説明

折畳式水槽

【課題】組立式水槽において、組立・撤収・運搬の便を向上する。
【解決手段】本願発明に係る組立式水槽は、幕体にて形成され且つ液体を収容することが可能な槽1と、槽1を取り囲む枠体2とを備える。上記の槽1は、枠体2に取り付けられて枠体2に支持される。上記の枠体2は、複数のパイプが蛇腹状に組まれた蛇腹部22によって形成され、周の長さを伸縮自在とするものであり、蛇腹部22を伸ばすことによって枠体内側の上記槽を貯水可能な形状とすることができ、蛇腹部を縮めることによって折り畳むことができる。拘束機構は、蛇腹部が横方向へ伸びるのを直接或いは間接的に拘束して、槽を広げた状態において、それ以上槽が広がらないようにする

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、折畳式水槽に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、簡易に設置することができる組立式の水槽が普及しつつある。特に、防災用の水槽や、消防訓練の消火放水の操方訓練等の貯水槽、飲料用水槽として、組立式の水槽のニーズが高まっている。
【0003】
そして、組立式の水槽として、幕体(袋体)にて形成された槽と、槽を取り囲んで支持し槽に貯水可能な形状を維持させる枠体(フレーム)とにて構成されたものが、種々提案されている(特許文献1及び2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3136653号公報
【特許文献2】実用新案登録第3054943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、現在提案されている上記の組立式水槽は、使用後、簡単に撤収でき、また、保管が簡単に行えるというものではない。
例えば、特許文献1に示された水槽において、使用していないとき、水を収容する袋状体を上記枠体(フレーム)から取り外せるものであるが、袋状体を取り外したとしても枠体の嵩は変わらず、枠体の保管には、使用時と同様のスペースが必要である。
一方、特許文献2に示された水槽は、枠体を複数のサッシパネルにて構成し使用時に当該パネル組み立てるものであり、使用後分解したパネルを重ねるなどして保管スペースの低減を図ることができるものであるが、使用時複数のパネルを組み付けるのは手間が掛かり、使用後分解するのも手間が掛かる。また、特許文献2の水槽は、使用後移動させるのに、分解したパネルが四散して持ち運びが不便であり、更に、使用しないときに分離した一部のパネルを紛失する危惧がある。
そこで、本願発明は、簡易に組み立てることができ、使用しないときに構成部品を紛失することなく、可搬性に優れ、省スペースに収納できる組立式水槽を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の請求項1に係る発明は、柔軟な幕体にて形成され且つ広げた状態において液体を収容する槽と、槽を取り囲む枠体とを備えた組立式水槽について、次の構成を採るものを提供する。
即ち、枠体は、槽を支持するものであり、横方向に伸縮自在な蛇腹部と、拘束機構とを備え、蛇腹部を伸ばして、枠体を広げることができ、蛇腹部を縮めて枠体を畳むことができ、拘束機構は、蛇腹部が横方向へ伸びるのを直接或いは間接的に拘束して、槽を取り付けた状態において、それ以上枠体が広がらないようにする。
【0007】
本願の請求項2に係る発明は、本願の上記請求項1に係る発明にあって、次の構成を採る組立式水槽枠体を提供する。
即ち、枠体は、互いの間隔を開けて槽を取り囲むように配置された複数の支柱を備え、支柱は、槽を支持するものであり、上記の蛇腹部は、支柱間に渡され、蛇腹部を伸ばして支柱同士間の間隔を広げることにより、枠体を広げて槽を取り付けることができ、蛇腹部を縮めて支柱同士の間隔を狭めることにより枠体を畳むことができ、支柱は、上下に伸縮自在に形成されたものであり、支柱が上下の幅を縮めることにより蛇腹部が横方向に伸張するように、蛇腹部は、支柱へ接続されたものであり、拘束機構は、支柱が上下の幅を縮めるのを制限することにより、蛇腹の横方向への伸張を拘束して、槽を広げた状態の支柱同士間の間隔を、それ以上広がらないようにするものである。
【0008】
本願の請求項3に係る発明は、本願の上記請求項2に係る発明にあって、次の構成を採る組立式水槽枠体を提供する。
即ち、個々の蛇腹部は、1つの蛇腹構成部材にて、或いは、複数の蛇腹構成部材を横方向に連結することにて形成されたものであり、蛇腹構成部材の夫々は、2本のリンク部材を備え、一方のリンク部材を他の一方のリンク部材へ軸止したものであり、リンク部材を回転させて両リンク部材同士がなす角度を変えることにより、蛇腹構成部材を横方向について伸縮することができる。
【0009】
本願の請求項4に係る発明は、本願の上記請求項3に係る発明にあって、次の構成を採る組立式水槽枠体を提供する。
即ち、蛇腹部の夫々は、複数の蛇腹構成部材を横方向に連結することにより形成されたものであり、個々の蛇腹構成部材において、一方のリンク部材を他の一方のリンク部材に対して交差させた状態に軸止したものであり、隣り合う蛇腹構成部材同士において、一方の蛇腹構成部材のリンク部材夫々の端部を、他の一方の蛇腹構成部材のリンク部材夫々の端部へ軸止することにより、一方の蛇腹構成部材のリンク部材の回動に、他の一方の蛇腹構成部材のリンク部材の回動が連動するよう、隣り合う蛇腹構成部材同士を連結したものであり、個々の支柱は、当該支柱に隣接する蛇腹構成部材が備えるリンク部材の一方について、隣接する他の蛇腹構成部材のリンク部材と軸止されていない端部を軸止する第1の部位と、当該支柱に隣接する蛇腹構成部材が備えるリンク部材の他の一方について、隣接する他の蛇腹構成部材のリンク部材と軸止されていないほうの一端を軸止する第2の部位とを備え、上下方向について支柱を縮めることにより、第1の部位と第2の部位とは接近するものであり、第1の部位は当接部を、第2の部位は被当接部を備え、上記の拘束機構は、上記当接部と被当接部とにて構成され、上下方向について支柱を縮めて蛇腹構成部材を横方向に伸ばすことにより槽を広げた際、当接部が被当接部と当接して、支柱の更なる縮小を阻止し、蛇腹部がそれ以上伸びるのを抑える。
【0010】
本願の請求項5に係る発明は、本願の上記請求項4に係る発明にあって、次の構成を採る組立式水槽枠体を提供する。
即ち、枠体は、桟部材を備え、桟部材は、枠体の平面視において対向する蛇腹部同士の間に渡され、枠体を開いて槽を取り付けた状態において、対向する蛇腹部同士間の間隔が広がるのを抑制する。
【0011】
