説明

折畳み型コンテナ

【課題】前、後面パネル及び側面パネルは底面パネル上の格納スペースに納めることで、輸送車による搬送時の積載枚数を増やすことが可能になり、折畳んだパネルが積載する折畳み型コンテナの荷重によって変形するのを防止し、かつ安定性良く多数枚の折畳み型コンテナを積載することができる折畳み型コンテナを提供する。
【解決手段】下側にデッキ部2を有する平面略長方形の底面パネルの長手方向両側縁に一対の立上り部5を設け、底面パネル上をパネル格納部としてある。各立上り部5に側面パネル7を転倒可能に連結してある。高さ方向の途中から上部側の上パネル部9B、10Bが外方に折畳み可能な前、後面パネル9、10を底面パネルの前、後縁に転倒可能に連結してある。前、後面パネル9、10及び側面パネル7はパネル格納部に折畳んで収納可能になっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば収穫したジャガイモ、玉ねぎ、人参等の各種の農産物、漁業の分野での採取した貝や海藻、林業の分野での伐採した小枝、製造業の分野での製造部品等、種々の分野で用いる折畳み型コンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばジャガイモ、玉ねぎ、人参等の農産物を収穫して集荷し、運搬する従来のコンテナは、平面長方形の底部パネルと、該底部パネルの長手方向両側縁から起立する左、右側面パネルと、底部パネルの前縁及び後縁から起立する前、後面パネルとから上方が開放した箱型に構成してある。そして、底面パネルに対して起立する各面のパネルは折畳み可能に構成することにより、空のコンテナを移送したり保管する場合の効率を高めるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】第2992279号特許公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、トレーラーにコンテナを積んで長距離搬送する場合、輸送量等の要請から例えば横幅1700mm、奥行き950mm、高さ1300mm(但し、いずれも概数)の寸法のコンテナCを使用しているが、前面及び後面パネルの高さ寸法が底面パネルの奥行き寸法より大きいことから、折畳んだ場合に前面、後面パネルの先端側が底面パネルより張出してしまい、トレーラーに積載する枚数が制約されるという問題がある(図10参照)。
【0005】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みなされたもので、前、後面パネル及び側面パネルは底面パネルの寸法内で、かつ底面パネル上の格納スペースに納まるので、搬送時の積載枚数を増やすことが可能であるし、折畳んだパネルが積載する折畳み型コンテナの荷重によって変形するのを防止でき、かつ安定性良く折畳み型コンテナを積載することができる折畳み型コンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決する本発明を構成する手段は、下側にデッキ部を有する平面略長方形の底面パネルの長手方向両側縁に、一対の立上り部を設けることにより底面パネル上をパネル格納部とし、前記各立上り部に側面パネルを転倒可能に連結し、高さ方向の途中から上部側が外方に折畳み可能な前、後面パネルを前記底面パネルの前、後縁に転倒可能に連結して構成し、前記前、後面パネル及び側面パネルは前記パネル格納部に折畳んで収納可能にしたことにある。
【0007】
そして、前記立上り部は、前記底面パネルの両側縁に一体に形成するとよい。
【0008】
また、前記前、後面パネルは、前記側面パネルに係止手段により係脱可能に係着するようにするとよい。
【0009】
更に、前記底面パネル、一対の側面パネル及び前、後面パネルは、多数本の鋼材を組んでメッシュ状に構成するとよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明は上述の如く構成したから、下記の諸効果を奏する。
(1)折畳み型コンテナは、底面パネルの長手方向両側縁に一対の立上り部を設けて底面パネル上をパネル格納部とし、パネル格納部に前、後面パネル及び側面パネルを折畳んだ状態で収納可能にしたから、空で搬送する場合に搬送車両への積載枚数を増やすことができて輸送効率を高めることができる。
