説明

折畳みティッシュペーパホルダ

【課題】安価に提供でき、嵩張らず、多種類のデザインのものを容易に提供でき、汚れたときの廃棄も容易なティッシュペーパホルダを提供する。
【解決手段】板紙製の筒体11と挿入体12で形成される。筒体11は、中央に折畳み線8を備えた台形の両側板4と、前面板2と、両側板4の少なくとも下部相互間に位置する背面板5と、底形成片7とを備えている。挿入体12は、台形ないし三角形の内側板10と、受板9とを備えている。筒体11は、折畳み線8で扁平に折畳むことができ、折畳み線8を延ばし、底形成片7相互を組み合わせることにより組み立てる。挿入体12は、内側板を側板4の内面に添わせて筒体11内に挿入する。筒体の前面板2と挿入体の受板9との間にティッシュペーパを挿入する。挿入体の受板9と筒体の背面板5との間には、屑入れないし小物入れとなる空所19が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、カートンに収容されたティッシュペーパやフィルムで包装された詰替用のティッシュペーパを収納するホルダに関するもので、小物入れないし屑入となる空所を備えた折畳み可能な上記ホルダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ティッシュペーパは、通常板紙製の矩形のカートンに収容して提供されている。また、一部には空になったカートンの小口端を開いて新しいティッシュペーパを挿入するための薄い透明フィルムで包装した詰替用のティッシュペーパも提供されている。これらのカートンや包装フィルムの上面には、ティッシュペーパを一枚ずつ引き出すための長孔ないしスリットが設けられている。
【0003】
ティッシュペーパは手近に置いて必要なときにすぐ取り出せるようにしたいので、家屋内の複数箇所に置かれていることが多い。また、取り出したティッシュペーパは、すぐに使用して廃棄されるのが普通なので、近くに屑入がないといちいち屑入の所まで捨てに行かねばならず、面倒である。更にティッシュペーパを机の上などに置く場合、それなりのスペースが必要で、机を広く使用したいときに邪魔になることも多い。
【0004】
このようなことから、ティッシュペーパの背後に隣接して屑入として使用できる空所を設けたティッシュペーパホルダが下記特許文献1や特許文献2で提案されている。特許文献2のものは、ティッシュペーパのカートンを縦方向に保持するようになっており、設置スペースを節約できる。また、特許文献3や特許文献4には、ティッシュペーパ収納部の下方を屑入としたティッシュペーパホルダが提案されている。
【特許文献1】実開昭61−145703号公報
【特許文献2】実開昭62−25680号公報
【特許文献3】実開昭51−116236号公報
【特許文献4】実開昭62−33578号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記文献等で提案されているティッシュペーパホルダは、使えばそれなりに便利なものであるけれども、なければ困るというほどのものでもないので、価格が高かったり、買って持ち帰るのに嵩張ったりすると、使おうとする人は少なくなる。特に屑入を並設した構造では、長期間使用するとどうしても汚れて見苦しくなるので、恒久的な使用を前提としたものは、やがて使われなくなってしまう。
【0006】
また、このようなティッシュペーパホルダは、机の上や棚に置くとそれなりに目立つ存在となるので、好みの絵柄のものを使いたいとか、季節の変化や部屋の模様替えの際に、異なる絵柄のものに交換したいという要求も生ずる。
【0007】
そこでこの発明は、安価に提供することができて、在庫や販売の際に嵩張らず、色彩や絵柄の異なる多種類のデザインのものを容易に提供することができ、汚れたときの廃棄も容易なティッシュペーパホルダを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、折畳んだ状態で販売することができ、糊や鋏を使わないで簡単に組立てることができる板紙製の、屑入として使用できる空所を備えた、ティッシュペーパホルダを提供することにより、上記課題を解決したものである。
【0009】
この発明のティッシュペーパホルダは、一枚の板紙から打ち抜かれて、所定の折線を付され、その両側端編を接着した筒体11と、一枚の板紙から打ち抜かれて所定の折線を付された挿入体12で形成されている。挿入体12は組み立てた筒体11内に挿入されるものである。筒体11は、中央に縦方向の折畳み線8を備えた台形の両側板4と、山折線3aを介して両側板4の前縁相互間に位置する中央に長孔1を備えた前面板2と、第2の山折線3bを介して両側板4の後縁の少なくとも下部相互間に位置する背面板5と、これら両側板4の底辺又は前後の面板2、5の底辺、あるいは両側板4及び前後面板2、5の底辺から内側に折り込まれて底面を形成する底形成片7a、7b、7c、7dとを備えている。挿入体12は、筒体の側板4の前縁と等しい傾斜角の前縁を備えた台形ないし三角形の内側板10と、山折線3eを介して両内側板10の前縁相互間に位置する受板9とを備えている。