本願の請求項6に係る発明は、本願の上記請求項5に係る発明にあって、次の構成を採る組立式水槽枠体を提供する。
即ち、桟部材は、複数のパイプ部材と、各パイプ部材の一端側が軸止された結合部材とを備え、各パイプ部材において、結合部材に軸止されていない他の一方の端部を、各蛇腹部へ軸止するものであり、左右に隣り合う蛇腹構成部材間において、左側蛇腹構成部材の2本のリンク部材のうち一方のリンク部材の右端はもう一方リンク部材の右端の下方に位置し、右側蛇腹構成部材の2本のリンク部材のうち一方のリンク部材の左端はもう一方のリンク部材の左端の下方に位置し、上記両蛇腹構成部材間において、端部が他のリンク部材の端部の下方に位置する上記リンク部材の端部同士について一方を他方へ軸止するものであり、端部が下方に位置する上記リンク部材に対して、上方に端部が位置するリンク部材の当該端部同士を軸止し、端部が上記下方にて軸止されたリンク部材の一方の当該端部へ、桟部材の上記パイプ部材の、結合部材に軸止されていない他の一方の端部を軸止するものであり、蛇腹部を縮めて、槽を折り畳む際、左右に隣り合う蛇腹構成部材のリンク部材の端部が下方に位置するリンク部材の当該端部を下方に移動させて、結合部材に軸止されていないパイプ部材の端部を下方へ移動させることにより、結合部材を相対的に上方に移動させて、パイプ部材同士が畳まれるものである。
【0012】
本願の請求項7に係る発明は、本願の上記請求項6に係る発明にあって、次の構成を採る組立式水槽枠体を提供する。
即ち、枠体は、隣り合う支柱間へ着脱自在に渡される受け桟部を備え、受け桟部は、枠体を広げ槽を取り付けた状態にて、隣り合う支柱の上端同士へ着脱自在に渡され、槽内へ給水する給水手段が直接槽の上縁に接触するのを防止する。
【0013】
本願の請求項8に係る発明は、本願の上記請求項7に係る発明にあって、次の構成を採る組立式水槽枠体を提供する。
即ち、受け桟部は、夫々支柱の上部へ着脱自在に取り付けられる取付部材と、複数の受け桟構成体と、留め具とを備え、各取付部材には、2本の上記受け桟構成体の一端の夫々が軸止され、受け桟構成体の取付部材に軸止されていない自由端は、夫々当該受け桟構成体が軸止されている取付部材と隣り合う取付部材に軸止された受け桟構成体の自由端の夫々と接続され、受け桟部を支柱から外した状態において、受け桟構成体の上記自由端同士の接続を解除し、或いは自由端同士の接続部を中心として接続された受け桟構成体同士を折り畳むことにより、同じ取付部材に軸止された受け桟構成体同士を折り畳むことができるものであり、留め具は、受け桟部を支柱へ取り付けた状態において、槽の上縁を受け桟部に取り付けるものである。
【発明の効果】
【0014】
本願発明は、幕体にて形成された槽を備えた組立式水槽において、使用に際して、蛇腹を伸ばすことによってワンタッチで水槽を支持する枠体を簡単に組み立てることができ、使用後蛇腹を畳むことによって枠体を簡単に撤収できるものとした。また、本願発明の組立式水槽では、枠体の構成部材を折り畳むことによって持ち運びがし易く、収納においても嵩をとらないものとした。
特に、本願の請求項5,6に係る発明では、上記の通り、簡易に設置・撤収が可能できるものとしても、桟部材を設けることによって、蛇腹部が貯水された槽の荷重を受けて変形し難いものとした。
また、本願の請求項6に係る発明では、特に、桟部材も折り畳み可能であり、蛇腹の伸縮を阻害せず、水槽の設置や撤収、運搬の簡便さ、更に、保管における省スペースの上記効果を損なわずに、水槽としての形状の維持を損なわないものとした。
更に、本願の請求項7,8に係る発明では、槽内に給水するために給水パイプやホースなどの給水手段を槽へ向けた際に、受け桟部が、給水手段を受けて、給水手段が、槽の上縁に当ったり、槽の上縁に寄りかかったりするのを防ぐ。
特に、本願の請求項8に係る発明では、支柱から取り外した受け桟部を折り畳んでコンパクトにすることとができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(A)は本願発明の一実施の形態に係る組立式水槽の組立後の状態を示す全体斜視図、(B)は槽を省略して受け桟部の取り付けの過程を示す斜視図。
【図2】(A)は図1(A)の組立式水槽の排水部13を畳んだ状態を示す全体斜視図、(B)は(A)から槽を省略した状態を示す斜視図、(C)は(B)に示す蛇腹を縮めた状態を示す水槽の斜視図、(D)は水槽を完全に折り畳んだ状態を示す斜視図。
【図3】(A)は支柱21の上部を中心とする図2(A)に示す水槽の上記枠体の一部切欠要部拡大斜視図、(B)は図2(B)に示す水槽の結合部材29aを中心とする上記枠体の一部切欠要部拡大斜視図。
【図4】(A)は受け桟部の分解斜視図、(B)は(A)の受け桟部を折り畳んでゆく状態を示す斜視図、(C)は接続部34の接続方法を説明するための(A)の一部切欠要部斜視図。
【図5】(A)は、取付部材31の分解斜視図、(B)は受け桟部を支柱21へ取り付ける前の状態を示す枠体の一部切欠要部斜視図、(C)は受け桟部を支柱21へ取り付けた後の状態を示す枠体の一部切欠要部斜視図。
【図6】(A)は、取付部材31の変更例であって当該取付部材31を支柱21へ取り付けた後の状態を示す上記水槽の一部切欠要部斜視図、(B)は蛇腹部への水槽の固定状態を示す上記組立式水槽の一部切欠要部斜視図、(C)は、留め具37を示す上記組立式水槽の一部切欠要部斜視図。
【図7】(A)は受け桟部の他の実施の形態を示す斜視図、(B)は(A)に示す受け桟部の折り畳んでく状態を示す斜視図、(C)は(A)の要部斜視図、(D)及び(E)は夫々(C)に示す要部の更に他の実施の形態を示す斜視図。
【図8】(A)は受け桟部の更に他の実施の形態を示す斜視図、(B)は(A)の一部切欠要部斜視図、(C)は(B)と反対側を示す(A)の要部斜視図、(D)は(A)に示す受け桟部の折り畳んでゆく状態を示す斜視図、(E)は(B)に示す要部のまた他の実施の形態を示す一部切欠斜視図、(F)は(E)の反対側を示す一部切欠斜視図。
【図9】(A)は受け桟部のまた更に他の実施の形態を示す斜視図、(B)は(A)の一部切欠要部斜視図、(C)は(A)に示す受け桟部の折り畳んでゆく状態を示す斜視図、(D)は受け桟部の更にまた他の実施の形態を示す斜視図、(E)は(D)に示す受け桟部の折り畳んでゆく状態を示す斜視図。
【図10】(A)及び(B)は、夫々枠体2の他の実施の形態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1(A)及び図2(A)へ示す通り、この組立式水槽は、槽1と、枠体2と、拘束機構とを備える。
以下、各部の構成について、詳しく説明する。
【0017】
