説明

折曲げ開封用包装容器

【課題】先行技術が必須の技術構造としている破断用ハーフカットラインの形成と、そのために必要な精密加工技術の活用と、そのための加工工程とを全く使用することなく、先行技術の容器が有しているのと同等の、使用の容易性を備えた折曲げ開封容器を生産効率よく得ることができる容器を得ること。
【解決手段】硬質樹脂製の略平板状の蓋体1と、その片面に固着された包装品収容室20を備えた容器本体2と、折曲げ操作によって開封口が形成される包装容器であって、容器本体2が、柔軟性を有するシートで膨出成形された包装品収容室20を備え、前記蓋体1が、所定厚に形成されたPET・PS・PLA・PPの何れかの樹脂シートを一方向延伸加工したシート素材10で形成され、該シート素材の延伸方向を、蓋体1の折曲げ開封部11に沿わせて配置形成したもの。容器本体の形成シートも蓋体と同じ樹脂で形成したもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状やゼリー状物質、粉体・粒体物質等を含む流動可能な性質を備えた物質を対象として容器内に収容し、容器を折り曲げることによって、容器に開口が形成され、同時に、開口から内容物が押し出されるようにした小形の容器に関するものである。
【0002】
より詳しくは、例えばバター、マーガリン、マヨネーズ、ドレッシング、ケチャップ、ジャム、マーマレード、マスタード、蜂蜜、液状・練り状または粉状コショウやわさび、醤油、味噌その他の食品類、シャンプー、リンス、液状・粉末状の石鹸等の風呂用品類、乳液、粘液状・液状化粧水、スキンローション、ハンドローション、クレンジングクリーム、日焼け止めクリーム等の化粧関連用品類、その他の少量使用物質を、単体で、または2種類若しくは3種類、4種類等の同時使用可能な物質を、用途に応じて適宜組み合わせて一度に使い切るのに必要な適量を包装して、ワンタッチ使用ができるようにした小形の容器に関するものである。
【背景技術】
【0003】
このような少量の物質を、容器を指で摘んで折り曲げることによって、容器に開口部を形成するとともに、その開口部から収容してある内容物をワンタッチで簡単に抽出できるようにした小形の折曲げ開封用の容器は、既に一般に周知されている。殊に、トーストに塗るためのジャムとバターを個々に区画した2つの収容室に個別に収容させて、使用時にこれらの内容物を開口部から同時に押し出して使用するようにした容器は既に周知されている。
【0004】
このような構造とした内容物のワンタッチ抽出容器は、次に示す特許文献1,2及び非特許文献1に見られる通り公知になっている。これらの文献に記載の技術は、何れも昭和60年から62年に出願された技術であって、何れも、その後特許または実用新案登録されていたが、現在では期間満了によって既に権利消滅している。
【0005】
而して、これらの先行文献=特許文献1,2及び非特許文献1=に記載の包装体は、何れのものも、比較的硬いフラットな第1シートと、流動性物質を入れる密閉小袋をもった可撓性の第2シートとからなり、何れのものも、第1シートに、該シートを破断するための手段として、肉厚の2分の1程度の深さにまで切り込んだ破断用のハーフカットラインを形成してあるものとし、この破断ラインを跨いだ状態で、平面視菱形状とした内容物押出し用開口部を形成するための隆起を形成してある構造としたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭61−104973号公報
【特許文献2】特開昭63−162460号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】実公平3−1419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、これらの先行公知技術を含めて、その後に特許等の出願がされ、公開されているこの種容器を見ると、何れのものも、前記特許文献等の技術に倣って、硬質の略フラットな第1シートに、シート厚の半分程度にまで達する破断用のハーフカットラインを形成する構造としたものが大半を占めている。このハーフカット切り込みを入れるためには、相当に高い精密加工技術を必要とし、そのための加工工程を必要とする構造となっている。さらに、前記菱形突起状の隆起部にも連続した破断用のハーフカットラインを必要とするものであるため、さらなる高度な精密加工技術を必要とする構造となっている。
【0009】
このように、先行技術の大半は、高度な精密加工技術とそのために必要な加工工程とを必要とする容器の構造となっているため、容器製造コストの低減化に課題を有するものであることに注目した。
【0010】