【0010】
上記構造の筒体11は、折畳み線8を折り曲げて扁平に折畳むことができる。折畳み線8を谷折りとし、挿入体12の内側板10を内側へ折畳めば、ティッシュペーパのカートンの前面より底形成片7の分だけ広い略矩形状に折畳まれるので、この状態で包装袋に入れて在庫及び販売すれば、貯蔵、陳列、持ち運びなどに嵩張ることがない。
【0011】
折畳まれた筒体11aは、折畳み線8を延ばし、底形成片7を内側に90度折曲げて公知の差込み構造で組み合わせることにより、底面を形成して筒体11を組み立てる。そして、挿入体12の内側板10を90度に延ばし、当該内側板が筒体の側板4の内面に添設された状態で背面板5の内面に当接するように挿入体12を筒体11内に挿入する。
【0012】
この状態で筒体の前面板2と挿入体の受板9との間にティッシュペーパを挿入する矩形筒状の空間が形成されるので、当該空間にカートン入りのティッシュペーパ又は詰替用のティッシュペーパを上方から差し込むように挿入する。挿入体の受板9と筒体の背面板5との間には、上部が開口された空所19が形成されるので、この空所を使った後のティッシュペーパを投入する屑入とする。屑篭等が近くにあって、この空所19を屑入とする必要がなければ、小物入れとして使用すればよい。
【0013】
組み立てたホルダの外面は、展開された筒体11bの一方の面によって形成されるので、筒体を打ち抜く板紙の一方の面に種々の色彩や模様を印刷すれば、種々の色彩や模様のティッシュペーパホルダが得られる。
【0014】
この発明のティッシュペーパホルダは、ティッシュペーパを斜め上向きとなった前面板2の長孔1から取り出す構造となり、ティッシュペーパを机の上に置いた場合でも、高い棚の上に置いた場合でも取り出しが容易である。この発明のホルダは、ティッシュペーパを長手方向を左右方向にして収納する構造とすることもできるが、長手方向を上下方向にして収納する構造が設置スペースを小さくできる。
【0015】
挿入体の受板9には、フィルムで包装された詰替用のティッシュペーパをそのままこの発明のホルダに挿入して使用することを考慮して、ティッシュペーパが少なくなったときに、それを前面板2に向けて付勢する切起し辺20を設けておくこともできる。
【発明の効果】
【0016】
この発明のティッシュペーパホルダは、板紙製で安価に提供することができ、折畳んだ状態で貯蔵や販売等ができるので、流通コストもかからない。また、印刷により色彩や模様を付すことが容易にできるので、種々のデザインのものを安価に提供でき、使用者の好みや部屋のデザインにあったものを選択可能にすることが容易である。また、ホルダ内へのティッシュペーパの挿入や交換が容易に可能で、繰り返し使用することができると共に、汚損したものを新しいものに交換するときの経済的負担も極めて僅かで済む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照してこの発明の好ましい実施形態の一例を説明する。
図1は、板紙から打ち抜かれた筒体11bの展開図で、中央に縦方向のティッシュペーパ取出し用の長孔1を設けた矩形の前面板2の両側に山折線3aで細長い片台形の側板4が連接され、当該側板の一方の後辺下部に山折線3bで前面板2の約半分の高さの背面板5が連結され、当該背面板5の反対側の側辺に山折線3cで糊代片6が連結されている。両側板4及び前後の面板2、5の下辺には、山折線3dを介して底面を組立てる底形成片7が設けられている。側板4とその下辺に設けた底形成片7c、7dには、側板4の前縁と後縁のちょうど2等分線となる位置に折畳み線8(谷折)が設けられている。側板4の背面側の上端の角は、デザイン上の観点から角丸形状としてある。
【0018】
図2は、一枚の板紙から打ち抜いた挿入体の展開図で、前記前面板2より僅かに縦方向寸法が短く、かつ板紙の厚さ分だけ幅狭の矩形の受板9の両側に山折線3eを介して三角形の内側板10を連結した形状である。この三角形の前縁と後縁の傾斜角は、筒体の側板4の前縁と後縁の傾斜角と等しくする。
【0019】
図1、2の例では、側板4及び内側板10の後縁は垂直となっているが、前倒れ方向に傾斜させた形状とすることも好ましい形状の一つである。
【0020】
図の内側板10が三角形状となっているのは、筒体の側板4の上端の幅4aをこのホルダに挿入されるティッシュペーパのカートンの厚さと等しい厚さにしたためであって、上記幅4aをカートンの厚さより大きくしたときは、内側板10は台形形状となる。
【0021】