槽1は、貯水可能なものであり、防水性を有し折り畳み可能な柔軟性を備えた幕体にて、袋状に形施されたものである。槽1は、広げた状態において、貯水を行うことができる。
槽1を構成する幕体には、プラスチック製のシート、布、防水性を備えた紙、合成皮革、天然皮革、或いは、布とプラスチックの複合素材などを採用することができる。
この実施の形態において、図1(A)及び図2(A)へ示す通り、槽1は、貯水時の広げた状態において、平面視矩形状に形成された直方体であり、矩形の底面部11と、底面部11に連続する4つの側面部12…12を備える。槽1は、上部が開放されものである。図1(A)及び図2(A)へ示す通り、この実施の形態において、槽1は、特に、平面視正方形状に形成されている。
図1(A)へ示す通り、槽1には、使用後、収容した水を抜く際に排水を行う、筒状の排水部13が設けられている。排水部13は、槽1の内部空間と外部とを連絡するものである。排水部13は、周知の構成を採る閉鎖部を備えるものとし、槽1使用時排水部から水が外部へ流出しないように閉鎖されるものとするのが好ましい。筒状の排水部13の基端は、槽1の側面部12の下方に形成された開口部を覆うように槽1の本体へ一体に設けられており、先端から、槽1内の水を槽1の外部へ排出する。図2(A)へ示すように、排水部13を使用しないとき、排水部13の先端側は、槽1の当該側面部12の上縁に設けられた引掛け部mに引掛けられている。
【0018】
枠体2は、平面視において、槽1を取り囲んだ状態にて槽1を支持するものであり、当該支持により、幕体で形成された自立性のない上記槽1について、上記貯水可能な形状を維持させる。枠体2は、複数のリンク部材が蛇腹状に組まれることによって形成され、周の長さを伸縮自在とする。
具体的には、図1(B)及び図2(B)へ示す通り、枠体2は、上下に伸びる複数の支柱21…21と、各支柱21…21間に渡して固定された蛇腹部22…22と、桟部材29と、支柱21…21へ着脱自在に取り付けられる受け桟部3とを備える。
【0019】
支柱21…21は、平面視において、槽1を取り囲むように、互いの間隔を開けて配置されている。この実施の形態において、枠体2は、4本の支柱21…21を備え、支柱21は夫々、平面視矩形である槽1の4つの頂点の夫々と対応する位置、即ち、平面視四角形の頂点となるように配置される。
各支柱21は、上部に槽1の縁を着脱自在に係止する主係止部21aを備える(図3(A))。主係止部21aについては、後に触れる。
少なくとも槽1の縁が各支柱21…21の上端に係止されることにより、槽1は、支柱21…21に支持される。
受け桟部3を外した状態において、個々の支柱21は、上下に伸縮可能に形成されている。具体的に説明すると、この実施の形態において、各支柱21は、第1部材211と、第1部材211の下方に配された第2部材212の、2つ部材を接続することによって形成された1本のポールである。第1部材211と第2部材212は、何れも筒状の部材である。第1部材211と第2部材212の何れか一方には、両部材211,212の他の一方の内部に収容される、挿入用部213が連設されている。
この実施の形態では、図2(C)へ示す通り、第2部材212に挿入用部213が設けられている。上下に伸びる第2部材212の上端側に挿入用部213が設けられる。挿入用部213の外径は、第1部材211の内径と同じか小さい。挿入用部213は、第1部材211の下端開口部から第1部材211の内部へ挿入される。この第1部材211が、請求項4の支柱の第1の部位に対応し、第2部材212が、請求項4の支柱の第2の部位212に対応する。第1部材211を第2部材212に対して上下させることにより、挿入用部213の第1部材211間内部への挿入幅を変えて、支柱21を上下に伸縮することができる。第1部材211は、当接部214を備え、第2部材212は被当接部215を備える。この実施の形態において、当接部214と被当接部215とが、上記の拘束機構を構成する。
この実施の形態において、当接部214は、第1部材211の下端部、具体的には下端開口部の周縁部である。第2部材212の外径は、挿入用部213の外径よりも大きい。被当接部215は、第2部材212の上端面において、挿入部213の基部を取り囲む部分、即ち、第2部材212と挿入用部213間の段差部分である。
尚、挿入用部213は、第1部材211の下端に設けるものとしても実施できる。
【0020】
個々の蛇腹部22は、この実施の形態において、2つの蛇腹構成部材23,23を横方向に連結することにて形成されたものである。
詳しくは、蛇腹構成部材23,23の夫々は、2本のリンク部材24,24を備えると共に、一方のリンク部材24を他の一方のリンク部材24へ交差させた状態にして、ピン又はボルトなどの軸止部材25にて、軸止したものであり、リンク部材24,24を回転させて両リンク部材24,24の交差角度を変えることにより、蛇腹部22を横方向について伸縮することができる。この実施の形態において、リンク部材24,24は、夫々1本のパイプにて形成されているが、複数のパイプを継いで構成するものとしても実施でき、また、長尺の板状体としても実施できる。
【0021】
図2(B)を参照して、枠体2を側面視した状態における蛇腹構成部材23,23について、更に詳しく説明する。
この実施の形態において、隣り合う左右2つの蛇腹構成部材23,23にあって、左側の蛇腹構成部材23を構成する2本のリンク部材24,24のうち一方のリンク部材24a(以下第1リンク部材24a)について、一端側が左上方を向くよう、全体が斜めに配されている。言い換えると、第1リンク部材24aについて、他の一端側が右下方に向くよう、全体が斜めに配されている。
左側の蛇腹構成部材23を構成する2本のリンク部材24,24のうち他の一方のリンク部材24b(以下第2リンク部材24b)については、一端側が左下方を向くよう全体が斜めに配されている。言い換えると、第2リンク部材24bについて、他の一端側が右上方に向くよう、全体が斜めに配されている。
第1、第2の両リンク部材24a,24bは交差し、両リンク部材24a,24bの当該交差部分に上記軸止部材25が通されて、交差する角度を変更することができるように、第1リンク部材24aは、第2リンク部材24bへ軸止されている。
【0022】
右側の蛇腹構成部材23を構成する2本のリンク部材24,24のうち一方のリンク部材24c(以下第3リンク部材24c)について、一端側が左上方を向くよう、全体が斜めに配されている。言い換えると、第3リンク部材24cについて、他の一端側が右下方に向くよう、全体が斜めに配されている。