そこで本発明は、これらの先行技術が必須の構造としている破断用ハーフカットラインの形成を根本的に不用なものとすることによって、そのために必要な精密加工技術と、このハーフカットライン形成のための加工工程とを全く排除し、それでいて、このハーフカットラインを形成した容器と同等の、所定箇所での直線的な折曲げ操作が確実にでき、この折曲げ操作によって容器の開封(容器開封部の開口)を確実に行うことができる構造とした折曲げ開封用包装容器をここに提供しようとするものである。
【0011】
より具体的には、本発明は、折曲げ開封用包装容器を構成する構成体の一つである硬質平板状の蓋体を、PET樹脂・PS樹脂・PLA樹脂・PP樹脂の何れかによって形成することを要件とするものである。これらのうち、PET樹脂は、耐熱性に優れ(熱変形温度240℃)、耐寒性にも優れ(−60℃)、透明性がよく、耐薬品性・耐油性・耐溶剤性にも優れ、ガスバリア性にも優れていて、廃棄材を燃やしても有害ガスを出さないという大いなる特徴を備えており、短所としては、単体では脆いという性質を備えている。また、PS樹脂・PLA樹脂・PP樹脂にあっても、耐薬品性を備え廃棄しても有害性がないので不都合を生じることがないという利点を有している。
【0012】
本発明は、これらのことに着目して、殊に、これらの樹脂が、短所として、単体では脆いという性質を共通して有していることに着目し、種々の試作品を形成した結果、これらの素材で樹脂シートを押し出し形成して、その長手方向か幅方向かの一方向のみに延伸加工を施すと、延伸した方向に沿って割れ易いという課題を有していることを知見した。そこで、本発明は、この性質を積極的に利用し、有利に活用することを模索し、その結果、全く新規な構造である本発明の容器を開発するに至ったのである。
【0013】
本願発明は、この知見した性質を備えた前記特定樹脂がもつ欠陥を積極的に有利に利用することによって、先行技術の何れもが必須の技術構造としている破断用ハーフカットラインの形成と、それに付随する前記の課題とを全く排斥して、先行技術の容器が有しているのと同等の使用の容易性と確実性とを備えた折曲げ開封容器の形成と、先行技術では困難であったコストダウンを図ることが可能な構造とした容器を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的を達成するために講じた本発明にいう折曲げ開封用包装容器の第1の構成は、硬質樹脂製の略平板状の蓋体1と、その片面に固着された包装品収容室20を備えた容器本体2とからなり、折曲げ操作によって開封口が形成される包装容器であって、該容器本体2が柔軟質シートで膨出加工された包装品収容室20を備え、同収容室20の周縁部21が蓋体1と固着され、前記蓋体1が、所定厚に形成されたPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂、PS(ポリスチロール)樹脂、PLA(ポリ乳酸)樹脂、PP(ポリプロピレン)樹脂の何れかのシートを一方向延伸加工したシート素材10であって、該シート素材10の延伸方向を、蓋体1の折曲げ開封部11に沿わせて形成してある構成としたものである。
【0015】
請求項2に記載の第2の構成は、硬質樹脂製の略平板状の蓋体1と、その片面に固着された包装品収容室20を備えた容器本体2とからなり、折曲げ操作によって開封口が形成される包装容器であって、該容器本体2が柔軟質シートで膨出加工された包装品収容室20を備え、同収容室20の周縁部21が蓋体1と固着され、前記蓋体1が、所定厚に形成されたPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂、PS(ポリスチロール)樹脂、PLA(ポリ乳酸)樹脂、PP(ポリプロピレン)樹脂の何れかのシートを一方向延伸加工したシート素材10であって、該シート素材10の延伸方向を、蓋体1の折曲げ開封部11に沿わせて形成し、前記容器本体2の形成樹脂と前記蓋体1の形成樹脂とを、同じ樹脂素材で形成してある構成としたものである。
【0016】
また、請求項3に記載の構成は、請求項1または2に記載の折曲げ開封用包装容器に従属する構成であって、蓋体1の折曲げ開封部11を除き、該折曲げ開封部11を通る容器の幅w方向における側縁部分a,bの片側または両側に、蓋体1の折曲げ箇所を位置決めする切り込み12または打ち抜き穴13を形成してある構成としたものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明にいうところの折曲げ開封用包装容器は、該容器の構成体である硬質樹脂製の略平板状の蓋体を形成する素材として、例えばPET樹脂シートを一方向延伸加工したシート素材であって、その延伸方向を蓋体の折曲げ開封部に沿わせて配置形成してあるものとしたので、蓋体が折曲げ外力の付与によって延伸方向に沿って破断され易いため、開封部を形成するための破断用ハーフカットラインを形成する必要がない。そのため、破断用ハーフカットラインを備えた容器の場合と同様に、蓋体を指先で二つ折り状に折り曲げるだけの操作で確実に開封部を開口させることができ、この操作に続いて容器を折曲げ方向に圧縮するという連続したワンタッチ操作で、開口部から内容物を押し出して使用することができるという効果を有する。しかも、このような内容物のワンタッチ抽出容器を低コストで量産できるという効果をも有する。