図1のように打ち抜いた筒体は、糊代片6を対向する側板の後辺内側4bに接着して筒体とし、折畳み線8を内側に折り込むことによって、ティッシュペーパのカートンの平面寸法より底形成片7の分だけ細長い略矩形形状に折畳まれる(図3参照)。一方、図2の挿入体12も内側板10を内側へ折畳むことにより、矩形形状に折畳まれるので、両者を合せて封筒状の包装袋13に挿入して、在庫としての貯蔵、運搬、店頭での陳列、販売や配布などを行う。
【0022】
使用者は、折畳まれた筒体11aと挿入体12を包装袋から出し、折畳まれた側板を平らにして底形成片7aないし7dを内側に折り込んで組み合わせることにより、底面14を形成して角筒状の筒体11を組立てる。
【0023】
図の構造は、図4に示すように、先端辺にコの字形の凹部を形成した底形成片7dをまず折曲げ、次にその左右の底形成片7a、7bを折り込むことによって、形成された差込口15に最後の底形成片7cの中央の差込辺16を差し込むことによって底面14を組み立てる構造であるが、他の構造、例えば底形成片を対向する両側板又は前後の面板の下辺にのみ設けるとか、底面14を開閉可能にするなどの構造を採用してもよい。
【0024】
側板4を連接する底形成片7c、7dを山折線3dで折り曲げることによって折畳み線8は展開された状態で固定され、形の整った断面方形の筒体11が形成される。
【0025】
次に内側板10を90度折り曲げた挿入体12を当該内側板の外面が筒体の側板4の内面に添設され、かつその後縁が背面板5の内面に当接するように筒体11内に差し込む。
【0026】
挿入体の構造として、内側板10のいずれか一方の後縁に折れ線で連接して、筒体の背面板5の内側に添設される内背面板を設ける構造とすることもできる。また、底形成片相互を粘着テープで組み立てる構造や、内側板10を両面粘着テープで側板4の内面に貼着する構造など、粘着テープを使用する組立構造とすることもできる。
【0027】
このように組み立てた筒体の前面板2と挿入体の受板9との間に矩形の空間が形成されるので、当該空間にカートン入りのティッシュペーパ18を上方から挿入する。受板9と筒体の背面板5との間には、上部が開放された空所19が形成されるので、当該空所を小物入れないし使用した後のティッシュペーパの屑入とする(図5参照)。
【0028】
上記の使用形態から理解されるように、筒体の前面板2の寸法は、挿入されるティッシュペーパの大きさにあった寸法とし(ティッシュペーパが斜めに挿入されるので、前面板2の下部を長くしておくことが必要である)、前面板2と受板9の間に形成される空間の厚さを挿入されるティッシュペーパの厚さに合せた寸法とする。この空間の厚さは、筒体の側板4と挿入体の内側板10との幅方向の寸法差によって決定される。小物入れないし屑入とする空所19の大きさは、側板の幅を広くすることにより、適宜大きくすることが可能である。
【0029】
挿入体の受板9には図6に示すように、ホルダに挿入されたティッシュペーパの底面を前面板2側に付勢する切り起し片20を設けておくことができる。カートンに収納されたティッシュペーパを挿入して使用するときは、このような切り起し片20は設ける必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】筒体の展開図
【図2】挿入体の展開図
【図3】折畳まれた筒体の斜視図
【図4】組立て途中の筒体を下方から見た斜視図
【図5】挿入体とケース入りティッシュペーパの筒体への挿入を示す斜視図
【図6】切り起し片を設けた挿入体の斜視図
【符号の説明】
【0031】
1 長孔
2 前面板
3 山折線
4 側板
5 背面板
7 底成形片
8 折畳み線
9 受板
10 内側板
11 筒体
12 挿入体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板紙製箱体(11)とその箱体内に内挿される板紙製挿入体(12)とからなり、前記箱体は、中央に縦方向の折畳み線(8)を備えた台形の両側板(4)と、山折線(3a)を介して両側板(4)の前縁相互間に位置する中央に長孔1を備えた前面板(2)と、第2の山折線(3b)を介して両側板(4)の後縁の少なくとも下部相互間に位置する背面板(5)と、これら両側板の底辺及び/又は前面板と背面板の底辺から内側に折り込まれて底面を形成する底形成片(7a,7b,7c,7d)とを備え、前記挿入体は、前記側板の前縁と等しい傾斜角の前縁を備えた台形ないし三角形の内側板(10)と、山折線(3e)を介して両内側板(10)の前縁相互間に位置する受板(9)とを備えている、折畳みティッシュペーパホルダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−206098(P2006−206098A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−19962(P2005−19962)
【出願日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(505034348)
【Fターム(参考)】