右側の蛇腹構成部材23を構成する2本のリンク部材24,24のうち他の一方のリンク部材24d(以下第4リンク部材24d)については、一端側が左下方を向くよう全体が斜めに配されている。言い換えると、第4リンク部材24dについて、他の一端側が右上方に向くよう、全体が斜めに配されている。
第3、第4の両リンク部材24c,24dは交差する。両リンク部材24c,24dの当該交差部分に上記軸止部材25が通されることにて、交差する角度を変更することができるように、第3リンク部材24cは、第4リンク部材24dへ軸止されている。
【0023】
尚、左右の蛇腹構成部材23,23の夫々において、個々のリンク部材24a…24dとして、直線的な1本のパイプを例示して説明したが、直線部分のみで形成されたものに限定するものではなく、湾曲部や屈曲部を備えるものとしてもよく、また、向きの異なる長尺の部材を接続して形成してもよい。このようにリンク部材として、伸びる方向が一様ではないものを採用した場合、少なくとも斜めの区間を上記交差部とするものであればよい。この場合、リンク部材の配置については、例えば、交差部分以外の区間において、上下に鉛直に伸びる区間や左右に水平に伸びる区間があってもよい。
【0024】
左右の蛇腹構成部材23,23の連結について説明する。
左側の蛇腹構成部材23の上記第1リンク部材24aの右端は、右側の蛇腹構成部材23の上記第4リンク部材24d左端へ、ピンやボルトなどの軸部材27にて回動自在に軸止される。左側の蛇腹構成部材23の上記第2リンク部材24bの右端は、右側の蛇腹構成部材23の上記第3リンク部材24c左端へ、上記と同様の軸部材27にて、回動自在に軸止される。軸部材27,27による上記軸止にて、隣り合う一方の蛇腹構成部材23が備えるリンク部材24,24間の回動に連動して、隣り合う他の一方の蛇腹構成部材23が備えるリンク部材24,24が回動する。例えば、回動により第1リンク部材23aと第2リンク部材23bとの交差角度を変えると、第3リンク部材23cと第4リンク部材23dとの交差角度も変わる。
【0025】
上記左側の蛇腹構成部材23の左端即ち、第1リンク部材24aの左端と第2リンク部材24bの左端は、夫々当該左側の蛇腹構成部材23の左側に位置する支柱21に軸止される。具体的には、第1リンク部材24aの左端は、当該蛇腹部22の左側の支柱21の第1部材211にピンやボルトなどの軸体28(図3(A))により回動自在に軸止され、第2リンク部材24bは、当該蛇腹部22の左側に位置する上記支柱21の第2部材212へ上記と同様の軸体28により回動自在に軸止される。
上記右側の蛇腹構成部材23の右側即ち、第3リンク部材23cの右端と第4リンク部材24dの右端は、夫々当該右側の蛇腹構成部材23の右側に位置する支柱21に軸止される。具体的には、第3リンク部材23cの右端は、当該蛇腹部22の右側へ位置する支柱21の第2部材212へ上記と同様の軸体28により回動自在に軸止され、第4リンク部材23dの右端は、当該蛇腹部22の右側へ位置する支柱21の第1部材211へ上記と同様の軸体28により回動自在に軸止される。
【0026】
支柱21…21の上下の長さを縮める、即ち、支柱21の第1部材211を当該支柱21の第2部材212側へ向けて押し下げることにより、第1部材211に軸止されたリンク部材23の端部が、第2部材212に軸止された同じ蛇腹構成部材23の他方のリンク部材23の端部に接近する。この接近によるリンク部材22,22の回動にて、蛇腹構成部材23,23は、横方向に伸び、蛇腹部22が全体として横方向に伸び、槽1を開いた状態とする。
そして、槽1を開いた状態において、拘束機構は、それ以上各蛇腹部22…22が横方向に開くのを防ぐ。
具体的に説明すると、支柱21を縮めることにより、上記の通り蛇腹部22…22を横方向に伸ばして支柱21…21同士の間隔を開け、槽1を貯水可能な状態に広げ終えると、支柱21は上下に最も縮められた状態即ち挿入用部213を全て第1部材211内部へ収容した状態となるように形成されている。このように挿入用部213が全て第1部材211へ挿入されると、当接部214が被当接部215と当接して、第1部材211は、第2部材212に対し、それ以上、下方に移動することはできない。即ち、拘束機構によって、支柱21…21は、槽1を開いた後は、縮むことはできず、支柱21の縮小に連動して、横方向に伸びる蛇腹部22は、槽1を広げた後、それ以上横方向に伸びることはできない。この実施の形態において、支柱21の縮小を制限することにより、拘束機構は、間接的に、蛇腹部22の横方向の伸びを規制しているのである。
尚、この実施の形態において、当接部214を第1部材211の下端部とし、被当接部215を第2部材212の上端部としたが、当接部214は、第1部材211の他の部位に設けられたものとし、被当接部215も、第2部材212の他の部位に設けられるのとしても実施可能である。
【0027】
支柱21への蛇腹構成部材23の各リンク部材の軸止の方法について、より具体的に説明する。
図3(A)及び図1(A)へ示す通り、この実施の形態において、各支柱21は、上結合部n1と下結合部n2とを備える。上結合部n1及び下結合部n2の夫々は、パイプにて形成された支柱21本体へ一体に設けられたものである。上結合部n1は、支柱21の本体上端に設けられ、下結合部n2は、支柱21の本体下端に設けられている。
具体的には、支柱21の前記第1部材211の上端に、上結合部n1が設けられている。そして、支柱の前記第2部材212の下端に、下結合部n2が設けられている。
上結合部n1及び下結合部n2の夫々は、支柱21を挟んで左右に位置する蛇腹構成部材23,23のリンク部材24の端部夫々を受容し、当該リンク部材24と共に上記軸体28が突き通される、2つの受け部n12,n12を備える。即ち、受け部n12に受容されたリンク部材24の端部は、軸体28にて、本体部n10に軸止されるのである。
平面視において、受け部n12,n12は、夫々の向きをほぼ直角とするものである。
そして、上結合部n1は、前述の主係止部21aを備える。主係止部21aは、平面視において、上記両受け部n12,n12間に設けられた軸支持部n10と、軸支持部n10に支持される横軸n11と、横軸n11に掛けられたフックf1とを備える。
平面視四角形の槽1のコーナー部分の上端は、槽1の上縁から延設された舌片14を備え、当該舌片14は、鳩目が設けられた穴15を備える。当該穴15に上記フックf1が通されて、槽1はフックf1にて支柱21に吊るされる。
尚、この実施の形態では、上結合部n1と下結合部n2は、プラスチック又は金属にて形成されたものであり、上結合部n1と下結合部n2とは同じ部材が上下逆さまに支柱21の上端と下端とに取り付けられている。