【0018】
同時に、本発明にいうところの蓋体は、耐熱性・耐寒性に優れ、耐薬品性等にも優れ、かつ透明性に優れ、ガスバリア性にも優れ容器から内容物に有害物質を浸出させるおそれがなく、内容物の種類や状態の確認を外部から視認できるので、容器内収容物を安心して購入し使用することができるという効果を有する。他方、廃棄して燃焼しても有害物質を排出することがないので、可燃ゴミとして廃棄できるという効果をも有する。
【0019】
また、請求項2に記載の容器にあっては、容器本体の形成樹脂と蓋体の形成樹脂とを同じ樹脂素材で形成してあるので、これらの容器本体と蓋体との融着を、例えばポリエチレンのような低溶融薄膜やホットメルトのような接着膜を介することなく、高周波や電磁波等の取り扱い容易な加工手段によって直接かつ確実に熱接着できるので、生産性をより一層向上させることができるという効果を有する。また、全体が同一種類の素材で形成されているため、廃棄処分に際して分別廃棄し易いという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の容器の蓋体側を示す縦断面図。
【図2】同容器の平面図。
【図3】同容器の正面図。
【図4】図2に示したA−A線断面図。
【図5】素材シートと蓋体の成形状態を示す斜視図。
【図6】他の素材シートと蓋体の成形状態を示す斜視図。
【図7】容器の使用状態を示す正面図。
【図8】第2実施例の容器の図2相当の平面図。
【図9】第3実施例の容器の図2相当の平面図。
【図10】第4実施例の容器の図2相当の平面図。
【図11】第5実施例の容器の図2相当の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施に当たっては、蓋体の形成素材を、前記のようにPET樹脂・PS樹脂・PLA樹脂・PP樹脂の何れかの樹脂で形成したシートを選択して使用するものであり、これらのシートは、樹脂押出機から押し出した直後に、押出し方向と平行な方向もしくは押出し方向と直交する方向かに延伸加工を施したシートを使用するか、押出機から押し出されたシートを一旦ドラム巻きしたものを、使用時に巻き戻して、加熱しながら延伸加工を施したシートを使用するかは適宜に行えばよく、何れの場合であっても採用できる。
【0022】
また、ここにいう蓋体は、薄手のシートを採用して補強リブのような加工を施し、リブの形成方向に曲げ強度を増加させたものとして実施することができ、このような補強手段を全く施さない平坦な形状のものとしても実施することができる。
【実施例】
【0023】
以下本発明の実施例を図1〜7に基づいて説明する。該実施例に示した折曲げ開封用の包装容器Cは、一般に周知のPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂で形成したシート材を、図5または図6に示したように、一方向のみに延伸加工を施したシート10として使用する。図5に示したシート10は、矢印Lで示したように、シート10の長手方向のみに延伸させたシートであり、図6に示したシート10は、矢印Wで示したように、シート10を幅方向のみに延伸加工を施したシートをそれぞれ示してある。ここに記載の延伸加工前のシート自体は、折曲げ外力に対して反発復元力を有する硬度を備えたものを採用する。また、ここにいう延伸加工とは、加工前のシートの2倍〜3倍程度延伸させたものを指す。この数値は実験によって得た好ましい数値であるが、権利の範囲を示す限界値ではない。延伸加工後のシート10の厚さは、例えば0.5〜1.2mm程度の厚さのものが使用に適している。
【0024】
而して、容器の蓋体がリブ付きの場合、このシート10を、図外の加圧加熱成形金型間に送り込んで、加熱しながら蓋体1のリブrを形成する。図5に示したように、シートの長手方向(L方向)に延伸加工を施したシート10の場合には、蓋体1の幅w方向が、シートの延伸方向に沿うように形成してある金型間に送り込んで、換言すると、シート10の幅方向と直交するように形成してある金型間に送り込んで、多数の蓋体1…のリブrを成形する。また、このリブ成形と同時に、あるいは後加工によって、多数の蓋体1を打ち抜いて個体に形成する。
【0025】
図6に示したように、シートの幅方向(W方向)に延伸加工を施したシート10の場合には、蓋体1の幅w方向が、シート10の幅方向に沿うように形成した金型間に送り込んで、多数の蓋体1のリブrを成形し、このリブ成形と同時に、あるいは後加工によって、多数の蓋体1を打ち抜いて個体に形成する。
【0026】