(2)上記構成から、前後、両側の各パネルはパネル格納部内に収納し、一対の立上り部が積載する折畳み型コンテナを支承することにより、各パネルが荷重で変形する事態を防止し、耐久性のある折畳み型コンテナとすることができる。
(3)立上り部は底面パネルと一体に形成することにより、製作工数と製作費を低減できるし、ばらつきの無い平均した強度性を持たせることができる。
(4)前、後面パネルは係止手段により側面パネルに係脱可能に係着する構成にしたから、収穫物の移載時に前、後面パネルの上パネル部を簡単に開閉できるし、側面パネルとの組み付け作業を容易に行うことができる。
(5)底面パネル、一対の側面パネル及び前、後面パネルは、多数本の鋼材を組んでメッシュ状に構成することにより、コンテナ全体の軽量化を図ることができるし、各パネルも軽量であるから折畳み及び組み立て作業を楽に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1乃至図9は本発明の実施の形態に係り、図1は折畳み型コンテナの正面図である。
【図2】折畳み型コンテナの右側面図である。
【図3】底面パネルの正面図である。
【図4】折畳み型コンテナの全体斜視図である。
【図5】前、後面パネルの上パネル部を外側に転倒させた説明図である。
【図6】前面パネルの下パネル部を内側に転倒させて折畳む説明図である。
【図7】後面パネルの下パネル部を内側に転倒させて折畳む説明図である。
【図8】側面パネルを内側に転倒させる説明図である。
【図9】折畳み型コンテナをトレーラに積載した説明図である。
【図10】従来の折畳み型コンテナをトレーラーに積載した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳述する。図において、1は折畳み型コンテナ、2は該折畳み型コンテナ1を構成するデッキ部で、該デッキ部2はC型チャンネル材を略長方形に組んだ枠体2Aと、該枠体2Aの内側に前後方向に連結した一対の補強材2B、2Bと、枠体2A及び補強材2B、2Bの前後側下端に固着した平鋼板からなる連結材2C、2Cとから構成してあり、デッキ部2内にはフォークリフトによるリフト時にフォークを挿入するための挿入口2D、2Dが形成してある。
【0013】
3、3は前記デッキ部2の長手方向両端に前後方向に離間して固着した左右一対の略U字型支持材で、該U字型支持材3は上端側3Aを後述する立上り部4より上方に突出させてあり、重畳した上側の折畳み型パレット1を下側の折畳み型パレット1が側方から支えるものである。
【0014】
4はデッキ部2上に固着した長方形の底面パネルで、該底面パネル4は丸棒鋼からなる複数本の縦材4A及び横材4Bを格子状に組んで構成してある。5、5は底面パネル4の長手方行両側縁4A、4Aから起立する左右一対の立上り部を示し、該各立上り部5は、底面パネル4を構成する横材4Bの両先端側を折り曲げることにより立上材5A、5A、・・・とし、この上端に横連結材5Bを架設して溶接手段により固着することにより構成してある。そして、丸棒鋼を略Lに屈曲形成した複数本の補強材5Cを底面パネル4から立上り部5にかけて溶接手段により固着することにより立上り部5を補強してある。
【0015】
ここで、立上り部5は、その高さを後述する前、後面パネル9、10と左、右側面パネル7、7を重畳した厚さに設定することにより、底面パネル4上はパネル格納部6になっている。
【0016】
7、7は前記立上り部5の横連結材5Bに下端7Aを回動可能に連結した左、右一対の側面パネルで、該各側面パネル7は丸棒鋼を格子状に組み、両側縁に縦方向に離間して略倒置C字状の3個の係合環7B、7B、7Bを突出させて構成してあり、立上り部5とは丸棒鋼をコイル状に形成した連結材8で連結してある。9は底面パネル4の前縁4Bに回動可能に連結した前面パネル、10は底面パネル4の後縁4Cに回動可能に連結した後面パネルで、該前面パネル9及び後面パネル10は丸棒鋼を格子状に組んで構成してあり、底面パネル4とは丸棒鋼をコイル状に形成した連結材11で連結してある。