【0028】
前記桟部材29は、図2及び図3(B)へ示す通り、槽1の底面部の下面の(平面視の)中央に配置される結合部材29aと、結合部材29aによって結合された4本の底用パイプ部材29b…29bとを備える。
結合部材29aは、四方に向けて夫々開口する4つの端部収容部29c…29cを備える。各パイプ部材29b…29bの一端を当該端部収容部29c…29cの夫々に収容し、ボルト、ネジ又はピンなどの固定具29dによって、回動自在に固定する。上記にて一端が結合部材29aに固定されることにより、4本の底用パイプ部材29b…29bは平面視において十字を呈する。そして、各底用パイプ部材29b…29bのもう一方の端部は、図2(B)へ示す通り、隣り合う蛇腹構成部材23,23間において、左側の蛇腹構成部材23の第1リンク部材24aの右端と,右側の蛇腹構成部材23の第4リンク部材24dの左端の何れかに、軸止される。図2(B)へ示す通り、桟部材29は、対向する蛇腹部22,22間に渡されて、両蛇腹部22,22中央部分が、槽1の外側に広がるのを防止する。
【0029】
支柱21…21には、支柱21…21及び蛇腹部22とは別体に形成された前記の受け桟部3が、着脱自在に取り付けられ、支柱21,21間へ渡される。
この受け桟部3は、槽1へ給水する際に、給水管やホースなどの給水手段が載せられ或いは当該給水手段と当接して、給水手段が、槽1の上縁へ直接載ったり接触したりするのを防ぐものである。
当該実施の形態において、受け桟部3は、図1(B)、図4(A)、図5(A)及び図6(C)へ示す通り、4つの取付部材31…31と、個々の取付部材31に2本づつ軸止された受け桟構成体32…32と、槽1の上縁を受け桟構成体31へ固定する留め具37…37とを備える。
【0030】
詳しくは、この実施の形態において、図1(B)、図4(A)、図5(A)及び図6(C)へ示す通り、受け桟部3は、支柱21の数に応じて4つの取付部材31…31と、各取付部材31に2本づつ軸止された合計8本の受け桟構成体32…32と、留め具37…37とを備える。
取付部材31の夫々は、2本の受け桟構成体32…32の夫々が軸止された取付本体35と、取付本体35から下方へ伸びる2つの取付用片36,36とを備える。
取付用片36,36同士は、互いの間隔を開けて、夫々取付本体35の下面から下方へ伸びる板片である。図5(A)(B)へ示す通り、取付部材31を支柱21の上方から、支柱21の上端即ち、支柱21の上端に設けられた上結合部n1へ配置する。当該配置により、図5(C)へ示すように、取付用片36,36の間に上結合部n1が位置する。
この実施の形態において、2枚の取付用片36,36は、別々の部材にて形成されたものではなく、1枚の金属片を折曲することにより形成されものである。但し、取付部材31を着脱自在に支柱21へ取り付ける手段は、このような取付用片36,36に限定するものではなく、周知の他の手段を採用するものとしても実施できる。
【0031】
受け桟構成体32…32の夫々は、棒状体或いは筒状体であり、この実施の形態においてパイプである。受け桟構成体32は、夫々その一端が、ピンやボルト、ネジといった周知の固定用具35aを用いて取付部材31の取付本体35へ軸止されている。
一つの取付部材31に軸止された受け桟構成体32…32同士は、平面視において互いのなす角度(挟角)が少なくとも90度となるように開くことができ、また、図4(B)へ示すように、開く方向と反対側へ回動することによって閉じることができ、使用しないとき受け桟構成体32,32を嵩張らないようにすることができる。
この実施の形態では、取付部材31の取付本体35は、図5(A)へ示す通り、
支柱21を挟んで隣り合う受け桟構成体32,32の一端を収容する2つの軸受体35b,35bを備える。軸受体35b,35b同士は、平面視において、互いの向きを直角として一体に形成されている。軸受体35b,35bには、上記固定用具35a,35aにて、2本の受け桟構成体32,32の一端夫々が軸止され、平面視直角以上に開かないようにされている。但し、この実施の形態において、受け桟構成体32,32は、夫々軸受体35b,35bの固定用具35aが通され、夫々向きの異なる側部に沿って回動するものであり、互いに同一の平面に沿って回動するものではないが、平面視において個々の回動にて開閉することができ、平面視において直角以上開かないのである。
図5において、両軸受体35b,35bの側部の一部が互いに一体となったものを示したが、図6(A)へ示す通り、両軸受体35b,35bの側部同士は、夫々別々に形成されたものとしても実施できる。
【0032】
各受け桟構成体32の取付部材31へ軸止されていない他の一端、即ち受け桟構成体32の自由端は、当該取付部材31が取り付けられる支柱21と隣接する支柱21へ取り付けられる取付部材31へ軸止された受け桟構成体32の自由端と接続される。この実施の形態においては、図4(C)へ示す通り、接続させる受け桟構成体32,32のうち一方の受け桟構成体32の自由端に、他方の受け桟構成体32よりも内径が大きな接続部34を設けて、当該接続部34へ、上記一方の受け桟構成体32の一端を挿入することによって、隣り合う受け桟部材32,32の自由端同士を接続するものである。
【0033】
前記留め具37は、隣接する支柱21,21間において槽1の上縁を受け桟部3の受け桟構成体31へ固定する、フック状の金具である。具体的には、槽1の上縁に鳩目を備えた穴を設けておき、留め具37の一端側を受け桟構成体31に取り付け、留め具37他の一端側を当該鳩目の穴へ通す。
また、この実施の形態において、蛇腹部22を構成する、左側の蛇腹構成部材23の第2リンク部材24bと、右側の蛇腹構成部材23の第3リンク部材24cとの軸止部分に、副フックf2が形成され(図6(B))、槽1において当該副フックf2と対応する部位に鳩目を備えた穴を設けて、副フックf2を当該鳩目の穴へ引掛けることにより、槽1の上縁を固定している。副フックf2には、フックボルトを採用することができ、当該フックボルトを、上記の第2リンク部材24bと、第3リンク部材24cのいずれか一方の端部に取り付けることによって、フックf2を構成するものとしても実施できる。この実施の形態では、フックf2は、槽1表面に沿う第2リンク部材24bに設けられるものとしたが、第3リンク部材24cが槽1の表面に沿うものである場合、当該第3リンク部材24cへ設けるものとしても実施できる。
上述の留め具37…37は、図1(A)へ示す通り、副フックf2と、隣り合う支柱21,21との間の夫々に設けられて、当該副フックf2と共に、槽1の上縁を吊下げた状態に支持している。尚、副フックf2に対しても、槽1のコーナー部分の前記舌片14と同様上記鳩目を備えた穴を形成するための延設部を設けて実施するものとしてもよい。図6(D)に示す実施の形態では、このような延設部を設けるのではなく、槽1の上縁付近に直接鳩目を備えた穴を設けている。