このようにして形成した容器の蓋体1は、図1,2に示したように、平面視横長の長方形状で、幅w方向の中央部分に長いリブr1と、その幅方向の両側に長さの短いリブr,rとの3本の補強リブrを蓋体1の幅方向に沿わせて形成した略平板状の板体である。また、該実施例の蓋体1には、長手方向中間部の幅方向両側縁部分a,bに平面視三角形の切り込み12,12を形成してある。
【0027】
容器本体2は、極めて薄いフィルム状として柔軟状態に形成したPET樹脂製のシート素材で、図3,4に見られるように、包装品収容室20を膨出加工したものである。この収容室20に必要な内容物を入れて、その全外周縁部21と、幅方向の中間部に形成した前記長いリブr1の中央部に近接する箇所まで延長させた区画シール部c,dとで、蓋体1の背面側に融着させて密閉させてある。この両体1,2の融着部分を図1,2においてクロスラインで示してある。
【0028】
このような構造とした容器Cは、蓋体1の幅w方向を素材シート10の延伸方向に沿うように形成してあるので、使用時即ち内容物の取り出し時には、長手方向の両端部を指先で摘み、外面が突き出る方向に「く」の字形に折り曲げると、前記三角形切り込み12,12によって位置付けられた容器の長手方向中間部分がパチンと折れて、容器本体2が融着されていない部分で、前記リブr1の長さ方向中間部分に予定された開封部11が破断されて開口する。図7に矢印で示したように、この状態で容器をさらに折曲げ方向に連続して圧縮するワンタッチ操作によって、開口部Oから内容物を押し出して使用することができるようになっている。この内容物取り出しのための操作は、従来品と同じである。
【0029】
而して、該実施例に示した容器Cは、容器本体2に膨出形成した包装品収容室20が、図3に示したように、右側室と左側室とが容器中間部分の連通路22で連通されていて、実質的に一つのポケットになっている構造のものとして示した。したがって、この容器にあっては、食品の場合、例えばバターやドレッシングのような一種類の商品を収容しておくのに便利に使用することができる。しかしながら、この容器にあっても、左右のそれぞれの室20,20に別の商品、例えばバターとジャムやマスタードとケチャップのような商品を個別に収容させたものとして使用することもできる。
【0030】
図8〜11はそれぞれを別構造とした実施例を示したものである。図8に示した第2実施例の容器Cは、容器本体2の図における左右部に鎖線で示した包装品収容室20,20が膨出形成されている容器であって、容器の幅方向に連続する区画シール部eで区画してそれぞれを独立室とした2つの室を備えたものとしてある。この容器Cの蓋体1は、対角線対称形に形成してあり、容器長手方向の中間部を越える長さに形成した長尺リブr2と4本のリブrとを平行に形成した5本のリブを、前記2つの包装品収容室20,20に対応して形成してある。このようにして、使用時に、長尺リブr2,r2が容器の長手方向中間部に形成してある折曲げ開封部11,11が破断されて開口部が形成されるようになっている。なお、この容器の蓋体1には、長手方向中間部の幅方向両側縁部分a,bに平面視U字形の切り込み12,12を形成してあり、これらの切り込み12,12によって開口部が位置決めされるようになっている。
【0031】
図9に示した第3実施例の容器Cは、図における左右部分に鎖線で示した包装品収容室20,20が膨出形成され、これらの包装品収容室20,20の位置に対応する蓋体1の対応部分に左右方向の幅が小さく中央側部分の幅が大きいすりこぎ形のリブr3,r3を対角線対称形に形成したものである。また、この容器の蓋体1には、長手方向中間部の幅方向両側縁部分a,b方向で、これらのリブr3,r3の外側箇所に、細幅の小さい打ち抜き穴13,13を貫通形成してある。この打ち抜き穴13,13も、他の部分に比して折曲げ抵抗を小さくする作用を果たさせ、これらの打ち抜き穴13,13によって使用時における折曲げ開封部11,11の形成箇所を確定させるようにしたものである。
【0032】
図10に示した第4実施例の容器Cは、図における右側に鎖線で示した包装品収容室20aが形成され、同左側は、同図の上下方向に2分割された2つの包装品収容室20b,20bが形成されている容器としたものである。この容器Cの蓋体1には、図右側の上下方向中間部に容器長手方向の中間部を越える長さに形成した長尺リブr4と短尺の6本のリブrとが平行に形成され、左側に形成されている2つの包装品収容室20b,20bに対応する箇所には、容器長手方向の中間部を越える長さに形成した長尺リブr41,r41とこれらの上下に短尺のリブrが1本宛平行に形成されている構造としたものである。同図の符号12は、容器の幅方向の両端に形成した平面視U字形の切り込みである。
【0033】
図11に示した第5実施例の容器Cは、前記図10に示した第4実施例の容器Cにおける左側に形成された同大の2つの包装品収容室20b,20bに代えて、両室の大きさが不均等で、図11における上側の収容室20cの面積を大きく、下側の収容室20dの面積を小さく形成してある構造とした容器である。その他の点の説明は、他の実施例の説明に準ずる。
