魔にならない。折り畳み椅子1は椅子として使用できるだけでなく、傘立てとしてや手摺りとしても使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り畳み椅子に関し、特に、玄関等の土間に置いて利用することができる折り畳み椅子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
履物を履いたり脱いだりする場合には腰掛けて行うのが楽であり、特に足腰が弱っている人は椅子に腰掛けて履物を履いたり脱いだりするのが楽である。そこで、特許文献1に記載された壁収納式折り畳み椅子が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−125057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の壁収納式折り畳み椅子は、玄関の壁に格納凹部を設けて設置する必要があるため、壁収納式折り畳み椅子を設置する場合には壁を削る工事を行わなければならない。また、特許文献1の壁収納式折り畳み椅子は、設置するのに適当な壁が無い場合には設置できない。そのため、容易に設置することはできない。
しかも、特許文献1の壁収納式折り畳み椅子は、椅子としての用途しか有しておらず、わざわざ工事をして設置する割には使用頻度が低かった。
【0005】
本発明は、上記従来の問題点に着目して為されたものであり、容易に設置することができ、且つ椅子としての用途以外にも他の用途を併せ持つ折り畳み椅子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、請求項1の発明は、土間等に設置されるベースと、前記ベースに設けられ上方に立ち上がった支持部と、座板と、前記座板を前記支持部に対して略水平となる収納姿勢と略垂直となる引出し姿勢とに動作可能に支持する座板支持手段と、前記座板支持手段によって支持された座板を収納姿勢と引出し姿勢とにおいて固定する座板固定手段と、前記ベースに設けられた傘立て部とを備えることを特徴とする折り畳み椅子である。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載した折り畳み椅子において、支持部はベースから上方に立ち上がる一対の垂直部と前記一対の垂直部の上端を繋ぐ水平連結部を有する略左右対称のフレーム体で構成されていることを特徴とする折り畳み椅子である。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載した折り畳み椅子において、支持部の垂直部を挟んで座板の引き出し側とは反対側に傘立て部が備えられていることを特徴とする折り畳み椅子である。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれかに記載した折り畳み椅子において、傘立て部は傘が上方から差し込まれる円筒管と、前記円筒管の下方に設けられ差し込まれた傘の石突を受け止める容器状の受け部とを有しており、前記円筒管には下方に向かって徐々に内径寸法が小さくなる縮径部分が設けられていることを特徴とする折り畳み椅子。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1から4のいずれかに記載した折り畳み椅子において、支持部が手摺り部を備えていることを特徴とする折り畳み椅子である。
【0011】
請求項6の発明は、請求項5に記載した折り畳み椅子において、高さの異なる手摺り部が複数設けられていることを特徴とする折り畳み椅子。
【発明の効果】
【0012】
本発明の折り畳み椅子によれば、容易に設置することができ、しかも椅子以外の用途も有する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る折り畳み椅子の斜視図である。
【図2】図1の折り畳み椅子を反対から見た斜視図である。
【図3】図1の折り畳み椅子の収納姿勢と引出し姿勢との間の状態の断面図である。
【図4】図1の折り畳み椅子において座板の収納姿勢のときの折り畳み椅子の側面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る折り畳み椅子の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の第1の実施の形態に係る折り畳み椅子1を図1から図4にしたがって説明する。
符号3はベースを示し、このベース3は平板状に形成されている。ベース3は土間等に設置される。
ベース3には支持部5が取付けられている。この支持部5はベース3から上方に立ち上がっている。支持部5は鉄製パイプ材でフレーム状に構成されており、図1の右前側から見て略左右対称になっている。
【0015】
支持部5はベース3から上方に立ち上がる一対の垂直部7と、この一対の垂直部7の上端を繋ぐ水平連結部9を有する。
各垂直部7は途中部分で横向きU字状に屈曲された屈曲部分11が形成されている。各屈曲部分11は後述する座板33の引き出し方向側に張り出している。各屈曲部分11のうち上下に形成された水平部がそれぞれ手摺り部13、15を構成している。すなわち、支持部5には高さの異なる手摺り部13、15が設けられていることになる。
【0016】