更に、支柱21,21間における槽1の上縁の支持は、専ら上記副フックf2によるのとし、留め具37を設けずに実施することもできる。
【0034】
この水槽の組み立てについて説明する。
先ず、図2(D)へ示す通り、収納時の折り畳まれた状態から、図2(C)へ示す通り枠体2を開き、支柱21の第1部材211及び第2部材212の、当接部214と被当接部215とが当接するまで、蛇腹部22を横方向へ伸ばす。図2(B)へ示す通り、当接部214と被当接部215とが当接して蛇腹部22がそれ以上伸びなくなると、図1(B)へ示す通り、上記受け桟部材3を枠体2へ取り付ける。
具体的には、上記の図4(C)及び図1(B)へ示す通り、隣り合う受け桟構成体32,32の自由端同士を接続して、受け桟部3を平面視四角形となるように形成すると共に、支柱21…21の上端即ち上結合部n1…n1の夫々に、取付部材31…31を装着する。
そして、図1(A)、図2(A)、図3(A)及び図6へ示す通り、枠体2内に槽1を広げて、上記フックf1、副フックf2及び留め具37にて槽1を枠体2へ固定する。
【0035】
この水槽1は、収納に際しては、図1(A)へ示す状態から、先ず、水槽1を枠体2から取り外す。次いで、受け桟部3を図1(B)へ示すのと逆の手順で支柱21から取り外する。そして、図2(B)に示す状態から、図2(C)へ示す通り、枠体2の蛇腹部22を縮めて、最終的に、図2(D)へ示す通り、各支柱同士を互いに沿わせた状態に畳めばよい。
【0036】
受け桟部3は不要であれば設ける必要はない。但し、槽1が給水手段に掛かるのを防ぎ、また、主係止部21aと共に槽1を支持する、留め具37…37(図1(A))を取り付けることができる点で、受け桟部3を設けて実施するのが好ましい。
【0037】
上記において、受け桟部3は、隣り合う取付部材31,31間において、受け桟構成体32の自由端同士を接続するものとしたが、このように、2本の受け桟構成体32,32を接続して1本の桟を形成するものではなく、当初より取付部材31,31間へ一本の桟を渡すものとしても実施できる(図示は省略する)。支柱21…21から取り外した受け桟部3は、折り畳むことはできないが、収容スペースの問題がなければ、このような実施も可能である。また、給水手段を配置するのを特定の支柱21,21間に決めるものとすれば、受け桟部3は、隣り合う全ての支柱21…21間に渡す必要はなく、当該給水手段を配置する支柱21,21間のみに渡されるものとしてもよい(図示は省略する)。
【0038】
受け桟部3の更に他の実施の形態について、図7を参照しつつ説明する。
図7(C)へ示す通り、この受け桟部3において、接続部34にて接続される受け桟構成体32,32同士は、分離しない。
具体的に説明する。この接続部34は、接続される両受け桟構成体32,32の何れとも別体に形成された部材であり、図7(C)へ示すように、接続部34は、当り片34aと、当り片34aの両側端に設けられた軸止用片34b,34bとを備えた樋状の部材である。
樋状の接続部34には、前後から接続される受け桟構成体32,32の自由端の夫々が挿入される。そして、ピン、ボルトなどの周知の固定用部材34cが、両軸止用片34b,34bと、当該両軸止用片34b,34bの間に挿入された受け桟構成体32の自由端とに通されることにより、接続部34に対して、両受け桟構成体32,32の自由端が軸止される。接続された受け桟構成体32,32同士が固定用部材34cを中心とする回動により開いて一直線となった際に、当り片34aは、それ以上両受け桟構成体32,32が開かないように受け桟構成体32,32の回動を規制する当りである。
【0039】
図7(D)へ示すように、軸止用片34bは、当り用片34aの片側のみに設けるものとし、固定用部材34cを片持ちするものとしても実施できる。
更に、図7(E)へ示すように、接続部34は、当り用片を備えず、図7(C)へ示す2つの軸止用片34b,34bのみ備えるものとしても実施できる。この場合、受け桟構成体32,32同士の回動は、一直線となった際にそれ以上開かないように規制することはできないが、各接続部材31…31を支柱21…21へ取り付けた後は、回動できないので、問題ない。但し、当り用片34aを設けて回動を規制するほうが、受け桟部3の取り扱いが行いやすい。
接続部34は、図7(C)(D)(E)の何れの形態においても、接続された自由端同士は分離できないが、水槽を使用しないときは、支柱21…21から外して、図7(B)へ示すように折り畳むことができる。
【0040】
受け桟部3について、更に他の実施の形態を示す。
図8(A)〜(D)へ示す通り、この受け桟部3の接続部34は、槽抑え部34dを備えるものであり、他の基本構造について、図7(C)へ示す接続部34と同様である。
この槽抑え部34dは、図示の通り、軸止用片34b,34bに設けられた固定用部材34cの一方に設けられ、軸止用片34b表面に沿って下方へ垂下する長尺の部材であり、貯水された槽1が水の重みで広がるのを槽1の側面12外側と当接することによって、抑制する。
図8(E)(F)へ示す通り、槽抑え部34dは、図7(D)へ示す接続部34に設けて実施することもできる。
【0041】
上記図8へ示す受け桟部3は、分割できない一体型のものであったが、この他、受け桟部3は、図4へ示すのと同様の分割可能な分割型のものであっても実施できる。即ち、図9(A)〜(C)へ示す通り、槽抑え部34dを差込式の接続部34へ設けて実施することも可能である。
具体的には、この受け桟部3は、一方の受け桟構成体32端部の接続部34に、上記槽抑え部材34dを設けたものである。また、この実施の形態では、当該接続部34に、他方の受け桟構成体32の一端を挿入するのみではなく、ネジ、ボルトといった周知の固定部材34eを用いて固定するものである。即ち、この受け桟部3では、当該他の受け桟構成体32の一端に固定部材34eが設けられ、接続部34に当該固定部材34eを通す受容部34fが設けられている。図9(B)へ示す通り、固定部材34eは蝶ネジ34dとするのが好ましいが、他のネジやボルトを採用するものであっても実施できる。また、図9(B)に示す通り、この実施の形態では、受容部34fを、接続部34端部の縁に形成した切欠部とするが、貫通孔としても実施できる。
【0042】