【0034】
本発明にいう容器は、図示は省略したが、必要であれば4室、5室等の多数の包装品収容室20を備えた容器として実施することができるものである。また、以上の各実施例に示した容器は、容器の長手方向の中間部分に開封部11を形成してあるものとして説明したが、この開封部11は、必ずしも容器の中間部分に形成されている必要はなく、中間部から左右に位置をずらした構造のものとしたり、また同様に、長手方向に沿って形成されている必要はなく、短尺方向に沿って形成されている形状のものとして実施することもできる。さらに、容器の平面視形状は、長方形のもののみに限らず、正方形や三角形・台形・菱形等のものとしてもよく、さらには、平面視蝶形や眼鏡形のように中央部分を小面積となるような形状としても実施可能なものである。
【0035】
なお、本発明にいう容器は、前記各実施例に示したもののように単体品である必要はなく、2連のものや3連のものとして、必要個数分を続けて一度に使用することができるものとしてもよい。
【0036】
また、前記各種の樹脂中、例えばPP樹脂のように防湿能力には優れているものの酸素透過度等のバリア性能がさほどよくない樹脂の場合は、バリア性能を高めるためにコーティングやラミネートを施したフィルムを使用するのが好ましい。
【0037】
以上本発明の代表的と思われる実施例について説明したが、本発明は必ずしもこれらの実施例に示したもののみに限定されるものではなく、本発明にいう前記の目的を達成し、前記の構成要件を備え、さらに、前記の効果を有する範囲内において適宜改変して実施することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明にいう容器は、薄い蓋体に開封部を形成するために厚さ方向に破断用のハーフカットラインを形成する必要がないので、また、そのための加工工程も必要としないため、均質な製品を安価に量産化できる利点があり、大いに普及するものと考えられる。
【符号の説明】
【0039】
1 蓋体
10 シート素材
11 折曲げ開封部
12 切り込み
13 打ち抜き穴
2 容器本体
20 包装品収容室
21 周縁部
a 側縁部分
b 側縁部分
w 幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬質樹脂製の略平板状の蓋体(1)と、その片面に固着された包装品収容室(20)を備えた容器本体(2)とからなり、折曲げ操作によって開封口が形成される包装容器であって、
該容器本体(2)が柔軟質シートで膨出加工された包装品収容室(20)を備え、同収容室(20)の周縁部(21)が蓋体(1)と固着され、
前記蓋体(1)が、所定厚に形成されたPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂、PS(ポリスチロール)樹脂、PLA(ポリ乳酸)樹脂、PP(ポリプロピレン)樹脂の何れかのシートを一方向延伸加工したシート素材(10)であって、
該シート素材(10)の延伸方向を、蓋体(1)の折曲げ開封部(11)に沿わせて形成してある折曲げ開封用包装容器。
【請求項2】
硬質樹脂製の略平板状の蓋体(1)と、その片面に固着された包装品収容室(20)を備えた容器本体(2)とからなり、折曲げ操作によって開封口が形成される包装容器であって、
該容器本体(2)が柔軟質シートで膨出加工された包装品収容室(20)を備え、同収容室(20)の周縁部(21)が蓋体(1)と固着され、
前記蓋体(1)が、所定厚に形成されたPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂、PS(ポリスチロール)樹脂、PLA(ポリ乳酸)樹脂、PP(ポリプロピレン)樹脂の何れかのシートを一方向延伸加工したシート素材(10)であって、
該シート素材(10)の延伸方向を、蓋体(1)の折曲げ開封部(11)に沿わせて形成し、
前記容器本体(2)の形成樹脂と前記蓋体(1)の形成樹脂とを、同じ樹脂素材で形成してある折曲げ開封用包装容器。
【請求項3】
蓋体(1)の折曲げ開封部(11)を除き、該折曲げ開封部(11)を通る容器の幅(w)方向における側縁部分(a,b)の片側または両側に、蓋体(1)の折曲げ箇所を位置決めする切り込み(12)または打ち抜き穴(13)を形成してある請求項1または2に記載の折曲げ開封用包装容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−126585(P2011−126585A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−289110(P2009−289110)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【出願人】(509246301)
【Fターム(参考)】