符合17は水平線材を示し、この水平線材17は支持部5を構成する一対の垂直部7間に横架されている。水平線材17は水平連結部9の下側に平行に配置されている。
水平線材17の略中央部にはマグネット式固定具19が取り付けられており、このマグネット式固定具19のマグネットは後述する座板33の引き出し方向側を向いている。
【0017】
符号21は横長の取付部材を示し、この取付部材21の両端が一対の垂直部7、7にそれぞれ連結されて固定されている。取付部材21は、屈曲部分11の下側に配置されている。
【0018】
図2の符号27、27は一対の座板取付アームを示し、各座板取付アーム27の一端部は互いに間隔をおいて、取付部材21に対して固定された支持軸22に軸支されており、支持部5に対して回動自在になっている。符号29、29は一対の脚体を示し、各脚体29の一端部は各座板取付アーム27の他端部にピン23を介して回動自在に連結されている。また、一対の脚体29、29は2本の連結棒30を介して互いに平行になるよう連結されて一体になっている。各脚体29の他端部にはネジによって出入りするアジャスター31が取り付けられている。
【0019】
符号33は平板状の座板を示し、この座板33の裏面に一対の座板取付アーム27が取り付けられている。前述したように、各座板取付アーム27は支持部5に対して回動自在に支持されているため、座板33は支持部5に対して略水平となる収納姿勢と略垂直となる引出し姿勢とに動作可能に支持されている。
取付部材21、支持軸22及び座板取付アーム27によって座板支持手段が構成されている。
【0020】
図3に示す符号34は1本の離間アームを示し、離間アーム34は一対の座板取付アーム27、27の下方に側方視平行になるように設けられている。離間アーム34の一端側に固定された取付軸24は取付部材21に固定された油圧ダンパー25の図示しない嵌合部に嵌め込まれて連結される。離間アーム34の他端側にはシャフト26が貫通され固定されており、このシャフト26が一対の脚体29、29に回転自在に通されている。従って、離間アーム34は、座板取付アーム27、27と平行リンク機構を構成している。
一対の脚体29、29と、離間アーム34等とによって、座板33を引出し姿勢に固定する座板固定手段が構成されている。
【0021】
一対の脚体29、29の前面には平板状の前板35が取り付けられており、この前板35の背面の上端部には鉄片37が取り付けられている。鉄片37はマグネット式固定具19と座板33の収納時に対応する位置に設けられている。
上記した鉄片37と支持部5に取付けられたマグネット式固定具19によって座板33を収納姿勢に固定する座板固定手段が構成されている。
【0022】
符号41は傘立て部を示し、この傘立て部41はベース3に設けられている。傘立て部41は支持部5の垂直部7を挟んで座板33の引出し側とは反対側に備えられている(図2参照)。傘立て部41は5つの円筒管43と、5つの受け部45とを有している。5つの円筒管43は取付部材21の背面に左右方向に横一列に並ぶように取り付けられている。各円筒管43は内径寸法が同じ同径部分46の下側に下方に向かって徐々に内径寸法が小さくなる縮径部分47が連設されている。ベース3上に5つの受け部45が横一列に並ぶように固定されている。円筒管43と受け部45は上下に一対一対応になるように配置されている。
【0023】
次に座板33の収納姿勢と引出し姿勢との間の動作について図3にしたがって説明する。
引出し姿勢から収納姿勢に変わるときは以下のように動作する。
すなわち、前板35を持ち上げながら後方向(図3では右方)に押すと、座板33は時計回りに回動し、これと同時に座板取付アーム27と平行を保ったまま離間アーム34が回動する。そして、鉄片37がマグネット式固定具19に接触して、マグネット式固定具19と鉄片37は吸着した状態となり、座板33は安定した収納姿勢となる。図4に示す折り畳み椅子1は座板33が収納姿勢となっており、マグネット式固定具19と鉄片37は吸着した状態となっている。
収納姿勢から引出し姿勢に変わるときには以下のように動作する。すなわち、前板35を前方向(図3では左方)に引き、マグネット式固定具19と鉄片37の吸着を外す。更に前板35を前方向に引きながら下ろすと、座板33は反時計回りに回動し、これと同時に座板取付アーム27と平行を保ったまま離間アーム34が回動する。そして、アジャスター31が床に着き、座板33は安定した引出し姿勢となる。図1に示す折り畳み椅子1は引出し姿勢となる。
【0024】
次に折り畳み椅子1の使用方法について説明する。
図1に示すように折り畳み椅子1を玄関の土間Dに置いて設置する。
折り畳み椅子1を椅子として使用する場合は、座板33を引出し姿勢にする。この座板33に腰を掛けることで履物を履いたり脱いだりするのが非常に楽に行うことができる。そして、手摺り部13、15のうち適当な高さのものを掴めば、楽に立ち上がることができる。
椅子として使用しない場合には、図4に示すように座板33を立たせて収納姿勢にしておく。このようにすれば、折り畳み椅子1は全体としてとてもコンパクトな状態となり邪魔にならない。しかも、座板33を収納姿勢にしておいても、手摺り部13、15は何ら問題なく使用できる。従って、上がり口Aで座って靴を履いた後手摺り部13、15を掴んで楽に立ち上がることができる。
【0025】