【0017】
ここで、前面パネル9及び後面パネル10は高さ方向中間より若干上の部分で下パネル部9A(10A)と上パネル部9B(10B)に分割し、コイル状に形成した連結材9C(10C)で連結することにより、上パネル部9A(10A)は矢示イ方向の外方に転倒可能になっている。
【0018】
12、12、12は下パネル部9A(10A)に2個、上パネル部9B(10B)に1個設けた係止手段としてのロック機構を示す。該各ロック機構12は下、上パネル部9A、9B(10A、10B)に固着した取付体12Aと、該取付体12Aに横方向に摺動可能に挿装した係着棒12Bとから構成してあり、該係着棒12Bは側面パネルの係合環7Bに挿入することで、前、後面パネル9、10は両側面パネル7、7に係着可能になっている。
【0019】
なお、底面パネル4、側面パネル7及び前、後面パネル9、10は、多数本の鋼材を組んでメッシュ状に構成することにより、折畳み型コンテナ1全体が軽量化し、また側面パネル7及び前、後面パネル9、10も軽量であるから折畳み及び組み立て操作を容易に行うことができる。また、通気性に優れているから、収穫物の保存に好適である。
【0020】
上述の構成からなる本実施の形態に係る折畳み型コンテナ1について、組み立てた状態から折畳んだ状態までの工程を図4乃至図8に示す。先ず、ロック機構12、12を解除して前面パネル9の上パネル部9B、そして後面パネル10の上パネル部10Bを矢示イ方向の外側に転倒する(図5)。次に、前、後面パネル9、10の下パネル部9A、10Aを矢示ロ方向に転倒させて底面パネル4上に折り畳む(図6及び図7)。更に、側面パネル7、7を矢示ハ、ニ方向に順次転倒させる(図8)。
【0021】
かくして、前面パネル9、後面パネル10及び一対の側面パネル7、7は底面パネル4のサイズ内で、パネル格納部2D内に収納したコンパクトな状態に折畳むことができるから、図9に示すように折畳み型コンテナ1はトレーラーに縦2列に積載することができる。また、折畳み型コンテナ1の上に折畳み型コンテナ1を積重した場合に、立上り部5、5が上方からの荷重を受承することで、各パネル4、7、9、10には荷重が掛からないので変形することがなく、耐久性に優れた折畳み型コンテナ1として使用することができる。
【0022】
なお、本実施の形態で立上り部5は底面パネル4と一体に形成したが、底面パネル4とは別部材により構成して底面パネル4に固着してもよい。
【符号の説明】
【0023】
1 折畳み型コンテナ
2 デッキ部
4 底面パネル
5 立上り部
7 側面パネル
9 前面パネル
10 後面パネル
12 ロック機構(係止手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下側にデッキ部を有する平面略長方形の底面パネルの長手方向両側縁に、一対の立上り部を設けることにより底面パネル上をパネル格納部とし、前記各立上り部に側面パネルを転倒可能に連結し、高さ方向の途中から上部側が外方に折畳み可能な前、後面パネルを前記底面パネルの前、後縁に転倒可能に連結して構成し、前記前、後面パネル及び側面パネルは前記パネル格納部に折畳んで収納可能にしてなる折畳み型コンテナ。
【請求項2】
前記立上り部は、前記底面パネルの両側縁に一体に形成してある請求項1記載の折畳み型コンテナ。
【請求項3】
前記前、後面パネルは、前記側面パネルに係止手段により係脱可能に係着するようにしてあることを特徴とする請求項1記載の折畳み型コンテナ。
【請求項4】
前記底面パネル、一対の側面パネル及び前、後面パネルは、多数本の鋼材を組んでメッシュ状に構成したものであることを特徴とする請求項1記載の折畳み型コンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−28375(P2013−28375A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166405(P2011−166405)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(593203619)北海道セイカン工業株式会社 (5)
【Fターム(参考)】