更に、受け桟部3は、図9(D)(E)へ示す通り、上記図8に示す折畳み型の接続部34(34x)と図9(A)へ示す分割型の接続部34(34y)とを併設するものとしても実施できる。即ち、図9(D)に示す通り、平面視矩形を呈する受け桟部3において、対向する一位の辺の夫々に位置する接続部34,34を折畳型の接続部34x,34xとし、対抗する他の一対の辺の夫々に位置する接続部34,34同士を分割型の接続部34y,34yとして実施することができる。また、槽抑え部材34dを備えない接続部34を用いる受け桟部3についても、分離型の接続部(図4)と折畳型の接続部(図7)とを併設して実施できる。
【0043】
上記の実施の形態において、拘束機構は、支柱21に設けられて支柱21が縮まるのを拘束するものとしたが、この実施の形態に限定されるものではなく、拘束機構は、他の構成を採るものであっても実施できる。
拘束機構の、他の例について説明する。
上下の結合部n1,n2を、力を受けることによって変形し力を受けなくなると元の形状に戻るプラスチックなどの周知の素材にて、形成する。そして、受け部n12内において、回転するリンク部材24が蛇腹部22を伸ばしきる直前に通る位置に、押し広げないとリンク部材24が通過できない幅の狭い幅狭部(図示せず)を設けておく。蛇腹を伸ばす方向に向け回転するリンク部材24の端部が、強制的に幅狭部を押し広げて幅狭部を通り抜けた直後、受け部n12が備えるリンク部材24回転の範囲を規定する規制部(図示せず)にリンク部材24が当接するものとし、リンク部材24の通過後の幅狭部が幅を元の状態に戻してリンク部材24を後戻りでないものとすると共に、規制部によってリンク部材24をそれ以上回転して蛇腹を開くことをできない状態とする。このような受け部n12へのリンク部材24の強制嵌合により、蛇腹部22が槽1を開いた後にそれ以上横方向に伸びないように拘束することができる。
この拘束機構は、槽1を開いた後に蛇腹部22が更に伸びるのを拘束する他、一旦槽1を開いた後は不意に蛇腹部22が縮まないように拘束するものでもある。槽1に貯水した後は簡単に蛇腹部22が縮むものではないが、拘束機構を上記のように形成することによって、貯水するまでに不意に蛇腹部22が縮んで、水槽設置の円滑な作業が妨げられるのを防ぐことができる。
更に、上記の桟部材29が、拘束機構の機能を担うものとして実施してもよい。
【0044】
図1(D)へ示す蛇腹部22を縮めて枠体2を畳んだ状態に固定する場合についても、上記と同様の方法をとることができる。即ち、受け部n12内において、上記と逆に回動する即ち逆転するリンク部材24が蛇腹部22を縮めきる直前に通る位置に、押し広げないとリンク部材24が通過できない幅の狭い副幅狭部(図示せず)を設けておく。蛇腹を縮める方向に向け逆転するリンク部材24の端部が、強制的に副幅狭部を押し広げて副幅狭部を通り抜けた直後、受け部n12が備えるリンク部材24逆転の範囲を規定する副規制部(図示せず)にリンク部材24が当接するものとし、リンク部材24の通過後の副幅狭部が幅を元の状態に戻してリンク部材24を後戻りでないものとすると共に、副規制部によってリンク部材24をそれ以上逆転して蛇腹を閉じることをできない状態とする。このような受け部n12へのリンク部材24の強制嵌合により、蛇腹部22の縮めた状態を維持することができる。この蛇腹部22を縮めた状態に拘束する方法は、図1へ示す水槽においても実施することができる。
蛇腹部22が槽1を開いた後に、横方向に伸びるを拘束する拘束機構としては、更に、上記以外の方法を採用することが可能であり、例えば、受け部12内において、蛇腹部22を伸ばしきった状態のとき、別途のピンなどの固定手段を受け部12へ取り付けて、リンク部材24の向きを固定するものとしてもよい。縮めた蛇腹部22の長さを固定する方法についても、このように別途の固定手段を用いるものとして実施できる。但し、蛇腹部22を縮めた状態においては、別途ベルトで縛るなどの更に他の方法にて蛇腹部22を開かないようにしても実施できる。
【0045】
尚、上述の槽1は、上記の平面視矩形の形状に限定するものではなく、三角形や五角形以上の多角形であっても実施でき、更には円形や楕円形としてもよい。また、槽1の形状については、多角柱や円柱に限定するものではなく、2枚のシートを合わせて縫製等にて袋状に形成されたものとしても実施できる。
また、図示は省略するが、槽1は、上面部を備えるものとし、上部の一部或いは全体が覆われたものとしても実施できる。
上記において、枠体2は、平面視において矩形の頂点に配置されるべく、4本の支柱21…21を備えるものとしたが、平面視において三角形の頂点に配置されるべく、3本としても、五角形以上の多角形の頂点に配置されるべく、5本以上としても実施できる。桟部材29を構成する底用パイプ部材の数も、このような形状の変更に応じて変更すればよい。
上記において、個々の蛇腹部22は、2つの蛇腹構成部材23,23にて形成されものとしたが、1つ或いは3つ以上の蛇腹構成部材23を連結することにて形成されるものであってもよい。尚、蛇腹部22を1つの蛇腹構成部材23にて構成する場合、桟部材29は、対向する支柱21,21の下端間に渡すものとすればよい。また、桟部材29は、パイプ部材に限らず、ベルトなどの帯状の部材を張ることによって形成するものとしても実施できる。
また、蛇腹部22は、横方向に連結された蛇腹構成部材群を、複数備え、支柱間21,21間において、各蛇腹構成部材群を上下並べて配列されたものとしても実施できる。
【0046】
更に、支柱21…21は、平面視において、水槽がなす多角形の頂点にのみ配されたものに限定するものではなく、図10(A)(B)へ示す通り、上記頂点に配置された支柱21,21間にも、支柱21が配置されるものとしても実施できる。
具体的には、図10(A)に示す組立式水槽では、平面視四角形の水槽のコーナー部(頂点)に配置された、隣り合う支柱21,21の間に、更に支柱21(以下副支柱21と呼ぶ。)が配置されている。この副支柱21は、コーナー部に配置されて、隣り合う支柱21,21の中間に配置されている。
1つの蛇腹部22を、2つの蛇腹構成部材22,22にて構成した場合、副支柱21は、コーナー部の支柱21,21間に1本だけ設けられることとなるが、図8(B)へ示す通り、1つの蛇腹部22を3つの蛇腹構成部材22…22にて構成することにより、コーナー部の支柱21,21間に2本の副支柱21…21を配設することができる。
但し、図8に示すように、蛇腹部22が3つ以上の蛇腹構成部材23…23にて構成されるものについても、図1及び図2へ示すものと同様、水槽のコーナー部にのみ支柱21…21を備えるものとし、副支柱21,21は備えないものとしても実施できる。