また折り畳み椅子1は傘立て部41を有しているため、傘立てとして使用することができる。傘立てとして使用する場合は、傘Kを円筒管43に上方から差し込んで石突を受け部45に当てる。これにより傘Kは傘立て部41に立った状態で保持される。なお、傘Kに水が付着していても、傘Kが円筒管43の縮径部分47に通過する際に下方に押出されて落下する。落下した水は受け部45に溜まる。
【0026】
本発明の第2の実施の形態に係る折り畳み椅子51を図5にしたがって説明する。
第1の実施の形態に係る折り畳み椅子1と同じ構成部分は同じ符号を付すことで説明を省略する。
この折り畳み椅子51の支持部53は木製になっており、支持部53はベース3から上方に立ち上がる板状の一対の垂直部55、55と、この一対の垂直部55、55の上部側を繋ぐ板状の水平連結部57と丸棒状の水平連結部59とでフレーム状に構成されている。
【0027】
支持部53の形状は支持部5と異なるので、取付部材61の形状も取付部材21と異なっているが、取付部材61の両端が一対の垂直部55、55にそれぞれ連結されて固定されている点は取付部材21と同じであり、折り畳み椅子1の座板支持手段を構成する支持軸22等その他の部材によって、この折り畳み椅子51の座板33も支持部53に対して支持されている。
【0028】
折り畳み椅子51を椅子として使用しない場合には、座板33を立たせて収納姿勢にしておく。そして、支持部53に取り付けられているマグネット式固定具19に前板35の背面に取付けられた鉄片を吸着させることで座板33を固定する。
この折り畳み椅子51の支持部53には手摺りは設けられておらず、その分だけ座板33を収納姿勢にしたときによりコンパクトな状態となる。また、支持部53が木製なので鉄製に比べて安価に製造できる。
【0029】
以上、本発明の実施の形態について詳述してきたが、具体的構成は、この実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計の変更などがあっても発明に含まれる。
例えば、上記第1の実施の形態では、手摺り部を左右対称に設けたが、非対称にしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の折り畳み椅子は、椅子として用いることができるだけでなく、更に傘立てや手摺りとして用いることもできる。
【符号の説明】
【0031】
1 … 折り畳み椅子(第1の実施の形態)
3 … ベース 5 … 支持部
7 … 垂直部 9 … 水平連結部
11 … 屈曲部分 13、15 … 手摺り部
17 … 水平線材 19 … マグネット式固定具
21 … 取付部材 22 … 支持軸
27 … 座板取付アーム 29 … 脚体
31 … アジャスター 33 … 座板
34 … 離間アーム 35 … 前板
37 … 鉄片 41 … 傘立て部
43 … 円筒管 45 … 受け部
46 … 同径部分 47 … 縮径部分
51 … 折り畳み椅子(第2の実施の形態)
53 … 支持部 55 … 垂直部
57、59 … 水平連結部 61 … 取付部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
土間等に設置されるベースと、前記ベースに設けられ上方に立ち上がった支持部と、座板と、前記座板を前記支持部に対して略水平となる収納姿勢と略垂直となる引出し姿勢とに動作可能に支持する座板支持手段と、前記座板支持手段によって支持された座板を収納姿勢と引出し姿勢とにおいて固定する座板固定手段と、前記ベースに設けられた傘立て部とを備えることを特徴とする折り畳み椅子。
【請求項2】
請求項1に記載した折り畳み椅子において、支持部はベースから上方に立ち上がる一対の垂直部と前記一対の垂直部の上端を繋ぐ水平連結部を有する略左右対称のフレーム体で構成されていることを特徴とする折り畳み椅子。
【請求項3】
請求項1または2に記載した折り畳み椅子において、支持部の垂直部を挟んで座板の引き出し側とは反対側に傘立て部が備えられていることを特徴とする折り畳み椅子。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載した折り畳み椅子において、傘立て部は傘が上方から差し込まれる円筒管と、前記円筒管の下方に設けられ差し込まれた傘の石突を受け止める容器状の受け部とを有しており、前記円筒管には下方に向かって徐々に内径寸法が小さくなる縮径部分が設けられていることを特徴とする折り畳み椅子。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載した折り畳み椅子において、支持部が手摺り部を備えていることを特徴とする折り畳み椅子。
【請求項6】
請求項5に記載した折り畳み椅子において、高さの異なる手摺り部が複数設けられていることを特徴とする折り畳み椅子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−167116(P2010−167116A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−12779(P2009−12779)
【出願日】平成21年1月23日(2009.1.23)
【出願人】(000137373)株式会社マッキンリー (25)
【Fターム(参考)】