本願発明は、防災用の水槽や、消防訓練の消火放水の操方(操作方法)訓練等の貯水槽、飲料用水槽として実施することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 槽
2 枠体
21 支柱
22 蛇腹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟な幕体にて形成され且つ広げた状態において液体を収容する槽と、槽を取り囲む枠体とを備えた組立式水槽において、
枠体は、槽を支持するものであり、横方向に伸縮自在な蛇腹部と、拘束機構とを備え、
蛇腹部を伸ばして、枠体を広げることができ、蛇腹部を縮めて枠体を畳むことができ、
拘束機構は、蛇腹部が横方向へ伸びるのを直接或いは間接的に拘束して、槽を取り付けた状態において、それ以上枠体が広がらないようにすることを特徴とする組立式水槽。
【請求項2】
枠体は、互いの間隔を開けて槽を取り囲むように配置された複数の支柱を備え、
支柱は、槽を支持するものであり、
上記の蛇腹部は、支柱間に渡され、
蛇腹部を伸ばして支柱同士間の間隔を広げることにより、枠体を広げて槽を取り付けることができ、蛇腹部を縮めて支柱同士の間隔を狭めることにより枠体を畳むことができ、
支柱は、上下に伸縮自在に形成されたものであり、
支柱が上下の幅を縮めることにより蛇腹部が横方向に伸張するように、蛇腹部は、支柱へ接続されたものであり、
拘束機構は、支柱が上下の幅を縮めるのを制限することにより、蛇腹の横方向への伸張を拘束して、枠体を広げた状態の支柱同士間の間隔を、それ以上広がらないようにするものであることを特徴とする請求項1記載の組立式水槽。
【請求項3】
個々の蛇腹部は、1つの蛇腹構成部材にて、或いは、複数の蛇腹構成部材を横方向に連結することにて形成されたものであり、
蛇腹構成部材の夫々は、2本のリンク部材を備え、一方のリンク部材を他の一方のリンク部材へ軸止したものであり、リンク部材を回転させて両リンク部材同士がなす角度を変えることにより、蛇腹構成部材を横方向について伸縮することができるものであることを特徴とする請求項2記載の組立式水槽。
【請求項4】
蛇腹部の夫々は、複数の蛇腹構成部材を横方向に連結することにより形成されたものであり、
個々の蛇腹構成部材において、一方のリンク部材を他の一方のリンク部材に対して交差させた状態に軸止したものであり、
隣り合う蛇腹構成部材同士において、一方の蛇腹構成部材のリンク部材夫々の端部を、他の一方の蛇腹構成部材のリンク部材夫々の端部へ軸止することにより、一方の蛇腹構成部材のリンク部材の回動に、他の一方の蛇腹構成部材のリンク部材の回動が連動するよう、隣り合う蛇腹構成部材同士を連結したものであり、
個々の支柱は、当該支柱に隣接する蛇腹構成部材が備えるリンク部材の一方について、隣接する他の蛇腹構成部材のリンク部材と軸止されていない端部を軸止する第1の部位と、当該支柱に隣接する蛇腹構成部材が備えるリンク部材の他の一方について、隣接する他の蛇腹構成部材のリンク部材と軸止されていないほうの一端を軸止する第2の部位とを備え、
上下方向について支柱を縮めることにより、第1の部位と第2の部位とは接近するものであり、
第1の部位は当接部を、第2の部位は被当接部を備え、
上記の拘束機構は、上記当接部と被当接部とにて構成され、
上下方向について支柱を縮めて蛇腹構成部材を横方向に伸ばすことにより枠体を広げた際、当接部が被当接部と当接して、支柱の更なる縮小を阻止し、蛇腹部がそれ以上伸びるのを抑えるものであることを特徴とする請求項3記載の組立式水槽。
【請求項5】
枠体は、桟部材を備え、
桟部材は、枠体の平面視において対向する蛇腹部同士の間に渡され、枠体を開いて槽を取り付けた状態において、対向する蛇腹部同士間の間隔が広がるのを抑制するものであることを特徴とする請求項4に記載の組立式水槽。
【請求項6】
桟部材は、複数のパイプ部材と、各パイプ部材の一端側が軸止された結合部材とを備え、
各パイプ部材において、結合部材に軸止されていない他の一方の端部を、各蛇腹部へ軸止するものであり、
左右に隣り合う蛇腹構成部材間において、左側蛇腹構成部材の2本のリンク部材のうち一方のリンク部材の右端はもう一方リンク部材の右端の下方に位置し、右側蛇腹構成部材の2本のリンク部材のうち一方のリンク部材の左端はもう一方のリンク部材の左端の下方に位置し、上記両蛇腹構成部材間において、端部が他のリンク部材の端部の下方に位置する上記リンク部材の端部同士について一方を他方へ軸止するものであり、端部が下方に位置する上記リンク部材に対して、上方に端部が位置するリンク部材の当該端部同士を軸止し、
端部が上記下方にて軸止されたリンク部材の一方の当該端部へ、桟部材の上記パイプ部材の、結合部材に軸止されていない他の一方の端部を軸止するものであり、
蛇腹部を縮めて、槽を折り畳む際、左右に隣り合う蛇腹構成部材のリンク部材の端部が下方に位置するリンク部材の当該端部を下方に移動させて、結合部材に軸止されていないパイプ部材の端部を下方へ移動させることにより、結合部材を相対的に上方に移動させて、パイプ部材同士が畳まれるものであることを特徴とする請求項5記載の組立式水槽。
【請求項7】
枠体は、隣り合う支柱間へ着脱自在に渡される受け桟部を備え、
受け桟部は、枠体を広げ槽を取り付けた状態にて、隣り合う支柱の上端同士へ着脱自在に渡され、槽内へ給水する給水手段が直接槽の上縁に接触するのを防止するものであることを特徴とする請求項6記載の組立式水槽。
【請求項8】
受け桟部は、夫々支柱の上部へ着脱自在に取り付けられる取付部材と、複数の受け桟構成体と、留め具とを備え、
各取付部材には、2本の上記受け桟構成体の一端の夫々が軸止され、
受け桟構成体の取付部材に軸止されていない自由端は、夫々当該受け桟構成体が軸止されている取付部材と隣り合う取付部材に軸止された受け桟構成体の自由端の夫々と接続され、
受け桟部を支柱から外した状態において、受け桟構成体の上記自由端同士の接続を解除し、或いは自由端同士の接続部を中心として接続された受け桟構成体同士を折り畳むことにより、同じ取付部材に軸止された受け桟構成体同士を折り畳むことができるものであり、
留め具は、受け桟部を支柱へ取り付けた状態において、槽の上縁を受け桟部に取り付けるものであることを特徴とする請求項7記載の組立式水槽。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−25399(P2012−25399A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−162876(P2010−162876)
【出願日】平成22年7月20日(2010.7.20)
【出願人】(391010149)株式会社越智工業所 (10)
【Fターム(参考)】